JP2004004582A - ハロゲン化銀写真乳剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】厚みが0.13μm未満、円相当径が1.0μm以上で、かつ、双晶面と粒子主表面に囲まれるフリンジ内部(領域A)の沃化銀含量が2枚の双晶面で囲まれるフリンジ内部(領域B)の沃化銀含量よりも高い沃臭化銀もしくは塩沃臭化銀平板粒子を全粒子の個数の50%以上含有することを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感度と鮮鋭度および処理依存性の改良されたハロゲン化銀写真乳剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年コンパクトカメラのズーム化が進んでおり、3倍ズーム4倍ズームといった高倍率のズーム機が主流を占めるようになってきている。これらのズーム機は気軽に写真を楽しむには有意義であるが、必ずしも画質の点では満足のいくものとはいえないのが実情である。例えば望遠側ではレンズのF値が10を超える機種もあり露光不足になりがちである。また、ストロボの到達距離が短いために露光アンダーになるケースが多い。このような状況を救済するために高感度なフイルムが強く望まれている。
【0003】
1996年には従来の135フォーマットよりも画面サイズの小さいAPS(Advanced Photo System)が発売された。プリント倍率は従来よりも高くなるため、より高画質なフイルムが必要となる。
【0004】
このような要請に対し写真感度を高めるとともに、粒子の微粒子化を図るために、平板状ハロゲン化銀粒子の開発が行われてきた。平板状ハロゲン化銀粒子に関してはすでに米国特許第(以下、「US」とも表記する。)4,434,226号、同4,439,520号、同4,414,310号、同4,433,048号、同4,414,306号、同4,459,353号等にその製法、及び使用技術が開示されており、分光増感色素による色増感効率の向上を含む、感度/粒状性の関係改良等の利点が知られている。
【0005】
しかし平板粒子の利点を追求していくためにアスペクト比(粒子の円相当径/粒子厚み)を高めると粒子厚みは薄くなる。特に厚みが0.13μm未満、円相当径が1.0μm以上の粒子を用いると感光材料として処理安定性が劣り、実用に供することができないという大きな問題があった。したがって、厚み0.13μm未満の非常に薄い平板粒子を高画質で高感度なフイルムに用いることはできなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明の課題は、ハロゲン化銀写真感光材料を、高感度で高画質にし、その処理依存性を改良することのできるハロゲン化銀写真乳剤を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者が鋭意検討した結果、上記本発明の課題は、粒子厚み0.13μm未満で、特定の構造を有する平板状ハロゲン化銀粒子を使用することにより達成できることが見出された。すなわち、本発明は、以下のハロゲン化銀写真乳剤およびそれを用いるハロゲン化銀写真感光材料を提供する。
(1) 厚みが0.13μm未満、円相当径が1.0μm以上で、かつ、双晶面と粒子主表面に囲まれるフリンジ内部(領域A(領域A1およびA2))の沃化銀含量が2枚の双晶面で囲まれるフリンジ内部(領域B)の沃化銀含量よりも高い沃臭化銀もしくは塩沃臭化銀平板粒子を全粒子の個数の50%以上含有することを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。
(2) 前記厚みが0.1μm未満であることを特徴とする(1)に記載のハロゲン化銀写真乳剤。
【0008】
(3) 前記の領域Aの沃化銀含量が7mol%以上であることを特徴とする(1)または(2)に記載のハロゲン化銀写真乳剤。
【0009】
(4) 支持体上に少なくとも1層の感光性ハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、該感光性ハロゲン化銀乳剤層に(1)〜(3)のいずれか1に記載のハロゲン化銀乳剤を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明で平板粒子とは2つの対向する平行な(111)主表面を有するハロゲン化銀粒子を言う。本発明の平板粒子は2枚以上の平行な双晶面を有する。双晶面とは(111)面の両側ですべての格子点のイオンが鏡像関係にある場合にこの(111)面のことをいう。
この平板粒子は、粒子を主表面に対して垂直方向から見た時、三角形状、六角形状もしくはその中間の切頭三角形の形状をしており、それぞれ互いに平行な主表面を有している。
【0011】
平板粒子の円相当径ならびに厚みは、レプリカ法による透過電子顕微鏡写真を撮影して個々の粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径(円相当径)と厚みを求める。この場合、厚みはレプリカの影(シャドー)の長さから算出する。また全粒子の円相当径およびその変動係数、全粒子の厚さおよびその変動係数は粒子1000個以上について上記の方法で求めた値を用いて決定する。
【0012】
本発明の乳剤は単分散であることが好ましい。単分散であるとは全ハロゲン化銀粒子の投影面積の円相当径の変動係数が30%以下のことをいう。特に好ましくは円相当径の変動係数が20%以下である。ここで円相当径の変動係数とは個々のハロゲン化銀粒子の円相当径の分布の標準偏差を平均円相当径で割った値である。本発明において、円相当径の好ましい範囲は1.0μm以上10μm以下、より好ましい範囲は1.0μm以上6μm以下、最も好ましい範囲は1.0μm以上4μm以下である。
本発明に用いる平板粒子の厚さは、好ましくは0.13μm未満であり、より好ましくは0.1μm未満である。本発明の乳剤は、これら平板粒子が全粒子個数の50%以上を占める。より好ましくはこれら平板粒子が粒子個数の70%以上、さらに好ましくは90%以上を占める乳剤である。
【0013】
ハロゲン化銀粒子を化学増感する際に、粒子間に不均一があると各粒子を最適に増感することが困難であるため、写真感度の低下を生じる。この点から、平板粒子の厚さは単分散であることが好ましい。
厚さの変動係数は、30%以下であることが好ましく、20%以下であることがさらに好ましい。
【0014】
本発明の平板粒子の双晶面間隔に特に規定はないが全粒子個数の50%以上が0.016μm以下であることが好ましく、0.014μm以下であることがさらに好ましく、0.012μm以下であることが最も好ましい。双晶面を3枚以上有する平板粒子については、最も距離の離れた二つの双晶面間距離を双晶面間隔とする。
【0015】
双晶面間隔は、粒子の超薄切片を作成し、それを透過電子顕微鏡で観察することにより得ることができる。全粒子個数の50%以上の双晶面間隔が0.016μm以下であるとは1000個以上の粒子の双晶面間隔を測定したときに、500個以上の粒子が、0.016μm以下であれば良い。また双晶面間隔の変動係数も同様に1000個以上の粒子の双晶面を計測することにより得ることができる。
【0016】
平板粒子の双晶面間隔も粒子間の均一性の観点から、単分散であることによって各粒子を最適に化学増感することがより容易になる。
平板粒子の双晶面間隔の変動係数は40%以下であることが好ましく、30%以下であることがさらに好ましい。
【0017】
本発明の平板粒子の構造を図面を参照して以下に詳細に説明する。
図1は、本発明の乳剤が含有する粒子のうち、典型的な平板粒子である双晶面を二枚有する平板粒子1を模式的に表わした断面図である。この断面図は、平板粒子の主表面21および22における重心31および32を通り、主表面21、22に対して垂直な方向に切断した断面図である。図2も図1と同じ断面図を示す。
【0018】
本発明において、フリンジ部11とは、図2に示す断面図に示すように、粒子の中心線4と側面5との間の距離をLとしたときに、粒子の中心線から0.8L以上離れている部分をいう。ここで、粒子の中心線4とは、図1および図2に示す断面図において、主表面21の重心3を通り、主表面に対して垂直に引いた線をいう。中心線4と側面5との距離とは、中心線上に存在する各点、すなわち各中心点から主表面に平行に延ばした線の、中心点から平板粒子の側面までの距離をいう。
【0019】
本発明において、フリンジ内部6とは、上で規定したフリンジ部のうち、外表面(主表面21および22、並びに側面5)からそれぞれ5nm以上内側の部分をいう。図3および図4に、フリンジ内部6が存在する部分を斜線で示す。図3は図1と同じ断面図を示す。図4は、平板粒子1を主表面21もしくは22に垂直な方向から観察した場合のフリンジ内部6(領域AおよびBから成る)が存在する位置を示すものである。
【0020】
本発明において、フリンジ内部(領域A)とは、フリンジ内部6のうち、平板粒子の一つの双晶面(71又は72)および一つの主表面(21又は22)に囲まれる領域をいう。ここで、粒子の双晶面と主表面の組み合わせは、一つの双晶面とその双晶面に近い側の主表面とする。すなわち、一つの双晶面として上方の双晶面71を選択した場合、組み合わせられるべき主表面は上方の主表面21であり、一方、一つの双晶面として下方の双晶面72を選択した場合、組み合わせられるべき主表面は下方の主表面22である。図1に示すように、フリンジ内部(領域A)は、粒子の上部に存在する領域A1と、粒子の下部に存在する領域A2との二つの領域とから構成される。これら二つの領域A1と領域A2は、通常、互いに面対称の位置にあり、そのハロゲン組成は同じである。
【0021】
一方、本発明において、フリンジ内部(領域B)とは、フリンジ内部6のうち、二つの双晶面(71および72)で囲まれる領域をいう。すなわち、フリンジ内部(領域B)は、フリンジ内部から上述したフリンジ内部Aを除いた部分をいう。
平板粒子が双晶面を三枚以上有する場合は、最も距離の離れた二つの双晶面を選択して、フリンジ部(領域A)およびフリンジ部(領域B)を決定する。
【0022】
上記の平板粒子内の局所的な沃化銀含有率は分析電顕により調べられ、本発明では以下の様な方法で平板粒子を主表面に垂直に切り、粒子側面方向から電子線を照射して測定を行う。すなわち、粒子形成途中でサンプリングした乳剤や粒子形成を終了した最終粒子乳剤あるいは感光材料を蛋白質分解酵素で処理し、遠心分離することにより取り出した粒子をトリアセチルセルロース支持体上に塗布して、さらに樹脂を用いて粒子を包埋する。この試料からウルトラミクロトームで厚さ約50nmの切片を切削して支持膜を張った銅メッシュ上に載せる。
【0023】
この粒子の所定の部分を、分析電顕を用いてスポット径(直径)を2nm以下に絞った点分析を行って沃化銀含有率を測定する。沃化銀含有率は、検量線として含有率既知のハロゲン化銀粒子を同様に処理してAg強度とI強度の比率をあらかじめ求めておくことにより、求めることができる。分析電顕の分析線源としては熱電子を用いたものよりも、電子密度の高いフィールドエミッション型の電子銃が適しており、スポット径を1nm以下に絞ることにより、微小部分のハロゲン組成を容易に分析できる。
【0024】
本発明の平板粒子は、全粒子個数の50%以上、好ましくは全粒子個数の65%以上、より好ましくは全粒子個数の80%以上が、領域Aの沃化銀含量が領域Bの沃化銀含量よりも高いことを特徴とする。領域AおよびBの沃化銀含量は、各々の領域を上述した分析電顕で測定した沃化銀含有率の粒子内平均と定義する。全粒子個数の50%以上とは100個の粒子を上記方法で測定したときに50個以上の粒子が該当することを言う。
また、領域Aの沃化銀含量が7mol%以上であると好ましく、さらに好ましくは10mol%以上、12mol%以上が最も好ましい。
また、全粒子個数の50%以上が、領域Aの沃化銀含量よりも領域Bの沃化銀含量が低いことが本発明の特徴である。
領域Bの沃化銀含量は領域Aよりも2mol%低いことが好ましく、さらに好ましくは4mol%以上最も好ましくは7mol%以上低いことが好ましい。 このような沃化銀構造を持つことにより処理依存性が改良されることは、予想することができない新たな発見であった。
【0025】
本発明の平板粒子の調製は基本的には核形成、熟成ならびに成長の3工程の組み合わせよりなる。米国特許第4,797,354号及び特開平2−838号に記載の方法は本発明の平板粒子の調製の参考にすることができるが、その諸条件は変更する必要がある。
米国特許第5,147,771号,同第5,147,772号,同第5,147,773号,同第5,171,659号,同第5,210,013号ならびに同第5,252,453号に記載のポリアルキレンオキサイド化合物を用いた平板粒子の形成法は本発明の平板の調製に好ましく用いられる。
【0026】
本発明における乳剤粒子の好ましい臭化銀含有率の範囲は80モル%以上であり、より好ましくは90モル%以上である。
また、本発明における乳剤粒子の好ましい沃化銀含有率の範囲は1ないし20モル%であり、より好ましくは2ないし15モル%、さらに好ましくは3ないし10モル%である。1モル%未満では色素吸着の強化、固有感度の上昇などの効果が得にくく好ましくない。20モル%を超えると一般に現像速度が遅れるため好ましくない。
本発明の好ましい塩化銀含有率の範囲は0〜20モル%であり、より好ましくは0〜15モル%、特に好ましくは0〜7モル%であるが、目的に応じて選んで良い。
【0027】
本発明の乳剤は、特定沃化銀含有率をIモル%(0.3<I<20)とした場合に沃化銀含有率が0.7Iないし1.3Iの範囲にあるハロゲン化銀粒子が全粒子個数の100ないし50%を占めることが好ましく、より好ましくは100ないし80%、さらに好ましくは100ないし90%を占める。これ以外の範囲では本発明の効果が得られにくく好ましくない。
さらに、本発明の乳剤は、沃化銀含有率が0.8Iないし1.2Iの範囲にあるハロゲン化銀粒子が全粒子個数の100ないし50%を占めることもまた好ましく、より好ましくは100ないし80%、さらに好ましくは100ないし90%を占める。
上記特定沃化銀含有率Iの値は(0.3<I<20)の範囲の任意の値とし、例えば個々の粒子の沃化銀含有率を測定した時の平均値を選んでもよい。
【0028】
本発明の乳剤に関する「特定沃化銀含有率(Iモル%)」とは、該乳剤の処方上算出される平均沃化銀含有率に近い値をとる特定の沃化銀含有率である。Iは0.3モル%を越え20モル%未満の範囲内の特定値である。ハロゲン化銀写真感光材料の特定の乳剤層から単離された特定の乳剤粒子群に対して沃化銀含有率を測定し、できるだけ多くの粒子が0.7Iないし1.3Iの範囲に入るように特定することができる。一般には上記の特定の乳剤粒子群に対する沃化銀含有率の算術平均値に近い値となる。I値を処方上の平均沃化銀含有率又は実測された平均沃化銀含有率に設定することは実際的である。
【0029】
個々の乳剤粒子の沃化銀含有率は、X線マイクロアナライザーを用いて1個1個の粒子の組成を分析することにより測定できる。
その測定法は例えば欧州特許第147,868号に記載されている。
【0030】
本発明における平板粒子は粒子内部に転位線を有していると好ましい。以下に平板粒子内への転位線導入についてに説明する。
