JPH09251958A - 結晶性シリコン膜及びその製造方法 - Google Patents

結晶性シリコン膜及びその製造方法

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JPH09251958A
JPH09251958A JP6082096A JP6082096A JPH09251958A JP H09251958 A JPH09251958 A JP H09251958A JP 6082096 A JP6082096 A JP 6082096A JP 6082096 A JP6082096 A JP 6082096A JP H09251958 A JPH09251958 A JP H09251958A
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silicon film
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Shigeaki Kishida
茂明 岸田
Hiroya Kirimura
浩哉 桐村
Kiyoshi Ogata
潔 緒方
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 比較的低温下で、生産性良く形成された結晶
性シリコン膜、及び比較的低温下で、生産性良く膜形成
できる結晶性シリコン膜及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 シリコン系ガスを含む原料ガスをプラズ
マ励起用エネルギの供給によりプラズマ化し、このプラ
ズマの下で被成膜物品S上に形成した結晶性シリコン膜
Mであって、膜Mは被成膜物品Sとの界面層M1及び上
層膜M2からなり、界面層M1は、物品S表面近傍の真
空度を1×10-3Torr〜1×10-8Torrに維持
しつつ物品S表面をプラズマに曝すとともに物品S表面
にイオンビームを照射してシリコン結晶種を形成した層
であり、上層膜M2は、引き続き物品S表面近傍の真空
度を1×10-3Torr〜1×10-8Torrに維持し
つつ物品S表面をプラズマに曝し、イオンビームを照射
せずにシリコン結晶を成長させた層である結晶性シリコ
ン膜M。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置にお
ける各画素に設けられるTFT(薄膜トランジスタ)ス
イッチ等の材料として用いられたり、集積回路、太陽電
池等に用いられる結晶性シリコン膜及びそのような結晶
性シリコン膜の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、結晶性シリコン膜の形成方法とし
て、CVD法、特に熱CVD法が多用されている。CV
D法により結晶性シリコン膜を形成するためには、通
常、被成膜物品の温度を800℃程度以上に保つ必要が
ある。また、真空蒸着法、スパッタ蒸着法等のPVD法
も用いられるが、この場合も、該膜を結晶性を有するも
のにするためには、通常、被成膜物品の温度を700℃
程度以上に保つ必要がある。
【0003】また近年では、各種CVD法、PVD法に
より比較的低温下でアモルファスシリコン膜を形成した
後、後処理として、800℃程度以上の熱処理若しくは
600℃程度で20時間程度以上の長時間にわたる熱処
理を施したり、レーザアニール処理を施して、該膜を結
晶性シリコン膜とすることが行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
ように、各種CVD法、PVD法により直接結晶性シリ
コン膜を形成する方法によっては、例えば液晶表示装置
のガラス基板として比較的安価な低融点ガラスを用い、
この基板上にTFTを形成するために結晶性シリコン膜
を形成しようとするとき、かかる低融点ガラスを700
℃や800℃に保つと、溶融したり歪みが生じる等す
る。このようにCVD法やPVD法で直接結晶性シリコ
