JP2001264911A - ハロゲン化銀写真乳剤およびこれを用いたハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

ハロゲン化銀写真乳剤およびこれを用いたハロゲン化銀写真感光材料

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JP2001264911A JP2000080866A JP2000080866A JP2001264911A JP 2001264911 A JP2001264911 A JP 2001264911A JP 2000080866 A JP2000080866 A JP 2000080866A JP 2000080866 A JP2000080866 A JP 2000080866A JP 2001264911 A JP2001264911 A JP 2001264911A
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洋 河上
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高感度のハロゲン化銀感光材料に使用され
る、粒子厚みが薄く主表面の円相当径が大きいハロゲン
化銀平板粒子より成る乳剤を高感度化する技術を提供
し、同時に圧力性および保存性に優れたハロゲン化銀乳
剤を提供すること。 【解決手段】 全粒子の円相当径の変動係数が40%以下
であり、かつ全投影面積の50%以上が(a)〜(e)の要件を
満たすハロゲン化銀平板粒子で占められるハロゲン化銀
写真乳剤:(a)平行な主表面が(111)面である沃臭化銀又
は沃塩臭化銀粒子;(b)主表面の円相当径が1.0μm以
上、かつ厚みが0.1μm以下;(c)粒子主表面の中心部のA
gI含有率をIa、粒子主表面の中心と粒子主表面の辺との
間の中点部のAgI含有率をIb、粒子主表面の辺の中点部
のAgI含有率をIc、粒子頂点部のAgI含有率をIdとした
時、0.7Ic≦Id≦1.5Ic、1.5(Ia+Ib)≦(Ic+Id)≦2.3(I
a+Ib);(d)粒子外周部に1粒子当り5本以上の転位線を
有する;(e)正孔捕獲ゾーンを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はハロゲン化銀写真乳
剤に関するものである。本発明は特に、粒子厚みが小さ
いハロゲン化銀平板粒子より成る乳剤に関するものであ
る。更には、写真感度および粒状性に優れ、かつ、現像
処理時の圧力かぶりが少なく、保存かぶりが小さいハロ
ゲン化銀平板粒子より成る乳剤に関するものである。ま
た本発明は、前記乳剤を用いたハロゲン化銀写真感光材
料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ハロゲン化銀写真感光材料の感度
/粒状比向上を目的として、ハロゲン化銀平板粒子より
成る写真乳剤は一般に広く常用されるようになった。最
近、更なる感度/粒状比向上を目指して、前記ハロゲン
化銀平板粒子の粒子厚みは更に小さくなり、主表面の面
積は更に大きくなっていく傾向がある。この傾向は、ハ
ロゲン化銀粒子の単位体積当りの表面積を増大させて多
量の分光増感色素をハロゲン化銀粒子に吸着させること
により、光吸収の効率を上げて、感度/粒状比を向上さ
せようという思想に基づくものであり、この思想はUS
4,956,269号等において公知である。
【0003】しかしながら、前述の考えに従って、単に
粒子厚みを小さくし主表面の面積を大きくして、多量の
分光増感色素を吸着させるだけでは感度が上昇しないと
いう問題があり、近年、この問題の解決に寄与しうる多
くの技術が開発され、下記に挙げるように特許として開
示されている。
【0004】ハロゲン化銀乳剤の感度/粒状比向上の方
法としてハロゲン化銀粒子に意図的に転位線を導入する
方法があり、近年、当業界で広く用いられている。特開
昭63−220238号には、ハロゲン化銀平板粒子の
外周部に転位線を導入する方法が開示されている。また
特開平1−102547号にはハロゲン化銀平板粒子の
主平面上に転位線を導入する方法が開示されている。こ
れらの特許では転位線の本数をできるだけ多くすること
が好ましいとしている。しかし、本発明者等の検討で
は、粒子厚みの小さい平板粒子に多数の転位線を導入す
ることは意外に困難であった。多数の転位線を導入する
ためには、ハロゲン化銀粒子形成工程の転位導入開始時
に多量の沃化銀をホストとなるハロゲン化銀粒子上に沈
積させる必要があるが、そのことは、その後に行われる
化学増感を阻害する要因となるばかりでなく、現像処理
時にも非効率を生じさせる要因となるため、結果的には
写真感度の向上が果たせないという結果となってしまっ
た。特開平11−190885号等では、前記の多量の
沃化銀使用による転位導入で起こる非効率は沃化銀含有
率が急激に変化する部位が存在するためであるとして、
そのような部位を造らないハロゲン化銀粒子設計をする
ことが重要であると主張している。本発明者等がこの方
法を前記の厚みが0.1μm以下の平板粒子に適用した
ところ、転位線導入が殆どされないか、或いはごく一部
の粒子にしか転位線が導入されないという結果となり、
写真感度は向上しなかった。
【0005】一方、乳剤の感度に関わる非効率因子の1
つとして、自由電子と正孔の再結合があり、この再結合
を防止するという観点からは、還元増感を施すことが有
効であることが古くから知られている。ジャーナルオブ
フォトグラフィックサイエンス(Journal of Photograp
hic Science)第25巻、p.19〜27(1977)およ
びフォトグラフィックサイエンスアンドエンジニアリン
グ(Photographic Science and Engineering)第23
巻、p.113〜117(1979)の記載が示すとおり、
適切に施された還元増感核はフォトグラフィッシュコレ
スポンデンツ(Photographishe Korrespondenz)第1
巻、p.20〜(1957)およびフォトグラフィックサイ
エンスアンドエンジニアリング(Photographic Science
and Engineering)第19巻、p.49〜55(1975)
の報文の中でMichellとLoweが述べているように、露光
時に以下の式で示される反応を通して増感に寄与すると
考えられている。
【0006】 AgX + hν → e- + h+ (1) Ag2 + h+ → Ag+ + Ag (2) Ag → Ag+ + e- (3) ここに、h+およびe-は露光で生じた自由正孔および自
由電子、hνは光子、Ag2は還元増感核を示す。この
理論が正しいと仮定すると、還元増感核は電子が正孔と
再結合することによって生じる非効率を防止し高感度化
に寄与するものと考えられる。しかし、フォトグラフィ
ックサイエンスアンドエンジニアリング(Photographic
Science and Engineering)第16巻、p.35〜42
(1971)および同第23巻、p.113〜117(197
9)によれば、還元増感核は正孔を捕獲するだけでなく
電子をトラップする性格を有しており、前記の理論だけ
では必ずしも十分な説明はできない。
【0007】更には、分光増感色素で分光増感されたハ
ロゲン化銀乳剤での、分光増感領域における還元増感核
の働きについては、その感光過程の複雑さのため、殆ど
わかっていないのが現状である。また、還元増感核をハ
ロゲン化銀粒子に導入したことによる効果は、還元増感
核の生成条件およびその存在位置によっても様々に異な
るのが常であり、還元増感核の導入により、かえってハ
ロゲン化銀乳剤の感光特性のS/N比を悪化させるだけ
の結果になるケースが多いことも事実である。増して、
粒子厚みの小さいハロゲン化銀平板粒子に対しては、ど
のような還元増感核を導入すれば感度の向上に寄与する
のかを予測することは非常に困難であった。特開平8−
211524号には、ハロゲン化銀粒子内部に正孔捕獲
ゾーンを設けた、多重構造で転位線を有するハロゲン化
銀平板粒子より成るハロゲン化銀乳剤について開示され
ているが、本発明を為すにあたり本発明者等が検討した
結果、粒子厚み0.1μm以下の平板粒子に対して該公
開特許明細書の実施例にある条件で還元増感を施しても
写真感度の上昇は小さいことが判った。
【0008】更に本発明者は、本発明を為すにあたり、
前述のハロゲン化銀平板乳剤の高感化技術である転位線
導入と還元増感を粒子厚み 0.1μm以下のハロゲン
化銀平板粒子に導入し、該平板粒子に適合するように、
各々の条件を最適化する検討を行ったところ、ある程度
の感度向上は可能であることが判った。しかし、この乳
剤を含有するハロゲン化銀感光材料は、水中でハロゲン
化銀乳剤層を膨潤させた状況下で圧力を受けたときに生
じるかぶりが著しく大きく、それ故に現像工程で点状の
圧力かぶりを起こしやすい感光材料になってしまい、そ
のまま実用化することは著しく困難であった。また、こ
の感光材料は保存かぶりが許容限度を超えて悪化すると
いう問題も抱えていた。
【0009】前述以外の公知の技術についても、それら
の単なる適用では、粒子厚みが0.1μm以下で、主表
面の円相当径が1.0μm以上のハロゲン化銀平板粒子
より成る乳剤の有効な高感度化を達成することはでき
ず、新たな技術を構築することが求められていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、粒子厚みが
小さく主表面の面積が大きいハロゲン化銀平板粒子より
成る乳剤、具体的には粒子厚みが0.1μm以下で主表
面の円相当径が1.0μm以上のハロゲン化銀平板粒子
より成る乳剤を、圧力かぶり及び保存かぶりを極力悪化
させることなく高感度化する技術を提供し、感度/粒状
比に優れたハロゲン化銀感光材料も提供するものであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等が鋭意検討を
重ねた結果、本発明の課題は以下のハロゲン化銀乳剤お
よびハロゲン化銀写真感光材料によって達成することが
できた。
【0012】 全粒子の円相当径の変動係数が40%
以下であり、かつ、下記(a)ないし(e)の要件を満
たすハロゲン化銀平板粒子が全投影面積の50%以上を
占めていることを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。
【0013】(a)平行な主表面が(111)面である
沃臭化銀又は沃塩臭化銀粒子。
【0014】(b)主表面の円相当径が1.0μm以上
であり、かつ、厚みが0.1μm以下である。
【0015】(c)粒子主表面の中心部の沃化銀含有率
をIa、粒子主表面の中心と粒子主表面の辺との間の中
点部の沃化銀含有率をIb、粒子主表面の辺の中点部の
沃化銀含有率をIc、粒子頂点部の沃化銀含有率をId
としたとき、下記(i)及び(ii)の関係を満たす。
【0016】(i)0.7Ic≦Id≦1.5Ic (ii)1.5(Ia+Ib)≦(Ic+Id)≦2.
3(Ia+Ib) (d)粒子外周部に1粒子当り5本以上の転位線を有す
る。
【0017】(e)正孔捕獲ゾーンを有する。
【0018】 全粒子の粒子表面における沃化銀含有
率(全粒子の平均値)が5mol%以下であることを特
徴とする請求項1に記載のハロゲン化銀写真乳剤。
【0019】 粒子全体の平均沃化銀含有率をItと
定義し、その粒子表面における沃化銀含有率をIsと定
義したとき、 0.3It≦Is の関係を満たすことを特徴とする請求項2に記載のハロ
ゲン化銀写真乳剤。
【0020】 分光増感色素により分光増感されてい
ることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に
記載のハロゲン化銀写真乳剤。
【0021】 テルル化合物を用いて化学増感されて
いることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項
に記載のハロゲン化銀写真乳剤。
【0022】 前記の全粒子の円相当径の変動係数が
25%以下であることを特徴とする請求項1ないし5の
いずれか1項に記載のハロゲン化銀写真乳剤。
【0023】 前記の(b)の要件が、「主表面の円
相当径が2.0μm以上であり、かつ、厚みが0.1μ
m以下である。」であることを特徴とする請求項1ない
し6のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真乳剤。
【0024】 乳剤製造工程においてハロゲン化銀1
モル当り10-8モル以上でかつ10 -3モル以下の亜塩素
酸塩が添加されていることを特徴とする請求項1ないし
7のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真乳剤。
【0025】 支持体上に、前記の請求項1ないし8
のいずれか1項に記載のハロゲン化銀乳剤を含有する感
光性乳剤層を有することを特徴とするハロゲン化銀写真
感光材料。
【0026】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
【0027】本発明は沃臭化銀または沃塩臭化銀平板粒
子より成る乳剤に関するものである。本発明の平板粒子
乳剤は平行な(111)主表面と該主表面を連結する側
面からなる。平板粒子乳剤は沃臭化銀もしくは沃塩臭化
銀より成る。塩化銀を含んでも良いが、好ましくは塩化
銀含量は8モル%以下、より好ましくは3モル%以下も
しくは、0モル%である。沃化銀含有率については、平
板粒子の球相当径および主表面の円相当径の分布の変動
係数が25%以下であることが好ましいので、この観点
からは沃化銀含有率は20モル%以下が好ましい。更に
は、粒子表面の沃化銀含有率を本発明における好ましい
値に制御するという観点からは、沃化銀含有率は14モ
ル%以下が好ましく、8モル%以下がより好ましく、そ
の下限値は0.5モル%以上である。沃化銀含有率を低
下させることにより平板粒子の球相当径および主表面の
円相当径の分布の変動係数は小さくすることが容易にな
る。本発明の平板粒子は、全粒子の円相当径の変動係数
が40%以下であり、好ましくは25%以下である。特
に平板粒子乳剤の球相当径および主表面の円相当径の分
布の変動係数は20%以下が好ましい。
【0028】本発明のハロゲン化銀粒子は、沃化銀含有
率の絶対値に拘わらず、粒子間での沃化銀含有率の分布
の変動係数が20%以下であることが好ましい。より好
ましくは15%以下であり、特に好ましくは10%以下
である。前記の変動係数が20%より大きい場合は硬調
ではなく、圧力を加えたときの感度の減少も大きくなっ
てしまい好ましくない。本発明で用いる粒子間の沃化銀
含有率の分布の狭いハロゲン化銀乳剤は、公知のいずれ
の方法、例えば特開平1−183417等に示されてい
るような微粒子を添加する方法、特開平2−68538
に示されているような沃化物イオン放出剤を用いる方法
等を単独、もしくは組み合わせて用いることにより調製
できる。個々の粒子の沃化銀含有率はEPMA(XMA
という名称もある)法を用いることにより求めることが
可能である。この方法は、乳剤粒子を互いに接触しない
ようによく分散したサンプルを作成し、電子ビームを照
射する電子線励起によるX線分析により対象とするハロ
ゲン化銀粒子の元素分析が行える。EPMA法は測定方
法の違いによりTEM(透過型)とSEM(走査型)に
分類され、またそれぞれがWDS(波長分散型)とED
S(エネルギー分散型)に分類される。EPMA法を用
いて電子ビームを照射したハロゲン化銀粒子から放射さ
れる銀及び沃素の特性X線強度を求めることにより、該
ハロゲン化銀粒子の沃化銀含有率を求めることができ
る。粒子間の沃化銀含有率の分布の変動係数とは少なく
とも100個、より好ましくは200個、特に好ましく
は300個以上の乳剤粒子の沃化銀含有率を測定した際
の沃化銀含有率の標準偏差と平均沃化銀含有率を用いて
関係式(標準偏差/平均沃化銀含有率)×100=変動
係数で定義される値である。個々の粒子の沃化銀含有率
測定は例えば欧州特許第147,868号に記載されて
いる。個々の粒子の沃化銀含有率Yi(モル%)と各粒
子の球相当径Xi(μm)の間には、相関がある場合と
無い場合があるが、相関が無いことが望ましい。
【0029】本発明のハロゲン化銀乳剤の平板粒子内に
おける沃化銀分布については、前述したように、粒子主
表面の中心部の沃化銀含有率をIa、粒子主表面の中心
と粒子主表面の辺との間の中点部の沃化銀含有率をI
b、粒子主表面の辺の中点部の沃化銀含有率をIc、粒
子頂点部の沃化銀含有率をIdとしたとき、下記(i)
ないし(ii)の関係を満たすことが重要である。
【0030】(i)0.7Ic≦Id≦1.5Ic (ii)1.5(Ia+Ib)≦(Ic+Id)≦2.
3(Ia+Ib)。
【0031】ここで「粒子主表面の中心」とは、粒子主
表面の重心を指し、「粒子主表面の中心部」は、上記で
定義した「粒子主表面の中心」から円相当径の1/40の距
離の範囲内を指す。
【0032】「粒子主表面の中心と粒子主表面の辺との
間の中点」とは、「粒子主表面の中心」と「粒子主表面
の辺の中点」とを結ぶ線分の中点を指す。「粒子主表面
の中心と粒子主表面の辺との間の中点部」は、上記で定
義した「粒子主表面の中心と粒子主表面の辺との間の中
点」から円相当径の1/40の距離の範囲内を指す。「粒子
頂点」が丸みを帯びている場合、例えば丸みを帯びてい
る6角平板の場合、「粒子主表面の辺の中点」を、まず
以下のように規定する。即ち、各辺の残存する直線部分
を延長した結果得られる6つの交点を基にし、各交点を
結ぶ線分の中点から最も近い距離にある主表面の輪郭線
上の点を「粒子主表面の辺の中点」とする。これにより
「粒子頂点」が丸みを帯びている場合も「粒子主表面の
中心と粒子主表面の辺との間の中点」は定まる。また、
例えば主表面が6角形の平板粒子の場合、「粒子主表面
の中心と粒子主表面の辺との間の中点部」の沃化銀含有
率Ibは6点の平均をとる。
【0033】「粒子主表面の辺の中点部」は、「粒子主
表面の辺の中点」から円相当径の1/40の距離の範囲内を
指す。「粒子頂点」が丸みを帯びている場合、例えば丸
みを帯びている6角平板の場合、「粒子主表面の辺の中
点」は、上述のとおり、各辺の残存する直線部分を延長
した結果得られる6つの交点を基にし、各交点を結ぶ線
分の中点から最も近い距離にある主表面の輪郭線上の点
とする。また、例えば主表面が6角形の平板粒子の場
合、「粒子主表面の辺の中点部」の沃化銀含有率Icは
6点の平均をとる。
【0034】「粒子頂点部」は、「粒子頂点」から円相
当径の1/40の距離の範囲内を指す。「粒子頂点」が丸み
を帯びている場合、例えば丸みを帯びている6角平板の
場合、「粒子頂点」は、各辺の残存する直線部分を延長
した結果得られる6つの交点を基にし、各交点から、主
表面の中心(重心)に向かって線分を引いた時に主表面
の輪郭線と交わった点とする。また、例えば主表面が6
角形の平板粒子の場合、「粒子頂点部」の沃化銀含有率
Idは6点の平均をとる。
【0035】この要件を満たす範囲内であれば、粒子内
で層状構造を有していることは好ましい。この場合、沃
化銀分布の構造は2重構造、3重構造、4重構造さらに
はそれ以上の層状構造があり得る。また、沃化銀含有率
が急峻に変化する領域があってもよいし、沃化銀含有率
の変化があらゆる部分で緩慢であってもよい。ただし、
平板粒子に転位線を導入するためには、沃化銀含有率が
ある程度急峻さで変化する領域が存在する方が好ましい
場合が多い。
【0036】本発明においては、前述の(i)および
(ii)の関係式の沃化銀分布は、照射する電子ビーム
の径を絞ったEPMA法を用いて、ハロゲン化銀粒子の
電子ビーム照射部位近傍から放射される銀及び沃素の特
性X線強度を求めることにより、該部位近傍の沃化銀含
有率を求めることができる。
【0037】本発明のハロゲン化銀粒子が意図通りに調
製されているか検証するために用いるEPMA法の装置
は、前述のいずれの型であってもよいが、照射する電子
ビームの径は50nm以下にする必要がある。また、電
子ビーム照射による試料の損傷を極力防ぐために、測定
温度は−120℃以下に冷却する必要がある。各測定点
における積算時間は30秒間以上とることが必要であ
る。
【0038】また、EPMA法測定時の電子ビームの照
射位置の精度については、「粒子主表面の中心部」の場
合は、粒子主表面の中心から円相当径(粒子主表面の投
影面積と等面積の円の直径)の1/40の距離の範囲内
であればよく、同様に「粒子主表面の中心と粒子主表面
の辺との間の中点部」の場合は、該中点から円相当径の
1/40の距離の範囲内であればよい。「粒子主表面の
辺の中点部」については、該中点から円相当径の1/4
0距離の範囲でかつ粒子内であればよく、「粒子頂点
部」については、該頂点から円相当径の1/40距離の
範囲でかつ粒子内であればよい。
【0039】前述の(i)および(ii)の関係式の意
味について説明する。まず(i)は、粒子外周部におけ
る沃化銀分布について、粒子頂点の近傍と粒子辺の中間
付近の差異を小さくするということである。次いで(i
i)は、粒子主表面の中心部の沃化銀含有率(Ia)と
粒子主表面の中心と粒子主表面の辺との間の中点部の沃
化銀含有率(Ib)の平均値で代表される粒子中央部分
の平均沃化銀含有率に対して、粒子頂点部の沃化銀含有
率(Id)と粒子主表面の辺の中点部の沃化銀含有率
(Ic)の平均値で代表される粒子外周部の平均沃化銀
含有率が、1.5倍から2.3倍の範囲内に収まるとい
うことである。
【0040】本発明の効果を発現させるために、なぜハ
ロゲン化銀平板粒子内の沃化銀分布をこのようにする必
要があるのかについては今のところ明らかではない。平
板粒子内の沃化銀分布は、粒子内の電子及び正孔の挙動
に影響を与えるだけではなく、化学増感核の形成位置や
現像開始点形成位置及び現像進行に影響を与える要因で
あるが、本発明のような粒子厚みが小さく主表面の面積
が大きいハロゲン化銀平板粒子においてはこの要因によ
る影響が予測し得なかった程大きいものと推察される。
前述の(i)および(ii)の本発明の要件は、数多く
の検討の結果から帰納的に導出されたものであり、従来
知見からの類推ではない。
【0041】平板粒子内の沃化銀分布を本発明の条件に
適合させるためのハロゲン化銀乳剤の調製方法として
は、平板粒子成長時の各段階における沃素イオンあるい
は沃化銀の添加量の制御を適切に行いさえすれば、公知
の種々の方法が使用可能である。但し、後述する転位線
導入については、使用する転位導入方法によって平板粒
子内の沃化銀分布が大きく変わるため、注意が必要であ
る。
【0042】平板粒子乳剤の調製は通常、核形成、熟成
ならびに成長の基本的に3工程よりなる。核形成の工程
においてはUS4713320号およびUS49421
20号に記載のメチオニン含量の少ないゼラチンを用い
ること、US4914014号に記載の高pBrで核形
成を行うこと、特開平2−222940号に記載の短時
間で核形成を行うことは本発明の平板粒子乳剤の核形成
工程においてきわめて有効である。熟成工程においては
US5254453号記載の低濃度のベースの存在下で
おこなうこと、US5013641号記載の高いpHで
