JPH09228218A - ポリエステル系弾性固綿の製造方法 - Google Patents

ポリエステル系弾性固綿の製造方法

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JPH09228218A
JPH09228218A JP8069269A JP6926996A JPH09228218A JP H09228218 A JPH09228218 A JP H09228218A JP 8069269 A JP8069269 A JP 8069269A JP 6926996 A JP6926996 A JP 6926996A JP H09228218 A JPH09228218 A JP H09228218A
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cotton
heat
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staple
sheath
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JP8069269A
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Hiroshi Sekino
弘志 関野
Haruo Deguchi
治雄 出口
Makoto Kamiusu
真琴 上薄
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Nippon Ester Co Ltd
Original Assignee
Nippon Ester Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 吹き込み作業性が良好で成形性に優れてい
て、均一で優れた弾性性能を有する固綿の製造方法を提
供する。 【解決手段】 芯にポリエチレンテレフタレート、鞘に
イソフタル酸を共重合した共重合ポリエステルを偏心配
置して芯鞘複合紡糸をした熱接着綿と、極限粘度差を有
するポリエチレンテレフタレートを複合紡糸して、スパ
イラル捲縮を発現する潜在捲縮能を有する主体綿を、6
0:40〜90:10の割合で用いて玉状綿を形成した後、こ
の玉状綿を風送により側地に吹き込み、熱接着綿の鞘に
配した共重合ポリエステルの軟化温度以上の温度で熱処
理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、衛生材料綿、寝装
具、ソファー、クッション、自動車内装材等の分野に用
いられる成形性に優れたポリエステル系複合繊維からな
る弾性固綿の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリエステル短繊維は、その優れ
た特性を利用して衛生材料綿、寝装具、ソファー、クッ
ション、自動車内装材等の詰め綿として広く使用されて
おり、主体綿と熱接着綿を混ぜてカード機で一度開繊し
た後、熱処理機で主体綿を熱接着して側地に入れ製品化
する方法が良く知られている。この方法は、単純な側地
から構成されているマット類において適しており、複雑
な形態の側地は挿入が困難であったり、カード機を使用
することから省力化の面でコストアップになるという問
題があった。
【0003】このような問題を解決する方法として、開
繊した短繊維の代わりに玉状綿を使用する方法が提案さ
れており、例えば、特開昭61−12537号公報には
バインダー繊維を含有した玉状綿を側地に吹き込んだ
後、熱処理して一体化させる方法が開示されている。し
かし、この方法では、玉状綿同士の繊維の絡み合いが弱
いため耐久性に問題があった。
【0004】また、主体綿としては、比較的安価で優れ
