JP3527837B2 - 植物病害を防除するための微生物および資材 - Google Patents

植物病害を防除するための微生物および資材

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植物の根圏に定着
し、植物土壌病害、特にバーティシリウム属微生物によ
る土壌病害を防除するストレプトミセス属微生物、なら
びに、このような微生物またはその培養物を担体に含有
させた植物病害防除用の資材を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】植物の土壌病害を防除することは農業生
産や緑化活動にとって不可欠である。しかし、土壌病害
を防除することは非常に困難である。主な土壌病害とし
ては、バーティシリウム(Verticillium)属、フザリウム
(Fusarium)属、リゾクトニア(Rhizoctonia)属、ピシウ
ム(Pythium)属、シュードモナス(Pseudomonas)属などの
微生物による病害が挙げられる。その中でもバーティシ
リウム属微生物による病害は、ナスやトマトといった重
要な作物に多く発生するために、被害も大きく主要な土
壌病害の1つとなっている。
【0003】土壌病害を防除する方法としては、一般
に、臭化メチルなどの殺菌剤を用いて土壌燻蒸する方法
が取られている。しかし、土壌への殺菌剤の散布は周辺
の土壌や水質を汚染するなど環境への負荷が大きく、問
題となっている。そこで、環境負荷の少ない植物病害防
除法の1つとして、土壌病害の病原菌と拮抗する微生物
を選抜し、それを土壌に施用することにより、土壌病害
を防除しようという試みが為されている。
【0004】マロイスら[Marois: Plant Disease, Vol.
66, p.1166-1168, 1982]は、バーティシリウム属微生物
による病害について、このような試みを行っている。草
刈ら[関西病虫研報、第32巻、p.17-20、1990]は、スト
レプトミセス(Streptomyces)属の微生物を用いて、バー
ティシリウム属微生物による病害を防除しうることを報
告している。特開平2−308788号(特公平5−2
6462号)には、バーティシリウム属などの微生物に
有効な菌株として、ストレプトミセス・ゴミシメンシス
(Streptomyces gomishimensis)CD−3株が記載されて
いる。また、特開平6−56616号には、リゾクトニ
ア属などの微生物に有効な菌株として、ストレプトミセ
ス属WS182株およびWS226株が記載されてい
る。さらに、特開平7−2614号には、フザリウム属
などの微生物に有効な菌株として、ストレプトミセス・
シアノゲナス(Streptomyces cyanogenus)C−216株
およびストレプトミセス・オリバセウス(Streptomyces
olivaceus)CA−7株が記載されている。
【0005】しかし、これら文献に記載された菌株はい
ずれも安定した植物病害防除効果が現れなかったり、効
果は現れるものの非常に大量の菌株もしくは菌株を含有
させた資材を投入しなければならないという問題点があ
った。その原因としては、これら菌株がプレート上では
抗生物質を産生し、拮抗性を示すが、土壌中では抗生物
質を十分に産生することができないために拮抗性を示せ
なかったり、植物の根圏に定着できないことが挙げられ
る。また、菌株または資材を投入しても、土壌中の既存
微生物に比べて増殖力が劣っているために増殖すること
ができず、駆逐されてしまうことも大きな原因の1つで
ある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、植物の根面に定着および根圏で増殖し、植物の根圏
を守ることによって植物土壌病害、特にバーティシリウ
ム属微生物による土壌病害を防除する微生物のスクリー
ニングを試みた。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、土壌中で
