JP3487013B2 - テープカートリッジ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、テープ状記録媒体を巻
回した一対のテープリールをカートリッジ本体の内部に
回転自在に収納するとともに、このカートリッジ本体の
前面部に構成されたローディング空間部を開閉してテー
プ状記録媒体を保護するリッドが回動自在に設けられた
テープカートリッジに関する。

【０００２】

【従来の技術】テープカートリッジは、一般に上下ハー
フを組み合わせて構成したカートリッジ本体の内部に、
磁気テープを巻回した一対のテープリールが回転自在に
収納されて構成されている。例えば、デジタルオーディ
オ・テープレコーダ（ＤＡＴ）用のテープカートリッ
ジ、データ記録用テープカートリッジ或いはビデオテー
プレコーダ（ＶＴＲ）用のテープカートリッジ等におい
ては、記録再生装置に装填されることにより、この記録
再生装置側のテープ引出し手段によって磁気テープが記
録再生部へと引き出されるテープローディングが行われ
る。

【０００３】これらテープカートリッジは、カートリッ
ジ本体の前面部が開放されて記録再生装置側のテープ引
出し手段が進入するためのローディング空間部が構成さ
れるとともに、一方のハーフ側にこのローディング空間
部の両側に位置して一対のテープガイドが設けられてい
る。テープリールから繰り出された磁気テープは、これ
らテープガイドに掛け合わされることによってカートリ
ッジ本体のローディング空間部に沿って延在される。

【０００４】例えば、ＤＡＴ用テープカートリッジは、
乱暴な取り扱いにも耐え得る信頼性の高い構造であるこ
と、２時間以上の情報信号の記録、再生を可能とするこ
と、或いは上述したように記録再生装置側でテープパス
を構成することによって大幅なコストダウンを達成する
こと等の仕様を満足したテープカートリッジであり、様
々な構造的特徴を有している。

【０００５】すなわち、このＤＡＴ用テープカートリッ
ジは、横長の略矩形浅皿状に形成された上ハーフと下ハ
ーフとを互いに突き合わせて結合することによってカー
トリッジ本体が構成されている。また、テープカートリ
ッジは、カートリッジ本体にリッドやリールロック部材
或いはスライダー等の部材が組み合わされて、一対のテ
ープリールを回転自在に収納する筐体部が構成されてい
る。

【０００６】テープリールは、いわゆるフランジレス構
造が採用されており、芯材となるハブの周面に磁気テー
プが直接巻回されている。ハブには、上面部に軸方向に
突出形成されたボス部が一体に形成されるとともに、こ
のボス部の外周面に全周に亘ってそれぞれ歯車状のロッ
ク部が設けられている。テープリールは、リール穴がそ
れぞれ下ハーフに設けたリール軸進入用開口に臨ませら
れてカートリッジ本体の内部に回転自在に収納されてい
る。

【０００７】リッドは、全体が略コ字状に形成されてお
り、カートリッジ本体の前面部に構成された開放部を開
閉するように、両側面部が上ハーフの両側面部に回動自
在に支持されて組み合わされる。リッドは、支点部に設
けられたスプリング部材の弾性力によって、通常カート
リッジ本体の開放部を閉塞している。リッドは、テープ
カートリッジが記録再生装置に装填されると、スライダ
ーとの係合状態が解除されるとともに、記録再生装置側
のリッド駆動手段により回動動作されてカートリッジ本
体の開放部を開放する。

【０００８】下ハーフには、カートリッジ本体の前面部
に構成された開放部の両側に位置して、一対のテープガ
イドが配設されている。磁気テープは、一方のテープリ
ールから繰り出されてこれらテープガイド間に掛け渡さ
れて他方のテープリールに巻き取られる。したがって、
磁気テープは、テープガイドに折り返しガイドされてカ
ートリッジ本体の開放部に延在し、通常、前方部に位置
するリッドによって保護されている。

【０００９】テープカートリッジは、記録再生装置に装
填されると、上述したようにリッド駆動手段によってリ
ッドが回動動作されてカートリッジ本体の開放部が開放
されるとともに、リールロック部材によるテープリール
のロック状態が解除される。また、テープカートリッジ
は、この状態で、カートリッジ本体の開放部に記録再生
装置側のテープローディング手段が進入し、磁気テープ
をカートリッジ本体から引き出して記録再生部へとロー
ディングする。このように、カートリッジ本体の開放部
は、記録再生装置側のテープローディング手段が進入す
るローディング空間部として構成される。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】以上のように構成され
たテープカートリッジにおいては、磁気テープが適当な
巻回テンションを付与されてテープリールに巻回され
る。また、これらテープリールは、通常、リールロック
部材によってロック状態に保持されている。ところで、
テープカートリッジは、輸送時等に振動、衝撃等が加え
られると、テープリールのロック部とリールロック部材
のロック片との間の係合ギャップに起因して、テープリ
ールが回転方向に往復遊動することがある。

【００１１】このため、テープカートリッジにおいて
は、磁気テープが巻回されたテープリールから次第に弛
み出るといった現象が生じる。この磁気テープの弛み現
象は、巻回テンションが比較的小さいＤＡＴ用テープカ
ートリッジ等において顕著に発生する。弛み出た磁気テ
ープは、次第にカートリッジ本体のローディング空間部
内に弛み出て、静電気等の影響によってリッドの内面に
貼り付くことがある。

【００１２】リッドの内面に貼り付いた磁気テープは、
テープカートリッジが記録再生装置に装填されてリッド
駆動手段によってリッドが回転動作されると、このリッ
ドとともにテープリールから引き出されてしまう。した
がって、磁気テープは、ローディング空間部に進入する
テープローディング手段によって記録再生装置側の各テ
ープガイド手段に適正な状態で掛け合わされなくなり、
いわゆるジャミング現象が発生する。

【００１３】この磁気テープのジャミング現象は、記録
再生操作を不能とするばかりでなく、貴重な情報信号が
記録された磁気テープを損傷させたり、テープガイド手
段等に引っ掛かってテープカートリッジのイジェクト操
作を不能とするといった重大事故の原因となる。かかる
問題点を解決する方法として、例えば帯電防止樹脂材料
によってリッドを成形することが考慮されるが、コスト
アップとなる。

【００１４】一方、従来のテープカートリッジにおいて
は、リッドの内面も比較的精度の高い平滑面、すなわち
鏡面として構成されている。このため、テープカートリ
ッジは、使用環境等によってリッドの内面に僅かな水分
が付着した場合であっても、このリッドの内面に磁気テ
ープが強固に貼り付いてしまうといった現象が発生す
る。かかる現象は、上述したリッドを帯電防止樹脂材料
によって成形する対策によっては解決することができな
い。

【００１５】したがって、本発明は振動、衝撃等が加え
られた場合でも、テープリールから弛み出したテープ状
記録媒体がリッドの内面に貼り付くことを確実に防止し
たテープカートリッジを提供することを目的に提案され
たものである。

