JP3835579B2 - 複合微細捲縮付与軽量ポリエステル混繊糸 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はポリエステル混繊糸に関し、特に製造編織後の通常の染色・仕上げ加工を施すことにより、潜在捲縮が発現するとともに自己伸長も発現し、繊維断面に起因する軽量感とともに、ふくらみに優れしかもドライ感を有する、新規な梳毛ライクな風合いを有する織編物を提供しうる混繊糸に関する発明である。
【0002】
【従来の技術】
従来よりポリエステル繊維を用いた織編物、特に婦人用薄地から中肉、厚地に至る分野で主に異収縮混繊糸を用いた織編物が多数上市されている。これらの商品はその熱収縮差を利用して織編物にふくらみ感、ソフト感を付与し、更にアルカリ減量加工を組み合わせることによって繊維間および組織に空隙を付与するなどいわゆるルーズ化を行い、シルキー風合いを実現させてきた。一方、ウールのもっている捲縮構造を真似ることを目的に仮撚加工技術が発展し、さらにもう一段上のふくらみを表現する目的で、シルキー風合い表現と同様な要素技術で芯・鞘構造とし、いわゆるニュー梳毛調風合いを実現させてきた。しかしながら、これらの開示されている手法では風合い、染色性などが単調で、変化に乏しいものとなり勝ちである。特開平2-293410号公報や特開平5-331705号公報などで開示されている自己伸長糸と熱収縮糸を組み合わせた混繊糸織編物も多数提案、上市されてきている。しかしながらこれら開示されている手法ではふくらみ感やソフト感には富むものには仕上がるが、触感としてポリエステル特有のヌメリ感が残存してしまい、好ましいものとはならない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はポリエステル混繊糸に関するものであり、さらに詳しくは、異型断面からなる微細捲縮と染色加工時の湿熱処理及び乾熱処理によって自己伸長を示すと共に新たに微細捲縮を発現し、これらが起因しポリエステル織編物特有のヌメリ感を感じさせることなく、梳毛調の適度なふくらみ感(嵩高性)、ソフト感を有する新規風合い織編物に加工し得る複合微細捲縮付与軽量ポリエステル混繊糸を提供することを課題とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の複合微細捲縮付与軽量ポリエステル混繊糸は以下の構成よりなる。中空率10〜45%の異型断面からなり、捲縮( 1/ ρ)が5〜30、乾熱 160 ℃での収縮率 (SHD) が 0% 未満である複合微細捲縮付与軽量ポリエステル繊維と、乾熱 160 ℃での収縮率 (SHD) が正であるポリエステル繊維とを交絡度15〜100ケ/ m で混繊した混繊糸であり、且つ両繊維の160℃乾熱収縮率差 ( △ SHD) が5〜60%であることを特徴とする複合微細捲縮付与軽量ポリエステル混繊糸。
(但し、ρは乾熱 160 ℃において無張力状態の繊維を 15 秒間処理したときに生じる捲縮のらせん径 (mm) である。 SHD は乾熱 160 ℃で繊維を処理したときの収縮率 (%) である。)
【0006】
本発明の複合微細捲縮付与軽量ポリエステル混繊糸を得るに際しては重合体としてエチレンテレフタレート単位を少なくとも85モル%含む固有粘度[η]が、0.45〜0.7cc/g のポリエステルを使用し、溶融紡糸法によってポリエステル繊維を得るのであるが、15モル%を超過しない範囲でテレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、1、4−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスフホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸成分とエチレングリコール、1、3−プロパンジオール、1、4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等のグリコール成分を組み合わせてなるエステル形成性誘導体をその共重合成分として含むものであっても構わない。また必要に応じて二酸化チタンや硫酸バリウム、カオリナイト、二酸化珪素等の無機微粒子や顔料、その他添加剤を混入させたポリエステルであってもよい。
