JPH0921026A - 潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条及びその混繊糸 - Google Patents

潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条及びその混繊糸

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JPH0921026A
JPH0921026A JP17104395A JP17104395A JPH0921026A JP H0921026 A JPH0921026 A JP H0921026A JP 17104395 A JP17104395 A JP 17104395A JP 17104395 A JP17104395 A JP 17104395A JP H0921026 A JPH0921026 A JP H0921026A
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右広 西田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 通常の染色加工を施すことによって適度なふ
くらみ感(嵩高性)、ソフト感、はり腰感、更には微妙
な表面タッチ(マイクロパウダータッチ)を有す織編物
に加工し得る潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフ
ィラメント糸条及びその混繊糸を提供する。 【構成】 エチレンテレフタレート単位を少なくとも8
5モル%含む固有粘度〔η〕が0.45〜0.70cc/g
のポリエステルからなる160℃乾熱収縮率SHDが負
であるポリエステルマルチフィラメント糸条であり通常
の染色加工を施すことによって微細捲縮発現する潜在微
細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条及び
その混繊糸。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリエステルマルチフィ
ラメント糸からなる潜在微細捲縮発現性ポリエステルマ
ルチフィラメント糸条及びその混繊糸であり、布帛に製
織編加工した後、通常の染色加工を実施することによっ
て自己伸長発現すると共に、微細捲縮が発現することに
よって微細な粉末をまぶしたようなタッチ(マイクロパ
ウダータッチ)を有する新規風合い織編物を提供するこ
との出来る潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィ
ラメント糸条及びその混繊糸に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来よりポリエステルマルチフィラメン
トを用いた織編物、特に婦人用薄地から中肉、厚地に至
る分野で主に異収縮混繊糸を用いた織編物が多数上市さ
れている。これらの商品はその熱収縮差を利用し織編物
にふくらみ感(嵩高性)、ソフト感を付与し、更にアル
カリ減量加工を組み合わせることによって繊維間及び組
織のルーズ化を行い、シルキー風合いを実現させるもの
であるがそのふくらみ感やソフト感を向上させるために
過度に熱収縮差を増加させてしまうと逆にフカツキ感や
ボテ感を感じさせるものとなってしまう。また単に絹に
良く似た風合いを得るに過ぎず、織編物に新規風合いを
付与するには不十分なものであった。また、昨今では特
開平2−293410号公報や特開平5−331705
号公報などで開示されている自己伸長糸と熱収縮糸を組
み合わせた混繊糸織編物も多数提案、上市されてきてい
る。しかしながらこれら開示されている手法では染色加
工の際に結晶配向化が進行し自己伸長を示すものである
が自己伸長糸を構成するフィラメント糸が一様に自己伸
長発現してしまい、ふくらみ感やソフト感には富むもの
には仕上がるが、触感としてポリエステル特有のヌメリ
感が残存してしまい、好ましいものとはならない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明はポリエステル
マルチフィラメント糸及びその混繊糸に関するものであ
り、染色加工時の湿熱処理及び乾熱処理によって自己伸
長を示すと共に微細捲縮発現し、ポリエステル織編物特
有のヌメリ感を何ら感じさせることなく、微粉末を表面
にまぶしたようなタッチ(マイクロパウダータッチ)を
有し、尚且つ適度なふくらみ感(嵩高性)、ソフト感、
ドレープ性を有する新規風合い織編物に加工し得る潜在
微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条及
びその混繊糸を提供することを課題とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の潜在微細捲縮発
現性ポリエステルマルチフィラメント糸条は以下の構成
よりなる。エチレンテレフタレート単位を少なくとも8
5モル%含む固有粘度〔η〕が0. 45〜0.70cc/g
のポリエステルからなり160℃乾熱収縮率SHDが負
であるポリエステルマルチフィラメント糸条であり、染
色加工を施すことによって以下に示す領域の微細捲縮が
発現することを特徴とする潜在微細捲縮発現性ポリエス
