JPH09234095A - モノシアロガングリオシドgm1の製造方法 - Google Patents

モノシアロガングリオシドgm1の製造方法

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JPH09234095A
JPH09234095A JP8071246A JP7124696A JPH09234095A JP H09234095 A JPH09234095 A JP H09234095A JP 8071246 A JP8071246 A JP 8071246A JP 7124696 A JP7124696 A JP 7124696A JP H09234095 A JPH09234095 A JP H09234095A
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ganglioside
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】ガングリオシド粗製物をシアリダーゼ生産
能を有する微生物と接触させることを特徴とするモノシ
アロガングリオシドGM1の製造方法、及びシアリダー
ゼ生産能を有するシュードモナス(Pseudomonas) 属の細
菌。 【効果】本発明の製造方法により、効率よく安価にモノ
シアロガングリオシドGM1を大量調製することが可能
となった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はモノシアロガングリ
オシドGM1の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ガングリオシドは、シアル酸を有するス
フィンゴ糖脂質であり、魚類、哺乳類等の脳や神経系に
多く存在している。モノシアロガングリオシドであるG
M1の持つ生理機能についてはこれまで多くの研究がな
されており、モノシアロガングリオシドGM1がある種
の酵素、イオンチャンネル、血小板由来増殖因子(PD
GF)等の増殖因子受容体の機能をモジュレートすると
いった報告がなされている。また、モノシアロガングリ
オシドGM1がヘルパーT細胞におけるCD4と結合
し、抗HIV効果を示す事から抗HIV剤としての可能
性も示唆されている。さらに最近ではアルツハイマー病
やパーキンソン病をはじめとする様々な神経系疾患の治
療薬として脚光を浴びており、実際にヨーロッパや南ア
メリカを中心にモノシアロガングリオシドGM1を含む
ガングリオシド混合物が末梢神経疾患治療薬として臨床
応用されている。
【0003】ガングリオシドは、通常牛の脳からカンフ
ァー(Kanfer,J.N.)らの方法[メソッズ イン エンザ
イモロジー(Methods in Enzymology) 第14巻、第6
60〜664頁、1969年]により調製されており、
シアル酸の数によりGM1、GD1、GT1、GQ1等
に分類されている。GM1のMはモノシアロ、つまりシ
アル酸を1個持っているガングリオシドで、GD1は2
個、GT1は3個、GQ1は4個のシアル酸を有してい
る。
【0004】モノシアロガングリオシドGM1の調製方
法としては、牛脳から調製したガングリオシド混合物
をアルコール或いはクロロホルムを含む溶媒中で酸性条
件下50℃以上に加温することによってモノシアロガン
グリオシドGM1を調製する方法(US Patent No.
4868292)、及び牛脳を破砕した後界面活性剤
存在下でオートリシスを行うことによってモノシアロガ
ングリオシドGM1を調製する方法(EP 03198
90A1)が示されているが収率及び純度の点で決して
満足できる方法ではない。
【0005】また、糖脂質に作用してシアル酸を遊離す
る酵素であるシアリダーゼを利用する方法として、 C
lostridium perfringens由来のシアリダーゼ(Sigma Ty
pe VIA) をアガロースゲルに固定化したものをガングリ
オシド混合物とともに加温することによってモノシアロ
ガングリオシドGM1を調製する方法(EP 0540
790A1)、 Arthrobacter ureafaciens 由来のシ
アリダーゼ アイソザイムSを用いてガングリオシド混
合物からGDIb及び/又はGM1を調製する方法(特
開平1−281082号公報)、 Arthrobacter urea
faciens 由来のシアリダーゼ アイソザイムLを用いて
ガングリオシド混合物からGM1及び/又はアシアロG
M1を調製する方法(特開平1−281083号公報)
等が示されている。
【0006】しかしながら、これらの方法はいずれも精
製酵素を用いているため製造コストが高くなる問題があ
る上に、或いはの方法では酵素量や反応時間など反
応条件によって反応生成物中のGM1の純度が変化する
為、これらの方法はモノシアロガングリオシドGM1を
