JP4633308B2 - 水圧転写用フィルムおよび水圧転写用印刷フィルムの製造法 - Google Patents

水圧転写用フィルムおよび水圧転写用印刷フィルムの製造法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、凹凸のある立体面や曲面を有する成形体の表面に印刷層を形成するのに主として好適な、インクジェット法によ印刷層が形成された水圧転写用印刷フィルムの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
凹凸のある立体面や曲面を有する成形体の表面に対して、意匠性を付与したり、表面物性を向上させる目的で印刷層を形成する手段として、フィルム表面に転写用の印刷層を形成した水溶性または水膨潤性フィルムからなる水圧転写用シートを用いる方法が知られている(例えば、特開昭54-33115号公報など)。前記公報には、水圧転写用シートを印刷面を上にして水面に浮かべた後、被転写体である各種の成形体をその上方から押し入れることにより、水圧を利用して被転写体の表面に印刷層を転写するという方法が記載されている。
【0003】
従来、水圧転写用シートの製造には、オフセット印刷、凸版印刷、スクリーン印刷またはグラビア印刷等によって水圧転写用フィルムの上部に鮮明で微細な印刷層を設けるという方法が採用されているが、この方法は、少量多品種生産の要求に応じた小ロットでの生産や一般家庭での利用に適しているとは到底言い難い。また、従来の水圧転写用シートには、水性インクを用いたインクジェット法による印刷に際し、水圧転写用フィルムが膨潤して印刷像がぼやけて高精細印刷ができなかったり、穴があいたりするという問題があるうえ、ポリエステルやポリプロピレンやポリスチレンなどの被転写物との接着性が不十分であるという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、凹凸のある立体面や曲面を有する成形体の表面に印刷層を形成するのに主として好適で、特にインクジェット法による高精細な印刷が可能であり、被転写物と印刷層との密着性が良好で工程通過性に優れた水圧転写用フィルムを用いた水圧転写用印刷フィルムの製造法を提供することにある。
【0005】
本発明者らは種々検討を重ねた結果、ケン化度80〜99モル%のポリビニルアルコール系重合体に硝酸セルロースを組合わせてなる水圧転写用フィルムは、凹凸のある立体面や曲面を有する成形体の表面に印刷層を形成するのに好適で、特にインクジェット法による高精細な印刷が可能であり、被転写物と印刷層との密着性が良好で工程通過性に優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、ケン化度80〜99モル%のポリビニルアルコール系重合体フィルムの少なくとも片面に窒素量11.0〜12.0重量%の硝酸セルロースにより0.05〜20μm厚の被覆層が形成されている水圧転写用フィルムに、該被覆層面に水系インクを用いてインクジェット法により印刷層を形成させることを特徴とする水圧転写用印刷フィルムの製造法である。
【0007】
本発明において使用されるポリビニルアルコール系重合体は、ビニルエステル系モノマーを重合して得られたビニルエステル系重合体をケン化し、ビニルエステル単位をビニルアルコール単位としたものを用いることができる。そのビニルエステル系モノマーとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等を挙げることができ、これらの中でも酢酸ビニルを用いるのが好ましい。
【0008】
ビニルエステル系モノマーを重合させる際に、必要に応じて、該ビニルエステル系モノマーと共重合可能なモノマーを、本発明の効果を損なわない範囲で共重合させることができる。
このようなビニルエステル系モノマーと共重合可能なモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレンなどのオレフィン類、アクリル酸およびアクリル酸エステル類、メタクリル酸およびメタクリル酸エステル類、アクリルアミド誘導体、メタクリルアミド誘導体、ビニルエーテル類、ハロゲン化ビニル、アリル化合物、マレイン酸またはその塩およびエステル類、ビニルシリル化合物等を挙げることができる。これらのモノマーによる変性量は通常25モル%以下、好ましくは5モル%以下である。変性量が25モル%を超えると、水圧転写用フィルムと印刷層との親和性などが低下する傾向がみられる。
【0009】