【0007】
使用するポリエステルはエチレンテレフタレート単位を少なくとも85モル%以上含む固有粘度[η]が、0.45〜0.7cc/g のものであることが肝要であり、エチレンテレフタレート成分が85モル%未満では溶融紡糸に於ける曳糸性が悪化する他、布はくに加工する際のアルカリ減量によってアルカリ加水分解作用を選択的に強く受けてしまい、脆化の程度が著しく、布はくは実用に耐え得る強力を保持するものにはなり得ない。
【0008】
本発明において用いられる複合微細捲縮付与軽量ポリエステル繊維は10〜45%の範囲の中空率を持つ異型断面からなるもので、該繊維は、以下に示す捲縮 (1/ρ) を有ししかも乾熱 160℃での収縮率(SHD) が負、好ましくは−10〜0%,更に好ましくは−8〜−1%であることを要する。
5 ≦ 1 /ρ ≦ 30
但し、ρは乾熱 160℃において無張力状態の繊維を15秒間処理したときに生じる捲縮のらせん径(mm)である。SHD は乾熱 160℃で繊維を処理したときの収縮率(%) である。先ず、本発明において用いられる複合微細捲縮付与軽量ポリエステル繊維断面は、例えば
図1
に示すような断面が挙げられる。これらの断面を有する繊維は、中空率に起因する軽量化の効果と捲縮 (1/ρ) に起因するふくらみ感効果およびその断面形状に起因する梳毛調タッチ効果、ナチュラルな斑感を得るのに好適である。しかしながら、この断面に制約されることなく上記の条件を満たすものであれば良い。
図2
に示す繊維断面も好適である。中空率は下記の式で定義することができる。
中空率(%) ={ (繊維断面における外周が囲む面積(A)−繊維断面積(B)/繊維断面積(B) } × 100
例えば、
図1
の繊維断面の場合は、点a と点b (ともに断面先端部の頂点)を結ぶことで囲まれる面積が上式中でのA を示す。中空率が10%未満の場合には軽量性に欠け、45%を越える場合は、染色加工などでの繊維形状の破壊及び/又はアルカリ減量加工後の繊維強力の保持性に欠け織編物としての性能に欠けるものとなる。好ましくは13〜35%である。
【0009】
上記の繊維断面を有する繊維は、特定の捲縮 (1/ρ) を有しかつ乾熱 160℃での収縮率(SHD) が負であることを要する。これらの特性を有することにより微細な捲縮を有し、新規な特徴ある風合いを得ることが可能となるからである。捲縮が5未満の場合は、微細捲縮が不足しふくらみ感に欠ける物となり、逆に30を越える場合には、ふかつき感が出て好ましくない風合いとなる。好ましくは10〜25である。
この捲縮が5〜30で、且つSHD が負であることにより、はじめて混繊糸とした後の熱収縮差 (△SHD)に起因し複合微細捲縮を有する混繊糸が得られる。従って△SHD には適正な範囲が存在する。それは5%から30%の範囲である。5%未満の範囲となれば布帛はふくらみ感やソフト感を感じさせるものとはならず風合いや品位的に好ましいものにはならない。また△SHD が30%を超過すると布はくのふくらみ感が大きくなりすぎ、ふかつき感が感じられるようになってしまい品位的に好ましいものにはならない。
【0010】
また混繊糸の交絡度は複合微細捲縮の効果を発揮させるために必要な要素である。その範囲は15ヶ/mから100 ヶ/mの範囲が良い。より好ましくは、25ヶ/m以上70ヶ/m以下の範囲が望ましい。交絡度(Di)が15ヶ/m未満の範囲では混繊糸としての混繊程度に劣り、収縮率の異なる繊維が分離しやすいために、撚糸、製織などの工程通過性に劣る。100 ヶ/mを超過すると糸が締まった状態となり、また複合微細捲縮の発現が阻害されるため布帛の風合いが硬くなってしまい適度なふくらみ感あソフト感を付与することができず好ましくない。