ン膜を形成する手法では耐熱性が比較的低い材質からな
る物品上への成膜が困難である。
【0005】また、前記の熱処理やレーザアニール処理
を後処理として行い結晶性シリコン膜を得る方法は、直
接結晶性シリコン膜を形成する方法に比べて、1工程多
いため生産性が悪い。なお、レーザアニール処理はレー
ザ照射装置が高価であるとともに、大面積で均一性の良
い膜が得られないという欠点もある。そこで、本発明
は、比較的低温下で、生産性良く形成される結晶性シリ
コン膜、及び比較的低温下で生産性良く膜形成できる結
晶性シリコン膜の形成方法を提供することを課題とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に本発明は、シリコン系ガスを含む原料ガスをプラズマ
励起用エネルギの供給によりプラズマ化し、該プラズマ
の下で被成膜物品上に形成した結晶性シリコン膜であっ
て、該膜は該被成膜物品との界面層及び上層膜からな
り、該界面層は、該物品表面近傍の真空度を1×10-3
Torr〜1×10-8Torrに維持しつつ該物品表面
を前記プラズマに曝すとともに該物品表面にイオンビー
ムを照射してシリコン結晶種を形成した層であり、該上
層膜は、引き続き該物品表面近傍の真空度を1×10-3
Torr〜1×10-8Torrに維持しつつ該物品表面
を前記プラズマに曝し、イオンビームを照射せずにシリ
コン結晶を成長させた層であることを特徴とする結晶性
シリコン膜を提供する。
【0007】また、前記課題を解決するために本発明
は、シリコン系ガスを含む原料ガスをプラズマ励起用エ
ネルギの供給によりプラズマ化し、該プラズマに被成膜
物品を曝して該物品上に結晶性シリコン膜を形成する方
法であって、該物品表面近傍の真空度を1×10-3To
rr〜1×10-8Torrに維持しつつ該物品表面を前
記プラズマに曝すとともに該物品表面にイオンビームを
照射して該物品上にシリコン結晶種を含む界面層を形成
した後、イオンビーム照射を停止し、引き続き該物品表
面近傍の真空度を1×10-3Torr〜1×10-8To
rrに維持しつつ該物品表面を前記プラズマに曝して結
晶性シリコンの上層膜を形成することを特徴とする結晶
性シリコン膜の形成方法を提供する。
【0008】なお、前記本発明の結晶性シリコン膜及び
結晶性シリコン膜の形成方法においては、イオンビーム
照射に伴い、これと共に中性化されたエネルギを有する
中性粒子も照射されることもある。前記本発明の結晶性
シリコン膜及び結晶性シリコン膜の形成方法によると、
シリコン系ガスを含む原料ガスをプラズマ化し、このプ
ラズマの下で結晶性シリコン膜を形成するにあたり、イ
オンビームを併用して界面層を形成し、その後イオンビ
ームを停止して引き続き前記プラズマのもとで上層膜を
形成するため、該界面層中に結晶種(シリコンを結晶化
させるための種となるもの)を形成することができ、ま
た、実際のデバイスに利用される上層膜形成時は、シリ
コン成長面へのイオンビーム照射による過剰な損傷及び
不純物の混入が回避された状態で、良質のシリコン結晶
の成長を促すことができる。
【0009】また、成膜初期のみイオン源を稼働させれ
ばよいため、その分省エネルギ化を図ることができ、イ
オン源のメンテナンス回数を減らすことができ、さら
に、成膜初期のみイオン源を稼働させればよいため、イ
オン源の運転・制御が成膜装置の他の制御系に与える影
響を小さくすることができ、成膜装置全体の安定性を向
上させることができる。
【0010】また、被成膜物品表面近傍の真空度を1×
10-3Torr〜1×10-8Torrという高い真空度
(低圧)とすることにより、該物品表面へのイオンビー
ムの照射を可能とし、そのイオン種及びイオン加速エネ
ルギを適宜選択或いは調整することにより、表面励起、
結晶性制御、結晶粒径制御、結晶配向制御等の効果が得
られ、シリコン原子の移動乃至マイグレーション(migra
tion) が促進されて、被成膜物品上に一層良質な結晶性
を有するシリコン膜を形成することができる。なお、プ
ラズマCVDにおいてプラズマ励起による反応種のエネ