た物性を有するポリエステル繊維が最も多く使用されて
いる。しかし、これらの主体綿は、寝装具、ソファー、
クッション、自動車内装材等の詰め綿としては、ウレタ
ンフォームとの比較で弾性面で劣るものであり、衛材綿
用途においてはソフト性能を充分満足するものが得られ
ていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述した問題
点を解決し、吹き込み作業性が良好で均一性や成形性に
優れ、優れた弾性を有する固綿の製造方法を提供するこ
とを技術的な課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
を解決するために鋭意研究の結果、鞘成分として低軟化
点成分のポリエステル、芯成分としてポリアルキレンテ
レフタレートを配し、しかも芯成分と鞘成分を偏心して
配することにより高スパイラル捲縮発現能をもたらした
偏心複合繊維を熱接着綿とし、特定範囲の極限粘度差の
あるポリアルキレンテレフタレートを複合紡糸して高ス
パイラル捲縮発現能をもたらした複合繊維を主体綿とし
て、玉状綿を形成した後、この玉状綿を側地に風送し、
熱処理することにより、この問題が達成することを見出
し、本発明に到達した。
【0007】すなわち、本発明は、熱接着綿と主体綿と
からなる固綿を製造するに際し、芯成分として融点が2
20℃以上のポリアルキレンテレフタレートを配し、鞘
成分としてテレフタル酸とイソフタル酸のモル比を8
5:15〜60:40としてエチレングリコールと共重
合した軟化点が110〜215℃である共重合ポリエス
テルを配した、芯成分と鞘成分が偏心していて、芯鞘比
率が40:60〜80:20で、90℃で10分間自由
収縮したとき30個/25mm以上のスパイラル捲縮を発
現する潜在捲縮能を有し、5〜10個/25mmの機械捲
縮数が付与されている偏心芯鞘複合繊維を熱接着綿と
し、極限粘度差が0.03〜0.15の融点が220℃
以上のポリアルキレンテレフタレートを複合紡糸したも
のであって、160℃で10分間自由収縮したとき30
個/25mm以上のスパイラル捲縮を発現する潜在捲縮能
を有し、単糸繊度が3〜15デニール、捲縮数が5〜1
5個/25mmである複合繊維を主体綿として、熱接着綿
と主体綿を10:90〜40:60の割合で用いて直径
3〜20mmの玉状綿とした後、該玉状綿を風送により側
地に吹き込み、熱接着綿の鞘成分の軟化温度以上の温度
で熱処理することを特徴とするポリエステル系弾性固綿
の製造方法を要旨とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明において熱接着綿として用いる繊維は、2
種類のポリエステルを偏心芯鞘構造として複合紡糸した
偏心芯鞘複合繊維である。芯成分としては融点が220
℃以上のポリエチレンテレフタレート(以下、PETと
略記する。)やポリブチレンテレフタレート等のポリア
ルキレンテレフタレートを用いる。PETの場合の極限
粘度は、0.45〜0.75であるのが好ましい。本発
明の目的を損なわない範囲でアジピン酸、セバシン酸、
1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ポ
リエチレングリコールなどの共重合成分を少量(10モ
ル%程度以下)含有していてもよい。またPETは、艶
消し剤や滑剤等の添加剤を添加したものであってもよ
い。芯成分の融点を220℃以上とするのは、製糸性を
安定させ、融着熱処理時に熱収縮したりしないようにす
るためである。
【0009】熱接着綿の鞘成分としては,テレフタル酸
とイソフタル酸のモル比を85:15〜60:40とし
てエチレングリコールと共重合した軟化点が110〜2
15℃である共重合ポリエステルを用いる。この共重合
ポリエステルの極限粘度は、0.45〜0.60である
