JPH09231716A - テープカートリッジ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 下ハーフに金属プレートをインサート成形し
た際に、下ハーフ全体に生じる反りを抑制する。 【解決手段】 背面部側の外周壁１６に、リールロック
部材３７及び誤記録防止部材３９等が配設されるリール
ロック部２１及びコーナ部に隣接して形成されるととも
に、これらリールロック部２１及びコーナ部の間に位置
してカートリッジ本体２の背面部に貼り付けられる表示
ラベルのラベルエリアＬの境界線と一致する切欠き深さ
を有する切欠き部１６Ｃ、１６Ｄが設けられた下ハーフ
３を備えて構成される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、磁気テープ等のテ
ープ状媒体を巻回したテープリールがカートリッジ本体
の内部に収納され、カートリッジ本体を構成する下ハー
フに金属プレートがインサート成形されたテープカート
リッジに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、例えばビデオテープレコーダ用テ
ープカートリッジやＤＡＴ用テープカートリッジ等のテ
ープカートリッジは、前面部がそれぞれ開放された矩形
略浅皿状の下ハーフと上ハーフとを組み合わせてカート
リッジ本体が構成される。このカートリッジ本体には、
磁気テープを巻回した一対のテープリールが回転自在に
収納されるとともに、開放された前面部にローディング
空間部が構成されている。ローディング空間部には、テ
ープカートリッジが記録再生装置の装填部に装填される
と、この記録再生装置側のテープローディング手段が進
入する。ローディング空間部は、カートリッジ本体に回
動自在に支持されたリッドによって開閉される。

【０００３】そして、テープカートリッジには、カート
リッジ本体を構成する下ハーフの底面部に、金属製のベ
ースプレートが一体にインサート成形されたものがあ
る。このテープカートリッジは、ベースプレートが設け
られることによって、曲げやねじりに対する機械的強度
の向上が図られるとともに全体の重量が大とされ、テー
プリールを駆動するテープ駆動機構の振動等が加えられ
ても振動して磁気テープの走行動作に影響を与えること
はなく、情報信号の高精度な記録再生が行われる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したテ
ープカートリッジを構成する下ハーフ１０４は、図９
（Ａ）に示すように、射出成形後に熱収縮した際、ベー
スプレート１０６が樹脂材料に比較してほぼ剛体とみな
すことができるため、このベースプレート１０６に隣接
する樹脂部１１６の収縮量がほぼ０となる。また、ベー
スプレート１０６から離間した箇所の樹脂部１１６は、
射出成形後に熱収縮した際、ベースプレート１０６に隣
接する箇所の収縮量に比較して大きな収縮量を伴う。

【０００５】すなわち、ベースプレート１０６がインサ
ート成形された下ハーフ１０４は、図９（Ｂ）に示すよ
うに、ベースプレート１０６に隣接する箇所の収縮量が
抑制されて小さくされるとともに、ベースプレート１０
６から離間した箇所の収縮量が大きい。このため、この
下ハーフ１０４は、これらの箇所の収縮量の差によっ
て、図１０（Ａ）中に矢印で示すように、外周壁の長手
方向に亘って張力が生じてしまう。したがって、この下
ハーフ１０４には、図１０（Ｂ）に示すように、ハーフ
全体に反りが発生してしまう。そして、ハーフ全体に発
生する反りは、特に下ハーフ１０４の長手方向に大きく
発生するという問題があった。

【０００６】そこで、本発明は、下ハーフに金属プレー
トをインサート成形した際に、ハーフ全体に反りが生じ
ることを大幅に抑制することができるテープカートリッ
ジを提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を達成するための手段】上述した目的を達成する
ため、本発明に係るテープカートリッジは、カートリッ
ジ本体を構成する下ハーフに立ち上がり形成された背面
部側の外周壁に、テープカートリッジを構成する機能部
材が組み付けられる組付け領域に隣接して形成されると
ともに、これら各組付け領域の間に位置してカートリッ
ジ本体の背面部に貼り付けられる表示ラベルの貼り付け
領域の境界線と一致する切欠き深さを有する切欠き部が
設けられる。

【０００８】また、本発明に係るテープカートリッジ
は、カートリッジ本体を構成する下ハーフにインサート
成形された金属プレートの側縁部が、カートリッジ本体
の側面部に露呈するように下ハーフにインサート成形さ
れる。そして、下ハーフには、立ち上がり形成された側
面部側の外周壁に、少なくとも金属プレートの側縁部に
対応して切欠き部が設けられる。

