JPH091996A - 水圧転写方法 - Google Patents

水圧転写方法

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JPH091996A
JPH091996A JP14927895A JP14927895A JPH091996A JP H091996 A JPH091996 A JP H091996A JP 14927895 A JP14927895 A JP 14927895A JP 14927895 A JP14927895 A JP 14927895A JP H091996 A JPH091996 A JP H091996A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来の水圧転写方法では絵付けが困難であっ
たポリオレフィン樹脂成形品に対しても、付着性に優
れ、かつ鮮明な印刷模様を形成できるようにした水圧転
写方法を提供する。 【構成】 水溶性または水膨潤性フィルムからなる基材
1上に印刷模様層2を形成して転写シート3とする。印
刷模様層2上にアルコキシ・(ポリ)アルキレングリコ
ール・モノ(メタ)アクリレート5〜50重量%、塩素
化ポリプロピレン樹脂5〜50重量%および重合性不飽
和基含有ビニル化合物0〜90重量%からなるグラフト
共重合体をバインダー樹脂として含有するプライマー4
を塗布する。転写シート3を印刷模様層2が上面となる
ように水面に浮かべ、その上方から被転写体5を押し入
れる。水圧によって被転写体5の表面に印刷模様層2が
接着した後、基材1を除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主として、金属製品、
プラスチック成形体、セラミックス成形品等の各種の成
形体に対して絵付けを行なう際に好適に用いられる水圧
転写方法に関するものであって、極めて広範囲の成形体
に対して絵付けを施すことができ、特に従来この方式で
の絵付けが困難であったポリオレフィン成形体表面に対
しても、付着性に優れた印刷模様層を形成することがで
きるようにした水圧転写方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】特に、凹凸による立体面(三次元形状
面)や曲面を有する各種の成形体に対して、印刷層によ
る絵付けを行なうのに好適な方法として、水圧転写方法
がある。水圧転写方法は、表面に印刷模様層を有する水
溶性もしくは水膨潤性フィルムからなる水圧転写シート
の印刷模様層上に、該印刷模様層を溶解ないし膨潤させ
て流動状態とすることのできるプライマー(活性剤と称
されていることもある)を塗布し、しかる後この水圧転
写シートを印刷模様層面が上面となるようにして水に浮
かべ、流動状態の印刷模様層が水面上に延展した段階で
被転写体である成形品をその上面から押し入れ、流動状
態でかつ延展した印刷模様層を水圧によって成形品の表
面に転写する方法であり、かかる水圧転写方法について
は、例えば、特開昭61−58798号公報、特公平2
−32160号公報などにより既に知られている。
【0003】また、上記水圧転写方法において用いられ
るプライマーは、水圧転写シート上に形成された印刷模
様層を溶解(ないし膨潤)させることのできる有機溶剤
と、転写工程を効率的に進めるための粘度調整および転
写後の印刷模様層を被転写体表面に良好に付着させるこ
とのできるバインダー樹脂を必須成分とし、さらに必要
に応じて、プライマーの塗布によって流動化した印刷模
様層が水面上で延展するのを改善するための可塑剤、転
写後の乾燥工程において生じる印刷模様層の塗膜割れを
防止するための体質顔料などが配合されているのが一般
的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
水圧転写方法においては、用いられるプライマーは、被
転写体である成形品の材質が非ポリオレフィン系のプラ
スチック、例えば、ABS樹脂、ポリカーボネート樹
脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂等である場合、成形
品表面に実用的に満足し得る付着性の印刷模様層の形成
が可能であるが、成形品の材質がポリエチレン、ポリプ
ロピレンといったポリオレフィン系樹脂である場合に
は、転写された印刷模様層の付着性は極めて小さく、実
用に供し得ないという問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、上記従
来の水圧転写方法における問題点、すなわち、ポリオレ
フィン系樹脂成形品の表面に付着性に優れた印刷模様を
形成するのが難しいという問題点を解消すべく検討を進
めた結果、ポリオレフィン系のプラスチックに対して良
好な付着性を示すとされている塩素化ポリオレフィンを
上記プライマーのバインダー樹脂として用いると、印刷
模様層の付着性が大巾に改善できることを見出した。
【0006】しかし、塩素化ポリオレフィンは、一般的
には疎水性であるため、親水性の有機溶媒には溶解し難
く、従って、塩素化ポリオレフィン樹脂をバインダー樹
脂とするプライマーの溶剤組成は、必然的に疎水性有機
溶剤で構成せざるを得ないこととなる。かかる疎水性有
機溶剤を用いて構成されたプライマーは、水圧転写シー
トを水面に浮かせた場合、該転写シート上に形成された
印刷模様層が水面上に均一かつ良好に延展し難いという
欠点があり、結果として、印刷模様層のくずれた不鮮明
な転写模様しか得られないという新たな問題点があるこ
とが判明した。本発明は前記事情に鑑みてなされたもの
で、従来の水圧転写方法では絵付けが困難であったポリ
