JPH11198555A - 溶融転写型インク受像シートおよびその製造方法 - Google Patents

溶融転写型インク受像シートおよびその製造方法

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JPH11198555A
JPH11198555A JP10002238A JP223898A JPH11198555A JP H11198555 A JPH11198555 A JP H11198555A JP 10002238 A JP10002238 A JP 10002238A JP 223898 A JP223898 A JP 223898A JP H11198555 A JPH11198555 A JP H11198555A
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JP
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resin
porous layer
ink image
transfer type
sheet
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JP10002238A
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Tatsu Nakai
達 中居
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 記録濃度とともに階調再現性およびドット再
現性が優れ、かつ画像横筋が発生しにくいプリントイン
ク画像が得られる溶融転写型インク受像シートを提供す
る。 【解決手段】 シート状支持体と、その少なくとも一面
上に、水溶性樹脂および/または水分散型樹脂を主成分
とする樹脂含有液から形成された多孔質層と、さらに水
性ポリウレタン樹脂を、前記多孔質層上に塗布して、多
孔質層中に浸透して形成されたインク受像層とを有し、
前記インク受像層表面の平均気孔直径が0.5〜30μ
mであり、かつ前記水性ポリウレタン樹脂のJIS K
6301による100%モジュラスが250Kg/c
2以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、溶融転写型イン
ク受像シートおよびその製造方法に関するものである。
さらに詳しく述べるならば、本発明は熱ヘッドを用いる
溶融転写型熱転写用プリンターに使用されたとき、記録
濃度とともに階調再現性およびドット再現性が優れ、か
つ画像横筋が発生しにくいプリントインク画像が得られ
る溶融転写型インク受像シートおよびその製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】 熱転写インクシートとサーマルヘッド
とを利用する熱溶融転写記録方式は、機構が簡単で保守
が容易なため、ワードプロセッサーやファクシミリ等の
プリンターに広く用いられており、この記録方式用受像
シートとしては上質紙が使用されてきた。しかし近年、
熱転写記録のフルカラー化に伴い、従来より高い階調再
現性を得るため、プリンターにおいてはひとつのドット
の大きさを変えずに階調を得る従来の方法から、各ドッ
トの大きさを変更するドット可変方式に移行している。
また溶融転写型インク受像シートにおいては、低い印加
エネルギーから高い印加エネルギーにわたるフルカラー
記録において、溶融転写されたインクのドット形状が忠
実に再現されるドット再現性に優れ、かつ十分な量のイ
ンクが転写され、記録濃度が高いことが記録画像の重要
な品質になっている。
【0003】上記のような熱転写画像のフルカラー化に
対して、溶融転写型インク受像シートの特性も適切に対
応する必要が生じている。すなわち、フルカラー熱溶融
転写方式において溶融転写型インク受像シートの断熱性
やクッション性が低い場合には、記録濃度の低下や、ド
ット再現性不足が発生することがあり、高すぎる場合に
は、溶融転写型インク受像シートとインクリボンが密着
しすぎ、インクリボンとの剥離がスムーズにいかず画像
に横筋が発生することがある。またその表面が粗すぎる
場合には、インクが転写されない部分、すなわちヌケが
発生したり、逆に表面が平滑すぎる場合には、インクの
投錨効果が不十分になり、転写されたインクがインクリ
ボンに逆転写してしまうということによるヌケが発生し
やすくなる。これらはいずれもドット再現性不良の原因
となる。上記のようなドット再現性の不良に起因する記
録濃度の低下の他に、インク受像層のインク吸収性の低
さに起因する記録濃度の低下も発生することがある。
【0004】これらの問題を解決する試みとして、溶融
転写型インク受像シートのクッション性の向上のため
に、支持体上に中空粒子を含有するアンダーコート層を
設けることが提案されている(特開平2−89690号
公報、特開昭64−27996号公報)。しかし、この
方法でも得られる溶融転写型インク受像シートのクッシ
ョン性や断熱性が未だ不十分である。また中空粒子がイ
ンク受像層の有機溶媒などに溶解する場合には、耐有機
溶剤性の高分子を中空粒子の接着剤として使用するか、
あるいは中空粒子を含む層上に耐有機溶剤性の高分子層
を設けることが必要であり、溶融転写型インク受像シー
トの製造工程を複雑にし、かつコスト高になるという問
題がある。
【0005】上記問題を解決するための他の試みとして
は、プラスチックを主成分とするシート状支持体上に、
水中で溶出する成分を含んだ樹脂層を形成し、この樹脂
層から水溶性成分を溶出除去し、それによって溶融転写
型インク受像シートのインク受容能力を向上させた例も
ある(特開平2−41287号公報)が、この場合十分
な最高濃度が得られないか、あるいは印画像に光沢がな
