JPH09217108A - 低窒素ステンレス鋼の製造方法 - Google Patents
低窒素ステンレス鋼の製造方法Info
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- JPH09217108A JPH09217108A JP4692497A JP4692497A JPH09217108A JP H09217108 A JPH09217108 A JP H09217108A JP 4692497 A JP4692497 A JP 4692497A JP 4692497 A JP4692497 A JP 4692497A JP H09217108 A JPH09217108 A JP H09217108A
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- blown
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 大気圧下において、大量のArガスを用い
ることなく低コストで低窒素ステンレス鋼を製造する。 【解決手段】 底吹き羽口2と上吹きランス1とを備え
た容器内の含Cr溶銑に対し、上吹きランス2から、N2
で希釈した脱炭用O2を上吹きするとともに、底吹き羽
口1からN2を吹き込んで溶銑を強攪拌することにより
脱炭吹錬を開始する。そして鋼中Cが、脱炭速度が低下
する濃度に達するまでに、脱炭用O2希釈ガスをN2から
Arに切換え脱炭吹錬を続ける。その吹錬終了後、Fe-Si
またはAl等の脱酸剤を投入し、溶鋼をArにより底吹き攪
拌する。
ることなく低コストで低窒素ステンレス鋼を製造する。 【解決手段】 底吹き羽口2と上吹きランス1とを備え
た容器内の含Cr溶銑に対し、上吹きランス2から、N2
で希釈した脱炭用O2を上吹きするとともに、底吹き羽
口1からN2を吹き込んで溶銑を強攪拌することにより
脱炭吹錬を開始する。そして鋼中Cが、脱炭速度が低下
する濃度に達するまでに、脱炭用O2希釈ガスをN2から
Arに切換え脱炭吹錬を続ける。その吹錬終了後、Fe-Si
またはAl等の脱酸剤を投入し、溶鋼をArにより底吹き攪
拌する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は低窒素ステンレス鋼
の製造方法に関する。
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ステンレス鋼の製造において高Cr銑を大
気圧下で脱炭吹錬する場合、溶銑中に大量の不活性ガス
を攪拌ガスとして吹き込む必要がある。通常使用し得る
この種のガスとしてはN2及びArがあるが、製造対象が
低窒素ステンレス鋼である場合、N2は鋼中N濃度を高
めるため使用できず、このため高価なArを使用せざるを
得ない。しかし、Arを大量に使用するため実際にはコス
ト的に問題がある。このようなことから、低窒素ステン
レス鋼の製造は、脱窒が容易な真空吹錬によるのが通常
である。
気圧下で脱炭吹錬する場合、溶銑中に大量の不活性ガス
を攪拌ガスとして吹き込む必要がある。通常使用し得る
この種のガスとしてはN2及びArがあるが、製造対象が
低窒素ステンレス鋼である場合、N2は鋼中N濃度を高
めるため使用できず、このため高価なArを使用せざるを
得ない。しかし、Arを大量に使用するため実際にはコス
ト的に問題がある。このようなことから、低窒素ステン
レス鋼の製造は、脱窒が容易な真空吹錬によるのが通常
である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような従
来の問題に鑑みなされたもので、大気圧下において、大
量のArガスを用いることなく低コストで低窒素ステンレ
ス鋼を製造することができる方法を提供しようとするも
のである。
来の問題に鑑みなされたもので、大気圧下において、大
量のArガスを用いることなく低コストで低窒素ステンレ