テルマルチフィラメント糸条。 20ケ/インチ≦CN≦90ケ/インチ 20≦BD≦120 −10%≦SHD<0% −2%≦SHW≦3% 但し、CNはフィラメントの1in当たりの捲縮個数(ケ/イ
ンチ) を示すものでありBDは嵩高度(−) 、SHDは1
60℃乾熱収縮率(%)、SHWは沸水収縮率(%)を
示すものである。
【0005】また本発明の潜在微細捲縮発現性ポリエス
テルマルチフィラメント糸条よりなる混繊糸は以下の構
成よりなる。請求項1で規定される特徴を有する潜在微
細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条とそ
れとは別の熱収縮性を示すポリエステルマルチフィラメ
ント糸条を組み合わせてなる混繊糸であり交絡度、及び
両者糸条の乾熱160℃収縮率差ΔSHD、及び混繊糸
の乾熱160℃処理後に於ける潜在微細捲縮発現性ポリ
エステルマルチフィラメント糸条と熱収縮性を示すポリ
エステルマルチフィラメント糸条両者間に生じる糸長差
YLが各々下記範囲に存在する潜在微細捲縮発現性ポリ
エステルマルチフィラメント糸条からなる混繊糸。 20ケ/m ≦Di≦100ケ/m 5%≦ΔSHD≦30% 1%≦YL≦10% 但し、Diは交絡個数(ケ/m) 、ΔSHDは潜在微細捲縮
発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条と熱収縮性
を示すポリエステルマルチフィラメント糸条両者の乾熱
160℃収縮率差(%)、YLは乾熱160℃処理後の
潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸
と熱収縮性を示すポリエステルマルチフィラメント糸の
糸長差(%)をそれぞれ示すものである。
【0006】本発明の潜在微細捲縮発現性ポリエステル
マルチフィラメント糸条及びその混繊糸を得るに際して
は重合体としてエチレンテレフタレート単位を少なくと
も85モル%含む固有粘度〔η〕が0.45〜0.70
cc/gのポリエステルを使用し、溶融紡糸法によってポリ
エステルマルチフィラメント糸を得るものであるが、1
5モル%を超過しない範囲でテレフタル酸、フタル酸、
イソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、5−
ナトリウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸
成分とエチレングリコール、1,3−プロパンジオー
ル、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール
等のグリコール成分を組み合わせてなるエステル形成性
誘導体等をその共重合成分として含むものであっても構
わない。また必要に応じて二酸化チタンや硫酸バリウ
ム、カオリナイト、二酸化珪素等の無機微粒子や顔料、
その他添加剤を混入させたポリエステルであってもよ
い。
【0007】使用するポリエステルはエチレンテレフタ
レート単位を少なくとも85モル%以上含む固有粘度
〔η〕が0.45〜0.70cc/gのものであることが必
要であり、エチレンテレフタレート成分が85モル%未
満では溶融紡糸に於ける曳糸性が悪化する他、布帛に加
工する際のアルカリ減量によってアルカリ加水分解作用
を選択的に強く受けてしまい、脆化の程度が著しく、布
帛は実用に耐え得る強力を保持するものには成り得な
い。また固有粘度〔η〕に関しては0.45〜0.70
cc/gの範囲、より好ましくは0.55〜0.65cc/gの
範囲である。該固有粘度〔η〕が0.45cc/g未満の範
囲ではポリエステルの重合度が小さくなり過ぎ、溶融紡
糸時の曳糸性の悪化、延伸時の毛羽、糸切れの発生やア
ルカリ減量加工時にアルカリ加水分解作用を選択的に強
く受けてしまう効果による布帛の引裂強力の低下等を引
き起こしてしまい好ましい範囲ではない。また該固有粘
度〔η〕が0.70cc/gを著しく超過する高重合度のも
のとなると溶融紡糸時、紡糸パックに於ける溶融ポリマ
ー圧力損失が大きいものとなり、紡糸操業性に支障を来
してしまう恐れがある他、アルカリ減量加工時には高重
合度のためにアルカリ加水分解反応が進み難く、減量加
工時間が余分にかかり、加工工賃が増加してしまい好ま
しくない。
【0008】本発明の潜在微細捲縮発現性ポリエステル
マルチフィラメント糸条及びその混繊糸を用い織編物に
製織編した後、通常の染色加工を施すことによって自己
伸長発現すると共に微細捲縮発現し布帛に適度なふくら
み感(嵩高性)、ソフト感、微妙な表面タッチ(マイク
ロパウダータッチ)を付加せしめるものである。微妙な
表面タッチを得るには単糸フィラメントの1in当たりの
捲縮個数(ケ/インチ)CNが20ケ/インチ 以上90ケ/インチ 以下
の範囲であることが望ましい。捲縮個数CN(ケ/インチ) は
単糸フィラメントに発現する山と谷の個数を数え単位長
さ当たりの捲縮個数として算出したものである。該捲縮
個数CNが20ケ/インチ未満の範囲となると自己伸長発現
によってふくらみ感(嵩高性)やソフト感は向上するも
のの表面タッチは微妙なものとはならず、ポリエステル
特有のヌメリ感を取り除くことが出来ず、風合いとして
好ましいものには仕上がらない。また該捲縮個数CNが
90ケ/インチ を超過する、超微細捲縮を発現するものとな
