JPH0923876A - 細胞培養支持体の製造法 - Google Patents

細胞培養支持体の製造法

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JPH0923876A
JPH0923876A JP7174634A JP17463495A JPH0923876A JP H0923876 A JPH0923876 A JP H0923876A JP 7174634 A JP7174634 A JP 7174634A JP 17463495 A JP17463495 A JP 17463495A JP H0923876 A JPH0923876 A JP H0923876A
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JP
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polymer
cell culture
temperature
solvent
plastic
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JP7174634A
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Yasuhiro Doi
康広 土井
Hideaki Sakai
秀昭 坂井
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Kao Corp
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Kao Corp
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    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12MAPPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
    • C12M25/00Means for supporting, enclosing or fixing the microorganisms, e.g. immunocoatings
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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    • C12MAPPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プラスチック製基材に対し、温度感受性ポリ
マーを簡便な方法で、しかも効率良く固定化する細胞培
養支持体の製造法の提供。 【解決手段】 温度感受性ポリマーで表面被覆処理され
てなる透明プラスチック製細胞培養支持体の製造法であ
って、該プラスチックを溶解させる溶媒と溶解させない
溶媒とからなる混合溶媒に、温度感受性ポリマーを溶解
させて得られるポリマー溶液をプラスチック製細胞培養
支持体の基材表面に塗布した後、乾燥する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生化学、医学およ
び免疫学などにおける細胞類の培養用支持体の製造法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、細胞培養はガラス表面上あるいは
種々の処理を行った合成高分子材料の表面上にて行われ
ていた。その一例として、ポリスチレンに対し種々の表
面処理(例えば、プラズマ処理、コロナ処理等)が施さ
れた種々の形状の容器が細胞培養用基材として普及して
いる。そして、このような細胞培養基材を用いて培養、
増殖された細胞は、従来、トリプシンのようなタンパク
質分解酵素やEDTAのような化学薬品により処理する
ことで基材表面から剥離、回収されていた。しかしなが
ら、このような手段により細胞を回収した場合、処理工
程が煩雑になること、不純物混入の可能性が多くなるこ
と、また増殖した細胞が前記処理により変性し、細胞本
来の機能が損なわれること等の欠点が指摘されている。
【0003】本発明者らは、これらの欠点を解消するた
めに、以前に、トリプシンのようなタンパク質分解酵素
やEDTAのような化学薬品等による処理を必要としな
い、培養支持体周囲の温度を変化させるだけで、培養・
増殖させた細胞を剥離、回収させることのできる細胞培
養用支持体材料、及びその製造方法を提案した(特開平
2−211865号公報、及び国際特許公開WO93/03139 号
公報)。この細胞培養用支持体材料とは、基材表面に特
定の臨界溶解温度を有するポリマーを特定量固定したも
のである。
【0004】しかしながら、前記公報により開示されて
いる主たる製造方法は電子線を使用するものであり、細
胞を培養、剥離させる上で好都合な特定のポリマー量の
細胞培養用支持体材料とするためには、煩雑な工程を経
なければならなかった。また、前述した電子線を利用し
た場合、基材表面に固定されたポリマーには若干の架橋
が起こってしまい、その結果、そのポリマー自身の温度
変化時の応答性の若干の劣化や、更に固定されていない
ポリマーを洗浄することが容易でない等の問題点があっ
