JPH0920530A - 光学ガラス用組成物 - Google Patents

光学ガラス用組成物

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JPH0920530A JP16851695A JP16851695A JPH0920530A JP H0920530 A JPH0920530 A JP H0920530A JP 16851695 A JP16851695 A JP 16851695A JP 16851695 A JP16851695 A JP 16851695A JP H0920530 A JPH0920530 A JP H0920530A
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 重量%でB2 3 を20〜60%、Al
2 3 を1〜25%、Bi2 3 を5〜60%、Sb2
3 を0〜25%、Bi2 3 とSb2 3 を合量で1
0〜60%を含むことを特徴とする光学ガラス用組成
物。 【効果】 以上本発明によれば、従来のPbO含有異常
部分分散ガラスと同等の特性を有するガラスをPbOを
用いずに容易に製造することが可能である。得られたガ
ラスからなるレンズを他のレンズと組合わせて用いるこ
とにより、幅広い波長範囲において色収差を補正するこ
とが可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光学ガラス用組成物
に関し、特に光学系の色収差補正に用いる異常部分分散
ガラスレンズ用組成物に関するものである。一般に光学
ガラスは短波長域の部分分散性を表す部分分散比PgF
(ng −NF )/(nP −nC )とアッベ数νd との
間、及び長波長域の部分分散性を表す部分分散比PCA
=(nC −nA ′)/(nP −nC )とνd との間にお
よそ直線関係があるが、この直線関係から著しくはずれ
ているガラスは異常部分分散ガラスと言われている。本
発明は、このうち短波長域で負の異常性を示し、長波長
域で正の異常性を示すガラス用組成物に関するものであ
る。これらの異常部分分散ガラスレンズを他のレンズと
組み合わせて用いた場合、紫外から赤外への幅広い波長
範囲において色収差を補正することが可能となる。
【0002】
【従来の技術】従来この種のガラスとしてPbOを多量
に含むB2 3 −PbO系ガラスが製造されてきた。こ
れらのガラスは既にさまざまな文献、書籍、特許公報等
により公知であり、例えば1991年版ガラス組成デー
タブック(第100頁)にその代表的な組成が示されて
いる。
【0003】表1に同データブックに示されたガラス組
成を転記する。
【0004】
【表1】
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述のガラスにおいて
PbOはガラスの耐失透性を向上させ、かつ異常部分分
散性を強める効果を有するために不可欠な成分である。
しかしながら近年の地球環境汚染に対するさまざまな規
制の中でPbOの使用が困難な状況になっている。この
種の光学ガラスにおいてもPbOを使用しない組成の開
発が望まれている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
めに鋭意検討の結果、本発明者は、PbOの代替成分と
して、PbOよりも低毒性であるBi2 3 が有効であ
ることを見い出し、適量のBi2 3 を適量のB2 3
とAl2 3 および必要に応じてZnO、アルカリ金属
酸化物等と組み合せることにより、従来のPbO含有ガ
ラスと同等の異常部分分散性を有するガラスが得られる
ことを見い出した。
【0007】本発明はこれらの知見に基づいて完成され
たものであり、重量%でB2 3 を20〜60%、Al
2 3 を1〜25%、Bi2 3 を5〜60%、Sb2
3を0〜25%、Bi2 3 とSb2 3 を合量で1
0〜60%を含むことを特徴とする光学ガラス用組成物
を要旨とする。
【0008】以下本発明を詳説する。以下本発明の光学
ガラス用組成物は、必須成分として、重量%でB2 3
を20〜60%、Al2 3 を1〜25%、Bi2 3
を5〜60%、Sb2 3 を0〜25%、Bi2 3
Sb2 3 を合量で10〜60%含むものである。これ
ら必須成分の割合を上述のように限定した理由は以下の
とおりである。
【0009】B2 3 は異常部分分散性を有するガラス
の網目形成成分であり、ガラス組成物中の含有量は20
〜60%に限定される。その理由は、20%未満では異
常部分分散性が得られないだけでなく結晶化傾向が強く
なり、安定に製造可能なガラスが得られず、一方60%
を超えると、化学的耐久性が著しく劣化し、又分相傾向
が強まるからである。B2 3 を20〜55%が好まし