転位線とは結晶のすべり面上で、すでにすべった領域とまだすべらない領域の境界にある線状の格子欠陥のことである。ハロゲン化銀結晶の転位線に関しては、1)C.R.Berry,J.Appl.Phys.,27,636(1956),2)C.R.Berry,D.C.Skilman,J.Appl.Phys.,35,2165(1964),3)J.F.Hamilton,Phot.Sci.Eng.,11,57(1967),4)T.Shiozawa,J.Soc.Phot.Sci.Jap.,34,16(1971),5)T.Shiozawa,J.Soc.Phot.Sci.Jap.,35,213(1972)等の文献があり、X線回折法または低温透過型電子顕微鏡を用いた直接的観察方法により解析できる。透過型電子顕微鏡を用いて転位線を直接観察する場合、粒子に転位線が発生するほどの圧力をかけないよう注意して乳剤から取り出したハロゲン化銀粒子を電子顕微鏡観察用のメッシュにのせ、電子線による損傷(例えばプリントアウト)を防ぐように試料を冷却した状態で透過法により観察を行う。
【0031】
一方、転位線の写真性能に及ぼす影響としては、G.C.Farnell,R.B.Flint,J.B.Chanter,J.Phot.Sci.,13,25(1965)の文献があり、大きいサイズの高アスペクト比平板状ハロゲン化銀粒子において、潜像核が形成される場所と粒子内の欠陥とが密接な関係にあることが示されている。例えば米国特許4,806,461号、5,498,516号、同5,496,694号、同5,476,760号、同5,567,580号、特開平4−149541号、同4−149737号にはハロゲン化銀粒子中に転位線をコントロールして導入する技術に関して記載がある。これらの特許等の中で転位線を導入した平板粒子は、転位線のない平板粒子と比較して、感度、圧力性等の写真特性に優れていることが示されている。本発明において、これらの特許に記載の乳剤を用いることは好ましい。
【0032】
平板粒子の場合、前述のように電子顕微鏡を用いて撮影した粒子の写真より、主表面に対して垂直方向から見た場合の各粒子についての転位線の位置と本数を求めることができる。本発明の平板粒子に転位線を導入する場合、出来るだけ粒子フリンジ部に限定することが好ましい。
【0033】
本発明では平板粒子フリンジ部に高密度の転位線を導入することは好ましく、粒子フリンジ部に10本以上の転位線を有する平板粒子が好ましい。より好ましくは30本以上、さらに好ましくは50本以上の転位線を粒子フリンジ部に有する。転位線が密集して存在する場合、または転位線が互いに交わって観察される場合には、1粒子当たりの転位線の数は明確には数えることができないことがある。しかしながら、これらの場合においてもおおよそ10本、20本、30本という程度には数えることができる。
【0034】
本発明の平板粒子は粒子間の転位線量分布が均一であることが粒子間の均質性の点で好ましい。本発明の乳剤では、粒子フリンジ部に1粒子当たり10本以上の転位線を含むハロゲン化銀平板粒子が全粒子個数の50%以上を占めることが好ましく、より好ましくは80%以上を占める。50%未満では高感化が得られにくく好ましくない。
また、本発明では1粒子当たり30本以上の転位線を含むハロゲン化銀平板粒子が全粒子個数の50%以上を占めることが好ましく、より好ましくは80%以上を占める。
【0035】
さらに、本発明の平板粒子は粒子内の転位線導入位置が均質であることが望ましい。本発明の乳剤では実質的に粒子フリンジ部のみに転位線が局在するハロゲン化銀平板粒子が全粒子個数の50%以上を占めることが好ましく、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは80%以上を占める。
【0036】
本明細書において、「実質的に粒子フリンジ部のみ」とは、粒子フリンジ部以外、すなわち粒子中心部に転位線を5本以上含まないことをいう。粒子中心部とは、粒子を主表面に対して垂直方向から見たときにフリンジ領域に囲まれた内側の領域をいう。
本発明において転位線を含む粒子の割合及び転位線の本数を求める場合は、少なくとも100粒子について転位線を直接観察して求めることが好ましく、より好ましくは200粒子以上、特に好ましくは300粒子以上について観察して求める。
【0037】
本発明の乳剤およびこれと併用することができる本発明以外の写真乳剤は、グラフキデ著「写真の物理と化学」、ポールモンテル社刊(P.Glafkides,Chemie et Phisique Photographique,Paul Montel,1967)、ダフィン著「写真乳剤化学」,フォーカルプレス社刊(G.F.Duffin,Photographic Emulsion Chemistry(Focal Press,1966))、ゼリクマン等著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊(V.L.Zelikman et al.,Making and Coating Photographic Emulsion,Focal Press,1964)などに記載された方法に準じて、適宜変更を加えることにより調製することができる。すなわち、酸性法、中性法、アンモニア法等のいずれでもよく、また可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる形式としては片側混合法、同時混合法、それらの組合わせなどのいずれを用いてもよい。粒子を銀イオン過剰の下において形成させる方法(いわゆる逆混合法)を用いることもできる。同時混合法の一つの形式としてハロゲン化銀の生成する液相中のpAgを一定に保つ方法、すなわちいわゆるコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。この方法によると、結晶形が規則的で粒子サイズが均一に近いハロゲン化銀乳剤が得られる。
【0038】
乳剤調製用の反応容器にあらかじめ沈澱形成したハロゲン化銀粒子を添加する方法、米国特許第4,334,012号、同第4,301,241号、同第4,150,994号に記載の方法は、場合により好ましい。これらは種結晶として用いることもできるし、成長用のハロゲン化銀として供給する場合も有効である。後者の場合、粒子サイズの小さい乳剤を添加するのが好ましく、添加方法として一度に全量添加、複数回に分割して添加あるいは連続的に添加するなどのなかから選んで用いることができる。また表面を改質させるために種々のハロゲン組成の粒子を添加することも場合により有効である。
【0039】
ハロゲン化銀粒子のハロゲン組成の大部分あるいはごく一部分をハロゲン変換法によって変換させる方法は米国特許第3,477,852号、同第4,142,900号、欧州特許(以下、EUともいう)第273,429号、同第273,430号、西独公開特許第3,819,241号などに開示されており、有効な粒子形成法である。より難溶性の銀塩に変換するのに可溶性ハロゲンの溶液あるいはハロゲン化銀粒子を添加することができる。一度に変換する、複数回に分割して変換する、あるいは連続的に変換するなどの方法から選ぶことができる。
【0040】
粒子成長の方法として、一定濃度、一定流速で可溶性銀塩とハロゲン塩を添加する方法以外に、英国特許(以下、GBともいう)第1,469,480号、米国特許第3,650,757号、同第4,242,445号に記載されているように濃度を変化させる、あるいは流速を変化させる粒子形成法は好ましい方法である。濃度を増加させる、あるいは流速を増加させることにより、供給するハロゲン化銀量を添加時間の一次関数、二次関数、あるいはより複雑な関数で変化させることができる。また必要により供給ハロゲン化銀量を減量することも場合により好ましい。さらに溶液組成の異なる複数個の可溶性銀塩を添加する、あるいは溶液組成の異なる複数個の可溶性ハロゲン塩を添加する場合に、一方を増加させ、もう一方を減少させるような添加方式も有効な方法である。
【0041】
可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩の溶液を反応させる時の混合器は米国特許第2,996,287号、同第3,342,605号、同第3,415,650号、同第3,785,777号、西独公開特許2,556,885号、同第2,555,364号に記載されている方法のなかから選んで用いることができる。
【0042】
熟成を促進する目的に対してハロゲン化銀溶剤が有用である。例えば熟成を促進するのに過剰量のハロゲンイオンを反応器中に存在せしめることが知られている。また他の熟成剤を用いることもできる。これらの熟成剤は銀およびハロゲン化物塩を添加する前に反応器中の分散媒中に全量を配合しておくことができるし、ハロゲン化物塩、銀塩または解膠剤を加えると共に反応器中に導入することもできる。別の変形態様として、熟成剤をハロゲン化物塩および銀塩添加段階で独立して導入することもできる。
【0043】
熟成剤としては、例えば、アンモニア、チオシアン酸塩(例えば、ロダンカリ、ロダンアンモニウム)、有機チオエーテル化合物(例えば、米国特許第3,574,628号、同第3,021,215号、同第3,057,724号、同第3,038,805号、同第4,276,374号、同第4,297,439号、同第3,704,130号、同第4,782,013号、特開昭57−104926号に記載の化合物)、チオン化合物(例えば、特開昭53−82408号、同55−77737号、米国特許第4,221,863号に記載されている四置換チオウレアや、特開昭53−144319号に記載されている化合物)や、特開昭57−202531号に記載されているハロゲン化銀粒子の成長を促進しうるメルカプト化合物、アミン化合物(例えば、特開昭54−100717号)があげられる。
【0044】
本発明の乳剤の調製時に用いられる保護コロイドとして、及びその他の親水性コロイド層のバインダーとしては、ゼラチンを用いるのが有利であるが、それ以外の親水性コロイドも用いることができる。
例えば、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマー、アルブミン、カゼインのような蛋白質;ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロース硫酸エステル類のようなセルロース誘導体;アルギン酸ソーダ、澱粉誘導体のような糖誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分アセタール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾールのような単一あるいは共重合体の如き多種の合成親水性高分子物質を用いることができる。
ゼラチンとしては石灰処理ゼラチンのほか、酸処理ゼラチンやBull.Soc.Sci.Photo.Japan.No.16.P30(1966)に記載されたような酵素処理ゼラチンを用いてもよく、また、ゼラチンの加水分解物や酵素分解物も用いることができる。
【0045】
本発明の乳剤は脱塩のために水洗し、新しく用意した保護コロイド分散にすることが好ましい。水洗の温度は目的に応じて選べるが、5℃〜50℃の範囲で選ぶことが好ましい。水洗時のpHも目的に応じて選べるが2〜10の範囲で選ぶことが好ましい。さらに好ましくは3〜8の範囲である。水洗時のpAg も目的に応じて選べるが5〜10の範囲で選ぶことが好ましい。水洗の方法としてヌードル水洗法、半透膜を用いた透析法、遠心分離法、凝析沈降法、イオン交換法のなかから選んで用いることができる。凝析沈降法の場合には硫酸塩を用いる方法、有機溶剤を用いる方法、水溶性ポリマーを用いる方法、ゼラチン誘導体を用いる方法などから選ぶことができる。
【0046】
米国特許第3,772,031号に記載されているようなカルコゲン化合物を乳剤調製中に添加する方法も有用な場合がある。S、Se、Te以外にもシアン塩、チオシアン塩、セレノシアン酸、炭酸塩、リン酸塩、酢酸塩を存在させてもよい。
【0047】
本発明のハロゲン化銀粒子はカルコゲン増感(硫黄増感、セレン増感等)、貴金属増感(金増感、パラジウム増感等)および還元増感の少なくとも1つをハロゲン化銀乳剤の製造工程の任意の工程で施こすことができる。2種以上の増感法を組み合せることは好ましい。どの工程で化学増感するかによって種々のタイプの乳剤を調製することができる。粒子の内部に化学増感核をうめ込むタイプ、粒子表面から浅い位置にうめ込むタイプ、あるいは表面に化学増感核を作るタイプがある。本発明の乳剤は目的に応じて化学増感核の場所を選ぶことができるが、一般に好ましいのは表面近傍に少なくとも一種の化学増感核を作った場合である。
【0048】
本発明で好ましく実施しうる化学増感の一つはカルコゲン増感と貴金属増感の単独又は組合せであり、ジェームス(T.H.James)著、ザ・フォトグラフィック・プロセス、第4版、マクミラン社刊、1977年、(T.H.James、The Theory of the Photographic Process,4th ed,Macmillan,1977)67〜76頁に記載されるように活性ゼラチンを用いて行うことができるし、またリサーチ・ディスクロージャー、120巻、1974年4月、12008;リサーチ・ディスクロージャー、34巻、1975年6月、13452、米国特許第2,642,361号、同第3,297,446号、同第3,772,031号、同第3,857,711、同第3,901,714号、同第4,266,018号、および同第3,904,415号、並びに英国特許第1,315,755号に記載されるようにpAg 5〜10、pH5〜8および温度30〜80℃において硫黄、セレン、テルル、金、白金、パラジウム、イリジウムまたはこれら増感剤の複数の組合せとすることができる。貴金属増感においては、金、白金、パラジウム、イリジウム等の貴金属塩を用いることができ、中でも特に金増感、パラジウム増感および両者の併用が好ましい。
【0049】
金増感の場合には、塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金、金セレナイドのような公知の化合物を用いることができる。パラジウム化合物はパラジウム2価塩または4価の塩を意味する。好ましいパラジウム化合物は、R2PdX6またはR2PdX4で表わされる。ここでRは水素原子、アルカリ金属原子またはアンモニウム基を表わす。Xはハロゲン原子を表わし塩素、臭素または沃素原子を表わす。
【0050】
具体的には、K2PdCl4、(NH4)2PdCl6、Na2PdCl4、(NH4)2PdCl4、Li2PdCl4、Na2PdCl6またはK2PdBr4が好ましい。金化合物およびパラジウム化合物はチオシアン酸塩あるいはセレノシアン酸塩と併用することが好ましい。
【0051】
硫黄増感剤として、ハイポ、チオ尿素系化合物、ロダニン系化合物および米国特許第3,857,711号、同第4,266,018号および同第4,054,457号に記載されている硫黄含有化合物を用いることができる。いわゆる化学増感助剤の存在下に化学増感することもできる。有用な化学増感助剤には、アザインデン、アザピリダジン、アザピリミジンのごとき、化学増感の過程でカブリを抑制し、且つ感度を増大するものとして知られた化合物が用いられる。化学増感助剤改質剤の例は、米国特許第2,131,038号、同第3,411,914号、同第3,554,757号、特開昭58−126526号および前述ダフィン著「写真乳剤化学」、138〜143頁に記載されている。
【0052】
本発明の乳剤は金増感を併用することが好ましい。金増感剤の好ましい量としてハロゲン化銀1モル当り1×10−4〜1×10−7モルであり、さらに好ましいのは1×10−5〜5×10−7モルである。パラジウム化合物の好ましい範囲は1×10−3から5×10−7である。チオシアン化合物あるいはセレノシアン化合物の好ましい範囲は5×10−2から1×10−6である。