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記公報に
開示されている方法をさらに発展させ、プラスチック製
基材、とくには通常良く使われるポリスチレン製基材に
対し、温度感受性ポリマーを簡便な方法で、しかも効率
良く固定化する細胞培養支持体の製造法を提供すること
を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記目的を
達成するため種々検討を行った結果、温度感受性ポリマ
ーを特定の混合溶媒に溶解させたポリマー溶液を用いる
ことにより、プラスチック製細胞培養支持体の基材表面
に効率良く該ポリマーを固定化できることを見出し、本
発明を完成するに至った。即ち、本発明は、温度感受性
ポリマーで表面被覆処理されてなる透明プラスチック製
細胞培養支持体の製造法であって、該プラスチックを溶
解させる溶媒と溶解させない溶媒とからなる混合溶媒
に、温度感受性ポリマーを溶解させて得られるポリマー
溶液をプラスチック製細胞培養支持体の基材表面に塗布
した後、乾燥することを特徴とする細胞培養支持体の製
造法を提供するものである。
【0007】本発明の方法で得られる細胞培養支持体
は、細胞培養時、あるいは環境温度を変化させて細胞を
剥離させる際においても、基材表面からポリマーが遊離
せず、また電子線を使用せず非架橋のポリマーをそのま
ま基材表面に固定化させているため、ポリマー内には架
橋は全く起こっておらず、温度応答性の高い、細胞培養
用支持体として好適なものである。
【0008】以下、本発明の詳細を説明する。本発明に
係わる透明プラスチックとしては、ポリスチレン、ポリ
メチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、
ポリカーボネート及びこれらの混合物が挙げられる。こ
れらのうちポリスチレン及びその透明混合物が好まし
い。
【0009】本発明において、透明プラスチック製細胞
培養支持体の基材表面上に温度感受性ポリマーを固定化
するために用いる溶媒は、プラスチックを溶解させる溶
媒と溶解させない溶媒を組み合わせた混合溶媒である。
即ち、この混合溶媒を用いることで、プラスチック製基
材表面のごく薄層部分を膨潤させ、混合溶媒中の温度感
受性ポリマーをその膨潤した基材表面の透明プラスチッ
クの分子鎖中に侵入、絡ませ、その後、乾燥させること
で、温度感受性ポリマーを基材表面に固定化させること
ができる。本発明の方法によれば、細胞培養支持体の基
材本来の透明性を全く変えることなく行うことができ
る。ここで、プラスチックを溶解させる溶媒だけで温度
感受性ポリマー溶液を調製し、その溶液を基材上に塗布
する方法を実施した場合、基材表面は、その塗布された
溶媒により溶解し、著しく凹凸となり、その結果、白濁
し、細胞培養支持体本来の透明性を保持させることがで
きなくなる。従って、この支持体を用いての顕微鏡観察
が困難となり、細胞培養支持体として不適当なものとな
る。また、逆にプラスチックを溶解させない溶媒だけを
使用した場合では、温度感受性ポリマーは単に細胞培養
支持体の基材表面に物理的に吸着されるだけとなり、所
定量の温度感受性ポリマーを支持体表面に固定化するこ
とが困難となるばかりでなく、ポリマーを基材表面に十
分に固定化させることが困難となる。後者のことに関し
ては、細胞培養時、及び剥離回収時に基材表面上のポリ
マーが遊離し、その結果、培養液中にそのポリマーが混
入することともなり、細胞培養支持体として好ましいも
のではない。
【0010】本発明において、プラスチックを溶解させ
る溶媒とは、該透明プラスチックに常温で接触したとき
それを白化させるような溶媒であり、白化させないもの
を溶解させない溶媒という。本発明で用いられるこのよ
うな溶媒は細胞培養支持体の基材に用いられる透明プラ
スチックの種類によっても異なるが、例えば透明プラス
チックとしてポリスチレンが用いられた細胞培養支持体
の基材の場合について以下に説明する。
【0011】本発明で用いるポリスチレンを溶解する溶
媒としては、ポリスチレンを溶解させるものであれば特
に制限されるものではないが、例えば、トルエン、アセ
トン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、メチルエチ
ルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシ
ドなどが挙げられる。また、本発明で用いるポリスチレ
ンを溶解させない溶媒についても、ポリスチレンを溶解
させないものであれば特に制限されるものではないが、
例えば、水やメタノール、エタノール、プロパノール、
イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール類が挙
げられる。
【0012】本発明においては、これらの両性質の溶媒
を好ましくは特定の割合で混合することで、ポリスチレ
ン製基材の透明性を保持させた状態で基材表面を膨潤さ
せる。その溶媒の組み合わせは、ポリスチレンを溶解さ
せる溶媒と溶解させない溶媒が均一に混合し、かつ、そ
の混合溶媒中に、本発明に用いる温度感受性ポリマーが
溶解するものであれば何ら制限されるものではない。し
かしながら、得られる細胞培養支持体表面の透明性、及
び平滑性を考えると、基材上に塗布された混合溶媒は、
乾燥時に両性質の溶媒が混合溶媒調製時と同じ割合で一
様に除去できるような組み合わせのものが望ましい。従