【０００９】さらに、本発明に係るテープカートリッジ
は、カートリッジ本体を構成する下ハーフにインサート
成形された金属プレートの側縁部が、カートリッジ本体
の側面部に露呈するように下ハーフにインサート成形さ
れる。そして、下ハーフには、立ち上がり形成された背
面部側の外周壁に、テープカートリッジを構成する機能
部材が組み付けられる組付け領域に隣接して形成される
とともに、これら各組付け領域の間に位置して、カート
リッジ本体の背面部に貼り付けられる表示ラベルの貼り
付け領域の境界線に一致する切欠き深さを有する切欠き
部が設けられ、且つ立ち上がり形成された側面部側の外
周壁に、少なくとも金属プレートの側縁部に対応して切
欠き部が設けられる。

【００１０】以上のように構成したテープカートリッジ
は、下ハーフに立ち上がり形成された背面部側の外周壁
に切欠き部を設けることによって、背面部側の外周壁の
金属プレートに隣接する箇所と金属プレートから離間し
た箇所との熱収縮量の差が大幅に低減されるとともに、
背面部側の外周壁に亘って生じて下ハーフ全体に反りを
発生させる張力が分断されるため、下ハーフ全体に生じ
る反りが大幅に抑制される。

【００１１】また、本発明に係るテープカートリッジ
は、下ハーフに立ち上がり形成された側面部側の外周壁
に切欠き部を設けることによって、側面部側の外周壁の
金属プレートに隣接する箇所と金属プレートから離間し
た箇所との熱収縮量の差が低減されるとともに、側面部
側の外周壁に亘って生じて下ハーフ全体に反りを発生さ
せる張力が分断されるため、下ハーフ全体に生じる反り
が抑制される。

【００１２】さらに、本発明に係るテープカートリッジ
は、下ハーフに立ち上がり形成された背面部側の外周壁
及び側面部側の外周壁に切欠き部を設けることによっ
て、外周壁の金属プレートに隣接する箇所と金属プレー
トから離間した箇所との熱収縮量の差が大幅に低減され
るとともに、外周壁に亘って生じて下ハーフ全体に反り
を発生させる張力が分断されるため、下ハーフ全体に生
じる反りが大幅に抑制される。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な実施の形
態について図面を参照して詳細に説明する。本発明に係
る実施の形態として図１乃至図８に示したビデオテープ
レコーダ用８ｍｍビデオテープカートリッジ１（テープ
カートリッジ１）は、図１及び図２に示すように、合成
樹脂製の上ハーフ３と後述するベースプレート６をイン
サート成形して一体化した合成樹脂製の下ハーフ４とを
組み合わせてカートリッジ本体２が構成され、このカー
トリッジ本体２の前面部にリッド構体５が回動自在に組
み合わされて構成されている。

【００１４】カートリッジ本体２には、その内部に８ｍ
ｍ幅の磁気テープ８が巻回された一対のテープリール７
（７Ａ、７Ｂ）がそれぞれ回転自在に収納されている。
磁気テープ８は、一方のテープリール７Ａから引き出さ
れ、後述するテープガイド機構によってローディング空
間部Ｈに沿って導かれて他方のテープリール７Ｂに巻き
取られる。この磁気テープ８の状態は、上ハーフ３に設
けたリール窓１２によって外方から視認される。

【００１５】上ハーフ３は、合成樹脂材料、例えばポリ
カーボネート樹脂とＡＢＳ樹脂とを材料として、横長矩
形の主面壁１０と、前方部１３を除く外周部に一体に立
ち上がり形成された外周壁１１とからなる略浅皿状を呈
して成形されている。主面壁１０には、上述したリール
窓１２が設けられている。このリール窓１２は、ポリカ
ーボネート樹脂によって透明部として構成されており、
テープリール７に対する磁気テープ８の巻回状態が視認
されるとともに、カートリッジ本体２の内部への塵埃等
の進入を阻止する。

【００１６】上ハーフ３には、主面壁１０の内面に、そ
の開放前面部１３の内方に位置してガイド壁１４が一体
に突設されている。ガイド壁１４は、中央部から両側に
向かって湾曲する円弧状壁からなり、テープリール７の
外周部を保持するリールガイド壁を構成する。なお、上
ハーフ３には、図示しないが主面壁１０の内面に下ハー
フ４とを止めねじ９によって一体に結合するためのスタ
ッドが複数箇所に設けられている。

【００１７】下ハーフ４は、合成樹脂製の下ハーフ本体
４Ａと、この下ハーフ本体４Ａに対して一体化された金
属製のベースプレート６とから構成されている。下ハー
フ本体４Ａも、例えばＡＢＳ樹脂を材料として、横長矩
形の底面壁１５と、前方部１７を除く外周部に一体に立
ち上がり形成された外周壁１６とからなる略浅皿状を呈
して成形されている。下ハーフ本体４Ａは、その底面壁
１５に、後述するようにビデオテープレコーダに対する
装填基準部を構成する部位である中央部の前方部と後方
部及び背面側のコーナ部とを残して大きく開口された底
面開口部４９を後述するベースプレート６がインサート
成形により一体化されている。

