JPH09250330A - 自動車用排気消音装置 - Google Patents

自動車用排気消音装置

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JPH09250330A
JPH09250330A JP5485596A JP5485596A JPH09250330A JP H09250330 A JPH09250330 A JP H09250330A JP 5485596 A JP5485596 A JP 5485596A JP 5485596 A JP5485596 A JP 5485596A JP H09250330 A JPH09250330 A JP H09250330A
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exhaust gas
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Kazushige Maeda
和茂 前田
Satoru Sasaki
哲 佐々木
Yasuhiro Okamoto
安弘 岡本
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Nissan Motor Co Ltd
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Calsonic Corp
Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】バルブのバタツキの抑制、開閉作動の安定性の
維持、あらゆる運転条件下で安定した排気騒音低減作
用、並びにエンジン出力性能の維持を図る。 【解決手段】マフラ1内部のバッフル板7に設けられた
開口部13を、排気ガスの圧力により回転軸14を中心
に回転して開閉するバルブ15を備えた自動車用排気消
音装置において、バルブ15の回転軸14をほぼ水平方
向に配置する一方、バルブ15の回転軸心から半径方向
に離れかつバルブと同軸で回転する質量体21をプレー
ト22を介してバルブ15に連結し、これによりバルブ
15を所定の閉弁力をもって閉弁方向に付勢する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は自動車等の排気系
から発する騒音の低減を図るための排気消音装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来の自動車用排気消音装置としては、
例えば図15、図16(本出願人による特願平6−32
3336号)に示されるものがある。
【0003】マフラ1の内部は3つのバッフル板6,
7,8により仕切られ、それぞれ第1、第2、第3拡張
室2,3,4と、共鳴室5が形成される。インレットチ
ューブ9が第1拡張室2に連通し、第2拡張室2と第3
拡張室3とはパスチューブ10により連通し、第3拡張
室3は途中に吸音チャンバ17を備える第1テールチュ
ーブ11により大気へと接続する。また、第1拡張室2
と第3拡張室4とは開口部13を介して連通すると共
に、この開口部13を回転軸14を中心にして開閉する
バルブ15が設けられ、この第3拡張室4は途中に吸音
チャンバ17を備える第2テールチューブ12により外
部と接続する。さらに、第1拡張室2は首管16を介し
て共鳴室5と連通している。
【0004】インレットチューブ9より第1拡張室2に
導入される排気圧力の低い、エンジン低回転領域などで
は、バルブ15が閉じており、排気ガスは第1拡張室2
から第2拡張室3、第1テールチューブ10を介して大
気に放出されるが、この過程で排気ガスの脈動が減衰さ
れ、また首管16を介して連通する共鳴室5における共
鳴により低周波の脈動成分が減衰される。また排気ガス
の圧力が上昇するエンジン高回転領域ではバルブ15が
開き、すると一部の排気ガスは第3拡張室4から第2テ
ールチューブ12を介しても大気に放出されるようにな
り、これにより排気ガスの脈動を減衰しつつ、排気ガス
の通過抵抗を減じ、高回転領域での排気損失を低減して
エンジン出力性能を高める。このようにして、エンジン
回転数の低回転から高回転まで効果的に排気騒音を低減
すると共に、高回転領域でのエンジン出力の低下を防止
している。
【0005】一方、排気圧力に応じて開閉するバルブ1
5は、軸受34間に支持された回転軸14を中心に回転
するが、リターンスプリング33により開口部13を閉
じる方向に付勢される共に、バルブ15の開閉に伴う接