って、本発明で使用する両性質の溶媒の組み合わせは、
それぞれの溶媒の沸点が近いものを用いることが望まし
く、好ましくはそれぞれの溶媒の沸点の差が10℃以下と
することが望ましい。これらの条件を満たす混合溶媒と
しては、前記条件に合えば何ら限定されるものではない
が、例えば、トルエン(常圧下での沸点 111℃)/1−
ブタノール(同 118℃)、アセトン(同56℃)/メタノ
ール(同65℃)、テトラヒドロフラン(同66℃)/メタ
ノール(同65℃)、クロロホルム(同61℃)/メタノー
ル(同66℃)、メチルエチルケトン(同80℃)/エタノ
ール(同78℃)などが挙げられる。
【0013】本発明では、基材表面へポリマーを固定化
するために、基材であるポリスチレンを溶解させる溶媒
と溶解させない溶媒を組み合わせた混合溶媒を使用す
る。その際、両溶媒の組み合わせは、透明性を損なわな
い範囲でポリスチレン製基材表面を溶解する溶媒の割合
の高い混合溶媒が望ましく、例えば、前述した混合溶媒
の組み合わせで言えば、トルエン/ブタノール混合溶媒
を選んだ場合では、トルエンの配合割合は3〜20重量
%、好ましくは5〜20重量%、更に好ましくは10〜20重
量%が良い。また、クロロホルム/メタノール混合溶媒
を選んだ場合では、クロロホルムの配合割合は5〜50重
量%、好ましくは20〜50重量%、更に好ましくは40〜50
重量%が良い。更に、アセトン/メタノール混合溶媒を
選んだ場合では、アセトンの配合割合は5〜60重量%、
好ましくは20〜60重量%、更に好ましくは50〜60重量%
が良い。それぞれの溶媒の組み合わせにおいて、ポリス
チレンを溶解させる溶媒の配合割合が前記範囲未満であ
ると、前述したようにポリマーが単に細胞培養支持体の
基材表面に物理的に吸着される結果となり、ポリマーを
効率良く固定化するには至らず、また、細胞培養時、及
び剥離・回収時に基材表面上のポリマーが遊離し、培養
液中にそのポリマーが混入してくることともなり、細胞
培養支持体として好ましくない。逆に、ポリスチレンを
溶解させる溶媒の配合割合が前記範囲を越えると、前述
したポリスチレンを溶解させる溶媒を単独で用いた場合
と同じように、支持体表面は、塗布された混合溶媒によ
り溶解させられ、凹凸が生じ、その結果、白濁し、細胞
培養支持体本来の透明性を保持することができなくな
る。従って、この支持体を用いての顕微鏡観察が困難と
なり、細胞培養支持体としては不適当なものとなる。
【0014】本発明で使用する細胞培養支持体の基材
は、透明プラスチック製の基材であり、好ましくはディ
スポーザブル製品として通常使われているポリスチレン
製の培養基材である。その際、その基材表面への細胞の
付着性、増殖性を向上させるためにオゾン処理、プラズ
マ処理、スパッタリング処理等の処理を施されたもので
も良い。また、形状もペトリディッシュに限定されるこ
となく、プレート、ファイバー、(多孔質)粒子、ある
いは一般に細胞培養等に用いられている容器(フラスコ
等)であっても良い。
【0015】本発明で基材上に被覆される温度感受性ポ
リマーとしては、水に対する臨界溶解温度が0〜80℃の
範囲にあるものが挙げられ、具体的にはポリアクリルア
ミド又はメタクリルアミド、ポリN−置換またはN,N
−ジ置換アクリルアミド又はメタクリルアミド、ポリア
ルキルビニルエーテル及びそれらの混合物より選ばれる
ホモポリマーもしくはコポリマーを主成分とするポリマ
ーが挙げられる。その際、増殖細胞の種類によって水に
対する臨界溶解温度を調節する必要がある場合、タンパ
ク質などの被覆物質と本発明で示すところの細胞培養支
持体との相互作用を高める必要が生じた場合、更に細胞
培養支持体の親水性・疎水性のバランスを調節する必要
がある場合などは、前記モノマー以外の他のモノマー類
をさらに加えて共重合しても良く、本発明に使用する前
記ポリマーとその他のポリマーとのグラフトまたはブロ
ック共重合体、あるいは本発明に使用する前記ポリマー
と他のポリマーとの混合物を用いても良い。尚、「臨界
溶解温度」(以下、STと略すことがある)とは、2層
分離している2種の物質が、ある温度になると互いに完
全混合して均一層となる温度をいう。
【0016】本発明で用いられる好適な温度感受性ポリ
マーとしては、具体的には特開平2−211865号公報に開
示されている、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド
(ST=32℃)、ポリ−N−n−プロピルアクリルアミ
ド(ST=21℃)、ポリ−N−n−プロピルメタクリル
アミド(ST=32℃)、ポリ−N−エトキシエチルアク
リルアミド(ST=約35℃)、ポリ−N−テトラヒドロ
フルフリルアクリルアミド(ST=約28℃)、ポリ−N
−テトラヒドロフルフリルメタクリルアミド(ST=約
35℃)、ポリ−N,N−ジエチルアクリルアミド(ST
=約32℃)等が挙げられる。その他のポリマーとして
は、例えば、ポリ−N−エチルアクリルアミド、ポリ−
N−イソプロピルメタクリルアミド、ポリ−N−シクロ
プロピルアクリルアミド、ポリ−N−シクロプロピルメ
タクリルアミド、ポリ−N−アクリロイルピロリジン、
ポリ−N−アクリロイルピペリジン、ポリメチルビニル
エーテル等が挙げられる。
【0017】本発明で使用されるこれらの温度感受性ポ
リマーは、支持体表面への固定化の効率を上げるため