のが好ましい。イソフタル酸の共重合割合が15モル%
未満では、接着力が不十分であり、また、軟化温度が高
くなるので、熱処理を高くする必要がある。一方、40
モル%を超えると軟化温度が低くなりすぎて、固綿を使
用中に再接着が起こり形状が変化してしまったりする危
険性があり、繊維製造において紡糸性が著しく劣り製造
に適さなくなってしまう。熱接着綿の製造においては、
鞘成分が軟化温度の低いポリマーからなるため熱処理時
に単糸同士が融着してしまう可能性があるので、未延伸
糸を延伸した後熱セットや熱処理は行わないのが好まし
い。
【0010】熱接着綿の複合形態は、芯成分と鞘成分を
潜在捲縮能を有する形態に偏心させて配して紡糸されれ
ば特に限定しないが、芯成分の一部が表面に露出したも
のより、図1(A)のごとく鞘成分1が芯成分2の表面
の全てを覆った形態のものが接着性に優れる点で好まし
い。
【0011】熱接着綿の芯鞘複合比率は、40:60〜
80:20の割合とする必要がある。芯成分の割合が8
0%を超えると接着成分が少なくなって接着力が低下
し、偏心させても潜在捲縮能が充分に出ない。逆に鞘成
分の割合が60%を超えると紡糸時に糸切れが多発し操
業性が極端に悪くなり、得られた固綿も主体綿の動きが
抑えられて風合いが硬くなっていく。
【0012】また、熱接着綿は、熱処理した時に捲縮を
発現し,固綿に優れた弾性回復性と耐ヘタリ性をもたら
すように、90℃で10分間自由収縮熱処理したとき3
0個/25mm以上、好ましくは40個/25mm以上のス
パイラル捲縮を発現し得る潜在捲縮能を有することが必
要である。
【0013】さらに、熱接着綿への機械捲縮の付与は、
例えばスタッフィングボックスあるいは加熱ギヤーを用
いて行い、機械捲縮数を5〜10個/25mmとする必要
がある。捲縮数が5個/25mm未満であると、主体綿と
の絡み合いが十分に行なわれず玉状綿が得にくくなる。
また、10個/25mmを越えると繊維同志の絡みが強す
ぎて棒状となって玉状綿が得られなくなる。
【0014】熱接着綿の単糸繊度は1.5〜10デニー
ルとするのが好ましい。1.5デニール未満であると、
固綿の接着に必要な鞘成分の絶対量が不足して繊維同志
の接着が悪くなってくる。また、10デニールを超える
と、単糸デニールが太すぎて繊維同士の絡みが悪くて玉
状綿が得にくくなり、側地に吹き込み後の成形性及び均
一性が悪くなってしまう可能性がある。
【0015】本発明において主体綿として用いる繊維
は、極限粘度差が0.03〜0.15の融点が220℃
以上のPETやポリブチレンテレフタレート等のポリア
ルキレンテレフタレートを複合紡糸装置を用いて複合紡
糸した複合繊維であって、弛緩熱処理によって捲縮が発
現する繊維である。ポリアルキレンテレフタレートに
は、本発明の目的を損なわない範囲で、アジピン酸、セ
バシン酸、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリ
コール、ポリエチレングリコール等の共重合成分を少量
(10モル%程度以下)含有していてもよい。通常、P
ETとしては極限粘度が0.55〜0.75の範囲のも
のを用いる。極限粘度差が0.03未満であると、充分
な潜在捲縮の発現が得られない。極限粘度差が0.15
を越えると、粘度差によりノズル面でニーリング現象が
起きて糸切れが多発し製糸調子が悪くなる。
【0016】主体綿の複合形態は、潜在捲縮を有する形
態に紡糸されれば特に限定されないが、サイドバイサイ
ド型や偏心鞘型等であり、熱処理により捲縮を十分に発
現させるために図1(B)のごとくサイドバイサイド型
とするのが捲縮発現能力が優れている点で好ましい。ま
た、断面形状は円形に限らず、三角断面その他の異形断
面であってもよく、図1(C)のごとく中空断面とする
こともできる。
【0017】主体綿の複合比率は、40:60〜60:
40とするのが好ましく、50:50とするのが捲縮発
現能力が優れている点で好適である。
【0018】主体綿は、熱処理した時に捲縮を発現し、
固綿に優れた弾性回復性と耐ヘタリ性をもたらすよう
に、160℃で10分間の自由収縮熱処理をした時に3
0個/25mm以上、好ましくは40個/25mm以上のス
パイラル捲縮を発現し得る潜在捲縮能を有することが必
要である。
【0019】主体綿は、極限粘度差のあるPETを複合
紡糸しているので、延伸後に捲縮が発現するが、この時
の捲縮数は5〜15個/25mmにすることが必要であ
る。これは熱接着綿の捲縮数とレベルを合わせておくこ
とにより、熱接着綿との混綿を均一にした玉状綿を得る
ためであり、捲縮数が少なすぎると繊維同志の絡みが弱
くて玉状綿となりにくく、見かけの嵩はあるが、側地に
吹き込む綿の量が少なくなり熱処理後、固綿を繰り返し
使用するとヘタリが生じる。捲縮数が多すぎると繊維同
志の絡みが強く、熱接着綿との混綿が悪く、玉状綿が得
られずに棒状となり、側地に風送しても均一性のない固
綿になってしまう。
【0020】主体綿の単糸繊度は3〜15デニールとす
るのが好ましい。単糸繊度を3デニール未満とすると、
固綿の硬さがなく、底つき感が出てヘタリやすい固綿に
なり、逆に15デニールを越えると、単糸が太すぎて熱
接着綿との絡みが悪くて玉状綿になりにくく、側地に吹
き込み後の成形性及び均一性が悪くなり、固綿の弾性も
劣る物となってしまう。
【0021】主体綿は、艶消剤、光沢改良剤、制電剤、
難燃剤、柔軟平滑剤等を含有していてもよい。
【0022】本発明における熱接着綿及び主体綿の繊維
長は、15〜60mmとするのが好ましい。この長さが6
0mmを越えると玉状綿を得ようとした時に繊維同士が長
さ方向にヨジレ状になり、側地に吹き込み後の成形性及
び均一性が悪くなってしまう可能性がある。そして、熱
処理後の固綿の形成にムラを生じやすくなる。また、1
5mm未満とすると、繊維長が短かすぎて主体綿との絡み
合いが悪くなり、玉状になりにくく、熱処理後の固綿の
形成性及び均一性が悪く、固綿を繰り返し使用時にへた
りやすい固綿となる可能性がある。
【0023】また、熱接着綿及び主体綿に付与する仕上
げ油剤としては平滑性の油剤が好ましく、寝装具、ソフ
ァー、クッション、自動車内装材等の詰め綿用として
は、撥水性を有するシリコーン系油剤が好ましく、衛生
材料綿用途においては、吸水性のノニオン系水溶性油剤
(例えば、ポリアルキレングリコール変性ポリエステ
ル)が好ましい。
【0024】本発明においては、上記の熱接着綿と主体
綿を用いて玉状綿を形成し、この玉状綿を風送により製
品の形状に型作られた側地に吹き込み、その後熱処理し
て製品である固綿を得る。
【0025】熱接着綿と主体綿の使用比率は、10:9
0〜40:60の割合とする必要があり、熱接着綿の使
用比率が10%未満であると固綿を成形する接着量が不
足し、固綿が得られない。熱接着綿の使用比率が40%
を超えると固綿の熱処理したときの熱収縮率が高くな
り、側地の型とおりの大きさの固綿が得られなくなった
り、弾力性のない固綿になってしまったりする。
【0026】玉状綿は、熱接着綿と主体綿とを高速気流
下で攪拌することにより得ることができる。そしてその
大きさは、その直径を3〜20mmとする必要がある。玉
状綿の大きさがあまり小さいとネップ状となってクッシ
ョン性が乏しくなり、大きすぎると側地への吹き込み作
業性や吹き込み後の成形性及び均一性が悪くなる。玉状
綿の大きさは、気流の強さと処理時間を調節することに
より調整することができ、風速10〜50m/秒の高速
気流下で2〜20分攪拌することにより、所望の大きさ
のものを得ることができる。
【0027】玉状綿の側地への風送中等の固綿を作成す
る工程中に繊維が離脱しないように構成繊維を仮接着し
