JPH09210633A - 山形バネ板金具の選別セッティング装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 山形に屈曲したバネ板製の金具の屈曲高さを
検出して良品と不良品とを選別するとともに、検出され
た屈曲高さに応じてセッティングを行うことにより、よ
り均質な製品が得られるようにする。 【解決手段】 一定の姿勢で１個ずつ部品４を供給する
パーツフィーダ２と、供給された部品４を直線または円
弧状の搬送路７に沿って間歇送りする搬送手段２２と、
この間歇搬送手段２２の部品供給位置より下流側の一時
停止位置に配置されたレーザ測定器３３、３４と、その
さらに下流側の一時停止位置に配置されたプレス５７と
を備え、上記プレスの下動端がレーザ測定器３３、３４
の測定信号に応じて複数段階に設定されることを特徴と
するものである。プレス５７は、動作サイクルが速く下
動端の設定が容易なことから、クランクプレスを使用す
るのが特に好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、山形に屈曲した
バネ板製の金具の選別セッティング装置に関するもの
で、金具の屈曲高さを検出して良品と不良品とを選別す
るとともに、検出された屈曲高さに応じてセッティング
を行うことにより、より均質な製品が得られるようにし
た装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】略矩形にプレス抜きしたバネ板材を山形
に屈曲した金具は、家電製品や事務機器の部品として広
く用いられている。図６はそのような部品の一例を示し
たものである。この種の部品４の製造は、バネ板材をプ
レスによって矩形に打ち抜いて山形に屈曲し、必要なら
ば再焼入れを行った後、セッティングを行うというもの
である。セッティングとは、金具に弾性限界以上の応力
を付与し、それによってバネ板の弾性限界を高める操作
を言い、このとき板バネは若干変形する。

【０００３】このようにして製作された部品は、屈曲高
さ（図６のＨ寸法）などの所要の寸法が検査され、良品
と不良品とが選別されて、良品のみが用いられる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】この種の金具は、加工
時に加工歪みを生ずるが、この歪みは材料の組成や加工
条件の変化等によって、ばらつきが生じ、この加工歪み
のばらつきが不良品を生じさせる最大の原因となってい
る。加工歪みのばらつきを高い精度内に維持することは
技術的に極めて困難であり、そのため部品に高い精度が
要求されるようになると、部品の不良率が急激に上昇
し、材料や作業に無駄が生じるとともに、部品コストを
大幅に上昇させる。

【０００５】この発明は、山形に屈曲したバネ板製の金
具において、不良品の発生を低減し、高い精度の均質な
部品を能率良くかつ安価に製造できるようにすることを
課題としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の山形バネ
板金具の選別セッティング装置は、一定の姿勢で１個ず
つ部品４を供給するパーツフィーダ２と、供給された部
品４を直線または円弧状の搬送路７に沿って間歇送りす
る搬送手段２２と、この間歇搬送手段２２の部品供給位
置より下流側の一時停止位置に配置されたレーザ測定器
３３、３４と、そのさらに下流側の一時停止位置に配置
されたプレス５７とを備え、上記プレスの下動端がレー
ザ測定器３３、３４の測定信号に応じて複数段階に設定
されることを特徴とするものである。プレス５７は、動
作サイクルが速く下動端の設定が容易なことから、クラ
ンクプレスを使用するのが特に好ましい。

【０００７】

【作用】本発明の装置は、プレスで山形に屈曲した部品
４をパーツフィーダ２に入れ、パーツフィーダ２から供
給された部品４を搬送路７に沿って間歇的に送り、上流
側の一時停止位置で部品４を計測し、下流側の一時停止
位置で前記測定信号に応じてセッティングを行うもので
あるから、このセッティングによってプレス加工工程で
部品に生じた加工歪みを一定範囲内に修正することがで
き、不良品の発生を防止することができる。

