JPH09249384A - クレーンのジブ張出し、格納方法および同装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ジブ張出し、格納のためのジブ振り上げ時お
よびジブ振り下し時のロープ角度を大きく保ってロープ
張力を小さく抑える。 【解決手段】 補助シーブ１２を備えた補助シーブブラ
ケット１３を、ブームヘッド１ｃに対しブラケット軸１
４を中心として、通常作業時に補巻ロープ６をガイドす
る通常位置と、この通常位置よりも起き上がった起立位
置との間で回動可能に取付け、ジブ張出し、格納時に、
補助シーブブラケット１３とジブ２の基端部との間に懸
け渡した連動リンク１５により、ジブ２の垂下位置と張
出し位置との間での回動運動に連動して補助シーブブラ
ケット１３を通常位置と起立位置との間で回動させるよ
うにしたジブ張出し、格納方法および同装置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はトラッククレーン、
ラフテレーンクレーン等のホイール式クレーンにおい
て、ジブを不使用時にはブームに格納し、使用時にブー
ム先端に張出すためのジブ張出し、格納方法および同装
置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、（イ）ジブを、不使用時にはブー
ムの下面に格納し、使用時にこの格納位置から鉛直に垂
下させた後、前方に振り上げて張出す所謂下抱き下振出
し方式、（ロ）ジブを、ブームの側面に格納し、この格
納位置からブーム下面側に回り込ませた後、上記垂下、
振り上げ工程に移行する所謂横抱き下振出し方式（たと
えば特開昭６１−２６９３号、実開平２−１２７６９３
号参照）が公知である。

【０００３】この両方式を図１２によって説明する。

【０００４】ブーム１は、基本（固定）ブーム１ａと、
複数段の可動ブーム１ｂ…とによって伸縮可能に構成さ
れ、このブーム１における先端可動ブーム１ｂの先端部
（ブームヘッド）１ｃの左右両側面にジブ支持軸３（図
では片側のみ示す）が設けられている。

【０００５】一方、ジブ２には、基端部両側に二股状の
ジブフット４（図では片側のみ示す）、先端部にジブポ
イントシーブ５がそれぞれ設けられている。

【０００６】図中、６はクレーン搭載の補巻ウィンチ
（図示せず）から繰り出された補巻ロープで、同ロープ
６は、ブームヘッド１ｃに設けられたブームポイントア
イドラシーブ７（８はブームポイントメインシーブ）、
ブームヘッド１ｃに補助シーブブラケット９を介して取
付けられた補助シーブ１０に通され、その先端に補フッ
ク１１が取付けられる。

【０００７】また、Ｌはクレーン本体を構成する下部走
行体、Ｕは上部旋回体、Ｃはクレーン作業時と走行時と
に共用されるキャビン（運転室）である。

【０００８】ジブ２は、不使用時には、ブーム側面（横
抱き方式の場合）またはブーム下面（下抱き方式の場
合）に格納され、下抱き方式にあっては次の手順、操作
によってブーム先端に張出される。

【０００９】 ジブ２の両側ジブフット４をジブ支持
軸３に係合連結し、図示しない係留固定機構によるジブ
２の固定を解いた後、ブーム１を起こしてジブ２を鉛直
に垂下させる（ジブ垂下工程）。

【００１０】なお、このジブ垂下操作は補フック１１に
図示しない補助ロープを掛け、同ロープの他端を、基本
ブーム１ａ基端部に止め付けた状態で補巻ロープ６を巻
戻すことによって行なわれる。

【００１１】また、横抱き方式の場合は、ジブ２を油圧
シリンダ等のジブ移動機構によってブーム側面から下面
に回り込ませた後、ジブフット４をジブ支持軸３に係合
連結し、ジブ２を垂下させる。

【００１２】 補フック１１をジブ先端に係止させた
状態で、ブーム１を倒しながら、補巻ロープ６によりジ
ブ２をジブ支持軸２まわりに上向き回動させてブームヘ
ッド１ｃから張出す（ジブ振り上げ工程）。

