JP3703199B2 - モノシアロガングリオシドgm1の製造方法 - Google Patents

モノシアロガングリオシドgm1の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はモノシアロガングリオシドGM1の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガングリオシドは、シアル酸を有するスフィンゴ糖脂質であり、魚類、哺乳類等の脳や神経系に多く存在している。モノシアロガングリオシドであるGM1の持つ生理機能についてはこれまで多くの研究がなされており、モノシアロガングリオシドGM1がある種の酵素、イオンチャンネル、血小板由来増殖因子(PDGF)等の増殖因子受容体の機能をモジュレートするといった報告がなされている。また、モノシアロガングリオシドGM1がヘルパーT細胞におけるCD4と結合し、抗HIV効果を示す事から抗HIV剤としての可能性も示唆されている。さらに最近ではアルツハイマー病やパーキンソン病をはじめとする様々な神経系疾患の治療薬として脚光を浴びており、実際にヨーロッパや南アメリカを中心にモノシアロガングリオシドGM1を含むガングリオシド混合物が末梢神経疾患治療薬として臨床応用されている。
【0003】
ガングリオシドは、通常牛の脳からカンファー(Kanfer,J.N.)らの方法[メソッズ イン エンザイモロジー(Methods in Enzymology) 第14巻、第660〜664頁、1969年]により調製されており、シアル酸の数によりGM1、GD1、GT1、GQ1等に分類されている。GM1のMはモノシアロ、つまりシアル酸を1個持っているガングリオシドで、GD1は2個、GT1は3個、GQ1は4個のシアル酸を有している。
【0004】
モノシアロガングリオシドGM1の調製方法としては、▲1▼牛脳から調製したガングリオシド混合物をアルコール或いはクロロホルムを含む溶媒中で酸性条件下50℃以上に加温することによってモノシアロガングリオシドGM1を調製する方法(US Patent No. 4868292)、及び▲2▼牛脳を破砕した後界面活性剤存在下でオートリシスを行うことによってモノシアロガングリオシドGM1を調製する方法(EP 0319890A1)が示されているが収率及び純度の点で決して満足できる方法ではない。
【0005】
また、糖脂質に作用してシアル酸を遊離する酵素であるシアリダーゼを利用する方法として、▲3▼ Clostridium perfringens由来のシアリダーゼ(Sigma Type VIA) をアガロースゲルに固定化したものをガングリオシド混合物とともに加温することによってモノシアロガングリオシドGM1を調製する方法(EP 0540790A1)、▲4▼ Arthrobacter ureafaciens 由来のシアリダーゼ アイソザイムSを用いてガングリオシド混合物からGDIb及び/又はGM1を調製する方法(特開平1−281082号公報)、▲5▼ Arthrobacter ureafaciens 由来のシアリダーゼ アイソザイムLを用いてガングリオシド混合物からGM1及び/又はアシアロGM1を調製する方法(特開平1−281083号公報)等が示されている。
【0006】
しかしながら、これらの方法はいずれも精製酵素を用いているため製造コストが高くなる問題がある上に、▲4▼或いは▲5▼の方法では酵素量や反応時間など反応条件によって反応生成物中のGM1の純度が変化する為、これらの方法はモノシアロガングリオシドGM1を効率よく安価に調製する方法としては決して満足できるものではなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、効率よく安価にモノシアロガングリオシドGM1を大量調製することの可能なモノシアロガングリオシドGM1の製造方法を提供することにある。本発明の他の目的は、本発明の製造方法に使用する、シアリダーゼ生産能を有するシュードモナス属の細菌を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本明細書では2個以上のシアル酸を持つガングリオシドをポリシアロガングリオシドと呼ぶが、牛脳ガングリオシド中に存在するモノシアロガングリオシドGM1の割合は約20%しかなく、そのまま精製してもわずかなモノシアロガングリオシドGM1しか得ることが出来ないのが実情である。そこで、この点に着目して本発明者らはモノシアロガングリオシドGM1の大量調製法について検討を行った結果、シアリダーゼを生産する微生物をポリシアロガングリオシドと共に培養すればポリシアロガングリオシドがモノシアロガングリオシドGM1に変換されて最終的に大量のモノシアロガングリオシドGM1が得られる事を見いだし本発明に到達した。
