JP3717583B2 - 易剥離性ラベルおよびその剥離方法 - Google Patents

易剥離性ラベルおよびその剥離方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビール瓶やその他のアルコールや清浄飲料水用の瓶や缶など、リサイクルして使用される包装容器に貼付されるラベルに関し、特に包装容器から容易に剥離して除去できる易剥離性ラベルとその剥離方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、ビール瓶などの包装容器をリサイクルして再使用する前には、該包装容器に貼付されていたラベルを剥し、包装容器を洗浄する必要がある。ところが、ビール瓶等は種々の環境条件にさらされる流通過程を経た後、冷蔵されるためにラベルはその途中で不測にはがれることがないように適当な接着剤にて強固に接着されており、そのラベルを剥す作業は容易ではない。
【0003】
従来では、加温された苛性ソーダ溶液中にビール瓶を所定時間浸漬して、ラベルの接着剤を軟化させた後、ビール瓶の外周面にほぼ接線方向から高圧水を噴射するようにした剥離装置に送り込み、ラベルの一側縁に向けて高圧水を噴射することによってラベルの一側縁をめくり上げ、その状態からビール瓶を回転させてラベルを順次剥している。その後、ビール瓶の外周面に強固に残留、付着した接着剤をゴムローラやブラシで擦り取って除去している。
【0004】
しかし、上記のようなラベルの剥離除去方法では、苛性ソーダ溶液への浸漬時間が長く、また高圧水によるラベルの剥離及びゴムローラやブラシによる接着剤の除去工程を経る必要があり、完全に除去するまでに長時間を要すると共に、大がかりな設備を必要とするため、コスト高となるという問題があった。
【0005】
また瓶の横断面形状が四角形等の異形瓶には適用できず瓶の形状が限定される等の問題もあり、そのため異形瓶はリサイクルできないという問題があった。
【0006】
特開平4−350893号公報には、所定温度以上に加熱されると接着力が低下する接着剤層または所定以上の光強度の光照射を受けると接着力が低下する接着剤層にてビール瓶にラベルを貼付することが提案されている。
【0007】
ここで使用される接着剤層としては、所定温度以上で接着力が低下する接着剤層では、水溶性接着剤にワックス、アミド化合物、ビスフェノール類などの融点が40〜100℃の粉状の化合物を練り込んだものや、水溶性接着剤に酢酸ビニールなど軟化温度が40〜100℃のホットメルト接着剤を混合したものが使用されている。また、所定以上の光強度の光照射を受けると接着力が低下する接着剤層としては、クレゾールノボラックとナフトキノンジアジド混合物等のポジ型フォトレジスト系接着剤を含むものが提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、光照射でラベルの接着力を低下させる方法では、ラベルの支持体や包装容器が光を透過できるものに限られ、さらに光照射装置を必要とするためコスト高となるという欠点がある。
【0009】
また上記の加熱してラベルの接着力を低下させる方法では、有効に剥離強度を低下させるには加熱温度を比較的高い温度で包装容器を加熱する必要があり、強度低下が小さく、またワックス、アミド化合物等の添加物が包装容器に残存するおそれがある。
【0010】
本発明は、上記の欠点を解消するためになされたものであり、その目的とするところは、比較的低コストであり、かつ基材や包装容器が光透過性のものに限られることがなく、また接着剤層が包装容器に残存することがなく、所定温度以下の冷却によって接着力を大きく低下させることで包装容器から容易に剥離、除去することができる易剥離性ラベルとその剥離方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の包装容器用の易剥離性は、支持体と、該支持体の片面に積層された接着剤層と、を有し、該粘着剤層が、15℃より狭い温度範囲にわたって起こる第1次溶融転移を持つポリマーを含有するポリマー組成物からなり、該ポリマーが、テトラデシルアクリレート30〜60重量部とドデシルアクリレート40〜60重量部とアクリル酸2〜10重量部との共重合体であることを特徴とし、そのことにより上記目的が達成される。