【００１６】

【課題を解決するための手段】この目的を達成した本発
明に係るテープカートリッジは、上下ハーフを組み合わ
せて構成されたカートリッジ本体の前方部に設けられた
ローディング空間部を開閉するリッドを備え、リッドに
は、ローディング空間部を閉塞した状態において少なく
ともローディング空間部を構成する切欠き部に位置する
テープ状記録媒体の引出し部と対向する主面部の内面を
テープ状記録媒体の表面と面粗度を異にした粗面に構成
される。

【００１７】また、この目的を達成した本発明に係るテ
ープカートリッジは、上下ハーフを組み合わせて構成さ
れたカートリッジ本体の前方部に設けられたローディン
グ空間部を開閉するリッドを備え、リッドには、ローデ
ィング空間部を閉塞した状態において少なくともローデ
ィング空間部を構成する切欠き部に位置するテープ状記
録媒体の引出し部と対向する主面部の内面をテープ状記
録媒体の表面と面粗度を異にした粗面とすることにより
構成されたテープ貼付き防止部を複数箇所に設けて構成
される。

【００１８】さらに、この目的を達成した本発明に係る
テープカートリッジは、上下ハーフを組み合わせて構成
されたカートリッジ本体の前方部に設けられたローディ
ング空間部を開閉するリッドを備え、リッドには、ロー
ディング空間部を閉塞した状態において少なくともロー
ディング空間部を構成する切欠き部に位置するテープ状
記録媒体の引出し部と対向する主面部の内面を小ピッチ
の高さ方向の凹凸面を設け、主面部の内面を傾斜させて
構成される。

【００１９】さらにまた、この目的を達成した本発明に
係るテープカートリッジは、上下ハーフを組み合わせて
構成されたカートリッジ本体の前方部に設けられたロー
ディング空間部を開閉するリッドを備え、リッドには、
ローディング空間部を閉塞した状態において少なくとも
ローディング空間部を構成する切欠き部に位置するテー
プ状記録媒体の引出し部と対向する主面部の内面を小ピ
ッチで凹設された高さ方向の溝を設け、主面部の内面を
傾斜させて構成される。

【００２０】そして、この目的を達成した本発明に係る
テープカートリッジは、上下ハーフを組み合わせて構成
されたカートリッジ本体の前方部に設けられたローディ
ング空間部を開閉するリッドを備え、リッドには、ロー
ディング空間部を閉塞した状態において少なくともロー
ディング空間部を構成する切欠き部に位置するテープ状
記録媒体の引出し部と対向する主面部の内面領域の下方
部に沿ってテープ貼付き防止凸部を一体に突設して構成
される。

【００２１】

【作用】以上のように構成された本発明に係るテープカ
ートリッジによれば、振動等によってテープリールが回
転方向に往復遊動して巻回されたテープ状記録媒体が次
第に弛み出した場合にも、ローディング空間部に延在す
るテープ状記録媒体がこれらテープ貼付き防止手段によ
ってリブの主面部の内面に貼り付くことが確実に防止さ
れる。したがって、テープカートリッジは、記録再生装
置に装填されると、ローディング空間部に進入するテー
プローディング手段によって引き出されるテープ状記録
媒体がジャミングを生じること無く、各テープガイド手
段に適正な状態で掛け合わされる。

【００２２】

【実施例】以下、本発明の前提となるＤＡＴ用テープカ
ートリッジについて説明する。図１乃至図８に示すＤＡ
Ｔ用テープカートリッジ１は、横長の略矩形浅皿状に形
成された上ハーフ３と下ハーフ８とを互いに突き合わせ
て結合することによってカートリッジ本体２を構成して
いる。また、テープカートリッジ１は、カートリッジ本
体２にリッド４０やリールロック部材２５或いはスライ
ダー２９等の部材を組み合わせて、一対のテープリール
１５Ａ、１５Ｂを回転自在に収納する筐体部が構成され
ている。

【００２３】上ハーフ３は、前方部５を除く他の外周部
に立上り周壁４が一体に形成されるとともに、主面にウ
ィンド６が設けられている。ウィンド６には、透明板が
嵌め込まれており、カートリッジ本体２の内部に収納さ
れたテープリール１５Ａ、１５Ｂの状態が外部より識別
可能とされている。上ハーフ３には、開放された前面部
５の長手方向の両側に位置して検出機構取付け部７Ａ、
７Ｂが一体に形成されている。これら検出機構取付け部
７Ａ、７Ｂには、テープ始端検出機構３６Ａ及びテープ
終端検出機構３６Ｂが取り付けられる。

【００２４】下ハーフ８は、矩形の主面部９の前方部を
除く他の外周部に立上り周壁１０が一体に形成されると
ともに、主面部９に長手方向に離間してリール軸進入用
開口１３Ａ、１３Ｂが設けられている。下ハーフ８に
は、前方部に略凸字状の切欠き部１２が形成されてい
る。この切欠き部１２は、上ハーフ３の開放された前方
部５とともに記録再生装置側のテープローディング手段
が進入するローディング空間部Ｓを構成する。下ハーフ
８には、主面部９に切欠き部１２に面して略々ヘ字状を
呈するガイド壁１１が立ち上がり形成されている。

【００２５】下ハーフ８には、切欠き部１２を構成する
両側部にそれぞれテープガイド１４Ａ、１４Ｂが一体に
形成されている。これらテープガイド１４Ａ、１４Ｂ
は、それぞれ平滑な外周面１４ａ、１４ｂを有する筒状
体を呈して、下ハーフ８の前方部の両側に位置して一体
に立ち上がり形成されている。なお、テープガイド１４
Ａ、１４Ｂは、上ハーフ３と下ハーフ８とを組み合わせ
た状態において、上ハーフ３側に立設した図示しない嵌
合凸部が中心穴に嵌合されることによって軸精度が保持
される。

【００２６】下ハーフ８には、図２に示すように、底面
部の背面縁に沿って、このテープカートリッジ１を記録
再生装置に装填した際に位置決め手段が嵌合する位置決
め穴２０や磁気テープ１７の種類や厚み等のテープカー
トリッジ１の仕様を識別するための複数の識別穴２１が
設けられている。

【００２７】以上のように構成された上ハーフ３と下ハ
ーフ８には、詳細を省略するが、主面部にそれぞれ相対
向する複数個の軸穴及びボスが一体に形成されている。
上ハーフ３と下ハーフ８とは、これら軸穴とボスとを互
いに突き合わせるとともに、止めねじをねじ込むことに
より、一体に組み合わされてカートリッジ本体２を構成
する。カートリッジ本体２には、内部にテープリール１
５Ａ、１５Ｂが回転自在に収納されるとともに、前方部
にローディング空間部Ｓが構成される。

【００２８】テープリール１５Ａ、１５Ｂは、全体が筒
状に形成されたいわゆるフランジレス構造が採用されて
おり、芯材となるハブの周面に磁気テープ１７が直接巻
回される。テープリール１５Ａ、１５Ｂには、詳細を省
略するが、上面部に軸方向に突出形成されたボス部が一
体に形成されるとともに、このボス部の外周面に全周に
亘ってそれぞれ歯車状のロック部が設けられている。ま
た、テープリール１５Ａ、１５Ｂは、内周部に複数の係
合リブが形成されて記録再生装置側のリール駆動軸が相
対係合するリール軸穴１６Ａ、１６Ｂを有している。

