JP3385576B2 - 水圧転写に使用される活性剤組成物 - Google Patents

水圧転写に使用される活性剤組成物

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JP3385576B2
JP3385576B2 JP07065495A JP7065495A JP3385576B2 JP 3385576 B2 JP3385576 B2 JP 3385576B2 JP 07065495 A JP07065495 A JP 07065495A JP 7065495 A JP7065495 A JP 7065495A JP 3385576 B2 JP3385576 B2 JP 3385576B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の目的】
【産業上の利用分野】本発明は、水圧による押圧力を利
用して曲面等の三次元物体に木目や大理石模様などを転
写する、いわゆる水圧転写技術における、転写フィルム
上の印刷模様層に再度粘着性等を付与する活性剤組成物
に関するものである。
【0002】
【発明の背景】従来、これら活性剤組成物には、特開昭
63−197685号公報に見られるように、樹脂分、
溶剤分、可塑剤分、及び体質顔料から成るものが好適と
され、体質顔料としては沈降性硫酸バリウムが、樹脂分
としては短油性アルキッド樹脂にニトロセルロースが添
加される形で用いられていた。前記公報に見られるよう
に、体質顔料は、再度粘着性等を付与した印刷模様層に
対し、見掛けの乾燥を図ってゴミの付着を防止すると共
に、チクソ性を付与してインクズレを防止しつつ割れも
防ぐことを目的とし、仕上がり時における転写模様の鮮
映性を阻害しない程度添加されるものであった。ところ
が、近年のように水圧転写技術が普及し、高意匠のもの
が要求されてくると、その数パーセント添加による鮮映
性の低下も見過ごせない状況となってきた。すなわち、
従来の活性剤組成物は、使用前の液状時に白濁状であ
り、乾燥皮膜化して初めて極めて透明に近くなるもので
あったが、今やこの極めてさえ問題とされるようになっ
たのである。また、従来の活性剤組成物では、この硫酸
バリウムが沈降傾向にあり、使用時に再撹拌しないと所
期の性能が得られないという問題もあった。
【0003】また、意匠の多様化で印刷模様層における
インクの印刷量が小から大まで広範に渡ってくると、印
刷量大の場合に備えて、活性剤組成物に強いインク溶解
力も必要とされてくる。インク溶解力が不足すると、溶
解不良箇所や被転写体上の微細な凹凸をきっかけとし
て、転写フィルム及び印刷模様層の円滑な伸展が阻害さ
れ、転写模様層に細かな気泡状の膨れやその頂点が弾け
たクレータ状の所謂インクブツという欠陥を生じる。と
言うのも、短油性アルキッド樹脂自体は比較的柔らかい
樹脂であるから、インクの溶解不良を生じても、被転写
体の微細な凹凸にも柔軟に対応し得る可能性は残される
が、短油性アルキッド樹脂に添加しているニトロセルロ
ースが比較的硬い樹脂である為、インクの溶解不良は被
転写体の微細な凹凸への追従に不足を生じ、結局インク
ブツを避け得なかった。かと言って、不乾性樹脂たる短
油性アルキッド樹脂の見掛けの乾燥を図るようにしてゴ
ミ付着を防止し、また硬さ調整もしているニトロセルロ
ースを外すことはできなかったのである。更には、従来
の活性剤組成物を用いて水圧転写した製品では、経時的
に製品塗膜から気泡が生じてくることがあったが、本出
願人は、樹脂分として添加しているニトロセルロースが
吸湿性が高くて、大気中の水分を吸収し、蓄積の後、や
がてや気泡として塗膜を浮き上がらせると、その挙動、
原因を突き止めた。
