JP4188204B2 - 水圧転写方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリビニルアルコール系重合体フィルムに印刷層を形成した転写用シートを用い、水溶液中で、凹凸のある立体面や曲面を有する成形体の表面に高精細な柄を付与する水圧転写方法に関する。
非平面形状の成形体の表面に印刷を施す方法として、一般に、印刷層が形成された転写用シート(以下、印刷層が形成された転写用シートを「転写用シート」と略称することがある)をその印刷面を上にして水面に浮かべ、十分に膨潤させてから、被転写体である成形体を水中に向けて上方から押しつけ、被転写体の表面に印刷層を転写させるという方法が採用されている(例えば、特許文献1、特許文献2など)。従来より、このような転写用シートには、ポリビニルアルコール系重合体(以下、ポリビニルアルコール系重合体を「PVA」、ポリビニルアルコール系重合体フィルムを「PVAフィルム」と略称することがある)等の水溶性又は水膨潤性の樹脂を原料としたフィルムが基材フィルムとして用いられている。この用途に用いられる基材フィルムには、印刷適性が優れていること、水面に浮かべたときに膨潤すること、および被転写体へのつきまわり性を有することなどが必要とされ、そのような要求に応えた基材フィルムが過去に提案されている(例えば、特許文献3、特許文献4など)。
従来実施されている水圧転写方法は、転写用シートにインキ活性化溶剤を塗布した後に水面に浮かべるという方法が採られているため、転写用シートが水溶液によって膨潤すると同時に印刷層も転写用シートの膨潤の影響を受けて印刷柄が1.50倍以上に広がり、そのために、転写用シートに印刷された柄と被転写体に転写された柄が相違し、特に印刷柄が膨張することによりピントボケの印象を与える場合があり、鮮明で高精細な柄を転写することができないという問題を抱えていた。
また、転写用シートを水面に浮かべた後にインキ活性化溶剤を塗布する方法が提案されており(例えば、特許文献5)、この方法によると、転写用シートが膨潤することによってもたらされる印刷柄の広がりをある程度抑制することが可能である。しかしながら、この方法では、転写用シートを水面に浮かべる時間やインキ活性化溶剤を塗布してから被転写体に転写するまでの時間を制御すること等については全く配慮されておらず、高精細な柄を転写するという問題を解決することはできなかった。
この発明に関連する先行技術文献としては次のものがある。
特開昭51−21914号公報 特開昭54−33115号公報 特開昭54−92406号公報 特開昭54−150208号公報 特開昭58−191187号公報
本発明の目的は、基材フィルムであるポリビニルアルコール系重合体フィルムに印刷層を形成した転写用シートを用い、水溶液中で、凹凸のある立体面や曲面を有する成形体の表面に、高精細な印刷層を形成する水圧転写方法を提供することにある。
本発明者らによる検討の結果、上記課題は、ポリビニルアルコール系重合体フィルムに印刷層を形成した転写用シートを、印刷層を上にして、界面活性剤の含有量が10〜30000ppmである水溶液の液面上に浮かべ、被転写体である成形体を液面に向けて押しつけることにより印刷層を成形体に転写することにより解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の水圧転写方法によれば、界面活性剤を特定の濃度で含有する水溶液の液面上で転写用シートが膨潤により伸張するのを抑制することができ、その結果、凹凸を有する非平面形状の成形体の表面に、高精細な柄を鮮明に印刷することができるという優れた効果を奏することができる。
本発明の方法によれば、転写用シートを、界面活性剤を特定の濃度で含有する水溶液の液面上に浮かべたときの膨潤による伸張を、転写用シートの伸び率として1.40倍以下に抑制することができる。なお、ここで転写用シートの伸び率とは、インキ活性化溶剤を塗布した転写用シートを水溶液の液面に浮遊させた後、一定の時間が経過した時点における印刷柄の広がりの度合いを示す。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の水圧転写方法は、転写用シートを浮かべる水溶液が界面活性剤を特定の濃度で含有していることが重要であり、これにより被転写体である成形体の表面に高精細な柄を鮮明に印刷することが可能になる。