【0012】
上記ポリマーは側鎖結晶化可能ポリマーであり、該側鎖結晶化可能ポリマーが、該ポリマー組成物を5℃以下の温度ではほぼ非粘着性に、またそれより上の温度では粘着性にするのに十分な量だけ該ポリマー組成物中に存在することが好ましい。
【0013】
上記側鎖結晶化可能ポリマーは、炭素数10以上の直鎖状アルキル基を側鎖とするアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを主成分とするポリマーであるのが好ましい。
【0014】
本発明の易剥離性ラベルの剥離方法は、上記易剥離性ラベルが貼付された包装容器を、0℃以下に冷却する工程、および該包装容器が冷却された状態で、該易剥離性ラベルを該包装容器から剥離する工程、を包含し、そのことにより上記目的が達成される。
【0015】
本発明の作用は次の通りである。
【0016】
本発明の易剥離性ラベルに使用する接着剤層は、約15℃より狭い温度範囲にわたって起こる第1次溶融転移を持つポリマーを含有するポリマー組成物からなることにより、所定温度以下に冷却すると、接着剤層の接着力が急速に低下する。従って、易剥離性ラベルが貼付された包装容器を冷却すれば、易剥離性ラベルを包装容器から容易に剥離、除去することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の易剥離性ラベルに使用される支持体としては、紙、合成樹脂フィルム、アルミニウム箔の単体またはこれらの積層体等、従来からラベル支持体として使用されているものが使用できる。通常、この支持体の表面には表示印刷層が形成されている。
【0018】
該支持体の裏面に接着、積層されている接着剤層は、炭素数が10以上の直鎖状アルキル基を側鎖とするアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを主成分とする側鎖結晶化可能ポリマーを含有し得る。該接着剤層には、該側鎖結晶化可能ポリマーが、該接着剤層を所定温度以下の温度ではほぼ非粘着性に、またそれより上の温度では粘着性にするのに十分な量だけ存在し得る。該所定温度は、該ポリマーの構造、接着剤層の処方等を変えることにより適宜変更することができる。例えば、0℃としたり、−5℃としたり、あるいは−10℃、または−20℃とすることができる。この温度は、易剥離性ラベルが使用される包装容器の種類、包装容器が取り扱われる地域、季節等によって変更される。
【0019】
以下、該ポリマーについて詳細に説明する。
【0020】
該ポリマーは、約15℃より狭い温度範囲にわたって起こる第1次溶融転移を持つものが好ましく使用され、このようなポリマーを含有するポリマー組成物は、日本特許出願公表平4−507425号に於いて開示されているものであり、このポリマー組成物には、側鎖結晶化可能ポリマーが、該ポリマー組成物より構成される接着剤層を所定温度以下の温度では、ほぼ非粘着性に、またそれより上の温度では粘着性にする特性を示すのに十分な量だけ存在するものである。
【0021】
該ポリマーの実施態様としては、側鎖結晶化可能ポリマーを用いるのが好適であり、これらは温度依存接着特性を示すポリマーを含むものである。ポリマー組成物に使用され得る結晶化可能ポリマーは、側鎖結晶化可能および主鎖結晶化可能ポリマーを共に含み得る。違いは前者のクラスの化合物は結晶化可能側鎖部分を含み、後者のクラスはその骨格構造により結晶化可能とされることである。
【0022】
本明細書で使用される「融点」または「第1次転移」という用語は、ある平衡プロセスにより、最初は秩序ある配列に整合されていたポリマーの特定の部分が無秩序状態となる温度を意味する。「凍結点」という用語は、ある平衡プロセスにより、最初は無秩序状態であったポリマーの該特定部分が秩序ある配列に整合される温度を意味する。一つの実施態様では、好ましくは、ポリマーの第1次転移温度または融点は約−20℃から10℃の範囲、さらに好ましくは約−10℃から10℃の範囲である。溶融は急速に、すなわち約10℃より小さい、好ましくは約5℃より小さい比較的狭い温度範囲において起こることが好適である。
【0023】
接着剤層は単純な冷却法、例えば氷、氷袋などを加えたり、冷凍室に該包装容器を保管することにより接着性が失われるポリマーを備えている。