ポリビニルアルコール系重合体のケン化度は80〜99モル%、好ましくは85〜92モル%である。ポリビニルアルコール系重合体のケン化度が80モル%未満の場合には、水圧転写用フィルムの水溶性速度が低下して水圧転写工程における通過性が悪化する場合があり、一方、ポリビニルアルコール系重合体のケン化度が99モル%を超えた場合でも、水圧転写用フィルムが水不溶化し、水圧転写工程における通過性が悪化する場合がある。
なお、本明細書でいうケン化度とは、ケン化によりビニルアルコール単位に変換されうる単位の中で、実際にビニルアルコール単位に変換されている単位の割合を示したものである。なお、ポリビニルアルコール系重合体のケン化度は、JIS記載の方法により測定される。
【0010】
ポリビニルアルコール系重合体の重合度は500〜3000、好ましくは700〜2500、さらに好ましくは1000〜2000である。ポリビニルアルコール系重合体の重合度が500未満の場合には、基材フィルムとしての機械的強度が不足する場合がある。一方、ポリビニルアルコール系重合体の重合度が3000を超えると、水圧転写用フィルムを製造する際の生産効率が低下する場合があり、また、水圧転写用フィルムの水溶性が低下して経済的な水圧転写の速度を得るのが困難になる場合がある。
【0011】
本発明において使用される硝酸セルロースは、セルロース原料を混酸でニトロ化することにより製造することができ、窒素量が11.0〜12.0重量%のものが用いられる。硝酸セルロースの可塑剤として、通常樟脳が用いられる。
【0012】
硝酸セルロースは、ポリビニルアルコール系重合体フィルムの少なくとも片面を被覆する際のコート液の成分として用いられ、その際に用いられる溶剤としては、酢酸エチル、イソブチルメチルエチルケトン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどを挙げることができる。
【0013】
硝酸セルロースをポリビニルアルコール系重合体フィルムに被覆するには、従来公知の方法を用いることができ、その方法として、例えば、グラビアロールコーティング、マイヤーバーコーティング、リバースロールコーティング、エアーナイフコーティング、スプレー方式等が挙げられるが、均一な層を形成することができさえすれば、その方法は特に限定されない。
【0014】
硝酸セルロースはポリビニルアルコール系重合体フィルムの片面に被覆しても、あるいは両面に被覆してもよく、特に制限はない。印刷層と水圧転写用フィルムとの親和性を確保する観点からは、片面のみ覆で十分であるが、フィルムのカール性やブロッキング防止性などの工程通過性の点からは両面を被覆するのが好ましい。
【0015】
ポリビニルアルコール系重合体フィルムの表面を被覆するのに用いられるコート液には、本発明における水圧転写用フィルムの本来の性能が損なわれるのでなければ、硝酸セルロース樹脂のほかに、防錆剤、防かび剤、粘度安定剤、界面活性剤、スリップ剤などを添加されていても差し支えない。特にシリカなどの無機フィラー等のスリップ剤を添加することは、印刷層の印刷性を向上させることから好ましい。
【0016】
被覆層の厚みは0.05〜20μmであり、より好適には0.1〜10μmである。被覆層の厚みについて厳密な意味での上限はないが、20μmを超えると、コスト的に不利になる。
【0017】
本発明における水圧転写用フィルムは、ケン化度80〜99モル%のポリビニルアルコール系重合体に対して可塑剤を添加することで柔軟性を付与することができる。可塑剤はポリビニルアルコール系重合体に可塑性を付与する機能を有していればよく、とくに制限はないが、グリセリン、ジグリセリン、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等の多価アルコール系可塑剤の使用が好ましく、特にグリセリンが好ましい。可塑剤の添加量はポリビニルアルコール系重合体100重量部に対して20重量部以下であるのがよく、15重量部以下であるのがより好ましい。可塑剤の量が20部を超えると、ブロッキングが生じる恐れがある。
【0018】
また、本発明の目的を阻害しない範囲であれば、水圧転写用フィルムに印刷層を形成する際に必要な機械的強度を付与し、水圧転写用フィルムを取扱う際の耐湿性を維持し、あるいは水圧転写用印刷フィルムを水面に浮かべた際の吸水による柔軟化の速度、水中での延展性、水中での拡散に要する時間、転写工程における変形のし易さ等を調節することを目的として、ケン化度80〜99モル%のポリビニルアルコール系重合体に対して澱粉、およびポリビニルアルコール以外の水溶性高分子を添加することが好ましい。
【0019】