オレフィン樹脂成形品に対しても、付着性に優れ、かつ
鮮明な印刷模様を形成できるようにした水圧転写方法の
提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に本発明の水圧転写方法は、水溶性または水膨潤性フィ
ルムからなる基材上に印刷模様層を形成してなる転写シ
ートの前記印刷模様層上に、前記印刷模様層を溶解また
は膨潤させるプライマーを塗布する工程と、前記転写シ
ートを前記印刷模様層が上面となるように水面に浮かべ
る工程と、前記プライマーが塗布されかつ水面に浮かべ
られた転写シートの上方から被転写体を押し入れ、水圧
によって該被転写体の表面に前記印刷模様層を接着させ
る工程と、前記印刷模様層を被転写体に接着させた後に
前記基材を除去する工程とを有する水圧転写方法におい
て、前記プライマーが、アルコキシ・(ポリ)アルキレ
ングリコール・モノ(メタ)アクリレート5〜50重量
%、塩素化ポリプロピレン樹脂5〜50重量%および重
合性不飽和基含有ビニル化合物0〜90重量%からなる
グラフト共重合体をバインダー樹脂として含有してなる
ことを特徴とするものである。前記アルコキシ・(ポ
リ)アルキレングリコール・モノ(メタ)アクリレート
としては、特にアルコキシ・ポリエチレングリコール・
モノメタクリレートが好適である。前記塩素化ポリプロ
ピレンは、塩素化率15〜50%であるものが好まし
い。前記重合性不飽和基含有ビニル化合物としては、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチ
ル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリ
ル酸−iso−ブチル、(メタ)アクリル酸−tert
−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アク
リル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸−n
−ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、およ
び(メタ)アクリル酸イソボルニルからなる群から選ば
れた少なくとも1種が、特に好ましく用いられる。また
前記印刷模様層は、前記基材上に形成された下刷り印刷
層と、該下刷り印刷層上に形成された絵柄を有する印刷
層とで構成してもよい。さらに表面に印刷模様層が転写
された被転写体の該印刷模様層上にトップコート層を形
成してもよい。
【0008】
【作用】上記構成の本発明の水圧転写方法においては、
バインダー樹脂として、塩素化ポリプロピレン樹脂に、
アルコキシ・(ポリ)アルキレングリコール・モノ(メ
タ)アクリレートをグラフト重合せしめた共重合体で構
成したことを大きな特徴としている。ここにおいて用い
られるアルコキシ・(ポリ)アルキレングリコール・モ
ノ(メタ)アクリレートは親水性であるため、グラフト
化によって塩素化ポリプロピレン樹脂を親水性とするこ
とができる。したがって、プライマーの有機溶媒組成を
疎水性有機溶媒とした場合でも水面上で印刷模様層を均
一かつ充分に延展させることができると共に、ポリオレ
フィン樹脂成形品に対して優れた付着性が得られる。
【0009】
【実施例】以下、本発明を詳しく説明する。本発明で用
いられる転写シートの基材としては、水面に浮かべるこ
とにより吸水して膨潤または溶解するとともに、水面に
浮いているフィルムの上方より物体を押し入れた際に、
容易に延展して物体の形状に沿って変形する性質を有
し、なおかつ、通常の印刷工程に付し得る水溶性フィル
ムまたは水膨潤性フィルムが用いられる。具体的には、
ポリビニルアルコール樹脂をはじめ、デキストリン、ゼ
ラチン、にかわ、カゼイン、セラック、アラビアゴム、
でん粉、蛋白、ポリアクリル酸アミド、ポリアクリル酸
ソーダ、ポリビニルメチルエーテル、メチルビニルエー
テルと無水マレイン酸の共重合体、酢酸ビニルとイタコ
ン酸の共重合体、ポリビニルピロリドン、あるいはセル
ロース、アセチルセルロース、アセチルブチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、
ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、
アルギン酸ソーダなどの単独または混合樹脂等の、厚さ
10〜100μm程度の水膨潤性または水溶解性フィル
ム、あるいは、前記フィルム原料を、紙、不織布、布、
各種多孔質フィルムなど、液体、特に水を吸水または吸
湿する性質を有する基体シートにコーティングするか、
または前記水膨潤性または水溶解性のフィルムを前記基
体シートにラミネートしたラミネートシート等が用いら
れる。
【0010】なお、前記ポリビニルアルコール樹脂フィ
ルムは、その重合度、ケン化度、でん粉等の添加剤の配
合等の諸条件を変化させることによって、印刷時に必要
な機械的強度、取り扱い中の耐湿性、水に浮かべてから
の吸水による柔軟化の速度、延展ないし拡散に要する時
間、転写時の変形のしやすさ等を制御することができ
る。例えば、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂を主
成分とするより好ましいフィルムは、 PVA 80% 高分子性水溶性樹脂 15% でんぷん 5% の組成からなり、平衡水分が3%程度のものである。
【0011】本発明における印刷模様層の形成には、バ
インダー成分として以下のバインダー用樹脂を含有する
印刷インキが好ましく用いられる。印刷模様層に用いら
れるバインダー用樹脂としては、ポリエステルウレタ
