JPH09224475A - 植物の栽培方法 - Google Patents

植物の栽培方法

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JPH09224475A
JPH09224475A JP8092871A JP9287196A JPH09224475A JP H09224475 A JPH09224475 A JP H09224475A JP 8092871 A JP8092871 A JP 8092871A JP 9287196 A JP9287196 A JP 9287196A JP H09224475 A JPH09224475 A JP H09224475A
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JP
Japan
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pseudomonas
plant
rootstock
soil
disease
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JP8092871A
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Masami Mochizuki
正己 望月
Hiroshi Matsunaka
洋 松中
Keiko Urabe
恵子 浦部
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 土壌病害、特に青枯病を継続して防除しつつ
健康な植物を栽培する方法を提供する。 【解決手段】 シュードモナス・フルオレセンス、シュ
ードモナス・プチダ等のシュードモナス属細菌を含む微
生物資材で、好ましくは105〜1012cfu/mlの
菌体濃度で植物を処理し、その植物を台木に用いて接ぎ
木栽培を行うことにより土壌病害を防除しつつ植物の栽
培を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植物の栽培方法に
関し、詳しくは、土壌病害を防除しつつ植物を栽培する
栽培方法、及びその方法に用いられる接ぎ木栽培用の台
木の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】農作物等の植物を栽培する際に、土壌病
害を防ぐために様々な病害防除方法がとられてきた。こ
のような方法として、殺菌剤、燻蒸剤もしくは蒸気など
による土壌消毒が行われてきた。しかし、これらの殺菌
剤等は、使用者を危険にさらすだけでなく、環境汚染を
引き起こす原因となる場合もある。また、土壌消毒の効
果は土壌の表層部に留まるため、土壌病害が存在する土
壌深層部には消毒効果が及ばず、土壌病害が発生する可
能性が高い状態で植物を栽培せざるを得ない。さらに、
土壌消毒によって土壌中の微生物が非選択的に殺菌され
てしまうため、土壌中の微生物相が変化してしまい、土
壌病害発生をかえって助長してしまう場合がある。
【0003】以上のような問題から、植物そのものの病
害抵抗性を強化することが必要となっており、土壌病害
に対する抵抗性品種の開発や、土壌病害抵抗性能を有す
る植物を台木として利用する接ぎ木栽培方法が開発され
ている。しかし、栽培しようとする植物や、接ぎ木の台
木として使用される植物の土壌病害抵抗性能の向上は、
その植物の品種改良等によるものがほとんどであり、土
壌病害抵抗性能が向上した植物が実用化されるまでには
多くの時間を必要とする。したがって、土壌病害防除対
策が遅れるといった問題がある。
【0004】また、上記の接ぎ木栽培方法は、土壌病害
を防除しながら植物を栽培する方法として一般的に知ら
れており、実用化されているが、この方法は台木とする
植物の土壌病害抵抗性能を利用して土壌病害を防除しよ
うとするものであり、台木の土壌病害抵抗性能が経時的
に低下したり、新しい病原菌のレースの出現により土壌
病害抵抗性能が消失する等、長期間の病害防除効果の継
続を望めない場合がある。
【0005】一方、農業分野での有用微生物の利用につ
いて、多くの研究や報告がなされており、これらの有用
微生物を利用した微生物資材の開発が試みられている。
その多くは、土壌病害の生物的防除に関係するものであ
り、特に、土壌病害に対する有用微生物の拮抗性能は重
要な機能として考えられており、この拮抗性能を利用し
た微生物資材の開発や拮抗作用のメカニズム等の研究が
多くなされている。中でもシュードモナス属細菌は土壌
病害に対する拮抗作用が高く、この細菌を植物体に接種
することにより土壌病害に対する防除を図る微生物資材
の開発が行われている(特開平7−163334号)
が、病原菌密度の高い土壌病害の多発圃場では十分な効
果が得られないなど、実用化にはまだ解決しなければな
らない問題もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の
土壌病害防除方法はそれぞれに問題点があり、満足でき
るものではなかった。特に、トマト、ナス、ピーマン等
のナス科植物では土壌病害の一つである青枯病により多
大な被害を被ることがあり、青枯病を防除しつつ健康な
作物を栽培する方法が強く求められていた。
【0007】本発明は、上記観点からなされたものであ
り、土壌病害、特に青枯病を継続して防除しつつ健康な
植物を栽培する方法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、接ぎ木に用い
