JPH09237908A - 太陽電池 - Google Patents

太陽電池

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JPH09237908A
JPH09237908A JP8091701A JP9170196A JPH09237908A JP H09237908 A JPH09237908 A JP H09237908A JP 8091701 A JP8091701 A JP 8091701A JP 9170196 A JP9170196 A JP 9170196A JP H09237908 A JPH09237908 A JP H09237908A
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quantum
well layer
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Takashi Ueda
孝 上田
Nagayasu Yamagishi
長保 山岸
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Oki Electric Industry Co Ltd
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Oki Electric Industry Co Ltd
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

Abstract

(57)【要約】 【課題】 量子井戸構造Wを有する、変換効率に優れし
かも製造が比較的容易な太陽電池10を提供する。 【解決手段】 エネルギーバンド構造に量子井戸Wを規
定する量子井戸層14が形成された半導体材料からなる
太陽電池10において、量子井戸層14の厚さ寸法を部
分的に異ならせ、厚さ寸法の大きな部分14bで長波長
側の光を吸収してキャリアを生成し、厚さ寸法の小さな
部分14aを経て量子井戸W内のキャリアを量子井戸W
から脱出させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体材料からな
るpn接合で構成された太陽電池に関し、特に、量子井
戸構造を有する太陽電池に関する。
【0002】
【従来の技術】Siのような元素半導体に比較して、例え
ば、GaAsのような化合物半導体は、そのバンドギャップ
エネルギーが太陽光線のスペクトル分布から見て最適値
に近いことから、効率の高い太陽電池を得る上で有利で
ある。このことから、化合物半導体の結晶成長技術の向
上に伴い、太陽電池の半導体材料として、化合物半導体
が多用されつつある。
【0003】このような化合物半導体のpn接合からな
る太陽電池の変換効率のさらなる向上のために、使用す
る半導体材料の種類によって決まる所定のバンドギャッ
プ波長よりも長波長側の光を吸収して、これを電流に変
換するための量子井戸構造を太陽電池に採用することが
提案されている。量子井戸構造では、エネルギーバンド
構造で見て、所定のバンドギャップエネルギーより小さ
なバンドギャップエネルギーの量子井戸が、量子井戸層
により規定される。この量子井戸で、所定のバンドギャ
ップ波長の光よりも小さなエネルギーを有する長波長側
の光を吸収することができる。このことから、所定のバ
ンドギャップ波長の光よりも高いエネルギーを有する光
の吸収で励起されたキャリアに加えて、長波長側の光の
吸収によっても、量子井戸で電子および正孔のようなキ
ャリアが生成される。
【0004】そのため、理論上は、量子井戸構造を有す
る太陽電池は、量子井戸構造を有しないものよりも高い
効率を示すはずであるが、それより低い効率しか得られ
ていないのが現状である。その理由として、伝導帯を電
極へ向けて流れる電子あるいは価電子帯を電極へ向けて
流れる正孔のようなキャリアが、量子井戸構造の井戸に
落ち込み、また、この量子井戸に落ち込んだキャリアお
よび量子井戸で生成されたキャリアの大多数が、量子井
戸構造の障壁を越えて電極に到達することなく、すなわ
ち電流として機能することなく、量子井戸内で再結合し
て消滅すると考えられる。
【0005】このような量子井戸でのキャリアの消滅を
低減させるために、例えば、J. Appl. Phys.67(7)
p3490〜3493、1、April 、1990にK. W.