【００１８】下ハーフ本体４Ａには、図４に示すよう
に、底面壁１５の内面に、その開放前面部１７の内方に
位置してガイド壁１８が一体に突設されている。ガイド
壁１８は、中央部から両側に向かって湾曲する円弧状壁
からなり、上述した上ハーフ３のガイド壁１４と協動し
てテープリール７の外周部を保持するリールガイド壁の
一部を構成する。

【００１９】下ハーフ本体４Ａは、図４に示すように、
背面側の両コーナ部、後述するリールロック部２１及び
終端検出部２３を囲む立上り壁とがそれぞれ円弧状に形
成されており、これら立上り壁と上述したガイド壁１８
とによって囲まれる領域がテープリール７を回転自在に
収納するテープリール回転領域Ｒを構成している。上述
した底面開口部４９は、このテープリール回転領域Ｒ内
に形成されている。

【００２０】下ハーフ本体４Ａには、図４及び図５に示
すように、前面開放部１７を挟んだ両側部分が前方へと
張出形成されるとともにこれら部位に相対向するテープ
ガイド部１９（１９Ａ、１９Ｂ）が突設されている。こ
れらテープガイド部１９は、外側面が円弧状に形成され
ており、後述するようにテープリール７から引き出され
た磁気テープ８が掛け合わされる。また、テープガイド
部１９には、やや内側の内面にリッドガイド溝２０（２
０Ａ、２０Ｂ）がそれぞれ形成されている。リッドガイ
ド溝２０は、後述するようにリッド構体５を構成するフ
ロントリッド２５を回動自在かつ上下方向に移動自在に
支持する。

【００２１】下ハーフ本体４Ａには、図４に示すよう
に、底面壁１５の背面側の中央領域に位置して、リール
ロック部２１が一体に形成されている。リールロック部
２１は、互いに平行に対峙する前後方向の一対のガイド
壁からなり、リールロック部材３７と、このリールロッ
ク部材３７を前方側へ付勢するリールスプリング３８と
が収納される。このリールロック部２１には、底面壁１
５を貫通するリールロックガイド溝２２が設けられてい
る。このリールロックガイド溝２２には、テープカート
リッジ１がビデオテープレコーダに装填されると、ビデ
オテープレコーダ側のリールロック解除部材が進入す
る。換言すれば、リールロック部２１は、テープカート
リッジ１がビデオテープレコーダに装填される際の装填
基準部の一部を構成する。

【００２２】下ハーフ本体４Ａには、図４及び図５に示
すように、リールロックガイド部２１に対応する底面壁
１５の前面側に位置した中央領域に、終端検出部２３が
一体に形成されている。この終端検出部２３は、底面壁
１５を貫通する光源進入穴と、この光源進入穴の周囲に
形成された筒状突部とから構成されている。終端検出部
２３には、テープカートリッジ１がビデオテープレコー
ダに装填されると、ビデオテープレコーダ側の終端検出
機構を構成する光源が光源進入穴からカートリッジ本体
２の内部へと進入する。このように、終端検出部２３
も、テープカートリッジ１がビデオテープレコーダに装
填される際の装填基準部の一部を構成する。

【００２３】なお、光源から出射される光は、筒状突部
の両側からガイド壁１８の内面に沿って側方へと導か
れ、後述するように外周壁１６とテープガイド１９との
間を走行する磁気テープ８の走行路を横断して外方へ露
光し、終端検出機構を構成する受光素子によって検出さ
れる。

【００２４】下ハーフ本体４Ａには、図４及び図５に示
すように、背面側の両コーナ部に位置してそれぞれ仕様
検出部２４（２４Ａ、２４Ｂ）が設けられている。これ
ら仕様検出部２４は、例えば磁気テープ８の種類、長さ
或いは記録密度等の仕様に基づいて開口される複数の検
出穴によって構成される。これら検出穴は、詳細を省略
するがパターン化された位置に環状の薄肉部を介して形
成され、この薄肉部を破断することによって下ハーフ本
体４Ａに開設される。

【００２５】仕様検出部２４は、テープカートリッジ１
がビデオテープレコーダに装填されると、ビデオテープ
レコーダ側の仕様検出機構を構成する検出部材が検出穴
の有無を検出することによって、所定の仕様検出が行わ
れる。したがって、仕様検出部２４も、テープカートリ
ッジ１がビデオテープレコーダに装填される際の装填基
準部の一部を構成する。