ス鋼を製造することができる方法を提供しようとするも
のである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、転炉型容
器による高Cr溶銑の脱炭をCr酸化ロスを抑えしかも短時
間で行うことができる方法として、容器内の高Cr溶銑に
対し、上吹きランスから、不活性ガスで希釈した脱炭用
O2を上吹きするとともに、底吹き羽口から不活性ガス
を吹き込んで溶銑を強攪拌するようにした新たな方法を
開発した。
器による高Cr溶銑の脱炭をCr酸化ロスを抑えしかも短時
間で行うことができる方法として、容器内の高Cr溶銑に
対し、上吹きランスから、不活性ガスで希釈した脱炭用
O2を上吹きするとともに、底吹き羽口から不活性ガス
を吹き込んで溶銑を強攪拌するようにした新たな方法を
開発した。
【0005】ところが、この脱炭吹錬技術を利用して低
窒素ステンレス鋼を製造する場合においても、不活性ガ
スとしてArを終始用いたのでは依然として製造コストが
かさむ問題は何ら解決できない一方、廉価なN2ガスを
単純に用いれば低窒素化が達成できない。そこで、この
脱炭吹錬技術を基にし、脱炭時の鋼中Nの変化に着目し
て検討を行った結果、少なくとも脱炭速度が低下する以
降にのみArガスを用いれば、それ以前はN2ガスを用い
ても鋼中の窒素が高濃度とならないことを見い出した。
さらに、脱炭終了後、Fe-Si、Al等の脱酸剤を投入して
大量のAr底吹きによるリンス処理を行うことが脱窒に非
常に有効であることも見い出した。
窒素ステンレス鋼を製造する場合においても、不活性ガ
スとしてArを終始用いたのでは依然として製造コストが
かさむ問題は何ら解決できない一方、廉価なN2ガスを
単純に用いれば低窒素化が達成できない。そこで、この
脱炭吹錬技術を基にし、脱炭時の鋼中Nの変化に着目し
て検討を行った結果、少なくとも脱炭速度が低下する以
降にのみArガスを用いれば、それ以前はN2ガスを用い
ても鋼中の窒素が高濃度とならないことを見い出した。
さらに、脱炭終了後、Fe-Si、Al等の脱酸剤を投入して
大量のAr底吹きによるリンス処理を行うことが脱窒に非
常に有効であることも見い出した。
【0006】本発明はこのような知見に基づいてなされ
たもので、その特徴は、底吹き羽口と上吹きランスとを
備えた容器内の含Cr溶銑に対し、上吹きランスから、N
2で希釈した脱炭用O2を上吹きするとともに、底吹き羽
口からN2を吹き込んで溶銑を強攪拌することにより脱
炭吹錬を開始し、脱炭途中であって、鋼中Cが、脱炭速
度が低下する濃度に達するまでに、脱炭用O2希釈ガス
をN2からArに切換え、該吹錬終了後、Fe-SiまたはAl等
の脱酸剤を投入し、溶鋼をArにより底吹き攪拌するよう
にしたことにある。
たもので、その特徴は、底吹き羽口と上吹きランスとを
備えた容器内の含Cr溶銑に対し、上吹きランスから、N
2で希釈した脱炭用O2を上吹きするとともに、底吹き羽
口からN2を吹き込んで溶銑を強攪拌することにより脱
炭吹錬を開始し、脱炭途中であって、鋼中Cが、脱炭速
度が低下する濃度に達するまでに、脱炭用O2希釈ガス
をN2からArに切換え、該吹錬終了後、Fe-SiまたはAl等
の脱酸剤を投入し、溶鋼をArにより底吹き攪拌するよう
にしたことにある。
【0007】ところで一般に、Fe-SiやAl等は脱炭終了
後のスラグ中のCr還元及び脱酸の目的で溶鋼中に投入さ
れるが、本発明はこのような脱酸剤投入とともに、Arに
よる底吹き攪拌を実施するものであり、これによりCr還
元及び脱酸に加え、鋼中Nが効果的に除去される。これ
は、Fe-Si等の脱酸剤の投入により溶鋼が脱酸(70〜150
ppm→50ppm)されることに伴い、Nが抜け易い状態にな
り、これをArで攪拌することによりNが溶鋼中から容易
に抜け、鋼の脱窒がなされることによるものである。こ
のAr底吹きは、通常0.5〜5Nm3/分・溶鋼ton、5〜10
分間程度行われる。
後のスラグ中のCr還元及び脱酸の目的で溶鋼中に投入さ