【0024】
ポリマーが急速に結晶化することは好適である。この点に関しては、シーディング剤すなわち結晶化触媒を、急速結晶化動力学を提供するポリマーに混入し得る。この実施態様においては、包装容器から接着剤層を剥離することが非常に容易となる。
【0025】
使用後は使用温度よりほんの僅か低い温度に単純に冷却することにより包装容器に不当な傷を付けることなく容易に剥離され得る。冷却温度は、通常−20℃〜0℃であり、好ましくは−5℃以下である。しかし、冷却温度は、上記したように、易剥離性ラベルが使用される包装容器の種類、地域、季節等によって適宜変更することができ、例えば、冬季、および寒冷地方では貼付温度が比較的低いため、冷却温度は−20℃以下とすることも可能である。
【0026】
ポリマーは、好ましくは、重量平均分子量が約20,000から2,300,000ダルトン、代表的には100,000から1,300,000ダルトン、最も代表的には250,000から1,000,000ダルトンの範囲である結晶化可能ポリマーまたは結晶化可能ポリマーの機能上の等価物である。本発明のための結晶化可能ポリマーの「機能上の等価物」であるポリマーにより、上述の温度依存接着特性を示すポリマーを含むものである。接着剤層に混入するために選択されるポリマーは、望ましい相転移温度、接着強さ、および粘着性をもつ組成物を提供する、実施態様により異なるモノマー、ポリマーを含有する。接着剤層は2つ以上の異なるポリマーの混合物を含有するように処方され得る。
【0027】
「櫛状」ポリマーとも呼ばれる側鎖結晶化可能ポリマーはよく知られており市販されている。これらポリマーはJ. Polymer Sci.: Macromol. Rev. 8:117-253 (1974)にてレビューされている。この開示は本明細書において参考として援用されている。
【0028】
一般に、これらポリマーは下記の式のモノマーユニットXを含む。
【0029】
Figure 0003717583
式中、Mは骨格原子、Sはスペーサーユニット、およびCは結晶化可能な基である。これらのポリマーは、通常は少なくとも約20ジュール/gの、好ましくは少なくとも約40ジュール/gの溶融熱(△Hf)をもつ。ポリマーは「X」により表される50から100wt.%モノマーユニットを含有する。ポリマーが100%より少ないXを含有する場合は、「Y」または「Z」またはその両者により表され得るモノマーユニットをさらに含有する。ここでYは、Xおよび/またはZと重合化可能な極性のまたは無極性のモノマー、もしくは極性のまたは無極性のモノマーの混合物であり、Zは極性のまたは無極性のモノマーの混合物である。これら極性のモノマー、例えばポリオキシアルキレン、ヒドロキシエチルアクリレートを含有するアクリレート、アクリルアミド、およびメタクリルアミドは、代表的にはほとんどの基材(包装容器およびラベル支持体)に対して接着性を増大させる。
【0030】
ポリマーの骨格(「M」により定義される)は有機構造体(脂肪族または芳香族の炭化水素、エステル、エーテル、アミドなど)であり得、または無機構造体(スルファイド、ホスファジン、シリコンなど)であり得、また適切な有機または無機のユニット、例えばエステル、アミド、炭化水素、フェニール、エーテル、またはイオン塩(例えばカーボキシル−アルキルアンモニウムまたはスルフォニウムまたはホスホニウムイオンペア、またはその他既知のイオン塩ペア)であり得るスペーサ結合を含み得る。
【0031】
側鎖(「S」および「C」により定義される)は脂肪族または芳香族、もしくは脂肪族と芳香族の組合せであり得るが、結晶状態に入り得るものでなければならない。通常の例としては、少なくとも10個の炭素原子の線形の脂肪族側鎖、例えばC14−C22 アクリレートまたはメタクリレート、アクリルアミド、ビニルエーテルまたはエステル、シロキサンまたはアルファオレフィン、少なくとも6個の炭素のフッ素化脂肪族側鎖、およびアルキルが8から24個の炭素原子よりなるp−アルキルスチレン側鎖がある。
【0032】
