JPH09227748A - 水性エマルジョン - Google Patents

水性エマルジョン

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JPH09227748A
JPH09227748A JP3445496A JP3445496A JPH09227748A JP H09227748 A JPH09227748 A JP H09227748A JP 3445496 A JP3445496 A JP 3445496A JP 3445496 A JP3445496 A JP 3445496A JP H09227748 A JPH09227748 A JP H09227748A
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昌人 仲前
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直樹 藤原
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 分散剤がエチレン単位を1〜15モル%
含有し、けん化度が99.5モル%を越える変性ポリビ
ニルアルコールであり、分散質がエチレン性不飽和単量
体から選ばれる一種あるいは二種以上の単量体からなる
重合体である水性エマルジョン。 【効果】 本発明の水性エマルジョンは、耐水性が顕著
に優れており、紙用、木工用等の接着剤、含浸紙用、不
織製品用のバインダー、混和剤、打継ぎ材、塗料、紙加
工および繊維加工などの分野で好適に用いられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は水性エマルジョンに
関する。さらに詳しくは、耐水性に優れる水性エマルジ
ョンに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ポリビニルアルコール(以
下、PVAと略記することがある)はエチレン性不飽和
単量体、特に酢酸ビニルに代表されるビニルエステル系
単量体の乳化重合用保護コロイドとして広く用いられて
おり、これを保護コロイドに用いて乳化重合して得られ
るビニルエステル系水性エマルジョンは紙用、木工用お
よびプラスチック用などの各種接着剤、含浸紙用および
不織製品用などの各種バインダー、混和剤、打継ぎ材、
塗料、紙加工および繊維加工などの分野で広く用いられ
ている。このような水性エマルジョンは、分散剤(保護
コロイド)として使用するPVA系重合体のけん化度を
高くすることにより、比較的耐水性の良好なものが得ら
れている。しかし、水性エマルジョンを用いて接着され
た木工製品や紙工製品、また、水性エマルジョンをバイ
ンダーに用いて得られた含浸紙や繊維加工品において
は、近年、さらなる耐水性の向上が求められている。
【0003】このような要求を満足させるために、自己
架橋性基を導入したPVA系重合体の使用や、架橋性基
を導入したPVA系重合体を使用した水性エマルジョン
と架橋剤との組み合わせ等による耐水化手法が提案され
ている。しかしながら、このような架橋による耐水化
は、耐水性の向上には効果があるが、その一方で、保存
安定性が低下したり、架橋剤添加時のポットライフが短
縮するという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、保存安定性及びポットライフに問題がな
く、耐水性に優れ、紙用、木工用およびプラスチック用
などの各種接着剤、含浸紙用および不織製品用などの各
種バインダー、混和剤、打継ぎ材、塗料、紙加工および
繊維加工などの分野で好適に用いられるPVA系重合体
を保護コロイドとする水性エマルジョンを提供すること
を目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、分散剤がエチレン
単位を1〜15モル%含有し、けん化度が99.5モル
%を越える変性ポリビニルアルコールであり、分散質が
エチレン性不飽和単量体から選ばれる一種あるいは二種
以上の単量体からなる重合体である水性エマルジョンを
見いだし、本発明を完成したものである。また、本発明
は、エチレン単位を1〜15モル%含有し、けん化度が
99.5モル%を越える変性ポリビニルアルコールを含
む水性媒体中で、エチレン性不飽和単量体から選ばれる
一種あるいは二種以上の単量体を乳化重合することを特
徴とする水性エマルジョンの製造方法を提供するもので
ある。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の水性エマルジョンの分散
剤として用いられるエチレン単位を1〜15モル%含有
し、けん化度が99.5モル%を越える変性PVAは、
ビニルエステルとエチレンとの共重合体をけん化するこ
とにより得ることができる。エチレンの含有量として
は、1〜15モル%であることが必要である。エチレン
の含有量が1モル%未満の場合には、顕著な耐水性向上
効果が発現せず、15モル%を越える場合には、変性P
VAの水溶性が低下し、安定な水性エマルジョンが得ら
れない。ビニルエステルとしては、蟻酸ビニル、酢酸ビ
ニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどが挙
げられるが、酢酸ビニルが経済的にみて好ましい。
【0007】また、該分散剤は本発明の効果を損なわな
い範囲で共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合
したものでも良い。このようなエチレン性不飽和単量体
としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、(無
水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン
酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル
アミド、メタクリルアミド、トリメチル−(3−アクリ
ルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロ
リド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸
およびそのナトリウム塩、エチルビニルエーテル、ブチ
ルビニルエーテル、N−ビニルピロリドン、塩化ビニ
ル、臭化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ
化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ビニルスルホ
ン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウムなどが挙
げられる。また、チオール酢酸、メルカプトプロピオン
酸などのチオール化合物の存在下で、酢酸ビニルなどの
ビニルエステル系単量体を、エチレンと共重合し、それ
をけん化することによって得られる末端変性物も用いる
ことができる。
【0008】本発明の水性エマルジョンの分散剤として
用いる変性PVAのけん化度は、99.5モル%を越え
ることが必要である。けん化度が99.5モル%以下の
場合には、顕著に耐水性に優れた水性エマルジョンが得
られない。変性PVAの重合度は、100〜8000の
範囲が好ましく、300〜3000がより好ましい。重
合度が100未満の場合にはPVA保護コロイドとして
の特徴が発揮されず、8000を越える場合には変性P
VAの工業的な製造に問題がある。
【0009】本発明の水性エマルジョンにおける分散質
であるエチレン性不飽和単量体の(共)重合体は、各種
のものが可能である。この(共)重合体の原料であるエ
チレン性不飽和単量体の好ましい例としては、エチレ
ン、プロピレン、イソブチレンなどのオレフィン、塩化
ビニル、フッ化ビニル、ビニリデンクロリド、ビニリデ
ンフルオリドなどのハロゲン化オレフィン、ギ酸ビニ
ル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸
ビニルなどのビニルエステル、アクリル酸、メタクリル
酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸
ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ド
デシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのアクリ
ル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキ
シル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−ヒドロ
キシエチルなどのメタクリル酸エステル、アクリル酸ジ
メチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチ
ルおよびこれらの四級化物、さらには、アクリルアミ
ド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミ
ド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリルアミド
−2−メチルプロパンスルホン酸およびそのナトリウム
塩などのアクリルアミド系単量体、スチレン、α−メチ
ルスチレン、p−スチレンスルホン酸およびナトリウ
ム、カリウム塩などのスチレン系単量体、その他N−ビ
ニルピロリドンなど、また、ブタジエン、イソプレン、
クロロプレンなどのジエン系単量体が挙げられ、これら
は単独あるいは二種以上混合して用いられる。上記のエ
チレン性不飽和単量体の中でも、ビニルエステル、(メ
タ)アクリル酸エステル、スチレンおよびジエン系単量
体が好ましく、特にビニルエステルの単独使用、エチレ
ンとビニルエステルとの併用およびビニルエステルと
(メタ)アクリル酸エステルの併用が好適である。
【0010】本発明の水性エマルジョンは、前述した変
性PVAの水溶液を分散剤に用いて、従来公知の重合開
始剤の存在下に、エチレン性不飽和単量体を一時または
連続的に添加して、エチレン性不飽和単量体を乳化重合