ルギは数eV〜数100eVという広範囲に及ぶため、
単なるプラズマCVDではこのような制御を行い難い。
【0011】また、1×10-3Torr〜1×10-8
orrという高真空度下でガスをプラズマ化させるた
め、気相反応が抑制されて不要なダストパーティクルの
生成が少なくなり、被成膜物品表面への不純物の付着が
抑制され、一層良質な結晶性シリコン膜が得られる。ま
た、高真空下でガスをプラズマ化させるため、膜形成に
寄与するラジカルの拡散域が広がり、それだけ大面積の
被成膜物品上にも良質の結晶性シリコン膜を形成するこ
とができる。さらに、結晶性シリコン膜形成工程におい
て成膜を行う容器内面等への膜付着が少なく、それだけ
クリーニング等のメンテナンスが容易になる。
【0012】また、本発明方法によると、比較的低温下
でシリコンを結晶化させることができる。そして、1工
程でこのような結晶性を有するシリコン膜が得られるた
め、成膜後の熱処理を省略することができ、生産性が良
好である。また、本発明の結晶性シリコン膜及び結晶性
シリコン膜の形成方法において、前記イオンビームのイ
オン種として、不活性ガス(ヘリウム(He)ガス、ネ
オン(Ne)ガス、アルゴン(Ar)ガス、クリプトン
(Kr)ガス、キセノン(Xe)ガス等)、反応性ガス
(水素(H2 )ガス、フッ素(F2 )ガス、フッ化水素
(HF)ガス等)及びシリコン系ガス(モノシラン(S
iH4 )ガス、ジシラン(Si2 6 )ガス等の水素化
シリコンガス、四フッ化シリコン(SiF4)ガス等の
フッ化シリコンガス、四塩化シリコン(SiCl4 )ガ
ス等の塩化シリコンガス等)のうち少なくとも一種のガ
スのイオンを用いることができる。
【0013】前記不活性ガスイオンを照射するときに
は、結晶化のための物理的励起制御が可能となる。ま
た、前記反応性ガス及び前記シリコン系ガスのうち水素
(H)又は(及び)フッ素(F)を含むものを用いると
きには、水素原子、フッ素原子が膜中のアモルファス相
のシリコン原子と結合してこれを気化し、シリコンの結
晶化が促進されるとともに、シリコン−シリコンネット
ワーク中のダングリングボンドや膜中欠陥が低減され、
一層良質な結晶性を有するシリコン膜を形成することが
できる。
【0014】また、本発明の結晶性シリコン膜及び結晶
性シリコン膜の形成方法において、前記イオンビームを
被成膜物品に対し100eV〜1keV程度の低エネル
ギで照射することが考えられ、このとき、イオンビーム
を被成膜物品に照射することによる表面励起、結晶性向
上、結晶配向制御等の効果を妨げることなく一層良質な
結晶性を有するシリコン膜を形成することができる。
【0015】また、本発明の結晶性シリコン膜及び結晶
性シリコン膜の形成方法において、前記プラズマの原料
ガスとして、前記イオンビームのイオン種源となるガス
として例示した前記シリコン系ガスのうち少なくとも一
種のガス、又は前記シリコン系ガスのうち少なくとも一
種のガスと前記反応性ガスのうち少なくとも一種のガス
とを用いることができる。
【0016】なお、イオン源内からイオンの原料ガスが
成膜を行う容器内に拡散してくるため、イオンビーム照
射に用いるイオンの原料ガスとしてシリコン系ガスを用
いるときには、プラズマの原料ガスとして別途シリコン
系ガスを成膜容器内に導入することを省略することがで
きる場合もある。また、本発明の結晶性シリコン膜及び
結晶性シリコン膜の形成方法においては、被成膜物品の
温度を室温〜600℃にすることができ、従来に比べて
このような低温下でも良質な結晶性を有するシリコン膜
を得ることができる。なお、室温より低温にするときに
は、形成されるシリコン膜中にアモルファス成分が増加
し結晶性が低くなる。
【0017】さらに、より結晶性を高める必要がある場
合には、成膜後、後処理として、前記結晶性シリコン膜
に300℃〜600℃の熱処理を施すことが考えられ
る。本発明方法により得られるシリコン膜中の水素濃度
は1×1021cm-3以下という通常のCVD法により得