に、高分子量であることが望まれる。温度感受性ポリマ
ーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ー測定による重量平均分子量が10万以上、好ましくは50
万以上、更に好ましくは 100万以上であることが望まし
い。その際、重量平均分子量が10万未満であると得られ
る細胞培養支持体へのポリマーの固定量が十分とはなら
ず、その結果、細胞は支持体表面に付着、増殖するもの
の、冷却することだけでは剥離することができず好まし
くない。重量平均分子量の上限については、特に限定さ
れるものではないが、5000万以上であるとポリマーの合
成が困難なこと、及び前記混合溶媒中への溶解性が悪く
なることなどの理由から細胞培養支持体の製造法として
好ましくなくなる。
【0018】本発明では、これらの温度感受性ポリマー
を、まず、前述した混合溶媒に溶解させポリマー溶液を
調製し、次にそのポリマー溶液を細胞培養支持体の基材
表面上に塗布し、その後乾燥することにより基材表面上
に温度感受性ポリマーを固定化する。その際、基材上に
温度感受性ポリマーを均一に固定化するためにはポリマ
ー濃度は低いことが望ましい。混合溶媒に対するポリマ
ーの濃度は、0.02〜3重量%、好ましくは0.03〜1重量
%、更に好ましくは0.05〜 0.8重量%であることが望ま
しい。0.02重量%未満であると所定量の被覆量とするに
は、複数回ポリマー溶液を塗布しなければならず操作が
煩雑となり、また被覆量が少ないと、細胞は支持体表面
に付着、増殖するものの、冷却することだけでは剥離す
ることができない。逆に、ポリマー濃度が3重量%より
高い濃度では、基材表面にポリマーが均一に被覆できな
くなり、その結果、支持体表面上への細胞の付着にむら
が生じ好ましくない。また、本発明における細胞培養支
持体の基材表面上への温度感受性ポリマー溶液の塗布量
は、 0.005〜0.1 ml/cm2 、好ましくは0.01〜0.08ml/
cm2 、更に好ましくは 0.015〜0.05ml/cm2 が望まし
い。 0.005ml/cm2 未満であると基材表面上へのポリマ
ー溶液の塗布が困難となり、 0.1ml/cm2 を越えた場合
には、次の操作である乾燥工程において、溶媒を均一に
除去することが困難となり、基材表面上へポリマーが均
一に被覆できなくなり、その結果、支持体表面上への細
胞の付着にむらが生じ好ましくない。
【0019】本発明で前記温度感受性ポリマー溶液を細
胞培養支持体の基材表面に塗布する手段は何れの方法を
用いても良く、例えば該ポリマー溶液をピペットにて塗
布、展開する方法や、スプレーにて該ポリマー溶液を当
該基材上に散布する方法、当該基材材料を当該ポリマー
溶液中へ浸漬し引き上げる方法、さらにスピンコーター
により塗布する方法などがある。本発明の乾燥方法は、
通常行われる何れの方法でも良く、塗布後に室温でその
まま放置する方法、あるいは乾燥時間を短縮のために熱
をかける方法、あるいは減圧下で乾燥する方法などが挙
げられる。乾燥後、支持体上に固定化されていないポリ
マーを取り除くために洗浄を行なう。その際、溶媒とし
ては、ポリスチレン等の基材を構成するプラスチックを
溶解せず、被覆された温度感受性ポリマーのみを溶解す
るものであれば何れでも良いが、例えば、水、あるいは
メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、さ
らにはブタノールなどのアルコール類が挙げられる。
【0020】本発明によれば、以上のような簡便な方法
で細胞培養支持体の基材表面上に温度感受性ポリマーを
固定化することができる。その細胞培養支持体上への温
度感受性ポリマーの固定量は、例えば、フーリエ変換赤
外分光計全反射法(FT−IR−ATR法)、染色や蛍
光物質の標識による分析法、さらに接触角測定等による
表面分析法を単独あるいは併用して求めることができ
る。その中で、例えば、基材としてポリスチレン製ペト
リディッシュ{ファルコン(Falcon) 3001}を使用し、
固定する温度感受性ポリマーをポリ−N−イソプロピル
アクリルアミドとした場合のFT−IR−ATR法によ
る固定量の測定は以下のとおりである。ポリマー固定量
がIR光の侵入深さより十分に薄いと仮定し、基材であ
るポリスチレンを内部標準(常に一定量になるものとす
る)とすると、ポリスチレン量に対する固定された温度
感受性ポリマー量の比率を以下の式(1): 吸収強度比=Abs1640/Abs1600 (1) {式中、吸収強度比はポリスチレン量に対する固定され
た温度感受性ポリマー量の比率、Abs1640 は固定された
ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド由来のアミドI
(1640cm-1) 吸収強度、Abs1600 は基材であるポリスチ
レン由来のベンゼン環伸縮(1600cm-1) 吸収強度を意味
する}から求めることができる。予め既知量のポリ−N
−イソプロピルアクリルアミドをファルコン3001表面上
に塗布し、式(1)より塗布量と吸収強度比に関する検
量線を作製しておけば、本発明の細胞培養支持体のポリ
マー固定量は、吸収強度比を測定することにより、前述
の検量線から求めることができる。
【0021】本発明で得られる細胞培養支持体表面上へ
の温度感受性ポリマー固定量は、細胞の付着性、増殖
性、及び環境温度を変化させた際の細胞の剥離性、回収
