JPH09153471A - 半導体ウエハダイシング用粘着フィルム及びその使用方法 - Google Patents

半導体ウエハダイシング用粘着フィルム及びその使用方法

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JPH09153471A
JPH09153471A JP7311921A JP31192195A JPH09153471A JP H09153471 A JPH09153471 A JP H09153471A JP 7311921 A JP7311921 A JP 7311921A JP 31192195 A JP31192195 A JP 31192195A JP H09153471 A JPH09153471 A JP H09153471A
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pressure
sensitive adhesive
semiconductor wafer
film
dicing
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JP7311921A
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Kentaro Hirai
健太郎 平井
Yasuhisa Fujii
藤井  靖久
Makoto Kataoka
片岡  真
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 半導体ウエハのダイシングの際には強い粘着
力でチップの飛散を防止し、ピックアップの際には冷却
または加熱することにより粘着力が低下する半導体ウエ
ハダイシング用粘着フィルム、及びその使用方法を提供
する。 【解決手段】 基材フィルムの片面に粘着剤層が設けら
れた半導体ウエハダイシング用粘着フィルムであって、
該粘着剤層が結晶性高分子を含む粘着剤により形成さ
れ、その粘着力が、−10℃以上の温度における少なく
とも一部の温度範囲A〜B℃、または70℃以下の温度
における少なくとも一部の温度範囲E〜F℃においての
み150〜2,000g/25mmであり、且つ、A℃
未満またはF℃を超える温度領域において150g/2
5mm未満であることを特徴とする半導体ウエハダイシ
ング用粘着フィルム、及びその使用方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体ウエハダイ
シング用粘着フィルム及びその使用方法に関する。詳し
くは、シリコンウエハ等の半導体ウエハの集積回路が組
み込まれた側の面(以下、ウエハ表面という)の反対側
の面(以下、ウエハ裏面という)に貼着して該ウエハを
固定し、素子小片に分割してから、各素子ごとに剥離し
て取り出す(以下、ピックアップという)半導体ウエハ
ダイシング用粘着フィルムであり、温度変化によって粘
着力が変化する粘着剤層を有する半導体ウエハダイシン
グ用粘着フィルム及びその使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、半導体集積回路は、高純度シリコ
ン単結晶等をスライスしてウエハとした後、イオン注
入、エッチング等によりその表面に集積回路を形成し、
更にウエハの裏面をグライディング、ポリッシング、ラ
ッピング等により研削し、ウエハの厚さを100〜60
0μm程度まで薄くしてから、素子小片(以下、チップ
という)に分割し(以下、ダイシングという)、得られ
たチップをマウンティング、ボンディング、シーリング
等の工程を経てパッケージの中に組み込む方法で製造さ
れている。これらの工程の中で、半導体ウエハダイシン
グ時に、チップの飛散を防止したり、ダイシング工程を
容易にするため、粘着フィルムをその粘着剤層を介して
ウエハ裏面に貼付して固定する方法が用いられている。
【0003】粘着フィルムをウエハ裏面に貼着してウエ
ハを固定する場合、該粘着フィルムに求められる性能の
一つに、半導体ウエハ裏面に対する粘着特性が挙げられ
る。具体的には、ウエハダイシング時にはチップが飛散
しない程度の高い粘着力を有し、チップをピックアップ
する際には容易に剥離できる程度の低い粘着力が必要と
されている。しかし、近年、大容量化、高集積化、が図
られるに伴い、チップは大きくなる傾向があり、それに
伴いチップと粘着剤層の接触面積が増大し(従って、剥
離粘着力が増大し)、容易にピックアップができなくな
る問題が生じてきており、半導体ウエハダイシング時の
チップの飛散防止とピックアップ時の作業性のバランス
を保つことが難しくなってきている。
【0004】これらの問題を解決する方法として、例え
ば、特開昭60−196956号公報には、半導体ウエ
ハを素子小片に切断分離する際の半導体ウエハ固定用の
接着薄板であって、光透過性の支持体とこの支持体上に
設けられた光照射により硬化し三次元網状化する性質を
有する感圧性接着剤層とからなる半導体ウエハ固定用接
着薄板が開示されている。
【0005】しかし、該公報に開示されている光照射に
より硬化し三次元網状化する性質を有する感圧性接着剤
層(粘着剤層)は、ラジカル重合により重合する粘着剤
層であるため、ウエハと粘着剤層の間に酸素が入り込ん
だ場合には、酸素の重合禁止効果により硬化反応が十分
に進まず、半導体ウエハダイシング後のピックアップ時
に凝集力の低い未硬化の粘着剤がチップの回路の組み込
まれていない面(以下、チップの裏面という)を汚染す
ることがあった。実際、裏面研削後の半導体ウエハ裏面
には研削に伴う凹凸があり、空気(酸素)を全く挟み込
まずに貼付することは不可能である。また、貼付のため
に酸素を除いた系を作り出すには大掛かりな装置と大き
なコストが必要となる。この様な粘着剤層に起因する汚
染は、次工程で、チップをパッケージの中に組み込む際
に、チップと基体との接合不良の原因になったり、回路
の電気特性に影響を与える等の製品不良の原因となる可
能性がある。
【0006】近年、半導体集積回路の大容量化および高
集積化によるチップの大型化が図られるに伴い、チップ
の裏面への汚染が少なく、且つ、半導体ウエハダイシン
グ時のチップの飛散防止とピックアップ時の作業性のバ
ランスのとれた半導体ウエハダイシング用粘着フィルム
及びその使用方法が望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上の点に鑑み、本発
明の目的は、半導体ウエハのダイシングの際には強い粘
着力でチップの飛散を防止し、ピックアップの際には冷
却または加熱することにより粘着力が低下して作業性を
低下させず、容易にピックアップすることができ、尚か
つ、ピックアップ後に粘着剤層からのチップの裏面に付
着する汚染物が殆どない、半導体集積回路の大容量化お
よび高集積化によるチップの大型化に対応できる半導体
ウエハダイシング用粘着フィルム及びその使用方法を提
供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果、結晶性高分子を含み、且つ、温度変化と共に粘
着力が劇的に変化する性質を有する粘着剤層が基材フィ
ルムの片面に形成された半導体ウエハダイシング用粘着
フィルムの中で、特定の粘着力特性を有する粘着フィル
ムが、上記目的を達成し得て、半導体集積回路の大容量
化および高集積化によるチップの大型化に対応できる半
導体ウエハダイシング用粘着フィルムとして使用できる