ると自己伸長発現によるふくらみ感(嵩高性)、ソフト
感が更に助長され軽量感に富む風合いとなるがいささか
フカツキ感を感じるものとなる。捲縮個数CNが20ケ/
インチ 以上90ケ/インチ 以下、より好ましくは30ケ/インチ 以
上70ケ/インチ 以下の範囲となるとふくらみ感(嵩高
性)、ソフト感が充分でフカツキ感やヌメリ感を感じさ
せない、微妙な表面タッチ(マイクロパウダータッチ)
を有する織編物となるのである。
【0009】また自己伸長発現、微細捲縮発現した後の
潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸
条の嵩高度BDは20以上120以下の範囲が望まし
い。該嵩高度BDが20未満の範囲となれば布帛に適度
なふくらみ感(嵩高性)、ソフト感を付与し得ない他、
ポリエステル特有のヌメリ感を完全に除去することが出
来ず、微妙な表面タッチを与えられない。また嵩高度B
Dが120を超過する範囲となるとフカツキ感を感じる
ものとなってしまい安っぽい感じのものとなり好ましい
領域ではない。嵩高度BDは20以上120以下、より
好ましくは30以上100以下の範囲であればふくらみ
感(嵩高性)、ソフト感とも適度でありヌメリ感やフカ
ツキ感がなく微妙な表面タッチ(マイクロパウダータッ
チ)を感じる新規風合いの布帛に仕上げることが可能に
なるのである。
【0010】更に本発明の潜在微細捲縮発現性ポリエス
テルマルチフィラメント糸条の乾熱160℃に於ける乾
熱収縮率SHDは−10%以上0%未満、より好ましく
は−7%以上−2%以下の範囲であることが望ましい。
該乾熱収縮率SHDが0%以上の範囲では実質的に糸条
は熱収縮性を示してしまい該潜在微細捲縮発現性ポリエ
ステルマルチフィラメント糸よりなる混繊糸は単なる異
収縮混繊糸使いの織編物の如き風合いとなり、ふくらみ
感(嵩高性)やソフト感が不足したものに仕上がってし
まう。また乾熱収縮率SHDが−10%未満の範囲とな
ると自己伸長率が高くなり過ぎ、織編物はフカツキ気味
に仕上がってしまい品位的に好ましいものとはならな
い。また抗ピリング性能が著しく悪化する恐れがあり消
費性能から考えても好ましい領域ではない。
【0011】また本発明の潜在微細捲縮発現性ポリエス
テルマルチフィラメント糸条の沸水収縮率SHWは−2
%以上3%以下の範囲、より好ましくは−1%以上3%
以下の範囲である。該沸水収縮率SHWが−2%未満の
範囲となると該潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチ
フィラメント糸よりなる混繊糸を撚糸セットやサイジン
グ処理する際にパッケージ等に巻かれた混繊糸表面より
突出するループを多数形成してしまい、パッケージから
の解舒性不良や織編物のふくらみ感(嵩高性)やソフト
感不足を引き起こしてしまい好ましいものとはならな
い。また該沸水収縮率SHWが3%を超過する範囲とな
れば実質的に潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフ
ィラメント糸条は自己伸長性を示さないものとなり、布
帛はふくらみ感(嵩高性)、ソフト感に欠如したものと
なってしまい風合い的に好ましいものには仕上がらな
い。
【0012】また本発明の潜在微細捲縮発現性ポリエス
テルマルチフィラメント糸条よりなる混繊糸の交絡個数
Di(ケ/m) は20ケ/m 以上100ケ/m 以下、より好まし
くは30ケ/m 以上70ケ/m 以下の範囲が望ましい。該交
絡個数Diが20ケ/m 未満の範囲となると混繊糸の糸割
れ等、糸条取扱性が悪化し撚糸工程通過性等に支障を来
す等の不具合が生じ好ましい範囲とは言い難い。また該
交絡個数Diが100ケ/m を超過する範囲となると混繊
糸が締まり過ぎてしまい布帛の風合いが固くなってしま
い適度なふくらみ感(嵩高性)やソフト感を付与するこ
とが出来ない。該混繊糸の交絡個数Diは糸割れ等、糸
条取扱性が悪化しない程度の交絡(エンタングルメン
ト)が存在すればよく、過度に交絡個数を増加させたり
交絡を強固なものにすると風合いが固くなったり、イン
ターレースマーク等の不具合が生じてしまう他、高圧空
気消費量も増加してしまう結果、ランニングコストも著
しく増加してしまうため好ましくないのである。
【0013】更に本発明の潜在微細捲縮発現性ポリエス
テルマルチフィラメント糸条よりなる混繊糸を構成する
請求項1で規定する特徴を有する潜在微細捲縮発現性ポ
リエステルマルチフィラメント糸条及び熱収縮性を示す
ポリエステルマルチフィラメント糸条の乾熱160℃に
於ける乾熱収縮率SHDの差(ΔSHD)は5%以上3
0%以下、より好ましくは10%以上25%以下の範囲
であることが望ましい。ここで当然のことながらSHD
値は潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメン
ト糸条より熱収縮性を示すポリエステルマルチフィラメ
ント糸条の方が大きい値をとるものである。該乾熱収縮
率差(ΔSHD)が5%未満の範囲となれば布帛はふく
らみ感(嵩高性)やソフト感を感じさせるものとはなら
ず風合いや品位的に好ましいものにはならない。また該
乾熱収縮率差(ΔSHD)が30%を超過すると布帛の
ふくらみ感(嵩高性)が大きくなり過ぎ、フカツキ感が