【0004】
【開発を試みた技術的事項】すなわち、本発明は、仕上
がり時における転写模様の鮮映性を確保すると共に、従
来体質顔料が大きく担ってきたところの見掛けの乾燥を
図ってのゴミ付着防止、インクズレを防止しつつの伸展
時の塗膜割れ防止等を効果的に行い、使用時に再撹拌の
必要もなく、更には、インクブツ欠陥の防止もでき、経
時的に生ずることのある製品塗膜の気泡よる浮き上がり
現象をも回避できる活性剤組成物を提供しようとするも
のである。
【0005】
【発明の構成】
【目的達成の手段】すなわち、本出願に係る第1の発明
たる水圧転写に使用される活性剤組成物は、水圧転写に
おける転写フィルムの印刷模様層を活性化させるための
組成物であって、樹脂分、溶剤分、可塑剤分、及び超微
粒子シリカから成り、樹脂分として短油性アルキッド樹
脂とともにセルロースアセトブチレートを用いて成るこ
とを特徴とするものである。
【0006】また、本出願に係る第2の発明たる水圧転
写に使用される活性剤組成物は、水圧転写における転写
フィルムの印刷模様層を活性化させるための組成物であ
って、樹脂分、溶剤分、可塑剤分、及び超微粒子シリカ
から成り、樹脂分として短油性アルキッド樹脂とともに
セルロースアセトブチレートを用い、超微粒子シリカは
アルキッド樹脂20重量部に対して3重量部以下有する
ことを特徴とするものである。
【0007】また、本出願に係る第3の発明たる水圧転
写に使用される活性剤組成物は、水圧転写における転写
フィルムの印刷模様層を活性化させるための組成物であ
って、樹脂分、溶剤分、可塑剤分、及び超微粒子シリカ
から成り、樹脂分として短油性アルキッド樹脂20重量
部と共にセルロースアセトブチレート1重量部を用い、
溶剤分としてブチルセロソルブ30重量部とブチルカル
ビトールアセテート80重量部を用い、可塑剤分として
フタル酸ジブチル30重量部を用い、超微粒子シリカは
2重量用いて成ることを特徴とするものである。
【0008】
【発明の作用】超微粒子シリカは、屈折率が活性剤組成
物における樹脂分に近似し、また粒径がサブミクロンオ
ーダーであるため、活性剤組成物中に分散されるや透明
を呈し、活性剤組成物が乾燥皮膜化しても透明を呈す
る。また、いわゆる給油量が多くて増粘するので、再度
粘着性等を復活した印刷模様層の歪み流れ、いわゆるイ
ンクズレを防止しつつ、被転写体の押し入れに伴う転写
フィルムの変形に追従できる伸展性を与える。また、サ
ブミクロンオーダーの粒径であるとともに、その比重も
活性剤組成物におけるそれにより近似するため、沈降す
ることなく、均一な分散状態を呈する。特に、樹脂分と
して短油性アルキッド樹脂とともにセルロースアセトブ
チレートを用い、超微粒子シリカをアルキッド樹脂20
重量部に対して3重量部以下とすると、これらがバラン
スよく奏される。セルロースアセトブチレートは、ニト
ロセルロースより柔らかな樹脂であるので、短油性アル
キッド樹脂にある程度の硬さ付与と見掛けの乾燥化を促
進し、またインクの溶解不良の場合にも被転写体の微細
な凹凸に追従し得る相応の柔らかさ維持する。また、同
時に吸湿性も低い樹脂であるので、大気中の水分の吸
収、蓄積は少なく、製品塗膜の気泡よる浮き上がりを改
善する。
【0009】
【実施例】まず、本発明活性剤組成物が使用される水圧
転写技術の基本的な流れや基本的事項について説明す
る。水圧転写技術では、予め、木目や大理石模様等の適
宜な模様をグラビア印刷等の印刷手段によりベースフィ
ルム、例えばポリビニールアルコールを主成分とする水
溶性フィルム上に印刷し、乾燥の後、ロール又はカット
シート状の転写フィルムとして用意しておく。ここで、
ベースフィルム上に印刷するに用いるインク類は、ベー
