JPH09213375A - 非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池

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JPH09213375A
JPH09213375A JP8018828A JP1882896A JPH09213375A JP H09213375 A JPH09213375 A JP H09213375A JP 8018828 A JP8018828 A JP 8018828A JP 1882896 A JP1882896 A JP 1882896A JP H09213375 A JPH09213375 A JP H09213375A
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JP
Japan
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lithium
positive electrode
battery
weight
aqueous electrolyte
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JP8018828A
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English (en)
Inventor
Takayuki Yamahira
隆幸 山平
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Original Assignee
Sony Corp
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 過充電時に電流遮断装置が確実に作動し、急
速な温度上昇などの過充電に伴う電池内部の異常反応を
阻止し、急速に電池が破損することを防止する非水電解
質二次電池を提供する。 【解決手段】 リチウムをドープ及び脱ドープ可能な負
極1と、リチウム複合酸化物よりなる正極2と、非水電
解質と、電池内圧の上昇に応じて作動する電流遮断装置
8とを備えた非水電解質二次電池の正極2に、解離定数
または第一解離定数が10-2以下である脂肪族カルボン
酸または芳香族カルボン酸のリチウム塩を所量添加す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非水電解質二次電
池に関し、特に防爆型密閉構造の非水電解質二次電池に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子技術の進歩により、電子機器
の高性能化、小型化、ポータブル化が進み、これら電子
機器には、高エネルギー密度の高い二次電池が要求され
ている。従来、これら電子機器に使用される二次電池と
しては、ニッケル・カドミウム電池や鉛電池などが挙げ
られるが、これら電池では放電電圧が低く、エネルギー
密度が高い電池を得るという点では不十分である。
【0003】最近、非水電解質二次電池において、負極
には、リチウムやリチウム合金もしくは炭素材料のよう
なリチウムイオンをドープ、脱ドープ可能な物質を用
い、また正極には、リチウムコバルト複合酸化物などの
リチウム複合酸化物が用いる研究・開発が行われてい
る。この電池は、電池電圧が高く、高エネルギー密度を
有し、自己放電も少なく、かつ、サイクル特性に優れて
いる。
【0004】ところで、一般に密閉型の非水電解質二次
電池では、充電器や電池使用機器の故障などが原因し
て、充電時に所定以上の電気量の電流が流れて過充電状
態になると電池電圧が高くなり、電解液が分解してガス
発生し電池内圧が上昇する。さらに、この過充電状態が
続くと、電解質や活物質の急速な分解といった異常反応
が起こり、急激な電池温度上昇が見られることがある。
【0005】かかる問題の対策として、特願昭63−2
65783号公報において防爆型密閉電池が提案されて
いる。この防爆型密閉電池は、電池内圧の上昇に応じて
作動する電流遮断装置を備えている。この電流遮断装置
を備えた電池は、例えば過充電状態が進んで電池内部の
化学変化によりガスが発生・充満しそのガスの充満によ
り電池内圧が上昇し始めると、電流遮断装置が作動して
充電電流を遮断する。これにより、防爆型密閉電池は、
電池内部の異常反応の進行を停止させ、急激な電池温度
の上昇や電池内圧の上昇を防ぐことができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記防