【０００８】

【発明の実施の形態】図１ないし５は、この発明の一実
施例を示したものである。この実施例では、選別装置１
とセッティング装置５５とが各独立した装置として構成
されており、選別装置１とセッティング装置５５との両
者によって、この発明の選別セッティング装置が構成さ
れる。図１ないし３は、選別装置の図であり、図４及び
５は、セッティング装置の図である。

【０００９】図３の符号２及び図４の符号２は、公知の
パーツフィーダである。パーツフィーダ２は、ホッパ３
に投入された部品４（図６参照）を整列させてシュート
５から１個ずつ送り出す。

【００１０】符号６はテーブルで、このテーブルの上面
には部品４が丁度嵌まり込む幅の直線状の搬送溝７が形
成されており、この搬送溝が部品の搬送路となってい
る。前記パーツフィーダのシュート５の先端は、この搬
送溝に臨んでいる。パーツフィーダ２は、部品４をその
山の稜線が搬送溝７と平行になる方向にして、かつ山を
上方に向けた姿勢で、搬送溝７に１個ずつ送り出す。

【００１１】テーブル６には、その搬送溝７と平行な方
向に案内されたスライダ８が設けられている。スライダ
８は、クランクロッド９を介して、電動機１１によって
回転駆動されるクランク円板１２のクランクピン１３に
連結されている。

【００１２】クランクピン１３は、クランク円板１２に
回転自在に装着されており、クランクロッド９の先端
は、クランクピン１３を軸直角方向に摺動自在に貫通し
ている。クランクロッド先端のクランクピン１３を挟む
両側の位置には、ダブルナット１４、１５がロック状態
で螺合されており、このダブルナット１４、１５とクラ
ンクピン１３との間にそれぞれ圧縮コイルバネ１６、１
７が介装されている。

【００１３】搬送テーブル６には、スライダ８のストロ
ーク端を規定するストッパ１８、１９が設けられてお
り、このストッパ１８、１９で規制されたスライダ８の
ストロークは、クランクピン１３の回転直径より若干短
い。そのためクランクピン１３の上死点及び下死点付近
においては、スライダ８がストッパ１８または１９で停
止させられ、クランクピン１３とスライダ８とのストロ
ーク差分がバネ１６、１７の変形によって吸収される。
すなわち上記構成により、スライダ８は、その移動両ス
トローク端において一時停止する。

【００１４】スライダ８は、搬送溝７と平行な枢支軸２
１を備え、この枢支軸２１に搬送溝方向に細長い短冊板
状の搬送プレート２２が枢支されている。この搬送プレ
ートは、先端辺部分で搬送溝７を覆うように延びてお
り、その先端辺部分には、前記スライダのストロークと
等しいピッチで部品４の寸法に合わせたコ字形の切欠２
３、２４が設けられている。搬送溝７の最も上流側に位
置する切欠２３が最も上流側に移動したとき、この切欠
２３は、パーツフィーダのシュート５の先端に対向する
位置となる。

【００１５】搬送プレート２２の上流側の端部から側方
に腕２５が延びており、その腕の先端とシーソアーム２
６の後端とが、両端を自在継手としたリンク２７で連結
されている。シーソアーム２６は、略中央部を固定のピ
ン２８で枢支され、先端にはカムローラ２９が軸着され
ている。カムローラ２９はクランク円板１２の周面に弾
圧されている。クランク円板１２の周面は、シーソアー
ム２６を揺動させるカム面となっている。

【００１６】クランク円板１２の回転により、シーソア
ーム２６が揺動し、搬送プレート２２を枢支軸２１まわ
りに起伏させる。この搬送プレート２２の起伏動作は、
スライダ８が搬送溝７の上流側へ復帰する際の移動開始
時と移動終了時とに行われる。すなわち搬送プレート２
２は、上流側へ復帰した後直ちに倒伏して、倒伏状態で
パーツフィーダ２から部品４を受け取り、倒伏状態のま
ま下流側へ移動して、受け取った部品を計測位置３１へ
搬送し、ここで一時停止して計測を行った後、起立して
部品４との係合を外した状態で上流側へ復帰する。

