JP3411503B2 - シェイク用冷菓及びその製法 - Google Patents

シェイク用冷菓及びその製法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、常温もしくは冷
却された水、牛乳等を添加、混合するだけの簡単な操作
によって、また、ごく短時間でシェイク状物となるシェ
イク用冷菓及びその製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、ファーストフード店等では、ハン
バーガー等と共にシェイク状ドリンク(アイスクリーム
等の半解凍物)が供され、多くの利用客がこのシェイク
状ドリンクを購入している。しかしながら、このような
シェイク状ドリンクは、多くの需要が期待できるもの
の、シェイク供給機はその設備が大掛かりであることか
ら、一般家庭に設置することは不可能である。従って、
アイスクリーム等が半解凍の状態になったシェイク状ド
リンクは、ファーストフード店等以外では入手が困難で
あり、家庭で手軽にシェイク状ドリンクを楽しむことは
できない。
【0003】そこで、上記の問題を解決する方法とし
て、容器内にアイスクリームを麺線状、フレーク状、球
状等の形状で適当な空間率を保って充填したものを、電
子レンジ内においてマイクロ波照射することによって半
解凍状態にし、シェイク状ドリンクとする冷菓が提案さ
れている(実開平3−114982号公報)。
【0004】しかしながら、このような冷菓をマイクロ
波照射によって半解凍する場合、目的とする均一なシェ
イク状ドリンクを得る照射時間の制御が困難で、部分的
に固まっていたり、溶けすぎてしまい、食感が不均一に
なってしまうことが多い。また、加熱工程を経るため、
加熱による色調や風味の変化が起こるような原料を充分
量配合し難いという問題もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情に鑑みなされたものであって、その目的とするとこ
ろは、一般家庭において、手軽に、短時間で、かつ、均
一に半解凍状態のシェイク状物となるシェイク用冷菓及
びその製法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、水性媒体
と会って、シェイク状となるシェイク用冷菓であって、
フリージング冷菓ミックスと不溶性固体原料とからな
り、前記不溶性固体原料が前記冷菓ミックスに対して3
0重量%以上含有されてなることを特徴とするシェイク
冷菓、及び下記工程を備えてなるシェイク用冷菓の製
法によって達成される。 (1)冷菓ミックスをフリージングする工程。 (2)上記フリージングした冷菓ミックスと、この冷菓
ミックスに対して30重量%以上の不溶性固体原料とを
混合する工程。 (3)上記混合物を成形及び冷却する工程。
【0007】
【発明の実施の形態】すなわち、本発明者は、冷菓ミッ
クスをフリージングした後、上記冷菓ミックスに対して
30重量%以上の不溶性固体原料を添加、混合し、この
混合物を成形、冷却することによって得られる冷菓に、
常温もしくは冷却された水や牛乳等の水性媒体を添加
し、混合すると、短時間で、均一に半解凍状態のシェイ
ク状物となることを見出し、本発明を完成したものであ
る。
【0008】以下、本発明を詳しく説明する。本発明の
冷菓は、フリージング冷菓ミックスと不溶性固体原料と
からなる。まず、本発明に用いる冷菓ミックスは、通
常、アイスクリーム(ここでいうアイスクリームとは、
アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、シャー
ベットを示す。)を製造する際に使用されるもので、牛
乳、脱脂粉乳、生クリーム、バター等の乳製品、砂糖、
水あめ、ぶどう糖等の糖類、あるいは植物性脂肪、安定
剤、乳化剤等が混合されてなる。
【0009】この冷菓ミックス中の固形分は、これより
得られる冷菓を、粒状等に成形した際の保形性、また、
水性媒体と混合した際の速やかな半解凍性の面から、3
0〜40重量%が望ましい。すなわち、冷菓ミックスの
固形分が30重量%未満であると、得られる冷菓が固く
なり、水性媒体と混合する際に、速やかに分散して半解
凍状態とならなくなる傾向がある。逆に、40重量%を
超えると、冷菓の保形性が悪くなり、粒状等に成形して
もわずかな温度変化で粒同士が結着してしまう傾向にあ
る。
【0010】また、冷菓ミックスには、風味を付与する
ための果汁、各種エキス、クエン酸等の酸味量、色素、
香料等を必要に応じて適宜配合してもよい。
【0011】次に、本発明に使用される不溶性固体原料