いなどの欠点があり、溶融転写型インク受像シートに対
して高まりつつある要求品質を満足するには至っていな
い。またこの溶融転写型インク受像シートはプラスチッ
クを主成分としているため、資源のリサイクルが困難で
もある。
【0006】また樹脂含有液に機械的攪拌を施し、多数
の微細気泡を含有させた気泡含有液をシート状支持体上
の表面に塗工、乾燥し、多孔質層を形成する方法がある
が、溶融転写型インク受像シートのクッション性と塗工
層の伸び易さに起因する溶融したインクの浸透ムラによ
って、記録画像に横筋が発生する問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】 本発明は、従来技術
の上記問題点を解消し、熱転写カラープリンターに使用
したときに、記録濃度とともに階調再現性およびドット
再現性に優れ、かつ画像横筋が発生しにくいプリントイ
ンク画像が得られる溶融転写型インク受像シートを提供
しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】 本発明の溶融熱転写型
インク受像シートは、シート状支持体と、その少なくと
も一面上に、水溶性樹脂および/または水分散型樹脂を
主成分とする樹脂含有液から形成された多孔質層と、さ
らに水性ポリウレタン樹脂を、前記多孔質層上に塗布し
て、多孔質層中に浸透して形成されたインク受像層とを
有し、前記インク受像層表面の平均気孔直径が0.5〜
30μmであり、かつ前記水性ポリウレタン樹脂のJI
S K 6301による100%モジュラスが250K
g/cm2以上であることを特徴とするものである。
【0009】本発明の溶融熱転写型インク受像シートの
製造方法は、水溶性樹脂および/または水分散型樹脂を
主成分とする樹脂含有液に、機械的攪拌を施して、発泡
倍率が1〜5倍の多数の微細気泡を分散、含有させた気
泡含有液を、シート状支持体の一面上に塗工、乾燥し、
多孔質層を形成し、さらにJIS K 6301による
100%モジュラスが250Kg/cm2以上の水性ポ
リウレタン樹脂を、前記多孔質層上に、塗工し、多孔質
層中に浸透させ、乾燥してインク受像層を形成すること
を特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】 本発明者らは、上記の目的を達
成すべく鋭意検討した結果、溶融転写型熱転写用プリン
ターによる記録において、樹脂含有液に機械的攪拌を施
し、多数の微細気泡を含有させた塗料を塗工、乾燥する
ことで、微細気泡が形成されている多孔質層を形成し、
かつJIS K 6301による100%モジュラスが
250Kg/cm2以上の水性ポリウレタン樹脂を、多
孔質層上に塗工し、多孔質層内部に浸透させ、乾燥して
形成されたインク受像層からなる溶融転写型インク受像
シートを用いることにより、従来の溶融転写型インク受
像シートよりも、ドット再現性、階調再現性、カラー画
像の鮮明性が良好な高濃度記録が実現でき、かつ画像横
筋が発生しにくいことを見出し、本発明を完成するに至
った。
【0011】本発明において、シート状支持体上に形成
される多孔質層は、樹脂および必要により顔料を含むも
のである。このような多孔質層は、樹脂含有液、または
樹脂と顔料との混合物を含む液状物に、機械的攪拌を施
してこれに微細な多数の気泡を形成分散含有させ、この
気泡含有樹脂含有液をシート状支持体上に塗工、乾燥し
て形成することができる。
【0012】本発明で使用可能な樹脂としては、例え
ば、種々の分子量およびケン化度のポリビニルアルコー
ルおよびその誘導体、デンプン、デンプンの誘導体(例
えば酸化デンプン、カチオン化デンプンのような各種加
工デンプン)、メトキシセルロース、カルボキシメチル
セルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、
ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリ
ル酸アミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸
アミド−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共
重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルカリ
塩、ポリアクリルアミドおよびその誘導体、ポリエチレ
ングリコール等の水溶性樹脂、並びにポリ酢酸ビニル、
ポリウレタン、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR
ラテックス)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体
(NBRラテックス)、ポリアクリル酸エステル、塩化
ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレー
ト、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジ
エン−アクリル酸エステル系共重合体、ポリ塩化ビニリ
デン等の樹脂、さらにはニカワ、カゼイン、大豆タンパ
ク、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム等を用いることが
できるが、これらに限定されるものではない。これらの
樹脂は必要に応じて、単独あるいは2種類以上混合して
使用することができる。
【0013】本発明において、多孔質層に含有させるこ
とができる顔料としては、例えば酸化亜鉛、酸化チタ
ン、炭酸カルシウム、珪酸、珪酸塩、クレー、タルク、
マイカ、焼成クレー、水酸化アルミニウム、硫酸バリウ
ム、リトポン、コロイダルシリカ等の無機顔料、ポリス
チレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エポキシ樹
脂、スチレン−アクリル共重合体等の真球、中空あるい
はさまざまな形状に加工されたプラスチックピグメント
と称される有機顔料や、デンプン粉末、セルロース粉末
等を用いることができるが、これらに限定されるもので
はない。またこれらの顔料は必要に応じて単独にあるい
は2種以上混合して使用することができる。
【0014】また本発明における多孔性樹脂塗膜は、そ
の構造から推察されるように、本質的に塗膜強度が強い
とはいいがたいので、各種顔料を配合すると塗膜強度が
さらに低下して、前記のように画像剥離を生じるなどの
トラブルの原因となることもある。したがって水分散型
樹脂含有液に各種の顔料を含有させ、多孔質層を形成す
る場合には、溶融転写型インク受像シートとしての総合
的な品質を考慮して、配合率を適宜選べばよい。
【0015】気泡形成前の樹脂あるいは、樹脂および顔
料の混合物を含む液状物中には、必要に応じて公知の粘
度調節剤、分散剤、染色剤、耐水化剤、潤滑剤、架橋
剤、可塑剤などを添加することができる。
【0016】シート状支持体上の多孔質層の塗工量は、
2〜40g/m2の範囲にあるようにするのが好まし
い。塗工量が2g/m2より少ない場合には、シート状
支持体の表面の粗さを十分に被覆するのが困難になるこ
とが多く、適正な平滑性を持った表面の溶融転写型イン
ク受像シートが得られなかったり、十分な断熱性や圧縮
変形性が得られないことがある。一方、それが40g/
2を越えるような場合には、多孔質層の厚さが過大と
なり、多孔質層内の結合強度が低下して、画像を形成し
た際にこのインク受像層が剥離するなどのトラブルを発
生し、良好な画像が形成できないことがある。従って、
多孔質層の塗工量は、要求品質に応じ適宜決めればよ
い。
【0017】本発明において多孔質層は、前記の樹脂含
有液、あるいは樹脂および顔料を主成分として含む混合
物液に多数の微細気泡を含有させ、これをシート状支持
体上に塗工し、乾燥することによって得ることができる
が、気泡を形成、含有させる方法や設備、および塗工方
法には特に厳格な制限はない。
【0018】また気泡を含有する水分散型樹脂含有液の
気泡含有状態にも特に制限はないが、好ましくは気泡含
有液の原液に対する体積比(以下、発泡倍率という)が
1倍を越え5倍以下であることが好ましく、より好まし
くは1倍を越え4倍以下である。すなわち発泡倍率は気
泡含有水分散型樹脂含有液中の気泡含有率を示す尺度で
あり、発泡倍率が大きくなると、気泡を構成する樹脂膜
(壁)の厚さが薄くなることを意味している。同じ発泡
倍率である場合には、発泡前の水分散型樹脂含有混合液
の固形分濃度が低いほど、樹脂膜が薄くなることを意味
している。このように、樹脂膜が薄くなると、得られる
多孔質層の強度を十分なレベルに維持することが困難に
なると同時に、塗工、乾燥後の塗工層のクッション性が
高くなり、溶融転写型熱転写用プリンターで記録した画
像に横筋が発生しやすくなる。この点において、発泡倍
率と水分散型樹脂含有混合液組成とのバランスには十分
な注意を払うべきである。
【0019】本発明における、すぐれた溶融インク転写
性能の発現メカニズムは、多孔質層および溶融転写型イ
ンク受像シートの構造的特性、断熱性、圧縮特性等の物
理的特性等が関与しているものと考えられる。とくに構
造的特性の面においては、シート状支持体上に形成され
た多孔質層の表面には微細な孔が多数存在するために、
毛細管力による溶融インクの吸収性があり、さらには多
孔質層内に含有されている多数の気孔が相互に連通、す
なわち連続気孔を構成しているので、多孔質層内への溶
融インクの浸透性が良好となって、高いインク受容能力
を発現すると考えられる。
【0020】この点において、溶融転写型インク受像シ
ート上に形成された、多孔質層表面の気孔の大きさは重
要である。すなわち溶融インクを転写したとき、良好な
画像を本発明の溶融転写型インク受像シート上に形成す
るには、多孔質層の表面の平均気孔直径が0.5〜30
μmの範囲にあることが必要であり、好ましくは0.5
〜20μmの範囲である。気孔直径は、そのサイズすな
わち大きさに起因する毛細管現象により溶融インクを捕
獲する能力と関係しており、気孔が小さいほどその能力
は大きい。しかしながら平均気孔直径が0.5μm未満
であると、インクの吸収能力が劣り、転写不良となるこ
とがある。一方、平均気孔直径が30μmより大きく、
気孔のサイズが過大になると、気孔内に転写インクが埋
没したり、インクリボンとインク受像層表面との良好な
接触を阻害するために転写不良あるいは転写むらの原因
となり、またドットの再現不良を起こして良好な画像が
形成できなくなることがある。なお多孔質層表面の気孔
直径は、光学顕微鏡もしくは走査型電子顕微鏡写真と、
画像解析装置を用いて、計測することが可能である。
【0021】また気孔の大きさは、気泡形成・分散処理
前の水分散型樹脂含有混合液の組成、すなわち材料の種
類や配合比率、発泡、塗工もしくは乾燥後に多孔質層中
の膜厚さに直接関係する成分として残存する量、あるい
は前記の発泡倍率、塗工方式等の種々の要因によって影
響され、必要性能に応じ適宜設定すればよい。さらに本
発明における多孔質層の表面の気孔の大きさは、機械的
攪拌によって得た気泡含有樹脂液中の気泡の大きさと安
定性に関係しており、おおむね樹脂含有液中の気泡が小
さく、安定であるほど、塗工、乾燥後のインク受像層表
面の気孔も小さくなる傾向にある。よって水分散型樹脂
含有混合液の気泡含有状態には特に制限はないものの、
前記多孔質層の表面の気孔と同じ大きさ、すなわち平均
直径が0.5〜30μmの微細気泡が分散、混合されて
いることが好ましく、より好ましくは、平均直径が0.