本発明のハロゲン化銀粒子に対して使用する好ましい硫黄増感剤量はハロゲン化銀1モル当り1×10−4〜1×10−7モルであり、さらに好ましいのは1×10−5〜5×10−7モルである。
【0053】
本発明の乳剤に対して好ましい増感法としてセレン増感がある。セレン増感においては、公知の不安定セレン化合物を用い、具体的には、コロイド状金属セレニウム、セレノ尿素類(例えば、N,N−ジメチルセレノ尿素、N,N−ジエチルセレノ尿素)、セレノケトン類、セレノアミド類のようなセレン化合物を用いることができる。セレン増感は硫黄増感あるいは貴金属増感あるいはその両方と組み合せて用いた方が好ましい場合がある。
【0054】
本発明のハロゲン化銀乳剤を粒子形成中、粒子形成後でかつ化学増感前あるいは化学増感中、あるいは化学増感後に還元増感することは好ましい。
ここで、還元増感とは、ハロゲン化銀乳剤に還元増感剤を添加する方法、銀熟成と呼ばれるpAg 1〜7の低pAg の雰囲気で成長あるいは熟成させる方法、高pH熟成と呼ばれるpH8〜11の高pHの雰囲気で成長あるいは熟成させる方法のいずれを選ぶこともできる。また2つ以上の方法を併用することもできる。
【0055】
還元増感剤を添加する方法は還元増感のレベルを微妙に調節できる点で好ましい方法である。還元増感剤としては、例えば、第一錫塩、アスコルビン酸およびその誘導体、アミンおよびポリアミン類、ヒドラジン誘導体、ホルムアミジンスルフィン酸、シラン化合物、ボラン化合物が公知である。本発明の還元増感にはこれら公知の還元増感剤を選んで用いることができ、また2種以上の化合物を併用することもできる。還元増感剤としては塩化第一錫、二酸化チオ尿素、ジメチルアミンボラン、アスコルビン酸およびその誘導体が好ましい化合物である。還元増感剤の添加量は乳剤製造条件に依存するので添加量を選ぶ必要があるが、ハロゲン化銀1モル当り10−7〜10−3モルの範囲が適当である。
【0056】
還元増感剤は、例えば、水あるいはアルコール類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類のような有機溶媒に溶かし粒子成長中に添加される。あらかじめ反応容器に添加するのもよいが、粒子成長の適当な時期に添加する方法が好ましい。また水溶性銀塩あるいは水溶性アルカリハライドの水溶性にあらかじめ還元増感剤を添加しておき、これらの水溶液を用いてハロゲン化銀粒子を沈澱せしめてもよい。また粒子成長に伴って還元増感剤の溶液を何回かに分けて添加しても連続して長時間添加するのも好ましい方法である。
【0057】
本発明の乳剤の製造工程中に銀に対する酸化剤を用いることが好ましい。銀に対する酸化剤とは、金属銀に作用して銀イオンに変換せしめる作用を有する化合物をいう。特にハロゲン化銀粒子の形成過程および化学増感過程において副生するきわめて微小な銀粒子を、銀イオンに変換せしめる化合物が有効である。ここで生成する銀イオンは、例えば、ハロゲン化銀、硫化銀、セレン化銀のような水に難溶の銀塩を形成してもよく、又、硝酸銀のような水に易溶の銀塩を形成してもよい。
【0058】
銀に対する酸化剤は、無機物であっても、有機物であってもよい。無機の酸化剤としては、例えば、オゾン、過酸化水素およびその付加物(例えば、NaBO2・H2O2・3H2O、2NaCO3・3H2O2、Na4P2O7・2H2O2、2Na2SO4・H2O2・2H2O)、ペルオキシ酸塩(例えば、K2S2O8、K2C2O6、K2P2O8)、ペルオキシ錯体化合物(例えば、K2[Ti(O2)C2O4]・3H2O、4K2SO4・Ti(O2)OH・SO4・2H2O、Na3[VO(O2)(C2H4)2]・6H2O)、過マンガン酸塩(例えば、KMnO4)、クロム酸塩(例えば、K2Cr2O7)のような酸素酸塩、沃素や臭素のようなハロゲン元素、過ハロゲン酸塩(例えば、過沃素酸カリウム)、高原子価の金属の塩(例えば、ヘキサシアノ第二鉄酸カリウム)およびチオスルフォン酸塩がある。
また、有機の酸化剤としては、p−キノンのようなキノン類、過酢酸や過安息香酸のような有機過酸化物、活性ハロゲンを放出する化合物(例えば、N−ブロムサクシンイミド、クロラミンT、クロラミンB)が例として挙げられる。
【0059】
本発明の好ましい酸化剤は、オゾン、過酸化水素およびその付加物、ハロゲン元素、チオスルフォン酸塩の無機酸化剤及びキノン類の有機酸化剤である。前述の還元増感と銀に対する酸化剤を併用するのは好ましい態様である。酸化剤を用いた後、還元増感を施こす方法、その逆方法あるいは両者を同時に共存させる方法のなかから選んで用いることができる。これらの方法は粒子形成工程でも化学増感工程でも選んで用いることができる。
【0060】
本発明の写真乳剤には、感光材料の製造工程、保存中あるいは写真処理中のかぶりを防止し、あるいは写真性能を安定化させる目的で、種々の化合物を含有させることができる。すなわちチアゾール類、例えば、ベンゾチアゾリウム塩、ニトロイミダゾール類、ニトロベンズイミダゾール類、クロロベンズイミダゾール類、ブロモベンズイミダゾール類、メルカプトチアゾール類、メルカプトベンゾチアゾール類、メルカプトベンズイミダゾール類、メルカプトチアジアゾール類、アミノトリアゾール類、ベンゾトリアゾール類、ニトロベンゾトリアゾール類、メルカプトテトラゾール類(特に1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール);メルカプトピリミジン類;メルカプトトリアジン類;例えば、オキサドリンチオンのようなチオケト化合物;アザインデン類、例えば、トリアザインデン類、テトラアザインデン類(特に4−ヒドロキシ置換(1,3,3a,7)テトラアザインデン類)、ペンタアザインデン類のようなかぶり防止剤または安定剤として知られた、多くの化合物を加えることができる。
【0061】
例えば、米国特許第3,954,474号、同第3,982,947号、特公昭52−28660号に記載されたものを用いることができる。好ましい化合物の一つに特開昭63−212932号に記載された化合物がある。かぶり防止剤および安定剤は粒子形成前、粒子形成中、粒子形成後、水洗工程、水洗後の分散時、化学増感前、化学増感中、化学増感後、塗布前のいろいろな時期に目的に応じて添加することができる。これらの化合物は、乳剤調製中に添加して本来のかぶり防止および安定化効果を発現する以外に、粒子の晶壁を制御する、粒子サイズを小さくする、粒子の溶解性を減少させる、化学増感を制御する、色素の配列を制御するなど多目的に用いることができる。
【0062】
本発明の写真乳剤は、メチン色素類その他によって分光増感されることが本発明の効果を発揮するのに好ましい。用いられる色素には、シアニン色素、メロシアニン色素、複合シアニン色素、複合メロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素およびヘミオキソノール色素が包含される。特に有用な色素は、シアニン色素、メロシアニン色素、および複合メロシアニン色素に属する色素である。これらの色素類には、塩基性複素環核としてシアニン色素類に通常利用される核のいずれをも適用できる。すなわち、例えば、ピロリン核、オキサゾリン核、チオゾリン核、ピロール核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール核、イミダゾール核、テトラゾール核、ピリジン核、これらの核に脂環式炭化水素環が融合した核、及びこれらの核に芳香族炭化水素環が融合した核、即ち、例えば、インドレニン核、ベンゾインドレニン核、インドール核、ベンゾオキサドール核、ナフトオキサゾール核、ベンゾチアゾール核、ナフトチアゾール核、ベンゾセレナゾール核、ベンゾイミダゾール核、キノリン核が適用できる。これらの核は炭素原子上に置換基を有していてもよい。
【0063】
メロシアニン色素または複合メロシアニン色素にはケトメチレン構造を有する核として、例えば、ピラゾリン−5−オン核、チオヒダントイン核、2−チオオキサゾリジン−2,4−ジオン核、チアゾリジン−2,4−ジオン核、ローダニン核、チオバルビツール酸核の5〜6員複素環核を適用することができる。
【0064】
これらの増感色素は単独に用いてもよいが、それらの組合せを用いてもよく、増感色素の組合せは特に、強色増感の目的でしばしば用いられる。その代表例は米国特許第2,688,545号、同第2,977,229号、同第3,397,060号、同第3,522,052号、同第3,527,641号、同第3,617,293号、同第3,628,964号、同第3,666,480号、同第3,672,898号、同第3,679,428号、同第3,703,377号、同第3,769,301号、同第3,814,609号、同第3,837,862号、同第4,026,707号、英国特許第1,344,281号、同第1,507,803号、特公昭43−4936号、同53−12375号、特開昭52−110618号、同52−109925号に記載されている。
増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよい。
【0065】
増感色素を乳剤中に添加する時期は、これまで有用であると知られている乳剤調製の如何なる段階であってもよい。もっとも一般的には化学増感の完了後塗布前までの時期に行なわれるが、米国特許第3,628,969号、および同第4,225,666号に記載されているように化学増感剤と同時期に添加し分光増感を化学増感と同時に行なうことも、特開昭58−113928号に記載されているように化学増感に先立って行なうことも出来、またハロゲン化銀粒子沈澱生成の完了前に添加し分光増感を開始することも出来る。更にまた米国特許第4,225,666号に教示されているように、前記化合物を分けて添加すること、即ちこれらの化合物の一部を化学増感に先立って添加し、残部を化学増感の後で添加することも可能であり、米国特許第4,183,756号に開示されている方法を始めとしてハロゲン化銀粒子形成中のどの時期であってもよい。
【0066】
添加量は、ハロゲン化銀1モル当り、4×10−6〜8×10−3モルで用いることができるが、より好ましいハロゲン化銀粒子サイズ0.2〜1.2μmの場合は約5×10−5〜2×10−3モルが有効である。
【0067】
本発明の感光材料は、支持体上に少なくとも1層の感光性層が設けられていればよい。典型的な例としては、支持体上に、実質的に感色性は同じであるが感光度の異なる複数のハロゲン化銀乳剤層から成る感光性層を少なくとも1つ有するハロゲン化銀写真感光材料である。該感光性層は青色光、緑色光、および赤色光の何れかに感色性を有する単位感光性層であり、多層ハロゲン化銀カラー写真感光材料においては、一般に単位感光性層の配列が、支持体側から順に赤感色性層、緑感色性層、青感色性層の順に設置される。しかし、目的に応じて上記設置順が逆であっても、また同一感色性層中に異なる感光性層が挟まれたような設置順をもとり得る。
【0068】
上記のハロゲン化銀感光性層の間および最上層、最下層には非感光性層を設けてもよい。これらには、後述のカプラー、DIR化合物、混色防止剤等が含まれていてもよい。各単位感光性層を構成する複数のハロゲン化銀乳剤層は、DE1,121,470あるいはGB923,045に記載されているように高感度乳剤層、低感度乳剤層の2層を、支持体に向かって順次感光度が低くなる様に配列するのが好ましい。また、特開昭57−112751号、同62−200350号、同62−206541号、同62−206543号に記載されているように支持体より離れた側に低感度乳剤層、支持体に近い側に高感度乳剤層を設置してもよい。
【0069】
具体例として支持体から最も遠い側から、低感度青感光性層(BL)/高感度青感光性層(BH)/高感度緑感光性層(GH)/低感度緑感光性層(GL) /高感度赤感光性層(RH)/低感度赤感光性層(RL)の順、またはBH/BL/GL/GH/RH/RLの順、またはBH/BL/GH/GL/RL/RHの順等に設置することができる。
また特公昭55−34932号公報に記載されているように、支持体から最も遠い側から青感光性層/GH/RH/GL/RLの順に配列することもできる。また特開昭56−25738号、同62−63936号に記載されているように、支持体から最も遠い側から青感光性層/GL/RL/GH/RHの順に配列することもできる。
【0070】
また特公昭49−15495号公報に記載されているように、上層に最も感光度の高いハロゲン化銀乳剤層、中層にそれよりも低い感光度のハロゲン化銀乳剤層、下層に中層よりも更に感光度の低いハロゲン化銀乳剤層を配置し、支持体に向かって感光度が順次低められた感光度の異なる3層から構成される配列が挙げられる。このような感光度の異なる3層から構成される場合でも、特開昭59−202464号に記載されているように、同一感色性層中において支持体より離れた側から中感度乳剤層/高感度乳剤層/低感度乳剤層の順に配置してもよい。
【0071】
その他、高感度乳剤層/低感度乳剤層/中感度乳剤層、あるいは低感度乳剤層/中感度乳剤層/高感度乳剤層の順に配置してもよい。また、4層以上の場合にも、上記の如く配列を変えてよい。
色再現性を改良するために、US4,663,271、同4,705,744、同4,707,436、特開昭62−160448、同63−89850の明細書に記載の、BL,GL,RLなどの主感光層と分光感度分布が異なる重層効果のドナー層(CL)を主感光層に隣接もしくは近接して配置することが好ましい。
【0072】
本発明に用いられる好ましいハロゲン化銀は約30モル%以下の沃化銀を含む、沃臭化銀、沃塩化銀、もしくは沃塩臭化銀である。特に好ましいのは約2モル%から約10モル%までの沃化銀を含む沃臭化銀もしくは沃塩臭化銀である。 写真乳剤中のハロゲン化銀粒子は、立方体、八面体、十四面体のような規則的な結晶を有するもの、球状、板状のような変則的な結晶形を有するもの、双晶面などの結晶欠陥を有するもの、あるいはそれらの複合形でもよい。
ハロゲン化銀の粒径は、約0.2μm以下の微粒子でも投影面積直径が約10μmに至るまでの大サイズ粒子でもよく、多分散乳剤でも単分散乳剤でもよい。
【0073】
本発明のハロゲン化銀写真乳剤は、例えばリサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す)No.17643(1978年12月), 22 〜23頁, “I. 乳剤製造(Emulsion preparation and types)”、および同No.18716(1979年11月),648頁、同No.307105(1989年11月),863〜865頁、およびグラフキデ著「写真の物理と化学」,ポールモンテル社刊(P.Glafkides,Chimieet Phisique Photographiques,Paul Montel,1967)、ダフィン著「写真乳剤化学」,フォーカルプレス社刊(G.F.Duffin,Photographic Emulsion Chemistry,Focal Press,1966)、ゼリクマンら著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊(V.L.Zelikman,et al.,Making and Coating Photographic Emulsion,Focal Press,1964)などに記載された方法を用いて調製することができる。
【0074】
US3,574,628、同3,655,394およびGB1,413,748に記載された単分散乳剤も好ましい。