られる台木にシュードモナス属細菌を感染させることに
より、土壌病害抵抗性能を長期間にわたって保持する台
木を得ることができることを見出し、本発明を完成させ
るに至った。
【0009】すなわち本発明は、植物の接ぎ木栽培に用
いる台木をシュードモナス属細菌を含む微生物資材で処
理し、前記植物を栽培することによって土壌病害を防除
することを特徴とする植物の栽培方法である。
【0010】本発明はその態様として、上記栽培方法に
おいて、接ぎ木に先だって台木を微生物資材で処理する
ことを特徴とする方法を提供する。本発明の方法におい
て、前記土壌病害としては、青枯病が挙げられる。ま
た、本発明の方法を適用する植物としてはナス科植物が
挙げられる。
【0011】また、本発明の方法に使用するシュードモ
ナス属細菌は、植物の土壌病害に対して拮抗作用を有す
るものであれば特に限定されるものではないが、好まし
くは、シュードモナス・フルオレセンスおよびシュード
モナス・プチダ等が挙げられる。また、シュードモナス
・フルオレセンスのうちでも特に好ましい菌株として、
トマトの根より分離されたシュードモナス・フルオレセ
ンスFERM P−15063株を、また、シュードモ
ナス・プチダのうちでも特に好ましい菌株として、トマ
トの根より分離されたシュードモナス・プチダFERM
P−15064株を例示することができる。
【0012】本発明の方法において、微生物資材による
台木の処理の具体的手段としては、台木の根部または一
部を切断した根部を微生物懸濁液に浸漬する方法が挙げ
られる。
【0013】台木を微生物資材で処理する際のシュード
モナス属細菌の菌体濃度は、105〜1012cfu/m
lであることが好ましい。本発明はまた、接ぎ木栽培の
台木として用いられる植物を、シュードモナス属細菌を
含む微生物資材で処理することを特徴とする、土壌病害
抵抗性を有する台木の製造方法を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を具体
的に説明する。
【0015】<1>本発明を適用し得る植物 本発明の植物の栽培方法においては、接ぎ木栽培に用い
られる台木をシュードモナス属細菌を含む微生物資材で
処理することによって、その台木に継続して土壌病害抵
抗性を保持させることができる。土壌病害は、通常、植
物の根部から感染するので、台木が土壌病害抵抗性を有
していれば、接ぎ木栽培に使用する穂木として用いられ
る植物が土壌病害抵抗性を有していなくても、接ぎ木す
ることによって土壌病害を防除することができる。
【0016】台木として用いられる植物は、栽培しよう
とする植物すなわち穂木と癒合させることができる植物
であればよい。台木として好ましい植物は、本来的に、
すなわちその植物固有の性質として、土壌病害抵抗性を
有しているものである。このような土壌病害抵抗性を有
する植物品種は、一般に、栽培中にその抵抗性が経時的
に低下したり、新しい病原菌のレースの出現により抵抗
性が消失したりするが、台木をシュードモナス属細菌を
含む微生物資材で処理すると、その台木に継続して土壌
病害抵抗性を保持させることができる。また、本来的に
土壌病害抵抗性を有していない植物であっても、これを
シュードモナス属細菌を含む微生物資材で処理すると、
土壌病害抵抗性をある程度獲得することができる場合が
ある。したがって、土壌病害抵抗性を有していないが、
穂木として用いる植物よりも優れた性質を有する植物を
台木として利用することも、有用であると期待される。
【0017】穂木に用いられる植物は、好ましくはナス
科植物、例えばトマト、ナス、ピーマン等であるが、他
の科に属する植物にも本発明は適用され得る。上記のナ
ス科植物は、土壌病害として青枯病が問題となることが
多いが、本発明の方法は青枯病を有効に防除することが
できる。
【0018】ナス科植物の青枯病抵抗性の品種として具
体的には、トマトについては桃太郎T93、LS89、
ヘルパーM、興津101号、影武者等の品種が挙げられ
る。ナスについては、赤ナス、トムバム・ビガー、トレ
ロ、カレヘンなどの品種が挙げられる。
【0019】<2>本発明に用いる微生物資材 次に、微生物資材について説明する。本発明に用いられ
る微生物資材は、シュードモナス属細菌を含むものであ
る。シュードモナス属細菌としては、植物に感染し、そ
の植物の土壌病害抵抗性を強化するものであればよい。
シュードモナス属細菌として、好ましくはシュードモナ
ス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)、シ
ュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)等が挙げ
られる。また、シュードモナス・フルオレセンスのうち
でも特に好ましい菌株としてシュードモナス・フルオレ
センスFERM P−15063株を、また、シュード
モナス・プチダのうちでも特に好ましい菌株としてシュ
ードモナス・プチダFERM P−15064株を例示
することができる。
【0020】これら2つの菌株は、後述の実施例に示す
様にしてそれぞれトマトの根より分離された菌株であっ
て、菌学的には以下の表1〜表3に示す性質を有するも
のである。これらの菌学的諸性質を、バージェイズ・マ
ニュアル・オブ・システマティック・バクテリオロジー
(Bergey's Manual of Systematic Bacteriology Vol.