効率よく安価に調製する方法としては決して満足できる
ものではなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、効率よく安価にモノシアロガングリオシドGM1を
大量調製することの可能なモノシアロガングリオシドG
M1の製造方法を提供することにある。本発明の他の目
的は、本発明の製造方法に使用する、シアリダーゼ生産
能を有するシュードモナス属の細菌を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本明細書では2個以上の
シアル酸を持つガングリオシドをポリシアロガングリオ
シドと呼ぶが、牛脳ガングリオシド中に存在するモノシ
アロガングリオシドGM1の割合は約20%しかなく、
そのまま精製してもわずかなモノシアロガングリオシド
GM1しか得ることが出来ないのが実情である。そこ
で、この点に着目して本発明者らはモノシアロガングリ
オシドGM1の大量調製法について検討を行った結果、
シアリダーゼを生産する微生物をポリシアロガングリオ
シドと共に培養すればポリシアロガングリオシドがモノ
シアロガングリオシドGM1に変換されて最終的に大量
のモノシアロガングリオシドGM1が得られる事を見い
だし本発明に到達した。
【0009】なお、シアリダーゼ生産菌については、現
在までにいくつかは知られているが、これらのシアリダ
ーゼ生産微生物は、例えばコレラ菌、肺炎双球菌、ニュ
ーカッスル病ウイルス等のように病原性の微生物が多い
ことからこれらの微生物を使用することは好ましくない
と判断される。そこで、本発明者らは、比較的ヒトに対
する病原性が少なく、未利用の有用微生物が多く存在し
ていると考えられている海洋環境からシアリダーゼ生産
菌の検索を行った。その結果、ある種の細菌がモノシア
ロガングリオシドGM1の大量調製に最適なシアリダー
ゼを生産することを見いだし本発明を完成するに至っ
た。
【0010】即ち、本発明の要旨は、(1) ガングリ
オシド粗製物をシアリダーゼ生産能を有する微生物と接
触させることを特徴とするモノシアロガングリオシドG
M1の製造方法、(2) ガングリオシド粗製物を添加
した培地中で該微生物を培養することを特徴とする前記
(1)記載の製造方法、(3) 該微生物がシュードモ
ナス(Pseudomonas) 属の細菌である前記(1)又は
(2)記載の製造方法、(4) シアリダーゼ生産能を
有するシュードモナス(Pseudomonas) 属の細菌、並びに
(5) 細菌がシュードモナス(Pseudomonas) エスピー
(sp.) YF−2(FERM P−15355)である
前記(4)記載の細菌、に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明はガングリオシド粗製物をシアリダーゼ生
産能を有する微生物と接触させることによりモノシアロ
ガングリオシドGM1を製造する方法であるが、本発明
に使用される微生物は、シアリダーゼの生産能を有する
菌株であればいかなる微生物でもよく、またそれらの微
生物の変異株でもよい。この場合、産生されるシアリダ
ーゼはモノシアロガングリオシドGM1には作用しない
ものが好ましい。このような微生物の単離方法として
は、例えば、海藻や海水、海砂などのサンプルを、ガン
グリオシドを唯一の炭素源とする合成培地に加え、25
℃で3〜4日培養する。その後、培養上清の基質の分解
をTLCで確認し、シアリダーゼ活性のあるものを同培
地に植え継ぎ、これを3〜4回繰り返したのち、平面培
地で各コロニーを単離することにより得ることができ
る。
【0012】モノシアロガングリオシドGM1に作用し
ないシアリダーゼの生産能を有する菌株の具体例として
は、シュードモナス属の細菌、例えば、シュードモナス
エスピー YF−2株などが挙げられる。本菌株は博
多湾の海水中から本発明者らが新たに検索して得た好塩
性の菌株で、その菌学的性質は次の通りである。透過型
電子顕微鏡による観察の結果、本菌株はグラム陰性の短
桿菌で非常に長い単極極鞭毛を有し、体長は0.9〜
1.2μm、体幅は約0.5μmであった。表1に本菌
株の同定結果を示す。
【0013】
【表1】
【0014】以上のような菌学的性質を有する菌株につ
いて、バージーズ マニュアル オブ ディターミネー
ティブ バクテリオロジー(Bergey's Manual of Deter
minative Bacteriology)(第8版)、ウィリアムズ ア
ンド ウィルキンス カンパニー(Williams & Wilkins
Company)、1974年発行、の分類法に基づいて同定を行
ったところ、本菌株はシュードモナス (Pseudomonas)属
に属するが、本菌株の特徴に十分合致する公知の種は見
いだせず、本菌株を新種の海洋性シュードモナスと同定
した。本菌株はPseudomonas sp. YF−2と表示され、
