JP2001228572A - ハロゲン化銀写真乳剤及びこれを用いたハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

ハロゲン化銀写真乳剤及びこれを用いたハロゲン化銀写真感光材料

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JP2001228572A
JP2001228572A JP2000038674A JP2000038674A JP2001228572A JP 2001228572 A JP2001228572 A JP 2001228572A JP 2000038674 A JP2000038674 A JP 2000038674A JP 2000038674 A JP2000038674 A JP 2000038674A JP 2001228572 A JP2001228572 A JP 2001228572A
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Makoto Kikuchi
信 菊池
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 感度/粒状比の改良されたハロゲン化銀写真
乳剤と、それを用いたカラー写真感光材料を提供するこ
と。 【解決手段】 全粒子の等価円相当直径分布の変動係数
が40ないし3%であり、かつ下記(i)から(iv)
を満たす平板粒子が全投影面積の50%以上を占めるこ
とを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。 (i) (111)面を主表面とする沃臭化銀または
沃塩臭化銀平板粒子; (ii) 等価円相当直径が1.0μm以上かつ粒子厚
みが0.10μm以下; (iii)粒子フリンジ部に1粒子当たり30本以上の
転位線を含む; (iv) (111)主表面に垂直な方向から見た時
に、実質的に辺や角の一部が欠けていない六角形または
三角形の形状を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は感度/粒状比の改良
されたハロゲン化銀乳剤と、それを用いたハロゲン化銀
カラー写真感光材料するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、デジタルカメラの普及への対抗
上、写真用のハロゲン化銀乳剤に対する要請はますます
厳しく、いっそうの高感度化及び高画質化が要求されて
いる。特にレンズ付きフィルムの普及のようなストロボ
光量が不足しがちな安価なカメラであっても使用に耐え
うる高感度で高画質の撮影用カラー写真感光材料が強く
望まれている。ハロゲン化銀乳剤の高感度化、高画質化
技術の1つとしては平板粒子の使用があり、増感色素に
よる色増感効率の向上を含む感度の上昇、感度/粒状比
の関係改良、平板粒子の特異的な光学的特質によるシャ
ープネスの向上、カバーリングパワーの向上等の利点が
当業界では知られており、一般には同一体積ならばアス
ペクト比の高い平板粒子ほど感度/粒状比の向上に有利
である。
【0003】高アスペクト比の平板粒子の形成方法とし
ては例えば米国特許第5,496,694号や同5,49
8,516号に、粒子厚みの薄い平板粒子の形成法とし
ては例えば米国特許第5,494,789号や同5,5
03,970号に技術が開示されている。
【0004】しかしながら、これらの特許出願には本発
明の乳剤の特性に関して記載は無い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、感度
/粒状比の改良されたハロゲン化銀写真乳剤と、それを
用いた写真感光材料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、特に(11
1)主表面に垂直な方向から見た時に六角形または三角
形の辺や角の一部が欠けている平板粒子が粒子薄板化に
伴って増加することに着目し、これを解消するように努
め、平板粒子のフリンジ部への高密度転位線の導入、等
価円相当直径分布の単分散化と併せて感度/粒状比の向
上に結びつけた。その上、テルル増感剤を用いて化学増
感することで更なる高感度化を得た。従って、従来技術
では不十分であったハロゲン化銀写真乳剤の感度/粒状
比の向上を下記解決手段により達成したのは本発明者が
初めてである。
【0007】本発明者は鋭意研究の結果、等価円相当直
径が1.0μm以上かつ粒子厚みが0.10μm以下の
極薄平板粒子乳剤に対し粒子フリンジ部への高密度転
位線の均質な導入、(111)主表面に垂直な方向か
ら見た時に、六角形または三角形の辺や角の一部が欠け
た粒子の占める割合の低減、粒子の等価円相当直径の
単分散化、テルル増感剤を用いた化学増感といった改
良により顕著な高感度化と優れた粒状性が得られること
を発見した。
【0008】本発明の上記目的は、下記の本発明のハロ
ゲン化銀写真乳剤及びこれを用いたハロゲン化銀写真感
光材料により効果的に達成された。
【0009】すなわち、 (1) 全粒子の等価円相当直径分布の変動係数が40
ないし3%であり、かつ下記(i)から(iv)を満た
す平板粒子が全投影面積の50%以上を占めることを特
徴とするハロゲン化銀写真乳剤。
【0010】(i) (111)面を主表面とする沃
臭化銀または沃塩臭化銀平板粒子。
【0011】(ii) 等価円相当直径が1.0μm以
上かつ粒子厚みが0.10μm以下。
【0012】(iii)粒子フリンジ部に1粒子当たり
30本以上の転位線を含む。
【0013】(iv) (111)主表面に垂直な方向
から見た時に、実質的に辺や角の一部が欠けていない六
角形または三角形の形状を有する。
【0014】(2) 前記の(i)から(iv)を満た
す平板粒子が全投影面積の80%以上を占めることを特
徴とする(1)に記載のハロゲン化銀写真乳剤。
【0015】(3) 前記の(i)から(iv)を満た
す平板粒子が、さらに下記(v)を満たすことを特徴と
する(1)に記載のハロゲン化銀写真乳剤。
【0016】(v)実質的に粒子フリンジ部のみに転位
線が局在する。
【0017】(4) 前記の(i)から(v)を満たす
平板粒子が全投影面積の80%以上を占めることを特徴
とする(3)に記載のハロゲン化銀写真乳剤。
【0018】(5) 全粒子の等価円相当直径分布の変
動係数が25ないし3%であることを特徴とする(1)
ないし(4)のいずれか1に記載のハロゲン化銀写真乳
剤。
【0019】(6) 全粒子の等価円相当直径分布の変
動係数が15ないし3%であることを特徴とする(5)
に記載のハロゲン化銀写真乳剤。
【0020】(7) テルル増感剤によって化学増感さ
れていることを特徴とする(1)ないし(6)のいずれ
か1に記載のハロゲン化銀写真乳剤。
【0021】(8) 支持体上に少なくとも1層のハロ
ゲン化銀乳剤を有するハロゲン化銀写真感光材料におい
て、該ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも1層が(1)な
いし(7)のいずれか1に記載のハロゲン化銀写真乳剤
を含むことを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明のハロゲン化銀乳剤につい
て以下に説明するが、好ましい乳剤の態様の1つとして
は、全粒子の等価円相当直径分布の変動係数が40ない
し3%であり、かつ全投影面積の50%以上が、(11
1)面を主表面とする沃臭化銀または沃塩臭化銀からな
り、等価円相当直径が1.0μm以上かつ粒子厚みが
0.10μm以下であって、粒子フリンジ部に1粒子当
たり30本以上の転位線を含み、(111)主表面に垂
直な方向から見た時に実質的に辺や角の一部が欠けてい
ない六角形または三角形の形状を有する平板粒子によっ
て占められており、かつさらに好ましくは、テルル増感
剤を用いて化学増感されていることを特徴とする乳剤で
ある。
【0023】まず、本発明のハロゲン化銀乳剤の形状に
ついて述べる。
【0024】本発明の乳剤は全投影面積の50%以上が
(111)面を主表面とする沃臭化銀または沃塩臭化銀
平板粒子で占められている。ここで平板ハロゲン化銀粒
子とは、1枚の双晶面か2枚以上の平行な双晶面を有す
るハロゲン化銀粒子の総称である。双晶面とは、(11
1)面の両側ですべての格子点のイオンが鏡像関係にあ
る場合にこの(111)面のことをいう。この平板状粒
子は粒子を主表面に対して垂直方向から見た時に三角形
状あるいは六角形状、あるいはこれらの角や辺が丸みを
帯びた形状をしており、三角形状のものは三角形の、六
角形状のものは六角形の互いに平行な主表面を有してい
る。
【0025】本発明の乳剤は平板粒子の投影面積が全粒
子の全投影面積の100ないし80%を占めることが好
ましく、より好ましくは100ないし90%、さらに好
ましくは100ないし95%を占める。平板粒子の投影
面積が全粒子の全投影面積の80%未満では平板粒子の
メリット(感度/粒状比、鮮鋭度の向上)を活かし切れ
ず好ましくない。
【0026】また、本発明の平板粒子は(111)主表
面に垂直な方向から見た時に、実質的に辺や角の一部が
欠けていない六角形または三角形を有することが好まし
い。これらの六角形や三角形の辺や角は丸みを帯びてい
ても良い。実質的に辺や角の一部が欠けていないとは、
平板粒子を(111)主表面に垂直な方向から見た時
に、六角形または三角形の全辺長の99%以上に亘って
六角形または三角形の辺や角の一部が粒子の内側に0.
01μm以上窪んで欠落していないことである。
【0027】辺や角の一部が欠けているか否かは平板粒
子を電子顕微鏡(透過型もしくは走査型)を用いて直接
観察することにより判断できる。
【0028】本発明の乳剤は(111)主表面に垂直な
方向から見た時に、実質的に辺や角の一部が欠けていな
い六角形または三角形の形状を有する平板粒子が、乳剤
中のハロゲン化銀粒子の全投影面積の50%以上を占
め、多くを占めることが好ましい。さらに好ましくは全
投影面積の80%以上を占める。全投影面積の50%未
満では本発明の効果が得られにくく、好ましくない。
【0029】言い換えると、本発明の乳剤は(111)
主表面に垂直な方向から見た時に六角形または三角形の
形状を有し、六角形または三角形の全辺長の1%を超え
る範囲に亘って六角形または三角形の辺や角の一部が粒
子の内側に0.01μm以上窪んで欠落している平板粒
子が、乳剤中のハロゲン化銀粒子の全投影面積の0ない
し50%未満を占め、その割合が少ないほど好ましい。
さらに好ましくは全投影面積の0ないし20%を占め
る。
【0030】本発明の乳剤は隣接辺比率(最大辺長/最
小辺長)が1.5ないし1である六角形の平板粒子が乳
剤中の全粒子の投影面積の100ないし50%を占める
ことが好ましい。より好ましくは100ないし70%、
さらに好ましくは100ないし80%を占める。本発明
の乳剤はより好ましくは、隣接辺比率(最大辺長/最小
辺長)が1.2ないし1である六角形の平板粒子が乳剤
中の全粒子の投影面積の100ないし50%を占める。
さらに好ましくは100ないし70%、特に好ましくは
100ないし80%を占める。上記六角形以外の平板粒
子が混入すると粒子間の均質性の点で好ましくない。
【0031】本発明の平板粒子の双晶面間隔は米国特許
第5,219,720号に記載の様に0.012μm以
下にしたり、特開平5−249585号に記載の様に
(111)主平面間距離/双晶面間隔を15以上にして
も良く、目的に応じて選んで良い。
【0032】本発明の乳剤は等価円相当直径1.0μm
以上かつ厚み0.10μm以下の平板粒子が乳剤中のハ
ロゲン化銀粒子の全投影面積の50%以上を占め、より
好ましくは80%以上を占める。これらの範囲外では本
発明の効果が得られにくく、好ましくない。本発明にお
ける等価円相当直径とは、粒子の平行な外表面の投影面
積と等しい面積を持つ円の直径である。
【0033】粒子の投影面積は電子顕微鏡写真上での面
積を測定し、撮影倍率を補正することにより得られる。
粒子の厚みは、参照用のラテックスとともに粒子の斜め
方向から金属を蒸着し、そのシャドーの長さを電子顕微
鏡写真上で測定し、ラテックスのシャドーの長さを参照
にして計算することにより容易に求められる。
【0034】本発明の平板粒子の平均等価円相当直径と
しては1.0ないし3.0μmであることが好ましく、
より好ましくは1.0ないし2.5μm、さらに好まし
くは1.2ないし2.5μmである。平均等価円相当直
径とは該乳剤中の全平板粒子の等価円相当直径の算術平
均である。
【0035】本発明の平板粒子の平均粒子厚みとしては
0.03ないし0.10μmであることが好ましく、よ
り好ましくは0.05ないし0.08μmである。平均
粒子厚みとは該乳剤中の全平板粒子の粒子厚みの算術平
均である。平均粒子厚みが0.03μm未満の乳剤は調
製が困難である。0.10μmを超えると本発明の効果
が得られにくく、好ましくない。
【0036】ハロゲン化銀粒子の厚みに対する等価円相
当直径の比をアスペクト比という。すなわち、個々のハ
ロゲン化銀粒子の投影面積の円相当直径を粒子厚みで割
った値である。アスペクト比の測定法の一例としては、
レプリカ法による透過電子顕微鏡写真を撮影して個々の
粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径(等価円
相当直径)と厚みを求める方法がある。この場合、厚み
はレプリカの影(シャドー)の長さから算出する。
【0037】本発明の乳剤はアスペクト比が10ないし
40の平板粒子が乳剤中の全ハロゲン化銀粒子の投影面
積の100ないし50%を占めることが好ましく、より
好ま100ないし80%を占める。さらに、本発明の乳
剤はアスペクト比が15ないし40の平板粒子が乳剤中
の全ハロゲン化銀粒子の投影面積の100ないし50%
を占めることが好ましく、より好ましくは100ないし
80%を占める。
【0038】本発明の乳剤は単分散な粒子からなること
が好ましい。本発明の全ハロゲン化銀粒子の粒子サイズ
(等価球相当直径)分布の変動系数としては35%ない
し3%であることが好ましく、より好ましくは20ない
し3%、さらに好ましくは15ないし3%である。等価
球相当直径分布の変動係数とは個々の平板粒子の等価球
相当直径のばらつき(標準偏差)を平均等価球相当直径
で割った値である。全平板粒子の等価球相当直径分布の
変動係数が35%を超えると粒子間の均質性の点で好ま
しくない。また、3%を下回る乳剤は調製が困難であ
る。
【0039】また、本発明の乳剤の全粒子の等価円相当
直径分布の変動係数は40%ないし3%であり、より好
ましくは25ないし3%、さらに好ましくは15ないし
3%である。等価円相当直径分布の変動係数とは個々の
粒子の等価円相当直径のばらつき(標準偏差)を平均等
価円相当直径で割った値に100を乗じたものである。
全粒子の等価円相当径分布の変動係数が40%を超える
と粒子間の均質性の点で好ましくない。また、3%を下
回る乳剤は調製が困難である。
【0040】また、本発明の乳剤の全平板粒子の粒子厚
み分布の変動係数としては25ないし3%あることが好
ましく、より好ましくは20ないし3%、さらに好まし
くは15ないし3%である。粒子厚み分布の変動係数と
は個々の平板粒子の粒子厚みのばらつき(標準偏差)を
平均粒子厚みで割った値である。全平板粒子の粒子厚み
分布の変動係数が25%を超えると粒子間の均質性の点
で好ましくない。また、3%を下回る乳剤は調製が困難
である。
【0041】また、本発明の乳剤の全平板粒子の双晶面
間隔み分布の変動係数としては25ないし3%あること
が好ましく、より好ましくは20ないし3%、さらに好
ましくは15ないし3%である。双晶面間隔分布の変動
係数とは個々の平板粒子の双晶面間隔の厚みのばらつき
(標準偏差)を平均双晶面間隔で割った値である。全平
板粒子の双晶面間隔分布の変動係数が25%を超えると
粒子間の均質性の点で好ましくない。また、3%を下回
る乳剤は調製が困難である。
【0042】本発明では上記の範囲の粒子厚みとアスペ
クト比、単分散度を目的に応じて選んで良いが、粒子厚
みが薄く高アスペクト比で単分散な平板粒子を用いるこ
とが好ましい。
【0043】本発明では高アスペクト比の平板粒子の形
成方法としては種々の方法を用いることが出来、例えば
米国特許第5,496,694号や同5,498,51
6号に記載の粒子形成法を用いることが出来る。
【0044】単分散で高アスペクト比の平板粒子を形成
するには、短時間の内に小サイズの双晶核を生成させる
ことが重要である。そのために低温、高pBr、低p
H、低ゼラチン量の下で短時間に核形成を行うことは好
ましく、ゼラチンの種類として低分子量のものやメチオ
ニン含有量の少ないもの、アミノ基をフタル酸やトリメ
リット酸あるいはピロメリット酸などで修飾したものが
好ましい。
【0045】核形成後、物理熟成により正常晶、一重双
晶及び非平行多重双晶の核を消失させ、選択的に平行二
重双晶の核を残す。残った平行二重双晶核の間でさらに
熟成を行うことは単分散性を高め好ましい。
【0046】また、物理熟成を例えば米国特許5,14
7,771号に記載のPAO(ポリアルキレンオキサイ
ド)の存在下に行うこともまた単分散性を高め好まし
い。
【0047】その後、ゼラチンを追添してから可溶性銀
塩と可溶性ハロゲン塩を添加し、粒子成長を行う。追添
ゼラチンとしてもアミノ基をフタル酸やトリメリット酸
あるいはピロメリット酸などで修飾したものは好まし
い。
【0048】また、あらかじめ別に調製した、あるいは
別の反応容器で同時に調製したハロゲン化銀微粒子を添
加することで銀とハライドを供給し粒子を成長させるこ
とも好ましい。
【0049】粒子成長時においても反応液の温度、p
H、バインダー量、pBr、銀及びハロゲンイオンの供
給速度等を制御し最適化することは重要である本発明で
用いるハロゲン化銀乳剤粒子を形成するには、沃臭化銀
または塩沃臭化銀を用いることが好ましい。沃化物、あ
るいは塩化物を含む相を有する場合、これらの相は粒子
内に均一に分布させても良いし、局在させても良い。
【0050】その他の銀塩、例えばロダン銀、硫化銀、
セレン化銀、炭酸銀、リン酸銀、有機酸銀が別粒子とし
て、あるいはハロゲン化銀粒子の一部分として含まれて
いても良い。
【0051】本発明における乳剤粒子の好ましい臭化銀
含有率の範囲は80モル%以上であり、より好ましくは
90モル%以上である。
【0052】また、本発明における乳剤粒子の好ましい
沃化銀含有率の範囲は1ないし20モル%であり、より
好ましくは2ないし15モル%、さらに好ましくは3な
いし10モル%である。1モル%未満では色素吸着の強
化、固有感度の上昇などの効果が得にくく好ましくな
い。20モル%を超えると一般に現像速度が遅れるため
好ましくない。
【0053】本発明における乳剤粒子の好ましい粒子間
の沃化銀含有率分布の変動係数は30%以下であり、よ
り好ましくは25ないし3%、特に好ましくは20ない
し3%である。30%を超えると粒子間の均質性の点で
好ましくない。粒子間の沃化銀含有率分布の変動係数と
は個々の乳剤粒子の沃化銀含有率の標準偏差を平均沃化
銀含有率で割った値である。個々の乳剤粒子の沃化銀含
有率はX線マイクロアナライザーを用いて、1個1個の
粒子の組成を分析することにより測定できる。
【0054】その測定法は例えば欧州特許第147,8
68号に記載されている。本発明の乳剤の個々の粒子の
沃化銀含有率の分布を求める際は、少なくとも100粒
子以上について沃化銀含有率を測定して求めることが好
ましく、より好ましくは200粒子以上、特に好ましく
は300粒子以上について測定して求める。
【0055】本発明の乳剤の表面ヨード含量は5モル%
以下であることが好ましくより好ましくは4モル%以
下、さらに好ましくは3モル%以下である。表面ヨード
量が5モル%を超えると現像阻害や化学増感の阻害を生
じ、好ましくない。表面ヨード含量の測定はESCA
(XPSという名称もある)法(X線を照射し粒子表面
から出て来る光電子を分光する方法)により確認するこ
とができる。
【0056】本発明の乳剤粒子は主として(111)面
と(100)面からなる。本発明の乳剤粒子の全表面に
対して(111)面が占める割合は少なくとも70%で
ある。
【0057】一方、本発明の乳剤粒子において(10
0)面の出現部位は平板粒子の側面であり、(111)
面が乳剤粒子表面を占める面積に対する(100)面が
乳剤粒子表面を占める面積の比は、少なくとも2%であ
り、より好ましくは4%以上である。(100)面比率
のコントロールは特開平2−298935号や特開平8
−334850号などを参考にすることが出来る。(1
00)面比率は、増感色素の吸着における(111)面
と(100)面との吸着依存性の違いを利用した方法、
例えばT.Tani, J.Imaging Sci.,29、165(1985)などに記
載の方法を用いて求めることが出来る。
【0058】本発明の乳剤粒子において、平板粒子の側
面における(100)面の面積比率は15%以上である
ことが好ましく、より好ましくは25%以上である。平
板粒子の側面における(100)面の面積比率は、例え
ば特開平8−334850号に記載の方法から求めるこ
とが出来る。
【0059】本発明における平板粒子は粒子内部に転位
線を有する。以下に平板粒子内への転位線導入について
説明する。
【0060】転位線とは結晶のすべり面上で、すでにす
べった領域とまだすべらない領域の境界にある線状の格
子欠陥のことである。ハロゲン化銀結晶の転位線に関し
ては、1)C.R.Berry,J.Appl.Phy
s.,27,636(1956),2)C.R.Ber
ry,D.C.Skilman,J.Appl.Phy
s.,35,2165(1964),3)J.F.Ha
milton,Phot.Sci.Eng.,11,5
7(1967),4)T.Shiozawa,J.So
c.Phot.Sci.Jap.,34,16(197
1),5)T.Shiozawa,J.Soc.Pho
t.Sci.Jap.,35,213(1972)等の
文献があり、X線回折法または低温透過型電子顕微鏡を
用いた直接的観察方法により解析できる。透過型電子顕
微鏡を用いて転位線を直接観察する場合、粒子に転位線
が発生するほどの圧力をかけないよう注意して乳剤から
取り出したハロゲン化銀粒子を電子顕微鏡観察用のメッ
シュにのせ、電子線による損傷(例えばプリントアウ
ト)を防ぐように試料を冷却した状態で透過法により観
察を行う。
【0061】この場合、粒子の厚みが厚いほど電子線が
透過しにくくなるので、高圧型(0.25μmの厚さに
対して、200kV以上)の電子顕微鏡を用いたほうが
より鮮明に観察することができる。
【0062】一方、転位線の写真性能に及ぼす影響とし
ては、G.C.Farnell,R.B.Flint,
J.B.Chanter,J.Phot.Sci.,1
3,25(1965)の文献があり、大きいサイズの高
アスペクト比平板状ハロゲン化銀粒子において、潜像核
が形成される場所と粒子内の欠陥とが密接な関係にある
ことが示されている。例えば米国特許4,806,46
1号、同5,498,516号、同5,496,694
号、同5,476,760号、同5,567,580
号、特開平4−149541号、同4−149737号
にはハロゲン化銀粒子中に転位線をコントロールして導
入する技術に関して記載がある。これらの特許の中で転
位線を導入した平板粒子は、転位線のない平板粒子と比
較して、感度、圧力性等の写真特性に優れていることが
示されている。本発明において、これらの特許に記載さ
れる転位線を導入する方法に準じた方法を用いることは
好ましい。
【0063】本発明では次のようにして平板粒子内部へ
の転位線導入を行なう。すなわち、基盤となる平板粒子
(ホスト粒子とも言う)への沃化銀を含むハロゲン化銀
相のエピタキシャル成長とその後のハロゲン化銀シェル
の形成による転位線の導入である。
【0064】(111)主表面に垂直な方向から見た時
に実質的に辺や角の一部が欠けていない六角形または三
角形の形状を有する本発明の平板粒子の形成は、転位線
導入過程の工夫により達成できる。
【0065】平板粒子の場合、粒子内の最も溶けやすい
部位はコーナー部及びエッジ部であり、特に粒子厚みが
薄い平板粒子ほど、粒子形成中あるいは粒子形成後にこ