は、粒状等であって、フリージングした冷菓ミックスと
混合した後も、また、半解凍状態にした場合も、その形
状がある程度保たれているようなものである。具体的に
は、果物の果肉、ナッツ等の種実、ゼリー、クッキー,
飴,ガム等の菓子類、小豆粒あん等のあん類等が挙げら
れる。また、その大きさは、一辺(もしくは直径)を5
mm前後にすることが好適である。
【0012】本発明の冷菓は、冷菓ミックスに対し30
重量%以上の不溶性固体原料を含有していることが必要
である。このようにすることで、得られる冷菓を水性媒
体と混合した際に、冷菓が速やかに、かつ、均一に半解
凍し、短時間でシェイク状物が得られる。すなわち、不
溶性固体原料が30重量%に満たない混合率であると、
水性媒体に混合したとき、速やかに、また、均一に氷結
晶が分散せず、所々に冷菓の小塊が残ったり、また、冷
菓が半解凍状態になるためにかなりの時間がかかったり
してしまう。また、不溶性固体原料を多く含有している
ので、これらの不溶性固体原料の風味が充分に生かされ
たシェイク状物が得られる。
【0013】次に、本発明の製法は、例えば、次のよう
にして行う。すなわち、まず、冷菓ミックス用の原料を
混合し、均質化、殺菌、冷却の後、エージングして冷菓
ミックスを得る。次いで、得られた冷菓ミックスをフリ
ージングする。この際、吐出品温は−3.0〜−4.0
℃、空気含有率(オーバーラン)は20〜70%である
ことが、混合適性、シェイク状物としたときの適度な半
解凍性を得る点で望ましい。
【0014】次に、上記フリージングした冷菓ミックス
に、不溶性固体原料を添加、混合した後、好ましくは−
15℃以下にて成形及び冷却する。−15℃を上回る温
度下では、成形中、混合物が品温上昇で柔らかくなって
しまい、成形することが困難となる傾向にある。このよ
うに、冷菓ミックスをフリージングした後、不溶性固体
原料を混合し、その混合物を形成、冷却する工程を経る
ことにより、得られる冷菓中では冷菓ミックスが不溶性
固体原料に分断されている状態で存在し、水性媒体に混
合する際、冷菓が小塊に砕け易くなる。
【0015】成形及び冷却については、例えば、粒状に
する場合、上記混合物を適当な径のノズルより絞り出
し、絞り出された混合物を適当な長さでカットする方法
がある。その他、キューブ状、フレーク状、棒状、筒
状、円盤状、麺線状等任意の形状に成形すればよい。あ
るいは、モールドを用いて成型し、木製スティック等を
さして、アイスバー状にしてもよい。
【0016】特に、粒状に成形すると、水性媒体と混合
する際、冷菓が速やかに半解凍状態となる点で好適であ
り、その大きさによって、混合し始めてから半解凍状態
となるのに要する時間が変わる。例えば、半径0.6c
mであれば、冷菓15gに対し10ccの水で15秒程
度の所要時間である。粒状冷菓が半径0.6cmを下回
る大きさになるにつれて接触面積が増加するため、隣接
する粒同志が結着し易くなる。一方、粒が大きくなって
いくほど、粒状の冷菓が混合過程において細分化される
段階が長くなるため、水性媒体と上記冷菓とを混合し、
均一な半解凍状態となる時間が長くなってしまう。
【0017】このようにして得られた冷菓は、通常、
紙、プラスチック製のカップの他、筒状、箱形容器等掻
き混ぜに適した容器に充填され、商品化される。あるい
は、アイスバー状で商品化し、消費者が任意のコップ等
でシェイク状にするようにしてもよい。
【0018】上記のようにして得られた冷菓は、常温も
しくは冷却された水性媒体を添加して混合することによ
りシェイク状物となる。冷菓と混合する水性媒体は、例
えば、水、牛乳、果汁、水溶性エキス等が挙げられる。
また、その温度は5〜15℃が好ましい。5℃より低い
温度になるにつれて、冷菓が水性媒体に溶解する時間が
長くなってしまう。また、15℃より高い温度になるに
つれて、多くの冷菓中の水分が半解凍状態を超えて完全
な解凍状態となってしまい易くなる。
【0019】上記冷菓と水性媒体との混合割合について
は、好ましくは重量比3:2程度である。水性媒体の割
合が小さくなるに従い、半解凍状態を得るための所要時
間が長くなる。また、水性媒体の割合が大きくなるに従
い、半解凍状態となる水分が多くなるため好ましいシェ
イク状物が得られない傾向にある。
【0020】シェイク状物の作り方は、まず、冷菓の入
った容器中に、適量の水性媒体を加える。次に、かき混
ぜ用治具等にて冷菓を水性媒体中に潰し入れた後混合す
る。このように、本発明の冷菓は、水性媒体と混合され
ることによって、簡単に、短時間で、かつ、均一なシェ
イク状物となる。また、常温又は冷却された水性媒体を
使った解凍方法を用いることにより、加熱による不溶性