J. Barnham氏等により、多重量子井戸構造に共鳴トンネ
リング効果を導入することが提案された。共鳴トンネリ
ング効果とは、複数の量子井戸の量子順位を同一にする
ことにより、キャリアが各障壁を貫通して流れる現象で
あり、多数の量子井戸層の厚さ寸法を正確に制御するこ
とができれば、この共鳴トンネリング効果によって、量
子井戸でのキャリアの消滅を低減できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、複数の
量子井戸層のそれぞれをその全面に亘って所定の厚さ寸
法に正確に制御することは極めて困難であり、このよう
な共鳴トンネリング効果を得ることのできる多重量子井
戸構造の太陽電池を容易に製造することはできない。そ
こで、本発明は、比較的製造が容易でありかつ変換効率
に優れた、量子井戸構造を有する太陽電池を提供するこ
とを企図する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
〈構成〉ために、本発明は、エネルギーバンド構造に量
子井戸を規定する量子井戸層が形成された半導体材料か
らなる太陽電池であって、量子井戸層の厚さ寸法を量子
井戸層の面内で部分的に異ならせたことを特徴とする。
【0008】〈作用〉量子井戸層のバンドギャップエネ
ルギーは、この量子井戸層を規定する半導体材料に固有
の値となるが、この量子井戸層の厚さ寸法を小さくすれ
ば、その厚さ寸法に応じて、井戸内の実質的な底となる
量子準位が形成される。この量子準位は、厚さ寸法が小
さいほど高くなる。従って、量子井戸層の厚さ寸法を部
分的に異ならせることにより、量子準位を構成する比較
的厚さ寸法の小さい部分と、従来の量子井戸層における
と同様な長波長側の光を吸収する比較的厚さ寸法の大き
な部分とを形成することができる。
【0009】これにより、量子井戸層の比較的厚さ寸法
の大きな部分において、従来の量子井戸層におけると同
様に、量子井戸層を除く部分で吸収される光よりも長波
長側の光を吸収してキャリアを生成させることができ
る。また、この量子井戸で生成されあるいはこの量子井
戸に落ち込んだキャリアを量子井戸層の量子準位が高い
厚さ寸法の小さな部分を経て、量子井戸から脱出させる
ことができる。その結果、量子井戸で生成されあるいは
量子井戸に捕獲されたキャリアが量子井戸内で再結合に
より消滅する確率は低減し、量子井戸内のキャリアを有
効に電流として取り出すことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図示の実施の形態
について詳細に説明する。 〈具体例1〉図1は、本発明の具体例1に係る太陽電池
の縦断面図である。太陽電池10は、基板11上に形成
されるベース層12と、ベース層12上に形成されるエ
ミッタ層13と、両層12および13間に挿入された量
子井戸層14とを備える。
【0011】図の例では、基板11として、n型GaAsが
用いられており、基板11上のベース層12として、n
型Al0.2 Ga0.8 As(キャリア密度:2×1017個/cm
3 、膜厚:3μm)が用いられている。エミッタ層13
として、p+ 型Al0.2 Ga0.8 As(キャリア密度:2×1
18個/cm3 、膜厚:0.5μm)が用いられている。
また、図示の例では、基板11とベース層12との間に
は、n+ 型Al0.4 Ga0. 6 As(キャリア密度:2×1018
個/cm3 、膜厚:0.3μm)からなる従来よく知られ
たBSF(バックサーフェイス)層15が挿入されてい
る。エミッタ層13の表面には、p+ 型Al0.8 Ga0.2 As
(キャリア密度:2×1018個/cm3 、膜厚:0.02
μm)からなる従来よく知られた窓層16が形成されて
おり、窓層16によるヘテロフェイス構造が採用されて
いる。
