JP3486483B2 - プラスチック光ファイバ - Google Patents
プラスチック光ファイバInfo
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光情報通信媒体として利
用可能なプラスチック光ファイバに関する。 【0002】 【従来の技術】光伝送は大容量で電磁ノイズの影響を全
く受けないという特長を生かして通信媒体として広く用
いられている。実用化されている光伝送体はその素材に
より石英系とプラスチック系に大別される。また、伝送
モードの様式により単一モード型と多モード型に分ける
ことができる。さらに、屈折率分布様式から断面の半径
方向に沿った屈折率変化が不連続的なステップインデッ
クス型(以下「SI型」という)と連続的なグレーデッド
インデックス型(以下「GI型」という)とに分類される
こともある。 【0003】市販されている石英系単一モードファイバ
は、圧倒的な低損失、広帯域を特長とする。この特長を
生かして長距離の大容量通信幹線に用いられている。プ
ラスチック系はSI型プラスチック光ファイバ(以下「SI
型POF」という)が市販されており、大口径(500〜1000
μm程度)、高開口数(NA≒0.5)でありながら柔軟性に
優れていることを最大の特長としている。 【0004】石英系単一モードファイバは極めて広帯域
であるが、同時に受光面となるコア径が極めて小さく
(10μm程度)かつコアとクラッドの屈折率差が小さい
ため、光源との位置関係や入射角に対する許容範囲が狭
く、周辺機器との結合時のアラインメント(位置、角度
あわせ)操作に労力を要する。さらには、素材が石英で
あるため、受発光素子との結合部分である端面処理も困
難を伴う。 【0005】また、石英系単一モードファイバよりも大
口径、高開口数の石英系GI型ファイバであっても、SI型
POFに比較すると口径も開口数も小さい。また、素材が
石英であるために結合部分などのファイバ端面の研摩処
理などの操作が必要である。このような欠点を補うため
にコア材に石英、クラッド材にプラスチックを用いたプ
ラスチッククラッド石英コアファイバも市販されている
が、端面処理の困難さはさけられず、なおかつ柔軟性の
改善も充分なものとは言えない。 【0006】これらの観点から現在市販されているプラ
スチック光ファイバのもつ利点としては、大口径であり
ながら柔軟で取り扱い性がよい、結合のアラインメント
の許容範囲が広く接続が容易なので高価な加工装置・光
学装置が不要である、等の点が挙げられる。 【0007】そこでSI型POFは上記の特長を生かして、
データリンクなどの短距離通信やセンサー等への応用が
浸透しつつある。また今後、FA用、OA用などフロアー内
外の機器間LANのような施設網や加入者網(FTTH)にお
ける末端配線など、接続点の多い近距離の低コスト情報
伝送線として期待されている。また、柔軟性に優れてい
るため振動する環境でも破損、折損や劣化が起きにく
く、この点でも石英系よりもはるかに優れ、自動車、電
車、飛行機などの移動体中のネットワークなど信号伝送
線への応用も図られている。 【0008】通常のプラスチック光ファイバにおいては
伝送損失が低くかつ機械的特性や耐候性にも問題がない
ことから、ポリメタクリル酸メチルをコア材として用い
たものが主流となっている。ポリメタクリル酸メチルを
コアとする光ファイバの使用上限温度はこの素材のガラ
ス転移点Tgに制限されているため、耐熱性に富む被覆な
どを施した場合でも、高々105℃程度と限られてお
り、上記のような移動体中での通信や屋外での使用にお
いては耐熱性が不足である。 【0009】プラスチック光ファイバの耐熱性向上の方
法としては、主に、コア材のTgを上げる方法と耐熱性の
被覆を施す方法がある。前者のコア材のTgを上げる物と
して、1)ポリマー単体で高いガラス転移点を持つポリ
カーボネートをコア材に用いる(特開昭61−2627
06号公報)、2)多環オレフィン系モノマーを含むオ
レフィン系共重合体をコア材に用いる(特開昭61−2
11315号公報)、3)メチルメタクリレートモノマ
ーと他の高Tgのモノマーとの共重合体をコア材に用いる