感じられるようになってしまい品位的に好ましいものに
はならないのである。
【0014】また、潜在微細捲縮発現性ポリエステルマ
ルチフィラメント糸条と熱収縮性を示すポリエステルマ
ルチフィラメント糸条両者間の乾熱160℃処理後の糸
長差YL(%)は1%以上10%以下であることが望ま
しい。ここで当然のことながら該糸長は自己伸長性を有
する潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメン
ト糸条の糸長の方が熱収縮性を示すポリエステルマルチ
フィラメント糸条の糸長より大きくなるものである。該
糸長差YLが1%未満となれば潜在微細捲縮発現性ポリ
エステルマルチフィラメント糸条の自己伸長による、布
帛表面を効果的に覆うループを形成することが出来ず、
布帛はふくらみ感(嵩高性)、ソフト感に乏しいものと
なってしまう。また該糸長差YLが10%を超過する範
囲となれば潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィ
ラメント糸条よりなるループが多数形成され、効果的に
布帛表面を覆い、触感としては非常にソフトなものとな
るが、若干フカツキ感が感じられるようになり、品位と
しては好ましいものとはならない。また抗ピリング性能
も低下してしまい消費性能を考慮しても好ましい領域で
あるとは言い難い。
【0015】本発明の潜在微細捲縮発現性ポリエステル
マルチフィラメント糸条の製造方法については、エチレ
ンテレフタレート単位を少なくとも85モル%含む固有
粘度〔η〕が0.45〜0.70g/ccのポリエステルを
用いる以外、特に限定するものではないが、例えば20
00〜4000m/min.の範囲の紡糸引取速度で溶融紡糸
したポリエステルマルチフィラメント未延伸糸を弛緩率
10〜100%で乾熱弛緩処理する方法、或いは200
0〜4000m/min.の範囲の紡糸引取速度で溶融紡糸し
たポリエステルマルチフィラメント未延伸糸を該未延伸
糸の一次転移温度以上結晶化温度以下の温度領域で延伸
した後、弛緩率10〜100%で乾熱弛緩処理する方法
等が挙げられる。乾熱弛緩処理はスリットヒーターの使
用が望ましく弛緩率を増加させることによって熱収縮能
が除去され易くなり自己伸長率向上に効果があるばかり
でなく、フィラメント糸間の熱収縮能除去の程度のバラ
ツキが生じ易くなり潜在微細捲縮発現能を付与すること
が可能となる。熱収縮能除去の程度のバラツキを更に大
きくし、潜在捲縮発現能を更に向上させたい場合には弛
緩ゾーンに糸条を導入する以前に小型のセットヒーター
で瞬間的熱処理を施しておくことによって糸条間の熱収
縮能除去状態が更に不均一化される他、単糸フィラメン
ト1本に於ける、長さ方向への熱収縮能のバラツキを更
に増加させることが出来、潜在捲縮発現能の付与には該
セットヒーターでの瞬間的熱処理を併用して乾熱弛緩処
理を行うことが望ましい。該乾熱弛緩処理に於ける好適
な弛緩率としては、過度に弛緩率を増加させると弛緩さ
れきれずにループや弛み等の突出糸部を多数形成してし
まい、次工程に於ける解舒性難を引き起こしてしまうた
め、弛緩率は使用する原糸マルチフィラメントの物性に
もよるが大略60%程度に抑制しておくことが望まし
い。
【0016】しかしながら自己伸長能を付与する技術と
しては高弛緩率で熱処理し収縮成分を取り除く(分子配
向は乱れるが熱収縮成分は充分除去出来る)、或いは結
晶化温度近傍で一次加熱し熱収縮能を予め除去した後、
低弛緩率で熱処理する(分子配向は乱れないが結晶化度
は大幅に増加する)が考えられるが後者の手法ではマル
チフィラメントが一様に熱処理されるため事実上潜在捲
縮能と自己伸長能両者をマルチフィラメント糸に付与す
ることが出来ない。前者の如く高弛緩率で乾熱処理する
ことによってマルチフィラメント糸を構成するフィラメ
ント糸間で熱収縮能除去の程度のバラツキ、分子配向の
乱れのバラツキが生じ、結果布帛構造物にした後、通常
の染色加工を施すことによって潜在微細捲縮と自己伸長
が発現し、布帛はふくらみ感(嵩高性)、ソフト感に富
み、独特のタッチを有するものとなるのである。しかし
ながら前者の高弛緩率での乾熱処理のみでは潜在微細捲
縮発現能がやや不足しているため、セットヒーターでの
瞬間的熱処理を併用し、更に潜在微細捲縮発現能を増加
させておくことが望ましい。該瞬間的熱処理は糸条の結
晶化が促進されない程度の熱量を糸条に付与してやれば
充分であり結晶化促進され過ぎないような加熱滞留時
間、加熱温度を採用することが望ましい。
【0017】本発明の潜在微細捲縮発現性ポリエステル
マルチフィラメント糸条よりなる混繊糸の総デニールに
ついては特に限定されるものではないが一般衣料用途を
考慮し大略30〜300デニールの範囲内でその風合い
や用途に応じて適宜選定することが出来る。また潜在微
細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条と熱
収縮性を示すポリエステルマルチフィラメント糸条の構
成比は重量比として、30/70〜70/30、より好
適には40/60〜60/40が望ましい。更に潜在微
細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条の単
糸デニールの好適な範囲としては0.3デニール〜3.