スフィルムに仮接着し、乾燥皮膜の形成が容易であり、
被転写体の表面に対して接着し、且つ活性剤組成物に容
易に膨潤する樹脂をビヒクルとして含むものである。そ
して、転写に際しては、この転写フィルムを連続的或い
は一枚毎引き出しながら、活性剤組成物を印刷模様層側
にのみロールコーター等の塗布手段を用いて塗布する。
ここで、活性剤組成物は、インク類を膨潤させ得る溶剤
を含み、被転写体の表面を浸食したり、被転写体がアン
ダーコートされている場合には、このアンダーコート層
を急激に溶解させないものであることが望ましく、更に
この溶剤と親和性のある樹脂が添加されているなどの基
本的条件を備える。
【0010】続き、活性剤組成物が塗布された面を上に
したまま転写フィルムを水槽水面上に浮かべると、転写
フィルムにおけるベースフィルムは、水を吸収して膨潤
軟化し、同時に、印刷模様層も活性剤組成物に膨潤活性
化され、印刷直後のような粘着性を帯びた状態となる。
そこで、頃合いを見計らい、上空から例えばABS樹脂
等の被転写体を、転写フィルムに当接せしめつつ、該転
写フィルムともども、その一部乃至全部が没するよう水
中に押し入れる。これによって、転写フィルムは被転写
体の大きな曲面及び微細な凹凸に呼応しつつその表面に
密着する。その後、この被転写体を水中より引き上げ、
別途ブースにて湯水シャワーを浴びせて残存するベース
フィルム分を洗い落とし、熱風等を吹き付けてインク及
び活性剤組成物に含まれる溶剤分を揮発させ、更に必要
に応じてクリアーにてトップコートして完成とする。な
お、被転写体は水面に対し傾斜した状態で押し入れれ
ば、被転写体と転写フィルムとの間の空気を排除して、
いわゆるピンホール欠陥を回避でき、また、水槽中の水
を流動させ、定常流下中の水面に対し被転写体を斜降没
入させれば、転写処理を連続的に行うことができる。
【0011】以上が水圧転写技術の基本的な流れ及び基
本的事項であるが、本発明活性剤組成物の理解に供する
ため、改めて活性剤組成物塗布後について詳述する。す
なわち、活性剤組成物が塗布された転写フィルムが水面
上に浮かべられると、転写フィルムにおけるベースフィ
ルムは水で膨潤し、同時に、印刷模様層も活性剤組成物
に膨潤され、転写フィルムは一体的にある一定の拡大率
に至るまで均一に伸長拡大するのであるが、ベースフィ
ルムが吸水膨潤するには比較的時間を要し、印刷模様層
が膨潤するのは比較的短時間であるため、両膨潤が同調
的に行われないと、転写フィルムに皺が生じ、印刷模様
同士が付着したり、印刷模様層がひび割れたりの問題を
生ずる。
【0012】このため、ベースフィルムは単なる水溶性
ではなく、この同調的膨潤に最適に調整された組成のも
のが使用され、活性剤組成物も、単にインク類を膨潤さ
せる溶剤分のみから成るものではなく、転写フィルムす
なわち印刷模様層の変形に際してひび割れることのない
伸展性を付与し、それでいて不要な印刷模様層のインク
ズレを防止し、乾燥も適度な時間内に行えるよう、樹脂
分や可塑剤分、更には体質顔料が添加されていた。すな
わち、溶剤分は転写終了時までの粘着性を復活するイン
ク溶解を行い、樹脂分は初期密着性を確保すると共にイ
ンクの拡散を防止し、可塑剤は樹脂分に可塑性を付与
し、体質顔料はインク表面の見掛け乾燥化を図ると共に
インクズレを規制しつつ伸展性を与えるなど、各成分が
それぞれ機能を分担ないし補完して、一つの活性剤組成
物を構成していた。
【0013】ちなみに、従来の代表的な活性剤組成物は
次のようなものであった。樹脂分として、 短油性アルキッド樹脂 9重量% ニトロセルロース 1重量% 溶剤分として、 ブチルセロソルブ 14重量% ブチルカルビトールアセテート 35重量% 可塑剤分として、 フタル酸ジブチル 18重量% 体質顔料として、 沈降性硫酸バリウム 23重量%