ておくために熱処理して、繊維相互を融着しておいても
よい。
【0028】玉状綿を風送により側地に吸込んだ後の熱
処理温度は、熱接着綿の鞘成分の軟化温度以上の温度と
することが必要である。熱接着綿の鞘成分の軟化温度を
下まわる温度で熱処理したのでは熱接着綿の接着力が十
分に発揮されない。本発明に用いるイソフタル酸の共重
合の割合が15〜40モル%である熱接着綿の鞘成分の
軟化温度はおよそ110〜215℃であり、鞘成分に用
いたイソフタル酸の共重合の割合により熱接着温度を設
定すればよい。
【0029】
【作用】本発明によると、接着性に優れた鞘成分を有す
ると共に潜在捲縮能を有する偏心芯鞘複合繊維を熱接着
綿とし、優れた捲縮特性を発揮する潜在捲縮能を有する
複合繊維を主体綿として、同レベルの捲縮数の両者を高
速気流下で攪乱して玉状綿とし、これを所望の形状をし
た側地に吹き込み、熱接着綿の鞘成分の軟化温度以上の
温度で熱処理するので、熱接着綿と主体綿が均一に混綿
されて、所望の形状に成形され、構成綿がスパイラル捲
縮を発現して優れたクッション性を発揮すると共に耐久
性の優れたクッション性を有する弾性固綿とすることが
できる。
【0030】
【実施例】次に実施例をあげて本発明を具体的に説明す
る。なお、実施例における特性値等の測定方法は、次の
通りである。
【0031】(1) 極限粘度〔η〕 フェノールと四塩化エタンとの等重量混合溶媒中、20℃
で測定。
【0032】(2) 融点 パーキンエルマー社製示差走査熱量計DSC−7型を用
い、昇温速度20℃/分で測定。
【0033】(3) 軟化温度 株式会社柳本製作所製自動軟化点測定装置AMP−2型
を用いて、昇温速度1℃/分で測定。
【0034】(4) 繊度 JIS L-105-7-5-1A の方法により測定。
【0035】(5) 捲縮数 JIS L-105-12-1 の方法により測定。
【0036】(6) 繰返圧縮残留ひずみ率 固綿を 300×300 ×50mmの大きさに切断して、JIS K-64
01-5-3の方法により測定。
【0037】(7) 玉状綿の直径 ノギスにより測定 (8) 玉状綿の形成性 玉状綿の作成時の玉状の形成状態を観察し、○:安定し
て玉状が形成される.△:玉状の形成が不安定である.
×:玉状が形成されない.の3段階で評価した。
【0038】(9) ブロック状 得られた200gの固綿の厚みの中程から上下に引っ張って
はがし, 5mm以上の大きさのブロック状の固まりを数え
て、○:0〜1個のもの.△:2〜5個のもの.×:6
個以上のものの3段階で評価した。
【0039】実施例1 芯成分として〔η〕=0.68、融点 256℃のPET、鞘成
分としてイソフタル酸(IPA)を20モル%共重合した
極限粘度0.53のポリエチレンテレフタレート系共重合ポ
リエステル (軟化温度 200℃) を用い、複合紡糸機にて
芯鞘複合比率50:50で図1(A)のごとく芯成分が偏心
して存在する偏心芯鞘構造型複合繊維を紡糸温度 270
℃、紡糸口金孔数 139孔、引き取り速度1000m/分、吐出
量216g/分で紡糸して束状に集束し、50℃の供給ローラ
と60℃の延伸ローラの間で 3.5倍で延伸し、40万デニー
ルの延伸束とし、引き続いてスタッフィングボックスに
導入して機械捲縮を付与した後、ノニオン系水溶性仕上
げ油剤(ポリアルキレングリコール変性ポリエステル)
からなる濃度1%の水性エマルジョンを付与し、60℃10
分間乾燥後、カッタで32mmにカットし、捲縮数が6個/
25mmで繊度が4デニールの熱接着綿を得た。この熱接着
綿を90℃で10分間自由熱処理かたときの捲縮数は、
41.7個/25mmで、捲縮形態はきれいなスパイラル形状を
していた。
【0040】一方、極限粘度が0.71のPETと極限粘度
が0.60のPET(極限粘度差0.11)を用い, 複合紡糸機
