JPH09228017A - 耐食性、りん酸塩処理性および耐黒変性に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents

耐食性、りん酸塩処理性および耐黒変性に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板およびその製造方法

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JPH09228017A
JPH09228017A JP5404796A JP5404796A JPH09228017A JP H09228017 A JPH09228017 A JP H09228017A JP 5404796 A JP5404796 A JP 5404796A JP 5404796 A JP5404796 A JP 5404796A JP H09228017 A JPH09228017 A JP H09228017A
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plating
steel sheet
steel plate
plating layer
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JP5404796A
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Naoya Yokoyama
直也 横山
Akira Takase
朗 高瀬
Masaru Sagiyama
勝 鷺山
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JFE Engineering Corp
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 りん酸塩処理性と耐黒変性とを兼ね備えるこ
とにより、裸使用、塗装使用の両方の用途に使用でき
る、耐食性に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板と
その製造方法を提供する。 【解決手段】 Alを2wt%以上6wt%以下含む溶
融Zn−Al系合金めっき鋼板において、めっき層の表
層が連続したβ相、又はβ相と共晶相、下層が共晶相か
らなり、めっき層表面のβ相の露出面積率が60%以上
である溶融Zn−Al系合金めっき鋼板とその製造方法
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐食性、りん酸塩
処理性および耐黒変性に優れた溶融Zn−Al系合金め
っき鋼板およびその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鋼板への溶融めっきは、主に耐食性の向
上を目的として行われており、溶融めっき鋼板は、自動
車、建材、家電用途を中心に使用されている。特に、通
常の溶融亜鉛めっきに多量のアルミニウムを添加した溶
融Zn−Al系合金めっきは耐食性が優れるため、その
開発が進み、近年、5wt%前後のアルミニウムを添加
した溶融Zn−Al系合金めっき鋼板が広く使用される
ようになった。5wt%前後のアルミニウムが添加され
た溶融Zn−Al系合金めっき鋼板は鋼板素地との合金
層が薄いため加工性も優れている。従って、このめっき
鋼板は、建材、家電等の用途に使用され、その使用形態
は、塗装が施されない裸使用であったり、りん酸塩処理
が施された後塗装が施される塗装用途としての使用であ
ったり、その具体的な用途に応じて多岐に渡っている。
塗装されることなく裸使用される場合、その外観の安定
性が要求される。また、りん酸塩処理が施されて塗装下
地として使用される場合、優れたりん酸塩処理性が要求
される。
【0003】従来の5wt%前後のアルミニウムが添加
された溶融Zn−Al系合金めっき鋼板のめっき層組織
は、図1(A)の顕微鏡組織の写真及びその模式図であ
る図2(A)に示されるように、亜鉛リッチなβ相(以
下、単にβ相という)1がめっき層内部に存在し、この
β相1を囲むように共晶相2が存在する。
【0004】めっき層の共晶相は優れた耐食性を得る上
で不可欠であるが、共晶相の存在により、溶融Znめっ
き鋼板に比べてめっき層が黒変化して外観を損なうとい
う問題や、りん酸塩処理の際に共晶相中のアルミニウム