も増殖し、かつ抗生物質を産生できる菌株をスクリーニ
ングするために、対象植物の根圏土壌の加熱抽出液のみ
からなる貧栄養培地を用い、自然条件に近似させた条件
で回転培養を行い、増殖力および抗生物質産生力の高い
菌株を選抜しようとした。また、対象植物の根圏への定
着性の高い菌株を選抜しようとした。
【0008】本発明者らは、上記のようなスクリーニン
グの結果、ストレプトミセス属に属するOG−012株
およびOG−013株と命名した2種類の菌株が、土壌
中での増殖性、定着性および病原微生物に対する拮抗性
に優れていることを見い出した。
【0009】即ち、本発明は、植物の根圏に定着し、植
物土壌病害を防除する微生物であって、ストレプトミセ
ス属OG−012株およびOG−013株からなる群か
ら選択される微生物を提供するものである。
【0010】また、本発明は、上記微生物またはその培
養物を多孔性物質に含有させた植物病害防除用の資材を
提供するものである。さらに、本発明は、上記の微生物
または資材を植物の種子に被覆もしくは混合した後に播
種するか、または、上記の微生物または資材を播種用培
土、育苗用培土もしくは挿し木用培土に混合して植物を
栽培することからなる植物病害防除法を提供するもので
ある。
【0011】以下に、本発明の微生物のスクリーニング
法および菌学的性質を示す。微生物のスクリーニング法 土壌加熱抽出液は、広島県因島市内のナス栽培畑の土4
50gを蒸留水1Lに懸濁し、この懸濁液を121℃で
30分間オートクレーブ処理し、次いで濾過することに
よって得た。微生物試料は次のようにして得た。即ち、
上記のナス栽培畑土を滅菌水に懸濁し、得られた上澄み
液を滅菌水で希釈した。この希釈液を、細菌用培地とし
て普通寒天培地(水1000ml中に、肉エキス10g、ペ
プトン10g、NaCl 5g、寒天20gを含む)および放
線菌用培地としてブドウ糖・アスパラギン寒天培地(水
1000ml中に、ブドウ糖10g、アスパラギン0.5
g、K2HPO4 0.5g、寒天20gを含む)に加え、30
℃一定の条件下で静置培養して、細菌および放線菌のコ
ロニーを形成させた。これらコロニーの一部を採取し、
該当する菌用の培地に接種し、再びコロニーを形成させ
た。この操作を数回繰り返すことによって菌株の単離を
行った。
【0012】このようにして得た微生物試料を上記の土
壌加熱抽出液に加え、回転振盪培養器(120〜130
回転/分)中、20〜30℃の温度で3〜6日間にわた
って培養した。得られた培養液(菌体および代謝産物を
含む)をペーパーディスクに含浸させ、スクリーニング
の対象となる病原菌培地上に並べ、阻止円の径の大き
さ、阻止状態(透明度など)を評価した。対象とする病原
菌は、バーティシリウム属微生物の中でも最も多犯性で
あり、その被害も極めて大きいバーティシリウム・ダー
リエ(Verticillium dahliae)である。根圏への定着性
は、培土において植物を栽培することによって調べた。
即ち、バーミキュライトなどの培土に肥料を加え、これ
に植物の種子を播種し、一定期間後に菌株ブロスを加え
た。さらに一定期間栽培を続けた後、植物根圏の菌数を
測定した。 本発明者らは、このようなスクリーニングによって、土
壌中での増殖性、定着性および病原微生物に対する拮抗
性に優れる微生物として、2種類の菌株OG−012株
およびOG−013株を単離した。
【0013】微生物の菌学的性質 OG−012株およびOG−013株の菌学的性質を以
下の表1および表2に示す。これらの表に示した菌学的
性質から、OG−012株およびOG−013株は、ス
トレプトミセス属に属する微生物であることがわかっ
た。また、表1および表2には、他のストレプトミセス
属菌株、即ち、特開平2−308788号(特公平5−
26462号)に記載されているストレプトミセス・ゴ
ミシメンシス(Streptomyces gomishimensis)CD−3
株、特開平7−2614号に記載されているストレプト
ミセス・シアノゲナス(Streptomyces cyanogenus)C−
