JPH09227890A - 粒状化油脂およびその製造方法 - Google Patents

粒状化油脂およびその製造方法

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JPH09227890A
JPH09227890A JP8055334A JP5533496A JPH09227890A JP H09227890 A JPH09227890 A JP H09227890A JP 8055334 A JP8055334 A JP 8055334A JP 5533496 A JP5533496 A JP 5533496A JP H09227890 A JPH09227890 A JP H09227890A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷蔵温度(5 ℃程度)で長期間保管しても凝
集せず、また常温下(25℃程度)で使用あるいは放置し
ても凝集することなくサラサラした流動性を有し、使用
時に分割や切断等の必要のない風味良好な粒状化油脂の
提供。 【解決手段】 5 ℃の固体脂指数が40以上で、かつ25℃
の固体脂指数が26以上である粒状化油脂。バターを融解
して徐冷し、28℃以上の温度における高融点画分と、
この融点以下の温度における低融点画分とに分別し、得
られた高融点画分を粒状化することよりなる前記粒状化
油脂の製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の固体脂指数
(以下SFIという)を有する粒状化バター脂およびそ
の製造方法に関する。本発明の粒状化バター脂は、常温
下において用いても凝集することなく粒状を維持して流
体と同様な挙動を示し、サラサラした流動性を有してお
り、従来のバター等にくらべて作業性や生産性の向上を
はかることができる。
【0002】
【従来の技術】バターは、他の食用油脂にはない風味を
有しているために、家庭では食卓用油脂としてパン等に
塗布したり、調理用油脂として料理の材料に用いたりし
ている。また、業務用の原料油脂として製菓・製パン等
にも広く利用されている。家庭で食卓用油脂や調理用油
脂として用いられるバターは、例えば200 〜500g程度の
重量に包装され、保存中あるいは流通過程で、冷蔵温度
(5 ℃前後)に冷却されるのが一般的である。製造直後
のバターは、柔らかく流動状を呈しているが、一旦冷却
されると、バターのグリセリドが固化して、その硬度は
飛躍的に高くなる。このため冷蔵庫から取り出した直後
は、ブロック状を呈し、これを分割したり、一部を切断
して使用することは困難を伴うものである。このためバ
ターを使用するにあたって、あらかじめ常温下に放置
し、柔らかくしてから分割使用することが行われてい
る。
【0003】しかし、このような使用にあたってあらか
じめ常温下に放置すると、未使用の部分を再度冷蔵庫に
入れて保存しても、表面が溶融しているために品質や風
味の劣化が避けられないといった問題がある。一方、業
務用油脂として用いられているバターは、製菓・製パン
時のドウの練り込み用油脂として、あるいは各種加工食
品と混合される原料油脂等として用いられている。これ
らのバターは、10〜30kg程度のブロック状で、これを冷
蔵したりあるいは凍結して保存し、使用時に昇温や解凍
処理してから切断する方法が採用されている。しかし、
昇温や解凍処理に際し、高温下に放置して急激な温度変
化を与えると表面の溶融といった問題ばかりでなく、品
質や風味の低下が避けられない。このため、ブロック状
バターを、長時間かけて徐々に昇温や解凍処理しなけれ