がりん酸塩処理液中に溶出して処理液を経時劣化させて
りん酸塩処理性が低下するという問題がある。
【0005】また、めっき層中のβ相の存在状態は耐食
性に大きな影響を与え、β相がめっき層を貫通するよう
な状態で存在する場合、β相が優先的に溶解して耐食性
が劣化するという問題がある。
【0006】これらの問題点を改善するための以下の提
案がなされている。 (1)特開昭60−110860号公報には、7wt%
以下のAlを含むZn−Al系合金めっき浴でめっきし
た鋼板のめっき後の冷却速度を5〜40℃/秒として、
図1(B)のめっき層組織の顕微鏡写真及びその模式図
である図2(B)に示されるように、β相1をめっき層
表面近傍に偏析させることにより、耐食性およびりん酸
塩処理液中へのアルミニウムの溶出を低減してりん酸塩
処理性を改善する技術が開示されている。
【0007】(2)特開昭58−177447号公報に
は、Alが0.1〜25.0wt%、Mgが0.05〜
2.0wt%、Sbが0.005〜1.5wt%、Pb
が0.01wt%以下、残部がZnおよび不可避不純物
よりなるZn−Al系合金めっきにより、SbをAl−
Sb化合物としてめっき層の表面全体に分布させ、りん
酸塩処理皮膜生成の際の活性点とすることによって、り
ん酸塩処理皮膜の結晶を微細化して塗装性能を改善する
ことが開示されている。
【0008】(3)特開平6−158256号公報に
は、Alを3〜10wt%、Tiを0.01〜1wt
%、残部がZn及び不可避不純物からなるZn−Al系
合金めっき浴を用いて、めっき層表面にTi酸化物を形
成することによって、黒変を抑制する技術が開示されて
いる。
【0009】(4)特開昭61−231178号公報に
は、Zn−Al系合金めっき鋼板表面に、無電解浸漬処
理によりCo−P合金を被覆することによって、耐黒変
性、およびりん酸塩処理における大量の微細結晶核の発
生ならびにりん酸塩処理液中のりん酸と反応する際の自
己触媒的な活性点とすることにより化成処理性を改善す
る技術が開示されている。
【0010】(5)特開平01−222065号公報に
は、Zn−Al系合金の溶融めっきを施した後、めっき
層が溶融状態から170℃に冷却される迄の間に、C
o、Ni、Feイオンの少なくとも1種と次亜りん酸塩
を含有する無電解めっき液を噴霧することにより耐黒変
性を改善する技術が開示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記した公報
に開示される技術には以下の問題点がある。
【0012】(1)に開示される技術による場合、りん
酸塩処理性改善効果は十分ではない。また、裸使用に対
する考慮がない。本発明者等が裸使用において要求され
る耐黒変性について調査したところ、耐黒変性は劣って
いた。
【0013】(2)に開示される技術には、耐黒変性、
およびりん酸塩処理におけるアルミニウムのりん酸塩処
理液中への溶解を防止することにより、りん酸塩処理性
を改善する点について言及がない。本発明者等が調査し
たところ、耐黒変性は劣っており、りん酸塩処理液中へ
のアルミニウムの溶出量が大きかった。
【0014】(3)に記載される技術には、りん酸塩処
理におけるアルミニウムのりん酸塩処理液中への溶解を
防止することにより、りん酸塩処理性を改善する点につ
いて言及がない。本発明者等が、りん酸塩処理液中への
アルミニウムの溶出量を調査したところ、溶出量は大き
かった。
【0015】(4)、(5)に記載される技術による場
合、めっき後の特別な処理が必要であり、製造コストが
増加するという問題がある。また、りん酸塩処理におけ
るアルミニウムのりん酸塩処理液中への溶出を防止する
ことにより、りん酸塩処理性を改善する点について言及
がない。本発明者等が、りん酸塩処理液中へのアルミニ
ウムの溶出量を調査したところ、溶出量は大きかった。
【0016】即ち、前記した技術では、裸使用、塗装使
用の両方の用途に使用することが考慮されていない。本
発明者等が調査したところ、前記した両方の用途に使用
する場合に要求される耐黒変性とりん酸塩処理液の経時
劣化を防止することによる優れたりん酸塩処理性とを兼
ね備えたものは認められなかった。従って、前記した技
術による場合、裸使用あるいは塗装使用の用途に応じて
予め材料を選択し、その使用形態にあった材料を使用す
る必要がある。
【0017】本発明は、前記した事情を考慮してなされ
たものであり、りん酸塩処理性と耐黒変性とを兼ね備え