触打音を低減するため緩衝材20が設けられる。とくに
排気圧力の比較的低い運転領域にあって、バルブ15の
開度が小さいときは、排気ガスの脈動に応じてバルブ1
5がバタツキを起こし、バッフル板7の一部と衝突して
打音を発生するので、これを低減するため緩衝材20を
設けている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うにバルブ15に所定の閉弁力を発生させるために、リ
ターンスプリング33を設け、このバネ力によりバルブ
15を閉弁力を付与する場合、バルブ15の開度に応じ
てバネ力も大きくなり、それに打ち勝ってバルブ15が
開くこととなり、このためバルブ15が開くときの排気
圧力損失がバネ力に応じて大きくなってしまう。もし、
リターンスプリング33のバネ力を小さくすると、バル
ブ15をしっかりと閉じておくことができなくなり、排
気ガスの脈動で作動が不安定となり、バルブ15のバタ
ツキ現象が生じ、バッフル板7との接触による打音も大
きくなってしまう。排気ガスの脈動によりバルブがバタ
ツキを起こすと、緩衝材20、およびバルブ15の回転
軸軸受34の劣化も早まってしまう。
【0007】また、一般的にマフラ内部は車両の運転負
荷状況により低温から高温までの排気ガスにさらされて
おり、マフラ内部に設けられたバルブ15を閉弁させる
ためのバネも同様な状況下にあるため、高温耐久性の高
いバネ材を使用しないと、バネ特性が運転負荷状況によ
り変化してしまい、いつも設定した排気ガス圧力で正確
にバルブ15を開閉させることが難しくなるという問題
もある。
【0008】この発明は、このような従来の問題を解決
すべくなされたもので、バルブによる排気圧力損失の低
減とバタツキ防止、さらには常に安定した作動特性を確
保することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、マフラ内
部のバッフル板に設けられた開口部を、排気ガスの圧力
により回転軸を中心に回転して開閉するバルブを備えた
自動車用排気消音装置において、バルブの回転軸をほぼ
水平方向に配置する一方、バルブの回転軸心から半径方
向に離れかつバルブと同軸で回転する質量体をバルブに
連結し、バルブを閉弁方向に付勢するようにした。
【0010】第2の発明は、前記質量体がバルブに対し
てバルブの回転方向に略90度の角位相をもって配置さ
れ、バルブは略鉛直位置において開口部を閉じると共
に、車両の進行方向と同一方向に開口部を流れるように
設定した排気ガスに対抗して開口部を閉じるように付勢
される。
【0011】第3の発明は、前記質量体と回転軸とを結
ぶ延長上で回転軸の反対側に配置した第2の質量体をバ
ルブと連結し、バルブに所望の閉弁力を付与するように
設定した。
【0012】第4の発明は、前記質量体がバルブに対し
てバルブの回転方向に略90度から略180度の角位相
をもって配置され、バルブは略鉛直位置において開口部
を閉じると共に、車両の進行方向と反対方向に開口部を
流れるように設定した排気ガスに対抗して開口部を閉じ
るように付勢される。
【0013】第5の発明は、前記質量体と回転軸とを結
ぶ延長上で回転軸の反対側に配置した第2の質量体をバ
ルブと連結し、バルブに所望の閉弁力を付与するように
設定した。
【0014】第6の発明は、前記バルブを閉弁位置で停
止させるストッパーを設け、このストッパーの当接位置
に緩衝材を設けた。
【0015】
【作用】第1の発明では、バルブは質量体により閉弁方
向に付勢され、この閉弁力はバルブの開度に応じて変化
し、このためバルブが大きく開いたときの排気圧力損失
を大幅に低減することが可能となる。このバルブの閉弁
力は排気ガスの温度によらず常に一定に維持され、した
がって運転条件によって排気騒音の低減特性や出力性能
の向上特性が変動することなく、常に目標通りの性能を
維持できる。
【0016】また、質量体によりバルブの慣性モーメン
トが増加し、排気圧力脈動を受けて生じるバルブのバタ
ツキ現象を抑制でき、これによりバルブや回転軸の軸受
の耐久性を向上させられる。
【0017】第2の発明では、バルブの開度が大きくな
るほど閉弁力が小さくなり、このため高出力運転状態で
の排気圧力損失を大幅に低減することができる。また、
車両の加速度に大きさに応じてバルブ開弁力が増加し、
加速時など排気圧力損失の低減し、加速性能を改善でき
る。
【0018】第3の発明では、第1と第2の質量体によ
り慣性モーメントを大きくして、バルブの閉弁力を増す
ことなく、バルブのバタツキ現象を効果的に抑制するこ