れるが、本発明はこのような脱酸剤投入とともに、Arに
よる底吹き攪拌を実施するものであり、これによりCr還
元及び脱酸に加え、鋼中Nが効果的に除去される。これ
は、Fe-Si等の脱酸剤の投入により溶鋼が脱酸(70〜150
ppm→50ppm)されることに伴い、Nが抜け易い状態にな
り、これをArで攪拌することによりNが溶鋼中から容易
に抜け、鋼の脱窒がなされることによるものである。こ
のAr底吹きは、通常0.5〜5Nm3/分・溶鋼ton、5〜10
分間程度行われる。
【0008】一方上述したように本発明者等は、大気圧
下においてCr酸化ロスを抑え、しかも短時間で脱炭を行
うことができる方法として、底吹き羽口と上吹きランス
とを備えた容器内の高Cr溶銑に対し、上吹きランスか
ら、不活性ガスで希釈した脱炭用O2を上吹きするとと
もに、底吹き羽口から不活性ガスを吹き込んで溶銑を強
攪拌することを内容とする新たな方法を創案した。以
下、この脱炭法を図1の模式図に基づいて説明すると、
まず、この方法では次のような条件で脱炭処理がなされ
る。
下においてCr酸化ロスを抑え、しかも短時間で脱炭を行
うことができる方法として、底吹き羽口と上吹きランス
とを備えた容器内の高Cr溶銑に対し、上吹きランスか
ら、不活性ガスで希釈した脱炭用O2を上吹きするとと
もに、底吹き羽口から不活性ガスを吹き込んで溶銑を強
攪拌することを内容とする新たな方法を創案した。以
下、この脱炭法を図1の模式図に基づいて説明すると、
まず、この方法では次のような条件で脱炭処理がなされ
る。
【0009】O2の供給は専ら上吹きランス1から行
い、O2底吹きは行わない。 上吹きランス1からは、純O2ではなく、不活性ガス
で希釈したO2を供給する。 底吹き羽口2からは不活性ガスを吹き込んで強攪拌す
る。
い、O2底吹きは行わない。 上吹きランス1からは、純O2ではなく、不活性ガス
で希釈したO2を供給する。 底吹き羽口2からは不活性ガスを吹き込んで強攪拌す
る。
【0010】従来知られているAOD法ではO2を炉底
側の羽口から吹き込む方法が採られているが、本発明者
等の検討によれば、底吹きO2がCr酸化ロスを増大させ
る大きな原因であることが判った。すなわち、O2底吹
きでは溶鋼静圧が加わるためCO分圧が高くなり、この
結果、脱炭反応が阻害され、脱炭用O2がCrを酸化させ
てしまう。このため本脱炭法ではO2底吹きは行わず、
上吹きランス1から送酸を行う。
側の羽口から吹き込む方法が採られているが、本発明者
等の検討によれば、底吹きO2がCr酸化ロスを増大させ
る大きな原因であることが判った。すなわち、O2底吹
きでは溶鋼静圧が加わるためCO分圧が高くなり、この
結果、脱炭反応が阻害され、脱炭用O2がCrを酸化させ
てしまう。このため本脱炭法ではO2底吹きは行わず、
上吹きランス1から送酸を行う。
【0011】しかし、この上吹きを単に純O2で行うだ
けではCr酸化ロスを適切に防止し得ないことが判った。
これは、脱炭反応はランス送酸による火点においても最
も激しく生じるが、O2だけの送酸ではこの部分のCO
分圧が非常に高くなり、この結果脱炭反応が阻害され、
O2がCrを酸化させてしまうことによるのである。この
ため、本脱炭法では不活性ガスで希釈したO2を上吹き
するようにし、これによって火点におけるCO分圧を下
げ脱炭反応を促進させるようにしたものである。なお、
上吹きランスからは処理時間を短くするため大量送酸す
ることが好ましい。
けではCr酸化ロスを適切に防止し得ないことが判った。
これは、脱炭反応はランス送酸による火点においても最
も激しく生じるが、O2だけの送酸ではこの部分のCO
分圧が非常に高くなり、この結果脱炭反応が阻害され、
O2がCrを酸化させてしまうことによるのである。この
ため、本脱炭法では不活性ガスで希釈したO2を上吹き
するようにし、これによって火点におけるCO分圧を下
げ脱炭反応を促進させるようにしたものである。なお、
上吹きランスからは処理時間を短くするため大量送酸す
