JPH09236715A - 光ファイバ用鞘材 - Google Patents

光ファイバ用鞘材

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JPH09236715A
JPH09236715A JP8068927A JP6892796A JPH09236715A JP H09236715 A JPH09236715 A JP H09236715A JP 8068927 A JP8068927 A JP 8068927A JP 6892796 A JP6892796 A JP 6892796A JP H09236715 A JPH09236715 A JP H09236715A
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淳 奥村
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誠 室
Kazumi Nakamura
一己 中村
Shoji Hayashi
省治 林
Kikue Irie
菊枝 入江
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  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い耐熱性と良好な機械的性質、ならびに優
れた透明性を有する光ファイバ用鞘材の提供。 【解決手段】 特定構造のラクトン化合物と、特定構造
の含フッ素化合物との共重合体で鞘材を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバ用鞘材
に関し、より詳しくはラクトン環構造を有するラクトン
化合物と含フッ素化合物との共重合体からなる光ファイ
バ用鞘材に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】光フ
ァイバによる光伝送は、大容量で電磁ノイズの影響を全
く受けないという特長を生かして通信媒体として広く用
いられている。実用化されている光の伝送体には、その
素材により石英系とプラスチック系に大別される。
【0003】市販されている石英系ファイバは、一般に
低損失で、広帯域であるという特長を生かして、長距離
の大容量通信幹線に用いられている。一方、プラスチッ
ク系は、大口径(500〜1000μm程度)、高開口
数(NA≒0.5)でありながら柔軟性に優れているこ
とを最大の特長としている。
【0004】しかし、石英系ファイバは広帯域である
が、同時に極めて受光面となるコア径が小さく、かつコ
アとクラッドの屈曲率差が小さいため、光源との位置関
係や入射角に対する許容範囲が狭く、周辺機器との結合
時のアラインメント(位置、角度あわせ)操作に労力を
要する。さらには、素材が石英であるため、受発光素子
との結合部分である端面処理も困難を伴う。このため上
記のような欠点を補うためにコア材に石英、クラッド材
にプラスチックを用いたプラスチッククラッド石英コア
ファイバも市販されているが、端面処理の困難さはさけ
られず、なおかつ柔軟性の改善も充分なものとは言えな
い。
【0005】一方、プラスチック光ファイバは大口径で
ありながら柔軟で取り扱い性がよく、結合のアラインメ
ントの許容範囲が広いので、接続が容易で高価な加工装
置、光学装置が不要である等の特長を生かして、データ
リンクなどの短距離通信やセンサー等への応用が浸透し
つつある。また今後、FA用、OA用などフロアー内外
の機器間LANのような施設網や加入者網(FTTH)
における末端配線など、接続点の多い近距離の低コスト
情報伝送線として期待されている。また、柔軟性に優れ
ているため振動する環境でも破損、折損や劣化が起きに
くく、この点でも石英系よりもはるかに優れ、自動車、
電車、飛行機などの移動帯中のネットワークなど信号伝
送線への応用も図られている。
【0006】このようなプラスチック光ファイバの芯材
としては、ポリメタクリル酸メチルが一般的であるが、
ポリメタクリル酸メチル自体の耐熱性は高々100℃程
度で、特に耐熱性が要求される用途ではポリカーボネー
ト、アモルファスポリオレフィン等が実用化されてい
る。
【0007】上記のようなプラスチック光ファイバの鞘
材に要求される特性としては、芯より低屈折率であり透
明性、機械的強度、芯材との密着性が良いこと等が挙げ
られ、フッ素原子を有するフッ化ビニリデン、トリフル
オロエチレン、テトラフルオロエチレン、フッ素化(メ
タ)アクリレート等の構造単位を有するホモポリマー、
コポリマー、ブレンドポリマーが用いられている。特
に、特開平1−223104号公報、特開平1−105
205号公報および特公平7−11605号公報に開示
されているフッ素化(メタ)アクリレートを含有する共
重合体は、透明性、機械的強度、芯材との密着性に優れ
