JP2871086B2 - 光ファイバクラッド材 - Google Patents

光ファイバクラッド材

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JP2871086B2 JP2339737A JP33973790A JP2871086B2 JP 2871086 B2 JP2871086 B2 JP 2871086B2 JP 2339737 A JP2339737 A JP 2339737A JP 33973790 A JP33973790 A JP 33973790A JP 2871086 B2 JP2871086 B2 JP 2871086B2
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、熱安定性に優れた低屈折率の光ファイバク
ラッド材に関するものである。
[従来の技術] 光ファイバは、一般にコアと該コアよりも低屈折率の
クラッドの2種の素材の組み合せで構成されている。
コアは、石英、多成分ガラスあるいはポリメチルメタ
クリレートに代表されるような透明性の優れた樹脂が使
用される。
一方、クラッドは、コア内部に光を閉じ込めておくた
めに、コア素材よりも低屈折率であることが必要であ
り、弗素含有樹脂が広く使用されている。
弗素含有樹脂としては、石英をコアとする光ファイバ
のクラッド材に、フルオロエチレン/フルオロプロピレ
ン共重合体(アプライド オプティック 14,156(197
5))や、ポリメチルメタクリレートを主体とした重合
体をコアとする光ファイバのクラッド材にフッ化ビニリ
デン/テトラフルオロエチレン共重合体(特公昭63−67
164号公報)のようなフルオロエチレン樹脂、あるいは
ヘキサフルオロアセトン/フッ化ビニリデン共重合体
(特開昭61−22305号公報)を使用したものが知られて
いる。
ところがこれらの樹脂は、機械特性、熱安定性や耐溶
剤性に優れる反面結晶性であり、透明性に劣ると云う問
題があった。特に溶融後急冷した場合や溶剤からキャス
トしたフィルムは、透明な状態で得られるものの、温度
の上昇とともに、結晶化が進行し、透明性が損なわれて
いくと云う重大な欠点を有している。
例えばポリメチルメタクリレートを主体とする重合体
をコアとし、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレ
ン共重合体をクラッドとするプラスチック光ファイバの
使用最高温度は約70℃であり、クラッド材の形態の変化
が影響しているためである。
この様に重合体賦形時の特殊な工夫で透明性が得られ
たとしても、使用時の熱などの刺激により、透明性が損
なわれるのである。
そのため、光ファイバの性能に重大な影響を及ぼすこ
とになり、光ファイバ用クラッド材としては充分満足で
きるものではなかった。
一方、光ファイバクラッド材の透明性を改良し、使用
温度を高めるために、フルオロアルキルメタクリレート
重合体が使用されている。
例えばポリメチルメタクリレートを主体とする重合体
をコアとする光ファイバのクラッド材に直鎖状のフルオ
ロアルキル基をもつ(メタ)アクリレート/メチルメタ
クリレート共重合体(特公昭43−8978号公報)、あるい
は長鎖のフルオロアルキルメタクリレート(40〜70重量
%)、短鎖のフルオロアルキルメタクリレート(20〜50
重量%)およびメチルメタクリレートとの三元共重合体
(特開昭62−265606号公報)が挙げられる。
ところがメタクリレート系重合体は、一般に無定形ポ
リマであり、透明性に優れると云う特徴を有しているも
のの、熱により重合体が分解すると云う欠点を有してい
る。このため、溶融押出時の粘度低下や、発泡を生じ易
く、安定して光ファイバが生産できないと云う問題があ
った。
熱安定性を改善するため、フルオロアクリレートとの
共重合(特開昭64−79704号公報)が試みられている。
フルオロアクリレートは、対応するフルオロメタクリレ
ートよりガラス転移温度(Tg)が低く、熱分解特性は改
善されるものの、重合体の耐熱性が低下すると云う問題
があり、充分満足するものではなかった。
[発明が解決しようとする課題] 本発明者らは,上記欠点のない光ファイバクラッド材
について鋭意検討した結果,本発明に到達した。
本発明の目的は、低屈折率でしかも熱安定性および耐