爆型密閉電池の構造をもち、負極にリチウムやリチウム
合金もしくは炭素材料のようなドープ・脱ドープ可能な
物質を用い、また正極にリチウムコバルト酸化物などの
リチウム複合酸化物を用いた非水電解質二次電池は、過
充電状態にした場合、電流遮断装置の作動するタイミン
グが一定せず、急速に温度が上昇するなどの電池内部の
異常反応を早期に停止できずに電池が破損することがあ
った。
【0007】本発明者らが、この防爆型密閉電池におけ
る問題の原因について調査したところ、電池内圧がそれ
ほど上昇していない時に急速な温度上昇や電池の破損が
起こることが判明した。
【0008】本発明は、上述のような問題点に鑑みてな
されたものであり、過充電時に電流遮断装置が確実に作
動し、急速な温度上昇などの過充電に伴う電池内部の異
常反応を阻止し、急速に電池が破損することを防止した
非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
ために、本発明の非水電解質二次電池は、LiXMO
2(但しMは、1種類以上の遷移金属を表し、0.05
≦X≦1.10である。)を主体とする正極と、リチウ
ムをドープ及び脱ドープ可能な負極と、非水電解質と、
電池内圧の上昇に応じて作動する電流遮断装置とを備え
てなり、上記正極は、正極活物質に対してカルボン酸リ
チウムが0.1重量%〜10重量%添加されてなること
を特徴とする。また、上記カルボン酸リチウムは、解離
定数または第一解離定数が10-2以下である脂肪族カル
ボン酸または芳香族カルボン酸のリチウム塩であること
を特徴とする。
【0010】上記遷移金属は、Co、Ni及びMnの少
なくとも1種類からなることが好ましい。
【0011】本発明の非水電解質二次電池においては、
正極に脂肪族カルボン酸または芳香族カルボン酸のリチ
ウム塩が添加されているので、電池内圧が上昇する前の
急速な温度上昇などの電池内部の異常反応が阻止され、
また過充電時には、炭酸ガスを発生して比較的穏やかに
電池内圧を上昇させ、電流遮断装置を確実に作動させ
る。
【0012】また、ここで用いる脂肪族カルボン酸また
は芳香族カルボン酸のリチウム塩は、カルボン酸の解離
定数が適正な範囲に設定されているので、保存中に副反
応が起こることがなく、容量保存率も確保される。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の非水電解質二次電池は、
LiXMO2(但しMは、1種類以上の遷移金属を表し、
0.05≦X≦1.10である。)を主体とする正極
と、リチウムをドープ及び脱ドープ可能な負極と、非水
電解質と、電池内圧の上昇に応じて作動する電流遮断装
置とを備えてなり、上記正極は、正極活物質に対してカ
ルボン酸のリチウム塩が0.1重量%〜10重量%添加
されてなる。また、上記カルボン酸のリチウム塩は、解
離定数または第一解離定数が10-2以下である脂肪族カ
ルボン酸、又は芳香族カルボン酸のリチウム塩である。
なお、ここで規定する解離定数、第一解離定数は、カル
ボン酸の解離定数、第一解離定数であり、リチウム塩の
それではない。
【0014】カルボン酸のリチウム塩の添加量が0.1
重量%未満の場合、添加効果は無く、10重量%を越え
た場合、電池の内部内部抵抗が高くなり、負荷特性が悪
くなって、カルボン酸リチウムの添加効果は得られな
い。
【0015】また、解離定数または第一解離定数が10
-2を越えるカルボン酸のリチウム塩を添加した電池にお
いては、電解液に溶出するカルボン酸リチウムの量が多
くなって、容量保存率が低下し、カルボン酸リチウムの
添加効果は得られない。
【0016】上記のように、正極にカルボン酸リチウム
を添加すると、過充電時において電池内圧がそれほど上
昇する前に、急速な温度上昇などの電池内部での異常反
応や急速な電池の破損が起こることがない。また、比較
的穏やかに電池内圧が上昇することにより、電流遮断装
置が確実に作動し充電電流を遮断させる。
【0017】この理由については明らかではないが、正
極に添加されたカルボン酸リチウムが電気化学的に分解
されて炭酸ガスを発生することから、何らかの形でこの
炭酸ガスが過充電中での異常反応を抑制し、また、この
炭酸ガスにより電流遮断装置が確実に作動されるためだ
と考えられる。
【0018】本発明において、正極には、LixMO
2(但しMは、1種類以上の遷移金属を表し、0.05
≦x≦1.10である。)を含んだ活物質が使用され
る。上記遷移金属は、Co、Ni及びMnの少なくとも
1種類からなることが好ましい。かかる活物質として
は、LixCoO2、LixNiO2、LixMn24、L
xMnO3、LixNiyCo(1ーy)2、(ただし、0.