おこなうことは、本発明の平板粒子乳剤の熟成工程にお
いて有効である場合がある。成長工程においてはUS5
248587号記載の低温で成長をおこなうこと、US
4672027号、およびUS4693964号に記載
の沃化銀微粒子を用いることは本発明の平板粒子乳剤の
成長工程において特に有効である。さらには、臭化銀、
沃臭化銀、沃塩臭化銀微粒子乳剤を添加して熟成するこ
とにより成長させることも好ましく用いられる。特開平
10−43570号に記載の撹拌装置を用いて、上記微
粒子乳剤を供給することも可能である。
【0043】アスペクト比が大きく、かつ単分散な平板
粒子を得る目的で、粒子形成中にゼラチンを追添加する
場合がある。この時、使用するゼラチンは、特開平10
−148897号及び特開平11−143002号に記
載されている化学修飾ゼラチン、あるいはUS4713
320号およびUS4942120号に記載のメチオニ
ン含量の少ないゼラチンを用いるのが好ましい。特に前
者の化学修飾ゼラチンについては、ゼラチン中のアミノ
基を化学修飾した際に新たにカルボキシル基を少なくと
も2個以上導入されたことを特徴とするゼラチンである
が、コハク化ゼラチンまたはトリメリット化ゼラチンを
用いるのが好ましい。該化学修飾ゼラチンは、成長工程
前に添加することが好ましいが、さらに好ましくは核形
成直後に添加する。添加量は、粒子形成中の全分散媒の
重量に対して50%以上、好ましくは70%以上が良
い。
【0044】本発明において、好ましくは平板粒子は転
位線を有する。平板粒子の転位線は、例えばJ.F.H
amilton,Phot.Sci.Eng.,11、
57、(1967)やT.Shiozawa,J.So
c.Phot.Sci.Japan,35、213、
(1972)に記載の、低温での透過型電子顕微鏡を用
いた直接的な方法により観察することができる。すなわ
ち乳剤から粒子に転位線が発生するほどの圧力をかけな
いよう注意して取り出したハロゲン化銀粒子を電子顕微
鏡観察用のメッシュにのせ、電子線による損傷(プリン
トアウト等)を防ぐように試料を冷却した状態で透過法
により観察を行う。この時粒子の厚みが厚い程、電子線
が透過しにくくなるので高圧型(0.25μmの厚さの
粒子に対して200kV以上)の電子顕微鏡を用いた方
がより鮮明に観察することができる。このような方法に
より得られた粒子の写真より、主表面に対して垂直方向
から見た場合の各粒子についての転位線の位置および数
を求めることができる。
【0045】本発明の平板粒子乳剤においては、外周部
に転位線が導入されている必要がある。本発明における
この外周部の転位線は外周にほぼ垂直であり、通常は平
板状粒子の中心から辺(外周)までの距離の長さのx%
の位置から始まり外周に至るように転位線が発生してい
る。このxの値は好ましくは30以上99未満であり、
より好ましくは50以上98未満である。この時、この
転位線の開始する位置を結んでつくられる形状は粒子形
と相似に近いが、完全な相似形ではなく、ゆがむことが
ある。この型の転位線は粒子の中心領域には見られな
い。転位線の方向は結晶学的におおよそ(211)方向
であるがしばしば蛇行しており、また互いに交わってい
ることもある。
【0046】本発明の平板粒子乳剤においては、全投影
面積の50%以上のハロゲン化銀粒子に対して外周部に
1粒子当たり5本以上の転位線が導入されている必要が
あるが、ここで言う粒子外周部とは、前述のxの値が7
5以上100以下の領域を指す。尚、この領域に各々の
転位線の全長が収まっている必要はない。
【0047】また平板粒子の外周部の全域に渡ってほぼ
均一に転位線を有していても、外周部の局所的な位置に
転位線を有していてもよい。外周部に存在する転位線の
数は1粒子当たり5本以上であればよいが、好ましくは
1粒子当り平均10本以上である。より好ましくは1粒
子当り平均20本以上である。転位線が密集して存在す
る場合、または転位線が互いに交わって観察される場合
には、1粒子当りの転位線の数は明確には数えることが
できない場合がある。しかしながら、これらの場合にお
いても、おおよそ5本、10本、20本という程度には
数えることが可能であり、明らかに、2〜3本以下しか
存在しない場合とは区別できる。転位線の数の1粒子当
りの平均数については100粒子以上について転位線の
数を数えて、数平均として求める。
【0048】本発明における転位線の導入方法として
は、ホストとなるハロゲン化銀平板粒子より成る乳剤に
対して、沃化カリウム水溶液等の形の沃素イオンを含む
水溶液を添加する方法、前記の沃素イオンを含む水溶液
と硝酸銀水溶液等の銀イオンを含む水溶液をダブルジェ
ット法を用いて添加する方法、特開平1−183417
等に示されている沃化銀微粒子乳剤に代表される難溶性
ハロゲン化銀乳剤を添加する方法、特開平2−6853
8に示されているような沃化物イオン放出剤を用いる方
法等を単独、もしくは組み合わせて用いることができ
る。
【0049】前記の転位線の導入方法の中で好ましいの
は、沃化銀微粒子等の難溶性ハロゲン化銀乳剤を添加す
る方法である。何故なら、前記で列挙した転位線の導入
方法の中ではこの方法が、転位導入終了後に積層される
平板粒子内の沃化銀分布の偏りが最も少なく、本発明に
都合が良いからである。その他の方法は、平板粒子の外
周部や頂点近傍に沃化銀が偏在しやすいという問題があ
り使用条件が自ずから制限されることになりやすい。前
記の難溶性ハロゲン化銀乳剤を添加する方法は、ハロゲ
ン化銀粒子間の沃化銀含有率の分布を狭くすることがで
きるという観点からも好ましい。それによりハロゲン化
銀乳剤の写真性能の向上を図ることができる。
【0050】本発明においては好ましくはホストとなる
ハロゲン化銀平板粒子より成る乳剤に沃化銀微粒子乳剤
を急速に添加することによって転位線を導入する。この
工程は実質的に2つの工程よりなり、平板粒子乳剤に沃
化銀微粒子乳剤を急速に添加する工程と、その後、臭化
銀もしくは沃臭化銀を成長させて転位線を導入する工程
である。これら2つの工程は完全に分離して行なわれる
こともあるし、各々、重復して同時期に行うこともでき
る。第1の平板粒子乳剤に沃化銀の微粒子乳剤を急速に
添加する工程について説明する。
【0051】沃化銀微粒子乳剤を急速に添加するとは、
好ましくは10分以内に沃化銀微粒子乳剤を添加するこ
とをいう。より好ましくは6分以内に添加することをい
う。この条件は添加する系の温度、pBr、pH、ゼラ
チン等の保護コロイド剤の種類、濃度、ハロゲン化銀溶
剤の有無、種類、濃度等により変化しうる。系の温度は
40℃以上90℃以下が好ましく、50℃以上80℃以
下が特に好ましい。沃化銀微粒子乳剤の添加時のpBr
の制限は特にはない。
【0052】沃化銀微粒子乳剤は実質的に沃化銀であれ
ば良く、混晶となり得る限りにおいて臭化銀および/ま
たは塩化銀を含有していても良い。好ましくは100%
沃化銀である。沃化銀はその結晶構造においてβ体、γ
体ならびにUS4672026号に記載されているよう
にα体もしくはα体類似構造があり得る。本発明におい
ては、その結晶構造の制限は特にはないが、β体とγ体
の混合物さらに好ましくはβ体が用いられる。沃化銀微
粒子乳剤はUS5004679号等に記載の添加する直
前に形成したものでも良いし、通常の水洗工程を経たも
のでもいずれも好ましく用いられる。沃化銀微粒子乳剤
は、前述したUS4672026号等に記載の方法で容
易に形成できうる。粒子形成時のpI値を一定にして粒
子形成を行う、銀塩水溶液と沃化物塩水溶液のダブルジ
エット添加法が好ましい。ここでpIは系のI-イオン
濃度の逆数の対数である。温度、pI、pH、ゼラチン
等の保護コロイド剤の種類、濃度、ハロゲン化銀溶剤の
有無、種類、濃度等に、特に制限はないが、粒子のサイ
ズは0.1μm以下、より好ましくは0.08μm以下
が本発明に都合が良い。微粒子であるために粒子形状は
完全には特定できないが粒子サイズの分布の変動係数は
25%以下が好ましい。特に20%以下の場合には、本
発明の効果が著しい。ここで沃化銀微粒子乳剤のサイズ
およびサイズ分布は、沃化銀微粒子を電子顕微鏡観察用
のメッシュにのせ、カーボンレプリカ法ではなく直接、
透過法によって観察して求める。これは粒子サイズが小
さいために、カーボンレプリカ法による観察では測定誤
差が大きくなるためである。粒子サイズは観察された粒
子と等しい投影面積を有する円の直径と定義する。粒子
サイズの分布についても、この等しい投影面積円直径を
用いて求める。本発明において最も有効な沃化銀微粒子
は粒子サイズが0.07μm以下0.007μm以上で
あり、粒子サイズ分布の変動係数が20%以下である。
【0053】沃化銀微粒子乳剤は上述の粒子形成後、U
S2614929号等に記載の通常の水洗およびpH、
pI、ゼラチン等の保護コロイド剤の濃度調整ならびに
含有沃化銀の濃度調整等を好ましく行うことができる。
pHは5以上7以下が好ましい。pI値は沃化銀の溶解
度が最低になるpI値の近傍に設定することが好まし
い。保護コロイド剤としては、通常平均分子量10万程
度のゼラチンが好ましく用いられるが、平均分子量2万
以下の低分子量ゼラチンも好ましく用いられる。また上
記の分子量の異なるゼラチンを混合して用いると都合が
良い場合がある。乳剤1kgあたりのゼラチン量は好ま
しくは10g以上100g以下である。より好ましくは
20g以上80g以下である。乳剤1kgあたりの銀原
子換算の銀量は好ましくは10g以上100g以下であ
る。より好ましくは20g以上80g以下である。ゼラ
チン量および/または銀量は沃化銀微粒子乳剤を急激に
添加するのに適した値を選択することが好ましい。
【0054】沃化銀微粒子乳剤の添加量は、好ましくは
平板粒子乳剤に対して銀量換算で0.5モル%以上8モ
ル%以下である。最も好ましくは2モル%以上6モル%
以下である。この添加量を選択することにより転位線が
好ましく導入され、発明の効果が顕著になる。沃化銀微
粒子乳剤は、通常あらかじめ溶解して添加するが、添加
時には系の撹拌効率を十分に高める必要がある。好まし
くは撹拌回転数は、通常よりも高めに設定される。撹拌
時の泡の発生を防ぐために消泡剤の添加は効果的であ
る。具体的には、US5,275,929号の実施例等
に記述されている消泡剤が用いられる。
【0055】平板粒子乳剤への沃化銀微粒子乳剤の急激
な添加を開始した後、臭化銀もしくは沃臭化銀を成長さ
せて転位線を導入する。沃化銀微粒子乳剤の添加を開始
する以前に臭化銀もしくは沃臭化銀の成長を開始しても
良いが、好ましくは沃化銀微粒子乳剤の添加を開始した
後に、臭化銀もしくは沃臭化銀の成長を開始する。沃化
銀微粒子乳剤の添加を開始してから臭化銀もしくは沃臭
化銀の成長を開始するまでの時間は好ましくは10分以
内で1秒以上である。より好ましくは5分以内で3秒以
上である。
【0056】沃化銀微粒子乳剤の添加を開始した後の成
長は好ましくは臭化銀である。沃臭化銀を成長させる場
合には、沃化銀含有率は該層に対して好ましくは3モル
%以内である。この沃化銀微粒子乳剤の添加後に成長す
る層の銀量は完成平板粒子乳剤の全銀量を100とした
時に、好ましくは5以上50以下である。最も好ましく
は10以上35以下である。この層を形成する時の温
度、pHおよびpBrは特に制限はないが温度は40℃
以上90℃以下、pHは2以上9以下が通常用いられ
る。より好ましくは50℃以上80℃以下、pHは4以
上7以下が用いられる。pBrについては、本発明にお
いては該層の形成終了時のpBrが該層の形成初期時の
pBrよりも高くなることが好ましい。好ましくは該層
の形成初期のpBrが2.9以下であり該層の形成終了
時のpBrが1.7以上である。さらに好ましくは該層
の形成初期のpBrが2.5以下であり該層の形成終了
時のpBrが1.9以上である。最も好ましくは該層の
形成初期のpBrが2.3以下1以上である。最も好ま
しくは該層の終了時のpBrが2.1以上4.5以下で
ある。以上の方法によって本発明における転位線が好ま
しく導入される。
【0057】本発明の平板粒子乳剤においては、全粒子
の粒子表面の沃化銀含有率が0.1モル%以上5モル%
以下であることが、該乳剤の感度および該乳剤を含有す
るハロゲン化銀写真感光材料の保存性にとって非常に好
ましい。本発明の粒子表面の沃化銀含有率はXPS(X
−ray Photoelectron Spectr
oscopy)を用いて測定される。ハロゲン化銀粒子
表面付近の沃化銀含有率の分析に使用されるXPS法の
原理に関しては、相原らの、「電子の分光」(共立ライ
ブラリ−16、共立出版発行,昭和53年)を参考にす
ることができる。XPSの標準的な測定法は、励起X線
としてMg−Kαを使用し、適当な試料形態としたハロ
ゲン化銀から放出される沃素(I)と銀(Ag)の光電
子(通常はI−3d5/2、Ag−3d5/2)の強度
を観測する方法である。沃素の含量を求めるには、沃素
の含量が既知である数種類の標準試料を用いて沃素
(I)と銀(Ag)の光電子の強度比(強度(I)/強
度(Ag))の検量線を作成し、この検量線からもとめ
ることができる。ハロゲン化銀乳剤ではハロゲン化銀粒
子表面に吸着したゼラチンを蛋白質分解酵素などで分
解、除去した後にXPSの測定をおこなわなければなら
ない。本発明の粒子表面の沃化銀含有率が5mol%以
下の平板粒子乳剤とは、1つの乳剤に含まれる乳剤粒子
を、XPSで分析したときに沃化銀含有率(全粒子の平
均値として得られる)が5mol%以下であるものを指
す。この場合、明瞭に2種以上の乳剤が混合されている
ときには、遠心分離法、濾別法など適当な前処理を施し
た上で同一種類の乳剤につき分析を行なう必要がある。
【0058】更に本発明者等の検討結果によれば、本発
明の平板粒子乳剤の粒子表面の沃化銀含有率Isが、前
述した5mol%以下であることに加えて、該粒子全体
の平均沃化銀含有率Itに対して下式の関係にあること
が感度にとっては有利であった。
【0059】0.3・It≦Is。
【0060】前述の関係を満たすことが何故感度や保存
性にとって有利になるのかについては、判ってはいな
い。前述したがハロゲン化銀粒子内の沃化銀分布は、露
光時や熱的刺激等で発生する自由電子と正孔がハロゲン
化銀粒子の何処に配分されるかに影響を与える因子であ
る。沃臭化銀の場合、一般には沃化銀含有率の多いとこ
ろに正孔が多く配分されると考えられている。また、粒
子表面の沃化銀含有率は、増感色素の吸着性や化学増感
の進行に影響を与え、そのことにより感度や保存性に影
響を与えていると考えられる。以上のこれらの事柄の重
ね合わせによる結果として、本発明の粒子厚みが小さく
主表面の面積が大きい平板粒子乳剤においては、粒子表
面の沃化銀含有率が写真性能を左右する要因となってお
り、表面沃化銀含有率の絶対値だけではなく、平板粒子
全体のバランスも重要となることは十分に考えられる。
この表面沃化銀含有率についての指針も、公知の実験事
実や考え方を基にした思考実験では容易に導出できるも
のではない。例えば、前述の特開平8−211524号
では、ハロゲン化銀粒子表面の沃化銀含有率の最も好ま
しい値はXPS法で5〜10モル%としているが、これ
は本発明における好ましい値とは異なる。
【0061】前記の他に、本発明の乳剤の平板粒子のハ
ロゲン化銀組成に関する構造については、EPMA法、
XPS法の他に、X線回折のデータ等を組み合わせるこ
とにより確認することができる。粉末X線回折法を用い
た沃化銀含有量の測定では、沃化銀含有量の異なる明確
な2山を示す様なことはなく、高沃化銀含有率の方向に
すそをひいたようなX線回折プロフィールを示す。
【0062】平板粒子乳剤は全投影面積の50%以上が
主表面の円相当径が1.0μm以上でかつ粒子厚みが
0.1μm以下であるアスペクト比10以上の粒子で占
められる。ここで個々の平板粒子の投影面積(本発明で
はこの投影面積と等しい円の直径を主表面の円相当径と
呼ぶ)、粒子厚みならびにアスペクト比は参照用のラテ
ックス球とともにシャドーをかけたカーボンレプリカ法
による電子顕微鏡写真から測定することができる。平板
粒子は上から見た時に、通常6角形、3角形もしくは円
形状の形態をしているが、該投影面積と等しい面積の円
の相当直径(すなわち主表面の円相当径)を厚みで割っ
た値がアスペクト比である。平板粒子の形状は6角形の
比率が高い程好ましく、また、6角形の各隣接する辺の
長さの比は1:2以下であることが好ましい。本発明の
効果はアスペクト比が高い程、著しい効果が得られるの
で、平板粒子乳剤は全投影面積の50%以上が好ましく
は主表面の円相当径が2.0μm以上、50μm以下、
好ましくは10μm以下であり、かつ粒子厚みが0.1
μm以下、0.01μm以上、好ましくは0.04μm
以上であるアスペクト比20以上の粒子で占められる。
但し、アスペクト比があまり大きくなりすぎると、前述
した球相当径および主表面の円相当径の分布の変動係数
が大きくなる方向になるために、通常アスペクト比は7
0以下が好ましい。
【0063】本発明において、平板粒子乳剤は平行な
(111)主表面と該主表面を連結する側面からなる。
該主表面の間には少なくとも1枚の双晶面が入ってい
る。本発明の平板粒子乳剤には通常2枚の双晶面が観察
される。この2枚の双晶面の間隔はUS5,219,7
20号に記載のように0.012μm未満にすることが
可能である。さらには特開平5−249585に記載の
ように(111)主表面間の距離を該双晶面間隔で割っ
た値が15以上にすることも可能である。
【0064】本発明において平板粒子乳剤の平行な(1
11)主表面を連結する側面は全側面の90%以下が
(111)面から構成されていることが好ましい。ここ
で全側面の90%以下が(111)面から構成されると
は、全側面の10%よりも高い比率で(111)面以外
の結晶学的な面が存在するということである。通常その
面は(100)面であるとして理解しうるが、それ以外
の面、すなわち(110)面や、より高指数の面である
場合も含みうる。(111)面と(100)面の比率を
求める方法としては増感色素の吸着を用いた方法が有効
である。日本化学会誌、1984、6巻、ぺージ942
〜947に記載されている手法を用いて(111)面と
(100)面の比率を定量的に求めることができる。該
比率と前述した平板粒子の円相当直径と厚みを用いて全
側面における(111)面の比率を計算して求めること
ができる。この場合、平板粒子は該円相当直径と厚みを
用いて円柱であると仮定する。この仮定によって総表面
積に対する側面の比率を求めることができる。前述の増
感色素の吸着を用いて求めた(100)面の比率を上記
の側面の比率で割った値に100をかけた値が全側面に
おける(100)面の比率である。100からその値を
ひけば全側面における(111)面の比率が求まること
になる。
【0065】本発明において平板粒子乳剤の側面の(1
11)面比率を制御する手法について説明する。最も一
般的には、沃臭化銀または塩沃臭化銀平板粒子乳剤の側
面の(111)面の比率は平板粒子乳剤の調製時のpB
rにて決定できうる。ここでpBrは系のBr-イオン
濃度の逆数の対数である。平板粒子乳剤の全銀量を10
0とした場合、好ましくは少なくとも全銀量の70%以
上が添加された後に側面の(111)面の比率が減少、
すなわち側面の(100)面の比率が増加するようなp
Brに設定する。最も好ましくは少なくとも全銀量の9
0%以上が添加された後に側面の(100)面の比率が
増加するようなpBrに設定する。全銀量の70%が添
加されるよりも以前に、側面の(100)面の比率が増
加するようなpBrに設定するとホスト平板粒子乳剤の
アスペクト比が低下するためにあまり好ましくない。ま
た全銀量の98%以上が添加された後に側面の(10
0)面の比率が増加するようなpBrに設定すると、前
記の好ましい(111)面比率を達成することが困難と
なる。したがって最も好ましくは少なくとも全銀量の9
0%以上が添加された後から、全銀量の98%以下が添
加されるまでの間に側面の(100)面の比率が増加す
るようなpBrに設定すると良い。しかしながら、別の
方法として全銀量が添加された後に、側面の(100)
面の比率が増加するようなpBrに設定し、熟成をする
ことによって、その比率を増加させることも可能であ
る。
【0066】側面の(100)面の比率が増加するよう
なpBrとは、系の温度、pH、ゼラチン等の保護コロ
イド剤の種類、濃度、ハロゲン化銀溶剤の有無、種類、
濃度等によりその値は広範に変化しうる。通常は、好ま
しくはpBrが2.0以上5以下である。さらに好まし
くはpBrが2.5以上4.5以下である。しかしなが
ら、上述したようにこのpBrの値は例えばハロゲン化
銀溶剤等の存在によって容易に変化しうる。
【0067】本発明で用いることができるハロゲン化銀
溶剤としては、米国特許第3,271,157号、同第
3,531,289号、同3,574,628号、特開
昭54−1019号、同54−158917号等に記載
された(a)有機チオエーテル類、特開昭53−824
08号、同55−77737号、同55−2982号等
に記載された(b)チオ尿素誘導体、特開昭53−14
4319号に記載された(c)酸素または硫黄原子と窒
素原子とにはさまれたチオカルボニル基を有するハロゲ
ン化銀溶剤、特開昭54−100717号に記載された
(d)イミダゾール類、(e)アンモニア、(f)チオ
シアネート等があげられる。特に好ましい溶剤として
は、チオシアネート、アンモニアおよびテトラメチルチ
オ尿素がある。また用いられる溶剤の量は種類によって
も異なるが、例えばチオシアネートの場合、好ましい量
はハロゲン化銀1モル当り1×10-4モル以上1×10
-2モル以下である。
【0068】平板粒子乳剤の側面の面指数を変化させる
方法としてEP515894A1等を参考にすることが
できる。またUS5252453号等に記載のポリアル
キレンオキサイド化合物を用いることもできる。有効な
方法としてUS4680254、US4680255、
US4680256ならびにUS4684607号等に
記載の面指数改質剤を用いることができる。通常の写真
用分光増感色素も上記と同様な面指数の改質剤として用
いることができる。
【0069】本発明のハロゲン化銀乳剤ではハロゲン化
銀粒子内部の少なくとも一部に正孔捕獲ゾーンを設ける
ことが感度/粒状比の向上に寄与している。本発明にお
ける正孔捕獲ゾーンとは、いわゆる正孔、例えば光励起
によって生じた光電子と対で生じる正孔を捕獲する機能
を有する領域のことを指す。このような正孔捕獲ゾーン
を設ける方法としてはドーパントを用いた方法等もある
が、本発明では意図的な還元増感によって設けることが
望ましい。
【0070】本発明における意図的な還元増感とは、還
元増感剤を添加することにより正孔捕獲性銀核をハロゲ
ン化銀粒子内の一部または全部に導入する操作を意味す
る。正孔捕獲性銀核とは現像活性の少ない小さな銀核を
意味し、この銀核により感光過程での再結合ロスを防止
し感度を高めることが可能となる。
【0071】還元増感剤として第一錫塩、アスコルビン
酸およびその誘導体、アミンおよびポリアミン類、ヒド
ラジン誘導体、ホルムアミジンスルフィン酸、シラン化
合物、ボラン化合物などが公知である。本発明の還元増
