JPH09211760A - ハロゲン化銀写真乳剤及びこれを用いる感光材料 - Google Patents

ハロゲン化銀写真乳剤及びこれを用いる感光材料

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JPH09211760A
JPH09211760A JP8013470A JP1347096A JPH09211760A JP H09211760 A JPH09211760 A JP H09211760A JP 8013470 A JP8013470 A JP 8013470A JP 1347096 A JP1347096 A JP 1347096A JP H09211760 A JPH09211760 A JP H09211760A
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silver halide
silver
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grains
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JP8013470A
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Hiroshi Tamaoki
広志 玉置
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 階調が硬く、圧力耐性、鮮鋭性に優れ、潜像
保存性、経時保存性の良好なハロゲン化銀乳剤及び写真
感光材料、カラー写真感光材料の提供。 【解決手段】 ハロゲン化銀乳剤に含まれるハロゲン化
銀粒子のうち50%以上の個数の粒子が1 粒子あたり1
0本以上の転位線を含む、アスペクト比2以上の平板粒
子であり、かつ、該平板粒子の少なくとも一部が減感剤
を含むハロゲン化銀写真乳剤およびこの乳剤を用いたハ
ロゲン化銀写真感光材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、階調が硬く、圧力
耐性、鮮鋭性に優れ、潜像保存性、経時保存性の良好な
ハロゲン化銀写真乳剤および写真感光材料、カラー写真
感光材料、並びに写真感光材料包装体に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、コンパクトカメラおよび自動焦点
1眼レフカメラ更にはレンズ付フィルム、例えば“写ル
ンです”等の普及により、高感度でかつ画質の優れたハ
ロゲン化銀カラー写真感光材料の開発が強く望まれてい
る。そのために写真用のハロゲン化銀乳剤に対する性能
改良の要請はますます厳しくなっており、高感度、優れ
た粒状性、および優れたシャープネス、更に圧力耐性、
潜像保存性、経時保存性の改良等の写真性能に対して、
より高水準の要求がなされている。
【0003】平板状ハロゲン化銀粒子(以下単に平板粒
子とも呼ぶ)に関しては、例えば、米国特許第4,43
4,226号、同4,439,520号、同4,41
4,310号、同4,433,048号、同4,41
4,306号、同4,459,353号に、その製法お
よび使用技術が開示されている。これら技術の利点とし
て、例えば、増感色素による色増感効率の向上による、
感度/粒状比の関係の改良、平板粒子の光学的な性質に
基づく鮮鋭度の向上、カバーリングパワーの上昇等が挙
げられている。
【0004】従来、平板粒子は、増感色素による色増感
効率の向上により、感度/粒状比の関係を改良するため
に、ハロゲン化銀の固有吸収を利用し得ない領域(例え
ば、カラー感光材料の場合には緑感性層、赤感性層)に
用いられてきた。また、平板粒子の光学的な性質に基づ
く鮮鋭度の向上、特に下層の鮮鋭度の向上のために上層
(支持体から離れた層、多くの場合青感性層)に用いら
れてきた。
【0005】更に、従来の平板粒子は十分に硬調でなか
ったのでハロゲン化銀カラー写真感光材料を製造するた
めに多くのハロゲン化銀量を必要としていた。
【0006】また、従来の平板粒子は、圧力耐性、特に
圧力を加えられた際のカブリ上昇が著しく、潜像保存
性、経時保存性も良好でなかった。また、左記圧力によ
る写真性の変化、保存中の潜像変化、保存中の試料の写
真性の変化はハロゲン化銀量が多いほど顕著であった。
【0007】また、ハロゲン化銀結晶の転位に関して
は、例えば、 1 C.R.Berry,J.Appl.Phys.,
27,636(1956) 2 C.R.Berry,D.C.Skilman,
J.Appl,Phys.,35,2165(196
4) 3 J.F.Hamilton,Phot.Sci.E
ng.,11,57(1967) 4 T.Shiozawa,J.Soc.Phot.S
ci.Jap.,34,16(1971) 5 T.Shiozawa,J.Soc.Phot.S
ci.Jap.,35,213(1972) の文献があり、例えば、X線回折法または低温の透過型
電子顕微鏡法により結晶中の転位を観察することが可能
であることおよび故意に結晶に歪を与えることにより結
晶中に種々の転位が生じることが述べられている。
【0008】一方、転位の写真性能に及ぼす影響として
は、G.C.Farnell,R.B.Flint,a
nd J.B.Chanter,J.Phot.Sc
i.,13,25(1965)の文献があり、大きいサ
イズの高アスペクト比平板状臭化銀粒子において潜像核
が形成される場所と粒子内の欠陥とが密接な関係にある
ことが示されている。
【0009】J.W.Mitchell,J.Soc.
Phot.Sci.Jap.,48,191(198
5)には平板粒子に関する考察が述べられている。これ
によると、平板粒子では体積に対する表面積の比率が大
きいことによる潜像の分散が起こりやすく、これを防ぐ
ためには平板粒子の頂点、好ましくは主平面の中心の特
異点に電子を集中し潜像サイトを決定するべきであると
考察されている。
【0010】こうした考えを実用した例としては特開昭
58−108526号が挙げられる。この特許には、平
均アスペクト比が8:1より大である平板状ハロゲン化
銀粒子の対向している平行(111)主表面上の選ばれ
た部位上に銀塩が配位されていることを特徴とする平板
状ハロゲン化銀乳剤が開示されている。
【0011】例えば沃化物濃度を主表面の中心から周辺
にかけて制御すること、または局部支配物質(site
director)を吸着させることによりAgCl
を平板粒子の頂点あるいは中心部に配位するものであ
る。
【0012】このAgCl(あるいは、例えばAgSC
Nのような他の銀塩)の配位物(エピタキシー)は、潜
像サイトを限定するのに有効であろうが、一方その高い
溶解度やホスト粒子と混晶を作ってしまう特性から、そ
の後の工程(水洗、化学増感、塗布及び塗布物のインキ
ュベーション)で変化しやすく、その性能を維持しにく
いという難点がある。
【0013】特開昭63−220238号、特開平1−
201649号は、転位を意図的に導入した平板状ハロ
ゲン化銀粒子について開示している。転位線を導入した
平板粒子は転位線のない平板粒子と比較して、例えば、
感度、相反則の写真特性に優れ、かつこれらを感光材料
に用いると鮮鋭性、粒状性に優れることが示されてい
る。
【0014】しかしながら、これらの発明も、今だ充分
満足できるものではなく、特に、硬調でかつ、圧力耐
性、潜像保存性、経時保存性の改良された平板乳剤を得
る手段に関しては何等言及していない。
【0015】一方、例えば、電子捕獲性の減感剤を用い
てハロゲン化銀粒子中の電子をトラップし、減感硬調化
させることが知られている。それ故、比較的大サイズの
ハロゲン化銀粒子の感度を低く硬調にすることができる
ので、同一粒子サイズ、同一ハロゲン組成のハロゲン化
銀粒子を用いて広い感度域を有する乳剤とすることがで
き、また、塗布銀量も減らせかつ、大サイズのハロゲン
化銀粒子であることにより感材膜中での光散乱が小さく
なるために鮮鋭度が向上するし、カラー感材では重層効
果(インターレイヤー効果あるいは層間効果ともいう)
が受け易くなるため色再現性が良化し、優れた画質改良
効果を与える。
【0016】また、塗布銀量を減らせることは、処理で
の脱銀不良の防止、さらにはコスト低下にもつながり、
非常に重要なことである。
【0017】しかしながら、上記のような感光材料を経
時保存すると徐々に増感したり、カブリが増加したりす
るなど写真性が変動するという問題がある。さらに、特
開昭53−127714号公報、同58−143335
号公報に記載のように電子捕獲性の減感剤を用いると写
真性の変動は大きくなるという問題がある。特に、上記
問題は炎天下の車内に感光材料が放置されると温度によ
り加速され、深刻になることが明らかになった。
【0018】このように、従来の技術は感光材料の保存
性や鮮鋭度、重層効果などの画質の改良のすべてを満た
すものではなかった。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、階調が硬
く、圧力耐性に優れかつ、潜像保存性、経時保存性が良
好で、更に、カラー感材においては優れた鮮鋭度、重層
効果を与え画質を改良し、かつ塗布銀量を少なくするこ
とができるハロゲン化銀写真乳剤および、該乳剤を用い
た写真感光材料、カラー写真感光材料を提供することに
ある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下
記ハロゲン化銀写真乳剤、写真感光材料によって達成す
ることができた。
【0021】(1)ハロゲン化銀乳剤に含まれるハロゲ
ン化銀粒子の内50%以上の個数の粒子が1粒子当たり
10本以上の転位線を含むアスペクト比2以上の平板粒
子でありかつ、該平板粒子の少なくとも一部が減感剤を
含むことを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。
【0022】(2)該ハロゲン化銀粒子の球相当径が
0.6μm以下であることを特徴とする(1)に記載の
ハロゲン化銀写真乳剤。
【0023】(3)該ハロゲン化銀粒子の全投影面積の
50%以上がアスペクト比4以上の平板粒子であること
を特徴とする(1)に記載のハロゲン化銀写真乳剤。
【0024】(4)該ハロゲン化銀粒子の平均沃化銀含
量が8モル%以下であることを特徴とする(1)に記載
のハロゲン化銀写真乳剤。
【0025】(5)該ハロゲン化銀粒子が減感剤によ
り、相対感度にして31.6%(対数スケールで0.5
0)以下に減感させられていることを特徴とする(1)
に記載のハロゲン化銀写真乳剤。
【0026】(6)該ハロゲン化銀粒子を減感させる方
法として、金属イオンを添加することを特徴とする
(1)ないし(5)のいずれか1項に記載のハロゲン化
銀写真乳剤。
【0027】(7)該金属イオンが周期律表第7、8族
もしくは第9族であって、第4周期、第5周期または第
6周期の金属原子を含む化合物の少なくとも1種である
ことを特徴とする(6)に記載のハロゲン化銀写真乳
剤。
【0028】(8)増感色素が化学熟成前に添加されて
いる特徴とする(1)ないし(7)のいずれか1項に記
載のハロゲン化銀写真乳剤。
【0029】(9)支持体上に少なくとも1層のハロゲ
ン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀感光材料において、
ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも1層に、(1)ないし
(8)のいずれか1項に記載の乳剤を含有することを特
徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
【0030】(10)支持体上にそれぞれ少なくとも1
層の、赤感性乳剤層、緑感性乳剤層及び青感性乳剤層を
有し、各色感性層に(1)ないし(8)のいずれか1項
に記載のハロゲン化銀写真乳剤を含むことを特徴とする
ハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【0031】(11)前記乳剤層を有する側と支持体を
挟んで反対側に磁性体粒子を含む磁気記録層を有するこ
とを特徴とする(9)又は(10)に記載のハロゲン化
銀写真感光材料。
【0032】(12)パトローネ本体(101)の内部
に、支持体に乳剤層を設けた写真感光材料(102)を
巻き付けたスプール(103)を回転自在に収納し、該
スプールの回転により該写真感光材料の先端が自由にパ
トローネ外部に送り出し可能であり、カートリッジ本体
は写真感光材料を送り出すため、遮光機構を有する写真
感光材料送り出し通路を有し、該スプールのスプール軸
(112)の両端内側に、それぞれ一対のリップ付きフ
ランジ(113、114)が写真感光材料保持のため取
り付けられている写真感光材料包装体(100)におい
て、該写真感光材料が(9)ないし(11)のいずれか
1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料であることを特
徴とする写真感光材料包装体。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、平板粒子について詳細に説
明する。
【0034】平板粒子において、アスペクト比とはハロ
ゲン化銀粒子における厚みに対する直径の比を意味す
る。すなわち、個々のハロゲン化銀粒子の直径を厚みで
除した値である。ここで直径とは、ハロゲン化銀粒子顕
微鏡または電子顕微鏡観察した時、粒子の投影面積と等
しい面積を有する円の直径を指すものとする。
【0035】従って、アスペクト比が2以上であると
は、この円の直径が粒子の厚みに対して2倍以上である
ことを意味する。アスペクト比の測定法の一例として
は、レプリカ法による透過電子顕微鏡写真を撮影して、
個々の粒子の円相当直径と厚みを求める方法がある。こ
の場合厚みはレプリカの影(シャドー)の長さから算出
する。
【0036】また、例として、米国特許4,434,2
26号に記載がある。
【0037】本発明で用いる平板粒子では、投影面積の
50%以上がアスペクト比2以上の平板粒子であるが、
より好ましくは、4以上である。アスペクト比があまり
大きくなりすぎると、乳剤の圧力耐性が悪化する傾向が
あるため通常はアスペクト比は100以下であることが
好ましい。本発明で用いる平板粒子の占める割合は、全
投影面積の50%以上であるが、より好ましくは80%
以上である。平板粒子の占める割合が50%未満である
場合は写真性能上の劣化が大きく本発明を達成すること
ができない。
【0038】本発明においては、平板粒子は粒子サイズ
分布の相対標準偏差は35%以下であることが好まし
い。ここでいう相対標準偏差とは、該平板粒子の投影面
積の円相当直径のバラツキ(標準偏差)を、該平板粒子
の投影面積の円相当直径の平均値で割った値に100を
乗じた値である。
【0039】ハロゲン化銀粒子の粒子形態が揃い、かつ
粒子サイズのバラツキが小さい粒子群からなるハロゲン
化銀乳剤の粒子サイズ分布はほとんど正規分布を示し、
標準偏差を容易に求めることができる。本発明の平板粒
子の粒子サイズ分布の相対標準偏差は35%以下である
ことが好ましく、20%以下であることがより好まし
い。
【0040】本発明の平板粒子の直径(円相当)は0.
10〜3μmが好ましく、0.15〜2μmが更に好ま
しい。0.1μm以下の平板粒子は調製が難しく、3μ
m以上の平板粒子は乳剤の圧力耐性が悪化する。
【0041】粒子厚みは、0.03〜0.5μmである
ことが好ましく、0.05〜0.3μmであることがさ
らに好ましい。
【0042】粒子厚みは、0.03〜0.5μmである
ことが好ましく、0.05〜0.3μmであることが更
に好ましい。0.03μm以下の平板粒子は調製が難し
く、0.3μm以上の平板粒子は本発明の効果が顕著で
なくなる。
【0043】本発明の平板粒子は、平均円相当直径の値
を平均厚みの2乗の値で割った値(Research Disclosur
e Item No.37038 、第XV章A項(P.90左欄)にECD/
t2として定義された値(以後平板化度と呼ぶ))が5
以上であり、好ましくは10以上、さらに好ましくは2
5以上であり250以下である。
【0044】本発明の平板粒子の球相当径は0.1〜2
μmが好ましく、0.2〜1.5μmが更に好ましく、
0.25〜0.6μmであることが特に好ましい。0.
1μm以下の平板粒子は調製が難しく、2μm以上の平
板粒子では、本発明の効果が顕著でなくなる。ここでい
う球相当径とは、ハロゲン化銀粒子と同じ容量を有する
球の直径を意味する。
【0045】ハロゲン化銀粒子は、ゼラチンを保護コロ
イドとして調製される。ゼラチンはアルカリ処理が通常
よく用いられる。特に不純物イオンや不純物を除去した
脱イオン処理や限外ろ過処理を施したアルカリ処理ゼラ
チンを用いることが好ましい。アルカリ処理ゼラチンの
他、酸処理ゼラチン、フタル化ゼラチンやエステル化ゼ
ラチンの様な誘導体ゼラチン、低分子量ゼラチン(分子
量1000〜8万で、酵素で分解したゼラチン、酸及び
/またはアルカリで加水分解したゼラチン、熱で分解し
たゼラチンが含まれる)、高分子量ゼラチン(分子量1
1万〜30万)、メチオニン含量が50μモル/g以下
のゼラチン、チロシン含量が20μモル/g以下のゼラ
チン、酸化処理ゼラチン、メチオニンがアルキル化によ
って不活性化したゼラチンを用いることができる。二種
類以上のゼラチン混合物を用いてもよい。粒子形成工程
で用いられるゼラチンの量は、一般に1〜60g/銀モ
ル、好ましくは3〜40g/銀モルである。粒子形成工
程以降の工程、例えば化学増感工程におけるゼラチンの
濃度は、1〜100g/銀モルであることが好ましく、
1〜70g/銀モルであることが、さらに好ましい。な
お、本発明は、ゼラチンを比較的多量(10g/銀モル
以上)に使用する場合に特に効果がある。
【0046】本発明における平板粒子のハロゲン組成は
任意である。例えば、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、塩臭
化銀、ヨウ臭化銀、塩ヨウ臭化銀、塩ヨウ化銀およびこ
れらの混合物の任意のハロゲン化銀が使用できるが、沃
化銀含量8mol%以下であることが好ましい。
【0047】単分散平板粒子の調製については、特開昭
63−11928号公報に記載がある。単分散六角形平
板粒子については、特開昭63−151618号公報に
記載がる。円形単分散平板粒子乳剤については、特開平
1−131541号公報に記載がある。また、特開平2
−838号公報には、全投影面積の95%以上が主平面
に平行な二枚の双晶面を持つ平板粒子で占められてお
り、かつ該平板粒子のサイズ分布が単分散である乳剤が
開示されている。欧州特許514742A号明細書に
は、ポリアルキレンオキサイドブロックコポリマーを用
いて調製された粒子サイズの変動係数が10%以下の平
板粒子乳剤が開示されている平板粒子は、その主表面が
(100)と(111)のものが知られており、本発明
の技術は両方に適用できる。前者については、臭化銀に
関して米国特許4063951号明細書および特開平5
−281640号公報に記載があり、塩化銀に関して欧
州特許0534395A1号および米国特許52643
37号各明細書に記載がある。後者の平板粒子は、上記
の双晶面を一枚以上有する種々の形状を有する粒子であ
り、塩化銀に関しては、米国特許4399215号、同
4983508号、同5183732号各明細書、特開
平3−137632号および同3−116113号各公
報に記載がある。
【0048】さらに本発明に用いられる平板粒子は転位
線を有する。平板粒子の転位線は、例えばJ.F.Hamilto
n,Phot.Sci.Eng., 11、57(1967)やT.Shiozaw
a,J.Soc.Phot.Sci.Japan 、35、213(197
2)、特開昭63−220238号、等に記載の、低温
での透過型電子顕微鏡を用いた直接的な方法により観察
することができる。すなわち乳剤から粒子に転位線が発
生するほどの圧力をかけないよう注意して取り出したハ
ロゲン化銀粒子を電子顕微鏡観察用のメッシュにのせ、
電子線による損傷(プリントアウト等)を防ぐように試
料を冷却した状態で透過法により観察を行なう。この時
粒子の厚みが厚い程、電子線が透過しにくくなるので高
圧型(0.25μの厚さの粒子に対して200kV以上)
の電子顕微鏡を用いた方がより鮮明に観察することがで
きる。このような方法により得られた粒子の写真より、
主平面に対して垂直方向から見た場合の各粒子について
の転位線の位置および数を求めることができる。
【0049】転位線の数は、1粒子当り10本以上であ
る。より好ましくは1粒子当り平均20本以上である。
転位の数が10本以下の場合、本発明の効果が顕著でな
くなる。転位線が密集して存在する場合、または転位線
が互いに交わって観察する場合には、1粒子当りの転位
線の数は明確には数えることができない場合がある。し
かしながら、これらの場合においても、おおよそ10
本、20本、30本という程度には数えることが可能で
あり、明らかに、数本しか存在しない場合とは区別でき
る。転位線の数の1粒子当りの平均数については100
粒子以上について転位線の数を数えて、数平均として求
める。
【0050】転位線は、例えば平板粒子の外周近傍に導
入することができる。この場合転位線は外周にほぼ垂直
であり、平板粒子の中心から辺(外周)までの距離の長
さのx%の位置から始まり外周に至るように転位線が発
生している。このxの値は好ましくは10以上100未
満であり、より好ましくは25以上99未満であり、最
も好ましくは50以上98未満である。この時、この転
位線の開始する位置を結んでつくられる形状は粒子形と
相似に近いが、完全な相似形ではなく、ゆがむことがあ
る。この型の転位線は粒子の中心領域には見られない。
6角形平板粒子の場合、転位線の方向は結晶学的におお
よそ(211)方向であるがしばしば蛇行しており、ま
た互いに交わっていることもある。
【0051】また平板粒子の外周上の全域に渡ってほぼ
均一に転位線を有していても、外周上の局所的な位置に
転位線を有していてもよい。すなわち6角形平板状ハロ
ゲン化銀粒子を例にとると、6つの頂点の近傍のみに転
位線が限定されていてもよいし、そのうちの1つの頂点
近傍のみに転位線が限定されていてもよい。逆に6つの
頂点近傍を除く辺のみに転位線が限定されていることも
可能である。
【0052】また平板粒子の平行な2つの主平面の中心
を含む領域に渡って転位線が形成されていてもよい。主
平面の全域に渡って転位線が形成されている場合には、
6角平板では転位線の方向は主平面に垂直な方向から見
ると結晶学的におおよそ(211)方向の場合もあるが
(110)方向またはランダムに形成されている場合も
あり、さらに各転位線の長さもランダムであり、主平面
上に短い線として観察される場合と、長い線として辺
(外周)まで到達して観察される場合がある。転位線は
直線のこともあれば蛇行していることも多い。また、多
くの場合互いに交わっている。
【0053】転位線の位置は以上のように外周上または
主平面上または局所的な位置に限定されていても良い
し、これらが組み合わされて、形成されていても良い。
すなわち、外周上と主平面上に同時に存在していても良
い。
【0054】平板粒子の外周上に転位線を導入するには
粒子内部に特定の高沃化銀層を設けることによって達成
できる。この高沃化銀層を設ける場合には、不連続に高
沃化銀領域を設ける場合を含む。具体的には基盤粒子を
調製した後、高沃化銀層を設けその外側を高沃化銀層よ
り沃化銀含有率の低い層でカバーすることによって得ら
れる。基盤の平板粒子の沃化銀含有率は高沃化銀層より
も低く、好ましくは0〜20モル%より好ましくは0〜
15モル%である。
【0055】粒子内部の高沃化銀層とは沃化銀を含むハ