本発明において、水溶液に含有させるのに用いることができる界面活性剤は、水溶性であり、界面活性能を有するものであれば特に制限はなく、非イオン系界面活性剤、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両性界面活性剤の何れも使用することができる。界面活性剤は、臨界ミセル濃度(以下、臨界ミセル濃度を「CMC」と略称することがある)が低いほど、低い界面活性剤の濃度でミセルを形成して、水面上での界面活性能が安定に発現し、曲面転写時の転写用シートの広がりが均一になる傾向がある。このため、界面活性剤のCMCは、5.0mmol/l以下が好ましく、1.0mmol/l以下がさらに好ましい。界面活性剤のCMCが5.0mmol/lを超える場合には、転写用シートの伸張を抑制する効果が不均一になり、界面活性剤を含有させた水溶液を用いることによる効果が十分に発現しないことがある。
CMCが5.0mmol/l以下、さらには1.0mmol/l以下の界面活性剤の代表例として、一般式(1)で表わされるポリオキシエチレンアルキルエーテルを挙げることができる。
Figure 0004188204
(式中、Rは炭素数6〜20の飽和又は不飽和の炭化水素基であり、nは2〜20の整数である。)
前記式(1)において、Rで表わされる炭素数6〜20の飽和又は不飽和の鎖状炭化水素基は、炭素数6〜20のアルキル基又はアルケニル基であることができ、これらの基は直鎖状でも、あるいは分岐していてもよい。
界面活性剤は、2種類以上を組合せて用いることができる。
本発明において用いられる水溶液について、界面活性剤の含有量は10〜30000ppmであり、30〜15000ppmであることが好ましく、50〜10000ppmであることがより好ましい。界面活性剤の含有量が10ppmを下回る場合には、水溶液の液面上で転写用シートの伸張が抑制される効果が小さくなり、印刷が広がった状態で柄ボケが発生して、鮮明で高精細な柄を転写することができなくなる。一方、界面活性剤の含有量が30000ppmを上回る場合には、界面活性剤を含有する水溶液を攪拌した際に発生した泡が消えにくく、泡が印刷の柄に残存するために、成形体への美麗な転写を実現できなくなる。
本発明において用いられるポリビニルアルコール系重合体は、未変性のPVAであっても、あるいはPVAの主鎖中に、本発明の効果を阻害しない範囲で、エチレン、プロピレンなどのオレフィン類、アクリル酸およびアクリル酸エステル類、メタクリル酸およびメタクリル酸エステル類、アクリルアミド誘導体、メタクリルアミド誘導体、ビニルエーテル類、ハロゲン化ビニル、アリル化合物、マレイン酸およびその塩またはエステル類、ビニルシリル化合物などのモノマーが1種類又は2種類以上共重合された変性PVAであってもよい。これらのモノマーによる変性量は25モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがより好ましい。モノマーによる変性量が25モル%を超えると、基材フィルムであるPVAフィルムと印刷層との親和性などが低下する恐れがある。
本発明において、PVAの重合度は好ましくは500〜5000であり、より好ましくは700〜4000であり、さらに好ましくは1000〜3000である。PVAの重合度が500未満の場合には、基材フィルムとしてのPVAフィルムの機械的強度が不足する場合がある。一方、PVAの重合度が5000を超えると、PVAの生産効率が低下する場合があり、また、PVAフィルムの水溶性が低下するため、転写用シートにしたときに、経済的な水圧転写速度が得られない場合がある。
PVAのケン化度は好ましくは80〜99モル%であり、より好ましくは85〜90モル%である。PVAのケン化度が80モル%未満の場合には、PVAフィルムの水に溶解する速度が低下したり、水に不溶化したりして、水圧転写工程における転写用シートの通過性(以下、「工程通過性」と略称することがある)が悪化する場合がある。
本発明において基材フィルムとして用いられるPVAフィルムは、PVAを含有する製膜原料を流延法、押出法等により製膜することにより製造することができる。