ている。
【0008】しかし、機械的強度、芯材との密着性等の
点でフッ素化メタクリレート共重合体は、光ファイバ用
鞘材として優れているが、その耐熱性はポリメタクリル
酸メチル程度であり、近年、移動体用途の展開が期待さ
れるポリカーボネートやアモルファスポリオレフィンを
芯材とする耐熱タイプのプラスチック光ファイバへの使
用は困難である。このため、耐熱性の高いα−フルオロ
アクリル酸エステルを共重合させる試みもなされている
が、共重合体の透明性が低下し、光ファイバの伝送損失
を増大させるため光ファイバ用鞘材として十分な性質を
有しているとはいえない。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、高い耐熱
性と良好な機械的性質、ならびに優れた透明性を有する
光ファイバ用鞘材を得ることを目的として鋭意検討を進
めた結果、特定のラクトン化合物と含フッ素化合物の共
重合体が上記の目的を達成し得ることを見い出し本発明
を完成した。
【0010】すなわち本発明は、下記一般式(I)で表
わされるラクトン化合物(a)の少なくとも1種と、下
記一般式(II)で表わされる含フッ素化合物(b)の少
なくとも1種との共重合体からなることを特徴とする光
ファイバ用鞘材にある。
【化3】
【化4】
【0011】
【発明の実施の態様】本発明で用いられるラクトン化合
物(a)は、上記一般式(I)で示されるα−メチレン
−γ−ブチロラクトンおよびその誘導体である。α−メ
チレン−γ−ブチロラクトンは、α位にメチレン基を有
する5員環構造のラクトン化合物であり、構造的にはメ
タクリル酸メチルのα位の炭素とエステル結合している
メチル基の炭素とが結合し、環状化した構造を有するも
のである。ラクトン環構造を有する化合物は、生理活性
を有しているものも多く、医薬品の分野を中心として多
くの研究が行われており、その合成については、Ang
ew,Chem.Ed.Engl第24巻94頁(19
85年)、有機合成化学協会誌第39巻359頁(19
81年)等に記載されている。
【0012】本発明で用いられる上記一般式(I)で表
わされるラクトン化合物(a)において、置換基R1
2 の構造が嵩高くなると共に、共重合時の重合性が低
下し、得られる共重合体の耐熱性を低下させるようにな
るため、置換基R1 ,R2 は水素原子、メチル基、エチ
ル基から選択されるものが好ましい。このような化合物
としては、α−メチレン−γ−ブチロラクトン、α−メ
チレン−4−エチル−ブチロラクトン、α−メチレン−
4,4−ジメチル−γ−ブチロラクトン等が挙げられ
る。
【0013】また、本発明で用いられる含フッ素化合物
(b)は、上記一般式(II)で表わされるフッ素アルキ
ル基を有するビニル系エステル化合物である。この化合
物は上記一般式(II)において置換基R4 の構造が嵩高
くなると共重合時の重合性、共重合体の耐熱性が低下す
ることから、置換基R4 は炭素数が1〜12の含フッ素
アルキル基であることが好ましい。ここでいう炭素数1
〜12の含フッ素アルキル基とは、構造式Cnm
2n+1-m(mは1〜12までの整数、mは1〜2n+1ま
での整数)で表わされるものであり、その形状は直鎖状
であっても、分岐を有していてもよく、フッ素原子の含
有数、存在位置についても限定されるものではない。
【0014】上記一般式(II)で示される含フッ素化合
物(b)としては、例えば(メタ)アクリル酸2,2,
2トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸2,2,
3,3−テトラフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸
2,2,3,3−ペンタフルオロプロピル、(メタ)ア
クリル酸2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフル
オロペンチル、(メタ)アクリル酸2−(パーフルオロ
オクチル)エチル、αフルオロアクリル酸2,2,2−
トリフルオロエチル、αフルオロアクリル酸2,2,
3,3−テトラフルオロプロピル、αフルオロアクリル
酸2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、αフ
ルオロアクリル酸2,2,3,3,4,4,5,5−オ
クタフルオロペンチル等が挙げられる。これらの中では
メタクリル酸2−(パーフルオロオクチル)エチルは、
機械特性向上の点から本発明においては特に好ましい。
【0015】本発明の鞘材を構成する共重合体は、上記
のラクトン化合物(a)と含フッ素化合物(b)のそれ
ぞれを1種または2種以上を用いて構成される。共重合
体の共重合組成は特に限定されないが、耐熱性の点から
ラクトン化合物(a)を共重合体中15重量%以上含有