ロゲン化銀固溶体をいう。この場合のハロゲン化銀とし
ては沃化銀、沃臭化銀、塩沃臭化銀が好ましいが、沃化
銀または沃臭化銀(沃化銀含有率10〜40モル%)で
あることがより好ましい。この粒子内部の高沃化銀層
(以下、内部高沃化銀層という)を基盤粒子の辺上、角
上のいずれかの場所に選択的に存在せしめるためには基
盤粒子の生成条件および内部高沃化銀層の生成条件をコ
ントロールすればよい。基盤粒子の生成条件としてはp
Ag(銀イオン濃度の逆数の対数)およびハロゲン化銀
溶剤の有無、種類および量、温度が重要な要因である。
基盤粒子の成長時のpAgを8.5以下より好ましくは
8以下で行うことにより、内部高沃化銀層を基盤粒子の
頂点近傍に選択的に存在せしめることができる。一方基
盤粒子の成長時のpAgを8.5以上、より好ましくは
9以上で行うことにより、内部高沃化銀層を基盤粒子の
辺上に存在せしめることができる。これらのpAgのし
きい値は温度およびハロゲン化銀溶剤の有無、種類およ
び量によって上下に変化する。ハロゲン化銀溶剤とし
て、例えばチオシアネートを用いた場合にはこのpAg
のしきい値は高い値の方向にずれる。成長時のpAgと
して特に重要なものはその基盤粒子の成長の最終時のp
Agである。一方、成長時のpAgが上記の値を満足し
ない場合においても、基盤粒子の成長後、該pAgに調
整し、熟成することにより、内部高沃化銀層の選択位置
をコントロールすることも可能である。この時、ハロゲ
ン化銀溶剤としてアンモニア、アミン化合物、チオシア
ネート塩が有効である。内部高沃化銀層の生成はいわゆ
るコンバージョン法を用いることができる。この方法に
は、粒子形成途中に、その時点での粒子あるいは粒子の
表面近傍を形成しているハロゲンイオンより、銀イオン
とでつくられる塩の溶解度が小さいハロゲンイオンを添
加する方法などがあるが、本発明においてはその時点の
粒子の表面積に対して添加する溶解度の小さいハロゲン
イオンがある値(ハロゲン組成に関係する)以上の量で
あることが好ましい。たとえば粒子形成途中においてそ
の時点のAgBr粒子の表面積に対してある量以上のK
I量を添加することが好ましい。具体的には8.2×1
-5モル/m 2 以上の沃化物塩を添加することが好まし
い。
【0056】内部高沃化銀層の生成法には沃化物塩を含
むハロゲン化物塩水溶液の添加と同時に銀塩水溶液を添
加する方法もある。
【0057】例えばKI水溶液の添加と同時にAgNO
3 水溶液をダブルジェットで添加する。この時KI水溶
液とAgNO3 水溶液の添加開始時間と添加終了時間は
お互いに前後してずれていてもよい。KI水溶液に対す
るAgNO3 水溶液の添加モル比は0.1以上が好まし
く、より好ましくは0.5以上が好ましい。さらに好ま
しくは1以上である。系中のハロゲンイオンおよび添加
沃素イオンに対してAgNO3 水溶液の総添加モル量が
銀過剰領域となってもよい。これらの沃素イオンを含む
ハロゲン化物水溶液の添加と銀塩水溶液とのダブルジェ
ットによる添加時のpAgは、ダブルジェットの添加時
間に伴なって減少することが好ましい。添加開始前のp
Agは6.5以上13以下が好ましい。より好ましくは
7.0以上11以下が好ましい。添加終了時のpAgは
6.5以上10.5以下が最も好ましい。
【0058】内部高沃化銀層の形成は微粒子沃化銀(微
細な沃化銀の意、以下、同様である。)または微粒子沃
臭化銀または微粒子塩沃化銀または微粒子塩沃臭化銀を
添加して行うことができる。特に微粒子沃化銀を添加し
て行うことが好ましい。これら微粒子は通常0.01μ
m以上0.1μm以下の粒子サイズであるが、0.01
μm以下または0.1μm以上の粒子サイズの微粒子も
用いることができる。これら微粒子ハロゲン化銀粒子の
調製方法に関しては特願昭63−7851号、同63−
195778号、同63−7852号、同63−785
3号、同63−194861号および同63−1948
62号に関する記載を参考にすることができる。これら
微粒子ハロゲン化銀を添加して熟成することにより内部
高沃化銀層を設けることが可能である。熟成して微粒子
を溶解する時には、前述したハロゲン化銀溶剤を用いる
ことも可能である。これら添加した微粒子は直ちに全て
溶解して消失する必要はなく、最終粒子が完成した時に
溶解消失していればよい。
【0059】内部高沃化銀層をカバーする外側の層は高
沃化銀層の沃化銀含有率よりも低く、好ましくは沃化銀
含有率は0〜30モル%より好ましくは0〜20モル%
最も好ましくは0〜10モル%である。この内部高沃化
銀層の位置は粒子の投影される中心(例えば、6角形の
中心)から測り、粒子全体の銀量に対して5モル%以上
100モル%未満の範囲に存在することが好ましくさら
に好ましくは20モル%以上95モル%未満、特に50
モル%以上90モル%未満の範囲内であることが好まし
い。これら内部高沃化銀層を形成するハロゲン化銀の量
は銀量にして粒子全体の銀量の50モル%以下であり、
より好ましくは20モル%以下である。これら高沃化銀
層に関してはハロゲン化銀乳剤製造の処方値であって、
最終粒子のハロゲン組成を種々の分析法にて測定した値
ではない。内部高沃化銀層は最終粒子においては、再結
晶過程等により消失してしまうことがよくあり、以上は
全てその製造方法に関するものである。
【0060】したがって最終粒子においては転位線の観
測は上述した方法によって容易に行えるが、転位線の導
入のために導入した内部沃化銀層は明確な層としては確
認することができない場合が多く、例えば、平板粒子の
外周域が、全て、高沃化銀層として観測される場合もあ
る。これらのハロゲン組成についてはX線回折、EPM
A(XMAという名称もある)法(電子線でハロゲン化
銀粒子を走査してハロゲン化銀組成を検出する方法)、
ESCA(XPSという名称もある)法(X線を照射し
粒子表面から出て来る光電子を分光する方法)などを組
み合わせることにより確認することができる。
【0061】内部高沃化銀層をカバーする外側の層の形
成時の温度、pAgは任意であるが、好ましい温度は3
0℃以上、80℃以下である。最も好ましくは35℃以
上70℃以下である。好ましいpAgは6.5以上1
1.5以下である。前述したハロゲン化銀溶剤を用いる
と好ましい場合もあり、最も好ましいハロゲン化銀溶剤
はチオシアネート塩である。
【0062】平板粒子の主表面に転位線を導入するに
は、基盤粒子を調製した後、ハロ塩化銀を主表面に沈積
させ、そのハロ塩化銀をコンバージョンを経て高臭化銀
又は高沃化銀層を形成させ、その外側にさらにシェル層
を設ければよい。ハロ塩化銀としては塩化銀または塩化
銀含量10モル%以上、好ましくは60モル%以上の塩
臭化銀、または塩沃臭化銀を挙げることができる。これ
らのハロ塩化銀の基盤粒子の主平面上への沈積は硝酸銀
水溶液と適当なアルカリ金属塩(例えば塩化カリウム)
の水溶液を別々にまたは同時に添加することによっても
できるし、これら銀塩からなる乳剤を添加して熟成する
ことにより沈着させることもできる。これらのハロ塩化
銀の沈積はあらゆるpAgの領域で可能であるが、最も
好ましくは5.0以上9.5以下である。この方法で
は、平板粒子を主として厚さ方向に成長させる。このハ
ロ塩化銀層の量は基盤粒子に対して銀換算モル%で1モ
ル%以上80モル%以下である。より好ましくは2モル
%以上60モル%以下である。このハロ塩化銀層をハロ
塩化銀より溶解度の低い銀塩を作ることができるハロゲ
ン化物水溶液でコンバージョンさせることにより、平板
粒子の主平面上に転位線を導入することが可能である。
例えばKI水溶液によってこのハロ塩化銀層をコンバー
ジョンした後、シェルを成長させて最終粒子を得ること
が可能である。これらハロ塩化銀層のハロゲン変換はハ
ロ塩化銀よりも溶解度の低い銀塩に全て置きかわること
を意味するのではなく好ましくは5%以上、より好まし
くは10%以上、最も好ましくは20%以上、溶解度の
低い銀塩に置きかわる。ハロ塩化銀層を設ける基盤粒子
のハロゲン構造をコントロールすることにより主平面上
の局所部位を転位線を導入することが可能である。例え
ば基盤平板粒子の横方向に変位して内部高沃化銀構造の
基盤粒子を用いると主平面の中心部を除いた周辺部の主
平面にのみ転位線を導入することが可能である。また基
盤平板粒子の横方向に変位して、外側高沃化銀構造の基
盤粒子を用いると、主平面の周辺部を除いた中心部のみ
に転位線を導入することが可能である。さらにはハロ塩
化銀のエピタキシャル成長の局部支配物質例えば沃化物
を用いてハロ塩化銀を面積的に限定された部位のみに沈
積させ、その部位のみに転位線を導入することも可能で
ある。ハロ塩化銀の沈積時の温度は30℃以上、70℃
以下が好ましいが、より好ましくは30℃以上50℃以
下である。これらハロ塩化銀の沈積後にコンバージョン
を行い、その後にシェルを成長させることも可能である
が、ハロ塩化銀の沈積後にシェルの成長を行いながらハ
ロゲン変換を行うことも可能である。
【0063】主平面にほぼ平行に形成させる内部ハロ塩
化銀層の位置は粒子厚さの中心から両側に粒子全体の銀
量に対して5モル%以上100モル%未満の範囲に存在
することが好ましく、さらに好ましくは20モル%以上
95モル%未満、特に50モル%以上90モル%未満の
範囲内であることが好ましい。
【0064】シェルの沃化銀含有率は好ましくは0〜3
0モル%、より好ましくは0〜20モル%である。シェ
ル形成時の温度、pAgは任意であるが、好ましい温度
は30℃以上、80℃以下である。最も好ましくは35
℃以上70℃以下である。好ましいpAgは6.5以上
11.5以下である。前述したハロゲン化銀溶剤を用い
ると好ましい場合もあり、最も好ましいハロゲン化銀溶
剤はチオシアネート塩である。最終粒子においては、ハ
ロゲン変換を受けた内部ハロ塩化銀層は、そのハロゲン
変換の程度等の条件により、前述したハロゲン組成の分
析法では確認できない場合がある。しかしながら転位線
は明確に観測できうる。
【0065】この平板粒子の主平面上の任意の位置に転
位線を導入する方法と、前述した平板粒子の外周上の任
意の位置に転位線を導入する方法を適宜、組み合わせて
用いて転位線を導入することも可能である。
【0066】ハロゲン化銀乳剤の製造方法について特に
制限はない。一般に、ゼラチン水溶液を有する反応容器
に、効率の良い撹拌のもとに銀塩水溶液およびハロゲン
塩水溶液を添加する。具体的方法としては、P. Glafkid
es著 Chemie et Phisique Photographique (Paul Monte
l 社刊、1967年) 、G. F. Duffin著 Photographic Emul
sion Chemistry (The Focal Press 刊、1966年) 、V.
L. Zelikman et al 著Making and Coating Photograph
ic Emulsion (The Focal Press刊、1964年) などに記載
された方法を用いて調製することができる。すなわち、
酸性法、中性法、アンモニア法等のいずれでもよく、ま
た可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる形式とし
ては、片側混合法、同時混合法、それらの組合せなどの
いずれを用いてもよい。
【0067】同時混合法の一つの形式として、ハロゲン
化銀が生成される液相中のpAgを一定に保つ方法、す
なわち、いわゆるコントロールド・ダブルジェット法を
用いることもできる。また、硝酸銀やハロゲン化アルカ
リ水溶液の添加速度を粒子成長速度に応じて変化させる
方法(英国特許1535016号明細書、特公昭48−
36890号および同52−16364号各公報に記
載)や水溶液濃度を変化させる方法(米国特許4242
445号明細書および特開昭55−158124号公報
に記載)を用いて臨界過飽和度を越えない範囲において
早く成長させることが好ましい。これらの方法は、再核
発生を起こさず、ハロゲン化銀粒子が均一に成長するた
め、好ましく用いられる。
【0068】反応容器に銀塩溶液とハロゲン塩溶液を添
加する代りに、あらかじめ調製された微粒子を反応容器
に添加して、核形成および/または粒子成長を起こさせ
て、ハロゲン化銀粒子を得る方法を使うことが好まし
い。この技術に関しては、特開平1−183644号、
同1−183645号、同2−44335号、同2−4
3534号、同2−43535号各公報および米国特許
4879208号明細書に記載されている。この方法に
よれば、乳剤粒子結晶内のハロゲンイオンの分布を完全
に均一にすることができ、好ましい写真特性を得ること
ができる。
【0069】さらに本発明においては、種々の構造を持
った乳剤粒子を用いることができる。粒子の内部(コア
部)と外側(シェル部)から成る、いわゆるコア/シェ
ル二重構造粒子、さらに三重構造粒子(特開昭60−2
22844号公報に記載)や、それ以上の多層構造粒子
が用いられる。乳剤粒子の内部に構造をもたせる場合、
上述のような包み込む構造だけでなく、いわゆる接合構
造を有する粒子を作ることもできる。これらの例は、特
開昭58−108526号、同59−16254号、同
59−133540号、特公昭58−24772号各公
報および欧州特許199290A2号明細書に記載され
ている。
【0070】接合する結晶は、ホストとなる結晶と異な
る組成をもってホスト結晶のエッジやコーナー部、ある
いは面部に接合して生成されうる。このような接合結晶
は、ホスト結晶がハロゲン組成に関して均一であって
も、あるいはコア−シェル型の構造を有するものであっ
ても形成させることができる。接合構造の場合には、ハ
ロゲン化銀同志の組み合わせは当然可能であるが、ロダ
ン銀、炭酸銀などの岩塩構造でない銀塩化合物をハロゲ
ン化銀と組み合わせ接合構造をとることが可能であれば
用いてもよい。
【0071】これらの構造を有するヨウ臭化銀粒子の場
合、例えばコア−シェル型の粒子において、コア部のヨ
ウ化銀含有量が高く、シェル部のヨウ化銀含有量が低く
ても、また逆に、コア部のヨウ化銀含有量が低く、シェ
ル部のヨウ化銀含有量が高い粒子でもよい。同様に接合
構造を有する粒子についても、ホスト結晶のヨウ化銀含
有率が高く、接合結晶のヨウ化銀含有率が相対的に低い
粒子であっても、その逆の粒子であってもよい。また、
これらの構造を有する粒子の、ハロゲン組成の異なる境
界部分は、明確な境界であっても、組成差により混晶を
形成して不明確な境界であってもよく、また積極的に連
続的な構造変化をつけたものでもよい。本発明に用いる
ハロゲン化銀乳剤は、粒子に丸みをもたらす処理(欧州
特許0096727B1号および同0064412B1
号各明細書に記載)、あるいは表面の改質処理(独国特
許2306447C2明細書および特開昭60−221
320号公報に記載)を行なってもよい。
【0072】ハロゲン化銀乳剤は表面潜像型が好まし
い。ただし、特開昭59−133542号公報に開示さ
れているように、現像液あるいは現像の条件を選ぶこと
により内部潜像型の乳剤も用いることができる。また、
うすいシェルをかぶせる浅内部潜像型乳剤も目的に応じ
て用いることができる。
【0073】次に、減感剤について説明する。
【0074】減感剤を含有するとは、減感剤を含有する
ことにより、含有しない乳剤と比較して、後述実施例1
記載の感度記載の定義において、70%(対数換算で
0.15)以上感度が低くなることであると定義する。
【0075】減感度に関しては、31.6%(対数換算
で0.50)以上感度が低くなることが好ましい。
【0076】減感剤としては、金属イオン、カブリ防止
剤、安定剤、減感色素等、種々の化合物を使用すること
ができる。本発明においては、上記減感剤は、何れも単
独或いは併用して用いることができる。好ましくは金属
イオンを減感剤に使用する。
【0077】金属イオンとしては、周期律表における第
3族、第6族から第13族もしくは第15族の第4周
期、第5周期または第6周期の金属イオンが挙げられる
(例えば、特開平2−219051号公報に記載の金属
イオン)。
【0078】本発明においては第6族、第7族、第8族
もしくは第9族の第4周期、第5周期または第6周期の
金属イオンが好ましい。これらの好ましい金属イオンと
して具体的には、Co、Re、Rh、Ru、Os、Ir
を挙げることができる。これらの金属イオンは、例え
ば、単塩あるいは金属錯塩の錯体として用いる。単塩と
しては、ハロゲン化物(塩化物、臭化物など)、硝酸
塩、硫酸塩、過塩素酸塩が好ましく用いられる。金属錯
体としては、6配位、5配位、4配位あるいは2配位錯
体を用いることができ、錯体は単核錯体であっても多核
錯体であってもよい。錯体を構成する配位子としては、
Cl- 、Br- 、NO2-、CN- 、SCN-、S
32 - 、SO42 - 、C2 42 - 、CO、NH3 、アミン
類(EDTAなど)、C5 5 、C6 6 、H2 Oなど
を挙げることができる。これらの金属錯体はカリウム
塩、 ナトリウム塩、アンモニウム塩あるいはセシウム
塩の錯体の塩として好ましく用いられる。
【0079】金属イオンのハロゲン化銀粒子への導入方
法については、従来の方法が利用できる。すなわち、銀
イオン溶液とハロゲン水溶液を混合撹拌させてハロゲン
化銀粒子を形成する際に、本発明に係る錯体を溶解させ
た水溶液(形成されたハロゲン化銀粒子の中に臭素を含
むものについては、KBr溶液中に共存させたものでも
良い)を、前記混合反応液中に添加することにより、ハ
ロゲン化銀粒子にドープさせることができる。また、ハ
ロゲン化銀粒子を形成した後に、上記錯体の水溶液を添
加することによっても、金属イオンを粒子にドープさせ
ることができる。またこの場合、さらにハロゲン化銀で
覆っても良い。尚、ドープさせる金属によっては、金属
の水溶液を調製する際に一部に有機溶剤を使用しても良
い。ハロゲン化銀粒子への金属のドープ方法について
は、米国特許第3761276号、同4395478号
明細書および特開昭59−216136号公報等に記載
されている。
【0080】また、金属イオンの添加法としては、上記
方法以外に米国特許第4879208号、欧州特許第0
48752号記載のごとく微小なハロゲン化銀粒子中に
ドープして供給してもよい。
【0081】これら金属イオンのドーピング量は、金属
イオンの種類、ハロゲン化銀粒子の粒径、金属イオンの
ドーピング位置、目的にする感度等によって異なるが、
ハロゲン化銀1モル当り10-17 〜10-3モルの範囲で
ある。好ましくは、10-12〜10-3モルの範囲であ
る。さらに10-9〜10-4モルの範囲が特に好ましい。
【0082】金属イオンの種類、ドーピング位置および
ドーピング量を選択することによりハロゲン化銀粒子に
対して種々の異なる感度を与えることができる。
【0083】なお、使用した金属イオンについては、I
CP−Massや原子吸光分光分析法によって定性・定
量分析することができる。また、局在化している場合に
は、SIMS(Secondary Ion Mass Spectroscopy)によ
って知ることができる。
【0084】前記カブリ防止剤あるいは安定剤として
は、アゾール類(例えば、ベンゾチアゾリウム塩類、イ
ンダゾール類、トリアゾール類、ベンゾトリアゾール
類、ベンズイミダゾール類など)、ヘテロ環メルカプト
化合物(例えば、メルカプトテトラゾール類、メルカプ
トチアゾール類、メルカプトチアジアゾール類、メルカ
プトベンゾチアゾール類、メルカプトベンズイミダゾー
ル類、メルカプトピリミジン類など)、アザインデン類
(例えば、テトラアザインデン類、ペンタアザインデン
類など)、核酸分解物(例えばアデニン、グアニンな
ど)、ベンゼンチオスルホン酸類、チオケト化合物等が
挙げられる。
【0085】また、減感色素としては、シアニン色素、
メロシアニン色素、複合シアニン色素、複合メロシアニ
ン色素、ホロポーラシアニン色素、ヘミシアニン色素、
スチリル色素およびヘミオキソノール色素等が挙げられ
る。
【0086】次に本発明の感光材料について説明する。
【0087】本発明の感光材料は、少なくとも1層のハ
ロゲン化銀乳剤層が全ハロゲン化銀粒子の全投影面積の
50%以上がアスペクト比2.0以上の平板状のハロゲ
ン化銀粒子であり、該平板粒子の少なくとも1部が上記
減感剤を含むハロゲン化銀粒子からなる乳剤を含むもの
である。
【0088】カラー感材においては、少なくとも1つの
感色性層(例えば、青感性ハロゲン化銀乳剤層)の少な
くとも1層が減感剤含有の上記ハロゲン化銀粒子を含有
するものである。なお、カラー感材においては、好まし
くは青感性ハロゲン化銀乳剤層が、さらに好ましくは青
感性ハロゲン化銀乳剤層および緑感性ハロゲン化銀乳剤
層が、最も好ましくは全感色性層が減感剤含有の上記ハ
ロゲン化銀粒子を含む乳剤の使用の場合である。
【0089】ハロゲン化銀乳剤は通常、分光増感され
る。分光増感色素としては、通常メチン色素が用いられ
る。メチン色素には、シアニン色素、メロシアニン色
素、複合シアニン色素、複合メロシアニン色素、ホロポ
ーラーシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素
およびヘミオキソノール色素が包含される。これらの色
素類には、塩基性複素環として、シアニン色素類に通常
利用される環のいずれも適用できる。塩基性複素環の例
としては、ピロリン環、オキサゾリン環、チアゾリン
環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、セレ
ナゾール環、イミダゾール環、テトラゾール環およびピ
リジン環を挙げることができる。また、複素環に脂環式
炭化水素環や芳香族炭化水素環が縮合した環も利用でき
る。縮合環の例としては、インドレニン環、ベンズイン
ドレニン環、インドール環、ベンズオキサゾール環、ナ
フトオキサゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾチ
アゾール環、ナフトチアゾール環、ベンゾセレナゾール
環およびキノリン環を挙げることができる。これらの環
の炭素原子に、置換基が結合していてもよい。
【0090】メロシアニン色素または複合メロシアニン
色素には、ケトメチレン構造を有する5員または6員の
複素環を適用することができる。そのような複素環の例
としては、ピラゾリン−5−オン環、チオヒダントイン
環、2−チオオキサゾリジン−2,4−ジオン環、チア
ゾリジン−2,4−ジオン環、ローダニン環およびチオ
バルビツール酸環を挙げることができる。
【0091】増感色素の添加量は、ハロゲン化銀1モル
当り0.001〜100ミリモルであることが好まし
く、0.01〜10ミリモルであることがさらに好まし
い。
【0092】増感色素は、好ましくは、化学増感前(例
えば、粒子形成時や物理熟成時や化学増感開始前)に添
加される。
【0093】増感色素とともに、それ自身分光増感作用
を示さない色素、あるいは可視光を実質的に吸収しない
物質であって強色増感を示す物質をハロゲン化銀乳剤に
添加してもよい。このような色素または物質の例には、
含窒素複素環基で置換されたアミノスチル化合物(米国
特許2933390号および同3635721号各明細
書に記載)、芳香族有機酸ホルムアルデヒド縮合物(米
国特許3743510号明細書に記載)、カドミウム塩
およびアザインデン化合物が含まれる。増感色素と上記
色素または物質との組み合わせについては、米国特許3
615613号、同3615641号、同361729
5号および同3635721号各明細書に記載がある。
【0094】ハロゲン化銀乳剤は、一般に化学増感を行
なって使用する。化学増感としてはカルコゲン増感(硫
黄増感、セレン増感、テルル増感)、貴金属増感(例、
金増感)および還元増感を、それぞれ単独あるいは組み
合わせて実施する。
【0095】硫黄増感においては、不安定硫黄化合物を
増感剤として用いる。不安定硫黄化合物については、P.