く、25〜55%が特に好ましい。
【0010】Al2 3 は化学的耐久性を向上させ、か
つガラスの分相傾向を抑える効果があり、その含有量は
1〜25%に限定される。その理由は、1%未満では化
学的耐久性向上効果および分相防止効果が不十分であ
り、一方25%を超えると結晶化傾向が強まり安定に製
造可能なガラスが得られないからである。Al2 3
4〜20%が好ましく、5〜17%が特に好ましい。
【0011】Bi2 3 は、従来の異常部分分散ガラス
におけるPbOの代替成分として異常部分分散ガラスを
得るために必須の成分であり、その異常部分分散性付与
効果および低毒性の故にPbOの代替成分として好まし
く用いられる成分である。その含有量は5〜60%に限
定される。その理由は5%未満であると異常部分分散ガ
ラスが得られず、一方60%を超えると結晶化傾向が強
まり、安定に製造可能なガラスが得られなくなるだけで
なく、茶色に着色する傾向が強まるからである。Bi2
3 は15〜55%が好ましく、20〜50%が特に好
ましい。
【0012】Sb2 3 は脱泡、消色を目的とし、また
屈折率の調整を目的としてBi2 3 の一部を置換して
含有させることができるが、その含有量は0〜25%に
限定される。その理由は、25%を超えると結晶化傾向
が強まり、安定に製造可能なガラスが得られないからで
ある。Sb2 3 は0〜20%が好ましく、0〜15%
が特に好ましい。
【0013】上述の2成分であるBi2 3 とSb2
3 の合量は、10〜60%に限定される。その理由は1
0%未満では目的とする分散特性が得られず、一方60
%を超えると結晶化傾向が強まり安定なガラスが得られ
ないからである。Bi2 3とSb2 3 の合量は15
〜55%が好ましく、20〜55%が特に好ましい。
【0014】本発明の光学ガラス用組成物は、上述の必
須成分以外に任意成分として、下記の成分を下記の含量
で含むことができる。
【0015】 SiO2 0〜5%未満 GeO2 0〜20% Li2 O 0〜3% Na2 O 0〜5% K2 O 0〜10% Cs2 O 0〜7% Li2 O+Na2 O+K2 O+Cs2 O 0〜10% MgO 0〜7% CaO 0〜7% SrO 0〜7% BaO 0〜12% MgO+CaO+SrO+BaO 0〜12% ZnO 0〜40% La2 3 0〜25% Y2 3 0〜25% Gd2 3 0〜10% In2 3 0〜10% Ga2 3 0〜10% ZrO2 0〜5% TiO2 0〜5% Nb2 5 0〜5% Ta2 5 0〜5% WO3 0〜15%
【0016】SiO2 は少量の添加により化学的耐久性
を向上させる効果が有るが、5%以上加えた場合ガラス
の分相傾向が強まり透明なガラスが得られにくい。従っ
てSiO2 の含量は0〜5%未満に限定される。
【0017】GeO2 は20%まで添加可能であり、異
常部分分散特性を大きく損なうことなく屈折率を高める
ことが可能である。しかしながら20%を超えるとガラ
スは茶着色を呈する。従ってGeO2 の含量は0〜20
%に限定される。
【0018】アルカリ金属酸化物Li2 O、Na2 O、
2 O、Cs2 Oの少量の添加は特にBi2 3 を多量
に含む高屈折率のガラスを得ようとした場合に見られる
茶着色を抑制する効果があるが、過剰に加えた場合、化
学的耐久性が著しく劣化する。従ってLi2 O、Na2
O、K2 O、Cs2 Oの含量はそれぞれ0〜3%、0〜
5%、0〜10%、0〜7%に限定される。さらにこれ
らの合量は0〜10%に限定される。
【0019】MgO、CaO、SrO、BaOは屈折率
とアッベ数の調整のために添加することができるが、こ
れにより異常部分分散性が損なわれる傾向がある。従っ
てMgO、CaO、SrO、BaOの含量は、それぞれ
0〜5%、0〜7%、0〜7%、0〜12%に限定され
る。さらにこれらの合量は0〜12%に限定される。
【0020】ZnOはガラスの結晶化や分相を抑制する
効果を有し、また屈折率、アッベ数を調整するために4
0%まで添加することができる。しかしながら40%を
上回ると異常部分分散性が低下する。従ってZnOの含
量は0〜40%に限定され、より好ましくは3〜30%
である。
【0021】La2 3 及びY2 3 は化学的耐久性を
向上させ、屈折率を高める成分であるが25%を上回る
と結晶化傾向が強まる。従ってLa2 3 の含量は0〜
25%に限定され、より好ましくは0〜20%である。
一方、Y2 3 の合量は0〜25%に限定され、より好
ましくは0〜20%である。
【0022】Gd2 3 、In2 3 、Ga2 3 はそ
れぞれ10%まで添加することができるが、これを上回
ると結晶化傾向が強まる。従ってこれらの含量はいずれ
も0〜10%に限定される。
【0023】ZrO2 、TiO2 、Nb2 5 、Ta2