れらの部分が溶解し、粒子内側に窪んで欠落しやすい。
これを防止するには粒子形成中の反応系の溶解度を下
げること、粒子形成中に粒子表面に吸着する物質の使
用や粒子フリンジ部の高ヨード化により粒子自体の溶解
を防ぐことが必要である。
【0066】具体的には転位線導入時の温度とpAgを
適切に選ぶこと、特に40℃以下の低温で粒子を形成す
ることが好ましく、また粒子エッジ部に限定した沃化銀
エピタキシャル成長の形成やエピタキシャル成長後の沃
臭化銀シェル形成などによる粒子フリンジ部の高ヨード
化、さらにはエピタキシャル成長の形成時あるいはそれ
以降の粒子形成中に増感色素や晶相制御剤などを粒子表
面に吸着させて粒子の溶解を防止することが好ましい。
但し、本発明はこれらの手段に限定されるものではな
く、他の粒子溶解防止方法を用いても良い。
【0067】本発明の好ましい平板粒子への転位線導入
方法について詳細に述べる。
【0068】まず、ホスト粒子の沃化銀含有率は0〜1
0モル%であることが好ましく、より好ましくは0〜8
モル%、特に好ましくは0〜5モル%であるが、目的に
応じて選んで良い。10モル%を超えると一般に現像速
度が遅れるため好ましくない。
【0069】ホスト粒子上にエピタキシャル成長させる
ハロゲン化銀相の組成は沃化銀含有率の高い方が好まし
い。このエピタキシャル成長させるハロゲン化銀相は沃
化銀、沃臭化銀、塩沃臭化銀、塩沃化銀のいずれでも良
いが、沃化銀または沃臭化銀であることが好ましく、沃
化銀であることがさらに好ましい。沃臭化銀である場合
の好ましい沃化銀(沃化物イオン)含有率は、このエピ
タキシャル成長させるハロゲン化銀相中の銀量に対して
1〜45モル%でありより好ましくは5〜45モル%、
特に好ましくは10〜45モル%である。転位線導入に
必要なミスフィットを形成する点で沃化銀含有率は高い
ほど好ましいが、45モル%は沃臭化銀の固溶限界であ
る。
【0070】ホスト粒子上にエピタキシャル成長させる
この高沃化銀含有率相を形成するために添加するハロゲ
ン量は、ホスト粒子の銀量の2〜10モル%であること
が好ましく、より好ましくは2〜8モル%、特に好まし
くは2〜5モル%である。2モル%未満では転位線が導
入されにくく好ましくない。10モル%を超えると現像
速度が遅れるため好ましくない。
【0071】この時、この高沃化銀含有率相は粒子形成
後から見て全体の粒子銀量の10〜60モル%の範囲内
に存在することが好ましく、より好ましくは20〜40
モル%の範囲内に存在することである。10モル%未満
でも、また60モル%を超えても転位線導入による高感
化が得にくく好ましくない。
【0072】本発明ではこの高沃化銀含有率相をホスト
平板粒子のエッジ部に限定して形成することが特に好ま
しい。粒子エッジ部に形成した高沃化銀含有率相はその
後のハロゲン化銀シェル形成時に再溶解し、主に粒子フ
リンジ部に沈積する。その結果、フリンジ部が高ヨード
の平板粒子が得られ、粒子エッジ部の溶解を防止するこ
とができる。
【0073】また、この高沃化銀含有率相はホスト平板
粒子のエッジ部において均質に、隙間なく形成すること
が好ましい。粒子内のエピタキシャル成長が均質でな
く、エピタキシャル成長のない部位があると、特にその
部位の溶解が激しくなり最終的に辺が欠けた粒子を生じ
てしまう。
【0074】本発明でこの高沃化銀含有率相をホスト粒
子上に形成する際は、例えば米国特許5,498,51
6号や同5,527,664号に記載のアルカリや求核
剤との反応により沃化物イオン放出剤から沃化物イオン
を放出させる方法を用いることが好ましい。その際、添
加するハロゲン化物の組成・添加方法、反応液の溶剤濃
度・ゼラチン濃度・イオン強度などを自由に選んで用い
て良い。
【0075】この高沃化銀含有率相をホスト粒子上にエ
ピタキシャル成長させた後、ホスト平板粒子の外側にハ
ロゲン化銀シェルを形成すると転位線が導入される。こ
のハロゲン化銀シェルの組成は臭化銀、沃臭化銀、塩沃
臭化銀のいずれでも良いが、臭化銀または沃臭化銀であ
ることが好ましい。少量の沃化銀を含有させることは、
平板粒子の辺が欠けるのを防止する点で好ましいことで
ある。
【0076】沃臭化銀である場合の好ましい沃化銀含有
率は、シェルに含有される銀量に対して0.1〜5モル
%であり、より好ましくは0.1〜3モル%、特に好ま
しくは0.1〜2モル%である。
【0077】0.1モル%未満では色素吸着の強化、現
像促進などの効果が得にくく好ましくない。5モル%を
超えると現像速度が遅れるため好ましくない。
【0078】このハロゲン化銀シェル成長に用いる銀量
は全体の粒子銀量の10ないし60モル%であることが
好ましく、より好ましくは20ないし40モル%であ
る。
【0079】上述の転位線導入過程における好ましい温
度は30〜50℃であり、特に好ましくは30〜40℃
である。転位線導入を低温で行うことは、反応系の溶解
度を下げることに加えて、上述の粒子エッジ部における
均質なエピタキシャル成長を実現できる点で好ましい。
30℃未満の低温の温度制御を行うには能力の高い製造
装置が必要であり製造上好ましくない。また、上述の転
位線導入過程におけるpAgは種々の値を選ぶことが出
来るが、特に好ましくは銀/飽和カロメル電極を用いて
測定した銀電位で以下の通りである。すなわち、30℃
以上35℃未満では+40〜−80mV、35℃以上4
0℃未満では+30〜−80mV、40℃以上45℃未
満では+20〜−70mV、45℃以上50℃未満では
+10〜−70mVの範囲が好ましい。
【0080】また、上述の転位線導入過程のある時期
に、例えば後述の分光増感色素や特開平8−22066
4号の晶相制御剤などの物質を粒子表面に吸着させ、粒
子の溶解を防止することは好ましい。これらの物質は粒
子表面に吸着することで粒子の溶解を防止し、かつ写真
性能に損ねることがなければ自由に選んで良い。例えば
吸着力の強い晶相制御剤などの吸着物質を用いた場合、
分光増感時に増感色素の吸着を阻害する場合がある。そ
うした場合は分光増感前に脱着させることが好ましい。
しかし、より好ましくは分光増感用増感色素により交換
脱着される物質を用いることである。これらの物質の好
ましい添加量は概ねハロゲン化銀1モル当たり1×10
-4から5×10-3モルの範囲である。その添加時期はエ
ピタキシャル成長の前後・途中あるいはハロゲン化銀シ
ェル形成の途中のいずれでも良い。また、これらの物質
の添加方法はその水溶液を一時に添加しても良いし数分
間かけて添加しても良く、さらにハロゲン化物水溶液あ
るいは水溶性銀塩溶液に混合して添加しても良い。
【0081】以下に平板粒子の転位線導入位置と密度に
ついて述べる。平板粒子の場合、前述のように電子顕微
鏡を用いて撮影した粒子の写真より、主平面に対して垂
直方向から見た場合の各粒子についての転位線の位置と
本数を求めることができる。本発明の平板粒子に転位線
を導入する場合、出来るだけ粒子フリンジ部に限定する
ことが好ましい。本発明で言うフリンジ部とは平板粒子
の外周のことを指し、詳しくは平板粒子の辺から中心に
かけての沃化銀の分布において、辺側から見て初めてあ
る点の沃化銀含有率が粒子全体の平均沃化銀含有率を超
えた点、もしくは下回った点の外側を指す。
【0082】本発明では平板粒子フリンジ部に高密度の
転位線を導入することは好ましく、粒子フリンジ部に3
0本以上の転位線を有する平板粒子が好ましく、さらに
好ましくは50本以上の転位線を粒子フリンジ部に有す
る。転位線が密集して存在する場合、または転位線が互
いに交わって観察される場合には、1粒子当たりの転位
線の数は明確には数えることができないことがある。し
かしながら、これらの場合においてもおおよそ10本、
20本、30本という程度には数えられる。
【0083】本発明の平板粒子は粒子間の転位線量分布
が均一であることが粒子間の均質性の点で好ましい。本
発明の乳剤では、粒子フリンジ部に1粒子当たり30本
以上の転位線を含むハロゲン化銀平板粒子が全投影面積
の50%以上を占め、より好ましくは80%以上を占め
る。50%未満では高感化が得られにくく好ましくな
い。また、本発明では1粒子当たり50本以上の転位線
を含むハロゲン化銀平板粒子が全投影面積の50%以上
を占めることがさらに好ましく、より好ましくは80%
以上を占める。
【0084】さらに、本発明の平板銀粒子は粒子内の転
位線導入位置が均質であることが望ましい。本発明の乳
剤では実質的に粒子フリンジ部のみに転位線が局在する
ハロゲン化銀平板粒子が全投影面積の50%以上を占め
ることが好ましく、より好ましくは60%以上、さらに
好ましくは80%以上を占める。
【0085】「実質的に粒子フリンジ部のみ」とは粒子
フリンジ部以外、すなわち粒子中心部に転位線を5本以
上含まないことを言う。粒子中心部とは、粒子を主表面
に対して垂直方向から見た時にフリンジ領域に囲まれた
内側の領域を言う。
【0086】また、本発明の平板粒子は多くのフリンジ
領域に亘って転位線を有していることが好ましく、粒子
フリンジ領域の50%以上に亘ってフリンジ部に転位線
が存在する平板粒子が全投影面積の50%以上を占める
ことが好ましく、より好ましくは60%以上、さらに好
ましくは80%以上を占める。さらに、粒子フリンジ領
域の70%以上に亘ってフリンジ部に転位線が存在する
平板粒子が全投影面積の50%以上を占めることも好ま
しく、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは8
0%以上を占める。
【0087】本発明では平板粒子のフリンジ部の領域の
厚み(粒子中心方向への深さ)は0.05ないし0.2
5μmであることが好ましく、より好ましくは0.10
ないし0.20μmである。
【0088】本発明において転位線を含む粒子の割合及
び転位線の本数を求める場合は、少なくとも100粒子
について転位線を直接観察して求めることが好ましく、
より好ましくは200粒子以上、特に好ましくは300
粒子以上について観察して求める。
【0089】また、本発明の乳剤では全投影面積の50
%以上が、粒子フリンジ部の平均沃化銀含有率が粒子中
心部の平均沃化銀含有率よりも2モル%以上の高い平板
粒子によって占められることが好ましく、より好ましく
は粒子フリンジ部の平均沃化銀含有率が粒子中心部の平
均沃化銀含有率よりも4モル%以上、さらに好ましくは
しくは粒子フリンジ部の平均沃化銀含有率が粒子中心部
の平均沃化銀含有率よりも5モル%以上高い平板粒子に
よって占められる。
【0090】平板粒子内の沃化銀含有率に関しては例え
ば分析電顕を用いて特開平7−219102号に記載の
方法で求められる。
【0091】本発明の平板粒子において粒子内に写真的
に有用な金属イオンあるいは錯体(以下、「金属(錯
体)イオン」と言う)を1種以上含有させることは好ま
しい。
【0092】以下にハロゲン化銀粒子内への金属イオン
ドープについて述べる。
【0093】写真性有用な金属(錯体)イオンとは感光
性ハロゲン化銀乳剤の写真特性を改良する目的で粒子中
にドープされるものである。これらの化合物はハロゲン
化銀結晶中で電子あるいは正孔の過渡的なあるいは永久
的なトラップとして働き、高感度や高コントラスト、相
反則特性改良、圧力性改良などの効果が得られる。
【0094】本発明において乳剤粒子中にドープされる
金属としては鉄、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、
カドミウム、レニウム、オスミウム、イリジウム、白
金、クロム、バナジウムなどの第一から第三遷移金属元
素、ガリウム、インジウム、タリウムや鉛などの両性金
属元素が好ましい。これらの金属イオンは錯塩もしくは
単独の塩の形でドープされる。錯体イオンの場合、ハロ
ゲンイオンやシアン(CN)イオンをリガンドとした六
配位ハロゲノ錯体やシアノ錯体が好ましく用いられる。
【0095】また、ニトロシル(NO)リガンド、チオ
ニトロシル(NS)リガンド、カルボニル(CO)リガ
ンド、チオカルボニル(NCO)リガンド、チオシアン
(NCS)リガンド,セレノシアネート(NCSe)リ
ガンド、テルロシアネート(CNTe)リガンド、ダイ
ナイトロジェン(N2)リガンド、アジド(N3)リガン
ド、さらにはビピリジルリガンド、シクロペンタジエニ
ルリガンド、1,2−ジチオレニルリガンド、イミダゾ
ールリガンド、等のような有機配位子を有する錯体も用
いることができる。リガンドとしては次のような多座配
位子を用いても良い。すなわち、ビピリジルリガンドの
ような2座配位子、ジエチレントリアミンのような3座
配位子、トリエチレンテトラアミンのような4座配位
子、エチレンジアミンテトラ酢酸のような6座配位子の
いずれを用いてもよい。配位子数は、6が好ましいが、
4でもよい。有機配位子リガンドについては、米国特許
5,457,021号、同5,360,712号、同
5,462,849号に記載されているものも、好まし
く使用される。米国特許5,024,939号記載のよ
うに、金属イオンをオリゴマーとして組み込むことも好
ましい。
【0096】金属(錯体)イオンを、ハロゲン化銀に組
み込む際には、金属(錯体)イオンの大きさが、ハロゲ
ン化銀格子間距離と適合するかが重要である。また、金
属(錯体)イオンの銀あるいはハロゲンイオンとの化合
物が、ハロゲン化銀と共沈することもハロゲン化銀にド
ープされるためには必須である。そのため、金属(錯
体)イオンの銀あるいはハロゲンイオンとの化合物のp
Ksp(溶解度積の逆数の常用対数)がハロゲン化銀のp
Ksp(塩化銀9.8、臭化銀12.3、沃化銀16.1)と同程度
である必要がある。従って、金属(錯体)イオンの銀あ
るいはハロゲンイオンとの化合物のpKspは、8〜20
が好ましい。
【0097】上記金属錯体のハロゲン化銀粒子へのドー
プ量は、概ねハロゲン化銀1モル当たり10-9から10
-2モルの範囲である。詳しくは、感光過程において過渡
的な浅い電子トラップを提供する金属錯体はハロゲン化
銀1モル当たり10-6から10-2モルの範囲、感光過程
において深い電子トラップを提供する金属錯体はハロゲ
ン化銀1モル当たり10-9から10-5モルの範囲で用い
るのが好ましい。
【0098】乳剤粒子の金属(錯体)イオン含有量は原
子吸光、偏光ゼーマン分光、ICP分析により確認でき
る。金属錯体イオンのリガンドは赤外吸収(特にFT-I
R)により確認できる。
【0099】上記の金属(錯体)イオンのハロゲン化銀
粒子へのドープは、粒子の表面相または内部相あるいは
米国特許5,132,203号や同4,997,751
号記載のような金属イオンを表面に露出させない程度の
極浅い表面相(所謂亜表面)のいずれでも良く目的に応
じて選んで良い。また、複数の金属イオンをドープして
も良く、それらは同一相にドープしても良いし、異なる
相でも良い。これらの化合物の添加方法は、粒子形成時
のハロゲン化物水溶液あるいは水溶性銀塩溶液に該金属
塩溶液を混合して添加しても良いし、該金属塩溶液を直
接添加しても良い。また、該金属イオンがドープされた
ハロゲン化銀乳剤微粒子を添加しても良い。金属塩を水
またはメタノール、アセトンなどの適当な溶媒に溶かす
場合、溶液を安定化するためにハロゲン化水素水溶液
(例えば、HCl、HBr)、チオシアン酸あるいはそ
の塩、あるいはハロゲン化アルカリ(例えば、KCl、
NaCl、KBr、NaBrなど)を添加する方法を用
いることが好ましい。また、必要に応じて、酸、アルカ
リ等を加えるのも同様の点で好ましい。
【0100】シアノ錯体の金属イオンを乳剤粒子にドー
プした場合、ゼラチンとシアノ錯体の反応によりシアン
が発生し金増感が阻害されることがある。そうした場
合、例えば特開平6−308653号に記載されている
ようにゼラチンとシアノ錯体との反応を阻害する機能を
有する化合物を併用することが好ましい。具体的にはシ
アノ錯体の金属イオンをドープ以降の工程を亜鉛イオン
等のゼラチンと配位結合するような金属イオンの存在下
で行うことが好ましい。
【0101】次にテルル増感剤について説明する。本発
明の乳剤はテルル増感剤を用いて化学増感されているこ
とが好ましい。テルル増感剤としては、米国特許第1,
623,499号、同第3,320,069号、同第
3,772,031号、英国特許第235,211号、
同第1,121,496号,同第1,295,462
号,同第1,396,696号,カナダ特許第800,
958号、特開平8−95184号、ジャーナル・オブ
・ケミカル・ソサイアティー・ケミカル・コミュニケー
ション(J. Chem. Soc. Chem. Commun.)635(19
80)、同 1102(1979)、同 645(19
79)、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー
・パーキン・トランザクション(J. Chem. Soc. Perkin
Trans.)1,2191(1980)、S.パタイ
(S.Patai)編、ザ・ケミストリー・オブ・オー
ガニック・セレニウム・アンド・テルリウム・カンパウ
ンズ(TheChemistry of Organic Selenium and Telluri
um Compounds)、Vol 1(1986)、同Vol
2(1987)に記載されている公知のテルル増感剤を
挙げることができる。これらのテルル増感剤の中でも下
記一般式(I)、(II)、または(III)で表される化合
物が好ましい。
【0102】一般式(I)
【化1】
【0103】式中、R11、R12およびR13は各々独立に
脂肪族基、芳香族基、複素環基、OR14、NR
15(R16)、SR17、OSiR18(R19)(R20)、X
または水素原子を表わす。R14およびR17は各々独立に
脂肪族基、芳香族基、複素環基、水素原子またはカチオ
ンを表わし、R15およびR16は脂肪族基、芳香族基、複
素環基または水素原子を表わし、R18、R19およびR20
は脂肪族基を表わし、Xはハロゲン原子を表わす。
【0104】一般式(I)において、R11、R12
13、R14、R15、R16、R17、R18、R19およびR20
で表わされる脂肪族基は好ましくは炭素数1〜30のも
のであって、特に炭素数1〜20の直鎖、分岐または環
状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラル
キル基である。アルキル基、アルケニル基、アルキニル
基、アラルキル基としては、例えばメチル、エチル、n
−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチ
ル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロペンチル、
シクロヘキシル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニ
ル、プロパルギル、3−ペンチニル、ベンジル、フェネ
チルがあげられる。一般式(I)において、R1 1
12、R13、R14、R15、R16およびR17で表わされる
芳香族基は好ましくは炭素数6〜30のものであって、
特に炭素数6〜20の単環または縮環のアリール基であ
り、例えばフェニル、ナフチルがあげられる。一般式
(I)において、R11、R12、R13、R14、R15、R16
およびR17で表わされる複素環基は窒素原子、酸素原子
および硫黄原子のうち少なくとも一つを含む3〜10員
環の飽和もしくは不飽和の複素環基である。これらは単
環であってもよいし、さらに他の芳香環もしくは複素環
と縮合環を形成してもよい。複素環基としては、好まし
くは5〜6員環の芳香族複素環であり、例えばピリジ
ル、フリル、チエニル、チアゾリル、イミダゾリル、ベ
ンズイミダゾリルがあげられる。一般式(I)におい
て、R14およびR17で表わされるカチオンはアルカリ金
属、アンモニウムを表わす。一般式(I)において、X
で表わされるハロゲン原子は、例えばフッ素原子、塩素
原子、臭素原子および沃素原子を表わす。また、この脂
肪族基、芳香族基および複素環基は置換されていてもよ
い。置換基としては以下のものがあげられる。代表的な
置換基としては例えば、アルキル基、アラルキル基、ア
ルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ
基、アリールオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ウ
レイド基、ウレタン基、スルホニルアミノ基、スルファ
モイル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルフィニ
ル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカ
ルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、リン酸アミド
基、ジアシルアミノ基、イミド基、アルキルチオ基、ア
リールチオ基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カ
ルボキシ基、ヒドロキシ基、ホスホノ基、ニトロ基、お
よびヘテロ環基等があげられる。これらの基はさらに置
換されていてもよい。置換基が2つ以上あるときは同じ
でも異なっていてもよい。R11、R12、R 13は互いに結
合してリン原子と一緒に環を形成してもよく、またR15
とR16は結合して含窒素複素環を形成してもよい。一般
式(I)中、好ましくはR11、R12およびR13は脂肪族
基または芳香族基を表わし、より好ましくはアルキル基
または芳香族基を表わす。
【0105】一般式(II)
【化2】
【0106】式中、R21は脂肪族基、芳香族基、複素環
基または−NR23(R24)を表わし、R22は脂肪族基、
芳香族基、複素環基、−NR25(R26)、−N(R27
N(R 28)R29または−OR30を表わす。R23、R24
25、R26、R27、R28、R29およびR30は各々独立に
水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基またはアシル
基を表わす。ここでR21とR25、R21とR27、R21とR
28、R21とR30、R23とR25、R23とR27、R23とR28
およびR23とR30は結合して環を形成してもよい。次に
一般式(II)について詳細に説明する。一般式(II)に
おいて、R21、R 22、R23、R24、R25、R26、R27
28、R29およびR30で表わされる脂肪族基、芳香族基
および複素環基は一般式(I)と同意義を表わす。一般
式(II)において、R23、R24、R25、R26、R27、R
28、R29およびR30で表わされるアシル基は好ましくは
炭素数1〜30のものであって、特に炭素数1〜20の
直鎖または分岐のアシル基であり、例えばアセチル、ベ
ンゾイル、ホルミル、ピバロイル、デカノイルがあげら
れる。ここでR21と25、R21とR27、R21とR28、R
21とR30、R23とR25、R23とR27、R23とR28および
23とR30が結合して環を形成する場合は例えばアルキ
レン基、アリーレン基、アラルキレン基またはアルケニ
レン基等があげられる。また、この脂肪族基、芳香族
基、および複素環基は一般式(I)であげた置換基で置
換されていてもよい。一般式(II)中、好ましくはR21
は脂肪族基、芳香族基または−NR23(R24)を表わ
し、R22は−NR25(R26)を表わす。R23、R24、R
25およびR26は脂肪族基または芳香族基を表わす。一般
式(II)中、より好ましくはR21は芳香族基または−N
23(R24)を表わし、R22は−NR25(R26)を表わ
す。R23、R24、R25およびR 26はアルキル基または芳
香族基を表わす。ここでR21とR25およびR23とR25
アルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基またはア
ルケニレン基を介して環を形成することもより好まし
い。
【0107】一般式(III)
【化3】
【0108】式中、R31およびR32は同じであっても異
なっていてもよく、脂肪族基、芳香族基、複素環基、−
(C=Y’)−R33を表わす。R33は水素原子、脂肪族
基、芳香族基、複素環基、NR34(R35)、OR36また
はSR37を表わし、Y’は酸素原子、硫黄原子またはN
38を表わす。R34、R35、R36、R37およびR38は水