また、アスペクト比が約3以上であるような平板状粒子も本発明に使用できる。かかる平板状粒子は、ガトフ著、フォトグラフィック・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Gutoff,Photographic Scienceand Engineering)、第14巻248〜257頁(1970年);US4,434,226、同4,414,310、同4,433,048、同4,439,520およびGB2,112,157に記載の方法により簡単に調製することができる。
【0075】
結晶構造は一様なものでも、内部と外部とが異質なハロゲン組成からなるものでもよく、層状構造をなしていてもよい。エピタキシャル接合によって組成の異なるハロゲン化銀が接合されていてもよく、例えばロダン銀、酸化鉛などのハロゲン化銀以外の化合物と接合されていてもよい。また種々の結晶形の粒子の混合物を用いてもよい。
【0076】
上記の乳剤は潜像を主として表面に形成する表面潜像型でも、粒子内部に形成する内部潜像型でも表面と内部のいずれにも潜像を有する型のいずれでもよいが、ネガ型の乳剤であることが必要である。内部潜像型のうち、特開昭63−264740に記載のコア/シェル型内部潜像型乳剤であってもよく、この調製方法は特開昭59−133542に記載されている。この乳剤のシェルの厚みは現像処理等によって異なるが、3〜40nmが好ましく、5〜20nmが特に好ましい。
【0077】
ハロゲン化銀乳剤は、通常、物理熟成、化学熟成および分光増感を行ったものを使用する。このような工程で使用される添加剤はRD No.17643、同No.18716および同No.307105に記載されており、その該当箇所を後掲の表にまとめた。
【0078】
本発明の感光材料には、感光性ハロゲン化銀乳剤の粒子サイズ、粒子サイズ分布、ハロゲン組成、粒子の形状、感度の少なくとも1つの特性の異なる2種類以上の乳剤を、同一層中に混合して使用することができる。
【0079】
US4,082,553号に記載の粒子表面をかぶらせたハロゲン化銀粒子、US4,626,498号、特開昭59−214852号に記載の粒子内部をかぶらせたハロゲン化銀粒子、コロイド銀を感光性ハロゲン化銀乳剤層および/または実質的に非感光性の親水性コロイド層に適用することが好ましい。粒子内部または表面をかぶらせたハロゲン化銀粒子とは、感光材料の未露光部および露光部を問わず、一様に(非像様に)現像が可能となるハロゲン化銀粒子のことをいい、その調製法は、US4,626,498号、特開昭59−214852号に記載されている。粒子内部がかぶらされたコア/シェル型ハロゲン化銀粒子の内部核を形成するハロゲン化銀は、ハロゲン組成が異なっていてもよい。粒子内部または表面をかぶらせたハロゲン化銀としては、塩化銀、塩臭化銀、沃臭化銀、塩沃臭化銀のいずれをも用いることができる。これらのかぶらされたハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズとしては0.01〜0.75μm、特に0.05〜0.6μmが好ましい。また、粒子形状は規則的な粒子でもよく、多分散乳剤でもよいが、単分散性(ハロゲン化銀粒子の質量または粒子数の少なくとも95%が平均粒子径の±40%以内の粒子径を有するもの)であることが好ましい。
【0080】
本発明には、非感光性微粒子ハロゲン化銀を使用することが好ましい。非感光性微粒子ハロゲン化銀とは、色素画像を得るための像様露光時においては感光せずに、その現像処理において実質的に現像されないハロゲン化銀微粒子であり、あらかじめカブラされていないほうが好ましい。微粒子ハロゲン化銀は、臭化銀の含有率が 0〜100モル%であり、必要に応じて塩化銀および/または沃化銀を含有してもよい。好ましくは沃化銀を0.5〜10モル%含有するものである。微粒子ハロゲン化銀は、平均粒径(投影面積の円相当直径の平均値)が0.01〜0.5μmであることが好ましく、0.02〜0.2μmがより好ましい。
【0081】
非感光性微粒子ハロゲン化銀は、通常の感光性ハロゲン化銀と同様の方法で調製できる。該ハロゲン化銀粒子の表面は、光学的に増感される必要はなく、また分光増感も不要である。ただし、これを塗布液に添加するのに先立ち、あらかじめトリアゾール系、アザインデン系、ベンゾチアゾリウム系、もしくはメルカプト系化合物または亜鉛化合物などの公知の安定剤を添加しておくことが好ましい。この微粒子ハロゲン化銀粒子含有層に、コロイド銀を含有させることができる。
【0082】
本発明の感光材料の塗布銀量は、3.5g/m2以上8.5g/m2以下が好ましく、より好ましくは4.0g/m2以上8.0g/m2以下である。
【0083】
本発明に使用できる写真用添加剤もRDに記載されており、下記の表に関連する記載箇所を示した。
【0084】
本発明の感光材料には種々の色素形成カプラーを使用することができるが、以下のカプラーが特に好ましい。
イエローカプラー:EP502,424Aの式(I),(II)で表わされるカプラー;EP513,496Aの式(1),(2) で表わされるカプラー (特に18頁のY−28);EP568,037Aのクレーム1の式(I) で表わされるカプラー;US5,066,576のカラム1の45〜55行の一般式(I) で表わされるカプラー; 特開平4−274425号の段落0008の一般式(I) で表わされるカプラー;EP498,381A1の40頁のクレーム1に記載のカプラー(特に18頁のD−35);EP447,969A1の4頁の式(Y)で表わされるカプラー(特にY−1(17頁),Y−54(41頁));US4,476,219のカラム7の36〜58行の式(II)〜(IV)で表わされるカプラー(特にII−17,19 ( カラム17),II−24(カラム19))。
【0085】
マゼンタカプラー: 特開平3−39737号(L−57 (11頁右下),L−68 (12頁右下),L−77 (13頁右下);EP456,257の[A−4]−63(134頁),[A−4]−73,−75(139頁); EP486,965のM−4,−6 (26頁),M−7(27頁); EP571,959AのM−45(19頁);特開平5−204106号の(M−1)(6頁);特開平4−362631号の段落0237のM−22。
【0086】
シアンカプラー: 特開平4−204843号のCX−1,3,4,5,11,12,14,15(14〜16頁); 特開平4−43345号のC−7,10(35頁),34,35(37頁),(I−1),(I―17)(42〜43頁); 特開平6−67385の請求項1の一般式(Ia)または(Ib)で表わされるカプラー。
ポリマーカプラー: 特開平2−44345のP−1,P−5(11頁)。
【0087】
発色色素が適度な拡散性を有するカプラーとしては、US4,366,237号、GB2,125,570号、EP96,873B、DE3,234,533号に記載のものが好ましい。発色色素の不要吸収を補正するためのカプラーは、EP456,257A1の5頁に記載の式(CI),(CII),(CIII),(CIV) で表わされるイエローカラードシアンカプラー(特に84頁のYC−86)、該EPに記載のイエローカラードマゼンタカプラーExM−7(202頁) 、EX−1(249頁) 、EX−7(251頁) 、US4,833,069号に記載のマゼンタカラードシアンカプラーCC−9(カラム8)、CC−13(カラム10) 、US4,837,136号の(2)(カラム8)、WO92/11575のクレーム1の式(A)で表わされる無色のマスキングカプラー(特に36〜45頁の例示化合物)が好ましい。
【0088】
現像主薬酸化体と反応して写真的に有用な化合物残基を放出する化合物(カプラーを含む)としては、以下のものが挙げられる。現像抑制剤放出化合物:EP378,236A1の11頁に記載の式(I),(II),(III),(IV) で表わされる化合物(特にT−101(30頁), T−104(31頁), T−113(36頁), T−131(45頁), T−144(51頁), T−158(58頁)), EP436,938A2の7頁に記載の式(I) で表わされる化合物(特にD−49(51頁))、EP568,037Aの式(1) で表わされる化合物(特に(23)(11頁))、EP440,195A2の5〜6頁に記載の式(I),(II),(III)で表わされる化合物(特に29頁のI−(1));漂白促進剤放出化合物:EP310,125A2の5頁の式(I)、(I’)で表わされる化合物(特に61頁の(60),(61)) 及び特開平6−59411の請求項1の式(I) で表わされる化合物(特に(7)(7頁); リガンド放出化合物:US4,555,478のクレーム1に記載のLIG−Xで表わされる化合物(特にカラム12の21〜41行目の化合物)。
【0089】
ロイコ色素放出化合物:US4,749,641のカラム3〜8の化合物1〜6;蛍光色素放出化合物:US4,774,181のクレーム1のCOUP−DYEで表わされる化合物(特にカラム7〜10の化合物1〜11);現像促進剤又はカブラセ剤放出化合物:US4,656,123のカラム3の式(1)、(2)、(3)で表わされる化合物(特にカラム25の(I−22)) 及びEP450,637A2の75頁36〜38行目のExZK−2; 離脱して初めて色素となる基を放出する化合物: US4,857,447のクレーム1の式(I) で表わされる化合物(特にカラム25〜36のY−1〜Y−19) 。
【0090】
カプラー以外の添加剤としては、以下のものが好ましい。
油溶性有機化合物の分散媒: 特開昭62−215272のP−3,5,16,19,25,30,42,49,54,55,66,81,85,86,93(140〜144頁); 油溶性有機化合物の含浸用ラテックス: US4,199,363に記載のラテックス; 現像主薬酸化体スカベンジャー: US4,978,606のカラム2の54〜62行の式(I) で表わされる化合物(特にI−(1),(2),(6),(12)(カラム4〜5)、US4,923,787のカラム2の5〜10行の式(特に化合物1(カラム3); ステイン防止剤: EP298321Aの4頁30〜33行の式(I) 〜(III),特にI−47,72,III−1,27(24〜48頁); 褪色防止剤: EP298321AのA−6,7,20,21,23,24,25,26,30,37,40,42,48,63,90,92,94,164(69〜118頁), US5,122,444のカラム25〜38のII−1〜III−23, 特にIII−10、EP471347Aの8〜12頁のI−1〜III−4、特にII−2、US5,139,931号のカラム32〜40のA−1〜48、特にA−39,42; 発色増強剤または混色防止剤の使用量を低減させる素材: EP411324Aの5〜24頁のI−1〜II−15、特にI−46。
【0091】
ホルマリンスカベンジャー: EP477932Aの24〜29頁のSCV−1〜28, 特にSCV−8; 硬膜剤: 特開平1−214845号の17頁のH−1,4,6,8,14、US4,618,573号のカラム13〜23の式(VII) 〜(XII)で表わされる化合物(H−1〜54),特開平2−214852号の8頁右下の式(6)で表わされる化合物(H−1〜76),特にH−14, US3,325,287号のクレーム1に記載の化合物; 現像抑制剤プレカーサー: 特開昭62−168139号のP−24,37,39(6〜7頁); US5,019,492号のクレーム1に記載の化合物、特にカラム7の28,29; 防腐剤、防黴剤: US4,923,790号のカラム3〜15のI−1〜III−43、特にII−1,9,10,18,III−25; 安定剤、かぶり防止剤: US4,923,793号のカラム6〜16のI−1〜(14)、特にI−1,60,(2),(13), US4,952,483号のカラム25〜32の化合物1〜65、特に36: 化学増感剤: トリフェニルホスフィン セレニド、特開平5−40324号の化合物50。
【0092】
染料: 特開平3−156450号の15〜18頁のa−1〜b−20, 特にa−1,12,18,27,35,36,b−5,27〜29頁のV−1〜23、特にV−1、EP445627Aの33〜55頁のF−I−1〜F−II−43、特にF−I−11,F−II−8, EP457153Aの17〜28頁のIII−1〜36、特にIII−1,3、WO88/04794の8〜26のDye−1〜124の微結晶分散体、EP319999Aの6〜11頁の化合物1〜22、特に化合物1、EP519306Aの式(1) ないし(3) で表わされる化合物D−1〜87(3〜28頁)、US4,268,622の式(I) で表わされる化合物1〜22(カラム3〜10)、US4,923,788の式(I) で表わされる化合物(1)〜(31) (カラム2〜9); UV吸収剤: 特開昭46−3335の式(1) で表わされる化合物(18b) 〜(18r),101〜427(6〜9頁)、EP520938Aの式(I)で表わされる化合物(3)〜(66)(10〜44頁)及び式(III)で表わされる化合物HBT−1〜10(14頁)、EP521823Aの式(1)で表わされる化合物(1)〜(31)(カラム2〜9)。
【0093】
本発明は、一般用もしくは映画用のカラーネガフィルム、スライド用もしくはテレビ用のカラー反転フィルム、カラーペーパー、カラーポジフィルムおよびカラー反転ペーパーのような種々のカラー感光材料に適用することができる。また、特公平2−32615号、実公平3−39784号に記載されているレンズ付きフイルムユニット用に好適である。
【0094】
本発明に使用できる適当な支持体としては、例えば、前述のRD.No.17643の28頁、同No.18716の647頁右欄から648頁左欄、および同No.307105の879頁に記載されているものを用いることができる。
【0095】
本発明の感光材料は、乳剤層を有する側の全親水性コロイド層の膜厚の総和が28μm以下であることが好ましく、23μm以下がより好ましく、18μm以下が更に好ましく、16μm以下が特に好ましい。また膜膨潤速度T1/2は30秒以下が好ましく、20秒以下がより好ましい。T1/2は、発色現像液で30℃、3分15秒処理した時に到達する最大膨潤膜厚の90%を飽和膜厚としたとき、膜厚がその1/2に到達するまでの時間と定義する。膜厚は、25℃相対湿度55%調湿下(2日)で測定した膜厚を意味し、T1/2は、エー・グリーン(A.Green)らのフォトグラフィック・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Photogr.Sci.Eng.)、19卷、2、124〜129頁に記載の型のスエロメーター(膨潤計)を使用することにより測定できる。T1/2は、バインダーとしてのゼラチンに硬膜剤を加えること、あるいは塗布後の経時条件を変えることによって調整することができる。また、膨潤率は150〜400%が好ましい。膨潤率とは、さきに述べた条件下での最大膨潤膜厚から、式:(最大膨潤膜厚−膜厚)/膜厚 により計算できる。
【0096】
本発明の感光材料は、乳剤層を有する側の反対側に、乾燥膜厚の総和が2μm〜20μmの親水性コロイド層(バック層と称す)を設けることが好ましい。このバック層には、前述の光吸収剤、フィルター染料、紫外線吸収剤、スタチック防止剤、硬膜剤、バインダー、可塑剤、潤滑剤、塗布助剤、表面活性剤を含有させることが好ましい。このバック層の膨潤率は150〜500%が好ましい。
【0097】