感にはこれら公知の還元増感剤を選んで用いることがで
き、また2種以上の化合物を併用することもできる。還
元増感剤として塩化第一錫、二酸化チオ尿素、ジメチル
アミンボラン、アスコルビン酸およびその誘導体が好ま
しい化合物である。還元増感剤の添加量は乳剤製造条件
に依存するので添加量を選ぶ必要があるが、ハロゲン化
銀1モル当り10-7〜10-3モルの範囲が適当である。
【0072】還元増感剤は水あるいはアルコール類、グ
リコール類、ケトン類、エステル類、アミド類などの溶
媒に溶かし粒子成長中に添加される。
【0073】本発明において好ましくは、核形成および
物理熟成終了後であって粒子成長を開始する直前に還元
増感剤を添加することにより、正孔捕獲性銀核を形成す
る。粒子形成終了時以降に還元増感剤を添加して粒子表
面に正孔捕獲性銀核を導入することも本発明においては
可能である。
【0074】粒子形成時に還元増感剤を添加すると、形
成された銀核の一部は粒子内部にとどまりえるが、一部
はしみだすことにより粒子表面にも銀核を形成する。本
発明においては、このしみだした銀核も正孔捕獲性銀核
として利用することが好ましい。
【0075】本発明においては、正孔捕獲性銀核をハロ
ゲン化銀粒子内部に形成するために粒子形成途上の工程
で意図的な還元増感を行なう際には、一般式(I−1)
または一般式(I−2)の化合物の存在下で行なうこと
が必須である。推測ではあるが、一般式(I−1)また
は一般式(I−2)の化合物は、酸化性のラジカルによ
る銀核の酸化を防止することで、正孔捕獲性銀核のみを
安定的に形成せしめる働きがあるものと思われる。実験
事実としては、本発明の粒子厚みが0.1μm以下のハ
ロゲン化銀平板粒子より成る乳剤においては、一般式
(I−1)または一般式(I−2)の化合物なしに粒子
形成途上の工程で意図的な還元増感を行っても感度上昇
効果は殆ど発現しないか、あっても僅かであるというこ
とであった。ここで、粒子形成途上の工程には、最終的
な脱塩を行った後の工程、例えば化学増感の工程等で銀
塩水溶液や微粒子ハロゲン化銀等が添加されることによ
りハロゲン化銀粒子が結果的に成長する工程は含まれな
い。
【0076】
【化1】
【0077】一般式(I−1)および(I−2)におい
て、W51、W52はスルホ基または水素原子を表す。但
し、W51、W52の少なくとも1つはスルホ基を表す。ス
ルホ基は一般にはナトリウム、カリウムのようなアルカ
リ金属塩、またはアンモニウム塩等の水可溶性塩であ
る。好ましい化合物として具体的には、3,5−ジスル
ホカテコ−ルジナトリウム塩、4−スルホカテコ−ルア
ンモニウム塩、2,3−ジヒドロキシ−7−スルホナフ
タレンナトリウム塩、2,3−ジヒドロキシ−6,7−
ジスルホナフタレンカリウム塩等があげられる。好まし
い添加量は添加する系の温度、pBr、pH、ゼラチン
等の保護コロイド剤の種類、濃度、ハロゲン化銀溶剤の
有無、種類、濃度等により変化しうるが、一般にはハロ
ゲン化銀1モル当たり0.0005モルから0.5モ
ル、より好ましくは0.003モルから0.02モルが
用いられる。
【0078】本発明のハロゲン化銀乳剤はその調製工程
中に銀に対する酸化剤を用いることが好ましい。特に、
最終的にハロゲン化銀粒子表面近傍となる領域のみに、
意図的な還元増感で正孔捕獲性銀核を形成する場合は、
銀に対する酸化剤を用いることは必須である。恐らく、
ハロゲン化銀粒子表面近傍となる領域のみに意図的な還
元増感を施す場合、銀に対する酸化剤を用いることなし
には、正孔捕獲性銀核を選択的に形成することが困難な
のだろうと推察される。ここで銀に対する酸化剤とは、
金属銀に作用して銀イオンに変換せしめる作用を有する
化合物をいう。特にハロゲン化銀粒子の形成過程および
化学増感過程において副生するきわめて微小な銀粒子
を、銀イオンに変換せしめる化合物が有効である。ここ
で生成する銀イオンは、ハロゲン化銀、硫化銀、セレン
化銀等の水に難溶の銀塩を形成してもよく、又、硝酸銀
等の水に易溶の銀塩を形成してもよい。銀に対する酸化
剤は、無機物であっても、有機物であってもよい。無機
の酸化剤としては、オゾン、過酸化水素およびその付加
物(例えば、NaBO2・H22・3H2O、2NaCO
3・3H22、Na427・2H22、2Na2SO4
22・2H2O)、ぺルオキシ酸塩(例えばK2
28、K226、K228)、ぺルオキシ錯体化合物
(例えば、K2〔Ti(O2)C2OK4〕・3H2O、4
2SO4・Ti(O2)OH・SO4・2H2O、Na
3〔VO(O2)(C242・6H2O〕、過マンガン酸
塩(例えば、KMnO4)、クロム酸塩(例えば、K2
27)などの酸素酸塩、沃素や臭素などのハロゲン元
素、過ハロゲン酸塩(例えば過沃素酸カリウム)高原子
価の金属の塩(例えば、ヘキサシアノ第二鉄酸カリウ
ム)およびチオスルフォン酸塩などがある。
【0079】また、有機の酸化剤としては、p−キノン
などのキノン類、過酢酸や過安息香酸などの有機過酸化
物、活性ハロゲンを放出する化合物(例えば、N−ブロ
ムサクシイミド、クロラミンT、クロラミンB)が例と
して挙げられる。
【0080】本発明の好ましい酸化剤は、オゾン、過酸
化水素およびその付加物、ハロゲン元素、チオスルフォ
ン酸塩の無機酸化剤及びキノン類の有機酸化剤である。
特に好ましくは特開平2−191938号等に記載され
ているような、チオスルフォン酸塩である。
【0081】上記の銀に対する酸化剤の添加時期は、意
図的な還元増感の開始前、開始後の還元増感中、還元増
感終了直前または直後のいずれも可能であって、また数
回に分けて添加してもよい。添加量は酸化剤の種類によ
り異なるが、ハロゲン化銀1モル当たり1×10-7〜1
×10-3モルの添加量で好ましく用いられる。
【0082】本発明のハロゲン化銀粒子は硫黄増感、セ
レン増感、テルル増感、金増感、パラジウム増感又は貴
金属増感の少なくとも1つをハロゲン化銀乳剤の製造工
程の任意の工程で施こすことができる。2種以上の増感
法を組み合せることは好ましい。どの工程で化学増感す
るかによって種々のタイプの乳剤を調製することができ
る。粒子の内部に化学増感核をうめ込むタイプ、粒子表
面から浅い位置にうめ込むタイプ、あるいは表面に化学
増感核を作るタイプがある。本発明の乳剤は目的に応じ
て化学増感核の場所を選ぶことができるが、好ましいの
は表面近傍に少なくとも一種の化学増感核を作った場合
である。
【0083】本発明のハロゲン化銀乳剤は、特にテルル
増感することにより更なる感度向上が可能である。但し
その場合、乳剤に特定の化合物;すなわち水溶性メルカ
プトテトラゾール及び水溶性メルカプトトリアゾール化
合物を添加する必要がある。これについては後述する。
【0084】次に本発明に用いうるテルル増感について
説明する。
【0085】テルル増感剤としては、例えば、米国特許
第1,623,499号、同第3,320,069号、
同第3,772,031号、英国特許第235,211
号、同第1,121,496号、同第1,295,46
2号、同第1,396,696号、カナダ特許第80
0,958号、特開平4−206640号、同4−27
1341号、同4−333043号、ジャーナル・オブ
・ケミカル・ソサイアティー・ケミカル・コミュニケー
ション(J.Chem.Soc.Chem.Commu
n.)635(1980)、ibid 1102(19
79)、ibid645(1979)、ジャーナル・オ
ブ・ケミカル・ソサイアティー・パーキン・トランザク
ション(J.Chem.Soc.PerkinTran
s.)1,2191(1980)、S.パタイ(S.P
atai)編、ザ・ケミストリー・オブ・オーガニック
・セレニウム・アンド・テルリウム・カンパウンズ(T
he Chemistry of Organic S
elenium andTellurium comp
ounds),Vol 1(1986)、同Vol 2
(1987)に記載の化合物を用いることが好ましい。
具体的なテルル増感剤としては、例えばコロイド状テル
ル、テルロ尿素類(例えばアリルテルロ尿素、N,N−
ジメチルテルロ尿素、テトラメチルテルロ尿素、N−カ
ルボキシエチル−N′,N′−ジメチルテルロ尿素、
N,N′−ジメチルエチレンテルロ尿素、N,N′−ジ
フェニルエチレンテルロ尿素)、イソテルロシアナート
類(例えばアリルイソテルロシアナート)、テルロケト
ン類(例えばテルロアセトフェノン)、テルロアミド類
(例えばテルロアセトアミド、N,N−ジメチルテルロ
ベンズアミド)、テルロヒドラジド(例えばN,N′,
N′−トリメチルテルロベンズヒドラジド)、テルロエ
ステル(例えばt−ブチル−t−ヘキシルテルロエステ
ル)、ホスフィンテルリド類(例えばトリブチルホスフ
ィンテルリド、トリシクロヘキシルホスフィンテルリ
ド、トリイソプロピルホスフィンテルリド、ブチル−ジ
イソプロピルホスフィンテルリド、ジブチルフェニルホ
スフィンテルリド)、ジアシル(ジ)テルリド類(例え
ばビス(ジフェニルカルバモイル)ジテルリド、ビス
(N−フェニル−N−メチルカルバモイル)ジテルリ
ド、ビス(N−フェニル−N−メチルカルバモイル)テ
ルリド、ジエチルカルバモイルテルリド、ビス(エトキ
シカルボニル)テルリド)、(ジ)テルリド類、他のテ
ルル化合物(例えば英国特許第1,295,462号記
載の負電荷のテルライドイオン含有ゼラチン、ポタシウ
ムテルリド、ポタシウムテルロシアナート、テルロペン
タチオネートナトリウム塩、アリルテルロシアネート)
があげられる。これらのテルル化合物のうち、好ましく
は下記に示す一般式(II)、(III)および(IV)があげ
られる。
【0086】
【化2】
【0087】上記一般式(II)中、R11、R12およびR
13は脂肪族基、芳香族基、複素環基、OR14、NR
15(R16)、SR17、OSiR18(R19)(R20)、X
または水素原子を表す。R14およびR17は脂肪族基、芳
香族基、複素環基、水素原子またはカチオンを表し、R
15およびR16は脂肪族基、芳香族基、複素環基または水
素原子を表し、R18、R19およびR20は脂肪族基を表
し、Xはハロゲン原子を表す。次に一般式(II)につい
て詳細に説明する。一般式(II)において、R11
12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19およ
びR20で表される脂肪族基は好ましくは炭素数1〜30
のものであって、特に炭素数1〜20の直鎖、分岐また
は環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ア
ラルキル基である。アルキル基、アルケニル基、アルキ
ニル基、アラルキル基としては、例えばメチル、エチ
ル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オ
クチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロペンチ
ル、シクロヘキシル、アリル、2−ブテニル、3−ペン
テニル、プロパルギル、3−ペンチニル、ベンジル、フ
ェネチルがあげられる。一般式(II)において、R11
12、R13、R14、R15、R16およびR17で表される芳
香族基は好ましくは炭素数6〜30のものであって、特
に炭素数6〜20の単環または縮環のアリール基であ
り、例えばフェニル、ナフチルがあげられる。一般式
(II)において、R11、R12、R13、R14、R15、R16
およびR17で表される複素環基は窒素原子、酸素原子お
よび硫黄原子のうち少なくとも一つを含む3〜10員環
の飽和もしくは不飽和の複素環基である。これらは単環
であってもよいし、さらに他の芳香環もしくは複素環と
縮合環を形成してもよい。複素環基としては、好ましく
は5〜6員環の芳香族複素環基であり、例えばピリジ
ル、フリル、チエニル、チアゾリル、イミダゾリル、ベ
ンズイミダゾリルがあげられる。一般式(II)におい
て、R14およびR17で表されるカチオンはアルカリ金
属、アンモニウムを表す。一般式(II)においてXで表
されるハロゲン原子は、例えばフッ素原子、塩素原子、
臭素原子および沃素原子を表す。また、この脂肪族基、
芳香族基および複素環基は置換されていてもよい。置換
基としては以下のものがあげられる。代表的な置換基と
しては例えば、アルキル基、アラルキル基、アルケニル
基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリー
ルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、
ウレタン基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、
カルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、アル
キルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル
基、アシル基、アシルオキシ基、リン酸アミド基、ジア
シルアミノ基、イミド基、アルキルチオ基、アリールチ
オ基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシ
基、ヒドロキシ基、ホスホノ基、ニトロ基、およびヘテ
ロ環基等があげられる。これらの基はさらに置換されて
いてもよい。置換基が2つ以上あるときは同じでも異な
っていてもよい。R11、R12、R13は互いに結合してリ
ン原子と一緒に環を形成してもよく、また、R15とR16
は結合して含窒素複素環を形成してもよい。一般式(I
I)中、好ましくはR11、R12およびR13は脂肪族基ま
たは芳香族基を表し、より好ましくはアルキル基または
芳香族基を表す。
【0088】
【化3】
【0089】上記一般式(III)中、R21は脂肪族基、芳
香族基、複素環基または−NR23(R24)を表し、R22
は−NR25(R26)、−N(R27)N(R28)R29また
は−OR30を表す。R23、R24、R25、R26、R27、R
28、R29およびR30は水素原子、脂肪族基、芳香族基、
複素環基またはアシル基を表す。ここでR21とR25、R
21とR27、R21とR28、R21とR30、R23とR25、R23
とR27、R23とR28およびR23とR30は結合して環を形
成してもよい。次に一般式(III)について詳細に説明す
る。一般式(III)において、R21、R23、R24、R25
26、R27、R2 8、R29およびR30で表される脂肪族
基、芳香族基および複素環基は一般式(II)と同意義を
表す。一般式(III)において、R23、R24、R25
26、R27、R2 8、R29およびR30で表されるアシル基
は好ましくは炭素数1〜30のものであって、特に炭素
数1〜20の直鎖または分岐のアシル基であり、例えば
アセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル、デカノ
イルがあげられる。ここでR21とR25、R21とR27、R
21とR28、R21とR30、R23とR25、R23とR27、R23
とR28およびR23とR30が結合して環を形成する場合は
例えばアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基ま
たはアルケニレン基等があげられる。また、この脂肪族
基、芳香族基および複素環基は一般式(II)であげた置
換基で置換されていてもよい。一般式(III)中、好ま
しくはR21は脂肪族基、芳香族基または−NR
23(R24)を表し、R22は−NR25(R26)を表す。R
23、R24、R25およびR26は脂肪族基または芳香族基を
表す。一般式(III)中、より好ましくはR21は芳香族基
または−NR23(R24)を表し、R22は−NR
25(R26)を表す。R23、R24、R25およびR26はアル
キル基または芳香族基を表す。ここで、R21とR 25およ
びR23とR25はアルキレン基、アリーレン基、アラルキ
レン基またはアルケニレン基を介して環を形成すること
もより好ましい。
【0090】
【化4】
【0091】上記一般式(IV)中、R31およびR32は同
じであっても異なっていてもよく、脂肪族基、芳香族
基、複素環基、−(C=Y′)−R33を表す。R33は水
素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、NR
34(R35)、OR36またはSR37を表し、Y′は酸素原
子、硫黄原子またはNR38を表す。R34、R35、R36
37およびR38は水素原子、脂肪族基、芳香族基または
複素環基を表し、nは1または2を表す。次に一般式
(IV)について詳細に説明する。一般式(IV)において
31、R32、R33、R34、R35、R36、R37およびR38
で表される脂肪族基、芳香族基または複素環基は一般式
(II)の各々と同意義を表す。また、R31、R32
33、R34、R35、R36、R37およびR38で表される脂
肪族基、芳香族基および複素環基は一般式(II)であげ
た置換基で置換されていてもよい。ここで、R31とR32
およびR34とR35は結合して環を形成してもよい。一般
式(IV)中、好ましくはR31およびR32は複素環基または
−(C=Y′)−R33を表す。R33はNR34(R35)ま
たはOR36を表し、Y′は酸素原子を表す。R34、R35
およびR36は脂肪族基、芳香族基または複素環基を表
す。一般式(IV)中、より好ましくはR 31およびR32
−(C=Y′)−R33を表す。R33はNR34(R35)を
表し、Y′は酸素原子を表す。R34およびR35は脂肪族
基、芳香族基または複素環基を表す。下記に本発明の一
般式(II)、(III)および(IV)で表される化合物の具
体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではな
い。
【0092】
【化5】
【0093】
【化6】
【0094】
【化7】
【0095】
【化8】
【0096】
【化9】
【0097】
【化10】
【0098】
【化11】
【0099】
【化12】
【0100】
【化13】
【0101】
【化14】
【0102】
【化15】
【0103】
【化16】
【0104】
【化17】
【0105】
【化18】
【0106】
【化19】
【0107】本発明で用いられるテルル増感剤は、ハロ
ゲン化銀乳剤粒子表面又は粒子内部に、増感核となると
推定されるテルル化銀を生成せしめる化合物である。ハ
ロゲン化銀乳剤中のテルル化銀生成速度については、以
下の試験ができる。多量添加(例えば、1×10-3モル
/モルAg)すると、生成したテルル化銀が可視域に吸
収をもつ。従って、イオウ増感剤について、E.Moi
sarがJournal of Photograph
ic Science,14巻,181頁(1966
年)や、同,16巻,102頁(1968年)に記載さ
れた方法を適用できる。ハロゲン化銀乳剤中での生成硫
化銀量を、可視域(520nm)での乳剤の無限反射率
(infinite reflectivity)から
Kubelka−Munkの式を用いて求めたのと同様
の方法で、相対的なテルル化銀生成速度を簡便に求める
ことができる。また、この反応は、見かけ上一次反応に
近いので、擬一次反応速度定数も求めることができる。
例えば、平均粒子径0.5μmの臭化銀8面体乳剤(1
kg乳剤中にAgBr0.75モル、ゼラチン80gを
含有)をpH=6.3、pAg=8.3に保ちつつ50
℃に保温し、有機溶剤(メタノールなど)に溶解したテ
ルル化合物を1×10-3モル/モルAg添加する。積分
球をもつ分光々度計で1cm厚みのセルに乳剤を入れ、
ブランクの乳剤を参照にして520nmでの反射率
(R)を時間を追って測定していく。反射率をKube
lka−Munkの式(1−R)2 /2Rに代入しその
値の変化から擬一次反応速度定数k(min-1)を求め
る。テルル化銀を生成しなければ常にR=1のためKu
belka−Munkの値はテルル化合物のない時と同
じで0のままである。このテスト法と全く同一条件での
見かけの1次反応速度定数kが1×10-8〜1×100
min-1の化合物が好ましい。また、可視域の吸収が検
出しにくいより少量の添加量域では、生成したテルル化
銀を未反応テルル増感剤から分離し定量できる。例え
ば、ハロゲン塩水溶液や、水溶性メルカプト化合物の水
溶液などへの浸漬で分離したあと、原子吸光法などによ
り、微量のTeを定量分析する。この反応速度は、化合
物の種類は勿論のこと被検乳剤のハロゲン化銀組成、試
験する温度、pAgやpHなどで数ケタの範囲で大きく
変動する。本発明で好ましく用いられるテルル増感剤
は、用いようとするハロゲン組成、晶癖を有する具体的
なハロゲン化銀乳剤に対してテルル化銀を生成しうる化
合物である。総括的に言えば、臭化銀乳剤に対して、温
度40〜95℃、pH3〜10、またはpAg6〜11
のいずれかの範囲で、テルル化銀を生成しうる化合物が
本発明に対して好ましく用いられ、この範囲で、上記テ
スト法による擬一次反応速度定数kが、1×10-7〜1
×10-1min-1の範囲に入る化合物がテルル増感剤と
してより好ましい。本発明の一般式(II)、(III)お
よび(IV)で表される化合物は既に知られている方法に
準じて合成することができる。例えばジャーナル・オブ
・ケミカル・ソサイアティ(J.Chem.Soc.
(A))1969,2927;ジャーナル・オブ・オル
ガノメタリック・ケミストリー(J.Organome
t.Chem.)4,320(1965);ibid,
1,200(1963);ibid,113,C35
(1976);フォスフォラス・サルファー(Phos
phorus Sulfur)15,155(198
3);ヘミッシェ・ベリヒテ(Chem.Ber.)1
09,2996(1976);ジャーナル・オブ・ケミ
カル・ソサイアティ・ケミカル・コミュニケーション
(J.Chem.Soc.Chem.Commun.)
635(1980);ibid,1102(197
9);ibid,645(1979);ibid,82
0(1987);ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイ
アティ・パーキン・トランザクション(J.Chem.
Soc.Perkin.Trans.)1,2191
(1980);S.パタイ(S.Patai)編,ザ・
ケミストリー・オブ・オルガノ・セレニウム・アンド・
テルリウム・カンパウンズ(The Chemistr
y of Organo Selenium and T
ellurium Compounds)2巻の216
〜267(1987)、テトラヘドロン・レターズ(T
etrahedron Letters)31,358
7(1990)、ジャーナル・オブ・ケミカル・リサー
チ,シノプシーズ(J.Chem.Res.,Syno
pses)2,56(1990)、ブレタン・オブ・ザ
・ケミカル・ソサイアティ・オブ・ジャパン(Bul
l.Chem.Soc.Japan)62,2117
(1989)、ibid,60,771(1987)、
ジャーナル・オブ・オルガノメタリック・ケミストトリ
ー(J.Organometallic Chem.)