5 、WO3 は化学的耐久性を向上させる成分であり、
異常部分分散性や耐失透性を損なわない範囲で添加する
ことができる。それぞれの含量は、0〜5%、0〜5
%、0〜5%、0〜5%、0〜15%に限定される。
【0024】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに説明する。
【0025】表2〜5に示す酸化物組成となるように酸
化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩などの各種原料を調合
し、混合して得た混合物を、白金坩堝を用い電気炉中1
100〜1300℃で1〜3時間熔解し撹拌、清澄後、
鉄製型に流し込み冷却した。その後およそ(Tg+1
0)℃の温度で1時間保持後、(Tg−200)℃まで
−30℃/hの冷却速度でアニールして、実施例No.1
〜18のガラス各100gを得た。得られたガラスはい
ずれも無色透明であり、ガラス中に結晶物や分相、茶着
色は認められなかった。
【0026】表2〜5に得られた実施例1〜18のガラ
スの組成、屈折率(nd )、アッベ数(νd )、長波長
域の部分分散比(PCA′)、短波長域の部分分散比(P
gF)を示す。
【0027】表2〜5に示した実施例1〜18のガラス
のPCA′、PgFをνd に対してプロットすると図1およ
び図2の如くである。
【0028】なお表6に、比較ガラス1〜5として市販
のPbO含有異常部分分散ガラスのnd 、νd 、PCA
およびPgFを示し、これら比較ガラス1〜5のPCA′、
gFをνd に対してプロットしたものを図1および図2
に示した。
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】
【表5】
【0033】
【表6】
【0034】図1および図2より、実施例1〜18のガ
ラスは、いずれも通常の光学ガラスに見られるノーマル
ラインからずれていることより紫外域で負の、赤外域で
正の異常部分分散性があり、比較例1〜5で示した従来
のPbO含有異常部分分散ガラスと同等の特性を有する
ことが分かる。また実施例1〜18のガラスは化学的耐
久性に優れており、例えば実施例2,3,4のガラスに
ついて化学的耐久性(DW :光学硝子工業会規格)を測
定したところ、それぞれ0.059%(2級)、0.0
15%(1級)、0.038%(1級)であり優れた化
学的耐久性を示した。
【0035】
【発明の効果】以上本発明によれば、従来のPbO含有
異常部分分散ガラスと同等の特性を有するガラスをPb
Oを用いずに容易に製造することが可能である。得られ
たガラスからなるレンズを他のレンズと組合わせて用い
ることにより、幅広い波長範囲において色収差を補正す
ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】光学ガラスのPCA′とνd との関係を示すグラ
【図2】光学ガラスのPgFとνd との関係を示すグラフ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%でB2 3 を20〜60%、Al
    2 3 を1〜25%、Bi2 3 を5〜60%、Sb2
    3 を0〜25%、Bi2 3 とSb2 3を合量で1
    0〜60%を含むことを特徴とする光学ガラス用組成
    物。
  2. 【請求項2】 任意成分として、 SiO2 0〜5%未満 GeO2 0〜20% Li2 O 0〜3% Na2 O 0〜5% K2 O 0〜10% Cs2 O 0〜7% Li2 O+Na2 O+K2 O+Cs2 O 0〜10% MgO 0〜7% CaO 0〜7% SrO 0〜7% BaO 0〜12% MgO+CaO+SrO+BaO 0〜12% ZnO 0〜40% La2 3 0〜25% Y2 3 0〜25% Gd2 3 0〜10% In2 3 0〜10% Ga2 3 0〜10% ZrO2 0〜5% TiO2 0〜5% Nb2 5 0〜5% Ta2 5 0〜5% WO3 0〜15% を含む、請求項1に記載の光学ガラス用組成物。
  3. 【請求項3】 B2 3 の含量が20〜55%、Al2
    3 の含量が4〜20%、Bi2 3 の含量が15〜5
    5%である、請求項1に記載の光学ガラス用組成物。
  4. 【請求項4】 ZnOの含量が3〜30%、La2 3
    の含量が0〜20%、Y2 3 の合量が0〜20%であ
    る、請求項2に記載の光学ガラス用組成物。
  5. 【請求項5】 異常部分分散ガラスレンズ用である、請
    求項1〜4のいずれか一項に記載の光学ガラス用組成
    物。
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