熱性の改良された光ファイバクラッド材を提供すること
にある。
[課題を解決するための手段] 本発明は次の構成を有する。
(1) 下記一般式[I]で表わされるフルオロアルキ
ルメタクリレート単位を70〜99.8重量%含有し、下記一
般式[II]で表わされるN−アルキルマレイミド単位も
しくはN−フルオロアルキルマレイミド単位を30〜0.2
重量%含有する共重合体から構成される光ファイバクラ
ッド材。
(式Iにおいて、R1はHまたはF,mは1または2,nは4か
ら10の整数を表す) (式IIにおいて、R2はメチル,エチル,プロピル,イソ
プロピル,ブチル,sec−ブチル,tert−ブチル,ヘキシ
ル,シクロヘキシルの群から選ばれるアルキル基もしく
はこれらからのフルオロアルキル基を表す) (2) 前記一般式[I]で表わされるフルオロアルキ
ルメタクリレート単位を70〜89.8重量%含有し、前記一
般式[II]で表わされるN−アルキルマレイミド単位も
しくはN−フルオロアルキルマレイミド単位を20〜0.2
重量%含有し、かつメチルメタクリレート単位を10〜2
9.8重量%含有する共重合体から構成される光ファイバ
クラッド材。
以下、本発明を詳細に説明する。
請求項1の光ファイバクラッド材は、前記一般式
[I]で表わされる前記フルオロアルキルメタクリレー
ト単位を70〜99.8重量%含有し、前記一般式[II]で表
わされるN−アルキルマレイミド単位もしくはN−フル
オロアルキルマレイミド単位を30〜0.2重量%含有する
共重合体から構成される。
一般に重合体の弗素含有率が高くなるにつれて低屈折
率となるが、フルオロアルキルメタクリレートはフルオ
ロアルキル基の弗素含有率を高めることにより低屈折率
化できる。
一方、フルオロアルキルメタクリレート単位が長鎖に
なると単独重合体のガラス転移温度が低下し、室温にお
いても粘着性があると云う欠点を有している。
本発明においては、低屈折率を維持するためには弗素
含有率が48重量%以上である。すなわち、フルオロアル
キル単位の弗素原子数が8以上である。これにより単独
重合体の屈折率は、1.39以下とすることができる。
一方、フルオロアルキル基の炭素数が11以上、弗素原
子数が22以上となると、単独重合体の透明性が著しく損
なわれるため使用することはできない。透明性が損なわ
れる理由としては、フルオロアルキル基の結晶化が起こ
りやすくなるためと考えられる。
そこで、本発明の光ファイバクラッド材には、N−ア
ルキルマレイミド単量体成分を0.2重量%以上共重合さ
せることが必要である。
しかし、N−アルキルマレイミド単位が30重量%を越
えると、重合体の可撓性が損なわれるため、クラッド材
として使用できない。
N−アルキルマレイミド単位を重合体の構成成分とす
ることにより、クラッド材のガラス転移温度を高めるこ
とと、熱分解を抑制するという二つの大きな作用があ
る。
これに対し、アクリレートを共重合成分として使用す
る従来法では、熱分解を抑制することはできるが、重合
体のガラス転移温度を低下させるという問題がある。
N−アルキルマレイミド単位成分含有の最も好ましい
範囲は、20重量%以下かつ1重量%以上である。
N−アルキル置換基は、メチル,エチル,プロピル,
イソプロピル,ブチル,sec−ブチル,tert−ブチル,ヘ
キシル,シクロヘキシルの群から選ばれるアルキル基も
しくはこれらからのフルオロアルキル基である。
このフルオロアルキル基としては、例えばトリフロオ
ロメチル,トリフルオロエチル,テトラフルオロプロピ
ル,ヘキサフルオロプロピルといったフルオロアルキル
基を使用することができる。
最も好ましいN−アルキル置換基としては、プロピ
ル,イソプロピル,ブチル,sec−ブチル,シクロヘキシ
ルである。
芳香族系のN−置換マレイミドは屈折率が高いこと、
および単量体が着色しやすいことから使用することはで
きない。
また、請求項2の本発明は、前記一般式[I]で表わ
される前記フルオロアルキルメタクリレート単位を70〜
89.8重量%含有し、前記一般式[II]で表わされるN−
アルキルマルイミド単位を20〜0.2重量%含有し、メチ
ルメタクリレート(以下MMAと略称)単位を10〜29.8重
量%含有する共重合体から構成される。
MMAは、共重合体に可撓性および、光ファイバ芯との
密着性を付与するのに有効である。MMA10重量%未満で