1,[P.H.A.Sneath, N.S.Mair, M.E.Sharpe and J.G.Holt
(1986)Williams & Wilkins])に従って調べた結果、そ
れぞれシュードモナス・フルオレセンス、シュードモナ
ス・プチダに属する新規菌株であると同定された。ま
た、これら菌株は、平成7年7月26日に通商産業省工
業技術院生命工学工業技術研究所(郵便番号305 日
本国茨城県つくば市東一丁目1番3号)に、上記受託番
号FERM P−15063、FERM P−15064
として寄託されている。
【0021】なお、表2、表3中のNDは、その試験項
目に関して試験を行わなかったことを示している。
【0022】
【表1】
【0023】*:コロニー形態は、YPA培地(1Lの
脱イオン水にイーストエキス5g、ペプトン10g、寒
天15gを添加し、pHを7に調整して作製)を用いて
30℃で得られたコロニーの形態を観察したものであ
る。
【0024】
【表2】
【0025】*:生理学的性質1はAPI社の同定キッ
トを用いて実施した。同定試験条件は30℃、48時間
であった。
【0026】
【表3】
【0027】*1:生理学的性質2はAPI社の同定キ
ットを用いて実施した。同定試験条件は30℃、7日間
であった。 *2:PWSはペプトンシュークロース水を表す。
【0028】シュードモナス属細菌の培養は、通常の培
養方法に準じて行えばよい。培養に用いる培地は、例え
ば、イーストエキス・ペプトン培地、ジャガイモ半合成
培地等シュードモナス属細菌の培養が可能な培地を用い
る。培養条件も、シュードモナス属細菌の培養が可能で
あれば特に制限されず、通常、温度10〜38℃で、好
気性条件下で培養は行われる。
【0029】上記のようにして培養したシュードモナス
属細菌の培養物は、そのまま、あるいは菌体を濃縮した
後に、必要に応じて担体等と混合して微生物資材とする
ことができる。担体としては、通常微生物資材に用いら
れる有機質の素材または無機質の素材を用いることがで
きる。また、通常微生物資材に用いられる他の成分を適
宜配合してもよい。微生物資材に含ませるシュードモナ
ス属細菌は、単独でも、2種以上の混合物であってもよ
い。微生物資材の剤型、調製方法は特に制限されない。
【0030】微生物資材中のシュードモナス属細菌の含
有量は、特に制限されないが、微生物資材で台木を処理
する際に、菌体濃度が好ましくは105〜1012cfu
/ml、より好ましくは107〜1012cfu/mlの
範囲の菌体懸濁液を調製することができるものであるこ
とが望ましい。尚、「cfu」は、コロニー形成単位
(菌体懸濁液の希釈液を寒天培地にまいたときに形成さ
れるコロニー数)を示す。
【0031】<3>本発明の植物の栽培方法及び台木の
製造方法 本発明の方法においては、接ぎ木栽培に用いる台木を、
上記の微生物資材で処理する。微生物資材で台木を処理
する方法としては、微生物資材中のシュードモナス属細
菌が台木に感染することができればよく、例えば、微生
物資材を水で希釈するなどしてシュードモナス属細菌懸
濁液を調製し、この懸濁液に植物を浸漬する、懸濁液を
台木に注射する、懸濁液を台木が植えられている培土に
潅注する等の方法が挙げられる。
【0032】上記の処理方法の中では、微生物懸濁液に
台木を浸漬する方法が好ましい。具体的には、例えば、
台木の根部をそのまま、あるいは根部の一部をカッター
等で切断して、シュードモナス属細菌懸濁液に浸漬す
る。この場合、好ましい浸漬時間は1秒〜12時間であ
り、特に好ましくは1分〜60分である。また、その際
の微生物資材の温度は特に制限はないが、好ましくは2
0〜35℃である。
【0033】台木をシュードモナス属細菌懸濁液に浸漬
する際の菌体濃度は、栽培する植物等によっても異なる
が、通常、好ましくは105〜1012cfu/mlであ
り、特に好ましくは107〜1012cfu/mlであ
る。このような範囲の菌体濃度となるように、前記微生
物資材に水等を加えて微生物懸濁液を調製すればよい。
【0034】尚、接ぎ木に先だって台木を微生物資材で
処理した後に、その台木に穂木を接ぎ木して得られた接
ぎ木を栽培することが好ましいが、接ぎ木した後に台木
部を微生物資材で処理しても、土壌病害抵抗性向上効果
が得られることが期待できる。
【0035】以上のように台木を処理することにより、
土壌病害、特に青枯病に対する抵抗性能を継続して保持
する台木を得ることができる。その結果、穂木として用
いられる植物が土壌病害抵抗性を有していなくても、長
期間土壌病害を防除しつつ、植物を栽培することが可能
となる。
【0036】