られるシリコン膜より約2桁低い値にできるため、この
ように低値として上述の後処理によりボイドの少ない一
層良質な結晶性を有するシリコン膜を形成することがで
きる。また、後処理を行うときでも、結晶化のために行
われる従来の後処理より加熱温度を低くすることができ
るとともに、加熱時間も短くすることができる。
【0018】また、本発明の結晶性シリコン膜及び結晶
性シリコン膜の形成方法において、プラズマ励起用エネ
ルギとしては、高周波電力、マイクロ波電力及び光等を
採用することができる。また、本発明の結晶性シリコン
膜において、界面層の膜厚は50Å〜1000Å程度と
することが考えられる。界面層の膜厚が50Åより小さ
いときは、界面層膜厚のわずかな変化に対して結晶粒径
及び結晶性が大きく変化するため、一定膜質に制御する
ことが困難である。また、通常TFTデバイス等に使用
される結晶性シリコン膜の膜厚は1000Å程度なの
で、界面層の膜厚も1000Å程度までとすることが考
えられる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図1は、本発明方法の実施に用い
ることができる成膜装置の1例の概略構成を示す図であ
る。この装置は、成膜室1を有し、室1内の互いに対向
する位置には高周波電極2及び接地電極3が設置されて
いる。電極2には整合器21を介して高周波電源22が
接続されている。また、電極3は被成膜物品Sを支持す
るホルダを兼ねており、内部に物品加熱用ヒータ31が
内蔵されている。また、成膜室1内には、物品ホルダ3
に支持される被成膜物品Sに対しイオン照射できる位置
にイオン源4が設置されている。さらに、成膜室1には
真空排気部5が接続されているとともに、プラズマ原料
ガス供給部6が接続されている。原料ガス供給部6には
プラズマ原料ガス源、マスフローコントローラ等が含ま
れるが、これらは図示を省略している。
【0020】この装置を用いて本発明の結晶性シリコン
膜を形成するにあたっては、被成膜物品Sを成膜室1内
に搬入してホルダ3に支持させた後、真空排気部5の運
転にて室1内を所定の真空度にする。次いで、ガス供給
部6から室1内に原料ガスを導入するとともに、電極2
に整合器21を介して電源22から高周波電力を印加し
て該ガスをプラズマ化し、さらに、イオン源4から被成
膜物品Sへ向けイオンビームをイオン加速エネルギ10
0eV〜1keVで照射し、このプラズマの下で物品S
表面にシリコン結晶種を含む界面層を形成する。なお、
界面層の膜厚は100〜1000Åとする。
【0021】次いで、イオン源4からのイオンビーム照
射を停止し、高周波電力印加による原料ガスのプラズマ
化のみ継続して行い、前記形成した界面層上に結晶性シ
リコン膜の上層膜を形成する。なお、成膜中は、被成膜
物品S表面近傍の真空度が1×10-3Torr〜1×1
-8Torrの範囲内になるように成膜室1内の真空度
を調整する。また、被成膜物品Sの温度を室温〜600
℃に保つ。このようにして、前記形成したシリコン結晶
種を含む界面層上にシリコン結晶を成長させた上層膜を
形成する。
【0022】以上の操作により、図2に示すように、被
成膜物品S上に界面層M1及び上層膜M2からなる結晶
性シリコン膜Mが形成される。以上説明した方法及びこ
れにより得られた結晶性シリコン膜によると、イオンビ
ームの作用で界面層M1中にはシリコンの結晶種が形成
され、また、実際のデバイスに利用される上層膜M2
は、イオン照射による膜の損傷及び不純物混入がない状
態で、界面層M1中の結晶種により結晶化が促されて、
良質な結晶性を有するシリコン膜となる。
【0023】また、界面層形成時に、物品Sにイオンビ
ームを照射し、その照射エネルギが1keV以下の低レ
ベルに制御されていることにより、イオンビーム照射に
よる表面励起、結晶性向上、結晶配向制御等の効果が妨
げられず、シリコン原子のマイグレーションが促進され
て、シリコン膜Mは一層良質な結晶性を有するものとな
る。
【0024】また、成膜中は物品Sの温度を600℃よ