本発明において用いられるPVAフィルムは、フィルムの表面のスリップ性を向上させたり、印刷層を形成した転写用シートの外観を向上させる目的で、フィルムの片側表面にマット処理が施されていることが好ましい。マット処理を施す方法として、PVAフィルムの製膜時にロール又はベルトのマット表面をフィルムに転写させるオンラインマット処理法、PVAフィルムを一旦ロールに巻き取った後にエンボス処理を施す方法などが挙げられる。マット処理が施されたPVAフィルムの表面粗さは、Raが0.5μm以上であることが好ましく、1μm以上がより好ましい。
本発明において用いられるPVAフィルムの長さおよび幅について特に制限はないが、長さの下限としては、PVAフィルムの印刷時の生産性の観点から1m以上が好ましく、100m以上がより好ましく、1000m以上がさらに好ましい。PVAフィルムの長さの上限は5000m以下が好ましく、3000m以下がより好ましい。PVAフィルムの幅の下限としては、50cm以上が好ましく、80cm以上がより好ましく、100cm以上がさらに好ましい。PVAフィルムの幅が50cmより小さいと、印刷時の生産性が低下することがある。PVAフィルムの幅の上限は4m以下が好ましく、3m以下がより好ましい。幅が4mを超えると、均一な厚みを有するPVAフィルムの製造が困難になる場合がある。
本発明において用いられるPVAフィルムには、柔軟性を付与する目的で、可塑剤が含まれていることが好ましい。使用される可塑剤はPVAに可塑性を付与する物質であれば特に制限はないが、グリセリン、ジグリセリン、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等の多価アルコール系可塑剤が好ましく、特にグリセリンが好ましい。可塑剤の添加量は、PVA100重量部に対して、好ましくは20重量部以下であり、より好ましくは15重量部以下である。可塑剤の添加量が20重量部を超えると、ブロッキングが生じる恐れがある。
また、本発明において用いられるPVAフィルムには、本発明の目的を阻害しない範囲で、PVAフィルムに印刷層を形成する際に必要な機械的強度、転写用シートを取扱う際の耐湿性、転写用シートを水面に浮かべたときの吸水による柔軟化の速度、水中での延展性、水中での拡散に要する時間、水圧転写工程での変形の容易さ等を調節することを目的として、澱粉、前記したPVA以外の水溶性高分子などが含まれていてもよい。
この目的に使用される澱粉としては、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、コムギ澱粉、コメ澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉等の天然澱粉類;エーテル化加工、エステル化加工、酸化加工などが施された加工澱粉類を挙げることができ、特に加工澱粉類が好ましい。澱粉の添加量は、PVA100重量部に対して、好ましくは15重量部以下であり、10重量部以下がより好ましい。澱粉の添加量が15重量部を超えると、転写用シートの耐衝撃性が低下して、脆くなるため、工程通過性が低下する恐れがある。
水溶性高分子としては、デキストリン、ゼラチン、にかわ、カゼイン、シェラック、アラビアゴム、ポリアクリル酸アミド、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルメチルエーテル、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸の共重合体、酢酸ビニルとイタコン酸の共重合体、ポリビニルピロリドン、セルロース、アセチルセルロース、アセチルブチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ソーダなどを挙げることができる。水溶性高分子の添加量は、PVA100重量部に対して、好ましくは15重量部以下であり、10重量部以下がより好ましい。水溶性高分子の添加量が15重量部を超えると、水圧転写時における転写用シートの溶解性や分散性が悪化する恐れがある。
本発明において用いられるPVAフィルムには、本発明の目的を阻害しない範囲で、転写用シートを水面に浮かべたときの吸水による柔軟化の速度、転写時の水中での延展性、水中での拡散に要する時間等を調節する目的で、無機塩類や界面活性剤などの添加剤を添加することができる。