率に大きく影響を及ぼす。細胞の付着性、増殖性、及び
環境温度を変更した際の剥離性を良好とするためには、
この支持体への温度感受性ポリマー固定量は、0.1〜5.0
μg/cm2 、好ましくは 0.5〜3.0 μg/cm2 、更に好
ましくは 1.0〜2.4 μg/cm2 が良い。例えば、ポリマ
ー固定量が 5.0μg/cm2 を越えると、細胞の付着性、
増殖性が劣化するという問題が生じる。また固定量が
0.1μg/cm2 未満の場合は、今度は細胞付着性、増殖
性は良好であるが、環境温度を変化させた際の細胞の剥
離性が劣ることとなる。従って、細胞培養支持体表面の
ポリマー固定量は、細胞の付着性、増殖性、剥離性の全
てを満足させる上で、前記範囲内とすることが良い。
【0022】本発明で得られる細胞培養支持体に適用さ
れる細胞としては特に限定されないが、例えば線維芽細
胞、血管内皮細胞、肝実質細胞、表皮角化細胞、腎細
胞、骨細胞などが挙げられる。このような細胞は、周知
の方法で入手し得る。細胞の培養は、0〜50℃で、通常
15〜40℃で行われる。本発明の細胞培養支持体における
培養においても、この通常行なわれる温度域で良いが、
被覆される温度感受性ポリマーが上限臨界溶解温度を有
していれば、それ以下の温度で、またポリマーが下限臨
界溶解温度を有していれば、それ以上の温度で行う必要
がある。その他の培養条件は特に限定されず、当分野に
於て通常行われる条件で培養を行ってもよい。培養後、
培養細胞を細胞培養支持体から剥離させ、回収するに
は、細胞培養支持体の周囲の温度を前記ポリマーの上限
臨界溶解温度以上、もしくは下限臨界溶解温度以下に変
化するだけで良い。また、細胞を培養していた培養液中
においてもその他の等張液中においても剥離可能であ
り、目的に合わせて選択することができる。その際、培
養細胞を効率良く、かつ容易に剥離させる目的で、細胞
培養支持体を軽くたたいたり、揺らしたり、更にはピペ
ット等を使用して培地を攪拌するなどしても良い。ま
た、細胞の活性が弱まらない範囲内で、軽度の酵素処理
を併用して施すことも可能である。
【0023】本発明により得られる細胞培養支持体にお
いては、支持体周囲の温度を変化させるだけで細胞を剥
離、回収させることができる。その結果、活性が高い細
胞を得ることができ、また従来法では不可能であった集
合状態の細胞を得ることができる。その際、細胞を個々
にする必要が生じた場合には、低濃度の酵素処理を併用
すれば実施できる。そして、本発明により得られた細胞
培養支持体であれば、支持体表面の温度感受性ポリマー
は固定されており、従ってそのポリマーの培地中への遊
離は全く認められず、純度の高い細胞を供給することも
可能となる。
【0024】
【発明の効果】本発明により、周囲の温度を変化させる
という操作だけで、培養・増殖させた細胞を剥離させ、
回収させられる細胞培養支持体を、簡便に、効率良く製
造することができる。また、本発明より得られる細胞培
養支持体によれば、支持体表面上の温度感受性ポリマー
は固定化されており、従って、細胞培養時、及び細胞剥
離・回収時に培地中へ遊離することは認められず、高純
度な細胞を供給することが可能となる。更に、本発明に
よれば、支持体表面のポリマーに電子線を使用したとき
のような架橋は起こっておらず、従って、周囲の温度を
変化させた際の支持体表面の応答性が良く、培養した細
胞をより効率良く剥離・回収させることができる。ま
た、支持体表面の温度感受性ポリマーが架橋されていな
いため、非固定のポリマー分の洗浄も容易に行えるよう
になる。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例により、さらに具体的
に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもの
ではない。
【0026】実施例1〜3 ポリスチレン製細胞培養支持体材料としてベクトン・デ
ィッキンソン・ラブウェア(Becton Dickinson Labwar
e)社製ファルコン(FALCON) 3001ペトリディッシュ
(培養面積9cm2)を用いた。固定化する温度感受性ポリ
マーとして32℃に下限臨界溶解温度を有するポリ−N−
イソプロピルアクリルアミドを常法であるラジカル重合
にて合成した(重量平均分子量 110万)。得られたポリ
マーを表1に示す種々のトルエン/ブタノール混合溶媒
に 0.3重量%となるように溶解させ、ポリマー溶液を調
製した。次に、このポリマー溶液を0.02ml/cm2 となる
ように基材上に塗布し、その後、室温下で24時間放置す
る方法により乾燥させ、前記ポリマーをペトリディッシ
ュ表面に固定化した。乾燥後、支持体表面を冷却水(4
℃)にて洗浄することにより固定化されていないポリマ
ーを除去した。クリーンベンチ内で乾燥させ、さらにエ
チレンオキサイド(EO)ガス滅菌を行ない、さらに十
分に脱気を行なうことにより、最終的な製品である細胞
培養支持体を得た。
【0027】得られた細胞培養支持体表面上のポリマー
の固定量は、FT−IR−ATR法(使用機器:JIR
−RFX3002、日本電子製)を用い、 128回積算した結
果から前記式(1)に従って吸収強度比を算出し、さら
に予め作成しておいた検量線より求めた。その際に使用
した検量線の式を以下に示す。 固定量(μg/cm2)=37.6×吸収強度比 得られた結果を表1に示す。また、下記式(2)に示す