にて複合比率50:50で図1(C)のごとき中空サイドバ
イサイド型複合繊維を紡糸温度 275℃、紡糸口金孔数 1
39孔、引き取り速度1000m/分、吐出量441g/分で紡糸し
て束状に集束し、50℃の供給ロールと90℃の延伸ロール
との間歇で 3.5倍に延伸し、60万デニールの延伸束を弛
緩処理してノニオン系水溶性仕上げ油剤(ポリアルキレ
ングリコール変性ポリエステル)からなる濃度1%の水
性エマルジョンを付与し、 170℃で10分間乾燥後、カッ
タで32mmにカットし、中空率が30%、捲縮数が11個/25
mm、繊度が10デニールの主体綿を得た。
【0041】この主体綿を 160℃で10分間自由収縮熱処
理したときの捲縮数は41.9個/25mmで, 捲縮形態はきれ
いなスパイラル形状をしていた。
【0042】得られた熱接着綿400gと主体綿600g(熱接
着綿と主体綿の割合40:60)を玉綿加工機に入れ、空気
圧 250mmAq、風速40m/秒の高速気流下で10分間攪拌して
直径10mmの玉状綿を得た。
【0043】得られた玉状綿200gを、20m/秒の風速で 4
00×400 ×50mmの大きさのテフロン加工したステンレス
製金網の長方形体の側地に吹き込み後、熱風乾燥機で 2
20℃、30分間の熱処理を行って本発明による固綿を得
た。
【0044】実施例2 実施例1において、機械捲縮数を11個/25mmに替えて9
個/25mmとした主体綿と、鞘成分としてIPAの共重合
の割合を20モル%に替えて40モル%とした共重合ポリエ
ステル (軟化温度 110℃) を用いた熱接着綿とを用い、
玉綿加工時間を10分間に替えて7分間とし、熱処理温度
を 220℃に替えて 190℃とした以外は実施例1と同様に
して本発明による固綿を得た。
【0045】実施例3 実施例1において、機械捲縮数を11個/25mmに替えて15
個/25mmとした主体綿と、鞘成分としてIPAの共重合
の割合を20モル%に替えて15モル%とした共重合ポリエ
ステル (軟化温度 215℃) を用い機械捲縮数を6個/25
mmに替えて10個/25mmとした熱接着綿とを用い、玉綿加
工時間を10分間に替えて3分間とし、熱処理温度を 220
℃に替えて 235℃とした以外は実施例1と同様にして本
発明による固綿を得た。
【0046】実施例4 実施例1において、鞘成分としてIPAの共重合の割合
を20モル%に替えて40モル%とした共重合ポリエステル
(軟化温度 110℃) を用いた熱接着綿とを用い、熱処理
温度を 220℃に替えて 190℃とした以外は実施例1と同
様にして本発明による固綿を得た。
【0047】実施例5 実施例1において、熱接着綿と主体綿の割合を40:60に
替えて10:90としたこと、熱接着綿と主体綿の繊維長を
32mmに替えて15mmとしたこと及び玉綿加工時間を10分間
に替えて3分間としたこと以外は実施例1と同様にして
本発明による固綿を得た。
【0048】実施例6 実施例1において、芯鞘複合比率を50:50に替えて40:
60とした熱接着綿を用いたこと、熱接着綿と主体綿の繊
維長を32mmに替えて60mmとしたこと及び玉綿加工時間を
10分間に替えて7分間としたこと以外は実施例1と同様
にして本発明による固綿を得た。
【0049】実施例7 実施例1において、芯鞘複合比率を50:50に替えて80:
20とした熱接着綿を用いたこと及び玉綿加工時間を10分
間に替えて7分間としたこと以外は実施例1と同様にし
て本発明による固綿を得た。
【0050】実施例8 実施例1において、主体綿の一方のPETを極限粘度0.
60のPETに替えて極限粘度0.65のPET(極限粘度差
0.06) としたこと以外は実施例1と同様にして本発明に
よる固綿を得た。
【0051】実施例9 実施例1において、主体綿の一方のPETを極限粘度0.