添加しうる澱粉としては、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、コムギ澱粉、コメ澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉等の天然澱粉類、エーテル化加工、エステル化加工、酸化加工などがされた加工澱粉類を挙げることができ、特に加工澱粉類が好ましく用いられる。添加される澱粉の量はポリビニルアルコール100重量部に対して15重量部以下であるのがよく、10重量部以下であるのがより好ましい。澱粉の添加量が15重量部を超えると、ポリビニルアルコール系重合体フィルムは耐衝撃性が低下して脆くなり、工程通過性が低下する恐れがある。
【0020】
水溶性高分子としては、例えば、デキストリン、ゼラチン、にかわ、カゼイン、シェラック、アラビアゴム、ポリアクリル酸アミド、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルメチルエーテル、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸の共重合体、酢酸ビニルとイタコン酸の共重合体、ポリビニルピロリドン、セルロース、アセチルセルロース、アセチルブチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ソーダなどが挙げられる。添加される水溶性高分子の量はポリビニルアルコール100重量部に対して15重量部以下であるのがよく、10重量部以下であるのがより好ましい。水溶性高分子の添加量が15重量部を超えると、水圧転写時のフィルムの溶解性や分散性が低下する恐れがある。
【0021】
また、水圧転写用印刷フィルムを水面に浮かべた際の吸水による柔軟化の速度、水中での延展性、水中での拡散に要する時間等を調節する目的で、ケン化度80〜99モル%のポリビニルアルコール系重合体に対して無機塩類や界面活性剤などの添加剤を添加することが好ましい。
【0022】
無機塩類としては、ホウ酸や硼砂の使用が特に好ましい。添加される無機塩類の量は、ポリビニルアルコール系重合体100重量部に対して5重量部以下であるのがよく、1重量部以下であるのがより好ましい。無機塩類の添加量が5重量部を超えると、ポリビニルアルコール系重合体フィルムの水溶性が著しく低下する。
【0023】
添加される界面活性剤の種類については特に制限はない。界面活性剤の添加量は、ポリビニルアルコール系重合体100重量部に対して5重量部以下であるのがよく、1重量部以下であるのがより好ましい。界面活性剤の添加量が5重量部を超えると、ポリビニルアルコール系重合体フィルムが密着しやすくなり、取り扱い性が低下する。
【0024】
また、本発明における水圧転写用フィルムは、ケン化度80〜99モル%のポリビニルアルコール系重合体に対して、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、フィラー等を添加することができる。これらの添加剤の量は、通常ポリビニルアルコール系重合体100重量部に対して10重量部以下であるのがよく、より好ましくは5重量部以下である。添加剤の量が10重量部を超えると、ポリビニルアルコール系重合体フィルムの耐衝撃性が悪化する恐れがある。
【0025】
本発明における水圧転写用フィルムの厚みは、水溶性と工程通過性のバランスを勘案して適宜選択すればよいが、通常10〜100μm、好ましくは20〜80μm、さらに好ましくは30〜50μmである。厚みが10μm未満になると、フィルム強度が不足するため工程通過性の低下が生じる場合がある。また、厚みが100μmを超えると、水溶性が低下して、結果的に生産効率を低下させる場合がある。
【0026】
本発明における水圧転写用フィルムは、流延法、押出法、溶融法、インフレーション法等により製膜される。製膜後のフィルムは無延伸でもよいし、用途に合わせて機械特性を改善する目的で、1軸延伸または2軸延伸を施すこともでき、特に限定されない。
【0028】
発明における水圧転写用フィルムは特にインクジェット印刷方式に適しており、この印刷方式において水系インクを特に好ましく用いることができる。しかして、本発明は、ケン化度80〜99モル%のポリビニルアルコール系重合体フィルムの表面が硝酸セルロースにより被覆されている水圧転写用フィルムに、水系インクを用いてインクジェット法により印刷層を形成させることを特徴とする水圧転写用印刷フィルムの製造法を提供する。この方法に用いることができる水系インクとして、水系溶剤に酸性染料等の水溶性染料を溶解したインク、あるいは顔料を分散させた水系インクを挙げることができる。