338,9(1988)、ibid,306,C36
(1986)、日本化学会誌7巻,1475(198
7)、ツァイトシュリフト・フュアー・ヘミー(Zei
tschrift Chemie)26,179(19
86)、ケミストリー・レターズ(Chemistry
Letters)3,475(1987)、インディ
アン・ジャーナル・オブ・ケミストリー(Indian
Journal of Chemistry,Sec
tion A)25A,57(1986)、アンゲバン
テ・ヘミー(Angewandte Chemie)9
7,1051(1985)、スペクトロキミカ・アクタ
(Spectrochimica Acta,Part
A)38A,185(1982)、オーガニック・プ
レパレーション・アンド・プロセディア・インターナシ
ョナル(Organic Preparationsa
nd Procedures Internation
al)10,289(1978)、オルガノメタリック
ス(Organometallics)1,470(1
982)に記載の方法で合成することができる。これら
の本発明で用いるテルル増感剤の使用量は、使用するハ
ロゲン化銀粒子、化学熟成条件等により変わるが、一般
にハロゲン化銀1モル当り10-8〜10-2モル、好まし
くは10-7〜5×10-3モル程度を用いる。
【0108】本発明における化学増感の条件としては、
特に制限はないが、pAgとしては6〜11、好ましく
は7〜10であり、温度としては40〜95℃、好まし
くは45〜85℃である。
【0109】本発明においては、金、白金、パラジウ
ム、イリジウム等の貴金属増感剤を併用することが好ま
しい。特に、金増感剤を使用することは好ましく、具体
的には、塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウ
ムオーリチオシアネート、硫化金、金セレナイド等が挙
げられ、ハロゲン化銀1モル当り、10-7〜10-2モル
程度を用いることができる。本発明において、更に、硫
黄増感剤を使用することも好ましい。具体的には、チオ
硫酸塩(例えば、ハイポ)、チオ尿素類(例えば、ジフ
ェニルチオ尿素、トリエチル尿素、アリルチオ尿素)、
ローダニン類等の公知の不安定硫黄化合物が挙げられ、
ハロゲン化銀1モル当り10-7〜10-2モル程度を用い
ることができる。本発明において、更にセレン増感剤を
併用することも好ましい。
【0110】例えば、特公昭44−15748号に記載
の不安定セレン増感剤が好ましく用いられる。具体的に
は、コロイド状セレン、セレノ尿素類(例えば、N,N
−ジメチルセレノ尿素、セレノ尿素、テトラメチルセレ
ノ尿素)、セレノアミド類(例えば、セレノアセトアミ
ド、N,N−ジメチル−セレノベンズアミド)、セレノ
ケトン類(例えば、セレノアセトン、セレノベンゾフェ
ノン)、セレニド類(例えば、トリフェニルフォスフィ
ンセレニド、ジエチルセレナイド)、セレノフォスフェ
−ト類(例えば、トリ−p−トリルセレノフォスフェー
ト)、セレノカルボン酸およびエステル類、イソセレノ
シアネート類、等の化合物が挙げられ、ハロゲン化銀1
モル当り10-8〜10-3モル程度を用いることができ
る。
【0111】本発明においては、更に、還元増感剤を併
用することも可能であり具体的には、塩化第1スズ、ア
ミノイミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボ
ラン化合物(例えばジメチルアミンボラン)、シラン化
合物、ポリアミン化合物、等が挙げられる。また、本発
明においては、ハロゲン化銀溶剤の存在下で、テルル増
感を行うのが好ましい。具体的には、チオシアン酸塩
(例えば、チオシアン酸カリウム)、チオエーテル化合
物(例えば、米国特許第3,021,215号、同3,
271,157号、特公昭58−30571号、特開昭
60−136736号等に記載の化合物、特に、例え
ば、3,6−ジチア−1,8オクタンジオール)、四置
換チオ尿素化合物(例えば、特公昭59−11892
号、米国特許第4,221,863号等に記載の化合
物、特に、例えばテトラメチルチオ尿素)、更に、特公
昭60−11341号に記載のチオン化合物、特公昭6
3−29727号に記載のメルカプト化合物、特開昭6
0−163042号に記載のメソイオン化合物、米国特
許第4,782,013号に記載のセレノエーテル化合
物、特開平2−118566号に記載のテルロエーテル
化合物、亜硫酸塩等が挙げられる。特に、これらの中
で、チオシアン酸塩、チオエーテル化合物、四置換チオ
尿素化合物とチオン化合物は好ましく用いることができ
る。使用量としては、ハロゲン化銀1モル当り10-5
10-2モル程度用いることができる。
【0112】テルル増感は硫黄増感、セレン増感あるい
は貴金属増感あるいはそれらを組み合せて用いた方が好
ましい。また、その際、好ましくはチオシアン酸塩を化
学増感時にハロゲン化銀乳剤に添加する 前述の化学増感以外のカルコゲナイド増感と貴金属増感
の単独又は組合せも、本発明のハロゲン化銀乳剤に対し
て好ましく使用でき、ジェームス(T.H.James)著、ザ
・フォトグラフィック・プロセス、第4版、マクミラン
社刊、1977年、(T.H.James、The Theoryof the Pho
tographic Process,4th ed,Macmillan,1977)67
−76頁に記載されるように活性ゼラチンを用いて行う
ことができるし、またリサーチ・ディスクロージャー1
20巻、1974年4月、12008;リサーチ・ディ
スクロージャー、34巻、1975年6月、1345
2、米国特許第2,642,361号、同3,297,
446号、同3,772,031号、同3,857,7
11号、同3,901,714号、同4,266,01
8号、および同3,904,415号、並びに英国特許
第1,315,755号に記載されるようにpAg5〜
10、pH5〜8および温度30〜80℃において硫
黄、セレン、テルル、金、白金、パラジウム、イリジウ
ムまたはこれら増感剤の複数の組合せとすることができ
る。貴金属増感においては、金、白金、パラジウム、イ
リジウム等の貴金属塩を用いることができ、中でも特に
金増感、パラジウム増感および両者の併用が好ましい。
金増感の場合には、塩化金酸、カリウムクロロオーレー
ト、カリウムオーリチオシアネート、硫化金、金セレナ
イド等の公知の化合物を用いることができる。パラジウ
ム化合物はパラジウム2価塩または4価の塩を意味す
る。好ましいパラジウム化合物は、R2PdX6またはR
2PdX4で表わされる。ここでRは水素原子、アルカリ
金属原子またはアンモニウム基を表わす。Xはハロゲン
原子を表わし塩素、臭素またはヨウ素原子を表わす。
【0113】具体的には、K2PdCl4、(NH42
dCl6、Na2PdCl4、(NH42PdCl4、Li
2PdCl4、Na2PdCl6またはK2PdBr4が好ま
しい。金化合物およびパラジウム化合物はチオシアン酸
塩あるいはセレノシアン酸塩と併用することが好まし
い。金増感剤の好ましい量としてハロゲン化銀1モル当
り1×10-4〜1×10-7モルであり、さらに好ましい
のは1×10-5〜5×10-7モルである。パラジウム化
合物の好ましい範囲は1×10-3から5×10-7モルで
ある。
【0114】硫黄増感剤としては、ハイポ、チオ尿素系
化合物、ロダニン系化合物および米国特許第3,85
7,711号、同4,266,018号および同4,0
54,457号に記載されている硫黄含有化合物を用い
ることができる。好ましい硫黄増感剤量はハロゲン化銀
1モル当り1×10-4〜1×10-7モルであり、さらに
好ましいのは1×10-5〜5×10-7モルである。
【0115】セレン増感剤としては、特公昭44−15
748号に記載の不安定セレン増感剤が好ましく用いら
れる。
【0116】具体的には、コロイド状セレン、セレノ尿
素類(例えば、N,N−ジメチルセレノ尿素、セレノ尿
素、テトラメチルセレノ尿素)、セレノアミド類(例え
ばセレノアセトアミド、N,N−ジメチル−セレノベン
ズアミド)、セレノケトン類(例えば、セレノアセト
ン、セレノベンゾフェノン)、セレニド類(例えば、ト
リフェニルフォスフィンセレニド、ジエチルセレナイ
ド)、セレノフォスフェート類(例えば、トリ−p−ト
リルセレノフォスフェート)、セレノカルボン酸及びエ
ステル類、イソセレノシアネート類、等の化合物が挙げ
られ、ハロゲン化銀1モル当り1×10-4〜1×10-8
モル、さらに好ましくは1×10-5〜1×10-7モル程
度を用いることができる。
【0117】いわゆる化学増感助剤の存在下に化学増感
することもできる。有用な化学増感助剤には、アザイン
デン、アザピリダジン、アザピリミジンのごとき、化学
増感の過程でカブリを抑制し、且つ感度を増大するもの
として知られた化合物が用いられる。化学増感助剤改質
剤の例は、米国特許第2,131,038号、同3,4
11,914号、同3,554,757号、特開昭58
−126526号および前述ダフィン著「写真乳剤化
学」、138〜143頁に記載されている。
【0118】本発明のハロゲン化銀乳剤の調製時に用い
られる保護コロイドとして、及びその他の親水性コロイ
ド層のバインダーとしては、ゼラチンを用いるのが有利
であるが、それ以外の親水性コロイドも用いることがで
きる。例えばゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子と
のグラフトポリマー、アルブミン、カゼイン等の蛋白
質;ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセ
ルロース、セルロース硫酸エステル類等の如きセルロー
ス誘導体、アルギン酸ソーダ、澱粉誘導体などの糖誘導
体;ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分
アセタール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリ
ル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビ
ニルイミダゾール、ポリビニルピラゾール等の単一ある
いは共重合体の如き多種の合成親水性高分子物質を用い
ることができる。
【0119】ゼラチンとしては石灰処理ゼラチンのほ
か、酸処理ゼラチンやBull.Soc.Sci.Photo.Japan. No.
16、P30(1966)に記載されたような酵素処理
ゼラチンを用いてもよく、また、ゼラチンの加水分解物
や酵素分解物も用いることができる。
【0120】本発明のハロゲン化銀乳剤は脱塩のために
水洗し、新しく用意した保護コロイドに分散することが
好ましい。水洗の温度は目的に応じて選べるが、5°〜
50℃の範囲で選ぶことが好ましい。水洗時のpHも目
的に応じて選べるが2〜10の間で選ぶことが好まし
い。さらに好ましくは3〜8の範囲である。水洗時のp
Agも目的に応じて選べるが5〜10の間で選ぶことが
好ましい。水洗の方法としてヌードル水洗法、半透膜を
用いた透析法、遠心分離法、凝析沈降法、イオン交換法
のなかから選んで用いることができる。凝析沈降法の場
合には硫酸塩を用いる方法、有機溶剤を用いる方法、水
溶性ポリマーを用いる方法、ゼラチン誘導体を用いる方
法などから選ぶことができる。水洗後の分散に用いる保
護コロイドには通常はゼラチンを用いるが、特に、分子
量28万以上の成分を30重量%以上含有するような平
均分子量の大きいアルカリ処理骨ゼラチンを用いると有
利な場合がある。
【0121】本発明の乳剤調製時、例えば粒子形成時、
脱塩工程、化学増感時、塗布前に金属イオンの塩を存在
させることは目的に応じて好ましい。粒子にドープする
場合には粒子形成時、粒子表面の修飾あるいは化学増感
剤として用いる時は粒子形成後、化学増感終了前に添加
することが好ましい。粒子全体にドープする場合と粒子
のコアー部のみ、あるいはシェル部のみ、あるいはエピ
タシャル部分にのみ、あるいは基盤粒子にのみドープす
る方法も選べる。CaおよびMgについては前述した
が、その他にも、Sr、Ba、Al、Sc、Y、LaC
r、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、R
u、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Au、C
d、Hg、Tl、In、Sn、Pb、Biなどを用いる
ことができる。これらの金属はアンモニウム塩、酢酸
塩、硝酸塩、硫酸塩、燐酸塩、水酸塩あるいは6配位錯
塩、4配位錯塩など粒子形成時に溶解させることができ
る塩の形であれば添加できる。例えばCdBr2、Cd
Cl2、Cd(NO32、Pb(NO 32、Pb(CH3
COO)2、K3〔Fe(CN)6〕、(NH44〔Fe
(CN)6〕、K3IrCl6、(NH43RhCl6、K
4Ru(CN)6などがあげられる。配位化合物のリガン
ドとしてハロ、アコ、シアノ、シアナト、チオシアナ
ト、ニトロシル、チオニトロシル、オキソ、カルボニル
のなかから選ぶことができる。これらは金属化合物を1
種類のみ用いてもよいが2種あるいは3種以上を組み合
せて用いてよい。
【0122】金属化合物は水またはメタノール、アセト
ンなどの適当を溶媒に解かして添加するのが好ましい。
溶液を安定化するためにハロゲン化水素水溶液(例HC
l、HBrなど)あるいはハロゲン化アルカリ(例KC
l、NaCl、KBr、NaBrなど)を添加する方法
を用いることができる。また必要に応じ酸・アルカリな
どを加えてもよい。金属化合物は粒子形成前の反応容器
に添加しても粒子形成の途中で加えることもできる。ま
た水溶性銀塩(例えばAgNO3)あるいはハロゲン化ア
ルカリ水溶性(例えばNaCl、KBr、KI)に添加
しハロゲン化銀粒子形成中連続して添加することもでき
る。さらに水溶性銀塩、ハロゲン化アルカリとは独立の
溶液を用意し粒子形成中の適切な時期に連続して添加し
てもよい。さらに種々の添加方法を組み合せるのも好ま
しい。米国特許第3,772,031号に記載されてい
るようなカルコゲナイド化合物を乳剤調製中に添加する
方法も有用な場合がある。S、Se、Te以外にもシア
ン塩、チオシアン塩、セレノシアン酸、炭酸塩、リン酸
塩、酢酸塩を存在させてもよい。
【0123】本発明に用いられる写真乳剤には、感光材
料の製造工程、保存中あるいは写真処理中のカブリを防
止し、あるいは写真性能を安定化させる目的で、種々の
化合物を含有させることができる。すなわちチアゾール
類、例えばベンゾチアゾリウム塩、ニトロイミダゾール
類、ニトロベンズイミダゾール類、クロロベンズイミダ
ゾール類、ブロモベンズイミダゾール類、メルカプトチ
アゾール類、メルカプトベンゾチアゾール類、メルカプ
トベンズイミダゾール類、メルカプトチアジアゾール
類、アミノトリアゾール類、ベンゾトリアゾール類、ニ
トロベンゾトリアゾール類、メルカプトテトラゾール類
(特に1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール)な
ど;メルカプトピリミジン類;メルカプトトリアジン
類;たとえばオキサドリンチオンのようなチオケト化合
物;アザインデン類、たとえばトリアザインデン類、テ
トラアザインデン類(特に4−ヒドロキシ置換(1,
3,3a,7)テトラアザインデン類)、ペンタアザイ
ンデン類などのようなカブリ防止剤または安定剤として
知られた、多くの化合物を加えることができる。たとえ
ば米国特許第3,954,474号、同3,982,9
47号、特公昭52−28660号に記載されたものを
用いることができる。好ましい化合物の一つに特開昭6
3−212932号に記載された化合物がある。かぶり
防止剤および安定剤は粒子形成前、粒子形成中、粒子形
成後、水洗工程、水洗後の分散時、化学増感前、化学増
感中、化学増感後、塗布前のいろいろな時期に目的に応
じて添加することができる。乳剤調製中に添加して本来
のかぶり防止および安定化効果を発現する以外に、粒子
の晶壁を制御する、粒子サイズを小さくする、粒子の溶
解性を減少させる、化学増感を制御する、色素の配列を
制御するなど多目的に用いることができる。
【0124】ハロゲン化銀乳剤のカブリを低減し、かつ
保存時のカブリ増加を抑える目的で特に有用な化合物と
して、特開平4−16838号に記載されている水溶性
基を有するメルカプトテトラゾール化合物が挙げられ
る。また、前記公開特許にはメルカプトテトラゾール化
合物と、メルカプトチアジアゾール化合物を組み合わせ
使用することで保存性を高めることが開示されている。
本発明者等は、前記公開特許の開示技術および水溶性メ
ルカプト化合物として知られる各種化合物を、本発明の
平板乳剤にテルル増感を施した乳剤に適用することを検
討したが、感度低下を伴うものが殆どであった。種々検
討の末、一般式(II−1)で表される水溶性メルカプト
テトラゾール化合物および、一般式(II−2)で表され
る水溶性メルカプトトリアゾール化合物を併用すること
で、高感度を維持しつつ良好な保存性を実現することが
できた。
【0125】
【化20】
【0126】先ず一般式(II−1)で示される水溶性メ
ルカプトテトラゾール化合物について説明する。
【0127】一般式(II−1)において、R5は−SO3
M、−COOM、−OHおよび−NHR2から成る群か
ら選ばれた少くとも1種で置換された有機残基であり、
具体的には炭素数1〜10のアルキル基(例えばメチ
ル、エチル、プロピル、ヘキシル、シクロヘキシル)、
炭素数6〜14のアリール基(例えばフェニル、ナフチ
ル)、を示す。
【0128】一般式(II−1)のR5で表される各基は
更に置換されていても良く、置換基としては以下のもの
が挙げられる。ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨ
ウ素)、シアノ基、ニトロ基、アンモニオ基(例えば、
トリメチルアンモニオ)、ホスホニオ基、スルホ基(塩
を含む)、スルフィノ基(塩を含む)、カルボキシ基
(塩を含む)、ホスホノ基(塩を含む)、ヒドロキシ
基、メルカプト基、ヒドラジノ基、アルキル基(例え
ば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル,t
−ブチル、n−オクチル、シクロペンチル、シクロへキ
シル)、アルケニル基(例えば、アリル、2−ブテニ
ル、3−ペンテニル)、アルキニル基(例えば、プロパ
ルギル、3−ペンチニル)、アラルキル基(例えば、ベ
ンジル、フェネチル)、アリール基(例えば、フェニ
ル、ナフチル、4−メチルフェニル)、ヘテロ環基(例
えば、ピリジル、フリル、イミダゾリル、ピペリジル、
モルホリノ)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エト
キシ、ブチルオキシ)、アリールオキシ基(例えば、フ
ェノキシ、2−ナフチルオキシ)、アルキルチオ基(例
えば、メチルチオ、エチルチオ)、アリールチオ基(例
えば、フェニルチオ)、アミノ基(例えば、無置換のア
ミノ基、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミ
ノ、アリニノ)、アシル基(例えば、アセチル、ベンゾ
イル、ホルミル、ピバロイル)、アルコキシカルボニル
基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニ
ル)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキ
シカルボニル)、カルバモイル基(例えば、無置換のカ
ルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル、N−エ
チルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル)、アシ
ルオキシ基(例えば、アセトキシ、ベンゾイルオキ
シ)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ、ベン
ゾイルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(例え
ば、メトキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカル
ボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミ
ノ)、ウレイド基(例えば、無置換のウレイド基、N−
メチルウレイド、N−フェニルウレイド)、アルキルス
ルホニルアミノ基(例えば、メチルスルホニルアミ
ノ)、アリールスルホニルアミノ基(例えば、フェニル
スルホニルアミノ)、アルキルスルホニルオキシ基(例
えば、メチルスルホニルオキシ)、アリールスルホニル
オキシ基(例えば、フェニルスルホニルオキシ)、アル
キルスルホニル基(例えば、メシル)、アリールスルホ
ニル基(例えば、トシル)、アルコキシスルホニル基
(例えば、メトキシスルホニル)、アリールオキシスル
ホニル基(例えば、フェノキシスルホニル)、スルファ
モイル基(例えば、無置換のスルファモイル基、N−メ
チルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイ
ル、N−フェニルスルファモイル)、アルキルスルフィ
ニル基(例えば、メチルスルフィニル)、アリールスル
フィニル基(例えば、フェニルスルフィニル)、アルコ
キシスルフィニル基(例えば、メトキシスルフィニ
ル)、アリールオキシスルフィニル基(例えば、フェノ
キシスルフィニル)、リン酸アミド基(例えば、N,N
−ジエチルリン酸アミド)などである。これらの基はさ
らに置換されていてもよい。また、置換基が2つ以上あ
る時は同じであっても、異なっていてもよい。
【0129】ここでR5の置換基−SO3M、−COO
M、−OHおよび−NHR2が2個以上あるときは同じ
であっても異っていてもよい。
【0130】一般式(II−1)において、R2は、水素
原子、炭素数1〜6のアルキル基、−COR3、−CO2
3、または−SO23を表し、R3は水素原子、炭素数
1〜20のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロ
ピル、ヘキシル、シクロヘキシル、ドデシル、オクタデ
シル)、アリール基(例えばフェニル、ナフチル)を表
す。これらの基は、R5の置換基として挙げた置換基が
置換していてもよい。
【0131】一般式(II−1)において、Mは、水素原
子、アルカリ金属原子(例えばリチウム、ナトリウム、
カリウムなど)、四級アンモニウム基(例えばアンモニ
オ基、テトラメチルアンモニオ基、ベンジルトリメチル
アンモニオ基、テトラブチルアンモニオ基など)または
四級ホスホニウム基(例えばテトラメチルホスホニオ基
など)を表す。
【0132】一般式(II−1)において、好ましくはR
5は−SO3Mが置換したフェニル基、−COOMが置換
したフェニル基、−NHR2が置換したフェニル基、−
SO3Mが置換した炭素数1から4のアルキル基、−C
OOMが置換した炭素数1から4のアルキル基であり、
2は水素原子、炭素数1から4のアルキル基、−CO
3であり、R3は水素原子、親水性基(例えばカルボキ
シル基、スルホ基、ヒドロキシ基)の置換した炭素数1
から4のアルキル基であり、Mは水素原子、ナトリウム
原子である。より好ましくはR5は−SO3Mが置換した
フェニル基、−COOMが置換したフェニル基である。
以下に一般式(II−1)で表される化合物の具体例を示
すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0133】
【化21】
【0134】
【化22】
【0135】
【化23】
【0136】次に、一般式(II−2)のメルカプトトリ
アゾール化合物について説明する。
【0137】一般式(II−2)のM、およびR5は一般
式(II−1)のM,およびR5と同義である。一般式(I
I−2)おいて、R6は水素原子、炭素数が1から10の
アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、
ヘキシル基、シクロヘキシル基など)、炭素数6〜15
のアリール基(例えばフェニル基、ナフチル基など)、
を表し、アルキル基またはアリール基は一般式(II−
1)のR5の置換基に挙げた置換基が置換されていても
よい。
【0138】一般式(II−2)において、好ましくはR
6は水素原子、炭素数1から4のアルキル基、フェニル
基であり、R5は−SO3Mが置換したフェニル基、−C
OOMが置換したフェニル基、−NHR2が置換したフ
ェニル基、−SO3Mが置換した炭素数1から4のアル
キル基、−COOMが置換した炭素数1から4のアルキ
ル基であり、R2は水素原子、炭素数1から4のアルキ
ル基、−COR3であり、R3は水素原子、親水性基(例
えばカルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシ基)の置換
した炭素数1から4のアルキル基であり、Mは水素原
子、ナトリウム原子である。より好ましくはR6は水素
原子であり、R5は−SO3Mが置換したフェニル基、−
COOMが置換したフェニル基である。
【0139】以下に一般式(II−2)で表される化合物
の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。
【0140】
【化24】
【0141】
【化25】
【0142】
【化26】
【0143】一般式(II−1)、または一般式(II−
2)で示される化合物は公知であり、また以下の文献に
記載されている方法により合成することができる。John
A. Montogomery編、“ザ・ケミストリ・オブ・ヘテロ
サイクリック・ケミストリ”、1,2,4−トリアゾー
ル(“The Chemistry of Heterocyclic Chemistry ”1,
2,4-triazole)、JOHN WILEY & SONS社(1981年)、
404〜442頁、S.R.Sandler, W. Karo、、“オルガ
ニック・ファンクショナル・グループ・プレバレーショ
ン”(“Organic Functional Group Preparation”)Ac
ademic Press社(1968年)312〜5頁、Kevin T.