工業技術院生命工学工業技術研究所に、FERM P−
15355として寄託されている。
【0015】本菌株によって培養液中に生産されるシア
リダーゼの酵素化学的及び理化学的性質は次の通りであ
る。 (1)作用 シアロシル結合に作用してシアル酸を遊離する。 (2)基質特異性 GM3、GD1a、シアリルラクトース(SA−La
c)に作用してそのシアル酸を遊離するが、GM1、G
M2のシアル酸には全く作用しない。つまり本酵素はガ
ングリオシドの糖鎖の非還元末端側に存在するシアル酸
に良く作用するが、糖鎖の内側に結合したシアル酸には
全く作用しない(表2)。このことから、ポリシアロガ
ングリオシドに作用してモノシアロガングリオシドGM
1に変換する作用を有することが示される。
【0016】
【表2】
【0017】(3)至適pH及び温度安定性 本酵素の至適pHは5.5でpH4.5〜6.0の間で
比較的高い活性を示す(図1)。また、本酵素をpH
5.0、20mM酢酸緩衝液中、種々の温度で2時間保
温した場合、本酵素は40℃以上ではほぼ失活してお
り、比較的低い温度域(37℃以下)で安定である(図
2)。
【0018】(4)金属塩の影響 本酵素における各種の金属塩の影響を調べた。銅は硫酸
塩、亜鉛は酢酸塩を用い、それら以外はすべて塩化物を
用い、2mMの濃度になるように反応系に加えた結果、
表3に示すように本酵素はマンガン、バリウム等によっ
て強く活性化され、水銀、銅、鉄によって活性が強く阻
害された。
【0019】
【表3】
【0020】本発明のモノシアロガングリオシドGM1
の製造法においては、特に限定されるものではないが、
例えば上述した菌株を栄養培地中で培養した後、培地に
ガングリオシド粗製物を加えるか、あるいはあらかじめ
ガングリオシド粗製物を加えた栄養培地中で培養する方
法によりガングリオシド粗製物と菌株を接触させること
ができる。いずれの場合においても、ガングリオシド粗
製物の添加量は特に限定されるものではなく適宜決定さ
れる。
【0021】ここでガングリオシド粗製物とは牛脳など
から調製された各種のガングリオシドを含むガングリオ
シドの混合物である。ガングリオシド粗製物は、例えば
カンファー(Kanfer,J.N.)らの方法[メソッズ イン
エンザイモロジー(Methodsin Enzymology) 第14
巻、第660〜664頁、1969年]に従って調製す
ることが出来る。
【0022】培地としては、本菌株が生育し、シアリダ
ーゼが生産され、培地中に存在するガングリオシド粗製
物から効率よくモノシアロガングリオシドGM1が生成
するようなものであればよく、特に限定されるものでは
ない。かかる培地において炭素源としては、例えばガン
グリオシド粗製物、ガングリオテトラオース系のポリシ
アロガングリオシド(GD1a、GD1b、GT1a、
GT1b)が利用できる。好ましくはGD1aである。
また、窒素源としては例えば塩化アンモニウム、ポリペ
プトン等が適当である。その他にリン酸塩、カリウム
塩、マグネシウム塩、亜鉛塩などの無機質及び金属塩類
を加えてもよい。
【0023】本菌株を培養するにあたり、シアリダーゼ
の生産量、モノシアロガングリオシドGM1の生成量は
培養条件により大きく変動するが、一般的に培養温度は
20〜35℃、培地のpHは7.2〜7.4が良く、1
日〜7日の通気攪拌培養でモノシアロガングリオシドG
M1が生産される。
【0024】培養終了後、目的のモノシアロガングリオ
シドGM1を含む培養液から遠心分離等によって菌株を
除去し、得られた培養上清から通常用いられる方法でタ
ンパク質や塩類を除去する。例えば、培養上清をC18
逆相カラム等に負荷してタンパク質を除去し、同時に脱
塩を行う方法が効果的である。脱塩した培養上清から通
常用いられる方法、例えばメソッズ イン エンザイモ
ロジー第83巻、第139〜191頁、1982年に記
載の方法でモノシアロガングリオシドGM1を精製する
ことが出来る。精製したモノシアロガングリオシドGM
1の構造の確認は、薄層クロマトグラフィーや液体クロ
マトグラフィー、質量分析、核磁気共鳴スペクトルなど
の分析法によって行うことが出来る。このようにしてガ
ングリオシド粗製物を本発明に用いる微生物と共に培養
することにより、ガングリオシド粗製物から目的のモノ
シアロガングリオシドGM1に変換することが出来る。
【0025】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に示す
が、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0026】実施例1 シアリダーゼ生産能を有するシュードモナス属菌株の単
離 博多湾の海水0.01mLを採取し、ガングリオシドを
唯一の炭素源とする合成培地(ガングリオシド粗製物:
0.1重量%、NaCl:1重量%、NH4 Cl:0.
