JP3877348B2 - 太陽電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体材料からなるpn接合で構成された太陽電池に関し、特に、量子井戸構造を有する太陽電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
Siのような元素半導体に比較して、例えば、GaAsのような化合物半導体は、そのバンドギャップエネルギーが太陽光線のスペクトル分布から見て最適値に近いことから、効率の高い太陽電池を得る上で有利である。このことから、化合物半導体の結晶成長技術の向上に伴い、太陽電池の半導体材料として、化合物半導体が多用されつつある。
【0003】
このような化合物半導体のpn接合からなる太陽電池の変換効率のさらなる向上のために、使用する半導体材料の種類によって決まる所定のバンドギャップ波長よりも長波長側の光を吸収して、これを電流に変換するための量子井戸構造を太陽電池に採用することが提案されている。
量子井戸構造では、エネルギーバンド構造で見て、所定のバンドギャップエネルギーより小さなバンドギャップエネルギーの量子井戸が、量子井戸層により規定される。この量子井戸で、所定のバンドギャップ波長の光よりも小さなエネルギーを有する長波長側の光を吸収することができる。このことから、所定のバンドギャップ波長の光よりも高いエネルギーを有する光の吸収で励起されたキャリアに加えて、長波長側の光の吸収によっても、量子井戸で電子および正孔のようなキャリアが生成される。
【0004】
そのため、理論上は、量子井戸構造を有する太陽電池は、量子井戸構造を有しないものよりも高い効率を示すはずであるが、それより低い効率しか得られていないのが現状である。
その理由として、伝導帯を電極へ向けて流れる電子あるいは価電子帯を電極へ向けて流れる正孔のようなキャリアが、量子井戸構造の井戸に落ち込み、また、この量子井戸に落ち込んだキャリアおよび量子井戸で生成されたキャリアの大多数が、量子井戸構造の障壁を越えて電極に到達することなく、すなわち電流として機能することなく、量子井戸内で再結合して消滅すると考えられる。
【0005】
このような量子井戸でのキャリアの消滅を低減させるために、例えば、J. Appl. Phys.67(7)p3490〜3493、1、April 、1990にK. W. J. Barnham氏等により、多重量子井戸構造に共鳴トンネリング効果を導入することが提案された。
共鳴トンネリング効果とは、複数の量子井戸の量子順位を同一にすることにより、キャリアが各障壁を貫通して流れる現象であり、多数の量子井戸層の厚さ寸法を正確に制御することができれば、この共鳴トンネリング効果によって、量子井戸でのキャリアの消滅を低減できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、複数の量子井戸層のそれぞれをその全面に亘って所定の厚さ寸法に正確に制御することは極めて困難であり、このような共鳴トンネリング効果を得ることのできる多重量子井戸構造の太陽電池を容易に製造することはできない。
そこで、本発明は、比較的製造が容易でありかつ変換効率に優れた、量子井戸構造を有する太陽電池を提供することを企図する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
〈構成〉
ために、本発明は、エネルギーバンド構造に量子井戸を規定する量子井戸層が形成された半導体材料からなる太陽電池であって、量子井戸層の厚さ寸法を量子井戸層の面内で部分的に異ならせたことを特徴とする。
【0008】
〈作用〉
量子井戸層のバンドギャップエネルギーは、この量子井戸層を規定する半導体材料に固有の値となるが、この量子井戸層の厚さ寸法を小さくすれば、その厚さ寸法に応じて、井戸内の実質的な底となる量子準位が形成される。この量子準位は、厚さ寸法が小さいほど高くなる。従って、量子井戸層の厚さ寸法を部分的に異ならせることにより、量子準位を構成する比較的厚さ寸法の小さい部分と、従来の量子井戸層におけると同様な長波長側の光を吸収する比較的厚さ寸法の大きな部分とを形成することができる。
【0009】
これにより、量子井戸層の比較的厚さ寸法の大きな部分において、従来の量子井戸層におけると同様に、量子井戸層を除く部分で吸収される光よりも長波長側の光を吸収してキャリアを生成させることができる。また、この量子井戸で生成されあるいはこの量子井戸に落ち込んだキャリアを量子井戸層の量子準位が高い厚さ寸法の小さな部分を経て、量子井戸から脱出させることができる。