は、クラッド材に可撓性および密着性を付与するという
観点からの効果は十分でない。
N−アルキルマレイミドは、熱安定性と耐熱性を付与
するため必須成分であり、0.2重量%以上必要である。
すなわち、低屈折率で熱安定性に優れた重合体に耐熱
性を損なわずに可撓性および密着性を付与するため、MM
Aが10重量%〜29.8重量%構成単位として必要である。
なお本発明の光ファイバクラッド材は、前記一般式
[I]で表わされる前記フルオロアルキルメタクリレー
ト単位、前記一般式[II]で表わされるN−アルキルマ
レイミド単位およびMMA単位の他に、本発明の効果を妨
げない範囲において第三成分を含有することができる。
本発明において、重合体を製造するに際しては、ラジ
カル重合触媒及び必要に応じて分子量調節剤を用いて重
合させる。
重合方法は、塊状重合,懸濁重合,乳化重合あるいは
溶液重合が使用できる。
塊状重合、あるいは溶液重合においては、連続して重
合工程へ単量体混合物を供給して重合した後、揮発物除
去工程で揮発物を除去して重合体を製造する方法も好ま
しく使用することができる。
その際光ファイバ製糸工程に送り、芯と溶融同時押出
して光ファイバを製造することもできる。
本発明のクラッド材を使用した光ファイバは、被覆工
程において、ポリエチレン,ポリプロピレンまたはそれ
らの共重合体,あるいはブレンド品,有機シラン基を含
有するオレフィン系ポリマ,エチレン−酢酸ビニル,ポ
リ塩化ビニル,ポリ弗化ビニリデン,ナイロン樹脂,ポ
リエステル樹脂,ナイロンエラストマー,ポリエステル
エラストマーあるいはウレタンといった樹脂を被覆し、
コードとすることができる。被覆温度は240℃以下であ
れば、光ファイバの透光性能を損なうことなく、加工す
ることができる。
また、芯と溶融押出した後、クラッド材のガラス転移
温度以上の温度域でクラッド材を融着させ、シート状に
成形することもできる。
あるいは、多芯口金を用いて芯材が島,クラッド材が
海を形成する海島構造に押出すこともできる。
さらに本発明のクラッド材は、対溶剤性にも優れるた
め、さらに耐熱性に優れる樹脂溶液または接着性に富む
樹脂溶液あるいは着色染料や蛍光染料を含んだ溶液を塗
布し、塗膜を形成させることもできる。さらに光ファイ
バを織物にして概略面状発熱体に成形することも可能で
ある。
[作用] 本発明では、フルオロアルキルメタクリレートと、N
−アルキルマレイミドを共重合させることにより、以下
の作用を有する。
熱変形温度を高める。
熱および光による化学的安定性を向上させる。
透明性を向上させ、しかも低屈折率となる。
対溶剤性を向上させる。
可撓性を向上させ、芯との接着性を良好にする。
[実施例] 以下の実施例において使用した各単量体の略号と化学
組成の詳細を以下に示す。
(1) フルオロアルキルメタクリレートの単量体17F
M: (2) フルオロアルキルメタクリレートの単量体8FM: (3) フルオロアルキルメタクリレートの単量体4FM: (4) 単量体 CH−MID: N−シクロヘキシルマレイミド (5) 単量体 ipr−MID: N−イソプロピルマレイミド (6) 単量体 MMA: メチルメタクリレート 実施例1 単量体17FM 86.5重量部、 シクロヘキシルマレイミド 13.5重量部、 アゾビスイソブチルニトリル 0.01重量部、 n−ブチルメルカプタン 0.005重量部 をガラスアンプルに仕込み、溶存酸素を除去した後、封
管60℃16時間、100℃で8時間加熱し、重合を終えた。
ガラスアンプルから重合体を取り出し、液体窒素中で粉
砕した後、115℃で48時間真空乾燥を行ない重合体を得
た。
熱安定性試験として240℃で加熱し、10分後と60分後
の重合体粘度を測定し、10分後の粘度に対する60分後の
粘度保持率を求めた。
この重合体をクラッドとし、通常のポリメチルメタク
リレートを芯として、溶融同時押出しによる複合紡糸で
光ファイバを得た。
得られた光ファイバの外径は、1000μ,クラッドの厚
みは、9μであった。
光ファイバの耐熱性は、光ファイバ10mをオーブン中9
0℃に500時間加熱した後、赤色LEDを光源とした時の出
射光量を測定し、ブランクと比較することにより、光量
保持率を求め、評価した。
屈曲特性は、700gの荷重下で曲げ半径5mmで光ファイ
バを連続的に180゜屈曲させ、破断するまでの回数を測
