JPH09208924A - 被加工物用保持剤およびそれを用いた被加工物の脱着方法 - Google Patents

被加工物用保持剤およびそれを用いた被加工物の脱着方法

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JPH09208924A
JPH09208924A JP1918996A JP1918996A JPH09208924A JP H09208924 A JPH09208924 A JP H09208924A JP 1918996 A JP1918996 A JP 1918996A JP 1918996 A JP1918996 A JP 1918996A JP H09208924 A JPH09208924 A JP H09208924A
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temperature
worked
surface plate
wafer
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Toshiaki Kasazaki
敏明 笠崎
Hajime Shimizu
肇 清水
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Nitta Corp
Original Assignee
Nitta Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】被加工物を研磨時には高精度にしかも安定的に
研磨機定盤に粘着固定し、研磨機定盤から剥離する際に
は容易に剥離ならしめ、しかも従来の有機溶剤や界面活
性剤による洗浄を必要としない被加工物用保持剤および
該保持剤を用いた被加工物の脱着方法を提供すること。 【解決手段】約15℃より狭い温度範囲にわたって起こ
る第1次溶融転移を持つポリマーを含有するポリマー組
成物から成る被加工物用保持剤。ポリマー組成物には、
側鎖結晶可能ポリマーが、前記ポリマー組成物を室温以
下の温度ではほぼ非粘着性に、またそれより上の温度で
は粘着性にするのに十分な量だけ存在する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体ウエハ、精
密ガラス等の被研磨部材を研磨機等の定盤に保持し研磨
加工するにあたって、その被研磨部材の保持に使用され
る保持剤、並びに該研磨用ウエハ、精密ガラス等のため
の保持剤を研磨機の定盤に装着する方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体業界においては、ICの集
積度が飛躍的に増大し、4M、16M、さらには64M
へと進行中である。
【0003】このような状況下では、ICの基盤である
ウエハ表面の品質の向上に対する要求がますます高まっ
てきている。化学的、電気的性状も当然のことである
が、ICの集積度を高めるためには、ウエハ上に設けら
れるデバイスを構成する最小線幅を狭くする必要があ
り、例えば、線幅0.5ミクロンから0.35ミクロン
へと要求は高くなりつつある。このような高精細な処理
を可能ならしめる為に、物理的にウエハ表面の平坦性、
すなわち厚み精度に対する要求はますます強くなってき
ている。すなわち、最終の鏡面仕上げ研磨後のウエハ
は、全面積にわたる厚み不同(Total,thick
ness variation)(TTV)が1ミクロ
ン以下、1個のICチップとなるべき20mm平方にわ
たる厚み不同(Local thickness va
riation)(LTV)が0.2ミクロン以下、が
要求されるようになってきている。
【0004】この要求精度を達成するために、ウエハの
研磨工程において、ウエハを研磨機の定盤に正確に、か
つ定盤面に平行に装着することが必要となる。
【0005】一般にウエハを研磨機定盤に装着するには
ワックスが使用されている。この方法は、定盤を加熱し
て表面に溶融したワックスを塗布し、これを介してウエ
ハを定盤面に固着させて研磨作業を行い、研磨加工後再
び定盤を加熱してワックスを融解してウエハを取り外
し、有機溶剤を以て洗浄して付着したワックスを除去す
るものである。
【0006】この方法は研磨ウエハの厚み不同は少ない
ので満足されるものであるが、ワックスの加熱溶融とい
う熱工程の存在、ウエハ表面からのワックスの洗浄除去
のために有害な有機溶剤を多量に使用する、およびワッ
クス中にゲル化物や外来粉塵が含まれているとそれらの