本発明の感光材料は、前述のRD.No.17643の28〜29頁、同No.18716の651左欄〜右欄、および同No.307105の880〜881頁に記載された通常の方法によって現像処理することができる。
【0098】
次に、本発明に使用されるカラーネガフイルム用の処理液について説明する。本発明に使用される発色現像液には、特開平4−121739の第9頁右上欄1行〜第11頁左下欄4行に記載の化合物を使用することができる。特に迅速な処理を行う場合の発色現像主薬としては、2−メチル−4−〔N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミノ〕アニリン、2−メチル−4−〔N−エチル−N−(3−ヒドロキシプロピル)アミノ〕アニリン、2−メチル−4−〔N−エチル−N−(4−ヒドロキシブチル)アミノ〕アニリンが好ましい。
【0099】
これらの発色現像主薬は発色現像液1リットル(以下、リットルを「L」とも表記する。)あたり0.01〜0.08モルの範囲で使用することが好ましく、特には0.015〜0.06モル、更には0.02〜0.05モルの範囲で使用することが好ましい。また発色現像液の補充液には、この濃度の1.1〜3倍の発色現像主薬を含有させておくことが好ましく、特に1.3〜2.5倍を含有させておくことが好ましい。
【0100】
発色現像液の保恒剤としては、ヒドロキシルアミンが広範に使用できるが、より高い保恒性が必要な場合は、アルキル基やヒドロキシアルキル基、スルホアルキル基、カルボキシアルキル基などの置換基を有するヒドロキシルアミン誘導体が好ましく、具体的にはN,N−ジ(スルホエチル)ヒドロキルアミン、モノメチルヒドロキシルアミン、ジメチルヒドロキシルアミン、モノエチルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキルアミン、N,N−ジ(カルボキシエチル)ヒドロキルアミンが好ましい。上記の中でも、特にN,N−ジ(スルホエチル)ヒドロキルアミンが好ましい。これらはヒドロキシルアミンと併用してもよいが、好ましくはヒドロキシルアミンの代わりに、1種または2種以上使用することが好ましい。
【0101】
保恒剤は発色現像液1Lあたり0.02〜0.2モルの範囲で使用することが好ましく、特に0.03〜0.15モル、更には0.04〜0.1モルの範囲で使用することが好ましい。また補充液においては、発色現像主薬の場合と同様に、母液(処理タンク液)の1.1〜3倍の濃度で保恒剤を含有させておくことが好ましい。
【0102】
発色現像液には、発色現像主薬の酸化物のタ−ル化防止剤として亜硫酸塩が使用される。亜硫酸塩は発色現像液1Lあたり0.01〜0.05モルの範囲で使用するのが好ましく、特には0.02〜0.04モルの範囲が好ましい。補充液においては、これらの1.1〜3倍の濃度で使用することが好ましい。
また、発色現像液のpHは9.8〜11.0の範囲が好ましいが、特には10.0〜10.5が好ましく、また補充液においては、これらの値から0.1〜1.0の範囲で高い値に設定しておくことが好ましい。このようなpHを安定して維持するには、炭酸塩、リン酸塩、スルホサリチル酸塩、ホウ酸塩などの公知の緩衝剤が使用される。
【0103】
発色現像液の補充量は、感光材料1m2あたり80〜1300ミリリットル(以下、ミリリットルを「mL」とも表記する。)が好ましいが、環境汚濁負荷の低減の観点から、より少ない方が好ましく、具体的には80〜600mL、更には80〜400mLが好ましい。
【0104】
発色現像液中の臭化物イオン濃度は、通常、1Lあたり0.01〜0.06モルであるが、感度を保持しつつカブリを抑制してディスクリミネーションを向上させ、かつ、粒状性を良化させる目的からは、1Lあたり0.015〜0.03モルに設定することが好ましい。臭化物イオン濃度をこのような範囲に設定する場合に、補充液には下記の式で算出した臭化物イオンを含有させればよい。ただし、Cが負になる時は、補充液には臭化物イオンを含有させないことが好ましい。
C=A−W/V
C:発色現像補充液中の臭化物イオン濃度(モル/L)
A:目標とする発色現像液中の臭化物イオン濃度(モル/L)
W:1m2の感光材料を発色現像した場合に、感光材料から発色現像液に溶出する臭化物イオンの量(モル)
V:1m2の感光材料に対する発色現像補充液の補充量(L)
【0105】
また、補充量を低減した場合や、高い臭化物イオン濃度に設定した場合、感度を高める方法として、1−フェニル−3−ピラゾリドンや1−フェニル−2−メチル−2−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドンに代表されるピラゾリドン類や3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールに代表されるチオエーテル化合物などの現像促進剤を使用することも好ましい。
【0106】
本発明における漂白能を有する処理液には、特開平4−125558号の第4頁左下欄16行〜第7頁左下欄6行に記載された化合物や処理条件を適用することができる。漂白剤は酸化還元電位が150mV以上のものが好ましいが、その具体例としては特開平5−72694号、同5−173312号に記載のものが好ましく、特に1,3−ジアミノプロパン四酢酸、特開平5−173312号第7頁の具体例1の化合物の第二鉄錯塩が好ましい。
【0107】
また、漂白剤の生分解性を向上させるには、特開平4−251845号、同4−268552号、EP588,289号、同591,934号、特開平6−208213号に記載の化合物第二鉄錯塩を漂白剤として使用することが好ましい。これらの漂白剤の濃度は、漂白能を有する液1Lあたり0.05〜0.3モルが好ましく、特に漂白機能の確保と環境への排出量を低減する目的から、0.1〜0.15モルで設計することがより好ましい。また、漂白能を有する液が漂白液の場合は、1Lあたり0.2モル〜1モルの臭化物を含有させることが好ましく、特に0.3〜0.8モルを含有させることが好ましい。
【0108】
漂白能を有する液の補充液には、基本的に以下の式で算出される各成分の濃度を含有させる。これにより、母液中の濃度を一定に維持することができる。
CR =CT ×(V1 +V2 )/V1+CP
CR :補充液中の成分の濃度
CT :母液(処理タンク液)中の成分の濃度
CP :処理中に消費された成分の濃度
V1 :1m2の感光材料に対する漂白能を有する補充液の補充量(mL)
V2 :1m2の感光材料による前浴からの持ち込み量(mL)
【0109】
その他、漂白液にはpH緩衝剤を含有させることが好ましく、特にコハク酸、マレイン酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸など、臭気の少ないジカルボン酸を含有させることが好ましい。また、特開昭53−95630号、RDNo.17129、US3,893,858号に記載の公知の漂白促進剤を使用することも好ましい。
漂白液には、感光材料1m2あたり50〜1000mLの漂白補充液を補充することが好ましく、特には80〜500mL、さらには100〜300mLの補充をすることが好ましい。さらに漂白液にはエアレーションを行なうことが好ましい。
【0110】
定着能を有する処理液については、特開平4−125558号の第7頁左下欄10行〜第8頁右下欄19行に記載の化合物や処理条件を適用することができる。
特に、定着速度と保恒性を向上させるために、特開平6−301169号の一般式(I)と(II)で表される化合物を、単独あるいは併用して定着能を有する処理液に含有させることが好ましい。またp−トルエンスルフィン酸塩をはじめ、特開平1−224762号に記載のスルフィン酸を使用することも、保恒性の向上の上で好ましい。漂白能を有する液や定着能を有する液には、脱銀性の向上の観点からカチオンとしてアンモニウムを用いることが好ましいが、環境汚染低減の目的からは、アンモニウムを減少或いはゼロにする方が好ましい。
【0111】
漂白、漂白定着、定着工程においては、特開平1−309059号に記載のジェット攪拌を行なうことが特に好ましい。
漂白定着また定着工程における補充液の補充量は、感光材料1m2あたり100〜1000mLであり、好ましくは150〜700mL、特に好ましくは200〜600mLである。
【0112】
漂白定着や定着工程には、各種の銀回収装置をインラインやオフラインで設置して銀を回収することが好ましい。インラインで設置することにより、液中の銀濃度を低減して処理できる結果、補充量を減少させることができる。また、オフラインで銀回収して残液を補充液として再利用することも好ましい。
【0113】
漂白定着工程や定着工程は複数の処理タンクで構成することができ、各タンクはカスケード配管して多段向流方式にすることが好ましい。現像機の大きさとのバランスから、一般には2タンクカスケード構成が効率的であり、前段のタンクと後段のタンクにおける処理時間の比は、0.5:1〜1:0.5の範囲にすることが好ましく、特には 0.8:1〜1:0.8の範囲が好ましい。
漂白定着液や定着液には、保恒性の向上の観点から金属錯体になっていない遊離のキレート剤を存在させることが好ましいが、これらのキレート剤としては、漂白液に関して記載した生分解性キレート剤を使用することが好ましい。
【0114】
水洗および安定化工程に関しては、上記の特開平4−125558号、第12頁右下欄6行〜第13頁右下欄第16行に記載の内容を好ましく適用することができる。特に、安定液にはホルムアルデヒドに代わってEP504,609号、同519,190号に記載のアゾリルメチルアミン類や特開平4−362943号に記載のN−メチロールアゾール類を使用することや、マゼンタカプラーを二当量化してホルムアルデヒドなどの画像安定化剤を含まない界面活性剤の液にすることが、作業環境の保全の観点から好ましい。また、感光材料に塗布された磁気記録層へのゴミの付着を軽減するには、特開平6−289559号に記載の安定液が好ましく使用できる。
【0115】
水洗および安定液の補充量は、感光材料1m2あたり80〜1000mLが好ましく、特には100〜500mL、さらには150〜300mLが、水洗または安定化機能の確保と環境保全のための廃液減少の両面から好ましい範囲である。このような補充量で行なう処理においては、バクテリアや黴の繁殖防止のために、チアベンダゾール、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3オン、5−クロロ−2−メチルイソチアゾリン−3−オンのような公知の防黴剤やゲンタマイシンのような抗生物質、イオン交換樹脂等によって脱イオン処理した水を用いることが好ましい。脱イオン水と防菌剤や抗生物質は、併用することがより効果的である。
【0116】
また、水洗または安定液タンク内の液は、特開平3−46652号、同3−53246号、同3−55542号、同3−121448号、同3−126030号に記載の逆浸透膜処理を行なって補充量を減少させることも好ましく、この場合の逆浸透膜は、低圧逆浸透膜であることが好ましい。
【0117】
本発明における処理においては、発明協会公開技報、公技番号94−4992に開示された処理液の蒸発補正を実施することが特に好ましい。特に第2頁の(式−1)に基づいて、現像機設置環境の温度及び湿度情報を用いて補正する方法が好ましい。蒸発補正に使用する水は、水洗の補充タンクから採取することが好ましく、その場合は水洗補充水として脱イオン水を用いることが好ましい。
【0118】
本発明に用いられる処理剤としては、上記公開技報の第3頁右欄15行から第4頁左欄32行に記載のものが好ましい。また、これに用いる現像機としては、第3頁右欄の第22行から28行に記載のフイルムプロセサーが好ましい。
本発明を実施するに好ましい処理剤、自動現像機、蒸発補正方式の具体例については、上記の公開技報の第5頁右欄11行から第7頁右欄最終行までに記載されている。
【0119】
本発明に使用される処理剤の供給形態は、使用液状態の濃度または濃縮された形の液剤、あるいは顆粒、粉末、錠剤、ペースト状、乳液など、いかなる形態でもよい。このような処理剤の例として、特開昭63−17453号には低酸素透過性の容器に収納した液剤、特開平4−19655号、同4−230748号には真空包装した粉末あるいは顆粒、同4−221951号には水溶性ポリマーを含有させた顆粒、特開昭51−61837号、特開平6−102628号には錠剤、特表昭57−500485号にはペースト状の処理剤が開示されており、いずれも好ましく使用できるが、使用時の簡便性の面から、予め使用状態の濃度で調製してある液体を使用することが好ましい。
【0120】
これらの処理剤を収納する容器には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニール、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンなどが、単独あるいは複合材料として使用される。これらは要求される酸素透過性のレベルに合わせて選択される。発色現像液などの酸化されやすい液に対しては、低酸素透過性の素材が好ましく、具体的にはポリエチレンテレフタレートやポリエチレンとナイロンの複合材料が好ましい。これらの材料は500〜1500μmの厚さで、容器に使用され、酸素透過性を20mL/m2・24hrs・atm以下にすることが好ましい。
【0121】
次に本発明に使用されるカラー反転フイルム用の処理液について説明する。カラー反転フイルム用の処理については、アズテック有限会社発行の公知技術第6号(1991年4月1日)第1頁5行〜第10頁5行、及び第15頁8行〜第24頁2行に詳細に記載されており、その内容はいずれも好ましく適用することができる。 カラー反転フイルムの処理においては、画像安定化剤は調整浴か最終浴に含有される。このような画像安定化剤としては、ホルマリンのほかにホルムアルデヒド重亜硫酸ナトリウム、N−メチロールアゾール類があげられるが、作業環境の観点からホルムアルデヒド重亜硫酸ナトリウムかN−メチロールアゾール類が好ましく、N−メチロールアゾール類としては、特にN−メチロールトリアゾールが好ましい。また、カラーネガフイルムの処理において記載した発色現像液、漂白液、定着液、水洗水などに関する内容は、カラー反転フイルムの処理にも好ましく適用できる。
上記の内容を含む好ましいカラー反転フイルムの処理剤として、イーストマンコダック社のE−6処理剤及び富士写真フイルム(株)のCR−56処理剤をあげることができる。
【0122】
本発明のカラー写真感光材料は、アドバンスト・フォト・システム(以下、APSという)用カラーネガフイルムとしても好適であり、富士写真フイルム(株)(以下、富士フイルムという)製NEXIA A、NEXIA F、NEXIA H(順にISO 200/100/400)のようにフイルムをAPSフォーマットに加工し、専用カートリッジに収納したものを挙げることができる。これらのAPS用カートリッジフイルムは、富士フイルム製エピオン300Zに代表されるエピオンシリーズ等のAPS用カメラに装填して用いられる。また、本発明のカラー写真感光材料は、富士フイルム製フジカラー写ルンですスーパースリムのようなレンズ付きフイルムにも好適である。
【0123】
これらにより撮影されたフイルムは、ミニラボシステムでは次のような工程を経てプリントされる。
(1) 受付(露光済みカートリッジフイルムをお客様からお預かり)
(2) デタッチ工程(カートリッジから、フイルムを現像工程用の中間カートリッジに移す)
(3) フイルム現像
リアッタッチ工程(現像済みのネガフイルムを、もとのカートリッジに戻す)