ることが好ましい。
【0012】さらに本脱炭法では、溶湯と上吹きO2と
の混合を促進させるため、底吹き羽口2から不活性ガス
を吹き込み、溶湯を強攪拌するものであり、この底吹き
不活性ガスによる強攪拌と、上記ランスによる不活性ガ
ス希釈O2の上吹きとの組合せによりCr酸化ロスを抑え
た効率的な脱炭処理が可能となる。
の混合を促進させるため、底吹き羽口2から不活性ガス
を吹き込み、溶湯を強攪拌するものであり、この底吹き
不活性ガスによる強攪拌と、上記ランスによる不活性ガ
ス希釈O2の上吹きとの組合せによりCr酸化ロスを抑え
た効率的な脱炭処理が可能となる。
【0013】溶湯を強攪拌するためには大量の不活性ガ
スを吹き込む必要がある。具体的には、Cr酸化ロスを1
%以下とするためには0.5Nm3/分・溶湯ton以上、またC
r酸化ロスを0.5%以下とするためには1Nm3/分・溶湯t
on以上の量のガスを底吹きする必要がある。但し、ガス
量が多すぎると溶湯が飛散して問題を生じる恐れがあ
り、このため本脱炭法では0.5〜5Nm3/分・溶湯ton、
好ましくは1〜3Nm3/分・溶湯ton程度の量のガスが吹
き込まれる。
スを吹き込む必要がある。具体的には、Cr酸化ロスを1
%以下とするためには0.5Nm3/分・溶湯ton以上、またC
r酸化ロスを0.5%以下とするためには1Nm3/分・溶湯t
on以上の量のガスを底吹きする必要がある。但し、ガス
量が多すぎると溶湯が飛散して問題を生じる恐れがあ
り、このため本脱炭法では0.5〜5Nm3/分・溶湯ton、
好ましくは1〜3Nm3/分・溶湯ton程度の量のガスが吹
き込まれる。
【0014】また、本発明者等は、鋼中Nに関し、脱炭
反応が活発な時期には鋼中Nが低く、脱炭速度が低下し
てくる時期から鋼中Nが著しく上昇する事を見い出し
た。これは、脱炭反応により発生するCOガスが鋼中N
を吸収し放出させるが、脱炭速度が低下するとN2ガス
から鋼中へのN吸収の方が大きくなるためである。
反応が活発な時期には鋼中Nが低く、脱炭速度が低下し
てくる時期から鋼中Nが著しく上昇する事を見い出し
た。これは、脱炭反応により発生するCOガスが鋼中N
を吸収し放出させるが、脱炭速度が低下するとN2ガス
から鋼中へのN吸収の方が大きくなるためである。
【0015】ここで、一般に、脱炭速度は鋼中〔C〕濃
度が高いほど速い(厳密には鋼中〔C〕が高濃度では脱
炭反応が高速度状態を維持する)。換言すれば、鋼中
〔C〕濃度が所定値まで低下するとそれ以降は脱炭速度
が低下する。すなわち、鋼中〔C〕濃度が、脱炭速度が
低下してしまう濃度に至るとCOガスの発生が低下し、
鋼中Nが急激に上昇することになる。このため、脱炭用
O2の希釈ガスとして、当初はN2ガスを使用しておき、
脱炭途中において、鋼中〔C〕が、脱炭速度が低下する
濃度に達するまでに、前記N2をArに切り換え、引き続
き脱炭を行うことにより、高価なArに比較して低廉なN
2ガスを有効に使用でき、製造コストを適切に低減させ
ることができる。
度が高いほど速い(厳密には鋼中〔C〕が高濃度では脱
炭反応が高速度状態を維持する)。換言すれば、鋼中
〔C〕濃度が所定値まで低下するとそれ以降は脱炭速度
が低下する。すなわち、鋼中〔C〕濃度が、脱炭速度が
低下してしまう濃度に至るとCOガスの発生が低下し、
鋼中Nが急激に上昇することになる。このため、脱炭用
O2の希釈ガスとして、当初はN2ガスを使用しておき、
脱炭途中において、鋼中〔C〕が、脱炭速度が低下する
濃度に達するまでに、前記N2をArに切り換え、引き続
き脱炭を行うことにより、高価なArに比較して低廉なN
2ガスを有効に使用でき、製造コストを適切に低減させ
ることができる。
【0016】脱炭用O2希釈ガスの切換時期を具体例と
して示すと、後述する実施例から得られた図3におい
て、溶鋼中〔C〕量が0.8〜2.0wt%の範囲で、N2からA
rの切換を行うことが好ましいものとなっている。すな
わち、上記切換の時期が早過ぎると、それだけ高価なAr