ことを見出し、本発明に到った。
【0009】具体的には、粘着剤に結晶性高分子を含有
させるこにより、特定の温度範囲においてのみウエハ裏
面を固定するに充分な粘着力を示し、その温度範囲外の
低温領域または高温領域では粘着力が低下することを見
出し、更に、該温度範囲において貼着、ダイシングを行
い、該温度範囲外においてピックアップを行うことによ
り上記目的が達成し得ることを見出し、本発明に到っ
た。
【0010】すなわち、本発明の第1発明は、半導体ウ
エハを素子小片に分割する際の固定用に用いられる、基
材フィルムの片面に粘着剤層が設けられた半導体ウエハ
ダイシング用粘着フィルムであって、該粘着剤層が結晶
性高分子を含む粘着剤により形成され、該半導体ウエハ
ダイシング用粘着フィルムの粘着力が、−10℃以上の
温度における少なくとも一部の温度範囲A〜B℃(A<
B)においてのみ150〜2,000g/25mmであ
り、且つ、A℃未満の温度領域において150g/25
mm未満であることを特徴とする半導体ウエハダイシン
グ用粘着フィルムである。
【0011】本発明の第2発明は、半導体ウエハを素子
小片に分割する際の固定用に用いられる、基材フィルム
の片面に粘着剤層が設けられた半導体ウエハダイシング
用粘着フィルムであって、該粘着剤層が結晶性高分子を
含む粘着剤により形成され、該半導体ウエハダイシング
用粘着フィルムの粘着力が、70℃以下の温度における
少なくとも一部の温度範囲E〜F℃(E<F)において
のみ150〜2,000g/25mmであり、且つ、F
℃を超える温度領域において150g/25mm未満で
あることを特徴とする半導体ウエハダイシング用粘着フ
ィルムである。
【0012】本発明の第3発明は、半導体ウエハを素子
小片に分割し、取り出す際にその裏面に貼着する半導体
ウエハダイシング用粘着フィルムの使用方法であって、
該半導体ウエハダイシング用粘着フィルムが、基材フィ
ルムの片面に結晶性高分子を含む粘着剤により形成され
た粘着剤層を有し、その粘着力が−10℃以上の温度に
おける少なくとも一部の温度範囲A〜B℃(A<B)に
おいてのみ150〜2,000g/25mmであり、且
つ、A℃未満の温度領域において150g/25mm未
満であり、A〜B℃の温度範囲に含まれる少なくとも一
部の温度範囲C〜D℃(A<C≦D<B、1≦C≦D≦
60)においてウエハ裏面に該粘着フィルムを貼着し、
C〜D℃の温度範囲の冷却水をかけながら半導体ウエハ
を素子小片に分割し、次いで、A℃未満に冷却した状態
で該粘着フィルムから素子小片を剥離して取り出すこと
を特徴とする半導体ウエハダイシング用粘着フィルムの
使用方法である。
【0013】また、本発明の第4発明は、半導体ウエハ
を素子小片に分割し、取り出す際にその裏面に貼着する
半導体ウエハダイシング用粘着フィルムの使用方法であ
って、該半導体ウエハダイシング用粘着フィルムが、基
材フィルムの片面に結晶性高分子を含む粘着剤により形
成された粘着剤層を有し、その粘着力が70℃以下の温
度における少なくとも一部の温度範囲E〜F℃(E<
F)においてのみ150〜2,000g/25mmであ
り、且つ、F℃を超える温度領域において150g/2
5mm未満であり、E〜F℃の温度範囲に含まれる少な
くとも一部の温度範囲G〜H℃(E<G≦H<F、1≦
G)においてウエハ裏面に該粘着フィルムを貼着し、G
〜H℃の温度範囲の冷却水をかけながら半導体ウエハを
素子小片に分割し、次いで、F℃を超える温度に加熱し
た状態で該粘着フィルムから素子小片を剥離して取り出
すことを特徴とする半導体ウエハダイシング用粘着フィ
ルムの使用方法である。
【0014】本発明の半導体ウエハダイシング用粘着フ
ィルム(以下、粘着フィルムという)は、半導体ウエハ
のダイシングの際には強い粘着力でチップの飛散を防止
する。また、ピックアップの際には冷却または加熱する
ことにより粘着力を低下させ得るため、ピックアップを
容易にして作業性の低下を防止することができる。さら
に、ピックアップ後にはチップの裏面に粘着剤層に起因
する汚染物が殆ど付着することがなく、チップ裏面の汚
染防止にも優れた効果を発揮する。そのため、本発明に
よれば、半導体集積回路の大容量化および高集積化によ
るチップの大型化、に対応できる半導体ウエハダイシン
グ用粘着フィルム及びその使用方法が提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の粘着フィルムは、基材フ
ィルムに粘着剤層を構成する成分を含有した粘着剤溶液
またはエマルジョン液(以下、粘着剤という)を塗布、
乾燥して粘着剤層を形成することにより製造される。こ
の場合、環境に起因する汚染等から粘着剤層を保護する
ために粘着剤層の表面に剥離フィルムを貼着することが
好ましい。また、剥離フィルムの片表面に粘着剤を塗
布、乾燥して粘着剤層を形成した後、粘着剤層の表面に
基材フィルムを貼付して粘着剤層を基材フィルム側に転
着する方法によっても製造される。この場合は、粘着剤
層を乾燥する際等において粘着剤層表面が汚染されない
利点がある。
【0016】基材フィルムまたは剥離フィルムのいずれ
の片表面に粘着剤塗布液等を塗布するかは、基材フィル
ム及び剥離フィルムの耐熱性、表面張力、チップ裏面へ
の汚染性等を考慮して決める。例えば、剥離フィルムの
耐熱性が基材フィルムのそれより優れている場合は、剥
離フィルムの表面に粘着剤層を設けた後、基材フィルム
へ転写する。耐熱性が同等または基材フィルムの方が優
れている場合は、基材フィルムの表面に粘着剤層を設
け、その表面に剥離フィルムを貼付する。しかし、粘着
フィルムは、剥離フィルムを剥離したときに露出する粘
着剤層の表面を介して半導体ウエハ裏面に貼付されるこ
とを考慮し、粘着剤層によるチップの裏面の汚染防止を
図るためには、耐熱性の良好な剥離フィルムを使用し、
その表面に粘着剤塗布液を塗布、乾燥して粘着剤層を形
成する方法が好ましい。
【0017】本発明の半導体ウエハダイシング用粘着フ
ィルムの使用方法は、特定の温度範囲において粘着剤層
を介して半導体ウエハの裏面に貼着し、ダイシングを行
い、次いで、該温度範囲外に冷却または加熱して粘着剤
層の温度を該温度範囲外とした後にピックアップする方
法である。
【0018】先ず、本発明の粘着フィルムの製造方法に
ついて説明する。本発明の粘着フィルムは、通常、基材
フィルムの片表面に粘着剤を塗布、乾燥して粘着剤層を
形成する方法、または、剥離フィルムの片表面に粘着剤
を塗布、乾燥して粘着剤層を形成した後、基材フィルム
の片表面に転着する方法により製造される。
【0019】基材フィルムまたは剥離フィルムの片表面
に粘着剤を塗布する方法としては、従来公知の塗布方
法、例えば、ロールコーター法、リバースロールコータ
ー法、グラビアロールコーター法、バーコーター法、コ
ンマコーター法、ダイコーター法等が採用できる。ま
た、粘着剤を塗布する方法の他に、基材フィルムと粘着
剤層を共押出しする方法も挙げられる。粘着剤層や基材
フィルム等の性質に応じて、これらの方法でも適宜選択
できる。
【0020】本発明の粘着フィルムに用いる基材フィル
ムとして、合成樹脂、天然ゴム、合成ゴム等から製造さ
れたフィルムが挙げられる。具体的に例示するならば、
エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル
酸共重合体、ポリブタジエン、軟質塩化ビニル樹脂、ポ
リオレフィン、ポリアミド、アイオノマー、ポリエステ
ル等の樹脂、およびそれらの共重合体エラストマー、お
