JPH09198729A - 記録媒体およびその製造方法ならびに情報処理装置 - Google Patents

記録媒体およびその製造方法ならびに情報処理装置

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JPH09198729A
JPH09198729A JP8245642A JP24564296A JPH09198729A JP H09198729 A JPH09198729 A JP H09198729A JP 8245642 A JP8245642 A JP 8245642A JP 24564296 A JP24564296 A JP 24564296A JP H09198729 A JPH09198729 A JP H09198729A
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義彦 矢野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 AFM やSTM の構成を利用し、かつ強誘電体の
分極反転を利用して情報の記録再生を行う記録媒体およ
びこの記録媒体を有する情報処理装置において、ノイズ
を減少させ、また、繰り返しのデータ書き換えに耐える
高信頼性を実現する。 【解決手段】 基板上に、結晶軸が単一配向した強誘電
体層を設け、この強誘電体層の表面の少なくとも80%
の領域において、基準長さ500nmでの十点平均粗さR
zが2nm以下となるようにする。強誘電体層表面には、
保護層や潤滑層を設けてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンピュータ等の
高密度および大容量記録装置用に好適である記録媒体お
よびその製造方法と、それを用いた情報処理装置とに関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、一般にマルチメディア社会の到来
といわれ、パソコンを中心として、ネットワークシステ
ム、通信システム、ビデオシステム、オーディオシステ
ム等が相互に結合して情報処理を行う実用的方法が開発
されてきている。これらのシステムの中で、情報記録媒
体、すなわちメモリ素子の特性向上の果たす役割は極め
て大きく、その要求特性には限りがない。一般には、高
密度記録が可能なこと、記録容量が大きいこと、応答速
度が速いこと、エラーレートが小さいこと、消費電力が
少ないこと、価格が安いこと、等が要求されている。
【0003】メモリ素子には、DRAM、SRAM、EEPROMなど
の半導体メモリや、磁気ディスク、光磁気ディスク、光
ディスク等の回転メモリなどが主として用いられてい
る。特に最近では、レーザー技術の進歩により、有機薄
膜を用いた安価で記録密度の高い記録媒体が商品化され
ている。
【0004】一方、1982年には、原子一つ一つを観察で
きる走査型トンネル顕微鏡(STM)が開発され、さらに、
この装置原理を応用して原子間力顕微鏡(AFM) が登場
し、これらによって様々な材料の原子レベルでの凹凸情
報を得ることが可能になった。また、観察手段としてば
かりでなく、STM およびAFM の広範囲な応用が期待され
ている。例えば、特開昭63-161552 号公報には、STM を
メモリに応用することが述べられている。
【0005】また、STM およびAFM に類似した走査型容
量顕微鏡(SCaM)がJ. Appl. Phys. 57, 1437(1985) に報
告されている。SCaMもプローブを用いた走査型の顕微鏡
であり、プローブで測定試料表面の局所的容量変化を検
出し、画像化するものである。この報告では、円盤状の
媒体を回転させ、これにSCaMプローブで記録再生を行う
メモリへの応用についても述べられている。
【0006】J. Appl. Phys., 70, 2725(1991)に記載の
報告では、AFM をメモリ素子に応用する方法が述べられ
ている。この方法は、AFM とSCaMとを組み合わせたもの
であり、導電性のAFM プローブを用いて記録再生を行
う。記録媒体には、MNOS(金属−窒化物−酸化物−
半導体)構造のものを用いる。情報の書き込みに際して
は、AFM プローブにより媒体にパルス電圧を印加し、電
荷を捕獲させる。これによりSi半導体基板には空乏層が
形成されてプローブ領域の容量が変化するので、情報記
録が可能となる。記録情報の読み出しの際には、適当な
高周波バイアス電圧を記録媒体とプローブとの間に印加
しながらプローブを走査させる。電荷捕獲されている領
域と捕獲されていない領域とではプローブと媒体との間
の容量が異なるため、プローブ走査に伴なう容量変化を
検出することにより、記録情報の読み出しが可能とな
る。記録情報を消去する場合には、記録時と逆特性のパ
ルス電圧等を印加するなどすればよい。
【0007】また、この方法に類似した方法で、記録媒
体に強誘電体を用いる方法が、特開昭63-193349 号公報
に述べられている。強誘電体は、あるしきい値電圧で分
極が反転する材料である。強誘電体を用いる場合、AFM
プローブなどにより強誘電体にパルス電圧を印加し、プ
ローブされた領域だけ分極を一方向に揃える、あるいは
分極を反転させることにより、情報の書き込みを行う。
情報の読み出しには、強誘電体の圧電効果、焦電効果、
電気光学効果、分極反転時の電流検出などが利用可能で
ある。圧電効果を利用する場合、例えば以下の方法を用
いる。適当な高周波バイアス電圧を記録媒体とプローブ
との間に印加しながら、プローブを走査させる。このと
き、強誘電体の圧電効果により記録媒体表面が変形す
る。強誘電体は分極状態の違いにより圧電効果が異なる
ため、記録媒体表面には記録情報に応じた変形が現わ
れ、この変形をプローブで検知することにより、情報の
読み出しが可能となる。記録情報を消去する場合は、記
録時とは逆特性のパルス電圧を印加して分極を反転させ
るなどすればよい。
【0008】また、強誘電体薄膜が半導体Siからなる基
板上に形成されていれば、AFM とSCaMとを組み合わせる
上記方法により記録再生を行うことができる。この場
合、強誘電体層の分極反転による電荷の捕獲、放出現象
を利用し、空乏層を形成する。この方法では、強誘電体
を利用するため、書き込み電圧は強誘電体の分極反転が
可能な程度の低電圧でよく、また、強誘電体の分極反転
速度は高速であるため、書き込み速度が速くなる。
【0009】AFM またはSTM は、原子レベルの分解能を