5〜20μmの範囲にある。含有された気泡の大きさ
は、その一部を光学顕微鏡で写真撮影し、画像解析装置
で計測することが可能である。
【0022】本発明において、樹脂含有液に気泡を形成
含有分散させる方法(以下、発泡方法という)は、例え
ば遊星運動をしつつ回転する攪拌翼を有するいわゆる製
菓用の発泡機、一般に乳化分散等に利用されているホモ
ミキサー、カウレスディゾルバー等の攪拌機、あるいは
密閉系内に空気と樹脂含有液の混合物とを連続的に送入
しながら機械的に攪拌を施し、空気を微細な気泡に分
散、混合できる装置、例えば米国ガストンカウンティー
社、オランダのストーク社等の連続発泡機を用いること
ができるが、特に厳格な制限はない。
【0023】本発明の樹脂含有液に含有させる気泡の安
定性を向上するには、整泡剤、発泡剤と称されている広
範な界面活性剤の中から適宜選定して配合することが可
能である。例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸変性物、高
級脂肪族のアルカリ塩、高級脂肪酸のアミン塩等の陰イ
オン性界面活性剤は、特に樹脂含有液の発泡性を高める
効果や、分散、含有させた気泡の安定性向上効果が高い
ので使用することはよく知られており、本発明の多孔質
層の形成に使用することができる。これらの選定には特
に厳格な制限はないが、樹脂含有混合液の流動性を著し
く阻害したり、塗工作業性を損なうおそれのある材料の
使用は避けることが好ましい。ただし上記の整泡剤や発
泡剤の前記樹脂含有液、あるいは樹脂含有液および顔料
の混合液に対する配合比率は、樹脂含有液、あるいは樹
脂含有液および顔料の混合液の固形分100重量部に対
して、固形分で0〜30重量部、好ましくは1〜20重
量部であり、30重量部を越えて配合しても、その効果
が飽和してしまう。
【0024】本発明において、溶融転写型熱転写用プリ
ンターにて画像を記録した際、画像横筋が発生すること
を防止するには、多孔質層上に水性ポリウレタン樹脂を
塗工し、多孔質層内部に浸透させる。水性ポリウレタン
樹脂を、多孔質層内部に浸透せずに多孔質層表面を被覆
すると、多孔質層が溶融したインクを捕獲できず、良好
なインク画像が得られない。一方、水性ポリウレタン樹
脂を多孔質層内部に浸透させると、多孔質層表面の気孔
は埋められずに多孔質層のセル構造が補強され、多孔質
層のクッション性および伸張性を低下させることができ
る。ここで水性ポリウレタン樹脂とは、ポリウレタンの
水系エマルジョン、コロイド分散液(マイクロエマルジ
ョン)、あるいは水溶液等のウレタン系のポリマーまた
はオリゴマーが、媒体である水の中で安定に分散してい
るものである。
【0025】水性ポリウレタン樹脂の製造における主反
応はイソシアネート基を構成する電子密度の低い炭素へ
のポリオールの求核反応であり、通常のポリウレタンの
合成と同一である。一般にポリウレタン樹脂を製造する
ために使用されるイソシアネートとしては脂肪族、脂環
式および芳香族のポリイソシアネートが挙げられ、例え
ば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリ
レンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイ
ソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリレ
ンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシ
アネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメ
チレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートエス
テル、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、
4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、
3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソ
シアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、
1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、イ
ソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
【0026】またポリウレタン樹脂を製造するために使
用されるポリオールとしては、例えば、エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレ
ングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−
ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ネ
オペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、水
添ビスフェノールA、ヒドロキシアルコキシビスフェノ
ールA等の低分子量ポリオールのエチレンオキシドおよ
び/またはプロピレンオキシド付加物、ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン/
プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール
等のポリエーテルポリオール、低分子量ポリオールとコ
ハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバチン酸、フタル
酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル
酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒド
ロフタル酸等の多塩基酸あるいは炭酸との縮合物である
ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール
およびポリカプロラクトン等が挙げられる。
【0027】ポリウレタン樹脂を水性化する方法として
は、乳化剤を使用する場合と、これを用いない場合とが
ある。下記に代表的な方法を例示するが、どちらの方法
を用いてもよい。乳化剤を使用する方法としては、例え
ば、転相乳化法、乳化状態で鎖延長する方法、ブロック
イソシアネートを使用する方法等が一般的である。転相
乳化法は、疎水性原料であるオリゴマーポリオールと有
機ポリイソシアネート並びに必要により低分子量ポリオ
ールまたはポリアミン等の鎖延長剤とからポリウレタン
の有機溶媒液を製造し、これに乳化剤水溶液を徐々に添
加することによりポリウレタンエマルジョンを得るもの
である。前記乳化剤としては、アルキル硫酸ナトリウ
ム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ナトリウ
ムジオクチルスルホサクシネート等のアニオン性界面活
性剤、長鎖アルコールやアルキルフェノールの酸化エチ
レン付加物等のノニオン性界面活性剤、第四級アンモニ
ウム塩に代表されるカチオン性界面活性剤等が挙げられ
る。
【0028】乳化状態で鎖延長する方法とは、ビニルモ
ノマー等の乳化重合ではなく、イソシアネート基を有す
るウレタンプレポリマーを乳化剤水溶液中の低分子量ジ
アミンと乳化状態で反応、鎖延長する方法であり、安定
なエマルジョンを得るためにはn−ブチルアミン等の単
官能性化合物を重合度調節剤として使用することが有効
である。
【0029】ブロックイソシアネートを使用する方法で
は、イソシアネート基と反応したアミド化合物(ブロッ
クイソシアネート)を形成し、加熱によってイソシアネ
ート基を再生する性質を持つオキシム類、ラクタム類、
第三級アルコール類、フェノール類、アセチルアセト
ン、アセト酢酸エステル、マロン酸ジエステル、重亜硫
酸ナトリウム等のブロック剤を用いる。遊離のイソシア
ネート基を有するウレタンポリマーに有機溶媒中でブロ
ック剤を反応させてイソシアネート基を保護し、これを
N,N,N',N'−テトラキス(2−ヒドロキシプロピ
ル)エチレンジアミンのような多官能性架橋剤と共に界
面活性剤水溶液中に乳化、分散させることにより、安定
なエマルジョンが得られる。
【0030】次に、乳化剤を用いない方法としては、例
えば、水溶性の原料を使用する方法や自己乳化法等が一
般的である。水溶性の原料を使用する方法は、ポリウレ
タンを構成する主原料ポリオールとしてポリエチレング
リコールのような水溶性オリゴマーを使用して有機ポリ
イソシアネートで鎖延長するものである。この種のポリ
ウレタンは、そのままでは耐水性が劣り、実用に供し難
いので、これにアクリル酸をグラフト化させてポリウレ
タン主鎖に幾つかのカルボキシル基を結合させた後、亜
鉛、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム等の多価
金属塩や、アルコキシドを添加して金属架橋を形成させ
る方法、あるいはN−メチロールアクリルアミドのよう
な反応性のアクリル系モノマーをグラフトさせてメチロ
ール基による架橋反応を付与する方法等によって耐水性
を向上できる。
【0031】また自己乳化法では、カチオン性の自己乳
化型ポリウレタンエマルジョンを合成するために、疎水
性のポリオールと有機ポリイソシアネートから得られる
遊離のイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー
をN−アルキルジアルカノールアミンで鎖延長して、ポ
リウレタンの主鎖中に0.1重量%以上の窒素を含むよ
うに第三級アミノ基を導入して、これを酸の水溶液で中
和させるか、あるいはウレタンポリマーを若干量のイソ
シアネート基が残存するように鎖延長しておき、中和時
に媒体である水と反応させ、さらに高分子する。また主
鎖中の第三級アミノ基をジエチル硫酸、沃化メチル等で
四級化してカチオン化する方法、さらにジイソシアネー
ト・ブロムヒドリン化合物およびジメチルアルカノール
アミドを同時に反応させて、鎖延長と造塩を同時に行う
方法や、四級化剤として1,4−ビスクロロメチルベン
ゼンを使用して架橋構造の形成と造塩を同時に行う方法
等がある。
【0032】一方、アニオン性の自己乳化型ポリウレタ
ンエマルジョンは、アミノ基含有ポリウレタンにラクト
ン類、サルトン類、環状カルボン酸無水物を反応させる
か、あるいはウレタンプレポリマーにジアミノスルホン
酸類やジアミノカルボン酸類を反応させて、スルホン酸
塩基やカルボン酸基をポリマー鎖に側鎖の形で導入する
ことにより得られる。またスルホン酸基をポリマー鎖に
導入する方法として芳香族ポリイソシアネートの直接ス
ルホン化する方法もある。
【0033】以上の基本的な製法に加えて、親水基の疎
水化や架橋反応に注目した方法もある。例えば、ウレタ
ン結合間をホルムアルデヒドを用いてメチレン基で架橋
させる方法、ハロヒドリン構造をポリウレタン鎖に導入
して熱硬化性を付与する方法、エポキシ化合物による架
橋、N−メチロール化合物による架橋、アジリジン化合
物による架橋とカルボキシル基の疎水化等がある。
【0034】本発明に係る多孔質層中に水性ポリウレタ
ン樹脂を浸透させてインク受像層を形成する方法とし
て、水性ポリウレタン樹脂を、5〜30%、好ましくは
7〜20%に希釈し、塗料としての樹脂粘度を下げる方