とができる。
【0019】第4の発明では、バルブの開度の増加にし
たがって急激にバルブ閉弁力を小さくすることができ、
バルブが開弁する広い運転領域で排気圧力損失を大幅に
低減することが可能となる。また、車両の加速度に応じ
てバルブの閉弁力が変化し、定常走行時ほど排気圧力損
失を低減させられる。
【0020】第5の発明では、第1と第2の質量体によ
り慣性モーメントを大きくして、バルブの閉弁力を増す
ことなく、バルブのバタツキ現象を効果的に抑制するこ
とができる。
【0021】第6の発明では、エンジン停止時などを含
めてバルブを確実に閉弁保持し、また微小開度において
バルブがバタツキ現象を起こしたときなどの打音を減衰
することができる。
【0022】
【実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図面に基
づいて説明する。
【0023】図1はこの発明の第1の実施の形態を示す
もので、マフラ1の内部にはバッフル板6、7により仕
切られた第1拡張室2、第2拡張室3、共鳴室5が形成
され、このうち第1拡張室2には、エンジン(図示せ
ず)からの排気ガスを導入するインレットチューブ9が
開口する。
【0024】さらに第1拡張室2には導入された排気ガ
スを大気に開放するため、吸音チャンバ17が途中に設
けられている第1テールチューブ11が接続されると共
に、第1拡張室2と共鳴室5とが首管16を介して互い
に接続する。
【0025】そして、共鳴室5と第2拡張室3との間を
仕切っているバッフル板7には、開口部13が設けら
れ、エンジン停止時あるいは排気圧力の低いときに、こ
の開口部13を閉塞するようにバルブ15が設置されて
いる。また、第2拡張室3は途中に吸音チャンバ17を
備えている第2テールチューブ12を介して大気と連通
する。
【0026】したがって、排気ガス流量が少なく圧力も
低いエンジン低回転領域などでは第1拡張室2に導入さ
れた排気ガスは、第1テールチューブ11から大気へと
放出され、この過程で圧力脈動が減衰され、また首管1
6を介して連通する共鳴室5の働きにより主として低周
波の脈動成分が減衰される一方、排気ガス流量が増大す
るエンジン高回転領域などでは、排気ガスの圧力により
バルブ15が開き、一部が共鳴室5から開口部13、第
2拡張室3、第2テールチューブ12を介しても大気へ
と放出されるようになり、共鳴室5は拡張要素として作
用し、これらによりエンジン高回転領域での排気脈動を
減衰し、かつバルブ15の開弁により排気通過抵抗を減
じる。
【0027】このようにエンジン回転数の低回転領域か
ら高回転領域まで、排気騒音を効果的に低減すると共
に、排気量の増大する高出力運転領域において、エンジ
ンに高出力性能を発揮させられる。
【0028】次ぎに排気ガスの圧力に応じて開閉するバ
ルブ15の詳細は、図2にも示すように、略鉛直なバッ
フル板7に設けられた開口部13の上方に位置して水平
に配設した回転軸14に取付けられ、回転軸14はバッ
フル板7に固定した左右の軸受23で回転自由に支持さ
れる。
【0029】バルブ15は回転軸14を中心にして直角
に折り曲げられ、この折曲部位においてバルブ15に設
けた切欠24の一片を折返部25を回転軸14に巻き付
けて互いに一体に結合される一方、回転軸14の位置か
ら水平に延びるプレート22の先端には質量体21が取
付けられ、この自重によりバルブ15が開口部13を閉
塞するように付勢される。つまり、質量体21はバルブ
15に対してほぼ90度の回転角位相をもつと共に、回
転軸14の半径方向に所定の距離だけ隔てられた状態
で、プレート22を介して連結される。
【0030】したがって、バルブ15の閉弁力は質量体
21の重量と、回転軸14からの距離に応じて調整され
る。
【0031】また、回転軸14の一部にはストッパー2
7が設けられており、ストッパー27とバッフル板7と
の間には、ストッパー27が直接バッフル7に接触して
打音を発生するのを防止するため、緩衝材または、衝撃
緩和スプリング等28が設けられている。
【0032】次に作用について説明する。
【0033】バルブ15が開くときの作動状態を図3に
示す。プレート22の先端の質量体21はバルブ15に
対して90度の位置に取付けられていることから、バル
ブ15の閉弁状態にあっては、車両の進行方向によら
ず、加速時または減速時に質量体21が閉弁力に寄与す
ることはなく、質量体21の質量mと回転軸14から質
量体21までの距離Lにより、バルブ15の初期閉弁力
