JPH10315611A - インキジェット用記録材およびその製造方法 - Google Patents

インキジェット用記録材およびその製造方法

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JPH10315611A
JPH10315611A JP9128193A JP12819397A JPH10315611A JP H10315611 A JPH10315611 A JP H10315611A JP 9128193 A JP9128193 A JP 9128193A JP 12819397 A JP12819397 A JP 12819397A JP H10315611 A JPH10315611 A JP H10315611A
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JP
Japan
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ink
recording material
ink jet
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jet recording
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JP9128193A
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English (en)
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Yoshiaki Nakagami
好章 中神
Katsutoshi Sugimoto
勝利 杉本
Akifumi Kuwabara
章史 桑原
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Toyo Ink Mfg Co Ltd
Original Assignee
Toyo Ink Mfg Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】水性インキジェットインキを使用して画像を形
成する場合に、インキ発色、インキ吸収および乾燥に優
れ、被着地が凸凹、曲面であっても貼り付け施工可能な
インキジェット用記録材およびその製造方法の提供。 【解決手段】プラスチックフィルムの片面に、水の接触
角(20℃)が60°以上100°以下かつガラス転移
点が−100℃以上0℃以下のポリウレタン系樹脂およ
び平均粒径が1μm以上50μm以下のフィラーを含む
インキ受理層を有するインキジェット用記録材、および
プラスチックフィルムの片面に、水の接触角(20℃)
が60°以上100°以下かつガラス転移点が−100
℃以上0℃以下のポリウレタン系樹脂および平均粒径が
1μm以上50μm以下のフィラーを有機溶剤に分散し
た塗工液を塗工してインキ受理層を設けることを特徴と
するインキジェット用記録材の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水性インキを使用
した場合に、優れたインキ発色性、インキ吸収性および
乾燥性を有し、凹凸面被着地、曲面被着地への貼り付け
施工性に優れるインキジェット用記録材およびその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】インキジェットシステムは、騒音が少な
く、高速出力印字が可能であり、しかもカラー化が容易
なため、各種プリンターとして多方面で利用されてい
る。最近は、記録出力の高速化あるいは高解像度・高精
細化等プリンター自体の向上の他に、作成した画像デー
タを供給するLANオンライン等のサーバー性能向上等
の理由から、とりわけ大型インキジェットシステムによ
るオンディマンドプリンティングがデジタル写真、ポス
ター、サインディスプレイの各分野並びにプリプレス等
のグラフィックアート分野において頻繁に利用されてい
る。特に、フルカラーインキジェットシステムで形成さ