216株およびストレプトミセス・オリバセウス(Strep
tomyces olivaceus)CA−7株、ならびに、特開平6−
56616号に記載されているストレプトミセス属WS
182株およびWS226株の菌学的性質をも示すが、
本発明の2種類の菌株はこれら公知の菌株のいずれとも
異なることがわかった。本発明のストレプトミセス属O
G−012株およびOG−013株は、工業技術院生命
工学工業技術研究所に平成9年10月28日に寄託さ
れ、それぞれ受託番号FERM P−16493および
FERM P−16494を取得している。
【0014】
【表1】
【0015】
【表2】
【0016】
【発明の実施の形態】微生物の培養法 本発明の微生物は、ストレプトミセス属に属する放線菌
であるので、ショ糖・硝酸塩培地(水1000ml中に、
ショ糖30g、NaNO3 2g、K2HPO4 1g、MgSO
4・7H2O 0.5g、KCl 0.5g、FeSO4・7H2
0.01gを含む)、ブドウ糖・アスパラギン培地(水10
00ml中に、ブドウ糖10g、アスパラギン0.5g、K2
HPO4 0.5gを含む)、グリセリン・アスパラギン培
地(グリセリン10g、アスパラギン1g、K2HPO4
gを含む)などの液体培地を用いて培養することができ
る。
【0017】本発明の微生物を最も高濃度に培養するた
めには、以下の培養方法が有効であった。即ち、培地と
してグリセリン・アスパラギン培地を用い、これをリン
酸緩衝液により最適pHに調整する。OG−012株の
最適pHは6.0〜6.8であり、OG−013株のそれ
は5.8〜6.2である。このpH調整した培地に、OG
−012およびOG−013株を接種し、回転式振盪培
養器において100〜600rpm、好ましくは150〜
450rpmで回転培養する。培養温度は、OG−012
およびOG−013株の最適培養温度である37〜39
℃とする。このような条件下で3〜7日間培養する。
【0018】植物病害防除用資材の製造法 ある微生物が病害微生物に対して拮抗性であっても、前
者微生物が植物の根圏に定着しなければ、病害を防除す
ることは難しい。有用微生物を根圏に定着させるために
は、この有用微生物を担体に定着させた農園芸資材を調
製し、この資材を対象植物の根圏に与える方が有利であ
ることが知られている。そして、一般には有用微生物を
多孔性物質に吸着させることが行われている。
【0019】本発明の菌株を定着させるための担体とし
ては、炭、活性炭、軽石、ひる石、具化石、米糠、コー
ヒーかす、石膏、ピートモス、(焼成)ケイソウ土、ゼオ
ライト、パーライト、ベントナイト、大谷石、石灰石、
バーミキュライトなどを挙げることができる。これらの
うち、炭、活性炭、軽石、ひる石、具化石、ピートモ
ス、(焼成)ケイソウ土、ゼオライト、パーライト、ベン
トナイト、バーミキュライトなどの多孔性物質が好まし
く、特に炭、活性炭および(焼成)ケイソウ土が優れてい
る。炭としては、木材を材料として炭化させたもの、な
らびに、樹皮、オガクズ、ヤシ殻、バーク、モミ殻など
を炭化させたものであって、粉末状のものを用いるのが
好ましい。また、微生物数を増加させるためにキチンを
添加してもよい。キチンは精製したものであっても、カ
ニ、エビ、シャコなどの甲殻類の粉末であってもよい。
【0020】本発明の植物病害防除用資材は、上記の担
体、特に炭、活性炭または(焼成)ケイソウ土を滅菌し、
これに上記のように液体培養したOG−012またはO
G−013株を培地成分と共に混合することによって製
造することができる。担体1Lに対して培養培地100
〜500mlを用いるのが好ましい。混合物を、OG−0
12およびOG−013株の最適培養温度である37〜
39℃で静置し、1日に1〜5回撹拌を行って、嫌気培
養になるのを避ける。このような固体培養を、1〜10
日間、好ましくは3〜7日間行う。固体培養終了後に通
風乾燥などによって乾燥して、本発明の植物病害防除用
資材を得る。
【0021】本発明の資材は、多孔性物質1gあたりに