【実施例】以下に、本発明の実施例を説明する。
【0037】
【製造例】 シュードモナス属細菌の取得 温室で栽培中のトマトの根を掘り出し、よく水洗した。
水洗したトマトの根を長さ約1cmに切断し、滅菌済み
の乳鉢に入れて殺菌水を加えてすりつぶして懸濁液を作
製した。得られた懸濁液をYPA培地の表面に塗沫し、
28℃で培養した。培養後、YPA培地の表面に形成さ
れた細菌コロニーから、トマトに感染させた際の青枯病
に対する防除能力を指標として、2種類の細菌を単離し
た。単離したそれぞれの細菌を無菌水に懸濁させ、得ら
れた細菌懸濁液を新たにYPA培地の表面に塗沫し、2
8℃で培養した。これを3回繰り返し行い、それぞれの
純化株を得た。得られた純化株の菌学的、生理学的性質
を調べたところ、一方はシュードモナス・フルオレセン
スの新規菌株であり、他方はシュードモナス・プチダの
新規菌株であると判明した。これらは、通商産業省工業
技術院生命工学工業技術研究所(郵便番号305 日本
国茨城県つくば市東一丁目1番3号)に、それぞれ順に
FERM P−15063、FERM P−15064の
受託番号で寄託されている。
【0038】なお、上記で用いたYPA培地は、1Lの
脱イオン水に、バクト・イーストエキス(ディフコ社
製)5g、バクト・ペプテン(ディフコ社製)10g、
Noble寒天(ディフコ社製)15gを加えて調製し、p
H7に調整した培地であった。
【0039】
【実施例1】トマトの青枯病抵抗性品種(桃太郎T9
3、LS89及びヘルパーM)の種子を、それぞれ培養
土の苗床に播種し、発芽させ、本葉が2〜3枚展開する
まで温室にて育苗した。
【0040】上記製造例で得られた、シュードモナス・
フルオレセンス(FERM P−15063)、及びシ
ュードモナス・プチダ(FERM P−15064)
を、各々ジャガイモ半合成培地に接種し、28℃で48
時間培養した。各々の培養物に滅菌水を加えて菌体濃度
がそれぞれ109fu/mlになるように調製した。
【0041】育苗した各々の品種のトマト苗を苗床から
取り出し、根部を水洗し、上記のようにして調製した菌
体懸濁液に12分間浸漬した。その後、培養土を入れた
ポット(1/5000aワグネルポット)に苗を定植
し、温室にて栽培した。定植後5日目に、青枯病菌が1
7cfu/mlになるように滅菌水を加えて調製した
病原菌懸濁液を株あたり5ml潅注した。尚、試験例1
〜試験例3ではシュードモナス・フルオレセンスの菌体
懸濁液を、試験例4〜試験例6ではシュードモナス・プ
チダの菌体懸濁液を用いた。
【0042】また、比較例1〜比較例3として、同様に
して育苗したトマト苗を苗床から取り出し、根部を水洗
した後、培養土を入れたポット(1/5000aワグネ
ルポット)に定植し、温室にて栽培した。
【0043】定植後5日目に、各試験例及び比較例のト
マト苗に、青枯病菌が107cfu/mlになるように
滅菌水を加えて調製した病原菌懸濁液を、株あたり5m
l潅注した。
【0044】尚、いずれの場合においても、温室内室温
は25℃以上35℃以下になるように調節した。各々の
トマト苗について、病原菌接種後の地上部の青枯病の発
病状況を経時的に観察し、数1式によって発病株率を求
めた。結果を表4に示す。
【0045】
【数1】発病率(%) = 100×(発病した株数)/(定
植した株数)
【0046】
【表4】
【0047】この結果から明らかなように、各試験例で
はシュードモナス属細菌をトマトに感染させることによ
って、比較例に比べて青枯病に対する抵抗性能を長期間
保持することができる。
【0048】
【実施例2】トマトの青枯病抵抗性品種(興津101
号、影武者)およびナスの青枯病抵抗性品種(赤ナス、
トムバム・ビガー)の種子を、それぞれ培養土の苗床に
播種し、発芽させ、本葉が2〜3枚展開するまで温室に
て育苗した。
【0049】育苗した各々の品種のトマト苗またはナス
苗を苗床から取り出し、根部を水洗した後、根部の一部
をカッターナイフで切断し、実施例1と同様にして調製
したシュードモナス属細菌懸濁液に8分間浸漬した。そ
の後、培養土を入れたポット(1/5000aワグネル
ポット)に苗を定植し、温室にて栽培した。尚、試験例
7〜試験例10ではシュードモナス・フルオレセンスの
菌体懸濁液を、試験例11〜試験例14ではシュードモ
ナス・プチダの菌体懸濁液を用いた。
【0050】また、比較例1〜比較例3として、同様に
して育苗したトマト苗を苗床から取り出し、根部を水洗
した後、培養土を入れたポット(1/5000aワグネ
ルポット)に定植し、温室にて栽培した。
【0051】また、比較例4〜7として、試験例と同様