05重量%、K2 HPO4 :0.05重量%、pH7.
4)0.1mLに加え、25℃で3日間培養した。な
お、ここで用いたガングリオシド粗製物は、牛脳からカ
ンファーらの方法(メソッズ イン エンザイモロジ
ー、第14巻、第660〜664頁、1969年)によ
り得られたものである。その後、培養上清の基質の分解
をTLCで確認し、シアリダーゼ活性のあるものを同培
地に植え継ぎ、これを3回繰り返したのち、平面培地で
各コロニーを単離した。その結果、28株のシアリダー
ゼ生産菌が分離された。その内の1株について菌学的性
質を検査し、バージーズ マニュアル オブ ディター
ミネーティブ バクテリオロジー(Bergey's Manual of
Determinative Bacteriology)(第8版)、ウィリアム
ズ アンド ウィルキンス カンパニー、1974年発行、
の分類法に基づいて同定を行ったところ、本菌株はシュ
ードモナス (Pseudomonas)属に属する、新種の海洋性シ
ュードモナスと同定され、シュードモナス エスピー
YF−2と命名され、Pseudomonas sp. YF−2と表示
され、工業技術院生命工学工業技術研究所に、FERM
P−15355として寄託されている。
【0027】実施例2 (1)微生物の培養ならびにガングリオシド粗製物のモ
ノシアロガングリオシドGM1への変換 牛脳からカンファーらの方法(メソッズ イン エンザ
イモロジー、第14巻、第660〜664頁、1969
年)に従って糖脂質の混合物であるガングリオシド粗製
物を調製した。得られたガングリオシド粗製物500m
gを含む100mLの液体培地(K2 HPO4 :0.0
5重量%;NH4 Cl:0.05重量%;NaCl:1
重量%;pH7.4)中で、シュードモナス エスピー
YF−2を25℃で3日間培養した。培養液を遠心分
離した後、培養上清中のガングリオシドを薄層クロマト
グラフィーで分析したところ、ガングリオシド粗製物中
のモノシアロガングリオシドGM1含量は約20%であ
るのに対して、3日間培養後の培養上清中のガングリオ
シド中に占めるモノシアロガングリオシドGM1の割合
は90%以上に上昇していた(図3)。なお、各成分の
定量は次のようにして実施した。薄層クロマトグラフィ
ーで展開〔クロロホルム/メタノール/0.2%KCl
=5:4:1(v/v)〕後、オルシノール硫酸液を噴
霧し、100〜110℃のオーブンで10分間加熱し
た。GM1(ヤトロン社製)、GD1a(ヤトロン社
製)、GD1b(ヤトロン社製)、GT1a(バイオカ
ーブ社製)をそれぞれ標品として、TLCクロマトスキ
ャナーCS9300(島津製作所社製)により、540
nmにおける吸収を測定することにより定量を行った。
【0028】(2)モノシアロガングリオシドGM1の
精製 培養液を遠心分離して得た培養上清(ガングリオシド約
200mg分)を、メタノールで洗浄後脱イオン水で平
衡化されたC18逆相カラム〔Preparative C18125Å
(ミリポア社製)充填量30g、カラム直径30mm、
オープンカラム〕に負荷した。カラムに脱イオン水30
0mLを流して脱塩を行った後、クロロホルム/メタノ
ール(2/1:v/v)500mLを流して糖脂質を溶
出した。溶出画分をエバポレーターで濃縮して次の陰イ
オン交換クロマトグラフィーに供した。
【0029】DEAE Sephadex A25(ファルマシア
社製)陰イオン交換カラムクロマトグラフィーによるモ
ノシアロガングリオシドGM1の精製は、以下に示すよ
うに行った。溶出溶媒は、溶媒Iとしてクロロホルム/
メタノール/脱イオン水=30:60:8(v/v)、
溶媒IIとしてクロロホルム/メタノール/0.8M酢酸
ナトリウム水溶液=30:60:8(v/v)を用い
た。溶媒Iで平衡化したDEAE Sephadex A25(7
5mL)をカラム(直径25mm、オープンカラム)に
充填した。ガングリオシド約200mgを50mLの溶
媒Iに溶かして超音波処理を行い、得られたサンプルを
そのカラムに負荷した。溶媒Iを300mL流した後、
溶媒Iと溶媒IIそれぞれ400mLで直線濃度勾配をつ
くり、モノシアロガングリオシドGM1を溶出した。溶
出液は10mLずつ分画し、各フラクションについて薄
層クロマトグラフィーでガングリオシドの分析を行っ
た。
【0030】薄層クロマトグラフィーはクロロホルム/
