JP4034249B2 - 水圧転写用印刷シートの製造法 - Google Patents

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Description

本発明は、凹凸のある立体面や曲面を有する成形体に、欠点がなく意匠を付与するのに適した水圧転写用印刷シートの製造法に関する。
凹凸を有する非平面形状の成形体の表面に印刷を施す方法として、一般に、印刷層が形成された水圧転写用印刷シート(以下、水圧転写用印刷シートを「水圧転写用シート」と略称することがある)をその印刷面を上にして水面に浮かべ、十分膨潤させてから、被転写体である成形体を水中に向けて上方から押しつけ、被転写体の表面に印刷層を転写させるという方法が採用されている(例えば、特許文献1、特許文献2など)。このような水圧転写用シートには、従来よりポリビニルアルコール(以下、ポリビニルアルコールを「PVA」、ポリビニルアルコールフィルムを「PVAフィルム」と略称することがある)等の水溶性又は水膨潤性の樹脂を原料としたフィルムが水圧転写用ベースフィルムとして用いられている。水圧転写用ベースフィルム(以下、水圧転写用ベースフィルムを「ベースフィルム」と略称することがある)は印刷層の基材として用いられ、印刷適性が優れていること、水面に浮かべたときに膨潤すること、および被転写体へのつきまわり性を有することなどが必要とされ、そのような要求に応えた水圧転写用ベースフィルムが過去に提案されている(例えば、特許文献3、特許文献4など)。
従来の水圧転写用シートは、水に浮かべると伸展しやすく(膨潤伸展性を示す)、その印刷層も水圧転写用シートの伸展と一緒に変形を起こし、成形体に転写される印刷パターンがベースフィルムに印刷された印刷パターンとは異なったものになるという問題があった。この問題を改善するために、水圧転写用シートを水面に浮かべ、該シートをその延伸応力が消失するまで膨潤させた後に、幅方向に漸次強制的に縮小させる設定幅に維持した状態で、被転写体に転写する方法が提案されている(特許文献5)。また、ベースフィルムそのものを改良する試みとして、平均ケン化度70〜98モル%のPVA系樹脂と平均ケン化度70モル%以上のカルボキシル基および/又はスルホン酸基変性PVA系樹脂、およびホウ酸化合物を特定の割合で含有する水圧転写用ベースフィルムが提案されている(特許文献6)。これらの提案の方法によって、水圧転写用シートを水に浮かべた際の膨潤伸展性の問題はある程度改善されるようになったが、従来の方法を用いても、被転写体に転写しようとする印刷パターンを水圧転写用シートに精度よく印刷することはできないことがあった。その理由を検討したところ、印刷層を形成する際にベースフィルムの表面の平滑性が低いと、高精細な印刷パターンをベースフィルム表面に精度よく印刷することができなかったり、印刷層に欠点が発生したりすることがわかった。
この発明に関連する先行技術文献としては次のものがある。
特開昭51−21914号公報 特開昭54−33115号公報 特開昭54−92406号公報 特開昭54−150208号公報 特開平4−308798号公報 特開2003−11590号公報
したがって、本発明の目的とするところは、凹凸を有する非平面形状の成形体の表面に対して、印刷抜けがなく転写印刷することができる水圧転写用印刷シートの製造法を提供することにある。
本発明者らによる検討の結果、上記課題は、特定の製膜機を用いて製膜された水圧転写用ベースフィルムのエンボス加工と印刷層の形成を、そのフィルムの特定の面に行うことにより解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ポリビニルアルコールを含有する製膜原料を、ドラム製膜機の鏡面仕上げを施した金属製第1ドラム上又はベルト製膜機の鏡面仕上げを施した金属製第1ベルト上に吐出して水圧転写用ベースフィルムを製膜し、金属製第1ドラム又は金属製第1ベルトに接していないフィルム面にエンボス加工を行い、金属製第1ドラム又は金属製第1ベルトに接していたフィルム面に印刷層を形成することを特徴とする水圧転写用印刷シートの製造法である。