【００２９】テープリール１５Ａ、１５Ｂは、リール軸
穴１６Ａ、１６Ｂがそれぞれリール軸進入用開口１３
Ａ、１３Ｂに臨ませられてカートリッジ本体２の内部に
回転自在に収納される。テープカートリッジ１は、図３
に示すように、磁気テープ１７を一方のテープリール１
５Ａから立上り周壁に沿って引き出して一方のテープガ
イド１４Ａに掛け合わせて前面部と平行にローディング
空間部Ｓに臨ませて導くとともに、他方のテープガイド
１４Ｂに掛け合わせて立上り周壁に沿って他方のテープ
リール１５Ｂへと導いたテープ走行路をカートリッジ本
体２の内部に構成する。

【００３０】磁気テープ１７は、図５に示すように、両
端部にセンシングテープ１９を介してそれぞれ透明なリ
ーダテープ１８が接合されており、これらリーダテープ
１８の先端部を外周部に形成した係合部に差し込むこと
によってテープリール１５Ａ、１５Ｂに固定されてい
る。リーダテープ１８は、後述するようにテープ始端検
出機構３６Ａ及びテープ終端検出機構３６Ｂによって検
出される。

【００３１】磁気テープ１７は、ローディング空間部Ｓ
に臨む部分、すなわちテープカートリッジ１が記録再生
装置に装填された状態においてテープローディング手段
よって引き出される引出し部１７Ａが、上ハーフ３に回
動自在に支持されたリッド４０によって保護される。リ
ッド４０は、図６乃至図８に詳細を示すように、上ハー
フ３と下ハーフ８の前面部に構成されたローディング空
間部Ｓを閉塞するに足る外形を有する主面部４１と、こ
の主面部４１の背面部５０の両側に位置して腕状に一体
に突出形成された一対の側面部４２、４３とからなる全
体が略コ字状に形成されている。これら側面部４２、４
３には、相対する内面に互いに軸線を一致させて軸状の
支点部４４、４５が一体に突設されている。したがっ
て、リッド４０は、後述するように、これら支点部４
４、４５を上ハーフ３の立上り周壁４の内面に形成した
軸穴にそれぞれ嵌合されることによって、カートリッジ
本体２の前方部に回動自在に支持される。

【００３２】リッド４０は、一方の側面部４２側の支点
部４４に組み付けたトーションスプリング２３によっ
て、図３において時計方向の弾性力が付与されることに
より、通常カートリッジ本体２のローディング空間部Ｓ
を閉塞する方向に付勢されている。リッド４０は、図１
及び図２に示すように、ローディング空間部Ｓを閉塞し
た状態において、主面部４１が磁気テープ１７の引出し
部１７Ａの前方部に位置してこの引出し部１７Ａを保護
している。

【００３３】リッド４０の側面部４２、４３には、先端
部の外側面部に係合凹部４６、４７がそれぞれ凹設され
ている。これら係合凹部４６、４７には、リッド４０が
上ハーフ３に回動自在に組み合わされた状態において、
後述するリールロック部材２５の係合片２７Ａ、２７Ｂ
の先端部が近接して延在される。また、リッド４０の主
面部４１には、下端縁に長手方向に離間して係合溝４
８、４９が形成されている。これら係合溝４８、４９
は、後述するスライダー２９の主面部３０の前方縁に形
成した係合凸部３０Ａ、３０Ａとそれぞれ対応位置され
る。

【００３４】リッド４０には、図６に示すように、主面
部４１の内面５０側に、ローディング空間部Ｓとの対応
領域の全域に亘って横長矩形のテープ貼付き防止凹部５
１が凹設されている。このテープ貼付き防止凹部５１
は、両端をローディング空間部Ｓを構成する切欠き部１
２の両側に位置して下ハーフ８に設けられたテープガイ
ド１４Ａ、１４Ｂに対応させて、主面部４１の内面５０
に凹設されている。テープ貼付き防止凹部５１は、リッ
ド４０がローディング空間部Ｓを閉塞した状態におい
て、テープガイド１４Ａ、１４Ｂに掛け合わされてロー
ディング空間部Ｓに臨ませられた磁気テープ１７の引出
し部１７Ａと対向している。

【００３５】上述したように、リッド４０は、主面部４
１の内面５０にテープ貼付き防止凹部５１を凹設したこ
とによって、図８に示すように、この内面５０と磁気テ
ープ１７の引出し部１７Ａとの間隔Ｄが大ならしめられ
て構成されることになる。したがって、リッド４０は、
後述するように運搬時の振動等によって磁気テープ１７
がローディング空間部Ｓに弛み出した場合において、内
面５０とこの磁気テープ１７との接触面積が小とされる
ことになり、内面５０に磁気テープ１７が密着状態で貼
り付くことが防止される。

【００３６】リールロック部材２５は、上ハーフ３の長
手方向寸法よりもやや小とされた長さを有する板状基部
２６の両端部に下方へと折曲された立上り片を有する全
体が略下向きコ字状に形成されており、上ハーフ３の内
面部に前後方向に移動自在に組み合わされている。リー
ルロック部材２５は、後方側の側縁部に幅方向に離間し
て一対のロック片２８Ａ、２８Ｂが一体に形成されてい
る。これらロック片２８Ａ、２８Ｂは、リッド４０がロ
ーディング空間部Ｓを閉塞した状態において、図１に示
すように、ロック部にそれぞれ相対係合することによっ
てテープリール１５Ａ、１５Ｂをロック状態とする。

【００３７】リールロック部材２５には、立上り片の側
縁に前方側へと突出する係合片２７Ａ、２７Ｂが一体に
形成されている。これら係合片２７Ａ、２７Ｂは、先端
部に係合部が形成されており、リールロック部材２５を
上ハーフ３に組み合わせた状態において、上述したよう
にリッド４０の側面部４２、４３に凹設された係合凹部
４６、４７に近接して延在される。したがって、リール
ロック部材２５は、テープカートリッジ１が記録再生装
置に装填されてリッド４０がリッド駆動手段によって回
動動作されると、図３に示すように、係合凹部４６、４
７に係合片２７Ａ、２７Ｂが相対係合されて上ハーフ３
の内面に沿って前方側へと移動動作される。リールロッ
ク部材２５は、この移動動作によって、ロック片２８
Ａ、２８Ｂによるテープリール１５Ａ、１５Ｂのロック
状態を解除する。

【００３８】スライダー２９は、主面部３０が前後方向
の長さを下ハーフ８の主面９よりもやや小とされた矩形
板を呈しており、この主面部３０の両側にガイド壁３１
Ａ、３１Ｂが一体に立ち上がり形成されている。スライ
ダー２９には、主面部３０に長手方向に離間して円形の
リール軸進入用開口３２Ａ、３２Ｂが設けられるととも
に、前方側の中央部には軸状のスプリング掛止め部３３
が一体に突設されている。