ばならず、生産効率の低下やエネルギーコストの上昇と
いった問題がある。
【0004】このようなことから、使用時の昇温や解凍
処理を容易にするだけでなく、使用方法の簡便化を図る
ためにバターを粉末化することがいろいろ試みられ提案
されている。例えば、特開昭56-48850号公報には、バタ
ー又はバターと他の油脂を混合した脂肪に対し、HLB
値が7.0 以下の乳化剤を10重量%以下、乳化促進剤とし
てのアルカリ塩類を5 重量%以下、および水溶性蛋白質
を25重量%以下それぞれ添加して乳化し、この乳化混合
物を乾燥粉末化してなる粉末バターが開示されている。
また上記の公開公報は、この粉末バターを製造するに
あたり、加熱溶融したバターまたはバターと他の油脂の
混合物からなる脂肪に親油性乳化剤を加えたものと、親
水性乳化剤、アルカリ塩類および水溶性蛋白質を溶解し
たものとを混合して乳化し、この乳化混合物を乾燥する
方法も開示している。また、Dairy Science Abstracts
( Vol.35,No.11,1973,P448〜449 ) には、加熱溶融した
バターに脱脂乳のような水溶性蛋白質を含む溶液、クエ
ン酸ナトリウム等の塩類を加えたものを、蒸留モノグリ
セライドやグリセロールモノステアレートのような乳化
剤の存在下で混合乳化し、この乳化物を噴霧乾燥する粉
末バターの製造方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の特開昭56-48850
号公報が開示する粉末バターや、Dairy Science Abstra
cts が開示する方法によって得られた粉末バターは、個
々のバター粒子が蛋白質で被覆されているので、常温下
であっても流動性を有している。しかし、一方、被覆剤
としての蛋白質がバター本来の機能を低下させていると
いう問題がある。すなわち、このように蛋白質で被覆さ
れた粉末バターを食卓用油脂や調理用油脂、あるいは加
工食品の原料油脂として用いた場合、蛋白質によって被
覆された状態でバターが封鎖されているために、摂取し
たとき風味の発現が遅延するといった問題や、バターの
風味が弱く、本来の風味とかけ離れたものとなるといっ
た問題が生ずる。
【0006】またこのような粉末バターは、これを、ス
ープ等の水性媒体に分散させても、容易に蛋白質が溶解
せず、例え溶解したとしても白濁してバター特有の色彩
が失われるといった問題も生ずる。さらには、グラタン
やピザ等のトッピング材として用いてオーブン等で焼成
すると、バターを被覆している蛋白質が、グラタンやピ
ザの加熱焼成中に焦げ、風味や色調が全く異なったもの
となって製品価値を低下させるといった問題も生ずる。
本発明者らは、上記の問題点に鑑み、バター本来の風味
や機能を失わず、かつ常温下で従来の粉末バターと同様
に使用できる粒状化バターについて検討した。その結
果、特定のSFIを有するバター脂を粒状化することに
より、常温下で使用しても流動性を有する粒状化バター
を得ることができるとの知見に基づき本発明を完成させ
た。すなわち、本発明は、バター本来の機能と風味を有
し、常温下で使用しても凝集することなく粒状を維持し
て流体と同様な挙動を示し、サラサラした流動性のある
粒状化バター脂及びその製造方法を提供することを目的
とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達
成するために次のような粒状化バター脂を提供するもの
である。すなわち、本発明は、5 ℃の固体脂指数が40以
上で、かつ25℃の固体脂指数が26以上である粒状化バタ
ー脂である。そして、この粒状化バター脂の粒度が、1.