【００１７】なお搬送プレート２２には、切欠２３、２
４が２個設けられており、上流側の切欠２３は、部品を
パーツフィーダ２のシュート先端から計測位置まで運
び、下流側の切欠２４は、計測位置から選別位置へと運
ぶ。

【００１８】計測位置３１の両側には、搬送溝７を挟ん
でレーザ発振器３３と受信器３４とが配置されており、
レーザ発振器３３は、計測位置の部品４の山の稜線に接
するようにレーザ光を投射している。受信器３４は、部
品４の山の稜線によって一部遮蔽されたレーザ光を受信
し、その遮蔽量によって部品４の屈曲高さを計測する。
計測値は図示しない制御器に送られ、制御器に設定され
た何段階かの設定値と比較して、部品の選別を行う。出
願人が実施した装置では、４種類の設定値を設け、計測
値がそれぞれの設定値より上にあるか下にあるかを判定
することにより、屈曲高さが高すぎる不良品と高い方に
ずれた良品と正しい寸法の良品と低い方にずれた良品と
低すぎる不良品との５段階に選別し、そのそれぞれに対
応する選別信号を出力する。

【００１９】計測された製品は、スライダ８が次に下流
側へと移動するときに、搬送プレートの下流側の切欠２
４によって選別位置３２へと搬送される。選別位置３２
は、搬送テーブル６から外れた位置にあり、この位置で
部品４は落下する。選別位置３２の下方には、上端側を
支点軸３６で枢支した揺動シュート３７が配置されてお
り、この揺動シュートのさらに下方に５個のバケット３
８ないし４２が、揺動シュート３７の揺動方向に並べて
配置されている。

【００２０】揺動シュート３７は、筒状のシュートで、
その上端は選別位置で落下してくる部品を受け取るべく
上方に向けて開口している。支点軸３６は水平であり、
揺動シュート３７は垂直面内で揺動する。揺動シュート
３７の支点軸３６より下方の位置にクランクロッド４３
が連結されており、このクランクロッドの他端は、電動
機４４によって回転駆動されるクランクアーム４５の先
端に連結されている。そしてクランクアーム４５の先端
の円弧軌跡に沿って、クランクアーム４５の回動位置を
検出する複数のセンサ４６ないし５３が配置されてい
る。

【００２１】前述した制御器が選別信号を出力すると、
電動機４４が回動し、その選別信号に対応するセンサが
クランクアーム４５を検出したとき、電動機４４を停止
させる。クランクアーム４５の回動により、揺動シュー
ト３７が揺動して、シュート下端をその選別信号に対応
するバケット３８〜４２の上方に位置させる。これによ
り、選別位置で落下した部品４は、計測位置３１で計測
された屈曲高さに応じて５種類に区分けされて、それぞ
れのバケットに収容されることとなる。

【００２２】図４及び図５に示すセッティング装置は、
前述した選別装置１と全く同一のパーツフィーダと部品
搬送装置とを備えており、これらの装置を構成する部材
については、選別装置１に付したと同一の符号を付し
て、その構造及び動作の説明を省略する。

【００２３】セッティング装置５５の選別装置１におけ
る計測位置３１に対応する位置は、セッティング位置５
６とされ、このセッティング位置５６には、クランクプ
レス５７が配置されている。このクランクプレス５７の
下動端は、調整装置５８により上下移動可能で、供給さ
れる部品の屈曲高さ寸法に応じて、少なくとも３段階に
調整できるようになっている。セッティング装置５５の
選別装置１における選別位置３２に対応する位置は、排
出位置５９とされ、この排出位置の下方には、１個のバ
ケット６１のみが配置されている。