よびジエン系、ニトリル系、シリコーン系、アクリル系
等の合成ゴム等のフィルムが挙げられる。基材フィルム
は単層体であっても、また、積層体であってもよい。
【0021】基材フィルムの厚みは、半導体ウエハをダ
イシングする際のフィルム強度、ウエハ裏面への貼付作
業性、並びに、ピックアップ時に通常行われるエキスパ
ンディングの際の基材の拡張性および強度等に影響す
る。かかる観点から、基材フィルムの厚みは、通常、1
0〜2000μmである。好ましくは50〜300μm
である。
【0022】ピックアップ時に通常行われるエキスパン
ディングの際の基材の拡張性を考慮すると、JIS K
7113、またはJIS K 6760に準拠して測
定した引張破壊強さが0.8〜6Kgf/mm2、引張
破壊伸びが100〜2000%の樹脂をフィルム状に加
工したものが好ましい。例えば、アイオノマー、エチレ
ン−メタクリル酸共重合体等のフィルムが好ましく用い
られる。基材フィルムと粘着剤層との接着力を向上させ
るため、基材フィルムの粘着剤層を設ける面にはコロナ
放電処理または化学処理等を施すことが好ましい。ま
た、基材フィルムと粘着剤層の間に下塗り剤を用いても
よい。
【0023】本発明の粘着フィルムの粘着剤層表面に配
設する剥離フィルムとして、ポリプロピレン、ポリエチ
レンテレフタレート等の合成樹脂フィルムが挙げられ
る。必要に応じてその表面にシリコーン処理等が施され
たものが好ましい。剥離フィルムの厚みは、通常10〜
2000μmである。好ましくは30〜100μmであ
る。
【0024】本発明の粘着フィルムに設ける粘着剤層
は、結晶性高分子を含有し、特定の温度範囲において、
半導体ウエハ及びチップを固定するに十分な粘着力を示
す粘着剤によって形成される。粘着剤の具体例として
は、例えば、特表平6−510548号公報(国際公開
番号:WO92/13901)に記載されている粘着剤
が好ましい。すなわち、通常、粘着テープ等の粘着剤層
に使用されている粘着剤組成物(以下、通常の粘着剤と
いう)と結晶性高分子との混合物である。通常、その混
合割合は、通常の粘着剤約50〜99.7重量部に対し
て、結晶性高分子が約0.3〜50重量部の範囲で混合
することが好ましい。より好ましくは、通常の粘着剤約
65〜95重量部に対して、結晶性高分子が約5〜35
重量部であり、さらに好ましくは、通常の粘着剤約70
〜90重量部に対して、結晶性高分子が約10〜30重
量部であり、最も好ましくは、通常の粘着剤約70〜8
0重量部に対して結晶性高分子が約20〜30重量部で
ある。
【0025】通常の粘着剤としては、天然ゴム系粘着
剤、並びに、スチレン−ブタジエン共重合体系粘着剤、
及び、炭素数1〜9のアルキル基を有するポリアクリル
酸アルキルエステルまたはその共重合体等のアクリル系
粘着剤等の合成ゴム系粘着剤等が挙げられ、これらは単
独でも2種以上の混合物であってもよい。これらの通常
の粘着剤は架橋剤を用いて凝集力や粘着力特性を調整す
る必要がある場合には、架橋点となりうる官能基を有し
ていることが好ましい。官能基としてはカルボキシル
基、水酸基、アミノ基等が挙げられる。またこれらの通
常の粘着剤には、適宜、可塑剤、粘着付与剤、安定剤等
を混合してもよい。
【0026】結晶性高分子としては、側鎖結晶性高分
子、主鎖結晶性高分子等が挙げられる。粘着力の温度変
化への依存性を考慮すると前者の方が好ましい。側鎖結
晶性高分子としては、重合性炭素−炭素2重結合をもつ
1種以上の単量体であって、重合した際に結晶化が可能
となる側鎖を有する単量体(以下、SCC単量体と称す
る)を重合して得られる重合体または共重合体、並び
に、SCC単量体及びSCC単量体と共重合可能な他の
単量体とを共重合して得られる共重合体が挙げられる。
SCC単量体は単独で使用してもよいし、2種以上を混
合して使用してもよい。また、SCC単量体と共重合可
能な他の単量体も2種以上を混合して使用してもよい。
【0027】これらのSCC単量体として、炭素数10
〜50の脂肪族基を有するアクリレート、メタクリレー
ト、アクリルアミド誘導体、メタクリルアミド誘導体、
ビニルエーテル誘導体、ビニルエステル誘導体、少なく
とも一部がフッ素置換された炭素数6〜50の脂肪族基
を有するアクリレート、メタクリレート、アクリルアミ
ド誘導体、メタクリルアミド誘導体、ビニルエーテル誘
導体、ビニルエステル誘導体、並びに、炭素数8〜24
のアルキル基を有するスチレン誘導体から選ばれた少な
くとも1種の単量体等が挙げられる。
【0028】これらの内、粘着特性の温度依存性、重合
反応性等を考慮すると、炭素数14〜50の線状脂肪族
基を有するアクリレート、メタクリレート、アクリルア
ミド誘導体、メタクリルアミド誘導体等が好ましい。さ
らに好ましくは、炭素数14〜22の線状脂肪族基を有
するアクリレート、メタクリレート、アクリルアミド誘
導体、メタクリルアミド誘導体等である。
【0029】上記のSCC単量体と共重合可能な他の単
量体としては、炭素数が1〜9のアルキル基を有するア
クリル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキル
エステル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等
が挙げられる。
【0030】架橋剤を用いて凝集力や粘着力特性を調整
する必要がある場合等を考慮すると、側鎖結晶性高分子
には、架橋点となり得る官能基を有する単量体を共重合
することが好ましい。架橋点となり得る官能基を有する
単量体として、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン
酸、メサコン酸、シトラコン酸、フマル酸、マレイン
酸、イタコン酸モノアルキルエステル、メサコン酸モノ
アルキルエステル、シトラコン酸モノアルキルエステ
ル、フマル酸モノアルキルエステル、マレイン酸モノア
ルキルエステル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メ
タクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリルアミド、メ
タクリルアミド、ターシャル−ブチルアミノエチルアク
リレート、ターシャル−ブチルアミノエチルメタクリレ
ート等が挙げられる。
【0031】また、アクリル酸グリシジル、メタクリル
酸グリシジル、イソシアネートエチルアクリレート、イ
ソシアネートエチルメタクリレート、2−(1−アジリ
ジニル)エチルアクリレート、2−(1−アジリジニ
ル)エチルメタクリレート等の自己架橋性の官能基を持
った単量体、さらには、ジビニルベンゼン、アクリル酸
ビニル、メタクリル酸ビニル、アクリル酸アリル、メア
クリル酸アリル等の多官能性の単量体を組み合わせても
よい。
【0032】粘着フィルムの粘着力特性を考慮すると、
側鎖結晶性高分子は、結晶性側鎖の質量の合計が、結晶
性高分子全体の質量の50重量%以上になるように合成
することが好ましい。より好ましくは65重量%以上で
ある。
【0033】側鎖結晶性高分子を重合する方法として
は、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等既知の様々
な方法が採用できる。重合反応機構としては、ラジカル
重合、アニオン重合、カチオン重合等が挙げられるが、
粘着剤の製造コスト等を等慮すればラジカル重合によっ
て重合することが好ましい。ラジカル重合反応によって