05≦x≦1.10、0<y<1)などの複合酸化物が
挙げられる。
【0019】上記複合酸化物は、例えば、リチウム、コ
バルト、ニッケルの炭酸塩を出発原料とし、これら炭酸
塩を組成に応じて混合し、酸素存在雰囲気下600℃〜
1000℃の温度範囲で焼成することにより得られる。
また、出発原料は、炭酸塩に限定されず、水酸化物、酸
化物からも同様に合成可能である。
【0020】一方、負極には、リチウムをドープ及び脱
ドープ可能なものであれば良く、熱分解炭素類、コーク
ス類(ピッチコークス、ニードルコークス、石油コーク
スなど)、グラファイト類、ガラス状炭素類、有機高分
子化合物焼成体(フェノール樹脂、フラン樹脂などを適
当な温度で焼成し炭素化したもの)、炭素繊維、活性炭
などの炭素質材料、あるいは、金属リチウム、リチウム
合金(例えば、リチウム−アルミ合金)の他、ポリアセ
チレン、ポリピロールなどのポリマーも使用可能であ
る。
【0021】電解液には、リチウム塩を電解質とし、こ
れを有機溶媒に溶解させた電解液が用いられる。ここで
有機溶媒としては、特に限定されるものではないが、例
えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネー
ト、1,2−ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、
テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、
1,3−ジオキソラン、スルホラン、アセトニトリル、
ジエチルカーボネート、ジピロピルカーボネートなどの
単独もしくは2種類以上の混合溶媒の使用が可能であ
る。
【0022】電解質には、LiClO4、LiAsF6
LiPF6、LiBF4、LiB(C654、LiC
l、LiBr、CH3SO3Li、CF3SO3Liなどの
使用が可能である。
【0023】また、上記電流遮断装置としては、通常こ
の種の電池に設けられる電流遮断手段がいずれも採用可
能であり、電池の内圧に応じて電流を遮断できるもので
あれば良い。
【0024】
【実施例】以下に、本発明の好適な実施例について、図
面を参照しながら説明する。
【0025】作製した電池の構造 後述する各実施例と各比較例において作製した電池の構
造を図1に示す。本発明に係る非水電解質二次電池は、
図1に示すように、負極集電体9に負極活物質を塗布し
てなる負極1と、正極集電体10に正極活物質を塗布し
てなる正極2とをセパレータ3を介して巻回し、この巻
回体の上下に絶縁体4を載置した状態で電池缶5に収納
してなるものである。
【0026】前記電池缶5には、電池蓋7が封口ガスケ
ット6を介してかしめることによって取り付けられ、そ
れぞれ負極リード11及び正極リード12を介して負極
1及び正極2と電気的に接続され、電池の負極及び正極
として機能するように構成されている。前記正極リード
12は、電流遮断用薄板8に溶接されて取り付けられ、
この電流遮断用薄板8を介して電池蓋7との電気的接続
が図られている。
【0027】前記電流遮断用薄板8は、電池内圧が上昇
するとそれにともなって押し上げられて変形されるよう
になっており、上記正極リード12は、この電流遮断用
薄板8の変形によって電流遮断用薄板8と溶接された部
分を残して切断されるようになっている。
【0028】先ず、蟻酸のリチウム塩を0.1重量%〜
10重量%添加して正極を作製した実施例について説明
する。
【0029】実施例1 まず、正極を次のようにして作製した。正極活物質(L
iCoO2)は、炭酸リチウムと炭酸コバルトをLi/
Co(モル比)=1になるように混合し、空気中で90
0℃、5時間焼成して得た。この試料についてX線回折
測定を行った結果、JCPDSカードのLiCoO2
良く一致していた。また、この試料中の炭酸リチウムを
定量したところ、全く検出されず、0%であった。その
後、自動入鉢を用い、粉砕してLiCoO2を得た。
【0030】なお、試料中の炭酸リチウム量は、試料を