本発明の製造法の好ましい態様の一つは、エンボス加工に用いられるエンボスロールが、表面粗さ(Ra)0.5〜12μmの梨地模様を有していることである。
本発明の製造法の好ましい態様の一つは、5m/分以上の速度で進行している水圧転写用ベースフィルムに対してエンボス加工を行うことである。
また、本発明の製造法の好ましい態様の一つは、印刷層が2色以上の多色印刷により形成されたものであることである。
本発明の方法によると、フィルムの表面に欠点のない印刷層が形成された水圧転写用印刷シートを製造することができる。このようにして製造される水圧転写用印刷シートは、凹凸を有する非平面形状の成形体の表面に印刷パターンを転写印刷するのに好適に用いることができ、転写印刷の結果、印刷パターンを成形体の表面に印刷抜けがなく良好に転写することができる。
本発明の方法において使用することができるポリビニルアルコールは、未変性PVAであっても、あるいはPVAの主鎖中にエチレン、プロピレンなどのオレフィン類、アクリル酸およびアクリル酸エステル類、メタクリル酸およびメタクリル酸エステル類、アクリルアミド誘導体、メタクリルアミド誘導体、ビニルエーテル類、ハロゲン化ビニル、アリル化合物、マレイン酸およびその塩またはエステル類、ビニルシリル化合物などのモノマーが1種類又は2種類以上共重合された変性PVAであってもよい。これらのモノマーによる変性量は通常25モル%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。
PVAの重合度は、好ましくは500〜3000であり、より好ましくは700〜2500であり、さらに好ましくは1000〜2400である。PVAの重合度が500未満の場合には、ベースフィルムとしての機械的強度が不足する場合があり、特に連続的に印刷を行う際などにフィルムが破れることがある。一方、PVAの重合度が3000を超える場合には、PVAの生産効率が低下したり、水溶性が低下したりなどして、水圧転写用シートとして経済的な水圧転写速度が得られ難くなる。
また、PVAのケン化度は、好ましくは80〜99.9モル%であり、より好ましくは82〜95モル%であり、さらに好ましくは85〜93モル%である。PVAのケン化度が80モル%未満の場合には、PVAフィルムの水に溶解する速度が低下したり、あるいは水に不溶化したりなどして、水圧転写用シートの転写工程における通過性(以下、「工程通過性」と略称することがある)が悪化することがある。
本発明において、水圧転写用ベースフィルムは、ポリビニルアルコールを含有する製膜原料を、ドラム製膜機の鏡面仕上げを施した金属製第1ドラム上又はベルト製膜機の鏡面仕上げを施した金属製第1ベルト上に吐出し、乾燥後に剥離することにより製膜することができる。ここで、金属製第1ドラム又は金属製第1ベルトとは、ポリビニルアルコールを含有する製膜原料が吐出される、回転する金属製ドラム又は走行する金属製ベルトのことを指称する。第1鏡面仕上げを施した金属製第1ドラム又は金属製第1ベルトを用いてベースフィルムを製膜することにより、平滑性の高いフィルム表面を形成することができる。表面がマット処理された金属製ドラム又は金属製ベルトを用いてベースフィルムを製膜した場合には、金属製ドラム又は金属製ベルトの表面に製膜原料が残りやすく、製膜中に該製膜原料が剥がれてフィルムに付着することがあり、印刷時に、印刷層に欠点が生じる原因になる。
本発明において、水圧転写用ベースフィルムには、製膜時に柔軟性を付与する目的で可塑剤が含まれていることが好ましい。使用される可塑剤の種類について特に制限はないが、グリセリン、ジグリセリン、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等の多価アルコール系可塑剤が好適であり、特にグリセリンの使用が好ましい。可塑剤の添加量は、水溶性又は水膨潤性の樹脂100重量部に対して、好ましくは0.5〜10重量部であり、より好ましくは1〜10重量部である。可塑剤の添加量が0.5重量部未満の場合には、フィルムの耐衝撃性が低下して、印刷時に水圧転写用シートが裂けることがある。10重量部を越える場合には、フィルムが吸湿して、印刷時にフィルムに伸びが生じたり、ブロッキングが生じたりすることがある。