素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表わし、
nは1または2を表わす。次に一般式(III)について
詳細に説明する。一般式(III)においてR31、R32、R
33、R34、R35、R36、R37およびR38で表わされる脂
肪族基、芳香族基または複素環基は一般式(I)の各々
と同意義を表わす。また、R31、R32、R33、R34、R
35、R36、R37およびR38で表わされる脂肪族基、芳香
族基および複素環基は一般式(I)であげた置換基で置
換されていてもよい。ここで、R3 1とR32およびR34
35は結合して環を形成してもよい。一般式(III)
中、好ましくはR31およびR32は複素環基または−(C
=Y’)−R33を表わす。R33はNR34(R35)または
OR36を表わし、Y’は酸素原子を表わす。R34、35
およびR36は脂肪族基、芳香族基または複素環基を表わ
す。一般式(III)中、より好ましくはR31およびR32
は−(C=Y’)−R33を表わす。R33はNR
34(R35)を表わし、Y’は酸素原子を表わす。R34
よびR35は脂肪族基、芳香族基、または複素環基を表わ
す。
【0109】一般式(I)、(II)および(III)で表わ
されるテルル増感剤の具体例としては、特開平8−95
184号公報の(化22)〜(化36)に記載された化
合物を挙げることができる。
【0110】本発明で用いるテルル増感剤の使用量は、
使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成条件等により変わ
るが、一般にハロゲン化銀1モル当り10-8〜10-2
ル、好ましくは10-8〜5×10-3モル程度を用いる。
【0111】本発明におけるテルル増感剤を用いた化学
増感の条件としては、特に制限はないが、pHとしては
5〜8、pAgとしては6〜11、好ましくは7〜10
であり、温度としては40〜95℃、好ましくは45℃
〜85℃である。テルル増感剤を添加する時期にも制限
はないが、分光増感色素の添加後であることが好まし
い。
【0112】以下は本発明の乳剤及びこれと併用する本
発明以外の乳剤の説明である。本発明の乳剤およびこれ
と併用する本発明以外の写真乳剤は、グラフキデ著「写
真の物理と化学」、ポールモンテル社刊(P.Glaf
kides,Chemieet Phisique P
hotographique,Paul Monte
l,1967)、ダフィン著「写真乳剤化学」,フォー
カルプレス社刊(G.F.Duffin,Photog
raphic Emulsion Chemistry
(Focal Press,1966))、ゼリクマン
等著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊
(V.L.Zelikman et al.,Maki
ng and Coating Photograph
ic Emulsion,Focal Press,1
964)などに記載された方法を用いて調製することが
できる。すなわち、酸性法、中性法、アンモニア法等の
いずれでもよく、また可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を
反応させる形式としては片側混合法、同時混合法、それ
らの組合わせなどのいずれを用いてもよい。粒子を銀イ
オン過剰の下において形成させる方法(いわゆる逆混合
法)を用いることもできる。同時混合法の一つの形式と
してハロゲン化銀の生成する液相中のpAg を一定に保つ
方法、すなわちいわゆるコントロールド・ダブルジェッ
ト法を用いることもできる。この方法によると、結晶形
が規則的で粒子サイズが均一に近いハロゲン化銀乳剤が
得られる。
【0113】乳剤調製用の反応容器にあらかじめ沈澱形
成したハロゲン化銀粒子を添加する方法、米国特許第
4,334,012号、同第4,301,241号、同
第4,150,994号に記載の方法は、場合により好
ましい。これらは種結晶として用いることもできるし、
成長用のハロゲン化銀として供給する場合も有効であ
る。後者の場合粒子サイズの小さい乳剤を添加するのが
好ましく、添加方法として一度に全量添加、複数回に分
割して添加あるいは連続的に添加するなどのなかから選
んで用いることができる。また表面を改質させるために
種々のハロゲン組成の粒子を添加することも場合により
有効である。
【0114】ハロゲン化銀粒子のハロゲン組成の大部分
あるいはごく一部分をハロゲン変換法によって変換させ
る方法は米国特許第3,477,852号、同第4,1
42,900号、欧州特許273,429号、同第27
3,430号、西独公開特許第3,819,241号な
どに開示されており、有効な粒子形成法である。より難
溶性の銀塩に変換するのに可溶性ハロゲンの溶液あるい
はハロゲン化銀粒子を添加することができる。一度に変
換する、複数回に分割して変換する、あるいは連続的に
変換するなどの方法から選ぶことができる。
【0115】粒子成長の方法として、一定濃度、一定流
速で可溶性銀塩とハロゲン塩を添加する方法以外に、英
国特許第1,469,480号、米国特許第3,65
0,757号、同第4,242,445号に記載されて
いるように濃度を変化させる、あるいは流速を変化させ
る粒子形成法は好ましい方法である。濃度を増加させ
る、あるいは流速を増加させることにより、供給するハ
ロゲン化銀量を添加時間の一次関数、二次関数、あるい
はより複雑な関数で変化させることができる。また必要
により供給ハロゲン化銀量を減量することも場合により
好ましい。さらに溶液組成の異なる複数個の可溶性銀塩
を添加する、あるいは溶液組成の異なる複数個の可溶性
ハロゲン塩を添加する場合に、一方を増加させ、もう一
方を減少させるような添加方式も有効な方法である。
【0116】可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩の溶液を反
応させる時の混合器は米国特許第2,996,287
号、同第3,342,605号、同第3,415,65
0号、同第3,785,777号、西独公開特許2,5
56,885号、同第2,555,364号に記載され
ている方法のなかから選んで用いることができる。
【0117】熟成を促進する目的に対してハロゲン化銀
溶剤が有用である。例えば熟成を促進するのに過剰量の
ハロゲンイオンを反応器中に存在せしめることが知られ
ている。また他の熟成剤を用いることもできる。これら
の熟成剤は銀およびハロゲン化物塩を添加する前に反応
器中の分散媒中に全量を配合しておくことができるし、
ハロゲン化物塩、銀塩または解膠剤を加えると共に反応
器中に導入することもできる。別の変形態様として、熟
成剤をハロゲン化物塩および銀塩添加段階で独立して導
入することもできる。
【0118】熟成剤としては、例えば、アンモニア、チ
オシアン酸塩(例えば、ロダンカリ、ロダンアンモニウ
ム)、有機チオエーテル化合物(例えば、米国特許第
3,574,628号、同第3,021,215号、同
第3,057,724号、同第3,038,805号、
同第4,276,374号、同第4,297,439
号、同第3,704,130号、同第4,782,01
3号、特開昭57−104926号に記載の化合
物。)、チオン化合物(例えば、特開昭53−8240
8号、同55−77737号、米国特許第4,221,
863号に記載されている四置換チオウレアや、特開昭
53−144319号に記載されている化合物)や、特
開昭57−202531号に記載されているハロゲン化
銀粒子の成長を促進しうるメルカプト化合物、アミン化
合物(例えば、特開昭54−100717号)があげら
れる。
【0119】本発明で用いる乳剤の調製時に用いられる
保護コロイドとして、及びその他の親水性コロイド層の
バインターとしては、ゼラチンを用いるのが有利である
が、それ以外の親水性コロイドも用いることができる。
【0120】例えば、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の
高分子とのグラフトポリマー、アルブミン、カゼインの
ような蛋白質;ヒドロキシエチルセルロース、カルボキ
シメチルセルロース、セルロース硫酸エステル類のよう
なセルロース誘導体、アルギン酸ソーダ、澱粉誘導体の
ような糖誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルア
ルコール部分アセタール、ポリ−N−ビニルピロリド
ン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル
アミド、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾー
ルのような単一あるいは共重合体の如き多種の合成親水
性高分子物質を用いることができる。
【0121】ゼラチンとしては石灰処理ゼラチンのほ
か、酸処理ゼラチンやBull.Soc.Sci.Ph
oto.Japan.No.16.P30(1966)に
記載されたような酵素処理ゼラチンを用いてもよく、ま
た、ゼラチンの加水分解物や酵素分解物も用いることが
できる。
【0122】本発明で用いる乳剤は脱塩のために水洗
し、新しく用意した保護コロイド分散にすることが好ま
しい。水洗の温度は目的に応じて選べるが、5℃〜50
℃の範囲で選ぶことが好ましい。水洗時のpHも目的に応
じて選べるが2〜10の間で選ぶことが好ましい。さら
に好ましくは3〜8の範囲である。水洗時のpAgも目的
に応じて選べるが5〜10の間で選ぶことが好ましい。
水洗の方法としてヌードル水洗法、半透膜を用いた透析
法、遠心分離法、凝析沈降法、イオン交換法のなかから
選んで用いることができる。凝析沈降法の場合には硫酸
塩を用いる方法、有機溶剤を用いる方法、水溶性ポリマ
ーを用いる方法、ゼラチン誘導体を用いる方法などから
選ぶことができる。
【0123】米国特許第3,772,031号に記載さ
れているようなカルコゲン化合物を乳剤調製中に添加す
る方法も有用な場合がある。S、Se、Te以外にもシ
アン塩、チオシアン塩、セレノシアン酸、炭酸塩、リン
酸塩、酢酸塩を存在させてもよい。
【0124】本発明で使用するハロゲン化銀粒子は硫黄
増感、セレン増感、金増感、パラジウム増感又は貴金属
増感、還元増感の少なくとも1つをハロゲン化銀乳剤の
製造工程の任意の工程で施こすことができる。2種以上
の増感法を組み合せることは好ましい。どの工程で化学
増感するかによって種々のタイプの乳剤を調製すること
ができる。粒子の内部に化学増感核をうめ込むタイプ、
粒子表面から浅い位置にうめ込むタイプ、あるいは表面
に化学増感核を作るタイプがある。本発明の乳剤は目的
に応じて化学増感核の場所を選ぶことができるが、一般
に好ましいのは表面近傍に少なくとも一種の化学増感核
を作った場合である。
【0125】本発明で好ましく実施しうる化学増感の一
つはカルコゲン増感と貴金属増感の単独又は組合せであ
り、ジェームス(T.H.James)著、ザ・フォト
グラフィック・プロセス、第4版、マクミラン社刊、1
977年、(T.H.James、The Theor
y of the Photographic Pro
cess,4th ed,Macmillan,197
7)67−76頁に記載されるように活性ゼラチンを用
いて行うことができるし、またリサーチ・ディスクロー
ジャー、120巻、1974年4月、12008;リサ
ーチ・ディスクロージャー、34巻、1975年6月、
13452、米国特許第2,642,361号、同第
3,297,446号、同第3,772,031号、同
第3,857,711、同第3,901,714号、同
第4,266,018号、および同第3,904,41
5号、並びに英国特許第1,315,755号に記載さ
れるようにpAg 5〜10、pH5〜8および温度30〜8
0℃において硫黄、セレン、テルル、金、白金、パラジ
ウム、イリジウムまたはこれら増感剤の複数の組合せと
することができる。貴金属増感においては、金、白金、
パラジウム、イリジウム等の貴金属塩を用いることがで
き、中でも特に金増感、パラジウム増感および両者の併
用が好ましい。金増感の場合には、塩化金酸、カリウム
クロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫
化金、金セレナイドのような公知の化合物を用いること
ができる。パラジウム化合物はパラジウム2価塩または
4価の塩を意味する。好ましいパラジウム化合物は、R
2PdX6またはR2PdX4で表わされる。ここでRは水
素原子、アルカリ金属原子またはアンモニウム基を表わ
す。Xはハロゲン原子を表わし塩素、臭素または沃素原
子を表わす。
【0126】具体的には、K2PdCl4、(NH42
dCl6、Na2PdCl4、(NH42PdCl4、Li
2PdCl4、Na2PdCl6またはK2PdBr4が好ま
しい。金化合物およびパラジウム化合物はチオシアン酸
塩あるいはセレノシアン酸塩と併用することが好まし
い。
【0127】硫黄増感剤として、ハイポ、チオ尿素系化
合物、ロダニン系化合物および米国特許第3,857,
711号、同第4,266,018号および同第4,0
54,457号に記載されている硫黄含有化合物を用い
ることができる。いわゆる化学増感助剤の存在下に化学
増感することもできる。有用な化学増感助剤には、アザ
インデン、アザピリダジン、アザピリミジンのごとき、
化学増感の過程でカブリを抑制し、且つ感度を増大する
ものとして知られた化合物が用いられる。化学増感助剤
改質剤の例は、米国特許第2,131,038号、同第
3,411,914号、同第3,554,757号、特
開昭58−126526号および前述ダフィン著「写真
乳剤化学」、138〜143頁に記載されている。
【0128】本発明で使用する乳剤は金増感を併用する
ことが好ましい。金増感剤の好ましい量としてハロゲン
化銀1モル当り1×10-4〜1×10-7モルであり、さ
らに好ましいのは1×10-5〜5×10-7モルである。
パラジウム化合物の好ましい範囲はハロゲン化銀1モル
当たり1×10-3から5×10-7モルである。チオシア
ン化合物あるいはセレノシアン化合物の好ましい範囲ハ
ロゲン化銀1モル当たりは5×10-2から1×10-6
ルである。
【0129】本発明で使用する乳剤に対して使用する好
ましい硫黄増感剤量はハロゲン化銀1モル当り1×10
-4〜1×10-7モルであり、さらに好ましいのは1×1
-5〜5×10-7モルである。
【0130】本発明で使用する乳剤に対して好ましい増
感法としてセレン増感がある。セレン増感においては、
公知の不安定セレン化合物を用い、具体的には、コロイ
ド状金属セレニウム、セレノ尿素類(例えば、N,N−
ジメチルセレノ尿素、N,N−ジエチルセレノ尿素)、
セレノケトン類、セレノアミド類のようなセレン化合物
を用いることができる。セレン増感は硫黄増感あるいは
貴金属増感あるいはその両方と組み合せて用いた方が好
ましい場合がある。
【0131】本発明で用いるハロゲン化銀乳剤を粒子形
成中、粒子形成後でかつ化学増感前あるいは化学増感
中、あるいは化学増感後に還元増感することは好まし
い。ここで、還元増感とは、ハロゲン化銀乳剤に還元増
感剤を添加する方法、銀熟成と呼ばれるpAg 1〜7の低
pAg の雰囲気で成長あるいは熟成させる方法、高pH熟成
と呼ばれるpH8〜11の高pHの雰囲気で成長あるいは熟
成させる方法のいずれを選ぶこともできる。また2つ以
上の方法を併用することもできる。
【0132】還元増感剤を添加する方法は還元増感のレ
ベルを微妙に調節できる点で好ましい方法である。
【0133】還元増感剤としては、例えば、第一錫塩、
アスコルビン酸およびその誘導体、アミンおよびポリア
ミン類、ヒドラジン誘導体、ホルムアミジンスルフィン
酸、シラン化合物、ボラン化合物が公知である。本発明
の還元増感にはこれら公知の還元増感剤を選んで用いる
ことができ、また2種以上の化合物を併用することもで
きる。還元増感剤としては塩化第一錫、二酸化チオ尿
素、ジメチルアミンボラン、アスコルビン酸およびその
誘導体が好ましい化合物である。還元増感剤の添加量は
乳剤製造条件に依存するので添加量を選ぶ必要がある
が、ハロゲン化銀1モル当り10-7〜10-3モルの範囲
が適当である。
【0134】還元増感剤は、例えば、水あるいはアルコ
ール類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド
類のような有機溶媒に溶かし粒子成長中に添加される。
あらかじめ反応容器に添加するのもよいが、粒子成長の
適当な時期に添加する方法が好ましい。また水溶性銀塩
あるいは水溶性アルカリハライドの水溶性にあらかじめ
還元増感剤を添加しておき、これらの水溶液を用いてハ
ロゲン化銀粒子を沈澱せしめてもよい。また粒子成長に
伴って還元増感剤の溶液を何回かに分けて添加しても連
続して長時間添加するのも好ましい方法である。
【0135】本発明で用いる乳剤の製造工程中に銀に対
する酸化剤を用いることが好ましい。銀に対する酸化剤
とは、金属銀に作用して銀イオンに変換せしめる作用を
有する化合物をいう。特にハロゲン化銀粒子の形成過程
および化学増感過程において副生するきわめて微小な銀
粒子を、銀イオンに変換せしめる化合物が有効である。
ここで生成する銀イオンは、例えば、ハロゲン化銀、硫
化銀、セレン化銀のような水に難溶の銀塩を形成しても
よく、又、硝酸銀のような水に易溶の銀塩を形成しても
よい。銀に対する酸化剤は、無機物であっても、有機物
であってもよい。無機の酸化剤としては、例えば、オゾ
ン、過酸化水素およびその付加物(例えば、NaBO2
・H22・3H2O、2NaCO3・3H22、Na42
7・2H 22、2Na2SO4・H22・2H2O)、ペ
ルオキシ酸塩(例えば、K228、K226、K22
8)、ペルオキシ錯体化合物(例えば、K2[Ti(O
2)C24]・3H2O、4K2SO4・Ti(O2)OH
・SO4・2H2O、Na3[VO(O2)(C242
・6H2O)、過マンガン酸塩(例えば、KMnO4)、
クロム酸塩(例えば、K2Cr27)のような酸素酸
塩、沃素や臭素のようなハロゲン元素、過ハロゲン酸塩
(例えば、過沃素酸カリウム)、高原子価の金属の塩
(例えば、ヘキサシアノ第二鉄酸カリウム)およびチオ
スルフォン酸塩がある。
【0136】また、有機の酸化剤としては、p−キノン
のようなキノン類、過酢酸や過安息香酸のような有機過
酸化物、活性ハロゲンを放出する化合物(例えば、N−
ブロムサクシンイミド、クロラミンT、クロラミンB)
が例として挙げられる。
【0137】本発明の好ましい酸化剤は、オゾン、過酸
化水素およびその付加物、ハロゲン元素、チオスルフォ
ン酸塩の無機酸化剤及びキノン類の有機酸化剤である。
前述の還元増感と銀に対する酸化剤を併用するのは好ま
しい態様である。酸化剤を用いたのち還元増感を施こす
方法、その逆方法あるいは両者を同時に共存させる方法
のなかから選んで用いることができる。これらの方法は
粒子形成工程でも化学増感工程でも選んで用いることが
できる。
【0138】本発明に用いる写真乳剤には、感光材料の
製造工程、保存中あるいは写真処理中のかぶりを防止
し、あるいは写真性能を安定化させる目的で、種々の化
合物を含有させることができる。すなわちチアゾール
類、例えば、ベンゾチアゾリウム塩、ニトロイミダゾー
ル類、ニトロベンズイミダゾール類、クロロベンズイミ
ダゾール類、ブロモベンズイミダゾール類、メルカプト
チアゾール類、メルカプトベンゾチアゾール類、メルカ
プトベンズイミダゾール類、メルカプトチアジアゾール
類、アミノトリアゾール類、ベンゾトリアゾール類、ニ
トロベンゾトリアゾール類、メルカプトテトラゾール類
(特に1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール);
メルカプトピリミジン類;メルカプトトリアジン類;例
えば、オキサドリンチオンのようなチオケト化合物;ア
ザインデン類、例えば、トリアザインデン類、テトラア
ザインデン類(特に4−ヒドロキシ置換(1,3,3
a,7)チトラアザインデン類)、ペンタアザインデン
類のようなかぶり防止剤または安定剤として知られた、
多くの化合物を加えることができる。例えば、米国特許
第3,954,474号、同第3,982,947号、
特公昭52−28660号に記載されたものを用いるこ
とができる。好ましい化合物の一つに特開昭63−21
2932号に記載された化合物がある。かぶり防止剤お
よび安定剤は粒子形成前、粒子形成中、粒子形成後、水
洗工程、水洗後の分散時、化学増感前、化学増感中、化
学増感後、塗布前のいろいろな時期に目的に応じて添加
することができる。乳剤調製中に添加して本来のかぶり
防止および安定化効果を発現する以外に、粒子の晶壁を
制御する、粒子サイズを小さくする、粒子の溶解性を減
少させる、化学増感を制御する、色素の配列を制御する
など多目的に用いることができる。
【0139】本発明に用いる写真乳剤は、メチン色素類
その他によって分光増感されることが本発明の効果を発
揮するのに好ましい。用いられる色素には、シアニン色
素、メロシアニン色素、複合シアニン色素、複合メロシ
アニン色素、ホロポーラーシアニン色素、ヘミシアニン
色素、スチリル色素およびヘミオキソノール色素が包含
される。特に有用な色素は、シアニン色素、メロシアニ
ン色素、および複合メロシアニン色素に属する色素であ
る。これらの色素類には、塩基性複素環核としてシアニ
ン色素類に通常利用される核のいずれをも適用できる。
すなわち、例えば、ピロリン核、オキサゾリン核、チオ
ゾリン核、ピロール核、オキサゾール核、チアゾール
核、セレナゾール核、イミダゾール核、テトラゾール
核、ピリジン核;これらの核に脂環式炭化水素環が融合
した核;及びこれらの核に芳香族炭化水素環が融合した
核、即ち、例えば、インドレニン核、ベンゾインドレニ
ン核、インドール核、ベンゾオキサドール核、ナフトオ
キサゾール核、ベンゾチアゾール核、ナフトチアゾール
核、ベンゾセレナゾール核、ベンゾイミダゾール核、キ
ノリン核が適用できる。これらの核は炭素原子上に置換
基を有していてもよい。
【0140】メロシアニン色素または複合メロシアニン
色素にはケトメチレン構造を有する核として、例えば、
ピラゾリン−5−オン核、チオヒダントイン核、2−チ
オオキサゾリジン−2,4−ジオン核、チアゾリジン−
2,4−ジオン核、ローダニン核、チオバルビツール酸
核の5〜6員複素環核を適用することができる。
【0141】これらの増感色素は単独に用いてもよい
が、それらの組合せを用いてもよく、増感色素の組合せ
は特に、強色増感の目的でしばしば用いられる。その代
表例は米国特許第2,688,545号、同第2,97
7,229号、同第3,397,060号、同第3,5
22,052号、同第3,527,641号、同第3,
617,293号、同第3,628,964号、同第
3,666,480号、同第3,672,898号、同
第3,679,428号、同第3,703,377号、
同第3,769,301号、同第3,814,609
号、同第3,837,862号、同第4,026,70
7号、英国特許第1,344,281号、同第1,50
7,803号、特公昭43−4936号、同53−12
375号、特開昭52−110618号、同52−10
9925号に記載されている。
【0142】増感色素とともに、それ自身分光増感作用
をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物
質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよ
い。
【0143】増感色素を乳剤中に添加する時期は、これ
まで有用であると知られている乳剤調製の如何なる段階
であってもよい。もっとも普通には化学増感の完了後塗
布前までの時期に行なわれるが、米国特許第3,62
8,969号、および同第4,225,666号に記載
されているように化学増感剤と同時期に添加し分光増感
を化学増感と同時に行なうことも、特開昭58−113
928号に記載されているように化学増感に先立って行
なうことも出来、またハロゲン化銀粒子沈澱生成の完了
前に添加し分光増感を開始することも出来る。更にまた
米国特許第4,225,666号に教示されているよう
にこれらの前記化合物を分けて添加すること、即ちこれ
らの化合物の一部を化学増感に先立って添加し、残部を