68mm以上であるものが望ましい。また、バター脂として
バターオイル、もしくは再構成されたバターであること
が望ましい。また、本発明は、5℃の固体脂指数が40以
上で、かつ25℃の固体脂指数が26以上であるバター脂
に、同程度の固体脂指数の食用油脂が混合され、粒状化
されている粒状化油脂である。本発明における同程度の
固体脂指数とは、前記バター脂と同程度、すなわち5℃
で40以上で、かつ25℃で26以上の固体脂指数を指すが、
厳密にこれと同程度である場合ばかりではなく、ほぼこ
れらと同程度であってバター脂と混合することができ、
粒状化しても流動性等がバター脂単独の場合とほぼ同じ
範囲である場合も含むものである。さらに本発明は、上
記の粒状化バター脂を得るために次のような製造方法を
採用するものである。すなわち、バターを融解して徐冷
し、28℃以上の温度において高融点画分と低融点画分に
分別し、この高融点画分を粒状化することからなる粒状
化バター脂の製造方法である。さらに得られた粒状化バ
ター脂を、目開きが1.68mmのふるいでふるい分けし、ふ
るい上の粒状化バター脂を採取することが望ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明で用いられるバター脂は、
常法に従って製造されたバターを60℃以上の温度に加温
して溶解し、必要によりこの溶解したバターから遠心分
離等の手段によって水相(ゼラム)を分離した後、例え
ば12時間程度かけて徐々に冷却し、28℃以上で35℃以下
の温度範囲で高融点画分を結晶化させ、結晶化した高融
点画分をろ過布によるろ過法や圧搾ろ過等の手段によっ
て液状の低融点画分と分別する。このようにして分別し
た高融点画分は、脂肪分率が99%以上からなるバターオ
イルとして得られ、5 ℃のSFIが40以上で、かつ25℃
のSFIが26以上のものである。本発明では、この分別
した高融点画分のバターオイルをそのままバター脂とし
用いることが風味や生産効率、あるいはコスト等の点に
おいて最も好ましい。しかし、高融点画分を分別する際
に生成する水相(ゼラム)と混合乳化して再構成したバ
ターであっても、この再構成バターは上記のバターオイ
ルと同等のSFIを有しているのでバター脂として用い
ることができる。さらに、バター脂と同等のSFIを有
していればバター脂以外の動植物油脂からなる食用油脂
を上記のバター脂と混合して用いることも可能である。
動植物油脂は、水素添加、分別、エステル交換などの改
質によって上述のバター脂と同等のSFIに調整した後
にバター脂と混合し使用する。しかし、動植物油脂の混
合割合をあまり多くすると風味が低下するので50%を越
えない範囲で使用するのが好ましい。
【0009】本発明では、上記のように分別した高融点
画分のバター脂を粒状化する。粒状化方法としては、粉
砕成形方法、押し出し成形方法、あるいは冷却成形方法
等が採用できる。粉砕成形方法は、例えば、バター脂に
液体窒素を直接吹きかけて凍結処理するか、または-18
℃以下の雰囲気下に放置して凍結処理し、この凍結処理
したバター脂を粉砕機、例えばコミットロール(URSCHEL
LABORATRIES社製) やフレークマシン等で粉砕して粒状
化するものである。また、押し出し成形方法は、バター
脂を5 ℃程度に冷却してエクストルーダー等の押し出し
機で適当な孔を有するパンチングメタルから押し出しな
がら切断する方法である。さらに冷却成形方法は、例え
ば5 ℃程度に冷却できる回転ドラム上や冷却水中に、融
解したバター脂をノズルを介して滴下し成形する方法で
ある。
【0010】上記のように粒状化したバター脂を、必要
に応じてJIS 標準ふるいの呼び寸法1,680 μm で目開き
が1.68mmのふるいでふるい分け、ふるい上に残ったもの
を粒状化バター脂とする。このようして得られた粒状化
バター脂は、凍結処理をして保存してもよいが、5 ℃程
度の冷蔵温度で保存しても保存中に凝集せずに粒状を維
持し、さらに常温下で使用しても長時間にわたり凝集せ
ずに、流体としての挙動を示しサラサラした流動状を呈
しているために、粉体と同様な取扱ができるものであ
