JPH09207618A - 車速制御装置の制御方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 設定車速の加速更新制御において新設定車速
に到達した時の収束性を向上する。 【解決手段】 加速制御を行うための加速度データから
目標加速度を求めると共に、所定時間毎の実加速度デー
タを用いて実加速度を算出して、両加速度の比に応じて
アクセルオフ時間を増減する。加速手段の操作終了時に
スロットル弁を閉作動するためのアクセルオフ時間を実
加速度の大小に応じて好適に設定し得るため、車速を状
況変化に左右されずに速やかにかつ常に安定して加速後
の新設定車速へ収束させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、車両の速度を制御
する車速制御装置の制御方法に関し、例えば一定の車速
で走行する定速走行装置や車間距離に応じて車速を制御
したり前車に追従して走行するための車速制御装置の加
速制御に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の自動車用定速走行装置において、
例えばスロットル弁にアクチュエータをワイヤを介して
連結し、車速センサにより検出された現在車速を設定車
速に一致させるべくアクチュエータの駆動量を制御し
て、スロットル弁の開閉制御を行うようにしたものがあ
る。そのような自動車用定速走行制御において、例えば
特開昭６０−５６６３９号に開示されているように、定
速走行状態から加速スイッチ（例えばリジュームスイッ
チ）の操作により加速して、新設定車速にて定速走行を
行い得るようにしたものがある。その場合に、リジュー
ムスイッチを押している間、略等加速度にて車速を上昇
させ、所望の車速に達したらスイッチを戻すことにより
その時の車速を新設定車速として記憶し直している。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記したような設定車
速更新制御にあっては、加速終了後の車速のオーバーシ
ュートを防ぐために、スロットル弁を所定量閉作動する
アクセルオフ動作を行って、オーバーシュート量をでき
るだけ抑えるようにしているが、そのアクセルオフ動作
時間をスイッチ操作終了時に記憶した新設定車速に基づ
いて決定していた。そのため、走行条件の違いにより新
設定車速に到達するまでの加速状態が反映されず、適切
なアクセルオフ動作時間が設定されない場合が生じて、
車速のオーバーシュートあるいはアンダーシュートが起
きるという問題があった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】このような課題を解決し
て、設定車速の加速更新制御において新設定車速に到達
した時の収束性を向上することを実現するために、本発
明に於いては、スロットル弁にワイヤを介して連結され
たアクチュエータを加減速データにより適宜制御して車
速を制御すると共に、加速手段の作動中には加速制御を
行って、該加速手段の作動終了時にスロットル弁を閉方
向に作動する信号を出力する車速制御装置の制御方法に
おいて、前記加速手段の作動継続中にあっては所定時間
毎の実加速度データを記憶して、当該記憶された各実加
速度データを用いて実加速度を算出すると共に、前記加
速手段の作動終了時に前記スロットル弁を閉作動するた
めのアクセルオフ時間を前記実加速度に応じて増減する
ものとした。

【０００５】

【発明の実施の形態】以下に添付の図面に示された具体
例に基づいて本発明の実施の形態について詳細に説明す
る。

【０００６】本発明を適用可能な定速走行装置は、例え
ば、スロットル弁に負圧あるいはモータアクチュエータ
を駆動可能に連結すると共にＣＰＵを有する制御回路を
設け、定速走行モード時には、車速センサから検出され
る現在車速とスイッチなどで設定した設定車速とを比較
して、現在車速を設定車速に略一致させるようにアクチ
ュエータにＰＤ制御による制御信号を出力するように構
成されているものである。

【０００７】図１は、本発明が適用された定速走行装置
の概略を示す模式図である。例えば、自動車のエンジン
ルーム内に負圧駆動式のアクチュエータ１が配設されて
おり、そのアクチュエータ１とスロットル弁３とが、ア
クチュエータワイヤ２を介して互いに連結されている。

