JPH09217958A - 建物の壁体構造及び建物ユニット並びにそれに使用する空気調和機及び建物用内壁材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 開口部と空気調和機との間に生じる隙間を容
易に遮断することができる建物の壁体構造を提供するこ
とである。 【解決手段】 本発明の建物の壁体構造は、外壁材９と
内壁材８との間に空気調和機１が取り付けられているも
のであって、前記空気調和機１の室内側正面には吸気口
１ｂと吹出口１ｃが設けられ、前記内壁材８にはこの吸
気口１ｂと吹出口１ｃとを室内に通じさせる開口部８ａ
が設けられ、空気調和機１の室内側正面と相対する内壁
材８裏面との間がシール材３で気密になされているもの
である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、外壁材と内壁材と
の間に壁埋め込み方式の空気調和機が取り付けられた建
物の壁体構造及び建物ユニットに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、外壁材と内壁材との間に壁埋め込
み方式の空気調和機が取り付けられた建物の壁体構造
は、例えば、特開平５−２７２７７９号公報に記載され
て知られている。上記公報記載の建物の壁体構造は、空
気調和機が窓枠等の開口部に取り付けられるものであっ
て、前記空気調和機の両側面にＵ字形の溝が前後に渡っ
て一直線に形成され、前記空気調和機のＵ字形の溝に対
応する突起を有し、コの字形状に形成された据付板が窓
枠等の開口部に固定され、前記Ｕ字形の溝と前記突起を
合わせ、空気調和機を前記据付板が固定された開口部に
スライドさせて取り付けるものである。上記壁体構造に
なされた建物が、ユニット住宅等に使用される建物ユニ
ットであれば、空気調和機を工場で予め取り付けること
ができるので、便利である。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の空
気調和機が取り付けられた建物の壁体構造は、開口部と
空気調和機との間に隙間が生じ、この隙間から空気調和
された室内の空気が洩れ出たり、あるいは空気調和され
ていない屋外の空気が室内に浸入したりして、空気調和
に要する負荷が増大するという問題がある。

【０００４】また、冬季暖房時において、前記隙間から
室内の暖かい空気が開口部を通じて外壁材と内壁材の間
に流れ込むと、断熱材が結露して湿り、建物の断熱性が
低下したり、木質系建物の場合は部材が腐食したり、鉄
骨系建物の場合は部材が錆びたりするという問題があ
る。

【０００５】さらにまた、上記空気調和機と開口部の隙
間を塞ぐために、コーキング剤等で埋めたりすることが
できるが、室内側の外観が悪くなったり、空気調和機の
取付工数が増えるという問題がある。

【０００６】本発明は、上記従来技術の問題を解決する
ためになされたものであって、本発明の目的は、開口部
と空気調和機との間に生じる隙間を容易に遮断すること
ができる建物の壁体構造及び建物ユニットを提供するこ
とである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の建物の壁体構造
は、建物の外壁材と内壁材との間に空気調和機が取り付
けられ、前記空気調和機の室内側正面には、室内の空気
を吸気する吸気口と、この吸気した空気を空気調和して
室内に吹き出す吹出口が設けられ、前記内壁材にはこの
吸気口と吹出口とを室内に通じさせる開口部が設けら
れ、空気調和機の室内側正面と相対する内壁材裏面との
間がシール材で気密になされているものである。また、
本発明の建物ユニットは、外壁材と内壁材との間に空気
調和機が取り付けられ、前記空気調和機の室内側正面に
は、室内の空気を吸気する吸気口と、この吸気した空気
を空気調和して室内に吹き出す吹出口が設けられ、前記
内壁材にはこの吸気口と吹出口とを室内に通じさせる開
口部が設けられ、空気調和機の室内側正面と相対する内
壁材裏面との間がシール材で気密になされているもので
ある。従って、上記建物の壁体構造と建物ユニットにお
いては、空気調和された室内の空気が洩れ出たり、ある
いは空気調和されていない屋外の空気が室内に侵入した
りすることはなくなり、空気調和に要する負荷が増大す
るという問題を防止できる。