硫酸で分解し生成したCO2を塩化バリウムと水酸化ナ
トリウム溶液中に導入して吸収させた後、塩酸標準溶液
で滴定することによりCO2を定量し、そのCO2量から
換算して求めた。
【0031】このようにして得られた正極活物質(Li
CoO2)を99.9重量%、蟻酸リチウムを0.1重
量%よりなる混合品を91重量%、導電剤としてグラフ
ァイトを6重量%、結着剤としてポリフッ化ビニリデン
3重量%の割合で混合して正極合材を作製し、これをN
−メチル−2ピロリドンに分散してスラリー状とした。
次に、このスラリーを正極集電体10である帯状のアル
ミニウム箔の両面に塗布し、乾燥後ローラープレス機で
圧縮成形した正極2を作製した。
【0032】負極は次のようにして作製した。出発物質
には、石油ピッチを用い、これに酸素を含む官能基を1
0〜20%導入(いわゆる酸素架橋)した後、不活性ガ
ス中1000℃で焼成して得たガラス状炭素に近い性質
の難黒鉛炭素材料を用いた。この試料について、X線回
折測定を行った結果、(002)面の面間隔は0.37
6nmであった。また真比重は、1.58であった。こ
のようにして得られた炭素材料を90重量%、結着剤と
してポリフッ化ビニリデン10重量%の割合で混合して
負極合材を作製し、これをN−メチル−2ピロリドンに
分散してスラリー状とした。次に、このスラリーを負極
集電体9である帯状の銅箔の両面に塗布し、乾燥後ロー
ラープレス機で圧縮形成して負極1を作製した。
【0033】この帯状の負極1、正極2、及び25μm
の微孔性フィルムからなるセパレータ3を順々に積層し
てから渦巻型に多数回巻回することにより巻回体を作製
した。
【0034】次に、ニッケルメッキを施した鉄製の電池
缶5の底部に絶縁板4を挿入し、上記巻回体を収納し
た。そして、負極1の集電をとるためにニッケル製の負
極リード11の一端を負極1に圧着し、他端を電池缶5
に溶接した。また、正極2の集電をとるためにアルミニ
ウム製の正極リード12の一端を正極2に取り付け、他
端を電池内圧に応じて電流を遮断する電流遮断用薄板8
に溶接し、この電流遮断用薄板8を介して電池蓋7に溶
接した。
【0035】この電池缶5の中に、プロピレンカーボネ
ート50容量%、ジエチルカーボネート50容量%の混
合溶媒中にLiPF6を1mol溶解させた電解液を注
入した。そして、アスファルトを塗布した絶縁封口ガス
ケット6を介して電池缶5をかしめることで電池蓋7を
固定し、直径14mm、高さ50mmの円筒形非水電解
質電池(実施例1)を作製した。
【0036】実施例2 実施例1で得たLiCoO2を用い、LiCoO299.
5重量%、蟻酸リチウム0.5重量%として得られる混
合品を91重量%、導電剤としてグラファイトを6重量
%、結着剤としてポリフッ化ビニリデン3重量%の割合
で混合して正極合剤を作製し、これ以外は、実施例1と
全く同様にして円筒型電池(実施例2)を作製した。
【0037】実施例3 実施例1で得たLiCoO2を用い、LiCoO295重
量%、蟻酸リチウム5重量%として得られる混合品を9
1重量%、導電剤としてグラファイトを6重量%、結着
剤としてポリフッ化ビニリデン3重量%の割合で混合し
て正極合剤を作製し、これ以外は、実施例1と全く同様
にして円筒型電池(実施例3)を作製した。
【0038】実施例4 実施例1で得たLiCoO2を用い、LiCoO290重
量%、蟻酸リチウム10重量%として得られる混合品を
91重量%、導電剤としてグラファイトを6重量%、結
着剤としてポリフッ化ビニリデン3重量%の割合で混合
して正極合剤を作製し、これ以外は、実施例1と全く同
様にして円筒型電池(実施例4)を作製した。
【0039】次に、蟻酸リチウム以外の脂肪族飽和カル
ボン酸のリチウム塩を添加して正極を作製した実施例に
ついて説明する。
【0040】実施例5 実施例1で得たLiCoO2を用い、LiCoO299重
量%、酢酸リチウム1.0重量%として得られる混合品
を91重量%、導電剤としてグラファイトを6重量%、
結着剤としてポリフッ化ビニリデン3重量%の割合で混