存在が研磨中にウエハ表面のディンプルとして転写され
研磨の仕上り状態を悪化させる、等の欠点あった。ま
た、この洗浄によってウエハ表面が微妙にエッチングさ
れるという欠点もあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のウエ
ハ、精密ガラス等の被加工物を研磨機定盤へ固定し、お
よび研磨機定盤から剥離する際の問題点を解決するもの
であり、その目的は被加工物を研磨時には高精度にしか
も安定的に研磨機定盤に粘着固定し、研磨機定盤から剥
離する際には容易に剥離ならしめ、しかも従来の有機溶
剤や界面活性剤による洗浄を必要としない被加工物用保
持剤および該保持剤を用いた被加工物の脱着方法を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の被加工物用保持
剤は、約15℃より狭い温度範囲にわたって起こる第1
次溶融転移を持つポリマーを含有するポリマー組成物か
ら成り、そのことにより上記目的が達成される。
【0009】上記ポリマー組成物には、側鎖結晶可能ポ
リマーが、該ポリマー組成物を室温以下の温度ではほぼ
非粘着性に、またそれより上の温度では粘着性にするの
に十分な量だけ存在することが好ましい。
【0010】そのような被加工物用保持剤の基本的構成
は、特公平5−47392号公報に於いて開示されてい
る。
【0011】また、本発明の被加工物の脱着方法は、上
記被加工物用保持剤を、温度T1の研磨機定盤上および
被加工物の少なくともいずれか一方に塗布して、該被加
工物を該保持剤にて該研磨機定盤上に貼着し、該被加工
物を研磨後、該保持剤を前記温度T1より低い温度T2に
冷却することにより該被加工物を該研磨機定盤上から取
り外すことを特徴とし、そのことにより上記目的が達成
される。
【0012】
【発明の実施の形態】
(被加工物用保持剤)本発明に使用される約15℃より
狭い温度範囲にわたって起こる第1次溶融転移を持つポ
リマーを含有するポリマー組成物は、日本特許出願公表
平4−507425号に於いて開示されているものであ
り、このポリマー組成物には、側鎖結晶可能ポリマー
が、該ポリマー組成物より構成される保持剤を室温以下
の温度では、ほぼ非粘着性に、またそれより上の温度で
は粘着性にする特性を示すのに十分な量だけ存在するも
のである。
【0013】該保持剤を構成するポリマー組成物の実施
態様としては、米国 ランデックラブズ インコーポレ
ーテッドより販売されている側鎖結晶化可能および主鎖
結晶化可能ポリマーを用いるのが好適であり、これら
は、温度依存接着特性を示すポリマーを含むものであ
る。該ポリマー組成物に使用され得る結晶化可能ポリマ
ーは、側鎖結晶化可能および主鎖結晶化可能ポリマーを
共に含み得る。違いは前者のクラスの化合物は結晶化可
能側鎖部分を含み、後者のクラスはその骨格構造により
結晶化可能とされることである。
【0014】本明細書で使用される「融点」または「第
1次転移」という用語は、ある平衡プロセスにより、最
初は秩序ある配列に整合されていたポリマーの特定の部
分が無秩序状態となる温度を意味する。「凍結点」とい
う用語は、ある平衡プロセスにより、最初は無秩序状態
であったポリマーの該特定部分が秩序ある配列に整合さ
れる温度を意味する。一つの実施態様では、好ましく
は、ポリマーの第1次転移温度または融点は約20℃から
35℃の範囲、さらに好ましくは約25℃から30℃の範囲で
ある。溶融は急速に、すなわち約10℃より小さい、好ま
しくは約5℃より小さい比較的狭い温度範囲において起
こることが好適である。ポリマー組成物は単純な冷却
法、例えば氷、氷袋などを加えることにより接着性が失
われるポリマーを備えている。他の実施態様において
は、ポリマーは、好ましくは約10℃から28℃の範囲、さ
らに好ましくは約15℃から25℃の範囲の、被加工物温度
より低い凍結(すなわち「結晶化」)点をもっている。
ポリマーが急速に結晶化することもまた好適である。こ
の点に関しては、シーディング剤すなわち結晶化触媒
を、急速結晶化動力学を提供するポリマーに混入し得
る。この実施態様においては、被加工物から保持剤を剥
離することが非常に容易となる。使用後は使用温度より
ほんの僅か低い温度に単純に冷却することにより被加工
物に不当な傷を付けることなく容易に剥離され得る。
【0015】ポリマーは、好ましくは、重量平均分子量
が約20,000から2,300,000ダルトン、代表的には100,000