ように、ポリマーの固定量を塗布した全ポリマー量で割
ることにより、ポリマーの固定化率を求めた。 ポリマーの固定化率(%)= (ポリマー固定量/塗布した全ポリマー量)×100 (2) 得られた結果を表1に示す。
【0028】得られた細胞培養支持体上で、ラット真皮
線維芽細胞を通常の培養方法(使用培地:ウシ胎児血清
(FCS)を10%含むダルベッコー改変イーグル培地
(DMEM)、5%CO2 、37℃)にて培養を行なった。
十分に細胞が増殖したのを確認した後、細胞培養支持体
の周囲の温度を4℃に冷却し、15分間放置することで培
養した細胞を剥離・回収させた。細胞による評価は、付
着性、増殖性、さらに冷却することによる剥離性の点に
おいて評価した。得られた結果を表1に示す。
【0029】最後に、細胞培養・剥離時にポリマーの遊
離が起こっていないことを確かめるために、細胞を剥離
させた後に、再度、前述の方法により支持体表面のポリ
マー残存量を測定した。そして、下記式(3)に示すよ
うに、細胞培養・剥離後のポリマー残存量を細胞培養前
の支持体上のポリマー固定量で割ることにより、細胞培
養・剥離後のポリマー残存率を求めた。
【0030】 ポリマー残存率(%)= (細胞剥離後のポリマー残存量/細胞培養前のポリマー固定量)×100 (3) 得られた結果を表1に示す。
【0031】比較例1〜4 比較例1では、基材表面にポリマー溶液の塗布を全く行
わずに(従来品そのものの状態)、比較例2〜4では、
それぞれ表1に示す溶媒を用いて行う以外は、実施例1
〜3と同様な方法で細胞培養支持体を得た。実施例1〜
3と同様、支持体の透明性、基材表面へのポリマー固定
量、ポリマーの固定化率、線維芽細胞による評価、並び
に細胞培養後のポリマー残存量、残存率の結果を表1に
示す。
【0032】
【表1】
【0033】実施例4〜6 ポリマー溶液を調製するための混合溶媒をクロロホルム
/メタノールとし、それぞれの混合比を表2に示す通り
とする以外は、実施例1〜3と同様な方法で細胞培養支
持体を得た。実施例1〜3と同様、支持体の透明性、基
材表面へのポリマー固定量、ポリマーの固定化率、線維
芽細胞による評価、並びに細胞培養後のポリマー残存
量、残存率の結果を表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】実施例7〜9 ポリマー溶液を調製するための混合溶媒をアセトン/メ
タノールとし、それぞれの混合比を表3に示す通りとす
る以外は、実施例1〜3と同様な方法で細胞培養支持体
を得た。実施例1〜3と同様、支持体の透明性、基材表
面へのポリマー固定量、ポリマーの固定化率、線維芽細
胞による評価、並びに細胞培養後のポリマー残存量、残
存率の結果を表3に示す。
【0036】
【表3】
【0037】上記実施例1〜9及び比較例1〜4から明
らかなように、ポリスチレンを溶解させる溶媒と溶解さ
せない溶媒を組み合わせた混合溶媒を塗布溶媒として用
いた本発明の実施例では、ポリスチレンの透明性を保持
させながらポリマーを固定化することができた。その
際、ポリスチレンを溶解させる溶媒の混合比が高いほ
ど、ポリマーの固定化収率が高くなった。また、得られ
た細胞培養支持体のポリマー固定量は、いずれも0.1 〜
5.0 μg/cm2 の範囲内であり、線維芽細胞は支持体
表面に付着、増殖し、冷却することで剥離させることが
できた。一方、塗布溶媒としてポリスチレンを溶解させ
るトルエンのみを用いた場合(比較例3)、支持体の透
明性が失われ白濁するため、細胞の顕微鏡観察が困難と
なり、細胞培養支持体として好ましくないことが分か
る。逆に、ポリスチレンを溶解させないブタノール(比
較例2)、水(比較例4)を使用した場合は、前述した
混合溶媒を使用したときに比べ、基材表面へのポリマー
固定量及び固定化率が低く、また細胞を剥離させた後の
ポリマー残存量も低かった。これらのことから、ポリス
チレンを溶解させない溶媒だけを使用した場合、温度感
受性ポリマーを基材表面に十分に固定化できないことが
わかる。そして、このような支持体では、線維芽細胞は
支持体表面に付着し、増殖するものの、冷却することだ
けでは剥離せず、本発明の効果が得られなかった。
【0038】実施例10〜12 被覆するポリマーをポリ−N−イソプロピルアクリルア
ミドの代わりにポリ−N−エトキシエチルアクリルアミ
ド(重量平均分子量 120万、実施例10)、ポリ−N−n
−プロピルアクリルアミド(重量平均分子量 110万、実
施例11)、ポリ−N,N−ジエチルアクリルアミド(重
量平均分子量 130万、実施例12)を使用する以外は、実
施例1と同様な方法で細胞培養支持体を得た。得られた
細胞培養支持体上で、ラット肝実質細胞を通常の培養方
法(使用培地:ウシ胎児血清(FCS)を5%、10-8M
デキサメサゾン、10-7M インスリン、10mMニコチンアミ
ド、さらに10ng/ml表皮成長因子(EGM)などを含む
Williams E培地、5%CO2、37℃)にて培養を行なっ
た。十分に細胞が増殖したのを確認した後、細胞培養支
持体の周囲の温度を4℃に冷却し、15分間放置すること
で培養した細胞を剥離・回収させた。実施例1〜3と同
様、支持体の透明性、基材表面へのポリマー固定量、ポ
リマーの固定化率、肝実質細胞による評価、並びに細胞
培養後のポリマー残存量、残存率の結果を表4に示す。
【0039】
【表4】
【0040】実施例10〜12の結果からわかるように、基