【０００８】また、冬季暖房時、室内の暖かい空気が開
口部を通じて外壁材と内壁材の間に流れ込むことはない
ので、結露による断熱性の低下や腐食等の問題を防止で
きる。さらにまた、上記空気調和機と開口部の隙間を塞
ぐために、コーキング剤等で埋めたりする必要がなくな
り、室内側の美観が向上すると共に、空気調和機の取付
工数も減少させることができる。

【０００９】本発明の建物の壁体構造において、空気調
和機の室内側正面と相対する開口部周縁の内壁材裏面と
の間がシール材で気密になされているのがよい。する
と、気密になすのに使用されるシール材の使用量を少な
くすることができる。

【００１０】また、室内の空気を吸気する吸気口と、こ
の吸気した空気を空気調和して室内に吹き出す吹出口と
が室内側正面に設けられた空気調和機において、吸気口
と吹出口の周囲にシール材が取り付けられているものと
するのがよい。すると、空気調和機の室内側正面と相対
する内壁材裏面との間を気密になす施工作業に便利であ
る。

【００１１】また、開口部が設けられた建物用内壁材の
裏面側開口部周囲にシール材が取り付けられた建物用内
壁材とするのがよい。すると、空気調和機の室内側正面
と相対する内壁材裏面との間を気密になす施工作業に便
利である。

【００１２】

【発明の実施の形態】本発明において、好適なシール材
としては、例えば、発泡倍率が５〜３０倍のポリエチレ
ン、ポリプロピレン等の合成樹脂発泡体や、合成ゴムや
合成ゴムの発泡体等の柔軟な材料を挙げることができ
る。気密性のためには、発泡体は独立気泡のものが好ま
しい。上記シール材の形状は特に限定されるものでな
く、断面形状が円形や角形の長尺体を適宜曲げて取り付
けてもよく、シート状のものを打ち抜いて取り付けても
よい。シール材の取付は、接着剤や粘着剤付きテープ等
で取り付けることができる。この際、空気調和機の室内
側正面と相対する内壁材裏面との間隔のばらつきを吸収
できるように、適切な厚さを選定して使用する。

【００１３】本発明において、空気調和機は、室内機ユ
ニットと室外機ユニットが一体化された一体型空気調和
機や、セパレート型空気調和機の室内機等の他、室内の
空気を循環させながら浄化する空気浄化機等であっても
よい。

【００１４】本発明において、建物ユニットとは、工場
で生産された複数個の建物ユニットを、施工現場で平面
及び上下に配置して組み立てられるユニット住宅に使用
されるものである。

【００１５】次に、本発明の実施の形態を図面を参照し
ながら説明する。図１〜図３は、本発明の第１の実施の
形態であって、図１は建物の壁体構造を示す横断面図、
図２は図１の空気調和機の室内側正面を示す斜視図、図
３は化粧グリルを取り外して示した図１の建物の壁体構
造の斜視図である。図４と図５は本発明の別の実施の形
態であって、図４は空気調和機の室内側正面を示す斜視
図であり、図５は内壁材の裏面を示す斜視図である。図
１〜図５において、１は空気調和機、１ａは取付板、１
ｂは吸気口、１ｃは吹出口、２は化粧グリル、３、３
ａ、３ｂはシール材、８は内壁材、８ａは開口部、９は
外壁材である。

【００１６】まず、本発明に係る第１の実施の形態を図
１〜３を参照して説明する。図１〜３に使用する空気調
和機１は、筐体の中に室内機ユニットと室外機ユニット
とが収容された一体型となっているものであって、上記
空気調和機１の室内側正面には、この室内側正面に設け
られた吸気口１ｂと吹出口１ｃとを覆うようにして、化
粧グリル２が取り付けられている。そして、空気調和機
１の上部に取付板１ａが取り付けられている。