から1,300,000ダルトン、最も代表的には250,000から1,
000,000ダルトンの範囲である結晶化可能ポリマーまた
は結晶化可能ポリマーの機能上の等価物である。本発明
のための結晶化可能ポリマーの「機能上の等価物」であ
るポリマーにより、上述の温度依存接着特性を示すポリ
マーを含むものである。ポリマー組成物に混入するため
に選択されるポリマーは、望ましい相転移温度、接着強
さ、および粘着性をもつ組成物を提供する、実施態様に
より異なるモノマーを有する。ポリマー組成物はまたこ
こで述べるように2つ以上の異なるポリマーの混合物を
含有するように処方され得る。
【0016】「櫛状」ポリマーとも呼ばれる側鎖結晶化
可能ポリマーはよく知られており市販されている。これ
らポリマーはJ. Polymer Sci.: Macromol. Rev. 8:117-
253(1974)にてレビューされている。この開示は本明細
書において参考として援用されている。
【0017】一般に、これらポリマーは下記の式のモノ
マーユニットXを含む。
【0018】 式中、Mは骨格原子、Sはスペーサーユニット、および
Cは結晶化可能な基である。これらのポリマーは、通常
は少なくとも約20ジュール/gの、好ましくは少なく
とも約40ジュール/gの溶融熱(△Hf)をもつ。ポ
リマーは「X」により表される50から100vt.%
モノマーユニットを含有する。ポリマーが100%より
少ないXを含有する場合は、「Y」または「Z」または
その両者により表され得るモノマーユニットをさらに含
有する。ここでYは、Xおよび/またはZと重合化可能
な極性のまたは無極性のモノマー、もしくは極性のまた
は無極性のモノマーの混合物であり、Zは極性のまたは
無極性のモノマーの混合物である。これら極性のモノマ
ー、例えばポリオキシアルキレン、ヒドロキシエチルア
クリレートを含有するアクリレート、アクリルアミド、
およびメタクリルアミドは、代表的にはほとんどの基材
に対して接着性を増大させる。
【0019】ポリマーの骨格(「M」により定義され
る)は有機構造体(脂肪族または芳香族の炭化水素、エ
ステル、エーテル、アミドなど)であり得、または無機
構造体(スルファイド、ホスファジン、シリコンなど)
であり得、また適切な有機または無機のユニット、例え
ばエステル、アミド、炭化水素、フェニール、エーテ
ル、またはイオン塩(例えばカーボキシル−アルキルア
ンモニウムまたはスルフォニウムまたはホスホニウムイ
オンペア、またはその他既知のイオン塩ペア)であり得
るスペーサ結合を含み得る。
【0020】側鎖(「S」および「C」により定義され
る)は脂肪族または芳香族、もしくは脂肪族と芳香族の
組合せであり得るが、結晶状態に入り得るものでなけれ
ばならない。通常の例としては、少なくとも10個の炭
素原子の線形の脂肪族側鎖、例えばC14−C22 アクリ
レートまたはメタクリレート、アクリルアミド、ビニル
エーテルまたはエステル、シロキサンまたはアルファオ
レフィン、少なくとも6個の炭素のフッ素化脂肪族側
鎖、およびアルキルが8から24個の炭素原子よりなる
p−アルキルスチレン側鎖がある。
【0021】側鎖部分の長さは、通常は、アクリレー
ト、メタクリレート、ビニルエステル、アクリルアミ
ド、メタクリルアミド、ビニルエーテル、およびアルフ
ァオレフィンの場合の側鎖間の距離の5倍より大であ
る。フルオロアクリレートのブタジエンとの交互ポリマ
ーの極端な場合では、側鎖は、分岐間の距離のたった2
倍の長さであり得る。いずれにしても、側鎖ユニットは
ポリマーの容積の50%より大きい、好ましくは容積の65%
より大きい部分を形成する。
【0022】側鎖結晶化可能モノマーの特定の例として
は、J. Poly. Sci. 10:3347 (1972)、J. Poly. Sci. 1
0:1657 (1972)、J. Poly. Sci. 9:3367 (1971)、J. Pol
y. Sci. 9:3349 (1971)、J. Poly. Sci. 9:1835 (197
1)、J.A.C.S. 76:6280 (1954)、J. Poly. Sci. 7:3053
(1969)、Polymer J. 17:991 (1985)に記載のアクリレー
ト、フルオロアクリレート、メタクリレート、およびビ
ニルエステルポリマー、対応するアクリルアミド、置換
アクリルアミドおよびマレイミドポリマー(J. Poly. S
ci.: Poly. Physics Ed. 18:2197 (1980))、J. Poly.