材表面へ固定化する温度感受性ポリマー種を変更して
も、ポリスチレン製基材に対し特定の混合溶媒を使用す
れば、本発明の効果を奏する細胞培養支持体が得られる
ことがわかる。また、得られた支持体は細胞の種類を変
更しても、線維芽細胞使用時と同じように、細胞は付
着、増殖し、支持体周囲の温度を変化させることだけで
剥離することがわかる。
【0041】実施例13〜16 被覆するポリ−N−イソプロピルアクリルアミドの重量
平均分子量を表5に示す通りとする以外は、実施例2と
同様な方法で細胞培養支持体を得た。得られた細胞培養
支持体上で、ウシ大動脈血管内皮細胞を通常の培養方法
(使用培地:ウシ胎児血清(FCS)を10%含むダルベ
ッコー改変イーグル培地(DMEM)、5%CO2 、37
℃)にて培養を行なった。十分に細胞が増殖したのを確
認した後、細胞培養支持体の周囲の温度を4℃に冷却
し、15分間放置することで培養した細胞を剥離・回収さ
せた。実施例1〜3と同様、支持体の透明性、基材表面
へのポリマー固定量、ポリマーの固定化率、血管内皮細
胞による評価、並びに細胞培養後のポリマー残存量、残
存率の結果を表5に示す。
【0042】
【表5】
【0043】実施例13〜16の結果からもわかるように、
基材表面へ固定する温度感受性ポリマーの分子量を種々
変化させても、ポリスチレン製基材に対し特定の混合溶
媒を使用すれば、本発明の効果を奏する細胞培養支持体
が得られることがわかる。また、得られた支持体は細胞
の種類を変更しても、線維芽細胞、肝実質細胞使用時と
同じように、細胞は付着、増殖し、支持体周囲の温度を
変化させることだけで剥離することがわかる。
【0044】実施例17〜21 基材表面に塗布するポリマー溶液濃度を表6に示す通り
とする以外は、実施例5と同様な方法で細胞培養支持体
を得た。得られた細胞培養支持体上で、ラット肝実質細
胞を通常の培養方法(使用培地:ウシ胎児血清(FC
S)を5%、10-8M デキサメサゾン、10-7M インスリ
ン、10mMニコチンアミド、さらに10ng/ml表皮成長因子
(EGM)などを含むWilliams E培地、5%CO2 、37
℃)にて培養を行なった。十分に細胞が増殖したのを確
認した後、細胞培養支持体の周囲の温度を4℃に冷却
し、15分間放置することで培養した細胞を剥離・回収さ
せた。実施例1〜3と同様、支持体の透明性、基材表面
へのポリマー固定量、ポリマーの固定化率、肝実質細胞
による評価、並びに細胞培養後のポリマー残存量、残存
率の結果を表6に示す。
【0045】
【表6】
【0046】実施例17〜21の結果からわかるように、基
材表面に塗布するポリマー溶液濃度を種々変化させて
も、ポリスチレン製基材に対し特定の混合溶媒を使用す
れば、本発明の効果を奏する細胞培養支持体が得られ、
細胞は付着、増殖し、支持体周囲の温度を変化させるこ
とだけで剥離することがわかる。
【0047】実施例22〜24 基材表面へのポリマー溶液塗布量を表7に示す通りとす
る以外は、実施例9と同様な方法で細胞培養支持体を得
た。得られた細胞培養支持体上で、ウシ大動脈血管内皮
細胞を通常の培養方法(使用培地:ウシ胎児血清(FC
S)を10%含むダルベッコー改変イーグル培地(DME
M)、5%CO2 、37℃)にて培養を行なった。十分に細
胞が増殖したのを確認した後、細胞培養支持体の周囲の
温度を4℃に冷却し、15分間放置することで培養した細
胞を剥離・回収させた。実施例1〜3と同様、支持体の
透明性、基材表面へのポリマー固定量、ポリマーの固定
化率、血管内皮細胞による評価、並びに細胞培養後のポ
リマー残存量、残存率の結果を表7に示す。
【0048】
【表7】
【0049】実施例22〜24の結果からわかるように、基
材表面へのポリマー溶液塗布量を種々変化させても、ポ
リスチレン製基材に対し特定の混合溶媒を使用すれば、
本発明の効果を奏する細胞培養支持体が得られ、細胞は
付着、増殖し、支持体周囲の温度を変化させることだけ
で剥離することがわかる。
【0050】実施例25 実施例3で得られた剥離細胞の損傷度合を確認するた
め、これを遠心分離(600G、5分)により回収し、新し
い培地を添加し、十分に攪拌し、個々の細胞とした後、
2×105 個の細胞をファルコン3002ペトリディッシュ上
で再び培養させた。細胞の培養は、実施例3と同様な方
法を採用した。結果を表8に示す。
【0051】比較例5 比較例1で培養した付着細胞を0.05%トリプシン−0.02
%EDTA溶液で処理し、剥離させた細胞の損傷度合を
確認するため、これを遠心分離(600G、5分)により回
収し、新しい培地を添加し、十分に攪拌し、個々の細胞
とした後、2×105 個の細胞をファルコン3002ペトリデ
ィッシュ上で再び培養させた。細胞の培養は、実施例3
と同様な方法を採用した。結果を表8に示す。
【0052】
【表8】
【0053】剥離細胞の損傷度合については、表8に示
すように、実施例25では培養開始時の10倍まで再増殖さ
せることができるが、比較例5では5倍までしか再増殖
させることができなかった。このことは、本発明の細胞
培養支持体より剥離される細胞が従来のそれよりも損傷
度が小さいことを意味する。
【0054】比較例6 ポリスチレン製細胞培養支持体材料として、ベクトン・
ディッキンソン・ラブウェア社製ファルコン3001ペトリ
ディッシュ(培養面積9cm2 )を用い、その表面に、電