【0009】
なお、シアリダーゼ生産菌については、現在までにいくつかは知られているが、これらのシアリダーゼ生産微生物は、例えばコレラ菌、肺炎双球菌、ニューカッスル病ウイルス等のように病原性の微生物が多いことからこれらの微生物を使用することは好ましくないと判断される。そこで、本発明者らは、比較的ヒトに対する病原性が少なく、未利用の有用微生物が多く存在していると考えられている海洋環境からシアリダーゼ生産菌の検索を行った。その結果、ある種の細菌がモノシアロガングリオシドGM1の大量調製に最適なシアリダーゼを生産することを見いだし本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明の要旨は、
(1) ガングリオシド粗製物をシアリダーゼ生産能を有する微生物と接触させることを特徴とするモノシアロガングリオシドGM1の製造方法、
(2) ガングリオシド粗製物を添加した培地中で該微生物を培養することを特徴とする前記(1)記載の製造方法、
(3) 該微生物がシュードモナス(Pseudomonas) 属の細菌である前記(1)又は(2)記載の製造方法、
(4) シアリダーゼ生産能を有するシュードモナス(Pseudomonas) 属の細菌、
並びに
(5) 細菌がシュードモナス(Pseudomonas) エスピー(sp.) YF−2(FERM P−15355)である前記(4)記載の細菌、に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明はガングリオシド粗製物をシアリダーゼ生産能を有する微生物と接触させることによりモノシアロガングリオシドGM1を製造する方法であるが、本発明に使用される微生物は、シアリダーゼの生産能を有する菌株であればいかなる微生物でもよく、またそれらの微生物の変異株でもよい。この場合、産生されるシアリダーゼはモノシアロガングリオシドGM1には作用しないものが好ましい。このような微生物の単離方法としては、例えば、海藻や海水、海砂などのサンプルを、ガングリオシドを唯一の炭素源とする合成培地に加え、25℃で3〜4日培養する。その後、培養上清の基質の分解をTLCで確認し、シアリダーゼ活性のあるものを同培地に植え継ぎ、これを3〜4回繰り返したのち、平面培地で各コロニーを単離することにより得ることができる。
【0012】
モノシアロガングリオシドGM1に作用しないシアリダーゼの生産能を有する菌株の具体例としては、シュードモナス属の細菌、例えば、シュードモナス エスピー YF−2株などが挙げられる。本菌株は博多湾の海水中から本発明者らが新たに検索して得た好塩性の菌株で、その菌学的性質は次の通りである。
透過型電子顕微鏡による観察の結果、本菌株はグラム陰性の短桿菌で非常に長い単極極鞭毛を有し、体長は0.9〜1.2μm、体幅は約0.5μmであった。表1に本菌株の同定結果を示す。
【0013】
【表1】
Figure 0003703199
【0014】
以上のような菌学的性質を有する菌株について、バージーズ マニュアル オブ ディターミネーティブ バクテリオロジー(Bergey's Manual of Determinative Bacteriology)(第8版)、ウィリアムズ アンド ウィルキンス カンパニー(Williams & Wilkins Company)、1974年発行、の分類法に基づいて同定を行ったところ、本菌株はシュードモナス (Pseudomonas)属に属するが、本菌株の特徴に十分合致する公知の種は見いだせず、本菌株を新種の海洋性シュードモナスと同定した。本菌株はPseudomonas sp. YF−2と表示され、工業技術院生命工学工業技術研究所に、FERM P−15355として寄託されている。
【0015】
