JPH09250969A - 車両のアンチロックブレーキ試験装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】車両のエンジン駆動を利用して安価な構成にす
るとともに、車両の飛び出しの危険性のない安全なＡＢ
Ｓ試験装置を得る。 【解決手段】固定支持台2,2Aと、可動支持台3,3Aと、各
支持台に設けた自由回転ローラ4,4A及びクラッチ手段５
及び連結シャフト手段６を介して連結した相互連結ロー
ラ7,7Aよりなる車輪掛合ローラ手段8,8Aと、両支持台2,
2A,3,3A の連結シャフト手段６相互間にトルクを伝達す
る伸縮自在の駆動軸手段９と、各自由回転ローラ4,4Aの
回転を検出する回転検出器10と、これら回転検出器10か
らの信号を処理しまた試験装置全体を制御する制御手段
を有するコンソール11とを具え、片側の支持台2,3 の車
両掛合ローラ手段８の各ローラ4,7 をつづみ形ローラと
し、ローラ4,4A,7,7A は制動時に車輪がロックし易い低
摩擦係数を有するものとし、各ローラを車両のエンジン
駆動による車輪によって回転させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、アンチロックブレ
ーキシステム（ＡＢＳ）付きの車両のアンチロックブレ
ーキを試験するための車両のアンチロックブレーキ試験
装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来のブレーキ試験装置としては、車両
の各車輪に掛合しかつこれらを回転自在に支持する１対
のローラを有し、従って、合計４対のローラ対手段を有
し、各ローラ対の少なくとも１個を駆動してニュートラ
ル状態の車両の４輪を駆動し、車輪の回転惰力が付いた
時点で駆動ローラの駆動を止め、ブレーキペダルを踏ん
でブレーキの効き具合を測定するものがあった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のブレー
キ試験装置では、アンチロックブレーキシステム（ＡＢ
Ｓ）の効きを試験することはできず、ブレーキをかけた
とき車輪がロックするようなテストコースを利用しての
走行試験を行っていた。

【０００４】従って、本発明の目的は、テストコースで
の走行試験を行わなくとも、試験台上で簡単にＡＢＳの
試験を行うことができる車両のアンチロックブレーキ試
験装置を得るにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、本発明による車両のアンチロックブレーキ試験装置
は、左右１対のスロープ付き固定支持台と、これら固定
支持台に対して前後方向に左右同期して移動可能に設け
た左右１対のスロープ付き可動支持台と、各支持台に設
けた自由回転ローラ及びこの自由回転ローラから所定間
隔離れかつ左右に隣接するローラ相互をそれぞれクラッ
チ手段及び連結シャフト手段を介して連結した相互連結
ローラよりなる車輪掛合ローラ手段と、固定支持台の連
結シャフト手段と可動支持台の連結シャフト手段との間
にトルクを伝達する伸縮自在の駆動軸手段と、各自由回
転ローラの回転を検出する回転検出器と、これら回転検
出器からの信号を処理しまた試験装置全体を制御する制
御手段を有するコンソールとを具え、左右の支持台の一
方の支持台の自由回転ローラ及び相互連結ローラをそれ
ぞれ中央の直径が収縮したつづみ形ローラとし、各ロー
ラは制動時に車輪がロックし易い低摩擦係数を有するも
のとして構成し、被試験車両のエンジンで駆動される車
輪によって各ローラを回転させる構成としたことを特徴
とする。

【０００６】

【発明の実施の形態】本発明の実施にあたり、各種の車
両のトレッド（車幅）に適合可能とするため前記左右の
支持台の他方の幅をこの他方の支持台の車輪掛合ローラ
手段を含めて幅広にするとよい。

【０００７】更に、試験装置への車両の搬入・搬出の際
に、ローラ対間を車輪が通過することができるようにす
るため、前記車輪掛合ローラの少なくとも１個にローラ
の回転を阻止するブレーキ手段を設ける。