その結果、量子井戸で生成されあるいは量子井戸に捕獲されたキャリアが量子井戸内で再結合により消滅する確率は低減し、量子井戸内のキャリアを有効に電流として取り出すことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態について詳細に説明する。
〈具体例1〉
図1は、本発明の具体例1に係る太陽電池の縦断面図である。
太陽電池10は、基板11上に形成されるベース層12と、ベース層12上に形成されるエミッタ層13と、両層12および13間に挿入された量子井戸層14とを備える。
【0011】
図の例では、基板11として、n型GaAsが用いられており、基板11上のベース層12として、n型Al0.2 Ga0.8 As(キャリア密度:2×1017個/cm3 、膜厚:3μm)が用いられている。エミッタ層13として、p+ 型Al0.2 Ga0.8 As(キャリア密度:2×1018個/cm3 、膜厚:0.5μm)が用いられている。また、図示の例では、基板11とベース層12との間には、n+ 型Al0.4 Ga0.6 As(キャリア密度:2×1018個/cm3 、膜厚:0.3μm)からなる従来よく知られたBSF(バックサーフェイス)層15が挿入されている。エミッタ層13の表面には、p+ 型Al0.8 Ga0.2 As(キャリア密度:2×1018個/cm3 、膜厚:0.02μm)からなる従来よく知られた窓層16が形成されており、窓層16によるヘテロフェイス構造が採用されている。
【0012】
ベース層12およびエミッタ層13間に挿入された量子井戸層14は、図示の例では、真性GaAs層からなる。
この真性GaAs層からなる量子井戸層14は、ベース層12およびエミッタ層13を構成するn型Al0.2 Ga0.8 Asおよびp+ 型Al0.2 Ga0.8 Asの禁制帯バンドギャップエネルギーEg(1.67eV)に比較して、より小さな値のバンドギャップエネルギーEg1 (1.55eV)を示し、pn接合部のエネルギーバンド構造に、後に述べる量子井戸を規定する。
【0013】
量子井戸層14は、その全面に亘って均一な厚さ寸法を示すことはなく、部分的に厚さ寸法を異にする。図1に示す例では、量子井戸層14は、その下面が平坦に形成され、その上面が凹凸を呈するように形成されている。これにより、量子井戸層14は、厚さ寸法の小さな部分14aと、これよりも厚さ寸法の大きな部分14bとから構成されている。
厚さ寸法の小さな部分14aは、高い量子準位を形成するに充分に薄い厚さ寸法、例えば5〜500A°を有する。他方、厚さ寸法の大きな部分14bは、これよりも大きな、光を吸収するに充分な厚さ寸法、例えば0.2μmを有する。
【0014】
図2は、量子井戸層14を概略的に示す斜視図であり、図3は量子井戸層14の他の例を示す図2と同様な図面である。
量子井戸層14の各厚さ寸法の大きな部分14bは、図2に示されているように、ほぼ矩形の平面形状を有する。これら多数の厚さ寸法の大きな部分14bが、厚さ寸法の小さな部分14a上で、縦横方向に互いに間隔をおいて格子状にほぼ整列して形成されている。
厚さ寸法の大きな部分14bを格子状に配置することに代えて、図3に示されているように、厚さ寸法の大きな部分14bを長尺状に連続的して形成し、厚さ寸法の大きな部分14bおよび厚さ寸法の小さな部分14aが一方向へ交互に位置するように配置することができる。
このような厚さ寸法の小さな部分14aおよび厚さ寸法の大きな部分14bの形状および配置は、後述する量子井戸層14の製造方法等に応じて種々の形態を適用することができる。
【0015】
再び図1を参照するに、基板11上のBSF層15、ベース層12、エミッタ層13および窓層16は、例えば、主原料として、トリメチルガリュウム『(CH33 Ga』、トリメチルアルミニウム『(CH33 Al』およびアルシン『AsH3 』を用い、キャリアガスとして水素ガスを用い、700℃、100Torrの減圧下で行う減圧MOCVD(有機金属気相エピタキシ)法により、形成することができる。p型およびn型のドーパンドとして、それぞれ『(CH32 Zn』および『Si26 』が用いられた。
【0016】
ベース層12およびエミッタ層13間の量子井戸層14は、例えば、次のような島状成長を利用して形成することができる。