有する。また、強誘電体は分極反転速度が100ns 以下と
高速であり、かつ記録ビットを10nmφ以下の寸法で形成
することが可能であるため、記録ビットを例えば10nm×
10nmの領域で形成すれば、106 M ビット/cm2程度の高
密度メモリが実現できる。
【0010】上記のような、AFM またはSTM メモリー用
の強誘電体媒体としては、導電体層を形成した基板上
に、多結晶の強誘電体薄膜を形成したものが用いられて
きた。多結晶強誘電体薄膜による媒体においては、強誘
電体薄膜の結晶粒界、表面の凹凸がノイズとなる。
【0011】AFM またはSTM メモリーにおけるプロー
ブ、媒体間の距離はナノメーターオーダーであるから、
そのメモリー媒体にもナノメーターオーダーでの均一な
表面が要求される。表面凹凸、結晶性、表面にトラップ
される電荷など均一性が重要である。なぜなら、書き込
み、読み出しの際に、トンネル電流、あるいは原子間力
が一定になるように、プローブに接続されたアクチュエ
ーターに電圧を印加するサーボ方式を用いるため、媒体
の表面凹凸、結晶性、表面にトラップされる電荷などの
均一性が悪いと正常なビットを読み出せない。あるいは
高速動作が行えない。また、SCaMメモリーは、プローブ
で局所的容量を検出するため、表面凹凸、結晶性、表面
にトラップされる電荷などが直接記録ビット信号に混入
する。従来、強誘電体薄膜を用いた媒体では、表面均一
性が不十分であり、ナノメーターオーダーで均一な表面
を有する媒体は利用されていなかった。さらに、従来の
媒体では、強誘電体薄膜の表面が露出しているため、ダ
メージを受けやすかった。また、電荷が強誘電体薄膜の
一部に局在化してノイズとなる問題も明らかになってき
た。局在電荷は、強誘電体の焦電効果や結晶欠陥により
誘起されると考えられ、ノイズとなるだけでなく、プロ
ーブ最先端の破壊を招く。
【0012】したがって、ノイズが無くしかも繰り返し
のデータ書き換えに耐える高信頼性のメモリ媒体を得る
ためには、1)表面平坦性の高い媒体、2)結晶性の均
一な媒体、3)表面のダメージを受けない媒体、4)電
気的欠陥がない、特に電荷が局在化しない媒体が必要で
ある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、AFM
やSTM の構成を利用し、かつ強誘電体の分極反転を利用
して情報の記録再生を行う記録媒体およびこの記録媒体
を有する情報処理装置において、ノイズを減少させ、ま
た、繰り返しのデータ書き換えに耐える高信頼性を実現
することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(31)の本発明により達成される。 (1)強誘電体の分極反転を利用して情報を記録する記
録媒体であって、基板上に、結晶軸が単一配向した強誘
電体層を有し、この強誘電体層の表面の少なくとも80
%が、基準長さ500nmでの十点平均粗さRzが2nm以
下である記録媒体。 (2)前記基板がSi(111)面またはSi(10
0)面を表面に有するSi単結晶である上記(1)の記
録媒体。 (3)前記基板がSi(100)面を表面に有するSi
単結晶から構成され、前記強誘電体層が、ペロブスカイ
ト型材料から構成される(001)単一配向膜である
か、タングステンブロンズ型材料から構成される(00
1)単一配向膜であるか、希土類元素(ScおよびYを
含む)とMnとOとを含み、六方晶YMnO3 結晶構造
をもつ酸化物材料から構成される(0001)単一配向
膜である上記(2)の記録媒体。 (4)前記基板がSi(111)面を表面に有するSi
単結晶から構成され、前記強誘電体層が、希土類元素
(ScおよびYを含む)とMnとOとを含み、六方晶Y
MnO3 結晶構造をもつ酸化物材料から構成される(0
001)単一配向膜である上記(2)の記録媒体。 (5)前記強誘電体層がエピタキシャル膜である上記
(3)または(4)の記録媒体。 (6)前記強誘電体層と前記基板との間に、単一配向の
酸化物中間層を有し、この酸化物中間層が、酸化ジルコ
ニウム系層および/または希土類酸化物系層を含み、前
記酸化ジルコニウム系層が、酸化ジルコニウムまたは希
土類元素(ScおよびYを含む)により安定化された酸
化ジルコニウムから構成されるものであり、前記希土類
酸化物系層が、希土類元素(ScおよびYを含む)酸化
物から構成されるものである上記(2)〜(5)のいず
れかの記録媒体。 (7)前記基板がSi(100)面を表面に有し、前記
酸化物中間層が正方晶または単斜晶(001)単一配向
膜または立方晶(100)単一配向膜である酸化ジルコ
ニウム系層を含むか、前記酸化物中間層が(111)単
一配向膜である希土類酸化物系層を含む上記(6)の記
録媒体。 (8)前記基板がSi(111)面を表面に有し、前記
酸化物中間層が(111)単一配向である酸化ジルコニ
ウム系層を含むか、前記酸化物中間層が(111)単一
配向である希土類酸化物系層を含む上記(6)の記録媒
体。 (9)前記基板と前記強誘電体層との間または前記基板
と前記酸化物中間層との間に、結晶軸が単一配向した電
極層を有する上記(1)〜(8)のいずれかの記録媒
体。 (10)前記強誘電体層が、ペロブスカイト型材料から
構成される(001)単一配向膜であるか、タングステ
ンブロンズ型材料から構成される(001)単一配向膜
であり、前記電極層が正方晶(001)単一配向膜であ
るか、立方晶(100)単一配向膜である上記(9)の
記録媒体。 (11)前記強誘電体層が、希土類元素(ScおよびY
を含む)とMnとOとを含み、六方晶YMnO3 結晶構
造をもつ酸化物材料から構成される(0001)単一配
向膜であり、前記電極層が(111)単一配向膜である
上記(9)の記録媒体。 (12)前記電極層が金属または導電性酸化物から構成
される上記(9)〜(11)のいずれかの記録媒体。 (13)前記金属が、Pt,Ir,Os,Re,Pd,
RhおよびRuの1種以上を含み、前記導電性酸化物
が、Inを含む酸化物またはペロブスカイト酸化物であ
る上記(12)の記録媒体。 (14)前記基板が導電性である上記(1)〜(8)の
いずれかの記録媒体。 (15)前記基板が半導体であり、強誘電体層の分極反
転に伴い、基板に空乏層が形成される上記(1)〜
(8)のいずれかの記録媒体。 (16)強誘電体の分極反転を利用して情報を記録する
記録媒体であって、基板上に強誘電体層を有し、この強
誘電体層表面に導電処理が施された記録媒体。 (17)強誘電体の分極反転を利用して情報を記録する