【０００８】本発明アンチロックブレーキ試験装置によ
れば、被試験車両のホイールベースに試験装置を適合さ
せるため、可動支持台の固定支持台に対する相対位置を
調整する。このとき、固定支持台の連結シャフト手段と
可動支持台の連結シャフト手段との間に回転を伝達する
駆動軸手段は伸縮する。

【０００９】このように、調整した試験装置に支持台の
スロープから被試験車両を乗り入れれ、４輪をそれぞれ
車輪掛合ローラ手段の自由回転ローラ及び相互連結ロー
ラのローラ対間に配置する。この状態で、従来のように
試験装置に設ける駆動装置を使用するのではなく、車両
のエンジン自体によって車輪を実際に回転させ、このエ
ンジンによる車輪の回転を試験装置の車輪掛合ローラ手
段の自由回転ローラ及び相互連結ローラに伝達する。こ
のとき、自由回転ローラの回転を回転検出器で検出す
る。

【００１０】ある回転速度以上になると、車輪掛合ロー
ラ手段のローラは低摩擦係数であるため、自由回転ロー
ラが車輪の回転速度に対応しない回転速度で回転する。
このとき滑り（スリップ）を生じていることになる。

【００１１】この状態でブレーキをかけると、実際の路
面では車輪がロックして走行面に対するグリップ力がな
くなり、挙動が不安定になって危険な状態となる。この
試験装置上では、ＡＢＳが故障していれば車輪がロック
することになり、トルク（回転力）が自由回転ローラに
伝達されず、この状態を回転検出器が検出することによ
り、ＡＢＳが故障していると判断することができる。

【００１２】逆にＡＢＳが正常であれば、車輪がロック
されず、車輪からのトルクが断続的に自由回転ローラに
伝達され、このことを回転検出器で検出してＡＢＳは正
常であると判断することができる。

【００１３】本発明によれば、左右の支持台の一方の支
持台の自由回転ローラ及び相互連結ローラをそれぞれ中
央の直径が収縮したつづみ形ローラであるため、車両の
片側の前後の車輪がローラのほぼ中央に位置決めされる
ことになり、左右にずれて試験台から飛び出す危険性な
く、安定した状態で試験を行うことができる。

【００１４】左右の支持台の他方の幅をこの他方の支持
台の車輪掛合ローラ手段を含めて幅広にした実施例の場
合、車両のトレッドに適合させる特別な調整機構が不要
となり、コストを低減することができる。

【００１５】

【実施例】次に、図面につき本発明の好適な実施例を説
明する。

【００１６】図１の実施例の本発明車両のアンチロック
ブレーキ試験装置１は、左右１対のスロープ付き固定支
持台２，２Ａと、これら固定支持台２，２Ａに設けた案
内レールＲに沿って固定支持台に対して前後方向に左右
同期して移動可能に設けた左右１対のスロープ付き可動
支持台３，３Ａを設ける。これら固定及び可動の支持台
は室内のフロアＦ上に設置する。

【００１７】各支持台２，２Ａ，３，３Ａには、これら
支持台に対して回転自在に設けた自由回転ローラ４，４
Ａと、この自由回転ローラ４，４Ａから前後方向に所定
間隔離れかつ左右に隣接するローラ相互をそれぞれクラ
ッチ手段５及び連結シャフト手段６を介して連結した相
互連結ローラ７，７Ａとよりなる車輪掛合ローラ手段
８，８Ａを設ける。

【００１８】固定支持台２，２Ａの連結シャフト手段６
と可動支持台３，３Ａの連結シャフト手段６との間に伸
縮自在の駆動軸手段９を設け、前輪駆動又は後輪駆動の
車両でもこの駆動軸手段９を介して被駆動輪にトルクを
伝達できるようにする。また、左右の車輪の回転差はク
ラッチ手段５の滑りで吸収する。