本菌株によって培養液中に生産されるシアリダーゼの酵素化学的及び理化学的性質は次の通りである。
(1)作用
シアロシル結合に作用してシアル酸を遊離する。
(2)基質特異性
GM3、GD1a、シアリルラクトース(SA−Lac)に作用してそのシアル酸を遊離するが、GM1、GM2のシアル酸には全く作用しない。つまり本酵素はガングリオシドの糖鎖の非還元末端側に存在するシアル酸に良く作用するが、糖鎖の内側に結合したシアル酸には全く作用しない(表2)。このことから、ポリシアロガングリオシドに作用してモノシアロガングリオシドGM1に変換する作用を有することが示される。
【0016】
【表2】
Figure 0003703199
【0017】
(3)至適pH及び温度安定性
本酵素の至適pHは5.5でpH4.5〜6.0の間で比較的高い活性を示す(図1)。また、本酵素をpH5.0、20mM酢酸緩衝液中、種々の温度で2時間保温した場合、本酵素は40℃以上ではほぼ失活しており、比較的低い温度域(37℃以下)で安定である(図2)。
【0018】
(4)金属塩の影響
本酵素における各種の金属塩の影響を調べた。銅は硫酸塩、亜鉛は酢酸塩を用い、それら以外はすべて塩化物を用い、2mMの濃度になるように反応系に加えた結果、表3に示すように本酵素はマンガン、バリウム等によって強く活性化され、水銀、銅、鉄によって活性が強く阻害された。
【0019】
【表3】
Figure 0003703199
【0020】
本発明のモノシアロガングリオシドGM1の製造法においては、特に限定されるものではないが、例えば上述した菌株を栄養培地中で培養した後、培地にガングリオシド粗製物を加えるか、あるいはあらかじめガングリオシド粗製物を加えた栄養培地中で培養する方法によりガングリオシド粗製物と菌株を接触させることができる。いずれの場合においても、ガングリオシド粗製物の添加量は特に限定されるものではなく適宜決定される。
【0021】
ここでガングリオシド粗製物とは牛脳などから調製された各種のガングリオシドを含むガングリオシドの混合物である。ガングリオシド粗製物は、例えばカンファー(Kanfer,J.N.)らの方法[メソッズ イン エンザイモロジー(Methods in Enzymology) 第14巻、第660〜664頁、1969年]に従って調製することが出来る。
【0022】
培地としては、本菌株が生育し、シアリダーゼが生産され、培地中に存在するガングリオシド粗製物から効率よくモノシアロガングリオシドGM1が生成するようなものであればよく、特に限定されるものではない。かかる培地において炭素源としては、例えばガングリオシド粗製物、ガングリオテトラオース系のポリシアロガングリオシド(GD1a、GD1b、GT1a、GT1b)が利用できる。好ましくはGD1aである。また、窒素源としては例えば塩化アンモニウム、ポリペプトン等が適当である。
その他にリン酸塩、カリウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩などの無機質及び金属塩類を加えてもよい。
【0023】
本菌株を培養するにあたり、シアリダーゼの生産量、モノシアロガングリオシドGM1の生成量は培養条件により大きく変動するが、一般的に培養温度は20〜35℃、培地のpHは7.2〜7.4が良く、1日〜7日の通気攪拌培養でモノシアロガングリオシドGM1が生産される。
【0024】
培養終了後、目的のモノシアロガングリオシドGM1を含む培養液から遠心分離等によって菌株を除去し、得られた培養上清から通常用いられる方法でタンパク質や塩類を除去する。例えば、培養上清をC18の逆相カラム等に負荷してタンパク質を除去し、同時に脱塩を行う方法が効果的である。脱塩した培養上清から通常用いられる方法、例えばメソッズ イン エンザイモロジー第83巻、第139〜191頁、1982年に記載の方法でモノシアロガングリオシドGM1を精製することが出来る。精製したモノシアロガングリオシドGM1の構造の確認は、薄層クロマトグラフィーや液体クロマトグラフィー、質量分析、核磁気共鳴スペクトルなどの分析法によって行うことが出来る。このようにしてガングリオシド粗製物を本発明に用いる微生物と共に培養することにより、ガングリオシド粗製物から目的のモノシアロガングリオシドGM1に変換することが出来る。