Grafkides著、Chimie et Physique Photographique (P
aulMomtel社刊、1987年、第5版)、Research Disclosu
re 誌307巻307105号に記載がある。硫黄増感
剤の例には、チオ硫酸塩(例、ハイポ)、チオ尿素類
(例、ジフェニルチオ尿素、トリエチルチオ尿素、N−
エチル−N’−(4−メチル−2−チアゾリル)チオ尿
素、カルボキシメチルトリメチルチオ尿素)、チオアミ
ド類(例、チオアセトアミド)、ローダニン類(例、ジ
エチルローダニン、5−ベンジリデン−N−エチル−ロ
ーダニン)、フォスフィンスルフィド類(例、トリメチ
ルフォスフィンスルフィド)、チオヒダントイン類、4
−オキソ−オキサゾリジン−2−チオン類、ジポリスル
フィド類(例、ジモルフォリンジスルフィド、シスチ
ン、ヘキサチオカン−チオン)、メルカプト化合物
(例、システィン)、ポリチオン酸塩および元素状硫黄
が含まれる。活性ゼラチンも硫黄増感剤として利用でき
る。
【0096】セレン増感においては、不安定セレン化合
物を増感剤として用いる。不安定セレン化合物について
は、特公昭43−13489号、同44−15748
号、特開平4−25832号、同4−109240号、
同4−271341号および同5−40324号各公報
に記載がある。セレン増感剤の例には、コロイド状金属
セレン、セレノ尿素類(例、N,N−ジメチルセレノ尿
素、トリフルオロメチルカルボニル−トリメチルセレノ
尿素、アセチル−トリメチルセレノ尿素)、セレノアミ
ド類(例、セレノアセトアミド、N,N−ジエチルフェ
ニルセレノアミド)、フォスフィンセレニド類(例え
ば、トリフェニルフォスフィンセレニド、ペンタフルオ
ロフェニル−トリフェニルフォスフィンセレニド)、セ
レノフォスフェート類(例、トリ−p−トリルセレノフ
ォスフェート、トリ−n−ブチルセレノフォスフェー
ト)、セレノケトン類(例、セレノベンゾフェノン)、
イソセレノシアネート類、セレノカルボン酸類、セレノ
エステル類およびジアシルセレニド類が含まれる。な
お、亜セレン酸、セレノシアン化カリウム、セレナゾー
ル類やセレニド類のような比較的安定なセレン化合物
(特公昭46−4553号および同52−34492号
各公報記載)も、セレン増感剤として利用できる。
【0097】テルル増感においては、不安定テルル化合
物を増感剤として用いる。不安定テルル化合物について
は、カナダ国特許800958号、英国特許12954
62号、同1396696号各明細書、特開平4−20
4640号、同4−271341号、同4−33304
3号および同5−303157号各公報に記載がある。
テルル増感剤の例には、テルロ尿素類(例、テトラメチ
ルテルロ尿素、N,N’−ジメチルエチレンテルロ尿
素、N,N’−ジフェニルエチレンテルロ尿素)、フォ
スフィンテルリド類(例、ブチル−ジイソプロピルフォ
スフィンテルリド、トリブチルフォスフィンテルリド、
トリブトキシフォスフィンテルリド、エトキシ−ジフェ
ニルフォスフィンテルリド)、ジアシル(ジ)テルリド
類(例、ビス(ジフェニルカルバモイル)ジテルリド、
ビス(N−フェニル−N−メチルカルバモイル)ジテル
リド、ビス(N−フェニル−N−メチルカルバモイル)
テルリド、ビス(エトキシカルボニル)テルリド)、イ
ソテルロシアナート類、テルロアミド類、テルロヒドラ
ジド類、テルロエステル類(例、ブチルヘキシルテルロ
エステル)、テルロケトン類(例、テルロアセトフェノ
ン)、コロイド状テルル、(ジ)テルリド類およびその
他のテルル化合物(例、ポタシウムテルリド、テルロペ
ンタチオネートナトリウム塩)が含まれる。
【0098】貴金属増感においては、金、白金、パラジ
ウム、イリジウムなどの貴金属の塩を増感剤として用い
る。貴金属塩については、P. Grafkides著、Chimie et
Physique Photographique (Paul Momtel社刊、1987年、
第5版)、Research Disclosure 誌307巻30710
5号に記載がある。金増感が特に好ましい。本発明は金
増感を行なう態様において特に効果がある。
【0099】青酸カリウム(KCN)を含む溶液で乳剤
粒子上の増感核から金が除去されることは、フォトグラ
フィック・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Pho
tographic Science and Engineering) Vol19322
(1975)やジャーナル・イメージング・サイエンス
(Journal of Imaging Science)Vol 3228(198
8)で述べられている。これらの記載によれば、シアン
イオンがハロゲン化銀粒子に吸着した金原子または金イ
オンをシアン錯体として遊離させ、結果として金増感を
阻害する。本発明に従い、シアンの発生を抑制すれば、
金増感の作用を充分に得ることができる。
【0100】金増感剤の例には、塩化金酸、カリウムク
ロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化
金および金セレナイドが含まれる。また、米国特許26
42361号、同5049484号および同50494
85号各明細書に記載の金化合物も用いることができ
る。
【0101】還元増感においては、還元性化合物を増感
剤として用いる。還元性化合物については、P. Grafkid
es著、Chimie et Physique Photographique (Paul Momt
el社刊、1987年、第5版)およびResearch Disclosure
誌307巻307105号に記載がある。還元増感剤の
例には、アミノイミノメタンスルフィン酸(二酸化チオ
尿素)、ボラン化合物(例、ジメチルアミンボラン)、
ヒドラジン化合物(例、ヒドラジン、p−トリルヒドラ
ジン)、ポリアミン化合物(例、ジエチレントリアミ
ン、トリエチレンテトラミン)、塩化第1スズ、シラン
化合物、レダクトン類(例、アスコルビン酸)、亜硫酸
塩、アルデヒド化合物および水素ガスが含まれる。ま
た、高pHや銀イオン過剰(いわゆる銀熟成)の雰囲気
によって、還元増感を実施することもできる。
【0102】化学増感は二種以上を組合せても実施して
もよい。組合せとしては、カルコゲン増感と金増感の組
合せが特に好ましい。また、還元増感は、ハロゲン化銀
粒子の形成時に施すのが好ましい。増感剤の使用量は、
一般に使用するハロゲン化銀粒子の種類と化学増感の条
件により決定する。
【0103】カルコゲン増感剤の使用量は、一般にハロ
ゲン化銀1モル当り10-8〜10-2モルであり、10-7
〜5×10-3モルであることが好ましい。
【0104】貴金属増感剤の使用量は、ハロゲン化銀1
モル当り10-7〜10-2モルであることが好ましい。
【0105】化学増感の条件に特に制限はない。pAg
は一般に6〜11であり、好ましくは7〜10である。
pHは4〜10であることが好ましい。温度は40〜9
5℃であることが好ましく、45〜85℃であることが
さらに好ましい。
【0106】ハロゲン化銀乳剤は、感光材料の製造工
程、保存中あるいは写真処理中のカブリを防止し、ある
いは写真性能を安定化させる目的で、種々の化合物を含
有させることができる。このような化合物の例には、ア
ゾール類(例、ベンゾチアゾリウム塩、ニトロインダゾ
ール類、トリアゾール類、ベンゾトリアゾール類、ベン
ズイミダゾール類(特にニトロ−またはハロゲン置換
体);複素環メルカプト化合物類(例、メルカプトチア
ゾール類、メルカプトベンゾチアゾール類、メルカプト
ベンズイミダゾール類、メルカプトチアジアゾール類、
メルカプトテトラゾール類(特に、1−フェニル−5−
メルカプトテトラゾール)、メルカプトピリミジン
類);カルボキシル基やスルホン基などの水溶性基を有
する上記の複素環メルカプト化合物類;チオケト化合物
(例、オキサゾリンチオン);アザインデン類(例、テ
トラアザインデン類(特に、4−ヒドロキシ置換(1,
3,3a,7)テトラアザインデン類));ベンゼンチ
オスルホン酸類およびベンゼンスルフィン酸が含まれ
る。一般にこれらの化合物は、カブリ防止剤または安定
剤として知られている。
【0107】カブリ防止剤または安定剤の添加時期は、
通常、化学増感を施した後に行なわれる。しかし、化学
増感の途中または化学増感の開始以前の時期の中から選
ぶこともできる。すなわち、ハロゲン化銀乳剤粒子形成
過程において、銀塩溶液の添加中でも、添加後から化学
増感開始までの間でも、化学増感の途中(化学増感時間
中、好ましくは開始から50%までの時間内に、より好
ましくは20%までの時間内)でもよい。
【0108】次に、本発明に用いられる磁気記録層につ
いて説明する。
【0109】本発明に用いられる磁気記録層とは、磁性
体粒子をバインダー中に分散した水性もしくは有機溶媒
系塗布液を支持体上に塗設したものである。
【0110】本発明で用いられる磁性体粒子は、γFe
2 3 などの強磁性酸化鉄、Co被着γFe2 3 、C
o被着マグネタイト、Co含有マグネタイト、強磁性二
酸化クロム、強磁性金属、強磁性合金、六方晶系のBa
フェライト、Srフェライト、Pbフェライト、Caフ
ェライトなどを使用できる。Co被着γFe2 3 など
のCo被着強磁性酸化鉄が好ましい。形状としては針
状、米粒状、球状、立方体状、板状等いずれでもよい。
比表面積では SBET で20m 2 /g以上が好ましく、30m 2
/g以上が特に好ましい。強磁性体の飽和磁化(σs)は、
好ましくは 3.0×104 〜 3.0×105 A/m であり、特に好
ましくは4.0 ×104 〜2.5 ×105 A/m である。強磁性体
粒子を、シリカおよび/またはアルミナや有機素材によ
る表面処理を施してもよい。さらに、磁性体粒子は特開
平6-161032に記載された如くその表面にシランカップリ
ング剤又はチタンカップリング剤で処理されてもよい。
又特開平4-259911、同5-81652 号に記載の表面に無機、
有機物を被覆した磁性体粒子も使用できる。
【0111】磁性体粒子に用いられるバインダーは、特
開平4-219569に記載の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、放
射線硬化性樹脂、反応型樹脂、酸、アルカリ又は生分解
性ポリマー、天然物重合体(セルロース誘導体,糖誘導
体など)およびそれらの混合物を使用することができ
る。上記の樹脂のTgは -40℃〜 300℃、重量平均分子量
は 0.2万〜 100万である。例えばビニル系共重合体、セ
ルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セ
ルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテ
ートブチレート、セルローストリプロピオネートなどの
セルロース誘導体、アクリル樹脂、ポリビニルアセター
ル樹脂を挙げることができ、ゼラチンも好ましい。特に
セルロースジ(トリ)アセテートが好ましい。バインダ
ーは、エポキシ系、アジリジン系、イソシアネート系の
架橋剤を添加して硬化処理することができる。イソシア
ネート系の架橋剤としては、トリレンジイソシアネー
ト、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘ
キサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシア
ネート、などのイソシアネート類、これらのイソシアネ
ート類とポリアルコールとの反応生成物(例えば、トリ
レンジイソシアナート3molとトリメチロールプロパン1m
olの反応生成物)、及びこれらのイソシアネート類の縮
合により生成したポリイソシアネートなどがあげられ、
例えば特開平6-59357 に記載されている。
【0112】前述の磁性体を上記バインダ−中に分散す
る方法は、特開平6-35092 に記載されている方法のよう
に、ニーダー、ピン型ミル、アニュラー型ミルなどが好
ましく併用も好ましい。特開平5-088283に記載の分散剤
や、その他の公知の分散剤が使用できる。磁気記録層の
厚みは 0.1μm〜10μm、好ましくは 0.2μm〜 5μ
m、より好ましくは 0.3μm〜 3μmである。磁性体粒
子とバインダーの重量比は好ましくは 0.5:100〜60:100
からなり、より好ましくは1:100 〜30:100である。磁性
体粒子の塗布量は 0.005〜 3g/m 2 、好ましくは0.01〜
2g/m 2 、さらに好ましくは0.02〜 0.5g/m 2 である。
磁気記録層の透過イエロー濃度は、0.01〜0.50が好まし
く、0.03〜0.20がより好ましく、0.04〜0.15が特に好ま
しい。磁気記録層は、写真用支持体の裏面に塗布又は印
刷によって全面またはストライプ状に設けることができ
る。磁気記録層を塗布する方法としてはエアードクタ
ー、ブレード、エアナイフ、スクイズ、含浸、リバース
ロール、トランスファーロール、グラビヤ、キス、キャ
スト、スプレイ、ディップ、バー、エクストリュージョ
ン等が利用でき、特開平5-341436等に記載の塗布液が好
ましい。
【0113】磁気記録層に、潤滑性向上、カール調節、
帯電防止、接着防止、ヘッド研磨などの機能を合せ持た
せてもよいし、別の機能性層を設けて、これらの機能を
付与させてもよく、粒子の少なくとも1種以上がモース
硬度が5以上の非球形無機粒子の研磨剤を用いることが
好ましい。非球形無機粒子の組成としては、酸化アルミ
ニウム、酸化クロム、二酸化珪素、二酸化チタン、シリ
コンカーバイト等の酸化物、炭化珪素、炭化チタン等の
炭化物、ダイアモンド等の微粉末が好ましい。これらの
研磨剤は、その表面をシランカップリング剤又はチタン
カップリング剤で処理してもよい。これらの粒子は磁気
記録層に添加してもよく、また磁気記録層上にオーバー
コート(例えば保護層,潤滑剤層など)しても良い。こ
の時使用するバインダーは前述のものが使用でき、好ま
しくは磁気記録層のバインダーと同じものがよい。磁気
記録層を有する感材については、US 5,336,589、同 5,2
50,404、同 5,229,259、同 5,215,874、EP 466,130に記
載されている。
【0114】上記磁気記録層を有する感光材料は、経時
保存性(カブリ増加、感度上昇)の程度をより大きくす
るものであるが、前記本発明の平板粒子ハロゲン化銀乳
剤を使用した感光材料にあっては、この経時保存性は改
良され、本発明の目的を達成することができるものであ
り、更に画質の改良をも行うことができる。
【0115】以下、図を参照しつつ、本発明の写真感光
材料包装体(以下、「写真フイルムパトローネ」ともい
う。)100の構造についてまず説明する。図1は、そ
の写真フイルムパトローネの分解斜視図、図2は、それ
を半径方向から見た図、図3は、それを図2とは異なる
位置で、半径方向から見た図である。
【0116】写真フイルムパトローネ100は、パトロ
ーネ本体101の内部に、写真感光材料(写真フイル
ム)102を巻き付けたスプール103を回動自在に収
納しており、パトローネ本体101の外周にパトローネ
ラベル104が粘着されている。カートリッジ本体(パ
トローネ本体)101は、2つの成形部品である上・下
ケース105、106からなる。
【0117】ゲート150を有する上ケース105と、
下ケース106との正面側合わせ目には写真フイルム1
02を送り出すためのフイルム送り出し口107(通
路)が形成されている。フイルム送り出し口107の奥
には、ここからの入光を防止するための蓋部材108
と、これの奥に配置され写真フイルム102の先端を分
離するための分離爪109とがそれぞれ設けられてい
る。蓋部材108は、両端部にそれぞれキー溝110、
111が形成され、カメラに装填された際にキー溝11
0、111に係合するカメラ側の開閉用駆動軸の回動に
よってフイルム送り出し口107を塞ぐ閉じ位置と写真
フイルムの出入りが許容される開き位置との間で回動さ
れる。図5には、ロックポウル144と蓋部材108が
係合し、蓋部材が閉じ位置でロックされた状態を示して
ある。
【0118】スプール103は、スプール軸112の両
端内側にそれぞれ一対のリップ付きフランジ113、1
14が取り付けられ、一方のフランジ113の外側にデ
ータディスクが設けられている。また他方のフランジ1
14の外側に使用表示部材123が取り付けられる。デ
ータディスク115には、データラベルが貼付けられ
る。スプール軸112、データディスク115、各フラ
ンジ113、114が係合する一対のフランジ係合部1
17、118、写真フイルム後端係止用のスリット11
9、及び使用表示部材支持部120とがそれぞれ一体に
形成されており、カメラに装填された際にスプール10
3の両端部に設けたカギ穴上のキー溝121、122に
カメラ側の駆動軸が係合し、この駆動軸の回転によって
回動される。
【0119】使用表示部材123には、軸受け部12
4、2つのラチェット爪125、ギヤ126、及び使用
表示板127とが一体に形成されており、これらはスプ
ール軸112と一体に回転する。
【0120】写真フイルムパトローネ100の内部は、
ギヤ126と噛み合うようにスプールロック128が収
納されている。このスプールロック128は、蓋部材1
08が閉じる位置にある時には、ギヤ126に係合して
スプール軸112の回転ロックを行い、不用意な写真フ
イルム102の送り出しを防止し、また、蓋部材108
が開き位置にある時にはギヤ126との係合を解除す
る。
【0121】一対のフランジ113、114は、プラス
チック材料で成形されており、断面が薄肉カップ状とな
っている。カップ状の底部にはフランジ係合部117、
118に回動自在に係合する丸穴129、130がそれ
ぞれ設けられている。また、カップ状の開口縁部13
1、132は、スプール軸112に取り付けられた際に
互いに向き合うようになり、これらの間に巻回される写
真フイルム102の最外周両端を包み込む(図6参
照)。これらの開口縁部131、132によってスプー
ル103の回転を写真フイルム102の最外周まで伝達
させることができるとともに、フイルムロール142の
巻き緩みを防止している。
【0122】フランジ114には、丸穴130を取り囲
むように、所定ピッチで4個の穴133が形成されてい
る。これらの穴133には、スプール軸112が写真フ
イルム送り出し方向に回転した際に使用表示部材123
のラチェット爪125が係合する。ラチェット爪125
は、前記穴133に係合した際にスプール軸112の回
転をフランジ114に伝達させ、スプール軸112が写
真フイルム巻き取り方向に回転した際には使用表示部材
123のラチェット爪125が前記穴133を乗り越
え、スプール軸112の回転をフランジ114に伝達さ
せることはない。ところで、写真フイルム102を送り
出す際には、スプール103をフイルム送り出し方向に
回転させる。スプール103がフイルム送り出し方向に
回転させられると、写真フイルム102の先端が分離爪
109に接触し、写真フイルム先端の内側に巻回された
部分から分離される。続いてスプール103が回転させ
られると、厚みが薄い一対のフランジ113、114は
弾性を有しているから、分離されたフイルム先端によっ
てそれぞれ外側に押し広げられ、これによって一対のフ
ランジ113、114の包み込みから開放された写真フ
イルム先端(図3の143)はフイルム送り出し口を通
じて写真フイルムパトローネ100の外に送り出され
る。また、スプール軸112が写真フイルム巻き取り方
向(写真フイルム送り出し方向とは逆方向)に回転した
際にはフランジ113、114ともスプール軸112と
一体に回転することはない。したがって、写真フイルム
102を巻き取る際には、フランジ113、114が回
転しないことから、これらの開口縁部131、132と
写真フイルム102との間に滑りを生じ、写真フイルム
102がフランジの開口縁部131、132の下に滑り
込むことによって写真フイルムが巻き込まれる。
【0123】データディスク115は、大径扇型部分1
34と切り欠き部分135とからなる。バーコードラベ
ル116は、データディスク115と相似の形状をして
おり、データディスクに貼り付けられる。
【0124】バーコードラベル116には、バーコード
が印刷されており、様々な情報、例えば収納する写真フ
イルム102の種類等を表している。この情報は、スプ
ール103がフイルム送り出し方向に回転された際に、
図5に示すように、上ケース105の一側面に形成され
た開口136を介してカメラ側に設けた読取りセンサに
よって読み取られ、露出値の算出や収納された写真フイ
ルムの露光枚数のカウント等に用いられる。
【0125】この写真フイルムパトローネ100では、
写真フイルム102の先端までも全部収納するため、未
露光の写真フイルムかそれとも露光済みの写真フイルム
が収納されているのかが外観から見ても区別がつかな
い。そこで、露光済みの写真フイルムを収納した写真フ
イルムパトローネ100が再度カメラに装填されて撮影
が行われることを防止するために、後装填防止用の開口
137を下ケース106の一側面に形成している。この
一側面は、カメラのパトローネ室に向けて挿入される側
であり、パトローネ室内には開口137に入り込むレバ
ーが設けられている。
【0126】写真フイルムパトローネ100は、露光済
みの写真フイルムを収納している場合には開口137に
大径扇型部分134を露呈した状態となるように、ま
た、未露光の写真フイルムを収納している場合には開口
137に大径扇型部分134を露呈していない状態とな
るようにカメラ側の駆動軸によってスプール103の停
止位置が制御される。したがって、カメラ側ではレバー
の移動量を検出することで露光済み又は未露光の写真フ
イルムのどちらを収納しているかを見分けることができ
る。
【0127】さらに、ユーザーが外観から見ても把握で
きるように、この写真フイルムパトローネ100では、
図4に示すように、他の側面(開口136、137を設
けた側面とは反対側の側面)に、未露光の写真フイルム
が収納された際の使用状況表示用開口138、一部に撮
影を行った写真フイルムを収納した時の使用状況表示用
開口139、全部に撮影を行った露光済みの写真フイル
ムを収納した際の使用状況表示用開口140、及び現像
済みの写真フイルムを収納した際の使用状況表示用開口
141とを形成し、スプール103の停止位置を制御し
て奥に位置する使用表示板127を前記4つの使用状況
表示用開口138〜141のうち何れかに露呈させて写
真フイルムの使用状況を表示するようにしている。
【0128】さらに、本パトローネ100には、収納さ
れた写真フイルム102の感度検出用に用いられる感度
検出ノッチ145が設けられている。これは、バーコー
ドラベルに書かれたバーコードを読むバーコードリーダ
ーを持たない安価カメラで感度を検出するためのノッチ
である。図5のように感度検出用ノッチ145が設けら
れている場合は、収納された写真フイルム102がIS
O感度400以上であり、ノッチがない場合はISO感
度400以下であることを示している。
【0129】さらに、本パトローネ100には、収納さ
れた写真フイルム102が現像済みか否かを表す現像済
み表示タブが設けられている。図4に示されるように、
このタブ147はパトローネ100の一側面に設けられ
た開口146内に設けられ、このタブ147が折り取ら
れている場合には収納された写真フイルム102が現像
済みであることを示している。
【0130】次に、本発明のパトローネ100の製法の
代表例について具体的に述べる。上ケース・下ケース1
05、106、スプール103、及び蓋部材108は、
ハイインパクトポリスチレン樹脂(電気化学工業製 デ
ンカスチロール HI−R−Q)に、遮光性を付与する
ためにカーボンブラック(三菱化学製 三菱カーボンブ
ラック #950)1.0重量%、及び滑性を付与する
ためのシリコーンオイル(信越化学工業製 信越シリコ
ーン KF96H−粘度3万cs)1.5重量%を混練し
た樹脂を用い射出成形法によって成形する。
【0131】使用表示部材123は、上述のハイインパ
クトポリスチレン樹脂に、上述のカーボンブラック0.