Sci.: Macromol.Rev. 8:117-253 (1974)およびMacromol
ecules 13:12 (1980)に記載のものなどのポリ(α−オ
レフィン)ポリマー、Macromolecules 13:15 (1980)に
記載のものなどのポリアルキルビニルエーテル、ポリア
ルキルエチレンオキシド、Poly. Sci. USSR 21:241、Ma
cromolecules 18:2141記載のものなどのアルキルホスフ
ァゼンポリマー、ポリアミノ酸、Macromolecules 12:94
(1979)に記載のものなどのポリイソシアネート、Macro
molecules 19:611 (1986)に記載のものなどの、アミン
またはアルコール含有モノマーを長鎖アルキルイソシア
ネートと反応させることにより調製されるポリウレタ
ン、ポリエステルおよびポリエーテル、ポリシロキサン
およびポリシラン、そしてJ.A.C.S. 75:3326 (1953)お
よびJ. Poly. Sci.60:19 (1962)に記載のものなどのp
−アルキルスチレンポリマーがある。
【0023】比較的極性でしかも結晶化可能であるが、
結晶となる部分は水分に影響されないポリマーは特定の
用途をもつ。例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシ
プロピレン、ポリオキシブチレンまたはコポリオキシア
ルキレンユニットをポリマーに混入すると、ポリマーは
より極性となり、湿った被加工物への接着を向上させ
る。
【0024】上記の構造における、本明細書で特に好適
な実施態様においては、-Cは-(CH2)n-CH3および-(CF2)n
-CF2Hよりなるグループから選択される。ここでnは8か
ら20までの8および20を含む整数であり、-S-は-O-、-CH
2-、-(CO)-、-O(CO)-、および-NR-よりなるグループか
ら選択され、ここでRは水素または低級アルキル (1-6
C)、そして-M-は-[(CH2)m-CH]-であり、ここでmは0から
2である。
【0025】代表的な「Y」ユニットは線形または分岐
状のアルキルまたはアリルアクリレートまたはメタクリ
レート、アルファオレフィン、線形または分岐状アルキ
ルビニルエーテルまたはビニルエステル、マレインエス
テルまたはイタコン酸エステル、アクリルアミド、スチ
レンまたは置換スチレン、アクリル酸、メタクリル酸お
よび親水性のモノマーである。これらは上述のWO84/038
7に詳述されている。
【0026】上述のモノマーユニット「M-S-C」に加え
て、次のモノマー構造をポリマー中に追加してまたは代
わりに存在させ得る。
【0027】 「D」はポリオキシアルキレン鎖(例えばポリオキシエ
チレン)などの親水性のポリエーテル鎖であり、「C」
と対照的に、結晶化され得るかまたはされ得ない。
「D」は好ましくは約100ダルトンより高い分子量をも
つ。
【0028】複数の立体規則性形態で存在し得るポリオ
レフィンの場合において重要なことは、粘着性および非
粘着性状態の間の転移をはっきりさせるために、ポリマ
ーの立体規則性を注意して選択しなければならないとい
うことである。ポリマーは単一の形状、すなわちアタク
チック、シンジオタクチック、またはアイソタクチック
のいずれかにおいて存在し得るが、融点が偶然に一致し
ない限りは立体規則性物の混合物としては存在し得な
い。異なる融点の様々な立体規則性のポリマーの混合物
をもつことにより、転移の幅が広がり、その結果得られ
るポリマーは狭い温度範囲において接着特性の緩やかな
変化を示す結果となる。
【0029】好適な主鎖の結晶化可能ポリマーは水溶性
ポリアルキレンオキシド、低級アルキルポリエステル、