【0030】
水圧転写用フィルムに印刷層を印刷する工程での印刷適性を向上する目的で、フィルム表面のスリップ性を向上させるため、フィルム表面をマット処理することが好ましい。処理方法として、製膜時にロールまたはベルトのマット表面をフィルムに転写させるオンラインマット処理法、フィルムを一旦ロールに巻き取った後にエンボス処理を施す方法などが挙げられるが、表面に凹凸を付けることができさえすれば、方法は特に限定されない。フィルムの表面粗さはRaで0.5μm以上であるのが好ましく、1μm以上であるのがより好ましい。また、フィルムの表面粗さのRmaxは1μm以上であるのがよく、3μm以上であるのがより好ましい。
【0031】
本発明における水圧転写用フィルムの長さおよび幅には特に制限はないが、印刷時の生産性の観点から、長さは1m以上であるのが好ましく、100m以上であるのがより好ましく、1000m以上であるのがさらに好ましい。水圧転写用フィルムの幅は50cm以上であるのが好ましく、80cm以上であるのがより好ましく、100cm以上であるのがさらに好ましい。フィルムの幅が50cm未満であると、印刷時の生産性が低下する恐れがある。フィルムの幅は4m以下であるのが好ましく、3m以下であるのがさらに好ましい。フィルムの幅が4mを超えると、均一な厚みを有する水圧転写用フィルムの生産が困難になる恐れがある。
【0032】
本発明の方法によって得られる水圧転写用印刷フィルムは、従来公知の水圧転写方法に好適に用いることができる。その方法として、例えば、水圧転写用印刷フィルムを水面に浮かべると共に該水圧転写用印刷フィルムの印刷層を活性化させる第1工程、水面に浮いている水圧転写用印刷フィルムの上方から所定の成形体からなる被転写体を被転写面が下方になるようにして降下させる第2工程、水圧転写用印刷フィルムの印刷層が被転写体の表面に十分に固着した後で該水圧転写用印刷フィルムにおける転写フィルム基材を除去する第3工程、被転写面に転写用の印刷層を転写させた被転写体を十分に乾燥させて目的製品を得る第4工程の各工程からなる水圧転写方法が挙げられる。
【0033】
本発明における水圧転写用フィルムは、木、合板、パーティクルボード等の木質基材、各種プラスチック類、石膏ボード、パルプセメント板、スレート板、石綿セメント板などの繊維セメント板、珪酸カルシウム板、珪酸マグネシウム板、GRCおよびコンクリート、鉄、ステンレス、銅、アルミニウム等の金属板、およびこれらの複合物の表面に印刷層を形成するのに使用される。これらの金属および板は、表面の形状が平坦であっても、粗面であっても、凹凸形状を有していてもよく、主として凹凸のある立体面や曲面を有する成形体の表面に印刷層を形成するのに好適に用いられる。
【0034】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれによって何ら限定を受けるものではない。
【0035】
実施例 1
ケン化度88モル%、重合度1750のポリビニルアルコール100重量部、グリセリン5重量部、エーテル化澱粉5重量部、およびホウ酸0.5%からなる15%濃度の水溶液を90℃の温度にして、マット面を有するステンレス製の金属板上に流延し、製膜することにより厚さ40μmの基材フィルムを作成した。
次いで、窒素量12%の硝酸セルロースを酢酸エチルに溶解して固形分30%としたものをコート溶液とし、基材フィルムの上にバーコータ−を用いて速度75m/分で塗布したのち、乾燥機を用いて150℃で乾燥を行い、片面に硝酸セルロース層が被覆された、厚み45μmのフィルムを得、さらにエンボスロール温度120℃、線圧35kg/cmの条件でエンボス加工を行い、水圧転写用フィルムを得た。
【0036】
得られた水圧転写用フィルムの硝酸セルロースの被覆面に、セイコーエプソン(株)製のインクジェットプリンターPM−2000Cを用い、セイコーエプソン(株)製の水系インク(PMIC1C)を用いて木目柄をインクジェット方式で印刷したところ、印刷抜けは認められなかった。また、印刷画像のにじみも認められなかった。
印刷層が形成された水圧転写用印刷フィルムをロール状に巻き取り、20℃、65%RHの雰囲気下で1週間保管したところ、印刷層の剥離は認められなかった。
【0037】
上記印刷面に、活性剤(ブチルセロソルブアセテート26重量部、ブチルカルビトールアセテート26重量部、ブチルメタクリレート重合体8重量部、ジブチルフタレート20重量部、硫酸バリウム20重量部の混合物)をスプレー塗工法で13g/mに塗布した。そして、水温30℃の水面に、前記活性剤を塗布した転写用の印刷面が上面になるようにして浮かべ、1分後にABS樹脂製の平板成形体を上方から押し入れ、該成形体の表面に転写用シートを延展密着させた。