化学増感の後で添加することも可能であり、米国特許第
4,183,756号に開示されている方法を始めとし
てハロゲン化銀粒子形成中のどの時期であってもよい。
【0144】添加量は、ハロゲン化銀1モル当り、4×
10-6〜8×10-3モルで用いることができるが、より
好ましいハロゲン化銀粒子サイズ0.2〜1.2μmの
場合は約5×10-5〜2×10-3モルが有効である。
【0145】本発明の感光材料は、支持体上に少なくと
も1つの感光性層を有することが必要であり、少なくと
も3種の互いに異なる感光域を付与された感光性層を設
けることが好ましい。典型的な例としては、支持体上
に、実質的に感色性は同じであるが感光度の異なる複数
のハロゲン化銀乳剤層から成る感光性層を少なくとも3
種有するハロゲン化銀写真感光材料である。該感光性層
は青色光、緑色光、および赤色光の何れかに感色性を有
する単位感光性層であり、多層ハロゲン化銀カラー写真
感光材料においては、一般に単位感光性層の配列が、支
持体側から順に赤感色性層、緑感色性層、青感色性の順
に設置される。しかし、目的に応じて上記設置順が逆で
あっても、また同一感色性層中に異なる感光性層が挟ま
れたような設置順をもとり得る。
【0146】上記のハロゲン化銀感光性層の間および最
上層、最下層には非感光性層を設けてもよい。これらに
は、前述のカプラー、現像主薬、及びDIR化合物、混
色防止剤、染料等が含まれていてもよい。各単位感光性
層を構成する複数のハロゲン化銀乳剤層は、DE 1,121,4
70あるいはGB 923,045に記載されているように高感度乳
剤層、低感度乳剤層の2層を、支持体に向かって順次感
光度が低くなる様に配列するのが好ましい。また、特開
昭57-112751、同62-200350、同62-206541、62-206543
に記載されているように支持体より離れた側に低感度乳
剤層、支持体に近い側に高感度乳剤層を設置してもよ
い。
【0147】また、特公昭49-15495に記載されているよ
うに上層を最も感光度の高いハロゲン化銀乳剤層、中層
をそれよりも低い感光度のハロゲン化銀乳剤層、下層を
中層よりも更に感光度の低いハロゲン化銀乳剤層を配置
し、支持体に向かって感光度が順次低められた感光度の
異なる3層から構成される配列が挙げられる。このよう
な感光度の異なる3層から構成される場合でも、特開昭
59-202464 に記載されているように、同一感色性層中に
おいて支持体より離れた側から中感度乳剤層/高感度乳
剤層/低感度乳剤層の順に配置されてもよい。その他、
高感度乳剤層/低感度乳剤層/中感度乳剤層、あるいは
低感度乳剤層/中感度乳剤層/高感度乳剤層の順に配置
されていてもよい。また、4層以上の場合にも、上記の
如く配列を変えてよい。
【0148】また、さらに本発明では、第4以上の感色
性を持つ乳剤層を有しても良い。
【0149】第4以上の感色性とは、青感性、緑感性、
赤感性乳剤層とは部分的に異なる波長域に感ずる層であ
っても良いし、また、赤外光、紫外光に感ずる層であっ
ても良い。使用するカプラーは目的に応じて選んで良
い。
【0150】3層構成の場合、本発明の層構成を以下に
挙げるが本発明これらに限定されるものではない。な
お、ここでは支持体に近い側から先に挙げる。
【0151】1)低感度赤感性乳剤層(RLu)、中感
度赤感性乳剤層(RLm)、高感度赤感性乳剤層(RL
o)、低感度緑感性乳剤層(GLu)、中感度緑感性乳
剤層(GLm)、高感度緑感性乳剤層(GLo)、低感
度青感性乳剤層(BLu)、中感度赤感性(BLm)、
高感度青感性乳剤層(BLo) 2)GLu,GLm,GLo,RLu,RLm,RL
o,BLu,BLm,BLo 3)GLu,RLu,GLm,RLm,GLo,RL
o,BLu,BLm,BLo 4)GLu,GLm,RLu,RLm,GLo,RL
o,BLu,BLm,BLo 5)RLu,RLm,GLu,GLm,GLo,RL
o,BLu,BLm,BLo 6)GLu,RLu,RLm,GLm,GLo,RL
o,BLu,BLm,BLo 7)RLu,GLu,RLm,GLm,GLo,RL
o,BLu,BLm,BLo 8)GLu,GLm,RLm,GLm,RLo,GL
o,BLu,BLm,BLo 9)RLu,RLm,GLu,GLm,RLo,GL
o,BLu,BLm,BLo 10)GLu,GLm,RLu,RLm,RLo,GL
o,BLu,BLm,BLo 11)RLu,GLu,GLm,RLu,RLo,GL
o,BLu,BLm,BLo 12)GLu,RLu,GLm,RLM,RLo,GL
o,BLu,BLm,BLo。
【0152】本発明に用いられる好ましいハロゲン化銀
は約30モル%以下のヨウ化銀を含む、ヨウ臭化銀、ヨウ
塩化銀、もしくはヨウ塩臭化銀である。特に好ましいの
は約2モル%から約10モル%までのヨウ化銀を含むヨウ
臭化銀もしくはヨウ塩臭化銀である。
【0153】写真乳剤中のハロゲン化銀粒子は、立方
体、八面体、十四面体のような規則的な結晶を有するも
の、球状、板状のような変則的な結晶形を有するもの、
双晶面などの結晶欠陥を有するもの、あるいはそれらの
複合形でもよい。
【0154】ハロゲン化銀の粒径は、約 0.2μm以下の
微粒子でも投影面積直径が約10μmに至るまでの大サイ
ズ粒子でもよく、多分散乳剤でも単分散乳剤でもよい。
【0155】本発明に使用できるハロゲン化銀写真乳剤
は、例えばリサーチ・ディスクロージャー(以下、RD
と略す)No.17643 (1978年12月), 22 〜23頁, “I. 乳
剤製造(Emulsion preparation and types)”、および
同No.18716 (1979年11月),648頁、同No.307105(1989
年11月),863 〜865 頁、およびグラフキデ著「写真の物
理と化学」,ポールモンテル社刊(P.Glafkides, Chimi
e et Phisique Photographiques, Paul Montel, 1967)
、ダフィン著「写真乳剤化学」,フォーカルプレス社
刊(G.F. Duffin, Photographic Emulsion Chemistry,F
ocal Press, 1966)、ゼリクマンら著「写真乳剤の製造
と塗布」、フォーカルプレス社刊(V. L. Zelikman, et
al., Making and Coating Photographic Emulsion, Fo
cal Press,1964)などに記載された方法を用いて調製す
ることができる。
【0156】US 3,574,628、同 3,655,394およびGB 1,4
13,748に記載された単分散乳剤も好ましい。
【0157】また、アスペクト比が約3以上であるよう
な平板状粒子も本発明に使用できる。平板状粒子は、ガ
トフ著、フォトグラフィック・サイエンス・アンド・エ
ンジニアリング(Gutoff, Photographic Science and E
ngineering)、第14巻 248〜257頁(1970年);US 4,43
4,226、同 4,414,310、同 4,433,048、同 4,439,520お
よびGB 2,112,157に記載の方法により簡単に調製するこ
とができる。
【0158】結晶構造は一様なものでも、内部と外部と
が異質なハロゲン組成からなるものでもよく、層状構造
をなしていてもよい。エピタキシャル接合によって組成
の異なるハロゲン化銀が接合されていてもよく、例えば
ロダン銀、酸化鉛などのハロゲン化銀以外の化合物と接
合されていてもよい。また種々の結晶形の粒子の混合物
を用いてもよい。
【0159】上記の乳剤は潜像を主として表面に形成す
る表面潜像型でも、粒子内部に形成する内部潜像型でも
表面と内部のいずれにも潜像を有する型のいずれでもよ
いが、ネガ型の乳剤であることが必要である。内部潜像
型のうち、特開昭 63-264740に記載のコア/シェル型内
部潜像型乳剤であってもよく、この調製方法は特開昭59
-133542に記載されている。この乳剤のシェルの厚みは
現像処理等によって異なるが、3〜40nmが好ましく、5〜
20nmが特に好ましい。
【0160】ハロゲン化銀乳剤は、通常、物理熟成、化
学熟成および分光増感を行ったものを使用する。このよ
うな工程で使用される添加剤はRDNo.17643、同No.187
16および同No.307105に記載されており、その該当箇所
を後掲の表にまとめた。
【0161】本発明の感光材料には、感光性ハロゲン化
銀乳剤の粒子サイズ、粒子サイズ分布、ハロゲン組成、
粒子の形状、感度の少なくとも1つの特性の異なる2種
類以上の乳剤を、同一層中に混合して使用することがで
きる。
【0162】US 4,082,553に記載の粒子表面をかぶらせ
たハロゲン化銀粒子、US 4,626,498、特開昭 59-214852
に記載の粒子内部をかぶらせたハロゲン化銀粒子、コロ
イド銀を感光性ハロゲン化銀乳剤層および/または実質
的に非感光性の親水性コロイド層に適用することが好ま
しい。粒子内部または表面をかぶらせたハロゲン化銀粒
子とは、感光材料の未露光部および露光部を問わず、一
様に(非像様に)現像が可能となるハロゲン化銀粒子の
ことをいい、その調製法は、US 4,626,498、特開昭 59-
214852に記載されている。粒子内部がかぶらされたコア
/シェル型ハロゲン化銀粒子の内部核を形成するハロゲ
ン化銀は、ハロゲン組成が異なっていてもよい。粒子内
部または表面をかぶらせたハロゲン化銀としては、塩化
銀、塩臭化銀、沃臭化銀、塩沃臭化銀のいずれをも用い
ることができる。これらのかぶらされたハロゲン化銀粒
子の平均粒子サイズとしては0.01〜0.75μm、特に0.05
〜0.6μmが好ましい。また、粒子形状は規則的な粒子で
もよく、多分散乳剤でもよいが、単分散性(ハロゲン化
銀粒子の重量または粒子数の少なくとも95%が平均粒子
径の±40%以内の粒子径を有するもの)であることが好
ましい。
【0163】本発明には、非感光性微粒子ハロゲン化銀
を使用することが好ましい。非感光性微粒子ハロゲン化
銀とは、色素画像を得るための像様露光時においては感
光せずに、その現像処理において実質的に現像されない
ハロゲン化銀微粒子であり、あらかじめカブラされてい
ないほうが好ましい。微粒子ハロゲン化銀は、臭化銀の
含有率が0〜100モル%であり、必要に応じて塩化銀およ
び/または沃化銀を含有してもよい。好ましくは沃化銀
を 0.5〜10モル%含有するものである。微粒子ハロゲン
化銀は、平均粒径(投影面積の等価円相当直径の平均
値)が0.01〜0.5μmが好ましく、0.02〜0.2μmがより好
ましい。
【0164】微粒子ハロゲン化銀は、通常の感光性ハロ
ゲン化銀と同様の方法で調製できる。ハロゲン化銀粒子
の表面は、光学的に増感される必要はなく、また分光増
感も不要である。ただし、これを塗布液に添加するのに
先立ち、あらかじめトリアゾール系、アザインデン系、
ベンゾチアゾリウム系、もしくはメルカプト系化合物ま
たは亜鉛化合物などの公知の安定剤を添加しておくこと
が好ましい。この微粒子ハロゲン化銀粒子含有層に、コ
ロイド銀を含有させることができる。
【0165】本発明の感光材料の塗布銀量は、6.0g/ m2
以下が好ましく、4.5g/m2以下が最も好ましい。
【0166】本発明に使用できる写真用添加剤もRDに
記載されており、下記の表に関連する記載箇所を示し
た。
【0167】 添加剤の種類 RD17643 RD18716 RD307105 1.化学増感剤 23頁 648 頁右欄 866頁 2.感度上昇剤 648 頁右欄 3.分光増感剤、 23〜24頁 648 頁右欄 866 〜868 頁 強色増感剤 〜649 頁右欄 4.増 白 剤 24頁 647 頁右欄 868頁 5.光吸収剤、 25 〜26頁 649 頁右欄 873頁 フィルター 〜650 頁左欄 染料、紫外 線吸収剤 6.バインダー 26頁 651 頁左欄 873 〜874 頁 7.可塑剤、 27頁 650 頁右欄 876頁 潤滑剤 8.塗布助剤、 26 〜27頁 650 頁右欄 875 〜876 頁 表面活性剤 9.スタチツク 27頁 650 頁右欄 876 〜877 頁 防止剤 10.マツト剤 878 〜879 頁。
【0168】本発明の感光材料には種々の色素形成カプ
ラーを使用することができるが、以下のカプラーが特に
好ましい。
【0169】イエローカプラー: EP 502,424A の式(I),
(II)で表わされるカプラー; EP 513,496A の式(1),(2)
で表わされるカプラー (特に18頁のY-28); EP 568,037A
のクレーム1の式(I) で表わされるカプラー; US 5,06
6,576のカラム1の45〜55行の一般式(I) で表わされる
カプラー; 特開平4-274425の段落0008の一般式(I) で表
わされるカプラー; EP 498,381A1の40頁のクレーム1に
記載のカプラー(特に18頁のD-35); EP 447,969A1 の4
頁の式(Y) で表わされるカプラー(特にY-1(17頁),Y-54
(41 頁)); US 4,476,219のカラム7の36〜58行の式(II)
〜(IV)で表わされるカプラー(特にII-17,19( カラム1
7),II-24(カラム19))。
【0170】マゼンタカプラー; 特開平3-39737(L-57(1
1 頁右下),L-68(12 頁右下),L-77(13 頁右下); EP 456,
257 の A-4 -63(134頁), A-4 -73,-75(139頁); EP 486,
965のM-4,-6(26 頁),M-7(27頁); EP 571,959AのM-45(19
頁);特開平5-204106の(M-1)(6 頁);特開平4-362631の
段落0237のM-22。
【0171】シアンカプラー: 特開平4-204843のCX-1,
3,4,5,11,12,14,15(14 〜16頁); 特開平4-43345 のC-
7,10(35 頁),34,35(37頁),(I-1),(I-17)(42 〜43頁);
特開平6-67385 の請求項1の一般式(Ia)または(Ib)で表
わされるカプラー。
【0172】ポリマーカプラー: 特開平2-44345 のP-1,
P-5(11頁)。
【0173】発色色素が適度な拡散性を有するカプラー
としては、US 4,366,237、GB 2,125,570、EP 96,873B、
DE 3,234,533に記載のものが好ましい。
【0174】発色色素の不要吸収を補正するためのカプ
ラーは、EP 456,257A1の5 頁に記載の式(CI),(CII),(CI
II),(CIV) で表わされるイエローカラードシアンカプラ
ー(特に84頁のYC-86)、該EPに記載のイエローカラード
マゼンタカプラーExM-7(202頁) 、 EX-1(249 頁) 、 EX
-7(251 頁) 、US 4,833,069に記載のマゼンタカラード
シアンカプラーCC-9 (カラム8)、CC-13(カラム10) 、US
4,837,136の(2)(カラム8)、WO92/11575のクレーム1の
式(A) で表わされる無色のマスキングカプラー(特に36
〜45頁の例示化合物)が好ましい。
【0175】写真性有用基を放出するカプラーとして
は、以下のものが挙げられる。現像抑制剤放出化合物:
EP 378,236A1の11頁に記載の式(I),(II),(III),(IV) で
表わされる化合物(特にT-101(30頁),T-104(31頁),T-11
3(36頁),T-131(45頁),T-144(51頁),T-158(58頁)), EP 4
36,938A2の 7頁に記載の式(I) で表わされる化合物(特
にD-49(51 頁))、EP 568,037A の式(1) で表わされる化
合物(特に(23)(11 頁))、EP 440,195A2の5 〜6 頁に記
載の式(I),(II),(III)で表わされる化合物(特に29頁の
I-(1) );漂白促進剤放出化合物:EP 310,125A2の5 頁
の式(I),(I')で表わされる化合物(特に61頁の(60),(6
1)) 及び特開平6-59411 の請求項1の式(I) で表わされ
る化合物(特に(7)(7 頁); リガンド放出化合物:US
4,555,478のクレーム1に記載のLIG-X で表わされる化
合物(特にカラム12の21〜41行目の化合物) ;ロイコ色
素放出化合物:US 4,749,641のカラム3〜8の化合物1
〜6;蛍光色素放出化合物:US 4,774,181のクレーム1の
COUP-DYEで表わされる化合物(特にカラム7〜10の化合
物1〜11);現像促進剤又はカブラセ剤放出化合物:US
4,656,123のカラム3の式(1) 、(2) 、(3) で表わされ
る化合物(特にカラム25の(I-22)) 及びEP 450,637A2の
75頁36〜38行目のExZK-2; 離脱して初めて色素となる基
を放出する化合物: US 4,857,447のクレーム1の式(I)
で表わされる化合物(特にカラム25〜36のY-1 〜Y-19)
【0176】カプラー以外の添加剤としては、以下のも
のが好ましい。
【0177】油溶性有機化合物の分散媒: 特開昭62-215
272 のP-3,5,16,19,25,30,42,49,54,55,66,81,85,86,93
(140〜144 頁); 油溶性有機化合物の含浸用ラテック
ス: US4,199,363に記載のラテックス; 現像主薬酸化体
スカベンジャー: US 4,978,606のカラム2の54〜62行の
式(I) で表わされる化合物(特にI-,(1),(2),(6),(12)
(カラム4〜5)、US 4,923,787のカラム2の5〜10行
の式(特に化合物1(カラム3); ステイン防止剤: EP
298321Aの4頁30〜33行の式(I) 〜(III),特にI-47,72,
III-1,27(24 〜48頁); 褪色防止剤: EP 298321AのA-6,
7,20,21,23,24,25,26,30,37,40,42,48,63,90,92,94,164
(69 〜118 頁), US5,122,444のカラム25〜38のII-1〜II
I-23, 特にIII-10, EP 471347Aの8 〜12頁のI-1 〜III-
4,特にII-2, US 5,139,931のカラム32〜40のA-1 〜48,
特にA-39,42; 発色増強剤または混色防止剤の使用量を
低減させる素材: EP 411324Aの5 〜24頁のI-1 〜II-15,
特にI-46; ホルマリンスカベンジャー: EP 477932Aの24
〜29頁のSCV-1 〜28, 特にSCV-8; 硬膜剤: 特開平1-21
4845の17頁のH-1,4,6,8,14, US 4,618,573のカラム13〜
23の式(VII) 〜(XII) で表わされる化合物(H-1〜54),特
開平2-214852の8頁右下の式(6) で表わされる化合物(H
-1〜76),特にH-14, US 3,325,287のクレーム1に記載の
化合物; 現像抑制剤プレカーサー: 特開昭62-168139 の
P-24,37,39(6〜7 頁); US 5,019,492 のクレーム1に記
載の化合物,特にカラム7の28,29; 防腐剤、防黴剤:
US 4,923,790のカラム3 〜15のI-1 〜III-43, 特にII-
1,9,10,18,III-25; 安定剤、かぶり防止剤: US 4,923,
793のカラム6 〜16のI-1 〜(14),特にI-1,60,(2),(13),
US 4,952,483 のカラム25〜32の化合物1〜65, 特に3
6:化学増感剤: トリフェニルホスフィン セレニド, 特
開平5-40324 の化合物50;染料: 特開平3-156450の15〜1
8頁のa-1 〜b-20, 特にa-1,12,18,27,35,36,b-5,27 〜2
9頁のV-1 〜23, 特にV-1, EP 445627A の33〜55頁のF-I
-1 〜F-II-43,特にF-I-11,F-II-8, EP 457153A の17〜2
8頁のIII-1 〜36, 特にIII-1,3, WO 88/04794の8〜26
のDye-1 〜124 の微結晶分散体, EP 319999Aの6〜11頁
の化合物1〜22, 特に化合物1, EP 519306A の式(1) な
いし(3) で表わされる化合物D-1 〜87(3〜28頁),US 4,2
68,622の式(I) で表わされる化合物1〜22 (カラム3〜
10), US 4,923,788 の式(I) で表わされる化合物(1) 〜
(31) (カラム2〜9); UV吸収剤: 特開昭46-3335 の式
(1) で表わされる化合物(18b) 〜(18r),101 〜427(6〜
9頁),EP 520938Aの式(I) で表わされる化合物(3) 〜(6
6)(10 〜44頁) 及び式(III) で表わされる化合物HBT-1
〜10(14 頁), EP 521823A の式(1) で表わされる化合物
(1) 〜(31) (カラム2〜9)。
【0178】本発明は、一般用もしくは映画用のカラー
ネガフィルム、スライド用もしくはテレビ用のカラー反
転フィルム、カラーペーパー、カラーポジフィルムおよ
びカラー反転ペーパーのような種々のカラー感光材料に
適用することができる。また、特公平2-32615 、実公平
3-39784 に記載されているレンズ付きフイルムユニット
用に好適である。
【0179】本発明に使用できる適当な支持体は、例え
ば、前述のRD.No.17643 の28頁、同No.18716の647頁
右欄から648頁左欄、および同No.307105の879頁に記載
されている。
【0180】本発明の感光材料は、乳剤層を有する側の
全親水性コロイド層の膜厚の総和が28μm以下であるこ
とが好ましく、23μm以下がより好ましく、18μm以下が
更に好ましく、16μm以下が特に好ましい。また膜膨潤
速度T1/2は30秒以下が好ましく、20秒以下がより好ま
しい。T1/2は、発色現像液で30℃、3分15秒処理した時
に到達する最大膨潤膜厚の90%を飽和膜厚としたとき、
膜厚がその1/2に到達するまでの時間と定義する。膜厚
は、25℃相対湿度55%調湿下(2日)で測定した膜厚
を意味し、T1/2は、エー・グリーン(A.Green)らのフ
ォトグラフィック・サイエンス・アンド・エンジニアリ
ング (Photogr.Sci.Eng.),19卷、2,124〜129頁に記載
の型のスエロメーター(膨潤計)を使用することにより
測定できる。T1/2は、バインダーとしてのゼラチンに
硬膜剤を加えること、あるいは塗布後の経時条件を変え
ることによって調整することができる。また、膨潤率は
150〜400%が好ましい。膨潤率とは、さきに述べた条件
下での最大膨潤膜厚から、式:(最大膨潤膜厚−膜厚)
/膜厚 により計算できる。
【0181】本発明の感光材料は、乳剤層を有する側の
反対側に、乾燥膜厚の総和が2μm〜20μmの親水性コロ
イド層(バック層と称す)を設けることが好ましい。こ
のバック層には、前述の光吸収剤、フィルター染料、紫
外線吸収剤、スタチック防止剤、硬膜剤、バインダー、
可塑剤、潤滑剤、塗布助剤、表面活性剤を含有させるこ
とが好ましい。このバック層の膨潤率は150〜500%が好
ましい。
【0182】本発明の感光材料は、前述のRD.No.1764
3の28〜29頁、同No.18716の 651左欄〜右欄、および同N
o.307105の880〜881頁に記載された通常の方法によって
現像処理することができる。
【0183】次に、本発明に使用されるカラーネガフイ
ルム用の処理液について説明する。本発明に使用される
発色現像液には、特開平4-121739の第9頁右上欄1行〜
第11頁左下欄4行に記載の化合物を使用することができ
る。特に迅速な処理を行う場合の発色現像主薬として
は、2−メチル−4−〔N−エチル−N−(2−ヒドロ
キシエチル)アミノ〕アニリン、2−メチル−4−〔N
−エチル−N−(3−ヒドロキシプロピル)アミノ〕ア
ニリン、2−メチル−4−〔N−エチル−N−(4−ヒ
ドロキシブチル)アミノ〕アニリンが好ましい。
【0184】これらの発色現像主薬は発色現像液1リッ
トル(以下、「L」とも表記する。)あたり0.01〜0.08
モルの範囲で使用することが好ましく、特には 0.015〜
0.06モル、更には0.02〜0.05モルの範囲で使用すること
が好ましい。また発色現像液の補充液には、この濃度の
1.1〜3倍の発色現像主薬を含有させておくことが好ま