記録媒体であって、基板上に強誘電体層を有し、この強
誘電体層上に保護層を有する記録媒体。 (18)前記保護層の比抵抗が10〜107 Ωcmである
上記(17)の記録媒体。 (19)前記保護層がアモルファスである上記(17)
または(18)の記録媒体。 (20)上記(1)〜(15)のいずれかの構成を有す
る上記(16)〜(19)のいずれかの記録媒体。 (21)基板上に強誘電体層を有し、強誘電体の分極反
転を利用して情報を記録する記録媒体であって、前記強
誘電体層側の表面に潤滑性物質から構成される潤滑層を
有するか、前記強誘電体層側の表面に潤滑処理が施され
ている記録媒体。 (22)前記潤滑性物質が固体潤滑材である上記(2
1)の記録媒体。 (23)前記潤滑性物質が液体潤滑材である上記(2
1)の記録媒体。 (24)前記潤滑性物質が気体潤滑材である上記(2
1)の記録媒体。 (25)上記(1)〜(20)のいずれかの構成を有す
る上記(21)〜(24)のいずれかの記録媒体。 (26)前記強誘電体層の厚さが5〜70nmである上記
(1)〜(25)のいずれかの記録媒体。 (27)上記(1)〜(26)のいずれかの記録媒体を
製造する方法であって、前記強誘電体層に300〜60
0℃でアニールを施す工程を有する記録媒体の製造方
法。 (28)上記(1)〜(26)のいずれかの記録媒体を
製造する方法であって、前記強誘電体層表面を機械的お
よび/または化学的に研磨する工程を有する記録媒体の
製造方法。 (29)前記強誘電体層を研磨した後、300〜850
℃でアニールを施す工程を有する上記(28)の記録媒
体の製造方法。 (30)上記(1)〜(26)のいずれかの記録媒体を
有する情報処理装置。 (31)記録媒体に対し書き込みおよび読み出しを行う
ためのブローブが浮上スライダーに搭載されている上記
(30)の情報処理装置。
【0015】
【作用】本発明の記録媒体は、強誘電体層の結晶軸が単
一配向しており、かつその表面の凹凸が分子レベルで平
坦である。このように、原子間力顕微鏡(AFM) または走
査型トンネル顕微鏡(STM) の構成を利用した記録媒体で
必要とされる極めて高い平滑度を有し、かつ結晶性も均
一である強誘電体層を有するため、記録ビットを形成し
た場合にノイズが少なく高速動作が可能となる。また、
Siの単結晶基板を用いると安価に高結晶性の強誘電体層
が得られる。
【0016】本発明は、特にエピタキシャル膜において
粒界がなく、表面の凹凸を極力低下させることが可能で
あるという知見に基づきなされたものであり、このよう
な膜はノイズの影響を受けない。
【0017】なお、強誘電体層の組成や形成条件によっ
ては、単一配向とならないことがあるが、強誘電体層の
アニール条件やその厚さを制御することによって単一配
向とすることができる。例えば、強誘電体材料として希
土類元素を10モル%程度添加したチタン酸鉛を用い、
強誘電体層の厚さを300nm程度とした場合、形成直後
は(001)単一配向となるが、強誘電体特性向上のた
めに750℃でアニールすると、(001)配向結晶と
(100)配向結晶とが混在した状態となってしまう。
しかし、アニール温度を600℃以下とすれば、強誘電
体層を(001)単一配向とすることができる。また、
強誘電体層の厚さを5〜70nmと薄くすれば、アニール
温度によらず(001)単一配向とすることができるの
で、600℃を超える高温でアニールでき、強誘電体特
性をより向上させることができる。
【0018】本発明では、強誘電体層表面を研磨するこ
とによってその表面の平滑度を向上させることができ
る。強誘電体層の構成材料や形成条件によってはその表
面平滑度が不十分となることがあるが、この場合でも研
磨によって平滑度を向上させれば、ノイズを抑制するこ
とができる。
【0019】AFM やSTM の構成を利用した情報処理装置
では、検出信号は媒体表面のうねり、凹凸、ひずみ、組
成ずれ、プローブの駆動方法等に起因する特有の信号成
分(ノイズ)を含むが、本発明では、強誘電体層の結晶
性を高め、その表面凹凸を極力小さくしているため、S
/Nを高くすることができ、信頼性を向上させることが
できる。
【0020】本発明で対象としている記録媒体は、プロ
ーブにより走査され記録再生を行うものであり、プロー
ブ本体のみならず走査に必要な駆動機構が情報処理装置
に付属する。したがって、プローブと媒体とが物理的に
接触したり、駆動機構の磨耗部から発生した微粒子が媒
体とプローブとの間に侵入したり、駆動機構に起因する
振動によりプローブが媒体に物理的に接触したりするこ
となどにより、媒体はダメージを受ける。本発明におい
て強誘電体層の表面に保護層を形成すれば、このような
ダメージを防ぐことができ、繰り返しのデータ書き換え
に耐える高信頼性が実現する。
【0021】また、保護層に適当な導電性をもたせれ
ば、強誘電体層表面の電荷が均一化されるため、強誘電
体の焦電効果、結晶欠陥等により強誘電体層表面に局在
的に発生する電荷の集中を防ぐことが可能になる。した
がって、集中電荷によるノイズおよびプローブの破壊を
防止することができる。
【0022】また、本発明では、強誘電体層の表面を潤
滑性にすることにより、繰り返しのデータ書き換えに耐
える高信頼性の記録媒体が得られる。このような潤滑性
の付与は、プローブを浮上スライダーに搭載した構成の
情報処理装置とすることによっても実現できる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。
【0024】<記録再生装置>本発明の記録媒体は、導
電性プローブを有する情報処理装置(記録再生装置)に
搭載される。この情報処理装置における記録(書き込
み)および再生(読み出し)の際の作用は、前述したS
TM、SCaM、導電性のプローブを備えるAFMなど
における記録再生作用と同様である。
【0025】本発明の記録媒体が搭載される情報処理装
置の構成例を、図1に示す。
【0026】図1に示す情報処理装置は、通常の原子間
力顕微鏡(AFM) の構成に対し、主として2点変更を加え
ている。一つは、AFM プローブを導電性にしたこと、も
うひとつは、このAFM プローブに容量センサーを取り付
けたことである。
【0027】この情報処理装置は、導電性AFM プローブ
1を有し、導電性AFM プローブ1により記録媒体2に対
し書き込みおよび読み出しを行う。なお、図1の情報処
理装置には、導電性AFM プローブ1の変位をレーザービ