【００１９】種々のホイールベースの車両に適合させる
ため、固定支持台２，２Ａに対して可動支持台３，３Ａ
を前後に移動させる。このとき、駆動軸手段９は伸縮
し、確実に車両の車輪を車輪掛合ローラ手段８，８Ａの
車輪掛合ローラ対に掛合させることができ、またトルク
を伝達又は吸収することができる。

【００２０】また、本発明車両のアンチロックブレーキ
試験装置１には、各自由回転ローラ４，４Ａの回転を検
出する回転検出器１０を設と、これら回転検出器１０か
らの信号を処理しまた試験装置全体を制御する制御手段
を有する制御コンソール１１とを設ける。この制御コン
ソール１１の制御手段のための電源は、コード１２又は
１３により幹線電源又はシガレットライターソケットか
ら取り込むようにする。制御コンソール１１には、押し
ボタン１１Ａ、回転インジケータ１１Ｂ、記録計１１Ｃ
等を設ける。

【００２１】可動支持台３，３Ａの移動を操作するホイ
ールベース移動用電動モータ１４及び回転検出器１０に
対する給電のため、制御用コンソール１１からのコード
１５のプラグ１６を固定支持台２に設けたソケット１７
に差し込むことができるようにする。

【００２２】本発明車両のアンチロックブレーキ試験装
置１によれば、左右の支持台の一方側の支持台２，３の
自由回転ローラ４及び相互連結ローラ７をそれぞれ中央
の直径が収縮したつづみ形ローラとする。このつづみ形
ローラの最小直径部の直径は他側の支持台２Ａ，３Ａの
円筒形ローラの直径に等しくする。本発明のこの構成に
よれば、試験装置上で走行試験を行っている車両が左右
にずれることによる飛び出しの確実に防止することがで
きる。

【００２３】また、各ローラ４，４Ａ，７，７Ａは、制
動時に車輪がロックし易い低摩擦係数、好適には、それ
ぞれ異なる低摩擦係数を有するものと交換可能にする。
この構成によれば、実際の様々な走行路面に類似の状況
をシミュレーションすることができる。

【００２４】更に、図示の実施例では、左右の支持台の
他方の側の支持台２Ａ，３Ａの幅を、これら他側の支持
台の車輪掛合ローラ手段８，８Ａを含めて幅広にする。
この構成によって、他側の支持台２Ａ，３Ａを片側の支
持台２，３に対して側方に移動する調整機構を設けるこ
となく、種々のトレッドの車両に適合させることができ
る。

【００２５】更に、試験装置への車両１８の搬入・搬出
の際に、ローラ対間を車輪が通過することができるよう
にするため、車輪掛合ローラの少なくとも１個にローラ
の回転を阻止するブレーキ手段を設ける。図示の実施例
では、固定支持台２，２Ａの相互連結ローラ７，７Ａに
ブレーキ手段１９を設ける。

【００２６】このブレーキ手段１９を動作させ、相互連
結ローラ７，７Ａの回転を阻止した状態で、可動支持台
３，３Ａをホイールベース移動用電動モータ１４の動作
により被試験車両１８のホイールベースに適合する位置
に移動する。この後、図示の実施例では固定支持台側の
スロープＳから被試験車両を乗り込ませ、車輪掛合ロー
ラ対に車両の各車輪２０を支持する。このとき、試験の
準備が完了する。

【００２７】次に、被試験車両１８のエンジンをかけ、
実際に車輪２０を駆動して回転速度を上昇させていき、
車輪掛合ローラ４，４Ａ，７，７Ａが車輪２０の回転速
度に対応しない回転速度で回転し、車輪掛合ローラ４，
４Ａ，７，７Ａと被試験車両の車輪２０との間に滑り
（スリップ）を生じたとき、ＡＢＳ付きブレーキを動作
させ、車輪２０がロックするか否かを自由回転ローラ
４，４Ａの回転を感知する回転検出器１０からの信号に
よってコンソール１１の制御手段が判断する。