り高くしなくてもシリコンを結晶化させることができ
る。このことから、例えば液晶表示装置用のガラス基板
として比較的低融点の安価なガラスを用い、その上にT
FT用等のシリコン膜を形成できる。また、1工程で結
晶性シリコン膜が得られるため、成膜後の熱処理を省略
することができ、生産性が良好である。さらに結晶性を
向上させる必要があるために熱処理を加える場合にも、
300℃〜600℃という従来より低温で、しかも加熱
時間も従来(20時間以上)より短くすることができ
る。
【0025】また、1×10-3Torr〜1×10-8
orrという高真空度下で原料ガスをプラズマ化させる
ため、気相反応が抑制されて不要なパーティクルの生成
が抑制され、被成膜物品Sへの不純物の付着が抑制され
て一層良質な結晶性シリコン膜が得られる。また、前記
のとおり高真空下で原料ガスをプラズマ化するため、成
膜に寄与するラジカルの拡散域が広くなり、大面積の被
成膜物品S上にも良質な結晶性シリコン膜を形成するこ
とができる。さらに成膜室1内面等への膜付着が少な
く、従って室1内のクリーニングの頻度が少なくて済
む。
【0026】また、成膜初期のみイオン源4を稼働すれ
ばよいため、省エネルギ化を図ることができ、イオン源
4のメンテナンス回数を減らすことができ、さらに、成
膜初期のみイオン源4を稼働すればよいため、イオン源
4の運転が成膜装置の他の部分の制御系に与える影響を
小さくすることができ、成膜装置全体の安定性を向上さ
せることができる。
【0027】次に、図1の装置を用いて本発明方法によ
り結晶性シリコン膜を形成した具体的実施例及びその結
果得られた本発明の結晶性シリコン膜の例について説明
する。併せて、従来の平行平板型プラズマCVD装置を
用いてシリコン膜を形成した比較例についても説明す
る。 実施例1 ・被成膜物品 無アルカリガラス基板及び シリコンウエハ<100>のそれぞれ ・成膜条件 <界面層形成> プラズマ励起用電力 周波数13.56MHzの高周波電力 原料ガス SiH4 50% H2 50% 真空度 1×10-4Torr イオンビームイオン種 SiH4 及びH2 の混合ガスのイオン 照射エネルギ 100eV及び1keVのそれぞれ 成膜温度 300℃ 成膜膜厚 10〜1000Å <上層膜形成> プラズマ励起用電力 周波数13.56MHzの高周波電力 原料ガス SiH4 50% H2 50% 真空度 1×10-4Torr 成膜温度 300℃ ・全膜厚 2500Å 比較例 ・被成膜物品 無アルカリガラス基板及び シリコンウエハ<100>のそれぞれ ・成膜条件 プラズマ励起用電力 周波数13.56MHzの高周波電力 原料ガス SiH4 50% H2 50% 真空度 2×10-1Torr 成膜温度 300℃ 成膜膜厚 2000Å 次に、前記本発明実施例及び比較例により得られた各シ
リコン膜について、X線回折分析(XRD)及びレーザ
ラマン分光分析により結晶性評価を行い、ホール移動度
測定を行うことでデバイス特性を評価した。また、後処
理として熱処理を施し結晶構造の変化を調べた。 ・XRD 本発明実施例による全ての膜サンプルは、111面(2
θ=28.2°)及び220面(2θ=47.2°)か
らのピークが検出され、シリコン(cubic) の結晶性が確
認された。一方、比較例による膜サンプルはアモルファ
ス構造であることが確認された。 ・レーザラマン分光分析 本発明実施例による全ての膜サンプルは、結晶化シリコ
ンによるピーク(ラマンシフト=515〜520c
-1)を検出し、100Å〜2000Åの結晶粒が認め
られた。一方、比較例による膜サンプルはアモルファス
構造によるピーク(ラマンシフト=480cm-1)が検
出された。
【0028】また、本発明実施例による全ての膜サンプ
ルについて、レーザラマン分光分析により得られた結晶
粒径及び結晶成分比率(結晶成分のピーク強度とアモル
ファス成分のピーク強度との比率で、結晶性を表す。)
を界面層の膜厚に対してプロットしたグラフをそれぞれ
図3(A)及び(B)に示す。これによると、界面層の