側鎖部分の長さは、通常は、アクリレート、メタクリレート、ビニルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルエーテル、およびアルファオレフィンの場合の側鎖間の距離の5倍より大である。フルオロアクリレートのブタジエンとの交互ポリマーの極端な場合では、側鎖は、分岐間の距離のたった2倍の長さであり得る。いずれにしても、側鎖ユニットはポリマーの容積の50%より大きい、好ましくは容積の65%より大きい部分を形成する。
【0033】
側鎖結晶化可能モノマーの特定の例としては、J. Poly. Sci. 10:3347 (1972)、J. Poly. Sci. 10:1657 (1972)、J. Poly. Sci. 9:3367 (1971)、J. Poly. Sci. 9:3349 (1971)、J. Poly. Sci. 9:1835 (1971)、J.A.C.S. 76:6280 (1954)、J. Poly. Sci. 7:3053 (1969)、Polymer J. 17:991 (1985)に記載のアクリレート、フルオロアクリレート、メタクリレート、およびビニルエステルポリマー、対応するアクリルアミド、置換アクリルアミドおよびマレイミドポリマー(J. Poly. Sci.: Poly. Physics Ed. 18:2197 (1980))、J. Poly. Sci.: Macromol. Rev. 8:117-253 (1974)およびMacromolecules 13:12 (1980)に記載のものなどのポリ(α−オレフィン)ポリマー、Macromolecules 13:15 (1980)に記載のものなどのポリアルキルビニルエーテル、ポリアルキルエチレンオキシド、Poly. Sci. USSR 21:241、Macromolecules 18:2141記載のものなどのアルキルホスファゼンポリマー、ポリアミノ酸、Macromolecules 12:94 (1979)に記載のものなどのポリイソシアネート、Macromolecules 19:611 (1986)に記載のものなどの、アミンまたはアルコール含有モノマーを長鎖アルキルイソシアネートと反応させることにより調製されるポリウレタン、ポリエステルおよびポリエーテル、ポリシロキサンおよびポリシラン、そしてJ.A.C.S. 75:3326 (1953)およびJ. Poly. Sci. 60:19 (1962)に記載のものなどのp−アルキルスチレンポリマーがある。
【0034】
比較的極性でしかも結晶化可能であるが、結晶となる部分は水分に影響されないポリマーは特定の用途をもつ。例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレンまたはコポリオキシアルキレンユニットをポリマーに混入すると、ポリマーはより極性となり、湿った包装容器への接着を向上させる。
【0035】
上記の構造における、本明細書で特に好適な実施態様においては、-Cは-(CH2)n-CH3および-(CF2)n-CF2Hよりなるグループから選択される。ここでnは8から20までの8および20を含む整数であり、-S-は-O-、-CH2-、-(CO)-、-O(CO)-、および-NR-よりなるグループから選択され、ここでRは水素または低級アルキル (1-6C)、そして-M-は-[(CH2)m-CH]-であり、ここでmは0から2である。
【0036】
代表的な「Y」ユニットは線形または分岐状のアルキルまたはアリルアクリレートまたはメタクリレート、アルファオレフィン、線形または分岐状アルキルビニルエーテルまたはビニルエステル、マレインエステルまたはイタコン酸エステル、アクリルアミド、スチレンまたは置換スチレン、アクリル酸、メタクリル酸および親水性のモノマーである。これらは上述のWO84/0387に詳述されている。
【0037】
上述のモノマーユニット「M-S-C」に加えて、次のモノマー構造をポリマー中に追加してまたは代わりに存在させ得る。
【0038】
Figure 0003717583
「D」はポリオキシアルキレン鎖(例えばポリオキシエチレン)などの親水性のポリエーテル鎖であり、「C」と対照的に、結晶化され得るかまたはされ得ない。「D」は好ましくは約100ダルトンより高い分子量をもつ。
【0039】