【００１３】この張出し状態で、ジブ２の先端部とブー
ムヘッド１ｃとの間に図示しないサスペンションロッド
が懸け渡され、これによってジブ２が支持される。

【００１４】また、ジブ２の格納はこれと逆の手順、操
作によって行なわれる。

【００１５】

【発明が解決しようとする課題】ところが、従来、上記
のようなジブ張出し、格納方式において、次のような問
題が生じていた。

【００１６】ジブ張出し時のジブ振上げ工程、およびジ
ブ格納時にジブ２を張出し位置から鉛直に垂下させるジ
ブ振下し工程において、補巻ロープ６に作用する張力
は、同ロープ６とジブ２のなす角度（以下、ロープ角度
という）θが小さいほど大きくなる。

【００１７】そして、このロープ角度θは、補巻ロープ
６をガイドする補助シーブ１０とジブ２の位置関係によ
って決まり、図１２の実線で示すようにジブ振上げ工程
において同シーブ１０がロープ６から離れ始めるジブ角
度（ジブ振り下し工程ではシーブ１０がロープ６に接触
し始めるジブ角度）で最小となる。

【００１８】このジブ角度とロープ張力の関係の一例を
図１３に示す。

【００１９】同図中、黒四角点の折線で示すように、従
来はジブ角度の変化に対するロープ張力の変化の度合い
が大きく、特定のジブ角度（図１３の例では約５５°）
でロープ張力がはね上がってピークを示す。

【００２０】このように、従来は、ジブ張出し時のジブ
振り上げ工程、およびジブ格納時のジブ振り下し工程で
のロープ張力が大きくなるため、補巻ロープ６を巻取
り、巻戻し操作するとウィンチドラムにおいて補巻ロー
プ６が下層ロープに食い込み、ロープの損傷を招くおそ
れがあった。

【００２１】このため、通常は、補巻ロープ６を巻取
り、巻戻し操作する代わりに、図１２に示すようにブー
ム１を伸長（ジブ張出し時）または縮小（ジブ格納時）
させることによってジブ２を振り上げまたは振り下すよ
うにしている。

【００２２】しかし、このブーム伸縮操作によると、微
操作性が悪く、ジブ２が振動してより大きなロープ張力
が作用するおそれがあった。

【００２３】なお、ブームポイントアイドラシーブ７を
ブームヘッド前方に突出させてもロープ角度θを大きく
とれるが、クレーン作業時の邪魔になる。

【００２４】そこで本発明は、ブームポイントアイドラ
シーブの前方突出量を大きくすることなく、ジブ振り上
げ時およびジブ振り下し時のロープ角度を大きく保って
ロープ張力を小さく抑えることができるクレーンのジブ
張出し、格納方法および同装置を提供するものである。

【００２５】

【課題を解決するための手段】請求項１の発明（ジブ張
出し、格納方法）は、ブームヘッドに左右方向水平なジ
ブ支持軸と、補助シーブを備えた補助シーブブラケット
とが設けられ、ジブの基端部両側を上記ジブ支持軸に回
動可能に連結した状態でジブを垂下させ、上記補助シー
ブに通された補巻ロープにより、ジブを上記ジブ支持軸
まわりに上向きに回動させて張出し、格納時にはこれと
逆の操作によりジブを下向きに回動させて張出し位置か
ら垂下させるように構成したクレーンにおいて、上記補
助シーブブラケットを、ブームヘッドに対し、左右方向
の水平軸を中心として、通常作業時に補巻ロープをガイ
ドする通常位置と、この通常位置よりも起き上がった起
立位置との間で回動可能に取付け、ジブ張出し、格納時
に、補助シーブブラケットとジブ基端部との間に連動手
段を介在させた状態でジブを垂下位置と張出し位置との
間で回動させることにより、補助シーブブラケットをこ
のジブに連動して通常位置と起立位置との間で回動させ
るものである。