【0011】
本発明の範囲内であれば従来の自発伸長に起因する微細捲縮に繊維自身が有する捲縮が加わった複合微細捲縮効果による新規な特徴ある風合いの布はくであり、かつ断面形状効果と複合微細捲縮効果による軽量効果にも優れた布帛となる。
【0012】
本発明の複合微細捲縮付与軽量ポリエステル混繊糸の総デニールについては特に限定されるものではないが一般衣料用途を考慮し大凡30〜300 デニールの範囲内でその風合いや用途に応じて適宜選定することができる。また、複合微細捲縮付与軽量ポリエステル繊維と熱収縮性を示すポリエステル繊維の構成比は重量比として、 30/70〜70/30 より好適には 40/60〜60/40 が望ましい。更に複合微細捲縮付与軽量ポリエステル繊維の単糸デニールの好適な範囲としては、0.5 デニール〜6.0 デニールであり、熱収縮性を示すポリエステル繊維の単糸デニールの好適な範囲としては、2.0 デニール〜10.0デニールである。勿論これらもなんら限定されるものではなく、風合いや用途等に応じて適宜組み合わせを考慮するとよい。軽量の観点からは、熱収縮性を示すポリエステル繊維に中空断面形状の繊維を用いることも有効である。
【0013】
本発明で用いられる複合微細捲縮付与軽量ポリエステル繊維の製造方法については、エチレンテレフタレート単位を少なくとも85モル%含む固有粘度[η]が、0.45〜0.70g/ccのポリエステルを用い、繊維の中空率が10%〜45%となる紡糸ノズルを用い、かつ繊維の捲縮 (1/ρ) が5〜30となる条件にて紡糸を行う。例えば、C型ノズルを用いて2000〜4000m/min.の範囲の紡糸速度で非対称冷却の条件で溶融紡糸したポリエステル未延伸糸を該未延伸糸の一次転移温度以上結晶化温度以下の温度領域で延伸した後、弛緩率10〜100%で乾熱弛緩する方法が挙げられる。乾熱弛緩熱処理はスリットヒーターの使用が好ましく弛緩率を増加させることによって熱収縮能が除去され易くなり自己伸長率向上に効果があるばかりでなく、フィラメント間の熱収縮除去の程度のバラツキが生じ易くなり、非対称冷却によって付与された潜在捲縮能を発現させることも容易となる。スリットヒーターの温度は、上記のごとく糸の熱収縮能を除去することのできることが必要で、例えば160〜220c程度が選ばれる。但しこの温度は使用するヒーターの構造で変更が必要 である。
【0014】
更に本発明の複合微細捲縮付与軽量ポリエステル混繊糸は複合微細捲縮付与軽量ポリエステル繊維と熱収縮性を示すポリエステル繊維を組み合わせてなるものであるが、該混繊には常温の高圧空気流を使用した公知のインターレースノズルを使用することができる。高圧空気の圧力は処理する糸条の走行速度、インターレースノズルの種類、糸条の総デニール、フィラメント本数等によって適宜選定することが必要となるが大凡2〜6kg/cm2の範囲での使用が望ましい。
【0015】
本発明の複合微細捲縮付与軽量ポリエステル混繊糸はそのまま、あるいは公知の撚糸機を用いて施撚した後、製織編された後、通常の染色加工を施す。この染色加工工程における乾熱処理、湿熱処理によって複合微細捲縮付与軽量ポリエステル繊維は自己伸長発現すると共に紡糸工程で付与された潜在捲縮能を顕在化させ、ふくらみ感に富み、ソフトでかつドライ感を有する新規な風合いを示す布帛とすることができる。
【0016】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。勿論、本発明は以下の実施例になんら限定されるものではない。尚、本文中および実施例記載の各物性値は以下の測定方法によるものである。
(a) 固有粘度[η] (cc/g)
フェノールとテトラクロロエタンの等重量混合物を溶媒とし、ウベローデ粘度計を使用し20℃±0.5 ℃の恒温条件下で粘度数ηsp/cを求め、ηsp/cを溶液濃度℃に対してプロットし、c →0にηsp/cを外挿することにより[η]を求める。