およびポリテトラヒドロフランを含む。
【0030】側鎖または主鎖のいずれの結晶化可能ポリ
マーも橋かけ結合され得る、またはされ得ない。ポリマ
ー組成物を橋かけ結合することは、高分子量のポリマー
を使用することと同様に、通常は、溶融の流れは減少
し、また橋かけ結合しない低分子量の物質より粘着強さ
が増大する。ポリマー組成物はポリマーの溶融点より高
い温度で使用され得るため、溶融の流れは小さい方が望
ましく、これにより保持剤は基材表面へ移動、流動また
は移行しない。(すなわち、従来の「ホットメルト」接
着剤とは対照的に)。従って粘着し損なうことのないよ
うに十分な粘着強さをもつポリマー組成物が望ましい。
低い溶融の流れと適切な粘着強さは、ブロック共重合ま
たは他の当該分野では既知の方法の使用により、適切な
コモノマー(例えば高Tgモノマー)の添加、または保
持剤の調製前、調製中、または調製後に橋かけ結合を誘
引することなどの他の手段により達成され得る。
【0031】橋かけ結合された結晶化可能物質を生成す
るのに様々な方法が利用可能である。結晶化可能モノマ
ーおよび多官能性モノマーを1段階または2段階のいず
れかで重合することによりネットワークコポリマーが調
製され得る。1段階プロセスは保持剤を適所に形成され
得、一方2段階プロセスは中間の処理段階が必要な場合
に使用される。様々な多官能モノマー(2、3、または
多官能アクリル酸またはメタクリル酸エステル、ビニル
エーテル、エステル、またはアミド、イソシアネート、
アルデヒド、エポキシなど)が当該分野では知られてい
る。これらの多官能性モノマーは所望の結果により1段
階または2段階プロセスにて使用され得る。コポリマー
を添加してまたは添加しないで予め形成された結晶化可
能ポリマーを橋かけ結合するためには、イオン化放射、
例えばベータまたはガンマ放射、過酸化物、シランまた
は同様の硬化剤を使用し得る。イオン橋かけ結合は例え
ば酸性ポリマーサイトを2または3価の金属塩または酸
化物と反応させて橋かけ結合サイトとして働く錯体を生
成することにより形成され得る。同様に有機塩または錯
体は当該分野で既知の方法により調製され得る。
【0032】物質が過剰な程度まで橋かけ結合される
と、結晶性および/または粘着性は、所望の温度活性特
性が失われる点まで減少し得る。上述の要因を最適化す
るためには、橋かけ結合は約0.01パーセントから5モル
パーセントまで、好ましくは.05から1モルパーセント
の範囲であるべきである。橋かけ結合されたポリマーは
通常は、少なくとも約20ジュール/g、好ましくは少なく
とも30ジュール/gの溶融熱をもつ。
【0033】効果的な橋かけ結合は物理的な方法によっ
てもまた得られ得る。例えば、結晶化可能な部分を含む
ブロックコポリマー、および結晶化可能ポリマーより高
いガラス転移または融点を示す第2部分が調製され、全
質量が結晶化可能ポリマーの融点より高いが第2ポリマ
ーの転移より低いところで物理的な安定性を示す。
【0034】前述のように、ポリマー組成物が、該組成
物の第1次溶融転移が約15℃より狭い、好ましくは約10
℃より狭い範囲において起こるように選択されたポリマ
ーまたはポリマーの混合物で処方され得ることがまた好
ましい。溶融転移が約5℃と約50℃の間で起こることも
また好適である。さらに、組成物は、溶融範囲以上に上
昇すると1分足らずの内に粘着性があらわれ、次に、い
かなる基材にも接触させることなく、温度が溶融範囲よ
り2、3℃でも下がると非粘着性状態に戻ることが必要
である。この逆戻りに要する時間は約5分より短いこと
が必要である。後者の粘着性値(PKI)は好ましくは
約25 g・cm/秒より低い、または粘着性測定計器の最小
値である。