【００２６】また、下ハーフ本体４Ａの一方のコーナ部
には、図５に示すように、記憶部４８が配設されてい
る。この記憶部４８は、詳細を省略するが、記憶素子
と、入出力端子と、この入出力端子等によって構成さ
れ、例えばテープカートリッジ１の使用状況や制御情報
等が記憶素子に記録される。また、入出力端子は、下ハ
ーフ本体４Ａの背面部側の外周壁１６に臨んで配設され
ている。記憶部４８は、テープカートリッジ１がビデオ
テープレコーダに装填されると、入出力端子に情報記録
再生機構のコネクタが接続される。テープカートリッジ
１は、情報記録再生機構によって記憶素子に記録された
情報が再生され或いは所定の情報が記録される。

【００２７】さらに、下ハーフ本体４Ａの他方コーナ部
には、図４に示すように、誤記録防止部材３９が配設さ
れている。この誤記録防止部材３９は、コーナ部に形成
された誤記録検出穴を開閉する２位置に切換え操作され
る。テープカートリッジ１は、誤記録防止部材３９が誤
記録検出穴を閉塞した第１の位置に設定操作された場
合、この誤記録防止部材３９によってビデオテープレコ
ーダ側の誤記録検出機構の検出部材が誤記録検出穴へ進
入することを阻止し、磁気テープ８に対する情報信号の
記録動作を可能とする。

【００２８】また、テープカートリッジ１は、誤記録防
止部材３９が誤記録検出穴を開放した第２の位置に設定
操作された場合、ビデオテープレコーダ側の誤記録検出
機構の検出部材が誤記録検出穴へと進入することによ
り、磁気テープ８に対する情報信号の記録動作を不能と
する。このように、誤記録防止穴も、テープカートリッ
ジ１がビデオテープレコーダに装填される際の、装填基
準部の一部を構成する。

【００２９】そして、下ハーフ本体４Ａには、図４及び
図６に示すように、側面部側の外周壁１６に、後述する
ベースプレート６の凸縁部４５に対応して、略矩形状の
切欠き部１６Ａ、１６Ｂが切り欠かれている。

【００３０】また、下ハーフ本体４Ａの背面部側の外周
壁１６には、記憶部４８が配設された一方のコーナ部と
リールロック部材３７が配設されるリールロック部２１
との間に位置して、略矩形状の切欠き部１６Ｃが切り欠
かれており、また誤記録防止部材３９が配設された他方
のコーナ部とリールロック部２１との間に位置して略矩
形状の切欠き部１６Ｄが切り欠かれている。

【００３１】また、下ハーフ本体４Ａには、背面部側の
外周壁１６に、図７中にクロス線で示すように、収録内
容等を表示する表示ラベルを貼り付けるためのラベルエ
リアＬが凹設されている。そして、上述した切欠き部１
６Ｃ、１６Ｄは、下ハーフ本体４ＡのラベルエリアＬの
境界線に沿った切欠き深さ寸法を有している。

【００３２】したがって、上ハーフ３には、図２、図６
及び図７に示すように、側面部側の外周壁１１に、上述
した下ハーフ本体４Ａの切欠き部１６Ａ、１６Ｂに対応
して、略矩形状の嵌合突片１１Ａ、１１Ｂが一体に突出
形成されている。また、上ハーフ３には、背面部側の外
周壁１１に、上述した下ハーフ本体４Ａの切欠き部１６
Ｃ、１６Ｄに対応して、略矩形状の嵌合突片１１Ｃ、１
１Ｄが一体に突出形成されている。

【００３３】また、下ハーフ本体４Ａには、底面壁１５
に上ハーフ３側のスタッドに対応位置して複数のスタッ
ドが形成されている。したがって、上ハーフ３と下ハー
フ４は、後述する各部材を組み付けた後、互いに外周壁
１１、１６が突き合わされることによって、切欠き部１
１Ａ、１１Ｂに嵌合突片１６Ａ、１６Ｂが互いに嵌め込
まれるとともに、切欠き部１１Ｃ、１１Ｄに嵌合突片１
６Ｃ、１６Ｄが互いに嵌め込まれる。

【００３４】これら上ハーフ３と下ハーフ４は、外周壁
１１、１６が突き合わされて、下ハーフ４の底面側から
ねじ込まれた止めねじ９によって一体に結合されて、図
６及び図７に示すように、カートリッジ本体２を構成す
る。このカートリッジ本体２には、図３に示すように前
面部側に、上ハーフ３の開放前面部１３と下ハーフ４の
開放前面部１７が協動してローディング空間部Ｈが構成
される。