01重量%、及び酸化チタン(石原産業製 CR60−
2)3.5重量%を混練した樹脂を用い射出成形法によ
って成形する。
【0132】フランジ113、114は、ポリスチレン
樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂のポリマーアロイ
(旭化成製 ザイロン X9101)から作られた厚み
150μmのフイルムを用い、真空・圧空法によって成
形する。
【0133】パトローネラベル104は、まず厚み50
μmの白色顔料入ポリスチレンフイルムの片面に印刷適
正を付与するコーティングを行い、その裏面に粘着剤を
付設した後剥離紙を張り付けた離型紙付き粘着ラベル原
反を作成する。その原反の表面に図7に示したように、
数字で書かれたパトローネID番号印刷スペース15
1、メーカー名、商品名、フイルムの種類・感度・露光
枚数、注意書き、及びユーザーが記入するメモ欄等を印
刷する品種等の印刷スペース152、及びバーコード印
刷スペース153がある。まず品種等印刷スペースを印
刷し、その後ハーフカット加工を行い、さらにその後で
バーコード及びパトローネID番号を印刷して作成す
る。バーコードには、製造業者名、製造ロット、製造
日、収納された写真フイルムの種類、感度、露光枚数、
及びパトローネID番号等がコード化されて印刷されて
いる。カートリッジID番号は、カートリッジ一個一個
に付けられた固有の番号である。
【0134】バーコードラベル116は、厚み50μm
の透明ポリスチレンフイルムの片面に厚さ約400オン
グストロームのアルミ蒸着層を設け、その上に粘着剤を
付設した後剥離紙を張り付けた離型紙付き粘着ラベルを
作成し、アルミ蒸着層の反対面にバーコードを印刷した
後、外周部分のハーフカットを行い、さらに中央の穴抜
き加工を行って作成する。
【0135】上記に例示した構造・製法である包装体に
収納される写真感光材料は、圧力耐性が悪化するが、前
記本発明の平板粒子ハロゲン化銀乳剤を使用した感光材
料にあっては、この圧力耐性の悪化は改良され、このよ
うな包装体に収納された写真感光材料にあっても本発明
の前記課題が達成できる。
【0136】本発明の感光材料は、支持体上に少なくと
も1層の感光性層が設けられていればよい。典型的な例
としては、支持体上に、実質的に感色性は同じであるが
感光度の異なる複数のハロゲン化銀乳剤層から成る感光
性層を少なくとも1つ有するハロゲン化銀写真感光材料
である。また、該感光性層はカラー感光材料の場合、青
色光、緑色光、および赤色光の何れかに感色性を有する
単位感光性層を含むものであり、多層ハロゲン化銀カラ
ー写真感光材料においては、一般に単位感光性層の配列
が、支持体側から順に赤感色性層、緑感色性層、青感色
性の順に設置される。しかし、目的に応じて上記設置順
が逆であっても、また同一感色性層中に異なる感光性層
が挟まれたような設置順をもとり得る。上記のハロゲン
化銀感光性層の間および最上層、最下層には非感光性層
を設けてもよい。これらには、後述のカプラー、DIR
化合物、混色防止剤等が含まれていてもよい。各単位感
光性層を構成する複数のハロゲン化銀乳剤層は、DE 1,1
21,470あるいはGB 923,045に記載されているように高感
度乳剤層、低感度乳剤層の2層を、支持体に向かって順
次感光度が低くなる様に配列するのが好ましい。また、
特開昭57-112751 、同62- 200350、同62-206541 、62-2
06543 に記載されているように支持体より離れた側に低
感度乳剤層、支持体に近い側に高感度乳剤層を設置して
もよい。
【0137】具体例として支持体から最も遠い側から、
低感度青感光性層(BL)/高感度青感光性層(BH)/高
感度緑感光性層(GH)/低感度緑感光性層(GL) /高感
度赤感光性層(RH)/低感度赤感光性層(RL)の順、ま
たはBH/BL/GL/GH/RH/RLの順、またはBH/BL/GH/
GL/RL/RHの順等に設置することができる。
【0138】また特公昭 55-34932 公報に記載されてい
るように、支持体から最も遠い側から青感光性層/GH/
RH/GL/RLの順に配列することもできる。また特開昭56
-25738、同62-63936に記載されているように、支持体か
ら最も遠い側から青感光性層/GL/RL/GH/RHの順に配
列することもできる。
【0139】また特公昭49-15495に記載されているよう
に上層を最も感光度の高いハロゲン化銀乳剤層、中層を
それよりも低い感光度のハロゲン化銀乳剤層、下層を中
層よりも更に感光度の低いハロゲン化銀乳剤層を配置
し、支持体に向かって感光度が順次低められた感光度の
異なる3層から構成される配列が挙げられる。このよう
な感光度の異なる3層から構成される場合でも、特開昭
59-202464 に記載されているように、同一感色性層中に
おいて支持体より離れた側から中感度乳剤層/高感度乳
剤層/低感度乳剤層の順に配置されてもよい。
【0140】その他、高感度乳剤層/低感度乳剤層/中
感度乳剤層、あるいは低感度乳剤層/中感度乳剤層/高
感度乳剤層の順に配置されていてもよい。また、4層以
上の場合にも、上記の如く配列を変えてよい。
【0141】色再現性を改良するために、US 4,663,27
1、同 4,705,744、同 4,707,436、特開昭62-160448 、
同63- 89850 の明細書に記載の、BL,GL,RLなどの主感光
層と分光感度分布が異なる重層効果のドナー層(CL) を
主感光層に隣接もしくは近接して配置することが好まし
い。
【0142】本発明には、非感光性微粒子ハロゲン化銀
を使用することが好ましい。非感光性微粒子ハロゲン化
銀とは、色素画像を得るための像様露光時においては感
光せずに、その現像処理において実質的に現像されない
ハロゲン化銀微粒子であり、あらかじめカブラされてい
ないほうが好ましい。微粒子ハロゲン化銀は、臭化銀の
含有率が 0〜 100モル%であり、必要に応じて塩化銀お
よび/または沃化銀を含有してもよい。好ましくは沃化
銀を 0.5〜10モル%含有するものである。微粒子ハロゲ
ン化銀は、平均粒径(投影面積の円相当直径の平均値)
が0.01〜 0.5μm が好ましく、0.02〜 0.2μm がより好
ましい。
【0143】微粒子ハロゲン化銀は、通常の感光性ハロ
ゲン化銀と同様の方法で調製できる。ハロゲン化銀粒子
の表面は、光学的に増感される必要はなく、また分光増
感も不要である。ただし、これを塗布液に添加するのに
先立ち、あらかじめトリアゾール系、アザインデン系、
ベンゾチアゾリウム系、もしくはメルカプト系化合物ま
たは亜鉛化合物などの公知の安定剤を添加しておくこと
が好ましい。この微粒子ハロゲン化銀粒子含有層に、コ
ロイド銀を含有させることができる。
【0144】本発明の感光材料の塗布銀量は、10.0g/m
2 以下が好ましく、6.0g/m2 以下がより好ましく、4.5g
/ m 2 以下が最も好ましい。
【0145】本発明に使用できる写真用添加剤もRDに
記載されており、下記の表に関連する記載箇所を示し
た。
【0146】 添加剤の種類 RD17643 RD18716 RD307105 1.化学増感剤 23頁 648 頁右欄 866頁 2.感度上昇剤 648頁右欄 3. 分光増感剤、 23〜24頁 648 頁右欄 866 〜868 頁 強色増感剤 〜649 頁右欄 4. 増 白 剤 24頁 647 頁右欄 868頁 5. 光吸収剤、 25 〜26頁 649 頁右欄 873頁 フィルター 〜650 頁左欄 染料、紫外 線吸収剤 6. バインダー 26頁 651 頁左欄 873 〜874 頁 7. 可塑剤、 27頁 650 頁右欄 876頁 潤滑剤 8. 塗布助剤、 26 〜27頁 650 頁右欄 875 〜876 頁 表面活性剤 9. スタチツク 27頁 650 頁右欄 876 〜877 頁 防止剤 10. マツト剤 878 〜879 頁 本発明の感光材料には種々の色素形成カプラーを使用す
ることができるが、以下のカプラーが特に好ましい。
【0147】イエローカプラー;EPA 502,424Aの式(I),
(II)で表されるカプラー;EP 513,496A の式(1) 、(2)
で表されるカプラー(特に18頁のY−28); EP 56
8,037Aのクレーム1の式(I) で表わされるカプラー; US
5,066,576のカラム1の45〜55行の一般式(I) で表わさ
れるカプラー; 特開平4-274425の段落0008の一般式(I)
で表わされるカプラー; EP 498,381A1の40頁のクレーム
1に記載のカプラー(特に18頁のD-35); EP 447,969A1
の4頁の式(Y) で表わされるカプラー(特にY-1(17頁),
Y-54(41 頁)); US 4,476,219のカラム7の36〜58行の式
(II)〜(IV)で表わされるカプラー(特にII-17,19( カラ
ム17),II-24(カラム19))。
【0148】マゼンタカプラー; 特開平3-39737(L-57(1
1 頁右下),L-68(12 頁右下),L-77(13頁右下); EP 456,2
57 の[A-4]-63(134頁),[A-4]-73,-75(139頁); EP 486,9
65 のM-4,-6(26 頁),M-7(27頁); EP 571,959AのM-45(19
頁);特開平5-204106の(M-1)(6 頁);特開平4-362631の
段落0237のM-22。
【0149】シアンカプラー: 特開平4-204843のCX-1,
3,4,5,11,12,14,15(14 〜16頁); 特開平4-43345 のC-
7,10(35 頁),34,35(37頁),(I-1),(I-17)(42 〜43頁);
特開平6-67385 の請求項1の一般式(Ia)または(Ib)で表
わされるカプラー。
【0150】ポリマーカプラー: 特開平2-44345 のP-1,
P-5(11頁) 。
【0151】発色色素が適度な拡散性を有するカプラー
としては、US 4,366,237、GB 2,125,570、EP 96,873B、
DE 3,234,533に記載のものが好ましい。
【0152】発色色素の不要吸収を補正するためのカプ
ラーは、EP 456,257A1の5 頁に記載の式(CI),(CII),(CI
II),(CIV) で表わされるイエローカラードシアンカプラ
ー(特に84頁のYC-86)、該EPに記載のイエローカラード
マゼンタカプラーExM-7(202 頁) EX-1(249 頁) 、 EX-
7(251 頁) 、US 4,833,069に記載のマゼンタカラードシ
アンカプラーCC-9 (カラム8)、CC-13(カラム10) 、US
4,837,136の(2)(カラム8)、WO92/11575のクレーム1の
式(A) で表わされる無色のマスキングカプラー(特に36
〜45頁の例示化合物)が好ましい。
【0153】現像主薬酸化体と反応して写真的に有用な
化合物残基を放出する化合物(カプラーを含む)として
は、以下のものが挙げられる。現像抑制剤放出化合物:
EP 378,236A1の11頁に記載の式(I),(II),(III),(IV) で
表わされる化合物(特にT-101(30頁),T-104(31頁),T-11
3(36頁),T-131(45頁),T-144(51頁),T-158(58頁)), EP43
6,938A2の 7頁に記載の式(I) で表わされる化合物(特
にD-49(51 頁))、EP 568,037A の式(1) で表わされる化
合物(特に(23)(11 頁))、EP 440,195A2の5 〜6 頁に記
載の式(I),(II),(III)で表わされる化合物(特に29頁の
I-(1) );漂白促進剤放出化合物:EP 310,125A2の5 頁
の式(I),(I')で表わされる化合物(特に61頁の(60),(6
1)) 及び特開平6-59411 の請求項1の式(I) で表わされ
る化合物(特に(7)(7 頁); リガンド放出化合物:US
4,555,478のクレーム1に記載のLIG-X で表わされる化
合物(特にカラム12の21〜41行目の化合物) ;ロイコ色
素放出化合物:US 4,749,641のカラム3〜8の化合物1
〜6;蛍光色素放出化合物:US4,774,181のクレーム1のC
OUP-DYEで表わされる化合物(特にカラム7〜10の化合
物1〜11);現像促進剤又はカブラセ剤放出化合物:US
4,656,123のカラム3の式(1) 、(2) 、(3) で表わされ
る化合物(特にカラム25の(I-22)) 及びEP 450,637A2の
75頁36〜38行目のExZK-2; 離脱して初めて色素となる基
を放出する化合物: US 4,857,447のクレーム1の式(I)
で表わされる化合物(特にカラム25〜36のY-1 〜Y-19)
【0154】カプラー以外の添加剤としては、以下のも
のが好ましい。
【0155】油溶性有機化合物の分散媒: 特開昭62-215
272 のP-3,5,16,19,25,30,42,49,54,55,66,81,85,86,93
(140〜144 頁); 油溶性有機化合物の含浸用ラテック
ス: US4,199,363に記載のラテックス; 現像主薬酸化体
スカベンジャー: US 4,978,606のカラム2の54〜62行の
式(I) で表わされる化合物(特にI-,(1),(2),(6),(12)
(カラム4〜5)、US 4,923,787のカラム2の5〜10行
の式(特に化合物1(カラム3); ステイン防止剤: EP
298321Aの4頁30〜33行の式(I) 〜(III),特にI-47,72,
III-1,27(24 〜48頁); 褪色防止剤: EP 298321AのA-6,
7,20,21,23,24,25,26,30,37,40,42,48,63,90,92,94,164
(69 〜118 頁), US5,122,444のカラム25〜38のII-1〜II
I-23, 特にIII-10, EP 471347Aの8 〜12頁のI-1 〜III-
4,特にII-2,US 5,139,931 のカラム32〜40のA-1 〜48,
特にA-39,42; 発色増強剤または混色防止剤の使用量を
低減させる素材: EP 411324Aの5 〜24頁のI-1 〜II-15,
特にI-46; ホルマリンスカベンジャー: EP 477932Aの24
〜29頁のSCV-1 〜28, 特にSCV-8; 硬膜剤: 特開平1-21
4845の17頁のH-1,4,6,8,14, US 4,618,573のカラム13〜
23の式(VII) 〜(XII) で表わされる化合物(H-1〜54),特
開平2-214852の8頁右下の式(6) で表わされる化合物(H
-1〜76),特にH-14, US 3,325,287のクレーム1に記載の
化合物; 現像抑制剤プレカーサー: 特開昭62-168139 の
P-24,37,39(6〜7 頁); US 5,019,492 のクレーム1に記
載の化合物,特にカラム7の28,29; 防腐剤、防黴剤:
US 4,923,790のカラム3 〜15のI-1 〜III-43, 特にII-
1,9,10,18,III-25; 安定剤、かぶり防止剤: US 4,923,
793のカラム6 〜16のI-1 〜(14),特にI-1,60,(2),(13),
US 4,952,483 のカラム25〜32の化合物1〜65, 特に3
6:化学増感剤: トリフェニルホスフィン セレニド, 特
開平5-40324 の化合物50;染料: 特開平3-156450の15〜1
8頁のa-1 〜b-20, 特にa-1,12,18,27,35,36,b-5,27 〜2
9頁のV-1 〜23, 特にV-1, EP 445627A の33〜55頁のF-I
-1 〜F-II-43,特にF-I-11,F-II-8, EP 457153A の17〜2
8頁のIII-1 〜36, 特にIII-1,3, WO 88/04794の8〜26
のDye-1 〜124 の微結晶分散体, EP 319999Aの6〜11頁
の化合物1〜22, 特に化合物1, EP 519306A の式(1) な
いし(3) で表わされる化合物D-1 〜87(3〜28頁),US 4,2
68,622の式(I) で表わされる化合物1〜22 (カラム3〜
10), US 4,923,788 の式(I) で表わされる化合物(1) 〜
(31) (カラム2〜9); UV吸収剤: 特開昭46-3335 の式
(1) で表わされる化合物(18b) 〜(18r),101 〜427(6〜
9頁),EP 520938Aの式(I) で表わされる化合物(3) 〜(6
6)(10 〜44頁) 及び式(III) で表わされる化合物HBT-1
〜10(14 頁), EP 521823A の式(1) で表わされる化合物
(1) 〜(31) (カラム2〜9)。
【0156】本発明は、B/W感光材料をはじめとし、
一般用もしくは映画用のカラーネガフィルム、スライド
用もしくはテレビ用のカラー反転フィルム、カラーペー
パー、カラーポジフィルムおよびカラー反転ペーパーの
ような種々のカラー感光材料に適用することができる。
また、特公平2-32615 、実公平3-39784 に記載されてい
るレンズ付きフイルムユニット用に好適である。
【0157】本発明に使用できる適当な支持体は、例え
ば、前述のRD.No. 17643 の28頁、同No. 18716 の 6
47頁右欄から 648頁左欄、および同No.307105 の 879頁
に記載されている。
【0158】本発明の感光材料は、乳剤層を有する側の
全親水性コロイド層の膜厚の総和が28μm 以下であるこ
とが好ましく、23μm 以下がより好ましく、18μm 以下
が更に好ましく、16μm 以下が特に好ましい。また膜膨
潤速度T1/2 は30秒以下が好ましく、20秒以下がより好
ましい。T1/2 は、発色現像液で30℃、3 分15秒処理し
た時に到達する最大膨潤膜厚の90%を飽和膜厚としたと
き、膜厚そのが1/2 に到達するまでの時間と定義する。
膜厚は、25℃相対湿度55%調湿下(2日)で測定した
膜厚を意味し、T1/2 は、エー・グリーン(A.Green)ら
のフォトグラフィック・サイエンス・アンド・エンジニ
アリング (Photogr.Sci.Eng.),19卷、2,124 〜129 頁
に記載の型のスエロメーター(膨潤計)を使用すること
により測定できる。T1/2 は、バインダーとしてのゼラ
チンに硬膜剤を加えること、あるいは塗布後の経時条件
を変えることによって調整することができる。また、膨
潤率は 150〜400 %が好ましい。膨潤率とは、さきに述
べた条件下での最大膨潤膜厚から、式:(最大膨潤膜厚
−膜厚)/膜厚 により計算できる。
【0159】本発明の感光材料は、乳剤層を有する側の
反対側に、乾燥膜厚の総和が2 μm〜20μm の親水性コ
ロイド層(バック層と称す)を設けることが好ましい。
このバック層には、前述の光吸収剤、フィルター染料、
紫外線吸収剤、スタチック防止剤、硬膜剤、バインダ
ー、可塑剤、潤滑剤、塗布助剤、表面活性剤を含有させ
ることが好ましい。このバック層の膨潤率は150 〜500
%が好ましい。
【0160】本発明の感光材料は、前述のRD.No. 17
643 の28〜29頁、同No. 18716 の 651左欄〜右欄、およ
び同No. 307105 の880 〜881 頁に記載された通常の方
法によ って現像処理することができる。
【0161】次に、本発明に使用されるカラーネガフイ
ルム用の処理液について説明する。本発明に使用される
発色現像液には、特開平4-121739の第9頁右上欄1行〜
第11頁左下欄4行に記載の化合物を使用することができ
る。特に迅速な処理を行う場合の発色現像主薬として
は、2−メチル−4−〔N−エチル−N−(2−ヒドロ
キシエチル)アミノ〕アニリン、2−メチル−4−〔N
−エチル−N−(3−ヒドロキシプロピル)アミノ〕ア
ニリン、2−メチル−4−〔N−エチル−N−(4−ヒ
ドロキシブチル)アミノ〕アニリンが好ましい。
【0162】これらの発色現像主薬は発色現像液1リッ
トルあたり0.01〜0.08モルの範囲で使用することが好ま
しく、特には 0.015〜0.06モル、更には0.02〜0.05モル
の範囲で使用することが好ましい。また発色現像液の補
充液には、この濃度の 1.1〜3倍の発色現像主薬を含有
させておくことが好ましく、特に 1.3〜 2.5倍を含有さ
せておくことが好ましい。
【0163】発色現像液の保恒剤としては、ヒドロキシ
ルアミンが広範に使用できるが、より高い保恒性が必要
な場合は、アルキル基やヒドロキシアルキル基、スルホ
アルキル基、カルボキシアルキル基などの置換基を有す
るヒドロキシルアミン誘導体が好ましく、具体的には
N,N−ジ(スルホエチル)ヒドロキルアミン、モノメ