定することにより、評価を行った。第1表にクラッド材
の特性と、クラッド材を用いた光ファイバの特性を示
す。
クラッド材の特性は、低屈折率で熱安定性に優れ、耐
熱性も問題ないクラツド材であった。
光ファイバの特性も透光性に優れ、耐熱性及び屈曲特
性に優れたものであった。
実施例2〜5 第1表に示す組成のクラッド材を実施例1と同様にし
て製造した。
第1表に示すようにクラッド材の特性及びクラッド材
を用いた光ファイバの特性ともに優れた結果を示した。
比較例1 実施例1で用いた17FMを単独で用いた以外は実施例1
と同様にして行ない、結果は第1表に示した。
クラッド材は240℃で60分加熱すると粘度が極端に低
下し、測定できなかった。ガラス転移温度はDSC(示差
走査熱量計)では検知されず50℃以上でタック性が発現
し、光ファイバクラッド材としては使用できないもので
あった。
比較例2 単量体として前記17FM(50重量%)及び前記ipr−MID
(50重量%)を用いた以外は実施例1と同様にして行な
い、結果は第1表に示した。
クラッド材はやや白濁しており、もろい重合体であっ
た。光ファイバとしての耐熱性は、優れるものの、透光
性能および屈曲性に劣り、光ファイバクラッド材として
は使用できないものであった。
比較例3 単量体として前記8FM(50重量%),前記4FM(30重量
%)及び前記MMA(20重量%)を用いた以外は実施例1
と同様にして行ない、結果は第1表に示した。
クラッド材は熱安定性が悪く発泡が認められる。光フ
ァイバの耐熱性および屈曲性ともに満足できるものでは
なかった。
[発明の効果] 本発明の光ファイバクラッド材は、弗素含有率が高い
従来の弗化アルキルメタクリレート系鞘材と比較し、熱
安定性が著しく向上するため、低屈折率のクラッドを有
する光ファイバを安定して製造することができる。従っ
て、芯鞘の屈折率差が大きくて開口数の高い光ファイバ
の安定した製造が可能となる。
また、熱分解で生じる残存モノマが極端に少ないた
め、長期耐熱性に優れる。
さらにまた、ガラス転移温度を高くできるため、より
高温でも粘着性が発現せず従来の光ファイバの使用温度
を上回ることができる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−235817(JP,A) 特開 昭61−121005(JP,A) 特開 平3−107105(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02B 6/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式[I]で表わされるフルオロア
    ルキルメタクリレート単位を70〜99.8重量%含有し、下
    記一般式[II]で表わされるN−アルキルマレイミド単
    位もしくはN−フルオロアルキルマレイミド単位を30〜
    0.2重量%含有する共重合体から構成されることぽ特徴
    とする光ファイバクラッド材。 (式Iにおいて、R1はHまたはF、mは1または2、n
    は4から10の整数を表す) (式IIにおいて、R2はメチル,エチル,プロピル,イソ
    プロピル,ブチル,sec−ブチル,tert−ブチル,ヘキシ
    ル,シクロヘキシルの群から選ばれるアルキル基もしく
    はこれらからのフルオロアルキル基を表す)
  2. 【請求項2】下記一般式[I]で表わされるフルオロア
    ルキルメタクリレート単位を70〜89.8重量%含有し、下
    記一般式[II]で表わされるN−アルキルマレイミド単
    位もしくはN−フルオロアルキルマレイミド単位を20〜
    0.2重量%含有し、かつメチルメタクリレート単位を10
    〜29.8重量%含有する共重合体から構成されることを特
    徴とする光ファイバクラッド材。 (式Iにおいて、R1はHまたはF、mは1または2、n
    は4から10の整数を表す) (式IIにおいて、R2はメチル,エチル,プロピル,イソ
    プロピル,ブチル,sec−ブチル,tert−ブチル,ヘキシ
    ル,シクロヘキシルの群から選ばれるアルキル基もしく
    はこれらからのフルオロアルキル基を表す)
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