ン、アクリルウレタン、ポリカーボネートウレタン等の
熱可塑性ウレタン系樹脂の単独、あるいは2種以上の混
合樹脂や、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸
エチル、ポリメタクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂の
単独、あるいは2種以上の混合樹脂、または、前記熱可
塑性ウレタン系樹脂やアクリル系樹脂を主成分とし、こ
れに、ニトロセルロース、酢酸セルロース等のセルロー
ス誘導体、ポリエステル樹脂、塩化ビニル、酢酸ビニル
共重合体樹脂等の添加用のバインダーが混合されている
混合樹脂等が使用される。
【0012】なお、前記バインダー用樹脂を含有し、着
色剤を含有しない印刷インキ、あるいは、ポリエチレン
ワックス、パラフィン等の炭化水素系樹脂、脂肪酸アマ
イド類、脂肪酸、脂肪アルコールおよびそのエステル類
等が添加されている印刷インキ等を用いて印刷模様層を
形成すれば、透明な下刷り印刷層が得られる。
【0013】本発明で用いられるプライマーは、バイン
ダー樹脂としてアルコキシ・(ポリ)アルキレングリコ
ール・モノ(メタ)アクリレート5〜50重量%、塩素
化ポリオレフィン樹脂5〜50重量%、および重合性不
飽和基含有ビニル化合物0〜90重量%からなるグラフ
ト重合体を含有するものである。本発明で用いることが
できるアルコキシ・(ポリ)アルキレングリコール・モ
ノ(メタ)アクリレートの具体例としては、2−メトキ
シエチルメタクリレート、2−メトキシエチルアクリレ
ート、2−エトキシエチルアクリレート、メトキシジエ
チレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレン
グリコールアクリレート、メトキシテトラエチレングリ
コールアクリレート、メトキシジプロピレングリコール
アクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレ
ートなど、および日本油脂(株)社製の商品名ブレンマ
ーPME−100、同PME−200もしくは同PME
−400などが挙げられ、これらはそれぞれ単独でもし
くは2種以上を混合して用いることができる。
【0014】上記アルコキシ・(ポリ)アルキレングリ
コール・モノ(メタ)アクリレートの中でも、アルコキ
シ・(ポリ)エチレングリコール・モノメタクリレート
は、側鎖基の親水性・疎水性に由来する印刷模様層の水
面上での延展性と、塩素化ポリプロピレンとの相溶性に
起因するプライマー自体の安定性の両面において優れて
いるので、本発明においてはアルコキシ・ポリエチレン
グリコール・モノメタクリレート、具体的には、メトキ
シジエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエ
チレングリコールアクリレート、メトキシテトラエチレ
ングリコールアクリレート、エトキシジエチレングリコ
ールアクリレートなど、および日本油脂(株)社製の商
品名ブレンマーPME−200などを用いるのが特に好
ましい。
【0015】また本発明で用いることができる塩素化ポ
リオレフィン樹脂としては、特に限定するものではな
く、種々の塩素化率を有するものの中から適宜選択して
使用できる。しかし、該塩素化ポリオレフィン樹脂の塩
素化率が15%より低くなると、有機溶剤に対する溶解
性とプライマーとした時の貯蔵安定性が低下するように
なり、塩素化率が50%より高くなるとポリオレフィン
系基材に対する付着性が低下する傾向があるので、本発
明においては、塩素化率15〜50%の範囲の塩素化ポ
リオレフィン樹脂を用いるのが好ましい。
【0016】本発明で用いることができる重合性不飽和
基含有ビニル化合物としては、特に制限するものではな
く、重合性の不飽和結合を持つものであればいずれも使
用可能である。具体例としては、スチレン、α−メチル
スチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリル酸、(メ
タ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸
メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル
酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アク
リル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸アミ
ル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アク
リル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メ
タ)アクリル酸イソボルニル、塩化ビニル、酢酸ビニ
ル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、プロピオン
酸ビニル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチルな
どが挙げられ、これらは1種もしくは2種以上混合して
使用できる。なお、これらビニル化合物の中でも(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、
(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸
−iso−ブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブ
チル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル
酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ラ
ウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)
アクリル酸イソボルニルを用いるのが好ましい。
【0017】プライマーを構成するバインダー樹脂に含
有されるグラフト共重合体において、アルコキシ・ポリ
アルキレングリコール・モノ(メタ)アクリレートが5
重量%より少ないと、得られるバインダー樹脂の親水性
が低下するようになるため、印刷模様層の水面上での延
展性が損なわれ、50重量%より多くなると親水性が著
しく大きくなるためポリオレフィン系基材に対する付着
性が損なわれると共にプライマーとしたときの貯蔵安定
性が悪化するようになる。また、塩素化ポリプロピレン
樹脂が5重量%より少ないと、ポリオレフィン系基材に
対する付着性が低下し、50重量%より多くなるとバイ
ンダー樹脂の疎水性が強まるため印刷模様層の水面上で
の延展性が損なわれるようになる。また、重合性不飽和
基含有ビニル化合物が90重量%より多くなると、ポリ
オレフィン系基材に対する付着性と印刷模様層の水面上
での延展性の両特性が損なわれるようになる。
【0018】上記グラフト共重合体は、一般的には、有
機溶剤溶液とした塩素化ポリプロピレン樹脂に、アルコ
キシ・ポリアルキレングリコール・モノ(メタ)アクリ
レートおよび重合性不飽和基含有ビニル化合物の所定量
を加え、適宜な重合開始剤の存在下、公知の重合法によ
って製造することができる。一例としては、70〜10
0℃で溶液重合するのが好ましく、この場合、重合溶媒
としてはトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素を主
体とし、必要に応じてシクロヘキサン、メチルシクロヘ
キサン、メチルイソブチルケトン、酢酸ブチルなどを併
用することができる。また、その際に用いられる重合開
始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチル
オキシ−2−エチルヘキサノエートなどの有機化酸化
物、アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’
−アゾビスイソブチレートなどのアゾ系化合物等が挙げ
られる。
【0019】このようにして得られたバインダー樹脂
は、適宜な有機溶剤と混合することによって水圧転写用
プライマーとすることができる。ここにおいて用いるこ
とのできる有機溶剤としては、上記グラフト共重合体を
溶解させることができると同時に、転写シート上に形成
された印刷模様層を溶解(ないし膨潤)させることがで
きるものであればいずれでも良い。用いることのできる
有機溶剤の具体例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプ
タン、オクタン、ミネラルスピリット、トルエン、キシ
レン、シクロヘキサン、エチルベンゼン、テトラリン、
デカリン、メチルアルコール、エチルアルコール、プロ
ピルアルコール、ブチルアルコール、アミルアルコー
ル、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール、エチ
レングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチ
ルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキ
サノン、イソホロン、エチルエーテル、イソプロピルエ
ーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチ
レングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコ
ールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエ
チルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテ
ル、ジエチレングリコージブチルエーテル、エチレング
リコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリ
コールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリ
コールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリ
コールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリ
コールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリ
コールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノ
メチルエーテルアセテート、および出光興産(株)社製
のスーパゾルシリーズ(商品名)などであり、これらは
1種もしくは2種以上混合して使用できる。
【0020】なお、上記有機溶剤は、転写シート上の印
刷模様層が流動状態を経て転写工程に移るまでの間、少
なくとも転写に適した粘度に保持させる必要があり、ま
た、転写後の印刷模様層の乾燥工程においては溶剤ばな
れが良く乾燥し易いことが望ましいので、用いる有機溶
剤の沸点範囲は50〜300℃であるのが好ましく、特
にその一部、好ましくは有機溶剤組成中の5〜30重量
%は、200〜300℃の高沸点溶剤を含むのが好まし