チルヒドロキシルアミン、ジメチルヒドロキシルアミ
ン、モノエチルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキ
ルアミン、N,N−ジ(カルボキシエチル)ヒドロキル
アミンが好ましい。上記の中でも、特にN,N−ジ(ス
ルホエチル)ヒドロキルアミンが好ましい。これらはヒ
ドロキシルアミンと併用してもよいが、好ましくはヒド
ロキシルアミンの代わりに、1種または2種以上使用す
ることが好ましい。
【0164】保恒剤は1リットルあたり0.02〜 0.2モル
の範囲で使用することが好ましく、特に0.03〜0.15モ
ル、更には0.04〜 0.1モルの範囲で使用することが好ま
しい。また補充液においては、発色現像主薬の場合と同
様に、母液(処理タンク液)の1.1〜3倍の濃度で保恒
剤を含有させておくことが好ましい。
【0165】発色現像液には、発色現像主薬の酸化物の
タ−ル化防止剤として亜硫酸塩が使用される。亜硫酸塩
は1リットルあたり0.01〜0.05モルの範囲で使用するの
が好ましく、特には0.02〜0.04モルの範囲が好ましい。
補充液においては、これらの1.1〜3倍の濃度で使用す
ることが好ましい。
【0166】また、発色現像液のpHは 9.8〜 11.0 の範
囲が好ましいが、特には10.0〜10.5が好ましく、また補
充液においては、これらの値から 0.1〜 1.0の範囲で高
い値に設定しておくことが好ましい。このようなpHを安
定して維持するには、炭酸塩、リン酸塩、スルホサリチ
ル酸塩、ホウ酸塩などの公知の緩衝剤が使用される。
【0167】発色現像液の補充量は、感光材料1m 2
たり80〜1300ミリリットルが好ましいが、環境汚濁負荷
の低減の観点から、より少ない方が好ましく、具体的に
は80〜 600ミリリットル、更には80〜 400ミリリットル
が好ましい。
【0168】発色現像液中の臭化物イオン濃度は、通
常、1リットルあたり0.01〜0.06モルであるが、感度を
保持しつつカブリを抑制してディスクリミネーションを
向上させ、かつ、粒状性を良化させる目的からは、1リ
ットルあたり 0.015〜0.03モルに設定することが好まし
い。臭化物イオン濃度をこのような範囲に設定する場合
に、補充液には下記の式で算出した臭化物イオンを含有
させればよい。ただし、Cが負になる時は、補充液には
臭化物イオンを含有させないことが好ましい。
【0169】C=A−W/V C:発色現像補充液中の臭化物イオン濃度(モル/リッ
トル) A:目標とする発色現像液中の臭化物イオン濃度(モル
/リットル) W:1m 2 の感光材料を発色現像した場合に、感光材料
から発色現像液に溶出する臭化物イオンの量(モル) V:1m 2 の感光材料に対する発色現像補充液の補充量
(リットル) また、補充量を低減した場合や、高い臭化物イオン濃度
に設定した場合、感度を高める方法として、1−フェニ
ル−3−ピラゾリドンや1−フェニル−2−メチル−2
−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドンに代表されるピ
ラゾリドン類や3,6−ジチア−1,8−オクタンジオ
ールに代表されるチオエーテル化合物などの現像促進剤
を使用することも好ましい。
【0170】本発明における漂白能を有する処理液に
は、特開平4-125558の第4頁左下欄16行〜第7頁左下欄
6行に記載された化合物や処理条件を適用することがで
きる。漂白剤は酸化還元電位が 150mV以上のものが好ま
しいが、その具体例としては特開平5-72694 、同5-1733
12に記載のものが好ましく、特に1,3−ジアミノプロ
パン四酢酸、特開平5-173312号第7頁の具体例1の化合
物の第二鉄錯塩が好ましい。
【0171】また、漂白剤の生分解性を向上させるに
は、特開平4-251845、同4-268552、EP588,289、同 591,
934、特開平6-208213に記載の化合物第二鉄錯塩を漂白
剤として使用することが好ましい。これらの漂白剤の濃
度は、漂白能を有する液1リットルあたり0.05〜 0.3モ
ルが好ましく、特に環境への排出量を低減する目的か
ら、 0.1モル〜0.15モルで設計することが好ましい。ま
た、漂白能を有する液が漂白液の場合は、1リットルあ
たり 0.2モル〜1モルの臭化物を含有させることが好ま
しく、特に 0.3〜 0.8モルを含有させることが好まし
い。
【0172】漂白能を有する液の補充液には、基本的に
以下の式で算出される各成分の濃度を含有させる。これ
により、母液中の濃度を一定に維持することができる。
【0173】CR =CT ×(V1 +V2 )/V1 +CP CR :補充液中の成分の濃度 CT :母液(処理タンク液)中の成分の濃度 CP :処理中に消費された成分の濃度 V1 :1m 2 の感光材料に対する漂白能を有する補充液
の補充量(ミリリットル) V2 :1m 2 の感光材料による前浴からの持ち込み量
(ミリリットル) その他、漂白液にはpH緩衝剤を含有させることが好まし
く、特にコハク酸、マレイン酸、マロン酸、グルタル
酸、アジピン酸など、臭気の少ないジカルボン酸を含有
させることが好ましい。また、特開昭53-95630、RDN
o.17129、US 3,893,858に記載の公知の漂白促進剤を使
用することも好ましい。
【0174】漂白液には、感光材料1m 2 あたり50〜10
00ミリリットルの漂白補充液を補充することが好まし
く、特には80〜 500ミリリットル、さらには 100〜 300
ミリリットルの補充をすることが好ましい。さらに漂白
液にはエアレーションを行なうことが好ましい。
【0175】定着能を有する処理液については、特開平
4-125558の第7頁左下欄10行〜第8頁右下欄19行に記載
の化合物や処理条件を適用することができる。
【0176】特に、定着速度と保恒性を向上させるため
に、特開平6-301169の一般式(I)と(II)で表される
化合物を、単独あるいは併用して定着能を有する処理液
に含有させることが好ましい。またp−トルエンスルフ
ィン酸塩をはじめ、特開平1-224762に記載のスルフィン
酸を使用することも、保恒性の向上の上で好ましい。漂
白能を有する液や定着能を有する液には、脱銀性の向上
の観点からカチオンとしてアンモニウムを用いることが
好ましいが、環境汚染低減の目的からは、アンモニウム
を減少或いはゼロにする方が好ましい。
【0177】漂白、漂白定着、定着工程においては、特
開平1-309059に記載のジェット撹拌を行なうことが特に
好ましい。
【0178】漂白定着また定着工程における補充液の補
充量は、感光材料1m 2 あたり 100〜1000ミリリットル
であり、好ましくは 150〜 700ミリリットル、特に好ま
しくは 200〜 600ミリリットルである。
【0179】漂白定着や定着工程には、各種の銀回収装
置をインラインやオフラインで設置して銀を回収するこ
とが好ましい。インラインで設置することにより、液中
の銀濃度を低減して処理できる結果、補充量を減少させ
ることができる。また、オフラインで銀回収して残液を
補充液として再利用することも好ましい。
【0180】漂白定着工程や定着工程は複数の処理タン
クで構成することができ、各タンクはカスケード配管し
て多段向流方式にすることが好ましい。現像機の大きさ
とのバランスから、一般には2タンクカスケード構成が
効率的であり、前段のタンクと後段のタンクにおける処
理時間の比は、 0.5:1〜1:0.5 の範囲にすることが
好ましく、特には 0.8:1〜1:0.8 の範囲が好まし
い。
【0181】漂白定着液や定着液には、保恒性の向上の
観点から金属錯体になっていない遊離のキレート剤を存
在させることが好ましいが、これらのキレート剤として
は、漂白液に関して記載した生分解性キレート剤を使用
することが好ましい。
【0182】水洗および安定化工程に関しては、上記の
特開平4-125558、第12頁右下欄6行〜第13頁右下欄第16
行に記載の内容を好ましく適用することができる。特
に、安定液にはホルムアルデヒドに代わってEP 504,60
9、同 519,190に記載のアゾリルメチルアミン類や特開
平4-362943に記載のN−メチロールアゾール類を使用す
ることや、マゼンタカプラーを二当量化してホルムアル
デヒドなどの画像安定化剤を含まない界面活性剤の液に
することが、作業環境の保全の観点から好ましい。ま
た、感光材料に塗布された磁気記録層へのゴミの付着を
軽減するには、特開平6-289559に記載の安定液が好まし
く使用できる。
【0183】水洗および安定液の補充量は、感光材料1
m 2 あたり80〜1000ミリリットルが好ましく、特には 1
00〜 500ミリリットル、さらには 150〜 300ミリリット
ルが、水洗または安定化機能の確保と環境保全のための
廃液減少の両面から好ましい範囲である。このような補
充量で行なう処理においては、バクテリアや黴の繁殖防
止のために、チアベンダゾール、1,2−ベンゾイソチ
アゾリン−3オン、5−クロロ−2−メチルイソチアゾ
リン−3−オンのような公知の防黴剤やゲンタマイシン
のような抗生物質、イオン交換樹脂等によって脱イオン
処理した水を用いることが好ましい。脱イオン水と防菌
剤や抗生物質は、併用することがより効果的である。
【0184】また、水洗または安定液タンク内の液は、
特開平3-46652 、同3-53246 、同-355542 、同3-12144
8、同3-126030に記載の逆浸透膜処理を行なって補充量
を減少させることも好ましく、この場合の逆浸透膜は、
低圧逆浸透膜であることが好ましい。
【0185】本発明における処理においては、発明協会
公開技報、公技番号94-4992 に開示された処理液の蒸発
補正を実施することが特に好ましい。特に第2頁の(式
−1)に基づいて、現像機設置環境の温度及び湿度情報
を用いて補正する方法が好ましい。蒸発補正に使用する
水は、水洗の補充タンクから採取することが好ましく、
その場合は水洗補充水として脱イオン水を用いることが
好ましい。
【0186】本発明に用いられる処理剤としては、上記
公開技報の第3頁右欄15行から第4頁左欄32行に記載の
ものが好ましい。また、これに用いる現像機としては、
第3頁右欄の第22行から28行に記載のフイルムプロセサ
ーが好ましい。
【0187】本発明を実施するに好ましい処理剤、自動
現像機、蒸発補正方式の具体例については、上記の公開
技報の第5頁右欄11行から第7頁右欄最終行までに記載
されている。
【0188】本発明に使用される処理剤の供給形態は、
使用液状態の濃度または濃縮された形の液剤、あるいは
顆粒、粉末、錠剤、ペースト状、乳液など、いかなる形
態でもよい。このような処理剤の例として、特開昭63-1
7453には低酸素透過性の容器に収納した液剤、特開平4-
19655 、同4-230748には真空包装した粉末あるいは顆
粒、同4-221951には水溶性ポリマーを含有させた顆粒、
特開昭51-61837、特開平6-102628には錠剤、特表昭57-5
00485 にはペースト状の処理剤が開示されており、いず
れも好ましく使用できるが、使用時の簡便性の面から、
予め使用状態の濃度で調製してある液体を使用すること
が好ましい。
【0189】これらの処理剤を収納する容器には、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニール、ポリエ
チレンテレフタレート、ナイロンなどが、単独あるいは
複合材料として使用される。これらは要求される酸素透
過性のレベルに合わせて選択される。発色現像液などの
酸化されやすい液に対しては、低酸素透過性の素材が好
ましく、具体的にはポリエチレンテレフタレートやポリ
エチレンとナイロンの複合材料が好ましい。これらの材
料は 500〜1500μmの厚さで、容器に使用され、酸素透
過性を20ミリリットル/m 2 ・24hrs ・atm 以下にする
ことが好ましい。
【0190】本発明が黒白感光材料に適用される場合に
用いられる種々の添加剤、現像処理方法等については特
に制限はなく、例えば特開平2−68539号、同5−
11389号、及び同2−58041号の各公報の下記
該当箇所のものを好ましく用いることができる。
【0191】1.ハロゲン化銀乳剤とその製法:特開平
2−68539号公報第8頁右下欄下から6行目〜同第
10頁右上欄12行目。
【0192】2.化学増感方法:特開平2−68539
号公報10頁右上欄13行目〜同左下欄16行目、特開
平5−11389号公報に記載のセレン増感法。
【0193】3.カブリ防止剤・安定剤:特開平2−6
8539号公報第10頁左下欄17行目〜同第11頁左
下欄7行目及び同第3頁左下欄2行目〜同第4頁左下
欄。
【0194】4.分光増感色素:特開平2−68539
号公報第4頁右下欄4行目〜同第8頁右下欄及び特開平
2−58041号公報第12頁左下欄8行目〜同右下欄
19行目。
【0195】5.界面活性剤・帯電防止剤:特開平2−
68539号公報第11頁左上欄14行目〜同第12頁
左上欄9行目及び特開平2−58041号公報第2頁左
下欄14行目〜同第5頁12行目。
【0196】6.マット剤・可塑剤・滑り剤:特開平2
−68539号公報第12頁左上欄10行目〜同右上欄
10行目及び特開平2−58041号公報第5頁左下欄
13行目〜同第10頁左下欄3行目。
【0197】7.親水性コロイド:特開平2−6853
9号公報第12頁右上欄11行目〜同左下欄16行目。
【0198】8.硬膜剤:特開平2−68539号公報
第12頁左下欄17行目〜同第13頁右上欄6行目。
【0199】9.現像処理方法:特開平2−68539
号公報第15頁左上欄14行目〜同左下欄13行目。
【0200】次に本発明に使用されるカラー反転フイル
ム用の処理液について説明する。
【0201】カラー反転フイルム用の処理については、
アズテック有限会社発行の公知技術第6号(1991年4月
1日)第1頁5行〜第10頁5行、及び第15頁8行〜第24
頁2行に詳細に記載されており、その内容はいずれも好
ましく適用することができる。カラー反転フイルムの処
理においては、画像安定化剤は調整浴か最終浴に含有さ
れる。このような画像安定化剤としては、ホルマリンの
ほかにホルムアルデヒド重亜硫酸ナトリウム、N−メチ
ロールアゾール類があげられるが、作業環境の観点から
ホルムアルデヒド重亜硫酸ナトリウムかN−メチロール
アゾール類が好ましく、N−メチロールアゾール類とし
ては、特にN−メチロールトリアゾールが好ましい。ま
た、カラーネガフイルムの処理において記載した発色現
像液、漂白液、定着液、水洗水などに関する内容は、カ
ラー反転フイルムの処理にも好ましく適用できる。
【0202】上記の内容を含む好ましいカラー反転フイ
ルムの処理剤として、イーストマンコダック社のE−6
処理剤及び富士写真フイルム(株)のCR−56処理剤
をあげることができる。
【0203】本発明に使用できる支持体に関しては、例
えば、前述のRD.No.17643の28頁、同N
o.18716の647頁右欄から648左欄、及び同
No.307105の897頁に記載されている。また
支持体としてはポリエステル支持体も使用することがで
きる。
【0204】次に本発明に用いられるポリエステル支持
体について記すが、上記以外の感材、処理、カートリッ
ジ及び実施例なども含め詳細については、公開技報、公
技番号94-6023(発明協会;1994.3.15.)に記載されてい
る。本発明に用いられるポリエステルはジオールと芳香
族ジカルボン酸を必須成分として形成され、芳香族ジカ
ルボン酸として2,6−、1,5−、1,4−、及び
2,7−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソ
フタル酸、フタル酸、ジオールとしてジエチレングリコ
ール、トリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタ
ノール、ビスフェノールA、ビスフェノールが挙げられ
る。この重合ポリマーとしては、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサ
ンジメタノールテレフタレート等のホモポリマーを挙げ
ることができる。特に好ましいのは2,6−ナフタレン
ジカルボン酸を50モル%〜 100モル%含むポリエステル
である。中でも特に好ましいのはポリエチレン−2,6
−ナフタレートである。平均分子量の範囲は約 5,000な
いし 200,000である。本発明のポリエステルのTgは50℃
以上であり、さらに90℃以上が好ましい。
【0205】次にポリエステル支持体は、巻き癖をつき
にくくするために熱処理温度は40℃以上Tg未満、より好
ましくはTg−20℃以上Tg未満で熱処理を行う。熱処理は
この温度範囲内の一定温度で実施してもよく、冷却しな
がら熱処理してもよい。この熱処理時間は、 0.1時間以
上1500時間以下、さらに好ましくは 0.5時間以上 200時
間以下である。支持体の熱処理は、ロ−ル状で実施して
もよく、またウェブ状で搬送しながら実施してもよい。
表面に凹凸を付与し(例えばSnO2 や Sb2 5
の導電性無機微粒子を塗布する)、面状改良を図っても
よい。又端部にロ−レットを付与し端部のみ少し高くす
ることで巻芯部の切り口写りを防止するなどの工夫を行
うことが望ましい。これらの熱処理は支持体製膜後、表
面処理後、バック層塗布後(帯電防止剤、滑り剤等)、
下塗り塗布後のどこの段階で実施してもよい。好ましい
のは帯電防止剤塗布後である。
【0206】このポリエステルには紫外線吸収剤を練り
込んでも良い。又ライトパイピング防止のため、三菱化
成製のDiaresin、日本化薬製のKayaset 等ポリエステル
用として市販されている染料または顔料を練り込むこと
により目的を達成することが可能である。
【0207】次に、本発明では支持体と感材構成層を接
着させるために、表面処理することが好ましい。薬品処
理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線処
理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、
レーザー処理、混酸処理、オゾン酸化処理、などの表面
活性化処理が挙げられる。表面処理の中でも好ましいの
は、紫外線照射処理、火焔処理、コロナ処理、グロー処
理である。
【0208】次に下塗法について述べると、単層でもよ
く2層以上でもよい。下塗層用バインダーとしては、塩
化ビニル、塩化ビニリデン、ブタジエン、メタクリル
酸、アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸などの中
から選ばれた単量体を出発原料とする共重合体を始めと
して、ポリエチレンイミン、エポキシ樹脂、グラフト化
ゼラチン、ニトロセルロース、ゼラチンが挙げられる。
支持体を膨潤させる化合物としてレゾルシンとp−クロ
ルフェノールがある。下塗層にはゼラチン硬化剤として
はクロム塩(クロム明ばんなど)、アルデヒド類(ホル
ムアルデヒド、グルタールアルデヒドなど)、イソシア
ネート類、活性ハロゲン化合物(2,4−ジクロロ−6
−ヒドロキシ−S−トリアジンなど)、エピクロルヒド
リン樹脂、活性ビニルスルホン化合物などを挙げること
ができる。SiO2 、TiO2 、無機物微粒子又はポリ
メチルメタクリレート共重合体微粒子(0.01〜10μm)
をマット剤として含有させてもよい。
【0209】また本発明においては、帯電防止剤が好ま
しく用いられる。それらの帯電防止剤としては、カルボ
ン酸及びカルボン酸塩、スルホン酸塩を含む高分子、カ
チオン性高分子、イオン性界面活性剤化合物を挙げるこ
とができる。
【0210】帯電防止剤として最も好ましいものは、
ZnO、TiO2 、SnO2 、Al2 3 、In2 3
、SiO2 、 MgO、 BaO、MoO3 、V2
5 の中から選ばれた少くとも1種の体積抵抗率が107 Ω
・cm以下、より好ましくは105 Ω・cm以下である粒子サ
イズ 0.001〜 1.0μm結晶性の金属酸化物あるいはこれ
らの複合酸化物(Sb,P,B,In,S,Si,C
など)の微粒子、更にはゾル状の金属酸化物あるいはこ
れらの複合酸化物の微粒子である。感材への含有量とし
ては、 5〜500mg/m 2 が好ましく特に好ましくは10〜35
0mg/m 2 である。導電性の結晶性酸化物又はその複合酸
化物とバインダーの量の比は1/300 〜 100/1が好まし
く、より好ましくは 1/100〜 100/5である。
【0211】本発明の感材には滑り性がある事が好まし
い。滑り剤含有層は感光層面、バック面ともに用いるこ
とが好ましい。好ましい滑り性としては動摩擦係数で0.