ることにより、裸使用、塗装使用の両方の用途に使用で
きる、耐食性に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板
とその製造方法を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、めっき層
のβ相の存在状態がめっき鋼板の品質に大きく影響する
点に着目して、めっき層のβ相の存在状態とめっき品質
との関係について鋭意検討した。その結果、めっき表層
にβ相をリッチ化し、更にめっき層表面にβ相を露出さ
せるとともにその露出率を高めることにより、耐食性、
耐黒変性とりん酸塩処理性とを兼ね備えためっき層を得
ることができることを知見した。
【0019】本発明はこの知見に基づくものであり、そ
の特徴とする構成は以下のとおりである。
【0020】(1)Alを2wt%以上6wt%以下含
む溶融Zn−Al系合金めっき鋼板において、めっき層
の表層が連続したβ相、又はβ相と共晶相、下層が共晶
相からなり、めっき層表面のβ相の露出面積が60%以
上である溶融Zn−Al系合金めっき鋼板。
【0021】(2)めっき浴温度が420〜500℃で
Alを2wt%以上6wt%以下以下含む溶融Zn−A
l系合金めっき浴に、温度が650℃以下の鋼板を浸漬
して溶融Zn−Al系合金めっきを施した後、前記鋼板
を冷却するに際して、鋼板のめっき浴浸漬時間をt秒、
少なくともめっき後の鋼板の430℃からめっき層が凝
固するまでの間の冷却速度をR℃/秒とした時、浸漬時
間tに応じて冷却速度Rが下記の条件を満足するように
冷却して溶融Zn−Al系合金めっき鋼板を製造する。 R≧31.8−36.196logt ( 0≦t<5
の場合) R≧6.81×10-0.004t ( t≧5 の場合)
【0022】先ず、本発明の溶融Zn−Al系合金めっ
き鋼板のめっき層組織および限定理由について説明す
る。
【0023】本発明の鋼板のめっき層の状態を従来技術
によるめっき層の状態と対比して図1および図2により
説明する。
【0024】図1は、600倍の走査型電子顕微鏡によ
るめっき層組織の写真であり、左側の写真はめっき層の
断面組織を示す写真、右側の写真はめっき層の表面組織
を示す写真である。
【0025】また、図2(A)〜(E)は、それぞれ図
1(A)〜(E)に対応するめっき層組織のβ相、共晶
相を模式化して示した図である。
【0026】図1、図2において、1はβ相、2は共晶
相、3は母材の鋼板である。また、図1(A)、(B)
の表面組織は全面共晶相、図1(E)の表面組織は全面
β相であるので、これらについては図2の表面組織の模
式図を示してない。
【0027】図1(A)、図2(A)は、従来一般に見
られるめっき鋼板のめっき層組織であり、めっき層内部
にβ相が存在しており、めっき層の表層部には共晶相の
みが存在し、β層は認められない。
【0028】図1(B)、図2(B)は、先行技術
(1)に記載の方法により製造しためっき鋼板のめっき
層組織であり、めっき層の表層部にβ相が偏析して存在
する。しかし、表面組織によると、めっき層の表面にβ
相が露出していない。これは、表面近傍に薄い共晶相の
皮膜が存在しているためと考えられる。
【0029】図1(C)、図2(C)では、めっき層の
表層部におけるβ相の偏析がより明瞭である。表面組織
によると、めっき層表面にβ相が露出しているがその露
出面積率は低い。
【0030】図1(D)、図2(D)では、めっき層の
表層部におけるβ相の偏析がより明瞭であり、表面組織
によると、めっき層表面の60%以上にβ相の露出が認
められる。
【0031】図1(E)、図2(E)の場合、めっき層
表層部におけるβ相の偏析が顕著であり、めっき層表面
のβ相露出面積率は100%若しくはそれに近い状態に
なっている。
【0032】本発明のめっき鋼板のめっき層組織は、前
記した図1(D)、(E)、図2(D)、(E)に示さ
れるような組織であり、β相が表層部に偏析しているこ
とに加えて、その表面にβ相が面積率で60%以上露出
してしている点に特徴がある。
【0033】めっき層表面のβ相の露出面積率を60%
以上にすることにより、本発明が目的とする優れた耐黒
変性、りん酸塩処理性を得ることができる。めっき層表
面のβ相の露出面積率が高くなり、めっき層表面の性質
が亜鉛めっきに近い性質となったため耐黒変性が優れる
と考えられる。また、表層部のβ相の偏析が大きく、表
層部の亜鉛の割合が増加しアルミニウムの割合が低下し