0デニールであり、熱収縮性を示すポリエステルマルチ
フィラメント糸条の単糸デニールの好適な範囲は大略
3.0デニール〜10.0デニールである。勿論これら
も何ら限定されるものではなく、風合いや用途等に応じ
て適宜組み合わせを考慮するとよい。
【0018】更に本発明の潜在微細捲縮発現性ポリエス
テルマルチフィラメント糸条よりなる混繊糸は潜在微細
捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条と熱収
縮性を示すポリエステルマルチフィラメント糸条を組み
合わせてなるものであるが、該混繊には常温の高圧空気
流を使用した公知のインターレースノズルを使用するこ
とが出来る。高圧空気の圧力は処理する糸条の走行速
度、インターレースノズルの種類(形状)、糸条の総デ
ニール、フィラメント本数等によって適宜選定すること
が必要となるが大略2〜6kg/cm2の範囲での使用が望
ましい。
【0019】本発明の潜在微細捲縮発現性ポリエステル
マルチフィラメント糸条よりなる混繊糸はそのまま、或
いは公知の撚糸機を用いて施撚した後、布帛構造物に製
織編された後、通常の染色加工を施される。この染色加
工工程に於ける乾熱処理、湿熱処理によって潜在微細捲
縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条は自己伸
長発現すると共に微細捲縮発現し、ふくらみ感(嵩高
性)に富み、ソフトで微妙な触感(マイクロパウダータ
ッチ)を有する新規風合いを示す布帛とすることが出来
る。また該布帛のふくらみ感、ソフト感を更に向上させ
るためにサンディング処理やエメリー起毛処理等による
表面起毛処理を併用してもよい。
【0020】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
する。勿論、本発明は以下の実施例に何ら限定されるも
のではない。尚、本文中及び実施例記載の各物性値は以
下の測定方法によるものである。 (a) 固有粘度〔η〕(cc/g) フェノールとテトラクロロエタンの等重量混合物を溶媒
とし、ウベローデ粘度計を使用し20℃±0.5℃の恒
温条件下で粘度数ηsp/cを求め、ηsp/cを溶液濃度
cに対しプロットし、c→0にηsp/cを外挿すること
により〔η〕を求める。
【0021】(b) 捲縮個数CN(コ/インチ ) 試料を枠周位置1.125mの検尺機を使用し)1g/
dの初荷重を掛け、120回/分の速度で巻き返し、巻
き回数が8回の小綛を作成し、0.30g/dの荷重を
掛けた状態で沸騰水(100℃)中で20分間処理を行
う。試料を取り出し0.30g/dの荷重を掛けた状態
で風乾した後、荷重を掛けた状態で乾燥機中に入れ乾熱
160℃で10分間乾燥する。乾燥後冷却し、マルチフ
ィラメント糸をビロード板上で単糸フィラメントに丁寧
に分ける。単糸フィラメントをビロード板上に張力が掛
からぬように設置し1インチ当たりの捲縮個数(山と谷
の総計)を目視にて測定する。マルチフィラメント糸条
を構成する単糸フィラメントを任意に10本採取し、単
糸フィラメント1本当たり任意の5箇所で捲縮個数(山
と谷の総計)を測定し、測定値の平均値(n=50)を
以て捲縮個数CNとした。
【0022】(c) 嵩高度BD(−) 試料を枠周位置1.125mの検尺機を使用し0.1g
/dの初荷重を掛け、120回/分の速度で巻き返し、
巻き回数が8回の小綛を作成し、0.30g/dの荷重
を掛けた状態で沸騰水(100℃)中で20分間処理を
行う。試料を取り出し0.30g/dの荷重を掛けた状
態で風乾した後、荷重を掛けた状態で乾燥機中に入れ乾
熱160℃で10分間乾燥する。乾燥後冷却し、マルチ
フィラメント糸をビロード板上で単糸フィラメントに丁
寧に分ける。単糸フィラメントの捲縮の幅(山と谷の間
隔=振幅)を直径とする疑似円柱の体積と単糸フィラメ
ントの糸径を直径とする円柱の体積との比を嵩高度とし
て求める。単糸フィラメントをビロード板上に張力が掛
からぬように設置し捲縮の幅(山と谷の間隔=振幅)を
(b) 同様に計50箇所測定しその平均値L1 を求める。
次に単糸フィラメントの糸径を計50箇所測定しその平
均値L2 を求め、次式にて嵩高度BDを算出する。尚こ
こで単糸フィラメントの捲縮の幅(山と谷の間隔=振
幅)を直径とする疑似円柱と単糸フィラメントの糸径を
直径とする円柱の高さは等しいものとおき、それらの体
積比を以て嵩高度BDとする。 嵩高度BD=(L1 /2)2 ÷(L2 /2)2
【0023】(d) 160℃乾熱収縮率SHD(%) 試料に1/30(g/d)の荷重を掛け、その長さL3
(mm) を測定する。次いでその荷重を取り除き、試料を
乾燥機に入れ乾熱160℃で30分間乾燥する。乾燥後
冷却し、再度1/30(g/d)の荷重を掛け、その長
さL4(mm) を測定する。上記L3 、L4 を下記式に代入
し、乾熱収縮率SHDを求める。尚、測定回数5回の平
均値を以てその測定値とする。 SHD(%)=(L3 −L4 )/L3 ×100
【0024】(e) 沸水収縮率SHW(%) 試料を枠周1.125mの検尺機を使用し0.1g/d
の初荷重を掛け、120回/分の速度で巻き返し、巻き