無機塩類としては特に制限はなく、例えばホウ酸やホウ砂などが挙げられる。無機塩類の添加量は、PVA100重量部に対して、好ましくは5重量部以下であり、1重量部以下がより好ましい。5重量部を超えると、PVAフィルムの水溶性が著しく低下する。
添加剤としての界面活性剤としては、水溶性活性剤であれば特に種類に制限はなく、非イオン系界面活性剤、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両性界面活性剤の何れも使用することができる。界面活性剤の添加量は、印刷層の基材フィルムであるPVAフィルムへの密着性などの点から、PVA100重量部に対して、好ましくは5重量部以下であり、より好ましくは1重量部以下である。
さらに、本発明において用いられるPVAフィルムには、本発明の目的を阻害しない範囲で、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、充填剤などを添加することもできる。これらの添加剤の添加量は、通常PVA100重量部に対して、好ましくは10重量部以下であり、より好ましくは5重量部以下である。添加剤の添加量が10重量部を超えると、PVAフィルムの耐衝撃性が悪化する恐れがある。
本発明において、PVAフィルム上に印刷層を設けることにより転写用シートを製造するには、グラビア印刷、凸版印刷、ロールコートなどの印刷方式が採用される。その際に用いられる印刷インキとしては、非水溶性樹脂からなるバインダー、染料、顔料等の着色剤および溶剤からなる印刷インキが好適に用いられる。非水溶性樹脂としては、硝酸セルロース、アルキド樹脂などが挙げられ、これらは混合して用いてもよい。溶剤としては、トルエン、酢酸エチル、イソプロピルアルコールなどが挙げられ、これらは混合して用いてもよい。
PVAフィルムの厚みは、その水溶性と工程通過性とのバランスを考慮して適宜決定すればよいが、通常10〜100μmであり、好ましくは20〜80μm、より好ましくは30〜50μmである。厚みが10μm未満であると、PVAフィルムの強度が不足して、例えば、印刷層を形成する際などに支障を来たすことがある。また、100μmを超えると、PVAフィルムの水溶性が低下するため、印刷を施した転写用シートを用いて水圧転写を行う際に工程通過性が低下する場合がある。
転写用シートを水溶液の液面上に浮かべるのに先立ち、転写用シートの印刷層を柔軟にし、被転写物へのつきまわり性を発現させる目的で、インキ活性化溶剤を塗布することが通常行われており、本発明においてもこの操作を行うことが推奨される。インキ活性化溶剤としては、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、ブチルメタクリレート、ジブチルフタレート、硫酸バリウムなどが挙げられる。
本発明において用いられる水溶液の温度は、20〜40℃の範囲内にあることがより好ましい。水溶液の温度が20℃未満の場合には、転写用シートが膨潤するまでに要する時間が長くなり過ぎて生産性が低下することがある。一方、水溶液の温度が40℃を超えると、転写用シートが膨潤するまでに要する時間が短くなり過ぎて、転写を開始するタイミングを取るのが困難になることがある。
転写用シートを用いた成形体への印刷層の転写において、転写用シートを、印刷層を上にして界面活性剤を特定の濃度で含有する水溶液の液面上に浮かべ、成形体を液面に向けて押しつけることにより行われる。水溶液にはケン化度80〜99モル%のポリビニルアルコール系重合体が0.01〜7.0重量%の量で含まれていることが、転写用フィルムを水溶液の液面上に浮かべたときの安定性の点から好ましく、0.5〜3.0重量%の量で含まれていることがさらに好ましい。ポリビニルアルコール系重合体の含有量が7.0重量%を超えると、水溶液の粘度が上昇して、成形体への転写を行うのが困難になるという傾向がみられ、0.01重量%未満の場合には、ケン化度80〜99モル%のポリビニルアルコール系重合体を水溶液に含ませたことによる効果が発現しなくなる。
本発明の水圧転写方法によれば、転写用シートを、界面活性剤を含有する水溶液の液面上に浮かべたときの伸び率を、好ましくは1.40倍以下、より好ましくは1.30倍以下、さらに好ましくは1.20倍以下に抑制することができる。