【００２８】即ち、ＡＢＳが故障している場合車輪がロ
ックし、トルク（回転力）が自由回転ローラ４，４Ａに
伝達されず、この状態を回転検出器１０が検出すること
により、ＡＢＳが故障していると判断する。

【００２９】逆にＡＢＳが正常であれば、車輪がロック
せず、車輪からのトルクが断続的に自由回転ローラ４，
４Ａに伝達され、このことを回転検出器１０で検出して
ＡＢＳは正常であると判断する。試験完了後は車両１８
を可動支持台側のスロープＳから退出させる。

【００３０】

【発明の効果】本発明によれば、被試験車両自体のエン
ジン駆動により車輪を駆動するため、従来のようなブレ
ーキ試験装置のように被試験車両の車輪を駆動する大出
力駆動モータは不要となり、安価に製造することがで
き、また従来、危険で面倒な路上走行試験を余儀なくさ
れていたＡＢＳ付き車両のＡＢＳを種々の路面状況を仮
想的に創出し、試験装置上で安全にシミュレートかつ試
験することができる。

【００３１】更に、本発明によれば、片側の車輪掛合ロ
ーラがつづみ形であるため、被試験車両が左右にずれて
脱輪する危険性がなくなるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による車両のアンチロックブレーキシス
テム試験装置の線図的平面図である。

【図２】図１の装置に被試験車両を搭乗させた状態の線
図的側面図である。

【符号の説明】

１ アンチロックブレーキ試験装置 2,2A 固定支持台 3,3A 可動支持台 4,4A 自由回転ローラ ５ クラッチ手段 ６ 連結シャフト手段 7,7A 相互連結ローラ 8,8A 車輪掛合ローラ手段 ９ 駆動軸手段 10 回転検出器 11 制御コンソール 12,13,15 コード 11A 押しボタン 11B 回転インジケータ 11C 記録計 14 ホイールベース移動用電動モータ 16 プラグ 17 ソケット 18 車両 19 ブレーキ手段 20 車輪

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 左右１対のスロープ付き固定支持台と、
   これら固定支持台に対して前後方向に左右同期して移動
   可能に設けた左右１対のスロープ付き可動支持台と、各
   支持台に設けた自由回転ローラ及びこの自由回転ローラ
   から所定間隔離れかつ左右に隣接するローラ相互をそれ
   ぞれクラッチ手段及び連結シャフト手段を介して連結し
   た相互連結ローラよりなる車輪掛合ローラ手段と、固定
   支持台の連結シャフト手段と可動支持台の連結シャフト
   手段との間にトルクを伝達する伸縮自在の駆動軸手段
   と、各自由回転ローラの回転を検出する回転検出器と、
   これら回転検出器からの信号を処理しまた試験装置全体
   を制御する制御手段を有するコンソールとを具え、左右
   の支持台の一方の支持台の自由回転ローラ及び相互連結
   ローラをそれぞれ中央の直径が収縮したつづみ形ローラ
   とし、各ローラは制動時に車輪がロックし易い低摩擦係
   数を有するものとして構成し、被試験車両のエンジンで
   駆動される車輪によって各ローラを回転させる構成とし
   たことを特徴とする車両のアンチロックブレーキ試験装
   置。
2. 【請求項２】 前記左右の支持台の他方の幅をこの他方
   の支持台の車輪掛合ローラ手段を含めて幅広にした請求
   項１記載のアンチロックブレーキ試験装置。
3. 【請求項３】 前記車輪掛合ローラの少なくとも１個に
   ローラの回転を阻止するブレーキ手段を設けた請求項１
   又は２記載の車両のアンチロックブレーキ試験装置。
4. 【請求項４】 各ローラ対毎に摩擦係数を異ならせた請
   求項１乃至３のうちのいずれか一項に記載の車両のアン
   チロックブレーキ試験装置。