合して正極合剤を作製し、これ以外は、実施例1と全く
同様にして円筒型電池(実施例5)を作製した。
【0041】実施例6 実施例1で得たLiCoO2を用い、LiCoO299重
量%、プロピオン酸リチウム1.0重量%として得られ
る混合品を91重量%、導電剤としてグラファイトを6
重量%、結着剤としてポリフッ化ビニリデン3重量%の
割合で混合して正極合剤を作製し、これ以外は、実施例
1と全く同様にして円筒型電池(実施例6)を作製し
た。
【0042】実施例7 実施例1で得たLiCoO2を用い、LiCoO299重
量%、酪酸リチウム1.0重量%として得られる混合品
を91重量%、導電剤としてグラファイトを6重量%、
結着剤としてポリフッ化ビニリデン3重量%の割合で混
合して正極合剤を作製し、これ以外は、実施例1と全く
同様にして円筒型電池(実施例7)を作製した。
【0043】実施例8 実施例1で得たLiCoO2を用い、LiCoO299重
量%、吉草酸リチウム1.0重量%として得られる混合
品を91重量%、導電剤としてグラファイトを6重量
%、結着剤としてポリフッ化ビニリデン3重量%の割合
で混合して正極合剤を作製し、これ以外は、実施例1と
全く同様にして円筒型電池(実施例8)を作製した。
【0044】次に、脂肪族飽和ジカルボン酸のリチウム
塩を添加して正極を作製した実施例について説明する。
【0045】実施例9 実施例1で得たLiCoO2を用い、LiCoO299重
量%、マロン酸リチウム1.0重量%として得られる混
合品を91重量%、導電剤としてグラファイトを6重量
%、結着剤としてポリフッ化ビニリデン3重量%の割合
で混合して正極合剤を作製し、これ以外は、実施例1と
全く同様にして円筒型電池(実施例9)を作製した。
【0046】実施例10 実施例1で得たLiCoO2を用い、LiCoO299重
量%、コハク酸リチウム1.0重量%として得られる混
合品を91重量%、導電剤としてグラファイトを6重量
%、結着剤としてポリフッ化ビニリデン3重量%の割合
で混合して正極合剤を作製し、これ以外は、実施例1と
全く同様にして円筒型電池(実施例10)を作製した。
【0047】実施例11 実施例1で得たLiCoO2を用い、LiCoO299重
量%、グルタル酸リチウム1.0重量%として得られる
混合品を91重量%、導電剤としてグラファイトを6重
量%、結着剤としてポリフッ化ビニリデン3重量%の割
合で混合して正極合剤を作製し、これ以外は、実施例1
と全く同様にして円筒型電池(実施例11)を作製し
た。
【0048】次に、不飽和ジカルボン酸のリチウム塩を
添加して正極を作製した実施例について説明する。
【0049】実施例12 実施例1で得たLiCoO2を用い、LiCoO299重
量%、フマル酸リチウム1.0重量%として得られる混
合品を91重量%、導電剤としてグラファイトを6重量
%、結着剤としてポリフッ化ビニリデン3重量%の割合
で混合して正極合剤を作製し、これ以外は、実施例1と
全く同様にして円筒型電池(実施例12)を作製した。
【0050】次に、芳香族カルボン酸のリチウム塩を添
加して正極を作製した実施例について説明する。
【0051】実施例13 実施例1で得たLiCoO2を用い、LiCoO299重
量%、フタル酸リチウム1.0重量%として得られる混
合品を91重量%、導電剤としてグラファイトを6重量
%、結着剤としてポリフッ化ビニリデン3重量%の割合
で混合して正極合剤を作製し、これ以外は、実施例1と
全く同様にして円筒型電池(実施例13)を作製した。
【0052】一方、カルボン酸リチウムの添加量の違い
による効果を実施例と比較するために行った比較例につ
いて説明する。
【0053】比較例1 実施例1で得たLiCoO2を用い、LiCoO291重
量%、導電剤としてグラファイトを6重量%、結着剤と
してポリフッ化ビニリデン3重量%の割合で混合して正
極合剤を作製し、これ以外は、実施例1と全く同様にし
て円筒型電池(比較例1)を作製した。
【0054】比較例2 実施例1で得たLiCoO2を用い、LiCoO299.