【００２６】請求項２の発明（ジブ張出し、格納装置）
は、ブームヘッドに左右方向水平なジブ支持軸と、補助
シーブを備えた補助シーブブラケットとを設け、ジブの
基端部両側を上記ジブ支持軸に回動可能に連結した状態
でジブを垂下させ、上記補助シーブに通された補巻ロー
プにより、ジブを上記ジブ支持軸を中心として上向きに
回動させて張出し、格納時にはこれと逆の操作によりジ
ブを下向きに回動させて張出し位置から垂下させるよう
に構成したクレーンにおいて、上記補助シーブブラケッ
トを、ブームヘッドに対し、左右方向の水平軸を中心と
して、通常作業時に補巻ロープをガイドする通常位置
と、この通常位置よりも起き上がった起立位置との間で
回動可能に取付け、かつ、ジブ張出し、格納時に補助シ
ーブブラケットとジブ基端部との間に介在されて補助シ
ーブブラケットをジブの垂下位置と張出し位置との間で
の回動運動に連動して上記通常位置と起立位置との間で
回動させる連動手段を具備するものである。

【００２７】請求項３の発明は、請求項２の構成におい
て、連動手段として、一端部がジブ基端部に、他端部が
補助シーブブラケットにそれぞれピン連結されるリンク
が用いられたものである。

【００２８】請求項４の発明は、請求項２の構成におい
て、連動手段として、補助シーブブラケットとジブ基端
部の一方に押し腕が、ジブの垂下位置と張出し位置との
間で他方に当接する状態で設けられたものである。

【００２９】請求項５の発明は、連動手段として第１お
よび第２のリンクを備え、第１のリンクは、一端部が補
助シーブブラケットに水平軸まわりに回動可能に連結さ
れ、第２のリンクは、支点部と作用点部と力点部とを有
し、上記支点部がブームヘッドに水平軸まわりに回動可
能に枢着され、上記作用点部が上記第１のリンクの他端
部に水平軸まわりに相対回動可能に連結され、かつ、こ
の第２のリンクの力点部およびジブの基端部に、相当接
して力の伝達を行う当り面が設けられたものである。

【００３０】請求項６の発明は、請求項５の構成におい
て、第２のリンクの支点部がブームヘッドにジブ支持軸
まわりに回動可能に枢着されたものである。

【００３１】請求項７の発明は、請求項５または６の構
成において、ジブの基端部に、当り面を備えた当て金が
設けられる一方、第２のリンクの力点部に、ジブ基端部
両側がジブ支持軸に連結された状態で上記当て金が嵌ま
り込む係合凹部が設けられ、この係合凹部の片面が当り
面となったものである。

【００３２】上記構成によると、ジブ張出し時のジブ振
り上げ工程、およびジブ格納時のジブ振り下し工程にお
いて、連動手段（請求項３ではリンク、請求項４では押
し腕、請求項５〜６では第１および第２のリンクと当り
面）により補助シーブブラケットがジブに連動して通常
位置と起立位置との間で回動する。

【００３３】すなわち、ジブ振り上げ時にはジブの上向
き回動とともに補助シーブブラケットが自動的に起き上
がり、ジブ振り下し時にはジブの下向き回動とともに同
ブラケットが自動的に倒れるため、ロープ角度を終始大
きく保つことができる。

【００３４】このため、ジブ角度の変化に対するロープ
張力の変化の度合い、および最大ロープ張力を小さくす
ることができる。従って、ロープの過大張力による損傷
のおそれがなくなり、しかもジブの振り上げ、振り下し
操作を、微操作性の悪いブームの伸縮によらずに補巻ロ
ープの巻取り、巻戻しによって行うことができる。

【００３５】この場合、請求項４の構成によると押し腕
がジブ基端部または補助シーブブラケットに当接するこ
とによって、また請求項５〜７の構成によるとジブ基端
部の当り面が第２のリンクの当り面に当接することによ
って、それぞれジブと補助シーブブラケットの連動作用
が行われる。

【００３６】従って、ジブと補助シーブブラケットとを
前もって連結しておく必要がない。このため、取り扱い
が簡単となる。

【００３７】また、ジブと補助シーブブラケットとを連
結しておく必要がないことにより、ジブ下抱きおよび横
抱き両方式をとるクレーンに限らず、特公昭６３−３８
２７号に示されているように、 ブーム側面に格納したジブの一方のジブフットのみ
を一方のジブ支持軸に連結し、 ジブをこの連結点を支点として垂下させ、 さらにジブをジブ長さ方向の軸まわりに捻転させて
他方のジブフットと他方のジブ支軸に係合させ、 この状態でジブを振り上げて張出す所謂ジブツイス
ト方式にも適用することができる。