ーム9により検知する変位検知フォトディテクター10
が設置されている。記録媒体2は、圧電アクチュエータ
素子を用いたXY走査駆動機構3に載せられているので、
導電性AFM プローブ1の走査は、記録媒体2を移動させ
ることにより行うことになる。
【0028】書き込みには、主として以下の3種の方法
が用いられる。第1の方法では、強誘電体層を一方向に
分極させる処理(初期化処理)を施した記録媒体を用い
る。そして、導電性AFM プローブ1を走査させながら、
これと記録媒体2との間に、記録情報に応じた一方向の
極性をもったパルス電圧を印加して、分極を反転させ
る。分極を反転させた領域が「0」または「1」とな
り、分極を反転させなかった領域が「1」または「0」
となる。第2の方法では、二方向の極性をもったパルス
電圧を印加する。極性の異なるパルス電圧を印加した領
域では分極方向が逆となるため、結果的に第1の方法と
同様な記録ビットが形成される。なお、この場合の記録
媒体は、初期化したものであっても初期化していないも
のであってもよい。第3の方法は、初期化しておらず分
極方向がランダムである強誘電体層を有する記録媒体
に、一方向の極性をもったパルス電圧を印加する。電圧
を印加した領域は一方向に分極する。一方、電圧を印加
しなかった領域はランダム分極のまま残るため、後述す
る方法により読み出しが可能である。これら各方法にお
けるパルス電圧の強度は、強誘電体層の抗電界よりも大
きな電界が記録媒体に印加されるように設定すればよ
い。
【0029】後述する図2の媒体構造では、基板として
半導体Siを用いるため、強誘電体層の分極の方向によっ
て空乏層が形成される/されないの区別が生じ、より確
実に記録保持動作が行える。
【0030】記録情報を読み出す場合には、 AFM導電性
プローブ1と記録媒体2との間に適当な高周波バイアス
電圧を印加しながら、走査を行う。そして、容量センサ
7とロックインアンプ8とにより、導電性AFM プローブ
1と記録媒体2との間の高周波バイアス電圧に対しての
容量成分信号(C 、dC/dV )を検出する。分極の方向に
より容量成分は変化するため、記録ビットが読み出され
る。また、半導体基板を用いる図2の構造の媒体の記録
ビットでは、空乏層の形成により容量が変化しているの
で、同様にして読み出しを行うことができる。
【0031】なお、図1にはAFM をベースとした装置を
示したが、本発明にはSTM をベースとした装置も利用可
能である。
【0032】読み出しには、強誘電体の圧電効果、焦電
効果、電気光学効果などを利用してもよい。例えば、適
当な高周波バイアス電圧を記録媒体と導電性AFM プロー
ブとの間に印加しながら導電性AFM プローブを走査させ
る。このとき、強誘電体の圧電効果により媒体が変形す
るが、分極方向に応じて圧電効果が異なるため、導電性
AFM プローブにより検出される変形信号に変化が現れ
る。これにより記録情報を読み出すことができる。
【0033】上記2例の読み出し方法は、読み出しの後
も記録ビットが保存される非破壊読み出しであるが、読
み出しにより記録ビットが消去される破壊読み出しを行
ってもよい。この場合、例えば、STM または導電性プロ
ーブを有するAFM を用い、適当な高周波バイアス電圧を
記録媒体とプローブとの間に印加しながら、プローブを
走査させる。このときの高周波バイアス電圧は、強誘電
体の分極反転が可能な値に設定しておく。この高周波バ
イアス電圧印加により、媒体と導電性プローブとの間に
は分極反転電流が流れる。この電流は、強誘電体の分極
方向により異なるため、記録情報に応じた電流量変化が
現われる。したがって、プローブに流れる電流のプロー
ブ走査に伴なう変化を検知することにより、記録情報を
読み出すことができる。破壊読み出しを行う場合には、
読み出し後、再書き込みをする必要がある。
【0034】なお、第1の方法で書き込みを行った場
合、記録時と逆極性のパルス電圧を印加して分極を反転
することにより、記録情報が消去できる。第2の方法ま
たは第3の方法で書き込みを行った場合には、初期化に
より記録情報が消去できる。第1〜3のいずれの方法で
書き込んだ媒体も、第2の方法によりオーバーライトが
可能である。
【0035】本発明で用いる情報処理装置では、記録媒
体の形状は特に限定されず、また、記録媒体とプローブ
とを相対的に移動させる方法も特に限定されない。例え
ば、円盤状の記録媒体を用い、プローブに対し記録媒体
を回転させる構成としてもよく、媒体をアクチュエータ
ーで2軸あるいはそれ以上の方向に駆動してもよく、ま
た、プローブを同様に駆動してもよく、両者を駆動する
構成としてもよい。また、導電性プローブを複数設けた
構成としてもよい。
【0036】<記録媒体の構造>本発明の記録媒体は、
例えば図2〜図4に示される構造とされる。
【0037】図2に示す記録媒体は、Si等からなる半
導体基板121表面に強誘電体層13を有する。半導体
基板121の裏面には、オーミック電極11が設けられ
ている。このオーミック電極11は、強誘電体層13お
よび半導体基板121を介して導電性プローブに対向す
る電極であり、このような対向電極として機能する限
り、設置位置は基板裏面以外であってもよい。
【0038】半導体基板としては、P型またはN型の導
電性を有し、比抵抗が10-4〜106 Ωcm程度、特に1
-2〜106 Ωcm程度のものが好ましい。半導体基板を
用いることにより、情報処理装置の説明において述べた
空乏層の形成が可能となる。なお、空乏層とは、半導体
の表面または界面に生じる電位障壁領域に生じる空間電
荷層のことをいう。この層では、半導体中の自由電子が
少なくなるため、抵抗率が高くなり、容量成分をもつ層
となる。そのため、書き込み領域の容量を変化させるこ
とができる。
【0039】なお、図2において半導体基板と強誘電体
層との間には、後述するようにSiO2層や他の酸化物層な
どが存在していてもよい。
【0040】図3に示す記録媒体は、Si等の導電性基
板122表面に、強誘電体層13を有する。導電性基板
は、導電性プローブに対向する電極として機能する。導
電性基板の構成材料は、バルクでの比抵抗が10-7〜1
-2Ωcmであるものが好ましい。
【0041】なお、図3において導電性基板と強誘電体
層との間には、後述するようにSiO2層や他の酸化物層な
どが存在していてもよい。
【0042】図4に示す記録媒体は、基板123表面に
電極層15を有し、電極層表面に強誘電体層13を有す
る。電極層は、導電性プローブに対向する電極として機