プリント(C, H, P 3タイプのプリントとインデックスプリントをカラーペ ーパー〔好ましくは富士フイルム製 SUPER FA8〕に連続自動プリント)
(6) 照合・出荷(カートリッジとインデックスプリントをIDナンバーで照合し、プリントとともに出荷)。
【0124】
これらのシステムとしては、富士フイルムのミニラボチャンピオンスーパーFA−298/FA−278/FA−258/FA−238 が好ましい。フイルムプロセサーとしてはFP922AL/FP562B/FP562BL/FP362B/FP3622BLが挙げられ、推奨処理薬品はフジカラージャストイットCN−16Lである。プリンタープロセサーとしては、PP3008AR/PP3008A/PP1828AR/PP1828A/PP1258AR/PP1258A/PP728AR/PP728Aが挙げられ、推奨処理薬品はフジカラージャストイットCP−47Lである。 デタッチ工程で用いるデタッチャー、リアタッチ工程で用いるリアタッチャーは、それぞれ富士フイルムのDT200/DT100及びAT200/AT100が好ましい。
【0125】
APSシステムは、富士フイルムのデジタルイメージワークステーションAladdin 1000を中心とするフォトジョイシステムにより楽しむこともできる。例えば、Aladdin 1000に現像済みAPSカートリッジフイルムを直接装填したり、ネガフイルム、ポジフイルム、プリントの画像情報を、35mmフイルムスキャナーFE−550やフラットヘッドスキャナーPE−550を用いて入力し、得られたデジタル画像データを容易に加工・編集することができる。そのデータは、光定着型感熱カラープリント方式によるデジタルカラープリンターNC−550ALやレーザー露光熱現像転写方式のピクトログラフィー3000によって、又はフイルムレコーダーを通して既存のラボ機器によりプリントとして出力することができる。また、Aladdin 1000は、デジタル情報を直接フロッピーディスクやZipディスクに、もしくはCDライターを介してCD−Rに出力することもできる。
【0126】
一方、家庭では、現像済みAPSカートリッジフイルムを富士フイルム製フォトプレイヤーAP−1に装填するだけでTVで写真を楽しむことができるし、富士フイルム製フォトスキャナーAS−1に装填すれば、パソコンに画像情報を高速で連続的に取り込むこともできる。また、フイルム、プリント又は立体物をパソコンに入力するには、富士フイルム製フォトビジョンFV−10/FV−5が利用できる。更に、フロッピーディスク、Zipディスク、CD−Rもしくはハードディスクに記録された画像情報は、富士フイルムのアプリケーションソフト フォトファクトリーを用いてパソコン上で様々に加工して楽しむことができる。パソコンから高画質なプリントを出力するには、光定着型感熱カラープリント方式の富士フイルム製デジタルカラープリンターNC−2/NC−2Dが好適である。
現像済みのAPSカートリッジフイルムを収納するには、フジカラーポケットアルバムAP−5ポップL、AP−1ポップL、 AP−1ポップKG又はカートリッジファイル16が好ましい。
【0127】
次に、本発明の感光材料に用いられる磁気記録層について説明する。
本発明の感光材料は、支持体を挟んで乳剤層を有する側とは反対側(以下、バック面と称す)に磁気記録層を具備し得る。本発明に用いられる磁気記録層とは、磁性体粒子をバインダー中に分散した水性もしくは有機溶媒系塗布液を支持体上に塗設したものである。
【0128】
本発明で用いられる磁性体粒子は、γFe2O3などの強磁性酸化鉄、Co被着γFe2O3、Co被着マグネタイト、Co含有マグネタイト、強磁性二酸化クロム、強磁性金属、強磁性合金、六方晶系のBaフェライト、Srフェライト、Pbフェライト、Caフェライトなどを使用できる。本発明に用いることができる磁性体粒子としては、Co被着γFe2O3などのCo被着強磁性酸化鉄が好ましい。形状としては針状、米粒状、球状、立方体状、板状等いずれでもよい。比表面積ではSBETで20m2/g以上が好ましく、30m2/g以上が特に好ましい。強磁性体の飽和磁化(σs)は、好ましくは3.0×104〜3.0×105A/mであり、特に好ましくは4.0×104〜2.5×105A/mである。強磁性体粒子を、シリカおよび/またはアルミナや有機素材による表面処理を施してもよい。さらに、磁性体粒子は特開平6−161032号に記載された如くその表面にシランカップリング剤又はチタンカップリング剤で処理してもよい。また、特開平4−259911号、同5−81652号に記載の表面に無機、有機物を被覆した磁性体粒子も使用できる。
【0129】
磁性体粒子に用い得るバインダーとしては、特開平4−219569号に記載の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂、反応型樹脂、酸、アルカリ又は生分解性ポリマー、天然物重合体(セルロース誘導体、糖誘導体など)およびそれらの混合物を使用することができる。上記の樹脂のTgは−40℃〜300℃、重量平均分子量は0.2万〜100万である。例えばビニル系共重合体、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルローストリプロピオネートなどのセルロース誘導体、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂を挙げることができ、ゼラチンも好ましい。特にセルロースジ(トリ)アセテートが好ましい。バインダーは、エポキシ系、アジリジン系、イソシアネート系の架橋剤を添加して硬化処理することができる。イソシアネート系の架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、などのイソシアネート類、これらのイソシアネート類とポリアルコールとの反応生成物(例えば、トリレンジイソシアナート3molとトリメチロールプロパン1molの反応生成物)、及びこれらのイソシアネート類の縮合により生成したポリイソシアネートなどがあげられ、例えば特開平6−59357号に記載されている。
【0130】
前述の磁性体を上記バインダ−中に分散する方法は、特開平6−35092号に記載されている方法のように、ニーダー、ピン型ミル、アニュラー型ミルなどが好ましく併用も好ましい。特開平5−088283号に記載の分散剤や、その他の公知の分散剤が使用できる。磁気記録層の厚みは0.1μm〜10μm、好ましくは0.2μm〜5μm、より好ましくは0.3μm〜3μmである。磁性体粒子とバインダーの質量比は好ましくは0.5:100〜60:100からなり、より好ましくは1:100〜30:100である。磁性体粒子の塗布量は0.005〜3g/m2、好ましくは0.01〜2g/m2、さらに好ましくは0.02〜0.5g/m2である。磁気記録層の透過イエロー濃度は、0.01〜0.50が好ましく、0.03〜0.20がより好ましく、0.04〜0.15が特に好ましい。磁気記録層は、写真用支持体の裏面に塗布又は印刷によって全面またはストライプ状に設けることができる。磁気記録層を塗布する方法としてはエアードクター、ブレード、エアナイフ、スクイズ、含浸、リバースロール、トランスファーロール、グラビヤ、キス、キャスト、スプレイ、ディップ、バー、エクストリュージョン等が利用でき、特開平5−341436号等に記載の塗布液が好ましい。
【0131】
磁気記録層に、潤滑性向上、カール調節、帯電防止、接着防止、ヘッド研磨などの機能を合せ持たせてもよいし、別の機能性層を設けて、これらの機能を付与させてもよく、粒子の少なくとも1種以上がモース硬度が5以上の非球形無機粒子の研磨剤であることが好ましい。非球形無機粒子の組成としては、酸化アルミニウム、酸化クロム、二酸化珪素、二酸化チタン、シリコンカーバイト等の酸化物、炭化珪素、炭化チタン等の炭化物、ダイアモンド等の微粉末が好ましい。これらの研磨剤は、その表面をシランカップリング剤又はチタンカップリング剤で処理されてもよい。これらの粒子は磁気記録層に添加してもよく、また磁気記録層上にオーバーコート(例えば保護層,潤滑剤層など)しても良い。この時使用するバインダーは前述のものが使用でき、好ましくは磁気記録層のバインダーと同じものがよい。磁気記録層を有する感材については、US5,336,589号、同5,250,404号、同5,229,259号、同5,215,874号、EP466,130号に記載されている。
【0132】
次に本発明の感光材料に用い得るポリエステル支持体について記すが、後述する感材、処理、カートリッジ及び実施例なども含め詳細については、公開技報、公技番号94−6023(発明協会;1994.3.15.)に記載されている。支持体に用いられるポリエステルはジオールと芳香族ジカルボン酸を必須成分として形成され、芳香族ジカルボン酸として2,6−、1,5−、1,4−、及び2,7−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ジオールとしてジエチレングリコール、トリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、ビスフェノールが挙げられる。この重合ポリマーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート等のホモポリマーを挙げることができる。特に好ましいのは2,6−ナフタレンジカルボン酸を50モル%〜 100モル%含むポリエステルである。中でも特に好ましいのはポリエチレン2,6−ナフタレートである。重量平均分子量の範囲は約5,000ないし200,000である。本発明のポリエステルのTgは好ましくは50℃以上であり、さらに90℃以上が好ましい。
【0133】
次にポリエステル支持体は、巻き癖をつきにくくするために熱処理温度は40℃以上Tg未満、より好ましくはTg−20℃以上Tg未満で熱処理を行う。熱処理はこの温度範囲内の一定温度で実施してもよく、冷却しながら熱処理してもよい。この熱処理時間は、好ましくは0.1時間以上1500時間以下、さらに好ましくは0.5時間以上200時間以下である。支持体の熱処理は、ロ−ル状で実施してもよく、またウェブ状で搬送しながら実施してもよい。表面に凹凸を付与し(例えばSnO2やSb2O5等の導電性無機微粒子を塗布する)、面状改良を図ってもよい。又端部にロ−レットを付与し端部のみ少し高くすることで巻芯部の切り口写りを防止するなどの工夫を行うことが望ましい。これらの熱処理は支持体製膜後、表面処理後、バック層塗布後(帯電防止剤、滑り剤等)、下塗り塗布後のどこの段階で実施してもよい。好ましいのは帯電防止剤塗布後である。
【0134】
このポリエステルには紫外線吸収剤を練り込んでも良い。又ライトパイピング防止のため、三菱化成製のDiaresin、日本化薬製のKayaset 等ポリエステル用として市販されている染料または顔料を練り込むことにより目的を達成することが可能である。
【0135】
次に、本発明では支持体と感材構成層を接着させるために、表面処理することが好ましい。薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理、オゾン酸化処理、などの表面活性化処理が挙げられる。表面処理の中でも好ましいのは、紫外線照射処理、火焔処理、コロナ処理、グロー処理である。
【0136】
本発明の感光材料はまた、乳剤面またはバック面の少なくとも一方に下塗層を具備し得る。この下塗層は単層でもよく2層以上でもよい。下塗層用バインダーとしては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ブタジエン、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸などの中から選ばれた単量体を出発原料とする共重合体を始めとして、ポリエチレンイミン、エポキシ樹脂、グラフト化ゼラチン、ニトロセルロース、ゼラチンが挙げられる。支持体を膨潤させる化合物としてレゾルシンとp−クロルフェノールがある。下塗層にはゼラチン硬化剤としてはクロム塩(クロム明ばんなど)、アルデヒド類(ホルムアルデヒド、グルタールアルデヒドなど)、イソシアネート類、活性ハロゲン化合物(2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジンなど)、エピクロルヒドリン樹脂、活性ビニルスルホン化合物などを挙げることができる。SiO2、TiO2、無機物微粒子又はポリメチルメタクリレート共重合体微粒子(0.01〜10μm)をマット剤として含有させてもよい。
【0137】
また、本発明の感光材料は、好ましくは帯電防止剤を含有し得る。それらの帯電防止剤としては、カルボン酸及びカルボン酸塩、スルホン酸塩を含む高分子、カチオン性高分子、イオン性界面活性剤化合物を挙げることができる。
帯電防止剤として最も好ましいものは、ZnO、TiO2、SnO2、Al2O3、In2O3、SiO2、MgO、BaO、MoO3、V2O5の中から選ばれた少くとも1種の体積抵抗率が107Ω・cm以下、より好ましくは105Ω・cm以下である粒子サイズ0.001〜1.0μmの結晶性の金属酸化物あるいはこれらの複合酸化物(Sb,P,B,In,S,Si,Cなど)の微粒子、更にはゾル状の金属酸化物あるいはこれらの複合酸化物の微粒子である。感材への含有量としては、5〜500mg/m2が好ましく特に好ましくは10〜350mg/m2である。導電性の結晶性酸化物又はその複合酸化物とバインダーの質量比(酸化物/バインダー)は1/300〜100/1が好ましく、より好ましくは1/100〜100/5である。
【0138】
本発明の感材には滑り性がある事が好ましい。滑り剤含有層は乳剤層面、バック面ともに用いることが好ましい。好ましい滑り性としては動摩擦係数で0.25以下0.01以上である。この時の測定は直径5mmのステンレス球に対し、60cm/分で搬送した時の値を表す(25℃、60%RH)。この評価において相手材として感光層面に置き換えてもほぼ同レベルの値となる。
【0139】
本発明に使用可能な滑り剤としては、ポリオルガノシロキサン、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸と高級アルコールのエステル等であり、ポリオルガノシロキサンとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリスチリルメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン等を用いることができる。添加層としては乳剤層の最外層やバック層が好ましい。特にポリジメチルシロキサンや長鎖アルキル基を有するエステルが好ましい。
【0140】
本発明の感光材料は、好ましくはマット剤を含有し得る。マット剤としては乳剤面、バック面とどちらでもよいが、乳剤側の最外層に添加するのが特に好ましい。マット剤は処理液可溶性でも処理液不溶性でもよく、好ましくは両者を併用することである。例えばポリメチルメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート/メタクリル酸=9/1又は5/5(モル比))、ポリスチレン粒子などが好ましい。粒径としては0.8〜10μmが好ましく、その粒径分布も狭いほうが好ましく、平均粒径の0.9〜1.1倍の間に全粒子数の90%以上が含有されることが好ましい。また、マット性を高めるために0.8μm以下の微粒子を同時に添加することも好ましく例えばポリメチルメタクリレート(0.2μm)、ポリ(メチルメタクリレート/メタクリル酸=9/1(モル比)、0.3μm))、ポリスチレン粒子(0.25μm)、コロイダルシリカ(0.03μm)が挙げられる。