Pott編、”コンプリヘンシブ ヘテロサイクリック
カンパウンズ”(”COMPREHENSIVE HETEROCYCLIC COMPO
UNDS”)、PERGAMON PRESS社、第5巻、761〜784
頁、同 825〜834頁、Robert C. Elderfield
編、”ヘテロサイクリック カンパウンズ”(”HETERO
CYCLICCOMPOUNDS”)、JOHN WILEY & SONS社(1961
年)、425〜445頁、Frederic R. Benson編、”ザ
ハイ ナイトロジェン カンパウンズ”(”THE HIGH
NITROGEN COMPOUNDS”)JOHN WILEY & SONS社(1984
年)、640〜653頁。
【0144】一般式(II−1)、または一般式(II−
2)で表わされる化合物はハロゲン化銀乳剤層、親水性
コロイド層(中間層、表面保護層、イエローフィルター
層、アンチハレーション層など)に含有させられる。ハ
ロゲン化銀乳剤層または、その隣接層に含有させること
が好ましい。
【0145】この化合物の乳剤への添加方法は写真乳剤
添加物の通常の添加方法に従えば良い。例えばメチルア
ルコール、エチルアルコール、メチルセロソルブ、アセ
トン、水あるいはこれらの混合溶媒などの中に溶解し、
溶液として添加することができる。
【0146】また、一般式(II−1)、または(II−
2)で示される化合物は写真用乳剤の製造工程のいかな
る工程で添加して用いることもできるし、乳剤製造後塗
布直前までのいかなる段階で添加して用いることもでき
る。本発明に於ける好ましい添加する工程は、ハロゲン
化銀粒子形成終了直後から化学熟成工程終了直後の間で
添加する事が効果的である。
【0147】一般式(II−1)、または(II−2)で表
わされる化合物の添加量は、総量として通常セレン増感
されたハロゲン化銀1モル当り、1×10-6モル乃至1
×10-1モル好ましくは5×10-6モル乃至5×10-3
モルの範囲で使用される。一般式(II−1)の化合物
と、(II−2)の化合物の併用モル比率は任意である
が、好ましくは99.5:0.5から50:50であ
る。特に99:1から70:30の様に(II−2)の化
合物を少量併用することが好ましい。
【0148】前述以外に、本発明のハロゲン化銀乳剤の
保存時のカブリ増加を抑える方法として、ハロゲン化銀
乳剤製造工程において亜塩素酸塩を添加することが非常
に有効であることが本発明者等の検討の結果明らかとな
った。亜塩素酸塩は、亜塩素酸基と、アルカリ金属、ア
ルカリ土類金属またはアンモニウム基との塩であればい
ずれでもよいが、水溶性の高い塩が好ましい。中でも亜
塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウムは特に好ましい。
【0149】乳剤製造工程における亜塩素酸塩の添加時
期については特に制限はなく、ハロゲン化銀粒子形成工
程、脱塩工程、分散工程、あるいは化学増感工程のいず
れで添加しても効果を発現するが、あえて言うと化学増
感の終了直前が好ましい。
【0150】亜塩素酸塩の添加量については、ハロゲン
化銀1モル当たり10-8モル以上10-3モル以下で用い
ればよいが、10-6モル以上10-4モル以下で用いるこ
とが好ましい。
【0151】本発明のハロゲン化銀乳剤は、メチン色素
類その他の増感色素によって分光増感されることが好ま
しい。本発明の効果は、増感色素によって分光増感され
た場合に顕著に発現する。用いられる色素には、シアニ
ン色素、メロシアニン色素、複合シアニン色素、複合メ
ロシアニン色素、ポロポーラーシアニン色素、ヘミシア
ニン色素、スチリル色素およびヘミオキソノール色素が
包含される。特に有用な色素は、シアニン色素、メロシ
アニン色素、および複合メロシアニン色素に属する色素
である。これらの色素類には、塩基性異節環核としてシ
アニン色素類に通常利用される核のいずれをも適用でき
る。すなわち、ピロリン核、オキサゾリン核、チオゾリ
ン核、ピロール核、オキサゾール核、チアゾール核、セ
レナゾール核、イミダゾール核、テトラゾール核、ピリ
ジン核など;これらの核に脂環式炭化水素環が融合した
核;およびこれらの核に芳香族炭化水素環が融合した
核、即ち、インドレニン核、ベンズインドレニン核、イ
ンドール核、ベンズオキサゾール核、ナフトオキサゾー
ル核、ベンゾチアゾール核、ナフトチアゾール核、ベン
ゾセレナゾール核、ベンズイミダゾール核、キノリン核
等が適用できる。これらの核は炭素原子上に置換されて
いてもよい。
【0152】メロシアニン色素または複合メロシアニン
色素にはケトメチレン構造を有する核として、ピラゾリ
ン−5−オン核、チオヒダントイン核、2−チオオキサ
ゾリジン−2,4−ジオン核、チアゾリジン−2,4−
ジオン核、ローダニン核、チオバルビツール酸核等の5
〜6員異節環核を適用することができる。これらの増感
色素は単独に用いてもよいが、それらの組合せを用いて
もよく、増感色素の組合せは特に、強色増感の目的でし
ばしば用いられる。その代表例は米国特許第2,68
8,545号、同2,977,229号、同3,39
7,060号、同3,522,052号、同3,52
7,641号、同3,617,293号、同3,62
8,964号、同3,666,480号、同3,67
2,898号、同3,679,428号、同3,70
3,377号、同3,769,301号、同3,81
4,609号、同3,837,862号、同4,02
6,707号、英国特許第1,344,281号、同
1,507,803号、特公昭43−4936号、同5
3−12,375号、特開昭52−110,618号、
同52−109,925号に記載されている。
【0153】増感色素とともに、それ自身分光増感作用
をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物
質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよ
い。
【0154】増感色素を乳剤中に添加する時期は、これ
まで有用であると知られている乳剤調製の如何なる段階
であってもよい。もっとも普通には化学増感の完了後塗
布前までの時期に行なわれるが、米国特許第3,62
8,969号、および同第4,225,666号に記載
されているように化学増感剤と同時期に添加し分光増感
を化学増感と同時に行なうことも、特開昭58−11
3,928号に記載されているように化学増感に先立っ
て行なうことも出来、またハロゲン化銀粒子沈澱生成の
完了前に添加し分光増感を開始することも出来る。更に
また米国特許第4,225,666号に教示されている
ようにこれらの前記化合物を分けて添加すること、即ち
これらの化合物の一部を化学増感に先立って添加し、残
部を化学増感の後で添加することも可能であり、米国特
許第4,183,756号に開示されている方法を始め
としてハロゲン化銀粒子形成中のどの時期であってもよ
い。本発明の平板粒子乳剤への増感色素の添加量は、ハ
ロゲン化銀1モル当り、1.0×10-4モル以上で用い
ることが好ましく、より好ましくは約1.5×10-4
2×10-3モルが有効である。
【0155】本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、本
発明の乳剤を含有する感光性層を少なくとも一層有すれ
ばよい。また本発明の乳剤は、何れの感光性層に含有さ
せても本発明の効果を奏する。
【0156】本発明の乳剤ならびにその乳剤を用いた写
真感光材料に使用することができる層配列等の技術、ハ
ロゲン化銀乳剤、色素形成カプラー、DIRカプラー等
の機能性カプラー、各種の添加剤等、及び現像処理につ
いては、欧州特許第0565096A1号(1993年
10月13日公開)及びこれに引用された特許に記載さ
れている。以下に各項目とこれに対応する記載個所を列
記する。
【0157】1.層構成:61頁23−35行、61頁
41行−62頁14行 2.中間層:61頁36−40行、 3.重層効果付与層:62頁15−18行、 4.ハロゲン化銀ハロゲン組成:62頁21−25行、 5.ハロゲン化銀粒子晶癖:62頁26−30行、 6.ハロゲン化銀粒子サイズ:62頁31−34行、 7.乳剤製造法:62頁35−40行、 8.ハロゲン化銀粒子サイズ分布:62頁41−42
行、 9.平板粒子:62頁43−46行、 10.粒子の内部構造:62頁47行−53行、 11.乳剤の潜像形成タイプ:62頁54行−63頁5
行、 12.乳剤の物理熟成・化学熟成:63頁6−9行、 13.乳剤の混合使用:63頁10−13行、 14.かぶらせ乳剤:63頁14−31行、 15.非感光性乳剤:63頁32−43行、 16.塗布銀量:63頁49−50行、 17.写真用添加剤:リサーチ・ディスクロージャ(R
D)Item17643(1978年12月)、同It
em18716(1979年11月)及び同Item3
07105(1989年11月)に記載されており、下
記に各項目およびこれに関連する記載個所を示す。
【0158】 添加剤の種類 RD17643 RD18716 RD307105 (1) 化学増感剤 23頁 648頁右欄 866頁 (2) 感度上昇剤 648頁右欄 (3) 分光増感剤、 23〜24頁 648頁右欄〜 866〜 868頁 強色増感剤 649頁右欄 (4) 増 白 剤 24頁 647頁右欄 868頁 (5) かぶり防止剤、 24〜25頁 649頁右欄 868〜 870頁 安定剤 (6) 光吸収剤、 25〜26頁 649頁右欄〜 873頁 フィルター染料、 650頁左欄 紫外線吸収剤 (7) ステイン防止剤 25頁右欄 650左欄〜右欄 872頁 (8) 色素画像安定剤 25頁 650頁左欄 872頁 (9) 硬 膜 剤 26頁 651頁左欄 874〜 875頁 (10)バインダー 26頁 651頁左欄 873〜 874頁 (11)可塑剤、潤滑剤 27頁 650頁右欄 876頁 (12)塗布助剤、 26〜27頁 650頁右欄 875〜 876頁 表面活性剤 (13)スタチック 27頁 650頁右欄 876〜 877頁 防止剤 (14)マット剤 878〜 879頁 18.ホルムアルデヒドスカベンジャー:64頁54−5
7行、 19.メルカプト系かぶり防止剤:65頁1−2行、 20.かぶらせ剤等放出剤:65頁3−7行、 21.色素:65頁7−10行、 22.カラーカプラー全般:65頁11−13行、 23.イエロー、マゼンタ及びシアンカプラー:65頁1
4−25行、 24.ポリマーカプラー:65頁26−28行、 25.拡散性色素形成カプラー:65頁29−31行、 26.カラードカプラー:65頁32−38行、 27.機能性カプラー全般:65頁39−44行、 28.漂白促進剤放出カプラー:65頁45−48行、 29.現像促進剤放出カプラー:65頁49−53行、 30.その他のDIRカプラー:65頁54行−66頁4
行、 31.カプラー分散方法:66頁5−28行、 32.防腐剤・防かび剤:66頁29−33行、 33.感材の種類:66頁34−36行、 34.感光層膜厚と膨潤速度:66頁40行−67頁1
行、 35.バック層:67頁3−8行、 36.現像処理全般:67頁9−11行、 37.現像液と現像薬:67頁12−30行、 38.現像液添加剤:67頁31−44行、 39.反転処理:67頁45−56行、 40.処理液開口率:67頁57行−68頁12行、 41.現像時間:68頁13−15行、 42.漂白定着、漂白、定着:68頁16行−69頁31
行、 43.自動現像機:69頁32−40行、 44.水洗、リンス、安定化:69頁41行−70頁18
行、 45.処理液補充、再使用:70頁19−23行、 46.現像薬感材内蔵:70頁24−33行、 47.現像処理温度:70頁34−38行、 48.レンズ付フィルムへの利用:70頁39−41行、 また、欧州特許第602600号公報に記載の、2−ピ
リジンカルボン酸または2,6−ピリジンジカルボン酸
と硝酸第二鉄のごとき第二鉄塩、及び過硫酸塩を含有し
た漂白液も好ましく使用できる。この漂白液の使用にお
いては、発色現像工程と漂白工程との間に、停止工程と
水洗工程を介在させることが好ましく、停止液には酢
酸、コハク酸、マレイン酸などの有機酸を使用すること
が好ましい。さらに、この漂白液には、pH調整や漂白
カブリの目的に、酢酸、コハク酸、マレイン酸、グルタ
ル酸、アジピン酸などの有機酸を0.1〜2モル/リッ
トルの範囲で含有させることが好ましい。
【0159】
【実施例】以下に本発明の実施例を示す。但し本発明
は、この実施例に限定されるものではない。
【0160】(実施例1)本実施例では、ハロゲン化銀
平板粒子より成る写真乳剤において、乳剤の高感度化の
ために平板粒子の粒子厚みを0.1μm以下にし、円相
当径を1.0μm以上に増大させて粒子表面積を大きく
した場合に、乳剤の感度及び圧力特性にとって本発明で
推奨する平板粒子内部の沃化銀分布、および正孔捕獲ゾ
ーンの導入が重要かつ有効であることを示す。
【0161】(ハロゲン化銀乳剤調製に用いたゼラチン
とその製法)以下の乳剤調製で保護コロイド分散媒とし
て用いたゼラチン−1〜3は、以下の属性を持つゼラチ
ンである。
【0162】ゼラチン−1:牛骨を原料とする、通常の
アルカリ処理オセインゼラチン。ゼラチン中の−NH2
基の化学修飾なし。 ゼラチン−2:ゼラチン−1の水溶液に、50℃、pH
9.0の条件下で無水コハク酸を加えて化学反応させた
後、残留するコハク酸を除去して乾燥させたゼラチン。
ゼラチン中の−NH2基が化学修飾された数の割合95
%。 ゼラチン−3:ゼラチン−1に酵素を作用させて低分子
量化し、平均分子量を15000にした後、酵素を失活
させて乾燥させたゼラチン。ゼラチン中の−NH2基の
化学修飾なし。
【0163】上記のゼラチン−1〜3は、全て脱イオン
処理をした後、5%水溶液の35℃におけるpHが6.
0となるように調整を行った。
【0164】(ハロゲン化銀乳剤の分光増感に用いた増
感色素の固体微分散物の調製)以下の乳剤調製で、分光
増感に使用した増感色素は、特開平11−52507号
に記載の方法で調製した固体微分散物の形態にしてから
使用した。例えば、増感色素Exs−1、Exs−4お
よびExs−5の固体微分散物を次のようにして調製し
た。NaNO3 0.8重量部およびNa2SO4 3.
2重量部をイオン交換水43部に溶解し、増感色素Ex
s−1、Exs−4およびExs−5を76:18:6
のモル比で合計3重量部を添加し、60℃の条件下でデ
ィゾルバー翼を用い2000rpmで20分間分散する
ことにより、増感色素Exs−1、Exs−4およびE
xs−5の固体微分散物を得た。
【0165】(乳剤EM−1Aの調製)KBrを0.9
g、前記のゼラチン−3を1.1g含む水溶液1100
mlを35℃に保ち、撹拌した。(1st液調製) A
g−1水溶液(100ml中にAgNO3を3.0g含
有する)136mlと、X−1水溶液(100ml中に
KBrを3.2g含有する)100ml、およびG−1
水溶液(100ml中に前記のゼラチン−3を7.2g
含有する)19.3mlをトリプルジェット法で、一定
の流量で50秒間にわたり添加した。(添加1) その
後、KBr 4.2gを添加し、温度を75℃に昇温し
て熟成した。熟成終了直前に、G−2水溶液(100m
l中に前記のゼラチン−1を12.7g含有する)27
0mlを添加した。
【0166】次に、Ag−2水溶液(100ml中にA
gNO3を32.0g含有する)112mlと、X−2
水溶液(100ml中にKBrを26.0g含有する)
をダブルジェット法で22分間にわたり添加した。この
時、Ag−2水溶液の添加は最終流量が初期流量の3.
4倍になるように流量加速を行い、X−2水溶液の添加
は反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgが7.80を保
つように行った(添加2)。
【0167】次いで、Ag−2水溶液350mlと、X
−3水溶液(100ml中にKBrを22.6g、KI
を1.07g含有する)をダブルジェット法で30分間
にわたり添加した。この時、Ag−3水溶液の添加は最
終流量が初期流量の1.6倍になるように流量加速を行
い、X−3水溶液の添加は反応容器内のバルク乳剤溶液
のpAgが7.80を保つように行った(添加3)。
【0168】さらに、Ag−2水溶液192mlと、X
−2水溶液をダブルジェット法で11分間にわたり添加
した。この時、Ag−2水溶液の添加は一定の流量で行
い、X−2水溶液の添加は、7.8を保つように行った
(添加4)。
【0169】その後、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウ
ムを0.003g、G−3水溶液(100ml中に前記
のゼラチン−1を12.0g含有する)150mlを、
1分間づつ間隔をあけて順次添加してから、温度を60
℃に降温した。次いでKBr11.2gを添加し反応容
器内のバルク乳剤溶液のpAgを9.15にしてから、
KI水溶液をKI粉末換算で10.0g添加した(添加
5)。続いて、添加5の2分後から、Ag−2水溶液2
30mlとX−2水溶液をダブルジェット法で添加し
た。このときAg−2水溶液は一定の流量で17分間に
わたって添加し、X−4水溶液は最初の8分間だけ反応
容器内のバルク乳剤溶液のpAgを9.15に保つよう
に添加し、残りの9分間(pAg変更に要する時間を含
む)は、反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgを7.3
5に保つように添加した。(添加6) その後、通常の
フロキュレーション法により脱塩を行い、次いで、攪拌
しながら水、NaOH、前記のゼラチン−1を添加し、
50℃でpH5.8、pAg8.8になるように調整し
た。
【0170】得られた乳剤は、球相当径0.62μm、
主表面の円相当径の平均値0.94μm、粒子厚みの平
均値0.18μm、アスペクト比の平均値5.2、円相
当径の変動係数18.0%であり、AgI含有量の平均
値4.91モル%、平行な主表面が(111)面である
ハロゲン化銀平板粒子から成り、XPSで測定されたハ
ロゲン化銀粒子表面のAgI含有量は3.0モル%であ
った。また、本明細書本文で記載したEPMA法によ
り、粒子主表面の中心部の沃化銀含有率Iaは3.0モ
ル%、粒子主表面の中心と粒子主表面の辺との間の中点
部の沃化銀含有率Ibは3.2モル%、粒子主表面の辺
の中点部の沃化銀含有率Icは6.1モル%、粒子頂点
部の沃化銀含有率Idは11.5モル%と測定された。
【0171】続いて、下記増感色素Exs−1、Exs
−4、Exs−5を76:18:6のモル比で添加し、
次いでチオシアン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸ナト
リウムおよびN,N−ジメチルセレノ尿素を順次添加し
最適に化学増感を施した後、下記の水溶性メルカプト化
合物MER−1およびMER−2を4:1の比率で合計
でハロゲン化銀1モル当たり3.6×10-4モル添加す
ることにより化学増感を終了させた。乳剤EM−1Aで
は、前記増感色素の添加量がハロゲン化銀1モル当たり
8.40×10-4モルの時に最適に化学増感された。
【0172】
【化27】
【0173】
【化28】
【0174】(乳剤EM−2Aの調製)前記の乳剤EM
−1Aの調製条件に対して、 G−3水溶液添加後の工
程を以下の様に変更することにより乳剤EM−2Aを調
製した。
【0175】温度を40℃に降温し、沃素イオン放出化
合物であるヨードアセトアミド11.1gを添加し、N
aOHを添加してpHを10.0とし、更に亜硫酸ナト
リウム9.0gを添加することにより反応容器内のバル
ク乳剤溶液中に沃素イオンを放出せしめ、バルク乳剤溶
液中のハロゲン化銀粒子上に沃素を沈積させた。(添加
5)次いで温度を55℃に昇温してから硫酸を添加し反
応容器内のバルク乳剤溶液のpHを前記のNaOH添加
前に戻した。その後、KBrを添加してpAgを9.1
5にしてから、Ag−2水溶液230mlとX−2水溶
液をダブルジェット法で添加した。このときAg−2水
溶液は一定の流量で19分間にわたって添加し、X−4
水溶液は最初の9分間だけ反応容器内のバルク乳剤溶液
のpAgを9.15に保つように添加し、残りの10分
間(pAg変更に要する時間を含む)は、反応容器内の
バルク乳剤溶液のpAgを7.35に保つように添加し
た。(添加6) その後、通常のフロキュレーション法
により脱塩を行い、次いで、攪拌しながら水、NaO
H、前記のゼラチン−1を添加し、50℃でpH5.
8、pAg8.8になるように調整した。
【0176】得られた乳剤の、球相当径、主表面の円相
当径の平均値、粒子厚みの平均値、アスペクト比の平均
値、円相当径の変動係数は前記乳剤EM−1Aとほとん
ど同じで、AgI含有量の平均値4.91モル%、平行
な主表面が(111)面であるハロゲン化銀平板粒子か
ら成り、XPSで測定されたハロゲン化銀粒子表面のA
gI含有量は2.9モル%であった。また、本明細書本
文で記載したEPMA法により、粒子主表面の中心部の
沃化銀含有率Iaは3.1モル%、粒子主表面の中心と
粒子主表面の辺との間の中点部の沃化銀含有率Ibは
3.5モル%、粒子主表面の辺の中点部の沃化銀含有率
Icは7.8モル%、粒子頂点部の沃化銀含有率Idは
7.7モル%と測定された。
【0177】尚、乳剤EM−2Aは、前記乳剤EM−1
Aとほぼ同じ条件で最適に化学増感された。
【0178】(乳剤EM−3Aの調製)前記の乳剤EM
−1Aの調製条件に対して、 G−3水溶液添加後の工
程を以下の様に変更することにより乳剤EM−3Aを調
製した。
【0179】温度を60℃に降温し、次いでKBr1
1.2gを添加しバルク乳剤溶液のpAgを9.15に
してから、平均粒径0.008μmのAgI微粒子乳剤
(AgNO3水溶液、KI水溶液およびゼラチン−3の
水溶液を、特開平10−43570号に記載の磁気カッ
プリング誘導型攪拌機を有する別のチャンバー内で添加
前直前混合して調製したもの)を、硝酸銀換算10.2
gに相当する量で、3分間にわたり一定の流量で添加し
(添加5)、また添加5の開始10秒後から、Ag−2
水溶液230mlと、X−2水溶液をダブルジェット法
で添加した。この時Ag−2水溶液は一定の流量で17
分間にわたって添加し、X−2水溶液は最初の8分間だ
け反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgを9.35に保
つように添加し、残りの9分間(pAg変更に要する時
間を含む)は、反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgを
7.35に保つように添加した(添加6)。
【0180】得られた乳剤の、球相当径、主表面の円相
当径の平均値、粒子厚みの平均値、アスペクト比の平均
値、円相当径の変動係数は前記乳剤EM−1Aとほとん
ど同じで、AgI含有量の平均値4.91モル%、平行
な主表面が(111)面であるハロゲン化銀平板粒子か
ら成り、XPSで測定されたハロゲン化銀粒子表面のA
gI含有量は3.0モル%であった。また、本明細書本
文で記載したEPMA法により、粒子主表面の中心部の
沃化銀含有率Iaは3.2モル%、粒子主表面の中心と
粒子主表面の辺との間の中点部の沃化銀含有率Ibは
3.5モル%、粒子主表面の辺の中点部の沃化銀含有率
Icは6.9モル%、粒子頂点部の沃化銀含有率Idは
6.7モル%と測定された。
【0181】(乳剤EM−1B〜3Bの調製)前記の乳
剤EM−1A〜3Aの各々の調製条件に対して、以下の
変更を行った調製条件で乳剤EM−1B〜3Bを調製し
た。
【0182】(添加2)の直前で、かつG−2水溶液添
加の直後の時期に、4,5−ジヒドロキシ−1,3−ベ
ンゼンジスルホン酸ジナトリウム一水和物(本明細書本
文で述べた一般式I−1に相当する化合物)を2.1
g、二酸化チオ尿素0.003gを1分間づつ間隔をあ
けて順次添加する工程を加える。
【0183】上記の変更で得られた乳剤の、球相当径、
主表面の円相当径の平均値、粒子厚みの平均値、アスペ
クト比の平均値、円相当径の変動係数、ハロゲン化銀粒
子表面のAgI含有量、および平板粒子内の沃化銀分布
は、変更前の条件で調製した乳剤と変わらなかった。
【0184】(乳剤EM−1C〜3Cの調製)前記の乳
剤EM−1A〜3Aの各々の調製条件に対して、以下の
変更を行った調製条件で乳剤EM−1C〜3Cを調製し
た。
【0185】(添加2)の直前に添加されるG−2水溶
液のゼラチンを、ゼラチン−2に変更し、 G−2水溶
液の添加量を220mlにする。更に、(添加2)、
(添加3)、(添加4)の初期のバルク乳剤溶液のpA
gを8.35に変更する。
【0186】得られた乳剤はいずれも、球相当径0.6
2μm、主表面の円相当径の平均値1.41μm、粒子
厚みの平均値0.080μm、アスペクト比の平均値1
7.6、円相当径の変動係数23.8%であり、AgI
含有量の平均値4.91モル%、平行な主表面が(11
1)面であるハロゲン化銀平板粒子から成っていた。
【0187】XPSで測定されたハロゲン化銀粒子表面
のAgI含有量は、乳剤EM−1Cが3.6モル%、乳
剤EM−2Cが3.5モル%、乳剤EM−3Cが3.8
モル%であった。
【0188】また、本明細書本文で記載したEPMA法
により、乳剤EM−1Cの粒子主表面の中心部の沃化銀
含有率Iaは2.6モル%、粒子主表面の中心と粒子主
表面の辺との間の中点部の沃化銀含有率Ibは3.0モ
ル%、粒子主表面の辺の中点部の沃化銀含有率Icは
6.2モル%、粒子頂点部の沃化銀含有率Idは12.