微生物を103〜1020cfu(コロニー形成単位)含有して
いるのが好ましく、さらに多孔性物質1gあたりに微生
物を105〜1015cfu含有するのが好ましい。
【0022】本発明の微生物または植物病害防除用資材
の適用法 本発明の微生物または資材は、対象植物の種子に被覆も
しくは混合するか、または、播種用培土、育苗用培土も
しくは挿し木用培土に混合して使用することができる。
このような被覆種子を播種して、または混合培土を使用
して、病害の少ない植物を栽培することができる。ま
た、本発明の微生物を確実に根圏に定着させ、土壌病害
から植物を守るためには、植物の生育早期に、例えばプ
ラグなどでの播種時や育苗時、または挿し木(挿し芽)時
に、本発明の微生物または資材を適用するのが望まし
い。これにより、処理量が少なくなり、経済的に有利に
なる。
【0023】本発明の微生物または植物病害防除用資材
の適用の効果 本発明の微生物は、土壌中での増殖性、定着性および病
原微生物に対する拮抗性に優れている。従って、これら
微生物もしくはその培養物、またはこれら微生物もしく
はその培養物を多孔性物質に含有させた農芸資材を用い
ることにより、多くの植物病害、特にバーティシリウム
属微生物による病害を防除することができる。このよう
なバーティシリウム属微生物による病害としては、ナス
半身萎凋病、トマト半身萎凋病、ピーマン半身萎凋病、
キュウリ半身萎凋病、ダイコン黒点病、ハクサイ黄化
病、イチゴ半身萎凋病、ホウレンソウ萎凋病、フキ半身
萎凋病、ウド半身萎凋病、オクラ半身萎凋病、キク半身
萎凋病などが挙げられる。
【0024】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく
説明する。実施例1 本菌株の病原微生物に対する拮抗性 バーティシリウム属微生物と同様の土壌病害を引き起こ
すフザリウム属、ピシウム属およびリゾクトニア属の微
生物に対しても上記と同様の拮抗性試験を行った。これ
らの結果を以下の表3に示す。
【表3】 表3.本菌株の病原微生物に対する拮抗性 ストレプトミセス属 ストレプトミセス属 OG−012株 OG−013株 バーティシリウム属微生物 ◎ ◎(Verticillium dahliae Klebahn) フザリウム属微生物 ○ △(Fusarium oxysporum f.sp.cucumerinum) ピシウム属微生物 △ △(Phythium ultimum Trow)
リゾクトニア属微生物 ◎ ◎(Rhizoctonia solani Kuhn AG 2-2,IIIB) ◎:きわめて強く拮抗する; ○:強く拮抗する; △:わずかに拮抗する これらの結果から、本菌株はバーティシリウム属微生物
だけでなく、他の属の微生物、特にリゾクトニア属微生
物に対しても強く拮抗することが確認された。
【0025】実施例2 微生物の根圏への定着性 500mlの培養フラスコにバーミキュライト(125ml)
を入れ、さらにハイポネックス(野菜用液肥)の500倍
希釈液(65ml)を加え、120℃で20分間オートクレ
ーブ滅菌した。これにナス(南竜本長ナス)の種子を10
個ずつ播種し、25℃の条件下で栽培を行った。栽培開
始から3週間目に、2.0×104cfu/mlに調整した菌
株ブロス(10ml)を加えた。1カ月間栽培を続行した
後、根圏にいる拮抗菌の数および培土中の拮抗菌の増殖
について調査した。根圏にいる拮抗菌の数は、ナス植物
体の根を回収し、滅菌水で洗浄した後、滅菌水中で摩砕
し、得られた上澄み液に含まれる拮抗菌数を希釈平板法
により測定した。なお、植物根圏の菌数は、根1gあた
りから回収された拮抗菌数によって示した。培土中の拮
抗菌数は、栽培後の培土を一定量採集し、滅菌水中で摩
砕し、得られた上澄み液に含まれる拮抗菌数を希釈平板
法により測定した。なお、培土中の菌数は、培土(バー
ミキュライト)1gあたりから回収された拮抗菌数によっ
て示した。また、植物からの浸出物を利用して増殖して
いるか否かを確認するために、植物を栽培しない場合の