い。
【0021】このようなバインダー樹脂を用いて水圧転
写用のプライマーを製造するのに特別な制限はない。一
般的には上記のグラフト共重合体と有機溶剤とを、グラ
フト共重合体5〜50重量%および有機溶剤50〜95
重量%の範囲で混合することによって得られる。上記組
成によって得られるプライマーは、そのままでも転写シ
ート上の印刷模様層を溶解せしめるためのプライマーと
して使用できるが、必要に応じてこれにさらに無機質繊
維、可塑剤を加えるのが好ましい。無機質繊維は成形品
表面に転写した印刷模様の乾燥時の塗膜クラックの発生
を防止するのに有用であり、可塑剤は印刷模様層の水面
上での延展性を向上させる効果を与える。
【0022】上記プライマーに用いられる無機質繊維
は、上記バインダー樹脂100重量部に対して5〜30
重量部の範囲、可塑剤については20〜100重量部の
範囲で用いるのが好ましい。用いることのできる無機質
繊維については特に限定するものではなく、一般的には
繊維の直径で0.5〜1.0μm、繊維長で10〜30
μm程度のものが好ましく、その具体例としては、四国
化成工業(株)社製の商品名アルボレックスYSシリー
ズおよび同Mシリーズなどが挙げられる。また、可塑剤
の具体例としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフ
タレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケー
ト、エポキシ系可塑剤、トリメリット酸系可塑剤、ポリ
エステル系可塑剤などが挙げられる。
【0023】さらに、上記プライマーには、上記グラフ
ト共重合体以外の樹脂(例えば、有機溶剤可溶型の熱硬
化性アクリル樹脂もしくは熱可塑性アクリル樹脂な
ど)、顔料(例えば、タルク、マイカ、炭酸カルシウ
ム、クレー、バライトなど)、およびその他塗料用途に
おいて公知の種々の添加剤(例えば、分散剤、消泡剤、
界面活性剤など)等を、プライマーの特性を損なわない
範囲で加えることは何ら差しつかえない。
【0024】本発明において、前記転写シートを浮かべ
るのに使用される水は、転写シート中の基材である水溶
性または水膨潤性フィルムの性質により、適当な温度に
調整される。例えば、水溶性フィルムとして澱粉系フィ
ルム(商品名:オブラート)を使った場合は、水温は3
0〜40℃であることが望ましく、また、該フィルムの
除去の際の溶解を促進させるためにアミラーゼ等を2〜
4%程度添加しておくことが好ましい。
【0025】本発明における被転写体としては各種の成
形品を用いることができる。樹脂製成形品としては、非
ポリオレフィン系樹脂からなるものでも、またポリオレ
フィン系樹脂からなるものでもよく、例えば、ABS樹
脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、AES
樹脂(ABS樹脂の耐候性向上品)、ポリプロピレン樹
脂、ポリエチレン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、
ポリ塩化ビニル樹脂等のホモポリマー、もしくはコポリ
マーあるいはこれらのものから選択される混合物からな
る合成樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ホルマリ
ン樹脂、尿素樹脂、繊維素系樹脂等の射出成型品、押し
出し成型品、中空成型品、真空成型品等からなる各種合
成樹脂成形品を用いることができる。また、金属製品、
セラミックス成形品等を使用することもできる。さら
に、凹部または凸部を有するものや、平坦なもの、二次
元もしくは三次元曲面を有するものや貫通孔を有するも
の、格子状のものなどの殆どの形状のものが使用でき、
また表面に木や石や建物などの質感を生じさせるための
微小なエンボスが設けてあるもの等も使用できる。
【0026】以下、本発明の水圧転写方法について説明
する。図1は本発明の水圧転写方法の実施例を示した説
明図である。まず、基材1上に、グラビア印刷法など適
宜の印刷手法により、印刷模様層2を形成して、転写シ
ート3とする。ここで、印刷模様層2は、着色剤を含有
する印刷インキを用いて絵柄を有する印刷模様層2を基
材1上に直接形成してもよく、あるいは、着色剤を含有
しない印刷インキ、または、ポリエチレンワックス、パ
ラフィン等の炭化水素系樹脂、脂肪酸アマイド類、脂肪
酸、脂肪アルコールおよびそのエステル類等が添加され
ている印刷インキ等を用いて透明な下刷り印刷層を形成
した後、この下刷り印刷層上に着色剤を含有する印刷イ
ンキを用いて絵柄を有する印刷模様層を形成してもよ
い。
【0027】次に、転写シート3の印刷模様層2上に、
プライマー4を刷毛塗り、スプレー塗り、ロールコー
ト、カーテンフローコート、グラビアコートその他の公
知の塗布方法で、ウエット塗膜厚10〜30μm程度と
なるように塗布する。そして印刷模様2層が流動状態を
呈した段階で転写シート3を、図1に示すように印刷模
様層2が上面となるように水面に浮かべる。本発明にお
いて、転写シート3を水面に浮かべるには、枚葉状のも
のを一枚づつ浮かべることもできるし、水を一方向に流
しながら巻取状のものを連続的に水面に浮かべることも
できる。この工程においては、転写シート3における基
材1が下方を向くように、すなわち、印刷模様層2が上
面となるようにして水面に浮かべ、この際に転写シート
3と水面との間に気泡が入ることのないように、しか
も、転写シート3自体にしわがよらないようにすること
が必要である。
【0028】この後、印刷模様層2が水面上に延展した
段階で、被転写体である成形品5をその上方から水中に