【００２４】前記クランクプレス５７は、公知のクラン
クプレスで、そのクランク６２は、搬送プレート２２が
下流側ストローク端で一時停止したときに、１回転する
ようになっている。この実施例のものでは、前述した選
別装置において、屈曲高さが高い方にずれた良品と正規
寸法の良品と低い方にずれた良品との３種類のものが別
個にパーツフィーダのホッパ３に投入され、その投入さ
れた部品の高さ寸法の傾向に合わせて、クランクプレス
５７の下動端位置が設定される。すなわち、高い方にず
れた部品を供給したときは、調整装置５８を操作してク
ランクプレス５７の下動端を低く設定し、低い方にずれ
た部品を供給するときは、調整装置５８を操作してクラ
ンクプレス５７の下動端の設定値を高い方に設定する。
このときの設定値は、いくつかの部品を試験的にセッテ
ィングして決定する。

【００２５】このようにして部品のセッティングを行う
と、曲げ高さが高い方にずれている部品は、セッティン
グ装置のクランクプレス５７でより強く押し潰されてセ
ッティング時に生ずる永久歪みが大きめとなり、従って
セッティング後の製品の屈曲高さを正規寸法側へと近づ
けることができる。また、屈曲高さが低い方にずれた部
品は、セッティング時の潰し量が小さく設定されること
により、セッティングによって生ずる永久歪みが小さく
なり、同様にセッティング後の屈曲高さが正規寸法に近
づけられる。

【００２６】このようにして、屈曲高さが高い方にずれ
た部品や、低い方にずれた部品であっても、そのずれ量
が修正範囲内であれば、セッティング装置５５によって
修正されて、許容範囲内の正規の屈曲高さを備えた部品
とすることができる。

【００２７】以上説明した実施例のものは、選別装置１
とセッティング装置５５とを別個の装置としたものであ
るが、１台の選別装置の下流側にセッティング力をそれ
ぞれ強中弱に設定した３台のセッティング装置を並列的
に配置し、選別位置３２で部品をその屈曲高さに応じて
３台のセッティング装置へと分岐させる構造や、セッテ
ィング装置５５のクランクプレスの下動端の調整装置５
８に電動機とセンサとを設け、上記実施例の選別装置の
テーブル６と搬送プレート２２とを下流側に延長して実
施例における選別位置３２にクランクプレスを配置し
て、計測信号によって部品１個毎にクランクプレスの下
動端を上下させる構成を採用することもできる。後者の
場合には、屈曲高さが高すぎまたは低すぎる不良品は、
クランクプレスを動作させないで、セッティング位置を
通過させ、部品排出位置において前述した実施例の揺動
シュート３７と同様な装置（ただしバケットは良品と不
良品の２個でよい）で不良品を排除してやればよい。

【００２８】

【発明の効果】以上のように本発明は、山形に屈曲した
バネ板製の金具に生じた加工歪みを計測し、その測定信
号に基づき加工歪みを修正するようにセッティングする
ことができるので、高い精度で均質かつ安価なバネ板製
の屈曲金具を製造することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】選別装置の側面図

【図２】選別装置の正面図

【図３】選別装置の平面図

【図４】セッテイング装置の側面図

【図５】セッテイング装置の正面図

【図６】山形に屈曲したバネ板製の金具の斜視図

【符号の説明】

２ パーツフィーダ ４ 部品 22 搬送プレート 33 レーザ発振器 34 レーザ受信器 57 クランクプレス

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一定の姿勢で１個ずつ部品(4) を供給す
   るパーツフィーダ(2) と、供給された部品(4) を直線ま
   たは円弧状の搬送路(7) に沿って間歇送りする搬送手段
   (22)と、この間歇搬送手段(22)の部品供給位置より下流
   側の一時停止位置に配置されたレーザ測定器(33、34)
   と、そのさらに下流側の一時停止位置に配置されたプレ
   ス(57)とを備え、このプレスの下動端がレーザ測定器(3
   3、34) の測定信号によって複数段階に設定されることを
   特徴とする、山形バネ板金具の選別セッティング装置。