JPH09241874A - 硝酸を使わずにステンレス鋼を酸洗いし不動態化する方法 - Google Patents

硝酸を使わずにステンレス鋼を酸洗いし不動態化する方法

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JPH09241874A
JPH09241874A JP8272119A JP27211996A JPH09241874A JP H09241874 A JPH09241874 A JP H09241874A JP 8272119 A JP8272119 A JP 8272119A JP 27211996 A JP27211996 A JP 27211996A JP H09241874 A JPH09241874 A JP H09241874A
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bath
pickling
acid
steel
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Cesare Pedrazzini
ペドラッツィーニ チェザーレ
Paolo Giordani
ジョルダーニ パオロ
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Novamax ITB Srl
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NOBAMATSUKUSU I T B Srl
Novamax ITB Srl
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    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23GCLEANING OR DE-GREASING OF METALLIC MATERIAL BY CHEMICAL METHODS OTHER THAN ELECTROLYSIS
    • C23G1/00Cleaning or pickling metallic material with solutions or molten salts
    • C23G1/02Cleaning or pickling metallic material with solutions or molten salts with acid solutions
    • C23G1/08Iron or steel
    • C23G1/086Iron or steel solutions containing HF

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 硝酸を使わずにステンレス鋼を酸洗いし不動
態化する方法を提供する。 【解決手段】 処理すべき材料を、30℃〜70℃に維持し
た、a)H2 SO4 ;b)Fe3+;c)HF;d)乳化剤、湿潤
剤、研磨剤、酸腐食防止剤;を含む浴中に配置し、浴を
空気流で攪拌し、さらに酸化還元電位を最低250 mVに維
持するよう調節された分量の酸化剤を浴に連続供給す
る。 【効果】 泥とスラッジの生成が最小限に抑えられ、自
動制御が可能であり、既存の商業プラントに応用でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、硝酸を使わずにス
テンレス鋼を酸洗いし不動態化する方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】周知のように、加工工程において、鉄お
よび鋼工業製品が熱間圧延をうけまた中間物が例えば焼
なましのような熱処理うける時に、材料は薄いまたは厚
い酸化物層で被覆される。最終製品が磨かれて光沢のあ
る仕上げ状態を備える必要があることを考慮すると、酸
化物層は全て取り除かれるべきである。これは、一般的
に、塩酸、硫酸、硝酸およびフッ化水素酸のような無機
酸を単独でまたは混合して使用する公知の酸洗い法によ
って行われる。現在用いられている工業的方法による
と、ステンレス鋼の酸洗いはもっぱら硝酸−フッ化水素
酸混合液の使用に基づいており、それぞれの酸の濃度は
プラントのタイプ、酸洗いされる鋼のタイプ、鋼表面の
特性および扱われる製品の形状により変化する。こうし
た方法は疑いなく経済的で、すぐれた結果をもたらすも
のであるが、硝酸の使用に起因して解決するのが難し
い、非常に深刻な生態学上の問題を抱えている。実際、