25以下0.01以上である。この時の測定は直径 5mmのステ
ンレス球に対し、 60cm/分で搬送した時の値を表す(25
℃、60%RH)。この評価において相手材として感光層面
に置き換えてももほぼ同レベルの値となる。
【0212】本発明に使用可能な滑り剤としては、ポリ
オルガノシロキサン、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸金
属塩、高級脂肪酸と高級アルコールのエステル等であ
り、ポリオルガノシロキサンとしては、ポリジメチルシ
ロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリスチリルメチ
ルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン等を用い
ることができる。添加層としては乳剤層の最外層やバッ
ク層が好ましい。特にポリジメチルシロキサンや長鎖ア
ルキル基を有するエステルが好ましい。
【0213】本発明の感材にはマット剤が有る事が好ま
しい。マット剤としては乳剤面、バック面とどちらでも
よいが、乳剤側の最外層に添加するのが特に好ましい。
マット剤は処理液可溶性でも処理液不溶性でもよく、好
ましくは両者を併用することである。例えばポリメチル
メタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート/メタク
リル酸= 9/1又は5/5 (モル比))、ポリスチレン粒子
などが好ましい。粒径としては 0.8〜10μmが好まし
く、その粒径分布も狭いほうが好ましく、平均粒径の
0.9〜 1.1倍の間に全粒子数の90%以上が含有されるこ
とが好ましい。又マット性を高めるために 0.8μm以下
の微粒子を同時に添加することも好ましく例えばポリメ
チルメタクリレート(0.2μm)、ポリ(メチルメタクリ
レート/メタクリル酸= 9/1(モル比)、 0.3μm))、
ポリスチレン粒子(0.25μm)、コロイダルシリカ(0.
03μm)が挙げられる。
【0214】次に本発明で用いられるフィルムパトロー
ネについて記す。本発明で使用されるパトローネの主材
料は金属でも合成プラスチックでもよい。
【0215】好ましいプラスチック材料はポリスチレ
ン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニルエー
テルなどである。更に本発明のパトローネは、各種の帯
電防止剤を含有してもよくカーボンブラック、金属酸化
物粒子、ノニオン、アニオン、カチオン及びベタイン系
界面活性剤又はポリマー等を好ましく用いることが出来
る。これらの帯電防止されたパトローネは特開平1-3125
37、同1-312538に記載されている。特に25℃、25%RHで
の抵抗が1012Ω以下が好ましい。通常プラスチックパト
ローネは、遮光性を付与するためにカーボンブラックや
顔料などを練り込んだプラスチックを使って製作され
る。パトローネのサイズは現在 135サイズのままでもよ
いし、カメラの小型化には、現在の 135サイズの25mmの
カートリッジの径を22mm以下とすることも有効である。
パトローネのケースの容積は、30cm3以下好ましくは 25
cm 3 以下とすることが好ましい。パトローネおよびパ
トローネケースに使用されるプラスチックの重量は5g〜
15g が好ましい。
【0216】更に本発明で用いられる、スプールを回転
してフイルムを送り出すパトローネでもよい。またフイ
ルム先端がパトローネ本体内に収納され、スプール軸を
フイルム送り出し方向に回転させることによってフイル
ム先端をパトローネのポート部から外部に送り出す構造
でもよい。これらはUS 4,834,306、同 5,226,613に開示
されている。本発明に用いられる写真フイルムは現像前
のいわゆる生フイルムでもよいし、現像処理された写真
フイルムでもよい。又、生フイルムと現像済みの写真フ
ィルムが同じ新パトローネに収納されていてもよいし、
異なるパトローネでもよい。
【0217】
【実施例】以下、本発明を実施例により、更に詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0218】実施例1 [平板状種乳剤粒子TANE-1の調製]KBr4.5g、平
均分子量15000のゼラチン7.9gを含む水溶液1
600mlを40℃に保ち攪拌した。硝酸銀8.9gを
含む水溶液とKIを18.9重量%含むKBr(6.2
g)水溶液をダブルジェット法で40秒間にわたり添加
した。ゼラチン38gを添加した後、58℃に昇温し
た。硝酸銀1.9gを含む水溶液を添加した後、アンモ
ニア0.05モルを添加し15分後に酢酸でpH5.0
に調製した。次に、硝酸銀219gを含む水溶液とKB
r水溶液を、溶液中のpAgを9.1に保ちながらダブ
ルジェット法で流量加速しながら、40分間にわたって
添加した。添加終了後、40℃に冷却し水洗・脱塩した
後ゼラチン50gを加え、40℃でpH5.8、pAg
8.8に調製した。
【0219】この種乳剤は、ヨウ化銀含有率0.5モル
%、乳剤1kgあたりAgを1.2モル、ゼラチンを6
0g含有し、平均円相当径0.40μm、円相当径の変
動係数20%、平均厚み0.06μm、平均アスペクト
比6.7、球相当径0.24μmの平板粒子であった。
【0220】[平板状種乳剤粒子TANE-2の調製]KBr
1.0 g、平均分子量15000のゼラチン1.2gを含
む水溶液1600mlを35℃に保ち攪拌した。硝酸銀
12gを含む水溶液と平均分子量15000のゼラチン
を4重量%含むKBr(8.5g)水溶液をダブルジェ
ット法で1分間にわたり添加した。50℃に昇温した
後、ゼラチン38gを添加した。次に、硝酸銀110g
を含む水溶液とKBr水溶液を、溶液中のpAgを9.
2に保ちながらダブルジェット法で流量加速しながら、
15分間にわたって添加した。添加終了後、40℃に冷
却し水洗・脱塩した後ゼラチン50gを加え、40℃で
pH5.8、pAg8.8に調製した。
【0221】この種乳剤は、乳剤1kgあたりAgを
1.2モル、ゼラチンを69g含有し、平均円相当径
0.298μm、円相当径の変動係数20%、平均厚み
0.05μm、平均アスペクト比7.8、球相当径0.19
μmの臭化銀平板粒子であった。
【0222】[乳剤Aの作成]臭化カリウム 0.9
g、不活性ゼラチン50g、硝酸アンモニウム4.5g
を蒸留水1Lに溶かした水溶液をよく撹拌しながら、こ
れに1規定水酸化ナトリウム15.0ccを加え、さらに
ダブルジェット法により、4%臭化カリウム水溶液と4
%硝酸銀水溶液とを25分間にわたって加えた。この
間、温度を72℃、pAgを7.1に保持した(この添
加(I)で全銀量の10%を消費した)。続いてダブル
ジェット法で沃化カリウム4.7gが添加されるように
沃化カリウムを含む20%臭化カリウム水溶液および、
20%硝酸銀水溶液を温度を72℃、pAgを7.2に
保ちながら60分間にわたって添加した(この添加(I
I)で全銀量の90%を消費した)。続いて、上記乳剤
に対して35℃にて公知のフロキュレーション法により
水洗し、ゼラチンを加え60℃に加熱した後、pH6.
0、pAg8.8に調製した。乳剤Aは球相当径0.3
8μm(沃化銀含量=4mol%)、平均アスペクト比1の
立方体粒子乳剤であった。
【0223】[乳剤Bの作成]臭化カリウム 0.9
g、不活性ゼラチン50g、硝酸アンモニウム4.5g
を蒸留水1Lに溶かした水溶液をよく撹拌しながら、こ
れに1規定水酸化ナトリウム15.0ccを加え、さらに
ダブルジェット法により、4%臭化カリウム水溶液と4
%硝酸銀水溶液とを18分間にわたって加えた。この
間、温度を72℃、pAgを7.1に保持した(この添
加(I)で全銀量の10%を消費した)。続いてダブル
ジェット法で沃化カリウム4.7gが添加されるように
沃化カリウムを含む20%臭化カリウム水溶液および、
20%硝酸銀水溶液を温度を72℃、pAgを7.2に
保ちながら37分間にわたって添加した(この添加(I
I)で全銀量の55%を消費した)。さらに、ダブルジ
ェット法で20%臭化カリウム水溶液と35%硝酸銀水
溶液を温度を72℃、pAgを8.0に保ちながら10
分間にわたって添加した(この添加(III )で全銀量の
20.0%を消費した)。続いて、上記乳剤に対して3
5℃にて公知のフロキュレーション法により水洗し、ゼ
ラチンを加え60℃に加熱した後、pH6.0、pAg
8.8に調製した。乳剤Bは球相当径0.38μm(沃
化銀含量=4mol%)、平均アスペクト比1の14面体粒
子乳剤であった。
【0224】[乳剤Cの作成]添加Iにおける添加時間
を40分間に延ばし、添加IIにおける20%の沃臭化カ
リウム溶液中にRhCl3 を添加すること以外乳剤Aと
同様にして、乳剤Cを作成した。乳剤Cは球相当径0.
60μm(沃化銀含量=4mol%)、平均アスペクト比1
の立方体粒子乳剤であった。この乳剤は、減感剤(R
h)を4E-7mol/Agmol 含んでいる。
【0225】[乳剤Dの作成]添加Iにおける添加時間
を33分間にのばし、添加III における20%の臭化カ
リウム溶液中にRhCl3 を添加すること以外乳剤Bと
同様にして、乳剤Dを作成した。乳剤Dは球相当径0.
58μm(沃化銀含量=4mol%)、平均アスペクト比1
の14面体粒子乳剤であった。この乳剤は、減感剤(R
h)を4E-7mol/Agmol 含んでいる。
【0226】[乳剤Eの作成]臭化カリウム1.2g、
ゼラチン33gを含む水溶液2200mlを75℃に保
ち攪拌した。臭化銀平板状種晶TANE-1を366g添加し
た後、硝酸銀215.3gを含む水溶液と臭化カリウム
およびヨウ化カリウムを含むハロゲン化物水溶液を溶液
中のpAgを8.0に保ちながら、ダブルジェット法で
流量加速しながら60分間かけて添加した(添加I)。
続いて、上記乳剤に対して35℃にて公知のフロキュレ
ーション法により水洗し、ゼラチンを加え60℃に加熱
した後、pH6.0、pAg8.8に調製した。乳剤E
は球相当径0.38μm、平均アスペクト比4.5(沃
化銀含量=4mol%) の平板粒子乳剤であった。
【0227】[乳剤Fの作成]臭化カリウム1.2g、
ゼラチン33gを含む水溶液2200mlを75℃に保
ち攪拌した。臭化銀平板状種晶TANE-1を430g添加し
た後、硝酸銀100gを含む水溶液と臭化カリウムを含
むハロゲン化物水溶液を溶液中のpAgを8.5に保ち
ながら、ダブルジェット法で流量加速しながら45分間
かけて添加した(添加I)。添加終了後55℃に降温
し、硝酸銀12.6gを含む水溶液100mlとヨウ化
カリウム11.3gを含む水溶液540mlとをダブル
ジェット法で一定流量を保ちながら5分間かけて添加し
た(添加II)後、pAgを9.3に調製した。さらに硝
酸銀89.7gを含む水溶液と臭化カリウム63.2g
を含む水溶液とをダブルジェット法で添加した(添加II
I )。続いて、上記乳剤に対して35℃にて公知のフロ
キュレーション法により水洗し、ゼラチンを加え60℃
に加熱した後、pH6.0、pAg8.8に調製した。
乳剤Fは球相当径0.36μm、平均アスペクト比4.
5(沃化銀含量=4mol%) の平板粒子乳剤であった。
【0228】[乳剤Gの作成]種晶添加量を100gに
変え、添加Iにおける臭化カリウム溶液中にRhCl3
を添加すること以外乳剤Eと同様にして、乳剤Gを作成
した。乳剤Gは球相当径0.590μm(沃化銀含量=
4mol%)、平均アスペクト比4.5の平板粒子乳剤であ
った。この乳剤は、減感剤(Rh)を4E-7mol/Agmol 含
んでいる。
【0229】[乳剤Hの作成]臭化カリウム1.2g、
ゼラチン33gを含む水溶液2200mlを75℃に保
ち攪拌した。臭化銀平板状種晶TANE-1を110g添加し
た後、硝酸銀100gを含む水溶液と臭化カリウムとR
hCl3 を含むハロゲン化物水溶液を溶液中のpAgを
8.3に保ちながら、ダブルジェット法で流量加速しな
がら45分間かけて添加した(添加I)。引き続き、硝
酸銀12.6gを含む水溶液100mlとヨウ化カリウ
ム11.3gと臭化カリウム32.1gを含む水溶液5
40mlとをダブルジェット法で一定流量を保ちながら
5分間かけて添加した(添加II)後、pAgを8.0に
調製した。さらに硝酸銀89.7gを含む水溶液と臭化
カリウム63.2gを含む水溶液とをダブルジェット法
で添加した(添加III )。続いて、上記乳剤に対して3
5℃にて公知のフロキュレーション法により水洗し、ゼ
ラチンを加え60℃に加熱した後、pH6.0、pAg
8.8に調製した。乳剤Hは球相当径0.570μm
(沃化銀含量=4mol%)、平均アスペクト比4.5の平
板粒子乳剤であった。この乳剤は、減感剤(Rh)を4E
-7mol/Agmol 含んでいる。
【0230】[乳剤Iの作成]種晶添加量を126gに
変え、添加Iにおける臭化カリウム溶液中にRhCl3
を添加すること以外乳剤Fと同様にして、乳剤Iを作成
した。乳剤Iは球相当径0.545μm(沃化銀含量=
4mol%)、平均アスペクト比4.5の平板粒子乳剤であ
った。この乳剤は、減感剤(Rh)を4E-7mol/Agmol 含
んでいる。
【0231】乳剤−A〜Iを液体窒素温度にて400KV
透過型電子顕微鏡にて観察したところ、乳剤A、C、
E、Gは、転位線が全く認められない粒子が殆どであっ
た。一方、乳剤B,Dには粒子内に転位線が数多く認め
られた。また、乳剤F,Iには平板粒子の外周全域に転
位線が数多く認められ、1粒子当たり平均40本以上は
転位線が存在した。乳剤Hには転位線の存在が認められ
るものの1粒子当たり平均の転位の数は5本であった。
【0232】乳剤A〜Iを以下のようにして化学増感を
施し、乳剤A−1、B−1、C−1、D−1、E−1、
F−1、G−1、H−1、I−1を得た。乳剤を64℃
に昇温し例示化合物ExS−7を銀1モル当り表1に示
される添加量加え、20分間保持した後、64℃でベン
ゼンチオスルフォン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウ
ム、チオシアン酸ナトリウム、メチルセレノウレア、塩
化金酸を用いて最適に化学増感した。ここで「最適に化
学増感を施す」とは化学増感後、1/100秒露光した
時の感度が最も高くなるような化学増感をいう。
【0233】乳剤Jを64℃に昇温しベンゼンチオスル
フォン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、チオシアン
酸ナトリウム、メチルセレノウレア、塩化金酸を用いて
最適に化学増感した後、例示化合物ExS−7を銀1モ
ル当り表1に示される添加量加え、20分間保持した。
【0234】
【表1】
【0235】[乳剤Kの作成]臭化カリウム1.2g、
ゼラチン33gを含む水溶液2200mlを75℃に保
ち攪拌した。臭化銀平板状種晶TANE-2を366g添加し
た後、二酸化チオ尿素を全添加銀1mol 当たり4E−5
mol 添加し、その後硝酸銀215.3gを含む水溶液と
臭化カリウムおよびヨウ化カリウムを含むハロゲン化物
水溶液を溶液中のpAgを8.0に保ちながら、ダブル
ジェット法で流量加速しながら60分間かけて添加した
(添加I)。その後、チオスルホン酸を全添加銀1mol当
たり3E-4mol 添加し、続いて、上記乳剤に対して35℃
にて公知のフロキュレーション法により水洗し、ゼラチ
ンを加え60℃に加熱した後、pH6.0、pAg8.
8に調製した。乳剤Kは球相当径0.3μm、平均アス
ペクト比7.5(沃化銀含量=3mol%) の平板粒子乳剤
であった。
【0236】[乳剤Lの作成]臭化カリウム1.2g、
ゼラチン33gを含む水溶液2200mlを75℃に保
ち攪拌した。臭化銀平板状種晶TANE-2を450g添加し
た後、二酸化チオ尿素を全添加銀1mol 当たり4E−5
mol 添加し、硝酸銀100gを含む水溶液と臭化カリウ
ムを含むハロゲン化物水溶液を溶液中のpAgを8.5
に保ちながら、ダブルジェット法で流量加速しながら4
5分間かけて添加した(添加I)。添加終了後、チオス
ルホン酸を全添加銀1mol当たり3E-4mol 添加し、その
後、KBrでpAgを9.2に調整し、ヨウ化カリウム
8.47gを含む水溶液540mlとを一定流量を保ち
ながら5分間かけて添加した(添加II)。さらに硝酸銀
89.7gを含む水溶液を一定流量に保ちながら添加
し、硝酸銀を40g添加した時点から臭化カリウムを含
む水溶液をpAgを7.9に保ちながらダブルジェット
法で添加した(添加III )。続いて、上記乳剤に対して
35℃にて公知のフロキュレーション法により水洗し、
ゼラチンを加え60℃に加熱した後、pH6.0、pA
g8.8に調製した。乳剤Lは球相当径0.28μm、
平均アスペクト比7.5(沃化銀含量=3mol%) の平板
粒子乳剤であった。
【0237】[乳剤Mの作成]種晶添加量を100gに
変え、添加III における臭化カリウム溶液中にK2 [R
uCl5 (NO)]を添加すること以外乳剤Kと同様に
して、乳剤Mを作成した。乳剤Mは球相当径0.50μ
m(沃化銀含量=3mol%)、平均アスペクト比7.5の
平板粒子乳剤であった。この乳剤は、減感剤(Ru)を
8E-7mol/Agmol含んでいる。
【0238】[乳剤Nの作成]種晶添加量を89gに変
え、添加III における臭化カリウム溶液中にK2 [Ru
Cl5 (NO)]を添加すること以外乳剤Lと同様にし
て、乳剤Nを作成した。乳剤Nは球相当径0.48μm
(沃化銀含量=3mol%)、平均アスペクト比7.5の平
板粒子乳剤であった。この乳剤は、減感剤(Ru)を8E
-7mol/Agmol 含んでいる。
【0239】[乳剤Oの作成]種晶添加量を180gに
変え、添加III における臭化カリウム溶液中にK3 Rh
Br6 を添加すること以外乳剤Lと同様にして、乳剤O
を作成した。乳剤Nは球相当径0.38μm(沃化銀含
量=3mol%)、平均アスペクト比7.5の平板粒子乳剤
であった。この乳剤は、減感剤(Rh)を6E-7mol/Agmo
l 含んでいる。
【0240】[乳剤Pの作成]種晶添加量を211gに
変え、添加III における臭化カリウム溶液中に化合物A
を添加すること以外乳剤Lと同様にして、乳剤Oを作成
した。乳剤Pは球相当径0.38μm(沃化銀含量=3
mol%)、平均アスペクト比7.5の平板粒子乳剤であっ
た。この乳剤は、減感剤(化合物A)を1.5E-6mol/Agmo
l 含んでいる。
【0241】化合物A
【化1】
【0242】乳剤−K〜Pを液体窒素温度にて400KV
透過型電子顕微鏡にて観察したところ、乳剤K、Mは、
転位線が全く認められない粒子が殆どであった。一方、
乳剤L,N、O、Pには粒子内に転位線が外周全域に転
位線が数多く認められ、1粒子当たり平均20本以上は
転位線が存在した。
【0243】乳剤K〜Pを以下のようにして化学増感を
施し、乳剤K−1、L−1、M−1、N−1、O−1、
P−1を得た。乳剤を60℃に昇温し例示化合物ExS
−7を銀1モル当り表1に示される添加量加え、20分
間保持した後、60℃でベンゼンチオスルフォン酸ナト
リウム、チオ硫酸ナトリウム、チオシアン酸ナトリウ
ム、メチルセレノウレア、塩化金酸を用いて最適に化学
増感した。ここで「最適に化学増感を施す」とは化学増
感後、1/100秒露光した時の感度が最も高くなるよ
うな化学増感をいう。
【0244】[乳剤Qの作成]臭化カリウム1.2g、
ゼラチン33gを含む水溶液2200mlを75℃に保
ち攪拌した。臭化銀平板状種晶TANE-1を45g添加した
後、硝酸銀215.3gを含む水溶液と臭化カリウムお
よびヨウ化カリウムを含むハロゲン化物水溶液を溶液中
のpAgを8.5に保ちながら、ダブルジェット法で流
量加速しながら60分間かけて添加した(添加I)。続
いて、上記乳剤に対して35℃にて公知のフロキュレー
ション法により水洗し、ゼラチンを加え60℃に加熱し
た後、pH6.0、pAg8.8に調製した。乳剤Qは
球相当径0.80μm、平均アスペクト比15.0(沃
化銀含量=10mol%) の平板粒子乳剤であった。
【0245】[乳剤Rの作成]臭化カリウム1.2g、
ゼラチン33gを含む水溶液2200mlを75℃に保
ち攪拌した。臭化銀平板状種晶TANE-1を48.6g添加
した後、硝酸銀100gを含む水溶液と10gのヨウ化
カリウムを含む臭化カリウム水溶液を溶液中のpAgを
8.7に保ちながら、ダブルジェット法で流量加速しな
がら55分間かけて添加した(添加I)。添加終了後5
5℃に降温し、硝酸銀31.5gを含む水溶液100m
lとヨウ化カリウム18.3gを含む水溶液540ml
とをダブルジェット法で一定流量を保ちながら5分間か
けて添加した(添加II)後、pAgを9.3に調製し
た。さらに硝酸銀89.7gを含む水溶液と臭化カリウ
ム63.2gを含む水溶液とをダブルジェット法で添加
した(添加III )。続いて、上記乳剤に対して35℃に
て公知のフロキュレーション法により水洗し、ゼラチン
を加え60℃に加熱した後、pH6.0、pAg8.8
に調製した。乳剤Rは球相当径0.78μm、平均アス
ペクト比15.0(沃化銀含量=10mol%) の平板粒子
乳剤であった。
【0246】[乳剤Sの作成]種晶添加量を31.6g
に変え、添加Iにおける臭化カリウム溶液中にK2 Re
Cl6 を添加すること以外乳剤Qと同様にして、乳剤S
を作成した。乳剤Sは球相当径0.9μm(沃化銀含量
=10mol%)、平均アスペクト比15の平板粒子乳剤で
あった。この乳剤は、減感剤(Re)を0.7E-7mol/Agmo
l 含んでいる。
【0247】[乳剤Tの作成]種晶添加量を32gに変
え、添加Iにおける臭化カリウム溶液中にRhCl3
添加すること以外乳剤Rと同様にして、乳剤Iを作成し
た。乳剤Tは球相当径0.88μm(沃化銀含量=10
mol%)、平均アスペクト比15.0の平板粒子乳剤であ
った。この乳剤は、減感剤(Rh)を0.7E-7mol/Agmol
含んでいる。
【0248】乳剤−Q〜Tを液体窒素温度にて400KV
透過型電子顕微鏡にて観察したところ、乳剤Q、Sは、
転位線が全く認められない粒子が殆どであった。一方、
乳剤R、Tは粒子内に転位線が外周全域に転位線が数多
く認められ、1粒子当たり平均50本以上は転位線が存
在した。
【0249】乳剤Q〜Tを以下のようにして化学増感を
施し、乳剤K−1、L−1、M−1、N−1、O−1、
P−1を得た。乳剤を60℃に昇温し例示化合物ExS
−7を銀1モル当り表1に示される添加量加え、20分
間保持した後、56℃でベンゼンチオスルフォン酸ナト
リウム、チオ硫酸ナトリウム、チオシアン酸ナトリウ
ム、メチルセレノウレア、塩化金酸を用いて最適に化学
増感した。ここで「最適に化学増感を施す」とは化学増
感後、1/100秒露光した時の感度が最も高くなるよ
うな化学増感をいう。
【0250】[乳剤Uの作成]臭化カリウム1.2g、
ゼラチン33gを含む水溶液2200mlを75℃に保
ち攪拌した。臭化銀平板状種晶TANE-2を632g添加し
た後、その後硝酸銀215.3gを含む水溶液と臭化カ
リウムおよびヨウ化カリウムを含むハロゲン化物水溶液
を溶液中のpAgを8.0に保ちながら、ダブルジェッ
ト法で流量加速しながら60分間かけて添加した(添加
I)。続いて、上記乳剤に対して35℃にて公知のフロ
キュレーション法により水洗し、ゼラチンを加え60℃
に加熱した後、pH6.0、pAg8.8に調製した。
乳剤Kは球相当径0.3μm、平均アスペクト比6.5
(沃化銀含量=3mol%) の平板粒子乳剤であった。
【0251】[乳剤Vの作成]臭化カリウム1.2g、
ゼラチン33gを含む水溶液2200mlを75℃に保
ち攪拌した。臭化銀平板状種晶TANE-2を811g添加し
た後、硝酸銀100gを含む水溶液と臭化カリウムを含
むハロゲン化物水溶液を溶液中のpAgを8.5に保ち
ながら、ダブルジェット法で流量加速しながら45分間
かけて添加した(添加I)。添加終了後、KBrでpA
gを9.2に調整し、ヨウ化カリウム8.47gを含む
水溶液540mlとを一定流量を保ちながら5分間かけ
て添加した(添加II)。さらに硝酸銀89.7gを含む
水溶液を一定流量に保ちながら添加し、硝酸銀を40g
添加した時点から臭化カリウムを含む水溶液をpAgを
7.9に保ちながらダブルジェット法で添加した(添加
III )。続いて、上記乳剤に対して35℃にて公知のフ
ロキュレーション法により水洗し、ゼラチンを加え60
℃に加熱した後、pH6.0、pAg8.8に調製し
た。乳剤Lは球相当径0.23μm、平均アスペクト比
6.5(沃化銀含量=3mol%) の平板粒子乳剤であっ
た。
【0252】[乳剤Wの作成]種晶添加量を154gに
変え、添加III における臭化カリウム溶液中にK3 Rh
Br5 (H2 O)を添加すること以外乳剤Uと同様にし
て、乳剤Wを作成した。乳剤Wは球相当径0.40μm
(沃化銀含量=3mol%)、平均アスペクト比6.5の平
板粒子乳剤であった。この乳剤は、減感剤(Rh)を5.