【０００８】本アクチュエータ１は、負圧導入管４を介
してエンジンの吸気管と接続されており、吸気負圧によ
り選択的に負圧駆動されるものであり、その負圧により
ハウジング５内のダイヤフラム６に支持されたリンク部
材７を戻しコイルばね８の弾発付勢力に抗して変位させ
てアクチュエータワイヤ２を引くように動作する。アク
チュエータ１のダイヤフラム６により画定される負圧室
９は、それぞれ電磁弁により構成されるバキュームバル
ブ１０とベントバルブ１１とセフティバルブ１２とによ
り外部に対して開閉されるようになっている。

【０００９】バキュームバルブ１０の他端が、前記した
負圧導入管４及びその管路の途中に設けられたチェック
バルブ１３を介してエンジンの吸気管に接続されてお
り、バキュームバルブ１０を開くことにより負圧室９内
の負圧を増大させ、ダイヤフラム６の運動によりスロッ
トル弁３を開いて車速を高めることができる。負圧導入
管４のチェックバルブ１３とバキュームバルブ１０との
間にはアキュムレータ１４が接続されており、これによ
り負圧室９に導入されるべき負圧を貯えることができ
る。

【００１０】負圧室９は、ベントバルブ１１及びセフテ
ィバルブ１２とそれぞれに配設された各エアフィルタ１
５を介して大気に連通しており、ベントバルブ１１を開
くことにより負圧室９の負圧を減少させ、ダイヤフラム
６の運動により車速を下げることができる。尚、セフテ
ィバルブ１２は、ベントバルブ１１と同様にエアフィル
タ１５を介して大気に連通しており、定速走行装置の作
動を解除したり、或いは何らかの異常を検出して定速走
行装置の機能を停止させる場合に開き、負圧室９を大気
と連通させる働きをする。

【００１１】前記した各バルブ１０〜１２は、車速デー
タに基づき演算制御を行うＣＰＵと電磁弁駆動回路とを
有するコントロールユニット１６によりそれぞれ選択的
に励磁制御される。このコントロールユニット１６に
は、車速を検出するための車速センサ１７と、設定車速
入力用のセットスイッチ１８と、ブレーキ操作などによ
り定速走行制御を中断した後に復帰するためのリジュー
ムスイッチ１９と、定速走行制御をキャンセルするため
のキャンセルスイッチ２０とが電気的に接続されてい
る。なお、図では負圧式アクチュエータを用いたものを
示したが、モータ駆動式アクチュエータを用いたものに
ついても同様である。

【００１２】図２は、本発明に基づく加速状態を示す車
速線図である。図２に示されるように、定速走行中のあ
る時点Ｔ１で更新スイッチとしてのリジュームスイッチ
１９をオンすると、図に示されるように略等加速度にて
車速を上昇させる制御を行う。

【００１３】このときの加速出力は、例えば一定の車速
上昇分に相当する分だけワイヤを駆動しかつその位置で
保持する状態を所定の時間行う。その所定時間経過毎に
リジュームスイッチ１９の状態を確認し、オン操作中で
あれば引き続き上記制御を行い、以後、リジュームスイ
ッチ１９のオン操作終了時（Ｔ２）まで上記制御を繰り
返し行う。そして、所望の車速に達したらリジュームス
イッチ１９をオフにするが、そのオフ時の検出車速を新
設定車速として記憶し、以降その新設定車速にて定速走
行制御を行う。

【００１４】図３は、本発明による加速データ用メモリ
２１を示す概略図であり、メモリ２１の各番地には上記
所定時間ピッチ毎の各加速度データが順に記憶されてい
る。これら各加速度データα１〜αｎは、図２に示され
るように、各所定時間ｔ１〜ｔｎ毎の実加速度データで
ある。この実加速度データのメモリ２１に記憶される個
数ｎは制御回路の関係で任意に設定すれば良く、加速制
御の時間が長ければ、メモリ２１の加速度データを更新
すれば良い。