ものであって、コモノマーとして、芳香族マレイミドを
用いるもの(特公平5−82405号公報、特公平5−
82406号公報)、脂肪族マレイミド(特開昭63−
80205号公報)、脂環式メタクリレート(特開昭6
1−260205号公報)が挙げられる。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記の1
及び2)のものは高温下での寸法、機械的特性の安定性
については十分であるが、ポリメタクリル酸メチル系の
光ファイバと比較すると伝送損失特性が大きく、かつ高
温下での経時変化が大きいという欠点がある。また3)
のものは脂肪族マレイミドを用いた系が伝送損失、耐熱
性と機械的特性のバランスの点で良好な特性を有する
が、ポリメチルメタクリレート単体をコア材とするプラ
スチック光ファイバと比較すると伝送損失が大きく伝送
距離が短距離に限られてしまう点が問題である。 【0011】また、自動車などの移動体内での使用を考
えた場合、限られた空間でケーブルをレイアウトする必
要から、屈曲部分が多くなることが予想される。一般に
ファイバーを屈曲させることで伝送損失が増加するた
め、ファイバー自体の伝送損失が大きいことは不利であ
り、1)〜3)の例のように伝送損失を犠牲にして耐熱
性を向上させる方法では十分なものとは言えない。 【0012】本発明の目的は、かかる問題点を解決し、
ポリメタクリル酸メチルに匹敵する優れた低伝送損失特
性を有し且つ耐熱性を有するプラスチック光ファイバを
提供することにある。 【0013】 【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、コアが
下記の一般式(1)で示される構造単位からなる重合体
で構成され、クラッドがα - フルオロメタクリレート系
樹脂からなることを特徴としたコア/クラッド構造のプ
ラスチック光ファイバにある。 【0014】 【化2】 【0015】 本発明者らは耐熱性を向上させつつ伝送
損失が十分低いプラスチック光ファイバを開発すべく鋭
意検討したところ、前記一般式(1)で示される構造単
位を有する重合体が十分な耐熱性と伝送損失特性を有す
る光ファイバの芯材として最適であり、同時にクラッド
材として、α - フルオロメタクリレート系樹脂を用いる
ことによって、より耐熱性が向上することを見いだし
た。 【0016】本発明で用いる一般式(1)で表される構
造単位を有するコア材は下記一般式(2)で表せるαー
メチレンーγーブチロラクトン誘導体を重合させること
によって得ることができる。 【0017】 【化3】【0018】式中のR1、R2については、その構造が
かさ高くなると耐熱性、重合性が低下するため炭素数12
以下の置換基にすることが好ましい。またR1、R2で
導入しうるアルキル基は構造式CnH2n+1(n≦12)
で表され、直鎖状、分岐状のいずれの構造もとることが
できる。さらにR1とR2基によってシクロヘキシル基
の6員環構造が形成されたものとすることもできる。 【0019】本発明のコア材は一般式(2)で示される
構造単位を有する単量体の一種を重合させたもの、また
はこれらの構造単位を有する単量体の二種以上を共重合
させたものである。 【0020】このようなコア材を得るための重合様式は
特に限定されないが、光ファイバの低損失化という観点
から塊状重合で行うことが好ましい。重合開始剤は重合
時に副反応や着色等の悪影響を及ぼさないものであれば
特に限定されない。重合様式、重合温度、重合率、重合
時間に応じて適宜選択でき、複数種の重合開始剤をあわ
せて用いることができる。その例としてアゾビスイソブ
チロニトリルなどのアゾ化合物、ベンゾイルパーオキサ
イド等のパーオキサイド化合物などを挙げることができ
る。 【0021】また、重合時において分子量を調節する目
的で連鎖移動剤を用いても良い。連鎖移動剤としては重
合時に副反応や着色等の悪影響を及ぼさないものであれ
ば、特に限定されず、目的とする分子量に対して適宜選
択でき、複数種の連鎖移動剤をあわせて用いても良い。
連鎖移動剤の例としてはn−ブチルメルカプタン、イソ
ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタンなどの第
一級、第二級、第三級メルカプタン、チオグリコール
酸、及びそのエステルなどが挙げられる。 【0022】 クラッド層の素材としてはコアに用いる
材料の屈折率よりも小さいポリマーならば特に限定され
ない。高開口数というプラスチック光ファイバの長所を
生かすためにフッ素化メタクリレート系ポリマーまたは
コポリマー、フッ素化メタクリレートとメタクリル酸エ
ステルの共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロ
エチレン共重合体、α-フルオロメタクリレート系樹
脂、またはそれらの混合物を用いることが好ましいが、
中でも耐熱性向上の点では高Tgのα-フルオロメタク
リレート系樹脂が好ましい。 【0023】クラッド部分の厚みは、薄すぎるとしみ出
し光が無視できなくなり光ファイバ全体の伝送損失を増
大させるため1μm以上であることが好ましい。 【0024】本発明のコア/クラッド構造を有するプラ
スチック光ファイバは、コア、クラッドポリマーをそれ
ぞれ溶融し、複合ノズルより押し出す複合紡糸法、繊維
状に賦形したコアポリマーにクラッドポリマーの溶液を
塗布したのち溶剤を除去するコーティング法などにより
作ることができる。 【0025】尚、耐熱性向上、耐湿性向上、耐化学薬品
性向上など目的でクラッド層の外周部に保護層を被覆す
ることも可能である。 【0026】 【実施例】以下本発明を実施例に基いて具体的に説明す
る。 【0027】実施例1 10部のナトリウムエトキシドを分散させた100部の
無水テトラヒドロフラン中にシュウ酸ジエチル25部を
加えた後、15℃以下でγ−ブチロラクトンを滴下し、
16時間放置した。次いでこの反応液中にホルムアルデ
ヒドを吹き込み、溶媒を留去した後、エーテル抽出を行
った。抽出したエーテル相を飽和炭酸ナトリウム水溶液
と混合し、1時間攪拌した。その後、溶媒を留去し、残
さをビグリュ−管をつけて減圧蒸留しα−メチレン−γ
−ブチロラクトンを得た。 【0028】このようにして合成したα−メチレン−γ
−ブチロラクトンに開始剤としてジ−t−ブチルパ−オ
キサイドを20ppm、連鎖移動剤としてオクチルメル
カプタンを0.1wt%添加して塊状重合し、コア材ポ
リマーを製造した。 【0029】クラッド材としてはαーフルオロアクリル
酸トリフルオロエチル/α-フルオロアクリル酸メチル
(85/15モル比)のポリマーを用いた。 【0030】これらのポリマーを二層同心円状複合ノズ
ルからスクリュー型押出機を用いて紡糸し、ファイバ直
径;1000μm、コア直径;980μmのコア/クラッ
ド構造のプラスチック光ファイバを製造した。 【0031】このプラスチック光ファイバの光伝送損失
は220dB/km(測定法;50m−5mカットバッ
ク法、波長;650nm、入射NA=0.1)であっ
た。このファイバを125℃で1000時間熱処理した
ところ光伝送損失の増加は20dB/km以下を維持し
良好な耐熱性を示した。 【0032】実施例2 37%のホルマリン水溶液50部、アクリル酸メチル7
0部及び1,4−ジアザビシクロ−[2,2,2]−オクタ
ン30部を、1,2−ジメトキシエタン200部に溶解
させ、室温で50時間攪拌したのち反応液から有機相を
分離して、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチルを得
た。このα−ヒドロキシメチルアクリル酸メチルを6倍
量の無水エ−テルで希釈し氷浴下、この液中に3臭化隣
20部を滴下し、室温で3時間攪拌し反応させた。反応
終了後水を加えて有機相を分離し、αーブロモメチルア
クリル酸メチルを得た。 【0033】このα−ブロモメチルアクリル酸メチルを
3倍量の無水テトラヒドロフランで希釈した溶液を、亜
鉛7部、アセトン25部と無水テトラヒドロフラン10
0部の混合溶液中に滴下した。滴下終了後、3時間攪拌
して、10%の塩酸水溶液中に注ぎ、有機相をよく水洗
した後、硫酸ナトリウム上で脱水し、減圧留去してα−
メチレン−4,4−ジメチル−γ−ブチロラクトンを得
た。 【0034】このα−メチレン−4,4ージメチル−γ