法や、エタノールのようなの揮発性濡れ剤を添加する方
法等があるが、これらの方法に制限されるものではな
い。
【0035】本発明に係るインク受像層は、これらの水
性ポリウレタン樹脂を多孔質層内部へ浸透させ、多孔質
層内部のセル構造の補強材として使用するときには、水
性ポリウレタン樹脂のJIS K 6301による10
0%モジュラスが250Kg/cm2以上である。10
0%モジュラスが250Kg/cm2以上の場合には、
溶融転写型インク受像シートのクッション性および伸張
性が低下するため、プリンター内での溶融転写型インク
受像シートとインクリボンの剥離はスムーズに起こり、
記録画像に濃淡ムラ、光沢ムラは見られず、画像横筋は
発生しない。
【0036】一方、JIS K 6301による100
%モジュラスが、250Kg/cm 2未満の場合には、
溶融転写型インク受像シートのクッション性および伸張
性が低下せず、塗工層の溶融転写型熱転写用プリンター
で画像記録時に、溶融転写型インク受像シートとインク
リボンとの密着性が高くなりすぎ、プリンター内で溶融
転写型インク受像シートとインクリボンの剥離がスムー
ズに行われなくなり、記録画像の走査線方向に濃淡ム
ラ、光沢ムラが発生し、画像横筋となることがある。
【0037】本発明に係るインク受像層を形成する水性
ポリウレタン樹脂の多孔質層上への塗工量は、0.2〜
5g/m2の範囲であることが好ましい。より好ましく
は0.2〜3g/m2である。塗工量が0.2g/m2
り少ない場合には、多孔質層内部のセル構造の補強が十
分でなく、適正なクッション性および伸張性を持つ溶融
転写型インク受像シートが得られないことがある。一
方、それが5g/m2を越えるような場合は、前記水性
ポリウレタン樹脂が十分に多孔質層内部に浸透せず、塗
膜表面の微細気孔を覆ってしまったり、多孔質層のクッ
ション性が低下し、良好な画像が形成できないことがあ
る。従って、多孔質層上へ塗工する水性ポリウレタン樹
脂の固形分濃度、粘度または塗工量は、必要性能に応
じ、適宜決めればよい。
【0038】多孔質層をシート状支持体上に形成するた
めの塗工方式、およびインク受像層を形成する水性ポリ
ウレタン樹脂を多孔質層上に塗工する塗工方式として
は、メイヤーバー方式、グラビアロール方式、ロール方
式、リバースロール方式、ブレード方式、ナイフ方式、
エアーナイフ方式、押し出し方式、キャスト方式等の既
知の方法から任意に選定することができる。
【0039】本発明に係る多孔質層、インク受像層を順
次設けてなる溶融転写型インク受像シートは、気泡含有
樹脂液をシート状支持体上に塗工、乾燥したままの状態
でも良好な溶融熱転写画像を示すことができるが、さら
に金属製ロール2段以上で構成されるマシンカレンダ
ー、または金属製ロールおよび樹脂製ロール、もしくは
金属製ロールとコットン製ロールなどを適宜組み合わせ
て構成されるスーパーカレンダーを使用して、この多孔
質層に仕上げ処理を施し、その表面の平滑性をさらに向
上させてもよい。また塗工後、半乾燥状態もしくは乾燥
状態にあるシートの多孔質層の表面を鏡面仕上げを施し
た加温あるいは非加温状態のキャストドラム等に接触さ
せて、その表面平滑性を向上させてもよい。しかし過度
の加圧力下で上記平滑仕上げ処理を施すと、多孔質層中
の気泡を取り囲む樹脂壁が破壊され、インク受像層の緻
密化が生じて、断熱性やクッション性が低下、あるいは
インク受像層表面の気孔の変形や破壊が起こるため、イ
ンク受像層の溶融インク転写性能が得られなくなること
もある。従って、前記の平滑仕上げ処理に際しては処理
条件を必要性能に応じ、適宜決めればよい。
【0040】また本発明に用いられるシート状支持体と
しては、セルロースを主成分とする紙、塗工紙、ラミネ
ート紙等の紙類をはじめとして、織布、不織布等の布類
が使用可能である。またポリオレフィン、アクリル樹
脂、酢酸セルロース等のプラスチックフィルム類、ポリ
オレフィンと顔料からなる合成紙や、発泡ポリエチレン
テレフタレートフィルム、発泡ポリプロピレンフィルム
等の多孔質合成樹脂フィルム等を使用することができ
る。これらのシート状支持体は、断熱性の良好なものほ
ど同一印加エネルギーでドット再現性や階調再現性が良
好であり、かつ高い記録濃度が得られ、また同一濃度、
および記録品質を得るために必要なエネルギー量が少な
くてすむため、省エネルギーでもある。またパルプを主
成分として含む紙や塗工紙をシート状支持体として用い
た場合には、特に古紙回収が可能であるという利点もあ
る。
【0041】さらに前記のシート状支持体上に気泡含有
水分散型樹脂液、水性ポリウレタン樹脂を順次塗工し
て、本発明の溶融転写型インク受像シートを製造する
際、塗工、乾燥および巻き取りなどの工程において、シ
ート自体がその塗工面を内側あるいは外側にしてカール
することがある。この場合、当該シートを断裁により所
定寸法の画像形成用溶融転写型インク受像シートに加工
したのち使用すると、熱転写用プリンターへの給紙が正
常に行われないことがあり、あるいは熱転写用プリンタ
ー内部における走行性が悪化するなどのトラブルを発生
することがある。また溶融転写記録方式は、熱ヘッドを
インクリボンと接触せしめ、リボン中の染料成分をイン
ク受像シート上に転写する方式であるため、画像形成面
である多孔質層と、シート状支持体層の加熱に伴う収縮
もしくは膨張特性の差に起因して、溶融転写型インク受
像シートが装置内部でカールを発生し、前記のようなト
ラブルが発生する。このようなカール発生のために画像
が正常な紙面方向に対して斜めに形成されたり、装置内
部でシートにしわが発生しやすくなり、このためインク
リボンと溶融転写型インク受像シートとの接触が正常に
行われず、インク転写不良を起こし、その結果、画像品
質が悪化することがある。
【0042】このようなカールが原因で生じる各種のト