る。従って、従来の粉末バターは、上記したように風味
や機能の点において欠点を有していたため使用態様に制
限があったが、本発明で得られる粒状化バター脂は、バ
ターと同様の風味と機能を有しているので、全く制限さ
れることなく固体状バターの代替として用いることがで
きる。しかも粒状化されている上に流動性を有している
ため、業務用油脂として用いた場合には、作業性や生産
性の向上が図れるものである。
【0011】本発明の粒状化バター脂において、SFI
を5 ℃で40以上に特定した技術的根拠は、なるべく液状
脂肪を少なくすることによって、粒状化バター脂の冷蔵
温度(5 ℃)における凝集によるブロッキングを防止す
ることを目的としたことによるものである。一方、25℃
で26以上にしたのは、冷蔵温度(5 ℃)で保存後に、常
温下に放置、あるいは常温下で使用しても表面溶融によ
って起こる凝集を減少させて流動性を維持させ、流体と
して取り扱うことができるように特定したものである。
尚、粒状化バター脂のそれぞれの温度におけるSFIの
上限は、特に限定されるものではなく、分別可能な範囲
内であれば高い方が好ましい。
【0012】また、粒状化バター脂の粒度を1.68mm以上
に特定したのは、1.68mm未満の粒度のバター脂が存在す
ると、冷蔵庫から取り出して常温下に放置したり、常温
下で使用した場合、小さい粒子が融解して短時間に流動
性を失い、粒子同士が凝集するためである。しかし、粒
状化バター脂の粒度は、全て1.68mm以上の大きさを有し
ていなくても常温下で短時間に使いきったり、また短時
間の放置の場合は、1.68mm未満の粒状化バター脂が10%
程度まで混在していても支障はない。尚、粒度があまり
大きい場合には、粉体と同様な取扱ができず、生産性や
作業効率に影響を与えることがあるので、粒度の上限
は、11.1mm以下(JIS標準ふるいの呼び寸法11.1mmでふる
い分けした場合、通過したもの)にすることが好まし
い。
【0013】また、本発明の粒状化バター脂の製造方法
において、バターを溶融し、高融点画分と低融点画分と
に28℃以上で分別した技術的理由は、常温下において凝
集せずに、しかも流動性を有する安定な粒状化バター脂
を得るために、常温より若干高い分別温度で分別して、
25℃におけるSFIを確保することによるものである。
一方、分別温度をあまり高くすると得られる高融点画分
の量が減少して歩留りが低下するので高くても35℃以下
で分別するのが好ましい。また、この分別に際し、溶融
したバターを急冷すると、過冷却が起こって高融点画分
の結晶化が不規則になるので、徐冷することが好まし
い。この徐冷により、高融点画分の結晶化が規則的に進
み、効率よく分別することができる。
【0014】次に本発明の実施例を示して具体的に説明
すると共に、比較例および試験例を示して本発明の効果
をより明確にする。
【実施例1】バター100 kgを80℃で融解した後12時間か
けて徐冷し、28℃に達した時点で結晶化させ、ろ布によ
り分別して高融点画分のバター脂45kgを得た。この高融
点画分のバター脂のSFIは、5 ℃で40、25℃で26であ
った。このバター脂を-18 ℃の冷凍庫に48時間保存し、
凍結処理をした。完全に凍結したバター脂を粉砕機(コ
ミットロール)で粉砕した後、JIS 標準ふるいの呼び寸
法 1,680μm で目開きが1.68mmのふるいによりふるい分
けして、粒度1.68mm以上の割合が90%以上の粒状化バタ
ー脂40kgを得た。
【0015】
【実施例2】バター100 kgを80℃で融解した後12時間か
けて徐冷し、30℃に達した時点で結晶化させ、ろ布によ
り分別して高融点画分のバター脂43kgを得た。この高融
点画分のバター脂のSFIは、5 ℃で41、25℃で29であ
った。このバター脂を-18 ℃の冷凍庫に48時間保存し、
凍結処理をした。完全に凍結したバター脂を粉砕機(コ
ミットロール)で粉砕した後、JIS 標準ふるいの呼び寸
法 1,680μm で目開きが1.68mmのふるいによりふるい分
けして、粒度1.68mm以上の割合が90%以上の粒状化バタ
ー脂38kgを得た。
【0016】