【００３９】スライダー２９は、詳細を省略するが、ガ
イド壁３１Ａ、３１Ｂの上縁部に形成した係合部を両側
の立上り周壁１０に形成した係合部に相対係合させるこ
とにより、下ハーフ８に前後方向に移動自在に組み合わ
される。スプリング掛止め部３３は、スライダー２９が
下ハーフ８に組み合わされた状態において、ローディン
グ空間部Ｓに臨んで下ハーフ８側のガイド壁１１に対向
位置している。

【００４０】スプリング掛止め部３３には、両端がコイ
ル部から延長されたトーションスプリング３４が組み付
けられている。このトーションスプリング３４は、両端
をガイド壁１１に当接させることにより、スライダー２
９に対して前方側へと付勢する。スライダー２９は、こ
れによって前方縁に形成した係合部３０Ａが、リッド４
０の主面部４１の下端縁に形成した係合部４８、４９に
それぞれ相対係合して図２に示す第１の位置に保持され
る。スライダー２９は、この第１の位置において、主面
部３０が下ハーフ８のリール軸進入用開口１３Ａ、１３
Ｂ及びローディング空間部Ｓを閉塞する。

【００４１】スライダー２９は、テープカートリッジ１
が記録再生装置に装填されることにより、図４に示すよ
うに、スライダー開放手段によってトーションスプリン
グ３４の弾性力に抗して背面側の第２の位置へと移動動
作してされる。スライダー２９は、第２の位置におい
て、リール軸進入用開口３２Ａ、３２Ｂが下ハーフ８の
リール軸進入用開口１３Ａ、１３Ｂに対応位置してこれ
を開放状態とするとともに、ローディング空間部Ｓも開
放状態とする。なお、スライダー２９は、上ハーフ３と
の間に圧縮状態で介挿されたロックスプリング３７Ａ、
３７Ｂの弾性力によって、第１の位置と第２の位置とに
安定した状態でロックされる。

【００４２】上ハーフ３と下ハーフ８には、テープリー
ル保持シート３５Ａ、３５Ｂがそれぞれ介挿される。こ
れらテープリール保持シート３５Ａ、３５Ｂは、滑性及
び弾性を有する合成樹脂材料によって成形されており、
テープリール１５Ａ、１５Ｂをカートリッジ本体２の内
部で円滑に回転動作させるとともに、磁気テープ１７が
これらテープリール１５Ａ、１５Ｂに適正な状態で巻回
されるように上下方向から押さえ付けて保持する。

【００４３】テープ始端検出機構３６Ａ及びテープ終端
検出機構３６Ｂは、詳細を省略するが、取付け基板に実
装されたプリズムによって構成されている。これらテー
プ始端検出機構３６Ａ及びテープ終端検出機構３６Ｂ
は、テープカートリッジ１が記録再生装置に装填される
と、カートリッジ本体２の前方側の側方に位置する発光
素子と受光素子とを備える光学検出部に対応位置する。

【００４４】テープ始端検出機構３６Ａ及びテープ終端
検出機構３６Ｂは、光学検出部の発光素子から出射され
る検出光をプリズムによってカートリッジ本体２の内側
から磁気テープ１７の表面に導く。テープ始端検出機構
３６Ａ及びテープ終端検出機構３６Ｂは、磁気テープ１
７が始端或いは終端まで駆動されて透明なリーダテープ
１８が対応位置すると、発光素子から出射された検出光
がこのリーダテープ１８を透過して受光素子側で受光さ
れることにより、テープ始端の検出或いはテープ終端の
検出を行わさせる。

【００４５】テープカートリッジ１は、記録再生装置に
装填されると、図３及び図４に示すように、リッド駆動
手段によってリッド４０が回動動作されてカートリッジ
本体２のローディング空間部Ｓが開放される。テープカ
ートリッジ１は、リッド４０の回動動作に伴ってリール
ロック部材２５によるテープリール１５Ａ、１５Ｂのロ
ック状態が解除される。テープカートリッジ１は、スラ
イダー２９がスライダー開放手段によって第１の位置か
ら第２の位置へと移動動作される。

【００４６】テープカートリッジ１は、テープリール１
５Ａ、１５Ｂのリール軸穴１６Ａ、１６Ｂに、互いに対
応位置された下ハーフ８のリール軸進入開口１３Ａ、１
３Ｂ及びスライダー２９のリール軸進入開口３２Ａ、３
２Ｂから進入する記録再生装置側のリール駆動軸が相対
係合される。テープカートリッジ１は、ローディング空
間部Ｓに記録再生装置側のテープローディング手段が進
入して、このローディング空間部Ｓに延在された磁気テ
ープ１７の引出し部１７Ａが引き出されて各テープガイ
ドに掛け合わせながら記録再生部へとローディングす
る。

【００４７】テープカートリッジ１は、記録再生装置の
再生操作或いは記録操作等のテープ駆動操作が行われる
ことによって、リール駆動軸を介してテープリール１５
Ａ、１５Ｂが回転駆動される。磁気テープ１７は、例え
ば一方のテープリール１５Ａから繰り出されて所定のテ
ープ走行路に沿って走行されて情報信号の再生或いは記
録が行われた後、他方のテープリール１５Ｂに巻き取ら
れる。

【００４８】テープカートリッジ１は、再生操作或いは
記録操作等が終了するとテープローディング手段が復旧
動作して引き出された磁気テープ１７のアンローディン
グ操作が行われる。テープカートリッジ１は、イジェク
ト操作が行われることによって、記録再生装置から排出
される。テープカートリッジ１は、図１に示すように、
リッド４０がトーションスプリング２３の弾性力によっ
てローディング空間部Ｓを閉塞する状態へと復帰回動す
るとともに、リールロック部材２５によってテープリー
ル１５Ａ、１５Ｂがロックされる。

【００４９】テープカートリッジ１は、スライダー２９
が第２の位置から第１の位置へと復帰動作して、図２に
示すように、主面部３０によって下ハーフ８のリール軸
進入用開口１３Ａ、１３Ｂが閉塞されるとともに、ロー
ディング空間部Ｓが閉塞される。

【００５０】テープカートリッジ１には、輸送時等に際
して、連続的な振動、衝撃等が加えられる。テープカー
トリッジ１は、上述したようにテープロック部材２５に
よってテープリール１５Ａ、１５Ｂがロック状態に保持
されているが、連続的に加えられるこれら振動等によっ
てテープリール１５Ａ、１５Ｂが回転方向に往復遊動す
る。

【００５１】このため、テープカートリッジ１は、磁気
テープ１７が巻回されたテープリール１５Ａ、１５Ｂか
ら次第に弛み出てテープガイド１４Ａ、１４Ｂからロー
ディング空間部Ｓへと弛み出る。ローディング空間部Ｓ
へと弛み出た磁気テープ１７は、リッド４０の主面部４
１の内面５０側へと膨らみ出す。上述したように、主面
部４１の内面５０には、テープ貼付き防止凹部５１が凹
設されて磁気テープ１７との接触面積が小ならしめられ
るように構成されていることから、静電気等の影響によ
ってこの磁気テープ１７が密着して貼り付くことが防止
される。