【0014】印刷模様層が被転写体に密着した後、残存
するベースフィルム分が洗い落とされ、乾燥の後クリア
ーにてトップコートされるが、被転写体に転写された転
写模様は、実は、活性剤組成物が伸展して乾燥皮膜化し
た層及びトップコートのクリアー層を通して視覚される
こととなる。したがって、活性剤組成物の乾燥皮膜化し
た層が、多少とも透明性に劣るときは、仕上がりたる転
写模様において、鮮映性に劣ってしまうのである。従来
は、前述のとおり、体質顔料として沈降性硫酸バリウム
を用いており、沈降性硫酸バリウムは、微細とは言え
0.5〜1.5μmの微粉末であり、またその屈折率は
1.64と活性剤組成物におけるビヒクル部の屈折率と
は多少相違するので、活性剤組成物の乾燥皮膜の透明性
を多少とも損なっており、また、比重は4.48程度と
活性剤組成物におけるビヒクル部の比重とは比較的大き
く相違するので、使用時に再撹拌する必要があった。か
と言って、この体質顔料分を外してしまうと、今度は、
トップコートするまでにゴミが付着したり、転写模様を
乱したり、汚したりの事態を招来してしまうこととな
る。
【0015】また、短油性アルキッド樹脂は、不乾性の
比較的柔らかい樹脂であるが故に、活性剤組成物の樹脂
分として基本的に優れるのであるが、不乾性であること
は、溶剤が揮発した後も多少のベタツキを残すから、見
掛け乾燥を図る必要があり、また、インクズレを防止す
る点では、多少硬さを補完する必要もあった。そのた
め、従来は、比較的硬い樹脂でもあるニトロセルロース
を添加していたのであるが、インクの印刷量に比し活性
剤組成物のインク溶解力が不足すると、先のインクブツ
欠陥を生じることがあり、また、その吸湿性により大気
中の水分を吸収し、蓄積の後、気泡として製品塗膜を浮
き上がらせる欠点もあった。かと言って、短油性アルキ
ッド樹脂だけでは、前述の事があるので、ニトロセルロ
ースは外せないものとの認識が常識化していた。
【0016】
【実施例】そこで、本発明の水圧転写に使用される活性
剤組成物は、樹脂分、溶剤分、可塑剤分、及び超微粒子
シリカから成り、また、この超微粒子シリカは樹脂分2
0重量部に対して3重量部以下有し、更に、樹脂分とし
て短油性アルキッド樹脂とともにセルロースアセトブチ
レートを用い、超微粒子シリカはアルキッド樹脂20重
量部に対して3重量部以下有することなどを特徴とする
のである。その具体的な組成割合等は、印刷模様におけ
るインク類の性質、転写模様の意匠効果等によって適宜
変化させる必要があるが、実施例として最適な組成割合
は、樹脂分として、 短油性アルキッド樹脂 20重量部 セルロースアセトブチレート 1重量部 溶剤分として、 ブチルセロソルブ 30重量部 ブチルカルビトールアセテート 80重量部 可塑剤分として、 フタル酸ジブチル 30重量部 超微粒子シリカとして、 超微粒子シリカ 2重量部 である。
【0017】なお、実施例では、超微粒子シリカとし
て、日本アエロジル株式会社の商品名アエロジル(AE
ROSIL登録商標)を用いており、このものは、乾式
の火炎加水分解法により得られ、二酸化けい素分が9
9.8%と高純度であり、無水の、標準品径0.01μ
m〜0.02μmの合成シリカである。そこで、木目模
様を印刷した転写フィルムを使用し、各種サンドペーパ
ーで表面を荒らしたABS樹脂板に対して、従来組成品
と上記の実施例組成品との2種をその塗布量を各変える
などして、常法による水圧転写を試みたところ、次のと
おりの結果となった。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