0モル%と測定された。同じく乳剤EM−2Cは、Ia
が2.6モル%、Ibが3.1モル%、Icが8.4モ
ル%、Idが8.5モル%と測定され、同じく乳剤EM
−3Cは、Iaが3.2モル%、Ibが3.4モル%、
Icが6.4モル%、Idが6.3モル%と測定され
た。
【0189】また、乳剤EM−1C〜3Cは、主表面の
円相当径が1.0μm以上かつ粒子厚みが0.1μm以
下のハロゲン化銀平板粒子が全投影面積の50%以上を
占めていた。
【0190】乳剤EM−1C〜3Cの化学増感は、前記
乳剤EM−1Aからハロゲン化銀平板粒子の表面積が増
えたことに対応して増感色素、塩化金酸、チオ硫酸ナト
リウムおよびN,N−ジメチルセレノ尿素の添加量を変
更した以外は、前記乳剤EM−1Aと同じ条件で行っ
た。尚、増感色素の添加量がハロゲン化銀1モル当たり
1.52×10-3モルの時に最適に化学増感された。
【0191】(乳剤EM−1D〜3Dの調製)前記の乳
剤EM−1C〜3Cの各々の調製条件に対して、以下の
変更を行った調製条件で乳剤EM−1D〜3Dを調製し
た。
【0192】(添加2)の直前で、かつG−2水溶液添
加の直後の時期に、4,5−ジヒドロキシ−1,3−ベ
ンゼンジスルホン酸ジナトリウム一水和物(本明細書本
文で述べた一般式I−1に相当する化合物)を2.1
g、二酸化チオ尿素0.003gを1分間づつ間隔をあ
けて順次添加する工程を加える。
【0193】上記の変更で得られた乳剤の、球相当径、
主表面の円相当径の平均値、粒子厚みの平均値、アスペ
クト比の平均値、円相当径の変動係数、ハロゲン化銀粒
子表面のAgI含有量、および平板粒子内の沃化銀分布
は、変更前の条件で調製した乳剤と変わらなかった。
【0194】(乳剤EM−3Eの調製)前記の乳剤EM
−3Cの調製条件に対して、以下の変更を行った調製条
件で乳剤EM−3Eを調製した。
【0195】(添加2)の直前で、かつG−2水溶液添
加の直後の時期に、二酸化チオ尿素0.003gを添加
する工程を加える。
【0196】上記の変更で得られた乳剤の、球相当径、
主表面の円相当径の平均値、粒子厚みの平均値、アスペ
クト比の平均値、円相当径の変動係数、ハロゲン化銀粒
子表面のAgI含有量、および平板粒子内の沃化銀分布
は、変更前の条件で調製した乳剤と変わらなかった。
【0197】(乳剤EM−3Fの調製)前記の乳剤EM
−3Cの調製条件に対して、以下の変更を行った調製条
件で乳剤EM−3Fを調製した。
【0198】化学増感工程における増感色素添加の直前
に、ジメチルアミンボランをハロゲン化銀1モル当たり
3.5×10-5g添加して30分熟成する工程を加え
る。
【0199】上記の変更で得られた乳剤の、球相当径、
主表面の円相当径の平均値、粒子厚みの平均値、アスペ
クト比の平均値、円相当径の変動係数、ハロゲン化銀粒
子表面のAgI含有量、および平板粒子内の沃化銀分布
は、変更前の条件で調製した乳剤と変わらなかった。
【0200】(乳剤EM−3Gの調製)前記の乳剤EM
−3Cの調製条件に対して、以下の変更を行った調製条
件で乳剤EM−3Gを調製した。
【0201】化学増感工程における増感色素添加の直前
に、ハロゲン化銀1モル当たり、ベンゼンチオスルホン
酸ナトリウム0.002g、ジメチルアミンボラン3.
5×10-5gを順に添加して30分熟成する工程を加え
る。
【0202】上記の変更で得られた乳剤の、球相当径、
主表面の円相当径の平均値、粒子厚みの平均値、アスペ
クト比の平均値、円相当径の変動係数、ハロゲン化銀粒
子表面のAgI含有量、および平板粒子内の沃化銀分布
は、変更前の条件で調製した乳剤と変わらなかった。
【0203】前記の乳剤EM−1A〜3A、1B〜3
B、1C〜3C、1D〜3D、3E〜3Gについて40
0kVの透過型電子顕微鏡を用いて液体窒素温度で観察
したところ、いずれの乳剤においても1粒子当たり転位
線が20本以上存在しており、また、いずれの乳剤にお
いても粒子外周部に1粒子当たり転位線が5本以上存在
していることがわかった。
【0204】前記の乳剤EM−1B〜3B、1D〜3D
は、前記の乳剤調製工程における(添加2)の直前に
4,5−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸
ジナトリウム一水和物および二酸化チオ尿素を添加して
意図的な還元増感を施すことによりハロゲン化銀粒子内
部に正孔捕獲ゾーンが付与されている。また、EM−3
Gは化学増感工程の増感色素添加の直前にベンゼンチオ
スルホン酸ナトリウムおよびジメチルアミンボラン添加
して30分熟成することにより意図的な還元増感が施さ
れハロゲン化銀粒子内部に正孔捕獲ゾーンが付与されて
いる。尚、前記の乳剤EM−3E、3Fにおいても、意
図的な還元増感を施してはいるが、本明細書本文にて前
述した正孔捕獲ゾーン付与の条件は満たしていない。
【0205】さらに、前記の乳剤は全て、化学増感工程
で増感色素を添加し分光増感を行ったことにより、分光
感度が最大となる波長が550mnである緑色感光性ハ
ロゲン化銀乳剤となっている。
【0206】下塗り層を設けてある三酢酸セルロースフ
ィルム支持体に下記表1に示すような塗布条件で、前記
の乳剤EM−1A〜3A、1B〜3B、1C〜3C、1
D〜3D、3E〜3Gの塗布を行った。
【0207】
【表1】
【0208】これらの試料を40℃、相対湿度70%の
条件下で14時間硬膜処理を施した。その後、富士フイ
ルム(株)製ゼラチンフィルターSC−50(カットオ
フ波長が500nmである長波長光透過フィルター)と
連続ウェッジを通して1/100秒間露光を行い、後述の現
像処理を行なった試料を緑色フィルターで濃度測定する
ことにより写真性能の評価を行った。
【0209】富士写真フイルム(株)製ネガプロセサー
FP−350を用い、以下に記載の方法で(液の累積補
充量がその母液タンク容量の3倍になるまで)処理し
た。
【0210】 (処理方法) 工 程 処理時間 処理温度 補充量 発色現像 2分45秒 38℃ 45ミリリットル 漂 白 1分00秒 38℃ 20ミリリットル 漂白液オーバーフローは 漂白定着タンクに全量流入 漂白定着 3分15秒 38℃ 30ミリリットル 水洗(1) 40秒 35℃ (2)から(1)への 向流配管方式 水洗(2) 1分00秒 35℃ 30ミリリットル 安 定 40秒 38℃ 20ミリリットル 乾 燥 1分15秒 55℃ *補充量は35mm巾1.1m長さ当たり(24Ex.1本相当)。
【0211】次に、処理液の組成を記す。 (発色現像液) タンク液(g) 補充液(g) ジエチレントリアミン五酢酸 1.0 1.1 1−ヒドロキシエチリデン 2.0 2.0 −1,1−ジホスホン酸 亜硫酸ナトリウム 4.0 4.4 炭酸カリウム 30.0 37.0 臭化カリウム 1.4 0.7 ヨウ化カリウム 1.5mg − ヒドロキシルアミン硫酸塩 2.4 2.8 4−〔N−エチル−N−(β−ヒドロキシ 4.5 5.5 エチル)アミノ〕−2−メチルアニリン 硫酸塩 水を加えて 1.0リットル 1.0リットル pH(水酸化カリウムと硫酸にて調整) 10.05 10.10。
【0212】 (漂白液) タンク液、補充液共通(単位 g) エチレンジアミン四酢酸第二鉄アンモニウム二水塩 120.0 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 10.0 臭化アンモニウム 100.0 硝酸アンモニウム 10.0 漂白促進剤 0.005モル (CH3)2N-CH2-CH2-S-S-CH2-CH2-N(CH3)2・2HCl アンモニア水(27%) 15.0ミリリットル 水を加えて 1.0リットル pH(アンモニア水と硝酸にて調整) 6.3。
【0213】 (漂白定着液) タンク液(g) 補充液(g) エチレンジアミン四酢酸 第二鉄アンモニウム二水塩 50.0 − エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 5.0 2.0 亜硫酸ナトリウム 12.0 20.0 チオ硫酸アンモニウム水溶液 240.0 ミリリットル 400.0ミリリットル (700g/リットル) アンモニア水(27%) 6.0 ミリリットル − 水を加えて 1.0 リットル 1.0リットル pH(アンモニア水と酢酸にて調整) 7.2 7.3。
【0214】(水洗液) タンク液、補充液共通 水道水をH型強酸性カチオン交換樹脂(ロームアンドハ
ース社製アンバーライトIR−120B)と、OH型ア
ニオン交換樹脂(同アンバーライトIR−400)を充
填した混床式カラムに通水してカルシウム及びマグネシ
ウムイオン濃度を3mg/リットル以下に処理し、続い
て二塩化イソシアヌール酸ナトリウム20mg/リット
ルと硫酸ナトリウム0.15g/リットルを添加した。
この液のpHは6.5〜7.5の範囲にあった。
【0215】 (安定液) タンク液、補充液共通(単位 g) p−トルエンスルフィン酸ナトリウム 0.03 ポリオキシエチレン−p−モノノニルフェニルエーテル 0.2 (平均重合度10) エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.05 1,2,4−トリアゾール 1.3 1,4−ビス(1,2,4−トリアゾール−1− 0.75 イルメチル)ピペラジン 水を加えて 1.0 リットル pH 8.5。
【0216】塗布した乳剤の属性と写真性能の評価を行
った結果を、下記の表2に示す。感度はかぶり濃度プラ
ス0.2の濃度に到達するのに必要な露光量の逆数の相
対値で表示した。(乳剤EM−1Aの感度を100とし
た。) また、水中でハロゲン化銀乳剤層を膨潤させた状況下で
圧力を受けたときに生じるかぶりの評価は、前記の塗布
試料を38℃の純水中で1分30秒間膨潤させた後、直
ちに100gの荷重を持つ1m/mφの硬質ゴム製の太
針で圧力をかけ、前記の現像処理を行い、圧力かぶり濃
度を測定することにより行った。
【0217】
【表2】
【0218】
【表3】
【0219】表2の結果から以下の事柄が明らかであ
る。1つは、ハロゲン化銀平板粒子の粒子厚みを小さく
し円相当径を大きくして多量の増感色素量を平板粒子に
吸着させて感度上昇を図ろうとしても、増感色素の添加
量増加に対応した感度上昇は果たせないということであ
る。(例えば、増感色素添加量を1.5倍にすれば、光
吸収が1.5倍になり感度も1.5倍になるべきである
が、現実には非効率があるようで感度上昇は1.5倍よ
りもかなり小幅となる。) ただし、その中で、本発明
のハロゲン化銀平板粒子よりなる乳剤は、増感色素添加
量の増量よる感度上昇幅が大きく、感度の絶対値も高
い。加えて、水中でハロゲン化銀乳剤層を膨潤させた状
況下で圧力を受けたときに生じるかぶり濃度が著しく小
さく好ましい。
【0220】また、二酸化チオ尿素またはジメチルアミ
ンボランを添加して意図的な還元増感を施していても、
本明細書本文で述べた条件を満たしていない方法で還元
増感されたEM−3Eおよび3Fは、本発明の条件を満
たす乳剤EM−3Dおよび3Gに対して感度が低い。本
発明の正孔捕獲ゾーン付与のためには、本明細書本文で
述べた条件を満たす必要があることは明らかである。
【0221】(実施例2)本実施例は、実施例1のハロ
ゲン化銀乳剤よりも粒子サイズが大きい乳剤で本発明の
効果を確認した結果を示す。
【0222】(乳剤EM−11A〜13Aの調製)実施
例1の乳剤EM−1A〜3Aの各々の調製条件に対し
て、以下の変更を行った調製条件で乳剤EM−11A〜
13Aを調製した。
【0223】(添加1)で添加するAg−1水溶液の量
を35.8ml、X−1水溶液の量を26.5ml、G
−1水溶液の量を5.1mlに変更し、また、 (添加
2)の直前に添加されるG−2水溶液のゼラチンを、ゼ
ラチン−2に変更し、 G−2水溶液の添加量を160
mlにする。更に、(添加2)、(添加3)、(添加
4)の初期のバルク乳剤溶液のpAgを8.45に変更
する。
【0224】得られた乳剤はいずれも、球相当径0.9
6μm、主表面の円相当径の平均値2.50μm、粒子
厚みの平均値0.095μm、アスペクト比の平均値2
6.3、円相当径の変動係数24.8%であり、AgI
含有量の平均値4.91モル%、平行な主表面が(11
1)面であるハロゲン化銀平板粒子から成っていた。
【0225】XPSで測定されたハロゲン化銀粒子表面
のAgI含有量は、乳剤EM−11Aが3.2モル%、
乳剤EM−12Aが3.2モル%、乳剤EM−13Aが
3.1モル%であった。
【0226】また、本明細書本文で記載したEPMA法
により、乳剤EM−11Aの粒子主表面の中心部の沃化
銀含有率Iaは2.4モル%、粒子主表面の中心と粒子
主表面の辺との間の中点部の沃化銀含有率Ibは2.9
モル%、粒子主表面の辺の中点部の沃化銀含有率Icは
5.9モル%、粒子頂点部の沃化銀含有率Idは11.