0E-7mol/Agmol含んでいる。
【0253】[乳剤Xの作成]種晶添加量を180gに
変え、添加III における臭化カリウム溶液中にK3 Rh
Br5 (H2 O)を添加すること以外乳剤Vと同様にし
て、乳剤Xを作成した。乳剤Vは球相当径0.38μm
(沃化銀含量=3mol%)、平均アスペクト比6.5の平
板粒子乳剤であった。この乳剤は、減感剤(Rh)を5.
0E-7mol/Agmol含んでいる。
【0254】乳剤U〜Xを液体窒素温度にて400KV透
過型電子顕微鏡にて観察したところ、乳剤U、Wは、転
位線が全く認められない粒子が殆どであった。一方、乳
剤V、Xは粒子内に転位線が外周全域に転位線が数多く
認められ、1粒子当たり平均15本以上は転位線が存在
した。
【0255】乳剤U〜Xを以下のようにして化学増感を
施し、乳剤U−1、V−1、W−1、X−1を得た。乳
剤を68℃に昇温し例示化合物ExS−7,8を4:1
のモル比でトータルで銀1モル当り表1に示される添加
量加え、20分間保持した後、68℃でベンゼンチオス
ルフォン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、チオシア
ン酸ナトリウム、メチルセレノウレア、塩化金酸を用い
て最適に化学増感した。ここで「最適に化学増感を施
す」とは化学増感後、1/100秒露光した時の感度が
最も高くなるような化学増感をいう。
【0256】[乳剤Yの作成]乳剤Uに対して、添加I
の前に二酸化チオ尿素を全添加銀mol 当たり8E-5mol添
加し、添加I終了後にチオスルホン酸を全添加銀mol 当
たり4E-5mol 添加することを以外変更せずに乳剤Yを作
成した。
【0257】[乳剤Zの作成]乳剤Vに対して、添加I
の前に二酸化チオ尿素を全添加銀mol 当たり8E-5mol添
加し、添加I終了後にチオスルホン酸を全添加銀mol 当
たり4E-5mol 添加することを以外変更せずに乳剤Zを作
成した。
【0258】[乳剤イの作成]種晶添加量を154gに
変え、添加III における臭化カリウム溶液中にK2 Rh
Br5 (H2 O)を添加すること以外乳剤Yと同様にし
て、乳剤イを作成した。乳剤イは球相当径0.40μm
(沃化銀含量=3mol%)、平均アスペクト比6.5の平
板粒子乳剤であった。この乳剤は、減感剤(Rh)を
1.1E-6mol/Agmol含んでいる。
【0259】[乳剤ロの作成]種晶添加量を180gに
変え、添加III における臭化カリウム溶液中にRhCl
3 を添加すること以外乳剤Zと同様にして、乳剤ロを作
成した。乳剤ロは球相当径0.38μm(沃化銀含量=
3mol%)、平均アスペクト比6.5の平板粒子乳剤であ
った。この乳剤は、減感剤(Rh)を1.1E-6mol/Agmol
含んでいる。
【0260】乳剤Y〜ロを液体窒素温度にて400KV透
過型電子顕微鏡にて観察したところ、Y、イは、転位線
が全く認められない粒子が殆どであった。一方、乳剤
Z、ロは粒子内に転位線が外周全域に転位線が数多く認
められ、1粒子当たり平均15本以上は転位線が存在し
た。
【0261】乳剤Y〜ロを以下のようにして化学増感を
施し、乳剤Y−1、Z−1、イ−1、ロ−1を得た。乳
剤を68℃に昇温し例示化合物ExS−1、2、3をモ
ル比20:1:28でトータルで銀1モル当り表1に示
される添加量加え、20分間保持した後、68℃でベン
ゼンチオスルフォン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウ
ム、チオシアン酸ナトリウム、メチルセレノウレア、塩
化金酸を用いて最適に化学増感した。ここで「最適に化
学増感を施す」とは化学増感後、1/100秒露光した
時の感度が最も高くなるような化学増感をいう。
【0262】上記のようにして調製した28種類の乳剤
(乳剤A−1〜Z−1、イ−1、ロ−1)を下塗り層の
設けてあるトリアセチールセルロースフィルム支持体上
に下記塗布条件で乳剤層及び保護層を塗布し、表1に示
すような試料101〜128を作製した。
【0263】乳剤塗布条件 (1) 乳剤層 乳剤:A−1〜Z−1、イ−1、ロ−1のいずれか1乳
剤(銀2.2g/m 2 ) カプラー:下記に示す構造のマゼンタカプラー(1.5
×10-3mole/m2 ) トリクレジルフォスフェート(1.1g/m 2 ) ゼラチン(2.3g/m 2
【化2】
【0264】(2) 保護層 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジンナ
トリウム塩(0.08g/m 2 ) ゼラチン(1.8g/m 2 ) 上記試料に関して、下記評価を行った。
【0265】(1) 感度、階調評価 これらの試料101〜128を40℃相対湿度70%の
条件下に14時間放置した後、4800°Kの色温度変
換フィルターと試料101〜120に関してはブルーフ
ィルター及び連続ウェッジを通して、試料121〜12
8に関してはマイナスブルーフィルターを通して1/1
00秒間露光し、下記に示すカラー現像処理を行なっ
た。
【0266】処理は富士写真フイルム社製自動現像機 F
P-360Bを用いて、フジカラーネガスーパーGエース40
0(富士写真フイルム(株)製)をカメラで撮影したも
のを1日1m 2 ずつ15日間にわたり下記の処理を行な
ってから(ランニング処理)実施した。尚、漂白浴のオ
ーバーフロー液を後浴へ流さず、全て廃液タンクへ排出
する様に改造を行なった。この FP-360Bは発明協会公開
技報94−4992号に記載の蒸発補正手段を搭載して
いる。
【0267】処理工程及び処理液組成を以下に示す。
【0268】 (処理工程) 工程 処理時間 処理温度 補充量* タンク容量 発色現像 3分 5秒 38.0℃ 20ml 17L 漂 白 50秒 38.0℃ 5ml 5L 定 着(1) 50秒 38.0℃ − 5L 定 着(2) 50秒 38.0℃ 8ml 5L 水 洗 30秒 38.0℃ 17ml 3.5L 安 定(1) 20秒 38.0℃ − 3L 安 定(1) 20秒 38.0℃ 15ml 3L 乾 燥 1分30秒 60℃ *補充量は感光材料35mm巾1.1m当たり(24Ex.1 本相当) 安定液は(2)から(1)への向流方式であり、水洗水
のオーバーフロー液は全て定着(2)へ導入した。ま
た、定着液も(2)から(1)へ向流配管で接続されて
いる。尚、現像液の漂白工程への持ち込み量、漂白液の
定着工程への持ち込み量及び定着液の水洗工程への持ち
込み量は感光材料35mm巾1.1m当たりそれぞれ2.5 ミリリ
ットル、2.0 ミリリットル、2.0 ミリリットルであっ
た。また、クロスオーバーの時間は いずれも6秒であ
り、この時間は前工程の処理時間に包含される。
【0269】上記処理機の開口面積は発色現像液で100c
m 2 、漂白液で120cm 2 、その他の処理液は約 100cm2
であった。
【0270】以下に処理液の組成を示す。
【0271】 (発色現像液) タンク液(g) 補充液(g) ジエチレントリアミン五酢酸 2.0 2.0 1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 2.0 2.0 亜硫酸ナトリウム 3.9 5.3 炭酸カリウム 37.5 39.0 臭化カリウム 1.4 0.4 沃化カリウム 1.3mg − ジナトリウム−N,N−ビス(スルホナートエチル) ヒドロキシルアミン 2.0 2.0 ヒドロキシルアミン硫酸塩 2.4 3.3 2−メチル−4−〔N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル) アミノ〕アニリン硫酸塩 4.5 6.4 水を加えて 1.0L 1.0L pH(水酸化カリウムと硫酸にて調整) 10.05 10.18 (漂白液) タンク液(g) 補充液(g) 1,3−ジアミノプロパン四酢酸第二鉄アンモニウム一水塩 118 180 臭化アンモニウム 80 115 硝酸アンモニウム 14 21 コハク酸 40 60 マレイン酸 33 50 水を加えて 1.0L 1.0L pH〔アンモニア水で調整〕 4.4 4.0 (定着液) タンク液(g) 補充液(g) メタンスルフィン酸アンモニウム 10 30 メタンチオスルホン酸アンモニウム 4 12 チオ硫酸アンモニウム水溶液(700g/リット ル ) 280ml 840ml イミダゾール 7 20 エチレンジアミン四酢酸 15 45 水を加えて 1.0L 1.0L pH〔アンモニア水、酢酸で調整〕 7.4 7.45 (水洗水)水道水をH型強酸性カチオン交換樹脂(ロー
ムアンドハース社製アンバーライトIR-120B )と、OH型
強塩基性アニオン交換樹脂(同アンバーライトIR-400)
を充填した混床式カラムに通水してカルシウム及びマグ
ネシウムイオン濃度を3mg/リットル以下に処理し、続
いて二塩化イソシアヌール酸ナトリウム20mg/リットル
と硫酸ナトリウム 150mg/リットルを添加した。この塩
のpHは6.5 〜7.5の範囲にあった。
【0272】 (安定液) タンク液、補充液共通 (単位g) p−トルエンスルフィン酸ナトリウム 0.03 ポリオキシエチレン−p−モノノニルフェニルエーテル (平均重合度10) 0.2 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.05 1,2,4−トリアゾール 1.3 1,4−ビス(1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)ピペラジン 0.75 1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン 0.10 水を加えて 1.0L pH 8.5 処理済の試料を緑のフィルターで透過濃度を測定し、カ
ブリ、感度(緑感度)を求めた。感度はカブリ濃度+
0.2上を与える露光量(ルックス・秒)の逆数の相対
値(%)で表わした。階調は、カブリ濃度と最高濃度の
平均濃度((カブリ濃度+最高濃度)/2)上を与える
露光量(ルックス・秒)の点でのポイントガンマ値で表
した。
【0273】また、減感剤を含む乳剤に関しては、減感
剤を含まないこと以外全く同じ方法で乳剤を作成し、上
記塗布、露光、現像を行い感度を求め、減感剤による減
感度を求めた。減感度(ΔS0)は、log((減感剤
を含まない乳剤の感度)/(減感剤を含む乳剤の感
度))で定義される。
【0274】(2)経時保存性 上記塗布試料101〜128、各2組(A,B)を40
℃相対湿度70%の条件下に14時間放置した。フリー
ザーで保存しておいた試料(A)と50℃55%に7日
間保存しておいた試料(B)を取り出し上記露光、処理
したときの感度の比の対数(ΔS1)(log(Bの感
度/Aの感度))を測定た。ΔS1の絶対値が小さいほ
ど経時保存性に優れていることを示す。
【0275】(3)潜像保存性 上記塗布試料101〜128を40℃相対湿度70%の
条件下に14時間放置した。前記塗布試料を、ウェッジ
露光を行ってから50℃、40%に14日間保存後、処
理を行った試料(試料B)の感度と露光直後に上記処理
を行なった試料(試料A)の感度の比の対数(ΔS2)
(log(Bの感度/Aの感度))を測定した。ΔS2
の絶対値が小さいほど潜像保存性が優れていることを示
す。
【0276】(4)圧力耐性 得られた塗布試料を25℃で湿度40%に調湿された条
件下で折り曲げる。この折り曲げは、直径6mmの鉄棒に
沿って180°曲げられた。この操作の直後に、1/1
00秒間のウェッジ露光を与え、上記処理を行った。折
り曲げによる感度の比の対数(ΔS3)を測定した。Δ
S3の絶対値が小さいほど圧力性が優れていることを示
す。
【0277】結果が表2に示されている。試料101〜
110の結果で示されように、本発明(試料109、1
10)は他試料と比較して、階調が最も硬く、経時安定
性、潜像保存性、圧力耐性すべてに優れていることがわ
かる。また、試料109、110の比較から化学増感前
に増感色素を添加したとき、階調の硬調化の効果が最も
大きいことがわかる。試料111〜116の比較、試料
117〜120の比較、試料121〜124の比較、試
料125〜128の比較から同様の結果が、転位が観察
される平板粒子に減感剤を添加するときに得られること
がわかる。この効果は試料115,116に示されるよ
うに、減感色素に比べ、電子捕獲性金属ドーパントの方
が大きい。
【0278】
【表2】
【0279】実施例2 1)支持体 本実施例で用いた支持体は、下記の方法により作成し
た。
【0280】ポリエチレン−2,6−ナフタレートポリ
マー100重量部と紫外線吸収剤としてTinuvin
P.326(チバ・ガイギーCiba−Geigy社
製)2重量部とを乾燥した後、300℃にて溶融後、T
型ダイから押し出し、140℃で3.3倍の縦延伸を行
い、続いて130℃で3.3倍の横延伸を行い、さらに
250℃で6秒間熱固定して厚さ90μmのPEN(ポ
リエチレンナフタレート)フィルムを得た。なおこのP
ENフィルムにはブルー染料、マゼンタ染料及びイエロ
ー染料(公開技法:公技番号94−6023号記載のI
−1,I−4,I−6,I−24,I−26,I−2
7,II−5)を適当量添加した。さらに、直径20cm
のステンレス巻き芯に巻き付けて、110℃、48時間
の熱履歴を与え、巻き癖のつきにくい支持体とした。
【0281】2)下塗層の塗設 上記支持体は、その両面にコロナ放電処理、UV照射処
理、さらにグロー放電処理をした後、それぞれの面にゼ
ラチン0.1g/m2 、ソウジウムα−スルホジ−2−
エチルヘキシルサクシネート0.01g/m2 、サリチ
ル酸0.04g/m2 、p−クロロフェノール0.2g
/m2 、(CH2 =CHSO2 CH2 CNHCO)2
2 0.012g/m2 の下塗液を塗布して(10c
c/m2、バーコーター使用)、下塗層を延伸時高温面
側に設けた。乾燥は115℃、6分実施した(乾燥ゾー
ンのローラーや搬送装置はすべて115℃となってい
る)。
【0282】3)バック層の塗設 下塗後の上記支持体の片方の面にバック層として下記組
成の帯電防止層、磁気記録層さらに滑り層を塗設した。
【0283】3−1)帯電防止層の塗設 平均粒径0.005μmの酸化スズ−酸化アンチモン複
合物の比抵抗は5Ω・cmの微粒子粉末の分散物(2次
凝集粒子径 約0.08μm)を0.2g/m2 、ゼラ
チン0.05g/m2 、(CH2 =CHSO2 CH2
2 NHCO)2 CH2 0.02g/m2 、ポリ(重
合度10)オキシエチレン−p−ノニルフェノール0.
005g/m2 及びレゾルシンと塗布した。
【0284】3−2)磁気記録層の塗設 3−ポリ(重合度15)オキシエチレン−プロピルオキ
シトリメトキシシラン(15重量%)で被覆処理された
コバルト−γ−酸化鉄(比表面積43m2 /g、長軸
0.14μm、単軸0.03μm、飽和磁化89emu
/g、Fe+2/Fe+3=6/94、表面は酸化アルミ酸
化珪素で酸化鉄の2重量%で処理されている)0.06
g/m2 をジアセチルセルロース1.2g/m2 (酸化
鉄の分散はオープンニーダーとサンドミルで実施し
た)、硬化剤としてC2 5 C(CH2OCONH−C
6 3 (CH3 )NCO)3 0.3g/m2 を、溶媒
としてアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノ
ンを用いてバーコーターで塗布し、膜厚1.2μmの磁
気記録層を得た。マット剤としてシリカ粒子(0.3μ
m)と3−ポリ(重合度15)オキシエチレン−プロピ
ルオキシトリメトキシシラン(15重量%)で処理被覆さ
れた研磨剤の酸化アルミ(0.15μm)をそれぞれ1
0mg/m2 となるように添加した。乾燥は115℃、
6分実施した(乾燥ゾーンのローラーや搬送装置はすべ
て115℃)。X−ライト(ブルーフィルター)での磁
気記録層のDB の色濃度増加分は約0.1、または磁気
記録層の飽和磁化モーメントは4.2emu/g、保磁
力7.3×104 A/m、角形比は65%であった。
【0285】3−3)滑り層の調製 ジアセチルセルロース(25mg/m2)、C6 13CH
(OH)C1020COOC4081(化合物a、6mg/
2 )/C50101 O(CH2 CH2 O)16H(化合物
b、9mg/m2 )混合物を塗布した。なお、この混合
物は、キシレン/プロピレングリコールモノメチルエー
テル(1/1)中で105℃で溶融し、常温のプロピレ
ングリコールモノメチルエーテル(10倍量)に注加分
散して作製した後、アセトン中で分散物(平均粒径0.
01μm)にしてから添加した。マット剤としてシリカ
粒子(0.3μm)と研磨剤の3−ポリ(重合度15)
オキシエチレン−プロピルオキシトリメトキシシラン
(15重量%)で処理被覆された酸化アルミ(0.15μ
m)をそれぞれ15mg/m2 となるように添加した。
乾燥は115℃、6分行った(乾燥ゾーンのローラーや
搬送装置はすべて115℃)。滑り層は、動摩擦係数
0.06(5mmφのステンレス硬球、荷重100g、
スピード6cm/分)、静摩擦係数0.07(クリップ
法)、また後述する乳剤面と滑り層の動摩擦係数も0.