重合する際、ラジカル重合開始剤として、ベンゾイルパ
ーオキサイド、アセチルパーオキサイド、イソブチリル
パーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジ−タ
ーシャル−ブチルパーオキサイド、ジ−ターシャル−ア
ミルパーオキサイド等の有機過酸化物、過硫酸アンモニ
ウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸
化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,
2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、4,4’
−アゾビス−4−シアノバレリックアシッド等のアゾ化
合物等が挙げられる。これらは、得られる側鎖結晶性高
分子の性質、重合方法に応じて適宜選択される。
【0034】側鎖結晶性高分子としては、上記重合体の
他に、結晶性側鎖を有するものであれば、ポリエステル
系、ポリエーテル系、ポリアミド系、ポリエチレンイミ
ン系、シリコーン系等の高分子等が挙げられる。また、
主鎖結晶性高分子としては、水不溶性ポリアルキレンオ
キシド、低級アルキルポリエステル、ポリアミド、ナイ
ロン、ポリテトラヒドロフラン、及び一般式(1)〔化
1〕
【0035】
【化1】 (式中、Rは水素、炭素数1〜12の直鎖状または枝分
かれ状アルキル基、nは5〜50000の整数である)
で表される構造のポリ−α−オレフィン等が挙げられ
る。上記一般式(1)〔化1〕において、好ましくは、
Rが炭素数1〜8の直鎖状または枝分かれ状アルキル基
である。
【0036】粘着特性の温度依存性、チップの裏面への
汚染性を考慮すると、上記結晶性高分子は3,500か
ら900,000程度の分子量を有するものが好まし
い。これらの結晶性高分子の分子量は、特に粘着特性の
温度依存性に影響を与え、分子量によって、ダイシング
の際にチップの飛散を防止する充分な粘着力を示す温度
範囲(以下、この温度範囲をA〜B℃の温度範囲、また
は、E〜F℃の温度範囲という)が異なる傾向にある。
例えば、結晶性高分子の分子量が大きくなるに従い、温
度範囲の上限BまたはFの値が大きくなる傾向があり、
特に、第2および第4発明の場合、分子量が大きくなり
すぎると、粘着剤層とチップ裏面の間に化学的な相互作
用(チップ裏面の腐食、汚染等)を引き起こす温度、粘
着剤層の分解温度、基材フィルムの軟化温度等、を越え
る温度に加熱しても粘着フィルムからチップをピックア
ップすることが出来なくなることがある。従って、結晶
性高分子の分子量は半導体ウエハのダイシング工程にお
ける温度条件(冷却水の温度、ピックアップ時の温度
等)、チップ裏面への汚染性等を考慮して決定する必要
がある。
【0037】例えば、E〜F℃の温度範囲においてのみ
ウエハ裏面を固定し、チップの飛散を防止するに充分な
粘着力を示す粘着剤が形成された粘着フィルムを、F℃
を超える温度範囲外に加熱してチップをピックアップす
る場合、分子量は3,500から25,000程度の範
囲に調整することが好ましく、より好ましくは、3,5
00から12,000程度の範囲である。
【0038】また、A〜B℃の温度範囲においてのみウ
エハ裏面を固定し、チップの飛散を防止するに充分な粘
着力を示す粘着剤が形成された粘着フィルムを、A℃未
満の温度範囲外に冷却してチップをピックアップする場
合には、何れの分子量でも特に問題はないが、チップ裏
面への汚染性を考慮するとより高い分子量が好ましく、
従って25,000から900,000程度の範囲に調
整することが好ましく、より好ましくは、100,00
0から900,000程度の範囲である。
【0039】通常の粘着剤と結晶性高分子の混合物は、
粘着力特性、凝集力の調整、チップ裏面への汚染性等を
考慮して、必要に応じて、架橋させてもよい。ウエハ裏
面の凹凸の状態によっても異なるが、ダイシング後、冷
却してからチップをピックアップする場合、架橋させた
方が、粘着力が低下し易くなる傾向がある。架橋方法と
しては、架橋剤による架橋、光や放射線等による架橋等
既知の架橋方法の中から適宜選択することができるが、
架橋方法の簡便さを考慮すると架橋剤による架橋が好ま
しい。
【0040】架橋剤としては、テトラメチレンジイソシ
アネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチ
ロールプロパンのトルエンジイソシアネート3付加物、
ポリイソシアネート等のイソシアネート系化合物、ソル
ビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポ
リグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリ
シジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテ
ル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ネオペンチ
ルグリコールジグリシジルエーテル、レソルシンジグリ
シジルエーテル等のエポキシ系化合物、トリメチロール
プロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テ
トラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピ
オネート、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビ
ス(1−アジリジンカルボキシアミド)、N,N’−ヘ
キサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキ
シアミド)、N,N’−トルエン−2,4−ビス(1−
アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパ
ン−トリ−β−(2−メチルアジリジン)プロピオネー
ト等のアジリジン系化合物、及びヘキサメトキシメチロ
ールメラミン等のメラミン系化合物等が挙げられる。こ
れらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用しても
よい。
【0041】架橋剤の添加量は、粘着剤層に求められる
粘着特性、凝集力、通常の粘着剤および結晶性高分子の
性質等により異なるが、通常、通常の粘着剤と結晶性高
分子の混合物100重量部に対して0.01〜30重量
部の範囲で適宜選択される。
【0042】粘着剤層の厚みは、半導体ウエハの裏面の
状態、ダイシングの方法等により適宣決められるが、半
導体ウエハをダイシングしている時のチップの飛散を防
止するための粘着力、ダイシングブレードの切込み等を
勘案すると、通常2〜100μm程度である。好ましく
は5〜70μmである。
【0043】上記のようにして得られる本発明の粘着フ
ィルムは、半導体ウエハ裏面に粘着フィルムを貼着する
工程から該ウエハのダイシング工程を経てピックアップ
工程の直前に到るまでの間、チップ裏面にしっかりと貼
着してチップの飛散を防止するに充分な粘着力を有する
粘着フィルムである。ここで、チップの飛散を防止する
に充分な粘着力とは、ダイシング時に冷却水の水圧やブ
レードの回転の勢い等により、チップが粘着フィルムか
ら脱落しない程度の粘着力のことであり、具体的には、
JIS Z 0237に規定される方法に準拠して、被