4モル%と測定された。同じく乳剤EM−12Aは、I
aが2.4モル%、Ibが2.9モル%、Icが8.0
モル%、Idが8.1モル%と測定され、同じく乳剤E
M−13Aは、Iaが3.0モル%、Ibが3.2モル
%、Icが6.0モル%、Idが6.0モル%と測定さ
れた。
【0227】また、乳剤EM−11A〜13Aは、主表
面の円相当径が2.0μm以上かつ粒子厚みが0.1μ
m以下のハロゲン化銀平板粒子が全投影面積の50%以
上を占めていた。
【0228】乳剤EM−11A〜13Aの化学増感は、
前記乳剤EM−1Aからハロゲン化銀平板粒子の粒子サ
イズおよび表面積が変わったことに対応して増感色素、
塩化金酸、チオ硫酸ナトリウムおよびN,N−ジメチル
セレノ尿素の添加量を変更した以外は、前記乳剤EM−
1Aと同じ条件で行った。尚、増感色素の添加量がハロ
ゲン化銀1モル当たり1.17×10-3モルの時に最適
に化学増感された。
【0229】(乳剤EM−11B〜13Bの調製)前記
の乳剤EM−11A〜13Aの各々の調製条件に対し
て、以下の変更を行った調製条件で乳剤EM−11B〜
13Bを調製した。
【0230】(添加2)の直前で、かつG−2水溶液添
加の直後の時期に、4,5−ジヒドロキシ−1,3−ベ
ンゼンジスルホン酸ジナトリウム一水和物(本明細書本
文で述べた一般式I−1に相当する化合物)を2.1
g、二酸化チオ尿素0.002gを1分間づつ間隔をあ
けて順次添加する工程を加える。
【0231】上記の変更で得られた乳剤の、球相当径、
主表面の円相当径の平均値、粒子厚みの平均値、アスペ
クト比の平均値、円相当径の変動係数、ハロゲン化銀粒
子表面のAgI含有量、および平板粒子内の沃化銀分布
は、変更前の条件で調製した乳剤と変わらなかった。
【0232】調製した乳剤を実施例1と同様に塗布した
試料について、実施例1と同様の方法で性能の評価を行
った。結果を、下記の表3に示す。
【0233】
【表4】
【0234】表3の結果は、実施例1の結果とほぼ同様
であり、ハロゲン化銀平板粒子の粒子サイズを大きくし
ても、本発明の効果は同様に発現することを示してい
る。
【0235】(実施例3)本実施例では、本発明のハロ
ゲン化銀平板粒子表面における沃化銀含有率が、本発明
の乳剤の感度および保存性に及ぼす影響について示す。
【0236】実施例1の乳剤EM−3Dの製法におい
て、化学増感工程における増感色素添加の直前に、平均
粒径0.050μm臭化銀微粒子乳剤または平均粒径
0.040μm沃化銀微粒子乳剤を添加して30分熟成
する工程を加えることにより、粒子表面の沃化銀含有率
が異なる乳剤EM−3D−1〜5を調製した。以下に、
乳剤EM−3D−1〜5における、ハロゲン化銀乳剤1
モル当たりの臭化銀微粒子乳剤または沃化銀微粒子乳剤
の添加量およびXPSで測定された粒子表面の沃化銀含
有率を示す。
【0237】 乳剤EM−3D−1:臭化銀微粒子0.007モル添加 表面沃化銀含有率1.4モル% 乳剤EM−3D−2:臭化銀微粒子0.003モル添加 表面沃化銀含有率2.2モル 乳剤EM−3D−3:添加なし(乳剤EM−3Dそのもの) 表面沃化銀含有率3.8モル% 乳剤EM−3D−4:沃化銀微粒子0.0015モル添加 表面沃化銀含有率4.8モル% 乳剤EM−3D−5:沃化銀微粒子0.003モル添加 表面沃化銀含有率5.4モル%。
【0238】上記の乳剤EM−3D−1〜5を、実施例
1と同様の方法で塗布し、性能の評価を行った。また、
保存性の評価を、乳剤の塗布試料を50℃60%RHの
環境下で15日間経時させることによるカブリの上昇幅
の大きさを調べることにより行った。カブリの上昇幅が
小さいほど好ましい。上記の乳剤のうち、EM−3D−
1は粒子表面の沃化銀含有率が粒子全体の平均沃化銀含
有率4.91モル%の0.3倍よりも小さく、本発明の
請求項3の要件を満たしていない。逆にEM−3D−5
は粒子表面の沃化銀含有率が5モル%を超えており、本
発明の請求項2の要件を満たしていない。その他の乳剤
EM−3D−2〜4は、本発明の請求項2及び3の要件
を両方とも満たしている。
【0239】写真性の結果を表4に示すが、前記の乳剤
のうち、EM−3D−1は粒子表面の沃化銀含有率が低
すぎるために、感度が低くなっている。逆に、EM−3
D−5は粒子表面の沃化銀含有率が高すぎるために、感
度が低く、かつ保存性が悪い。本発明の請求項2及び3
の要件を両方とも満たしているEM−3D−2〜4は高
い感度と良好な保存性を維持していた。
【0240】尚、実施例2の乳剤EM−13Bに対して
上記と同様の方法で粒子表面の沃化銀含有率を変えた乳
剤を調製して前記と同様の評価を行ったところ、前記と
同様の結果が得られた。
【0241】
【表5】
【0242】(実施例4)本実施例では、本発明のハロ
ゲン化銀乳剤の化学増感にテルル増感を適用した効果に
ついて示す。
【0243】実施例1の乳剤のうち、EM−1D〜3D
について、化学増感に用いるN,N−ジメチルセレノ尿
素を本明細書本文で示したテルル化合物55.に置き換
えた乳剤EM−1H〜3Hを調製した。前記の置き換え
の際、チオ硫酸ナトリウムの添加量は1.6倍に増量
し、 N,N−ジメチルセレノ尿素に対するテルル化合
物55.の量も1.2倍に増量した。チオシアン酸カリ
ウム、塩化金酸、増感色素の量は変更しなかった。
【0244】前記の乳剤を、実施例1と同様に塗布し、
性能の評価を行った。
【0245】下記の表5に示す様に、本発明の乳剤EM
−3Dは、テルル増感の適用による感度上昇幅が他の乳
剤に対して大きく、また、水中でハロゲン化銀乳剤層を
膨潤させた状況下で圧力を受けたときに生じるかぶり濃
度が著しく小さく好ましい。
【0246】
【表6】
【0247】(実施例5)本実施例では、本発明のハロ
ゲン化銀乳剤の調製工程において、亜塩素酸塩を添加す
ることによる感度、圧力性および保存性への効果を示
す。
【0248】実施例1の乳剤EM−3Dの化学増感の終
了直前に亜塩素酸ナトリウムを添加した乳剤EM−3D
−11〜16を調製した。添加量を下記の表6の様に変
えた乳剤について性能を評価した結果を示す。性能の評
価方法は、実施例3と同様に行った。
【0249】
【表7】
【0250】表6から明らかな様に、亜塩素酸ナトリウ
ムの添加量が本明細書本文で推奨する量である乳剤EM
−3D−13〜15は、亜塩素酸ナトリウムが無添加の
乳剤EM−3D−11に対してほぼ同等の感度、ないし
はわずかな感度低下でありながら保存かぶりが顕著に小
さく好ましい。亜塩素酸ナトリウムの添加量が本発明で
推奨する範囲よりも少ないと保存かぶりへの効果が発現
せず、逆に多すぎると感度が低下する。
【0251】(実施例6)前記の実施例1ないし5で調
製したハロゲン化銀乳剤を、以下に述べるカラーネガ多
層感光材料の第11層(高感度緑感乳剤層)に導入し
て、感度、圧力性および保存性の評価を行ったところ、
各々の乳剤試料間の相対的な関係はほぼ実施例1ないし
5と同様であり、本発明の効果はカラーネガ多層感光材
料の系においても発現することがわかった。
【0252】以下、本実施例で用いたカラーネガ多層感
光材料の作成方法および現像処理の方法について示す。
【0253】1)支持体 本実施例で用いた支持体は、下記の方法により作成し
た。
【0254】ポリエチレン−2,6−ナフタレートポリ
マー100重量部と紫外線吸収剤としてTinuvin
P.326(チバ・ガイギーCiba−Geigy社
製)2重量部とを乾燥した後、300℃にて溶融後、T
型ダイから押し出し、140℃で3.3倍の縦延伸を行
い、続いて130℃で3.3倍の横延伸を行い、さらに
250℃で6秒間熱固定して厚さ90μmのPEN(ポ
リエチレンナフタレート)フィルムを得た。なおこのP
ENフィルムにはブルー染料、マゼンタ染料及びイエロ
ー染料(公開技法:公技番号94−6023号記載のI
−1、I−4、I−6、I−24、I−26、I−2
7、II−5)を適当量添加した。さらに、直径20cm
のステンレス巻き芯に巻き付けて、110℃、48時間
の熱履歴を与え、巻き癖のつきにくい支持体とした。
【0255】2)下塗層の塗設 上記支持体は、その両面にコロナ放電処理、UV放電処
理、さらにグロー放電処理をした後、それぞれの面にゼ
ラチン0.1g/m2、ソジウムα−スルホジ−2−エ
チルヘキシルサクシネート0.01g/m2、サリチル
酸0.04g/m2、p−クロロフェノール0.2g/
2、(CH2=CHSO2CH2CH2NHCO)2CH2
0.012g/m2、ポリアミド−エピクロルヒドリ
ン重縮合物0.02g/m2の下塗液を塗布して(10
cc/m2、バーコーター使用)、下塗層を延伸時高温
面側に設けた。乾燥は115℃、6分実施した(乾燥ゾ
ーンのローラーや搬送装置はすべて115℃となってい
る)。
【0256】3)バック層の塗設 下塗後の上記支持体の片方の面にバック層として下記組
成の帯電防止層、磁気記録層さらに滑り層を塗設した。
【0257】3−1)帯電防止層の塗設 平均粒径0.005μmの酸化スズ−酸化アンチモン複
合物(比抵抗は5Ω・cm)の微粒子粉末の分散物(2
次凝集粒子径約0.08μm)を、0.2g/m2、ゼ
ラチン0.05g/m2、(CH2=CHSO2CH2CH
2NHCO)2CH2 0.02g/m2、ポリ(重合度1
0)オキシエチレン−p−ノニルフェノール0.005
g/m2及びレゾルシン0.22g/m2とともに塗布し
た。
【0258】3−2)磁気記録層の塗設 3−ポリ(重合度15)オキシエチレン−プロピルオキ
シトリメトキシシラン(15重量%)で被覆処理された
コバルト−γ−酸化鉄(比表面積43m2/g、長軸
0.14μm、単軸0.03μm、飽和磁化89 Am2
kg、Fe+2/Fe +3=6/94、表面は酸化アルミ酸化
珪素で酸化鉄の2重量%で処理されている)0.06g
/m2をジアセチルセルロース1.2g/m2(酸化鉄の
分散はオープンニーダーとサンドミルで実施した)、硬
化剤としてC25C(CH2OCONH−C63(C
3)NCO)3 0.3g/m2を、溶媒としてアセト
ン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンを用いてバ
ーコーターで塗布し、膜厚1.2μmの磁気記録層を得
た。マット剤としてシリカ粒子(0.3μm)と3−ポ
リ(重合度15)オキシエチレン−プロピルオキシトリ
メトキシシラン(15重量%)で処理被覆された研磨剤
の酸化アルミ(0.15μm)をそれぞれ10mg/m
2となるように添加した。乾燥は115℃、6分実施し
た(乾燥ゾーンのローラーや搬送装置はすべて115
℃)。X−ライト(ブルーフィルター)での磁気記録層
のDBの色濃度増加分は約0.1、また磁気記録層の飽
和磁化モーメントは4.2 Am2/kg、保磁力7.3×1
04A/m、角形比は65%であった。
【0259】3−3)滑り層の調製 ジアセチルセルロース(25mg/m2)、C613CH
(OH)C1020COOC4081(化合物a,6mg/
2)/C50101O(CH2CH2O)16H(化合物b,
9mg/m2)混合物を塗布した。なお、この混合物
は、キシレン/プロピレンモノメチルエーテル(1/
1)中で105℃で溶融し、常温のプロピレンモノメチ
ルエーテル(10倍量)に注加分散して作製した後、ア
セトン中で分散物(平均粒径0.01μm)にしてから
添加した。マット剤としてシリカ粒子(0.3μm)と
研磨剤の3−ポリ(重合度15)オキシエチレンプロピ
ルオキシトリメトキシシラン(15重量%)で被覆され
た酸化アルミ(0.15μm)をそれぞれ15mg/m
2となるように添加した。乾燥は115℃、6分行った
(乾燥ゾーンのローラーや搬送装置はすべて115
℃)。滑り層は、動摩擦係数0.06(5mmφのステ
ンレス硬球、荷重100g、スピード6cm/分)、静
摩擦係数0.07(クリップ法)、また後述する乳剤面
と滑り層の動摩擦係数も0.12と優れた特性であっ
た。
【0260】4)感光層の塗設 次に、前記で得られたバック層の反対側に、下記の組成
の各層を重層塗布し、カラーネガ感光材料を作製した。
【0261】(感光層の組成)各層に使用する素材の主
なものは下記のように分類されている; ExC:シアンカプラー UV :紫外線吸収剤 ExM:マゼンタカプラー HBS:高沸点有機溶剤 ExY:イエローカプラー H :ゼラチン硬化剤 (具体的な化合物は以下の記載で、記号の次に数値が付
けられ、後ろに化学式が挙げられている) 各成分に対応する数字は、g/m2単位で表した塗布量
を示し、ハロゲン化銀については銀換算の塗布量を示
す。
【0262】 第1層(第1ハレーション防止層) 黒色コロイド銀 銀 0.155 沃臭化銀乳剤T 銀 0.01 ゼラチン 0.87 ExC−1 0.002 ExC−3 0.002 Cpd−2 0.001 HBS−1 0.004 HBS−2 0.002。
【0263】 第2層(第2ハレーション防止層) 黒色コロイド銀 銀 0.066 ゼラチン 0.407 ExM−1 0.050 ExF−1 2.0×10-3 HBS−1 0.074 固体分散染料 ExF−2 0.015 固体分散染料 ExF−3 0.020。
【0264】 第3層(中間層) 沃臭化銀乳剤R 0.020 ExC−2 0.022 ポリエチルアクリレートラテックス 0.085 ゼラチン 0.294。
【0265】 第4層(低感度赤感乳剤層) 沃臭化銀乳剤Q 銀 0.065 沃臭化銀乳剤P 銀 0.258 ExC−1 0.109 ExC−3 0.044 ExC−4 0.072 ExC−5 0.011 ExC−6 0.003 Cpd−2 0.025 Cpd−4 0.025 HBS−1 0.17 ゼラチン 0.80。
【0266】 第5層(中感度赤感乳剤層) 沃臭化銀乳剤O 銀 0.21 沃臭化銀乳剤N 銀 0.62 ExC−1 0.14 ExC−2 0.026 ExC−3 0.020 ExC−4 0.12 ExC−5 0.016 ExC−6 0.007 Cpd−2 0.036 Cpd−4 0.028 HBS−1 0.16 ゼラチン 1.18。
【0267】 第6層(高感度赤感乳剤層) 沃臭化銀乳剤M 銀 1.47 ExC−1 0.18 ExC−3 0.07 ExC−6 0.029 ExC−7 0.010 ExY−5 0.008 Cpd−2 0.046 Cpd−4 0.077 HBS−1 0.25 HBS−2 0.12 ゼラチン 2.12。
【0268】 第7層(中間層) Cpd−1 0.089 固体分散染料ExF−4 0.030 HBS−1 0.050 ポリエチルアクリレートラテックス 0.83 ゼラチン 0.84。
【0269】 第8層(赤感層へ重層効果を与える層) 沃臭化銀乳剤L 銀 0.560 Cpd−4 0.030 ExM−2 0.096 ExM−3 0.028 ExY−1 0.031 ExG−1 0.006 HBS−1 0.085 HBS−3 0.003 ゼラチン 0.58。
【0270】 第9層(低感度緑感乳剤層) 沃臭化銀乳剤K 銀 0.39 沃臭化銀乳剤J 銀 0.28 沃臭化銀乳剤I 銀 0.35 ExM−2 0.36 ExM−3 0.045 ExG−1 0.005 HBS−1 0.28 HBS−3 0.01 HBS−4 0.27 ゼラチン 1.39。
【0271】 第10層(中感度緑感乳剤層) 沃臭化銀乳剤I 銀 0.30 沃臭化銀乳剤H 銀 0.18 ExC−6 0.009 ExM−2 0.031 ExM−3 0.029 ExY−1 0.006 ExM−4 0.028 ExG−1 0.005 HBS−1 0.064 HBS−3 2.1×10-3 ゼラチン 0.44。
【0272】 第11層(高感度緑感乳剤層) 実施例1ないし5で調製した乳剤 銀 0.99 ExC−6 0.004 ExM−1 0.016 ExM−3 0.036 ExM−4 0.020 ExM−5 0.004 ExY−5 0.003 ExM−2 0.013 ExG−1 0.005 Cpd−4 0.007 HBS−1 0.18 ポリエチルアクリレートラテックス 0.099 ゼラチン 1.11。
【0273】 第12層(イエローフィルター層) 黄色コロイド銀 銀 0.047 Cpd−1 0.16 固体分散染料ExF−6 0.015 油溶性染料ExF−5 0.010 HBS−1 0.082 ゼラチン 1.057。
【0274】 第13層(低感度青感乳剤層) 沃臭化銀乳剤G 銀 0.18 沃臭化銀乳剤E 銀 0.20 沃臭化銀乳剤F 銀 0.07 ExC−1 0.041 ExC−8 0.012 ExY−1 0.035 ExY−2 0.71 ExY−3 0.10 ExY−4 0.005 Cpd−2 0.10 Cpd−3 4.0×10-3 HBS−1 0.24 ゼラチン 1.41。
【0275】 第14層(高感度青感乳剤層) 沃臭化銀乳剤D 銀 0.75 ExC−1 0.013 ExY−2 0.31 ExY−3 0.05 ExY−6 0.062 Cpd−2 0.075 Cpd−3 1.0×10-3 HBS−1 0.10 ゼラチン 0.91。
【0276】 第15層(第1保護層) 沃臭化銀乳剤R 銀 0.30 UV−1 0.21 UV−2 0.13 UV−3 0.20 UV−4 0.025 F−18 0.009 F−19 0.005 F−20 0.005 HBS−1 0.12 HBS−4 5.0×10-2 ゼラチン 2.3。
【0277】 第16層(第2保護層) H−1 0.40 B−1(直径1.7μm) 5.0×10-2 B−2(直径1.7μm) 0.15 B−3 0.05 S−1 0.20 ゼラチン 0.75。
【0278】更に、各層に適宜、保存性、処理性、圧力
耐性、防黴・防菌性、帯電防止性及び塗布性をよくする
ために、W−1ないしW−5、B−4ないしB−6、F
−1ないしF−18及び、鉄塩、鉛塩、金塩、白金塩、
パラジウム塩、イリジウム塩、ルテニウム塩、ロジウム
塩が含有されている。
【0279】上記のカラーネガ多層感光材料に用いたハ
ロゲン化銀乳剤(実施例1ないし5で調製した乳剤は除
く)の製法および特性値を以下に示す。
【0280】(ハロゲン化銀乳剤調製に用いたゼラチン
とその製法)以下の乳剤調製で保護コロイド分散媒とし
て用いたゼラチン−1〜5は、以下の属性を持つゼラチ
ンである。 ゼラチン−1:実施例1のゼラチン−1と同じ。 ゼラチン−2:実施例1のゼラチン−2と同じ。 ゼラチン−3:実施例1のゼラチン−3と同じ。 ゼラチン−4:ゼラチン−1の水溶液に、50℃、pH
9.0の条件下で無水フタル酸を加えて化学反応させた
後、残留するフタル酸を除去して乾燥させたゼラチン。
ゼラチン中の−NH2基が化学修飾された数の割合95
%。 ゼラチン−5:ゼラチン−1の水溶液に、50℃、pH
9.0の条件下で無水トリメリット酸を加えて化学反応
させた後、残留するトリメリット酸を除去して乾燥させ
たゼラチン。ゼラチン中の−NH2基が化学修飾された
数の割合95%。
【0281】上記のゼラチン−1〜5は、全て脱イオン
処理をした後、5%水溶液の35℃におけるpHが6.
0となるように調整を行った。
【0282】以下の製法によりハロゲン化銀乳剤D〜Q
を調製した。
【0283】(乳剤Dの製法)フタル化率97%のフタ
ル化した分子量15000の低分子量ゼラチン31.7
g、KBr31.7gを含む水溶液42.2リットルを
35℃に保ち激しく撹拌した。AgNO3を316.7
g含む水溶液1583mlと、KBrを221.5g、
ゼラチン−3を52.7g含む水溶液1583mlとを
ダブルジェット法で1分間に渡り添加した。添加終了
後、直ちにKBrを52.8g加えて、AgNO3を3
98.2g含む水溶液2485mlと、KBrを29
1.1g含む水溶液2581mlとをダブルジェット法
で2分間に渡り添加した。添加終了後、直ちにKBrを
44.8g添加した。その後、40℃に昇温し、熟成し
た。熟成終了後、ゼラチン−4を923gおよびKBr
を79.2gを添加し、AgNO3を5103g含む水
溶液15947mlと、KBr水溶液とをダブルジェッ
ト法で最終流量が初期流量の1.4倍になるように流量
加速して10分間に渡り添加した。この時、反応容器内
のバルク乳剤溶液のpAgを9.90に保った。
【0284】水洗した後、実施例1のゼラチン−1を加
えpHを5.7、pAgを8.8、乳剤1kg当たりの
銀換算の重量を131.8g、ゼラチン重量を64.1
gに調整し、種乳剤とした。実施例1のゼラチン−2を
46g、KBrを1.7g含む水溶液1211mlを7
5℃に保ち激しく撹拌した。前述した種乳剤を9.9g
加えた後、変成シリコンオイル(日本ユニカ−株式会社
製品、L7602)を0.3g添加した。H2SO4を添
加してpHを5.5に調整した後、AgNO3を7.0
g含む水溶液67.6mlとKBr水溶液とをダブルジ
ェット法で最終流量が初期流量の5.1倍になるように
流量加速して6分間に渡り添加した。この時、反応容器
内のバルク乳剤溶液のpAgを8.15に保った。ベン
ゼンチオスルホン酸ナトリウム2mgおよび二酸化チオ
尿素2mgを添加した後、AgNO3を105.6g含
む水溶液328mlとKBr水溶液とをダブルジェット
法で最終流量が初期流量の3.7倍になるように流量加
速して56分間に渡り添加した。この時、0.037μ
mの粒子サイズのAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有率が
27mol%になるように同時に流量加速して添加し、
かつ反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgを8.60に
保った。AgNO3を45.6g含む水溶液121.3
mlとKBr水溶液とをダブルジェット法で22分間に
渡り添加した。この時、反応容器内のバルク乳剤溶液の
pAgを7.60に保った。82℃に昇温し、KBrを
添加して反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgを8.8
0に調整した後、前述したAgI微粒子乳剤をKI重量
換算で6.33g添加した。添加終了後、直ちに、Ag
NO3を66.4g含む水溶液206.2mlを16分
間に渡り添加した。添加初期の5分間はKBr水溶液で
反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgを8.80に保っ
た。水洗した後、ゼラチン−1を添加し40℃でpHを
5.8、pAgを8.7に調整した。TAZ−1を添加
した後、60℃に昇温した。増感色素Exs−2および
Exs−3を添加した後に、チオシアン酸カリウム、塩
化金酸、チオ硫酸ナトリウム、N,N−ジメチルセレノ
ウレアを添加し最適に化学増感した。化学増感終了時に
MER−1およびMER−3を添加した。ここで、最適
に化学増感するとは、増感色素ならびに各化合物をハロ
ゲン化銀1モルあたり10-1から10-8モルの添加量範
囲から選択したことを意味する。
【0285】
【化29】
【0286】
【化30】
【0287】(乳剤Eの製法)実施例1のゼラチン−4
を0.96g、KBrを0.9g含む水溶液1192m
lを40℃に保ち、激しく撹拌した。AgNO3を1.
49g含む水溶液37.5mlとKBrを1.05g含
む水溶液37.5mlとをダブルジェット法で30秒間
に渡り添加した。KBrを1.2g添加した後、75℃
に昇温し熟成した。熟成終了後、ゼラチン−5を35g
添加し、pHを7に調整した。二酸化チオ尿素6mgを
添加した。AgNO3を29g含む水溶液116mlと
KBr水溶液とをダブルジェット法で最終流量が初期流
量の3倍になるように流量加速して添加した。この時、
反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgを8.15に保っ
た。AgNO3を110.2g含む水溶液440.6m
lとKBr水溶液とをダブルジェット法で最終流量が初
期流量の5.1倍になるように流量加速して30分間に
渡り添加した。この時、乳剤Dの調製で使用したAgI
微粒子乳剤をヨウ化銀含有率が15.8mol%になる
ように同時に流量加速して添加し、かつ反応容器内のバ
ルク乳剤溶液のpAgを7.85に保った。AgNO3
を24.1g含む水溶液96.5mlとKBr水溶液と
をダブルジェット法で3分間に渡り添加した。この時、
反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgを7.85に保っ
た。エチルチオスルホン酸ナトリウム26mgを添加し
た後、55℃に降温し、KBr水溶液を添加し、反応容
器内のバルク乳剤溶液のpAgを9.80に調整した。
【0288】前述したAgI微粒子乳剤をKI重量換算
で8.5g添加した。添加終了後、直ちにAgNO3
57g含む水溶液228mlを5分間に渡り添加した。
この時、添加終了時の反応容器内のバルク乳剤溶液のp
Agが8.75になるようにKBr水溶液で調整した。
乳剤Dとほぼ同様に水洗し、化学増感した。
【0289】(乳剤Fの製法)ゼラチン−4を1.02
g、KBrを0.9g含む水溶液1192mlを35℃
に保ち、激しく撹拌した。AgNO3を4.47g含む
水溶液42mlと、KBrを3.16含む水溶液 42
mlとをダブルジェット法で9秒間に渡り添加した。K
Brを2.6g添加した後、63℃に昇温し熟成した。
熟成終了後、ゼラチン−5を41.2gおよびNaCl
を18.5g添加した。pHを7.2に調整した後、ジ
メチルアミンボランを8mg添加した。AgNO3を2
6g含む水溶液203mlとKBr水溶液とをダブルジ
ェット法で最終流量が初期流量の3.8倍になるように
添加した。この時、反応容器内のバルク乳剤溶液のpA
gを8.65に保った。AgNO3を110.2g含む
水溶液440.6mlとKBr水溶液とをダブルジェッ
ト法で最終流量が初期流量の5.1倍になるように流量
加速して24分間に渡り添加した。この時、乳剤Dの調
製で使用したAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有率が2.
3mol%になるように同時に流量加速して添加し、か
つ反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgを8.50に保
った。1Nのチオシアン酸カリウム水溶液10.7ml
を添加した後、AgNO3を24.1gを含む水溶液1
53.5mlとKBr水溶液とをダブルジェット法で2
分30秒間に渡り添加した。この時、反応容器内のバル
ク乳剤溶液のpAgを8.05に保った。KBr水溶液
を添加して反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgを9.
25に調整した。前述したAgI微粒子乳剤をKI重量
換算で6.4g添加した。添加終了後、直ちにAgNO
3を57g含む水溶液404mlを45分間に渡り添加
した。この時、添加終了時における反応容器内のバルク
乳剤溶液のpAgが8.65になるようにKBr水溶液
で調整した。乳剤Dとほぼ同様に水洗し、化学増感し
た。
【0290】(乳剤Gの製法)乳剤Fの調製において核
形成時のAgNO3添加量を2.3倍に変更した。そし
て、最終のAgNO3 57gを含む水溶液404ml
の添加終了時における反応容器内のバルク乳剤溶液のp
Agが6.85になるように、KBr水溶液で調整する
ように変更した。それ以外は乳剤Fとほぼ同様にして調
製した。
【0291】(乳剤Hの製法)実施例1のゼラチン−4
を0.75gおよびKBrを0.9gを含む水溶液12
00mlを39℃に保ち、pHを1.8に調整し激しく
撹拌した。AgNO3を1.85g含む水溶液と1.5
mol%のKIを含むKBr水溶液とをダブルジェット
法で16秒間に渡り添加した。この時、KBrの過剰濃
度を一定に保った。54℃に昇温し熟成した。熟成終了
後、ゼラチン−4を20g添加した。pHを5.9に調
整した後、KBrを2.9g添加した。AgNO3を2
7.4g含む水溶液288mlとKBr水溶液とをダブ
ルジェット法で53分間に渡り添加した。この時、粒子
サイズ0.03μmのAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有
率が4.1mol%になるように同時に添加し、かつ反
応容器内のバルク乳剤溶液のpAgを9.40に保っ
た。KBrを2.5g添加した後、AgNO3を87.