しく、特に 1.3〜 2.5倍を含有させておくことが好まし
い。
【0185】発色現像液の保恒剤としては、ヒドロキシ
ルアミンが広範に使用できるが、より高い保恒性が必要
な場合は、アルキル基やヒドロキシアルキル基、スルホ
アルキル基、カルボキシアルキル基などの置換基を有す
るヒドロキシルアミン誘導体が好ましく、具体的には
N,N−ジ(スルホエチル)ヒドロキルアミン、モノメ
チルヒドロキシルアミン、ジメチルヒドロキシルアミ
ン、モノエチルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキ
ルアミン、N,N−ジ(カルボキシエチル)ヒドロキル
アミンが好ましい。上記の中でも、特にN,N−ジ(ス
ルホエチル)ヒドロキルアミンが好ましい。これらはヒ
ドロキシルアミンと併用してもよいが、好ましくはヒド
ロキシルアミンの代わりに、1種または2種以上使用す
ることが好ましい。
【0186】保恒剤は1Lあたり0.02〜0.2モルの範囲で
使用することが好ましく、特に0.03〜0.15モル、更には
0.04〜0.1モルの範囲で使用することが好ましい。また
補充液においては、発色現像主薬の場合と同様に、母液
(処理タンク液)の1.1〜3倍の濃度で保恒剤を含有さ
せておくことが好ましい。
【0187】発色現像液には、発色現像主薬の酸化物の
タール化防止剤として亜硫酸塩が使用される。亜硫酸塩
は1Lあたり0.01〜0.05モルの範囲で使用するのが好ま
しく、特には0.02〜0.04モルの範囲が好ましい。補充液
においては、これらの1.1〜3倍の濃度で使用すること
が好ましい。
【0188】また、発色現像液のpHは9.8〜11.0の範囲
が好ましいが、特には10.0〜10.5が好ましく、また補充
液においては、これらの値から0.1〜1.0の範囲で高い値
に設定しておくことが好ましい。このようなpHを安定し
て維持するには、炭酸塩、リン酸塩、スルホサリチル酸
塩、ホウ酸塩などの公知の緩衝剤が使用される。
【0189】発色現像液の補充量は、感光材料1m2あた
り80〜1300mLが好ましいが、環境汚濁負荷の低減の観点
から、より少ない方が好ましく、具体的には80〜600m
L、更には80〜400mLが好ましい。
【0190】発色現像液中の臭化物イオン濃度は、通
常、1Lあたり0.01〜0.06モルであるが、感度を保持し
つつカブリを抑制してディスクリミネーションを向上さ
せ、かつ、粒状性を良化させる目的からは、1Lあたり
0.015〜0.03モルに設定することが好ましい。臭化物イ
オン濃度をこのような範囲に設定する場合に、補充液に
は下記の式で算出した臭化物イオンを含有させればよ
い。ただし、Cが負になる時は、補充液には臭化物イオ
ンを含有させないことが好ましい。
【0191】C=A−W/V C:発色現像補充液中の臭化物イオン濃度(モル/L) A:目標とする発色現像液中の臭化物イオン濃度(モル
/L) W:1m2の感光材料を発色現像した場合に、感光材料か
ら発色現像液に溶出する臭化物イオンの量(モル) V:1m2の感光材料に対する発色現像補充液の補充量
(L)。
【0192】また、補充量を低減した場合や、高い臭化
物イオン濃度に設定した場合、感度を高める方法とし
て、1−フェニル−3−ピラゾリドンや1−フェニル−
2−メチル−2−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン
に代表されるピラゾリドン類や3,6−ジチア−1,8
−オクタンジオールに代表されるチオエーテル化合物な
どの現像促進剤を使用することも好ましい。
【0193】本発明における漂白能を有する処理液に
は、特開平4-125558の第4頁左下欄16行〜第7頁左下欄
6行に記載された化合物や処理条件を適用することがで
きる。漂白剤は酸化還元電位が150mV以上のものが好ま
しいが、その具体例としては特開平5-72694、同5-17331
2に記載のものが好ましく、特に1,3−ジアミノプロ
パン四酢酸、特開平5-173312号第7頁の具体例1の化合
物の第二鉄錯塩が好ましい。
【0194】また、漂白剤の生分解性を向上させるに
は、特開平4-251845、同4-268552、EP588,289、同 591,
934、特開平6-208213に記載の化合物第二鉄錯塩を漂白
剤として使用することが好ましい。これらの漂白剤の濃
度は、漂白能を有する液1Lあたり0.05〜 0.3モルが好
ましく、特に環境への排出量を低減する目的から、 0.1
モル〜0.15モルで設計することが好ましい。また、漂白
能を有する液が漂白液の場合は、1Lあたり0.2モル〜1
モルの臭化物を含有させることが好ましく、特に0.3〜
0.8モルを含有させることが好ましい。
【0195】漂白能を有する液の補充液には、基本的に
以下の式で算出される各成分の濃度を含有させる。これ
により、母液中の濃度を一定に維持することができる。
【0196】 CR=CT×(V1+V2)/V1+CP CR :補充液中の成分の濃度 CT :母液(処理タンク液)中の成分の濃度 CP :処理中に消費された成分の濃度 V1 :1m2の感光材料に対する漂白能を有する補充液
の補充量(mL) V2 :1m2の感光材料による前浴からの持ち込み量
(mL)。
【0197】その他、漂白液にはpH緩衝剤を含有させる
ことが好ましく、特にコハク酸、マレイン酸、マロン
酸、グルタル酸、アジピン酸など、臭気の少ないジカル
ボン酸を含有させることが好ましい。また、特開昭53-9
5630、RDNo.17129、US 3,893,858に記載の公知の漂白
促進剤を使用することも好ましい。
【0198】漂白液には、感光材料1m2あたり50〜1000
mLの漂白補充液を補充することが好ましく、特には80〜
500mL、さらには100〜300mLの補充をすることが好まし
い。さらに漂白液にはエアレーションを行なうことが好
ましい。
【0199】定着能を有する処理液については、特開平
4-125558の第7頁左下欄10行〜第8頁右下欄19行に記載
の化合物や処理条件を適用することができる。
【0200】特に、定着速度と保恒性を向上させるため
に、特開平6-301169の一般式(I)と(II)で表される
化合物を、単独あるいは併用して定着能を有する処理液
に含有させることが好ましい。またp−トルエンスルフ
ィン酸塩をはじめ、特開平1-224762に記載のスルフィン
酸を使用することも、保恒性の向上の上で好ましい。漂
白能を有する液や定着能を有する液には、脱銀性の向上
の観点からカチオンとしてアンモニウムを用いることが
好ましいが、環境汚染低減の目的からは、アンモニウム
を減少或いはゼロにする方が好ましい。
【0201】漂白、漂白定着、定着工程においては、特
開平1-309059に記載のジェット撹拌を行なうことが特に
好ましい。
【0202】漂白定着また定着工程における補充液の補
充量は、感光材料1m2あたり100〜1000mLであり、好ま
しくは150〜700mL、特に好ましくは200〜600mLである。
【0203】漂白定着や定着工程には、各種の銀回収装
置をインラインやオフラインで設置して銀を回収するこ
とが好ましい。インラインで設置することにより、液中
の銀濃度を低減して処理できる結果、補充量を減少させ
ることができる。また、オフラインで銀回収して残液を
補充液として再利用することも好ましい。
【0204】漂白定着工程や定着工程は複数の処理タン
クで構成することができ、各タンクはカスケード配管し
て多段向流方式にすることが好ましい。現像機の大きさ
とのバランスから、一般には2タンクカスケード構成が
効率的であり、前段のタンクと後段のタンクにおける処
理時間の比は、0.5:1〜1:0.5の範囲にすることが好
ましく、特には0.8:1〜1:0.8の範囲が好ましい。
【0205】漂白定着液や定着液には、保恒性の向上の
観点から金属錯体になっていない遊離のキレート剤を存
在させることが好ましいが、これらのキレート剤として
は、漂白液に関して記載した生分解性キレート剤を使用
することが好ましい。
【0206】水洗および安定化工程に関しては、上記の
特開平4-125558、第12頁右下欄6行〜第13頁右下欄第16
行に記載の内容を好ましく適用することができる。特
に、安定液にはホルムアルデヒドに代わってEP 504,60
9、同 519,190に記載のアゾリルメチルアミン類や特開
平4-362943に記載のN−メチロールアゾール類を使用す
ることや、マゼンタカプラーを二当量化してホルムアル
デヒドなどの画像安定化剤を含まない界面活性剤の液に
することが、作業環境の保全の観点から好ましい。ま
た、感光材料に塗布された磁気記録層へのゴミの付着を
軽減するには、特開平6-289559に記載の安定液が好まし
く使用できる。
【0207】水洗および安定液の補充量は、感光材料1
m2あたり80〜1000mLが好ましく、特には100〜500mL、さ
らには150〜300mLが、水洗または安定化機能の確保と環
境保全のための廃液減少の両面から好ましい範囲であ
る。このような補充量で行なう処理においては、バクテ
リアや黴の繁殖防止のために、チアベンダゾール、1,
2−ベンゾイソチアゾリン−3オン、5−クロロ−2−
メチルイソチアゾリン−3−オンのような公知の防黴剤
やゲンタマイシンのような抗生物質、イオン交換樹脂等
によって脱イオン処理した水を用いることが好ましい。
脱イオン水と防菌剤や抗生物質は、併用することがより
効果的である。
【0208】また、水洗または安定液タンク内の液は、
特開平3-46652、同3-53246、同-355542、同3-121448、
同3-126030に記載の逆浸透膜処理を行なって補充量を減
少 させることも好ましく、この場合の逆浸透膜は、低
圧逆浸透膜であることが好ましい。
【0209】本発明における処理においては、発明協会
公開技報、公技番号94-4992に開示された処理液の蒸発
補正を実施することが特に好ましい。特に第2頁の(式
−1)に基づいて、現像機設置環境の温度及び湿度情報
を用いて補正する方法が好ましい。蒸発補正に使用する
水は、水洗の補充タンクから採取することが好ましく、
その場合は水洗補充水として脱イオン水を用いることが
好ましい。
【0210】本発明に用いられる処理剤としては、上記
公開技報の第3頁右欄15行から第4頁左欄32行に記載の
ものが好ましい。また、これに用いる現像機としては、
第3頁右欄の第22行から28行に記載のフイルムプロセサ
ーが好ましい。
【0211】本発明を実施するに好ましい処理剤、自動
現像機、蒸発補正方式の具体例については、上記の公開
技報の第5頁右欄11行から第7頁右欄最終行までに記載
されている。
【0212】本発明に使用される処理剤の供給形態は、
使用液状態の濃度または濃縮された形の液剤、あるいは
顆粒、粉末、錠剤、ペースト状、乳液など、いかなる形
態でもよい。このような処理剤の例として、特開昭63-1
7453には低酸素透過性の容器に収納した液剤、特開平4-
19655、同4-230748には真空包装した粉末あるいは顆
粒、同4-221951には水溶性ポリマーを含有させた顆粒、
特開昭51-61837、特開平6-102628には錠剤、特表昭57-5
00485にはペースト状の処理剤が開示されており、いず
れも好ましく使用できるが、使用時の簡便性の面から、
予め使用状態の濃度で調製してある液体を使用すること
が好ましい。
【0213】これらの処理剤を収納する容器には、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニール、ポリエ
チレンテレフタレート、ナイロンなどが、単独あるいは
複合材料として使用される。これらは要求される酸素透
過性のレベルに合わせて選択される。発色現像液などの
酸化されやすい液に対しては、低酸素透過性の素材が好
ましく、具体的にはポリエチレンテレフタレートやポリ
エチレンとナイロンの複合材料が好ましい。これらの材
料は 500〜1500μmの厚さで、容器に使用され、酸素透
過性を20mL/m2・24hrs・atm以下にすることが好まし
い。
【0214】次に本発明に使用されるカラー反転フイル
ム用の処理液について説明する。
【0215】カラー反転フイルム用の処理については、
アズテック有限会社発行の公知技術第6号(1991年4月
1日)第1頁5行〜第10頁5行、及び第15頁8行〜第24
頁2行に詳細に記載されており、その内容はいずれも好
ましく適用することができる。
【0216】カラー反転フイルムの処理においては、画
像安定化剤は調整浴か最終浴に含有される。このような
画像安定化剤としては、ホルマリンのほかにホルムアル
デヒド重亜硫酸ナトリウム、N−メチロールアゾール類
があげられるが、作業環境の観点からホルムアルデヒド
重亜硫酸ナトリウムかN−メチロールアゾール類が好ま
しく、N−メチロールアゾール類としては、特にN−メ
チロールトリアゾールが好ましい。また、カラーネガフ
イルムの処理において記載した発色現像液、漂白液、定
着液、水洗水などに関する内容は、カラー反転フイルム
の処理にも好ましく適用できる。
【0217】上記の内容を含む好ましいカラー反転フイ
ルムの処理剤として、イーストマンコダック社のE−6
処理剤及び富士写真フイルム(株)のCR−56処理剤
をあげることができる。
【0218】次に、本発明に好ましく用いられる磁気記
録層について説明する。
【0219】磁気記録層とは、磁性体粒子をバインダー
中に分散した水性もしくは有機溶媒系塗布液を支持体上
に塗設したものである。
【0220】本発明で用いられる磁性体粒子は、γFe2O
3などの強磁性酸化鉄、Co被着γFe2O3、Co被着マグネタ
イト、Co含有マグネタイト、強磁性二酸化クロム、強磁
性金属、強磁性合金、六方晶系のBaフェライト、Srフェ
ライト、Pbフェライト、Caフェライトなどを使用でき
る。Co被着γFe2O3などのCo被着強磁性酸化鉄が好まし
い。形状としては針状、米粒状、球状、立方体状、板状
等いずれでもよい。比表面積ではSBETで20m2/g以上が
好ましく、30m2/g以上が特に好ましい。強磁性体の飽和
磁化(σs)は、好ましくは3.0×104〜3.0×105A/mであ
り、特に好ましくは4.0×104〜2.5×105mA/mである。強
磁性体粒子を、シリカおよび/またはアルミナや有機素
材による表面処理を施してもよい。さらに、磁性体粒子
は特開平6-161032に記載された如くその表面にシランカ
ップリング剤又はチタンカップリング剤で処理されても
よい。又特開平4-259911、同5-81652号に記載の表面に
無機、有機物を被覆した磁性体粒子も使用できる。
【0221】磁性体粒子に用いられるバインダーは、特
開平4-219569に記載の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、放
射線硬化性樹脂、反応型樹脂、酸、アルカリ又は生分解
性ポリマー、天然物重合体(セルロース誘導体,糖誘導
体など)およびそれらの混合物を使用することができ
る。上記の樹脂のTgは-40℃〜300℃、重量平均分子量は
0.2万〜100万である。例えばビニル系共重合体、セルロ
ースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロ
ースアセテートプロピオネート、セルロースアセテート
ブチレート、セルローストリプロピオネートなどのセル
ロース誘導体、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹
脂を挙げることができ、ゼラチンも好ましい。特にセル
ロースジ(トリ)アセテートが好ましい。バインダー
は、エポキシ系、アジリジン系、イソシアネート系の架
橋剤を添加して硬化処理することができる。イソシアネ
ート系の架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、
4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサ
メチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネー
ト、などのイソシアネート類、これらのイソシアネート
類とポリアルコールとの反応生成物(例えば、トリレン
ジイソシアナート3molとトリメチロールプロパン1molの
反応生成物)、及びこれらのイソシアネート類の縮合に
より生成したポリイソシアネートなどがあげられ、例え
ば特開平6-59357に記載されている。
【0222】前述の磁性体を上記バインダ−中に分散す
る方法は、特開平6-35092 に記載されている方法のよう
に、ニーダー、ピン型ミル、アニュラー型ミルなどが好
ましく併用も好ましい。特開平5-088283に記載の分散剤
や、その他の公知の分散剤が使用できる。磁気記録層の
厚みは0.1μm〜10μm、好ましくは0.2μm〜 5μm、
より好ましくは0.3μm〜3μmである。磁性体粒子とバ
インダーの重量比は好ましくは0.5:100〜60:100からな
り、より好ましくは1:100〜30:100である。磁性体粒子
の塗布量は0.005〜3g/m2、好ましくは0.01〜2g/m2、さ
らに好ましくは0.02〜0.5g/m2である。磁気記録層の透
過イエロー濃度は、0.01〜0.50が好ましく、0.03〜0.20
がより好ましく、0.04〜0.15が特に好ましい。磁気記録
層は、写真用支持体の裏面に塗布又は印刷によって全面
またはストライプ状に設けることができる。磁気記録層
を塗布する方法としてはエアードクター、ブレード、エ
アナイフ、スクイズ、含浸、リバースロール、トランス
ファーロール、グラビヤ、キス、キャスト、スプレイ、
ディップ、バー、エクストリュージョン等が利用でき、
特開平5-341436等に記載の塗布液が好ましい。
【0223】磁気記録層に、潤滑性向上、カール調節、
帯電防止、接着防止、ヘッド研磨などの機能を合せ持た
せてもよいし、別の機能性層を設けて、これらの機能を
付与させてもよく、粒子の少なくとも1種以上がモース
硬度が5以上の非球形無機粒子の研磨剤が好ましい。非
球形無機粒子の組成としては、酸化アルミニウム、酸化
クロム、二酸化珪素、二酸化チタン、シリコンカーバイ
ト等の酸化物、炭化珪素、炭化チタン等の炭化物、ダイ
アモンド等の微粉末が好ましい。これらの研磨剤は、そ
の表面をシランカップリング剤又はチタンカップリング
剤で処理されてもよい。これらの粒子は磁気記録層に添
加してもよく、また磁気記録層上にオーバーコート(例
えば保護層,潤滑剤層など)しても良い。この時使用す
るバインダーは前述のものが使用でき、好ましくは磁気
記録層のバインダーと同じものがよい。磁気記録層を有
する感材については、US 5,336,589、同 5,250,404、同
5,229,259、同 5,215,874、EP 466,130に記載されてい
る。
【0224】次に本発明に用いられるポリエステル支持
体について記すが、後述する感材、処理、カートリッジ
及び実施例なども含め詳細については、公開技報、公技
番号94-6023(発明協会;1994.3.15.)に記載されている。
本発明に用いられるポリエステルはジオールと芳香族ジ
カルボン酸を必須成分として形成され、芳香族ジカルボ
ン酸として2,6−、1,5−、1,4−、及び2,7
−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル
酸、フタル酸、ジオールとしてジエチレングリコール、
トリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノー
ル、ビスフェノールA、ビスフェノールが挙げられる。
この重合ポリマーとしては、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジ
メタノールテレフタレート等のホモポリマーを挙げるこ
とができる。特に好ましいのは2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸を50モル%〜100モル%含むポリエステルであ
る。中でも特に好ましいのはポリエチレン 2,6−ナ
フタレートである。平均分子量の範囲は約5,000ないし2
00,000である。本発明のポリエステルのTgは50℃以上で
あり、さらに90℃以上が好ましい。
【0225】次にポリエステル支持体は、巻き癖をつき
にくくするために熱処理温度は40℃以上Tg未満、より好
ましくはTg−20℃以上Tg未満で熱処理を行う。熱処理は
この温度範囲内の一定温度で実施してもよく、冷却しな
がら熱処理してもよい。この熱処理時間は、0.1時間以
上1500時間以下、さらに好ましくは0.5時間以上200時間
以下である。支持体の熱処理は、ロール状で実施しても
よく、またウェブ状で搬送しながら実施してもよい。表
面に凹凸を付与し(例えばSnO2やSb2O5等の導電性無機
微粒子を塗布する)、面状改良を図ってもよい。又端部
にローレットを付与し端部のみ少し高くすることで巻芯
部の切り口写りを防止するなどの工夫を行うことが望ま
しい。これらの熱処理は支持体製膜後、表面処理後、バ
ック層塗布後(帯電防止剤、滑り剤等)、下塗り塗布後
のどこの段階で実施してもよい。好ましいのは帯電防止
剤塗布後である。
【0226】このポリエステルには紫外線吸収剤を練り
込んでも良い。又ライトパイピング防止のため、三菱化
成製のDiaresin、日本化薬製のKayaset 等ポリエステル
用として市販されている染料または顔料を練り込むこと
により目的を達成することが可能である。
【0227】次に、本発明では支持体と感材構成層を接
着させるために、表面処理することが好ましい。薬品処
理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線処
理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、
レーザー処理、混酸処理、オゾン酸化処理、などの表面
活性化処理が挙げられる。表面処理の中でも好ましいの
は、紫外線照射処理、火焔処理、コロナ処理、グロー処
理である。
【0228】次に下塗法について述べると、単層でもよ
く2層以上でもよい。下塗層用バインダーとしては、塩
化ビニル、塩化ビニリデン、ブタジエン、メタクリル
酸、アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸などの中
から選ばれた単量体を出発原料とする共重合体を始めと
して、ポリエチレンイミン、エポキシ樹脂、グラフト化
ゼラチン、ニトロセルロース、ゼラチンが挙げられる。
支持体を膨潤させる化合物としてレゾルシンとp−クロ
ルフェノールがある。下塗層にはゼラチン硬化剤として
はクロム塩(クロム明ばんなど)、アルデヒド類(ホル
ムアルデヒド、グルタールアルデヒドなど)、イソシア
ネート類、活性ハロゲン化合物(2,4−ジクロロ−6
−ヒドロキシ−S−トリアジンなど)、エピクロルヒド
リン樹脂、活性ビニルスルホン化合物などを挙げること
ができる。SiO2、TiO2、無機物微粒子又はポリメチルメ
タクリレート共重合体微粒子(0.01〜10μm)をマット
剤として含有させてもよい。
【0229】また本発明においては、帯電防止剤が好ま
しく用いられる。それらの帯電防止剤としては、カルボ
ン酸及びカルボン酸塩、スルホン酸塩を含む高分子、カ
チオン性高分子、イオン性界面活性剤化合物を挙げるこ
とができる。
【0230】帯電防止剤として最も好ましいものは、Zn
O、TiO2、SnO2、Al2O3、In2O3、SiO 2、MgO、BaO、Mo
O3、V2O5の中から選ばれた少くとも1種の体積抵抗率が
107Ω・cm以下、より好ましくは105Ω・cm以下である粒
子サイズ0.001〜1.0μm結晶性の金属酸化物あるいはこ
れらの複合酸化物(Sb,P,B,In,S,Si,C など)の微粒子、
更にはゾル状の金属酸化物あるいはこれらの複合酸化物
の微粒子である。感材への含有量としては、5〜500mg/m
2が好ましく特に好ましくは10〜350mg/m2である。導電
性の結晶性酸化物又はその複合酸化物とバインダーの量
の比は1/300〜100/1が好ましく、より好ましくは1/100
〜100/5である。
【0231】本発明の感材には滑り性がある事が好まし
い。滑り剤含有層は感光層面、バック面ともに用いるこ
とが好ましい。好ましい滑り性としては動摩擦係数で0.