押し入れる。このとき、転写シート3と成形品5との間
に気泡が入らないようにすることが必要である。成形品
5は、その一部または全部が水中に沈降され、転写シー
ト3が成形品5の表面形状に沿って延展する。そして、
水圧によって転写シート3が成形品5の表面に密着する
ことによって、その上面の印刷模様層2が成形品5の表
面に接着される。ここで、成形品5を水中に押し入れる
工程は、プライマーによって流動状態となり、かつ水面
上に延展した印刷模様層2が、乾燥によって不活性化す
る前に、すなわち、印刷模様層2がその湿潤性を失う前
に実施されるものであることは勿論である。
【0029】かくして成形品5の表面に印刷模様層2が
転写された後、成形品5を水中から取り出し、印刷模様
層2上に残留する基材1、すなわち水溶性または水膨潤
性フィルムの残留物を除去する。この基材1を除去する
には、水を用いて成形品5をシャワー洗浄することが最
も能率的で好ましい方法である。これにより成形品5に
付着した基材1が完全に除去されるとともに、転写の際
に生ずる汚れも洗浄される。この時の水温は用いた基材
1の材質などによっても異なるが、一般には15〜60
℃が適当であり、また、洗浄時間は1〜10分程度で十
分である。
【0030】続いて、成形品5に付着している水滴を乾
燥、除去することによって、図2に示すような、表面が
印刷模様層2によって装飾された成形品が得られる。さ
らに必要に応じて、水滴の乾燥、除去に続いて、成形品
5に転写された印刷模様層2の表面に、保護のためのト
ップコート層を好ましく形成することもできる。トップ
コート層は、例えば熱硬化型ウレタン系樹脂やアクリル
系樹脂等を塗布膜成分とする通常の塗装手段によって形
成することができる。
【0031】尚、上記実施例では、転写シート3上にプ
ライマー4を塗布した後に、転写シート3を水面に浮か
べたが、本発明の方法にあっては、これらの工程を逆に
しても構わないものである。すなわち、転写シート3を
印刷模様層2が上面となるように水面に浮かべた後に、
印刷模様層2上にプライマーを塗布してもよい。
【0032】以下、本発明に係る製造例および実施例を
説明する。なお、各成分の共重合比ないし混合比は特に
ことわりのない限り重量部で示した。 [プライマーを構成するバインダー樹脂の製造例]攪拌
機、冷却機およびモノマー滴下装置を備えた1リットル
の四つ口フラスコに、下記表1に示した組成(A)の各
成分を仕込み、攪拌下、内温が90℃になるまで加温
し、さらに90℃で20分間保持した。次いで組成
(B)のモノマー混合物を1時間半にわたって滴下し、
滴下終了後組成(C)の成分を加え、90℃で3時間保
持し重合を終了した。次いでトルエンを稀釈剤として共
重合体溶液の稀釈を行ない、バインダー樹脂溶液V1〜
V5、W1およびW2を得た。
【0033】
【表1】
【0034】[プライマーの製造例]上記で得た各バイ
ンダー樹脂溶液(V1〜V5、W1、W2)を用い、後
記表2に示した組成で各成分を均一に混合してプライマ
ーを製造した。
【0035】[実施例1]ポリビニルアルコール系フィ
ルム(日合フィルム(株)製、ハイセロンC−300)
からなる基材上に、ポリメタクリル酸ブチル樹脂40重
量部と、ポリメタクリル酸エチル樹脂50重量部と、ニ
トロセルロース10重量部との混合樹脂をバインダー成
分として含有するグラビア印刷用インキによって、絵柄
を有する印刷模様層をグラビア印刷法にて形成し、転写
シートとした。得られた転写シートの印刷模様層上に、
下記表2に示したプライマー(実施例No.1)を、グ
ラビアコート法にてウェット膜厚で15μmになるよう
に塗布した。プライマーの作用によって湿潤状態になっ
た印刷模様層が乾燥する前に、転写シートを水温30℃
の水面に、印刷模様層が上面となるように浮かべた。こ
こで、転写シートを水面に浮かべた時の印刷模様層の延
展状態を目視にて観察し、以下の評価基準で評価した。
その結果を下記表2(延展性)に示す。 ○;模様くずれがなく均一性に優れた状態で延展する ◇;模様くずれがごく僅か認められるが、実用上問題と
ならない程度 △;延展性が不充分で、模様くずれも一部に認められる
【0036】引き続き、基材が膨潤した後に、ポリプロ
ピレン樹脂製の立体成形品を転写シートの上方から押し
入れて、転写シートを成形品に密着させ、水圧によって
印刷模様層を成形品の表面に接着させた。この後、成形
品を水中から引き出し、これに30℃の水温のシャワー
を吹き付けることによって、表面に残留していた基材を
除去した。さらに、80℃で20分間ブロワーにより、
表面に付着している水滴の除去と印刷模様層の乾燥を行
なって、表面に印刷模様層が転写された成形品を得た。
【0037】得られた成形品の表面に形成された印刷模
様層の外観を、目視により観察し、以下の評価基準で評
価した。その結果を下記表2(転写性)に示す。 ○;模様切れがなく、鮮明な印刷模様が形成される ◇;模様切れがごくわずかに発生するが実用上問題とな
らない範囲 △;模様切れが発生、均一な模様の外観が得られない また印刷模様層の付着性について、JIS−K−540
0、「8.5.1碁盤目法」により付着性試験(すきま
間隔1mm、ます目の数100)を行ない、以下の評価
基準で評価した。その結果を下記表2(付着性)に示
す。 ○;剥離の痕跡も認められず、付着性極めて良好(10
0/100) ◇;カット面にそって僅かに塗膜の欠けがある程度で付
着性良好(100/100) △;僅かな剥離が認められるが実用上の使用範囲(90
以上/100) ×;剥離が認められる(90未満/100)
【0038】[実施例2〜6]上記実施例1において、
プライマーとして、下記表2に示したプライマー(実施