れる画像は、通常のカラー印刷と比較しても遜色がな
く、作成部数の少ない大型ポスター等では通常の多色製
版方式やカラー写真印画方式よりも安価に作成できるた
め注目されている。
【0003】従来、インキジェット記録用のインキとし
ては、安全性の面から水性で、印刷適性の面から主に着
色剤に染料を含むインキが使用されていた。しかし、屋
外向けの大型ポスター、サインディスプレイ等の用途で
は、水性染料タイプインキに比べて耐候性・耐水性があ
りかつ濃度感のある水性顔料タイプインキが多く使用さ
れている。また、インキジェット用記録材としては、例
えば一般の印刷で使用される上質紙やコート紙、鮮明な
画像を得るために紙等の基材に種々の顔料と接着剤を主
成分とし、インキ吸収を速やかにするインキ受理層を設
けたもの、あるいは紙自身に多孔質の顔料を抄き込んだ
記録シートが提案されている。
【0004】記録材として具体的には、特開昭55−1
46786号公報に、ポリビニルアルコールやポリビニ
ルピロリドンなどの水溶性樹脂からなるインク受容層を
設けたものが、特開平8−104057号公報に、水溶
性高分子を主体とする結着剤により固定された無機顔料
からなるインク受容層を設けたものが、特開平7−11
7332号公報に、自己乳化型ウレタンアクリレートエ
マルジョンを含有する結着剤及び顔料を主成分とする水
性組成物を塗工乾燥してインク受容層を形成させたもの
がそれぞれ開示されている。
【0005】しかし、基材が紙であるため、記録後に温
度・湿度の影響を受け易く、インキジェットシステムに
よる記録出力後、紙表面に波を打ったような現象が発生
したり、容易に破れたり、壁等(被着地)への貼り付け
施工性に欠け、屋外向けの大型ポスター、サインディス
プレイ等には満足できる結果が得られていない。また、
上記の欠点を解決するために基材をプラスチックフィル
ムにし、水溶性樹脂、吸水剤等を主成分とするインキ受
理層を設けたインキジェット用記録材では、特に顔料タ
イプの水性インキを用いたインキジェット記録の際、水
性インキがインキ受理層に着弾した後に、水性インキの
着色成分である顔料がインキ受理層内部に吸収されるこ
とにより出力画像の濃度発色が低く、顔料インキの特性
である濃度感を低下させる難点があった。
【0006】また、大型インキジェットシステムで作成
した大型ポスター、サインディスプレイ等の出力物を特
に凹凸面被着地あるいは曲面被着地へ貼り付け施工する
際に、プラスチックフィルムを伸張させた場合、インキ
受理層がプラスチックフィルムに追随しないためインキ
受理層にクラックが入りインキ受理層の剥離、脱離をひ
きおこし、インキジェット記録出力物の画像のみだれの
原因となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、水性インキ
ジェットインキを使用して画像を形成する場合に、イン
キ発色、インキ吸収および乾燥に優れるのはもちろん、
特に画像形成後の貼り付け施工に際し被着地が凸凹、曲
面であっても貼り付け施工可能なインキジェット用記録
材およびその製造方法の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、水の接触
角(20℃)が60°以上100°以下かつガラス転移
点が−100℃以上0℃以下のポリウレタン系樹脂はプ
ラスチックフィルムに対する追随性が高く、水性インキ
着弾の際に適度にドットを広げること、および平均粒径
が1μm以上50μm以下のフィラーは水性インキ中の
水分を吸収し、シャープな画像を形成させることを見出
し、本発明に至った。
【0009】すなわち、本発明は、プラスチックフィル
ムの片面に、水の接触角(20℃)が60°以上100
°以下かつガラス転移点が−100℃以上0℃以下のポ
リウレタン系樹脂および平均粒径が1μm以上50μm
以下のフィラーを含むインキ受理層を有するインキジェ
ット用記録材に関する。また、本発明は、プラスチック
フィルムが軟質ポリ塩化ビニル系樹脂フィルムであるこ
とを特徴とする上記インキジェット用記録材に関する。
また、本発明は、フィラーがスメクタイトを含むことを
特徴とする上記インキジェット用記録材に関する。