【００３８】また、請求項５〜７の構成によると、押し
腕を補助シーブブラケットまたはジブ基端部に突設する
請求項４の構成と比較して、（i）連動手段（第１、第
２のリンク）の外側への出っ張り量が少ないこと、（i
i）押し腕のような片持ち支持でないため強度保持のた
めに頑丈なつくりにする必要がないことにより、連動手
段がコンパクトに構成される。

【００３９】さらに、請求項６の構成によると、ジブの
回動支点と第２のリンクの回動支点が同じであるため、
第２のリンクとジブの当り面間に相対移動が生じない。
このため、当り面の摩耗がないとともに、当り面を必要
最小限に小さくして軽量化を図ることができる。

【００４０】また、請求項７の構成によると、単なる当
り面同士の面接触でなく、当て金が係合凹部に嵌まり込
むため、ジブ張出し後のクレーン作業中に、振動等によ
って補助シーブブラケットが動揺するおそれがない。

【００４１】

【発明の実施の形態】本発明の実施形態を図によって説
明する。

【００４２】なお、以下の実施形態において、図１２に
示す従来技術と同一部分には同一符号を付して示し、そ
の重複説明を省略する。

【００４３】第１実施形態（図１〜図４参照） 補助シーブ１２を備えた補助シーブブラケット１３は、
ブームヘッド１ｃに対し、左右方向水平なブラケット軸
１４を中心として、図１に示すように通常作業時に補巻
ロープ６をガイドする通常位置と、図３に示すようにこ
の通常位置よりも起き上がってブームヘッド１ｃの先端
面に近接する起立位置との間で回動可能に取付けられて
いる。

【００４４】なお、同ブラケット１３は、通常位置で基
部がブームヘッド１ｃの前面に当接することによって同
位置に保持される。

【００４５】１５は連動手段としての連動リンクで、ジ
ブ張出し時および格納時にこの連動リンク１５が補助シ
ーブブラケット１３とジブ２の基端部との間に取付けら
れる。

【００４６】すなわち、ジブ張出し時において、図１に
示すように、両側ジブフット４が両側ジブ支持軸３（い
ずれも片側のみ図示）に係合連結された状態で、連動リ
ンク１５の一端がジブ２の基端部下面に、他端が補助シ
ーブブラケット１５にそれぞれピン１６，１７によって
取付けられる。１８はジブ基端部の下面（ジブ格納状態
での下面、以下にいう上下の方向性について同じ）に設
けられたリンク取付用ブラケットである。

【００４７】なお、連動リンク１５は補助シーブブラケ
ット１３に対して長穴１５ａを介してピン連結され、こ
れらの回動支点の相違による相対移動分がこの長穴１５
ａ内でのピン１７の移動によって吸収される。

【００４８】また、連動リンク１５は、ブームヘッド１
ｃを挟んで左右両側でジブ２と補助シーブブラケット１
３との間に取付けられるが、ここでは片側のみを図示し
ている。

【００４９】この状態で図２，４の実線で示すようにブ
ーム１を起こし、ジブ２を垂下させると、その時点で連
動リンク１５によって補助シーブブラケット１３が少し
押し上げられる。

【００５０】そして、補巻ロープ６によってジブ２が上
向きに回動すると、この回動力によって図２および図４
の二点鎖線で示すように同ブラケット１３がさらに押し
上げられ、図３実線および図４の一点鎖線で示すように
ジブ２の張出しと同時に起立位置に達する。

【００５１】このように、補助シーブブラケット１３が
ジブ２に連動して起き上がるため、ジブ振り上げ工程に
おいて補巻ロープ６を終始、補助シーブ１２によってジ
ブ２から大きく離れた位置に保持し、そのロープ角度θ
を大きく保つことができる。