本発明の水圧転写方法は、木、合板、パーティクルボードなどの木質基材;各種プラスチック類;パルプセメント板、スレート板、石綿セメント板、GRC(ガラス繊維補強セメント)などの繊維セメント板;石膏ボード、珪酸カルシウム板、珪酸マグネシウム板、コンクリートなどの無機質板状物;鉄、銅、アルミニウムならなる金属板;およびこれらの複合物に適用することができる。被転写体の表面の形状は平坦であっても、粗面であっても、あるいは凹凸形状を有していてもよいが、凹凸のある立体面や曲面を有する成形体の表面に印刷層を形成するのに好ましく適用される。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれによって何ら限定を受けるものではない。
なお、以下の実施例および比較例において、転写用シートの伸び率の測定は以下のようにして行った。
(転写用シートの伸び率)
縦20cm×横20cmの正方形の転写用シートを用い、その中央部に、水性ペンを用いて、直径が4cmの大きさの円を描いた。この転写用シートに、インキ活性化溶剤をスプレー法により塗布した後、30℃に保たれた水溶液の液面上に浮かべたところ、約10秒が経過すると、シート表面にシワが発生した。シート表面のシワは、時間が経過するとともに徐々に消失し、シート面は完全に平滑になった。転写用シートを水溶液の液面上に浮かべてから、シート面が平滑になるまでに要した時間の4倍の時間が経過した時点において、転写用シートに描かれた円について最大の変化を示した箇所の径を測定し、これを元の直径(4cm)で徐して「転写用シートの伸び率」を算出した。
(成形物へ転写した印刷柄の伸び率)
前記転写用シートの伸び率の測定と同様にして、転写用シートを水面に浮かべてから、シート面が平滑になるまでに要した時間の4倍の時間が経過した時点において、水面に浮遊している転写用シートの上から厚さ4mm、大きさ20cm×20cmのABS樹脂板を水面に平行に押し当てて、ABS樹脂板に印刷柄を転写した。ABS樹脂板に印刷柄を転写された円について最大の変化を示した箇所の径を測定し、これを元の直径(4cm)で除して「成形物へ転写した印刷柄の伸び率」を算出した。
(CMCの測定法)
界面活性剤のCMCは、表面張力法によって求めた。イオン交換水と界面活性剤を用いて界面活性剤の濃度が1重量%の水溶液を調製し、当該水溶液の表面張力を協和化学製の表面張力計CBUP−A3を使用し、ウィルヘルミー法にしたがって測定した。
引続き、イオン交換水で濃度を希釈しながら、0.5、0.1、0.01、0.001、0.001、0.0001、0.00001重量%で表面張力を測定し、界面活性剤の濃度の対数に対して表面張力をプロットし、プロットの屈曲点からCMCを求めた。本発明では、濃度の単位を“mmol/l”に換算して用いた。
重合度2050、ケン化度88モル%のポリビニルアルコール100重量部、グリセリン5重量部、エーテル化澱粉5重量部、およびホウ酸0.3%からなる15重量%水溶液を、マット面を有する表面温度が90℃のドラム面に押出し、流延製膜することにより、厚さ40μmのマット処理した基材フィルムを得た。
基材フィルムのフラット面(マット処理されていない面)に顔料(茶色)/アルキッド樹脂/トルエン/酢酸エチル/イソプロピルアルコール=10/20/20/30/20(重量比)からなるグラビアインキを用いて木目柄を印刷したのち、縦20cm×横20cmの正方形状に切り出し、転写用シートを得た。
界面活性剤として、前記一般式(1)においてRがオレイル基[CH3(CH2)7CH=CH(CH27CH−]、nが18であるポリオキシエチレンオレイルエーテル(CMC=0.030mmol/l)を60ppm含む水溶液を浴槽に入れ、水溶液の水温を30℃に保持した。前記した転写用シートに、インキ活性化溶剤(ブチルセロソルブアセテート26重量部、ブチルカルビトールアセテート26重量部、ブチルメタクリレート重合体8重量部、ジブチルフタレート20重量部、硫酸バリウム20重量部の混合物)をスプレー塗布した後、印刷面が上になるようにして、水溶液の液面上に浮かべ、転写用シートの伸び率を測定した。転写用シートは、水面に接触した後、約10秒でシート表面にシワが発生したが、その約8秒後(水面に接触して約18秒後)、シワが消失して平滑になった。転写用シートが水面に接触してから72秒後の伸び率は1.23倍であった。転写用シートが水面に接触して約90秒経過後、引続き、水面に浮遊している印刷シートの上から厚さ4mm、大きさ10cm×10cmのABS樹脂板を押し込み、ABS樹脂板に印刷柄を転写した。このとき、ABS樹脂板には高精細な印刷柄が鮮明に転写されており、印刷抜けも見られなかった。