【0035】ここで有用なポリマー組成物は、1つ以上
の上述のポリマーに加えて、粘着性付与剤(樹木のロジ
ン、ポリエステルなど)、酸化防止剤、繊維質または非
繊維質の充填剤、着色料などの従来の添加物を含有し得
る。また、全体的な温度感応特性が有意に影響されるこ
とがない場合は、さらに接着剤を含有させることも可能
である。ポリマー組成物中の結晶化可能ポリマーの量は
約40重量%から約100重量%の範囲であることが好適で
ある。
【0036】温度活性ポリマー組成物を被加工物にコー
トするには、例えばスプレー堆積、塗装、浸漬、グラビ
ア印刷、圧延などの多くの方法により行うことができ
る。ポリマー組成物はまた、転写印刷の場合と同様の方
法でリリースシートからの転写により塗布され得る。組
成物はそのままで、または適切な溶剤により、またはエ
マルジョンもしくはラテックスとして塗布され得る。適
当なモノマーおよび添加物を直接、基材に塗布し、その
場で熱、放射、またはその他の適切な当業者には既知の
方法により硬化され得る。
【0037】(被加工物の脱着方法)上記構成の保持剤
を用いて、被加工物を研磨機定盤に装着するにあたって
は、例えば、以下のように行うことができる。
【0038】先ず研磨機定盤を取り外して清浄し、スピ
ンコータにて保持剤を定盤に塗布するか、もしくは平板
状の被加工物に於いては、同様にスピンコータで保持剤
を被加工物に塗布する。次いで、両者もしくは一方を約
35〜50℃に加温しながら圧着する。この際、被加工
物が半導体ウエハである場合は、保持剤を軽く湾曲させ
て中央部から先に被加工物に接触するように加圧するこ
とが望ましい。
【0039】加温方法は、赤外線ヒータにて赤外線を照
射する、温風を吹き付ける、あるいは温水を当てる等に
よって行うことができる。温熱器等に保持剤が付着した
ウエハ等の被加工物を配置してもよい。
【0040】上記のような方法で被加工物を研磨機定盤
に供し、被加工物の加工を行った後、被加工物を取り外
す際には、少なくとも該保持剤を常温より約5℃程度冷
却することで、即ち約20℃とすることで、被加工物に
取付けられた温度活性の保持剤の接着性が急速に低下
し、剥離強度は約0.1kg/inch以下に低下し、
容易に定盤面から被加工物を剥離できる。このとき被加
工物への保持剤の残存は検知出来ない程度である。冷却
するには、例えば、冷水をかける、冷風を吹き付ける等
によって行うことができる。
【0041】このような温度依存接着特性を示すポリマ
ーを含むポリマー組成物は、レンズ、プリズム、その他
精密研磨ガラスの研磨加工時の保持剤にも利用できる
し、また他の薄いシート基材に予め均一な厚みに薄く塗
布しておき、シート基材をポリマー組成物から剥して、
該ポリマー組成物を被加工物に接着固定しても良い。
【0042】この様に、温度依存接着特性を示すポリマ
ーを含む保持剤(温度活性感圧保持剤)を用いて被加工
物を定盤に貼り付けた場合は、従来のワックスもしくは
感圧性接着剤を用いた場合に比較して、研磨作業終了後
の洗浄作業が格段に容易となり、その加工面の品質も格
段に向上させることができる。
【0043】
【実施例】
(実施例1)ランデック社製の温度活性感圧粘着剤(粘
度10cps、固形分10%)を、直接8インチのシリ
コンウエハにスピンコータを用いて、0.20ミクロン
の厚みにコーティングし、研磨機のセラミック製上定盤
(セラミックキャリア)に圧着させた。このときの接着
温度は35℃であった。その後、表1の加工条件でウエ
ハの加工を行った。研磨終了後、セラミックキャリアに
貼り付けたウエハに約10℃に冷却した純水を5分間掛
け流し、ウエハをセラミックキャリアから剥離した。そ
の後、このウエハ裏面の有機物の残量を後述のTDS法