複数の立体規則性形態で存在し得るポリオレフィンの場合において重要なことは、粘着性および非粘着性状態の間の転移をはっきりさせるために、ポリマーの立体規則性を注意して選択しなければならないということである。ポリマーは単一の形状、すなわちアタクチック、シンジオタクチック、またはアイソタクチックのいずれかにおいて存在し得るが、融点が偶然に一致しない限りは立体規則性物の混合物としては存在し得ない。異なる融点の様々な立体規則性のポリマーの混合物をもつことにより、転移の幅が広がり、その結果得られるポリマーは狭い温度範囲において接着特性の緩やかな変化を示す結果となる。
【0040】
好適な主鎖の結晶化可能ポリマーは水溶性ポリアルキレンオキシド、低級アルキルポリエステル、およびポリテトラヒドロフランを含む。
【0041】
側鎖または主鎖のいずれの結晶化可能ポリマーも橋かけ結合され得る、またはされ得ない。接着剤層を橋かけ結合することは、高分子量のポリマーを使用することと同様に、通常は、溶融の流れは減少し、また橋かけ結合しない低分子量の物質より粘着強さが増大する。接着剤層はポリマーの溶融点より高い温度で使用され得るため、溶融の流れは小さい方が望ましく、これにより接着剤層は基材表面へ移動、流動または移行しない。(すなわち、従来の「ホットメルト」接着剤とは対照的に)。従って粘着し損なうことのないように十分な粘着強さをもつ接着剤層が望ましい。低い溶融の流れと適切な粘着強さは、ブロック共重合または他の当該分野では既知の方法の使用により、適切なコモノマー(例えば高Tgモノマー)の添加、または接着剤層の調製前、調製中、または調製後に橋かけ結合を誘引することなどの他の手段により達成され得る。
【0042】
橋かけ結合された結晶化可能物質を生成するのに様々な方法が利用可能である。結晶化可能モノマーおよび多官能性モノマーを1段階または2段階のいずれかで重合することによりネットワークコポリマーが調製され得る。1段階プロセスは接着剤層を適所に形成され得、一方2段階プロセスは中間の処理段階が必要な場合に使用される。様々な多官能モノマー(2、3、または多官能アクリル酸またはメタクリル酸エステル、ビニルエーテル、エステル、またはアミド、イソシアネート、アルデヒド、エポキシなど)が当該分野では知られている。これらの多官能性モノマーは所望の結果により1段階または2段階プロセスにて使用され得る。コポリマーを添加してまたは添加しないで予め形成された結晶化可能ポリマーを橋かけ結合するためには、イオン化放射、例えばベータまたはガンマ放射、過酸化物、シランまたは同様の硬化剤を使用し得る。イオン橋かけ結合は例えば酸性ポリマーサイトを2または3価の金属塩または酸化物と反応させて橋かけ結合サイトとして働く錯体を生成することにより形成され得る。同様に有機塩または錯体は当該分野で既知の方法により調製され得る。
【0043】
物質が過剰な程度まで橋かけ結合されると、結晶性および/または粘着性は、所望の温度活性特性が失われる点まで減少し得る。上述の要因を最適化するためには、橋かけ結合は約0.01パーセントから5モルパーセントまで、好ましくは.05から1モルパーセントの範囲であるべきである。橋かけ結合されたポリマーは通常は、少なくとも約20ジュール/g、好ましくは少なくとも30ジュール/gの溶融熱をもつ。
【0044】
効果的な橋かけ結合は物理的な方法によってもまた得られ得る。例えば、結晶化可能な部分を含むブロックコポリマー、および結晶化可能ポリマーより高いガラス転移または融点を示す第2部分が調製され、全質量が結晶化可能ポリマーの融点より高いが第2ポリマーの転移より低いところで物理的な安定性を示す。
【0045】
前述のように、接着剤層が、該組成物の第1次溶融転移が約15℃より狭い、好ましくは約10℃より狭い範囲において起こるように選択されたポリマーまたはポリマーの混合物で処方され得ることがまた好ましい。溶融転移が約5℃と約50℃の間で起こることもまた好適である。さらに、組成物は、溶融範囲以上に上昇すると1分足らずの内に粘着性があらわれ、次に、いかなる基材にも接触させることなく、温度が溶融範囲より2、3℃でも下がると非粘着性状態に戻ることが必要である。この逆戻りに要する時間は約5分より短いことが必要である。後者の粘着性値(PKI)は好ましくは約25 g・cm/秒より低い、または粘着性測定計器の最小値である。
【0046】