着体としてSUS304−BA板を用い、剥離速度30
0mm/min.、剥離角度180度の条件下で測定し
た粘着力が所定の温度において、通常、150〜200
0g/25mmの範囲内であることを意味する。好まし
くは200〜2000g/25mmの範囲内である。
【0044】かくして、上記の如くして製造される本発
明に係わる粘着フィルムは、−10℃以上の温度におけ
る少なくとも一部の温度範囲A〜B℃(A<B)におい
てのみ150〜2,000g/25mmの粘着力を示
し、且つ、A℃未満の温度領域に冷却することにより、
その粘着力が150g/25mm未満に低下するもので
ある。温度範囲A〜B℃(A<B)における好ましい粘
着力は200〜2000g/25mmである。A℃未満
の温度領域における好ましい粘着力は80g/25mm
以下である。また、好ましいA〜B℃の温度範囲は、1
0℃以上の温度範囲における少なくとも一部の温度範囲
である。ここで、「−10℃以上の温度範囲」に於ける
上限の温度には特に制限はないが、実質的には基材フィ
ルムが加熱により軟化し、本発明で定義する粘着力の測
定が事実上不可能となる温度であり、具体的には、JI
S K 2207(環球法)に準拠して測定した基材フ
ィルムの原料樹脂(即ちフィルム化前の樹脂)の軟化温
度+50℃程度の温度が挙げられる。基材フィルムが融
点を有する場合は融点程度の温度が上限温度である。
【0045】また、本発明の他の発明に係わる粘着フィ
ルムは、70℃以下の温度における少なくとも一部の温
度範囲E〜F℃(E<F)においてのみ150〜2,0
00g/25mmの粘着力を示し、且つ、F℃を超える
温度領域に加熱することにより、その粘着力が150g
/25mm未満に低下するものである。好ましくは、E
〜F℃の温度範囲は、60℃以下の温度における少なく
とも一部の温度範囲である。温度範囲E〜F℃(E<
F)における好ましい粘着力は200〜2000g/2
5mmである。F℃を超える温度領域における好ましい
粘着力は80g/25mm以下である。ここで、「70
℃以下の温度範囲」に於ける下限の温度には特に制限は
ないが、実質的には、基材フィルムが冷却により脆性を
示すようになり、本発明で定義する粘着力の測定が事実
上不可能となる温度である。具体的には、ASTM D
−746に準拠して測定した基材フィルムの原料樹脂
(即ちフィルム化前の樹脂)の脆化温度−100℃程度
の温度が挙げられる。さらに、実際の作業性を考慮する
と、上記のいずれの粘着フィルムついても、少なくとも
20〜25℃の温度範囲内において、チップの飛散を防
止するに充分な粘着力を示すものであることが好まし
い。さらに好ましくは少なくとも15〜30℃の温度範
囲内においてチップの飛散を防止するに充分な粘着力を
示すものである。
【0046】次いで、本発明の半導体ウエハダイシング
用粘着フィルムの使用方法について説明する。第1の方
法として、粘着フィルムの粘着剤層から剥離フィルムを
剥離して粘着剤層表面を露出させ、その粘着剤層を介し
て集積回路が形成された側の面と反対側の半導体ウエハ
の裏面に、−10℃以上の温度における少なくとも一部
の温度範囲A〜B℃(A<B)の温度範囲に含まれる少
なくとも一部の温度範囲C〜D℃(A<C≦D<B、1
≦C≦D≦60)において該粘着フィルムを貼着し、粘
着フィルムの基材フィルム側を介してダイシング装置の
チャックテーブル等に半導体ウエハを固定し、C〜D℃
の温度範囲の冷却水をかけながら半導体ウエハをダイシ
ングし、次いで、A℃未満に冷却した状態でチップをピ
ックアップする方法が挙げられる。
【0047】ウエハ裏面に粘着フィルムを貼着し、且
つ、冷却水の温度である上記C〜D℃の温度範囲は、1
0≦C≦D≦40であることが好ましい。チップの飛散
を防止するに十分な粘着力を示す温度範囲に管理するた
めに、ダイシング中の冷却水の温度、ダイシング室温等
をC〜D℃の範囲内で管理する必要がある。ピックアッ
プ時の温度は、A℃未満ならば、任意の温度でよいが、
実際の作業性を考慮すると、通常、−30℃以上が好ま
しい。
【0048】また、第2の方法として、粘着フィルムの
粘着剤層から剥離フィルムを剥離して粘着剤層表面を露
出させ、その粘着剤層を介して集積回路が形成された側
の面と反対側の半導体ウエハの裏面に、70℃以下の温
度に含まれる少なくとも一部の温度範囲G〜H℃(E<
G≦H<F、1≦G)において該粘着フィルムを貼着
し、粘着フィルムの基材フィルム側を介してダイシング
装置のチャックテーブル等に半導体ウエハを固定し、G
〜H℃の温度範囲の冷却水をかけながら半導体ウエハを
ダイシングし、次いで、F℃を超える温度に加熱した状
態でチップをピックアップする方法が挙げられる。
【0049】ウエハ裏面に粘着フィルムを貼着し、且
つ、冷却水の温度である上記G〜H℃の温度範囲は、1
0≦G≦H≦40であることが好ましい。チップの飛散
を防止するに十分な粘着力を示す温度範囲に管理するた
めに、ダイシング中の冷却水の温度、ダイシング室温等
をG〜H℃の範囲内で管理する必要がある。ピックアッ
プ時の温度は、F℃を超える温度ならば任意の温度でよ
いが、通常、粘着剤層とチップの裏面の間に化学的な相
互作用(ウエハ表面の腐食、汚染等)を引き起こす温
度、粘着剤層の一部が分解し始める温度、または基材フ
ィルムの軟化温度の何れの温度をも超えない様にするこ
とが好ましい。具体的には、通常、基材フィルムの軟化
温度が100℃以下の場合にはその軟化温度未満、基材
フィルムの軟化温度が100℃を超える場合には、10
0℃以下の温度で剥離することが好ましい。本発明の粘
着フィルムの粘着力は、チップの大きさ(面積)、ダイ
シング時間、ダイシング方法、ダイシング前の半導体ウ
エハの裏面形状等種々を考慮して上記範囲内に適宜調整
することができる。
【0050】半導体ウエハをダイシングする装置、器具
等、及びダイシング方法には特に制限はなく公知の方法
が適用できる。本発明が適用できる半導体ウエハとし
て、シリコンウエハのみならず、ゲルマニウム、ガリウ
ム−ヒ素、ガリウム−リン、ガリウム−ヒ素−アルミニ
ウム等のウエハが挙げられる。
【0051】
【実施例】以下、実施例を示して本発明についてさらに
詳細に説明する。以下に示す実施例及び比較例の中で、
半導体ウエハダイシング用粘着フィルムの製造(粘着剤
塗布液の調製以降)および半導体ウエハダイシング用粘
着フィルムを用いた半導体ウエハのダイシングは全て米
国連邦規格209bに規定されるクラス1,000以下
のクリーン度に維持された環境において実施した。
【0052】本発明はこれら実施例に限定されるもので
はない。尚、本実施例において使用された通常の粘着剤
(アクリル系粘着剤)、および結晶性高分子(側鎖結晶
性高分子)の合成は、下記調製例1〜4の方法に従って
行った。また、得られた粘着フィルムの性能および該フ
ィルムを用いた半導体ウエハダイシング方法における各
特性は、下記(1)〜(3)の方法により評価した。
【0053】(1)ダイシング工程における作業性の評
価 裏面研削が完了した、集積回路が形成された半導体シリ
コンウエハ(径:6インチ、厚み:300μm)の裏面
に、それぞれの実施例および比較例で得られた粘着フィ
ルムを貼付し、フリーオートマチックダイシングソー
((株)ディスコ製、形式:DFD−2S/8)を用い
て、所定の水温の水をかけて冷却しながら半導体シリコ
ンウエハを1辺が50mm2のチップに分割(ダイシン
グ)する。ダイシング終了後、所定の条件下で、ニード