例No.2〜6)を用いた以外は同様にして、表面に印
刷模様層が転写された成形品を得た。また、印刷模様層
の延展性、転写性、および付着性についても実施例1と
同様にして評価した。その結果を下記表2にまとめて示
す。
【0039】[比較例1,2]上記実施例1において、
プライマーとして、下記表2に示したプライマー(比較
例No.1,2)を用いた以外は同様にして、表面に印
刷模様層が転写された成形品を得た。また、印刷模様層
の延展性、転写性、および付着性についても実施例1と
同様にして評価した。その結果を下記表2にまとめて示
す。
【0040】
【表2】
【0041】表2の結果より、本発明の水圧転写方法に
よれば、プライマーの有機溶剤組成を疎水性溶媒で構成
しても、水面上での印刷模様の延展性が良好であり、模
様くずれのない鮮明な転写模様が形成できるとともに、
特に付着性を上げるための表面処理をおこなわないポリ
オレフィン系樹脂成形品に対しても、付着性に優れた印
刷模様層を形成できることが認められた。
【0042】[実施例7]上記実施例1において、成形
品としてポリスチレン樹脂製成形品を用いた以外は同様
にして表面に印刷模様層が転写された成形品を得た。ま
た得られた成形品の印刷模様層上に、アクリルタイプの
塗装を行なってトップコート層を形成した。得られた成
形品は耐湿性、耐光性、耐薬品性等の表面物性に優れた
ものであった。
【0043】[実施例8]ポリビニルアルコール系フィ
ルム(日合フィルム(株)製、ハイセロンC−300)
からなる基材上に、ポリメタクリル酸メチル樹脂からな
るバインダー成分とポリエチレンワックスとを含有する
グラビア印刷用インキによって、透明なベタ刷りの下刷
り印刷層を形成し、次いで、前記下刷り印刷層上にポリ
メタクリル酸ブチル樹脂40重量部と、ポリメタクリル
酸エチル樹脂50重量部と、ニトロセルロース10重量
部との混合樹脂をバインダー成分として含有するグラビ
ア印刷用インキによって、絵柄を有する印刷模様層をグ
ラビア印刷法にて形成し、転写シートとした。得られた
転写シートの印刷模様層上に、上記表2に示したプライ
マー(実施例No.1)を、グラビアコート法にてウェ
ット膜厚で15μmになるように塗布した。プライマー
の作用によって湿潤状態になった印刷模様層が乾燥する
前に、転写シートを水温30℃の水面に、印刷模様層が
上面となるように浮かべた。引き続き、基材が膨潤した
後に、ABS樹脂製の立体成形品を転写シートの上方か
ら押し入れて、転写シートを成形品に密着させ、水圧に
よって印刷模様層を成形品の表面に接着させた。この
後、成形品を水中から引き出し、これに30℃の水温の
シャワーを吹き付けることによって、表面に残留してい
た基材を除去した。さらに、80℃で20分間ブロワー
により、表面に付着している水滴の除去と印刷模様層の
乾燥を行い、表面に印刷模様層が転写された成形品を得
た。このようにして得られた成形品は、絵柄を有する印
刷層とその上の透明な下刷り印刷層との2層からなる印
刷模様層を有するものであり、成形体表面の印刷模様は
鮮明であり、印刷模様層の付着性も良好であった
【0044】[実施例9]ポリビニルアルコール系フィ
ルム(日合フィルム(株)製、ハイセロンC−300)
からなる基材上に、ポリエステル樹脂70重量部とニト
ロセルロース30重量部との混合樹脂からなるバインダ
ー成分とポリエチレンワックスとを含有するグラビア印
刷用インキによって、透明なベタ刷りの下刷り印刷層を
形成し、次いで、前記下刷り印刷層上にポリエステルウ
レタン樹脂70重量部とニトロセルロース30重量部と
の混合樹脂をバインダー成分として含有するグラビア印
刷用インキによって、絵柄を有する印刷模様層をグラビ
ア印刷法にて形成し、転写シートとした。得られた転写
シートの印刷模様層上に、上記表2に示したプライマー
(実施例No.1)を、グラビアコート法にてウェット
膜厚で15μmになるように塗布した。プライマーの作
用によって湿潤状態になった印刷模様層が乾燥する前
に、転写シートを水温30℃の水面に、印刷模様層が上
面となるように浮かべた。引き続き、基材が膨潤した後
に、ABS樹脂製の立体成形品を転写シートの上方から
押し入れて、転写シートを成形品に密着させ、水圧によ
って印刷模様層を成形品の表面に接着させた。この後、
成形品を水中から引き出し、これに30℃の水温のシャ
ワーを吹き付けることによって、表面に残留していた基
材を除去した。さらに、80℃で20分間ブロワーによ
る乾燥を行なって、表面に付着している水滴を除去し、
表面に印刷模様層が転写された成形品を得た。このよう
にして得られた成形品は、絵柄を有する印刷層とその上
の透明な下刷り印刷層との2層からなる印刷模様層を有
するものであり、成形体表面の印刷模様は鮮明であり、
印刷模様層の付着性も良好であった
【0045】[実施例10]上記実施例8および9で得
られた成形品の印刷模様層上に、ウレタン二液タイプの
塗装を行なってトップコート層を形成した。得られた成
形品は、耐湿性、耐光性、耐薬品征鎗に優れた表面物性
を具備するものであった。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように本発明の水圧転写方
法は、水溶性または水膨潤性フィルムからなる基材上に
印刷模様層を形成してなる転写シートの前記印刷模様層
上に、前記印刷模様層を溶解または膨潤させるプライマ
ーを塗布する工程と、前記転写シートを前記印刷模様層
が上面となるように水面に浮かべる工程と、前記プライ
マーが塗布されかつ水面に浮かべられた転写シートの上
方から被転写体を押し入れ、水圧によって該被転写体の
表面に前記印刷模様層を接着させる工程と、前記印刷模