【００５２】また、テープカートリッジ１は、付着した
水分等の影響によって、磁気テープ１７がリッド４０の
内面５０に密着状態で貼り付いてしまうことがある。し
かしながら、テープカートリッジ１は、リッド４０の内
面５０にテープ貼付き防止凹部５１が凹設されることに
よって、この内面５０と磁気テープ１７との全体の貼付
き面積が少ならしめられていることにより、リッド駆動
手段によって回動動作されるリッド４０に添動して磁気
テープ１７がテープリール１５Ａ、１５Ｂから引き出さ
れてしまうといった現象の発生が防止される。

【００５３】したがって、テープカートリッジ１は、磁
気テープ１７がローディング空間部Ｓに進入するテープ
ローディング手段によって記録再生装置側の各テープガ
イド手段に適正な状態で掛け合わされ、ジャミング現象
が発生して損傷されたり、テープガイド手段等に引っ掛
かってイジェクト操作が不能となるといった重大事故の
発生が確実に防止される。

【００５４】本発明は、図９乃至図１７に示した各実施
例テープカートリッジのリッドのように種々の仕様に展
開される。なお、これらリッドを備えるテープカートリ
ッジは、全体構成を上述したテープカートリッジ１と同
様としており、以下各リッドについてのみ説明する。ま
た、各実施例リッドについても、基本的な構成を上述し
たリッド４０とほぼ同様とするため、対応する部位につ
いては同一符号を付すことにより、詳細な説明を省略す
る。

【００５５】図９及び図１０に示した第１の実施例リッ
ド５５は、主面部４１の内面５０を粗面とすることによ
り、テープ貼付き防止部５６を構成したことを特徴とし
たものである。すなわち、リッド５５を成形する金型に
は、主面部４１の内面５０を構成するキャビティの表面
に梨地処理が施される。したがって、この成形金型によ
って成形されたリッド５５は、主面部４１の内面５０に
ローディング空間部Ｓとの対応領域の全域に亘って、粗
面とされた横長矩形のテープ貼付き防止部５６が形成さ
れる。このテープ貼付き防止部５６は、面粗度が磁気テ
ープ１７の面粗度と異にされており、例えばＲZ ＝５μ
ｍ乃至３０μｍ、ＲMAX ＝１０μｍ乃至５０μｍに形成
されている。

【００５６】テープ貼付き防止部５６は、詳細には、両
端をローディング空間部Ｓを構成する切欠き部１２の両
側に位置して下ハーフ８に設けられたテープガイド１４
Ａ、１４Ｂに対応して、主面部４１の内面５０に形成さ
れている。このテープ貼付き防止部５６は、リッド４０
がローディング空間部Ｓを閉塞した状態において、テー
プガイド１４Ａ、１４Ｂに掛け合わされてローディング
空間部Ｓに臨ませられた磁気テープ１７の引出し部１７
Ａと対向している。

【００５７】上述したように、リッド５５は、主面部４
１の内面５０に磁気テープ１７と面粗度が異にされたテ
ープ貼付き防止部５６が形成されることによって、内面
５０と磁気テープ１７との間の接触面積が小ならしめら
れ、密着状態の貼り付きの発生が防止される。

【００５８】したがって、リッド５５を備えたテープカ
ートリッジは、輸送等に際して、連続的な振動、衝撃等
が加えられてテープリール１５Ａ、１５Ｂが回転方向に
往復遊動することにより弛み出した磁気テープ１７がロ
ーディング空間部Ｓ内に弛み出た場合においても、磁気
テープ１７が静電気等の影響によりリッド５５の主面部
４１の内面５０に密着して貼り付くといった現象の発生
が防止される。

【００５９】また、テープカートリッジは、付着した水
分等の影響によって、磁気テープ１７がリッド５５の内
面５０に貼り付いてしまうことがある。しかしながら、
テープカートリッジは、リッド５５の主面部４１の内面
５０にテープ貼付き防止部５６が形成されていることに
よって、この内面５０と磁気テープ１７との全体の貼付
き面積が少ならしめられ、リッド駆動手段によって回動
動作されるリッド５５に添動して磁気テープ１７がテー
プリール１５Ａ、１５Ｂから引き出されてしまうといっ
た現象の発生が防止される。

【００６０】したがって、テープカートリッジ１は、磁
気テープ１７がローディング空間部Ｓに進入するテープ
ローディング手段によって記録再生装置側の各テープガ
イド手段に適正な状態で掛け合わされ、ジャミング現象
が発生して損傷されたり、テープガイド手段等に引っ掛
かってイジェクト操作が不能となるといった重大事故の
発生が確実に防止される。

【００６１】図１１に示した第２の実施例リッド６０
は、上述した第１の実施例リッド５５と同様に、主面部
４１の内面５０を粗面としてテープ貼付き防止部が構成
されるが、このテープ貼付き防止部を第１のテープ貼付
き防止部６１と第２のテープ貼付き防止部６２とによっ
て構成したことを特徴としたものである。

【００６２】すなわち、リッド６０には、主面部４１の
内面５０にローディング空間部Ｓとの対応領域の全域に
亘って、高さ方向に第１のテープ貼付き防止部６１と第
２のテープ貼付き防止部６２とが形成されている。これ
ら第１のテープ貼付き防止部６１と第２のテープ貼付き
防止部６２は、詳細には、両端をローディング空間部Ｓ
を構成する切欠き部１２の両側に位置して下ハーフ８に
設けられたテープガイド１４Ａ、１４Ｂに対応して、リ
ッド６０の主面部４１の内面５０に上下に離間した矩形
領域に構成されている。

【００６３】したがって、第１のテープ貼付き防止部６
１と第２のテープ貼付き防止部６２は、リッド６０がロ
ーディング空間部Ｓを閉塞した状態において、テープガ
イド１４Ａ、１４Ｂに掛け合わされてローディング空間
部Ｓに臨ませられた磁気テープ１７の引出し部１７Ａと
対向している。

【００６４】第１のテープ貼付き防止部６１と第２のテ
ープ貼付き防止部６２は、それぞれ面粗度が磁気テープ
１７の面粗度と異にされている。さらに、上側に形成さ
れた第１のテープ貼付き防止部６１は、下側に形成され
た第２のテープ貼付き防止部６２に対して面粗度が小さ
く構成されている。このように、リッド６０は、内面５
０に粗面とした第１のテープ貼付き防止部６１と第２の
テープ貼付き防止部６２を形成することにより、内面５
０と磁気テープ１７との間の接触面積が小ならしめられ
て磁気テープ１７の密着された貼付き状態の発生が防止
される。

【００６５】したがって、リッド６０を備えたテープカ
ートリッジは、輸送等に際して、連続的な振動、衝撃等
が加えられてテープリール１５Ａ、１５Ｂが回転方向に
往復遊動することにより弛み出した磁気テープ１７がロ
ーディング空間部Ｓ内に弛み出た場合においても、磁気
テープ１７が静電気等の影響によりリッド６０の主面部
４１の内面５０に貼り付くといった現象の発生が防止さ
れる。