能する。電極層の比抵抗は、10-7〜10-2Ωcmである
ことが好ましい。この記録媒体では、電極層を設けてい
るため基板の導電特性は特に限定されず、絶縁体、半導
体、導電体のいずれの基板を用いてもよい。
【0043】なお、図4において基板と電極層との間に
は、後述するようにSiO2層や他の酸化物層などが存在し
ていてもよい。
【0044】図2〜図4における基板の厚さは、通常、
100μm 〜1mm程度である。
【0045】図2〜図4における強誘電体層13の膜厚
は、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、
さらに好ましくは20nm以上であり、かつ、好ましくは
1000nm以下、より好ましくは500nm以下、さらに
好ましくは70nm以下である。強誘電体層が薄すぎる
と、分極反転が不可能になる。一方、厚すぎると強誘電
体層を分極反転するために必要な電圧が大きくなって、
大きな書き込み電圧(例えば20V 以上)が必要になって
しまい、強誘電体層表面の平坦度も悪くなってしまう。
また、前述したように強誘電体層の組成や形成条件(ア
ニール条件等)によっては単一配向膜とすることができ
なくなるが、このような場合でも、強誘電体層の厚さを
5〜70nm、好ましくは10〜70nmとすることによ
り、単一配向膜とすることが可能であり、強誘電体層表
面の平坦度もより良好となる。
【0046】前述したように、導電性プローブで記録媒
体を走査することにより記録ビットの信号を検出するこ
とができるが、この信号の成分には記録媒体表面の性質
やその他の要因によるノイズが重畳される。すなわち、
強誘電体層表面のうねり、凹凸、ひずみ、組成ずれに起
因するノイズ成分や、プローブの駆動方法特有のノイズ
成分が本来の信号成分に重畳される。したがって、本来
の信号成分を正確に得るためには、S/Nをできるだけ
高くする必要がある。S/Nを高める最も有効な方法
は、強誘電体層の結晶性を高め、その表面凹凸を極力小
さくすることである。本発明の記録媒体の強誘電体層表
面は、そのRzからわかるように分子レベルで平坦であ
るため、S/Nが極めて高くなる。強誘電体層の結晶性
を高め、その表面凹凸を極力小さくするためには、後述
するように、強誘電体層を単一配向膜、特にエピタキシ
ャル膜とすることが有効である。
【0047】<基板>基板材料は、ガラス、金属(合金
を含む)、有機物、単結晶や多結晶のセラミックスなど
の種々のものから、半導体、導電体、絶縁体など要求さ
れる特性に応じて適宜選択すればよい。
【0048】高結晶性の強誘電体層を形成するために
は、単結晶基板を用いることが好ましい。単結晶基板の
材質は、マグネシア、チタン酸ストロンチウム、サファ
イア、ジルコニア、安定化ジルコニア、ニオブ酸リチウ
ム、タンタル酸リチウム、ガリウム砒素、シリコンなど
が好ましい。特に、Si単結晶基板は、安価でかつ半導体
素子との整合性も高く好ましい。単結晶基板を用いるこ
とにより、結晶配向の揃った強誘電体層、具体的には単
一配向膜、好ましくはエピタキシャル膜を形成すること
が可能になる。結晶配向の揃った強誘電体層は、多結晶
強誘電体層よりも表面性が良好であり、また、残留分極
値を大きくできたり、結晶粒界の影響による分極の不揃
いを防止できたりして、優れた強誘電体特性が得られる
ので、記録媒体の強誘電体層として好適である。
【0049】単一配向膜、好ましくはエピタキシャル膜
は、基板の結晶格子の配列情報に従い薄膜が成長して実
現されるものであるから、本発明では単結晶基板として
Si(100) 面またはSi(111) 面を表面に有するものを用い
ることが好ましい。
【0050】<強誘電体層>強誘電体材料 強誘電体層に用いる材料は特に限定されず、強誘電性を
有するものから適宜選択すればよいが、例えば以下の材
料が好適である。
【0051】(A) ペロブスカイト型材料:BaTiO
3 ;PbTiO3 、希土類元素含有チタン酸鉛、PZT
(ジルコンチタン酸鉛)、PLZT(ジルコンチタン酸
ランタン鉛)等のPb系ペロブスカイト化合物;Bi系
ペロブスカイト化合物など。以上のような単純、複合、
層状の各種ペロブスカイト化合物。
【0052】(B) タングステンブロンズ型材料: SBN
(ニオブ酸ストロンチウムバリウム)、PBN (ニオブ酸
鉛バリウム)等のタングステンブロンズ型酸化物など。
【0053】(C) YMnO3 系材料:希土類元素(Scおよ
びYを含む)とMnとOとを含み、六方晶系YMnO3 構造
をもつ酸化物など。例えば、YMnO3 、HoMnO3等。
【0054】以下、これらの強誘電体材料について説明
する。
【0055】(A) ペロブスカイト型材料のうち、BaT
iO3 や鉛系ペロブスカイト化合物などは、一般に化学
式ABO3 で表される。ここで、AおよびBは各々陽イ
オンを表す。AはCa、Ba、Sr、Pb、K、Na、
Li、LaおよびCdから選ばれた1種以上であること
が好ましく、BはTi、Zr、TaおよびNbから選ば
れた1種以上であることが好ましい。
【0056】こうしたペロブスカイト型化合物における
比率A/Bは、好ましくは0.8〜1.3であり、より
好ましくは0.9〜1.2である。
【0057】A/Bをこのような範囲にすることによっ
て、誘電体の絶縁性を確保することができ、また結晶性
を改善することが可能になるため、誘電体特性または強
誘電特性を改善することができる。これに対し、A/B
が0.8未満では結晶性の改善効果が望めなくなり、ま
たA/Bが1.3をこえると均質な薄膜の形成が困難に
なってしまう。
【0058】このようなA/Bは、成膜条件を制御する
ことによって実現する。また、ABO3 におけるOの比
率は、3に限定されるものではない。ペロブスカイト材
料によっては、酸素欠陥または酸素過剰で安定したペロ
ブスカイト構造を組むものがあるので、ABOX におい
て、xの値は、通常、2.7〜3.3程度である。な
お、A/Bは、蛍光X線分析法から求めることができ
る。
【0059】本発明で用いるABO3 型のペロブスカイ
ト化合物としては、A1+5+3 、A2+4+3 、A3+
3+3 、AX BO3 、A(B′0.67B″0.33)O3
A(B′0.33B″0.67)O3 、A(B0.5 +30.5 +5
3 、A(B0.5 2+0.5 6 + )O3 、A(B0.5 1+
0.5 7+ )O3 、A3+(B0.5 2+0.5 4+ )O3 、A(B
0.25 1+0.75 5+)O3 、A(B0.5 3+0.5 4+