【００１７】上記空気調和機１は、ユニット住宅の建物
ユニットの外壁材９と内壁材８との間に収容され、取付
板１ａが鋼製の縦構造材５に防振用ゴム４を挟んでボル
ト６とナット７とにより取り付けられている。そして、
外壁材９と内壁材８との間には、間柱１１が架け渡さ
れ、断熱材１０が充填されている。

【００１８】上記内壁材８には開口部８ａが設けられ、
この開口部８ａは化粧グリル２よりわずかに大きい寸法
になされ、化粧グリル２がこの開口部８ａに挿入され、
空気調和機１の吸気口１ｂと吹出口１ｃを室内に通じる
ようになされている。

【００１９】空気調和機１の室内側正面の周縁部に沿っ
て、図２に示すように、シート状のネオプレンゴムスポ
ンジ製シール材３が接着剤で取り付けられている。この
シール材３は、独立気泡になっている。シール材３の厚
さは、空気調和機１の室内側正面と相対する内壁材８の
裏面との間に形成される隙間より大きくなされていて、
空気調和機１の取付状態でシール材３が圧縮変形される
ことにより、空気調和機１の室内側正面と相対する内壁
材８の裏面との間が気密になされる。

【００２０】つぎに、本実施の形態における建物の壁体
構造において、空気調和機１の取付方法を説明しなが
ら，本実施例の作用を述べる。まず、図２に示すよう
に、空気調和機１の室内側正面の周縁部に沿って、予め
シール材３を接着剤で貼り付ける。ついで、空気調和機
１の取付板１ａを縦構造材５に防振用ゴム４を挟んでボ
ルト６とナット７とにより取り付ける。そして、最後に
開口部８ａが設けられた内壁材８を、間柱１１に釘等の
固着具で取り付け、空気調和機１の室内側正面と相対す
る内壁材８の裏面との間を気密になす。

【００２１】すると、空気調和された室内の空気が洩れ
出たり、あるいは空気調和されていない屋外の空気が室
内に浸入したりすることはなくなり、空気調和に要する
負荷が増大するという問題を防止できる。また、室内の
暖かい空気が開口部８ａを通じて外壁材９と内壁材８の
間に流れ込むことはないので、断熱性の低下や腐食等結
露による問題を防止できる。さらにまた、上記空気調和
機１と開口部８ａの隙間を塞ぐために、コーキング剤等
で埋めたりする必要がなくなり、室内側の美観が向上す
ると共に、空気調和機１の取付工数を減少させることが
できる。

【００２２】つぎに、本発明の別の実施の形態を図４を
参照して説明する。図４に示す建物の壁体構造は、シー
ル材３ａが空気調和機１の化粧グリル２の周縁部に貼り
付けられ、空気調和機１の室内側正面と相対する開口部
８ａ周縁の内壁材８裏面との間が気密になされて取り付
けられているものであって、上記以外は基本的に前記第
１の実施の形態と同一の構造になっている。従って、同
一の所は第１の実施の形態と同符号で示し、詳細な説明
を省略する。

【００２３】本実施の形態に示す建物の壁体構造は、シ
ール材３ａが空気調和機１の化粧グリル２の周縁部に貼
り付けられているものであるから、第１の実施の形態に
比べてシール材３ａの使用量を少なくすることができる
と共に、気密を施す作業に便利である。

【００２４】つぎにまた、本発明の他の実施の形態を図
５を参照して説明する。図５に示す建物の壁体構造は、
シール材３ｂが内壁材８の裏面側で開口部８ａ周縁に貼
り付けられ、空気調和機１の室内側正面と相対する開口
部８ａ周縁の内壁材８裏面との間が気密になされて取り
付けられているものであって、上記以外は基本的に前記
第１の実施の形態と同一の構造になっている。従って、
同一の所は第１の実施の形態と同符号で示し、詳細な説
明を省略する。