12と優れた特性であった。
【0286】4)感材層の塗設 次に、前記で得られたバック層の反対側に、下記の組成
の各層を重層塗布し、カラーネガフィルムを作成した。
これを試料201とする。
【0287】(感光層の組成)各層に使用する素材の主
なものは下記のように分類されている; ExC:シアンカプラー UV :紫外線吸収剤 ExM:マゼンタカプラー HBS:高沸点有機溶剤 ExY:イエローカプラー H :ゼラチン硬化剤 ExS:増感色素 各成分に対応する数字は、g/m2 単位で表した塗布量
を示し、ハロゲン化銀については銀換算の塗布量を示
す。ただし、増感色素については同一層のハロゲン化銀
1モルに対する塗布量をモル単位で示す。
【0288】 (試料201) 第1層(第1ハレーション防止層) 黒色コロイド銀 銀 0.08 ゼラチン 0.70 第2層(第2ハレーション防止層) 黒色コロイド銀 銀 0.09 ゼラチン 1.00 ExM−1 0.12 ExF−1 2.0×10-3 固体分散染料ExF−2 0.030 固体分散染料ExF−3 0.040 HBS−1 0.15 HBS−2 0.02 第3層(中間層) ExC−2 0.05 ポリエチルアクリレートラテックス 0.20 ゼラチン 0.70 第4層(低感度赤感乳剤層) 沃臭化銀乳剤A 銀 0.20 沃臭化銀乳剤B 銀 0.23 沃臭化銀乳剤C 銀 0.10 ExS−1 3.8×10-4 ExS−2 1.6×10-5 ExS−3 5.2×10-4 ExC−1 0.17 ExC−2 0.02 ExC−3 0.030 ExC−4 0.10 ExC−5 0.020 ExC−6 0.010 Cpd−2 0.025 HBS−1 0.10 ゼラチン 1.10 第5層(中感度赤感乳剤層) 沃臭化銀乳剤C 銀 0.15 沃臭化銀乳剤D 銀 0.46 ExS−1 4.0×10-4 ExS−2 2.1×10-5 ExS−3 5.7×10-4 ExC−1 0.14 ExC−2 0.02 ExC−3 0.03 ExC−4 0.090 ExC−5 0.02 ExC−6 0.01 Cpd−4 0.030 Cpd−2 0.05 HBS−1 0.10 ゼラチン 0.75 第6層(高感度赤感乳剤層) 沃臭化銀乳剤E 銀 1.30 ExS−1 2.5×10-4 ExS−2 1.1×10-5 ExS−3 3.6×10-4 ExC−1 0.12 ExC−3 0.11 ExC−6 0.020 ExC−7 0.010 Cpd−2 0.050 Cpd−4 0.020 HBS−1 0.22 HBS−2 0.050 ゼラチン 1.40 第7層(中間層) Cpd−1 0.060 固体分散染料ExF−4 0.030 HBS−1 0.040 ポリエチルアクリレートラテックス 0.15 ゼラチン 1.10 第8層(低感度緑感乳剤層) 沃臭化銀乳剤F 銀 0.22 沃臭化銀乳剤G 銀 0.35 ExS−7 6.2×10-4 ExS−8 1.4×10-4 ExS−4 2.7×10-5 ExS−5 7.0×10-5 ExS−6 2.7×10-4 ExM−3 0.410 ExM−4 0.086 ExY−1 0.070 ExY−5 0.0070 HBS−1 0.30 HBS−3 0.015 Cpd−4 0.010 ゼラチン 0.95 第9層(中感度緑感乳剤層) 沃臭化銀乳剤G 銀 0.48 沃臭化銀乳剤H 銀 0.48 ExS−4 4.8×10-5 ExS−7 9.3×10-4 ExS−8 2.1×10-4 ExC−8 0.0020 ExM−4 0.035 ExY−1 0.010 ExY−4 0.010 ExY−5 0.0050 Cpd−4 0.011 HBS−1 0.13 HBS−3 4.4×10-3 ゼラチン 0.80 第10層(高感度緑感乳剤層) 沃臭化銀乳剤I 銀 1.30 ExS−4 4.5×10-5 ExS−7 5.3×10-4 ExS−8 1.2×10-4 ExC−1 0.021 ExM−1 0.010 ExM−2 0.030 ExM−5 0.0070 ExM−6 0.0050 Cpd−3 0.017 Cpd−4 0.040 HBS−1 0.25 ポリエチルアクリレートラテックス 0.15 ゼラチン 1.33 第11層(イエローフィルター層) 黄色コロイド銀 銀 0.015 Cpd−1 0.16 固体分散染料ExF−5 0.060 固体分散染料ExF−6 0.060 油溶性染料ExF−7 0.010 HBS−1 0.60 ゼラチン 0.60 第12層(低感度青感乳剤層) 乳剤A−1 銀 0.19 沃臭化銀乳剤L 銀 0.25 ExC−1 0.03 ExC−8 7.0×10-3 ExY−1 0.050 ExY−2 0.75 ExY−3 0.40 ExY−4 0.040 Cpd−2 0.10 Cpd−4 0.10 Cpd−3 4.0×10-3 HBS−1 0.28 ゼラチン 2.10 第13層(高感度青感乳剤層) 沃臭化銀乳剤M 銀 0.58 ExS−9 3.5×10-4 ExY−2 0.070 ExY−3 0.070 ExY−4 0.0050 Cpd−2 0.10 Cpd−3 1.0×10-3 Cpd−4 0.02 HBS−1 0.075 ゼラチン 0.55 第14層(第1保護層) 沃臭化銀乳剤N 銀 0.10 UV−1 0.13 UV−2 0.10 UV−3 0.16 UV−4 0.025 ExF−8 0.001 ExF−9 0.002 HBS−1 5.0×10-2 HBS−4 5.0×10-2 ゼラチン 1.8 第15層(第2保護層) H−1 0.40 B−1(直径1.7μm) 0.06 B−2(直径1.7μm) 0.09 B−3 0.13 ES−1 0.20 ゼラチン 0.70 更に、各層に適宜、保存性、処理性、圧力耐性、防黴・
防菌性、帯電防止性及び塗布性をよくするために、W−
1ないしW−3、B−4ないしB−6、F−1ないしF
−18及び、鉄塩、鉛塩、金塩、白金塩、パラジウム
塩、イリジウム塩、ロジウム塩が含有されている。
【0289】
【表3】
【0290】表3において、 (1)乳剤L〜Mは特開平2−191938号の実施例
に従い、二酸化チオ尿素とチオスルフォン酸を用いて粒
子調整時に還元増感されている。
【0291】(2)乳剤C〜EおよびG〜I、及びMは
特開平3−237450号の実施例に従い、各感光層に
記載の分光増感色素とチオシアン酸ナトリウムの存在下
に金増感、硫黄増感とセレン増感が施されている。
【0292】(3)平板粒子の調整はすべて特開平1−
158426号の実施例に従い低分子量ゼラチンを使用
している。
【0293】(4)平板粒子には高圧電子顕微鏡を用い
ると特開平3−237450号に記載されているような
転位線が観察される。
【0294】(5)乳剤A〜E、G、H、L〜MはR
h、Ir、Feを最適量含んでいる。
【0295】また、平板度とは平板粒子の投影面積にお
ける平均円相当径をDc、及び平板粒子の平均厚さをt
とした時にDc/t2 で定義されるものをいう。
【0296】有機固体分散染料の分散物の調製 下記、ExF−2を次の方法で分散した。即ち、水2
1.7ミリリットル及び5%水溶液のp−オクチルフェ
ノキシエトキシエトキシエタンスルホン酸ソーダ3ミリ
リットル並びに5%水溶液のp−オクチルフェノキシポ
リオキシエチレンエーテル(重合度10)0.5gとを
700ミリリットルのポットミルに入れ、染料ExF−
2を5.0gと酸化ジルコニウムビーズ(直径1mm)
500ミリリットルを添加して内容物を2時間分散し
た。この分散には中央工機製のBO型振動ボールミルを
用いた。分散後、内容物を取り出し、12.5%ゼラチ
ン水溶液8gに添加し、ビーズを濾過して除き、染料の
ゼラチン分散物を得た。染料微粒子の平均粒径は0.4
4μmであった。
【0297】同様にして、ExF−3、ExF−4及び
ExF−6の固体分散物を得た。染料微粒子の平均粒径
はそれぞれ、0.24μm、0.45μm、0.52μ
mであった。ExF−5は欧州特許出願公開(EP)第5
49,489A号明細書の実施例1に記載の微小析出
(Microprecipitation)分散方法により分散した。平均
粒径は0.06μmであった。
【0298】
【化3】
【0299】
【化4】
【0300】
【化5】
【0301】
【化6】
【0302】
【化7】
【0303】
【化8】
【0304】
【化9】
【0305】
【化10】
【0306】
【化11】
【0307】
【化12】
【0308】
【化13】
【0309】
【化14】
【0310】
【化15】
【0311】
【化16】
【0312】
【化17】
【0313】
【化18】
【0314】
【化19】
【0315】試料201より、乳剤A−1を実施例記載
の乳剤B−1〜J−1に変更することにより、試料20
2〜210を作成した。乳剤A−1〜J−1の塗布銀量
は表4に記載されている。センシトメトリー用ウェッジ
を通して白光露光を与えてから測定されたイエロー濃度
が、試料201〜210で一致するように塗布銀量は調
整された。
【0316】
【表4】
【0317】試料201より、乳剤A−1を実施例記載
の乳剤K−1〜P−1に変更することにより、試料21
1〜216を作成した。乳剤K−1〜P−1の塗布銀量
は表5に記載されている。センシトメトリー用ウェッジ
を通して白光露光を与えてから測定されたイエロー濃度
が、試料211〜216で一致するように塗布銀量は調
整された。
【0318】
【表5】
【0319】試料201の乳剤Mを乳剤Q−1〜T−1
に変更し、試料217〜220を作成した。乳剤Q−1
〜T−1の塗布銀量は表6に記載されている。センシト
メトリー用ウェッジを通して白光露光を与えてから測定
されたイエロー濃度が、試料217〜220で一致する
ように塗布銀量は調整された。
【0320】
【表6】
【0321】試料201の乳剤Fを乳剤U−1〜X−1
に変更することにより試料221〜224を作成した。
乳剤U−1〜X−1の塗布銀量は表7に記載されてい
る。センシトメトリー用ウェッジを通して白光露光を与
えてから測定されたマゼンタ濃度が、試料221〜22
4で一致するように塗布銀量は調整された。
【0322】
【表7】
【0323】試料201の乳剤A、Bを乳剤Y−1〜ロ
−1に変更することにより、試料225〜228を作成
した。乳剤Y−1〜ロ−1の塗布銀量は表8に記載され
ている。センシトメトリー用ウェッジを通して白光露光
を与えてから測定されたシアン濃度が、試料225〜2
28で一致するように塗布銀量は調整された。
【0324】
【表8】
【0325】特開昭62−115035号公報に記載さ
れた製造方法により作成し、乳剤塗布面をあらかじめ下
引き加工し、裏面に、 下記化合物−I 60mg/m2
【化20】
【0326】 ジアセチルセルロース 143mg/m2 酸化ケイ素 5mg/m2 を塗設したトリアセチルセルロース支持体上に、試料2
25〜228と同一構成の各層を塗布して試料を作成し
た。これらの試料を229〜232とする。
【0327】試料225と試料229、試料226と試
料230、試料227と試料231、試料228と試料
232は、支持体及びバック層が異なり、感光性層の構
成は同一である。
【0328】
【表9】
【0329】これらの感材を使用して、以下の性能につ
いて調べた。
【0330】(1)鮮鋭度 フレッシュの感材を用い、センシトメトリー用ウェッジ
の前面に、試料201〜220に関しては緑色フィルタ
ーを付して、試料221〜228に関しては赤色フィル
ターを通して露光を与え、実施例1記載のカラー現像処
理を行った。これより得られた、試料201〜220に
関してはマゼンタ色画像について、試料221〜228
に関してはシアン色画像に関して、MTF(Modulation
Transfer Function)を測定することにより行った。M
TFの測定法は“ジャーナル・オブ・アプライド・フォ
トグラフィック・エンジニアリング”6巻(1)、1−
8(1980)に記載される方法で行った。但し、現像
処理は下記に記載の処理である。MTFの値は、試料2
01〜210に関しては試料201の値を100とした
ときの相対値、試料211〜216に関しては試料21
1の値を100としたときの相対値、試料217〜22
0に関しては試料211の値を100としたときの相対
値、試料221〜224に関しては試料221を100
とした時の相対値、試料225〜228に関しては試料
225を100とした時の相対値で表した。結果は表4
から表8にそれぞれ示した。値が大きい程、鮮鋭度が良
化していることを示す。
【0331】(2)経時保存性 上記塗布試料201〜228に関して、フリーザーで保
存しておいた試料(A)と50℃55%に7日間保存し
ておいた試料(B)を取り出し、センシトメトリー用ウ
ェッジを通して白光露光を与えてから、実施例1の処理
をしたときの感度の比の対数(ΔS1)(log(Bの
感度/Aの感度))を測定した。ΔS1の絶対値が小さ
いほど経時保存性に優れていることを示す。感度の取り
方は下記条件に従った。
【0332】 試料201〜216に関して イエロー濃度に関して最小濃度+2.0の 濃度を与える露光量の逆数 試料217〜220に関して イエロー濃度に関して最小濃度+0.2の 濃度を与える露光量の逆数 試料221〜224に関して マゼンタ濃度に関して最小濃度+1.5の 濃度を与える露光量の逆数 試料225〜228に関して シアン濃度に関して最小濃度+1.5の 濃度を与える露光量の逆数 (3)潜像保存性 上記塗布試料201〜228を、ウェッジ露光を行って
から50℃、40%に14日間保存後、処理を行った試
料(試料B)の感度と露光直後に実施例1の処理を行な
った試料(A)の感度の比の対数(ΔS2)(log
(Bの感度/Aの感度))を測定した。ΔS2の絶対値
が小さいほど潜像保存性が優れていることを示す。感度
の取り方は下記条件に従った。
【0333】 試料201〜216に関して イエロー濃度に関して最小濃度+2.0の 濃度を与える露光量の逆数 試料217〜220に関して イエロー濃度に関して最小濃度+0.2の 濃度を与える露光量の逆数 試料221〜224に関して マゼンタ濃度に関して最小濃度+1.5の 濃度を与える露光量の逆数 試料225〜228に関して シアン濃度に関して最小濃度+1.5の 濃度を与える露光量の逆数 (4)圧力耐性 得られた塗布試料を25℃で湿度40%に調湿された条
件下で折り曲げる。この折り曲げは、直径6mmの鉄棒に
沿って180°曲げられた。この操作の直後に、1/1
00秒間のウェッジ露光を与え、実施例1の処理を行っ
た。折り曲げによる感度の比の対数(ΔS3)を測定し
た。ΔS3の絶対値が小さいほど圧力性が優れているこ
とを示す。感度の取り方は下記条件に従った。
【0334】 試料201〜216に関して イエロー濃度に関して最小濃度+2.0の 濃度を与える露光量の逆数 試料217〜220に関して イエロー濃度に関して最小濃度+0.2の 濃度を与える露光量の逆数 試料221〜224に関して マゼンタ濃度に関して最小濃度+1.5の 濃度を与える露光量の逆数 試料225〜228に関して シアン濃度に関して最小濃度+1.5の 濃度を与える露光量の逆数 経時保存性、潜像保存性、圧力耐性に関しては、実施例
1と同様の結果が得られた。更に、表4〜表8に示され
るように、本発明は比較例と比較して、塗布銀量が少な
く、鮮鋭度に優れていることがわかる。
【0335】更に、表9に示されるように、支持体のバ
ック層に磁気記録層を有する試料は感光性層の構成は同
一であっても経時保存における写真性(カブリ及び感
度)の変動が大きいことが明かであり、本発明はこの写
真性の変動を顕著に改善する。
【0336】(実施例3)実施例2で作成した試料20
1を24mm幅、160cmに裁断し、更に感光材料の
長さ方向の片側幅方向から0.7mmの所に2mm四方
のパーフォレーションを5.8mm間隔で2つ設ける。
この2つのセットを32mm間隔で設けたものを作成
し、米国特許第5,296,887号のFIG.1〜F
IG.7に説明されているプラスチック製のフィルムカ
ートリッジに収納し、試料301とした。
【0337】上記試料301と同様にして試料202〜
228を加工することにより、試料302〜328を作
成した。
【0338】試料301〜328を実施例2と同様の評
価を行った結果、実施例2と同様の結果を得た。
【0339】本発明の効果が大きい試料317〜320
の圧力耐性に関して結果を表10に示す。
【0340】
【表10】
【0341】表10に示されるように、カートリッジに
収納された試料は塗布試料の構成は同一であっても圧力
耐性が弱いことが明かであり、本発明はこの圧力耐性の
低下を顕著に改善する。
【0342】尚、実施例1記載の現像処理を行う前のラ
ンニング処理には、試料301に磁気記録層の塗布面側
からヘッドギャップ5μm、ターン数2000の入出力
可能なヘッドを用いて、感光材料の上記パーフォレーシ
ョンの間に100mm/sの送り速度でFM信号を記録
した後、乳剤面に1000cmsの全面均一露光を与え
た試料を使用した。
【0343】
【本発明の効果】本発明のハロゲン化銀乳剤は、階調が
硬く、圧力耐性に優れ、潜像保存性が良好であるという
特徴を有し、本発明の写真感光材料、カラー写真感光材
料及びその感光材料を収納する包装対は、鮮鋭性、圧力
耐性に優れ、潜像保存性、経時保存性が良好であるとい
う特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一態様の写真感光材料包装体(写真フ
ィルムパトローネ)の分解斜視図である。
【図2】上記写真感光材料包装体を半径方向から見た図
である。
【図3】上記写真感光材料包装体を図2とは異なる位置
で、半径方向から見た図である。
【図4】上記写真感光材料包装体をその軸方向一方から
見た図である。
【図5】上記写真感光材料包装体をその軸方向他方から
見た図である。
【図6】上記写真感光材料包装体の、軸方向に沿って切
断した断面図である。
【図7】離型紙付き粘着ラベル原反を示す図である。
【符号の説明】
100 写真フィルムパトローネ 101 パトローネ本体 102 写真フィルム 103 スプール 104 パトローネラベル 105 上ケース 106 下ケース 107 フィルム送り出しロ 108 蓋部材 109 分離爪 110 キー溝 111 キー溝 112 スプール軸 113 フランジ 114 フランジ 115 データディスク 116 バーコードラベル 117 フランジ係合部 118 フランジ係合部 119 スリット 120 使用表示部材支持部 121 キー溝 122 キー溝 123 使用表示部材 124 軸受け部 125 ラチェット爪 126 ギヤ 127 表示板 128 スプールロック 129 丸穴 130 丸穴 131 開口縁部 132 開口縁部 133 穴 134 大径扇形部分 135 切り欠き 136 開口 137 開口 138 表示用開口 139 表示用開口 140 表示用開口 141 表示用開口 142 フィルムロール 143 フィルム先端 144 ロックポウル 145 感度検出ノッチ 146 開口 147 現像済み表示タプ 150 ゲート 151 1D番号印刷スペース 152 品種等印刷スペース 153 バーコード印刷スペース
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G03C 1/36 G03C 1/36 3/00 GAP 3/00 GAP 540 540G 550 550D 599 599A 7/00 510 7/00 510

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ハロゲン化銀乳剤に含まれるハロゲン化銀
    粒子の内50%以上の個数の粒子が1粒子当たり10本
    以上の転位線を含むアスペクト比2以上の平板粒子であ
    りかつ、該平板粒子の少なくとも一部が減感剤を含むこ
    とを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。
  2. 【請求項2】該ハロゲン化銀粒子の球相当径が0.6μ
    m以下であることを特徴とする請求項1に記載のハロゲ
    ン化銀写真乳剤。
  3. 【請求項3】該ハロゲン化銀粒子の全投影面積の50%
    以上がアスペクト比4以上の平板粒子であることを特徴
    とする請求項1に記載のハロゲン化銀写真乳剤。
  4. 【請求項4】該ハロゲン化銀粒子の平均沃化銀含量が8
    モル%以下であることを特徴とする請求項1に記載のハ
    ロゲン化銀写真乳剤。
  5. 【請求項5】該ハロゲン化銀粒子が減感剤により、相対
    感度にして31.6%(対数スケールで0.50)以下
    に減感させられていることを特徴とする請求項1に記載
    のハロゲン化銀写真乳剤。
  6. 【請求項6】該ハロゲン化銀粒子を減感させる方法とし
    て、金属イオンを添加することを特徴とする請求項1な
    いし5のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真乳剤。
  7. 【請求項7】該金属イオンが周期律表第7、8族もしく
    は第9族であって、第4周期、第5周期または第6周期
    の金属原子を含む化合物の少なくとも1種であることを
    特徴とする請求項6に記載のハロゲン化銀写真乳剤。
  8. 【請求項8】増感色素が化学熟成前に添加されている特
    徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載のハロ
    ゲン化銀写真乳剤。
  9. 【請求項9】支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀
    乳剤層を有するハロゲン化銀感光材料において、ハロゲ
    ン化銀乳剤層の少なくとも1層に、請求項1ないし8の
    いずれか1項に記載の乳剤を含有することを特徴とする
    ハロゲン化銀写真感光材料。
  10. 【請求項10】支持体上にそれぞれ少なくとも1層の、
    赤感性乳剤層、緑感性乳剤層及び青感性乳剤層を有し、
    各色感性層に請求項1ないし8のいずれか1項に記載の
    ハロゲン化銀写真乳剤を含むことを特徴とするハロゲン
    化銀カラー写真感光材料。
  11. 【請求項11】前記乳剤層を有する側と支持体を挟んで
    反対側に磁性体粒子を含む磁気記録層を有することを特
    徴とする請求項9又は10に記載のハロゲン化銀写真感
    光材料。
  12. 【請求項12】パトローネ本体(101)の内部に、支
    持体に乳剤層を設けた写真感光材料(102)を巻き付
    けたスプール(103)を回転自在に収納し、該スプー
    ルの回転により該写真感光材料の先端が自由にパトロー
    ネ外部に送り出し可能であり、カートリッジ本体は写真
    感光材料を送り出すため、遮光機構を有する写真感光材
    料送り出し通路を有し、該スプールのスプール軸(11
    2)の両端内側に、それぞれ一対のリップ付きフランジ
    (113、114)が写真感光材料保持のため取り付け
    られている写真感光材料包装体(100)において、該
    写真感光材料が請求項9ないし11のいずれか1項に記
    載のハロゲン化銀写真感光材料であることを特徴とする
    写真感光材料包装体。
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