ているため、りん酸塩処理においてめっき層からりん酸
塩処理液中へのアルミニウムの溶出が低減することによ
り、りん酸塩処理液の劣化が抑制される。β相の露出面
積率が60%を下回ると本発明が目的とする耐黒変性、
りん酸塩処理性を得ることができない。β層の露出面積
率が95%以上の場合、耐黒変性がより優れる。
【0034】また、下層に連続した共晶相が形成されて
いるので、優れた耐食性が得られる。
【0035】めっき層中にAlを2wt%以上6wt%
以下含む必要がある。Alが2wt%未満の場合β相の
体積分率が増加して共晶相が連続化できず、一部β相が
鋼板界面に達するため耐食性が低下する。また、Alが
6wt%を超えるとβ相が消失し、本発明の特徴である
めっき層の表層部においてβ相が偏析しかつ表面にβ相
が露出するめっき層を形成できなくなる。
【0036】なお、めっき層の性状を調整するために、
La、Ce、Ti、Mg、Sn、Zr、Pb等の成分元
素を添加する場合がある。本発明のZn−Al系合金め
っきには、前記目的ための成分元素を1wt%を超えな
い範囲で添加したものを含む。
【0037】次に、本発明のめっき鋼板の製造方法の限
定理由について説明する。めっき浴のAlは2wt%以
上6wt%以下にする必要がある。Alが2wt%未満
の場合、得られためっき層のβ相の体積分率が増加して
共晶相が連続化できず、一部β相が鋼板界面に達するた
め耐食性が劣化する。また、Alが6wt%を超える
と、得られためっき層のβ相が消失し、めっき層の表層
においてβ相が偏析しかつ表面にβ相が露出しためっき
層を形成できなくなる。
【0038】めっき浴温は420℃以上500℃以下に
する必要がある。浴温が420℃未満になると、操業中
にめっき浴の一部が凝固し、安定操業が困難になる。一
方、この温度が500℃を超えると、鋼板界面でのめっ
き浴成分との合金化反応が急激に活発化し、界面合金層
が厚く成長して、加工性が劣化する。
【0039】めっき浴に侵入する鋼板温度は650℃以
下にする必要がある。この温度が650℃を超えると、
鋼板界面でのめっき浴成分との合金化反応が急激に活発
化し、界面合金層が厚く成長して、加工性が劣化するた
めである。
【0040】浸漬時間t秒と少なくともめっき後の鋼板
の430℃からめっき層が凝固するまでの間の冷却速度
R℃/秒は、浸漬時間tが5秒未満の場合、R≧31.
8−36.196logt、浸漬時間tが5秒以上の場
合、R≧6.81×10-0.004t の関係式を満足する必
要がある。この関係式を満足しない場合、めっき層の表
層におけるβ相の偏析とめっき層表面へのβ相の露出面
積率を60%以上にすることができない。
【0041】なお、前記したような限定した条件におい
て、本発明の構成のめっき層が形成される理由について
は必ずしも明確ではないが、めっき浴における浸漬時間
を十分にとったことにより、鋼板界面において極薄い合
金層が形成されて、鋼板界面近傍でのアルミニウムの濃
度低下や前記合金層を通過して鋼板からめっき層中への
鉄の拡散等の結果、溶融状態のめっき層の厚さ方向で、
めっき成分組成の不均一化が起こっており、この状態か
らめっき層が急冷、凝固された際、めっき層表面で初晶
相であるβ相が析出しやすくなったことによるのではな
いかと考えられる。
【0042】
【発明の実施の形態】本発明のZn−Al系合金めっき
のめっき原板となる鋼板に特に制限はなく、常法により
製造した冷延鋼板や酸洗して脱スケールした熱延鋼板を
使用することができる。冷間圧延後に連続焼鈍、調質圧
延を施した鋼板であってもよい。
【0043】本発明の溶融Zn−Al系合金めっき鋼板
は、常用される溶融亜鉛めっき設備を利用して、溶融め
っき浴成分をAlを2wt%以上6wt%以下含む溶融
Zn−Al系合金めっき浴により鋼板に浸漬めっきを施
して製造する。
【0044】なお、必要に応じて、めっき層の性状を調
整するために、La、Ce、Ti、Mg、Sn、Zr、
Pb等の成分元素を1WT%を超えない範囲でめっき浴
に添加してもよい。
【0045】溶融めっきに際して、めっき浴温度を42
0〜500℃、めっき浴侵入鋼板温度を650℃以下と
し、さらに、鋼板のめっき浴浸漬時間をt秒、少なくと
もめっき後の鋼板の430℃からめっき層が凝固するま
での間の冷却速度をR℃/秒とした時、冷却速度Rは、
浸漬時間tが5 秒未満の場合、R≧31.8−36.1
96logt、浸漬時間tが5秒以上の場合、R≧6.