【0010】また、本発明は、インキ受理層が、ポリウ
レタン系樹脂10重量部に対して、15重量部以上35
重量部以下のフィラーを含むことを特徴とする上記イン
キジェット用記録材に関する。また、本発明は、インキ
受理層が下記構造式の化合物を含むことを特徴とする上
記インキジェット用記録材に関する。
【化2】 また、本発明は、インキ受理層の乾燥膜厚が10μm以
上60μm以下であることを特徴とする上記インキジェ
ット用記録材に関する。
【0011】また、本発明は、プラスチックフィルムの
インキ受理層と反対の面に、粘着剤層と離型基材とを順
に積層させてなることを特徴とする上記インキジェット
用記録材に関する。さらに、本発明は、プラスチックフ
ィルムの片面に、水の接触角(20℃)が60°以上1
00°以下かつガラス転移点が−100℃以上0℃以下
のポリウレタン系樹脂および平均粒径が1μm以上50
μm以下のフィラーを有機溶剤に分散した塗工液を塗工
してインキ受理層を設けることを特徴とするインキジェ
ット用記録材の製造方法に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の構成について、
詳細に説明する。 [プラスチックフィルム]プラスチックフィルムとして
は、少なくとも一方向に伸張可能な、厚さ30〜150
μmのプラスチックフィルムが用いられる。プラスチッ
クフィルムとして具体的には、ポリ塩化ビニル系樹脂、
ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド
系樹脂、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂などの1種
または2種以上の樹脂からなるフィルムが挙げられる。
なかでも、ポリ塩化ビニル系樹脂フィルム、特にポリ塩
化ビニル系樹脂100重量部に対して可塑剤を10〜4
0重量部含有する軟質ポリ塩化ビニル系樹脂フィルム
は、柔軟性が高く凸凹・曲面・粗面貼り付け適性に優れ
るため、好適に用いられる。
【0013】ポリ塩化ビニル系樹脂には、塩化ビニルの
単独重合体、および塩化ビニルと、オレフィン系単量
体、ジエン系単量体、塩化ビニル以外のハロゲン化ビニ
ル系単量体、アクリル酸エステル系単量体、ビニルエス
テル系単量体、ビニルエーテル系単量体、スチレン系単
量体などの単量体との共重合体が含まれる。ポリ塩化ビ
ニル系樹脂として具体的には、エチレン−塩化ビニル樹
脂、酢酸ビニル−塩化ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニ
ル−塩化ビニル樹脂、ウレタン−塩化ビニル樹脂などの
ブロックもしくはグラフト共重合樹脂が挙げられる。ポ
リ塩化ビニル系樹脂の重合度は、耐候性、耐久性および
加工性の点で、300〜3000、さらには600〜2
000であることが好ましい。
【0014】プラスチックフィルムには、各種添加剤、
例えば可塑剤、着色剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電
防止剤、酸化防止剤、滑剤などを含有させることができ
る。可塑剤としては、フタル酸、イソフタル酸、テトラ
ヒドロフタル酸、アジピン酸、セパシン酸、マレイン
酸、フマル酸、トリメリット酸、オレイン酸などの塩基
性カルボン酸と1価もしくは多価アルコールとの低分子
量エステル化合物、液状ポリエステル可塑剤、アルキッ
ド型液状可塑剤、オキシラン酸素含有エポキシ系可塑剤
などが挙げられる。
【0015】着色剤としては、従来から印刷インキに用
いられている有機顔料および無機顔料を用いることがで
きる。熱安定剤としては、ステアリン酸カルシウム、ス
テアリン酸バリウム、ステアリン酸鉛、塩基性亜硫酸
塩、二塩基性亜リン酸塩、ジブチルスズジマレート、ジ
ブチルスズラウレート、ジブチルスズメルカプチド、ジ
オクチルスズマレート、ジオクチルスズラウレート、ジ
オクチルスズメルカプチド、スズ・ジオール誘導体など
のスズ系有機化合物及びこれらの複合体が挙げられる。
【0016】紫外線吸収剤は、290〜400nm波長