60のPETに替えて極限粘度0.56のPET(極限粘度差
0.15) としたこと以外は実施例1と同様にして本発明に
よる固綿を得た。
【0052】比較例1 実施例1において、鞘成分としてIPAの共重合の割合
を20モル%に替えて10モル%とした共重合ポリエステル
(軟化温度 225℃) を用い、機械捲縮数を6個/25mmに
替えて10個/25mmとした熱接着綿とを用い、熱処理温度
を 220℃に替えて 245℃とした以外は実施例1と同様に
して比較例としての固綿を得た。
【0053】比較例2 実施例1において、鞘成分としてIPAの共重合の割合
を20モル%に替えて50モル%とした共重合ポリエステル
(軟化温度95℃) を用いた熱接着綿の紡糸を試みたが糸
切れが多発したので以後の作業を中止した。
【0054】比較例3 実施例1において、芯鞘比率を50:50に替えて90:10と
した熱接着綿を用いた以外は実施例1と同様にして比較
例としての固綿を得た。
【0055】比較例4 実施例1において、芯鞘比率を50:50に替えて30:70と
した熱接着綿の紡糸を試みたが糸切れが多発したので以
後の作業を中止した。
【0056】比較例5 実施例1において、機械捲縮数を6個/25mmに替えて2
個/25mmとした熱接着綿を用いた以外は実施例1と同様
にして玉状綿加工機にて攪拌加工したが、良好な玉状綿
が形成されなかったので、固綿の製造を中止した。
【0057】比較例6 実施例1において、機械捲縮数を6個/25mmに替えて15
個/25mmとした熱接着綿を用いた以外は実施例1と同様
にして比較例としての固綿を得た。
【0058】比較例7 実施例1において、捲縮数を11個/25mmに替えて3個/
25mmとした主体綿を用いた以外は実施例1と同様にして
玉状綿加工機にて攪拌加工したが、良好な玉状綿が形成
されなかったので、固綿の製造を中止した。
【0059】比較例8 実施例1において、機械捲縮数を11個/25mmに替えて23
個/25mmとした主体綿を用いた以外は実施例1と同様に
して玉状綿加工機にて攪拌加工したが、良好な玉状綿が
形成されなかったので、固綿の製造を中止した。
【0060】比較例9 実施例1において、熱接着綿と主体綿の割合を40:60に
替えて 5:95として混綿した以外は実施例1と同様にし
て比較例としての固綿を得た。
【0061】比較例10 実施例1において、熱接着綿と主体綿の割合を40:60に
替えて50:50として混綿した以外は実施例1と同様にし
て比較例としての固綿を得た。
【0062】比較例11 実施例1において、熱処理温度を 220℃に替えて 190℃
としたこと以外は実施例1と同様にして比較例としての
固綿を得た。
【0063】比較例12 実施例1において、主体綿の一方のPETを極限粘度0.
60のPETに替えて極限粘度0.69のPET(極限粘度差
0.02) としたこと以外は実施例1と同様にして比較例と
しての固綿を得た。
【0064】比較例13 実施例1において、主体綿の一方のPETを極限粘度0.