ルで突き上げると共にエアピンセットで吸着することに
よりピックアップする。各実施例および比較例毎に半導
体シリコンウエハを3枚使用し、ダイシングを3回行
い、ダイシング中に飛散したチップの割合(%)、ピッ
クアップ時にピックアップできなかったチップの割合
(%)を評価する。
【0054】(2)顕微鏡によるチップ裏面の汚染の観
察(%) 上記(1)における半導体ウエハダイシング中に飛散せ
ず、かつ、ピックアップのできたチップの裏面を光学顕
微鏡((株)ニコン製:OPTIPHOT2)を用いて
50〜1000倍の範囲でチップの裏面全体及び微細部
分まで観察し、汚染されているチップの割合を評価す
る。
【0055】(3)粘着力(g/25mm)特性 基本的な操作はJIS Z 0237に記載される方法
に準拠し、以下の条件下で実施する。23℃において実
施例及び比較例で得られた粘着フィルムをその粘着剤層
を介して、SUS304−BA板(縦:20cm、横:
5cm)の表面に貼付し、30分間放置する。放置後、
試料の一端を挟持し、剥離角度:180度、剥離速度:
300mm/min.で所定の温度においてSUS30
4−BA板の表面から試料を剥離し、剥離する際の応力
を測定してg/25mmに換算する。
【0056】調製例1 <アクリル系粘着剤(以下、高分子1)の合成>アクリ
ル酸ブチル91重量部、アクリロニトリル4.5重量
部、アクリル酸4.5重量部をトルエン150重量部中
で、開始剤として2,2’−アゾビス−イソブチロニト
リル(以下、AIBNという)1重量部を用いて窒素雰
囲気下80℃において共重合して、高分子1の溶液(固
形分40重量%)を得た。
【0057】調製例2 <側鎖結晶性高分子その1(以下、高分子2)の合成>
メタクリル酸ヘキサデシル98重量部、アクリル酸2重
量部をトルエン180重量部中でドデシルメルカプタン
5重量部の存在下で、開始剤としてAIBN1重量部を
用いて窒素雰囲気下80℃において共重合して、高分子
2の溶液(固形分36重量%)を得た。
【0058】調製例3 <側鎖結晶性高分子その2(以下、高分子3)の合成>
アクリル酸オクタデシル98重量部、アクリル酸2重量
部をトルエン180重量部中でドデシルメルカプタン5
重量部の存在下で、開始剤としてAIBN1重量部を用
いて窒素雰囲気下80℃において共重合して、高分子3
の溶液(固形分36重量%)を得た。
【0059】調製例4 <側鎖結晶性高分子その3(以下、高分子4)の合成>
メタクリル酸ヘキサデシル98重量部、アクリル酸2重
量部を酢酸エチル180重量部中で、開始剤としてAI
BN0.2重量部を用いて窒素雰囲気下75℃において
共重合して、高分子4の溶液(固形分36重量%)を得
た。
【0060】実施例1 調製例1で合成した高分子1の溶液(固形分40重量
%)75重量部、及び、調製例2で合成した高分子2の
溶液(固形分36重量%)25重量部を混合し、さら
に、イソシアネート系架橋剤(三井東圧化学(株)製、
オレスターP49−60SX、固形分60重量%)1重
量部を添加して粘着剤塗布液を得た。この粘着剤塗布液
をロールコーターを用いてポリプロピレンフィルム(剥
離フィルム、厚み:50μm)の片面に塗布し、120
℃で1分間乾燥して厚さ15μmの粘着剤層を設けた。
次いで、コロナ放電処理を施した厚さ100μmのエチ
レン−メタクリル酸共重合体フィルム(引張破壊強さ:
2.3Kgf/mm2,引張破壊伸び:570%)の該
処理面を貼り合わせ押圧して、粘着剤層を転写させるこ
とにより粘着フィルムを製造した。室温が23℃に管理
された環境下で、得られた粘着フィルムの粘着剤層から
剥離フィルムを剥離し、粘着剤層表面を露出させ、その
粘着剤層を介して、裏面研削が完了した集積回路が形成
された半導体シリコンウエハ(径:6インチ、厚み:3
00μm)の裏面に貼付し、フリーオートマチックダイ
シングソー((株)ディスコ製、形式DFD−2S/
8)を用いて、23℃の水をかけて冷却しながら半導体
シリコンウエハを50mm2のチップに分割(ダイシン
グ)した。ダイシング終了後、該フィルムを貼着したま
ま5℃に冷却し、この温度を保持したまま、ニードルで
突き上げると共にエアピンセットで吸着することにより
ピックアップを行った。3枚の半導体ウエハについて同
様の操作を3回行った。ダイシング中に飛散したチッ
プ、ピックアップのできなかったチップは皆無であっ
た。得られた粘着フィルムの実施例1の使用条件下での
粘着力特性およびチップ裏面への汚染性、並びに、ダイ
シング結果を〔表1〕に示す。
【0061】実施例2 実施例1で得られた粘着フィルムを用いて、実施例1と
同様の環境下において、冷却水の水温を30℃とした以
外は実施例1と同様の方法で、裏面研削が完了した集積
回路が形成された半導体シリコンウエハ(実施例1と同
じ)を50mm 2のチップに分割(ダイシング)した。
ダイシング終了後、該フィルムを貼着したまま10℃に
冷却し、この温度を保持したまま、実施例1と同様の方
法でピックアップを行った。3枚の半導体ウエハについ
て同様の操作を3回行った。ダイシング中に飛散したチ
ップ、ピックアップのできなかったチップは皆無であっ
た。実施例1の粘着フィルムの実施例2の使用条件下で
の粘着力特性およびチップ裏面への汚染性、並びに、ダ
イシング結果を〔表1〕に示す。
【0062】実施例3 調製例1で合成した高分子1の溶液(固形分40重量
%)75重量部、及び、調製例3で合成した高分子3の
溶液(固形分36重量%)25重量部を混合し、さら
に、イソシアネート系架橋剤(三井東圧化学(株)製、
オレスターP49−60SX、固形分60重量%)2重
量部を添加して粘着剤塗布液を得た。この粘着剤塗布液
を用いて、実施例1と同様の方法で粘着フィルムを製造
した。得られた粘着フィルムを用い、実施例1と同様の
環境下において、実施例1と同様の方法で、裏面研削が
完了した集積回路が形成された半導体シリコンウエハ
(実施例1と同じ)を50mm2のチップに分割(ダイ
シング)した。ダイシング終了後、該フィルムを貼着し
たまま65℃に加熱し、この温度を保持したまま実施例
1と同様の方法でピックアップを行った。3枚の半導体
ウエハについて同様の操作を3回行った。ダイシング中
に飛散したチップ、ピックアップのできなかったチップ
は皆無であった。得られた粘着フィルムの実施例3の使
用条件下での粘着力特性およびチップ裏面への汚染性、
並びに、ダイシング結果を〔表1〕に示す。
【0063】実施例4 実施例3で得られた粘着フィルムを用いて、実施例1と
同様の環境下において、冷却水の水温を40℃とした以
外は実施例1と同様の方法で、裏面研削が完了した集積
回路が形成された半導体シリコンウエハ(実施例1と同
じ)を50mm 2のチップに分割(ダイシング)した。
ダイシング終了後、該フィルムを貼着したまま55℃に
加熱し、この温度を保持したまま実施例1と同様の方法
でピックアップを行った。3枚の半導体ウエハについて
同様の操作を3回行った。ダイシング中に飛散したチッ
プ、ピックアップのできなかったチップは皆無であっ
た。実施例3の粘着フィルムの実施例4の使用条件下で
の粘着力特性およびチップ裏面への汚染性、並びに、ダ
イシング結果を〔表1〕に示す。
【0064】実施例5 調製例1で合成した高分子1の溶液(固形分40重量
%)70重量部、及び、調製例4で合成した高分子4の
溶液(固形分36重量%)30重量部を混合し、さら
に、イソシアネート系架橋剤(三井東圧化学(株)製、
オレスターP49−60SX、固形分60重量%)1.