【００５２】これにより、図９の黒丸点の折線で示すよ
うに、ジブ角度の変化に対するロープ張力の変化の度合
いを小さくし、同図黒四角点の折線で示す従来技術と比
較して最大ロープ張力を小さく抑えることができる。

【００５３】このため、ブーム１を伸長させるのではな
く、補巻ロープ６をウィンチドラムに巻取ることによっ
てジブ振り上げ操作を行なっても、ウィンチドラムにお
いて補巻ロープ６が下層ロープに食い込んでロープの損
傷を招くおそれがなくなる。

【００５４】なお、ジブ張出し状態では補助シーブブラ
ケット１３は使用されないため、ジブ張出し後、同ブラ
ケット１３は起立位置のまま放置しておいてもよいし、
通常位置に戻してもよい。

【００５５】通常位置に戻す場合は、たとえば図３に示
すように同ブラケット１３に止めフック１９、ブームヘ
ッド１ｃに止めピン２０をそれぞれ設けておき、止めフ
ック１９を止めピン２０に係止させて補助シーブブラケ
ット１３を起立位置に仮保持した状態で連動リンク１５
を同ブラケット１３から取外してジブ２に格納し、その
後、補助シーブブラケット１３を通常作業位置に戻せば
よい。

【００５６】一方、ジブ格納時のジブ振り下し工程で
は、上記と逆に、図３の実線で示すように補助シーブブ
ラケット１３を起立位置にセットして連動リンク１５を
取付けた後、補巻ロープ６を巻戻してジブ２を振り下せ
ば、同ブラケット１３が自重によりジブ２に追従して下
向き回動し、自動的に通常位置に戻る。

【００５７】第２実施形態（図５〜図７参照） 第１実施形態との相違点のみを説明する。

【００５８】この実施形態では、連動手段として、補助
シーブブラケット１３に押し腕２１が同ブラケット通常
位置での後方に向けて突設されている。２２はこの押し
腕２１の先端に取付けられたパッドである。

【００５９】一方、ジブ２の基端部下面に、ジブ振り上
げ、振り下し時にパッド２２が当接するガイドレール２
３が取付けられている。

【００６０】このガイドレール２３には、後半部下面
に、ジブ振り上げ、振り下し時にパッド２２が嵌まり込
む断面コの字形の係合レール部２３ａが設けられてい
る。

【００６１】この構成において、ジブ張出し時に、ジブ
２を図６の二点鎖線で示す垂下状態から振り上げると、
同図実線で示すように押し腕２１のパッド２２がガイド
レール２３に当接し、ジブ２の上向き回動力がこの押し
腕２１およびガイドレール２３を介して補助シーブブラ
ケット１３に伝えられる。

【００６２】これにより、同ブラケット１３が押し上げ
られて起立位置まで回動する。

【００６３】また、ジブ振り下し時には、補助シーブブ
ラケット１３が自重によりジブ２の下向き回動に追従し
て下向きに回動し、通常位置に戻る。

【００６４】なお、パッド２２は、図６，７に示すよう
にジブ振り上げ時に係合レール部２３ａに嵌まり込み、
この係合レール部２３ａとパッド２２の係合作用によ
り、押し腕２１（補助シーブブラケット１３）とガイド
レール２３（ジブ２）の連結状態が保たれる。

【００６５】このため、ジブ張出し状態でのクレーン作
業時に、ジブ２の振動等によって補助シーブブラケット
１３が動揺するおそれがない。

【００６６】ところで、この実施形態の変形例として、
押し腕２１をジブ２の基端部に補助シーブブラケット１
３に向けて突設してもよい。

【００６７】第３実施形態（図８〜図１１参照） この実施形態では、連動手段として、第１および第２の
リンク２４，２５を備えている。

【００６８】第１のリンク２４は帯板状に形成され、一
端部が補助シーブブラケット１３の基端部に水平軸２６
まわりに回動可能に連結されている。

【００６９】第２のリンク２５は、一端部が支点部とし
てブームヘッド１ｃにジブ支持軸３まわりに回動可能に
枢着され、他端部が作用点部として第１のリンク２４の
他端部に水平軸２７まわりに相対回動可能に連結されて
いる。