固体原料の色調や風味の変化が起こることもない。
【0021】また、本発明の冷菓を商品化するに当たっ
ては、冷菓を袋等に収納して製品とし、消費者が喫食
時、冷菓を容器に充填するようにしてもよい。また、か
き混ぜ治具等を添付するようにしてもよい。冷菓をアイ
スバー状にした場合には、バーの部分がかき混ぜ治具に
なるのでより簡便である。
【0022】
【発明の効果】以上のように、本発明の冷菓によれば、
冷菓ミックスをフリージングした後、不溶性固体原料を
混合し、その混合物を形成、冷却する工程を経ているの
で、得られる冷菓中、冷菓ミックスが不溶性固体原料に
分断されている状態で存在し、水性媒体に混合する際、
冷菓が小塊に砕け易くなる。このため、常温もしくは冷
却された水性媒体を混合したとき、短時間、かつ、均一
に不溶性固体原料が分散された半解凍状態のシェイク状
物が得られる。よって、一般家庭で手軽にシェイク状物
を楽しむことが可能となる。
【0023】また、本発明によって得られる冷菓と水性
媒体とを混合するという簡単な操作によって、短時間で
それらがシェイク状物に変化する過程が見られるという
視覚的面白さや手作りの楽しさを同時に楽しむことがで
きる。また、シェイク状物となる過程で冷菓自体の加熱
を行わないため熱に弱い素材を使うこともでき、更に、
冷菓材に混合する不溶性固体原料の種類や混合割合を変
えることにより、様々な風味、食感を得ることができ
る。
【0024】以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説
明する。 〔実施例1〜2、比較例1〕
【0025】(冷菓ミックスの調製)表1に示す組成
で、まず、脱脂粉乳、バター、砂糖、水あめ、植物性脂
肪、安定剤、乳化剤を加熱溶解した。次に、70kg/
cm2で均質化、90℃で殺菌、冷却後、いちごピュー
レ、香料を加え、所定量まで加水して、5℃でエージン
グした。
【0026】(フリージング)上記冷菓ミックス1.1
kg(1L)を、バッチ式フリーザーにてフリージング
し、−3〜4℃で吐出させた。このときのオーバーラン
は50%であった。
【0027】(不溶性固体原料の混合)次に、上記フリ
ージングした冷菓ミックスに、不溶性固体原料として、
表1に示した各量の粒状いちご果肉を添加し、攪拌混合し
た。
【0028】(粒状冷菓の成形)上記混合物を、−15
℃以下のストッカー内で冷却し、保形性をもたせたもの
を、しぼり袋より押し出しながら約0.6cm径の大き
さになるようにカットした。この様に成形した粒状冷菓
を−25℃以下で、0.5時間以上冷却硬化させた後、
プラスチック製カップ(60cc)に15g(約20
粒)充填した。
【0029】〔比較例2〕実施例2と同様にして調製し
た冷菓ミックスに、表1に示す量の粒状いちご果肉を添
加、混合した後、フリージングを行った。以下、実施例
2と同様にして粒状冷菓を成形し、カップに充填を行っ
た。
【0030】〔実施例3〕表1に示す組成で、実施例2
のいちごピューレを抹茶粉末に、粒状いちごを小豆つぶ
あんにする他は実施例2と同様にして粒状冷菓を成形
し、カップに充填した。
【0031】(水性媒体との混合)上記のようにして得
られた冷菓に、水性媒体として市販の牛乳10g(10
℃)を添加し、木片スプーンにて半解凍状態となるまで
攪拌混合した。
【0032】下記実施例1〜3及び比較例1、2につい
て、攪拌混合の状態、半解凍状態となるまでに要する時
間、均一分散性、風味、食感を評価した。その結果を表
2に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】表2の結果から明らかなように、実施例の
冷菓は、比較例の冷菓に比べて、シェイク状物を得るた
めに好適な冷菓であった。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水性媒体と会ってシェイク状物となるシェ
    イク用冷菓であって、フリージング冷菓ミックスと不溶
    性固体原料とからなり、前記不溶性固体原料が前記冷菓
    ミックスに対して30重量%以上含有されてなることを
    特徴とするシェイク用冷菓。
  2. 【請求項2】下記工程を備えてなるシェイク用冷菓の製
    法。 (1)冷菓ミックスをフリージングする工程。 (2)上記フリージングした冷菓ミックスと、この冷菓
    ミックスに対して30重量%以上の不溶性固体原料とを
    混合する工程。 (3)上記混合物を成形及び冷却する工程。
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