接触する金属および非金属材料に対して攻撃的な、一般
式NOx を有する、非常に汚染的な窒素酸化物の蒸気が
大気中に放出されたり、洗浄水や廃液が高硝酸濃度に達
したりするため、両タイプの汚染物質は廃棄前に処理を
必要とする。空気からNOxを、そして洗浄水や廃液か
ら硝酸を取り除くには、巨大プラントを操業する問題と
高い操業コストの問題があり、その上、施行されている
規制に従うという目標を達成できるかどうか確かではな
い。このことは、結果として投資された工業プラントの
コストが、ほとんどの場合に、めったに実を結ぶことが
ないことを意味する。したがって、硝酸の使用を必要と
しない酸洗い法が産業界より求められており、この点か
らの種々の提案が、主としてこの10年の間に、世界的
になされている。
【0003】硝酸を用いる方法の代替法従来の技術水準 HNO3+HFの使用に基づく従来のステンレス鋼の酸
洗い法に代わる、硝酸を用いない方法をカバーする特許
と、関連する主要な技術文献の、両方の徹底的な調査は
以下のことを実証している。すなわち、 A)1980年2月8日付けの日本国特許 JP 55018552と19
80年4月12日付けの JP55050468は3段階を規定してい
る: (1) 硫酸または塩酸中における最初の錆取り; (2) 前者の場合における過マンガン酸カリウムと無機酸
(非HF)を含む溶液への浸漬、および後者の場合にお
ける硝酸第二鉄、硫酸第二鉄およびペルオキシ二硫酸を
含む溶液への浸漬; (3) 加圧水または超音波による仕上げの水洗。
【0004】B)1981年10月12日付けのスウェーデン国
特許 SE 8001911 は、硫酸と過酸化水素を含む溶液中で
の処理に関するものであり、処理時間の範囲は1〜120
分(好ましい範囲:1〜20分)、温度範囲は10℃〜90℃
(好ましい範囲:30〜60℃)である。
【0005】C)1990年8月30日付けのドイツ国特許 D
E 3937438 は線材処理工業に主として応用され、フッ化
物錯体の形の添加物として加えられたFe3+を含有する
フッ化水素酸溶液の使用を規定している。その後、この
溶液は鉄を2価から3価に酸化することができる発生期
の酸素を得るべく電気分解を受けた、酸素化された液体
および/または気体を供給される。
【0006】D)東海電化工業の英国特許第2,000,196
号は、硫酸第二鉄とフッ化水素酸より成る酸洗い槽の使
用を規定している。十分な第二鉄イオン濃度を保つ目的
で、硫酸と過酸化水素をモル比1:1で連続的に添加す
る。この特許は、H2SO4+H 22の制御された供給に
より酸化還元電位を≧300 mVに保つように連続的にチェ
ックすることによる酸洗い処理の制御方法を請求してい
る。
【0007】E)2つの同じようなヨーロッパ特許 EP
188975および EP 236354 (= WO 87/01739)は、それぞれ
の優先日が1985年1月22日および1985年9月19日である
が、空気または酸素ガスが連続的に吹き込まれている、
フッ化水素酸 (5〜50 g/l)およびフッ化物錯体として
添加された3価の第二鉄イオンから成る酸洗い液の使用
を規定しており、処理時間の範囲は30秒から5分、温度
範囲は10℃から70℃である。酸化還元電位の連続的なチ
ェックが推奨されており、前者の特許ではこれを-200か
ら+800 mV に維持すべきとしており、後者の特許では+1
00から+300 mV に維持すべきとしている。電位の上昇を
必要とする場合には、過マンガン酸カリウムまたは過酸
化水素のような酸化剤を添加すべきものとしている。酸
洗い実験は全て鋼板に対してのみ行われた。
【0008】最後に、酸洗い槽に適当な酸化剤を直接添
加することによって、硝酸を使用する浴槽中の窒素酸化
物NOxの生成を避けるかまたは最小とする可能性に関
する特許がさらに2つある。1つは1983年7月1日付け
の日本国特許 JP 58110682であり、この特許は過酸化水
素の使用を規定している。もう1つは1985年4月15付け
のスウェーデン国特許 SE 8305648 (優先日は1983年10
月14日、SE 83564)であり、この特許は過酸化水素の使
用および/または、別法として、尿素の使用を規定して
いる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、こうし
た特許の急増にもかかわらず、硝酸とフッ化水素酸の使
用に基づいた従来の方法が依然として世界中で汎用され
ており、これまでに提案された上記の代替方法はどれも
工業的に実用化されていない。本発明者のヨーロッパ特