するようにすることが好ましく、さらに好ましくは20
重量%以上である。含フッ素化合物(b)については、
所望の屈折率、機械強度、耐熱性から適宜選択し、組み
合わせて使用することが可能である。
【0016】さらに、共重合体の耐熱性、力学的性質、
光学的性質などを損なわない範囲で他の化合物を共重合
化させてもよい。特に親水性の(メタ)アクリル酸を共
重合させることで共重合体のフッ素原子による撥水、撥
油性を低下させることができ、芯材との密着性が向上
し、耐熱分解性も向上させることができる。
【0017】鞘材を共重合により得る場合、その重合方
法は特に限定されないが、ラジカル重合による方法が好
ましい。また、ラジカル重合の重合様式については、溶
液、塊状、懸濁、乳化など重合様式を用いることができ
るが、低損失化の観点から塊状重合が最適である。重合
開始剤としては、重合時に副反応や着色等の悪影響を及
ぼさないものであれば、特に限定されるものではなく、
重合様式、重合温度、重合率、重合時間に応じて任意に
選択でき、複数種の重合開始剤を併用して用いてもよ
い。重合開始剤の例としては、2,2′−アゾビス(イ
ソブチロニトリル)、1,1′−アゾビス(シクロへキ
サンカルボニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−
ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物、ベンゾイ
ルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、ジクミル
パーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド
等を挙げることができる。
【0018】また、重合時において分子量を調節する目
的で連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤としては、
重合時に副反応や着色等の悪影響を及ぼさないものであ
れば、特に限定されず、目的とする分子量に対して任意
に選択でき、複数種の連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖
移動剤の例としては、n−ブチルメルカプタン、イソブ
チルメルカプタン、tert−ブチルメルカプタンなど
の第一級、第二級、第三級メルカプタン、チオグリコー
ル酸および、そのエステルなどが挙げられる。
【0019】重合温度は、使用する重合開始剤、および
重合形式により一概には決められないが、50〜150
℃の範囲で行なうことが好ましい。
【0020】本発明の鞘材を用いることのできる光ファ
イバの芯材としては、鞘材よりも大きな屈折率を有して
いる材料であれば石英であっても、メタクリル樹脂、ポ
リカーボネート、アモルファスポリオレフィンなどのプ
ラスチック性のものでもかまわないが、プラスチックを
芯材とするものが好適である。
【0021】本発明の鞘材を用いて光ファイバを製造す
る方法としては特には、限定されないが、例えばファイ
バ状に賦形した芯材に本発明の鞘材を構成する共重合体
を溶融状態で塗布する方法、あるいは本発明の鞘材を構
成する共重合体を溶剤に溶解させた溶液を芯材に塗布し
た後溶剤を除去する方法等が挙げられる。また、ポリメ
タクリル酸メチル、ポリカーボネートなどの熱可塑性プ
ラスチックを芯材とする場合には、同心円状ノズルを用
いた複合紡糸法により製造することもできる。
【0022】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明する。実施例および比較例における部は重量部を示
す。
【0023】[実施例1]10部のナトリウムエトキシ
ドを分散させた100部の無水テトラヒドロフラン中に
シュウ酸ジエチル25部を加えた後、15℃以下でγ−
ブチロラクトン15部を滴下し、終夜放置した。この反
応液中にホルムアルデヒドを吹き込み、溶媒を留去した
後エーテル抽出を行なった。このエーテル相を飽和炭酸
ナトリウム水溶液と混合し、1時間撹拌した。その後溶
媒を留去し、残渣をビグリュー管を付けて減圧蒸留する
ことによりα−メチレン−γ−ブチロラクトンを得た
(GLC純度99%以上)。
【0024】このα−メチレン−γ−ブチロラクトン2
0部、メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル5
0部、メタクリル酸2−(パーフルオロオクチル)エチ
ル30部からなるモノマー溶液に対して0.1部の2,
2′−アゾビスイソブチロニトリルおよびn−オクチル
メルカプタン0.03部を添加した混合溶液を反応温度
65℃、反応時間12時間の条件で塊状重合した後、さ
らに、120℃で8時間重合して共重合体を得た。この
重合体を230℃にてプレス成形し、ナトリウムのD線