前記したMOCVD法により形成されたベース層12上に、同様なMOCVD法により例えば厚さ50A°のほぼ一様な厚さ寸法の真性GaAs層を形成する。このMOCVD法により形成された真性GaAs層の一部分は、厚さ寸法の小さな部分14aを構成する。この真性GaAs層上に、厚さ寸法の大きな部分14bを構成するために、GaAs結晶を島状に成長させる。
このGaAs結晶の島状成長のために、例えばドロップエピタキシー法を適用できる。ドロップエピタキシー法では、MOCVD法により形成された一様な厚さ寸法の真性GaAs層上に、600℃のトリメチルガリュウムを供給することにより、Gaを液状に滴下させる。このGa液滴にアルシンを供給することにより、GaとAsとが結合し、その結果、MOCVD法により形成された真性GaAs層上に、真性GaAsの微結晶が島状に形成される。一様な厚さ寸法の真性GaAs層上に形成されたGaAsの微結晶は、この真性GaAs層と共に、量子井戸層14の、例えば0.2μmの厚さ寸法を有する厚さ寸法の大きな部分14bを形成する。
【0017】
この量子井戸層14の形成後、量子井戸層14の上に、前記したようなMOCVD法により、エミッタ層13および窓層16が順次形成され、基板11上への各層12〜16の形成後、窓層16には、電極のためのコンタクト層19として、p+ 型GaAs(キャリア密度:2×1019個/cm3 、膜厚:0.3μm)が形成される。このコンタクト層19上に、従来よく知られたフォトリソグラフィー法等により、表面電極20が形成され、また基板11の裏面には裏面電極21が形成される。さらに、窓層16の露出面を覆う反射防止膜22が形成され、これにより量子井戸構造を有する太陽電池10が完成する。
【0018】
図4は、第1具体例に係る太陽電池10のエネルギーバンド構造の説明図である。
図4に記載されたEcは伝導帯を示し、Evは価電子帯を示す。ベース層12およびエミッタ層13により構成されるn型領域とp型領域との間の遷移領域Tには、ベース層12およびエミッタ層13のバンドギャップエネルギーEg(1.67eV)より小さな値のバンドギャップエネルギーEg1 (1.55eV)を有する量子井戸層14により量子井戸Wが規定される。
量子井戸Wの底は、この量子井戸Wを構成する量子井戸層14のバンドギャップエネルギーEg1 により規定されるが、量子井戸層14は、その厚さ寸法に応じた量子準位L1 およびL2 を量子井戸W内に形成する。
【0019】
図4(A)は、量子井戸層14の厚さ寸法の小さな部分14aにおけるエネルギーバンド構造を示し、図4(B)は、厚さ寸法の大きな部分14bにおけるエネルギーバンド構造を示す。図4に示す例では、厚さ寸法の小さな部分14aおよび厚さ寸法の大きな部分14bの両者共、量子準位L1 またはL2 をそれぞれ形成する。
この両者のうち、厚さ寸法の小さな部分14aが形成する量子準位L1 は、図4(A)に示されるように、量子井戸Wの底から離れた比較的高い位置に形成される。他方、厚さ寸法の大きな部分14bが形成する量子準位L2 は、図4(B)に示されるように、量子井戸Wの底の近傍に形成される。
【0020】
この量子準位L2 が量子井戸Wの底近傍に形成される厚さ寸法の大きな部分14bでは、バンドギャップエネルギーが実質的に大きく変化することはなく、厚さ寸法の大きな部分14bは、ほぼそのバンドギャップエネルギーEg1 に対応する光を効率的に吸収してキャリアを発生させる。
他方、量子準位L1 が量子井戸Wの底から離れた位置に形成される厚さ寸法の小さな部分14aでは、この量子準位L1 により、量子井戸Wの実質的な底上げが行われる。その結果、量子井戸W内のキャリアは、この厚さ寸法の小さな部分14aを経て、量子井戸Wから脱出し易くなり、キャリアの量子井戸Wから脱出する確率が高められる。
【0021】
本発明に係る第1具体例の太陽電池10では、反射防止膜22を通して入射した太陽光は、ベース層12、量子井戸層14およびエミッタ層13で吸収される。
ベース層12のn領域およびエミッタ層13のp領域では、従来の太陽電池におけると同様に、この光の吸収に応じてキャリアである電子と正孔とが生成され、それぞれ内部電界によって電子は裏面電極21へ、また正孔は表面電極20へと、それぞれ対応する電極21および20へ向けて拡散する。
BSF層15および窓層16は、従来よく知られているように、電極20および21へ向けて拡散するキャリアのそれぞれエミッタ層13の表面およびベース層12の背面での表面再結合による消滅を防止し、これにより変換効率の低下を防止する作用をなす。
【0022】
また、量子井戸層14の厚さ寸法の大きな部分14bは、p領域(13)およびn領域(12)で吸収できない長波長側の光を吸収する。この長波長側の光の吸収により、厚さ寸法の大きな部分14bでは、キャリアである電子と正孔とが生成される。