本発明において、水圧転写用ベースフィルムには、ベースフィルムに印刷層を形成する際に必要な機械的強度、印刷層が形成された水圧転写用シートを取扱う際の耐湿性、水面に浮かべた水圧転写用シートの吸水による柔軟化性、水面での延展性および拡散性等を調整することを目的として、澱粉、前記したPVA以外の水溶性高分子などが含まれていることが好ましく、特に澱粉が含まれていることが好ましい。
この目的に使用される澱粉としては、例えば、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、コムギ澱粉、コメ澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉などの天然澱粉類;エーテル化加工、エステル化加工、酸化加工などが施された加工澱粉類などを挙げることができ、これらの中でも加工澱粉類が好ましく用いられる。澱粉の添加は、前記の効果に加えて、フィルム同士の密着やフィルムと金属製ドラム又は金属製シートとの密着を抑制させるという効果をもたらす。フィルム同士が密着すると、ベースフィルムに連続的に印刷を施す際などにフィルムが伸びる原因となるため、好ましくない。澱粉の添加量は、PVA100重量部に対して、好ましくは0.1〜15重量部であり、より好ましくは0.3〜10重量部であり、さらに好ましくは0.5〜5重量部である。
また、水溶性高分子としては、例えば、デキストリン、ゼラチン、にかわ、カゼイン、シェラック、アラビアゴム、ポリアクリル酸アミド、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルメチルエーテル、ビニルメチルエーテルと無水マレイン酸の共重合体、酢酸ビニルとイタコン酸の共重合体、ポリビニルピロリドン、セルロース、アセチルセルロース、アセチルブチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ソーダなどを挙げることができる。水溶性高分子の添加量は、PVA100重量部に対して、好ましくは15重量部以下であり、より好ましくは10重量部以下である。
本発明において、水圧転写用ベースフィルムには、本発明の効果を損なわない範囲であれば、水圧転写用シートを水面に浮かべてからの吸水による柔軟化の速度、水中での延展性、水中での拡散に要する時間を調節する目的で、無機塩類や界面活性剤などの添加剤を添加することができる。
無機塩類としては特に制限はなく、例えばホウ酸やホウ砂などが挙げられる。その添加量は水溶性又は水膨潤性の樹脂100重量部に対して、好ましくは5重量部以下であり、より好ましくは1重量部以下である。5重量部を超えると、ベースフィルムの水溶性が著しく低下するために好ましくない。
界面活性剤としては特に制限はないが、水圧転写用シートの水面での延展性、および印刷面の寸法安定性の観点からノニオン性界面活性剤が好適である。界面活性剤の添加量は、印刷層のベースフィルムへの密着性などの点から、PVA100重量部に対して、好ましくは5重量部以下であり、より好ましくは1重量部以下である。
さらに、本発明において、水圧転写用ベースフィルムには、本発明の効果を損なわない範囲であれば、前記した可塑剤および添加剤の他に、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、充填剤などを添加することもできる。これらの添加量は、耐衝撃性などの点から、PVA100重量部に対して、好ましくは10重量部以下であり、より好ましくは5重量部以下である。