【表3】
【0021】
【表4】
【0022】すなわち、表1から表3は塗布量毎に結果
をまとめたもので、表1は活性剤組成物を塗布する為
に、深さ85μm、#85のグラビアロールを用いたと
き、表2は深さ60μm、#100のグラビアロールを
用いたとき、表3は深さ30μm、#100のグラビア
ロールを用いたときの結果を示しており、表1から表3
になるに従い活性剤組成物の塗布量が次第に少なくなる
よう条件設定してある。また、表1から表3における最
上欄の数字は、ABS樹脂板の表面を荒らした際に用い
たサンドペーパーの番手で、数字が小さい程荒くなり、
ABS樹脂板の表面が荒れていることを示す。また、表
4は、表面を荒らさない通常のABS樹脂板に対して行
った他の試験結果をも合わせて示すものである。なお、
表中の1から5の数字は、目視評価による点数で、数字
が大きい程良好な結果であったことを示す。
【0023】表1の結果から分かるように、被転写体の
表面が多少荒れていたとしても、活性剤組成物の塗布量
があってインクの溶解力がそこそこ足りれば、従来組成
品であっても、実施例組成品であっても、十分な合格品
が得られるのに対し、荒れ方がきつくなったり、表2の
結果からも分かるように、活性剤組成物の塗布量が減り
インクの溶解力が不足してくると、従来組成品による不
良は顕著となる。他方、実施例組成品では、表面の荒れ
があまり激しくなければ、依然として合格品が得られ
る。表3の結果のように、活性剤組成物の塗布量が減り
インクの溶解力が不足し過ぎると、従来組成品、実施例
組成品ともに合格品し難いものとなってしまうが、それ
でも実施例組成品の方が優れる。なお、これらは主にイ
ンクブツ欠陥の発生程度について試験するものである
が、表3から表1になるに従い活性剤組成物の塗布量が
次第に多くなる条件設定でもあるので、表1の条件下で
行われたものと、順次、表2、表3の条件下で行われた
ものとを比較してゆくと、従来組成品では、次第に色相
が白っぽく、また、色彩的にも鮮やかさが落ちてきてい
るのに対し、実施例組成品では何れも格別な変化は生じ
なかった。この比較結果を表4では色相及び鮮映性とし
ている。
【0024】また、表4の結果から分かるように、フィ
ルムの付き回り性には従来組成品と実施例組成品とで格
段の相違はなく、インクの伸展性では実施例組成品の方
が優れており、柄ボケ性では実施例組成品の方が従来組
成品に比べ不良であった。なお、色相及び鮮映性とは、
転写模様の色相が白み掛かっていないか、またベールで
も被ったようにボヤっとした色彩となっていないかも見
るものであり、フィルムの付き回り性とは、ベースフィ
ルムが活性剤組成物と化学的に反応し、硬くなったり、
脆くなったりして、その伸展性が阻害されないかを見る
ものであり、インクの伸展性とは、再度粘着性を復活し
たインクが千切れることなく伸展できるかを見るもので
あり、柄ボケ性とは、グラビア跡たる印刷模様層のイン
クの乗りがそのエッジ等からダレて、曖昧とならないか
を見るものである。
【0025】なお、以上の実験結果で実施例組成品の有
効性が確認されるが、これらは、従来の体質顔料たる沈
降性硫酸バリウムに変え、超微粒子シリカとしたからで
あり、更には樹脂分としてのニトロセルロースに変え、
セルロースアセトブチレートとしたからである。ここ
で、シリカは、天然には石英、けい石、けい藻土として
産出され、前出の特開昭63−197685号公報にも
体質顔料の使用としてシリカが例示されているが、一般
には、シリカと言えど、けい石粉などが塗料、インクに
添加されて、艶消し剤として用いられていたに過ぎな
い。ところが、本発明活性剤組成物で用いられるシリカ
は、総称的なシリカでありさえすれば何でも良いのでは