することにより得られる。また、エチレン性不飽和単量
体を、予めエチレン単位を有する変性PVA水溶液を用
いて乳化したものを、連続的に重合反応系に添加する乳
化重合法も採用できる。エチレン変性PVA系重合体の
使用量については特に制限はないが、エチレン性不飽和
単量体の重合体100重量部に対して、好ましくは1〜
30重量部、より好ましくは2〜20重量部の範囲であ
る。該使用量が1重量部未満および30重量部を越える
場合には、重合安定性が低下したり、耐水性が低下する
ことがある。本発明の水性エマルジョンは、上記の方法
で得られる水性エマルジョンをそのまま用いることがで
きるが、必要に応じて、従来公知の各種エマルジョンを
本発明の効果を損なわない範囲で添加して用いることが
できる。なお、本発明の水性エマルジョンにおける分散
剤としては、前述の変性PVAが用いられるが、必要に
応じて、従来公知のアニオン性、ノニオン性あるいはカ
チオン性の界面活性剤や、PVA系重合体、ヒドロキシ
エチルセルロースなどを併用することもできる。
【0011】
【実施例】次に、実施例および比較例により本発明をさ
らに詳細に説明する。なお、以下の実施例および比較例
において「部」および「%」は、特に断らない限り重量
基準を意味する。また、得られたエマルジョンの耐水性
および保存安定性は、下記の方法で評価した。
【0012】(1)耐水性 米ツガ材に、エマルジョンを200g/m2 塗布し、た
だちに同種の米ツガ材を貼り合わせ、7kg/cm2
圧力で24時間圧締した。その後、解圧し、20℃,6
5%RH下で7日間養生し、それを60℃の温水に3時
間浸漬した後のせん断接着力を測定した。
【0013】(2)保存安定性試験 エマルジョンを100mlのガラス製サンプル管に入
れ、5℃で10日間放置した場合および40℃で30日
間放置した場合の状態をそれぞれ観察した。
【0014】実施例1 還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素導入口を備えた
5リットルのガラス製重合容器に、イオン交換水140
0g、エチレン変性PVA(重合度1000、けん化度
99.7モル%、エチレン7.5モル%変性)225g
を仕込み、95℃で完全に溶解した。次に、この変性P
VA水溶液を冷却後pHを4に調整し、塩化第一鉄0.
05gを添加し、窒素置換後、140rpmで撹拌しな
がら酢酸ビニル350gを仕込み、60℃に昇温した
後、0. 7%過酸化水素水を15mL/hrで、6%ロ
ンガリット水溶液を10mL/hrで連続添加しながら
70〜80℃で重合を行った。重合開始30分後から酢
酸ビニル1400gを3時間にわたって連続的に添加し
た。添加終了後、内温を80℃に1時間保持し熟成を行
って重合を完結させた。固形分濃度50.4%、粘度1
2000mPa.s(ミリパスカル秒)の安定なポリ酢
酸ビニルエマルジョンが得られた。この水性エマルジョ
ンの固形分100重量部に対してジブチルフタレート1
0部を添加混合して配合エマルジョンを調製した。この
配合エマルジョンについて、上記の耐水性及び保存安定
性を評価した。結果を表2に示す。
【0015】実施例2〜6および比較例1〜5 表1に示したPVAをそれぞれ分散剤として用いた以外
は、実施例1と同様に操作して、酢酸ビニルの乳化重合
を行った。得られたエマルジョンの評価結果を表2に示
す。
【0016】表1および表2より明らかな様に、エチレ
ンを含有しない未変性PVAおよびエチレン含有量が1
〜15モル%から外れたり、けん化度が99.5モル%
を越えるものから外れるエチレン変性PVAは、得られ
たエマルジョンの耐水性が比較的低く、本発明のエチレ
ン変性PVAから製造した水性エマルジョンは、耐水性
が顕著に向上する優れたものであることがわかる。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】
【発明の効果】本発明の水性エマルジョンは、耐水性が
顕著に優れており、紙用、木工用等の接着剤、含浸紙
用、不織製品用のバインダー、混和剤、打継ぎ材、塗
料、紙加工および繊維加工などの分野で好適に用いられ
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分散剤がエチレン単位を1〜15モル%
    含有し、けん化度が99.5モル%を越える変性ポリビ
    ニルアルコールであり、分散質がエチレン性不飽和単量
    体から選ばれる一種あるいは二種以上の単量体からなる
    重合体である水性エマルジョン。
  2. 【請求項2】 エチレン単位を1〜15モル%含有し、
    けん化度が99.5モル%を越える変性ポリビニルアル
    コールを含む水性媒体中で、エチレン性不飽和単量体か
    ら選ばれる一種あるいは二種以上の単量体を乳化重合す
    ることを特徴とする水性エマルジョンの製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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