本発明において、エンボス加工後の水圧転写用ベースフィルムの含水率は、好ましくは1.5〜3.5%であり、より好ましくは1.8〜3.2%であり、さらに好ましくは2.0〜3.0%である。ベースフィルムの含水率が3.5%を超える場合には、印刷層を形成した時に印刷パターンがぼやけたり、印刷時にフィルムが伸びて印刷パターンが変形したり、多色印刷を施したときに印刷ずれが起きたりすることがある。1.5%未満の場合には、フィルムの耐衝撃性が低下して、裂けやすくなるだけでなく、静電気が発生しやすくなるため、フィルムに埃やゴミが付着して、被転写体に転写印刷した際に印刷抜けが生じることがある。
本発明において、水圧転写用ベースフィルムは、フィルム表面のスリップ性を防止したり、印刷後のフィルムをロール状に巻き取った際に印刷層とフィルムが密着し、印刷層が剥がれて欠点が発生するのを防止する目的で、ドラム又はベルトに接していない方の面にエンボス加工が施される。エンボス加工は、例えば、エンボスロールとバックアップロールの間にフィルムを通過させることにより行うことができる。エンボス加工されたベースフィルム表面の表面粗さ(Ra)は、0.3〜10μmであるのが好ましく、より好ましくは0.5〜8μmである。表面粗さが10μmを超える場合には、ピンホール性が劣ったり、エンボス加工する面とは反対の面の平滑性が低下することがある。表面粗さが0.3μm未満の場合には、フィルム間の密着を防止できないことがある。
エンボス加工に用いられるエンボスロールは、表面粗さ(Ra)が0.5〜12μmの梨地模様を有していることが好ましい。また、エンボス加工は、5m/分以上の速度で進行しているベースフィルムに対して行われることが好ましい。フィルムの進行速度が5m/分未満の場合には、エンボスロールの回転速度を一定に制御できないことがあり、フィルムへの押圧力が変動するため、フィルムの厚みが部分的に薄くなったり、ピンホールや皺が発生したりすることがある。これらは、印刷層を形成する際に欠点の原因となるため、好ましくない。
本発明において、水圧転写用印刷シートは、エンボス加工されたベースフィルムの金属製第1ドラム又は金属製第1ベルトと接していた方の面に印刷層を形成することにより、製造することができる。ベースフィルムに印刷層を形成するには、当業者が通常使用する印刷インクを用い、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、ロールコートなどの印刷方式を採用して、連続的に印刷を施すことにより行うことができる。本発明によれば、エンボス加工されたベースフィルムの金属製第1ドラム又は金属製第1ベルトと接していた方の面に印刷層を形成することで、ベースフィルムに高精細な印刷パターンを付与することができる。エンボス加工した方のフィルム面に印刷層を形成した場合、エンボスロールに付着した製膜原料が剥がれてフィルム表面に付着したり、エンボス加工の際にフィルム表面にピンホールが発生したりすることがあり、これらが原因で印刷層に欠点が生じると、高精細な印刷パターンの転写印刷を行うことができなくなる。
本発明において、被転写体に高精細な意匠を付与するためには、水圧転写用印刷シートの印刷層に欠点(印刷抜け)が生じるのを抑制することが必要であり、そのためには、水圧転写用印刷シートの印刷層において、直径が100μm以上の大きさの欠点が10個/m以下であることが好ましく、5個/m以下であることが特に好ましい。
本発明において製造される水圧転写用印刷シートは、工程通過性の点から、ロール状に巻き取られることが好ましい。水圧転写用印刷シートの長さおよび幅について特に制限はなく、1〜3000m程度の長さで、0.5〜4m程度の幅のものが好ましく用いられる。