【００７０】また、第２のリンク２５の力点部としての
中間部に係合凹部２８が設けられ、この係合凹部２８の
下面２８ａが、ジブ２との間で力の伝達を行うための当
り面となっている。

【００７１】一方、ジブ基端部におけるジブフット４よ
りもジブ基端側の位置に当て金２９が設けられ、この当
て金２９の下面２９ａが第２のリンク２５の当り面２８
ａに対応する当り面となっている。

【００７２】この構成において、図９に示すように両側
ジブフット４をジブ支持軸３に係合連結した状態で当て
金２９が第２のリンク２５の係合凹部２８に嵌まり込
み、互いの当り面２８ａ，２９ａが接触する。

【００７３】この状態で、図１０に示すようにブーム１
を起こしてジブ２を垂下させると、このジブ２の下向き
回動力が当り面２８ａ，２９ａを介して第２のリンク２
５に伝えられて同リンク２５が下向きに回動し、さらに
この回動力により第１のリンク２４が同方向に回動して
起き上がり、同リンク２４によって補助シーブブラケッ
ト１３が少し押し上げられる。

【００７４】そして、補巻ロープ６によってジブ２が上
向きに回動すると、この回動力によって第２のリンク２
５がさらに押し上げられ、図１１に示すようにジブ２の
張出しと同時に起立位置に達する。

【００７５】この第２および第３実施形態によっても、
第１実施形態と基本的に同様の作用効果を得ることがで
きる。

【００７６】また、この両実施形態によると、補助シー
ブブラケット１３とジブ基端部とを連動手段（押し腕２
１またはリンク２４，２５）によって前もって連結する
必要がないため、ジブ下抱きおよび横抱き方式に限ら
ず、ジブ２をブーム側面の格納位置から垂下させ、捻転
させた後、振り上げて張出す所謂ジブツイスト方式をと
るクレーンにも適用することができる。

【００７７】また、第３実施形態によると、押し腕２１
を補助シーブブラケット１３またはジブ基端部に突設す
る構成と比較して、（i）連動手段（第１、第２のリン
ク２４，２５）の外側への出っ張り量が少ないこと、
（ii）押し腕２１のような片持ち支持でないため強度保
持のために頑丈なつくりにする必要がないことにより、
連動手段がコンパクトに構成される。

【００７８】一方、同実施形態によると、第２のリンク
２５の回動支点がジブ２の回動支点であるジブ支持軸３
であるため、同リンク２５とジブ２の当り面２８ａ，２
９ａ間に相対移動が生じない。このため、当り面２８
ａ，２９ａの摩耗がないとともに、当り面２８ａ，２９
ａを必要最小限に小さくして軽量化を図ることができ
る。

【００７９】さらに、単なる当り面同士の面接触でな
く、当て金２９が係合凹部２８に嵌まり込むため、ジブ
張出し後のクレーン作業中に、振動等によって補助シー
ブブラケット１３が動揺するおそれがない。

【００８０】ところで、上記各実施形態では、ジブ振り
上げ時に、連動リンク１５、押し腕２１、第１および第
２のリンク２４，２５によって補助シーブブラケット１
３を起立位置に向けて押し上げる構成としたが、ジブ基
端部と補助シーブブラケット１３とを、ブームヘッド１
ｃに設けたシーブを介してロープで連結し、ジブ２の上
向き回動力をロープを介して補助シーブブラケット１３
に引き上げ力として伝達するように構成してもよい。

【００８１】

【発明の効果】上記のように本発明によるときは、補助
シーブブラケットを、ブームヘッドに対し、左右方向の
水平軸を中心として、通常作業時に補巻ロープをガイド
する通常位置と、この通常位置よりも起き上がった起立
位置との間で回動可能に取付け、ジブ張出し、格納時
に、この補助シーブブラケットとジブの基端部との間に
介在させた連動手段により、ジブの垂下位置と張出し位
置との間での回動運動に連動して補助シーブブラケット
を上記通常位置と起立位置との間で回動、すなわち、ジ
ブ振り上げ時にはジブの上向き回動とともに補助シーブ
ブラケットを自動的に起立させ、ジブ振り下し時にはジ
ブの下向き回動とともに同ブラケットを自動的に倒すよ
うに構成したから、ロープ角度を終始大きく保つことが
できる。