−ブチロラクトンをコア材として用いそれ以外の条件は
実施例1と同様にして、ファイバ直径;1000μm、
コア直径;980μmのコア−クラッド構造のプラスチ
ック光ファイバを作成した。 【0035】このプラスチック光ファイバの光伝送損失
は230dB/km(測定法;50m−5mカットバッ
ク法、波長;650nm、入射NA=0.1)であっ
た。このファイバを125℃で1000時間熱処理した
ところ光伝送損失の増加は25dB/km以下を維持し
良好な耐熱性を示した。 【0036】比較例1 三菱瓦斯化学(株)のポリカーボネート樹脂ユーピロン
をコア材とし、クラッド材としてはαーフルオロアクリ
ル酸トリフルオロエチル/α-フルオロアクリル酸メチ
ル(モル比85/15)のポリマーを用いた。これらの
ポリマーを実施例1と同様に二層同心円状複合ノズルか
らスクリュー型押出機を用いて紡糸し、ファイバ直径;
1000μm、コア直径;980μmのコア−クラッド構
造のプラスチック光ファイバを製造した。 【0037】このプラスチック光ファイバの光伝送損失
は280dB/km(測定法;50m−5mカットバッ
ク法、波長;650nm、入射NA=0.1)であっ
た。またこの光ファイバを125℃で1000時間熱処
理したところ光伝送損失は40dB/km増加した。 【0038】 【発明の効果】本発明のプラスチック光ファイバは光伝
送損失が低く耐熱性が高いという優れた性能を有してい
る。
用可能なプラスチック光ファイバに関する。 【0002】 【従来の技術】光伝送は大容量で電磁ノイズの影響を全
く受けないという特長を生かして通信媒体として広く用
いられている。実用化されている光伝送体はその素材に
より石英系とプラスチック系に大別される。また、伝送
モードの様式により単一モード型と多モード型に分ける
ことができる。さらに、屈折率分布様式から断面の半径
方向に沿った屈折率変化が不連続的なステップインデッ
クス型(以下「SI型」という)と連続的なグレーデッド
インデックス型(以下「GI型」という)とに分類される
こともある。 【0003】市販されている石英系単一モードファイバ
は、圧倒的な低損失、広帯域を特長とする。この特長を
生かして長距離の大容量通信幹線に用いられている。プ
ラスチック系はSI型プラスチック光ファイバ(以下「SI
型POF」という)が市販されており、大口径(500〜1000
μm程度)、高開口数(NA≒0.5)でありながら柔軟性に
優れていることを最大の特長としている。 【0004】石英系単一モードファイバは極めて広帯域
であるが、同時に受光面となるコア径が極めて小さく
(10μm程度)かつコアとクラッドの屈折率差が小さい
ため、光源との位置関係や入射角に対する許容範囲が狭
く、周辺機器との結合時のアラインメント(位置、角度
あわせ)操作に労力を要する。さらには、素材が石英で
あるため、受発光素子との結合部分である端面処理も困
難を伴う。 【0005】また、石英系単一モードファイバよりも大
口径、高開口数の石英系GI型ファイバであっても、SI型
POFに比較すると口径も開口数も小さい。また、素材が
石英であるために結合部分などのファイバ端面の研摩処
理などの操作が必要である。このような欠点を補うため
にコア材に石英、クラッド材にプラスチックを用いたプ
ラスチッククラッド石英コアファイバも市販されている
が、端面処理の困難さはさけられず、なおかつ柔軟性の
改善も充分なものとは言えない。 【0006】これらの観点から現在市販されているプラ
スチック光ファイバのもつ利点としては、大口径であり
ながら柔軟で取り扱い性がよい、結合のアラインメント
の許容範囲が広く接続が容易なので高価な加工装置・光
学装置が不要である、等の点が挙げられる。 【0007】そこでSI型POFは上記の特長を生かして、
データリンクなどの短距離通信やセンサー等への応用が
浸透しつつある。また今後、FA用、OA用などフロアー内
外の機器間LANのような施設網や加入者網(FTTH)にお
ける末端配線など、接続点の多い近距離の低コスト情報
伝送線として期待されている。また、柔軟性に優れてい
るため振動する環境でも破損、折損や劣化が起きにく