回数が20回の小綛を作成し、初荷重の40倍の重りを
掛けて、綛長L5(mm) を測定する。続いて重りを外し、
収縮が妨げられないような方法で沸騰水(100℃)中
に30分間浸漬した後、取り出して吸取上或いは綿布で
水を拭き取り、水平状態にて風乾する。風乾後、再度重
りを掛けて綛長L6(mm) を測定する。上記L5 、L6 を
下記式に代入し沸水収縮率SHWを求める。尚、測定回
数5回の平均値を以てその測定値とする。 SHW(%)=(L5 −L6 )/L5 ×100
【0025】(f) 混繊糸の乾熱160℃処理後の糸長差
YL(%) 試料(混繊糸)を30cm採取し、0.30g/dの荷重
を掛けたまま、該試料を乾燥機に入れ乾熱160℃で3
0分間乾燥する。乾燥後冷却し混繊糸の交絡部を丁寧に
解きほぐし、自己伸長発現しループ部を形成している潜
在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条
と熱収縮性を示すポリエステルマルチフィラメント糸条
を分離し、混繊糸一定長さ当たりの糸長差を求める。
尚、該糸長差は下記式によって算出されるものであり、
測定回数20回の平均値を以てその測定値とするもので
ある。 YL(%)=(L7 −L8 )/L8 ×100 但し、L7 は潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフ
ィラメント糸条の糸長(mm)、L8 は熱収縮性を示すポ
リエステルマルチフィラメント糸条の糸長(mm)であ
る。
【0026】(実施例1)固有粘度〔η〕が0.635
cc/gであるポリエチレンテレフタレートセミダルレジン
を使用し通常の溶融紡糸法によって紡糸引取速度350
0m/min.で巻き取りポリエステルマルチフィラメント未
延伸糸40デニール24フィラメントを得た。該未延伸
糸を表面温度150℃のセットヒーター(接触式加熱)
にて瞬間的熱処理を施した後、引き続き雰囲気温度20
0℃のスリットヒーター(非接触式加熱)を使用し弛緩
率50%、加工速度200m/min.、ヒーター滞留時間
0.18秒間で弛緩熱処理を施した。該弛緩熱処理後の
マルチフィラメント未延伸糸の沸水収縮率SHWは−
0.9%、160℃乾熱収縮率SHDは−6.3%であ
り実質的に糸条は自己伸長能を有するものであった。ま
た、捲縮個数CNは45.2コ/インチ 、嵩高度BDは6
6.2であり微細捲縮発現によって糸条は嵩高性に富む
ものとなっていた。
【0027】該弛緩熱処理後のマルチフィラメント未延
伸糸と沸水収縮率SHW16%、160℃乾熱収縮率S
HD18.5%のポリエステルマルチフィラメント通常
延伸糸100デニール20フィラメントをファイバーガ
イド社製インターレースノズルFG4タイプを使用し、
常温の高圧空気流にて混繊交絡処理を施し、混繊糸16
0デニール44フィラメントを得た。該交絡処理された
混繊糸の交絡個数Diは58.3ケ/m であり取扱性には
支障のないものであった。また、該混繊糸に於ける糸長
差YLを測定すると4.2%であった。
【0028】該マルチフィラメント混繊糸を村田機械社
製ダブルツイスターNo.310Cを使用し撚糸を実施し
た後、生機密度が経133本/in、緯73本/inのサテ
ン組織に製織した。製織した布帛を精練、リラックス処
理した後、液流染色機を使用し減量率として20%のア
ルカリ減量加工を施し、引き続き液流染色機を使用し分
散染料によって染色加工を施し、通常のファイナルセッ
トを行い、最終的に仕上密度が経153本/in、緯84
本/inの染色加工布を得た。走査電子顕微鏡を使用し該
染色加工布の表面を観察したところ、弛緩熱処理された
ポリエステルマルチフィラメント未延伸糸が自己伸長及
び微細捲縮発現してなるループを多数形成しており、該
染色加工布の表面は該ループ部によってほぼ覆われてい
ることが確認された。該染色加工布の風合いは適度なふ
くらみ感(嵩高性)、ソフト感、はり腰感を有するもの
となっており尚且つ、微妙な表面タッチ(マイクロパウ
ダータッチ)を感じるものに仕上がった。
【0029】(実施例2)固有粘度〔η〕が0.635
cc/gであるポリエチレンテレフタレートセミダルレジン
を使用し通常の溶融紡糸法によって紡糸引取速度300
0m/min.で巻き取りポリエステマルチフィラメント未延
伸糸40デニール24フィラメントを得た。該ポリエス
テマルチフィラメント未延伸糸を延伸機を使用し、延伸
温度80℃で1.5倍の延伸を実施した後、パッケージ
として巻き取りポリエステルマルチフィラメント延伸糸
27デニール24フィラメントを得た。該延伸糸を表面
温度150℃のセットヒーター(接触式加熱)にて瞬間
的熱処理を施した後、引き続き雰囲気温度205℃のス
リットヒーター(非接触式加熱)を使用し、弛緩率50
%、加工速度400m/min.、ヒーター滞留時間0.09
秒間で弛緩熱処理を施した。該弛緩熱処理後のマルチフ
ィラメント延伸糸の沸水収縮率SHWはは−0.7%、
160℃乾熱収縮率SHDは−3.8%であり実質的に
糸条は自己伸長能を有するものであった。また、捲縮個
数CNは52.1コ/インチ 、嵩高度BDは59.8であり