許 582,121に開示した酸洗法では著しい進歩が見られ、
そこでは制御された酸化還元電位で操作されるFe3+
よびFe2+イオンを含んだH2SO4+HF浴の使用を規
定している。Fe2+イオンの第二鉄イオンへの再酸化は
酸洗い液にH22を定期的に添加することによって得ら
れる。本発明の主題である方法は技術的に妥当なもので
あり、多くの点からみて前述の方法に経済的に代わり得
るものである。特に、これは本発明者の特許 EP 582,12
1 の価値のある集大成である。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の方法は鉄イオ
ン、H2SO4、HFおよび通常の添加剤、例えば湿潤
剤、乳化剤、研磨剤、酸腐食防止剤、を含む酸洗い浴槽
の使用に基づいており、酸洗い中に生成されるFe2+
Fe3+に変換できる酸化剤が連続的にまたは定期的に供
給されて、酸洗い液の酸化還元電位が設定値に維持され
る。酸化剤は以下のクラスの化合物から選ぶことができ
る。 a)酸化された含塩素酸: そのアルカリ塩、例えばN
aClO、NaClO2
NaClO3; b)過酸化された酸、特に過硫酸塩; c)可溶性の過マンガン酸塩 有利な酸化剤はクラスa)のものであり、特に低価格の
NaClOである。上記の酸化剤はそのままで、または
水溶液として浴槽に供給することができる。
【0011】操作温度は通常30℃から70℃にわたり、そ
の値は鋼のタイプとプラントのタイプに大きく左右され
る。それに関連して、化学的な酸洗いの上流で機械的な
錆取りの実施の可能性を確保することが基本的に重要で
ある。基本的な方法の特徴を以下に記載する。処理すべ
き金属表面に接触する酸洗い液を新しいものとするため
に、酸洗い浴を連続して攪拌することが非常に重要であ
る。かなり効果のある方法は浴槽中に強い空気流を連続
して吹き込むことから成る。
【0012】浴槽中の無機鉱酸の含量 硫酸とフッ化水素酸の機能はいくつかあり、最も重要な
機能のうち特に、該方法のpHを2.5以下にすること
と、熱処理に起因する酸化物を鋼の表面から除去するこ
とがある。フッ化水素酸は可能な限りFe3+およびCr
3+イオンを錯生成させ、酸化された材料を非不動態化し
て電極電位を活性態および/または活性態/不動態溶解
領域(下記参照)に至らせるものである。フッ化水素酸
が存在しないと、作動電位が上昇して材料が安定する不
動態領域に達し、除錆が実質上生じなくなる。溶液の合
計および遊離の酸度に関与することの他に、硫酸は硝酸
と同様な不動態化効果を及ぼす。酸洗いの過程で、2種
類の酸、主としてフッ化水素酸の含量が減少する傾向が
あるので、浴の分析結果(遊離酸度とフッ化物イオンの
測定)を関数として定期的にフッ化水素酸の供給を行う
必要がある。処理される材料に依存して、通常の操作条
件の下では酸濃度が変化し、フッ化水素酸については5
〜50 g/lとし、硫酸については30〜150 g/l とする。酸
洗い液のそのままの(希釈なしの)pH値は、金メッキ
電極を有する中性pH Crison 2002で室温において測定し
て、一般的に2.5 より低くする。
【0013】浴中のFe3+イオンの含量 酸洗い液は、初めに硫酸第二鉄として添加された、15 g
/lを下回らない、好ましくは少なくとも30 g/lに等しい
量のFe3+イオンを含有する。こうしたイオンの働き
は、浴のpH条件によって有利に進行する反応式:2F
3++Fe -->3Fe2+によって、酸化剤として硝酸に
取って代わることにある。この方法の間中、浴中に溶解
した鉄が部分的にFe3+として存在するような適正な条
件を連続的に確保しなければならない。この方法ではF
2+からFe3+へ酸化して後者の濃度を最低の設定値以
上に保つことは酸化剤の連続供給により実施され、常時
または定期的に測定される酸化還元電位を調節すること
で行われる。酸洗い浴は一般的に、初めの酸化剤の含量
を、スタートアップの段階においても同様に、酸洗いさ
れる鋼材の種類、製品(または半製品)の表面特性なら
びに熱間圧延または焼鈍時の錆スケールの量および質に
対応して、十分な酸化還元電位値を保持するように調製
する。
【0014】この方法サイクルにおける酸化剤の添加
は、設定された浴の酸化電位に実質的に調整され、従っ
て電位は設定値に維持される。ステンレス鋼の酸洗い法
は、しばしば、酸洗いされた材料の最終的な不動態化を
伴う。この処理は酸洗い浴の組成と類似した組成の浴中
で行われるが、酸化還元電位がより高い値に調整され
る。クラスb)およびc)の酸化剤を用いた浴槽が上記