なく、サブミクロンオーダーの超微粒子であることを絶
対の要件とする。すなわち、超微粒子のシリカであるが
故に、いわゆる給油量が多く、再度粘着性を復活したイ
ンク類を増粘してインクズレを防止しつつ、且つ見掛け
の乾燥化を図るという活性剤組成物としての基本的機能
を果たし、また超微粒子且つ粒度が一定しているが故
に、乾燥皮膜化したとき、平滑な表面を呈することがで
きるのである。また、同じように、超微粒子でありさえ
すれば、どんな顔料類でも良いかという訳でなく、仮に
透明性の点で満足させることができる顔料類であったと
しても、伸展性を阻害したり、比重が高くて沈降してし
まうなどしてはならない。つまり、超微粒子のシリカで
あるが故に、初めて、インクズレを防止しつつ見掛けの
乾燥化を図り、伸展性を付与するという活性剤組成物と
しての基本的機能を果たし得るのであって、同時に、超
微粒子であるとともにその屈折率及び比重が活性剤組成
物におけるビヒクル部のそれらとより近似するため、活
性剤組成物状態においては勿論、それが皮膜化しても透
明であることができ、鮮映な転写模様として施こすこと
を可能とするのである。と同時に、使用時に再撹拌する
必要もないのである。
【0026】他方、セルロースアセトブチレートは、セ
ルロースに硝酸と酢酸とを加えての混合エステルで、短
油性アルキッド樹脂より硬いもののニトロセルロースよ
り柔らかい樹脂であり、また、ニトロセルロースより吸
湿性が少ないものである。このため、短油性アルキッド
樹脂の不乾性樹脂であるが故の溶剤が揮発した後のベタ
ツキも見掛け上乾燥したかのようにしてゴミ付着を回避
し、また、どちらかと言えば柔らか過ぎる短油性アルキ
ッド樹脂を多少硬めとして、インクズレを防止できる程
度としているのである。また、インクの印刷量に比し活
性剤組成物の塗布量が不足するなど、インク溶解力が不
足気味となっても、添加したセルロースアセトブチレー
トが従来のニトロセルロース程硬くないので、本来の短
油性アルキッド樹脂の柔らかさが生きてきて、インク伸
び性を最良とすると共にインクブツ欠陥を解消するので
ある。
【0027】また、経時的に製品塗膜が気泡として浮き
上がってくる現象に関して、従来組成品と実施例組成品
によるものとを用意して、同一条件の気温50度、相対
湿度98%の雰囲気下に500時間放置して吸湿具合を
促進させた後、カッターで1mm間隔の切り込みを入
れ、セロハンテープを貼付、引き剥がしての碁盤目テス
トを行ったところ、従来組成品ではその一部が剥がれた
のに対し、実施例組成品では剥がれなかった。この結果
から、経時的に大気中の水分を吸収し、蓄積の後、製品
塗膜が気泡として浮き上がる事態は大いに改善されたも
のと推定することができた。
【0028】他の実施例として、活性剤組成物の組成割
合をアエロジル以外の割合を変えずに、アエロジルを1
重量部、3重量部、及び4重量部に変えて行ってみたと
ころ、1重量部添加したものでは見掛けの乾燥化に若干
劣るものの十分実用に耐え得るものであり、3重量部添
加したものでは最良に近いもののであった。ところが、
4重量部まで添加したものでは、超微粒子シリカがイン
クを増粘、拘束し過ぎ、伸展性を欠いて、ベースフィル
ムの膨潤との同調が遅れたり、転写模様にひび割れを生
じたりし、もはや使用に耐えないものであった。これら
からして、超微粒子シリカの添加量は、樹脂分、実施例
では、特に、アルキッド樹脂20重量部に対して3重量
部以下が望ましいものであった。その他、樹脂分、溶剤
分、可塑剤分の各種類とその組成割合を変えて種々試し
てみたところ、溶剤分、可塑剤分を常識的な範囲で選択
する限りは、超微粒子シリカと共に、樹脂分として短油
性アルキッド樹脂とセルロースアセトブチレートを用