ここで有用な接着剤層は、1つ以上の上述のポリマーに加えて、粘着性付与剤(樹木のロジン、ポリエステルなど)、酸化防止剤、繊維質または非繊維質の充填剤、着色料などの従来の添加物を含有し得る。また、全体的な温度感応特性が有意に影響されることがない場合は、さらに接着剤を含有させることも可能である。接着剤層中の結晶化可能ポリマーの量は約40重量%から約100重量%の範囲であることが好適である。さらに好ましくは60重量%から98重量%である。
【0047】
ここで、ポリマー組成物に含まれるポリマーの好ましい例を示すと次の通りである。
【0048】
(1)ドデシルアクリレート90〜98重量部とアクリル酸2〜10重量部との共重合体
(2)デシルアクリレート40〜60重量部とドデシルアクリレート30〜60重量部とアクリル酸2〜10重量部との共重合体
(3)ドデシルアクリレート60〜90重量部とドデシルメタクリレート10〜40重量部とアクリル酸2〜10重量部との共重合体
(4)テトラデシルアクリレート30〜60重量部とドデシルアクリレート40〜60重量部とアクリル酸2〜10重量部との共重合体
接着剤層をラベルの支持体に積層するには、例えばスプレー堆積、塗装、浸漬、グラビア印刷、圧延などの多くの方法により行うことができる。接着剤層はまた、転写印刷の場合と同様の方法でリリースシートからの転写により塗布され得る。ポリマー組成物はそのままで、または適切な溶剤により、またはエマルジョンもしくはラテックスとして塗布され得る。適当なモノマーおよび添加物を直接、支持体に塗布し、その場で熱、放射、またはその他の適切な当業者には既知の方法により硬化され得る。
【0049】
このようにして得られた易剥離性ラベルは、通常公知の方法によってビール瓶、飲料水用の瓶等の包装容器の外側に貼付される。常温では易剥離性ラベルの接着剤層の接着性は優れているため、保管および搬送途中に包装容器から剥がれることはない。易剥離性ラベルを包装容器から剥離する場合には、易剥離性ラベルが貼付された包装容器を、例えば、0℃以下に冷却する。例えば、−10℃〜0℃の冷凍室に該包装容器を保管するか、冷水中に包装容器を浸漬もしくは包装容器に冷水をシャワーしてもよい。その後、該包装容器が冷却された状態で、該易剥離性ラベルを該包装容器から剥離する。該易剥離性ラベルを該包装容器から剥離するには、従来公知の方法で行うことができ、例えば、ラベル掻き取りブラシ、ゴムローラ等を使用し、および/もしくは冷水、空気等の流体を包装容器に向けて噴射すればよい。
【0050】
なお、包装容器としてビール瓶の例を示したが、本発明はビール瓶に限られず、その他のアルコールや清浄飲料水用の瓶や缶などリサイクルして使用する任意の包装容器に適用することができる。特に横断面形状が異形容器であってもラベルを容易かつ確実に剥離、除去して包装容器を洗浄することができる。
【0051】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。なお、以下で「部」は重量部を意味する。
【0052】
A.ポリマーの調製
(合成例1)
ドデシルアクリレート97部、アクリル酸5部およびアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.3部を酢酸エチル150部の中に混合し、70℃で15時間撹拌してこれらのモノマーを重合させた。得られたポリマーの分子量は300,000、融点は0℃であった。
【0053】
(合成例2)
デシルアクリレート47部、ドデシルアクリレート50部、アクリル酸5部およびAIBN0.3部を酢酸エチル150部の中に混合し、70℃で15時間撹拌してこれらのモノマーを重合させた。得られたポリマーの分子量は450,000、融点は−20℃であった。
【0054】
(合成例3)
ドデシルアクリレート80部、ドデシルメタクリレート17部、アクリル酸5部およびAIBN0.3部を酢酸エチル150部の中に混合し、70℃で15時間撹拌してこれらのモノマーを重合させた。得られたポリマーの分子量は420,000、融点は−10℃であった。
【0055】
(合成例4)
テトラデシルアクリレート45部、ドデシルアクリレート50部、アクリル酸5部およびAIBN0.3部を酢酸エチル150部の中に混合し、70℃で15時間撹拌してこれらのモノマーを重合させた。得られたポリマーの分子量は480,000、融点は10℃であった。