の光を吸収する化合物であり、例えば、ベンゾフェノン
系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニルエステ
ル系、ヒンダードアミン系、シアノクリレート系、桂皮
酸系、アミノブタジエン系などの化合物が挙げられる。
また、紫外線遮断材としては、例えば、微粒子の酸化チ
タン、酸化セリウム、酸化亜鉛、タルク、カオリン、炭
酸カルシウム、酸化鉄などが挙げられる。
【0017】帯電防止剤としては、ポリオキシエチレン
アルキルアミン、ポリオキシアルキルアミド、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸エステ
ル、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルスルホネー
ト、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルサルフェ
ート、アルキルホスフェート、第四級アンモニウムサル
フェートなどが挙げられ、これらを添加することにより
静電気による塵の付着防止効果が認められる。滑剤とし
ては、流動性パラフィン、ポリエチレンワックスなどの
炭化水素系滑剤、脂肪族アミド系滑剤、天然または合成
エステルワックス、アルコール系滑剤などが挙げられ、
インキジェットプリンター動作時のフィルム搬送性向上
と記録材表面の耐磨耗性を向上させる等の目的で使用さ
れる。
【0018】[インキ受理層]インキ受理層は、水の接
触角(20℃)が60°以上100°以下かつガラス転
移点(以下、Tgという)が−100℃以上0℃以下の
ポリウレタン系樹脂および平均粒径が1μm以上50μ
m以下のフィラーを含む。ポリウレタン系樹脂は、同分
子量のポリウレタン以外の樹脂と比較して、プラスチッ
クフィルムとの追随性が高い樹脂である。ポリウレタン
系樹脂のプラスチックフィルムとの追随性は、100%
モジュラス、引張り強度、伸び率等の機械強度特性値で
評価される。ポリウレタン系樹脂の100%モジュラス
は5〜400kgf/cm2 、 引っ張り強度は100〜
1500kgf/cm2 、伸び率は150〜2000%
の範囲である。
【0019】ポリウレタン系樹脂の水の接触角(20
℃)は、60°以上100°以下でなければならず、8
0°以上90°以下であることが好ましい。水の接触角
が100°を越えるポリウレタン系樹脂を含むインキ受
理層は、インキ着弾の際にドットが広がらず、インキが
インキ受理層の表面ではじきすぎる。一方、水の接触角
が60°未満のポリウレタン系樹脂を含むインキ受理層
は、インキ着弾後にドットが広がり滲みの原因となる。
【0020】また、ポリウレタン系樹脂のTgは、−1
00℃以上0℃以下でなければならない。Tgが0℃を
越えるポリウレタン系樹脂は、常温での柔軟性に欠け、
プラスチックフィルムとの追随性に劣るため、該樹脂を
含むインキ受理層を有するインキジェット用記録材は、
凹凸面・曲面被着地への貼り付けが困難となる。一方、
Tgが−100℃未満のポリウレタン系樹脂は、常温で
表面にタックが残り、プリンタ−紙搬送性、汚れ付着な
どに問題が生じる。
【0021】ポリウレタン系樹脂の100%モジュラス
は10〜200kgf/cm2 、 引張り強度は200〜
1000kgf/cm2 、伸び率は200〜1500%
の範囲であることが、プラスチックフィルムとの追随性
の点で好ましい。また、ポリウレタン系樹脂の重量平均
分子量は、1万以上20万以下であることが、耐候性、
可撓性および強靱性の付与の点で好ましい。
【0022】フィラーの平均粒径は、1μm以上50μ
m以下でなければならない。平均粒径が細かいフィラー
を用いるほど、インキ着弾時のドットが広がりが少な
く、画像がシャープになるため、粒径分布が狭い範囲の
細かいフィラーが好適に用いられる。平均粒径が50μ
mを越えるフィラーを用いた場合には、インキ着弾時の
ドットの広がりが大きくなり画像の滲みが目立つため不
適当である。また、インキジェットシステムによる記録
出力物を屋外用標示物として使用する場合には、耐候
性、特に降雨や風雨に対する耐水性が要求されるため、