(トルク)=mgLは適宜設定される(ただしgは重力
加速度)。
【0034】したがって共鳴室5の圧力がこの閉弁力に
達したときに、バルブ15は開き始め、排気ガスは開口
部13を車両の進行方向へと通り抜ける。
【0035】図4は、バルブ15の開度θに対して、車
両の種々の加速状態における閉弁力の計算結果を表した
ものである。加速の状態が、0.5G、0.3G加速、0
G(定常走行)において、いずれも初期閉弁力(開度θ
=0)よりバルブ15が開くのに応じて閉弁力は小さく
なっていく。
【0036】これは図5に示すように開口部13の排気
ガス流れ方向を車両進行方向となるようにバルブ15を
配置したため、バルブ15が少しでも開けばプレート2
2が傾斜し、質量体21に作用する車両の加速度に応じ
てバルブ15を開こうとする開弁力が作用すると同時
に、自重による閉弁力もバルブ開度が大きくなればなる
ほど回転モーメントが小さくなり、減少するためであ
る。
【0037】したがって共鳴室5の圧力が設定された開
弁圧力よりも少しでも高まると、バルブ15は一気に全
開状態に向けて作動することになる。このため、バネを
閉弁力として使用した場合は、バルブ15の開度が大き
くなるほど反発力も増大し、排気圧力損失が大きくなっ
てしまうが、本発明では、バルブ15の開度が増すほど
閉弁力が小さくなり、排気流量が増大する運転領域にお
いて排気圧力損失を大幅に低減することが可能となる。
とくに車両の加速時など排気圧力損失が小さくなり、加
速性能の改善にも寄与する。
【0038】また、一方でバルブ15の閉弁力としてバ
ネを使用していないため、マフラ室内の温度によるバネ
特性変化がなく、共鳴室内の設定した圧力で常に正確に
バルブ15を開閉することが可能となる。
【0039】排気ガスの脈動入力によりバルブ15は回
転軸14を軸として回転方向に加振されることになる
が、回転軸を中心として回動するプレート22には質量
体21が取付けられ、回転系の慣性モーメントを大きく
している関係で、脈動入力に対するバルブ15の応答、
つまりバタツキ現象をを小さくすることができる。
【0040】つまり、質量体21の質量を大きく、ある
いは回転軸14からの距離を長くすれば、それだけバル
ブ15のバタツキを小さく抑制でき、バルブ15がバッ
フル板7に接触して発生する打音を低減し、また打音抑
制のために取付けられた緩衝材28の劣化を防ぐことも
できる。
【0041】車両の減速時にはプレート22の質量体2
1には閉弁方向に減速加速度が作用すると同時に、排気
ガス量が急激に減少して共鳴室内圧力が小さくなるた
め、バルブ15を速やかに閉弁させることができ、した
がって減速時にも正常な作動状態が期待できる。
【0042】次に図5、図6の第2の実施の形態につい
て説明する。
【0043】この実施の形態は、第1の質量体21を取
付けたプレート22の回転軸14の延長上、つまり回転
軸14を挟んで反対側にプレート29を取付け、または
延設し、このプレート29に第2の質量体30を取付け
たものである。
【0044】バルブ15が開くときの作動状態を図7に
示す。
【0045】図からも明らかなように、回転軸14を中
心にして一体に回転する2つのプレート22と29に取
付けた第1、第2の質量体21、30が、自重により発
生させるバルブ15の閉弁力は互いに相反する方向に作
用する。一方、バルブ15に関する慣性モーメントは、
これら質量体21、30の質量を増すほど大きくなり、
これにより排気ガス脈動に対するバルブ15の応答特性
を小さくできる。
【0046】この結果、質量体21、30を付加するこ
とにより、バルブ15の閉弁力を大きくすることなく、
つまり排気圧力損失を増大させることなく、バルブ15
の排気脈動によるバタツキ抑制効果を高められるのであ
る。
【0047】図8の第3の実施の形態について説明する
と、ここでは、第1拡張室2と第2拡張室3とを仕切る
バッフル板6に開口部13を設け、この開口部13を車
両進行方向と逆方向に排気ガスが流れるように開閉する
バルブ15が設けられる。
【0048】バルブ15は水平な回転軸14と一体に回
転するが、プレート22はバルブ15と直角にはなら
ず、そのなす角度がほぼ90度から180度の範囲内と
なるように設定されている。この場合は、交角がほぼ1
35度に設定され、プレート22の先端には質量体21
が取付けられ、これによりバルブ15を閉弁方向に付勢
している。
【0049】バルブ15が開くときの作動状態を図10
に示す。質量体21はバルブ15に対してほぼ90度か
ら180度の位置に取付けられていることから、車両の