60のPETに替えて極限粘度0.51のPET(極限粘度差
0.20) とした主体綿の紡糸を試みたが糸切れが多発した
ので以後の作業を中止した。
【0065】実施例1〜9及び比較例1〜12の熱接着
綿の特性,主体綿の特性,固綿製造時の混綿比率と熱処
理温度,及び固綿の評価結果を併せて表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】表1により明らかなごとく、本発明による
実施例1〜9は、いずれも玉状綿が安定して形成され吹
き込み作業性が良好で均一な固綿が得られていて、熱処
理によって構成繊維の捲縮が発現して繰返し圧縮による
へたりも小さく優れたクッション性を有するものであっ
た。これに対し、IPAの共重合の割合が少ないポリエ
ステルを鞘成分とする熱接着綿を用いた比較例1は、接
着力が不十分であり、繰返圧縮残留ひずみ率を測定後の
試料は、主体綿の遊離している部分が見られた。また、
鞘成分の軟化温度が高いので、熱処理温度を高くする必
要があり、工業的に実施するのが難しい。鞘部の比率の
小さい熱接着綿を用いた比較例3は、接着力が不十分で
あり、繰返圧縮残留ひずみ率を測定後の試料は、主体綿
の遊離している部分が見られた。機械捲縮数の少ない熱
接着綿を用いた比較例5及び捲縮数の少ない主体綿を用
いた比較例7は、繊維同士の絡みが弱く均一な玉状綿が
得られなかった。機械捲縮数の多い熱接着綿を用いた比
較例6は、玉状綿の形成性が不安定で、熱接着綿と主体
綿が均一に分散していないため、接着性、耐久性も劣る
ものであった。捲縮数の多い主体綿を用いた比較例8
は、繊維同士の絡みが強すぎて棒状になり、安定した玉
状綿が得られなかった。熱接着綿の混綿割合の少ない比
較例9は、接着が不十分であり、繰返圧縮残留ひずみ率
を測定後の試料は、主体綿の遊離している部分が見られ
た。熱接着綿の混綿割合の多い比較例10は、風合いが
硬く、繰返し圧縮残留ひずみ率が低いものであった。熱
接着綿の鞘成分の軟化温度より低い温度で熱処理して得
た比較例11の固綿は、主体綿同士の接着が十分でな
く、綿の移動による変形のあるものであった。極限粘度
差の小さいPET同士による主体綿を用いた比較例12
は、玉状綿の形成性や綿の分散性は良いが、主体綿のス
パイラル捲縮の発現が不十分なため、弾性の乏しく、繰
返し圧縮残留ひずみ率の低いものであった。
【0068】
【発明の効果】本発明によれば、吹き込み作業性が良好
であり、成形性に優れていて、均一な固綿を得ることが
でき、熱処理による主体綿と熱接着綿のスパイラル捲縮
の発現によって優れた弾性性能を有した固綿を得ること
ができる。これらの固綿は、衛生材用途、寝装具、ソフ
ァー、クッション等幅広い用途に好適に用いることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱接着綿に用いることのできる偏心芯
鞘複合繊維の断面(A)及び主体綿に用いることのでき
るサイドバイサイド型複合繊維の断面(B,C)の一例
を示す図である。
【符号の説明】
1 鞘成分 2 芯成分 3 極限粘度の低いPET 4 極限粘度の高いPET

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱接着綿と主体綿とからなる固綿を製造
    するに際し、芯成分として融点が220℃以上のポリア
    ルキレンテレフタレートを配し、鞘成分としてテレフタ
    ル酸とイソフタル酸のモル比を85:15〜60:40
    としてエチレングリコールと共重合した軟化点が110
    〜215℃である共重合ポリエステルを配した、芯成分
    と鞘成分が偏心していて、芯鞘比率が40:60〜8
    0:20で、90℃で10分間自由収縮したとき30個
    /25mm以上のスパイラル捲縮を発現する潜在捲縮能を
    有し、5〜10個/25mmの機械捲縮数が付与されてい
    る偏心芯鞘複合繊維を熱接着綿とし、極限粘度差が0.
    03〜0.15の融点が220℃以上のポリアルキレン
    テレフタレートを複合紡糸したものであって、160℃
    で10分間自由収縮したとき30個/25mm以上のスパ
    イラル捲縮を発現する潜在捲縮能を有し、単糸繊度が3
    〜15デニール、捲縮数が5〜15個/25mmである複
    合繊維を主体綿として、熱接着綿と主体綿を10:90
    〜40:60の割合で用いて直径3〜20mmの玉状綿と
    した後、該玉状綿を風送により側地に吹き込み、熱接着
    綿の鞘成分の軟化温度以上の温度で熱処理することを特
    徴とするポリエステル系弾性固綿の製造方法。
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