本発明において製造される水圧転写用印刷シートは、木板、合板、パーティクルボードなどの木質基材;各種プラスチック成形品;パルプセメント板、スレート板、石綿セメント板、GRC(ガラス繊維補強セメント)成形品、コンクリート板などの繊維セメント製品;石膏ボード、珪酸カルシウム板、珪酸マグネシウム板などの無機質板状物;鉄、銅、アルミニウム等からなる金属板またはこれらの合金板;およびこれらの複合物などに印刷を施すのに使用される。印刷が施される被転写体の表面の形状は平坦であっても、粗面であっても、凹凸形状を有していてもよいが、水圧転写用印刷シートは、凹凸形状を有する成形体等の表面への印刷に好適に用いられる。
本発明において、水圧転写用印刷シートを用いて被転写体の表面に印刷を施す方法は、例えば、印刷層を上にして水圧転写用シートを水面に浮かべる第1工程、印刷層を溶剤等により活性化させる第2工程、水面に浮かんでいる水圧転写用シートの上方から被転写体を被転写面が下方になるようにして降下させる第3工程、水圧転写用シートの印刷層が被転写体の表面に充分に固着した後に、ベースフィルムを除去する第4工程、および印刷層が転写された被転写体を十分に乾燥させて目的製品を得る第5工程からなる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定を受けるものではない。
なお、以下の実施例および比較例において、水圧転写用ベースフィルムの表面粗さ(Ra)は、レーザー顕微鏡(超深度形状測定顕微鏡「VK−8510」:株式会社キーエンス製)を用いて測定した。
ドラム製膜機を用い、重合度1750、ケン化度88モル%のポリビニルアルコール100重量部、グリセリン6重量部、エーテル化澱粉4重量部、および界面活性剤0.5重量部からなる30%水溶液を、Tダイから、鏡面仕上げを施した回転する金属製第1ドラム(表面温度90℃)の上に吐出し、乾燥後剥離して製膜し、金属製第1ドラムと接していない方の面に、表面粗さが1μmの梨地模様を有するエンボスロールを用いて、温度100℃および線圧30kg/cmの条件下、フィルムを12m/分の速度で進行させながらエンボス加工を行い、厚みが30μmのロール状の水圧転写用ベースフィルムを得た。ベースフィルムのエンボス加工した面の表面粗さ(Ra)は、0.7μmであった。
前述の水圧転写用ベースフィルムを、50℃のプレヒーターを通した後に、顔料、アルキド樹脂、および溶剤からなるグラビアインキを用いて、金属製第1ドラムと接していた(エンボス加工を行っていない)方の面にグラビア印刷方式により、4色刷りの印刷を行った。得られた水圧転写用印刷シートの印刷層は、2個/mのピンホールを有していた。
前述の水圧転写用印刷シートを該転写用シートの印刷模様層が上面になるようにして、水温30℃の水面に浮かべた。次いで、その印刷面に、活性剤(ブチルセロソルブアセテート26重量部、ブチルカルビトールアセテート26重量部、ブチルメタクリレート重合体8重量部、ジブチルフタレート20重量部、硫酸バリウム20重量部の混合物)をスプレー塗工法により13g/mの量で塗布した。1分後にABS樹脂製の平板成形体を上方から押し入れ、該成形体の表面に水圧転写用印刷シートを延展、密着させた。
次いで、表面に水圧転写用印刷シートが延展、密着しているABS樹脂製成形体を水中から引き出し、40℃の温水で30分間シャワー洗浄した後、さらに蒸留水でシャワー洗浄し、水圧転写用印刷シートのベースフィルムを除去し、乾燥させて、転写層を有するABS樹脂製成形体を得た。ABS樹脂製成形体を目視によって観察したところ、印刷抜けは見られず、転写印刷の結果は良好であった。
ベルト製膜機を用い、重合度2000、ケン化度88モル%のポリビニルアルコール100重量部、グリセリン8重量部、ホウ酸0.3重量部、および界面活性剤0.5重量部からなる28%水溶液を、Tダイから、鏡面仕上げを施した金属製第1ベルト(表面温度90℃)の上に吐出し、乾燥後剥離して製膜し、金属製第1ベルトと接していない方の面に、表面粗さが1μmの梨地模様を有するエンボスロールを用いて、温度100℃および線圧30kg/cmの条件下、フィルムを15m/分の速度で進行させながらエンボス加工を行い、厚みが40μmのロール状の水圧転写用ベースフィルムを得た。ベースフィルムのエンボス加工した面の表面粗さ(Ra)は、0.9μmであった。