ガスを多量に使用しなければならずコスト高となるの
で、溶鋼中〔C〕が2.0wt%以下が好ましいものとなっ
ている。一方、切換時期が遅すぎる(C濃度が低くなり
過ぎる)と、図示のように十分な脱窒効果が得られず、
このため切換は溶鋼中〔C〕が0.8wt%以上にある時点
で行うのが好ましいものとなっている。
して示すと、後述する実施例から得られた図3におい
て、溶鋼中〔C〕量が0.8〜2.0wt%の範囲で、N2からA
rの切換を行うことが好ましいものとなっている。すな
わち、上記切換の時期が早過ぎると、それだけ高価なAr
ガスを多量に使用しなければならずコスト高となるの
で、溶鋼中〔C〕が2.0wt%以下が好ましいものとなっ
ている。一方、切換時期が遅すぎる(C濃度が低くなり
過ぎる)と、図示のように十分な脱窒効果が得られず、
このため切換は溶鋼中〔C〕が0.8wt%以上にある時点
で行うのが好ましいものとなっている。
【0017】ここで、脱炭用O2の希釈ガスをN2からAr
に切り換えるのは、脱炭吹錬ではランスの火点部分でN
の吸収が最も激しいことから、Nの放出が低減する脱炭
速度が低下する時期に、そのような部分でN2を希釈ガ
スとして使用すると極めて大量のNが溶湯中に溶け込ん
でしまうので、そのようなN吸収を最大限に防止し、溶
鋼中の窒素濃度の上昇を効果的に抑えるためである。
に切り換えるのは、脱炭吹錬ではランスの火点部分でN
の吸収が最も激しいことから、Nの放出が低減する脱炭
速度が低下する時期に、そのような部分でN2を希釈ガ
スとして使用すると極めて大量のNが溶湯中に溶け込ん
でしまうので、そのようなN吸収を最大限に防止し、溶
鋼中の窒素濃度の上昇を効果的に抑えるためである。
【0018】
【発明の実施の形態】まず、本発明の構成要素であるAr
リンスの効果の試験例を説明する。またその試験例で
は、本発明における脱炭用O2希釈ガス種の切換効果を
明瞭にするため、不活性ガスは切り換えない条件で行っ
た。
リンスの効果の試験例を説明する。またその試験例で
は、本発明における脱炭用O2希釈ガス種の切換効果を
明瞭にするため、不活性ガスは切り換えない条件で行っ
た。
【0019】上吹きランス及び底吹き羽口を有する転炉
型容器を用い、以下の(A)〜(E)の方法により、高Cr溶銑
を脱炭吹錬した後、Arリンス(Fe-Si投入+Ar底吹き)
を実施し、Cr:18%、C:0.05%のステンレス鋼を製造
した。
型容器を用い、以下の(A)〜(E)の方法により、高Cr溶銑
を脱炭吹錬した後、Arリンス(Fe-Si投入+Ar底吹き)
を実施し、Cr:18%、C:0.05%のステンレス鋼を製造
した。
【0020】 (A) 脱炭吹錬 上吹きガス:O2+N2(希釈) 底吹きガス:N2(2Nm3/分・溶鋼ton) Arリンス 底吹きガス:Ar(0.1Nm3/分・溶鋼ton) (B) 脱炭吹錬 上吹きガス:O2+N2(希釈) 底吹きガス:N2(2Nm3/分・溶鋼ton) Arリンス 底吹きガス:Ar(0.5Nm3/分・溶鋼ton) (C) 脱炭吹錬 上吹きガス:O2+N2(希釈) 底吹きガス:N2(2Nm3/分・溶鋼ton) Arリンス 底吹きガス:Ar(1Nm3/分・溶鋼ton) (D) 脱炭吹錬 上吹きガス:O2+N2(希釈) 底吹きガス:N2(2Nm3/分・溶鋼ton) Arリンス 底吹きガス:Ar(2Nm3/分・溶鋼ton) (E) 脱炭吹錬 上吹きガス:O2+Ar(希釈) 底吹きガス:N2(2Nm3/分・溶鋼ton) Arリンス 底吹きガス:Ar(2Nm3/分・溶鋼ton)
【0021】図2はArリンス中の脱窒速度に及ぼす底吹
きArガス量の影響を示したものである。まずリンス開始
時の溶鋼中〔N〕濃度を見ると、いずれも後述する本発
明の実施例(イ)よりかなり高いが、その後鋼中〔N〕濃
度の減少値について見ると、いずれの場合もArリンスに
より溶鋼の脱窒が効果的になされることが判る。しかし
一方で、鋼中〔N〕濃度を見ると、(A)〜(C)の例では最