実施例1において、n=18のポリオキシエチレンオレイルエーテルの代わりに、n=8のポリオキシエチレンオレイルエーテル(CMC=0.045mmol/l)を用いた以外は実施例1と同様にして、ABS樹脂板への水圧転写を行った。転写用フィルムの伸び率は1.12倍であった。ABS樹脂板には高精細な印刷柄が鮮明に転写されており、印刷抜けも見られなかった。
実施例2において、ポリオキシエチレンオレイルエーテルの含有量を9000ppmとした以外は実施例2と同様にして、ABS樹脂板への水圧転写を行った。転写用フィルムの伸び率は1.07倍であった。ABS樹脂板には高精細な印刷柄が鮮明に転写されており、印刷抜けも見られなかった。
比較例1
実施例1において、界面活性剤を含まないイオン交換水を用いた以外は実施例1と同様にして、ABS樹脂板への水圧転写を行った。転写用フィルムの伸び率は1.52倍であった。ABS樹脂板には、印刷が広がった状態で一部に、印刷柄が膨潤することによりピントボケした柄ボケが発生し、鮮明な柄を転写することはできなかった。
比較例2
実施例2において、ポリオキシエチレンオレイルエーテルの含有量を32000ppmとした以外は実施例2と同様にして、ABS樹脂板への水圧転写を行ったところ、水溶液を均一にするために行った攪拌により発生した泡が消えることがなかった。転写用フィルムの伸び率は1.03倍であった。水圧転写の結果、ABS樹脂板には印刷柄が転写されていたが、ABS樹脂板の表面に泡が付着しており、その泡の影響により印刷抜けが発生した。
比較例3
実施例2において、ポリオキシエチレンオレイルエーテルの含有量を8ppmとした以外は実施例2と同様にして、ABS樹脂板への水圧転写を行った。転写シートの伸び率は1.45倍であった。ABS樹脂板には、印刷が広がった状態で一部に、印刷柄が膨潤することによりピントボケした柄ボケが発生し、鮮明な柄を転写することはできなかった。

Claims (9)

  1. ポリビニルアルコール系重合体フィルムに印刷層を形成した転写用シートを、印刷層を上にして、界面活性剤の含有量が10〜30000ppmである水溶液の液面上に浮かべ、被転写体である成形体を液面に向けて押しつけることにより印刷層を成形体に転写することを特徴とする水圧転写方法。
  2. 水溶液における界面活性剤の含有量が30〜15000ppmである請求項1に記載の水圧転写方法。
  3. 水溶液における界面活性剤の含有量が50〜10000ppmである請求項2に記載の水圧転写方法。
  4. 界面活性剤の臨界ミセル濃度が5.0mmol/l以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の水圧転写方法。
  5. 界面活性剤の臨界ミセル濃度が1.0mmol/l以下である請求項4に記載の水圧転写方法。
  6. 界面活性剤が一般式(1)で示されるポリオキシエチレンアルキルエーテルである請求項1〜5のいずれか1項に記載の水圧転写方法。
    Figure 0004188204
    (式中、Rは炭素数6〜20の飽和又は不飽和の鎖状炭化水素基であり、nは2〜20の整数である。)
  7. 転写用シートを、界面活性剤を含有する水溶液の液面上に浮かべたときの伸び率が1.40倍以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の水圧転写方法。
  8. 転写用シートを、界面活性剤を含有する水溶液の液面上に浮かべたときの伸び率が1.30倍以下であることを特徴とする請求項7に記載の水圧転写方法。
  9. 転写用シートを、界面活性剤を含有する水溶液の液面上に浮かべたときの伸び率が1.20倍以下であることを特徴とする請求項8に記載の水圧転写方法。
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