(b) 160 ℃乾熱収縮率 SHD (%)
試料に1/30(g/d) の荷重を掛け、その長さL3(mm)を測定する。ついでその荷重を取り除き、試料を乾燥機に入れ乾熱 160℃で30分間乾燥する。乾燥後冷却し、再度1/30(g/d) の荷重を掛け、その長さL4(mm)を測定する。上記L3,L4 を下記式に代入し、乾熱収縮SHD を求める。
尚、測定回数5回の平均値をもってその測定値とする。
SHD (%)=(L3−L4)/ L3 ×100
(c) 捲縮 1/ρ(1/mm)
乾熱 160℃の処理温度にて試料を無緊張状態において、15秒間処理したのち、試料に生じた捲縮の螺旋径(mm)を測定する。
【0017】
(実施例1)
固有粘度[η]が、0.635cc/g であるポリエチレンテレフタレートセミダルレジンを使用し通常の溶融紡糸法によって紡糸速度3500m/min.で巻き取り未延伸糸80デニール48フィラメントを得た。繊維断面は図1に示したものである。
紡糸する際、紡糸口金より吐出された糸条を紡糸口金直下で室温の冷却空気流を該糸条に直交に1.0m/sec. の速度で片方から吹き当てて非対称冷却を施した。
該未延伸糸を雰囲気温度 210℃のスリットヒーター(非接触式加熱)を使用し弛緩率50%,加工速度250m/min. 、で弛緩熱処理を施した。該弛緩処理糸の乾熱収縮率SHD は-5%であり、実質的に糸条は自己伸長能を有するものであった。また、捲縮(1/ρ) は、15であり複合微細捲縮発現によって糸条は嵩高性に富むものとなっていた。また、中空率は28%であった。
【0018】
該弛緩熱処理後の未延伸糸と 160℃乾熱収縮率SHD 16%のポリエステル延伸糸75デニール12フィラメントをファイバーガイド社製インターレースノズルFG4 タイプを使用し、常温の高圧空気流にて混繊交絡処理を施し、混繊糸を得た。該交絡処理された混繊糸の交絡数Diは51ヶ/mであり取り扱い性には支障のないものであった。
【0019】
該混繊糸を村田機械社製ダブルツイスターNo310 にて撚糸した後、生機密度が経120本/in 、緯84本/in.のツイル組織に製織した。製織した布はくを精錬、リラックス処理した後、液流染色機を使用し減量率として20%のアルカリ減量加工を施した後、引き続き液流染色機を使用し分散染料によって染色加工を施し、通常のファイナルセットを行い、最終的に仕上げ密度が経 136本/in.、緯95本/in.の染色加工布を得た。
走査型電子顕微鏡にて該布の表面状態を観察したところ、弛緩熱処理された未延伸糸が自己伸長および複合微細捲縮発現してなる微細なループ状形態を多数形成しており、該布の表面は該ループ状形態によってほぼ覆われていることが確認された。該布は適度なふくらみ感(嵩高性)、ソフト感、ドライ感、はり感を有するものとなっていた。
【0020】
(実施例2)
固有粘度[η]が、0.635cc/g であるポリエチレンテレフタレートセミダルレジンを使用し通常の溶融紡糸法によって紡糸速度3300m/min.で巻き取り未延伸糸80デニール48フィラメントを得た。繊維断面は図1に示したものである。
紡糸する際、紡糸口金より吐出された糸条を紡糸口金直下で室温の冷却空気流を該糸条に直交に1.0m/sec. の速度で片方から吹き当てて非対称冷却を施した。該未延伸糸を延伸機にて、延伸温度80℃で 1.5倍の延伸をした後、巻き取り、延伸糸を得た。
該延伸糸を雰囲気温度 210℃のスリットヒーター(非接触式加熱)を使用し弛緩率50%,加工速度350m/min. 、で弛緩熱処理を施した。該弛緩処理糸の乾熱収縮率SHD は-3.7% であり、実質的に糸条は自己伸長能を有するものであった。また、捲縮 (1/ρ) は、25であり複合微細捲縮発現によって糸条は嵩高性に富むものとなっていた。また、中空率は33%であった。
【0021】