【００３５】以上のように下ハーフ本体４Ａは、切欠き
部１６Ａ乃至１６Ｄが切り欠かれることによって、ベー
スプレート６をインサート成形した後の熱収縮により生
じる反りが大幅に抑制される。また、下ハーフ４は、微
少な反りが発生した場合であっても、図８に示すよう
に、上ハーフ３に組み付けるとともに、止めねじ９を介
して一体に結合されることによって、微少な反りが容易
かつ確実に修正することが可能とされる。

【００３６】また、テープカートリッジ本体２は、下ハ
ーフ４の外周壁１６の切欠き部１６Ｃ、１６Ｄと上ハー
フ３の外周壁１１の嵌合突片１１Ｃ、１１Ｄとが互いに
組み合わされた箇所に表示ラベルが貼り付けられるた
め、これら切欠き部１６Ｃ、１６Ｄと嵌合突片１１Ｃ、
１１Ｄが組み合わされた箇所によって外観上の美観が損
なわれない。

【００３７】なお、下ハーフ本体４の外周壁１６に設け
られる切欠き部は、切り欠かれる面積を大きくすること
に伴って、外周壁１６の長手方向に亘って生じる張力が
分断されて小さくなり、熱収縮により下ハーフ本体４Ａ
に発生する反りが更に抑制される。したがって、上述し
た下ハーフ本体４Ａには、複数の切欠き部１６Ａ乃至１
６Ｄをそれぞれ設ける構成としたが、例えば一方のコー
ナ部と他方のコーナ部との間に連続する切欠き部を設け
る構成としてもよい。

【００３８】リッド構体５は、図２に示すように、フロ
ントリッド２５と、バックリッド２８と、リッドスプリ
ング２９及びリッドカム３０の各部材によって構成され
ている。フロントリッド２５は、カートリッジ本体２の
前面部に構成されたローディング空間部Ｈを閉塞するに
足る外形寸法を有する主面部２６と、カートリッジ本体
２の側面部に設けられた軸穴に係合された支軸を有する
側面部２７Ａ、２７Ｂとからなる略横向きコ字状を呈し
て形成されている。

【００３９】また、フロントリッド２５は、主面部２６
がテープガイド１９の前方側に位置されて側面部２７を
カートリッジ本体２に回動自在に支持される。さらに、
フロントリッド２５は、支軸に装着されたトーションス
プリングからなるリッドスプリング２９の弾性力によっ
て、カートリッジ本体２のローディング空間部Ｈを閉塞
する方向に付勢されている。

【００４０】バックリッド２８は、カートリッジ本体２
の開放された前面部と上ハーフ３の開放前面部１３とを
閉塞するに足る外形を有する断面略コ字状に形成されて
おり、フロントリッド２５の主面部２６の内側に位置し
てこのフロントリッド２５に回動自在に支持されてい
る。また、バックリッド２８は、両側縁部に、リッドガ
イド２０に相対係合されるカム凸部が一体に突設されて
いる。バックリッド２８は、フロントリッド２５の主面
部２６に対して後述するように磁気テープ８を延在させ
る対向空間を構成するようにして、やや間隔を以って対
向位置してカートリッジ本体２に組み付けられている。

【００４１】リッドカム３０は、下ハーフ４の外周壁に
一体に形成したカム取付け部に回動自在に組み付けられ
ており、詳細を省略するが一端部がフロントリッド２５
の一方側面部２７Ａの先端内面に形成したカム部と相対
係合されるとともに、他端部が下ハーフ本体４Ａに開設
したリッド開放溝に臨ませられている。

【００４２】以上のように構成されたリッド構体５は、
図１、図３及び図６に示すように、通常リッドスプリン
グ２９の弾性力によってカートリッジ本体２の前面部を
閉塞している。リッド構体５は、ビデオテープレコーダ
に装填されると、リッド開放溝に進入するビデオテープ
レコーダ側のリッド開放部材によってリッドカム３０が
回動動作される。

【００４３】リッド構体５は、このリッドカム３０の動
作によって、フロントリッド２５がリッドスプリング２
９の弾性力に抗して回動されてカートリッジ本体２の前
面部を開放する。また、リッド構体５は、このフロント
リッド２５の動作によって、バックリッド２８がリッド
ガイド２０に沿って一体的に回動動作される。テープカ
ートリッジ１は、このようにしてリッド構体５が回動動
作することによって、カートリッジ本体２の前面部に構
成されたローディング空間部Ｈが開放される。