【実施例3】バター100kg を80℃で融解した後12時間か
けて徐冷し、28℃に達した時点で結晶化させ、ろ布によ
り分別して高融点画分のバター脂45kgを得た。この高融
点画分のバター脂のSFIは、5℃で40、25℃で26であ
った。このバター油22.5kgに、なたね油とパーム油の混
合油脂で硬化、分別して5℃で40、25℃で26のSFIを
有する調製油脂22.5kgを混合して混合油脂45kgを調製し
た。この油脂を-18 ℃の冷凍庫に48時間保存し、凍結処
理をした。完全に凍結した油脂を粉砕機で粉砕した後、
JIS 標準ふるいの呼び寸法1680μm で目開きが1.68mmの
ふるいによりふるい分けして、粒度1.68mm以上の割合が
90%以上の粒状化油脂40kgを得た。
【0017】
【比較例1】市販バター10 kg を-18 ℃の冷凍庫に48時
間保存し、凍結処理をした。完全に凍結したバターを粉
砕機で粉砕した後、JIS 標準ふるいの呼び寸法1,680 μ
m で目開きが1.68mmのふるいによりふるい分けして、粒
度1.68mm以上の割合が90%以上の粒状化バター6.8kg を
得た。
【0018】実施例1、実施例2及び実施例3で得た粒
状化バター脂、および比較例1で得た粒状化バター、比
較例2として市販の粉末バター(メルコ社製)を用いて
製パン適性、トッピング材としての適性、および冷蔵温
度(5 ℃)、および常温(25℃)における凝集安定性を
調べた。
【0019】
【試験例1】 (製パン適性の試験)実施例1で得た粒状化バター脂11
g 、強力粉280g、砂糖16g 、脱脂粉乳8 g 、食塩6 g お
よび水210ml を家庭用製パン機に入れて混練しドウを調
製した。ドウにはバター脂が均一に分散しており、また
使い勝手も良好なものであった。この混練したドウにイ
ースト菌4 g を添加して練り込み、1 時間発酵させ、製
パン機で焼成した。このパンは、良好なバター風味を有
していた。一方、比較例1で得られた粒状化バターと比
較例2として市販の粉末バターをそれぞれ用いて上記の
実施例1で得られた粒状化バター脂と同様にドウに練り
込み製パン適性試験を行った。その結果を表1に示す。
【0020】
【試験例2】 (トッピング材としての適性試験)市販されている冷凍
食品のえびグラタン(220g 入り) を、家庭用オーブン(9
00W)に入れて5 分間予熱した後、実施例2および実施例
3で得た粒状化バター脂5g をトッピングし、さらに5
分間加熱して評価した。このえびグラタンにトッピング
した粒状化バター脂は全て溶融して流動化し、バター風
味の豊かなえびグラタンであった。一方、比較例1で得
られた粒状化バターと比較例2として市販の粉末バター
をを用いて上記の実施例2および実施例3で得られた粒
状化バター脂と同様に冷凍食品のえびグラタンにトッピ
ングし、トッピング材としての適性試験を行った。その
結果を表1に示す。
【0021】
【試験例3】 (凝集安定性試験) (1) 冷蔵温度の凝集安定性 各試料をあらかじめ冷蔵庫(5℃) で1 週間保存した。そ
の後、各試料50g を円筒形の100ml チューブに入れてネ
ジ蓋をし、5 ℃の冷蔵庫の中で毎時10000 回の振動数で
振盪し、粒子の集合凝集状態を30分後、1 時間後、およ
び3 時間後に目視により観察し、評価した。 (2) 常温の凝集安定性 各試料をあらかじめ冷蔵庫(5℃) で1 週間保存した。そ
の後、各試料50g を円筒形の100ml チューブに入れてネ
ジ蓋をし、25℃の恒温室の中で毎時10000 回の振動数で
振盪し、粒子の集合凝集状態を30分後、1 時間後、およ
び3 時間後に目視により観察し、評価した。
【0022】上記の(1) 冷蔵温度の凝集安定性、および
(2) 常温の凝集安定性の評価結果を表1に示す。尚、表
中の評価記号において、製パン適性およびドッピング材
としての適性では、◎:良好、○:やや良好、△:普
通、×:不良、を表す。また、凝集安定性では、◎:全
く凝集なし、○:やや凝集あり、△:凝集あり、×:凝
集多い、を表す。
【0023】
【表1】
【0024】表1から明らかなように、実施例1、2お
よび3によって得られた粒状化バター脂は、製パン適性