【００１５】本発明によれば、上記リジュームスイッチ
１９のオフ時に、その時点まで加速していた車速のオー
バーシュートを極力抑えて、車速を新設定車速に速やか
に収束させるためのスイッチオフ時Ｔ２からのアクセル
オフ時間ｔａの設定を、例えば次式により算出する。

【００１６】 アクセルオフ動作時間＝Ａ＋Ｂ×α（実加速度）／α（目標値） …（１）

【００１７】ここで、α（実加速度）＝（α１＋α２＋
…＋αｎ）／ｎであり、新設定車速に至るまでの平均加
速度になり、α（目標値）は等加速度制御の目標加速度
であり、Ａ、Ｂはそれぞれ新設定車速にて決まる定数で
ある。

【００１８】実加速度が小さい場合には緩やかに加速し
た場合であることからオーバーシュートが小さいことが
予想され、実加速度が大きい場合には比較的急激に加速
した場合であることからオーバーシュートが大きくなる
と予想される。本発明に基づき上記（１）式から算出さ
れるアクセルオフ動作時間は、目標加速度値に対して実
加速度が小さい場合には短くなり、逆に目標加速度値に
対して実加速度が大きい場合には長くなるため、上記各
場合に好適に対応し得る。

【００１９】また、先に述べたように実加速度と目標加
速度との比でアクセルオフ時間を求めたが、マップデー
タや閾値を設けて実加速度の大きさに応じてアクセルオ
フ時間＋αを設定することも可能である。

【００２０】

【発明の効果】このように本発明によれば、加速制御を
行うための所定時間毎の実加速度データを用いて算出し
た実加速度に応じてアクセルオフ時間を増減することか
ら、加速手段の操作終了時にスロットル弁を全閉にする
ためのアクセルオフ時間を実加速度の大小に応じて好適
に設定し得るため、車速を状況変化に左右されずに速や
かにかつ常に安定して加速後の新設定車速へ収束させる
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明が適用された定速走行装置の概略を示す
模式図。

【図２】本発明に基づく加速状態を示す車速線図。

【図３】本発明による加速データ用メモリを示す概略
図。

【符号の説明】

１ アクチュエータ ２ アクチュエータワイヤ ３ スロットル弁 ４ 負圧導入管 ５ ハウジング ６ ダイヤフラム ７ リンク部材 ８ 戻しコイルばね ９ 負圧室 １０ バキュームバルブ １１ ベントバルブ １２ セフティバルブ １３ チェックバルブ １４ アキュムレータ １５ エアフィルタ １６ コントロールユニット １７ 車速センサ １８ セットスイッチ １９ リジュームスイッチ ２０ キャンセルスイッチ ２１ メモリ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 晃 埼玉県和光市中央１丁目４番１号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 岡田 忠義 埼玉県和光市中央１丁目４番１号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 千 尚人 埼玉県和光市中央１丁目４番１号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 川倉 孝之 群馬県桐生市広沢町１丁目2681番地 株式 会社三ツ葉電機製作所内 (72)発明者 森嶋 良夫 群馬県桐生市広沢町１丁目2681番地 株式 会社三ツ葉電機製作所内 (72)発明者 古澤 透 群馬県桐生市広沢町１丁目2681番地 株式 会社三ツ葉電機製作所内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 スロットル弁にワイヤを介して連結され
   たアクチュエータを加減速データにより適宜制御して車
   速を制御すると共に、加速手段の作動中には加速制御を
   行って、該加速手段の作動終了時にスロットル弁を閉方
   向に作動する信号を出力する車速制御装置の制御方法に
   おいて、 前記加速手段の作動継続中にあっては所定時間毎の実加
   速度データを記憶して、当該記憶された各実加速度デー
   タを用いて実加速度を算出すると共に、前記加速手段の
   作動終了時に前記スロットル弁を閉作動するためのアク
   セルオフ時間を前記実加速度に応じて増減することを特
   徴とする車速制御装置の制御方法。