培土中の菌数も測定した。対照菌株としては、特開平6
−56616号に記載された菌株の内、ストレプトミセ
ス属WS182株とアゾモナス(Azomonas)属WB126
株を株式会社グリーンテック(前身は株式会社環境緑化
資源開発センター)より入手して用いた。
【0026】これらの結果を以下の表4に示す。
【表4】 表4.微生物の根圏への定着性 植物根圏の菌数 培土中の菌数 植物あり 植物なし ストレプトミセス属 1.8×109 2.0×108 5.0×105 OG−012株 ストレプトミセス属 1.8×107 6.3×105 4.2×103 OG−013株 ストレプトミセス属 6.1×103 3.8×105 3.9×105 WS182株 アゾモナス属 2.0×104 1.8×104 2.0×104 WB126株 これらの結果から、本発明の2菌株は植物根圏の菌数が
非常に多く、対象植物の根圏に定着していることがわか
った。さらに、植物がない場合と比較して植物がある場
合には、培土中の菌数が増加していることから、本発明
の2菌株は植物からの浸出物を利用して根圏で良く増殖
していることがわかった。
【0027】実施例3 根圏のバーティシリウム属微生
物の抑制 500mlの培養フラスコにバーミキュライト(125ml)
を入れ、さらにハイポネックス(野菜用液肥)の500倍
希釈液(65ml)を加え、120℃で20分間オートクレ
ーブ滅菌した。これにナス(南竜本長ナス)の種子を10
個ずつ播種し、25℃の条件下で栽培を行った。栽培開
始から3週間目に、1.0×104cfu/mlに調整した菌
株ブロス(10ml)を加えた。これを2週間栽培した後、
2.0×104cfu/mlに調整したバーティシリウム・ダ
ーリエ(Verticillium dahliae)の培養液(10ml)を加え
た。さらに栽培を続け、2週間後および6週間後に根圏
のバーティシリウム属微生物の菌数を測定した。根圏に
いるバーティシリウム属微生物の菌数は、ナス植物体の
根を回収し、滅菌水で洗浄した後、滅菌水中で摩砕し、
得られた上澄み液に含まれる菌の数を希釈平板法により
測定した。なお、植物根圏の菌数は、根1gあたりから
回収された菌の数によって示した。対照菌株としては、
実施例2と同様、ストレプトミセス属WS182株およ
びアゾモナス属WB126株を用いた。
【0028】これらの結果を以下の表5に示す。
【表5】 表5.根圏のバーティシリウム属微生物の菌数 バーティシリウム属微生物接種後の時間 2週間 6週間 ストレプトミセス属 1.8×103 OG−012株 ストレプトミセス属 0 0 OG−013株 ストレプトミセス属 7.4×103 3.9×103 WS182株 アゾモナス属 8.1×103 4.2×104 WB126株 無処理 2.2×105 7.8×108 これらの結果から、OG−012株およびOG−013
株は、他の菌株に比べて有意にバーティシリウム属微生
物の増殖を抑制していることがわかった。
【0029】実施例4 植物病害防除用資材による病害
発生の抑制 本発明のストレプトミセス属OG−012株およびOG
−013株ならびに特開平6−56616号に記載され
たストレプトミセス属WS182株およびアゾモナス属
WB126株を用いて、ヤシ殻燻炭を担体とする植物病
害防除用資材を調製した。ヤシ殻燻炭1gあたりcfuが1
9になるように微生物を定着させた。播種用培土として
メトロミックス(グレース社製)を用い、培土1Lあたり
に50gの植物病害防除用資材を添加して十分に混合し
た。次いで、この混合土壌をプラグトレー(容積25ml)
に詰め、ナス(「千両」:タキイ種苗)を播種し、3週間
栽培を行った。また、対照として植物病害防除用資材を
添加しない土壌を用いて栽培を行った。栽培条件は、明
期16時間25℃、暗期8時間20℃であり、湿度は5
0%一定とした。
【0030】病害培土は、赤玉土にPDB培地[ポテト
・デキストロース・ブロス;ディフコ(DIFCO)社製]で培
養したナス半身萎凋病の病原菌バーティシリウム・ダー