【0141】
次に本発明の感光材料に用い得るフィルムパトローネについて記す。本発明に使用し得るパトローネの主材料は金属でも合成プラスチックでもよい。
好ましいプラスチック材料はポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニルエーテルなどである。更に本発明のパトローネは、各種の帯電防止剤を含有してもよく、カーボンブラック、金属酸化物粒子、ノニオン、アニオン、カチオン及びベタイン系界面活性剤又はポリマー等を好ましく用いることが出来る。これらの帯電防止されたパトローネは特開平1−312537号、同1−312538号に記載されている。特に25℃、25%RHでの抵抗が1012Ω以下のパトローネが好ましい。通常プラスチックパトローネは、遮光性を付与するためにカーボンブラックや顔料などを練り込んだプラスチックを使って製作される。パトローネのサイズは現在 135サイズのままでもよいし、カメラの小型化には、現在の135サイズの25mmのカートリッジの径を22mm以下である。パトローネのケースの容積は、30cm3以下、好ましくは25cm3以下とすることが好ましい。パトローネおよびパトローネケースに使用されるプラスチックの質量は5g〜15gが好ましい。
【0142】
更に本発明で用いることができるパトローネは、スプールを回転してフイルムを送り出すパトローネでもよい。またフイルム先端がパトローネ本体内に収納され、スプール軸をフイルム送り出し方向に回転させることによってフイルム先端をパトローネのポート部から外部に送り出す構造でもよい。これらはUS4,834,306号、同5,226,613号に開示されている。本発明に用いられる写真フイルムは現像前のいわゆる生フイルムでもよいし、現像処理された写真フイルムでもよい。又、生フイルムと現像済みの写真フィルムが同じ新パトローネに収納されていてもよいし、異なるパトローネでもよい。
【0143】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示す。但しこの実施例に限定されるものではない。 以下の乳剤調製で分散媒として用いたゼラチン−1〜5は、以下の属性を持つゼラチンである。
【0144】
ゼラチン−1:牛骨を原料とする、通常のアルカリ処理オセインゼラチン。ゼラチン中の−NH2基の化学修飾なし。
ゼラチン−2:ゼラチン−1の水溶液に、50℃、pH9.0の条件下で無水フタル酸を加えて化学反応させた後、残留するフタル酸を除去して乾燥させたゼラチン。
ゼラチン中の−NH2基が化学修飾された数の割合95%。
ゼラチン−3:ゼラチン−1の水溶液に、50℃、pH9.0の条件下で無水トリメリット酸を加えて化学反応させた後、残留するトリメリット酸を除去して乾燥させたゼラチン。
ゼラチン中の−NH2基が化学修飾された数の割合95%。
【0145】
ゼラチン−4:ゼラチン−1に酵素を作用させて低分子量化し、平均分子量を15000にした後、酵素を失活させて乾燥させたゼラチン。
ゼラチン中の−NH2基の化学修飾なし。
ゼラチン−5:ゼラチン−4に過酸化水素水を作用させて、メチオニン残基を酸化処理したゼラチン。メチオン含有率は3.4μmol/gである。
分子量はゼラチン−4と等しく15000。ゼラチン中の−NH2基の化学修飾なし。
上記のゼラチン−1〜5は、全て脱イオン処理をした後、5%水溶液の35℃におけるpHが6.0となるように調整を行った。
【0146】
(実施例1)
厚みと沃化銀含量の分布を変えた転位平板乳剤の調製、原乳塗布、評価の実施例
(乳剤1−Aの調製)
<核形成>
KBrを1.0g、前記のゼラチン−4を1.1g含む水溶液1300mLを35℃に保ち、撹拌した(1st液調製)。 Ag−1水溶液(100mL中にAgNO3を4.9g含有する)18mLと、X−1水溶液(100mL中にKBrを5.2g含有する)13.8mL、及びG−1水溶液(100mL中に前記ゼラチン−4を8.0g含有する)4mLをトリプルジェット法で、一定の流量で30秒間にわたり添加した(添加1)。 その後、KBr6.5gを添加し、温度を75℃に昇温した。昇温後12分間の熟成工程を経た後、G−2水溶液(100mL中に前記のゼラチン−3を12.7g含有する)300mLを添加し、次いで、4,5−ジヒドロキシ−1,3−ジスルホン酸ジナトリウム一水和物を2.1g、二酸化チオ尿素を0.002gを1分間づつ間隔をあけて順次添加した。
【0147】
<第一粒子成長>
次に、Ag−2水溶液(100mL中にAgNO3を22.1g含有する)157mLと、X−2水溶液(100mL中にKBrを15.5g含有する)をダプルジェット法で14分間にわたり添加した。この時、Ag−2水溶液の添加は最終流量が初期流量の3.4倍になるように流量加速を行い、X−2水溶液の添加は反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgが8.30を保つように行った(添加2)。
次いで、Ag−3水溶液(100mL中にAgNO3を32.0g含有する)329mLと、X−3水溶液(100mL中にKBrを21.5g、KIを1.2g含有する)をダブルジェット法で27分間にわたり添加した。この時、Ag−3水溶液の添加は最終流量が初期流量の1.6倍になるように流量加速を行い、X−3水溶液の添加は反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgが8.30を保つように行った(添加3)。 さらに、Ag−4水溶液(100mL中にAgNO3を32.0g含有する)156mLと、X−4水溶液(100mL中にKBrを22.4g含有する)をダプルジェット法で17分間にわたり添加した。この時、Ag−4水溶液の添加は一定の流量で行い、X−4水溶液の添加は反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgが8.15を保つように行った(添加4)。
【0148】
<沃化銀層形成>
その後、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウムを0.0025g、G−3水溶液(100mL中に前記のゼラチン−1を12.0g含有する)125mLを、1分間づつ間隔をあけて順次添加した。次いでKBr43.7gを添加し反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgを9.00にしてから、Ag−5水溶液(100mL中にAgNO311.4gを含む)とX−5水溶液(100mL中にKI11.1gを含む)をダブルジェット法で4分間にわたって添加した。
【0149】
<第二粒子形成>
その2分後から、Ag−4水溶液249mLと、X−4水溶液をダブルジェット法で添加した。この時Ag−4水溶液は一定の流量で9分間にわたって添加し、X−4水溶液は最初の3.3分間だけ反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgを9.00に保つように添加し、残りの5.7分間は添加をせず、反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgが最終的に8.4になるようにした(添加5)。 その後、通常のフロキュレーション法により脱塩を行い、次いで、攪拌しながら水、NaOH、前記のゼラチン−1を添加し、56℃でpH6.4、pAg8.6になるように調整した。
【0150】
(乳剤1−Bの調製)
乳剤1−Aの調製の調製において使用されている分子量15000の低分子量ゼラチンを低分子量酸化処理ゼラチンに置き換えた。(低分子量酸化処理ゼラチンは酸化処理ゼラチンに過酸化水素水を加えて化学反応させた後残留する過酸化水素をカタラーゼにより失活させて調製した。)このとき、75度での熟成時間は、同じ粒子サイズになるように調整した。このようにして調製した乳剤を乳剤1−Bとする。
【0151】
(乳剤1−Cの調製)
乳剤1−Aの調製の調製において使用されている分子量15000の低分子量ゼラチンを低分子量酸化処理ゼラチンに置き換えた。(低分子量酸化処理ゼラチンは酸化処理ゼラチンに過酸化水素水を加えて化学反応させた後残留する過酸化水素をカタラーゼにより失活させて調製した。)このとき、75度での熟成時間は、同じ粒子サイズになるように調整した。さらに乳剤1−A調製中の第一粒子成長部分のダブルジェット法にて粒子形成を行う部分を、ダブルジェット法に代えて特開平10−43570記載の撹拌装置を用いて硝酸銀溶液およびハロゲン溶液を混合し形成される微粒子を添加することにより粒子形成を行う方法に変更した。このときハロゲン溶液には低分子量酸化処理ゼラチンを適切な量添加した。
【0152】
(乳剤1−D、E、Fの調製)
乳剤1−Cの沃化銀層形成部でAg−5およびX−5を特開平10−43570記載の撹拌機を通して沃化銀微粒子を形成し、この微粒子を添加することにより沃化銀層を形成した。このとき同時にAg−4およびX−4をAg−5と等モル量同時に添加した。
この部分で添加する沃化銀量を変化させ、乳剤1−Dから1−Fを調製した。
(乳剤1−Gの調製)
乳剤1−Bの沃化銀層形成部でAg−5およびX−5を特開平10−43570記載の撹拌機を通して沃化銀微粒子を形成し、この微粒子を添加することにより沃化銀層を形成した。
【0153】
得られた乳剤粒子の特性値を表1に示す。続いて、下記増感色素1、2、3、チオシアン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリウム及びN,N−ジメチルセレノ尿素を順次添加し最適に化学増感を施した後、下記の水溶性メルカプト化合物1及び化合物2を添加することにより化学増感を終了させた。
【0154】
本発明の増感色素は、特開平11−52507号に記載の方法で作成した固体微分散物として、使用した。
例えば増感色素1の固体微分散物を次のようにして作成した。
NaNO30.8質量部及びNa2SO43.2質量部をイオン交換水43部に溶解し、増感色素13質量部を添加し、60℃の条件下でディゾルバー翼を用いて2000rpmで20分間分散することにより、増感色素1の固体微分散物を得た。
【0155】
【化1】
【0156】
【化2】
【0157】
【化3】
【0158】
【化4】
【0159】
【化5】
【0160】
調製した乳剤の特性値を表1に示した。
【0161】
【表1】
【0162】
下塗り層を設けてある三酢酸セルロースフィルム支持体に下記表2に示すような塗布条件で、前記の乳剤1−A〜1−Gの塗布を行い、試料101〜107を作成した。
【0163】
【表2】
これらの試料を40℃、相対湿度70%の条件下で14時間硬膜処理を施した。その後、富士フイルム(株)製ゼラチンフィルターSC−50(カットオフ波長が500nmである長波長光透過フィルター)と連続ウェッジを通して1/100秒間露光を行い、後述の現像処理を行なった試料を緑色フィルターで濃度測定することにより写真性能の評価を行った。
【0164】
富士写真フイルム(株)製ネガプロセサーFP−350を用い、以下に記載の方法で(液の累積補充量がその母液タンク容量の3倍になるまで)処理した。
*補充量は35mm巾1.1m長さ当たり(24Ex.1本相当)
【0165】
次に、処理液の組成を記す。
【0166】
【0167】
【0168】
(水洗液) タンク液、補充液共通
水道水をH型強酸性カチオン交換樹脂(ロームアンドハース社製アンバーライトIR−120B)と、OH型アニオン交換樹脂(同アンバーライトIR−400)を充填した混床式カラムに通水してカルシウム及びマグネシウムイオン濃度を3mg/L以下に処理し、続いて二塩化イソシアヌール酸ナトリウム20mg/Lと硫酸ナトリウム0.15g/Lを添加した。この液のpHは6.5〜7.5の範囲にあった。
【0169】
【0170】
評価を行った結果を、下記の表3に示す。感度はかぶり濃度プラス0.2の濃度に到達するのに必要な露光量の逆数の相対値で表示した。(試料101の感度を100とした。)
また処理依存性は発色現像を1’15”および3’45”で行い、それぞれの被り濃度の差を処理依存性とした。試料101の処理依存性を100として相対的に表した。数字が少ないほうが処理依存性が小さくて好ましい。
【0171】
【表3】
【0172】
表3から、粒子厚みを0.1μm未満に下げることで高感度化が得られるものの、処理依存性が大きく悪化することがわかる。
しかし、本発明の沃化銀構造を有する乳剤に用いることにより、処理依存性は大きく改良される。したがって本発明の乳剤を用いることにより粒子厚みが厚い粒子の処理依存性を保つかむしろ改良しながら乳剤の高感度化が得られることがわかり本発明の効果が顕著であった。
本発明の中では領域Aの沃化銀含量が7mol%以上検知される乳剤の方がより高感度で、かつ処理依存性に優れることがわかる。
【0173】
実施例2
1)支持体
本実施例で用いた支持体は、下記の方法により作製した。
1)第1層及び下塗り層
厚さ90μmのポリエチレンナフタレート支持体について、その各々の両面に、処理雰囲気圧力2.66×10Pa、雰囲気気体中のH2O分圧75%、放電周波数30kHz、出力2500W、処理強度0.5kV・A・分/m2でグロー放電処理を施した。この支持体上に、第1層として下記組成の塗布液を特公昭58−4589号公報に記載のバー塗布法を用いて、5mL/m2の塗布量で塗布した。
【0174】
【0175】
さらに、第1層を塗設後、直径20cmのステンレス巻芯に巻付けて、110℃(PEN支持体のTg:119℃)で48時間加熱処理し熱履歴させてアニール処理をした後、支持体をはさみ第1層側と反対側に乳剤用の下塗り層として下記組成の塗布液をバー塗布法を用いて、10mL/m2の塗布量で塗布した。
【0176】
さらに、後述する第2、第3層を第1層の上に順に塗設し、最後に、後述する組成のカラーネガ感光材料を反対側に重層塗布することによりハロゲン化銀乳剤層付き透明磁気記録媒体を作製した。
【0177】
2)第2層(透明磁気記録層)
▲1▼磁性体の分散
Co被着γ−Fe2O3磁性体(平均長軸長:0.25μm、SBET:39m2/g、Hc:6.56×104A/m、σs:77.1Am2/kg、σr:37.4Am2/kg)1100質量部、水220質量部及びシランカップリング剤〔3−(ポリ(重合度10)オキシエチニル)オキシプロピル トリメトキシシラン〕165質量部を添加して、オープンニーダーで3時間良く混練した。この粗分散した粘性のある液を70℃で1昼夜乾燥し水を除去した後、110℃で1時間加熱処理し、表面処理をした磁気粒子を作製した。
【0178】
さらに以下の処方で、再びオープンニーダーにて4時間混練した。
上記表面処理済み磁気粒子 855 g
ジアセチルセルロース 25.3 g
メチルエチルケトン 136.3 g
シクロヘキサノン 136.3 g
さらに、以下の処方で、サンドミル(1/4Gのサンドミル)にて2000rpm、4時間微細分散した。メディアは1mmφのガラスビーズを用いた。
【0179】
上記混練液 45 g
ジアセチルセルロース 23.7 g
メチルエチルケトン 127.7 g
シクロヘキサノン 127.7 g
【0180】
さらに、以下の処方で、磁性体含有中間液を作製した。
これらを混合した後、ディスパ−にて撹拌し、「磁性体含有中間液」を作製した。
【0181】
以下の処方で本発明のα−アルミナ研磨材分散液を作製した。
(a)スミコランダムAA−1.5(平均1次粒子径1.5μm,比表面積1.3m2/g)
粒子分散液の作製
スミコランダムAA−1.5 152g