得られた水圧転写用ベースフィルムの金属製第1ベルトと接していない(エンボス加工を行っていない)方の面に、実施例1と同様にして、4色のグラビア印刷を行った。得られた水圧転写用印刷シートの印刷層は、1個/mのピンホールを有していた。
得られた水圧転写用印刷シートを用い、実施例1と同様にして、ABS樹脂製成形体への水圧転写を行い、目視により観察したところ、成形体に印刷抜けは見られず、転写印刷の結果は良好であった。
比較例1
実施例1と同様にして、厚みが30μmのロール状の水圧転写用ベースフィルムを得た。ベースフィルムのエンボス加工した面の表面粗さ(Ra)は、0.7μmであった。
この水圧転写用ベースフィルムを、50℃のプレヒーターを通した後に、顔料、アルキド樹脂、および溶剤からなるグラビアインキを用い、エンボス加工を施した(金属製第1ドラムと接していない)方の面にグラビア印刷方式により、4色刷りの印刷を行った。得られた水圧転写用印刷シートの印刷層は、14個/mのピンホールを有していた。
得られた水圧転写用印刷シートを用い、実施例1と同様にして、ABS樹脂製成形体への水圧転写を行ったところ、転写後の成形体には、印刷抜けが多く見られ、さらにその周辺の印刷パターンがぼやけていた。
比較例2
実施例1において、表面がマット処理されている金属製第1ドラムを用いた以外は実施例1と同様にして、厚みが30μmのロール状の水圧転写用ベースフィルムを得た。ベースフィルムのエンボス加工した面の表面粗さ(Ra)は、0.7μmであった。
この水圧転写用ベースフィルムの金属製第1ドラムと接していた(エンボス加工を行っていない)方の面に、実施例1と同様にして、4色のグラビア印刷を行った。得られた水圧転写用印刷シートの印刷層は、15個/mのピンホールを有していた。
得られた水圧転写用印刷シートを用い、実施例1と同様にして、ABS樹脂製成形体への水圧転写を行ったところ、転写後の成形体は、印刷抜けが多く見られ、さらにその周辺の印刷パターンがぼやけていた。
比較例3
実施例1において、金属製第1ドラムに接している方のフィルム面にエンボス加工を行った以外は実施例1と同様にして、厚みが30μmのロール状の水圧転写用ベースフィルムを得た。ベースフィルムのエンボス加工した面の表面粗さ(Ra)は、0.7μmであった。
この水圧転写用ベースフィルムのエンボス加工を行っていない(金属製第1ドラムと接していない)方の面に、実施例1と同様にして、4色のグラビア印刷を行った。得られた水圧転写用印刷シートの印刷層は、6個/mのピンホールを有していた。
得られた水圧転写用印刷シートを用い、実施例1と同様にして、ABS樹脂製成形体への水圧転写を行ったところ、転写後の成形体は印刷抜けがあり、さらに印刷パターンがぼやけた箇所があるのが認められた。

Claims (4)

  1. ポリビニルアルコールを含有する製膜原料を、ドラム製膜機の鏡面仕上げを施した金属製第1ドラム上又はベルト製膜機の鏡面仕上げを施した金属製第1ベルト上に吐出して水圧転写用ベースフィルムを製膜し、金属製第1ドラム又は金属製第1ベルトに接していないフィルム面にエンボス加工を行い、金属製第1ドラム又は金属製第1ベルトに接していたフィルム面に印刷層を形成することを特徴とする水圧転写用印刷シートの製造法。
  2. エンボス加工に用いられるエンボスロールが、表面粗さ(Ra)0.5〜12μmの梨地模様を有することを特徴とする請求項1又は2記載の水圧転写用印刷シートの製造法。
  3. 5m/分以上の速度で進行している水圧転写用ベースフィルムに対してエンボス加工を行うことを特徴とする請求項1又は2項記載の水圧転写用印刷シートの製造法。
  4. 印刷層が2色以上の多色印刷により形成されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の水圧転写用印刷シートの製造法。
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