微細捲縮発現によって糸条は嵩高性に富むものとなって
いた。
【0030】該弛緩熱処理後のマルチフィラメント延伸
糸と沸水収縮率SHW16%、160℃乾熱収縮率SH
D18.5%のポリエステルマルチフィラメント通常延
伸糸100デニール20フィラメントをファイバーガイ
ド社製インターレースノズルFG4タイプを使用し、常
温の高圧空気流にて混繊交絡処理を施し、混繊糸140
デニール44フィラメントを得た。該交絡処理された混
繊糸の交絡個数Diは62.7ケ/m であり取扱性には支
障のないものであった。また、該混繊糸に於ける糸長差
YLを測定すると2.1%であった。
【0031】該マルチフィラメント混繊糸を村田機械社
製ダブルツイスターNo.310Cを使用し撚糸を実施し
た後、生機密度が経138本/in、緯76本/inのサテ
ン組織に製織した。製織した布帛を精練、リラックス処
理した後、液流染色機を使用し減量率として20%のア
ルカリ減量加工を施し、引き続き液流染色機を使用し分
散染料によって染色加工を施し、通常のファイナルセッ
トを行い、最終的に仕上密度が経158本/in、緯87
本/inの染色加工布を得た。走査電子顕微鏡を使用し該
染色加工布の表面を観察したところ、弛緩熱処理された
ポリエステルマルチフィラメント延伸糸が自己伸長及び
微細捲縮発現してなるループを多数形成しており、実施
例1同様該染色加工布の表面は該ループ部によってほぼ
覆われていることが確認された。該染色加工布の風合い
は適度なふくらみ感(嵩高性)、ソフト感、はり腰感を
有するものとなっており尚且つ、微妙な表面タッチ(マ
イクロパウダータッチ)を感じるものに仕上がってい
た。
【0032】(比較例1)固有粘度〔η〕が0.635
cc/gであるポリエチレンテレフタレートセミダルレジン
を使用し通常の溶融紡糸法によって紡糸引取速度350
0m/min.で巻き取りポリエステルマルチフィラメント未
延伸糸40デニール24フィラメントを得た。該未延伸
糸を表面温度150℃のセットヒーター(接触式加熱)
にて瞬間的熱処理を施した後、引き続き雰囲気温度20
0℃のスリットヒーター(非接触式加熱)を使用し弛緩
率0%、加工速度200m/min.、ヒーター滞留時間0.
18秒間で定長熱処理を施した。該定長熱処理後のマル
チフィラメント未延伸糸の沸水収縮率SHWは1.2
%、160℃乾熱収縮率SHDは2.5%であり実質的
に糸条は熱収縮性を示すものであった。また捲縮は発現
しておらず糸条は嵩高性のないものであった。
【0033】該定長熱処理後のマルチフィラメント延伸
糸と沸水収縮率SHW16%、160℃乾熱収縮率SH
D18.5%のポリエステルマルチフィラメント通常延
伸糸100デニール20フィラメントをファイバーガイ
ド社製インターレースノズルFG4タイプを使用し、常
温の高圧空気流にて混繊交絡処理を施し、混繊糸140
デニール44フィラメントを得た。該交絡処理された混
繊糸の交絡個数Diは54.5ケ/m であり取扱性には支
障のないものであった。また、該混繊糸に於ける糸長差
YLを測定すると0.5%であった。
【0034】該マルチフィラメント混繊糸を村田機械社
製ダブルツイスターNo.310Cを使用し撚糸を実施し
た後、生機密度が経138本/in、緯76本/inのサテ
ン組織に製織した。製織した布帛を精練、リラックス処
理した後、液流染色機を使用し減量率として20%のア
ルカリ減量加工を施し、引き続き液流染色機を使用し分
散染料によって染色加工を施し、通常のファイナルセッ
トを行い、最終的に仕上密度が経158本/in、緯87
本/inの染色加工布を得た。走査電子顕微鏡を使用し該
染色加工布の表面を観察したところ、該定長熱処理され
たポリエステルマルチフィラメント延伸糸は自己伸長を
示しておらず、該染色加工布の風合いはふくらみ感(嵩
高性)、ソフト感とも不足し、ヌメリ感の残存する、風
合いや品位として好ましいものにはならなかった。
【0035】(比較例2)固有粘度〔η〕が0.635
cc/gであるポリエチレンテレフタレートセミダルレジン
を使用し通常の溶融紡糸法によって紡糸引取速度350
0m/min.で巻き取りポリエステルマルチフィラメント未
延伸糸40デニール24フィラメントを得た。該未延伸
糸を表面温度100℃のホットローラーで熱処理した
後、引き続き雰囲気温度220℃のスリットヒーター
(非接触式加熱)を使用し、弛緩率20%、加工速度5
00m/min.、ヒーター滞留時間0.07秒間で二段弛緩
熱処理を施した。該二段弛緩熱処理後のマルチフィラメ
ント未延伸糸の沸水収縮率SHWは−4.6%、160
℃乾熱収縮率SHDは−6.2%であり実質的に糸条は
自己伸長性を示すものであった。しかしながらマルチフ
ィラメント糸が一様に自己伸長発現しており微細捲縮を
有するものとはなっておらず、嵩高性に乏しいものであ
った。
【0036】該二段弛緩熱処理後マルチフィラメント未
延伸糸と沸水収縮率SHW16%、160℃乾熱収縮率
SHD18.5%のポリエステルマルチフィラメント通
常延伸糸100デニール20フィラメントをファイバー
ガイド社製インターレースノズルFG4タイプを使用
し、常温の高圧空気流にて混繊交絡処理を施し、混繊糸
148デニール44フィラメントを得た。該交絡処理さ