く、この点でも石英系よりもはるかに優れ、自動車、電
車、飛行機などの移動体中のネットワークなど信号伝送
線への応用も図られている。 【0008】通常のプラスチック光ファイバにおいては
伝送損失が低くかつ機械的特性や耐候性にも問題がない
ことから、ポリメタクリル酸メチルをコア材として用い
たものが主流となっている。ポリメタクリル酸メチルを
コアとする光ファイバの使用上限温度はこの素材のガラ
ス転移点Tgに制限されているため、耐熱性に富む被覆な
どを施した場合でも、高々105℃程度と限られてお
り、上記のような移動体中での通信や屋外での使用にお
いては耐熱性が不足である。 【0009】プラスチック光ファイバの耐熱性向上の方
法としては、主に、コア材のTgを上げる方法と耐熱性の
被覆を施す方法がある。前者のコア材のTgを上げる物と
して、1)ポリマー単体で高いガラス転移点を持つポリ
カーボネートをコア材に用いる(特開昭61−2627
06号公報)、2)多環オレフィン系モノマーを含むオ
レフィン系共重合体をコア材に用いる(特開昭61−2
11315号公報)、3)メチルメタクリレートモノマ
ーと他の高Tgのモノマーとの共重合体をコア材に用いる
ものであって、コモノマーとして、芳香族マレイミドを
用いるもの(特公平5−82405号公報、特公平5−
82406号公報)、脂肪族マレイミド(特開昭63−
80205号公報)、脂環式メタクリレート(特開昭6
1−260205号公報)が挙げられる。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記の1
及び2)のものは高温下での寸法、機械的特性の安定性
については十分であるが、ポリメタクリル酸メチル系の
光ファイバと比較すると伝送損失特性が大きく、かつ高
温下での経時変化が大きいという欠点がある。また3)
のものは脂肪族マレイミドを用いた系が伝送損失、耐熱
性と機械的特性のバランスの点で良好な特性を有する
が、ポリメチルメタクリレート単体をコア材とするプラ
スチック光ファイバと比較すると伝送損失が大きく伝送
距離が短距離に限られてしまう点が問題である。 【0011】また、自動車などの移動体内での使用を考
えた場合、限られた空間でケーブルをレイアウトする必
要から、屈曲部分が多くなることが予想される。一般に
ファイバーを屈曲させることで伝送損失が増加するた
め、ファイバー自体の伝送損失が大きいことは不利であ
り、1)〜3)の例のように伝送損失を犠牲にして耐熱
性を向上させる方法では十分なものとは言えない。 【0012】本発明の目的は、かかる問題点を解決し、
ポリメタクリル酸メチルに匹敵する優れた低伝送損失特
性を有し且つ耐熱性を有するプラスチック光ファイバを
提供することにある。 【0013】 【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、コアが
下記の一般式(1)で示される構造単位からなる重合体
で構成され、クラッドがα - フルオロメタクリレート系
樹脂からなることを特徴としたコア/クラッド構造のプ
ラスチック光ファイバにある。 【0014】 【化2】 【0015】 本発明者らは耐熱性を向上させつつ伝送
損失が十分低いプラスチック光ファイバを開発すべく鋭
意検討したところ、前記一般式(1)で示される構造単
位を有する重合体が十分な耐熱性と伝送損失特性を有す
る光ファイバの芯材として最適であり、同時にクラッド
材として、α - フルオロメタクリレート系樹脂を用いる
ことによって、より耐熱性が向上することを見いだし
た。 【0016】本発明で用いる一般式(1)で表される構
造単位を有するコア材は下記一般式(2)で表せるαー
メチレンーγーブチロラクトン誘導体を重合させること
によって得ることができる。 【0017】 【化3】【0018】式中のR1、R2については、その構造が
かさ高くなると耐熱性、重合性が低下するため炭素数12
以下の置換基にすることが好ましい。またR1、R2で
導入しうるアルキル基は構造式CnH2n+1(n≦12)
で表され、直鎖状、分岐状のいずれの構造もとることが
できる。さらにR1とR2基によってシクロヘキシル基