ラブルを防止するためには、多孔質層とシート状支持体
層との加熱による収縮特性の差、もしくは膨張特性の差
をできる限り小さくすることが望ましい。そのために溶
融転写型インク受像シートの裏面、すなわち多孔質層を
形成する反対面にカール防止層を塗工あるいはラミネー
トしてもよい。このカール防止層の材料、形成方法、塗
工量、ラミネート厚さ等にはまったく制限はなく、シー
ト状支持体の種類、厚さ、あるいは多孔質層の性状、す
なわち材料組成、発泡倍率、塗工量など種々の要因を勘
案して最適化をはかることができる。
【0043】またシート状支持体の材料選定によって
は、得られる溶融転写型インク受像シートがプリンター
内で走行する際に装置の機構上、種々の摩擦力を受けた
り、加熱による装置内部の湿度低下等の要因が単独ある
いは複合して影響を及ぼし、この溶融転写型インク受像
シートに静電気を帯電することがある。このような状態
において連続して多数枚の画像形成を行うと、この溶融
転写型インク受像シートの画像形成面と、次の溶融転写
型インク受像シートの裏面とが静電気的に密着して剥れ
にくくなる。とくに各種プラスチックシート類あるいは
合成紙等は本質的に帯電しやすい性質があるために、こ
れらをシート状支持体として利用する際は、断裁による
シート化工程において、あるいは加工後の保管中に、静
電気発生のため溶融転写型インク受像シートの表裏が剥
しにくくなる。当然のことながら紙類をシート状支持体
として使用した場合でも前記のようなトラブルは起こり
得る。このような帯電に伴うトラブル防止のために、い
わゆる帯電防止層を溶融転写型インク受像シートの裏面
に形成することは極めて有効である。また帯電防止材料
を使用すること、あるいは溶融転写型インク受像シート
の裏面とインク受像層とのシート間の摩擦係数を低減す
ることにより帯電防止を達成することができる。従って
帯電防止層は、カール防止層形成と同様に広範な材料お
よび方法の中から適宜選定して形成することができる。
【0044】前記のカール防止層および帯電防止層は、
シート状支持体の裏面に個別に形成して所期の性能を得
ることは可能であるが、製造工程の簡略化、製造コスト
の低減あるいは所期の機能水準等、必要に応じて材料、
形成方法を適宜選定することにより、単一層に形成して
目的を達成するすることができる。すなわち単一層でカ
ール防止および帯電防止などのトラブル防止性能を付与
することも可能である。またシート状支持体の裏面に前
記のような性能を有する層の数には何ら制限はない。
【0045】
【実施例】 下記の実施例によって、本発明をさらに具
体的に説明するが、本発明はこれらによって制限される
ものではない。なお下記の実施例および比較例中の
「部」および「%」は、特に断りのない限り「固形分重
量部」および「重量%」を表す。
【0046】水分散型樹脂の製造例 製造例1 1,6−ヘキサンジオール、アジピン酸およびイソフタ
ル酸から製造され、両末端に水酸基を有する平均分子量
2000のポリエステルポリオール200重量部に、ト
リメチロールプロパン6重量部、ジシクロヘキシルメタ
ンジイソシアネート(水添MDI)112重量部、およ
びN−メチル−2−ピロリドン112重量部、2,2−
ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸20重量部、お
よびトリエチルアミン19重量部を混合し、60〜70
℃で4時間攪拌、反応させた。次に、この反応生成物に
水430重量部およびエチレンジアミン10重量部を加
え、40〜45℃で3時間攪拌することにより、固形分
濃度37重量%の水分散型ポリウレタン樹脂含有液を得
た。この水分散型ポリウレタン樹脂のJIS K630
1による100%モジュラスは360Kg/cm2であ
った。
【0047】実施例1 下記の組成を有する樹脂混合液(固形分濃度35%)
を、攪拌機(商標:ケンミックスアイコーPRO、愛工
舎製作所社製)を使用して、攪拌機の回転数490rp
mで5分間攪拌してこれに発泡処理を施した。発泡倍率
は3.8倍であった。樹脂混合液組成 水性ポリウレタン樹脂 100部 (商標:アデカボンタイターHUX−401、旭電化工業社製) 高級脂肪酸系整泡剤 10部 (商標:SNフォーム200、サンノプコ社製) 増粘剤:カルボキシメチルセルロースナトリウム 5部 (商標:AGガム、第一工業製薬社製)
【0048】上記の組成の樹脂混合液を、発泡処理後た
だちに、シート状支持体である坪量75g/m2の上質
紙の表面上にメイヤーバーを用いて塗工量(固型分)が
15g/m2となるように塗工し、乾燥して、多孔質層
を形成した。その上に、製造例1の水性ポリウレタン樹
脂を固形分濃度10%に希釈した塗料をメイヤーバーで
塗工量が1g/m2となるように塗工し、乾燥して溶融
転写型インク受像シートを作製した。
【0049】実施例2 多孔質層上に塗布する水性ポリウレタン樹脂を、100
%モジュラスが280Kg/cm2(商標:NeoRe
z R−960、ゼネカ社製)のものに変えた以外は実
施例1と同様に溶融転写型インク受像シートを作製し
た。
【0050】実施例3 実施例1と同じ組成の混合液を、前記攪拌機で3.5分
間攪拌し、発泡倍率2.3倍の気泡含有樹脂混合液を調
製した以外は実施例1と同様にして溶融転写型インク受
像シートを作製した。
【0051】実施例4 実施例1と同じ組成の混合液を、前記攪拌機で6分間攪
拌し、発泡倍率4.9倍の気泡含有樹脂混合液を調製し
た以外は実施例1と同様にして溶融転写型インク受像シ
ートを作製した。
【0052】実施例5 実施例1と同じ組成の混合液を、前記攪拌機で2分間攪
拌し、発泡倍率1.5倍の気泡含有樹脂混合液を調製し
た以外は実施例1と同様にして溶融転写型インク受像シ
ートを作製した。
【0053】実施例6 シート状支持体として坪量100g/m2のPETフィ