リエ(Verticillium dahliae)を、培土1gあたり104
cfuとなるように混合することによって調製した。この
病害培土を直径10cmのビニルポット(容積250ml)に
詰め、プラグトレーで栽培したナスの苗を1処理区あた
り10ポットずつ移植し、4週間栽培を行った。栽培条
件は、明期16時間25℃、暗期8時間20℃であり、
湿度は50%一定とした。栽培終了後、病徴を、0:発
病せず、1:黄変が認められる、2:下位葉が褐変す
る、3:上位葉が褐変する、4:枯死、の5段階で評価
した。また、栽培終了後のポット培土から一定量の培土
を回収した後、バーティシリウム属微生物の菌核を回収
し、その数を測定した。測定法は、「土壌微生物実験
法」[養賢堂、p.88-89]に従った。
【0031】このようにして測定した病徴(指数)と菌核
数(培土1gあたり)の平均値を、以下の表6に示す。
【表6】 表6.病徴および菌核数の測定結果 病徴 バーティシリウム菌核数 ストレプトミセス属 0.5 19 OG−012株 ストレプトミセス属 0.7 32 OG−013株 ストレプトミセス属 2.1 89 WS182株 アゾモナス属 2.8 114 WB126株 無処理 3.6 257 これらの結果から、OG−012株およびOG−013
株は、他の菌株に比べて有意にナス半身萎凋病の発病を
抑え、また、病原菌の菌核形成も抑えていることが明ら
かになった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI A01N 63/02 A01N 63/02 G C12N 11/14 C12N 11/14 //(C12N 1/20 1/20 C12R 1:465) C12R 1:465 (56)参考文献 特開 平9−154570(JP,A) 特開 平6−80531(JP,A) 特開 平2−308788(JP,A) 特開 平7−2614(JP,A) 特開 平6−56616(JP,A) 関西病虫害研究会報(1990),No. 32,p.17−20 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 1/00 C12N 11/00 A01G 7/00 A01N 25/00 A01N 63/00 JICSTファイル(JOIS) BIOSIS/WPI(DIALOG)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 植物の根圏に定着し、植物土壌病害を防
    除する微生物であって、ストレプトミセス属OG−01
    2株(FERM P−16493)およびOG−013株
    (FERM P−16494)からなる群から選択される
    微生物。
  2. 【請求項2】 植物土壌病害がバーティシリウム属微生
    物による病害である請求項1に記載の微生物。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の微生物またはその培養
    物を多孔性物質に含有させた植物病害防除用資材。
  4. 【請求項4】 多孔性物質が炭、活性炭または(焼成)ケ
    イソウ土である請求項3に記載の資材。
  5. 【請求項5】 多孔性物質1gあたりに微生物を103
    1020cfu含有させた請求項3または4に記載の資材。
  6. 【請求項6】 多孔性物質1gあたりに微生物を105
    1015cfu含有させた請求項5に記載の資材。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の微生物または請求項3
    に記載の資材を植物の種子に被覆もしくは混合した後に
    播種するか、または、請求項1に記載の微生物または請
    求項3に記載の資材を播種用培土、育苗用培土もしくは
    挿し木用培土に混合して植物を栽培することからなる植
    物病害防除法。
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