記録出力物の表面にラミネートフィルム貼り付ける場合
がある。その際、フィラーの平均粒径が細かければ細か
い程、インキ受理層が平滑となり、ラミネートフィルム
を貼り合わせる際にシワ等が入りにくく、貼り合わせた
面の密着度が上がり、しかも見た目の風合いがきれいに
仕上がり作業性が向上する。また、ラミネートフィルム
を貼り合わせたエッジから降雨、風雨による水の侵入を
防ぐ効果が向上し、ラミネートフィルムが貼り合わせた
界面からはがれにくくなる。
【0023】フィラーは、水を含む水性のインキジェッ
ト記録用インキにより記録を行う場合には、インキ着弾
時のわずかな時間にインキ中の水分を吸収しなければな
らないため、無機顔料、吸水剤などが好適に用いられ
る。無機顔料としては、例えば、シリカ、クレー、タル
ク、ケイソウ土、雲母、スメクタイト、炭酸カルシウ
ム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化
亜鉛、サチンホワイト、ケイ酸アルミニウム、リトボ
ン、アルミナ、ゼオライトなどが挙げられる。なかで
も、スメクタイト、特に層状結晶化合物で層間に原子、
分子、イオンを挿入する能力のある親水性スメクタイト
が好ましい。吸水剤としては、例えば、デンプン系、セ
ルロース系、ポリアクリル酸系、ポバール系、ポリオキ
シエチレン系などの吸水剤が挙げられる。
【0024】フィラーは、本発明の効果を損なわない範
囲で、コロナ放電処理、放射線処理、プラズマ処理など
の方法であらかじめ表面を処理してインキ受理性を改良
したり、形状、大きさを任意に変化させ、分散性を改良
したり、あるいはフィラーとポリウレタン系樹脂との密
着性を向上させることができる。インキ受理層中のポリ
ウレタン系樹脂とフィラーの配合割合は、ポリウレタン
系樹脂(固形分)10重量部に対して、フィラー15〜
35重量部、特に20〜30重量部であることが好まし
い。フィラーの配合割合が15重量部未満の場合はイン
キの吸収性が不十分な場合があり、35重量部を越える
場合はインキ受理層の塗膜強度が不十分で、プラスチッ
クフィルムとの追随性が劣る。
【0025】インキ受理層には、蛍光増白剤、分散剤、
pH調整剤などの添加剤を加えることができる。特に、
蛍光増白剤として下記の構造式1で示す化合物を、イン
キ種類、インキ塗出量により、インキ受理層の全体量に
対して0.05〜1重量%の範囲で添加すると、インキ
受理層表面の白色度を向上させ、インキジェット出力記
録物の画像の鮮明性を向上させることができるため好ま
しい。また、下記の構造式1で示す化合物を上記の範囲
で添加すると、インキ受理層の吸液挙動を調整し、特に
顔料タイプの水性インキを用いた場合にも、インキ本来
の濃度感にあふれる画像を得ることができるため好まし
い。
【0026】
【化3】
【0027】上記の構造式1で示す蛍光増白剤を1重量
%を越えて添加すると、顔料タイプの水性インキを使用
して記録する場合に、インキ中の水分がインキ受理層に
吸収されにくくなりインキ垂れが起こりやすくなる。一
方、上記の構造式1で示す蛍光増白剤の添加量が0.0
5重量%未満の場合には、顔料タイプの水性インキを用
いると、インキの着色成分である顔料がインキ受理層に
吸収され、インキ本来の発色性とりわけ濃度感のある画
像が得られにくくなる。これは、インキの着色成分がイ
ンキ受理層の最表面部分近傍に定着しとどまっている方
が、発色性が良いためと考えられる。
【0028】インキ受理層の乾燥膜厚は、10μm以上
60μm以下、特に20μm以上40μm以下であるこ
とが、保存性および記録適性の点で好ましい。インキ受
理層の膜厚が60μmより厚い場合は、インキの発色性
不良による画質の低下およびプラスチックフィルムとの
追随性の低下が認められる。一方、10μmより薄い場
合は、インキの吸収性が十分ではないため画像の滲み、
インキ垂れを起こす。
【0029】[インキ受理層の形成方法]インキ受理層
は、上記ポリウレタン系樹脂、フィラーおよび必要に応
じて添加剤を有機溶剤に分散した塗工液を塗工したの
ち、熱風乾燥炉、熱ドラム等を用いて乾燥することによ
り、プラスチックフィルムの片面に設けられる。インキ