【００８２】このため、ジブ角度の変化に対するロープ
張力の変化の度合い、および最大ロープ張力を小さくす
ることができる。従って、ロープの過大張力による損傷
のおそれがなくなり、しかもジブの振り上げ、振り下し
操作を、微操作性の悪いブームの伸縮によらずに補巻ロ
ープの巻取り、巻戻しによって行うことができる。

【００８３】この場合、請求項４の発明によると押し腕
がジブ基端部または補助シーブブラケットに当接するこ
とによって、また請求項５〜７の発明によるとジブ基端
部の当り面が第２のリンクの当り面に当接することによ
って、それぞれジブと補助シーブブラケットの連動作用
が行われる。

【００８４】従って、ジブと補助シーブブラケットとを
前もって連結しておく必要がない。このため、取り扱い
が簡単となる。

【００８５】また、ジブ下抱きおよび横抱き両方式をと
るクレーンに限らず、特公昭６３−３８２７号に示され
ているようにジブ２をブーム側面の格納位置から垂下さ
せ、捻転させた後、振り上げて張出す所謂ジブツイスト
方式にも適用することができる。

【００８６】また、請求項５〜７の発明によると、押し
腕を補助シーブブラケットまたはジブ基端部に突設する
請求項４の発明と比較して、（i）連動手段（第１、第
２のリンク）の外側への出っ張り量が少ないこと、（i
i）押し腕のような片持ち支持でないため強度保持のた
めに頑丈なつくりにする必要がないことにより、連動手
段がコンパクトに構成される。

【００８７】さらに、請求項６の発明によると、ジブの
回動支点と第２のリンクの回動支点が同じであるため、
第２のリンクとジブの当り面間に相対移動が生じない。
このため、当り面の摩耗がないとともに、当り面を必要
最小限に小さくして軽量化を図ることができる。

【００８８】また、請求項７の発明によると、単なる当
り面同士の面接触でなく、当て金が係合凹部に嵌まり込
むため、ジブ張出し後のクレーン作業中に、振動等によ
って補助シーブブラケットが動揺するおそれがない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施形態を示すジブ張出し前のブ
ーム先端部分の側面図である。

【図２】図１の状態からジブを垂下させた状態の側面図
である。

【図３】ジブ張出し状態の側面図である。

【図４】第１実施形態によるジブ張出し過程を説明する
ための概略側面図である。

【図５】本発明の第２実施形態を示すジブ張出し前のブ
ーム先端部分の側面図である。

【図６】同実施形態によるジブ張出し途中の状態を示す
側面図である。

【図７】ジブ張出し状態の側面図である。

【図８】本発明の第３実施形態を示すブーム先端部分の
拡大側面図である。

【図９】同実施形態によるジブ張出し前の状態を示す側
面図である。

【図１０】同実施形態によるジブ張出し途中の状態を示
す側面図である。

【図１１】同実施形態によるジブ張出し状態の側面図で
ある。

【図１２】従来のジブ張出し方式を説明するための概略
側面図である。

【図１３】従来方式と本発明によるジブ張出し時におけ
るジブ角度とロープ張力の関係を示す図である。

【符号の説明】

１ ブーム ２ ジブ ３ ジブ支持軸 ４ ジブ基端部両側のジブフット ６ 補巻ロープ １２ 補助シーブ １３ 補助シーブブラケット １４ 補助シーブブラケットの回動中心となるブラケッ
ト軸 １５ 連動手段としての連動リンク １９ 連動手段としての押し腕 ２４ 連動手段を構成する第１のリンク ２５ 同第２のリンク ２６ 第１のリンクを補助シーブブラケットに連結する
水平軸 ２７ 両リンク同士を連結する水平軸 ２８ 係合凹部 ２９ 当て金 ２８ａ，２９ａ 当り面