95重量%、蟻酸リチウム0.05重量%として得られ
る混合品を91重量%、導電剤としてグラファイトを6
重量%、結着剤としてポリフッ化ビニリデン3重量%の
割合で混合して正極合剤を作製し、これ以外は、実施例
1と全く同様にして円筒型電池(比較例2)を作製し
た。
【0055】比較例3 実施例1で得たLiCoO2を用い、LiCoO285重
量%、蟻酸リチウム15重量%として得られる混合品を
91重量%、導電剤としてグラファイトを6重量%、結
着剤としてポリフッ化ビニリデン3重量%の割合で混合
して正極合剤を作製し、これ以外は、実施例1と全く同
様にして円筒型電池(比較例3)を作製した。
【0056】次に、カルボン酸の解離定数の違いによる
効果を実施例と比較するために行った比較例について説
明する。
【0057】比較例4 実施例1で得たLiCoO2を用い、LiCoO299重
量%、シュウ酸リチウム1.0重量%として得られる混
合品を91重量%、導電剤としてグラファイトを6重量
%、結着剤としてポリフッ化ビニリデン3重量%の割合
で混合して正極合剤を作製し、これ以外は、実施例1と
全く同様にして円筒型電池(比較例4)を作製した。
【0058】比較例5 実施例1で得たLiCoO2を用い、LiCoO299重
量%、マレイン酸リチウム1.0重量%として得られる
混合品を91重量%、導電剤としてグラファイトを6重
量%、結着剤としてポリフッ化ビニリデン3重量%の割
合で混合して正極合剤を作製し、これ以外は、実施例1
と全く同様にして円筒型電池(比較例5)を作製した。
【0059】次に、無機酸のリチウム塩を添加した時の
効果を実施例と比較するために行った比較例について説
明する。
【0060】比較例6 実施例1で得たLiCoO2を用い、LiCoO299重
量%、炭酸リチウム1.0重量%として得られる混合品
を91重量%、導電剤としてグラファイトを6重量%、
結着剤としてポリフッ化ビニリデン3重量%の割合で混
合して正極合剤を作製し、これ以外は、実施例1と全く
同様にして円筒型電池(比較例6)を作製した。
【0061】上述の実施例1〜実施例13、比較例1〜
比較例6の電池を各々20個づつ作製し、印加電圧10
V、電流1.5Aで、電池が機能しなくなる状態まで、
過充電を行った。これにより、電池の急速な温度上昇や
急速な破損が生じるといった電池の損傷品の発生率を調
べた。その結果を表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】上述した電池を最大充電電圧4.2V、充
電電流500mAで7時間充電し、500mAの定電流
で終止電圧2.75Vまで放電させて、初期電池容量を
調べた。その結果を表2に示す。
【0064】
【表2】
【0065】上述した電池を常温で1カ月間保存し、そ
の時の電池容量を調べ、初期の電池容量と比較して容量
保存率の低下を調べた。その結果を表3に示す。
【0066】
【表3】
【0067】また、上述した電池を90℃で10日間保
存し、その時の電池内圧を調べた。その結果を表4に示
す。
【0068】
【表4】
【0069】表1に示したように、正極(LiCo
2)にカルボン酸のリチウム塩が0.1重量%以上添
加された実施例1〜実施例13、比較例3〜比較例6の
電池では、電池損傷品の発生率は極めて低かった。この
ことから、正極にカルボン酸リチウムを添加すること
は、急速な電池温度の上昇や急速に破損を防止する上で
有効であることがわかった。
【0070】しかし、表2からわかるように、カルボン
酸リチウムの添加量が15重量%を越えた比較例3で
は、電池容量の低下が増加している。これは、カルボン
酸リチウムの導電性が低いため、15重量%以上のカル
ボン酸リチウムが添加されると電池の内部抵抗が高くな
り、負荷特性が悪くなると推定される。そのため、カル
ボン酸リチウムの添加量は、0.1〜10重量%が望ま
しい。
【0071】本実施例1〜本実施例8では、脂肪族飽和
カルボン酸リチウムとして蟻酸〜吉草酸のリチウム塩を
用いたが、さらに、分子量の大きいカルボン酸リチウム
を用いることも可能である。また、実施例9〜実施例1
1では、ジカルボン酸リチウムとしてマロン酸、コハク
酸、グルタル酸のリチウム塩を用いたが、さらに、分子
量が大きいジカルボン酸リチウムを用いることも可能で
ある。さらに、トリカルボン酸のリチウム塩である、エ
タントリカルボン酸リチウム等も使用可能である。
【0072】実施例12では、不飽和カルボン酸リチウ
ムとしてフマル酸リチウムを用いたが、他の不飽和カル
ボン酸リチウムでも同様な効果が期待できる。また、実
施例13では、芳香族カルボン酸のリチウム塩としてフ
タル酸リチウムを用いたが、他の芳香族カルボン酸のリ
チウム塩でも同様な効果が期待できる。