受理層を形成するための塗工液の溶媒として水を使用す
ると、フィラーが吸水し、その吸水した水分を乾燥させ
るために乾燥温度を著しく高温にすることにより、塗工
面のひび割れやプラスチックフィルムの伸縮を引き起こ
す可能性があるため、溶媒としては有機溶剤を用いなけ
ればならない。また、溶媒として水を用いた場合は、フ
ィラーが吸水、膨潤するためにフィラーを多く添加する
ことができず、インキ受理層中に水が残留していること
もあるため、インキジェットインキ着弾時にインキ受理
層のインキ吸収性が十分発揮されず、ブロッキング、印
字画像の滲み、さらにはインキ垂れを引き起こす。
【0030】有機溶剤としては、ベンゼン、トルエン、
キシレンなどの芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、テ
トラヒドロフランなどのエーテル類、アセトン、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン
類、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアル
コール類、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン
などのハロゲン化炭化水素、酢酸エチル、酢酸メチル、
メタアクリル酸メチル、フタル酸ジオクチルなどのエス
テル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシ
ド、メチルセルソルブなどが用いられる。
【0031】塗工液は、サンドグラインダー、ホモミキ
サー、アトライター等の分散機により調製することがで
きる。上記のように調製した塗工液は、プラスチックフ
ィルム上に直接、あるいはアンダーコート層を介して、
バーコーター法、ロールコーター法、ブレードコーター
法、エアナイフコーター法、ゲートロールコーター法、
サイズプレスコーター法、シムサイザー法、グラビアコ
ーター法、キャストコーター法等の公知の方法により塗
工することができる。
【0032】さらに、インキ受理層の表面を平滑化する
ため、あるいは表面の強度を上げるため、スーパーキャ
レンダー法、グロスキャレンダー法等を施しても良い。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、インキ受理層
形成前のプラスチックフィルムあるいはインキ受理層を
コロナ放電処理、放射線処理、プラズマ処理等によって
処理して表面の濡れ易さを改良したり、塗工面を硬化等
の処理により密着性を改良することができる。
【0033】[粘着剤層]本発明のインキジェット用記
録材のインキ受理層と反対の面には、粘着剤、例えばア
クリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコン系粘着剤
等を10μm〜200μmの厚さで設けることができ
る。粘着剤としては、被着地の材質と表面状態に応じ
て、通常は、接着力が1000〜2000gr/25m
m幅(JISZ0237粘着テープ・粘着シート試験方
法)のものを用いる。貼り付け後に不要となった記録材
を剥がす際に、被着地表面に粘着剤が残留せずに容易に
剥離できる、いわゆるクリンピール特性を付与するため
には、特に接着力が50〜1000gr/25mm幅、
特に500〜900gr/25mm幅の粘着剤を用いる
ことが好ましい。
【0034】[離型基材]粘着剤層の上には、粘着剤層
を保護するために、離型基材を積層させる。離型基材と
しては、上質紙、グラシン紙、コート紙など紙類の表面
をシリコン樹脂などによって離型処理した剥離紙、シリ
コン樹脂などの離型剤をコートしたプラスチックフィル
ムあるいはプラスチックフィルム単独などが挙げられ
る。また、発泡基材を用いることができ、複数のプラス
チックフィルムなどをラミネートし多層構造として用い
ることもできる。さらに、離型基材は着色したものでも
よく、帯電防止等の機能性付与のためにコート層を積層
することもできる。
【0035】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明のイ