81×10-0.004t の関係式を満足する範囲で冷却する
ことにより製造する。
【0046】めっき浴浸漬時間の調整は、鋼板走行速度
による調整やシンクロールの上下移動によるめっき浴中
での鋼板の通板距離の調整によることができる。めっき
浴浸漬時間の調整は、前記方法に限定されるものではな
く、鋼板のめっき浴浸漬時間を調整する方法であれば他
の方法によってもよい。
【0047】めっき後の冷却速度の調整は、冷却用気体
を用いて、鋼板に吹き付ける冷却用気体の吹き付け量の
調整によることができる。また、冷却を、水ミスト冷却
やりん酸アンモニウム水溶液等の薬液ミスト冷却など、
気体冷却によらない方法により、冷却速度を調整しても
よい。
【0048】また、冷却後、必要に応じて、レベラーや
調質圧延機による形状矯正や表面仕上げ、クロメート処
理、鋼板への塗油を施してもよい。
【0049】
【実施例】以下に実施例を示す。溶融亜鉛めっき設備
で、めっき原板として板厚0.8mmの低炭素鋼板を用
いて、表1、表2に記載の成分組成のAl及び0.01
wt%のミッシュメタルと残部がZn及び不可避不純物
からなるめっき浴( No.1〜No.55 )及びこのめっき浴に
更に微量のMg又はTiを添加しためっき浴(No.56、N
o.57 )で合金めっきを行い、めっき付着量140g/
2 のZn−Al系合金めっき鋼板を製造した。めっき
浴成分組成以外のめっき条件についても表1、表2に記
載する。浸漬時間は鋼板の走行速度、冷却速度はめっき
後の鋼板に吹きつける空気流量を変えることにより調整
した。冷却速度は、430〜350℃迄の温度範囲にお
ける冷却速度である。
【0050】表1、表2において、R0 欄は、めっき浴
浸漬時間tが5秒未満の場合は、R0 =31.8−3
6.196logt、めっき浴浸漬時間tが5秒以上の
場合は、R0 =6.81×10-0.004t により求めた数
値である。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】得られた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板
の任意の位置から試験片を採取し、めっき層構造、めっ
き層表面のβ相の露出面積率、耐食性、りん酸塩処理
性、耐黒変性、加工性について調査した。
【0054】めっき層表面のβ相の露出面積率は、試験
片のめっき層表面を600倍に拡大し、その表面組織を
顕微鏡観察し、画像解析により測定した。
【0055】めっき層構造は、めっき層断面をバフ研磨
して鏡面に仕上げた後、1%ナイタール腐食液によりエ
ッチング処理を施した後β相の偏析状態を顕微鏡観察す
るとともに、めっき層表面へのβ相の露出状態の顕微鏡
観察結果を考慮して、その結果に応じて下記のA〜Eに
より評価した。
【0056】A:図1(A)に見られるように、β相が
めっき層内部に認められ、表層部に偏析が認められない
もの。
【0057】B:図1(B)に見られるように、β相が
めっき層の表層部に偏析しているが、表面に露出してい
ないもの。
【0058】C:図1(C)に見られるように、β相が
めっき層の表層部に偏析し、かつβ相が表面に露出して
いるもので、露出面積率が60%未満のもの。
【0059】D:図1(D)に見られるように、めっき
層の表層部におけるβ相の偏析がより明瞭であり、かつ
β相が表面に露出しているもので、露出面積率が60%
以上95%未満のもの。
【0060】E:図1(E)に見られるように、めっき
層の表層部におけるβ相の偏析が顕著であり、かつめっ
き層表面のβ相の露出面積率が95%以上のもの。
【0061】耐食性は、JIS−Z2371に規定され
る塩水噴霧試験を行い、赤錆が発生するまでの時間によ
り評価した。
【0062】りん酸塩処理性は、試験片を日本パーカラ
イジング社製の、エナレスクリーナー20による脱脂、
PL−Zによる表面調整後、PB−137を用いてりん
酸塩処理を行った際のりん酸塩処理液へのAl溶出量に
より評価した。
【0063】耐黒変性は、めっき後スキンパス処理を施
した試験片を、50℃、90%RHの恒温恒湿槽内に1
0日間保持後、試験前後の白色度を測定し、その変化Δ
Lを、ΔL=試験後の白色度L1 −試験前の白色度L2
から求めて評価した。
【0064】加工性は、試験片を0t密着曲げ加工後、
曲げ部のクラックの発生程度を目視観察し、クラック発
生の認められないものを○、クラック発生の認められた
ものを×とした。
【0065】調査結果を表3、表4に示す。また、表
3、表4の内、めっき浴温度が460℃、侵入鋼板温度
が570℃の場合について、浸漬時間と冷却速度を変え
た場合のめっき層表面のβ相の露出面積率を図3に示
す。図3のハッチング領域は、本発明の鋼板の製造方法
における浸漬時間と冷却速度の適正領域を示す。
【0066】
【表3】
【0067】
【表4】
【0068】本発明例は、いずれもめっき層構造がD、
Eであり、β相がめっき層の表層部に偏析し、下層は連
続した共晶相であり、更に、めっき層表面のβ相の露出
面積率が60%以上である。その結果、耐食性、りん酸