加速時には、質量体21の慣性力により発生するモーメ
ントが、バルブ15の閉弁力を高める方向に寄与する。
したがって、質量体21に作用する慣性力および自重に
よるそれぞれの閉弁力の合力に基づいて初期閉弁力が設
定される。
【0050】いま、第1拡張室2の排気圧力が設定圧力
を越えると、前記した合力の閉弁力に打ち勝ってバルブ
15は開き始める。
【0051】ここでバルブ15の開度θに対しての、車
両の種々の加速状態におけるバルブ閉弁力の計算結果を
図11に示す。
【0052】車両の加速度が、0.5G、0.3G加速、
0G(定常走行)において、いずれも初期閉弁力よりバ
ルブ15の開度が増すに伴い閉弁力は小さくなってい
き、また、この閉弁力は加速度が小さいほど相対的に小
さくなる。
【0053】これは図10に示すように、開口部13の
排気ガス流れ方向を車両進行方向と反対となるようにバ
ルブ15を配置し、かつ質量体21を配置したプレート
22の傾きが90度から180度となるようにしたため
で、自重による閉弁力はバルブ開度が大きくなるにした
がって小さくなり、また質量体21に作用する慣性力に
よる閉弁力は加速度が減少するほど小さくなる。
【0054】したがって第1拡張室2の圧力が設定され
た圧力よりも少しでも高まると、バルブ15は一気に全
開状態になることになり、バルブ15の開弁後の広い運
転領域において排気圧力損失を大幅に低減することがで
きる。そしてこの傾向は、車両の加速度合が小さい定常
運転領域ほど強まり、たとえば中、高回転領域で定常運
転するときなど出力性能の向上に効果を生じる。
【0055】次に図12、図13に第4の実施の形態を
示す。
【0056】この実施形態は、第3の実施形態に対し
て、第1の質量体21を取付けたプレート22と回転軸
14とを結ぶ延長上にプレート29を取付け、このプレ
ート29に第2の質量体30を取付けた点において相違
する。
【0057】バルブ15が開くときの作動状態を図14
に示すが、回転軸14を中心にして回転する2つのプレ
ート22、29上の第1、第2の質量体21、30は、
自重により発生させる閉弁力が相反する方向に作用する
ため、閉弁力を増加させることなく、回転慣性モーメン
トを大きくできる。この結果、バルブ15による排気圧
力損失を増加させずに、バルブ15の排気ガス脈動に対
する応答を小さくして、バルブ15のバタツキ現象を効
果的に抑制しうる。
【0058】
【発明の効果】第1の発明において、質量体によるバル
ブの閉弁力は、バルブの開度に応じて変化し、このため
バルブが大きく開いたときの排気圧力損失を大幅に低減
することが可能となり、とくにこの閉弁力は排気ガスの
温度によらず一定に維持され、したがって運転条件によ
って排気騒音の低減特性や出力性能の向上特性が変動す
ることなく、常に目標通りの性能を維持できる一方、質
量体によりバルブの慣性モーメントが増加し、排気圧力
脈動を受けて生じるバルブのバタツキ現象を抑制でき、
打音の発生を低減すると共にバルブや回転軸の軸受の耐
久性を向上させられる。
【0059】第2の発明によれば、バルブの開度が大き
くなるほど閉弁力が小さくなり、このため高出力運転状
態での排気圧力損失を大幅に低減することができ、また
車両の加速度に大きさに応じてバルブ開弁力が増加し、
加速時など排気圧力損失の低減し、加速性能の改善に寄
与する。
【0060】第3の発明によれば、第1と第2の質量体
により慣性モーメントを大きくして、バルブの閉弁力を
増すことなく、バルブのバタツキ現象を効果的に抑制す
ることができる。
【0061】第4の発明によれば、バルブの開度の増加
にしたがって急激にバルブ閉弁力を小さくすることがで
き、バルブが開弁する広い運転領域で排気圧力損失を大
幅に低減することが可能となり、また車両の加速度に応
じてバルブの閉弁力が変化し、定常走行時ほど排気圧力
損失を低減させられる。
【0062】第5の発明によれば、第1と第2の質量体
により慣性モーメントを大きくして、バルブの閉弁力を
増すことなく、バルブのバタツキ現象を効果的に抑制す
ることができる。
【0063】第6の発明によれば、エンジン停止時など
を含めてバルブを確実に閉弁保持し、また微小開度にお
いてバルブがバタツキ現象を起こしたときなどの打音を
減衰することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す断面図であ
る。
【図2】同じくそのバルブの詳細図で、(A)は平面
図、(B)はA−A断面図、(C)はY矢視図である。
【図3】同じくバルブの作動状態を示す説明図で、