とドッピング材としての適性に優れているだけでなく、
冷蔵温度、常温の条件下であっても凝集することなく安
定であった。これに対し、比較例1で得られた粒状化バ
ターは、製パン適性とドッピング材としての適性は優れ
ているが、冷蔵温度の条件下で若干の安定性を示すもの
のすぐ凝集した。また、常温の条件下では振盪開始直後
に凝集し、全く安定性に欠けるものであった。比較例2
の市販の粉末バターの凝集性は、冷蔵温度の条件下では
実施例1、2および3で得られた粒状化バター脂にほと
んど遜色がなく、常温下で若干劣る程度であった。しか
し、機能性の点では、乳蛋白質で被覆されているために
風味や製パン適性あるいはトッピング材として用いた場
合の加熱溶融性が本発明の粒状化バター脂と比較になら
ない程劣るものであった。
【0025】
【発明の効果】本発明の粒状化バター脂は、バターを溶
融して特定温度以上で低融点画分と高融点画分とに分別
し、この高融点画分を粒状化した後、更にふるいにより
特定以上の大きさにふるい分けして得られたものであ
る。このため5 ℃および25℃におけるSFIが特定さ
れ、しかも粒度も一定以上のものが大半を占めるもので
ある。この粒状化バター脂は、長期間冷蔵庫で保存して
も凝集せず、また常温下で使用あるいは放置されても表
面が融解して凝集することなく、サラサラした流動性を
長時間維持しているものである。従って、業務用バター
として製菓・製パンの際のドウへの練り込みや加工食品
のトッピング材等として常温下で用いても機械適性に優
れ、粉体と同様な取扱ができるので作業性や生産性の向
上が図れるものある。また、家庭用食卓油脂や調理油脂
として使用する場合には、切断や分割等が全く必要な
く、従来のバターとは異なった使用方法、例えば、まぶ
したり、分散したり、あるいは振りかけたりすることが
できる。しかも、蛋白質等によって被覆されていたり、
あるいは混合されていないので、バターとしての機能や
風味は、全く失われることがない。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 5℃の固体脂指数が40以上で、かつ2
    5℃の固体脂指数が26以上である粒状化バター脂。
  2. 【請求項2】 粒度が、1.68mm以上である請求項1記載
    の粒状化バター脂。
  3. 【請求項3】 バター脂が、バターオイルまたは再構成
    バターである請求項1または2記載の粒状化バター脂。
  4. 【請求項4】 5℃の固体脂指数が40以上で、かつ2
    5℃の固体脂指数が26以上であるバター脂に、同程度
    の固体脂指数の食用油脂が混合され、粒状化されている
    粒状化油脂。
  5. 【請求項5】 バターを融解して28℃以上の温度にお
    いて高融点画分と低融点画分に分別し、得られた高融点
    画分を粒状化することを特徴とする固体脂指数が5℃で
    40以上で、25℃で26以上である粒状化バター脂の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 バターを融解して28℃以上の温度にお
    いて高融点画分と低融点画分とに分別し、得られた高融
    点画分を粒状化し、得られた粒状化バター脂を、目開き
    が1.68mmのふるいでふるい分けし、ふるい上の粒度1.68
    mm以上の粒状化バター脂を採取することを特徴とする固
    体脂指数が5℃で40以上で、25℃で26以上である
    粒状化バター脂の製造方法。
  7. 【請求項7】 バターの融解及び分別を、バターを融解
    し、徐冷して28℃以上の温度で高融点画分と低融点画
    分とに分別して行う請求項5または6記載の粒状化バタ
    ー脂の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019187383A (ja) * 2018-04-27 2019-10-31 日清オイリオグループ株式会社 トッピング用粉末油脂組成物

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