該弛緩熱処理後の延伸糸と 160℃乾熱収縮率SHD 16%のポリエステル延伸糸75デニール12フィラメントをファイバーガイド社製インターレースノズルFG4 タイプを使用し、常温の高圧空気流にて混繊交絡処理を施し、混繊糸を得た。該交絡処理された混繊糸の交絡数Diは63ヶ/mであり取り扱い性には支障のないものであった。
【0022】
該混繊糸を村田機械社製ダブルツイスターNo310 にて撚糸した後、生機密度が経 123本/in 、緯86本/in.のツイル組織に製織した。製織した布はくを精錬、リラックス処理した後、液流染色機を使用し減量率として20%のアルカリ減量加工を施した後、引き続き液流染色機を使用し分散染料によって染色加工を施し、通常のファイナルセットを行い、最終的に仕上げ密度が経 139本/in.、緯97本/in.の染色加工布を得た。
走査型電子顕微鏡にて該布の表面状態を観察したところ、弛緩熱処理された未延伸糸が自己伸長および複合微細捲縮発現してなる微細なループ状形態を多数形成しており、該布の表面は該ループ状形態によってほぼ覆われていることが確認された。該布は適度なふくらみ感(嵩高性)、ソフト感、ドライ感、はり感を有するものとなっていた。
【0023】
(比較例1)
固有粘度[η]が、0.635cc/g であるポリエチレンテレフタレートセミダルレジンを使用し通常の溶融紡糸法によって紡糸速度3500 m/min. で巻き取り未延伸糸80デニール48フィラメントを得た。繊維断面は丸中実である。
該未延伸糸を雰囲気温度 210℃のスリットヒーター(非接触式加熱)を使用し弛緩率50%,加工速度250m/min. 、で弛緩熱処理を施した。該弛緩処理糸の乾熱収縮率SHD は-6%であり、実質的に糸条は自己伸長能を有するものであった。捲縮 (1/ρ) は0であった。また、該弛緩熱処理後の未延伸糸と 160℃乾熱収縮率SHD 16%のポリエステル延伸糸75デニール12フィラメント をファイバーガイド社製インターレースノズルFG4 タイプを使用し、常温の高圧空気流にて混繊交絡処理を施し、混繊糸を得た。該交絡処理された混繊糸の交絡数Diは63ヶ/mであり取り扱い性には支障のないものであった。
【0024】
該混繊糸を村田機械社製ダブルツイスターNo310 にて撚糸した後、生機密度が経124本/in 、緯87本/in.のツイル組織に製織した。製織した布はくを精錬、リラックス処理した後、液流染色機を使用し減量率として20%のアルカリ減量加工を施した後、引き続き液流染色機を使用し分散染料によって染色加工を施し、通常のファイナルセットを行い、最終的に仕上げ密度が経 139本/in.、緯98本/in.の染色加工布を得た。
走査型電子顕微鏡にて該布の表面状態を観察したところ、弛緩熱処理された未延伸糸は自己伸長が発現してループ状形態を形成してマイクロパウダータッチを有していたが、該布は梳毛調としては、ふくらみ感(嵩高性)、ソフト感、ドライ感、はり感に欠けるものであった。
【0025】
(比較例2)
固有粘度[η]が、0.635cc/g であるポリエチレンテレフタレートセミダルレジンを使用し通常の溶融紡糸法によって紡糸速度3500m/min.で巻き取り未延伸糸80デニール48フィラメントを得た。繊維断面は図1に示したものである。
該未延伸糸を雰囲気温度 210℃のスリットヒーター(非接触式加熱)を使用し弛緩率50%,加工速度250m/min. 、で弛緩熱処理を施した。該弛緩処理糸の乾熱収縮率SHD は-5%であり、実質的に糸条は自己伸長能を有するものであった。また、捲縮 (1/ρ) は、0であった。また、中空率は28%であった。
【0026】
該弛緩熱処理後の未延伸糸と 160℃乾熱収縮率SHD 16%のポリエステル延伸糸75デニール12フィラメントをファイバーガイド社製インターレースノズルFG4 タイプを使用し、常温の高圧空気流にて混繊交絡処理を施し、混繊糸を得た。該交絡処理された混繊糸の交絡数Diは53ヶ/mであり取り扱い性には支障のないものであった。
【0027】