を用いて25℃での屈折率nD を測定したところ1.4
04であり、また、動的粘弾性測定から求めたガラス転
移温度は118℃であった。
【0025】次に、この重合体を鞘材とし、ポリカーボ
ネートを芯材として、同心円状複合ノズルを用いてコア
径980μm、ファイバ径1mmの光ファイバを作製し
た。この光ファイバの伝送損失は670dB/km(測
定法:50m−5mカットバック法、波長770nm)
であり、120℃、1000時間熱処理した後の損失増
加は20dBであった。また、直径10mmのマンドル
に15mのファイバを100回巻き付けたときの透過光
量の保持率は71%であった。
【0026】[実施例2]37%ホルマリン水溶液50
部、アクリル酸メチル70部、および1,4−ジアザビ
シクロ[2,2,2]−オクタン30部を1,2−ジメ
トキシエタン200部に溶解させ、室温で50時間撹拌
した後、反応液から有機相を分離し、α−ヒドロキシメ
チルアクリル酸メチルを得た。
【0027】次いで、このα−ヒドロキシメチルアクリ
ル酸メチルを6倍量の無水エーテル溶液で希釈し、三臭
化リン20部を氷浴下で滴下し、室温で3時間撹拌し
た。反応終了後水を加え有機相を分離し、α−ブロモメ
チルアクリル酸メチルを得た。
【0028】次いで、このα−ブロモメチルアクリル酸
メチルを3倍量の無水テトラヒドロフランで希釈した溶
液を、亜鉛7部、アセトン25部を添加してなる100
部の無水テトラヒドロフラン溶液に滴下した。滴下終了
後3時間撹拌して10%の塩酸水溶液中に注ぎ、有機相
をよく水洗した後硫酸ナトリウム上で脱水し、減圧留去
後、α−メチレン−4,4−ジメチル−γ−ブチロラク
トンを得た。(GCL純度99%以上)
【0029】このα−メチレン−4,4−ジメチル−γ
−ブチロラクトン29.5部、メタクリル酸2,2,2
−トリフルオロエチル30部、メタクリル酸2−(パー
フルオロオクチル)エチル40部、メタクリル酸0.5
部からなるモノマー溶液に対して0.1部の2,2′−
アゾビスイソブチロニトリルおよびn−オクチルメルカ
プタン0.03部を添加した混合溶液を反応温度65
℃、反応時間12時間の条件で塊状重合した後、さらに
120℃で8時間重合した。この重合体を230℃にて
プレス成形し、25℃での屈折率nD を測定したところ
1.418であり、また、動的粘弾性測定から求めたガ
ラス転移温度は109℃であった。
【0030】次いで、この重合体を鞘材とし、ポリカー
ボネートを芯材として、同心円状複合ノズルを用いてコ
ア径980μm、ファイバ1mmの光ファイバを作製し
た。この光ファイバの伝送損失は660dB/km(測
定法:50m−5mカットバック法、波長770nm)
であり、120℃、1000時間加熱処理した後の損失
増加は15dBであった。また、直径10mmのマンド
ルに15mのファイバを100回巻き付けたときの透過
光量の保持率は70%であった。
【0031】[比較例1]α−フルオロアクリル酸メチ
ル/α−フルオロアクリル酸2,2,2−トリフルオロ
エチル共重合体(15/85モル比)を鞘材とし、ポリ
カーボネートを芯材として、同心円状複合ノズルを用い
てコア径980μm、ファイバ径1mmの光ファイバを
作製した。この光ファイバの伝送損失は700dB/k
m(測定法:50m−5mカットバック法、波長770
nm)であり、120℃、1000時間熱処理した後の
損失増加は70dBであった。また、直径10mmのマ
ンドルに15mのファイバを100回巻き付けたときの
透過光量の保持率は69%であった。
【0032】
【発明の効果】本発明の光ファイバ用鞘材を用いること
により、耐熱性、機械的性質、低損失にすぐれた光ファ
イバを得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 省治 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社中央技術研究所内 (72)発明者 入江 菊枝 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社中央技術研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で表わされるラクトン
    化合物(a)の少なくとも1種と、下記一般式(II)で
    表わされる含フッ素化合物(b)の少なくとも1種との
    共重合体からなることを特徴とする光ファイバ用鞘材。 【化1】 【化2】
  2. 【請求項2】 含フッ素化合物(b)としてメタクリル
    酸2−(パーフルオロオクチル)エチルを共重合成分の
    少なくとも一部として含むことを特徴とする請求項1記
    載の光ファイバ用鞘材。
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