の6員環構造が形成されたものとすることもできる。 【0019】本発明のコア材は一般式(2)で示される
構造単位を有する単量体の一種を重合させたもの、また
はこれらの構造単位を有する単量体の二種以上を共重合
させたものである。 【0020】このようなコア材を得るための重合様式は
特に限定されないが、光ファイバの低損失化という観点
から塊状重合で行うことが好ましい。重合開始剤は重合
時に副反応や着色等の悪影響を及ぼさないものであれば
特に限定されない。重合様式、重合温度、重合率、重合
時間に応じて適宜選択でき、複数種の重合開始剤をあわ
せて用いることができる。その例としてアゾビスイソブ
チロニトリルなどのアゾ化合物、ベンゾイルパーオキサ
イド等のパーオキサイド化合物などを挙げることができ
る。 【0021】また、重合時において分子量を調節する目
的で連鎖移動剤を用いても良い。連鎖移動剤としては重
合時に副反応や着色等の悪影響を及ぼさないものであれ
ば、特に限定されず、目的とする分子量に対して適宜選
択でき、複数種の連鎖移動剤をあわせて用いても良い。
連鎖移動剤の例としてはn−ブチルメルカプタン、イソ
ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタンなどの第
一級、第二級、第三級メルカプタン、チオグリコール
酸、及びそのエステルなどが挙げられる。 【0022】 クラッド層の素材としてはコアに用いる
材料の屈折率よりも小さいポリマーならば特に限定され
ない。高開口数というプラスチック光ファイバの長所を
生かすためにフッ素化メタクリレート系ポリマーまたは
コポリマー、フッ素化メタクリレートとメタクリル酸エ
ステルの共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロ
エチレン共重合体、α-フルオロメタクリレート系樹
脂、またはそれらの混合物を用いることが好ましいが、
中でも耐熱性向上の点では高Tgのα-フルオロメタク
リレート系樹脂が好ましい。 【0023】クラッド部分の厚みは、薄すぎるとしみ出
し光が無視できなくなり光ファイバ全体の伝送損失を増
大させるため1μm以上であることが好ましい。 【0024】本発明のコア/クラッド構造を有するプラ
スチック光ファイバは、コア、クラッドポリマーをそれ
ぞれ溶融し、複合ノズルより押し出す複合紡糸法、繊維
状に賦形したコアポリマーにクラッドポリマーの溶液を
塗布したのち溶剤を除去するコーティング法などにより
作ることができる。 【0025】尚、耐熱性向上、耐湿性向上、耐化学薬品
性向上など目的でクラッド層の外周部に保護層を被覆す
ることも可能である。 【0026】 【実施例】以下本発明を実施例に基いて具体的に説明す
る。 【0027】実施例1 10部のナトリウムエトキシドを分散させた100部の
無水テトラヒドロフラン中にシュウ酸ジエチル25部を
加えた後、15℃以下でγ−ブチロラクトンを滴下し、
16時間放置した。次いでこの反応液中にホルムアルデ
ヒドを吹き込み、溶媒を留去した後、エーテル抽出を行
った。抽出したエーテル相を飽和炭酸ナトリウム水溶液
と混合し、1時間攪拌した。その後、溶媒を留去し、残
さをビグリュ−管をつけて減圧蒸留しα−メチレン−γ
−ブチロラクトンを得た。 【0028】このようにして合成したα−メチレン−γ
−ブチロラクトンに開始剤としてジ−t−ブチルパ−オ
キサイドを20ppm、連鎖移動剤としてオクチルメル
カプタンを0.1wt%添加して塊状重合し、コア材ポ
リマーを製造した。 【0029】クラッド材としてはαーフルオロアクリル
酸トリフルオロエチル/α-フルオロアクリル酸メチル
(85/15モル比)のポリマーを用いた。 【0030】これらのポリマーを二層同心円状複合ノズ
ルからスクリュー型押出機を用いて紡糸し、ファイバ直
径;1000μm、コア直径;980μmのコア/クラッ
ド構造のプラスチック光ファイバを製造した。 【0031】このプラスチック光ファイバの光伝送損失
は220dB/km(測定法;50m−5mカットバッ
ク法、波長;650nm、入射NA=0.1)であっ
た。このファイバを125℃で1000時間熱処理した