終N濃度が750〜1750ppmとまだ高く、Arガス量が2Nm3
/分・溶鋼tonである(D)の場合でも、リンス時間4〜5
分でN:500〜600ppm、12分後でも250ppmであって本発
明で得ようとする低窒素化のレベルまでは達成できてい
ない。また、脱炭時にO2の希釈ガスとしてArを使用し
た(E)の場合、脱炭終了時のN濃度が(A)〜(D)の場合の
約半分の1000ppm程度、リンス時間2分で250ppmまで低
下するが、その一方で、(E)では上吹きガスとして終始
高価なArを用いており、コストが割高となっている。
きArガス量の影響を示したものである。まずリンス開始
時の溶鋼中〔N〕濃度を見ると、いずれも後述する本発
明の実施例(イ)よりかなり高いが、その後鋼中〔N〕濃
度の減少値について見ると、いずれの場合もArリンスに
より溶鋼の脱窒が効果的になされることが判る。しかし
一方で、鋼中〔N〕濃度を見ると、(A)〜(C)の例では最
終N濃度が750〜1750ppmとまだ高く、Arガス量が2Nm3
/分・溶鋼tonである(D)の場合でも、リンス時間4〜5
分でN:500〜600ppm、12分後でも250ppmであって本発
明で得ようとする低窒素化のレベルまでは達成できてい
ない。また、脱炭時にO2の希釈ガスとしてArを使用し
た(E)の場合、脱炭終了時のN濃度が(A)〜(D)の場合の
約半分の1000ppm程度、リンス時間2分で250ppmまで低
下するが、その一方で、(E)では上吹きガスとして終始
高価なArを用いており、コストが割高となっている。
【0022】次に本発明に係る工程をすべて行った実施
例を説明する。上記試験例と同様の転炉型容器を用い、
以下に示す(イ)の方法により、高Cr溶銑を脱炭吹錬した
後、Arリンス(Fe-Si投入+Ar底吹き)を実施し、Cr:1
8%、C:0.05%のステンレス鋼を製造した。
例を説明する。上記試験例と同様の転炉型容器を用い、
以下に示す(イ)の方法により、高Cr溶銑を脱炭吹錬した
後、Arリンス(Fe-Si投入+Ar底吹き)を実施し、Cr:1
8%、C:0.05%のステンレス鋼を製造した。
【0023】(イ) 脱炭吹錬 :脱炭用O2の希釈ガスと
して脱炭初期N2を用い、吹錬途中の種
々の溶鋼中〔C〕値の時点でN2をArに切り換えた。 Arリンス :底吹きガスAr(2Nm3/分・溶鋼tonで5分
間実施)
して脱炭初期N2を用い、吹錬途中の種
々の溶鋼中〔C〕値の時点でN2をArに切り換えた。 Arリンス :底吹きガスAr(2Nm3/分・溶鋼tonで5分
間実施)
【0024】図3は、脱炭吹錬終了時の溶鋼〔N〕に及
ぼす脱炭用O2希釈ガスのガス種切換時期の影響を示す
ものである。図示のように、溶鋼中の〔C〕が略0.8%
以下になると〔N〕量が急激に増加し、1%を過ぎると
〔N〕は低値で平衡状態となるのが判る。これらのう
ち、脱炭吹錬中のN2→Arの切換を溶鋼〔C〕1%で実
施した一例を示すと、脱炭吹錬後の〔N〕は500ppm程
度、Arリンス後は130ppmと、本発明によれば200ppm以下
の低Nステンレス鋼がArガスを大量に使用することなく
容易に得られることが判る。
ぼす脱炭用O2希釈ガスのガス種切換時期の影響を示す
ものである。図示のように、溶鋼中の〔C〕が略0.8%
以下になると〔N〕量が急激に増加し、1%を過ぎると
〔N〕は低値で平衡状態となるのが判る。これらのう
ち、脱炭吹錬中のN2→Arの切換を溶鋼〔C〕1%で実
施した一例を示すと、脱炭吹錬後の〔N〕は500ppm程
度、Arリンス後は130ppmと、本発明によれば200ppm以下
の低Nステンレス鋼がArガスを大量に使用することなく
容易に得られることが判る。
【0025】
【発明の効果】以上述べた本発明によれば、大量のArガ
スを用いることなく、低コストでかつ少なくとも窒素量
を200ppm以下に抑えた低窒素ステンレス鋼を製造するこ
とができ、またこのような効果に加え、低窒素ステンレ