【００４４】左右一対のテープリール７は、図２に示す
ように、上ハーフ３の内面に取り付けた一対のリールス
プリング３１（３１Ａ、３１Ｂ）によってそれぞれ下ハ
ーフ４側へと押し付けられる。テープリール７は、これ
らリールスプリング３１によってカートリッジ本体２の
内部において上下方向の遊動が防止されている。

【００４５】テープリール７は、それぞれ外周部に磁気
テープ８が巻回される筒状のハブ３２（３２Ａ、３２
Ｂ）と、このハブ３２に磁気テープ８の一端部を固定す
るためのクランパ３３（３３Ａ、３３Ｂ）と、ハブ３２
と一体に形成された下フランジ３４（３４Ａ、３４Ｂ）
と、この下フランジ３４に対向してハブ３２に組み合わ
される上フランジ３５（３５Ａ、３５Ｂ）とから構成さ
れている。

【００４６】ハブ３２には、ビデオテープレコーダ側の
リール駆動軸が嵌合する図示しないハブ穴が設けられて
おり、後述するベースプレート６に設けたリール軸受穴
４１にそれぞれ臨ませられる。また、ハブ３２には、外
周部の一部にクランパ３３が係合される係合溝が設けら
れており、このクランパ３３によって磁気テープ８の先
端部に接合したクランピングテープ３６が挟み込まれて
固定される。

【００４７】下フランジ３４には、外周部に外周歯が全
周に亘って形成されている。テープリール７は、通常上
述したリールロック部２１に収納されるとともに、リー
ルロックスプリング３８の弾性力によりロックレバーが
下フランジ３４の外周歯に係合するリールロック部材３
７によって、回転方向の遊動が阻止されている。テープ
リール７は、テープカートリッジ１がビデオテープレコ
ーダに装填されると、上述したようにリールロックガイ
ド溝２２から進入するリールロック解除部材によってリ
ールロックスプリング３８がの弾性力に抗して、リール
ロック部材３７が移動動作されることにより、係止状態
が解除されて回転自在な状態となる。

【００４８】クランピングテープ３６は、透明テープに
よって構成されており、上述した終端検出部２３に進入
したビデオテープレコーダ側の光源から出射された光を
透過させる。勿論、磁気テープ８は、記録層が形成され
ていることによって不透明に構成されていることから、
終端検出機構の光源から出射された光を遮断する。した
がって、テープカートリッジ１は、クランピングテープ
３６を透過してカートリッジ本体２の側面から漏出する
光の有無により、終端の検出が行われる。

【００４９】磁気テープ８は、一方のテープリール７Ａ
の外周部から前方へと向かって引き出され、一方のテー
プガイド１９Ａに掛け合わされてテープローディング空
間部Ｈ側へと折り返される。磁気テープ８は、このテー
プローディング空間部Ｈを横断して他方のテープガイド
１９Ｂに掛け合わされて内側へと折り返されて他方のテ
ープリール７Ｂの外周部に巻き取られる。磁気テープ８
は、テープローディング空間部Ｈを横断する際に、リッ
ド構体５のフロントリッド２５とバックリッド２８との
間に構成された空間部に延在されることにより、汚損或
いは破損が防止されている。

【００５０】磁気テープ８は、テープカートリッジ１が
ビデオテープレコーダに装填されると、上述したように
リッド構体５が回動動作してテープローディング空間部
Ｈが開放されることから、カートリッジ本体２の前方部
において外方へと露呈された状態となる。磁気テープ８
は、この状態で、テープローディング空間部Ｈに進入す
るテープローディング部材によってロック状態が解除さ
れたテープリール７から引き出され、所定のローディン
グが行われる。

【００５１】ベースプレート６は、テープカートリッジ
１に対して、所定の重量を付与するとともにねじりや曲
げに対する機械的剛性を保持させる作用を奏し、例えば
アルミ板やアルミ合金板を材料として打抜き形成され
る。ベースプレート６は、基部４０が長手方向の寸法を
下ハーフ本体４Ａの長手方向の寸法とほぼ等しくかつ幅
寸法がテープリール回転領域Ｒの直径よりもやや小とさ
れて、図３、図４及び図５に示すように、横長矩形を基
本形として形成されている。

【００５２】このベースプレート６には、基部４０に長
手方向に離間してリール軸受穴４１（４１Ａ、４１Ｂ）
がそれぞれ開設されている。これらリール軸受穴４１
は、上述したようにカートリッジ本体２の内部に収納さ
れたテープリール７のハブ穴を外方へと臨ませる。した
がって、これらリール軸受穴４１には、テープカートリ
ッジ１がビデオテープレコーダに装填されると、ハブ穴
に嵌合してテープリール７を回転駆動させるテープ駆動
軸が進入する。