の処置に最も適している。
【0015】空気の連続した吹き込み 酸洗いの間、浴槽1m3につき少なくとも3m3/h程度に浴
槽中に連続した空気流を維持する。適切な一定速度で吹
き込まれた空気流は良好な酸洗いの主要な条件である浴
の攪拌をもたらす。実際に、攪拌は処理すべき表面の近
傍で浴の閾層 (liminal layer)を連続的にかき乱し、こ
のようにして表面は常に新しくされた酸洗い液と直接接
触され続ける。孔をあけたパイプまたは適当な吹き込み
器具を用いた、容器の底からの空気の吹き込みは、すぐ
れた機械的攪拌と酸洗い液の均質化を確実にする。空気
の吹き込みの代わりに、酸洗い浴の攪拌をもたらし、か
つ浴の完全な均質化および酸洗いすべき金属表面に接触
する溶液の連続的な更新を確保する他の手段、例えば浴
槽の液体を急速に運動させたり(超音波や液体の強制循
環)または処理すべき表面に液体をジェットまたはスプ
レーとして送達させる手段などを便利に用いることがで
きる。酸化還元電位の制御 知られているように、ステンレス鋼の酸混合液中におけ
る挙動は、酸化還元電位の値に応じて活性態、不動態お
よび過不動態を示す分極曲線により特徴づけられる(図
1参照)。
【0016】図1の符号の説明 EO2, EH2 酸素および水素の発生反応の平衡電位 Ep 臨界不動態化電位 Epc 完全不動態化電位 Eo 自然腐食またはゼロ(外部)電流電位 EM 合金のアノード溶解反応の平衡電位 ET 過不動態化電位
【0017】図2の符号の説明 分極曲線に及ぼすクロム含量の影響: 電流密度(横
軸)に対する臨界不動態化電位(縦軸) a)十分量のCr b)十分量より少ないCr c)完全に不十分な量のCr
【0018】図3の符号の説明 酸化されたクロム鋼の分極曲線 a)基本合金のピーク b)脱クロム化合金のピーク
【0019】しかしながら、図1の典型的な曲線は均一
な組成の鋼に適用され、主として、クロム含量が不動態
化をもたらすのに十分なものである(Cr>12%)。
クロム含量の低下は図2に示されるように分極曲線を変
更させ、すなわち不動態領域を減少させ、一方、不動態
電流密度を増加させかつ臨界不動態化電位を上昇させ
る。熱間圧延で形成されたスケールや焼鈍酸化物層の下
では、本発明の酸洗い法に当てはまるようなタイプのス
テンレス鋼は、常に、より薄いまたはより厚い脱クロム
化合金の層を示す。すなわち、その基本組成よりもクロ
ム含量が低下しており、鋼の分極曲線は常に図3に示さ
れる傾向を示し、そこでは脱クロム化合金のピークが多
かれ少なかれくっきりと示されている。
【0020】適切な錆取りおよび脱クロム化合金の完全
な除去が、最大の表面不動態化の回復を伴って、酸洗い
中に確実に起こるようにするために、浴は電位静止(pot
entiostatic)制御条件の下に配置しなければならない。
このことは、酸洗い段階の間、脱クロム化合金のアノー
ド溶解速度が基本合金のものと比較して最高となる範囲
に止まるように、酸化還元電位を調整する必要があるこ
とを意味する(図3の斜線部分)。脱クロム化合金を除
去した後、基本金属材料を不動態に保持しつつ、鋼のタ
イプの関数として上記の範囲を設定することが可能であ
る。
【0021】酸洗い中、浴中の2価の鉄イオンの濃度が
増加するにつれて、浴の酸化還元電位が低下する傾向が
あるが、酸化剤の添加は上記電位を最適値(通常は300
mVより高い値)に維持することを可能にする。本方法で
は、その値が700 mVを越えることは決してない。材料の
酸洗いと、引き続き同じ浴での不動態化処理を望むので
あれば、酸化還元電位は少なくとも350 mVに保持すべき
である。鋼に対する特定の前処理がある場合において、
そして別の浴槽での後続の不動態化処理段階を考えてい
る場合は、酸洗い浴の電位を低めの値、いずれにしても
200 mVよりは低くない値、に保つことができる。酸洗い
液の酸化還元電位は白金電極と、例えばカロメルまたは
Ag/AgClタイプのような、基準電極を使って測定
される。したがって、一定電位に制御することは、鋼の
良好な酸洗いのみならず、鋼上の不動態膜の形成を確実
にする。商業規模の試験は、実際に、例えば、孔食 (pi
tting)、材料の「焼け」または過度の酸洗い現象に起因
する腐食現象の無い、磨かれた、光沢のある、かつ完全
に平滑な表面となる可能性を実証した。
【0022】酸洗い浴中の添加剤の含量 本発明に従って酸洗い浴を準備する時、用いる標準的な
添加剤は、浴あたり全量約1g/l で、湿潤剤として作用
する非イオン界面活性剤、乳化剤、研磨剤および酸腐食
防止剤などである。共同作用によって、これらの添加剤