【0012】ベース層12およびエミッタ層13間に挿
入された量子井戸層14は、図示の例では、真性GaAs層
からなる。この真性GaAs層からなる量子井戸層14は、
ベース層12およびエミッタ層13を構成するn型Al
0.2 Ga0.8 Asおよびp+ 型Al0.2 Ga0.8 Asの禁制帯バン
ドギャップエネルギーEg(1.67eV)に比較し
て、より小さな値のバンドギャップエネルギーEg1
(1.55eV)を示し、pn接合部のエネルギーバン
ド構造に、後に述べる量子井戸を規定する。
【0013】量子井戸層14は、その全面に亘って均一
な厚さ寸法を示すことはなく、部分的に厚さ寸法を異に
する。図1に示す例では、量子井戸層14は、その下面
が平坦に形成され、その上面が凹凸を呈するように形成
されている。これにより、量子井戸層14は、厚さ寸法
の小さな部分14aと、これよりも厚さ寸法の大きな部
分14bとから構成されている。厚さ寸法の小さな部分
14aは、高い量子準位を形成するに充分に薄い厚さ寸
法、例えば5〜500A°を有する。他方、厚さ寸法の
大きな部分14bは、これよりも大きな、光を吸収する
に充分な厚さ寸法、例えば0.2μmを有する。
【0014】図2は、量子井戸層14を概略的に示す斜
視図であり、図3は量子井戸層14の他の例を示す図2
と同様な図面である。量子井戸層14の各厚さ寸法の大
きな部分14bは、図2に示されているように、ほぼ矩
形の平面形状を有する。これら多数の厚さ寸法の大きな
部分14bが、厚さ寸法の小さな部分14a上で、縦横
方向に互いに間隔をおいて格子状にほぼ整列して形成さ
れている。厚さ寸法の大きな部分14bを格子状に配置
することに代えて、図3に示されているように、厚さ寸
法の大きな部分14bを長尺状に連続的して形成し、厚
さ寸法の大きな部分14bおよび厚さ寸法の小さな部分
14aが一方向へ交互に位置するように配置することが
できる。このような厚さ寸法の小さな部分14aおよび
厚さ寸法の大きな部分14bの形状および配置は、後述
する量子井戸層14の製造方法等に応じて種々の形態を
適用することができる。
【0015】再び図1を参照するに、基板11上のBS
F層15、ベース層12、エミッタ層13および窓層1
6は、例えば、主原料として、トリメチルガリュウム
『(CH33 Ga』、トリメチルアルミニウム『(C
33 Al』およびアルシン『AsH3 』を用い、キ
ャリアガスとして水素ガスを用い、700℃、100T
orrの減圧下で行う減圧MOCVD(有機金属気相エ
ピタキシ)法により、形成することができる。p型およ
びn型のドーパンドとして、それぞれ『(CH32
n』および『Si26 』が用いられた。
【0016】ベース層12およびエミッタ層13間の量
子井戸層14は、例えば、次のような島状成長を利用し
て形成することができる。前記したMOCVD法により
形成されたベース層12上に、同様なMOCVD法によ
り例えば厚さ50A°のほぼ一様な厚さ寸法の真性GaAs
層を形成する。このMOCVD法により形成された真性
GaAs層の一部分は、厚さ寸法の小さな部分14aを構成
する。この真性GaAs層上に、厚さ寸法の大きな部分14
bを構成するために、GaAs結晶を島状に成長させる。こ
のGaAs結晶の島状成長のために、例えばドロップエピタ
キシー法を適用できる。ドロップエピタキシー法では、
MOCVD法により形成された一様な厚さ寸法の真性Ga
As層上に、600℃のトリメチルガリュウムを供給する
ことにより、Gaを液状に滴下させる。このGa液滴に
アルシンを供給することにより、GaとAsとが結合
し、その結果、MOCVD法により形成された真性GaAs
層上に、真性GaAsの微結晶が島状に形成される。一様な
厚さ寸法の真性GaAs層上に形成されたGaAsの微結晶は、
この真性GaAs層と共に、量子井戸層14の、例えば0.