ところ光伝送損失の増加は20dB/km以下を維持し
良好な耐熱性を示した。 【0032】実施例2 37%のホルマリン水溶液50部、アクリル酸メチル7
0部及び1,4−ジアザビシクロ−[2,2,2]−オクタ
ン30部を、1,2−ジメトキシエタン200部に溶解
させ、室温で50時間攪拌したのち反応液から有機相を
分離して、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチルを得
た。このα−ヒドロキシメチルアクリル酸メチルを6倍
量の無水エ−テルで希釈し氷浴下、この液中に3臭化隣
20部を滴下し、室温で3時間攪拌し反応させた。反応
終了後水を加えて有機相を分離し、αーブロモメチルア
クリル酸メチルを得た。 【0033】このα−ブロモメチルアクリル酸メチルを
3倍量の無水テトラヒドロフランで希釈した溶液を、亜
鉛7部、アセトン25部と無水テトラヒドロフラン10
0部の混合溶液中に滴下した。滴下終了後、3時間攪拌
して、10%の塩酸水溶液中に注ぎ、有機相をよく水洗
した後、硫酸ナトリウム上で脱水し、減圧留去してα−
メチレン−4,4−ジメチル−γ−ブチロラクトンを得
た。 【0034】このα−メチレン−4,4ージメチル−γ
−ブチロラクトンをコア材として用いそれ以外の条件は
実施例1と同様にして、ファイバ直径;1000μm、
コア直径;980μmのコア−クラッド構造のプラスチ
ック光ファイバを作成した。 【0035】このプラスチック光ファイバの光伝送損失
は230dB/km(測定法;50m−5mカットバッ
ク法、波長;650nm、入射NA=0.1)であっ
た。このファイバを125℃で1000時間熱処理した
ところ光伝送損失の増加は25dB/km以下を維持し
良好な耐熱性を示した。 【0036】比較例1 三菱瓦斯化学(株)のポリカーボネート樹脂ユーピロン
をコア材とし、クラッド材としてはαーフルオロアクリ
ル酸トリフルオロエチル/α-フルオロアクリル酸メチ
ル(モル比85/15)のポリマーを用いた。これらの
ポリマーを実施例1と同様に二層同心円状複合ノズルか
らスクリュー型押出機を用いて紡糸し、ファイバ直径;
1000μm、コア直径;980μmのコア−クラッド構
造のプラスチック光ファイバを製造した。 【0037】このプラスチック光ファイバの光伝送損失
は280dB/km(測定法;50m−5mカットバッ
ク法、波長;650nm、入射NA=0.1)であっ
た。またこの光ファイバを125℃で1000時間熱処
理したところ光伝送損失は40dB/km増加した。 【0038】 【発明の効果】本発明のプラスチック光ファイバは光伝
送損失が低く耐熱性が高いという優れた性能を有してい
る。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 入江 菊枝
広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイ
ヨン株式会社中央技術研究所内
(56)参考文献 特開 平8−231648(JP,A)
特開 昭63−208805(JP,A)
米国特許2624723(US,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
G02B 6/00
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 コアが下記の一般式(1)で示される構
造単位からなる重合体で構成され、クラッドがα - フル
オロメタクリレート系樹脂からなることを特徴としたコ
ア/クラッド構造のプラスチック光ファイバ。 【化1】
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---|---|---|---|
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17923895A JP3486483B2 (ja) | 1995-07-14 | 1995-07-14 | プラスチック光ファイバ |
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