は酸洗いを向上させる。特に有利な添加剤は、過フッ素
化アニオン界面活性剤およびアルコキシル化アルコール
誘導体類に属する非イオン界面活性剤である。有効な酸
腐食防止剤はベース金属の保護を保証し、減量を劇的に
低下させて、主として長い酸洗い時間を必要とするバッ
チ法の場合(棒材、管材、板材)に非常に効果的な結果
を生じさせる。浴槽中に存在する添加剤、特に酸腐食防
止剤は熱処理によって生じた酸化物に対する侵蝕を抑制
しない。したがって、例えばAISI 304ショットピーニン
グ(shot-peening)処理された鋼板材に対して実施された
試験の結果から明らかなように、それらは酸洗いの反応
速度を完全に制限するものではない。
【0023】
【発明の実施の形態】以下の実施例は本発明による方法
の可能な応用を説明することが唯一の目的で示されるも
のである。実施例1 最初の連続酸洗いプラントでは、オーステナイト鋼、マ
ルテンサイト鋼またはフェライト鋼よりなる、熱間圧延
装置からの連続鋼板を処理した。したがって、酸洗い法
の条件は、処理される鋼のタイプとその物理的状態、す
なわち、鋼が機械的な除錆を受けているか否か、の関数
であった。さらに、この装置は熱間圧延のためのもので
あるので、酸洗いの主たる目的は、仕上げの不動態化よ
りも、錆と脱クロム化合金の除去であった。かくして、
酸洗い法の条件は、それぞれ、以下の表に示すとおりで
あった。
【0024】表a オーステナイト鋼、300 系列 − ショットピーニング処理したもの 温度, ℃ <60 H2SO4, g/l 100-130 Fe3+, g/l 30-60 遊離 F- , g/l 25-35 酸化還元電位, mV 300-340 処理時間 2分-3分
【0025】表b オーステナイト鋼、300 系列 − ショットピーニング処理しなかったもの 温度, ℃ 60-70 H2SO4, g/l 120-140 Fe3+ , g/l 40-60 遊離 F- , g/l 30-40 酸化還元電位, mV >320 処理時間 2分-3分
【0026】表c フェライト鋼またはマルテンサイト鋼、400 系列 − ショットピーニング処理 したもの 第1槽 第2槽(不動態化) 温度, ℃ >50 室温 H2SO4, g/l 50-120 * 30-50 Fe3+ , g/l 30-50 2-7 遊離 F- , g/l 15-20 ** <5 酸化還元電位, mV 250-300 >600 処理時間 60-90 秒 60-90 秒 * AISI 409, 15-20 ** AISI 409, 10-20
【0027】酸化還元電位を設定値に維持するために、
過硫酸ナトリウムの連続供給とともに、空気を10 m3/m3
浴/hの速度で連続的に2槽の中に吹き込んだ。過硫酸塩
の平均消費量は処理材料1t につき約7kgであった。設
定された濃度値を保つために、この方法で消費された硫
酸とフッ化水素酸を定期的に添加することにより補充し
た。酸洗い液はまた、非イオン界面活性剤の群に属する
既知のタイプの添加剤および酸洗い浴槽中で普通に使わ
れている酸腐食防止剤(ポリエトキシル化アルコール、
フッ素化界面活性剤)を1g/l 程度の合計量で含んでい
た。
【0028】実施例2 冷間圧延装置からの連続鋼板、すなわち 300系列と 400
系列の鋼板、を以下の段階から成る酸洗い法により処理
した。 a)第1槽中における硫酸を用いた電解酸洗い: 処理
時間は1分、温度範囲は60℃から70℃; b)連続した2槽(すなわち、第2および第3槽)中に
おける本発明に従う浴を使った酸洗い: 各槽での処理
時間は1分であり、酸洗い液の組成と特性は下記の表に
示してある。各槽(すなわち、第2および第3槽)の作
業容積は 17 m3であった。処理中、濃度を設定値に保つ
ために、NaClO3を含む水溶液としての酸化剤および他の
成分(H2SO4 およびHF)の連続供給とともに、空気を第
2および第3槽に70 m3/m3/hの速度で連続的に吹き込ん
だ。
【0029】表a ’ オーステナイト鋼、300 系列 − ショットピーニング処理したもの 第2槽 第3槽 温度, ℃ 60-65 60-65 H2SO4, g/l 100-150 100-150 Fe3+ , g/l 20-60 15-50 遊離 F- , g/l 20-30 20-30 酸化還元電位, mV >280 >350
【0030】表b ’ オーステナイト鋼、300 系列 − ショットピーニング処理してないもの 第2槽 第3槽 温度, ℃ 60-65 60-65 H2SO4, g/l 100-150 100-150 Fe3+ , g/l 20-60 15-50 遊離 F- , g/l 30-40 20-30 酸化還元電位, mV >280 >350