7g含む水溶液とKBr水溶液とをダブルジェット法で
最終流量が初期流量の1.2倍になるように流量加速し
て63分間に渡り添加した。この時、上述のAgI微粒
子乳剤をヨウ化銀含有率が10.5mol%になるよう
に同時に流量加速して添加し、かつ反応容器内のバルク
乳剤溶液のpAgを9.50に保った。AgNO3を4
1.8g含む水溶液132mlとKBr水溶液とをダブ
ルジェット法で25分間に渡り添加した。添加終了時に
おける反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgが8.15
になるようにKBr水溶液の添加を調整した。pHを
7.3に調整し、二酸化チオ尿素1mgを添加した。K
Brを添加して反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgを
9.50に調整した後、上述のAgI微粒子乳剤をKI
重量換算で5.73g添加した。添加終了後、直ちにA
gNO3を66.4g含む水溶液609mlを10分間
に渡り添加した。添加初期の6分間はKBr水溶液で反
応容器内のバルク乳剤溶液のpAgを9.50に保っ
た。水洗した後、ゼラチン−1を添加し、40℃でpH
を6.5、pAgを8.2に調整し、次いでTAZ−1
を添加した。化学増感は、実施例1の乳剤EM−3Cと
ほぼ同様の方法で行った。尚、増感色素の使用量は、ハ
ロゲン化銀1モル当たり、Exs−1が1.08×10
-3モル、Exs−4が2.56×10-4モル、Exs−
5が9.16×10-5モルである。
【0292】
【化31】
【0293】
【化32】
【0294】(乳剤Iの製法)ゼラチン−3を0.70
g、KBrを0.9g、KIを0.175g、乳剤Dの
調製で使用した変成シリコンオイルを0.2g含む水溶
液1200mlを33℃に保ち、pHを1.8に調整し
激しく撹拌した。AgNO3を1.8g含む水溶液と
3.2mol%のKIを含むKBr水溶液を、ダブルジ
ェット法で9秒間に渡り添加した。この時、KBrの過
剰濃度を一定に保った。62℃に昇温し熟成した。熟成
終了後、ゼラチン−5を27.8g添加した。pHを
6.3に調整した後、KBrを2.9g添加した。Ag
NO3を27.58g含む水溶液270mlとKBr水
溶液とをダブルジェット法で37分間に渡り添加した。
この時、ゼラチン−3の水溶液とAgNO3水溶液とK
I水溶液とを特開平10−43570号に記載の磁気カ
ップリング誘導型撹拌機を有する別のチャンバー内で添
加前直前混合して調製した粒子サイズ0.008μmの
AgI微粒子乳剤を、ヨウ化銀含有率が4.1mol%
になるように同時に添加し、かつ反応容器内のバルク乳
剤溶液のpAgを9.15に保った。KBrを2.6g
添加した後、AgNO3を87.7g含む水溶液とKB
r水溶液とをダブルジェット法で最終流量が初期流量の
3.1倍になるように流量加速して49分間に渡り添加
した。この時、上述の添加前直前混合して調製したAg
I微粒子乳剤をヨウ化銀含有率が7.9mol%になる
ように同時に流量加速し、かつ反応容器内のバルク乳剤
溶液のpAgを9.30に保った。二酸化チオ尿素 1
mgを添加した後、AgNO3を41.8g含む水溶液
132mlとKBr水溶液とをダブルジェット法で20
分間に渡り添加した。添加終了時の反応容器内における
バルク乳剤溶液のpAgが7.90になるようにKBr
水溶液の添加を調整した。78℃に昇温し、pHを9.
1に調整した後、KBrを添加して反応容器内のバルク
乳剤溶液のpAgを8.70にした。乳剤Dの調製で使
用したAgI微粒子乳剤をKI重量換算で5.73g添
加した。添加終了後、直ちにAgNO3を66.4g含
む水溶液321mlを4分間に渡り添加した。添加初期
の2分間はKBr水溶液で反応容器内のバルク乳剤溶液
のpAgを8.70に保った。実施例1の乳剤EM−3
Cとほぼ同様に水洗し、化学増感した。なお、増感色素
の使用量は、ハロゲン化銀1モル当たり、Exs−1が
1.25×10-3モル、Exs−4が2.85×10 -4
モル、Exs−5が3.29×10-5モルである。
【0295】(乳剤Jの製法)ゼラチン−1を17.8
g、KBrを6.2g、KIを0.46g含む水溶液を
45℃に保ち激しく撹拌した。AgNO3を11.85
g含む水溶液とKBrを3.8g含む水溶液とをダブル
ジェット法で45秒間に渡り添加した。63℃に昇温
後、ゼラチン−1を24.1g添加し、熟成した。熟成
終了後、AgNO 3を133.4g含む水溶液とKBr
水溶液とをダブルジェット法で最終流量が初期流量の
2.6倍になるように20分間に渡って添加した。この
時、反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgを7.60に
保った。また添加開始10分後にK2IrCl6を0.1
mg添加した。NaClを7g添加した後、AgNO3
を45.6g含む水溶液とKBr水溶液とをダブルジェ
ット法で12分間に渡って添加した。この時、反応容器
内のバルク乳剤溶液のpAgを6.90に保った。また
添加開始から6分間に渡って黄血塩を29mg含む水溶
液100mlを添加した。KBrを14.4g添加した
後、乳剤Dの調製で使用したAgI微粒子乳剤をKI重
量換算で6.3g添加した。添加終了後、直ちにAgN
3を42.7g含む水溶液とKBr水溶液とをダブル
ジェット法で11分間に渡り添加した。この時、反応容
器内のバルク乳剤溶液のpAgを6.90に保った。実
施例1の乳剤EM−3Cとほぼ同様に水洗し、化学増感
した。なお、増感色素の使用量は、ハロゲン化銀1モル
当たり、Exs−1が5.79×10-4モル、Exs−
4が1.32×10-4モル、Exs−5が1.52×1
-5モルである。
【0296】(乳剤Kの製法)乳剤Jの調製において核
形成時の温度を35℃に変更した以外はほぼ同様にして
調製した。なお、増感色素の使用量は、ハロゲン化銀1
モル当たり、Exs−1が9.66×10-4モル、Ex
s−4が2.20×10-4モル、Exs−5が2.54
×10-5モルである。
【0297】(乳剤Lの製法)ゼラチン−3を0.75
gおよびKBrを0.9g含む水溶液1200mlを3
9℃に保ち、pHを1.8に調整し激しく撹拌した。A
gNO3を0.34g含む水溶液と1.5mol%のK
Iを含むKBr水溶液とをダブルジェット法で16秒間
に渡り添加した。この時、KBrの過剰濃度を一定に保
った。54℃に昇温し熟成した。熟成終了後、ゼラチン
−4を20g添加した。pHを5.9に調整した後、K
Brを2.9g添加した。二酸化チオ尿素を3mg添加
した後、AgNO3を28.8g含む水溶液288ml
とKBr水溶液とをダブルジェット法で58分間に渡り
添加した。この時、粒子サイズ0.03μmのAgI微
粒子乳剤をヨウ化銀含有率が4.1mol%になるよう
に同時に添加し、かつ反応容器内のバルク乳剤溶液のp
Agを9.40に保った。KBr 2.5gを添加した
後、AgNO3を87.7g含む水溶液とKBr水溶液
とをダブルジェット法で最終流量が初期流量の1.2倍
になるように流量加速して69分間に渡り添加した。こ
の時、上述のAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有率が1
0.5mol%になるように同時に流量加速して添加
し、かつ反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgを9.5
0に保った。AgNO3を41.8g含む水溶液132
mlとKBr水溶液とをダブルジェット法で27分間に
渡り添加した。添加終了時の反応容器内におけるバルク
乳剤溶液のpAgを8.15になるようにKBr水溶液
の添加を調整した。ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム
2mgを添加した後、KBrを添加して反応容器内のバ
ルク乳剤溶液のpAgを9.50に調整した後、上述の
AgI微粒子乳剤をKI重量換算で5.73g添加し
た。添加終了後、直ちにAgNO3を66.4g含む水
溶液609mlを11分間に渡り添加した。添加初期の
6分間はKBr水溶液で反応容器内のバルク乳剤溶液の
pAgを9.50に保った。水洗した後、ゼラチンを添
加し、40℃でpHを6.5、pAgを8.2に調整し
た。その後、TAZ−1を添加し、56℃に昇温した。
増感色素Exs−1およびExs−6を添加し、その
後、チオシアン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリ
ウム、N,N−ジメチルセレノウレアを添加し熟成し最
適に化学増感した。化学増感終了時にMER−1および
MER−3を添加した。なお、増感色素の使用量は、ハ
ロゲン化銀1モル当たり、Exs−1が3.69×10
-4モル、Exs−6が8.19×10-4モルである。
【0298】
【化33】
【0299】
【化34】
【0300】
【化35】
【0301】(乳剤Mの製法)ゼラチン−4を0.38
gおよびKBrを0.9g含む水溶液1200mlを6
0℃に保ち、pHを2に調整し激しく撹拌した。AgN
3を1.03g含む水溶液と、KBrを0.88gお
よびKIを0.09g含む水溶液とをダブルジェット法
で30秒間に渡り添加した。熟成終了後、ゼラチン−5
を12.8g添加した。pHを5.9に調整した後、K
Brを2.99g、NaClを6.2g添加した。Ag
NO3を27.3g含む水溶液60.7mlとKBr水
溶液とをダブルジェット法で39分間に渡り添加した。
この時、反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgを9.0
5に保った。AgNO3を65.6g含む水溶液とKB
r水溶液とをダブルジェット法で最終流量が初期流量の
2.1倍になるように流量加速して46分間に渡り添加
した。この時、乳剤Dの調製で使用したAgI微粒子乳
剤をヨウ化銀含有量が6.5mol%になるように同時
に流量加速して添加し、かつ反応容器内のバルク乳剤溶
液のpAgを9.05に保った。二酸化チオ尿素を1.
5mg添加した後、AgNO3を41.8g含む水溶液
132mlとKBr水溶液とをダブルジェット法で16
分間に渡り添加した。添加終了時の反応容器内における
バルク乳剤溶液のpAgが7.70になるようにKBr
水溶液の添加を調整した。ベンゼンチオスルホン酸ナト
リウム2mgを添加した後、KBrを添加して反応容器
内のバルク乳剤溶液のpAgを9.80に調整した。上
述のAgI微粒子乳剤をKI重量換算で6.2g添加し
た。添加終了後、直ちにAgNO3を88.5g含む水
溶液300mlを10分間に渡り添加した。添加終了時
の反応容器内におけるバルク乳剤溶液のpAgが7.4
0になるようにKBr水溶液の添加で調整した。水洗し
た後、ゼラチン−1を添加し、40℃でpHを6.5、
pAgを8.2に調整した。TAZ−1を添加した後、
58℃に昇温した。増感色素Exs−7、Exs−8お
よびExs−9を添加した後、K2IrCl6、チオシア
ン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリウム、N,N
−ヂメチルセレノウレアを添加し最適に化学増感した。
化学増感終了時にMER−1およびMER−3を添加し
た。
【0302】
【化36】
【0303】
【化37】
【0304】
【化38】
【0305】(乳剤Nの製法)乳剤Mの調製において、
核形成時に添加するAgNO3の量を1.96gに、K
Brの量を1.67gに、KIの量を0.172gにそ
れぞれ変更し、また、化学増感時の温度を58℃から6
1℃に変更した。それ以外は、乳剤Mとほぼ同様にして
調製した。
【0306】(乳剤Oの製法)ゼラチン−3を4.9
g、KBrを5.3g含む水溶液1200mlを40℃
に保ち激しく撹拌した。AgNO3を8.75g含む水
溶液27mlとKBrを6.45g含む水溶液36ml
とを1分間に渡りダブルジェット法で添加した。75℃
に昇温した後、AgNO3を6.9g含む水溶液21m
lを2分間に渡り添加した。NH4NO3を26gと、1
NのNaOHを56mlとを順次添加した後、熟成し
た。熟成終了後pHを4.8に調整した。AgNO3
141g含む水溶液438mlとKBrを102.6g
含む水溶液458mlとをダブルジェット法で最終流量
が初期流量の4倍になるように添加した。55℃に降温
した後、AgNO3を7.1g含む水溶液240mlと
KIを6.46g含む水溶液とをダブルジェット法で5
分間に渡り添加した。KBrを7.1g添加した後、ベ
ンゼンチオスルホン酸ナトリウムを4mgとK2IrC
6を0.05mg添加した。AgNO3を57.2g含
む水溶液177mlとKBrを40.2g含む水溶液2
23mlとを8分間に渡ってダブルジェット法で添加し
た。乳剤Mとほぼ同様に水洗し、化学増感した。
【0307】(乳剤PおよびQの製法)乳剤Jまたは乳
剤Kとほぼ同様にして調製した。但し化学増感は乳剤N
とほぼ同様の方法で行った。
【0308】前記のハロゲン化銀乳剤の特性値を表7に
まとめて示した。表面ヨード含有率はXPSにより下記
の如く調べることができる。試料を1.33×10-6
a以下の真空中で−115℃まで冷却し、プローブX線
としてMgKαをX線源電圧8kV、X線電流20mA
で照射し、Ag3d5/2、Br3d、I3d5/2電
子について測定し、測定されたピークの積分強度を感度
因子で補正し、これらの強度比から表面のヨード含有率
を求めた。なお、前記の乳剤D〜Qのハロゲン化銀粒子
には特開平3−237450号に記載されているような
転位線が高圧電子顕微鏡を用いて観察されている。
【0309】
【表8】
【0310】
【表9】
【0311】有機固体分散染料の分散物の調製 下記、ExF−3を次の方法で分散した。即ち、水2
1.7ミリリットル及び5%水溶液のp−オクチルフェ
ノキシエトキシエトキシエタンスルホン酸ソーダ3ミリ
リットル、並びに5%水溶液のp−オクチルフェノキシ
ポリオキシエチレンエーテル(重合度10)0.5gと
を700ミリリットルのポットミルに入れ、染料ExF
−3を5.0gと酸化ジルコニウムビーズ(直径1m
m)500ミリリットルを添加して内容物を2時間分散
した。この分散には中央工機製のBO型振動ボールミル
を用いた。分散後、内容物を取り出し、12.5%ゼラ
チン水溶液8gに添加し、ビーズを濾過して除き、染料
のゼラチン分散物を得た。染料微粒子の平均粒径は0.
24μmであった。
【0312】同様にして、ExF−4の固体分散物を得
た。染料微粒子の平均粒径は0.45μmであった。E
xF−2は欧州特許出願公開(EP)第549,489
A号明細書の実施例1に記載の微小析出(Microp
recipitation)分散方法により分散した。
平均粒径は0.06μmであった。
【0313】ExF−6の固体分散物を以下の方法で分
散した。
【0314】水を18%含むExF−6のウェットケー
キ2800gに4000gの水及びW−2の3%溶液を
376g加えて攪拌し、ExF−6の濃度32%のスラ
リーとした。次にアイメックス(株)製ウルトラビスコ
ミル(UVM−2)に平均粒径0.5mmのジルコニア
ビーズを1700ml充填し、スラリーを通して周速約
10m/sec、吐出量0.5リットル/minで8時
間粉砕した。平均粒径は0.52μmであった。
【0315】上記各層の形成に用いた化合物は、以下に
示すとおりである。
【0316】
【化39】
【0317】
【化40】
【0318】
【化41】
【0319】
【化42】
【化43】
【0320】
【化44】
【0321】
【化45】
【0322】
【化46】
【0323】
【化47】
【0324】
【化48】
【0325】
【化49】
【0326】
【化50】
【0327】
【化51】
【0328】
【化52】
【0329】
【化53】
【0330】
【化54】
【0331】これらの試料は40℃、相対湿度70%の
条件下で14時間硬膜処理を施した後、露光および現像
処理された。富士フイルム(株)製ゼラチンフィルター
SC−39(カットオフ波長が390nmである長波長
光透過フィルター)と連続ウェッジを通して1/100秒間
露光した。現像は富士写真フイルム社製自動現像機FP
−360Bを用いて以下により行った。尚、漂白浴のオ
ーバーフロー液を後浴へ流さず、全て廃液タンクへ排出
する様に改造を行った。このFP−360Bは発明協会
公開技法94−4992号に記載の蒸発補正手段を搭載
している。
【0332】処理工程及び処理液組成を以下に示す。
【0333】 (処理工程) 工程 処理時間 処理温度 補充量* タンク容量 発色現像 3分 5秒 37.8 ℃ 20 ミリリットル 11.5リットル 漂 白 50秒 38.0 ℃ 5 ミリリットル 5リットル 定着 (1) 50秒 38.0 ℃ ─ 5リットル 定着 (2) 50秒 38.0 ℃ 8 ミリリットル 5リットル 水 洗 30秒 38.0 ℃ 17 ミリリットル 3リットル 安定 (1) 20秒 38.0 ℃ ─ 3リットル 安定 (2) 20秒 38.0 ℃ 15 ミリリットル 3リットル 乾 燥 1分30秒 60.0 ℃ *補充量は感光材料35mm幅1.1m当たり(24Ex.1本相当)。
【0334】安定液及び定着液は(2)から(1)への
向流方式であり、水洗水のオーバーフロー液は全て定着
浴(2)へ導入した。尚、現像液の漂白工程への持ち込
み量、漂白液の定着工程への持ち込み量、及び定着液の
水洗工程への持ち込み量は感光材料35mm幅1.1m
当たりそれぞれ2.5ミリリットル、2.0ミリリット
ル、2.0ミリリットルであった。また、クロスオーバ
ーの時間はいずれも6秒であり、この時間は前工程の処
理時間に包含される。
【0335】上記処理機の開口面積は発色現像液で10
0cm2、漂白液で120cm2、その他の処理液は約1
00cm2であった。
【0336】以下に処理液の組成を示す。 (発色現像液) タンク液(g) 補充液(g) ジエチレントリアミン五酢酸 3.0 3.0 カテコール−3,5−ジスルホン酸 0.3 0.3 ジナトリウム 亜硫酸ナトリウム 3.9 5.3 炭酸カリウム 39.0 39.0 ジナトリウム−N,N−ビス(2−スル 1.5 2.0 ホナートエチル)ヒドロキシルアミン 臭化カリウム 1.3 0.3 沃化カリウム 1.3mg − 4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3, 0.05 − 3a,7−テトラザインデン ヒドロキシルアミン硫酸塩 2.4 3.3 2−メチル−4−〔N−エチル−N− 4.5 6.5 (β−ヒドロキシエチル)アミノ〕 アニリン硫酸塩 水を加えて 1.0リットル 1.0リットル pH(水酸化カリウムと硫酸にて調整) 10.05 10.18。
【0337】 (漂白液) タンク液(g) 補充液(g) 1,3−ジアミノプロパン四酢酸第二 113 170 鉄アンモニウム一水塩 臭化アンモニウム 70 105 硝酸アンモニウム 14 21 コハク酸 34 51 マレイン酸 28 42 水を加えて 1.0リットル 1.0リットル pH〔アンモニア水で調整〕 4.6 4.0。
【0338】(定着(1)タンク液)上記漂白タンク液
と下記定着タンク液の5対95(容量比)混合液(pH
6.8) (定着(2)) タンク液(g) 補充液(g) チオ硫酸アンモニウム水溶液 240ミリリットル 720 ミリリットル (750g/リットル) イミダゾール 7 21 メタンチオスルホン酸アンモニウム 5 15 メタンスルフィン酸アンモニウム 10 30 エチレンジアミン四酢酸 13 39 水を加えて 1.0リットル 1.0リットル pH〔アンモニア水、酢酸で調整〕 7.4 7.45。
【0339】(水洗水)水道水をH型強酸性カチオン交
換樹脂(ロームアンドハース社製アンバーライトIR−
120B)と、OH型強塩基性アニオン交換樹脂(同ア
ンバーライトIR−400)を充填した混床式カラムに
通水してカルシウム及びマグネシウムイオン濃度を3m
g/リットル以下に処理し、続いて二塩化イソシアヌー
ル酸ナトリウム20mg/リットルと硫酸ナトリウム1
50mg/リットルを添加した。この液のpHは6.5
〜7.5の範囲にあった。
【0340】 (安定液) タンク液、補充液共通 (単位g) p−トルエンスルフィン酸ナトリウム 0.03 ポリオキシエチレン−p−モノノニルフェニルエーテル 0.2 (平均重合度10) 1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン・ナトリウム 0.10 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.05 1,2,4−トリアゾール 1.3 1,4−ビス(1,2,4−トリアゾール−1− 0.75 イルメチル)ピペラジン 水を加えて 1.0リットル pH 8.5。
【0341】
【発明の効果】本発明によれば、乳剤の高感度化のため
にハロゲン化銀平板粒子の粒子厚みを小さくし、主表面
の円相当径を大きくした場合に、粒状を悪化させること
なく高感度化するための手段を提供し、それにより高感
度のハロゲン化銀乳剤を提供する。また、同時に圧力性
および保存性に優れたハロゲン化銀乳剤を提供すること
ができる。その結果、高感度であり圧力性、保存性に優
れたハロゲン化銀写真感光材料を提供することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03C 1/035 G03C 1/035 M 1/015 1/015 1/09 1/09

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 全粒子の円相当径の変動係数が40%以
    下であり、かつ、下記(a)ないし(e)の要件を満た
    すハロゲン化銀平板粒子が全投影面積の50%以上を占
    めていることを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。 (a)平行な主表面が(111)面である沃臭化銀又は
    沃塩臭化銀粒子。 (b)主表面の円相当径が1.0μm以上であり、か
    つ、厚みが0.1μm以下である。 (c)粒子主表面の中心部の沃化銀含有率をIa、粒子
    主表面の中心と粒子主表面の辺との間の中点部の沃化銀
    含有率をIb、粒子主表面の辺の中点部の沃化銀含有率
    をIc、粒子頂点部の沃化銀含有率をIdとしたとき、
    下記(i)及び(ii)の関係を満たす。 (i)0.7Ic≦Id≦1.5Ic (ii)1.5(Ia+Ib)≦(Ic+Id)≦2.
    3(Ia+Ib) (d)粒子外周部に1粒子当り5本以上の転位線を有す
    る。 (e)正孔捕獲ゾーンを有する。
  2. 【請求項2】 全粒子の粒子表面における沃化銀含有率
    (全粒子の平均値)が5mol%以下であることを特徴
    とする請求項1に記載のハロゲン化銀写真乳剤。
  3. 【請求項3】 粒子全体の平均沃化銀含有率をItと定
    義し、その粒子表面における沃化銀含有率をIsと定義
    したとき、 0.3It≦Is の関係を満たすことを特徴とする請求項2に記載のハロ
    ゲン化銀写真乳剤。
  4. 【請求項4】 分光増感色素により分光増感されている
    ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記
    載のハロゲン化銀写真乳剤。
  5. 【請求項5】 テルル化合物を用いて化学増感されてい
    ることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に
    記載のハロゲン化銀写真乳剤。
  6. 【請求項6】 前記の全粒子の円相当径の変動係数が2
    5%以下であることを特徴とする請求項1ないし5のい
    ずれか1項に記載のハロゲン化銀写真乳剤。
  7. 【請求項7】 前記の(b)の要件が、「主表面の円相
    当径が2.0μm以上であり、かつ、厚みが0.1μm
    以下である。」であることを特徴とする請求項1ないし
    6のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真乳剤。
  8. 【請求項8】 乳剤製造工程においてハロゲン化銀1モ
    ル当り10-8モル以上でかつ10-3モル以下の亜塩素酸
    塩が添加されていることを特徴とする請求項1ないし7
    のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真乳剤。
  9. 【請求項9】 支持体上に、前記の請求項1ないし8の
    いずれか1項に記載のハロゲン化銀乳剤を含有する感光
    性乳剤層を有することを特徴とするハロゲン化銀写真感
    光材料。
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