メタノール/0.2%KCl=5:4:1(v/v)で
展開し、オルシノール硫酸液を噴霧した後100〜11
0℃のオーブンで10分間加熱してガングリオシドを検
出した。発色後のプレートをTLCクロマトスキャナー
CS9300(島津製作所社製)に供し、540nmに
おける吸収を測定することによって、ガングリオシドの
定量を行った。その結果、グラディエント溶出画分のフ
ラクション26−43にモノシアロガングリオシドGM
1が溶出された(図4)。このようにして精製されたモ
ノシアロガングリオシドGM1の量は、TLCで定量す
ると175mgであった。得られたGM1についてFA
B−MSを用いて質量分析を行った結果、分子量154
5の結果が得られ、得られたガングリオシドは間違いな
くモノシアロガングリオシドGM1であることが確認で
きた。
【0031】以上のデータを要約すると、次のとおりで
ある。ガングリオシド粗製物500mg中にはガングリ
オシドは約215mg含まれており、その中でモノシア
ロガングリオシドGM1は約40mgであった。ガング
リオシド粗製物をシュードモナス エスピー YF−2
とともに培養し、培養上清を逆相カラムに供した後の溶
出液ではモノシアロガングリオシドGM1の含量は約2
00mgにまで上昇していた。さらに陰イオン交換クロ
マトグラフィーによる精製を行うことによって最終的に
175mgの純粋なモノシアロガングリオシドGM1を
原料のガングリオシド粗製物からの収率81%で得るこ
とが出来た。
【0032】試験例 精製モノシアロガングリオシドGM1の神経突起伸展作
用 実施例2で得られた精製モノシアロガングリオシドGM
1を33μM、100μMの濃度で血清含有培地(10
%FCS(牛胎児血清)含有MEM培地(日水製薬社
製))に加え、神経芽腫瘍細胞Neuro 2a細胞
(ATCC CCL−131)を37℃で24時間培養
した。培養後の細胞をランダムに写真に撮り、そのうち
100個の細胞のうち突起をもった細胞数を測定し、神
経細胞への分化の度合いを検討した。その結果、精製モ
ノシアロガングリオシドGM1を100μM加えた場
合、突起を有する細胞の割合の顕著な増加が見られた
(図5)。このことから、実施例2で調製したモノシア
ロガングリオシドGM1は血清含有培地においても神経
突起の伸展能を有していること分かった。
【0033】
【発明の効果】本発明の製造方法により、効率よく安価
にモノシアロガングリオシドGM1を大量調製すること
が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のシュードモナス属菌の産生す
るシアリダーゼの至適pHを示す図である。
【図2】図2は、本発明のシュードモナス属菌の産生す
るシアリダーゼの温度安定性を示す図である。
【図3】図3は、実施例2におけるガングリオシド粗製
物からのモノシアロガングリオシドGM1への変換を示
す図である。
【図4】図4は、実施例2におけるDEAE Sephadex A25
によるクロマトグラムを示す図である。
【図5】図5は、精製モノシアロガングリオシドGM1
の神経突起伸展作用を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:38)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガングリオシド粗製物をシアリダーゼ生
    産能を有する微生物と接触させることを特徴とするモノ
    シアロガングリオシドGM1の製造方法。
  2. 【請求項2】 ガングリオシド粗製物を添加した培地中
    で該微生物を培養することを特徴とする請求項1記載の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 該微生物がシュードモナス(Pseudomona
    s) 属の細菌である請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 シアリダーゼ生産能を有するシュードモ
    ナス(Pseudomonas)属の細菌。
  5. 【請求項5】 細菌がシュードモナス(Pseudomonas) エ
    スピー(sp.) YF−2(FERM P−15355)
    である請求項4記載の細菌。
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