ンキジェット用記録材について詳細に説明するが、本発
明はこれらの例に限定されるものではない。なお、例中
に示される部は特に断らない限り重量部である。まず、
インキジェット用記録材の評価方法について説明する。
【0036】(1)発色性 インキジェットプリンター(シャープ社製「IO−70
0型」)で、顔料タイプのインキを用い、イエロー
(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、レッド
(R)、グリーン(G)、ブルー(B)、ブラック
(K)の7色ベタ印字を行い、YMCKベタ部の濃度を
マクベス反射濃度計で測定した。 ○:YMCKの濃度がすべて1以上 △:YMCKのうち少なくとも1つの濃度が1以上 ×:YMCKの濃度がすべて1未満
【0037】(2)にじみ 発色性の評価で作成した記録物のベタ印字境界部(縦
横)のにじみをルーペで観察した。 ○:にじみなし ×:ひどいにじみ (3)ラミネート適性 インキジェット用記録材の表面にラミネートフィルム
(東洋インキ社製「S−154」)を貼り合わせ、6時
間浸水後に自然乾燥させラミネートフィルムの剥離の有
無を目視で観察した。 ○:はがれない ×:はがれた
【0038】(4)耐候性 発色性の評価で作成した記録物の1部にラミネートフィ
ルム(東洋インキ社製「S−154」)を貼り合わせ、
キセノンウェザーメーターで500時間照射したのち、
記録物の状態を目視で評価した。 ○:変色、ラミネートはがれなし ×:変色、ラミネートはがれ両方あり (5)追随性 インキジェット用記録材を一方向に10%伸張させ、表
面クラック等の発生を目視で評価した。 ○:異常なし ×:表面がはがれ落ちる
【0039】[実施例1]下記処方の原料をボールミル
で24時間分散し、塗工液を調製した。得られた塗工液
を、片面にアクリル系粘着剤層(初期接着力;500g
r/25mm幅)と離型基材を順に積層させた厚さ50
μmの軟質ポリ塩化ビニルフィルムの粘着剤層と反対の
面に、ワイヤーバーを用いて乾燥膜厚30μmに塗工
し、インキジェット用記録材を得た。 ポリウレタン系樹脂(住友バイエルウレタン社製「デスモコール 130」、 水の接触角(20℃);76°、Tg;-27 ℃、重量平均分子量;約10万、 100 %モジュラス;52kgf/cm2 、 引張り強度;592kgf/cm2、 伸び率;925 %) 10部 親水性スメクタイト(コープケミカル社製「SWN」、平均粒径;30μm) 25部 メチルエチルケトン 60部 トルエン 60部
【0040】[実施例2]下記処方の原料をボールミル
で24時間分散し、塗工液を調製した。得られた塗工液
を、実施例1と同様の軟質ポリ塩化ビニルフィルムの粘
着剤層と反対の面に、ワイヤーバーを用いて乾燥膜厚3
0μmに塗工し、インキジェット用記録材を得た。 ポリウレタン系樹脂「デスモコール 130」、 10部 親水性スメクタイト「SWN」 25部 蛍光増白剤(構造式1の化合物、チバガイギー社製「UVITEX OB 」) 0.05部 メチルエチルケトン 60部 トルエン 60部
【0041】[実施例3]下記処方の原料をボールミル
で24時間分散し、塗工液を調製した。得られた塗工液
を、実施例1と同様の軟質ポリ塩化ビニルフィルムの粘
着剤層と反対の面に、ワイヤーバーを用いて乾燥膜厚3
0μmに塗工し、インキジェット用記録材を得た。 ポリウレタン系樹脂「デスモコール 130」、 10部 セルロース系吸水剤 25部 (旭化成工業社製「アビセルPH-M06」、平均粒径;6μm) 蛍光増白剤「UVITEX OB 」 0.05部 メチルエチルケトン 60部 トルエン 60部
【0042】[実施例4]ポリウレタン系樹脂を日本ポ
リウレタン社製「ニッポラン5037」(水の接触角(20
℃);84°、Tg;-31 ℃、重量平均分子量;約13万、10
0 %モジュラス;25kgf/cm2 、 引張り強度;530kgf/c
m2、 伸び率;700 %)に代えた以外は、実施例2と同様
にしてインキジェット用記録材を得た。
【0043】[実施例5]塗工液を乾燥膜厚5μmに塗