塩処理液へのAl溶出量が少なくりん酸塩処理性、耐黒
変性試験における白色度の変化ΔLが−2以上であり耐
黒変性に優れる。
【0069】β相の露出面積率が95%以上の場合、Δ
Lが−0.2以上であり、耐黒変性がより優れている。
【0070】β相の露出があるものの露出面積率が60
%未満の比較例は、耐食性、りん酸塩処理液へのAl溶
出量が多いためりん酸塩処理性、また、耐黒変性試験に
おける白色度の変化ΔLが−2以下あり、耐黒変性が本
発明例に比べて劣る。
【0071】Al量が本発明範囲を下回る比較例No.48
、No.49 は、めっき層内部のβ相が増加し、下層の共
晶相が不連続になったため、耐食性が劣る。
【0072】Al量が本発明範囲を上回る比較例No.50
、No.51 は、β相が形成されなかったため、りん酸塩
処理液へのAl溶出量が多くりん酸塩処理性、耐黒変性
が劣る。
【0073】めっき浴侵入鋼板温度が本発明の鋼板の製
造方法の範囲を外れる比較例No.52、No.53 、及びめっ
き浴温度が本発明の鋼板の製造方法の範囲を外れる比較
例No.54 、No.55 は、加工性が劣る。
【0074】めっき浴浸漬時間と冷却速度の関係が本発
明の鋼板の製造方法の範囲を外れるNo.1〜8 、No.10 、
No.11 、No.14 、No.20 、No.26 、No.32 、No.34 、N
o.36、No.38 、No.40 、No.42 は、めっき層の表層部に
おけるβ相の偏析が不十分であったり、めっき層表面へ
のβ相の露出面積率を60%未満であったり、めっき層
表面にβ相が露出しないため、りん酸塩処理液へのAl
溶出量が多くりん酸塩処理性、耐黒変性が劣る。
【0075】なお、No.1〜8 のめっき層構造は従来技術
に認められるめっき層組織に相当する。
【0076】
【発明の効果】本発明のめっき鋼板は、耐食性、りん酸
塩処理性、耐黒変性を兼ね備えたZn−Al系合金めっ
き鋼板であるので、裸使用される用途、りん酸塩処理を
施した後塗装を施す用途の何れの用途にも使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】めっき層の断面組織、表面組織を示す図面代用
の顕微鏡写真。
【図2】図1 に示した顕微鏡写真のめっき層の組織を説
明するための模式図。
【図3】めっき浴温が460℃、侵入鋼板温度が570
℃の場合について、浸漬時間と冷却速度とめっき層表面
のβ相の露出率との関係を示す図。
【符号の説明】
1 β相 2 共晶相 3 鋼板

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Alを2wt%以上6wt%以下含む溶
    融Zn−Al系合金めっき鋼板において、めっき層の表
    層が連続したβ相、又はβ相と共晶相、下層が共晶相か
    らなり、めっき層表面のβ相の露出面積率が60%以上
    であることを特徴とする耐食性、りん酸塩処理性および
    耐黒変性に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板。
  2. 【請求項2】 めっき浴温度が420〜500℃でAl
    を2wt%以上6wt%以下以下含む溶融Zn−Al系
    合金めっき浴に、温度が650℃以下の鋼板を浸漬して
    溶融Zn−Al系合金めっきを施した後、前記鋼板を冷
    却するに際して、鋼板のめっき浴浸漬時間をt秒、少な
    くともめっき後の鋼板の430℃からめっき層が凝固す
    るまでの間の冷却速度をR℃/秒とした時、浸漬時間t
    に応じて冷却速度Rが下記の条件を満足するように冷却
    することを特徴とする耐食性、りん酸塩処理性および耐
    黒変性に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板の製造
    方法。 R≧31.8−36.196logt (0≦t<5
    の場合) R≧6.81×10-0.004t ( t≧5 の場合)
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001329354A (ja) * 2000-03-16 2001-11-27 Nippon Steel Corp 化成処理性に優れた溶融亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼板とその製造方法
JP2002285311A (ja) * 2001-03-23 2002-10-03 Sumitomo Metal Ind Ltd 溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板およびその製造方法
JP2012082471A (ja) * 2010-10-12 2012-04-26 Jfe Steel Corp 溶融Zn−Al系合金めっき鋼板

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