【0031】表c ’ オーステナイト鋼、400 系列 − ショットピーニング処理したもの 第2槽 第3槽 温度, ℃ 50-60 室温 H2SO4, g/l 100-150 0-10 Fe3+ , g/l 30-80 0-10 遊離 F- , g/l 20-30 2-10 酸化還元電位, mV >250 500-600
【0032】酸洗い法が終了した時点で鋼板の表面状態
は、常に、磨かれて光沢があり、従来法(HF + HNO3
で得られたものよりも良好でさえあった。この場合にお
いても、過度の酸洗いや表面腐食現象は全く見られなか
った。NaClO3消費量は処理鋼材1tにつき0.78 kg であ
った。
【0033】実施例3 棒鋼材の製造のための商業プラント オーステナイト系(AISI 303, AISI 304)、フェライト
系およびマルテンサイト系(AISI 416, AISI 420)ステ
ンレス鋼の棒材と形材を商業プラントで処理した。オー
ステナイト鋼は圧延したままの形で処理したが、マルテ
ンサイト鋼とフェライト鋼は半切削またはサンドブラス
トした形でも処理した。本発明の方法による酸洗いは、
6個の、Moplenをライニングした、容量8-9 m3の容器内
で行った。オーステナイト鋼に対する酸洗い条件は表3
に、マルテンサイト鋼とフェライト鋼に対する条件は表
4に示したとおりであった。双方の場合に、処理時間
は、焼なまし炉の出口における、熱処理により生じた除
去可能な酸化物の量と質の関数であった。酸洗い浴から
取り出す時、加圧水を用いて鋼を十分に水洗した。
【0034】表3 − オーステナイト鋼(300 系列)の酸洗い 温度 30-35 ℃ 処理時間 AISI 303=60分 - 120分 AISI 304=40分 - 50分 AISI 316=40分 - 50分 浴の調製 150 g/l H2SO4 50 g/l HF 15 g/l Fe3+ 空気=連続送風
【0035】表4 − マルテンサイト鋼とフェライト鋼(400 系列)の酸洗い 温度 30-35 ℃ 半切削した鋼 300 系列におけるよりも明らかに低い 遊離酸度に制御した浴中で酸洗い 処理時間:3-60分 サンドブラストした鋼 2段階での酸洗い A)硫酸浴、黒い微細な表面粉塵除去用 処理時間:15-20 分 B)300 系列の場合と同じ酸洗い浴 処理時間:3-10分
【0036】過硫酸カリウムの水溶液を酸化剤として使
用した。添加剤としては非イオン界面活性剤および酸洗
い浴用として知られているタイプの酸腐食防止剤(過フ
ッ素化複合物およびエトキシル化アルコール)を含んで
いた。浴への供給は、浴1リットルにつき1g/h の酸化
剤の連続添加に加えて、分析試験の結果に応じたH2SO
4 、HFおよび上記添加剤の時折の添加より成るものであ
った。各槽中への連続した空気の送風速度は約30 m3/h
であった。酸洗いの反応速度については、以前にプラン
トで使われていた硝酸とフッ化水素酸を用いた従来法で
確立されたものに匹敵する結果、時にはより速い結果さ
えも得られた。酸化還元電位は300 mV以上(好ましくは
350から450 mVの間)に安定して維持され、これにより
処理された鋼のすぐれた表面仕上げが得られた。浴交換
時において、総鉄含量は約 100 g/lで、Fe3+とFe2+の内
訳はそれぞれ 60 g/l と40 g/lであった。いずれの場合
でも、材料は表面腐食や「焼け」現象を示さなかった。
析出物の生成はまったく無視でき、そして硫酸第一鉄ま
たはフッ素化複合物の結晶化が生じなかった。過硫酸カ
リウムの消費量は処理鋼材1tあたり7kgとなった。
【0037】
【発明の効果】無泥 : 本発明による方法は泥とスラッジの生成を最小
限に抑えるか、または阻止さえする。その結果として、
明らかな更なる経済性を伴う。こうした利点はまた、容
易にかつ適切に第二鉄イオンに酸化される第一鉄イオン
の濃度の制御によることに加えて、適切なHF濃度によ
るものである。硝酸とフッ化水素酸を使用した従来の浴
から生じた泥およびスラッジとは異なって、本発明の方
法によりごく少量発生した泥やスラッジは緑がかった軟
泥であり、乾燥した状態で砕けやすくまた粘着性が無
く、固まったり大きな結晶となる傾向が無い。それゆ
え、除去するのが容易である。
【0038】自動制御の可能性: 本発明による方法は
自動的手段での制御の下に常時おくことができる。そこ
では、分析的な測定(遊離酸の含量、鉄イオンの含量、