い、しかも、超微粒子シリカはアルキッド樹脂20重量
部に対して3重量部以下有するものが、ほぼ安定して上
記実施例組成品に近い作用効果を奏し得ることを確認し
た。その中でも、やはり、上記実施例組成品が最も優れ
た作用効果を奏するものであった。
【0029】なお、上記の説明では、被転写体の例とし
てABS樹脂を掲げたが、これに限らず、アクリル樹
脂、AS樹脂、塩化ビニール樹脂、ポリスチロール樹
脂、ノリル樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミ
ン樹脂、FRP、エポキシ樹脂を始め、熱可塑、熱硬化
樹脂、金属体、木、石等において同様に施用できるのは
勿論である。また、活性剤組成物を塗布するタイミング
として、転写フィルムを水面に浮かべた後として説明し
たが、先に転写フィルムを水面に浮かべ、転写フィルム
が水を吸収して膨潤するのを待ってスプレーコート手段
等にて活性剤組成物を塗布するような順序での使用を否
定するものではない。更に、上記説明ではベースフィル
ムとして水溶性フィルムを用いるものとしたが、ベース
フィルムは転写時に液体上で膨潤し、かつ、被転写物の
曲面に充分にまとわり付く性質のものでありさえすれ
ば、溶解せずとも、膨潤性のものであれば使用できる。
更に、上記実施例では、超微粒子シリカとして乾式の火
炎加水分解法によるアエロジルを用いるものとして説明
したが、これに限らず、その他の超微粒子シリカが同様
に使用できるものである。
【0030】
【発明の効果】以上、本発明によれば、従来体質顔料が
大きく担ってきたところの見掛けの乾燥を図ってのゴミ
付着防止、インクズレを防止しつつの伸展時の塗膜割れ
防止等を効果的に行うことができ、また、使用時に再撹
拌の必要もなく、仕上がり時の転写模様に優れた鮮映性
を与えることができる。また、インクブツ欠陥も防止で
き、経時的に生ずることのある製品塗膜の気泡よる浮き
上がり現象をも回避でき、もって、益々高まる高意匠化
への要求に対処することができる。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水圧転写における転写フィルムの印刷模様
    層を活性化させるための組成物であって、樹脂分、溶剤
    分、可塑剤分、及び超微粒子シリカから成り、樹脂分と
    して短油性アルキッド樹脂とともにセルロースアセトブ
    チレートを用いて成ることを特徴とする水圧転写に使用
    される活性剤組成物。
  2. 【請求項2】水圧転写における転写フィルムの印刷模様
    層を活性化させるための組成物であって、樹脂分、溶剤
    分、可塑剤分、及び超微粒子シリカから成り、樹脂分と
    して短油性アルキッド樹脂とともにセルロースアセトブ
    チレートを用い、超微粒子シリカはアルキッド樹脂20
    重量部に対して3重量部以下有することを特徴とする水
    圧転写に使用される活性剤組成物。
  3. 【請求項3】水圧転写における転写フィルムの印刷模様
    層を活性化させるための組成物であって、樹脂分、溶剤
    分、可塑剤分、及び超微粒子シリカから成り、樹脂分と
    して短油性アルキッド樹脂20重量部と共にセルロース
    アセトブチレート1重量部を用い、溶剤分としてブチル
    セロソルブ30重量部とブチルカルビトールアセテート
    80重量部を用い、可塑剤分としてフタル酸ジブチル3
    0重量部を用い、超微粒子シリカは2重量用いて成るこ
    とを特徴とする水圧転写に使用される活性剤組成物。
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