2μmの厚さ寸法を有する厚さ寸法の大きな部分14b
を形成する。
【0017】この量子井戸層14の形成後、量子井戸層
14の上に、前記したようなMOCVD法により、エミ
ッタ層13および窓層16が順次形成され、基板11上
への各層12〜16の形成後、窓層16には、電極のた
めのコンタクト層19として、p+ 型GaAs(キャリア密
度:2×1019個/cm3 、膜厚:0.3μm)が形成さ
れる。このコンタクト層19上に、従来よく知られたフ
ォトリソグラフィー法等により、表面電極20が形成さ
れ、また基板11の裏面には裏面電極21が形成され
る。さらに、窓層16の露出面を覆う反射防止膜22が
形成され、これにより量子井戸構造を有する太陽電池1
0が完成する。
【0018】図4は、第1具体例に係る太陽電池10の
エネルギーバンド構造の説明図である。図4に記載され
たEcは伝導帯を示し、Evは価電子帯を示す。ベース
層12およびエミッタ層13により構成されるn型領域
とp型領域との間の遷移領域Tには、ベース層12およ
びエミッタ層13のバンドギャップエネルギーEg
(1.67eV)より小さな値のバンドギャップエネル
ギーEg1 (1.55eV)を有する量子井戸層14に
より量子井戸Wが規定される。量子井戸Wの底は、この
量子井戸Wを構成する量子井戸層14のバンドギャップ
エネルギーEg1 により規定されるが、量子井戸層14
は、その厚さ寸法に応じた量子準位L1 およびL2 を量
子井戸W内に形成する。
【0019】図4(A)は、量子井戸層14の厚さ寸法
の小さな部分14aにおけるエネルギーバンド構造を示
し、図4(B)は、厚さ寸法の大きな部分14bにおけ
るエネルギーバンド構造を示す。図4に示す例では、厚
さ寸法の小さな部分14aおよび厚さ寸法の大きな部分
14bの両者共、量子準位L1 またはL2 をそれぞれ形
成する。この両者のうち、厚さ寸法の小さな部分14a
が形成する量子準位L1 は、図4(A)に示されるよう
に、量子井戸Wの底から離れた比較的高い位置に形成さ
れる。他方、厚さ寸法の大きな部分14bが形成する量
子準位L2 は、図4(B)に示されるように、量子井戸
Wの底の近傍に形成される。
【0020】この量子準位L2 が量子井戸Wの底近傍に
形成される厚さ寸法の大きな部分14bでは、バンドギ
ャップエネルギーが実質的に大きく変化することはな
く、厚さ寸法の大きな部分14bは、ほぼそのバンドギ
ャップエネルギーEg1 に対応する光を効率的に吸収し
てキャリアを発生させる。他方、量子準位L1 が量子井
戸Wの底から離れた位置に形成される厚さ寸法の小さな
部分14aでは、この量子準位L1 により、量子井戸W
の実質的な底上げが行われる。その結果、量子井戸W内
のキャリアは、この厚さ寸法の小さな部分14aを経
て、量子井戸Wから脱出し易くなり、キャリアの量子井
戸Wから脱出する確率が高められる。
【0021】本発明に係る第1具体例の太陽電池10で
は、反射防止膜22を通して入射した太陽光は、ベース
層12、量子井戸層14およびエミッタ層13で吸収さ
れる。ベース層12のn領域およびエミッタ層13のp
領域では、従来の太陽電池におけると同様に、この光の
吸収に応じてキャリアである電子と正孔とが生成され、
それぞれ内部電界によって電子は裏面電極21へ、また
正孔は表面電極20へと、それぞれ対応する電極21お
よび20へ向けて拡散する。BSF層15および窓層1
6は、従来よく知られているように、電極20および2
1へ向けて拡散するキャリアのそれぞれエミッタ層13
の表面およびベース層12の背面での表面再結合による
消滅を防止し、これにより変換効率の低下を防止する作
用をなす。
【0022】また、量子井戸層14の厚さ寸法の大きな
部分14bは、p領域(13)およびn領域(12)で
吸収できない長波長側の光を吸収する。この長波長側の
光の吸収により、厚さ寸法の大きな部分14bでは、キ
ャリアである電子と正孔とが生成される。量子井戸層1
4には、厚さ寸法の大きな部分14bで生成されたキャ
リアに加えて、電極20または21へ向けて拡散するキ
ャリアが捕獲されることがあるが、この量子井戸層14
の厚さ寸法の小さな部分14aには、量子井戸Wの実質
的な底上げの作用をなす量子準位L1 が形成されている
ことから、量子井戸W内のキャリアは、この量子井戸層
14の厚さ寸法の小さな部分14aを経て、比較的高い
確率で早期に量子井戸Wから脱出することができる。量