酸化還元電位)により、正確な操作パラメーターを維持
するために必要な、酸洗い剤と酸化剤の量が連続的に計
量される。
【0039】本方法の融通性: 本発明による方法は、
必要とされる調整がまったく適度なものであるので、ス
テンレス鋼を扱っている、現存するどのような商業的プ
ラントにも適応し得る。さらに、本方法は、操作パラメ
ーター(温度、時間、濃度)が結果を害することなく変
えられるために、線材から棒材、帯材から板材そして管
材に至るまでの、どのタイプの半製品および製品の処理
にも適している。こうした融通性の典型的な例は、本発
明方法の鋼圧延装置への連続使用により示される。実
際、単に作動電位を変更することにより、錆と脱クロム
化表面層の除去だけが要求される唯一の酸洗い段階(熱
間圧延鋼の場合)と、鋼の仕上げの不動態化も行われる
複数の段階(冷間圧延鋼の場合)と、の両方において本
方法を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】脱気した酸溶液中におけるステンレス鋼の典型
的な分極曲線を示した図である。
【符号の説明】
EO2, EH2 酸素および水素の発生反応の平衡電位 Ep 臨界不動態化電位 Epc 完全不動態化電位 Eo 自然腐食またはゼロ(外部)電流電位 EM 合金のアノード溶解反応の平衡電位 ET 過不動態化電位
【図2】分極曲線に及ぼすクロム含量の影響を示した図
である。
【符号の説明】
a) 十分量のCr b) 十分量より少ないCr c) 完全に不十分な量のCr
【図3】酸化されたクロム鋼の分極曲線を示した図であ
る。
【符号の説明】
a) 基本合金のピーク b) 脱クロム化合金のピーク

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クロムを含有するステンレス鋼を酸洗い
    する方法であって、処理すべき材料を30℃〜70℃、好ま
    しくは45℃〜55℃、の温度に維持した下記の組成: a)H2 SO4 30〜150 g/l b)Fe3+ 少なくとも15 g/l、好ましくは少なくと
    も30 g/l c)HF 5〜50 g/l d)添加剤(乳化剤、湿潤剤、研磨剤)および酸腐食防止
    剤 約1g/l を有する浴中に配置し、 前記の浴を連続空気流または同等の攪拌手段による攪拌
    下に維持し、浴中の最適濃度レベルおよび2.5 より高く
    ない浴pHを確保する量の成分a)、c)およびd)、さらに
    浴の酸化還元電位を少なくとも200 mVに維持する量の酸
    化剤を連続的または定期的に浴中に供給し、そして前記
    の酸化剤が下記のクラスの化合物: − 酸化された含塩素酸およびその塩 − 過酸化された酸、例えば過硫酸塩 − 過マンガン酸アルカリ から選ばれたものであることを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 酸化剤として1種以上の次の化合物:次
    亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸およびそのアルカリ塩を用
    いる、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 酸洗い浴を少なくとも350 mVの酸化電位
    に調整して、適切に酸洗いされた材料の不動態化を保持
    する、請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 液体中に空気流を分配するディフューザ
    ーにより、浴1m3あたり少なくとも3m3/hに等しい空気
    流を酸洗い浴に連続的に供給する、請求項1〜3のいず
    れか1つに記載の方法。
  5. 【請求項5】 Fe3+イオンを硫酸第二鉄として初期の
    浴中に導入する、請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 少なくとも6個の炭素原子を含む非イオ
    ン界面活性剤アルコキシル化アルコール誘導体のクラ
    ス、または過フッ素化アニオン界面活性剤のクラスに属
    する界面活性剤を湿潤剤、乳化剤、研磨剤および酸腐食
    防止剤として用いる、請求項1に記載の方法。
  7. 【請求項7】 既知の機械的方法による事前の部分的酸
    化物除去と組み合わせた、請求項1に記載の方法。
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