子線を使用した方法によりポリ−N−イソプロピルアク
リルアミドを固定化した。まず、モノマーであるN−イ
ソプロピルアクリルアミドの50重量%イソプロパノール
溶液を調製した。水平な台の上に静置させたペトリディ
ッシュ上にこの溶液を0.0047ml/cm2 となるように塗
布、展開させた後、25Mradの電子線を1回照射した。そ
の際、電子線発生部の真空度は1×10-6Torr以下、電子
線加速電圧は200kV 、電子線照射部の酸素濃度は1000pp
m 以下とした。電子線照射後は、実施例1〜3と同様
に、5℃のイオン交換水でペトリディッシュを洗浄し、
残存モノマー、及びペトリディッシュ表面に結合してい
ないホモポリマーを取り除いた。クリーンベンチ内で乾
燥させ、さらにエチレンオキサイドガス滅菌を行い、十
分に脱気させることで最終的な製品である細胞培養支持
体を得た。実施例1〜3と同様、支持体の透明性、基材
表面へのポリマー固定量、ポリマーの固定化率、線維芽
細胞による評価、並びに細胞培養後のポリマー残存量、
残存率の結果を表9に示す。
【0055】
【表9】
【0056】比較例6から明らかなように、ポリマーを
固定化する際、電子線を使用した場合においても本発明
の実施例に示されるような良好な性能を持つ細胞培養支
持体材料を得ることができた。しかしながら、この方法
では、モノマー溶液を一度ペトリディッシュ表面に塗
布、展開させた後に電子線照射工程を経なければなら
ず、本発明での製造技術がポリマー溶液を塗布、展開さ
せた後は、そのペトリディッシュ表面の溶液を乾燥させ
るだけで良いことと比べると、煩雑な工程を経なければ
ならない。また、比較例6に示す方法では、ペトリディ
ッシュ表面へのポリマー固定化率は本発明の実施例での
固定化率より低く、ポリマーの固定化という点において
も効率の悪いものであり、さらにペトリディッシュ表面
に固定されていないホモポリマーは電子線により若干架
橋されており、5℃のイオン交換水による洗浄も本発明
の方法ほど容易なものではなかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 27/30 B32B 27/30 B 27/34 27/34 // C12N 11/08 C12N 11/08 A

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 温度感受性ポリマーで表面被覆処理され
    てなる透明プラスチック製細胞培養支持体の製造法であ
    って、該プラスチックを溶解させる溶媒と溶解させない
    溶媒とからなる混合溶媒に、温度感受性ポリマーを溶解
    させて得られるポリマー溶液をプラスチック製細胞培養
    支持体の基材表面に塗布した後、乾燥することを特徴と
    する細胞培養支持体の製造法。
  2. 【請求項2】 混合溶媒が、プラスチックを溶解させる
    溶媒の沸点とプラスチックを溶解させない溶媒の沸点の
    差が10℃以下のものを組み合わせたものである請求項1
    記載の製造法。
  3. 【請求項3】 プラスチックがポリスチレンである請求
    項1又は2記載の製造法。
  4. 【請求項4】 混合溶媒が、トルエン/ブタノール、ア
    セトン/メタノール、テトラヒドロフラン/メタノー
    ル、クロロホルム/メタノール、メチルエチルケトン/
    エタノールから選ばれたものである請求項3記載の製造
    法。
  5. 【請求項5】 トルエン/ブタノール混合溶媒中のトル
    エンの配合割合が3〜20重量%である請求項4記載の製
    造法。
  6. 【請求項6】 クロロホルム/メタノール混合溶媒中の
    クロロホルムの配合割合が5〜50重量%である請求項第
    4記載の製造法。
  7. 【請求項7】 アセトン/メタノール混合溶媒中のアセ
    トンの配合割合が5〜60重量%である請求項4記載の製
    造法。
  8. 【請求項8】 温度感受性ポリマーが、水に対する臨界
    溶解温度が0〜80℃の範囲にあるポリマーである請求項
    1〜7のいずれか一項に記載の製造法。
  9. 【請求項9】 温度感受性ポリマーが、ポリN−置換ア
    クリルアミド又はメタクリルアミド、ポリN,N−ジ置
    換アクリルアミド又はメタクリルアミド、ポリアルキル
    ビニルエーテルあるいはそれらの混合物から選ばれるポ
    リマーを主成分とするものである請求項8記載の製造
    法。
  10. 【請求項10】 温度感受性ポリマーの重量平均分子量
    が10万以上である請求項9記載の製造法。
  11. 【請求項11】 温度感受性ポリマーの混合溶媒中にお
    ける濃度が0.02〜3重量%である請求項1〜10のいず
    れか一項に記載の製造法。
  12. 【請求項12】 プラスチック製細胞培養支持体の基材
    表面上への温度感受性ポリマー溶液の塗布量が 0.005〜
    0.1 ml/cm2 である請求項1〜11のいずれか一項に記
    載の製造法。
  13. 【請求項13】 温度感受性ポリマーのプラスチック製
    細胞培養支持体の基材表面上への被覆量が、 0.1〜5.0
    μg/cm2 である請求項1〜12のいずれか一項に記載
    の製造法。
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