シランカップリング剤KBM903(信越シリコ−ン社製) 0.48g
ジアセチルセルロース溶液 227.52g
(固形分4.5%、溶媒:メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=1/1)
上記処方にて、セラミックコートしたサンドミル(1/4Gのサンドミル)を用いて800rpm、4時間微細分散した。メディアは1mmφのジルコニアビーズを用いた。
【0182】
(b)コロイダルシリカ粒子分散液(微小粒子)
日産化学(株)製の「MEK−ST」を使用した。
これは、メチルエチルケトンを分散媒とした、平均1次粒子径0.015μmのコロイダルシリカの分散液であり、固形分は30%である。
【0183】
▲3▼第2層塗布液の作製
上記磁性体含有中間液 19053 g
ジアセチルセルロース溶液 264 g
(固形分4.5%、溶媒:メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=1/1)
コロイダルシリカ分散液「MEK−ST」<分散液b> 128 g
(固形分30%)
AA−1.5分散液<分散液a> 12 g
ミリオネートMR−400(日本ポリウレタン(株)製) 希釈液 203 g
(固形分20%、希釈溶剤:メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=1/1)
メチルエチルケトン 170 g
シクロヘキサノン 170 g
上記を混合・撹拌した塗布液をワイヤーバーにて、塗布量29.3mL/m2になるように塗布した。乾燥は110℃で行った。乾燥後の磁性層としての厚みは1.0μmだった。
【0184】
3)第3層(高級脂肪酸エステル滑り剤含有層)
▲1▼滑り剤の分散原液の作製
下記のア液を100℃加温溶解し、イ液に添加後、高圧ホモジナイザーで分散し、滑り剤の分散原液を作製した。
【0185】
【0186】
▲2▼球状無機粒子分散液の作製
以下の処方にて、球状無機粒子分散液<c1>を作製した。
【化6】
シーホスタKEP50 88.00質量部
(非晶質球状シリカ、平均粒子径0.5μm、日本触媒(株)製)
【0187】
上記処方にて10分間撹拌後、更に以下を追添する。
ジアセトンアルコール 252.93質量部
上記液を氷冷・攪拌しながら、超音波ホモジナイザー「SONIFIER450(BRANSON(株)製)」を用いて3時間分散し、球状無機粒子分散液c1を完成させた。
【0188】
▲3▼球状有機高分子粒子分散液の作製
以下の処方にて、球状有機高分子粒子分散液<c2>を作製した。
氷冷・攪拌しながら、超音波ホモジナイザー「SONIFIER450(BRANSON(株)製)」を用いて2時間分散し球状有機高分子粒子分散液c2を完成させた。
【0189】
▲4▼第3層塗布液の作製
前述、滑り剤分散原液542gに下記を加え第3層塗布液とした。
ジアセトンアルコール 5950 g
シクロヘキサノン 176 g
酢酸エチル 1700 g
上記シーホスタKEP50分散液<c1> 53.1 g
上記球状有機高分子粒子分散液<c2> 300 g
FC431 2.65 g
(3M(株)製、固形分50%、溶剤:酢酸エチル)
BYK310 5.3 g
(BYKケミジャパン(株) 製、固形分含量25%)
上記第3層塗布液を第2層の上に10.35mL/m2の塗布量で塗布し、110℃で乾燥後、更に97℃で3分間後乾燥した。
【0190】
4)感光層の塗設
次に、前記で得られたバック層の支持体に対して反対側に、下記の組成の各層を重層塗布し、カラーネガフィルムを作成した。
(感光層の組成)
各成分に対応する数字は、g/m2単位で表した塗布量を示し、ハロゲン化銀については銀換算の塗布量を示す。
【0191】
【0192】
第2層(第2ハレーション防止層)
黒色コロイド銀 銀 0.055
ゼラチン 0.425
ExF−1 0.002
F−8 0.001
固体分散染料 ExF−7 0.120
HBS−1 0.074
【0193】
第3層(中間層)
ExC−2 0.050
Cpd−1 0.090
ポリエチルアクリレートラテックス 0.200
HBS−1 0.100
ゼラチン 0.700
【0194】
第4層(低感度赤感乳剤層)
Em−D 銀 0.577
Em−C 銀 0.347
ExC−1 0.188
ExC−2 0.011
ExC−3 0.075
ExC−4 0.121
ExC−5 0.010
ExC−6 0.007
ExC−8 0.050
ExC−9 0.020
Cpd−2 0.025
Cpd−4 0.025
UV−2 0.047
UV−3 0.086
UV−4 0.018
HBS−1 0.245
HBS−5 0.038
ゼラチン 0.994
【0195】
第5層(中感度赤感乳剤層)
Em−B 銀 0.431
Em−C 銀 0.432
ExC−1 0.154
ExC−2 0.068
ExC−3 0.018
ExC−4 0.103
ExC−5 0.023
ExC−6 0.010
ExC−8 0.016
ExC−9 0.005
Cpd−2 0.036
Cpd−4 0.028
HBS−1 0.129
ゼラチン 0.882
【0196】
第6層(高感度赤感乳剤層)
Em−A 銀 1.108
ExC−1 0.180
ExC−3 0.035
ExC−6 0.029
ExC−8 0.110
ExC−9 0.020
Cpd−2 0.064
Cpd−4 0.077
HBS−1 0.329
HBS−2 0.120
ゼラチン 1.245
【0197】
第7層(中間層)
Cpd−1 0.094
Cpd−6 0.369
固体分散染料ExF−4 0.030
HBS−1 0.049
ポリエチルアクリレートラテックス 0.088
ゼラチン 0.886
【0198】
第8層(赤感層へ重層効果を与える層)
Em−J 銀 0.153
Em−K 銀 0.153
Cpd−4 0.030
ExM−2 0.120
ExM−3 0.016
ExM−4 0.026
ExY−1 0.016
ExY−4 0.036
ExC−7 0.026
HBS−1 0.218
HBS−3 0.003
HBS−5 0.030
ゼラチン 0.610
【0199】
第9層(低感度緑感乳剤層)
Em−H 銀 0.329
Em−G 銀 0.333
Em−I 銀 0.088
ExM−2 0.378
ExM−3 0.047
ExY−1 0.017
ExC−7 0.007
HBS−1 0.098
HBS−3 0.010
HBS−4 0.077
HBS−5 0.548
Cpd−5 0.010
ゼラチン 1.470
【0200】
第10層(中感度緑感乳剤層)
Em−F 銀 0.457
ExM−2 0.032
ExM−3 0.029
ExY−3 0.007
ExC−6 0.010
ExC−7 0.012
ExC−8 0.010
HBS−1 0.065
HBS−3 0.002
HBS−4 0.020
HBS−5 0.020
Cpd−5 0.004
ゼラチン 0.446
【0201】
第11層(高感度緑感乳剤層)
Em−E 銀 0.794
ExC−6 0.002
ExC−8 0.010
ExM−1 0.013
ExM−2 0.011
ExM−3 0.030
ExY−3 0.003
Cpd−3 0.004
Cpd−4 0.007
Cpd−5 0.010
HBS−1 0.148
HBS−3 0.003
HBS−4 0.020
HBS−5 0.037
ポリエチルアクリレートラテックス 0.099
ゼラチン 0.939
【0202】
第12層(イエローフィルター層)
Cpd−1 0.094
固体分散染料ExF−2 0.070
固体分散染料ExF−5 0.010
油溶性染料ExF−6 0.010
HBS−1 0.049
ゼラチン 0.630
【0203】
第13層(低感度青感乳剤層)
Em−O 銀 0.112
Em−M 銀 0.320
Em−N 銀 0.240
ExC−1 0.027
ExC−7 0.013
ExY−1 0.002
ExY−2 0.890
ExY−4 0.058
Cpd−2 0.100
Cpd−3 0.004
HBS−1 0.222
HBS−5 0.074
ゼラチン 1.553
【0204】
第14層(高感度青感乳剤層)
Em−L 銀 0.714
ExY−2 0.211
ExY−4 0.068
Cpd−2 0.075
Cpd−3 0.001
HBS−1 0.124
ゼラチン 0.678
【0205】
【0206】
第16層(第2保護層)
H−1 0.400
B−1(直径1.7μm) 0.050
B−2(直径1.7μm) 0.150
B−3 0.050
S−1 0.200
ゼラチン 0.750
【0207】
更に、各層に適宜、保存性、処理性、圧力耐性、防黴・防菌性、帯電防止性及び塗布性をよくするために、W−1ないしW−6、B−4ないしB−6、F−1ないしF−17及び、鉛塩、白金塩、イリジウム塩、ロジウム塩が含有されている。
【0208】
有機固体分散染料の分散物の調製
第12層のExF−2を次の方法で分散した。
ExF−2のウエットケーキ(17.6質量%の水を含む)2.800kg
オクチルフェニルジエトキシメタンスルホン酸ナトリウム
(31質量%水溶液) 0.376kg
F−15(7%水溶液) 0.011kg
水 4.020kg
計 7.210kg
(NaOHでpH=7.2に調整)
【0209】
上記組成のスラリーをディゾルバーで攪拌して粗分散した後、アジテータミルLMK−4を用い、周速10m/s、吐出量0.6kg/min、0.3mm径のジルコニアビーズ充填率80%で分散液の吸光度比が0.29になるまで分散し、固体微粒子分散物を得た。染料微粒子の平均粒径は0.29μmであった。
【0210】
【表4】
【0211】
表4において、乳剤Em−A〜Cは分光増感色素1〜3を最適量添加され、最適に金増感、硫黄増感、セレン増感されている。乳剤Em−E〜Gは分光増感色素4〜6を最適量添加され、最適に金増感、硫黄増感、セレン増感されている。乳剤Em−Jは分光増感色素7、8を最適量添加され、最適に金増感、硫黄増感、セレン増感されている。乳剤Em−Lは分光増感色素9〜11を最適量添加され、最適に金増感、硫黄増感、セレン増感されている。乳剤Em−Oは分光増感色素10〜12を最適量添加され、最適に金増感、硫黄増感されている。乳剤Em−D、H、I、K、M、Nは表5記載の分光増感色素を最適量添加され、最適に金増感、硫黄増感、セレン増感されている。乳剤Em−A〜Oはすべて沃臭化銀であり、塩化銀は含有していなかった。
【0212】
【表5】
【0213】
表5に記載の増感色素を以下に示す。
【0214】
【化7】
【0215】
【化8】
【0216】
【化9】
【0217】
【化10】
【0218】
【化11】
【0219】
【化12】
【0220】
【化13】
【0221】
【化14】
【0222】
【化15】
【0223】
【化16】
【0224】
【化17】
【0225】
【化18】
【0226】
【化19】
【0227】
平板状粒子の調製には特開平1−158426号記載の実施例に従い低分子量ゼラチンを使用している。
乳剤Em−A〜KにはIr、Feを最適量含有している。
乳剤Em−L〜Oは粒子調製時に還元増感されている 。
【0228】
平板状粒子には高圧電子顕微鏡を用いると、特開平3−237450号に記載されているような転位線が観察される。
乳剤Em−A〜C、Jは特開平6−11782号記載の実施例に従い沃化物イオン放出剤を使用して転位導入している。
乳剤Em−Eは特開平10−43570号記載の磁気カップリング誘導型攪拌機を有する別チャンバーで添加直前に調整した沃化銀微粒子を使用して転位導入している。
以下、各層に用いた化合物を示す。
【0229】
【化20】
【0230】
【化21】
【0231】
【化22】
【0232】
【化23】
【0233】
【化24】
【0234】
【化25】
【0235】
【化26】
【0236】
【化27】
【0237】
【化28】
【0238】
【化29】
【0239】
上記のハロゲン化銀カラー写真感光材料の第6層のEm−Aを実施例1で調製した乳剤1−A〜1−Gに置き換えた試料をそれぞれ試料201〜207とする。
【0240】
試料201〜207を富士フイルム(株)製ゼラチンフィルターSC−39と連続ウェッジを通して1/100秒間露光した。
現像は富士写真フイルム社製自動現像機FP−360Bを用いて以下により行った。尚、漂白浴のオーバーフロー液を後浴へ流さず、全て廃液タンクへ排出するように改造を行った。このFP−360Bは公開技法94−4992号(社団法人発明協会発行)に記載の蒸発補正手段を搭載している。
【0241】
処理工程及び処理液組成を以下に示す。
*補充量は感光材料35mm幅1.1m当たり(24毎撮り1本相当)
【0242】
安定液及び定着液は(2)から(1)への向流方式であり、水洗水のオーバーフロー液は全て定着浴(2)へ導入した。尚、現像液の漂白工程への持ち込み量、漂白液の定着工程への持ち込み量、及び定着液の水洗工程への持ち込み量は感光材料35mm幅1.1m当たりそれぞれ2.5mL、2.0mL、2.0mLであった。また、クロスオーバーの時間はいずれも6秒であり、この時間は前工程の処理時間に包含される。
上記処理機の開口面積は発色現像液で100cm2、漂白液で120cm2、その他の処理液は約100cm2であった。
【0243】
以下に処理液の組成を示す。
【0244】
【0245】
(定着(1)タンク液)
上記漂白タンク液と下記定着タンク液の5対95(容量比)混合液
(pH6.8)
【0246】
【0247】
(水洗水)
水道水をH型強酸性カチオン交換樹脂(ロームアンドハース社製アンバーライトIR−120B)と、OH型強塩基性アニオン交換樹脂(同アンバーライトIR−400)を充填した混床式カラムに通水してカルシウム及びマグネシウムイオン濃度を3mg/L以下に処理し、続いて二塩化イソシアヌール酸ナトリウム20mg/Lと硫酸ナトリウム150mg/Lを添加した。この液のpHは6.5〜7.5の範囲にあった。
【0248】
【0249】
露光・現像後の試料201〜207を、実施例1と同様にして感度および処理依存性を調べた。ただし、露光は赤色フィルターで行い、測定はシアン濃度について行った。
【0250】
結果を表6に示す。
【0251】
【表6】
【0252】
実施例1同様、本発明の乳剤は高感度かつ処理依存性が小さく、本発明の効果が顕著であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る平板粒子の断面図を示す。
【図2】図2は、本発明に係る平板粒子の断面図を示し、フリンジ部を斜線を付した領域で示す。
【図3】図3は、本発明に係る平板粒子の断面図を示し、フリンジ内部を斜線を付した領域で示す。
【図4】図4は、本発明に係る平板粒子を主表面方向から観察した際の領域Aおよび領域B部分を示す。
Claims (2)
- 厚みが0.13μm未満、円相当径が1.0μm以上で、かつ、双晶面と粒子主表面に囲まれるフリンジ内部(領域A)の沃化銀含量が2枚の双晶面で囲まれるフリンジ内部(領域B)の沃化銀含量よりも高い沃臭化銀もしくは塩沃臭化銀平板粒子を全粒子の個数の50%以上含有することを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。
- 前記厚みが0.1μm未満であることを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化銀写真乳剤。
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