ス鋼をCr酸化ロスを抑え、しかも短時間で製造できる効
果がある。
スを用いることなく、低コストでかつ少なくとも窒素量
を200ppm以下に抑えた低窒素ステンレス鋼を製造するこ
とができ、またこのような効果に加え、低窒素ステンレ
ス鋼をCr酸化ロスを抑え、しかも短時間で製造できる効
果がある。
【図1】本発明法に係る脱炭処理法が実施される設備を
模式的に示す説明図である。
模式的に示す説明図である。
【図2】Arリンス中の脱窒速度に及ぼす底吹きAr量の影
響を示す試験結果である。
響を示す試験結果である。
【図3】脱炭吹錬において、上吹き希釈ガス種をN2か
らArへ変更した時の溶鋼〔C〕値と吹錬終了後の溶鋼
〔N〕値の関係を示すグラフである。
らArへ変更した時の溶鋼〔C〕値と吹錬終了後の溶鋼
〔N〕値の関係を示すグラフである。
1 上吹きランス 2 底吹き羽口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩崎 克博 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 井上 茂 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内
Claims (2)
- 【請求項1】 底吹き羽口と上吹きランスとを備えた容
器内の含Cr溶銑に対し、上吹きランスから、N2で希釈
した脱炭用O2を上吹きするとともに、底吹き羽口から
N2を吹き込んで溶銑を強攪拌することにより脱炭吹錬
を開始し、脱炭途中であって、鋼中Cが、脱炭速度が低
下する濃度に達するまでに、脱炭用O2希釈ガスをN2か
らArに切換え、該吹錬終了後、Fe-SiまたはAl等の脱酸
剤を投入し、溶鋼をArにより底吹き攪拌することを特徴
とする低窒素ステンレス鋼の製造方法。 - 【請求項2】 底吹き羽口と上吹きランスとを備えた容
器内の含Cr溶銑に対し、上吹きランスから、N2で希釈
した脱炭用O2を上吹きするとともに、底吹き羽口から
N2を吹き込んで溶銑を強攪拌することにより脱炭吹錬
を開始し、脱炭途中であって、鋼中C濃度が0.8wt%に
達するまでに、脱炭用O2希釈ガスをN2からArに切換
え、該吹錬終了後、Fe-SiまたはAl等の脱酸剤を投入
し、溶鋼をArにより底吹き攪拌することを特徴とする低
窒素ステンレス鋼の製造方法。
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JP2002079069A (ja) * | 2000-09-07 | 2002-03-19 | Hokkaido Technology Licence Office Co Ltd | 攪拌装置および融雪装置 |
KR100523106B1 (ko) * | 2001-12-17 | 2005-10-19 | 주식회사 포스코 | 저질소 스테인레스강의 정련 방법 |
KR100887860B1 (ko) * | 2002-11-11 | 2009-03-09 | 주식회사 포스코 | 페라이트계 스테인레스강의 제조방법 |
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JPS57110608A (en) * | 1980-12-26 | 1982-07-09 | Kawasaki Steel Corp | Method for deoxidation in bottom blown converter |
JPS62130210A (ja) * | 1985-11-30 | 1987-06-12 | Kawasaki Steel Corp | ステンレス鋼の溶製方法 |
-
1997
- 1997-02-17 JP JP9046924A patent/JP2751924B2/ja not_active Expired - Fee Related
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