(A)は閉じた状態、(B)は開いた状態を示す。
【図4】同じくバルブの加速時における閉弁力特性を示
す特性図である。
【図5】第2の実施の形態を示す断面図である。
【図6】同じくそのバルブの詳細図で、(A)は平面
図、(B)はC−C断面図、(C)はY矢視図である。
【図7】同じくバルブの作動状態を示す説明図で、
(A)は閉じた状態、(B)は開いた状態を示す。
【図8】第3の実施の形態を示す断面図である。
【図9】同じくそのバルブの詳細図で、(A)は平面
図、(B)はA−A断面図、(C)はY矢視図である。
【図10】同じくバルブの作動状態を示す説明図で、
(A)は閉じた状態、(B)は開いた状態を示す。
【図11】同じくバルブの加速時における閉弁力特性を
示す特性図である。
【図12】第4の実施の形態を示す断面図である。
【図13】同じくそのバルブの詳細図で、(A)は平面
図、(B)はC−C断面図、(C)はY矢視図である。
【図14】同じくバルブの作動状態を示す説明図で、
(A)は閉じた状態、(B)は開いた状態を示す。
【図15】従来例を示す断面図である。
【図16】同じくそのバルブの詳細図で、(A)は正面
図、(B)はA−A断面図である。
【符号の説明】
1 マフラ 2 第1拡張室 3 第2拡張室 5 共鳴室 6 バッフル板 7 バッフル板 9 インレットチューブ 10 パスチューブ 11 第1テールチューブ 12 第2テールチューブ 13 開口部 14 回転軸 15 バルブ 21 質量体 22 プレート 23 軸受 29 プレート 30 質量体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡本 安弘 東京都中野区南台5丁目24番15号 カルソ ニック株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マフラ内部のバッフル板に設けられた開
    口部を、排気ガスの圧力により回転軸を中心に回転して
    開閉するバルブを備えた自動車用排気消音装置におい
    て、バルブの回転軸をほぼ水平方向に配置する一方、バ
    ルブの回転軸心から半径方向に離れかつバルブと同軸で
    回転する質量体をバルブに連結し、バルブを閉弁方向に
    付勢するようにしたことを特徴とする自動車用排気消音
    装置。
  2. 【請求項2】 前記質量体はバルブに対してバルブの回
    転方向に略90度の角位相をもって配置され、バルブは
    略鉛直位置において開口部を閉じると共に、車両の進行
    方向と同一方向に開口部を流れるように設定した排気ガ
    スに対抗して開口部を閉じるように付勢される請求項1
    に記載の自動車用排気消音装置。
  3. 【請求項3】 前記質量体と回転軸とを結ぶ延長上で回
    転軸の反対側に配置した第2の質量体をバルブと連結
    し、バルブに所望の閉弁力を付与するように設定した請
    求項1または2に記載の自動車用排気消音装置。
  4. 【請求項4】 前記質量体はバルブに対してバルブの回
    転方向に略90度から略180度の角位相をもって配置
    され、バルブは略鉛直位置において開口部を閉じると共
    に、車両の進行方向と反対方向に開口部を流れるように
    設定した排気ガスに対抗して開口部を閉じるように付勢
    される請求項1に記載の自動車用排気消音装置。
  5. 【請求項5】 前記質量体と回転軸とを結ぶ延長上で回
    転軸の反対側に配置した第2の質量体をバルブと連結
    し、バルブに所望の閉弁力を付与するように設定した請
    求項1または4に記載の自動車用排気消音装置。
  6. 【請求項6】 前記バルブを閉弁位置で停止させるスト
    ッパーを設け、このストッパーの当接位置に緩衝材を設
    けた請求項1〜5のいずれか一つに記載の自動車用排気
    消音装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6736160B2 (en) 2001-02-07 2004-05-18 Calsonic Kansei Corporation Valve structure for engine exhaust system
WO2011055415A1 (ja) * 2009-11-09 2011-05-12 トヨタ自動車株式会社 内燃機関の排気装置

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