2.75、A(B0.5 2+0.5 5 + )O2.75等のいずれであ
ってもよい。
【0060】具体的には、PZT、PLZT等のPb系
ペロブスカイト化合物、CaTiO3 、BaTiO3
PbTiO3 、KTaO3 、BiFeO3 、NaTaO
3 、SrTiO3 、CdTiO3 、KNbO3 、LiN
bO3 、LiTaO3 、およびこれらの固溶体等であ
る。
【0061】なお、上記PZTは、PbZrO3 −Pb
TiO3 系の固溶体である。また、上記PLZTは、P
ZTにLaがドープされた化合物であり、ABO3 の表
記に従えば、(Pb0.890.91La0.110.09)(Zr
0.65Ti0.35)O3 で示される。
【0062】また、層状ペロブスカイト化合物のうちB
i系層状化合物は、一般に 式 Bi2m-1m3m+3 で表わされる。上記式において、mは1〜5の整数、A
は、Bi、Ca、Sr、Ba、Pb、Na、Kおよび希
土類元素(ScおよびYを含む)のいずれかであり、B
は、Ti、TaおよびNbのいずれかである。具体的に
は、Bi4 Ti312、SrBi2 Ta29 、SrB
2 Nb29 などが挙げられる。本発明では、これら
の化合物のいずれを用いてもよく、これらの固溶体を用
いてもよい。
【0063】本発明に用いることが好ましいペロブスカ
イト型化合物は、チタン酸塩ないしチタン酸塩含有ペロ
ブスカイト型化合物、例えばBaTiO3 、SrTiO
3 、PLZT、PZT、CaTiO3 、PbTiO3
希土類元素含有チタン酸鉛等であり、より好ましいもの
はBaTiO3 、SrTiO3 、PZT、希土類元素含
有チタン酸鉛であり、特に好ましいものは、R(Rは、
Pr、Nd、Eu、Tb、Dy、Ho、Yb、Y、S
m、Gd、ErおよびLaから選択された少なくとも1
種の希土類元素)、Pb、TiならびにOを含有する希
土類元素含有チタン酸鉛であって、原子比率が (Pb+R)/Ti=0.8〜1.3、 Pb/(Pb+R)=0.5〜0.99 の範囲にあるものである。このような希土類元素含有チ
タン酸鉛は、特願平8−186625号に開示されてい
る。
【0064】(B) タングステンブロンズ型材料として
は、強誘電体材料集のLandoit-Borenstein Vol. 16記載
のタングステンブロンズ型材料が好ましい。具体的に
は、(Ba,Sr)Nb26 、(Ba,Pb)Nb2
6 、PbNb26 、PbTa26 、BaTa2
6 、PbNb411、PbNb26 、SrNb2
6 、BaNb26 等やこれらの固溶体が好ましく、特
に、SBN{(Ba,Sr)Nb26 }やPBN
{(Ba,Pb)Nb26 }、が好ましい。
【0065】(C) YMnO3 系材料は、化学式RMnO
3 で表せる。Rは希土類元素(ScおよびYを含む)か
ら選ばれた1種以上であることが好ましい。YMnO3
系材料における比率R/Mnは、好ましくは0.8〜
1.2であり、より好ましくは0.9〜1.1である。
このような範囲にすることにより、絶縁性を確保するこ
とができ、また結晶性を改善することが可能になるた
め、強誘電特性を改善することができる。これに対し、
比率R/Mnが0.8未満、1.2をこえる範囲では、
結晶性が低下する傾向がある。また特に、比率R/Mn
が1.2をこえる範囲では、強誘電性が得られず、常誘
電的特性になる傾向があり、分極を利用した素子への応
用が不可能になってくることがある。このようなR/M
nは、成膜条件を制御することによって実現する。な
お、R/Mnは、蛍光X線分析法から求めることができ
る。YMnO3 系材料の誘電率は、バルクで10〜50
程度、薄膜で10〜100程度である。
【0066】本発明に用いることが好ましいYMnO3
系材料は、結晶構造が六方晶系のものである。YMnO
3 系材料は、六方晶系の結晶構造を持つものと斜方晶系
の結晶構造を持つものとが存在する。強誘電性を得るた
めには、六方晶系の結晶材料とする必要がある。具体的
には、組成が実質的にYMnO3 、HoMnO3 、Er
MnO3 、YbMnO3 、TmMnO3 、LuMnO3
であるものか、これらの固溶体などである。
【0067】結晶配向 強誘電体層は、結晶軸が単一配向した膜であり、特に、
分極軸が基板面と垂直方向に配向した結晶化膜であるこ
とが望ましい。ペロブスカイト型材料を用いる場合、強
誘電体としての特性が良好になることから、(001)
単一配向膜であることが好ましく、特にそのエピタキシ
ャル膜であることが好ましい。また、タングステンブロ
ンズ型材料を用いる場合、(001)単一配向膜、特に
そのエピタキシャル膜であることが好ましい。また、六
方晶YMnO3 系材料を用いる場合、(0001)単一
配向膜、特にそのエピタキシャル膜であることが好まし
い。
【0068】ペロブスカイト型材料から構成される強誘
電体層は、Si(100)基板の表面に形成することが
好ましい。この場合の強誘電体層とSi基板との好まし
い結晶軸方位関係は、以下の通りである。なお、Siは
立方晶である。強誘電体層が(001)単一配向である
場合、強誘電体[100]//Si[010]である。す
なわち、強誘電体層とSi基板とは、面内に存在する軸
同士も平行であることが好ましい。
【0069】タングステンブロンズ型材料から構成され
る強誘電体層も、Si(100)基板の表面に形成する
ことが好ましい。この場合の強誘電体層とSi基板との
好ましい結晶軸方位関係は、強誘電体[100]//Si
[010]である。
【0070】六方晶YMnO3 系材料から構成される
(0001)配向の強誘電体層は、Si(111)基板
の表面に形成することが好ましい。ただし、後述するよ
うに(111)配向の酸化物中間層や(111)配向の
電極層を設ければ、Si(100)基板上に(000
1)配向の六方晶YMnO3 系強誘電体層を形成するこ
とができる。
【0071】なお、本明細書における単一配向膜とは、
基板表面と平行に目的とする結晶面がそろっている結晶
化膜のことを意味する。具体的には、例えば、(00
1)単一配向膜、すなわちc面単一配向膜は、膜の2θ
−θX線回折(XRD)で(00L)面以外の反射強度
が、(00L)面反射の最大ピーク強度の10%以下、
好ましくは5%以下のものである。なお、本明細書にお
いて(00L)は、(001)や(002)などの等価
な面を総称する表示であり、(L00)や(LLL)な
どについても同様である。
【0072】また、本明細書においてエピタキシャル膜