5重量部を添加して粘着剤塗布液を得た。この粘着剤塗
布液を用いて、実施例1と同様の方法で粘着フィルムを
製造した。得られた粘着フィルムを用い、実施例1と同
様の環境下において、実施例1と同様の方法で、裏面研
削が完了した集積回路が形成された半導体シリコンウエ
ハ(実施例1と同じ)を50mm2のチップに分割(ダ
イシング)した。ダイシング終了後、該フィルムを貼着
したまま5℃に冷却し、この温度を保持したまま、実施
例1と同様の方法でピックアップを行った。3枚の半導
体ウエハについて同様の操作を3回行った。ダイシング
中に飛散したチップ、ピックアップのできなかったチッ
プは皆無であった。得られた粘着フィルムの実施例5の
使用条件下での粘着力特性およびチップ裏面への汚染
性、並びに、ダイシング結果を〔表1〕に示す。
【0065】実施例6 実施例5で得られた粘着フィルムを用いて、実施例1と
同様の環境下において、冷却水の水温を40℃とした以
外は実施例1と同様の方法で、裏面研削が完了した集積
回路が形成された半導体シリコンウエハ(実施例1と同
じ)を50mm 2のチップに分割(ダイシング)した。
ダイシング終了後、該フィルムを貼着したまま10℃に
冷却し、この温度を保持したまま、実施例1と同様の方
法でピックアップを行った。3枚の半導体ウエハについ
て同様の操作を3回行った。ダイシング中に飛散したチ
ップ、ピックアップのできなかったチップは皆無であっ
た。実施例5の粘着フィルムの実施例6の使用条件下で
の粘着力特性およびチップ裏面への汚染性、並びに、ダ
イシング結果を〔表1〕に示す。
【0066】
【表1】
【0067】比較例1 実施例1で得られた粘着フィルムを用いて、実施例1と
同様の環境下において、実施例1と同様の方法で、裏面
研削が完了した集積回路が形成された半導体シリコンウ
エハ(実施例1と同じ)を50mm2のチップに分割
(ダイシング)した。ダイシング終了後、冷却せずにそ
のまま、実施例1と同様の方法でピックアップを行っ
た。3枚の半導体ウエハについて同様の操作を3回行っ
た。ダイシング中に飛散したチップは皆無であったが、
全てのチップにおいてピックアップできなかった。実施
例1の粘着フィルムの比較例1の使用条件下での粘着力
特性およびダイシング結果を〔表2〕に示す。
【0068】比較例2 実施例3で得られた粘着フィルムを用いて、実施例1と
同様の環境下において、実施例1と同様の方法で、裏面
研削が完了した集積回路が形成された半導体シリコンウ
エハ(実施例1と同じ)を50mm2のチップに分割
(ダイシング)した。ダイシング終了後、加熱せずにそ
のまま、実施例1と同様の方法でピックアップを行っ
た。3枚の半導体ウエハについて同様の操作を3回行っ
た。ダイシング中に飛散したチップは皆無であったが、
32%のチップにおいてピックアップ不良が発生した。
実施例3の粘着フィルムの比較例2の使用条件下での粘
着力特性およびチップ裏面への汚染性、並びに、ダイシ
ング結果を〔表2〕に示す。
【0069】比較例3 実施例5で得られた粘着フィルムを用いて、実施例1と
同様の環境下において、実施例1と同様の方法で、裏面
研削が完了した集積回路が形成された半導体シリコンウ
エハ(実施例1と同じ)を50mm2のチップに分割
(ダイシング)した。ダイシング終了後、冷却せずにそ
のまま、実施例1と同様の方法でピックアップを行っ
た。3枚の半導体ウエハについて同様の操作を3回行っ
た。ダイシング中に飛散したチップは皆無であったが、
47%のチップにおいてピックアップ不良が発生した。
実施例5の粘着フィルムの比較例3の使用条件下での粘
着力特性およびチップ裏面への汚染性、並びに、ダイシ
ング結果を〔表2〕に示す。
【0070】比較例4 5℃の環境下において、実施例1で得られた粘着フィル
ムを、その粘着剤層を介して、裏面研削が完了した集積
回路が形成された半導体シリコンウエハ(実施例1と同
じ)の裏面に貼付したところ、粘着力がほとんどなく貼
付できなかった。結果を〔表2〕に示す。
【0071】比較例5 実施例3で得られた粘着フィルムを65℃に加熱し、そ
のままの温度で、その粘着剤層を介して、裏面研削が完
了した集積回路が形成された半導体シリコンウエハ(実
施例1と同じ)の裏面に貼付したところ、半導体ウエハ
の固定が不十分で、ダイシングが不可能な状態となっ
た。結果を〔表2〕に示す。
【0072】比較例6 5℃の環境下において、実施例5で得られた粘着フィル
ムを、その粘着剤層を介して、裏面研削が完了した集積
回路が形成された半導体シリコンウエハ(実施例1と同
じ)の裏面に貼付したところ、粘着力がほとんどなく貼
付できなかった。結果を〔表2〕に示す。
【0073】比較例7 実施例1で得られた粘着フィルムを用いて、実施例1と
同様の環境下において、冷却水の水温を10℃とした以
外は実施例1と同様の方法で、裏面研削が完了した集積
回路が形成された半導体シリコンウエハ(実施例1と同
じ)を50mm 2のチップに分割(ダイシング)した。
ダイシング中にウエハ及び、チップの固定が不十分とな
り、ダイシングが不可能となった。結果を〔表2〕に示
す。
【0074】比較例8 実施例3で得られた粘着フィルムを用いて、実施例1と
同様の環境下において、冷却水の水温を55℃とした以
外は実施例1と同様の方法で、裏面研削が完了した集積
回路が形成された半導体シリコンウエハ(実施例1と同
じ)を50mm 2のチップに分割(ダイシング)した。
ダイシング中にウエハ及び、チップの固定が不十分とな
り、ダイシングが不可能となった。結果を〔表2〕に示
す。
【0075】比較例9 実施例5で得られた粘着フィルムを用いて、実施例1と
同様の環境下において、冷却水の水温を10℃とした以
外は実施例1と同様の方法で、裏面研削が完了した集積
回路が形成された半導体シリコンウエハ(実施例1と同
じ)を50mm 2のチップに分割(ダイシング)した。
ダイシング中にウエハ及び、チップの固定が不十分とな
り、ダイシングが不可能となった。結果を〔表2〕に示
す。
【0076】
【表2】
【0077】比較例10 調製例1で合成した高分子1の溶液(固形分40重量
%)100重量部にイソシアネート系架橋剤(三井東圧
化学(株)製、オレスターP49−60SX、固形分6
0%)1.2重量部を添加して粘着剤塗布液を得た。こ
の粘着剤塗布液をロールコーターを用いてポリプロピレ
ンフィルム(剥離フィルム、厚み:50μm)に塗布
し、120℃で1分間乾燥して厚さ15μmの粘着剤層
を設けた。次いで、コロナ放電処理を施した厚さ100
μmのエチレン−メタクリル酸共重合体フィルム(実施
例1と同じ)の該処理面を貼り合わせ押圧して、粘着剤
層を転写させることにより粘着フィルムを製造した。
【0078】実施例1と同様の環境下において、実施例
1と同様の方法で、裏面研削が完了した集積回路が形成
された半導体シリコンウエハ(実施例1と同じ)を50
mm 2のチップに分割(ダイシング)した。ダイシング
終了後、該フィルムを貼着したまま5℃に冷却し、この
温度を保持したまま、実施例1と同様の方法でピックア
ップを行った。3枚の半導体ウエハについて同様の操作
を3回行った。ダイシング中に飛散したチップは皆無で
あったが、73%のチップにおいてピックアップ不良が
発生した。得られた粘着フィルムの比較例10の使用条
件下での粘着力特性およびチップ裏面への汚染性、並び
に、ダイシング結果を〔表3〕に示す。
【0079】比較例11 比較例10で得られた粘着フィルムを用いて、実施例1
と同様の環境下において、実施例1と同様の方法で、裏
面研削が完了した集積回路が形成された半導体シリコン
ウエハ(実施例1と同じ)を50mm2のチップに分割
(ダイシング)した。ダイシング終了後、該フィルムを
貼着したまま65℃に加熱し、この温度を保持したま
ま、実施例1と同様の方法でピックアップを行った。3
枚の半導体ウエハについて同様の操作を3回行った。ダ
イシング中に飛散したチップは皆無であったが、30%
のチップにおいてピックアップ不良が発生した。比較例
10の粘着フィルムの比較例11の使用条件下での粘着
力特性およびチップ裏面への汚染性、並びに、ダイシン