量子井戸層14には、厚さ寸法の大きな部分14bで生成されたキャリアに加えて、電極20または21へ向けて拡散するキャリアが捕獲されることがあるが、この量子井戸層14の厚さ寸法の小さな部分14aには、量子井戸Wの実質的な底上げの作用をなす量子準位L1 が形成されていることから、量子井戸W内のキャリアは、この量子井戸層14の厚さ寸法の小さな部分14aを経て、比較的高い確率で早期に量子井戸Wから脱出することができる。量子井戸Wから脱出したキャリア電子は、ベース層12へ向け、また量子井戸から脱出したキャリア正孔はエミッタ層13へ向けて、それぞれ拡散され、有効電流として利用される。
【0023】
その結果、従来の量子井戸構造の太陽電池におけるような量子井戸でのキャリアの再結合による消滅の頻度を大きく低減することができ、量子井戸内で生成され、あるいはこの量子井戸に落ち込むキャリアを電流として有効に利用することができることから、太陽電池10の効率は、従来に比較して大きく改善され、高い光電気変換効率が得られる。
【0024】
また、太陽電池10の構造では、量子井戸層14を凹凸状に形成することにより、従来のように量子井戸層を高い精度で均一の厚さに制御する必要はなくなることから、比較的容易に所望の量子井戸層を形成することができ、これにより、比較的容易に、高い変換効率を示す太陽電池を得ることができる。
【0025】
〈具体例2〉
図5は、本発明の第2具体例を示す太陽電池10の縦断面図である。
図5に示す太陽電池10では、3つの量子井戸層14が形成されており、図1に示したと同一の機能を果たす構成部分には、図2におけると同様の参照符号が付されている。
第2の具体例に係る太陽電池10では、ベース層12と、エミッタ層13との間の遷移領域Tに、多重量子井戸構造として、3つの量子井戸層14が形成されており、各量子井戸層14の構成は、図1に示した第1具体例におけると同様に、真性GaAs層18からなる。各量子井戸層14間には、真性Al0.2 Ga0.8 As層23(アンドープ、膜厚:500A°)が配置されており、真性Al0.2 Ga0.8 As層23は、ベース層12およびエミッタ層13と同一のバンドギャップエネルギーEgを持つ。この真性Al0.2 Ga0.8 As層23は、第1具体例で説明したと同様な減圧MOCVD法で形成することができ、その膜厚は、これを適宜選択することができる。
【0026】
各量子井戸層14は、隣接する量子井戸層14間で、それぞれの厚さ寸法の大きな部分14bが積層方向である縦方向と直角な横方向に相互にずれるように、すなわち隣接する量子井戸層14でそれぞれの厚さ寸法の大きな部分14bが互いに重なり合わないように、相互にずれを以て配置されている。
このずれは、長波長側の光を吸収してキャリアを生成する作用をなす厚さ寸法の大きな部分14bが互いに重複することを防止し、それぞれの厚さ寸法の大きな部分14bで、より有効に光りを吸収することを可能とする。これにより、厚さ寸法の大きな部分14bが相互にずれを以て配置された多重量子井戸構造は、長波長側光により量子井戸層14で励起されるキャリアの総数を増大させることから、この増大分に応じた変換効率の向上が期待できる。
【0027】
第1および第2の具体例では、量子井戸層14をpn接合の遷移領域Tに形成した例について説明したが、本発明に係る量子井戸層14を遷移領域Tに形成することに代えて、反射防止膜22を経る太陽光が透過する範囲内で、p型領域あるいはn型領域の内部に形成することができる。
【0028】
〈具体例3〉
図6は、本発明の第3具体例を示す図1および図5と同様な図面であり、量子井戸層14をn型領域を構成するベース層12内に形成した例を示す。
第3の具体例に係る太陽電池10では、先に述べたと同様な減圧MOCVD法で各層を形成することができる。すなわち、基板11上にBSF層15を形成後、ベース層12の下部12aが形成される。この下部12a上に、厚さ寸法の小さな部分14aとこの部分14aよりも厚さ寸法の大きな部分14bとから構成されている量子井戸層14が、形成される。
【0029】
この量子井戸Wが遷移領域Tに形成された第1および第2の具体例では、量子井戸層14はアンドープの真性GaAs半導体層で構成されたが、n型領域に量子井戸層14が形成される第3具体例では、量子井戸層14を構成するGaAs層は、n型とすることが好ましい。