とは、膜面内をX−Y面とし、膜厚方向をZ軸としたと
き、結晶がX軸、Y軸およびZ軸方向にともにそろって
配向しているものである。具体的には、第一に、X線回
折による測定を行ったとき、目的とする面以外のものの
反射のピーク強度が目的とする面の最大ピーク強度の1
0%以下、好ましくは5%以下である必要がある。例え
ば、(001)エピタキシャル膜、すなわちc面エピタ
キシャル膜では、膜の2θ−θX線回折で(00L)面
以外のピーク強度が、(00L)面の最大ピーク強度の
10%以下、好ましくは5%以下である。第二に、RH
EED評価でスポットまたはストリークパターンを示す
必要がある。これらの条件を満足すれば、エピタキシャ
ル膜といえる。なお、RHEEDとは、反射高速電子線
回折(Reflction High Energy Electron Diffraction)
であり、RHEED評価は、膜面内における結晶軸の配
向の指標である。
【0073】<酸化物中間層>強誘電体層をペロブスカ
イト型材料、タングステンブロンズ型材料またはYMn
3 系材料から構成する場合、強誘電体層と基板との間
には、以下に説明する酸化物中間層を設けることが好ま
しい。なお、酸化物中間層は、絶縁体としても機能す
る。
【0074】強誘電体層がペロブスカイト型材料または
タングステンブロンズ型材料から構成される場合、酸化
物中間層は、下記酸化ジルコニウム系層からなるか、さ
らに下記希土類酸化物系層または下記ペロブスカイト下
地層を含むか、下記希土類酸化物系層および下記ペロブ
スカイト下地層の両方を含むことが好ましい。積層順序
は、酸化ジルコニウム系層→強誘電体層であるか、酸化
ジルコニウム系層→希土類酸化物系層→強誘電体層であ
るか、酸化ジルコニウム系層→ペロブスカイト下地層→
強誘電体層であるか、酸化ジルコニウム系層→希土類酸
化物系層→ペロブスカイト下地層→強誘電体層である。
【0075】強誘電体層がYMnO3 系材料から構成さ
れる場合、酸化物中間層は酸化ジルコニウム系層または
希土類酸化物系層から構成されることが好ましい。
【0076】酸化ジルコニウム系層 酸化ジルコニウム系層は、酸化ジルコニウムを主成分と
するか、希土類元素(ScおよびYを含む)により安定
化された酸化ジルコニウム(安定化ジルコニア)を主成
分とする。この層を設けることにより、その上に設けら
れる電極層や強誘電体層の剥離を防止できる。また、こ
の層は、強誘電体との格子整合性がよいため、結晶性の
高い強誘電体層が得られる。
【0077】酸化ジルコニウムおよび安定化ジルコニア
は、Zr1-xx2-δ(RはScおよびYを含む希土
類元素である)で表わされる組成のものが好ましい。x
およびδについては、後述する。Rとしては、Y、P
r、Ce、Nd、Gd、Tb、Dy、HoおよびErか
ら選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0078】酸化ジルコニウム系層は、単一の結晶配向
を有していることが望ましい。これは、複数の結晶面を
有する層においては粒界が存在するため、その上の電極
層や強誘電体層のエピタキシャル成長が不可能になるた
めである。具体的には、(001)配向の電極層や強誘
電体層を形成しようとする場合、酸化ジルコニウム系層
は、正方晶または単斜晶の(001)単一配向である
か、立方晶の(100)単一配向であることが好まし
く、また、(111)配向の電極層や(0001)配向
の強誘電体層を形成しようとする場合、酸化ジルコニウ
ム系層は(111)単一配向であることが好ましく、い
ずれの場合でもエピタキシャル膜であることがより好ま
しい。このような良好な結晶性の酸化ジルコニウム系層
が形成できれば、粒界による物理量の攪乱等がなくな
り、酸化ジルコニウム系層上に良質の電極層や強誘電体
層が得られる。
【0079】Si(100)基板表面に、酸化物中間層
(Zr1-xx2-δ)が積層されているとき、これら
の結晶方位関係は、Zr1-xx2-δ(001)//S
i(100)であることが好ましい。
【0080】また、Si(111)基板表面に、酸化物
中間層(Zr1-xx2-δ)が積層されているとき、
これらの結晶方位関係は、Zr1-xx2-δ(11
1)//Si(111)であることが好ましい。
【0081】ZrO2 は高温から室温にかけて立方晶→
正方晶→単斜晶と相転移を生じる。立方晶を安定化する
ために希土類元素を添加したものが、安定化ジルコニア
である。Zr1-xx2-δ膜の結晶性はxの範囲に依
存する。Jpn . J. Appl. Phys. 27 (8)L1404-L1405 (1
988)に報告されているように、xが0.2未満である組
成域では正方晶または単斜晶の結晶になる。これまで、
xが0.2以上の立方晶領域では単一配向のエピタキシ
ャル膜が得られている。ただし、xが0.75を超える
領域では、立方晶ではあるが、例えば(100)単一配
向は得られず、(111)配向の結晶が混入する。一
方、正方晶または単斜晶となる領域では、J. Appl. Phy
s. 58 (6) 2407-2409 (1985)にも述べられているよう
に、得ようとするもの以外の配向面が混入し、単一配向
のエピタキシャル膜は得られていない。
【0082】したがって、立方晶(100)単一配向と
するためには、Zr1-x x 2-δにおいてxは0.2
〜0.75であることが好ましい。この場合のxのより
好ましい範囲は、0.2〜0.50である。酸化ジルコ
ニウム系層がエピタキシャル膜であれば、その上に形成
される電極層や強誘電体層をエピタキシャル成長させや
すい。一方、(111)基板を用いて(111)単一配
向とする場合には、xは0.75超であってよい。な
お、xが1のときは、後述する希土類酸化物層となる。
【0083】安定化ジルコニアが含む希土類元素は、S
i基板の格子定数および酸化ジルコニウム系層上に設け
られる層の格子定数と、酸化ジルコニウム系層の格子定
数とを好ましくマッチングさせるために、その種類およ
び添加量が選択される。希土類元素の種類を固定したま
まxを変更すれば格子定数を変えることができるが、x
だけの変更ではマッチングの調整可能領域が狭い。ここ
で、例えばYに替えてPrを用いると、格子定数を大き
くすることが可能であり、マッチングの最適化が容易と
なる。
【0084】なお、酸素欠陥を含まない酸化ジルコニウ
ムは、化学式ZrO2 で表わされるが、希土類元素を添
加した酸化ジルコニウムは、添加した希土類元素の種