子井戸Wから脱出したキャリア電子は、ベース層12へ
向け、また量子井戸から脱出したキャリア正孔はエミッ
タ層13へ向けて、それぞれ拡散され、有効電流として
利用される。
【0023】その結果、従来の量子井戸構造の太陽電池
におけるような量子井戸でのキャリアの再結合による消
滅の頻度を大きく低減することができ、量子井戸内で生
成され、あるいはこの量子井戸に落ち込むキャリアを電
流として有効に利用することができることから、太陽電
池10の効率は、従来に比較して大きく改善され、高い
光電気変換効率が得られる。
【0024】また、太陽電池10の構造では、量子井戸
層14を凹凸状に形成することにより、従来のように量
子井戸層を高い精度で均一の厚さに制御する必要はなく
なることから、比較的容易に所望の量子井戸層を形成す
ることができ、これにより、比較的容易に、高い変換効
率を示す太陽電池を得ることができる。
【0025】〈具体例2〉図5は、本発明の第2具体例
を示す太陽電池10の縦断面図である。図5に示す太陽
電池10では、3つの量子井戸層14が形成されてお
り、図1に示したと同一の機能を果たす構成部分には、
図2におけると同様の参照符号が付されている。第2の
具体例に係る太陽電池10では、ベース層12と、エミ
ッタ層13との間の遷移領域Tに、多重量子井戸構造と
して、3つの量子井戸層14が形成されており、各量子
井戸層14の構成は、図1に示した第1具体例における
と同様に、真性GaAs層18からなる。各量子井戸層14
間には、真性Al0.2 Ga0.8 As層23(アンドープ、膜
厚:500A°)が配置されており、真性Al0.2 Ga0.8
As層23は、ベース層12およびエミッタ層13と同一
のバンドギャップエネルギーEgを持つ。この真性Al
0.2 Ga0.8 As層23は、第1具体例で説明したと同様な
減圧MOCVD法で形成することができ、その膜厚は、
これを適宜選択することができる。
【0026】各量子井戸層14は、隣接する量子井戸層
14間で、それぞれの厚さ寸法の大きな部分14bが積
層方向である縦方向と直角な横方向に相互にずれるよう
に、すなわち隣接する量子井戸層14でそれぞれの厚さ
寸法の大きな部分14bが互いに重なり合わないよう
に、相互にずれを以て配置されている。このずれは、長
波長側の光を吸収してキャリアを生成する作用をなす厚
さ寸法の大きな部分14bが互いに重複することを防止
し、それぞれの厚さ寸法の大きな部分14bで、より有
効に光りを吸収することを可能とする。これにより、厚
さ寸法の大きな部分14bが相互にずれを以て配置され
た多重量子井戸構造は、長波長側光により量子井戸層1
4で励起されるキャリアの総数を増大させることから、
この増大分に応じた変換効率の向上が期待できる。
【0027】第1および第2の具体例では、量子井戸層
14をpn接合の遷移領域Tに形成した例について説明
したが、本発明に係る量子井戸層14を遷移領域Tに形
成することに代えて、反射防止膜22を経る太陽光が透
過する範囲内で、p型領域あるいはn型領域の内部に形
成することができる。
【0028】〈具体例3〉図6は、本発明の第3具体例
を示す図1および図5と同様な図面であり、量子井戸層
14をn型領域を構成するベース層12内に形成した例
を示す。第3の具体例に係る太陽電池10では、先に述
べたと同様な減圧MOCVD法で各層を形成することが
できる。すなわち、基板11上にBSF層15を形成
後、ベース層12の下部12aが形成される。この下部
12a上に、厚さ寸法の小さな部分14aとこの部分1
4aよりも厚さ寸法の大きな部分14bとから構成され
ている量子井戸層14が、形成される。
【0029】この量子井戸Wが遷移領域Tに形成された
第1および第2の具体例では、量子井戸層14はアンド
ープの真性GaAs半導体層で構成されたが、n型領域に量
子井戸層14が形成される第3具体例では、量子井戸層
14を構成するGaAs層は、n型とすることが好ましい。
従って、p型領域に量子井戸層14を形成する場合は、
この量子井戸層14を構成するGaAs層として、p型GaAs
が採用される。
【0030】量子井戸層14の形成後、ベース層12の
上部12bが形成され、さらにその上に、エミッタ層1
3が形成され、その後、窓層16、コンタクト層19、
電極20および21が形成され、太陽電池10が完成す
る。この第3具体例に係る太陽電池10では、ベース層
12の上部12bと、その上のエミッタ層13との接合