25以下0.01以上である。この時の測定は直径5mmのステ
ンレス球に対し、60cm/分で搬送した時の値を表す(25
℃、60%RH)。この評価において相手材として感光層面
に置き換えてもほぼ同レベルの値となる。
【0232】本発明に使用可能な滑り剤としては、ポリ
オルガノシロキサン、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸金
属塩、高級脂肪酸と高級アルコールのエステル等であ
り、ポリオルガノシロキサンとしては、ポリジメチルシ
ロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリスチリルメチ
ルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン等を用い
ることができる。添加層としては乳剤層の最外層やバッ
ク層が好ましい。特にポリジメチルシロキサンや長鎖ア
ルキル基を有するエステルが好ましい。
【0233】本発明の感材にはマット剤が有る事が好ま
しい。マット剤としては乳剤面、バック面とどちらでも
よいが、乳剤側の最外層に添加するのが特に好ましい。
マット剤は処理液可溶性でも処理液不溶性でもよく、好
ましくは両者を併用することである。例えばポリメチル
メタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート/メタク
リル酸=9/1又は5/5(モル比))、ポリスチレン粒子など
が好ましい。粒径としては0.8〜10μmが好ましく、そ
の粒径分布も狭いほうが好ましく、平均粒径の0.9〜1.1
倍の間に全粒子数の90%以上が含有されることが好まし
い。又マット性を高めるために0.8μm以下の微粒子を
同時に添加することも好ましく例えばポリメチルメタク
リレート(0.2μm)、ポリ(メチルメタクリレート/メ
タクリル酸=9/1(モル比)、0.3μm))、ポリスチレン
粒子(0.25μm)、コロイダルシリカ(0.03μm)が挙
げられる。
【0234】次に本発明で用いられるフィルムパトロー
ネについて記す。本発明で使用されるパトローネの主材
料は金属でも合成プラスチックでもよい。
【0235】好ましいプラスチック材料はポリスチレ
ン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニルエー
テルなどである。更に本発明のパトローネは、各種の帯
電防止剤を含有してもよくカーボンブラック、金属酸化
物粒子、ノニオン、アニオン、カチオン及びベタイン系
界面活性剤又はポリマー等を好ましく用いることが出来
る。これらの帯電防止されたパトローネは特開平1-3125
37、同1-312538に記載されている。特に25℃、25%RHで
の抵抗が1012Ω以下が好ましい。通常プラスチックパト
ローネは、遮光性を付与するためにカーボンブラックや
顔料などを練り込んだプラスチックを使って製作され
る。パトローネのサイズは現在 135サイズのままでもよ
いし、カメラの小型化には、現在の 135サイズの25mmの
カートリッジの径を22mm以下とすることも有効である。
パトローネのケースの容積は、30cm3以下好ましくは25c
m3以下とすることが好ましい。パトローネおよびパトロ
ーネケースに使用されるプラスチックの重量は5g〜15g
が好ましい。
【0236】更に本発明で用いられる、スプールを回転
してフイルムを送り出すパトローネでもよい。またフイ
ルム先端がパトローネ本体内に収納され、スプール軸を
フイルム送り出し方向に回転させることによってフイル
ム先端をパトローネのポート部から外部に送り出す構造
でもよい。これらはUS 4,834,306、同 5,226,613に開示
されている。本発明に用いられる写真フイルムは現像前
のいわゆる生フイルムでもよいし、現像処理された写真
フイルムでもよい。又、生フイルムと現像済みの写真フ
ィルムが同じ新パトローネに収納されていてもよいし、
異なるパトローネでもよい。
【0237】本発明のカラー写真感光材料は、アドバン
スト・フォト・システム(以下、APシステムという)用
ネガフイルムとしても好適であり、富士写真フイルム
(株)(以下、富士フイルムという)製NEXIA A 、NEXI
A F 、NEXIA H (順にISO 200/100/400 )のようにフイ
ルムをAPシステムフォーマットに加工し、専用カートリ
ッジに収納したものを挙げることができる。これらのAP
システム用カートリッジフイルムは、富士フイルム製エ
ピオンシリーズ(エピオン300Z等)等のAPシステム用カ
メラに装填して用いられる。また、本発明のカラー写真
感光材料は、富士フイルム製フジカラー写ルンですスー
パースリムのようなレンズ付きフイルムにも好適であ
る。
【0238】これらにより撮影されたフイルムは、ミニ
ラボシステムでは次のような工程を経てプリントされ
る。
【0239】(1)受付(露光済みカートリッジフイルム
をお客様からお預かり) (2)デタッチ工程(カートリッジから、フイルムを現像
工程用の中間カートリッジに移す) (3)フイルム現像 (4)リアタッチ工程(現像済みのネガフイルムを、もとの
カートリッジに戻す) (5)プリント(C/H/P3タイプのプリントとインデックス
プリントをカラーペーパー〔好ましくは富士フイルム製
SUPER FA8 〕に連続自動プリント) (6)照合・出荷(カートリッジとインデックスプリントを
IDナンバーで照合し、プリントとともに出荷)。
【0240】これらのシステムとしては、富士フイルム
ミニラボチャンピオンスーパーFA-298/FA-278/FA-258/F
A-238 及び富士フイルムデジタルラボシステム フロン
ティアが好ましい。ミニラボチャンピオンのフイルムプ
ロセサーとしてはFP922AL/FP562B/FP562B,AL/FP362B/FP
362B,AL が挙げられ、推奨処理薬品はフジカラージャス
トイットCN-16L及びCN-16Qである。プリンタープロセサ
ーとしては、PP3008AR/PP3008A/PP1828AR/PP1828A/PP12
58AR/PP1258A/PP728AR/PP728A が挙げられ、推奨処理薬
品はフジカラージャストイットCP-47L及びCP-40FAII で
ある。フロンティアシステムでは、スキャナー&イメー
ジプロセサー SP-1000及びレーザープリンター&ペーパ
ープロセサー LP-1000P もしくはレーザープリンター L
P-1000Wが用いられる。デタッチ工程で用いるデタッチ
ャー、リアタッチ工程で用いるリアタッチャーは、それ
ぞれ富士フイルムのDT200/DT100 及びAT200/AT100 が好
ましい。
【0241】APシステムは、富士フイルムのデジタルイ
メージワークステーションAladdin1000を中心とするフ
ォトジョイシステムにより楽しむこともできる。例え
ば、Aladdin 1000に現像済みAPシステムカートリッジフ
イルムを直接装填したり、ネガフイルム、ポジフイル
ム、プリントの画像情報を、35mmフイルムスキャナーFE
-550やフラットヘッドスキャナーPE-550を用いて入力
し、得られたデジタル画像データを容易に加工・編集す
ることができる。そのデータは、光定着型感熱カラープ
リント方式によるデジタルカラープリンターNC-550ALや
レーザー露光熱現像転写方式のピクトログラフィー3000
によって、又はフイルムレコーダーを通して既存のラボ
機器によりプリントとして出力することができる。ま
た、Aladdin 1000は、デジタル情報を直接フロッピーデ
ィスクやZip ディスクに、もしくはCDライターを介して
CD-Rに出力することもできる。
【0242】一方、家庭では、現像済みAPシステムカー
トリッジフイルムを富士フイルム製フォトプレイヤーAP
-1に装填するだけでTVで写真を楽しむことができるし、
富士フイルム製フォトスキャナーAS-1に装填すれば、パ
ソコンに画像情報を高速で連続的に取り込むこともでき
る。また、フイルム、プリント又は立体物をパソコンに
入力するには、富士フイルム製フォトビジョンFV-10/FV
-5が利用できる。更に、フロッピーディスク、Zip ディ
スク、CD-Rもしくはハードディスクに記録された画像情
報は、富士フイルムのアプリケーションソフトフォトフ
ァクトリーを用いてパソコン上で様々に加工して楽しむ
ことができる。パソコンから高画質なプリントを出力す
るには、光定着型感熱カラープリント方式の富士フイル
ム製デジタルカラープリンターNC-2/NC-2Dが好適であ
る。
【0243】現像済みのAPシステムカートリッジフイル
ムを収納するには、フジカラーポケットアルバムAP-5ポ
ップL、AP-1ポップL、AP-1ポップKG又はカートリッジフ
ァイル16が好ましい。
【0244】
【実施例】以下に本発明の実施例を示す。但しこの実施
例に限定されるものではない。
【0245】(実施例1)以下の乳剤調製で分散媒とし
て用いたゼラチン−1〜4は、以下の属性を持つゼラチ
ンである。
【0246】ゼラチン−1:牛骨を原料とする、通常の
アルカリ処理オセインゼラチン。
【0247】ゼラチン中の−NH2基の化学修飾なし。
【0248】ゼラチン−2:ゼラチン−1の水溶液に、
50℃、pH9.0の条件下で無水フタル酸を加えて化
学反応させた後、残留するフタル酸を除去して乾燥させ
たゼラチン。ゼラチン中の−NH2基が化学修飾された
数の割合95%。
【0249】ゼラチン−3:ゼラチン−1の水溶液に、
50℃、pH9.0の条件下で無水トリメリット酸を加
えて化学反応させた後、残留するトリメリット酸を除去
して乾燥させたゼラチン。ゼラチン中の−NH2基が化
学修飾された数の割合95%。
【0250】ゼラチン−4:ゼラチン−1に酵素を作用
させて低分子量化し、平均分子量を15000にした
後、酵素を失活させて乾燥させたゼラチン。ゼラチン中
の−NH2基の化学修飾なし。
【0251】上記のゼラチン−1〜4は、全て脱イオン
処理をした後、5%水溶液の35℃におけるpHが6.
0となるように調整を行った。
【0252】(乳剤の調製) 乳剤1−A KBrを0.9g、前記のゼラチン−4を3.6g含む
水溶液1200mLを35℃に保ち、撹拌した。(1s
t液調製) Ag−1水溶液(100mL中にAgNO
3を4.9g含有する)86mLと、X−1水溶液(1
00mL中にKBrを4.0g含有する)86mL、お
よびG−1水溶液(100mL中に前記のゼラチン−4
を2.0g含有する)20mLをトリプルジェット法
で、一定の流量で45秒間にわたり添加した(添加1)
その後、KBr2.0gを添加し、温度を75℃に昇
温した。昇温後10分間の熟成工程を経た後、G−2水
溶液(100mL中に前記のゼラチン−3を12g含有
する)300mLを添加した。
【0253】次に、Ag−2水溶液(100mL中にA
gNO3を22.1g含有する)157mLと、X−2
水溶液(100mL中にKBrを15.5g含有する)
をダブルジェット法で10分間にわたり添加した。この
時、Ag−2水溶液の添加は最終流量が初期流量の3倍
になるように流量加速を行い、X−2水溶液の添加は反
応容器内のバルク乳剤溶液のpAgが8.1を保つよう
に行った(添加2)。
【0254】次いで、Ag−3水溶液(100mL中に
AgNO3を32.0g含有する)329mLと、X−
3水溶液(100mL中にKBrを21.5g、KIを
0.6g含有する)をダブルジェット法で20分間にわ
たり添加した。この時、Ag−3水溶液の添加は最終流
量が初期流量の2倍になるように流量加速を行い、X−
3水溶液の添加は反応容器内のバルク乳剤溶液のpAg
が8.0を保つように行った(添加3)。さらに、Ag
−4水溶液(100mL中にAgNO3を32.0g含
有する)156mLと、X−4水溶液(100mL中に
KBrを22.4g含有する)をダブルジェット法で1
2分間にわたり添加した。この時、Ag−4水溶液の添
加は一定の流量で行い、X−3水溶液の添加は反応容器
内のバルク乳剤溶液のpAgが7.7を保つように行っ
た(添加4)。その後、G−3水溶液(100mL中に
前記のゼラチン−1を10g含有する)200mLを添
加した。
【0255】次に55℃に降温し、0.12MのKI水
溶液480mLを5分間にわたって添加した(添加
5)。その1分後にベンゼンチオスルホン酸ナトリウム
とK2IrCl 6をそれぞれ粒子の総銀量に対して4×10-6
モル/モル銀、8×10-8モル/モル銀だけ溶液で添加
してからさらに1分後に、Ag−4水溶液249mL
と、X−5(100mL中にKBrを22.4gと[Ru
(trz)6]4-(trz=1,2,4triazole)を2×10-5モル含有
する)水溶液をダブルジェット法12分間にわたって添
加した。この時Ag−4水溶液の添加は一定の流量で行
い、X−5水溶液は反応容器内のバルク乳剤溶液のpA
gを8.0(銀/飽和カロメル電極で約+40mV)に
保つように添加した(添加6)。その後、通常のフロキ
ュレーション法により脱塩を行い、次いで、攪拌しなが
ら水、NaOH、前記のゼラチン−1を添加し、56℃
でpH6.4、pAg8.6になるように調整した。
【0256】得られた乳剤は、全粒子の投影面積の99
%以上が平行な主平面が(111)面である沃臭化銀の
平板粒子から成る乳剤であった。
【0257】続いて、下記増感色素Exs−1〜3、チ
オシアン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリウムお
よびN,N−ジメチルセレノ尿素を順次添加し最適に化
学増感を施した後、下記の水溶性メルカプト化合物ME
R−1およびMER−2を4:1の比率で合計でハロゲ
ン化銀1モル当たり4.3×10-4モル添加することに
より化学増感を終了させた。最適な化学増感とは1/1
00秒露光時に感度が最高になることである。
【0258】
【化4】
【0259】
【化5】
【0260】乳剤1−B 乳剤1−Aの(添加5)を下記のように代える以外は乳
剤1−Aと同様に調製した。0.12MのKI水溶液4
80mLを5分間にわたって添加する代わりにに、0.
12MのKI水溶液528mLを5分間にわたって添加
した。
【0261】乳剤1−C〜1−G 乳剤1−Aにおいて(添加2)のpAgを8.1に保つ
代わりに8.3に保ち、(添加3)のpAgを8.0に
保つ代わりに8.4に保つことで等価円相当直径が大き
く、粒子厚みの薄い基盤粒子乳剤を調製し、その後の
(添加5)以降を下記の様に行うことで平板粒子乳剤1
−C〜1−Gを調製した。
【0262】乳剤1−Cについては、乳剤1−Aの(添
加5)を下記のように代える以外は乳剤1−Aと同様に
調製した。0.12MのKI水溶液480mLを5分間
にわたって添加する代わりに、0.12MのKI水溶液
528mLを5分間にわたって添加した。
【0263】乳剤1−Dについては、乳剤1−Aの(添
加5)を下記のように代える以外は乳剤1−Aと同様に
調製した。0.12MのKI水溶液480mLを5分間
にわたって添加する代わりに、0.12MのKI水溶液
576mLを5分間にわたって添加した。
【0264】乳剤1−Eについては、乳剤1−Aの(添
加5)と(添加6)を下記のように代える以外は乳剤1
−Aと同様に調製した。(添加5)において、55℃に
降温してから0.12MのKI水溶液480mLを5分
間にわたって添加する代わりに、40℃に降温してから
沃化物イオン放出剤であるp−ヨードアセトアミドベン
ゼンスルホン酸ナトリウムを0.0576モル含む水溶
液を添加してから0.8Mの亜硫酸ナトリウム水溶液8
6mLを1分間定量で添加し、pHを9.0に制御しな
がら沃化物イオンを生成せしめ、2分後に50℃に10
分かけて昇温してからpHを5.5に下げた。(添加
6)は、温度を50℃に保ったままで、pAgを8.1
(約+40mV)に保つように添加を行った。
【0265】乳剤1−Fについては、乳剤1−Aの(添
加5)と(添加6)を下記のように代える以外は乳剤1
−Aと同様に調製した。(添加5)において、55℃に
降温してから0.12MのKI水溶液480mLを5分
間にわたって添加する代わりに、40℃に降温してから
沃化物イオン放出剤であるp−ヨードアセトアミドベン
ゼンスルホン酸ナトリウムを0.0576モル含む水溶
液を添加してから0.8Mの亜硫酸ナトリウム水溶液8
6mLを1分間定量で添加し、pHを9.0に制御しな
がら10分間かけて沃化物イオンを生成せしめ、pHを
5.5に下げた。(添加6)は、温度を40℃に保った
ままで、pAgを8.4(約+40mV)に保つように
添加を行った。
【0266】乳剤1−Gについては、乳剤1−Aの(添
加5)と(添加6)を下記のように代える以外は乳剤1
−Aと同様に調製した。(添加5)において、55℃に
降温してから0.12MのKI水溶液480mLを5分
間にわたって添加する代わりに、40℃に降温してから
沃化物イオン放出剤であるp−ヨードアセトアミドベン
ゼンスルホン酸ナトリウムを0.0576モル含む水溶
液を添加してから0.8Mの亜硫酸ナトリウム水溶液8
6mLを1分間定量で添加し、pHを9.0に制御しな
がら10分間かけて沃化物イオンを生成せしめ、pHを
5.5に下げた。(添加6)は、温度を40℃に保った
ままで、pAgを9.9(約−50mV)に保つように
添加を行った。
【0267】乳剤1−H〜1−N 乳剤1−Aにおいて(添加2)のpAgを8.1に保つ
代わりに8.3に保ち、(添加3)の銀とハライドの供
給を、反応容器外の別の撹拌混合機で同時に調製したハ
ロゲン化銀超極微粒子(AgI含率2モル%、粒子サイ
ズ約150Å)の反応容器内への連続添加に代えると共
に、その時のpAgを8.4に保つことで、さらに等価
円相当直径が大きく、粒子厚みの薄い基盤粒子乳剤を調
製し、その後の(添加5)以降を下記の様に行うことで
平板粒子乳剤1−H〜1−Nを調製した。
【0268】乳剤1−Hについては、乳剤1−Aの(添
加5)を下記のように代える以外は乳剤1−Aと同様に
調製した。0.12MのKI水溶液480mLを5分間
にわたって添加する代わりに、0.12MのKI水溶液
576mLを5分間にわたって添加した。
【0269】乳剤1−Iについては、乳剤1−Aの(添
加5)を下記のように代える以外は乳剤1−Aと同様に
調製した。0.12MのKI水溶液480mLを5分間
にわたって添加する代わりに、0.12MのKI水溶液
624mLを5分間乳剤1−Jについては、乳剤1−A
の(添加5)と(添加6)を下記のように代える以外は
乳剤1−Aと同様に調製した。(添加5)において、5
5℃に降温してから0.12MのKI水溶液480mL
を5分間にわたって添加する代わりに、40℃に降温し
てから沃化物イオン放出剤であるp−ヨードアセトアミ
ドベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.0749モル含
む水溶液を添加してから0.8Mの亜硫酸ナトリウム水
溶液112mLを1分間定量で添加し、pHを9.0に
制御しながら10分間かけて沃化物イオンを生成せし
め、pHを5.5に下げた。(添加6)は、温度を40
℃に保ったままで、pAgを9.9(約−50mV)に
保つように添加を行った。
【0270】乳剤1−Kについては、乳剤1−Aの(添
加5)と(添加6)を下記のように代える以外は乳剤1
−Aと同様に調製した。(添加5)において、55℃に
降温してから0.12MのKI水溶液480mLを5分
間にわたって添加する代わりに、40℃に降温してから
沃化物イオン放出剤であるp−ヨードアセトアミドベン
ゼンスルホン酸ナトリウムを0.0749モル含む水溶
液を添加してから0.8Mの亜硫酸ナトリウム水溶液1
12mLを1分間定量で添加し、pHを9.0に制御し
ながら10分間かけて沃化物イオンを生成せしめ、pH
を5.5に下げた。(添加6)は、温度を40℃に保っ
たままで、X−5水溶液としてKBrを含む代わりにK
Br+KIを含む水溶液を用いて(100mL中にKB
rを21.3gとKI1.6gを含む)、pAgを9.