【００５３】ベースプレート６には、リール軸受穴４１
間に位置して基部４０の幅方向の両端側からリールロッ
ク逃げ部４２と終端検出逃げ部４３とがそれぞれ切欠き
形成され、それぞれリールロック部２１、終端検出部２
３に対応位置される。また、ベースプレート６には、基
部４０の一方側の両コーナ部に位置して仕様検出逃げ部
４４（４４Ａ、４４Ｂ）がそれぞれ切欠き形成され、仕
様検出部２４に対応位置される。さらに、ベースプレー
ト６には、基部４０の長手方向の両端部にそれぞれ凸縁
部４５（４５Ａ、４５Ｂ）が一体に突出形成されてい
る。

【００５４】これらの凸縁部４５は、ベースプレート６
が底面開口部４９にインサート成形された状態におい
て、図６に示すように、外周縁部が下ハーフ本体４Ａの
外周壁１６に露呈されてこの外周壁１６と同一面を構成
している。

【００５５】以上のように構成されたベースプレート６
は、下ハーフ４を成形する図示しない成形金型の底面開
口部４９に対応するキャビティ内に組み付けられる。成
形金型には、キャビティ内の溶融状態の材料樹脂が射出
されることによって、下ハーフ本体４Ａの底面壁１５に
ベースプレート６が一体化されて下ハーフ４の成形が行
われる。成形金型は、所定の冷却時間が経過した後に型
開き動作が行われ、成形された下ハーフ４のイジェクト
動作が行われる。

【００５６】以上のように構成されたテープカートリッ
ジ１は、カートリッジ本体２の外周部と底面部とを基準
面としてビデオテープレコーダに装填されると、ビデオ
テープレコーダ側のリッド開放部材によってリッド構体
５が回動動作されて前面部のローディング空間部Ｈが開
放される。テープカートリッジ１は、リールロックガイ
ド溝１４から進入するリールロック解除部材によってリ
ールロック部材３７がリールロックスプリング３８の弾
性力に抗して移動され、テープリール７のロック状態が
解除される。テープカートリッジ１は、ローディング空
間部Ｈから進入するビデオテープレコーダ側のローディ
ング機構によって磁気テープ８が引き出されて所定のテ
ープ走行路を構成するローディング動作が行われる。

【００５７】テープカートリッジ１は、リール軸受穴４
１にリール駆動軸が進入してテープリール７のリール軸
穴とそれぞれ相対係合する。テープカートリッジ１は、
記録、再生等のテープ駆動操作によってリール駆動軸が
回転動作することによりテープリール７が回転され、磁
気テープ８の繰出し、巻取りが行われる。また、テープ
カートリッジ１は、仕様検出部２１の検出穴が検出機構
によって検出され、記憶部４８に記録された情報が読み
出される。

【００５８】上述したように、実施の形態のテープカー
トリッジ１は、下ハーフ本体４Ａの側面部側の外周壁１
６に切欠き部１６Ａ、１６Ｂが切り欠かれるとともに、
背面部側の外周壁１６に切欠き部１６Ｃ、１６Ｄが切り
欠かれることによって、外周壁１６のベースプレート６
に隣接する箇所とベースプレート６から離間した箇所と
の熱収縮量の差が大幅に低減されるとともに、この外周
壁１６に亘って生じる張力が分断される。このため、こ
のテープカートリッジ１は、下ハーフ４の射出成形後の
熱収縮により特に下ハーフ本体４Ａの長手方向に大きく
生じる反りが大幅に抑制されて、下ハーフ４全体に発生
する反りを大幅に抑制することができる。

【００５９】なお、本発明に係るテープカートリッジ
は、上述したテープカートリッジ１に限定されるもので
なく、標準のビデオテープカートリッジやその他のテー
プカートリッジにも適用される。また、テープカートリ
ッジ１は、カートリッジ本体２を共通として、磁気テー
プ８に代えてクリーニングテープを収納したクリーニン
グテープカートリッジにも適用される。さらに、テープ
カートリッジは、ビデオテープレコーダ用のテープカー
トリッジに限定されるものではなく、例えばコンピュー
タ用のデータカートリッジ等の各種機器に用いられるテ
ープカートリッジにも適用して好適である。

【００６０】

【発明の効果】上述したように本発明に係るテープカー
トリッジによれば、下ハーフに立ち上がり形成された背
面部側の外周壁には、機能部材が組み付けられる組付け
領域に隣接して形成されるとともに、これら各組付け領
域の間に位置してカートリッジ本体の背面部に貼り付け
られる表示ラベルの貼り付け領域の境界線と一致する切
欠き深さを有する切欠き部が設けられことによって、下
ハーフの射出成形後に熱収縮することにより、下ハーフ
全体に反りが生じることを大幅に抑制することができ
る。