に従って測定したが全く有機物を検出できなかった。
【0044】(実施例2)ランデック社製の温度活性感
圧粘着剤(粘度10cps、固形分10%)を直接、研
磨機のセラミックキャリアーにスピンコータを用いて、
0.20ミクロンの厚みにコーティングし、シリコウエ
ハを圧着させた。このときの接着温度は35℃であっ
た。その後、表1の加工条件でウエハの加工を行った。
研磨終了後、セラミックキャリアに貼りつけたウエハに
約10℃に冷却した純水を5分間掛け流し、ウエハをセ
ラミックキャリアから剥離した。その後、このウエハ裏
面の有機物の残量をTDS法に従って測定したが全く有
機物を検出できなかった。
【0045】(比較例1)実施例2と同様に、半導体ウ
エハ用水溶性ワックス(粘度10cps、固形分1O
%)を直接、研磨機のセラミックキャリアーにスピンコ
ータを用いて、0.20ミクロンの厚みにコーティング
し、シリコウエハを圧着させた。このときの接着温度は
80℃であった。その後、表1の加工条件でウエハの加
工を行った。研磨終了後、セラミックキャリアに貼り付
けたウエハをピックを用いて剥離し、ウエハを純水で洗
浄し、ウエハ裏面の有機物の残量を観察したが、目視で
ワックスの残りが観察され、有機溶剤の洗浄を必要とし
た。
【0046】(実施例3)ランデック社製の温度活性感
圧粘着剤(粘度90cps、固形分30%)を、直接B
K7製プリズム(20mm×20mm)に塗布し、研磨
機の上定盤に圧着させた。このときの接着温度は35℃
であった。その後、表2の加工条件でプリズムの加工を
行った。研磨終了後、上定盤に貼り付けたプリズムに約
10℃の冷却した純水を5分間掛け流し、プリズムを上
定盤から剥離した。その後、このプリズムの光透過率測
定したが、光透過率は十分高かった。
【0047】(比校例2)市販のロジンワックス(粘度
100cps、固形分50%)を、直接BK7製プリズ
ム(20mm×20mm)に塗布し、研磨機の上定盤に
圧着させた。このときの接着温度は100℃であった。
その後、表2の加工条件でプリズムの加工を行った。研
磨終了後、上定盤に貼り付けたプリズムを加温し、プリ
ズムを上定盤から剥離した。その後、このプリズムの光
透過率を測定したところ、ワックスが多量に付着してお
り、光透過率は非常に低く、洗浄を必要とした。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】(実施例4)次に、ポリマー組成物からな
る保持剤によるウエハへの汚染程度のTDS(Thermal
Desorption Spectroscopy)法による測定結果を示す。
【0051】A.保持剤の調製 以下のモノマー組成、還元トルエン及びAIBNを混合
し、窒素雰囲気中60℃で12時間加熱してポリマーを調製
し保持剤とした。
【0052】保持剤2〜5は、ドデシルヘキシルアクリ
レート/ヘキシルアクリレート/アクリル酸を使用し、
その重量比率は次の通りである。
【0053】保持剤6は、ドデシルヘキシルアクリレー
ト/メチルアクリレート/アクリル酸を使用し、その重
量比率は次の通りである。
【0054】保持剤7は、ドデシルヘキシルアクリレー
ト/ヘキシルアクリレート/アクリル酸ヒドロキシエチ
ルを使用し、その重量比率は次の通りである。
【0055】 (1)ブランク (2)保持剤2:78.6/14.4/7 (3)保持剤3:82/15/3 (4)保持剤4:82/15/3 (5)保持剤5:80.3/14.7/5 (6)保持剤6:75/20/5 (7)保持剤7:80.3/14.7/5 B.上記保持剤2〜7をウエハの裏面に塗布して試料2
〜7を作製した。ブランクの試料としては、ロデールニ
ッタ社製のテンプレートブランクを使用した水貼りで研