該混繊糸を村田機械社製ダブルツイスターNo310 にて撚糸した後、生機密度が経120本/in 、緯84本/in.のツイル組織に製織した。製織した布はくを精錬、リラックス処理した後、液流染色機を使用し減量率として20%のアルカリ減量加工を施した後、引き続き液流染色機を使用し分散染料によって染色加工を施し、通常のファイナルセットを行い、最終的に仕上げ密度が経134 本/in.、緯93本/in.の染色加工布を得た。
走査型電子顕微鏡にて該布の表面状態を観察したところ、弛緩熱処理された未延伸糸は自己伸長発現してループ状形態を形成しており、該布の表面は該ループ状形態によって覆われていることが確認された。しかし該布は梳毛調布はくとしては、ふくらみ感(嵩高性)、ソフト感、はり感に欠けるものとなっていた。
【0028】
(比較例3)
固有粘度[η]が、0.635cc/g であるポリエチレンテレフタレートセミダルレジンを使用し通常の溶融紡糸法によって紡糸速度3500m/min.で巻き取り未延伸糸80デニール48フィラメントを得た。繊維断面は図1に示したものである。
紡糸する際、紡糸口金より吐出された糸条を紡糸口金直下で室温の冷却空気流を該糸条に直交に1.0m/sec. の速度で片方から吹き当てて非対称冷却を施した。該未延伸糸を雰囲気温度 210℃のスリットヒーター(非接触式加熱)を使用し弛緩率0%, 加工速度250m/min. 、で弛緩熱処理を施した。該弛緩処理糸の乾熱収縮率SHD は3%であり、実質的に糸状は熱収縮を示すものであった。また、捲縮 (1/ρ)は、4であった。また、中空率は28%であった。
【0029】
該弛緩熱処理後の未延伸糸と 160℃乾熱収縮率SHD 16%のポリエステル延伸糸75デニール12フィラメントをファイバーガイド社製インターレースノズルFG4タイプを使用し、常温の高圧空気流にて混繊交絡処理を施し、混繊糸を得た。該交絡処理された混繊糸の交絡数Diは50ヶ/mであり取り扱い性には支障のないものであった。
【0030】
該混繊糸を村田機械社製ダブルツイスターNo310 にて撚糸した後、生機密度が経121本/in 、緯84本/in.のツイル組織に製織した。製織した布はくを精錬、リラックス処理した後、液流染色機を使用し減量率として20%のアルカリ減量加工を施した後、引き続き液流染色機を使用し分散染料によって染色加工を施し、通常のファイナルセットを行い、最終的に仕上げ密度が経 135本/in.、緯93本/in.の染色加工布を得た。
走査型電子顕微鏡にて該布の表面状態を観察したところ、定長熱処理された未延伸糸は自己伸長を発現しておらず、該布はふくらみ感(嵩高性)、ソフト感、に欠けるものとなっていた。
【0031】
【発明の効果】
本発明によると製織編後の通常の染色加工を施すことによって、繊維が自己伸長する際に繊維自身が有する潜在捲縮の顕在化と自己伸長自身による捲縮が複合された複合微細捲縮が発現し、複雑な複合ループを多数形成し、更に該ループが多層となって布帛表面を覆い、梳毛調布帛に好適な、適度のふくらみ感、ソフト感、ドライ感、はり感を有する織編物を提供することを可能とした。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の繊維断面の一例。
【図2】 本発明の繊維断面の一例。
Claims (1)
- 中空率10〜45%の異型断面からなり、捲縮( 1/ ρ)が5〜30、乾熱 160 ℃での収縮率 (SHD) が 0% 未満である複合微細捲縮付与軽量ポリエステル繊維と、乾熱 160 ℃での収縮率 (SHD) が正であるポリエステル繊維とを交絡度15〜100ケ/ m で混繊した混繊糸であり、且つ両繊維の160℃乾熱収縮率差 ( △ SHD) が5〜60%であることを特徴とする複合微細捲縮付与軽量ポリエステル混繊糸。
(但し、ρは乾熱 160℃において無張力状態の繊維を15秒間処理したときに生じる捲縮のらせん径(mm)である。SHD は乾熱 160℃で繊維を処理したときの収縮率(%) である。)
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