【0056】
B.易剥離性ラベルの作製
参考例1)
上記合成例1で得られたポリマーを溶剤(ヘプタン/MEK=90部/10部)を用いて、固形分%が約30%になるように調製した。このポリマー溶液に架橋剤としてケミタイトPZ33(日本触媒社製)をポリマー100部に対して0.1部添加し、支持体(PETフィルム テトロンGS−50、帝人社製)上に塗工して粘着ラベル(易剥離性ラベル)を得た。
【0057】
得られた粘着ラベルの接着力をJIS c2107に準じ対ガラスで測定した。結果を図1および表1に示す。また、剥離後、包装容器には接着剤層の残留物の付着は見られなかった。
【0058】
参考例2)
上記合成例2で得られたポリマーを用いたこと以外は、参考例1と同様にして粘着ラベルを得、参考例1と同様にその接着力を測定した。結果を図1および表1に示す。また、剥離後、包装容器には接着剤層の残留物の付着は見られなかった。
【0059】
参考例3)
上記合成例3で得られたポリマーを用いたこと以外は、参考例1と同様にして粘着ラベルを得、参考例1と同様にその接着力を測定した。結果を図1および表1に示す。また、剥離後、包装容器には接着剤層の残留物の付着は見られなかった。
【0060】
(実施例
上記合成例4で得られたポリマーを用いたこと以外は、参考例1と同様にして粘着ラベルを得、参考例1と同様にその接着力を測定した。結果を図1および表1に示す。また、剥離後、包装容器には接着剤層の残留物の付着は見られなかった。
【0061】
(比較例1)
2−エチルヘキシルアクリレート92部、2−ヒドロキシエチルアクリレート8部、AIBN 0.25部を、酢酸エチル/ヘプタン(70部/30部)200部の中に混合し、次いでこれらのモノマーを50℃で48時間重合させてポリマーを得た。得られたポリマーの分子量は810,000であった。
【0062】
このポリマーを用いたこと以外は、参考例1と同様にして粘着ラベルを得、参考例1と同様にその接着力を測定した。結果を図1および表1に示す。また、剥離後、包装容器には接着剤層の残留物の付着が見られた。
【0063】
【表1】
Figure 0003717583
【0064】
【発明の効果】
本発明によれば、易剥離性ラベルに使用した接着剤層が、約15℃より狭い温度範囲にわたって起こる第1次溶融転移を持つポリマ一を含有するポリマー組成物からなるので、該ラベルが貼付された包装容器が所定温度以下に冷却されるとラベルの接着力が低下してラベルを包装容器から簡単に剥離することができる。このように、温度を冷却するだけで接着剤層の接着力が大きく低下するので、ラベルを剥離するための高価な装置を使用する必要がなく、比較的低コストで実施でき、かつ基材や包装容器が光透過性のものに限られることがなく、また所定温度以下の冷却によって包装容器からラベルを容易に剥離、除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例および比較例の各粘着ラベルを用いて得られた温度と剥離強度との関係を示すグラフである。

Claims (3)

  1. 支持体と、該支持体の片面に積層された接着剤層と、を有する包装容器用の易剥離性ラベルであって、
    該粘着剤層が、15℃より狭い温度範囲にわたって起こる第1次溶融転移を持つポリマーを含有するポリマー組成物からなり、
    該ポリマーが、テトラデシルアクリレート30〜60重量部とドデシルアクリレート40〜60重量部とアクリル酸2〜10重量部との共重合体であることを特徴とする包装容器用の易剥離性ラベル。
  2. 前記ポリマーが側鎖結晶化可能ポリマーであり、該側鎖結晶化可能ポリマーが、該ポリマー組成物を5℃以下の温度では非粘着性に、またそれより上の温度では粘着性にするのに十分な量だけ該ポリマー組成物中に存在する請求項1記載の易剥離性ラベル。
  3. 請求項1記載の包装容器用の易剥離性ラベルが貼付された包装容器を、0℃以下に冷却する工程、および
    該包装容器が冷却された状態で、該易剥離性ラベルを該包装容器から剥離する工程、を包含する易剥離性ラベルの剥離方法。
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