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ブームヘッドに左右方向水平なジブ支持
   軸と、補助シーブを備えた補助シーブブラケットとが設
   けられ、ジブの基端部両側を上記ジブ支持軸に回動可能
   に連結した状態でジブを垂下させ、上記補助シーブに通
   された補巻ロープにより、ジブを上記ジブ支持軸まわり
   に上向きに回動させて張出し、格納時にはこれと逆の操
   作によりジブを下向きに回動させて張出し位置から垂下
   させるように構成したクレーンにおいて、上記補助シー
   ブブラケットを、ブームヘッドに対し、左右方向の水平
   軸を中心として、通常作業時に補巻ロープをガイドする
   通常位置と、この通常位置よりも起き上がった起立位置
   との間で回動可能に取付け、ジブ張出し、格納時に、補
   助シーブブラケットとジブ基端部との間に連動手段を介
   在させた状態でジブを垂下位置と張出し位置との間で回
   動させることにより、補助シーブブラケットをこのジブ
   に連動して通常位置と起立位置との間で回動させること
   を特徴とするクレーンのジブ張出し、格納方法。
2. 【請求項２】 ブームヘッドに左右方向水平なジブ支持
   軸と、補助シーブを備えた補助シーブブラケットとを設
   け、ジブの基端部両側を上記ジブ支持軸に回動可能に連
   結した状態でジブを垂下させ、上記補助シーブに通され
   た補巻ロープにより、ジブを上記ジブ支持軸を中心とし
   て上向きに回動させて張出し、格納時にはこれと逆の操
   作によりジブを下向きに回動させて張出し位置から垂下
   させるように構成したクレーンにおいて、上記補助シー
   ブブラケットを、ブームヘッドに対し、左右方向の水平
   軸を中心として、通常作業時に補巻ロープをガイドする
   通常位置と、この通常位置よりも起き上がった起立位置
   との間で回動可能に取付け、かつ、ジブ張出し、格納時
   に補助シーブブラケットとジブ基端部との間に介在され
   て補助シーブブラケットをジブの垂下位置と張出し位置
   との間での回動運動に連動して上記通常位置と起立位置
   との間で回動させる連動手段を具備することを特徴とす
   るクレーンのジブ張出し、格納装置。
3. 【請求項３】 連動手段として、一端部がジブ基端部
   に、他端部が補助シーブブラケットにそれぞれピン連結
   されるリンクが用いられたことを特徴とする請求項２記
   載のクレーンのジブ張出し、格納装置。
4. 【請求項４】 連動手段として、補助シーブブラケット
   とジブ基端部の一方に押し腕が、ジブの垂下位置と張出
   し位置との間で他方に当接する状態で設けられたことを
   特徴とする請求項２記載のクレーンのジブ張出し、格納
   装置。
5. 【請求項５】 連動手段として第１および第２のリンク
   を備え、第１のリンクは、一端部が補助シーブブラケッ
   トに水平軸まわりに回動可能に連結され、第２のリンク
   は、支点部と作用点部と力点部とを有し、上記支点部が
   ブームヘッドに水平軸まわりに回動可能に枢着され、上
   記作用点部が上記第１のリンクの他端部に水平軸まわり
   に相対回動可能に連結され、かつ、この第２のリンクの
   力点部およびジブの基端部に、相当接して力の伝達を行
   う当り面が設けられたことを特徴とする請求項２記載の
   クレーンのジブ張出し、格納装置。
6. 【請求項６】 第２のリンクの支点部がブームヘッドに
   ジブ支持軸まわりに回動可能に枢着されたことを特徴と
   する請求項５記載のクレーンのジブ張出し、格納装置。
7. 【請求項７】 ジブの基端部に、当り面を備えた当て金
   が設けられる一方、第２のリンクの力点部に、ジブ基端
   部両側がジブ支持軸に連結された状態で上記当て金が嵌
   まり込む係合凹部が設けられ、この係合凹部の片面が当
   り面となったことを特徴とする請求項５または６記載の
   クレーンのジブ張出し、格納装置。