ルムを用いた以外は、実施例1と同様にして、溶融転写
型インク受像シートを作製した。
【0054】実施例7 多孔質層上に、塗布する水性ポリウレタン樹脂の塗工量
を3g/m2とした以外は実施例1と同様に溶融転写型
インク受像シートを作製した。
【0055】比較例1 実施例1と同じ組成の樹脂混合液を、発泡処理を行わず
塗工、乾燥した以外は、実施例1と同様にして、溶融転
写型インク受像シートを作製した。
【0056】比較例2 実施例1で作製した多孔質層の上に、水性ポリウレタン
樹脂の塗工処理をしないで溶融転写型インク受像シート
とした。
【0057】比較例3 多孔質層上に塗布する水性ポリウレタン樹脂を、100
%モジュラスが150Kg/cm2(商標:NeoRe
z R−9679、ゼネカ社製)のものに変えた以外は
実施例1と同様に溶融転写型インク受像シートを作製し
た。
【0058】比較例4 多孔質層上に塗布する水性ポリウレタン樹脂を、100
%モジュラスが10.7Kg/cm2のアクリル樹脂
(商標:DICNAL J−33、大日本インキ化学工
業社製)に変えた以外は実施例1と同様に溶融転写型イ
ンク受像シートを作製した。
【0059】比較例5 実施例1と同じ組成の混合液を、前記攪拌機で、その回
転数を250rpm、撹拌時間を20分間攪拌し、発泡
倍率6.5倍の気泡含有樹脂混合液を調製した以外は実
施例1と同様にして溶融転写型インク受像シートを作製
した。
【0060】比較例6 多孔質層上に塗布する水性ポリウレタン樹脂の塗工量を
7g/m2とした以外は、実施例1と同様に溶融転写型
インク受像シートを作製した。
【0061】評価方法 実施例1〜7および比較例1〜6において、多孔質層の
気孔サイズの測定、および転写インク画像の評価につい
ては、下記の方法で行った。これらの測定および評価結
果を表1に示す。
【0062】気孔直径の測定方法 多孔質層表面の気孔直径は、走査型電子顕微鏡もしくは
光学顕微鏡を使用して、受像層の表面を写真撮影した
後、表面の気孔の輪郭を正確に透明フィルム上に黒色の
ペン等で描き写し、さらにドラムスキャナー(商標:2
605型ドラムスキャンデンシトメーター、阿部設計社
製)により、光学的に気孔の輪郭の情報を読み取り、こ
れを画像解析装置(商標:ルーゼックスIII、ニレコ社
製)を用いて測定した。なお多孔質層表面上に形成され
た気孔の形状は、必ずしも真円ではないので、気孔直径
は画像解析で得られる気孔の輪郭内の面積をもとに、円
相当直径に換算して気孔直径を表示した。
【0063】記録性能 溶融転写型インク受像シートについて、20℃、相対湿
度65%の環境下で一昼夜調湿した後、熱転写カラープ
リンター(商標:G6800−40J、三菱電機社製)
に供給して、その表面にインク画像を溶融転写記録し
た。得られたインク転写画像について下記のように、そ
の反射濃度をマクベス反射型濃度計により測定するとと
もに目視評価した。なお下記評価基準において◎および
○レベルは良好で実用に適するが、△および×レベルで
は不十分であり、評価中に1つでも△または×レベルが
あれば実用に適さない。 (1)17階調で形成されるインク画像(黒単色画像)
について、マクベス反射型濃度計RD−914(商標)
を用いて印加エネルギー別に、その反射濃度を測定し、
最高反射濃度と階調再現性とを評価した。階調再現性は
良好に再現されているものから順に◎、○、△、×の4
段階で評価した。 (2)走査線方向に発生する画像横筋は、全く発生して
いない良好なものから順に◎、○、△、×の4段階で評
価した。 (3)ドット再現性は、インクリボンから受像層に転写
されたインクのドットを観察し、階調再現性と同様に良
好に再現されているものから順に◎、○、△、×の4段
階で評価した。 (4)カラー画像の鮮明性を観察し、良好なものから順
に◎、○、△、×の4段階で評価した。 (5)剥離状態は、受像層上に形成された画像を観察
し、インク剥離のない良好なものから順に○、△、×の
3段階で評価した。
【0064】
【表1】
【0065】
【発明の効果】 本発明により、溶融転写インク画像の
ドット再現性および階調再現性およびカラー鮮明性が良
好で、かつ記録濃度が高く画像横筋が発生しにくい記録
画像が得られる溶融転写型インク受像シートを実用する
ことが可能となり、その産業界に寄与するところが大で
ある。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シート状支持体と、 その少なくとも一面上に、水溶性樹脂および/または水
    分散型樹脂を主成分とする樹脂含有液から形成された多
    孔質層と、 さらに水性ポリウレタン樹脂を、前記多孔質層上に塗布
    して、多孔質層中に浸透して形成されたインク受像層と
    を有し、 前記インク受像層表面の平均気孔直径が0.5〜30μ
    mであり、 かつ前記水性ポリウレタン樹脂のJIS K 6301
    による100%モジュラスが250Kg/cm2以上で
    あることを特徴とする溶融熱転写型インク受像シート。
  2. 【請求項2】 水溶性樹脂および/または水分散型樹脂
    を主成分とする樹脂含有液に、機械的攪拌を施して、発
    泡倍率が1〜5倍の多数の微細気泡を分散、含有させた
    気泡含有液を、シート状支持体の一面上に塗工、乾燥
    し、多孔質層を形成し、 さらにJIS K 6301による100%モジュラス
    が250Kg/cm2以上の水性ポリウレタン樹脂を、
    前記多孔質層上に、塗工し、多孔質層中に浸透し、乾燥
    してインク受像層を形成することを特徴とする溶融転写
    型インク受像シートの製造方法。
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