工した以外は、実施例3と同様にしてインキジェット用
記録材を得た。 [実施例6]塗工液を乾燥膜厚70μmに塗工した以外
は、実施例3と同様にしてインキジェット用記録材を得
た。
【0044】[比較例1]ポリウレタン系樹脂を日本ポ
リウレタン社製「ニッポラン2301」(水の接触角(20
℃);73°、Tg; +30〜38℃、重量平均分子量;約4
万)に代えた以外は、実施例2と同様にしてインキジェ
ット用記録材を得た。 [比較例2]ポリウレタン系樹脂をポリビニルピロリド
ン(G.A.F.コーポレーション社製「PVP K-15」、水の接
触角(20℃);54°、重量平均分子量;約1万)に代え
た以外は、実施例2と同様にしてインキジェット用記録
材を得た。
【0045】[比較例3]ポリウレタン系樹脂を日本ポ
リウレタン社製「ニッポラン3107」(水の接触角(20
℃);102 °、Tg;−33℃、重量平均分子量;約6万)
に代えた以外は、実施例2と同様にしてインキジェット
用記録材を得た。 [比較例4]親水性スメクタイトを雲母(クラレ社製
「クラライトマイカ 200-W」、平均粒径; 100μm)に
代えた以外は、実施例2と同様にしてインキジェット用
記録材得た。
【0046】実施例および比較例で得られたインキジェ
ット用記録材について、発色性、にじみ、ラミネート適
性、耐候性および追随性を評価した。結果を表1に示
す。
【表1】
【0047】
【発明の効果】本発明のインキジェット用記録材は、水
性インキ、特に顔料タイプの水性インキを使用した場合
に、インキ発色、インキ吸収・乾燥に優れるのはもちろ
ん、画像形成後の貼り付け施工に際し被着地が凸凹、曲
面であっても貼り付け施工可能であり、記録出力物の画
像の発色性・鮮明性はもちろん、貼り付け施工性の優れ
たインキジェット用記録材である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プラスチックフィルムの片面に、水の接触
    角(20℃)が60°以上100°以下かつガラス転移
    点が−100℃以上0℃以下のポリウレタン系樹脂およ
    び平均粒径が1μm以上50μm以下のフィラーを含む
    インキ受理層を有するインキジェット用記録材。
  2. 【請求項2】プラスチックフィルムが軟質ポリ塩化ビニ
    ル系樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1記載
    のインキジェット用記録材。
  3. 【請求項3】フィラーがスメクタイトを含むことを特徴
    とする請求項1または2記載のインキジェット用記録
    材。
  4. 【請求項4】インキ受理層が、ポリウレタン系樹脂10
    重量部に対して、15重量部以上35重量部以下のフィ
    ラーを含むことを特徴とする請求項1ないし3いずれか
    1項に記載のインキジェット用記録材。
  5. 【請求項5】インキ受理層が下記構造式の化合物を含む
    ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項に記載
    のインキジェット用記録材。 【化1】
  6. 【請求項6】インキ受理層の乾燥膜厚が10μm以上6
    0μm以下であることを特徴とする請求項1ないし5い
    ずれか1項に記載のインキジェット用記録材。
  7. 【請求項7】プラスチックフィルムのインキ受理層と反
    対の面に、粘着剤層と離型基材とを順に積層させてなる
    ことを特徴とする請求項1ないし6いずれか1項に記載
    のインキジェット用記録材。
  8. 【請求項8】プラスチックフィルムの片面に、水の接触
    角(20℃)が60°以上100°以下かつガラス転移
    点が−100℃以上0℃以下のポリウレタン系樹脂およ
    び平均粒径が1μm以上50μm以下のフィラーを有機
    溶剤に分散した塗工液を塗工してインキ受理層を設ける
    ことを特徴とするインキジェット用記録材の製造方法。
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