膜厚と結晶粒径との関係及び界面層の膜厚と結晶成分比
率との関係はほぼ同様の傾向を示し、イオン照射による
界面層を有する膜サンプルでは、界面層の膜厚1000
Åまでの範囲内で、このような界面層を有さない膜サン
プル(界面層膜厚=0Å)に比べて結晶性が高く、また
結晶粒径も大きいことが分かる。なお、参考までに比較
例による膜サンプルについても同様にして図中に示し
た。 ・熱処理 本発明実施例及び比較例により得られた各膜サンプルに
後処理として500℃、8時間の真空中での熱処理を施
したところ、比較例による膜サンプルはアモルファス構
造のままで結晶化しなかったが、実施例によるものでは
100Å〜2000Åから500Å〜3000Åへ結晶
粒径が増大した。 ・ホール移動度 比較例による膜サンプルが0.1cm2 /V・sのホー
ル移動度を示したのに対し、実施例による膜サンプルで
は結晶粒径100Åのもので0.5cm2 /V・s、結
晶粒径2000Åのもので50cm2 /V・sのホール
移動度を示した。
【0029】以上の結果から、本発明実施例では平行平
板型プラズマCVD装置を用いた比較例によっては得ら
れなかった結晶性シリコン膜が300℃という低温度下
で得られたことが分かる。
【0030】
【発明の効果】本発明によると、比較的低温下で、生産
性良く形成された良質の結晶性シリコン膜、及び比較的
低温下で、生産性良く膜形成できる良質の結晶性シリコ
ン膜の形成方法を提供することができる。さらに説明す
ると、本発明によると次のような効果が得られる。 結晶性シリコン膜を被成膜物品との界面層及び上層
膜からなるものとし、界面層形成時のみイオンビーム照
射を行うことで界面層中に結晶化の種を形成し、上層膜
形成時は、イオンビーム照射による不純物の混入及び膜
の損傷がない状態で前記結晶種により良質の結晶成長を
促進することができる。 イオン源の運転時間が短いため、イオン源の運転経
費を削減することができ、イオン源のメンテナンス回数
を減らすことができ、さらに、イオン源の運転時間が短
いため、イオン源の運転が成膜装置の他の制御系に与え
る影響を小さくすることができ、成膜装置全体の安定性
を向上させることができる。 被成膜物品表面近傍の真空度を1×10-3Torr
〜1×10-8Torrという高真空度にしてプラズマを
形成するため、膜形成に寄与するラジカルの拡散域が広
がり、大面積の被成膜物品上にも結晶性シリコン膜を容
易に形成できる。また、気相反応が抑制されて不要なダ
ストパーティクルの生成が少なくなり、良質な結晶性を
有するシリコン膜を一層効率良く形成できるとともに、
成膜を行う容器内のクリーニング等のメンテナンスの負
担が軽減される。 比較的低温下で結晶性シリコン膜が得られるため、
例えば低融点ガラスのような耐熱性の低い材質からなる
被成膜物品上にも膜形成でき、被成膜物品の選択範囲が
広くなる。 1工程で良質な結晶性シリコン膜が得られるため、
成膜後の熱処理を省略することができ、生産性が良好で
ある。 より結晶性を高める必要がある場合にも、後処理と
して行う熱処理の温度を低くすることができ、また加熱
時間も短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法実施に用いることができる結晶性シ
リコン膜の形成装置の1例の概略構成を示す図である。
【図2】本発明に係る結晶性シリコン膜の1例の一部の
拡大断面図である。
【図3】本発明に係る結晶性シリコン膜における界面層
の膜厚と結晶粒径との関係(A)及び界面層の膜厚と結
晶成分比率との関係(B)を示す図である。
【符号の説明】
1 成膜室 2 高周波電極 21 整合器 22 高周波電源 3 物品ホルダ兼接地電極 31 ヒータ 4 イオン源 5 真空排気部 6 プラズマ原料ガス供給部 S 被成膜物品
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 21/324 H01L 21/324 Z

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリコン系ガスを含む原料ガスをプラズ