9(約−50mV)に保つように添加を行った。
【0271】乳剤1−Lについては、乳剤1−Aの(添
加5)と(添加6)を下記のように代える以外は乳剤1
−Aと同様に調製した。(添加5)において、55℃に
降温してから0.12MのKI水溶液480mLを5分
間にわたって添加する代わりに、40℃に降温してから
沃化物イオン放出剤であるp−ヨードアセトアミドベン
ゼンスルホン酸ナトリウムを0.0749モル含む水溶
液を添加してから0.8Mの亜硫酸ナトリウム水溶液1
12mLを1分間定量で添加し、pHを9.0に制御し
ながら10分間かけて沃化物イオンを生成せしめ、pH
を5.5に下げた。(添加6)は、温度を40℃に保っ
たままで、X−5水溶液として上記KBr及び[Ru(trz)
6]4-に加えて下記化6に示す晶相制御剤を含む水溶液
(100mL中に化6の晶相制御剤を2×10-4モル含
む)を用いて、pAgを9.9(約−50mV)に保つ
ように添加を行った。
【0272】
【化6】
【0273】乳剤1−Mについては、乳剤1−Aの(添
加5)と(添加6)を下記のように代える以外は乳剤1
−Aと同様に調製した。(添加5)において、55℃に
降温してから0.12MのKI水溶液480mLを5分
間にわたって添加する代わりに、30℃に降温してから
沃化物イオン放出剤であるp−ヨードアセトアミドベン
ゼンスルホン酸ナトリウムを0.0749モル含む水溶
液を添加してから0.8Mの亜硫酸ナトリウム水溶液1
12mLを1分間定量で添加し、pHを9.0に制御し
ながら20分間かけて沃化物イオンを生成せしめ、pH
を5.5に下げた。(添加6)は、温度を30℃に保っ
たままで、pAgを10.3(約−50mV)に保つよ
うに添加を行った。
【0274】乳剤1−Nについては、乳剤1−Aの(添
加5)と(添加6)を下記のように代える以外は乳剤1
−Aと同様に調製した。(添加5)において、55℃に
降温してから0.12MのKI水溶液480mLを5分
間にわたって添加する代わりに、30℃に降温してから
沃化物イオン放出剤であるp−ヨードアセトアミドベン
ゼンスルホン酸ナトリウムを0.0749モル含む水溶
液を添加してから0.8Mの亜硫酸ナトリウム水溶液1
12mLを1分間定量で添加し、pHを9.0に制御し
ながら20分間かけて沃化物イオンを生成せしめ、pH
を5.5に下げた。(添加6)は、温度を30℃に保っ
たままで、X−5水溶液として100mL中にKBrを
21.3gとKI 1.6g、[Ru(trz)6]4- 2×10
-5モル、及び上記化6に示す晶相制御剤2×10-4モル
を含む水溶液を用いて、pAgを10.3(約−50m
V)に保つように添加を行った。
【0275】なお、これらの乳剤1−C〜1−Nの調製
において、硝酸銀水溶液とハロゲン化物塩水溶液の添加
速度はそれぞれハロゲン化銀粒子の臨界成長速度に見合
った速度で、再核発生やオストワルド熟成による多分散
化を生じないように調節を行った。
【0276】得られた乳剤1−A〜1−Nの粒子特性を
表1に示す。
【0277】乳剤中の粒子の形状はレプリカ法による透
過型電子顕微鏡写真を撮影し、粒子1000個について
計測して求めた。但し、(111)主表面に垂直な方向
から見た時に、実質的に辺や角の一部が欠けていない六
角形または三角形の形状を有する平板粒子の割合につい
ては、乳剤中の粒子200個について加速電圧400k
Vの透過型電子顕微鏡により直接観察して求めた。
【0278】なお、全粒子の等価円相当直径分布の変動
係数はいずれの乳剤も40%以下であった。
【0279】また、転位線(導入位置、密度、分布)に
ついても乳剤中の粒子200個について加速電圧400
kVの透過型電子顕微鏡により直接観察した(各粒子に
ついて試料傾斜角度−10゜,−5゜,0゜,+5゜,+1
0゜の5通りで観察した)。後記の実施例の乳剤粒子特
性についても同様な方法で測定した。
【0280】
【表1】
【0281】(塗布試料の作成、その評価)下塗り層を
設けてある三酢酸セルロースフィルム支持体に下記表2
に示すような塗布条件で、前記の乳剤1−A−1〜1−
Nの塗布を行った。
【0282】
【表2】
【0283】これらの試料を40℃、相対湿度70%の
条件下で14時間硬膜処理を施した。その後、富士フイ
ルム(株)製ゼラチンフィルターSC−50(カットオ
フ波長が500nmである長波長光透過フィルター)と
連続ウェッジを通して1/100秒間露光を行い、後述の現
像処理を行なった試料を緑色フィルターで濃度測定する
ことにより写真性能の評価を行った。
【0284】富士写真フイルム(株)製ネガプロセサー
FP−350を用い、以下に記載の方法で(液の累積補
充量がその母液タンク容量の3倍になるまで)処理し
た。
【0285】 (処理方法) 工 程 処理時間 処理温度 補充量 発色現像 2分45秒 38℃ 45ミリリットル 漂 白 1分00秒 38℃ 20ミリリットル 漂白液オーバーフローは 漂白定着タンクに全量流入 漂白定着 3分15秒 38℃ 30ミリリットル 水洗 (1) 40秒 35℃ (2) から(1) への 向流配管方式 水洗 (2) 1分00秒 35℃ 30ミリリットル 安 定 40秒 38℃ 20ミリリットル 乾 燥 1分15秒 55℃ *補充量は35mm巾1.1m長さ当たり(24Ex.1本相当) 次に、処理液の組成を記す。
【0286】 (発色現像液) タンク液(g) 補充液(g) ジエチレントリアミン五酢酸 1.0 1.1 1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 2.0 2.0 亜硫酸ナトリウム 4.0 4.4 炭酸カリウム 30.0 37.0 臭化カリウム 1.4 0.7 ヨウ化カリウム 1.5mg − ヒドロキシルアミン硫酸塩 2.4 2.8 4−〔N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ〕 −2−メチルアニリン硫酸塩 4.5 5.5 水を加えて 1.0リットル 1.0リットル pH(水酸化カリウムと硫酸にて調整) 10.05 10.10。
【0287】 (漂白液) タンク液、補充液共通(単位 g) エチレンジアミン四酢酸第二鉄アンモニウム二水塩 120.0 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 10.0 臭化アンモニウム 100.0 硝酸アンモニウム 10.0 漂白促進剤 0.005モル (CH3)2N-CH2-CH2-S-S-CH2-CH2-N(CH3)2・2HCl アンモニア水(27%) 15.0ミリリットル 水を加えて 1.0リットル pH(アンモニア水と硝酸にて調整) 6.3。
【0288】 (漂白定着液) タンク液(g) 補充液(g) エチレンジアミン四酢酸第二鉄アンモニウム二水塩 50.0 − エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 5.0 2.0 亜硫酸ナトリウム 12.0 20.0 チオ硫酸アンモニウム水溶液(700g/リットル) 240.0 ミリリットル 400.0ミリリットル アンモニア水(27%) 6.0 ミリリットル − 水を加えて 1.0 リットル 1.0リットル pH(アンモニア水と酢酸にて調整) 7.2 7.3。
【0289】(水洗液) タンク液、補充液共通 水道水をH型強酸性カチオン交換樹脂(ロームアンドハ
ース社製アンバーライトIR−120B)と、OH型ア
ニオン交換樹脂(同アンバーライトIR−400)を充
填した混床式カラムに通水してカルシウム及びマグネシ
ウムイオン濃度を3mg/リットル以下に処理し、続いて
二塩化イソシアヌール酸ナトリウム20mg/リットルと
硫酸ナトリウム0.15g/リットルを添加した。この
液のpHは6.5〜7.5の範囲にあった。
【0290】 (安定液) タンク液、補充液共通(単位 g) p−トルエンスルフィン酸ナトリウム 0.03 ポリオキシエチレン−p−モノノニルフェニルエーテル (平均重合度10) 0.2 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.05 1,2,4−トリアゾール 1.3 1,4−ビス(1,2,4−トリアゾール−1− イルメチル)ピペラジン 0.75 水を加えて 1.0 リットル pH 8.5。
【0291】写真性能の結果を、下記の表3に示す。感
度はかぶり濃度プラス0.1の濃度に到達するのに必要
な露光量の逆数の相対値で表示した(試料101の感度
を100とした)。また、濃度1.5を与える一様な露
光を行い、粒状度の測定も行った。粒状度は、マクミラ
ン社刊、「ザ・セオリー・オブ・ザ・フォトグラフィッ
ク・プロセス」P.619に記述される方法で測定し、
試料101の粒状度を100とした相対値で表示した。
【0292】試料101と試料102〜114の比較か
ら、全粒子の等価円相当直径分布の変動係数が40%以
下であり、かつ全投影面積の50%以上が以下の(i)〜
(iv)を満たす本発明の乳剤により感度/粒状比の大幅な
改良が得られることが明らかである。(i)(111)面
を主表面とする沃臭化銀平板粒子(ii)等価円相当直径
が1.0μmかつ粒子厚みが0.10μm以下(iii)粒子
フリンジ部に1粒子当たり30本以上の転位線を含む(i
v)(111)主表面に垂直な方向から見た時に、実質的
に辺や角の一部が欠けていない六角形または三角形の形
状を有する。
【0293】
【表3】
【0294】(実施例2) 乳剤2−A〜乳剤2−Lの調製、評価 前記乳剤1−B、E、Jに対して、粒子形成条件を調節
することでそれぞれ粒子の全粒子の等価円相当直径分布
の変動係数の異なる乳剤2−A〜2−Lを調製した。
【0295】なお、これらの乳剤はいずれも、粒子フリ
ンジ部に1粒子当たり30本以上の転位線を含み、(1
11)主表面に垂直な方向から見た時に実質的に辺や角
の一部が欠けていない六角形または三角形の形状を有す
る平板粒子が乳剤粒子の全投影面積の50%以上を占め
ていた。
【0296】乳剤の粒子特性を表4に示す。これらの乳
剤を用いて実施例1と同様に塗布試料201〜212を
作成し、評価を行った。結果を同時に表4に示す。
【0297】
【表4】
【0298】表4から分かるように、本発明の乳剤は全
粒子の等価円相当直径分布の変動係数の小さいほど感度
/粒状比が顕著に改良されている。
【0299】(実施例3) 乳剤3−A〜乳剤3−Cの調製、評価 前記乳剤1−B、G、Nに対して、N,N−ジメチルセ
レノ尿素の代わりに下記化7に示すテルル増感剤を用い
て化学増感を行う以外は同様にして乳剤3−A〜Cを調
製した。
【0300】
【化7】
【0301】乳剤の粒子特性を表5に示す。これらの乳
剤を用いて実施例1と同様に塗布試料301〜306を
作成し、評価を行った。結果を同時に表5に示す。
【0302】
【表5】
【0303】表5から分かるように、本発明の乳剤はテ
ルル増感剤を用いて化学増感を施した方が感度/粒状比
が顕著に改良されている。
【0304】(実施例4)以下の製法によりハロゲン化
銀乳剤A〜Nを調製した。
【0305】(乳剤Aの製法)フタル化率97%のフタ
ル化した分子量15000の低分子量ゼラチン31.7
g、KBr31.7gを含む水溶液42.2リットルを
35℃に保ち激しく撹拌した。AgNO3,316.7
gを含む水溶液1583mLとKBr、221.5g、
実施例1のゼラチン−4を52.7gを含む水溶液15
83mLをダブルジェット法で1分間に渡り添加した。
添加終了後、直ちにKBr52.8gを加えて、AgN
3を398.2gを含む水溶液2485mLとKBr
を291.1gを含む水溶液2581mLをダブルジェ
ット法で2分間に渡り添加した。添加終了後、直ちにK
Br、44.8gを添加した。その後、40℃に昇温
し、熟成した。熟成終了後、実施例1のゼラチン−2を
923gとKBr、79.2gを添加し、AgNO3
5103gを含む水溶液15947mLとKBr水溶液
をダブルジェット法で最終流量が初期流量の1.4倍に
なるように流量加速して10分間に渡り添加した。この
時、反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgを9.90に
保った。水洗した後、実施例1のゼラチン−1を加えp
H、5.7、pAg、8.8、乳剤1kg当たりの銀換
算の重量131.8g、ゼラチン重量64.1gに調整
し、種乳剤とした。実施例1のゼラチン−2を46g、
KBr1.7gを含む水溶液1211mLを75℃に保
ち激しく撹拌した。前述した種乳剤を9.9g加えた
後、変成シリコンオイル(日本ユニカ−株式会社製品、
L7602)を0.3g添加した。H2SO4を添加して
pHを5.5に調整した後、AgNO3を7.0gを含
む水溶液67.6mLとKBr水溶液をダブルジェット
法で最終流量が初期流量の5.1倍になるように流量加
速して6分間に渡り添加した。この時、反応容器内のバ
ルク乳剤溶液のpAgを8.15に保った。ベンゼンチ
オスルホン酸ナトリウム2mgと二酸化チオ尿素2mg
を添加した後、AgNO3を105.6gを含む水溶
液、328mLとKBr水溶液をダブルジェット法で最
終流量が初期流量の3.7倍になるように流量加速して
56分間に渡り添加した。この時、0.037μの粒子
サイズのAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有率が27mo
l%になるように同時に流量加速して添加し、かつ反応
容器内のバルク乳剤溶液のpAgを8.60に保った。
AgNO3を45.6gを含む水溶液121.3mLと
KBr水溶液をダブルジェット法で22分間に渡り添加
した。この時、反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgを
7.60に保った。82℃に昇温し、KBrを添加して
反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgを8.80に調整
した後、前述したAgI微粒子乳剤をKI重量換算で
6.33g添加した。添加終了後、直ちに、AgNO3
を66.4g含む水溶液206.2mLを16分間に渡
り添加した。添加初期の5分間はKBr水溶液で反応容
器内のバルク乳剤溶液のpAgを8.80に保った。水
洗した後、実施例1のゼラチン−1を添加し40℃でp
H、5.8、pAg、8.7に調整した。TAZ−1を
添加した後、60℃に昇温した。増感色素Exs−4を
添加した後に、チオシアン酸カリウム、塩化金酸、チオ
硫酸ナトリウム、N,N−ジメチルセレノウレアを添加
し最適に化学増感した。化学増感終了時に化合物MER
−1および化合物MER−3を添加した。ここで、最適
に化学増感するとは、増感色素ならびに各化合物をハロ
ゲン化銀1モルあたり10-1から10-8モルの添加量範
囲から選択したことを意味する。
【0306】
【化8】
【0307】
【化9】
【0308】(乳剤Bの製法)実施例1のゼラチン−4
を0.96g、KBr、0.9gを含む水溶液1192
mLを40℃に保ち、激しく撹拌した。AgNO3
1.49gを含む水溶液37.5mLとKBrを1.0
5g含む水溶液37.5mLをダブルジェット法で30
秒間に渡り添加した。KBrを1.2g添加した後、7
5℃に昇温し熟成した。熟成終了後、実施例1のゼラチ
ン−3を35g添加し、pHを7に調整した。二酸化チ
オ尿素6mgを添加した。AgNO3、29gを含む水
溶液116mLとKBr水溶液をダブルジェット法で最
終流量が初期流量の3倍になるように流量加速して添加
した。この時、反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgを
8.15に保った。AgNO3を110.2gを含む水
溶液440.6mLとKBr水溶液をダブルジェット法
で最終流量が初期流量の5.1倍になるように流量加速
して30分間に渡り添加した。この時、乳剤Dの調製で
使用したAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有率が15.8
mol%になるように同時に流量加速して添加し、かつ
反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgを7.85に保っ
た。AgNO3を24.1gを含む水溶液96.5mL
とKBr水溶液をダブルジェット法で3分間に渡り添加
した。この時、反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgを
7.85に保った。エチルチオスルホン酸ナトリウム2
6mgを添加した後、55℃に降温し、KBr水溶液を
添加し、反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgを9.8
0に調整した。前述したAgI微粒子乳剤をKI重量換
算で8.5g添加した。添加終了後、直ちにAgNO3
を57gを含む水溶液228mLを5分間に渡り添加し
た。この時、添加終了時の反応容器内のバルク乳剤溶液
のpAgが8.75になるようにKBr水溶液で調整し
た。水洗後、増感色素はExs−4を用いて化学増感し
た。
【0309】(乳剤Cの製法)実施例1のゼラチン−2
を1.02g、KBr0.9gを含む水溶液1192m
Lを35℃に保ち、激しく撹拌した。AgNO3、4.
47gを含む水溶液、42mLとKBr、3.16g含
む水溶液、42mLをダブルジェット法で9秒間に渡り
添加した。KBrを2.6g添加した後、63℃に昇温
し熟成した。熟成終了後、実施例1のゼラチン−3を4
1.2gとNaCl、18.5gを添加した。pHを
7.2に調整した後、ジメチルアミンボラン、8mgを
添加した。AgNO3を26gを含む水溶液203mL
とKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流
量の3.8倍になるように添加した。この時、反応容器
内のバルク乳剤溶液のpAgを8.65に保った。Ag
NO3を110.2gを含む水溶液440.6mLとK
Br水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の
5.1倍になるように流量加速して24分間に渡り添加
した。この時、乳剤Dの調製で使用したAgI微粒子乳
剤をヨウ化銀含有率が2.3mol%になるように同時
に流量加速して添加し、かつ反応容器内のバルク乳剤溶
液のpAgを8.50に保った。1Nのチオシアン酸カ
リウム水溶液10.7mLを添加した後、AgNO3
24.1gを含む水溶液153.5mLとKBr水溶液
をダブルジェット法で2分30秒間に渡り添加した。こ
の時、反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgを8.05
に保った。KBr水溶液を添加して反応容器内のバルク
乳剤溶液のpAgを9.25に調整した。前述したAg
I微粒子乳剤をKI重量換算で6.4g添加した。添加
終了後、直ちにAgNO3、57gを含む水溶液404
mLを45分間に渡り添加した。この時、添加終了時の
反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgが8.65になる
ようにKBr水溶液で調整した。水洗後、増感色素はE
xs−4を用いて化学増感した。
【0310】(乳剤Dの製法)乳剤Cの調製において核
形成時のAgNO3添加量を2.3倍に変更した。そし
て、最終のAgNO3を57gを含む水溶液404mL
の添加終了時の反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgが
6.85になるようにKBr水溶液で調整するように変
更した。それ以外は乳剤Cとほぼ同様にして調製した。
【0311】(乳剤Eの製法)実施例1のゼラチン−2
を0.38g、KBrを0.9g含む水溶液1200m
Lを60℃に保ち、pHを2に調整し激しく撹拌した。
AgNO3を1.03gを含む水溶液とKBrを0.8
8g、KIを0.09gを含む水溶液をダブルジェット
法で30秒間に渡り添加した。熟成終了後、実施例1の
ゼラチン−3を12.8gを添加した。pHを5.9に
調整した後、KBr、2.99g、NaCl、6.2g
を添加した。AgNO3を27.3g含む水溶液60.
7mLとKBr水溶液をダブルジェット法で39分間に
渡り添加した。この時、反応容器内のバルク乳剤溶液の
pAgを9.05に保った。AgNO3、65.6gを
含む水溶液とKBr水溶液をダブルジェット法で最終流
量が初期流量の2.1倍になるように流量加速して46
分間に渡り添加した。この時、乳剤Dの調製で使用した
AgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有量が6.5mol%に
なるように同時に流量加速して添加し、かつ反応容器内
のバルク乳剤溶液のpAgを9.05に保った。二酸化
チオ尿素、1.5mgを添加した後、AgNO3、4
1.8gを含む水溶液132mLとKBr水溶液をダブ
ルジェット法で16分間に渡り添加した。添加終了時の
反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgが7.70になる
ようにKBr水溶液の添加を調整した。ベンゼンチオス
ルホン酸ナトリウム2mgを添加した後、KBrを添加
して反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgを9.80に
調整した。上述のAgI微粒子乳剤をKI重量換算で
6.2g添加した。添加終了後、直ちにAgNO3、8
8.5gを含む水溶液300mLを10分間に渡り添加
した。添加終了時の反応容器内のバルク乳剤溶液のpA
gが7.40になるようにKBr水溶液の添加で調整し
た。水洗した後、実施例1のゼラチン−1を添加し40
℃でpH6.5、pAg、8.2に調整した。TAZ−
1を添加した後、58℃に昇温した。増感色素Exs−
1〜3を添加した後、チオシアン酸カリウム、塩化金
酸、チオ硫酸ナトリウム、N,N−ジメチルセレノウレ
アを添加し最適に化学増感した。化学増感終了時にME
R−1およびMER−3を添加した。
【0312】(乳剤Fの製法)実施例1のゼラチン−4
を0.70g、KBr、0.9g、KI、0.175
g、乳剤Dの調製で使用した変成シリコンオイル0.2
gを含む水溶液1200mLを33℃に保ち、pHを
1.8に調製し激しく撹拌した。AgNO3を1.8g
を含む水溶液と3.2mol%のKIを含むKBr水溶
液をダブルジェット法で9秒間に渡り添加した。この
時、KBrの過剰濃度を一定に保った。62℃に昇温し
熟成した。熟成終了後、実施例1のゼラチン−3を2
7.8g添加した。pHを6.3に調製した後、KB
r、2.9gを添加した。AgNO3、27.58gを
含む水溶液270mLとKBr水溶液をダブルジェット
法で37分間に渡り添加した。この時、実施例1のゼラ
チン−4の水溶液とAgNO3水溶液とKI水溶液を特
願平8−207219号に記載の磁気カップリング誘導
型撹拌機を有する別のチャンバー内で添加前直前混合し
て調製した粒子サイズ0.008μのAgI微粒子乳剤
をヨウ化銀含有率が4.1mol%になるように同時に
添加し、かつ反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgを
9.15に保った。KBr、2.6gを添加した後、A
gNO3を87.7gを含む水溶液とKBr水溶液をダ
ブルジェット法で最終流量が初期流量の3.1倍になる
ように流量加速して49分間に渡り添加した。この時、
上述の添加前直前混合して調製したAgI微粒子乳剤を
ヨウ化銀含有率が7.9mol%になるように同時に流
量加速し、かつ反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgを
9.30に保った。二酸化チオ尿素、1mgを添加した
後、AgNO3、41.8gを含む水溶液132mLと
KBr水溶液をダブルジェット法で20分間に渡り添加
した。添加終了時の反応容器内のバルク乳剤溶液のpA
gが7.90になるようにKBr水溶液の添加を調整し
た。78℃に昇温し、pHを9.1に調整した後、KB
rを添加して反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgを
8.70にした。乳剤Dの調製で使用したAgI微粒子
乳剤をKI重量換算で5.73g添加した。添加終了
後、直ちにAgNO3、66.4gを含む水溶液321
mLを4分間に渡り添加した。添加初期の2分間はKB
r水溶液で反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgを8.
70に保った。水洗後、増感色素はExs−1〜3を用
い、化学増感した。
【0313】(乳剤Gの製法)実施例1のゼラチン−1
を17.8g、KBr、6.2g、KI、0.46gを
含む水溶液を45℃に保ち激しく撹拌した。AgN
3、11.85gを含む水溶液とKBrを3.8g含
む水溶液をダブルジェット法で45秒間に渡り添加し
た。63℃に昇温後、実施例1のゼラチン−1を24.
1g添加し、熟成した。熟成終了後、AgNO3、13
3.4gを含む水溶液とKBr水溶液をダブルジェット
法で最終流量が初期流量の2.6倍になるように20分
間に渡って添加した。この時、反応容器内のバルク乳剤
溶液のpAgを7.60に保った。また添加開始10分
後にK2IrCl6を0.1mg添加した。NaClを7
g添加した後、AgNO3を45.6g含む水溶液とK
Br水溶液をダブルジェット法で12分間に渡って添加
した。この時、反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgを
6.90に保った。また添加開始から6分間に渡って黄
血塩を29mg含む水溶液100mLを添加した。KB
rを14.4g添加した後、乳剤Dの調製で使用したA
gI微粒子乳剤をKI重量換算で6.3g添加した。添
加終了後、直ちにAgNO3を42.7gを含む水溶液
とKBr水溶液をダブルジェット法で11分間に渡り添
加した。この時、反応容器内のバルク乳剤溶液のpAg
を6.90に保った。水洗後、増感色素はExs−1〜
3を用い、化学増感した。
【0314】(乳剤Hの製法)乳剤Gの調製において核
形成時の温度を35℃に変更した以外はほぼ同様にして
調製した。
【0315】(乳剤Iの製法)実施例1のゼラチン−4
を0.75g、KBr、0.9gを含む水溶液1200
mLを39℃に保ち、pHを1.8に調整し激しく撹拌
した。AgNO30.34gを含む水溶液と1.5mo
l%のKIを含むKBr水溶液をダブルジェット法で1
6秒間に渡り添加した。この時、KBrの過剰濃度を一
定に保った。54℃に昇温し熟成した。熟成終了後、実
施例1のゼラチン−2を20gを添加した。pHを5.
9に調整した後、KBr、2.9gを添加した。二酸化
チオ尿素、3mgを添加した後、AgNO3、28.8
gを含む水溶液288mLとKBr水溶液をダブルジェ
ット法で58分間に渡り添加した。この時、粒子サイズ
0.03μのAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有率が4.
1mol%になるように同時に添加し、かつ反応容器内
のバルク乳剤溶液のpAgを9.40に保った。KB
r、2.5gを添加した後、AgNO3、87.7gを
含む水溶液とKBr水溶液をダブルジェット法で最終流
量が初期流量の1.2倍になるように流量加速して69
分間に渡り添加した。この時、上述のAgI微粒子乳剤
をヨウ化銀含有率が10.5mol%になるように同時
に流量加速して添加し、かつ反応容器内のバルク乳剤溶
液のpAgを9.50に保った。AgNO3、41.8
gを含む水溶液132mLとKBr水溶液をダブルジェ
ット法で27分間に渡り添加した。添加終了時の反応容
器内のバルク乳剤溶液のpAgを8.15になるように
KBr水溶液の添加を調整した。ベンゼンチオスルホン
酸ナトリウム2mgを添加した後、KBrを添加して反
応容器内のバルク乳剤溶液のpAgを9.50に調整し
た後、上述のAgI微粒子乳剤をKI重量換算で5.7
3g添加した。添加終了後、直ちにAgNO3、66.
4gを含む水溶液609mLを11分間に渡り添加し
た。添加初期の6分間はKBr水溶液で反応容器内のバ
ルク乳剤溶液のpAgを9.50に保った。水洗した
後、ゼラチンを添加し40℃でpH6.5、pAg、
8.2に調整した。その後、TAZ−1を添加し、56
℃に昇温した。増感色素Exs−5およびExs−6を
添加し(MIX比69:31)、その後、チオシアン酸カリ
ウム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリウム、N,N−ジメチ
ルセレノウレアを添加し熟成し最適に化学増感した。化
学増感終了時にMER−1およびMER−3を添加し
た。
【0316】
【化10】
【0317】(乳剤Jの製法)実施例1のゼラチン−2
を0.38g、KBrを0.9g含む水溶液1200m
Lを60℃に保ち、pHを2に調整し激しく撹拌した。
AgNO3を1.03gを含む水溶液とKBrを0.8
8g、KIを0.09gを含む水溶液をダブルジェット
法で30秒間に渡り添加した。熟成終了後、実施例1の
ゼラチン−3を12.8gを添加した。pHを5.9に
調整した後、KBr、2.99g、NaCl、6.2g
を添加した。AgNO3を27.3g含む水溶液60.