次いで、表面に水圧転写用印刷フィルムが延展、密着しているABS樹脂成形体を水中から引き出し、40℃の温水で30分間シャワーした後、さらに蒸留水でシャワーし、水圧転写用印刷フィルムから水圧転写用フィルムを除去し、続いて乾燥工程を経ることによって、水圧転写法による転写層を有するABS樹脂成形体を得た。
水圧転写用フィルムの除去性は良好で、印刷層の成形体への転写性も良好であり印刷抜けは認められなかった。
【0038】
参考
ケン化度88モル%、重合度1750のポリビニルアルコール100重量部、グリセリン5重量部、エーテル化澱粉5重量部、およびホウ酸0.5%からなる15%濃度の水溶液を90℃の温度にして、マット面を有するステンレス製の金属板上に流延し、製膜することにより、厚さ40μmの水圧転写用フィルムを作成した。
得られた水圧転写用フィルムに、窒素量12%の硝酸セルロース100重量部とアルキッド樹脂25重量部との混合樹脂からなるビヒクルを使用した印刷インクを用いて、溶剤系インクジェットプリンターPrimeJetを用いて印刷を行い、水圧転写用フィルムのマット面側に印刷層を形成した。印刷層が形成された水圧転写用印刷フィルムをロール状に巻き取り、20℃、65%RHの雰囲気下で1週間保管したところ、印刷層の剥離は認められなかった。
また、実施例1と同様にして成形体への水圧転写性を調べたところ、良好に転写可能であり、印刷抜けは認められなかった。
【0039】
比較例 1
実施例 1で作成した基材フィルムに硝酸セルロース層を形成させることなくそのまま単独で使用し、実施例1と同様にして印刷層に水系インクを用いてインクジェット方式による印刷を行なったところ、印刷層のにじみが大きく、印刷がぼやけていた。また、印刷層を形成したフィルムをロール状に巻き取り、20℃、65%RHの雰囲気下で1週間保管したところ、印刷層の裏移りが部分的に認められた。その後、実施例1と同様にして印刷層を水圧転写した際にも成形体表面に印刷抜けが認められた。また、擦ると印刷層が容易に剥離した。
【0040】
比較例 2
ケン化度72%、重合度1750のポリビニルアルコール100重量部、グリセリン5重量部、エーテル化澱粉5重量部、ホウ酸0.5%からなる15%濃度の水溶液を90℃の温度にして、マット面を有するステンレス製の金属板上に流延し、製膜することにより、厚さ40μmの基材フィルムを作成した。次いで、窒素量12%の硝酸セルロースを酢酸エチルに溶解して固形分30%としたものをコート溶液とし、基材フィルムの上にダイレクト・グラビアロールコータ−を用いて速度75m/分で塗布し、乾燥機を用いて150℃で乾燥を行い、片面に硝酸セルロース層が被覆された、厚み45μmのフィルムを得、さらにエンボスロール温度120℃、線圧35kg/cmの条件でエンボス加工を行い、水圧転写用フィルムを得た。
実施例1と同様にして水圧転写の評価を行なったところ、インクジェット印刷は良好に行うことができたが、水圧転写時のフィルム溶解性が悪く、印刷抜けが多く認められた。
【0041】
比較例 3
ケン化度99.5モル%、重合度1750のポリビニルアルコール100重量部、グリセリン5重量部、エーテル化澱粉5重量部、ホウ酸0.5%からなる15%濃度の水溶液を90℃の温度にして、マット面を有するステンレス製の金属板上に流延し、製膜することにより、厚さ40μmの基材フィルムを作成した。
次いで、窒素量12%の硝酸セルロースを酢酸エチルに溶解して固形分30%としたものをコート溶液とし、基材フィルムの上にダイレクト・グラビアロールコータ−を用いて速度75m/分で塗布し、乾燥機を用いて150℃で乾燥を行い、厚さ45μmのフィルムを得、さらにエンボスロール温度120℃、線圧35kg/cmでエンボス加工を行い、水圧転写用フィルムを得た。
実施例1と同様にして水圧転写の評価を行なったところ、インクジェット印刷は良好に行うことができたが、水圧転写時のフィルム溶解性が悪く、印刷抜けが多く認められた。

Claims (1)

  1. ケン化度80〜99モル%のポリビニルアルコール系重合体フィルムの少なくとも片面に窒素量11.0〜12.0重量%の硝酸セルロースにより0.05〜20μm厚の被覆層が形成されている水圧転写用フィルムに、該被覆層面に水系インクを用いてインクジェット法により印刷層を形成させることを特徴とする水圧転写用印刷フィルムの製造法。
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