【００６６】また、テープカートリッジは、付着した水
分等の影響によって、磁気テープ１７がリッド６０の内
面５０に貼り付いてしまうことがある。しかしながら、
テープカートリッジは、リッド６０の内面５０に粗面と
した第１のテープ貼付き防止部６１と第２のテープ貼付
き防止部６２とが形成されていることによって、この内
面５０と磁気テープ１７との全体の貼付き面積が少なら
しめられ、リッド駆動手段によって回動動作されるリッ
ド６０に添動して磁気テープ１７がテープリール１５
Ａ、１５Ｂから引き出されてしまうといった現象の発生
が防止される。

【００６７】リッド６０は、支点部４４、４５から遠い
下側領域の第２のテープ貼付き防止部６２の面粗度が大
とされて磁気テープ１７との間の接触面積が小ならしめ
られて構成されていることにより、回動動作に伴って主
面部４１の内面５０に貼り付いた磁気テープ１７がより
確実に剥離される。

【００６８】したがって、テープカートリッジ１は、磁
気テープ１７がローディング空間部Ｓに進入するテープ
ローディング手段によって記録再生装置側の各テープガ
イド手段に適正な状態で掛け合わされ、ジャミング現象
が発生して損傷されたり、テープガイド手段等に引っ掛
かってイジェクト操作が不能となるといった重大事故の
発生が確実に防止される。

【００６９】図１２及び図１３に示した第３の実施例リ
ッド６５は、主面部４１の内面５０に高さ方向のリブを
小ピッチで設けることによってテープ貼付き防止部６６
を構成したことを特徴としたものである。すなわち、リ
ッド６５は、主面部４１の内面５０にローディング空間
部Ｓとの対応領域の全域に亘って、高さ方向のリブを小
ピッチで形成することによって凹凸面が形成されてテー
プ貼付き防止部６６が構成されている。このテープ貼付
き防止部６６は、例えばピッチが０．５ｍｍとされてい
る。

【００７０】テープ貼付き防止部６６は、詳細には、両
端をローディング空間部Ｓを構成する切欠き部１２の両
側に位置して下ハーフ８に設けられたテープガイド１４
Ａ、１４Ｂに対応して、リッド６５の主面部４１の内面
５０に形成されている。このテープ貼付き防止部６６
は、リッド６５がローディング空間部Ｓを閉塞した状態
において、テープガイド１４Ａ、１４Ｂに掛け合わされ
てローディング空間部Ｓに臨ませられた磁気テープ１７
の引出し部１７Ａと対向している。

【００７１】上述したように、リッド６５は、主面部４
１の内面５０に小ピッチの凹凸面とされたテープ貼付き
防止部６６が構成されていることにより、この内面５０
と磁気テープ１７との間の接触面積が小ならしめられて
磁気テープ１７の密着された貼付き状態の発生が防止さ
れる。

【００７２】したがって、リッド６５を備えたテープカ
ートリッジは、輸送等に際して、連続的な振動、衝撃等
が加えられてテープリール１５Ａ、１５Ｂが回転方向に
往復遊動することにより弛み出した磁気テープ１７がロ
ーディング空間部Ｓ内に弛み出た場合においても、磁気
テープ１７がリッド６５の主面部４１の内面５０に密着
された状態で貼り付くといった現象の発生が防止され
る。

【００７３】また、テープカートリッジは、付着した水
分等の影響によって、磁気テープ１７がリッド６５の主
面部４１の内面５０に貼り付いてしまうことがある。し
かしながら、テープカートリッジは、リッド６５の主面
部４１の内面５０にテープ貼付き防止部６６が形成され
ていることによって、この内面５０と磁気テープ１７と
の全体の貼付き面積が少ならしめられ、リッド駆動手段
によって回動動作されるリッド６５に添動して磁気テー
プ１７がテープリール１５Ａ、１５Ｂから引き出されて
しまうといった現象の発生が防止される。

【００７４】したがって、テープカートリッジ１は、磁
気テープ１７がローディング空間部Ｓに進入するテープ
ローディング手段によって記録再生装置側の各テープガ
イド手段に適正な状態で掛け合わされ、ジャミング現象
が発生して損傷されたり、テープガイド手段等に引っ掛
かってイジェクト操作が不能となるといった重大事故の
発生が確実に防止される。

【００７５】なお、凹凸面として構成されるテープ貼付
き防止部６６は、上述したように小ピッチの高さ方向の
リブによって構成するほか、例えば主面部４１の内面５
０に小ピッチで凹設された高さ方向の溝によって構成す
るようにしてもよいことは勿論である。

【００７６】図１４及び図１５に示した第４の実施例リ
ッド７０は、主面部４１の内面７１を傾斜面として形成
することにより、テープ貼付き防止作用を奏するように
構成したことを特徴としたものである。すなわち、リッ
ド７０は、主面部４１の内面７１が、図１５に示すよう
に、下側に向かって次第に厚み寸法を小ならしめること
により傾斜角αが付された傾斜面として構成される。

【００７７】リッド７０は、ローディング空間部Ｓを閉
塞した状態において、傾斜面として構成された内面７１
が、テープガイド１４Ａ、１４Ｂに掛け合わされてロー
ディング空間部Ｓに臨ませられた磁気テープ１７の引出
し部１７Ａと対向している。したがって、リッド７０の
傾斜内面７１と磁気テープ１７との間には、下側に向か
って次第に間隔が大とされた間隙が構成される。

【００７８】リッド７０を備えたテープカートリッジ
は、輸送等に際して、連続的な振動、衝撃等が加えられ
てテープリール１５Ａ、１５Ｂが回転方向に往復遊動す
ることにより弛み出した磁気テープ１７がローディング
空間部Ｓ内に弛み出る。弛み出た磁気テープ１７は、ロ
ーディング空間部Ｓを閉塞した状態のリッド７０の内面
７１に接触する。リッド７０には、上述したように、主
面部４１の内面７１が傾斜角αを付された傾斜面として
構成されていることにより、この内面７１と磁気テープ
１７とが上側部分においてのみ接触し、全体として接触
面積が小ならしめられている。したがって、リッド７０
と磁気テープ１７とは、図１５に示すように、下側部分
において主面部４１の内面７１と磁気テープ１７との非
接触部を構成する。

【００７９】以上のように構成されたリッド７０を備え
るテープカートリッジは、記録再生装置に装填されるこ
とにより、リッド駆動手段によってリッド７０が支点部
４４、４５を支点として回動動作される。リッド７０に
は、上述したようにローディング空間部Ｓに弛み出した
磁気テープ１７が、主面部４１の内面７１の上側部分で
接触している。リッド７０は、主面部４１の内面７１を
傾斜面として構成したことによって磁気テープ１７が接
触していない下側部分から先行して回動動作する。

【００８０】テープカートリッジは、ローディング空間
部Ｓに弛み出した磁気テープ１７とリッド７０の主面部
４１の内面７１との接触面積が小ならしめられるととも
に先行して回動する下側部分に磁気テープ１７が接触し
ないように構成されていることから、リッド７０の回動
動作に添動して磁気テープ１７がテープリール１５Ａ、
１５Ｂから引き出されてしまうといった現象の発生が防
止される。