7mLとKBr水溶液をダブルジェット法で39分間に
渡り添加した。この時、反応容器内のバルク乳剤溶液の
pAgを9.05に保った。AgNO3、65.6gを
含む水溶液とKBr水溶液をダブルジェット法で最終流
量が初期流量の2.1倍になるように流量加速して46
分間に渡り添加した。この時、乳剤Dの調製で使用した
AgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有量が6.5mol%に
なるように同時に流量加速して添加し、かつ反応容器内
のバルク乳剤溶液のpAgを9.05に保った。二酸化
チオ尿素、1.5mgを添加した後、AgNO3、4
1.8gを含む水溶液132mLとKBr水溶液をダブ
ルジェット法で16分間に渡り添加した。添加終了時の
反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgが7.70になる
ようにKBr水溶液の添加を調整した。ベンゼンチオス
ルホン酸ナトリウム2mgを添加した後、KBrを添加
して反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgを9.80に
調整した。上述のAgI微粒子乳剤をKI重量換算で
6.2g添加した。添加終了後、直ちにAgNO3、8
8.5gを含む水溶液300mLを10分間に渡り添加
した。添加終了時の反応容器内のバルク乳剤溶液のpA
gが7.40になるようにKBr水溶液の添加で調整し
た。水洗した後、実施例1のゼラチン−1を添加し40
℃でpH6.5、pAg、8.2に調整した。TAZ−
1を添加した後、58℃に昇温した。増感色素Exs−
7、Exs−8およびExs−9を添加した後、K2
rCl6、チオシアン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸
ナトリウム、N,N−ジメチルセレノウレアを添加し最
適に化学増感した。化学増感終了時にMER−1および
MER−3を添加した。
【0318】
【化11】
【0319】(乳剤Kの製法)乳剤Jの調製において、
核形成時に添加するAgNO3の量を1.96gに、K
Brの量を1.67gに、KIの量を0.172gにそ
れぞれ変更し、また、化学増感時の温度を58℃から6
1℃に変更した。それ以外は、乳剤Jとほぼ同様にして
調製した。
【0320】(乳剤Lの製法)実施例1のゼラチン−4
を4.9g、KBr、5.3gを含む水溶液1200m
Lを40℃に保ち激しく撹拌した。AgNO3、8.7
5gを含む水溶液27mLとKBr、6.45gを含む
水溶液36mLを1分間に渡りダブルジェット法で添加
した。75℃に昇温した後、AgNO3、6.9gを含
む水溶液21mLを2分間に渡り添加した。NH4
3、26g、1N、NaOH、56mLを順次、添加
した後、熟成した。熟成終了後pHを4.8に調製し
た。AgNO3、141gを含む水溶液438mLとK
Brを102.6g含む水溶液458mLをダブルジェ
ット法で最終流量が初期流量の4倍になるように添加し
た。55℃に降温した後、AgNO3を7.1gを含む
水溶液240mLとKIを6.46g含む水溶液をダブ
ルジェット法で5分間に渡り添加した。KBrを7.1
g添加した後、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム、4
mgとK2IrCl6、0.05mg添加した。AgNO
3、57.2gを含む水溶液177mLとKBr、4
0.2gを含む水溶液、223mLを8分間に渡ってダ
ブルジェット法で添加した。水洗し、乳剤Jとほぼ同様
に化学増感した。
【0321】(乳剤MおよびNの製法)乳剤Gおよび乳
剤Hとほぼ同様にして調製した。但し化学増感は乳剤J
とほぼ同様の方法で行った。
【0322】前記のハロゲン化銀乳剤の特性値を表6に
まとめて示した。表面ヨード含有率はXPSにより下記
の如く調べることができる。試料を0.5×10-5to
rr移管の真空中で−115℃まで冷却し、プローブX
線としてMgKαをX線源電圧8kV、X線電流20m
Aで照射し、Ag3d5/2、Br3d、I3d5/2
電子について測定し、測定されたピークの積分強度を感
度因子で補正し、これらの強度比から表面のヨード含有
率を求めた。なお、前記の乳剤A〜Nのハロゲン化銀粒
子には特開平3−237450号に記載されているよう
な転位線が高圧電子顕微鏡を用いて観察されている。
【0323】
【表6】
【0324】1)支持体 本実施例で用いた支持体は、下記の方法により作成し
た。
【0325】ポリエチレン−2,6−ナフタレートポリ
マー100重量部と紫外線吸収剤としてTinuvin
P.326(チバ・ガイギーCiba−Geigy社
製)2重量部とを乾燥した後、300℃にて溶融後、T
型ダイから押し出し、140℃で3.3倍の縦延伸を行
い、続いて130℃で3.3倍の横延伸を行い、さらに
250℃で6秒間熱固定して厚さ90μmのPEN(ポ
リエチレンナフタレート)フィルムを得た。なおこのP
ENフィルムにはブルー染料、マゼンタ染料及びイエロ
ー染料(公開技法:公技番号94−6023号記載のI
−1、I−4、I−6、I−24、I−26、I−2
7、II−5)を適当量添加した。さらに、直径20cm
のステンレス巻き芯に巻き付けて、110℃、48時間
の熱履歴を与え、巻き癖のつきにくい支持体とした。
【0326】2)下塗層の塗設 上記支持体は、その両面にコロナ放電処理、UV放電処
理、さらにグロー放電処理をした後、それぞれの面にゼ
ラチン0.1g/m2、ソウジウムα−スルホジ−2−
エチルヘキシルサクシネート0.01g/m2、サリチ
ル酸0.04g/m2、p−クロロフェノール0.2g
/m2、(CH2=CHSO2CH2CH2NHCO)2CH
20.012g/m2、ポリアミド−エピクロルヒドリン
重縮合物0.02g/m2の下塗液を塗布して(10m
L/m2、バーコーター使用)、下塗層を延伸時高温面
側に設けた。乾燥は115℃、6分実施した(乾燥ゾー
ンのローラーや搬送装置はすべて115℃となってい
る)。
【0327】3)バック層の塗設 下塗後の上記支持体の片方の面にバック層として下記組
成の帯電防止層、磁気記録層さらに滑り層を塗設した。
【0328】3−1)帯電防止層の塗設 平均粒径0.005μmの酸化スズ−酸化アンチモン複
合物の比抵抗は5Ω・cmの微粒子粉末の分散物(2次
凝集粒子径約0.08μm)を0.2g/m2、ゼラチ
ン0.05g/m2、(CH2=CHSO2CH2CH2
HCO)2CH20.02g/m2、ポリ(重合度10)
オキシエチレン−p−ノニルフェノール0.005g/
2及びレゾルシンと塗布した。
【0329】3−2)磁気記録層の塗設 3−ポリ(重合度15)オキシエチレン−プロピルオキ
シトリメトキシシラン(15重量%)で被覆処理された
コバルト−γ−酸化鉄(比表面積43m2/g、長軸
0.14μm、単軸0.03μm、飽和磁化89Am2
/kg、Fe+2/Fe+3=6/94、表面は酸化アルミ
酸化珪素で酸化鉄の2重量%で処理されている)0.0
6g/m2をジアセチルセルロース1.2g/m2(酸化
鉄の分散はオープンニーダーとサンドミルで実施し
た)、硬化剤としてC25C(CH2OCONH−C6
3(CH3)NCO)30.3g/m2を、溶媒としてアセ
トン、メ チルエチルケトン、シクロヘキサノンを用い
てバーコーターで塗布し、膜厚1.2μmの磁気記録層
を得た。マット剤としてシリカ粒子(0.3μm)と3
−ポリ(重合度15)オキシエチレン−プロピルオキシ
トリメトキシシラン(15重量%)で処理被覆された研
磨剤の酸化アルミ(0.15μm)をそれぞれ10mg
/m2となるように添加した。乾燥は115℃、6分実
施した(乾燥ゾーンの ローラーや搬送装置はすべて1
15℃)。X−ライト(ブルーフィルター)での磁気記
録層のDBの色濃度増加分は約0.1、また磁気記録層
の飽和磁化モーメントは4.2Am2/kg、保磁力
7.3×104A/m、角形比は65%であった。
【0330】3−3)滑り層の調製 ジアセチルセルロース(25mg/m2)、C613CH
(OH)C1020COOC4081(化合物a,6mg/
2)/C50101O(CH2CH2O)16H(化合物b,
9mg/m2)混合物を塗布した。なお、この混合物
は、キシレン/プロピレンモノメチルエーテル(1/
1)中で105℃で溶融し、常温のプロピレンモノメチ
ルエーテル(10倍量)に注加分散して作製した後、ア
セトン中で分散物(平均粒径0.01μm)にしてから
添加した。マット剤としてシリカ粒子(0.3μm)と
研磨剤の3−ポリ(重合度15)オキシエチレンプロピ
ルオキシトリメトキシシラン(15重量%)で被覆され
た酸化アルミ(0.15μm)をそれぞれ15mg/m
2となるように添加した。乾燥は115℃、6分行った
(乾燥ゾーンのローラーや搬送装置はすべて115
℃)。滑り層は、動摩擦係数0.06(5mmφのステ
ンレス硬球、荷重100g、スピード6cm/分)、静
摩擦係数0.07(クリップ法)、また後述する乳剤面
と滑り層の動摩擦係数も0.12と優れた特性であっ
た。
【0331】4)感光層の塗設(試料401) 次に、前記で得られたバック層の反対側に、下記の組成
の各層を重層塗布し、カラーネガ感光材料である試料4
01を作成した。
【0332】(感光層の組成)各層に使用する素材の主
なものは下記のように分類されている; ExC:シアンカプラー UV :紫外線吸収剤 ExM:マゼンタカプラー HBS:高沸点有機溶剤 ExY:イエローカプラー H :ゼラチン硬化剤 (具体的な化合物は以下の記載で、記号の次に数値が付
けられ、後ろに化学式が挙げられている) 各成分に対応する数字は、g/m2単位で表した塗布量
を示し、ハロゲン化銀については銀換算の塗布量を示
す。
【0333】 第1層(第1ハレーション防止層) 黒色コロイド銀 銀 0.155 沃臭化銀乳剤P 銀 0.01 ゼラチン 0.87 ExC−1 0.002 ExC−3 0.002 Cpd−2 0.001 HBS−1 0.004 HBS−2 0.002。
【0334】 第2層(第2ハレーション防止層) 黒色コロイド銀 銀 0.066 ゼラチン 0.407 ExM−1 0.050 ExF−1 2.0×10-3 HBS−1 0.074 固体分散染料 ExF−2 0.015 固体分散染料 ExF−3 0.020。
【0335】 第3層(中間層) 沃臭化銀乳剤O 0.020 ExC−2 0.022 ポリエチルアクリレートラテックス 0.085 ゼラチン 0.294。
【0336】 第4層(低感度赤感乳剤層) 沃臭化銀乳剤N 銀 0.065 沃臭化銀乳剤M 銀 0.258 ExC−1 0.109 ExC−3 0.044 ExC−4 0.072 ExC−5 0.011 ExC−6 0.003 Cpd−2 0.025 Cpd−4 0.025 HBS−1 0.17 ゼラチン 0.80。
【0337】 第5層(中感度赤感乳剤層) 沃臭化銀乳剤L 銀 0.21 沃臭化銀乳剤K 銀 0.62 ExC−1 0.14 ExC−2 0.026 ExC−3 0.020 ExC−4 0.12 ExC−5 0.016 ExC−6 0.007 Cpd−2 0.036 Cpd−4 0.028 HBS−1 0.16 ゼラチン 1.18。
【0338】 第6層(高感度赤感乳剤層) 沃臭化銀乳剤J 銀 1.47 ExC−1 0.18 ExC−3 0.07 ExC−6 0.029 ExC−7 0.010 ExY−5 0.008 Cpd−2 0.046 Cpd−4 0.077 HBS−1 0.25 HBS−2 0.12 ゼラチン 2.12。
【0339】 第7層(中間層) Cpd−1 0.089 固体分散染料ExF−4 0.030 HBS−1 0.050 ポリエチルアクリレートラテックス 0.83 ゼラチン 0.84。
【0340】 第8層(赤感層へ重層効果を与える層) 沃臭化銀乳剤I 銀 0.560 Cpd−4 0.030 ExM−2 0.096 ExM−3 0.028 ExY−1 0.031 ExG−1 0.006 HBS−1 0.085 HBS−3 0.003 ゼラチン 0.58。
【0341】 第9層(低感度緑感乳剤層) 沃臭化銀乳剤H 銀 0.39 沃臭化銀乳剤G 銀 0.28 沃臭化銀乳剤F 銀 0.35 ExM−2 0.36 ExM−3 0.045 ExG−1 0.005 HBS−1 0.28 HBS−3 0.01 HSB−4 0.27 ゼラチン 1.39。
【0342】 第10層(中感度緑感乳剤層) 沃臭化銀乳剤 実施例1の乳剤1−A 銀 0.45 ExC−6 0.009 ExM−2 0.031 ExM−3 0.029 ExY−1 0.006 ExM−4 0.028 ExG−1 0.005 HBS−1 0.064 HBS−3 2.1×10-3 ゼラチン 0.44。
【0343】 第11層(高感度緑感乳剤層) 沃臭化銀乳剤 乳剤E 銀 0.99 ExC−6 0.004 ExM−1 0.016 ExM−3 0.036 ExM−4 0.020 ExM−5 0.004 ExY−5 0.003 ExM−2 0.013 ExG−1 0.005 Cpd−4 0.007 HBS−1 0.18 ポリエチルアクリレートラテックス 0.099 ゼラチン 1.11。
【0344】 第12層(イエローフィルター層) 黄色コロイド銀 銀 0.01 Cpd−1 0.16 固体分散染料ExF−6 0.153 油溶性染料ExF−5 0.010 HBS−1 0.082 ゼラチン 1.057。
【0345】 第13層(低感度青感乳剤層) 沃臭化銀乳剤D 銀 0.18 沃臭化銀乳剤B 銀 0.20 沃臭化銀乳剤C 銀 0.07 ExC−1 0.041 ExC−8 0.012 ExY−1 0.035 ExY−2 0.71 ExY−3 0.10 ExY−4 0.005 Cpd−2 0.10 Cpd−3 4.0×10-3 HBS−1 0.24 ゼラチン 1.41。
【0346】 第14層(高感度青感乳剤層) 沃臭化銀乳剤A 銀 0.75 ExC−1 0.013 ExY−2 0.31 ExY−3 0.05 ExY−6 0.062 Cpd−2 0.075 Cpd−3 1.0×10-3 HBS−1 0.10 ゼラチン 0.91。
【0347】 第15層(第1保護層) 沃臭化銀乳剤O 銀 0.30 UV−1 0.21 UV−2 0.13 UV−3 0.20 UV−4 0.025 F−18 0.009 F−19 0.005 F−20 0.005 HBS−1 0.12 HBS−4 5.0×10-2 ゼラチン 2.3。
【0348】 第16層(第2保護層) H−1 0.40 B−1(直径1.7μm) 5.0×10-2 B−2(直径1.7μm) 0.15 B−3 0.05 S−1 0.20 ゼラチン 0.75。
【0349】更に、各層に適宜、保存性、処理性、圧力
耐性、防黴・防菌性、帯電防止性及び塗布性をよくする
ために、W−1ないしW−5、B−4ないしB−6、F
−1ないしF−18及び、鉄塩、鉛塩、金塩、白金塩、
パラジウム塩、イリジウム塩、ルテニウム塩、ロジウム
塩が含有されている。また、第8層の塗布液にハロゲン
化銀1モル当たり8.5×10-3グラム、第11層に
7.9×10-3グラムのカルシウムを硝酸カルシウム水
溶液で添加し、試料を作製した。
【0350】有機固体分散染料の分散物の調製 下記、ExF−3を次の方法で分散した。即ち、水2
1.7ミリリットル及び5%水溶液のp−オクチルフェ
ノキシエトキシエトキシエタンスルホン酸ソーダ3ミリ
リットル並びに5%水溶液のp−オクチルフェノキシポ
リオキシエチレンエーテル(重合度10)0.5gとを
700ミリリットルのポットミルに入れ、染料ExF−
2を5.0gと酸化ジルコニウムビーズ(直径1mm)
500ミリリットルを添加して内容物を2時間分散し
た。この分散には中央工機製のBO型振動ボールミルを
用いた。分散後、内容物を取り出し、12.5%ゼラチ
ン水溶液8gに添加し、ビーズを濾過して除き、染料の
ゼラチン分散物を得た。染料微粒子の平均粒径は0.2
4μmであった。
【0351】同様にして、ExF−4の固体分散物を得
た。染料微粒子の平均粒径は、0.45μmであった。
ExF−2は欧州特許出願公開(EP)第549,48
9A号明細書の実施例1に記載の微小析出(Micro
precipitation)分散方法により分散し
た。平均粒径は0.06μmであった。
【0352】ExF−6の固体分散物を以下の方法で分
散した。
【0353】水を18%含むExF−6のウェットケー
キ2800gに4000gの水及びW−2の3%溶液を
376g加えて攪拌し、ExF−6の濃度32%のスラ
リーとした。次にアイメックス(株)製ウルトラビスコ
ミル(UVM−2)に平均粒径0.5mmのジルコニア
ビーズを1700mL充填し、スラリーを通して周速約
10m/sec、吐出量0.5リットル/minで8時
間粉砕した。平均粒径は0.52μmであった。
【0354】(増感色素の固体微分散物の調製)本発明
の増感色素は、特開平11−52507号に記載の方法
で作成した固体微分散物として使用した。
【0355】例えば増感色素ExC−1の固体微分散物
を次のようにして作成した。
【0356】NaNO3 0.8重量部およびNa2SO4
3.2重量部をイオン交換水43部に溶解し、増感色
素13重量部を添加し、60℃の条件下でディゾルバー
翼を用い2000rpmで20分間分散することによ
り、増感色素ExC−1の固体分散物を得た。
【0357】上記各層の形成に用いた化合物は、以下に
示すとおりである。
【0358】
【化12】
【0359】
【化13】
【0360】
【化14】
【0361】
【化15】
【0362】
【化16】
【0363】
【化17】
【0364】
【化18】
【0365】
【化19】
【0366】
【化20】
【0367】
【化21】
【0368】
【化22】
【0369】
【化23】
【0370】
【化24】
【0371】
【化25】
【0372】
【化26】
【0373】
【化27】
【0374】(試料402から試料405の作成)第1
0層の乳剤1−Aに代えて1−C、1−G、1−H、1
−Nを用いて試料402から試料405を作成した。
【0375】これらの試料を40℃、相対湿度70%の
条件下で14時間硬膜処理を施した。その後、富士フイ
ルム(株)製ゼラチンフィルターSC−39(カットオ
フ波長が390nmである長波長光透過フィルター)と
連続ウェッジを通して1/100秒間露光した。現像は富士
写真フイルム社製自動現像機FP−360Bを用いて以
下により行った。尚、漂白浴のオーバーフロー液を後浴
へ流さず、全て廃液タンクへ排出する様に改造を行っ
た。このFP−360Bは発明協会公開技法94−49
92号に記載の蒸発補正手段を搭載している。
【0376】処理工程及び処理液組成を以下に示す。
【0377】 (処理工程) 工程 処理時間 処理温度 補充量* タンク容量 発色現像 3分 5秒 37.8 ℃ 20 ミリリットル 11.5リットル 漂 白 50秒 38.0 ℃ 5 ミリリットル 5リットル 定着 (1) 50秒 38.0 ℃ − 5リットル 定着 (2) 50秒 38.0 ℃ 8 ミリリットル 5リットル 水 洗 30秒 38.0 ℃ 17 ミリリットル 3リットル 安定 (1) 20秒 38.0 ℃ − 3リットル 安定 (2) 20秒 38.0 ℃ 15 ミリリットル 3リットル 乾 燥 1分30秒 60.0 ℃ *補充量は感光材料35mm幅1.1m当たり(24Ex.1本相当)。
【0378】安定液及び定着液は(2)から(1)への
向流方式であり、水洗水のオーバーフロー液は全て定着
浴(2)へ導入した。尚、現像液の漂白工程への持ち込
み量、漂白液の定着工程への持ち込み量、及び定着液の
水洗工程への持ち込み量は感光材料35mm幅1.1m
当たりそれぞれ2.5ミリリットル、2.0ミリリット
ル、2.0ミリリットルであった。また、クロスオーバ
ーの時間はいずれも6秒であり、この時間は前工程の処
理時間に包含される。
【0379】上記処理機の開口面積は発色現像液で10
0cm2、漂白液で120cm2、その他の処理液は約1
00cm2であった。
【0380】以下に処理液の組成を示す。
【0381】 (発色現像液) タンク液(g) 補充液(g) ジエチレントリアミン五酢酸 3.0 3.0 カテコール−3,5−ジスルホン酸 ジナトリウム 0.3 0.3 亜硫酸ナトリウム 3.9 5.3 炭酸カリウム 39.0 39.0 ジナトリウム−N,N−ビス(2−スル ホナートエチル)ヒドロキシルアミン 1.5 2.0 臭化カリウム 1.3 0.3 沃化カリウム 1.3mg − 4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3, 3a,7−テトラザインデン 0.05 − ヒドロキシルアミン硫酸塩 2.4 3.3 2−メチル−4−〔N−エチル−N− (β−ヒドロキシエチル)アミノ〕 アニリン硫酸塩 4.5 6.5 水を加えて 1.0リットル 1.0リットル pH(水酸化カリウムと硫酸にて調整) 10.05 10.18。
【0382】 (漂白液) タンク液(g) 補充液(g) 1,3−ジアミノプロパン四酢酸第二 鉄アンモニウム一水塩 113 170 臭化アンモニウム 70 105 硝酸アンモニウム 14 21 コハク酸 34 51 マレイン酸 28 42 水を加えて 1.0リットル 1.0リットル pH〔アンモニア水で調整〕 4.6 4.0。
【0383】(定着(1)タンク液)上記漂白タンク液
と下記定着タンク液の5対95(容量比)混合液(pH
6.8)。
【0384】 (定着(2)) タンク液(g) 補充液(g) チオ硫酸アンモニウム水溶液 240ミリリットル 720 ミリリットル (750g/リットル) イミダゾール 7 21 メタンチオスルホン酸アンモニウム 5 15 メタンスルフィン酸アンモニウム 10 30 エチレンジアミン四酢酸 13 39 水を加えて 1.0リットル 1.0リットル pH〔アンモニア水、酢酸で調整〕 7.4 7.45。
【0385】(水洗水)水道水をH型強酸性カチオン交
換樹脂(ロームアンドハース社製アンバーライトIR−
120B)と、OH型強塩基性アニオン交換樹脂(同ア
ンバーライトIR−400)を充填した混床式カラムに
通水してカルシウム及びマグネシウムイオン濃度を3m
g/リットル以下に処理し、続いて二塩化イソシアヌー
ル酸ナトリウム20mg/リットルと硫酸ナトリウム1
50mg/リットルを添加した。この液のpHは6.5
〜7.5の範囲にあった。
【0386】 (安定液) タンク液、補充液共通 (単位g) p−トルエンスルフィン酸ナトリウム 0.03 ポリオキシエチレン−p−モノノニルフェニルエーテル 0.2 (平均重合度10) 1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン・ナトリウム 0.10 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.05 1,2,4−トリアゾール 1.3 1,4−ビス(1,2,4−トリアゾール−1− イルメチル)ピペラジン 0.75 水を加えて 1.0リットル pH 8.5。
【0387】処理済みの試料を緑色フィルターで濃度測
定することにより写真性能の評価を行った。感度はマゼ
ンタ濃度が被り濃度プラス0.7の濃度に到達するのに
必要な露光量の逆数の相対値で評価した。また、濃度
1.3を与える一様な露光を行い、粒状度の測定も行っ
た。粒状度は、マクミラン社刊、「ザ・セオリー・オブ
・ザ・フォトグラフィック・プロセス」P.619に記
述される方法で測定し、試料401の粒状度を100と
した相対値で表示した。結果を表7に示す。実施例1で
示した結果と同様にカラーネガ重層中においても、本発
明の効果は顕著であった。
【0388】また、実施例1〜3で調製した他の乳剤に
ついても上記と同様の評価を行ったが、カラーネガの重
層構成においてもその相対関係は同様であった。
【0389】
【表7】

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 全粒子の等価円相当直径分布の変動係数
    が40ないし3%であり、かつ下記(i)から(iv)
    を満たす平板粒子が全投影面積の50%以上を占めるこ
    とを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。 (i) (111)面を主表面とする沃臭化銀または
    沃塩臭化銀平板粒子。 (ii) 等価円相当直径が1.0μm以上かつ粒子厚
    みが0.10μm以下。 (iii)粒子フリンジ部に1粒子当たり30本以上の
    転位線を含む。 (iv) (111)主表面に垂直な方向から見た時
    に、実質的に辺や角の一部が欠けていない六角形または
    三角形の形状を有する。
  2. 【請求項2】 前記の(i)から(iv)を満たす平板
    粒子が全投影面積の80%以上を占めることを特徴とす
    る請求項1に記載のハロゲン化銀写真乳剤。
  3. 【請求項3】 前記の(i)から(iv)を満たす平板
    粒子が、さらに下記(v)を満たすことを特徴とする請
    求項1に記載のハロゲン化銀写真乳剤。(v)実質的に
    粒子フリンジ部のみに転位線が局在する。
  4. 【請求項4】 前記の(i)から(v)を満たす平板粒
    子が全投影面積の80%以上を占めることを特徴とする
    請求項3に記載のハロゲン化銀写真乳剤。
  5. 【請求項5】 全粒子の等価円相当直径分布の変動係数
    が25ないし3%であることを特徴とする請求項1ない
    し4のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真乳剤。
  6. 【請求項6】 全粒子の等価円相当直径分布の変動係数
    が15ないし3%であることを特徴とする請求項5に記
    載のハロゲン化銀写真乳剤。
  7. 【請求項7】 テルル増感剤によって化学増感されてい
    ることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に
    記載のハロゲン化銀写真乳剤。
  8. 【請求項8】 支持体上に少なくとも1層のハロゲン化
    銀乳剤を有するハロゲン化銀写真感光材料において、該
    ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも1層が請求項1ないし
    7のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真乳剤を含む
    ことを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1316314C (zh) * 2000-09-22 2007-05-16 富士胶片株式会社 卤化银照相乳剂和含该乳剂的卤化银照相感光材料

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