磨を実施した。
【0056】C.上記試料を研磨機の下定盤に装着し、
以下の条件で研磨した。その後、研磨したウエハを5℃
の純水中に浸漬して保持剤を固化させた。この保持剤を
ウエハ裏面から手で剥ぎ取った。次いで、目視レベル
で、ウエハ表面に保持剤が存在しないよう水で洗浄し
た。その後、ウエハに残った有機物質の分析を行った。
【0057】研磨条件: 使用研磨機 STARSBAUGH・6CA(20インチ径下定
盤) 回転数−下定盤:115rpm、キャリアプレート:10
0rpm 加圧圧力 400g/cm2(ウエハ−単位面積当た
り) 研磨スラリー Nalco2350(ナルコケミカルカ
ンパニー(米国)社製)を純水で20倍希釈したもの 使用研磨布 Suba600(ロデール・ニッタ
(株)社製) 被加工物 4インチ径 P(100)酸エッチドウ
エハ D.TDS分析は以下の方法に従って実施した。
【0058】TDS分析は、EDM−WA1000(電
子科学製)を用いた。
【0059】TDSスペクトル:M/z=1、2、1
5、16、18、28、32、44について、TDSス
ペクトルを測定した。昇温速度を60℃/分で800℃
まで加熱した。
【0060】M/zと対応するイオンは次の通りであ
る。
【0061】
【表3】
【0062】TDSスペクトルからピーク面積を求め
て、試料の重量で割って規格化した脱離量を表4に示
す。また、これをグラフ化したものを図1に示す。これ
らの結果から、試料1〜6で脱離量が若干多くなってい
ることがわかるが、顕著な差ではなく保持剤がウエハ裏
面にほとんど残っていないことがわかる。
【0063】
【表4】
【0064】
【発明の効果】本発明によれば、保持剤の温度を変える
だけで、その被加工物に対する粘着性を調節することが
できるので、被加工物を研磨する際には保持剤を粘着性
を有する状態に保って研磨機定盤に装着することによっ
て高精度にしかも安定的に研磨機定盤に粘着固定でき、
また被加工物を研磨機定盤から剥離する際には保持剤を
冷却することによって該研磨機定盤から容易に剥離させ
ることができる。このように、被加工物には従来のよう
に有機溶剤や界面活性剤による汚染やエッチング等がな
く、研磨の仕上がり状態を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】各保持剤を用いて得られたウエハのTDSスペ
クトルからピーク面積を求めて、これを試料の重量で割
って規格化した脱離量を示すグラフである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 約15℃より狭い温度範囲にわたって起
    こる第1次溶融転移を持つポリマーを含有するポリマー
    組成物から成る被加工物用保持剤。
  2. 【請求項2】 前記ポリマー組成物には、側鎖結晶可能
    ポリマーが、該ポリマー組成物を室温以下の温度ではほ
    ぼ非粘着性に、またそれより上の温度では粘着性にする
    のに十分な量だけ存在する請求項1記載の被加工物用保
    持剤。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の被加工物用保持剤を、
    温度T1の研磨機定盤上および被加工物の少なくともい
    ずれか一方に塗布して、該被加工物を該保持剤にて該研
    磨機定盤上に貼着し、該被加工物を研磨後、該保持剤を
    前記温度T1より低い温度T2に冷却することにより該被
    加工物を該研磨機定盤上から取り外すことを特徴とする
    被加工物の脱着方法。
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