    マ励起用エネルギの供給によりプラズマ化し、該プラズ
    マの下で被成膜物品上に形成した結晶性シリコン膜であ
    って、該膜は該被成膜物品との界面層及び上層膜からな
    り、該界面層は、該物品表面近傍の真空度を1×10-3
    Torr〜1×10-8Torrに維持しつつ該物品表面
    を前記プラズマに曝すとともに該物品表面にイオンビー
    ムを照射してシリコン結晶種を形成した層であり、該上
    層膜は、引き続き該物品表面近傍の真空度を1×10-3
    Torr〜1×10-8Torrに維持しつつ該物品表面
    を前記プラズマに曝し、イオンビームを照射せずにシリ
    コン結晶を成長させた層であることを特徴とする結晶性
    シリコン膜。
  2. 【請求項2】 前記イオンビームのイオン種として、不
    活性ガス、反応性ガス及びシリコン系ガスのうち少なく
    とも一種のガスのイオンを用いて形成した請求項1記載
    の結晶性シリコン膜。
  3. 【請求項3】 前記イオンビームをイオンエネルギ10
    0eV〜1keVで照射して形成した請求項2記載の結
    晶性シリコン膜。
  4. 【請求項4】 前記原料ガスとして、シリコン系ガスの
    うち少なくとも一種のガス、又はシリコン系ガスのうち
    少なくとも一種のガスと反応性ガスのうち少なくとも一
    種のガスとを用いて形成した請求項1から3のいずれか
    に記載の結晶性シリコン膜。
  5. 【請求項5】 前記被成膜物品の温度を室温〜600°
    Cとして形成した請求項1から4のいずれかに記載の結
    晶性シリコン膜。
  6. 【請求項6】 成膜後、後処理として、前記結晶性シリ
    コン膜に300°C〜600°Cの熱処理を施して得ら
    れた請求項1から5のいずれかに記載の結晶性シリコン
    膜。
  7. 【請求項7】 シリコン系ガスを含む原料ガスをプラズ
    マ励起用エネルギの供給によりプラズマ化し、該プラズ
    マに被成膜物品を曝して該物品上に結晶性シリコン膜を
    形成する方法であって、該物品表面近傍の真空度を1×
    10-3Torr〜1×10-8Torrに維持しつつ該物
    品表面を前記プラズマに曝すとともに該物品表面にイオ
    ンビームを照射して該物品上にシリコン結晶種を含む界
    面層を形成した後、イオンビーム照射を停止し、引き続
    き該物品表面近傍の真空度を1×10-3Torr〜1×
    10-8Torrに維持しつつ該物品表面を前記プラズマ
    に曝して結晶性シリコンの上層膜を形成することを特徴
    とする結晶性シリコン膜の形成方法。
  8. 【請求項8】 前記イオンビームのイオン種として、不
    活性ガス、反応性ガス及びシリコン系ガスのうち少なく
    とも一種のガスのイオンを用いる請求項7記載の結晶性
    シリコン膜の形成方法。
  9. 【請求項9】 前記イオンビームをイオンエネルギ10
    0eV〜1keVで照射する請求項8記載の結晶性シリ
    コン膜の形成方法。
  10. 【請求項10】 前記原料ガスとして、シリコン系ガス
    のうち少なくとも一種のガス、又はシリコン系ガスのう
    ち少なくとも一種のガスと反応性ガスのうち少なくとも
    一種のガスとを用いる請求項7から9のいずれかに記載
    の結晶性シリコン膜の形成方法。
  11. 【請求項11】 前記被成膜物品の温度を室温〜600
    °Cとする請求項7から10のいずれかに記載の結晶性
    シリコン膜の形成方法。
  12. 【請求項12】 成膜後、後処理として、前記結晶性シ
    リコン膜に300°C〜600°Cの熱処理を施す請求
    項7から11のいずれかに記載の結晶性シリコン膜の形
    成方法。
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