【0025】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に示すが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0026】
実施例1
シアリダーゼ生産能を有するシュードモナス属菌株の単離
博多湾の海水0.01mLを採取し、ガングリオシドを唯一の炭素源とする合成培地(ガングリオシド粗製物:0.1重量%、NaCl:1重量%、NH4 Cl:0.05重量%、K2 HPO4 :0.05重量%、pH7.4)0.1mLに加え、25℃で3日間培養した。なお、ここで用いたガングリオシド粗製物は、牛脳からカンファーらの方法(メソッズ イン エンザイモロジー、第14巻、第660〜664頁、1969年)により得られたものである。その後、培養上清の基質の分解をTLCで確認し、シアリダーゼ活性のあるものを同培地に植え継ぎ、これを3回繰り返したのち、平面培地で各コロニーを単離した。その結果、28株のシアリダーゼ生産菌が分離された。その内の1株について菌学的性質を検査し、バージーズ マニュアル オブ ディターミネーティブ バクテリオロジー(Bergey's Manual of Determinative Bacteriology)(第8版)、ウィリアムズ アンド ウィルキンス カンパニー、1974年発行、の分類法に基づいて同定を行ったところ、本菌株はシュードモナス (Pseudomonas)属に属する、新種の海洋性シュードモナスと同定され、シュードモナス エスピー YF−2と命名され、Pseudomonas sp. YF−2と表示され、工業技術院生命工学工業技術研究所に、FERM P−15355として寄託されている。
【0027】
実施例2
(1)微生物の培養ならびにガングリオシド粗製物のモノシアロガングリオシドGM1への変換
牛脳からカンファーらの方法(メソッズ イン エンザイモロジー、第14巻、第660〜664頁、1969年)に従って糖脂質の混合物であるガングリオシド粗製物を調製した。得られたガングリオシド粗製物500mgを含む100mLの液体培地(K2 HPO4 :0.05重量%;NH4 Cl:0.05重量%;NaCl:1重量%;pH7.4)中で、シュードモナス エスピー YF−2を25℃で3日間培養した。培養液を遠心分離した後、培養上清中のガングリオシドを薄層クロマトグラフィーで分析したところ、ガングリオシド粗製物中のモノシアロガングリオシドGM1含量は約20%であるのに対して、3日間培養後の培養上清中のガングリオシド中に占めるモノシアロガングリオシドGM1の割合は90%以上に上昇していた(図3)。なお、各成分の定量は次のようにして実施した。
薄層クロマトグラフィーで展開〔クロロホルム/メタノール/0.2%KCl=5:4:1(v/v)〕後、オルシノール硫酸液を噴霧し、100〜110℃のオーブンで10分間加熱した。GM1(ヤトロン社製)、GD1a(ヤトロン社製)、GD1b(ヤトロン社製)、GT1a(バイオカーブ社製)をそれぞれ標品として、TLCクロマトスキャナーCS9300(島津製作所社製)により、540nmにおける吸収を測定することにより定量を行った。
【0028】
(2)モノシアロガングリオシドGM1の精製
培養液を遠心分離して得た培養上清(ガングリオシド約200mg分)を、メタノールで洗浄後脱イオン水で平衡化されたC18逆相カラム〔Preparative C18 125Å(ミリポア社製)充填量30g、カラム直径30mm、オープンカラム〕に負荷した。カラムに脱イオン水300mLを流して脱塩を行った後、クロロホルム/メタノール(2/1:v/v)500mLを流して糖脂質を溶出した。溶出画分をエバポレーターで濃縮して次の陰イオン交換クロマトグラフィーに供した。
【0029】
DEAE Sephadex A25(ファルマシア社製)陰イオン交換カラムクロマトグラフィーによるモノシアロガングリオシドGM1の精製は、以下に示すように行った。