れた混繊糸の交絡個数Diは62.3ケ/m であり取扱性
には支障のないものであった。また、該混繊糸に於ける
糸長差YLを測定すると3.0%であった。
【0037】該マルチフィラメント混繊糸を村田機械社
製ダブルツイスターNo.310Cを使用し撚糸を実施し
た後、生機密度が経136本/in、緯75本/inのサテ
ン組織に製織した。製織した布帛を精練、リラックス処
理した後、液流染色機を使用し減量率として20%のア
ルカリ減量加工を施し、引き続き液流染色機を使用し分
散染料によって染色加工を施し、通常のファイナルセッ
トを行い、最終的に仕上密度が経156本/in、緯86
本/inの染色加工布を得た。走査電子顕微鏡を使用し該
染色加工布の表面を観察したところ、該二段弛緩熱処理
後のポリエステルマルチフィラメント未延伸糸が自己伸
長してなるループを形成し該染色加工布表面を効果的に
覆うものとなっており、適度にふくらみ感(嵩高性)、
ソフト感を有するものになっているが、微細捲縮を該ル
ープ部が有しないために触感として微妙な表面タッチ
(マイクロパウダータッチ)を感じるものとはならず、
ポリエステル特有のヌメリ感の残存する、品位的に好ま
しくない布帛構造物であった。
【0038】
【発明の効果】上述の如く構成された本発明に係わる潜
在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条
及びその混繊糸は布帛構造物として製織編した後、通常
の染色加工を施すことによって、潜在微細捲縮発現性ポ
リエステルマルチフィラメント糸条が自己伸長発現及び
微細捲縮発現することによってランダムなループを多数
形成し、該ループが多層となって布帛構造物表面を覆
い、適度なふくらみ感(嵩高性)、ソフト感、はり腰
感、更には微妙な表面タッチ(マイクロパウダータッ
チ)を有する、ドレス、ジャケット、スカート、パンツ
など婦人衣料用途として好適な布帛構造物に加工し得る
等の顕著な効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わる潜在微細捲縮発現型ポリエス
テルマルチフィラメント糸条の自己伸長発現、捲縮発現
した後の糸条の様子を示す略図である。
【図2】 比較例2の方法で得た二段弛緩熱処理後のポ
リエステルマルチフィラメント未延伸糸の自己伸長発現
後の糸条の様子を示す略図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレンテレフタレート単位を少なくと
    も85モル%含む固有粘度〔η〕が0.45〜0.70
    cc/gのポリエステルからなり160℃乾熱収縮率SHD
    が負であるポリエステルマルチフィラメント糸条であり
    染色加工を施すことによって以下に示す領域の微細捲縮
    が発現することを特徴とする潜在微細捲縮発現性ポリエ
    ステルマルチフィラメント糸条。 20ケ/インチ≦CN≦90ケ/インチ 20≦BD≦120 −10%≦SHD<0% −2%≦SHW≦3% 但し、CNはフィラメントの1in当たりの捲縮個数(ケ/イ
    ンチ) を示すものでありBDは嵩高度(−) 、SHDは1
    60℃乾熱収縮率(%)、SHWは沸水収縮率(%)を
    示すものである。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の潜在微細捲縮発現性ポリ
    エステルマルチフィラメント糸条とそれとは別の熱収縮
    性を示すポリエステルマルチフィラメント糸条を組み合
    わせてなる混繊糸であり交絡度、及び両者糸条の乾熱1
    60℃収縮率差ΔSHDが下記範囲にある潜在微細捲縮
    発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条からなる混
    繊糸。 20ケ/m ≦Di≦100ケ/m 5%≦ΔSHD≦30% 但し、Diは交絡個数(ケ/m) 、ΔSHDは潜在微細捲縮
    発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条と熱収縮性
    を示すポリエステルマルチフィラメント糸条両者の乾熱
    160℃収縮率差(%)を示すものである。
  3. 【請求項3】 潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチ
    フィラメント糸条と熱収縮性を示すポリエステルマルチ
    フィラメント糸条を組み合わせてなる混繊糸の乾熱16
    0℃処理後の糸長差YLが下記範囲である請求項2記載
    の潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント
    糸条からなる混繊糸。 1%≦YL≦10% 但しYLは乾熱160℃処理後の潜在微細捲縮発現性ポ
    リエステルマルチフィラメント糸と熱収縮性を示すポリ
    エステルマルチフィラメント糸の糸長差(%)を示すも
    のである。
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