【0073】しかし、表3からわかるように、比較例4
と比較例5における電池では、容量保存率が低下する。
シュウ酸リチウム、マレイン酸リチウム等の解離定数が
高いカルボン酸のリチウム塩を用いた場合には、電解液
に溶出するカルボン酸リチウムの量が多くなり、保存中
に副反応が発生するため、容量保存率が低下すると推定
される。したがって、どのカルボン酸リチウムを使用し
ても本実施例のような効果があると言うわけではなく、
解離定数または第一解離定数の低いカルボン酸のリチウ
ム塩を使用することが不可欠である。正極合剤中に添加
するカルボン酸のリチウム塩には、容量保存率を低下さ
せないために、解離定数、第一解離定数が10-2以下の
カルボン酸のリチウム塩を用いることが望ましい。
【0074】さらに、表4からわかるように、無機酸塩
である炭酸リチウムを用いた比較例6では、電池内圧が
上昇している。比較例6では、電解液に溶出する量は少
ないが、保存中における電解液の分解反応が多く、炭酸
ガスが多量に発生し電池内圧が上昇したと推定される。
したがって、正極合剤中に添加するカルボン酸のリチウ
ム塩には、有機酸である脂肪族カルボン酸のリチウム
塩、もしくは芳香族カルボン酸のリチウム塩を用いるの
が望ましい。
【0075】本実施例においては、正極合剤中に各種リ
チウム塩を添加して用いるが、電解液中に分散させて用
いることも可能である。
【0076】なお、本実施例においては、正極活物質に
LiCoO2を用いたが、他の正極活物質、例えば、L
xNiyCo(1-y)2(但し0.05≦x≦1.10,
0<y≦1)やLiMn24でも同様な効果が確認され
た。
【0077】以上の結果から、電流遮断装置を備えた本
実施例における非水電解液二次電池は、解離定数または
第一解離定数が10-2以下である脂肪族カルボン酸また
は芳香族カルボン酸のリチウム塩を正極活物質(LiX
M02、但しMは、1種類以上の遷移金属を表し、0.
05≦X≦1.10)に添加することにより、過充電し
ても電流遮断装置が確実に作動して電池損傷品の発生を
防止する。また、本実施例における非水電解液二次電池
は、自己放電が少なく、高エネルギー密度でサイクル特
性に優れている。
【0078】
【発明の効果】以上の説明からも明らかのように、電流
遮断装置を備えた本発明の非水電解質二次電池において
は、解離定数または第一解離定数が10-2以下である脂
肪族カルボン酸または芳香族カルボン酸のリチウム塩を
正極活物質に対して0.1〜10重量%添加されたこと
により、過充電しても上記電流遮断装置が確実に作動し
て、過充電に伴う電池内部の異常反応を阻止でき、急速
な電池温度の上昇したり、急速に破損することを防止で
きる。
【0079】したがって、本発明によれば、高エネルギ
ー密度でサイクル特性に優れるとともに、安全性が高
く、工業的及び商業的価値が大である非水電解質二次電
池を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の非水電解質二次電池の構成例を示す概
略縦断断面図である。
【図2】
【符号の説明】
1 負極 2 正極 3 セパレータ 4 絶縁板 5 電池缶 6 封口ガスケット 7 電池蓋 8 電流遮断用薄板 9 負極集電体 10 正極集電体 11 負極リード 12 正極リード
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年5月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の非水電解質二次電池の構成例を示す概
略縦断断面図である。
【符号の説明】 1 負極 2 正極 3 セパレータ 4 絶縁板 5 電池缶 6 封口ガスケット 7 電池蓋 8 電流遮断用薄板 9 負極集電体 10 正極集電体 11 負極リード 12 正極リード

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 LiXMO2(但しMは、1種類以上の遷
    移金属を表し、0.05≦X≦1.10である。)を主
    体とする正極と、リチウムをドープ及び脱ドープ可能な
    負極と、非水電解質と、電池内圧の上昇に応じて作動す
    る電流遮断手段とを備え、 上記正極は、正極活物質に対してカルボン酸リチウムが
    0.1重量%〜10重量%添加されてなり、 上記カルボン酸リチウムは、解離定数または第一解離定
    数が10-2以下である脂肪族カルボン酸または芳香族カ
    ルボン酸のリチウム塩であることを特徴とする非水電解
    質二次電池。
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