【００８１】したがって、テープカートリッジ１は、磁
気テープ１７がローディング空間部Ｓに進入するテープ
ローディング手段によって記録再生装置側の各テープガ
イド手段に適正な状態で掛け合わされ、ジャミング現象
が発生して損傷されたり、テープガイド手段等に引っ掛
かってイジェクト操作が不能となるといった重大事故の
発生が確実に防止される。

【００８２】なお、この第４の実施例リッド７０は、内
面７１に下側に向かって次第に主面部４１の厚み寸法を
小とする傾斜を付した構成したが、上述した第１の実施
例リッド５５或いは第３の実施例リッド６５に適用した
粗面或いは凹凸の構成を合わせて採用してもよいことは
勿論である。かかるリッドは、主面部４１の内面への磁
気テープの密着された貼付き現象の発生をさらに確実に
防止する。

【００８３】図１６及び図１７に示した第５の実施例リ
ッド７５は、主面部４１の内面５０に、下縁部に沿って
長手方向の凸部７６を一体に突設するとともに、この凸
部７６の表面７７を粗面とすることによってテープ貼付
き防止部を構成したことを特徴としたものである。すな
わち、リッド７５には、主面部４１の内面５０の下縁部
に沿って全域に亘って小幅のテープ貼付き防止凸部７６
が一体に突設されている。このテープ貼付き防止凸部７
６は、表面７７が磁気テープ１７の面粗度と異にした粗
面に構成されている。

【００８４】リッド７５は、ローディング空間部Ｓを閉
塞した状態において、主面部４１の内面５０に形成した
表面７７を粗面として構成したテープ貼付き防止凸部７
６が、テープガイド１４Ａ、１４Ｂに掛け合わされてロ
ーディング空間部Ｓに臨ませられた磁気テープ１７の引
出し部１７Ａの下端部とほぼ全域に亘って近接して対向
している。したがって、リッド７５は、磁気テープ１７
との接触領域がテープ貼付き防止凸部７６の表面７７部
分となり、主面部４１の内面５０の全体との接触が回避
されることによって接触面積が小ならしめられて構成さ
れている。

【００８５】リッド７５を備えたテープカートリッジ
は、輸送等に際して、連続的な振動、衝撃等が加えられ
てテープリール１５Ａ、１５Ｂが回転方向に往復遊動す
ることによって弛み出した磁気テープ１７がローディン
グ空間部Ｓ内に弛み出る。弛み出た磁気テープ１７は、
ローディング空間部Ｓを閉塞するリッド７５の主面部４
１の内面５０に形成したテープ貼付き防止凸部７６の表
面７７と接触する。このテープ貼付き防止凸部７６の表
面７７は、粗面として形成されていることにより、磁気
テープ１７が密着された状態で貼り付くことは無い。

【００８６】リッド７５は、記録再生装置に装填される
ことにより、リッド駆動手段によって支点部４４、４５
を支点として回動動作されるが、その際テープ貼付き防
止凸部７６が突設された下側部分が先行して回動する。
テープカートリッジは、ローディング空間部Ｓに弛み出
した磁気テープ１７とリッド７５の主面部４１の内面５
０との接触面積が小ならしめられるとともに先行して回
動する下側部分が粗面とされて磁気テープ１７が密着し
ないように構成されていることから、リッド７５の回動
動作に添動して磁気テープ１７がテープリール１５Ａ、
１５Ｂから引き出されてしまうといった現象の発生が防
止される。

【００８７】したがって、テープカートリッジ１は、磁
気テープ１７がローディング空間部Ｓに進入するテープ
ローディング手段によって記録再生装置側の各テープガ
イド手段に適正な状態で掛け合わされ、ジャミング現象
が発生して損傷されたり、テープガイド手段等に引っ掛
かってイジェクト操作が不能となるといった重大事故の
発生が確実に防止される。

【００８８】

【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明に係
るテープカートリッジによれば、カートリッジ本体の前
方部に構成されたローディング空間部を開閉するリッド
の内面に、テープ貼付き防止手段を一体に形成したこと
により、運搬等に際して加えられる振動、衝撃によって
テープリールが回転方向に往復遊動して巻回された磁気
テープが弛み出した場合にも、この磁気テープがテープ
貼付き防止手段によってリッドの内面に密着された状態
で貼り付くことが防止される。したがって、テープカー
トリッジは、記録再生装置に装填されてリッド駆動手段
によりリッドが回動動作される場合に、このリッドに添
動して磁気テープが引き出されることが防止され、ロー
ディング空間部に進入するローディング手段によって記
録再生装置側の各テープガイド手段に適正に掛け合わさ
れるとともにジャミングが生じることも無い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の前提となるテープカートリッジの斜視
図である。

【図２】同テープカートリッジの底面側からの斜視図で
ある。

【図３】同テープカートリッジにおいて、リッドを開い
た状態の斜視図である。

【図４】同テープカートリッジにおいて、リッドを開い
た状態の底面側からの斜視図である。

【図５】同テープカートリッジの分解斜視図である。

【図６】同テープカートリッジに備えられるリッドの背
面側からの斜視図である。

【図７】同リッドの要部水平断面図である。

【図８】同リッドの縦断面図である。

【図９】本発明に係るディスクカートリッジにおけるリ
ッドの第１の実施例を示す背面側からの斜視図である。

【図１０】同リッドの縦断面図である。

【図１１】リッドの第２の実施例を示す縦断面図であ
る。

【図１２】リッドの第３の実施例を示す背面側からの斜
視図である。

【図１３】同リッドの縦断面図である。

【図１４】リッドの第４の実施例を示す背面側からの斜
視図である。

【図１５】同リッドの縦断面図である。

【図１６】リッドの第５の実施例を示す背面側からの斜
視図である。

【図１７】同リッドの縦断面図である。

【符号の説明】

１ テープカートリッジ ２ カートリッジ本体 ３ 上ハーフ ８ 下ハーフ １３ リール軸進入用開口 １４ テープガイド １５ テープリール １７ 磁気テープ（テープ状記録媒体） １７Ａ 引出し部 ２５ テープロック部材 ２９ スライダー ４０ リッド ４１ 主面部 ５０ 内面 ５１ テープ貼付き防止凹部（テープ貼付き防止手段） ５６ 粗面に形成されたテープ貼付き防止部（テープ貼
付き防止手段） ６６ 小ピッチの凹凸部で形成されたテープ貼付き防止
部（テープ貼付き防止手段） ７１ テーパ面とされたリッドの主面部の内面（テープ
貼付き防止手段） ７６ テープ貼付き防止凸部（テープ貼付き防止手段） ７７ 粗面に形成されたテープ貼付き防止凸部の表面 Ｓ ローディング空間部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−127586（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−219682（ＪＰ，Ａ) 実開 昭60−194781（ＪＰ，Ｕ) 実開 平４−62573（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭58−75385（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) G11B 23/087 521