【００２５】本実施の形態に示す建物の壁体構造におい
て、シール材３ｂが内壁材８の開口部８ａの周縁部に貼
り付けられているものであるから、第１の実施の形態に
比べてシール材３ｂの使用量を少なくすることができる
と共に、気密を施す作業に便利である。

【００２６】

【発明の効果】請求項１の建物の壁体構造においては、
空気調和機の室内側正面と相対する内壁材裏面との間が
気密になされているものであるから、建物の気密性が向
上し、空気調和に要する電力等のエネルギーを少なくす
ることができる。また、冬季暖房時等において、室内の
暖かい空気が開口部を通じて外壁材と内壁材の間に流れ
込むことはないので、結露による断熱性の低下や建物部
材の腐食等を防止できる。

【００２７】請求項２の建物の壁体構造においては、空
気調和機の室内側正面と相対する開口部周縁部の内壁材
裏面との間が気密になされているものであるから、シー
ル材の使用量を少なくすることができ、経済的である。

【００２８】請求項３の建物のユニットにおいては、建
物ユニットを製造する製造工程で空気調和機を取り付け
ることができ、建築現場で取り付ける手間が省けると共
に、気密性が高いレベルで安定した建物ユニットとする
ことができる。

【００２９】請求項４と５の発明においては、空気調和
機または内壁材にシール材が取り付けられているもので
あるから、隙間をコーキング剤等で埋めたりする必要が
なくなり、室内側の美観が向上すると共に、施工に便利
である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施の形態であって、建物の壁
体構造を示す横断面図である。

【図２】図１の空気調和機の室内側正面を示す斜視図で
ある。

【図３】化粧グリルを取り外して示した図１の建物の壁
体構造の斜視図である。

【図４】本発明の別の実施の形態であって、空気調和機
の室内側正面を示す斜視図である。

【図５】本発明の他の実施の形態であって、内壁材の裏
面を示す斜視図である。

【符号の説明】

１ 空気調和機 １ｂ 吸気口 １ｃ 吹出口 ３、３ａ、３ｂ シール材 ８ 内壁材 ８ａ 開口部 ９ 外壁材

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 建物の外壁材と内壁材との間に空気調和
   機が取り付けられた建物の壁体構造において、前記空気
   調和機の室内側正面には、室内の空気を吸気する吸気口
   と、この吸気した空気を空気調和して室内に吹き出す吹
   出口が設けられ、前記内壁材にはこの吸気口と吹出口と
   を室内に通じさせる開口部が設けられ、空気調和機の室
   内側正面と相対する内壁材裏面との間がシール材で気密
   になされていることを特徴とする建物の壁体構造。
2. 【請求項２】 空気調和機の室内側正面と相対する開口
   部周縁の内壁材裏面との間がシール材で気密になされて
   いることを特徴とする請求項１記載の建物の壁体構造。
3. 【請求項３】 外壁材と内壁材との間に空気調和機が取
   り付けられた建物ユニットにおいて、前記空気調和機の
   室内側正面には、室内の空気を吸気する吸気口と、この
   吸気した空気を空気調和して室内に吹き出す吹出口が設
   けられ、前記内壁材にはこの吸気口と吹出口とを室内に
   通じさせる開口部が設けられ、空気調和機の室内側正面
   と相対する内壁材裏面との間がシール材で気密になされ
   ていることを特徴とする建物ユニット。
4. 【請求項４】 室内の空気を吸気する吸気口と、この吸
   気した空気を空気調和して室内に吹き出す吹出口とが室
   内側正面に設けられた空気調和機において、吸気口と吹
   出口の周囲にシール材が取り付けられていることを特徴
   とする空気調和機。
5. 【請求項５】 開口部が設けられた建物用内壁材の裏面
   側開口部周囲にシール材が取り付けられている建物用内
   壁材。