溶出溶媒は、溶媒Iとしてクロロホルム/メタノール/脱イオン水=30:60:8(v/v)、溶媒IIとしてクロロホルム/メタノール/0.8M酢酸ナトリウム水溶液=30:60:8(v/v)を用いた。溶媒Iで平衡化したDEAE Sephadex A25(75mL)をカラム(直径25mm、オープンカラム)に充填した。ガングリオシド約200mgを50mLの溶媒Iに溶かして超音波処理を行い、得られたサンプルをそのカラムに負荷した。溶媒Iを300mL流した後、溶媒Iと溶媒IIそれぞれ400mLで直線濃度勾配をつくり、モノシアロガングリオシドGM1を溶出した。溶出液は10mLずつ分画し、各フラクションについて薄層クロマトグラフィーでガングリオシドの分析を行った。
【0030】
薄層クロマトグラフィーはクロロホルム/メタノール/0.2%KCl=5:4:1(v/v)で展開し、オルシノール硫酸液を噴霧した後100〜110℃のオーブンで10分間加熱してガングリオシドを検出した。発色後のプレートをTLCクロマトスキャナーCS9300(島津製作所社製)に供し、540nmにおける吸収を測定することによって、ガングリオシドの定量を行った。
その結果、グラディエント溶出画分のフラクション26−43にモノシアロガングリオシドGM1が溶出された(図4)。このようにして精製されたモノシアロガングリオシドGM1の量は、TLCで定量すると175mgであった。
得られたGM1についてFAB−MSを用いて質量分析を行った結果、分子量1545の結果が得られ、得られたガングリオシドは間違いなくモノシアロガングリオシドGM1であることが確認できた。
【0031】
以上のデータを要約すると、次のとおりである。ガングリオシド粗製物500mg中にはガングリオシドは約215mg含まれており、その中でモノシアロガングリオシドGM1は約40mgであった。ガングリオシド粗製物をシュードモナス エスピー YF−2とともに培養し、培養上清を逆相カラムに供した後の溶出液ではモノシアロガングリオシドGM1の含量は約200mgにまで上昇していた。さらに陰イオン交換クロマトグラフィーによる精製を行うことによって最終的に175mgの純粋なモノシアロガングリオシドGM1を原料のガングリオシド粗製物からの収率81%で得ることが出来た。
【0032】
試験例
精製モノシアロガングリオシドGM1の神経突起伸展作用
実施例2で得られた精製モノシアロガングリオシドGM1を33μM、100μMの濃度で血清含有培地(10%FCS(牛胎児血清)含有MEM培地(日水製薬社製))に加え、神経芽腫瘍細胞Neuro 2a細胞(ATCC CCL−131)を37℃で24時間培養した。培養後の細胞をランダムに写真に撮り、そのうち100個の細胞のうち突起をもった細胞数を測定し、神経細胞への分化の度合いを検討した。その結果、精製モノシアロガングリオシドGM1を100μM加えた場合、突起を有する細胞の割合の顕著な増加が見られた(図5)。このことから、実施例2で調製したモノシアロガングリオシドGM1は血清含有培地においても神経突起の伸展能を有していること分かった。
【0033】
【発明の効果】
本発明の製造方法により、効率よく安価にモノシアロガングリオシドGM1を大量調製することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のシュードモナス属菌の産生するシアリダーゼの至適pHを示す図である。
【図2】図2は、本発明のシュードモナス属菌の産生するシアリダーゼの温度安定性を示す図である。
【図3】図3は、実施例2におけるガングリオシド粗製物からのモノシアロガングリオシドGM1への変換を示す図である。
【図4】図4は、実施例2におけるDEAE Sephadex A25 によるクロマトグラムを示す図である。
【図5】図5は、精製モノシアロガングリオシドGM1の神経突起伸展作用を示す図である。

Claims (3)

  1. ガングリオシド粗製物をシュードモナス(Pseudomonas)エスピー(sp.)YF−2(FERM P−15355)と接触させることを特徴とするモノシアロガングリオシドGM1の製造方法。
  2. ガングリオシド粗製物を添加した培地中で該微生物を培養することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  3. シアリダーゼ生産能を有するシュードモナス(Pseudomonas)エスピー(sp.)YF−2(FERM P−15355)
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