Claims (11)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】上下ハーフを組み合わせて内部に一対のテ
   ープリールを回転自在に収納するとともに、前面部を開
   放して記録再生装置側のテープローディング手段が進入
   するローディング空間部が構成されたカートリッジ本体
   と、 一方のテープリールから繰り出され、カートリッジ本体
   のローディング空間部の両側に位置して一方のハーフに
   設けられたテープガイド間に掛け合わされることによっ
   てローディング空間部に沿って延在されて、他方のテー
   プリールに巻き取られるテープ状記録媒体と、 ローディング空間部を開閉するようにカートリッジ本体
   の前面部に回動自在に支持され、ローディング空間部を
   閉塞した状態においてテープ状記録媒体の前方側に位置
   されるとともに記録再生装置側のリッド駆動手段によっ
   て回動されてローディング空間部を開放するリッドとを
   備え、 前記リッドには、ローディング空間部を閉塞した状態に
   おいて少なくともローディング空間部を構成する切欠き
   部に位置するテープ状記録媒体の引出し部と対向する主
   面部の内面をテープ状記録媒体の表面と面粗度を異にし
   た粗面に構成され、前記主面部の内面は傾斜しているこ
   とを特徴とするテープカートリッジ。
2. 【請求項２】上下ハーフを組み合わせて内部に一対のテ
   ープリールを回転自在に収納するとともに、前面部を開
   放して記録再生装置側のテープローディング手段が進入
   するローディング空間部が構成されたカートリッジ本体
   と、 一方のテープリールから繰り出され、カートリッジ本体
   のローディング空間部の両側に位置して一方のハーフに
   設けられたテープガイド間に掛け合わされることによっ
   てローディング空間部に沿って延在されて、他方のテー
   プリールに巻き取られるテープ状記録媒体と、 ローディング空間部を開閉するようにカートリッジ本体
   の前面部に回動自在に支持され、ローディング空間部を
   閉塞した状態においてテープ状記録媒体の前方側に位置
   されるとともに記録再生装置側のリッド駆動手段によっ
   て回動されてローディング空間部を開放するリッドとを
   備え、 前記リッドには、ローディング空間部を閉塞した状態に
   おいて少なくともローディング空間部を構成する切欠き
   部に位置するテープ状記録媒体の引出し部と対向する主
   面部の内面をテープ状記録媒体の表面と面粗度を異にし
   た粗面とすることにより構成されたテープ貼付き防止部
   を複数箇所に設けたことを特徴とするテープカートリッ
   ジ。
3. 【請求項３】前記複数のテープ貼付き防止部は上下に離
   間した領域に構成されたことを特徴とする請求項２に記
   載のテープカートリッジ。
4. 【請求項４】前記主面部の内面は傾斜していることを特
   徴とする請求項２に記載のテープカートリッジ。
5. 【請求項５】上下ハーフを組み合わせて内部に一対のテ
   ープリールを回転自在に収納するとともに、前面部を開
   放して記録再生装置側のテープローディング手段が進入
   するローディング空間部が構成されたカートリッジ本体
   と、一方のテープリールから繰り出され、カートリッジ
   本体のローディング空間部の両側に位置して一方のハー
   フに設けられたテープガイド間に掛け合わされることに
   よってローディング空間部に沿って延在されて、他方の
   テープリールに巻き取られるテープ状記録媒体と、 ローディング空間部を開閉するようにカートリッジ本体
   の前面部に回動自在に支持され、ローディング空間部を
   閉塞した状態においてテープ状記録媒体の前方側に位置
   されるとともに記録再生装置側のリッド駆動手段によっ
   て回動されてローディング空間部を開放するリッドとを
   備え、 前記リッドには、ローディング空間部を閉塞した状態に
   おいて少なくともローディング空間部を構成する切欠き
   部に位置するテープ状記録媒体の引出し部と対向する主
   面部の内面を小ピッチの高さ方向の凹凸面を設け、前記
   主面部の内面を傾斜させて構成したことを特徴とするテ
   ープカートリッジ。
6. 【請求項６】上下ハーフを組み合わせて内部に一対のテ
   ープリールを回転自在に収納するとともに、前面部を開
   放して記録再生装置側のテープローディング手段が進入
   するローディング空間部が構成されたカートリッジ本体
   と、 一方のテープリールから繰り出され、カートリッジ本体
   のローディング空間部の両側に位置して一方のハーフに
   設けられたテープガイド間に掛け合わされることによっ
   てローディング空間部に沿って延在されて、他方のテー
   プリールに巻き取られるテープ状記録媒体と、 ローディング空間部を開閉するようにカートリッジ本体
   の前面部に回動自在に支持され、ローディング空間部を
   閉塞した状態においてテープ状記録媒体の前方側に位置
   されるとともに記録再生装置側のリッド駆動手段によっ
   て回動されてローディング空間部を開放するリッドとを
   備え、 前記リッドには、ローディング空間部を閉塞した状態に
   おいて少なくともローディング空間部を構成する切欠き
   部に位置するテープ状記録媒体の引出し部と対向する主
   面部の内面を小ピッチで凹設された高さ方向の溝を設
   け、前記主面部の内面を傾斜させて構成したことを特徴
   とするテープカートリッジ。
7. 【請求項７】上下ハーフを組み合わせて内部に一対のテ
   ープリールを回転自在に収納するとともに、前面部を開
   放して記録再生装置側のテープローディング手段が進入
   するローディング空間部が構成されたカートリッジ本体
   と、 一方のテープリールから繰り出され、カートリッジ本体
   のローディング空間部の両側に位置して一方のハーフに
   設けられたテープガイド間に掛け合わされることによっ
   てローディング空間部に沿って延在されて、他方のテー
   プリールに巻き取られるテープ状記録媒体と、 ローディング空間部を開閉するようにカートリッジ本体
   の前面部に回動自在に支持され、ローディング空間部を
   閉塞した状態においてテープ状記録媒体の前方側に位置
   されるとともに記録再生装置側のリッド駆動手段によっ
   て回動されてローディング空間部を開放するリッドとを
   備え、 前記リッドには、ローディング空間部を閉塞した状態に
   おいて少なくともローディング空間部を構成する切欠き
   部に位置するテープ状記録媒体の引出し部と対向する主
   面部の内面領域の下方部に沿ってテープ貼付き防止凸部
   を一体に突設して構成したことを特徴とするテープカー
   トリッジ。
8. 【請求項８】前記テープ貼付き防止凸部は傾斜している
   ことを特徴とする請求項７に記載のテープカートリッ
   ジ。
9. 【請求項９】前記テープ貼付き防止凸部は、テープ状記
   録媒体と対向する表面がテープ状記録媒体の表面と面粗
   度を異にした粗面として構成されたことを特徴とする請
   求項７に記載のテープカートリッジ。
10. 【請求項１０】前記主面部の内面は傾斜していることを
    特徴とする請求項７に記載のテープカートリッジ。
11. 【請求項１１】前記主面部の内面はテープ状記録媒体と
    対向する表面がテープ状記録媒体の表面と面粗度を異に
    した粗面として構成されたことを特徴とする請求項７に
    記載のテープカートリッジ。