部に遷移領域Tが形成されることから、この遷移領域T
に量子井戸構造が形成されることはないが、ベース層1
2の内部へ透過する光によって、このベース層12内に
形成された量子井戸層14の厚さ寸法の大きな部分14
bで長波長側光によりキャリアを有効に生成し、厚さ寸
法の小さな部分14aでこのキャリアを有効電流として
効果的に取り出すことができる。従って、第3具体例の
太陽電池10によっても、優れた変換効率を得ることが
できる。
【0031】p型領域またはn型領域に量子井戸層を形
成する場合も、多数の量子井戸を有する多重量子井戸構
造を採用することができ、また量子井戸層を表面層であ
る窓層16に形成することができる。
【0032】各具体例では、各層11〜16の厚さ寸法
を記載したが、これらの値は一例に過ぎず、適宜選択す
ることができる。また、半導体材料として、pn接合を
構成する半導体材料として、Al0.2 Ga0.8 Asを採用し、
量子井戸層としてGaAsを採用した例について説明した
が、それぞれ異なるバンドギャップエネルギーの半導体
材料を適宜組み合わせて用いることができる。そのよう
な組み合わせの一例として、InP/InGaAs、A
x Ga1-xAs/Aly Ga1ーy As(ここでx>
y)、InGaP/GaAs、GaAs/InGaAs
等の組み合わせがある。また、各結晶層の成長方法は、
減圧MOCVD法に限らず、MBE(分子線エピタキ
シ)法、ハイドライド気相成長法等を適宜選択すること
ができる。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、以上に説明したよう
に、量子井戸構造を規定する量子井戸層の厚さ寸法を部
分的に異ならせることにより、その厚さ寸法の大きな部
分で長波長側の光を吸収してキャリアを生成させること
ができ、厚さ寸法の小さな部分で量子井戸内のキャリア
を有効電流として取り出すことができることから、太陽
電池の変換効率を高めることができる。また、本発明に
よれば、共鳴トンネル効果に必要とされたような量子井
戸層をその全面に亘って同一厚さ寸法に正確に制御する
必要はなく、複数の量子井戸層を用いる場合において
も、各量子井戸層間でそれぞれの厚さ寸法が大きな問題
となることはなく、比較的容易に凹凸を有する量子井戸
層を形成することができることから、変換効率に優れた
太陽電池を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1具体例を示す太陽電池の縦断面で
ある。
【図2】図1に示した量子井戸層を概略的に示す斜視図
である。
【図3】図2に示した量子井戸層の他の例を示す図2と
同様な図面である。
【図4】本発明に係る量子井戸層のエネルギーバンド構
造を示す説明図である。
【図5】本発明の第2具体例を示す図1と同様な図面で
ある。
【図6】本発明の第3具体例を示す図1と同様な図面で
ある。
【符号の説明】
10 太陽電池 14 量子井戸層 14a 厚さ寸法の小さな部分 14b 厚さ寸法の大きな部分 W 量子井戸

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エネルギーバンド構造に量子井戸を規定
    する量子井戸層が形成された半導体材料からなる太陽電
    池であって、前記量子井戸層は、同一面における厚さ寸
    法を部分的に異にすることを特徴とする太陽電池。
  2. 【請求項2】 前記量子井戸層の厚さ寸法の大きな部分
    は、主として、前記量子井戸層を除く部分で吸収される
    光よりも長波長側の光の吸収により前記量子井戸でキャ
    リアを生成する作用を担い、前記量子井戸層の厚さ寸法
    の小さな部分は、前記量子井戸から前記キャリアを脱出
    させるに充分に高い量子準位を規定し、主として、前記
    量子井戸の前記キャリアを前記量子井戸から脱出させる
    作用を担うことを特徴とする請求項1記載の太陽電池。
  3. 【請求項3】 前記量子井戸層と同様な量子井戸層が積
    層された多重量子井戸構造を呈する太陽電池であって、
    互いに隣り合う前記量子井戸層間でそれぞれの前記厚さ
    寸法の大きな部分が、積層方向と直角な方向へ相互にず
    れを以て配置されていることを特徴とする請求項2記載
    の太陽電池。
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