従って、p型領域に量子井戸層14を形成する場合は、この量子井戸層14を構成するGaAs層として、p型GaAsが採用される。
【0030】
量子井戸層14の形成後、ベース層12の上部12bが形成され、さらにその上に、エミッタ層13が形成され、その後、窓層16、コンタクト層19、電極20および21が形成され、太陽電池10が完成する。
この第3具体例に係る太陽電池10では、ベース層12の上部12bと、その上のエミッタ層13との接合部に遷移領域Tが形成されることから、この遷移領域Tに量子井戸構造が形成されることはないが、ベース層12の内部へ透過する光によって、このベース層12内に形成された量子井戸層14の厚さ寸法の大きな部分14bで長波長側光によりキャリアを有効に生成し、厚さ寸法の小さな部分14aでこのキャリアを有効電流として効果的に取り出すことができる。
従って、第3具体例の太陽電池10によっても、優れた変換効率を得ることができる。
【0031】
p型領域またはn型領域に量子井戸層を形成する場合も、多数の量子井戸を有する多重量子井戸構造を採用することができ、また量子井戸層を表面層である窓層16に形成することができる。
【0032】
各具体例では、各層11〜16の厚さ寸法を記載したが、これらの値は一例に過ぎず、適宜選択することができる。また、半導体材料として、pn接合を構成する半導体材料として、Al0.2 Ga0.8 Asを採用し、量子井戸層としてGaAsを採用した例について説明したが、それぞれ異なるバンドギャップエネルギーの半導体材料を適宜組み合わせて用いることができる。
そのような組み合わせの一例として、InP/InGaAs、Alx Ga1-x As/Aly Ga1ーy As(ここでx>y)、InGaP/GaAs、GaAs/InGaAs等の組み合わせがある。
また、各結晶層の成長方法は、減圧MOCVD法に限らず、MBE(分子線エピタキシ)法、ハイドライド気相成長法等を適宜選択することができる。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、以上に説明したように、量子井戸構造を規定する量子井戸層の厚さ寸法を部分的に異ならせることにより、その厚さ寸法の大きな部分で長波長側の光を吸収してキャリアを生成させることができ、厚さ寸法の小さな部分で量子井戸内のキャリアを有効電流として取り出すことができることから、太陽電池の変換効率を高めることができる。
また、本発明によれば、共鳴トンネル効果に必要とされたような量子井戸層をその全面に亘って同一厚さ寸法に正確に制御する必要はなく、複数の量子井戸層を用いる場合においても、各量子井戸層間でそれぞれの厚さ寸法が大きな問題となることはなく、比較的容易に凹凸を有する量子井戸層を形成することができることから、変換効率に優れた太陽電池を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1具体例を示す太陽電池の縦断面である。
【図2】図1に示した量子井戸層を概略的に示す斜視図である。
【図3】図2に示した量子井戸層の他の例を示す図2と同様な図面である。
【図4】本発明に係る量子井戸層のエネルギーバンド構造を示す説明図である。
【図5】本発明の第2具体例を示す図1と同様な図面である。
【図6】本発明の第3具体例を示す図1と同様な図面である。
【符号の説明】
10 太陽電池
14 量子井戸層
14a 厚さ寸法の小さな部分
14b 厚さ寸法の大きな部分
W 量子井戸

Claims (3)

  1. エネルギーバンド構造に量子井戸を規定する量子井戸層が形成された半導体材料からなる太陽電池であって、前記量子井戸層は、同一面における厚さ寸法を部分的に異にすることを特徴とする太陽電池。
  2. 前記量子井戸層の厚さ寸法の大きな部分は、主として、前記量子井戸層を除く部分で吸収される光よりも長波長側の光の吸収により前記量子井戸でキャリアを生成する作用を担い、前記量子井戸層の厚さ寸法の小さな部分は、前記量子井戸から前記キャリアを脱出させるに充分に高い量子準位を規定し、主として、前記量子井戸の前記キャリアを前記量子井戸から脱出させる作用を担うことを特徴とする請求項1記載の太陽電池。
  3. 前記量子井戸層と同様な量子井戸層が積層された多重量子井戸構造を呈する太陽電池であって、互いに隣り合う前記量子井戸層間でそれぞれの前記厚さ寸法の大きな部分が、積層方向と直角な方向へ相互にずれを以て配置されていることを特徴とする請求項2記載の太陽電池。
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