グ結果を〔表3〕に示す。
【0080】比較例12 比較例10で得られた粘着フィルムを用いて、実施例1
と同様の環境下において、実施例1と同様の方法で、裏
面研削が完了した集積回路が形成された半導体シリコン
ウエハ(実施例1と同じ)を50mm2のチップに分割
(ダイシング)した。ダイシング終了後、室温で、実施
例1と同様の方法でピックアップを行った。3枚の半導
体ウエハについて同様の操作を3回行った。ダイシング
中に飛散したチップは皆無であったが、51%のチップ
においてピックアップ不良が発生した。比較例10の粘
着フィルムの比較例11の使用条件下での粘着力特性お
よびチップ裏面への汚染性、並びに、ダイシング結果を
〔表3〕に示す。
【0081】比較例13 調製例1で合成した高分子1の溶液(固形分40重量
%)100重量部にイソシアネート系架橋剤(三井東圧
化学(株)製、オレスターP49−60SX、固形分6
0%)6.5重量部を添加して粘着剤塗布液を得た。こ
の粘着剤塗布液をロールコーターを用いてポリプロピレ
ンフィルム(剥離フィルム、厚み:50μm)に塗布
し、120℃で1分間乾燥して厚さ15μmの粘着剤層
を設けた。次いで、コロナ放電処理を施した厚さ100
μmのエチレン−メタクリル酸共重合体フィルム(実施
例1と同じ)の該処理面を貼り合わせ押圧して、粘着剤
層を転写させることにより粘着フィルムを製造した。実
施例1と同様の環境下において、実施例1と同様の方法
で、裏面研削が完了した集積回路が形成された半導体シ
リコンウエハ(実施例1と同じ)を50mm 2のチップ
に分割(ダイシング)した。ダイシング終了後、室温
で、実施例1と同様の方法でピックアップを行った。3
枚の半導体ウエハについて同様の操作を3回行った。ダ
イシング中に5%のチップが飛散したが、ピックアップ
のできなかったチップは皆無であった。得られた粘着フ
ィルムの比較例13の使用条件下での粘着力特性および
チップ裏面への汚染性、並びに、ダイシング結果を〔表
3〕に示す。
【0082】比較例14 調製例1で合成した高分子1の溶液(固形分40重量
%)100重量部にイソシアネート系架橋剤(三井東圧
化学(株)製、オレスターP49−60SX、固形分6
0%)2重量部、ジペンタエリスリトールモノヒドロキ
シペンタアクリレート6重量部およびα−ヒドロキシシ
クロヘキシルフェニルケトン0.4重量部を添加して粘
着剤塗布液を得た。この粘着剤塗布液をロールコーター
を用いてポリプロピレンフィルム(剥離フィルム、厚
み:50μm)に塗布し、120℃で1分間乾燥して厚
さ15μmの粘着剤層を設けた。次いで、コロナ放電処
理を施した厚さ100μmのエチレン−メタクリル酸共
重合体フィルム(実施例1と同じ)の該処理面を貼り合
わせ押圧して、粘着剤層を転写させることにより粘着フ
ィルムを製造した。実施例1と同様の環境下において、
実施例1と同様の方法で、裏面研削が完了した集積回路
が形成された半導体シリコンウエハ(実施例1と同じ)
を50mm 2のチップに分割(ダイシング)した。ダイ
シング終了後、粘着フィルムのエチレン−メタクリル酸
共重合体フィルム側から高圧水銀ランプ(40W/c
m)で15cmの距離から20秒間光照射した後、室温
で実施例1と同様の方法でピックアップを行った。3枚
の半導体ウエハについて同様の操作を3回行った。ダイ
シング中に飛散したチップ、ピックアップのできなかっ
たチップは皆無であった。しかし、顕微鏡による観察
で、3%のチップの裏面に粘着剤に起因する汚染物が観
察された。得られた粘着フィルムの比較例14の使用条
件下での粘着力特性およびチップ裏面への汚染性、並び
にダイシング結果を〔表3〕に示す。
【0083】
【表3】
【0084】
【発明の効果】本発明の半導体ウエハダイシング用粘着
フィルムは、結晶性高分子を含む粘着剤層が形成されて
おり、半導体ウエハをダイシングする際には強い粘着力
で半導体ウエハおよびチップを保持し、チップをピック
アップする際には冷却または加熱する等の簡単な操作で
容易に粘着力が低下する。そのため、ダイシング中に
は、チップが飛散することがない。また、剥離応力が小
さいのでピックアップする際に作業性が低下することが
ない。さらに、ピックアップした後に粘着剤層からの汚
染物がチップの裏面に付着することが殆どない。従っ
て、大容量化、高集積化、による半導体チップの大型
化、高性能化にある当技術分野において優れた効果を発
揮するものである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体ウエハを素子小片に分割する際の
    固定用に用いられる、基材フィルムの片面に粘着剤層が
    設けられた半導体ウエハダイシング用粘着フィルムであ
    って、該粘着剤層が結晶性高分子を含む粘着剤により形
    成され、該半導体ウエハダイシング用粘着フィルムの粘
    着力が、−10℃以上の温度における少なくとも一部の
    温度範囲A〜B℃(A<B)においてのみ150〜2,
    000g/25mmであり、且つ、A℃未満の温度領域
    において150g/25mm未満であることを特徴とす
    る半導体ウエハダイシング用粘着フィルム。
  2. 【請求項2】 半導体ウエハを素子小片に分割する際の
    固定用に用いられる、基材フィルムの片面に粘着剤層が
    設けられた半導体ウエハダイシング用粘着フィルムであ
    って、該粘着剤層が結晶性高分子を含む粘着剤により形
    成され、該半導体ウエハダイシング用粘着フィルムの粘
    着力が、70℃以下の温度における少なくとも一部の温
    度範囲E〜F℃(E<F)においてのみ150〜2,0
    00g/25mmであり、且つ、F℃を超える温度領域
    において150g/25mm未満であることを特徴とす
    る半導体ウエハダイシング用粘着フィルム。
  3. 【請求項3】 半導体ウエハを素子小片に分割し、取り
    出す際にその裏面に貼着する半導体ウエハダイシング用
    粘着フィルムの使用方法であって、該半導体ウエハダイ
    シング用粘着フィルムが、基材フィルムの片面に結晶性
    高分子を含む粘着剤により形成された粘着剤層を有し、
    その粘着力が−10℃以上の温度における少なくとも一
    部の温度範囲A〜B℃(A<B)においてのみ150〜
    2,000g/25mmであり、且つ、A℃未満の温度
    領域において150g/25mm未満であり、A〜B℃
    の温度範囲に含まれる少なくとも一部の温度範囲C〜D
    ℃(A<C≦D<B、1≦C≦D≦60)においてウエ
    ハ裏面に該粘着フィルムを貼着し、C〜D℃の温度範囲
    の冷却水をかけながら半導体ウエハを素子小片に分割
    し、次いで、A℃未満に冷却した状態で該粘着フィルム
    から素子小片を剥離して取り出すことを特徴とする半導
    体ウエハダイシング用粘着フィルムの使用方法。
  4. 【請求項4】 半導体ウエハを素子小片に分割し、取り
    出す際にその裏面に貼着する半導体ウエハダイシング用
    粘着フィルムの使用方法であって、該半導体ウエハダイ
    シング用粘着フィルムが、基材フィルムの片面に結晶性
    高分子を含む粘着剤により形成された粘着剤層を有し、
    その粘着力が70℃以下の温度における少なくとも一部
    の温度範囲E〜F℃(E<F)においてのみ150〜
    2,000g/25mmであり、且つ、F℃を超える温
    度領域において150g/25mm未満であり、E〜F
    ℃の温度範囲に含まれる少なくとも一部の温度範囲G〜
    H℃(E<G≦H<F、1≦G)においてウエハ裏面に
    該粘着フィルムを貼着し、G〜H℃の温度範囲の冷却水
    をかけながら半導体ウエハを素子小片に分割し、次い
    で、F℃を超える温度に加熱した状態で該粘着フィルム
    から素子小片を剥離して取り出すことを特徴とする半導
    体ウエハダイシング用粘着フィルムの使用方法。
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