様層を被転写体に接着させた後に前記基材を除去する工
程とを有する水圧転写方法において、前記プライマー
が、アルコキシ・(ポリ)アルキレングリコール・モノ
(メタ)アクリレート5〜50重量%、塩素化ポリプロ
ピレン樹脂5〜50重量%および重合性不飽和基含有ビ
ニル化合物0〜90重量%からなるグラフト共重合体を
バインダー樹脂として含有してなることを特徴とするも
のである。
【0047】したがって、凹凸による立体面(三次元形
状面)や曲面を有する成形体に対しても、容易にかつ確
実に絵付けを行なうことができ、量産化にも対応でき
る。そして従来、水圧転写方法の適用が困難であったポ
リオレフィン系樹脂成形品、特に付着性を上げるための
表面処理をおこなわないポリオレフィン系樹脂成形品に
対しても適用可能であり、極めて広範囲の被転写体に対
して、付着性に優れかつ鮮明な絵柄を有する印刷模様層
を形成することができる。また、バインダー樹脂自体に
親水性が付与されているので、プライマーの有機溶剤組
成を疎水性溶媒で構成した場合であっても、水面上での
印刷模様の延展性が良好であり、模様くずれのない鮮明
な転写模様が形成できるという利点がある。さらには、
プライマーの溶剤組成を必ずしも親水性溶剤で構成する
必要がないので、疎水性溶剤で構成することによってプ
ライマーのコストダウンを図ることが可能であり、実用
性に優れている。
【0048】また前記印刷模様層を、前記基材上に形成
された下刷り印刷層と、該下刷り印刷層上に形成された
絵柄を有する印刷層とで構成すれば、被転写体の表面に
は、絵柄を有する印刷層とその上の透明な下刷り印刷層
との2層からなる表面物性に優れた印刷模様層が形成さ
れる。さらに表面に印刷模様層が転写された被転写体の
該印刷模様層上にトップコート層を形成すれば、用途に
応じた所望の表面物性を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の水圧転写方法の実施例を示す説明図
である。
【図2】 本発明の水圧転写方法により得られた成形品
の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1……基材、2……印刷模様層、3……転写シート、4
……プライマー、5……成形品(被転写体)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山盛 昌人 愛知県豊田市桂野町白早稲12番1号 トリ ニティ工業株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶性または水膨潤性フィルムからなる
    基材上に印刷模様層を形成してなる転写シートの前記印
    刷模様層上に、前記印刷模様層を溶解または膨潤させる
    プライマーを塗布する工程と、 前記転写シートを前記印刷模様層が上面となるように水
    面に浮かべる工程と、 前記プライマーが塗布されかつ水面に浮かべられた転写
    シートの上方から被転写体を押し入れ、水圧によって該
    被転写体の表面に前記印刷模様層を接着させる工程と、 前記印刷模様層を被転写体に接着させた後に前記基材を
    除去する工程とを有する水圧転写方法において、 前記プライマーが、アルコキシ・(ポリ)アルキレング
    リコール・モノ(メタ)アクリレート5〜50重量%、
    塩素化ポリプロピレン樹脂5〜50重量%および重合性
    不飽和基含有ビニル化合物0〜90重量%からなるグラ
    フト共重合体をバインダー樹脂として含有してなること
    を特徴とする水圧転写方法。
  2. 【請求項2】 前記アルコキシ・(ポリ)アルキレング
    リコール・モノ(メタ)アクリレートが、アルコキシ・
    ポリエチレングリコール・モノメタクリレートであるこ
    とを特徴とする請求項1記載の水圧転写方法。
  3. 【請求項3】 前記塩素化ポリプロピレンが、塩素化率
    15〜50%であることを特徴とする請求項1記載の水
    圧転写方法。
  4. 【請求項4】 前記重合性不飽和基含有ビニル化合物
    が、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エ
    チル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アク
    リル酸−iso−ブチル、(メタ)アクリル酸−ter
    t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)ア
    クリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸−
    n−ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、お
    よび(メタ)アクリル酸イソボルニルからなる群から選
    ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1
    記載の水圧転写方法。
  5. 【請求項5】 前記印刷模様層が、前記基材上に形成さ
    れた下刷り印刷層と、該下刷り印刷層上に形成された絵
    柄を有する印刷層とからなることを特徴とする請求項1
    記載の水圧転写方法。
  6. 【請求項6】 請求項1または5のいずれかの水圧転写
    方法により表面に印刷模様層が転写された被転写体の該
    印刷模様層上にトップコート層を形成することを特徴と
    する水圧転写方法。
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