にして育苗したトマト苗およびナス苗を苗床から取り出
し、根部を水洗した後、根部の一部をカッターナイフで
切断した苗を培養土を入れたポット(1/5000aワ
グネルポット)に定植し、温室にて栽培した。
【0052】定植後7日目に、トマトには青枯病菌、ナ
スにはナス青枯病菌の病原菌懸濁液(菌体濃度を108
cfu/mlに調製)を株あたりに10ml潅注した。
いずれの場合においても、温室内室温は25℃以上35
℃以下になるように調節した。
【0053】各々のトマト苗及びナス苗について、病原
菌接種後の地上部の青枯病の発病状況を経時的に観察し
た。観察時の発病の程度を下記発病度により表し、数2
式によって平均発病度を求めた。結果を表5に示す。 〔発病度〕 0:無病 1:1/4発病 2:1/2発病 3:3/4発病 4:枯死
【0054】
【数2】平均発病度(%) = 100×(4×n4+3×n3+2×n2+
1×n1)/4×(n4+n3+n2+n1+n0) n4:発病度4の株数、n3:発病度3の株数、n2:発
病度2の株数 n1:発病度1の株数、n0:発病度0の株数
【0055】
【表5】
【0056】本実施例においても、各試験例ではシュー
ドモナス属細菌をトマト及びナスに感染させることによ
って、比較例に比べて青枯病に対する抵抗性能を長期間
保持することができることが明らかである。
【0057】
【発明の効果】本発明によれば、土壌病害、特に青枯病
を継続して防除しつつ、健康な植物を栽培することがで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12N 1/20 C12R 1:40)

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 植物の接ぎ木栽培に用いる台木をシュー
    ドモナス属細菌を含む微生物資材で処理し、前記植物を
    栽培することによって土壌病害を防除することを特徴と
    する植物の栽培方法。
  2. 【請求項2】 接ぎ木に先だって台木を微生物資材で処
    理することを特徴とする請求項1の方法。
  3. 【請求項3】 前記土壌病害が青枯病である請求項1記
    載の方法。
  4. 【請求項4】 前記植物がナス科植物である請求項1記
    載の方法。
  5. 【請求項5】 シュードモナス属細菌が、シュードモナ
    ス・フルオレセンスおよびシュードモナス・プチダから
    選ばれる請求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】 シュードモナス属細菌が、シュードモナ
    ス・フルオレセンスFERM P−15063株および
    シュードモナス・プチダFERM P−15064株か
    ら選ばれる請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】 微生物資材による台木の処理を、台木の
    根部または一部を切断した根部を微生物懸濁液に浸漬す
    ることにより行うことを特徴とする請求項1記載の方
    法。
  8. 【請求項8】 台木を微生物資材で処理する際のシュー
    ドモナス属細菌の菌体濃度が105〜1012cfu/m
    lである請求項1記載の方法。
  9. 【請求項9】 接ぎ木栽培の台木として用いられる植物
    を、シュードモナス属細菌を含む微生物資材で処理する
    ことを特徴とする、土壌病害抵抗性を有する台木の製造
    方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105112339A (zh) * 2015-09-15 2015-12-02 沈阳农业大学 一种新型细菌菌株及其培养方法和应用
CN115245121A (zh) * 2021-04-26 2022-10-28 青海省农林科学院 一种通过促生菌改善大蒜连作障碍的方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN105112339A (zh) * 2015-09-15 2015-12-02 沈阳农业大学 一种新型细菌菌株及其培养方法和应用
CN105112339B (zh) * 2015-09-15 2018-12-04 沈阳农业大学 一种细菌菌株及其培养方法和应用
CN115245121A (zh) * 2021-04-26 2022-10-28 青海省农林科学院 一种通过促生菌改善大蒜连作障碍的方法

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