【００６１】また、本発明に係るテープカートリッジ
は、下ハーフに立ち上がり形成された側面部側の外周壁
に、側縁部がカートリッジ本体の側面部に露呈するよう
に下ハーフにインサート成形された少なくとも金属プレ
ートの側縁部に対応して切欠き部が設けられたことによ
って、下ハーフの射出成形後に熱収縮することにより、
下ハーフ全体に反りが生じることを抑制することができ
る。

【００６２】さらに、本発明に係るテープカートリッジ
によれば、下ハーフには、立ち上がり形成された背面部
側の外周壁に、機能部材が組み付けられる組付け領域に
隣接して形成されるとともに、これら各組付け領域の間
に位置して、カートリッジ本体の背面部に貼り付けられ
る表示ラベルの貼り付け領域の境界線に一致する切欠き
深さを有する切欠き部が設けられ、且つ立ち上がり形成
された側面部側の外周壁に、側縁部がカートリッジ本体
の側面部に露呈するように下ハーフにインサート成形さ
れた少なくとも金属プレートの側縁部に対応して切欠き
部が設けられたことによって、下ハーフの射出成形後に
熱収縮することにより、下ハーフ全体に反りが生じるこ
とを大幅に抑制することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る実施の形態のテープカートリッジ
を示す斜視図である。

【図２】上記テープカートリッジを示す分解斜視図であ
る。

【図３】上記テープカートリッジを示す底面図である。

【図４】上記テープカートリッジのカートリッジ本体を
構成する下ハーフを示す平面図である。

【図５】上記下ハーフを示す底面図である。

【図６】上記テープカートリッジを示す右側面図であ
る。

【図７】上記テープカートリッジを示す背面図である。

【図８】上記テープカートリッジのカートリッジ本体を
構成する下ハーフと上ハーフとを組み付ける状態を示す
背面図である。

【図９】従来のテープカートリッジを構成する下ハーフ
を説明するために示す断面図である。

【図１０】従来のテープカートリッジを構成する下ハー
フを説明するために示す側面図である。

【符号の説明】

１ テープカートリッジ、２ カートリッジ本体、３
上ハーフ、４ 下ハーフ、６ ベースプレート（金属プ
レート）、１６ 外周壁、１６Ａ，１６Ｂ，１６Ｃ，１
６Ｄ 切欠き部、Ｌ ラベルエリア（貼り付け領域）

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一対の上下ハーフを組み合わせて構成し
   たカートリッジ本体の内部にテープ状媒体が巻回された
   一対のテープリールが回転自在に収納され、下ハーフに
   金属プレートがインサート成形されたテープカートリッ
   ジにおいて、 下ハーフに立ち上がり形成された背面部側の外周壁に
   は、機能部材が組み付けられる組付け領域に隣接して形
   成されるとともに、これら各組付け領域の間に位置して
   カートリッジ本体の背面部に貼り付けられる表示ラベル
   の貼り付け領域の境界線と一致する切欠き深さを有する
   切欠き部が設けられたことを特徴とするテープカートリ
   ッジ。
2. 【請求項２】 一対の上下ハーフを組み合わせて構成し
   たカートリッジ本体の内部にテープ状媒体が巻回された
   一対のテープリールが回転自在に収納され、下ハーフに
   金属プレートがインサート成形されたテープカートリッ
   ジにおいて、 金属プレートは、側縁部がカートリッジ本体の側面部に
   露呈するように下ハーフにインサート成形され、 下ハーフに立ち上がり形成された側面部側の外周壁に、
   少なくとも金属プレートの側縁部に対応して切欠き部が
   設けられたことを特徴とするテープカートリッジ。
3. 【請求項３】 一対の上下ハーフを組み合わせて構成し
   たカートリッジ本体の内部にテープ状媒体が巻回された
   一対のテープリールが回転自在に収納され、下ハーフに
   金属プレートがインサート成形されたテープカートリッ
   ジにおいて、 金属プレートは、側縁部がカートリッジ本体の側面部に
   露呈するように下ハーフにインサート成形され、 下ハーフには、立ち上がり形成された背面部側の外周壁
   に、機能部材が組み付けられる組付け領域に隣接して形
   成されるとともに、これら各組付け領域の間に位置し
   て、カートリッジ本体の背面部に貼り付けられる表示ラ
   ベルの貼り付け領域の境界線に一致する切欠き深さを有
   する切欠き部が設けられ、且つ立ち上がり形成された側
   面部側の外周壁に、少なくとも金属プレートの側縁部に
   対応して切欠き部が設けられたことを特徴とするテープ
   カートリッジ。