類、量および価数により酸素の量が変化し、Zr1-x
x 2-δにおけるδは、通常、0〜0.5となる。
【0085】Zr1-x x 2-δにおいてxが0.2未
満である領域、特に、酸素を除く構成元素中におけるZ
rの比率が93mol%を超える高純度の組成域では、上述
したように結晶性が良好とはならず、また、良好な表面
性も得られていなかった。しかし、本発明者らが検討を
重ねた結果、後述する製造方法を適用することにより、
上記した単一配向、さらにはエピタキシャル成長が可能
となり、表面性も良好な値が得られることがわかった。
高純度のZrO2 膜は、絶縁抵抗が高くなり、リーク電
流が小さくなることから、絶縁特性を必要とする場合に
は好ましい。
【0086】したがって、良好な結晶性および表面性が
得られる場合には、酸化ジルコニウム系層中の酸素を除
く構成元素中におけるZrの比率は、好ましくは93mo
l%超、より好ましくは95mol%以上、さらに好ましくは
98mol%以上、最も好ましくは99.5mol%以上であ
る。酸素およびZrを除く構成元素は、通常、希土類元
素やPなどである。なお、Zrの比率の上限は、現在の
ところ99.99mol%程度である。また、現在の高純度
化技術ではZrO2 とHfO2 との分離は難しいので、
ZrO2 の純度は、通常、Zr+Hfでの純度を指して
いる。したがって、本明細書におけるZrO2 の純度
は、HfとZrとを同元素とみなして算出された値であ
るが、HfO2 は本発明における酸化ジルコニウム系層
においてZrO2 と全く同様に機能するため、問題はな
い。
【0087】なお、酸化物中間層を形成する場合、酸化
物中間層中の酸素がSi等からなる基板の表面付近に拡
散し、基板表面付近が浅く(例えば5nm程度以下)酸化
されてSiO2 などの酸化層が形成されることがある。
また、成膜の方法によっては、酸化物中間層形成時にS
i等の基板の表面にSi酸化物層等が残留する場合があ
る。
【0088】希土類酸化物系層 希土類酸化物系層は、Sc、Y、La、Ce、Pr、N
d、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、T
m、YbおよびLuの少なくとも1種、特に、Ce、P
r、Nd、Gd、Tb、Dy、HoおよびErの少なく
とも1種を含有する希土類酸化物から実質的に構成され
ていることが好ましい。なお、2種以上の希土類元素を
用いるとき、その比率は任意である。
【0089】希土類酸化物系層は、基板の面配向によら
ず(111)配向を示す。すなわち、例えば、Si(1
00)基板でもSi(111)基板でも立方晶(11
1)配向となる。このため、YMnO3 系材料から構成
される強誘電体層を形成する場合に好適である。
【0090】ただし、希土類酸化物系層を(001)配
向の酸化ジルコニウム系層の上に形成した積層構造の場
合には、希土類酸化物系層は(001)配向となるの
で、ペロブスカイト型材料またはタングステンブロンズ
型材料から構成される強誘電体層を形成する場合に好適
である。酸化物中間層として上記した安定化ジルコニア
を用いたときには、C−V特性にヒステリシスがみら
れ、この点においてZrO2 高純度膜に劣る。この場
合、酸化ジルコニウム系層上に希土類酸化物系層を積層
することにより、C−V特性のヒステリシスをなくすこ
とができる。また、希土類酸化物系層を積層することに
より、強誘電体層との間での格子整合のマッチングがよ
り良好となる。希土類酸化物系層が積層されている場
合、酸化ジルコニウム系層は、元素分布が均一な膜であ
ってもよく、膜厚方向に組成が変化する傾斜構造膜であ
ってもよい。傾斜構造膜とする場合、基板側から希土類
酸化物系層側にかけて、酸化ジルコニウム系層中の希土
類元素含有率を徐々または段階的に増大させると共に、
Zr含有率を徐々または段階的に減少させる。このよう
な傾斜構造膜とすることにより、酸化ジルコニウム系層
と希土類酸化物系層との間の格子のミスフィットが小さ
くなるか、あるいは存在しなくなり、希土類酸化物系層
を高結晶性のエピタキシャル膜とすることが容易とな
る。このような積層構造の場合、希土類酸化物系層に添
加する希土類元素は、酸化ジルコニウム系層に添加する
希土類元素と同一のものを用いることが好ましい。
【0091】酸化ジルコニウム系層および希土類酸化物
系層には、特性改善のために添加物を導入してもよい。
例えば、これらの層にCaやMgなどのアルカリ土類元
素をドーピングすると、膜のピンホールが減少し、リー
クを抑制することができる。また、AlおよびSiは、
膜の抵抗率を向上させる効果がある。さらに、Mn、F
e、Co、Niなどの遷移金属元素は、膜中において不
純物による準位(トラップ準位)を形成することがで
き、この準位を利用することにより導電性の制御が可能
になる。
【0092】ペロブスカイト下地層 ペロブスカイト下地層は、強誘電体層の説明において述
べたABO3 型のペロブスカイト型化合物から構成され
る。ペロブスカイト下地層は、ペロブスカイト型化合物
またはタングステンブロンズ型化合物からなる強誘電体
層の結晶性を高めるために、必要に応じて設けられる。
ペロブスカイト下地層の構成材料は、好ましくはBaT
iO3 、SrTiO3 またはこれらの固溶体であり、よ
り好ましくはBaTiO3 である。ペロブスカイト下地
層は、酸化ジルコニウム系層や希土類酸化物系層との間
の格子整合性が良好であって、かつ強誘電体層構成材料
とは異なる化合物から構成される。
【0093】例えば、前述した希土類含有チタン酸鉛か
らなる強誘電体層を、酸化ジルコニウム系層または希土
類酸化物系層に接して形成する場合、前述した好ましい
結晶配向を有する強誘電体層を得ることは難しいが、B
aTiO3 等からなるペロブスカイト下地層を介して希
土類含有チタン酸鉛の強誘電体層を形成することによ
り、目的とする結晶配向を実現することができる。
【0094】また、図4に示す構成の記録媒体に設ける
電極層を、酸化ジルコニウム系層または希土類酸化物系
層に接して形成する場合も、後述するような正方晶(0
01)配向または立方晶(100)配向の電極層を得る
ことは難しいが、BaTiO3 等からなるペロブスカイ
ト下地層を介して電極層を形成することにより、目的と
する結晶配向を実現することができる。
【0095】ペロブスカイト下地層は、正方晶であると
きは(001)単一配向、すなわち基板表面と平行にc
面が単一に配向したものであることが好ましく、立方晶
であるときは(100)単一配向、すなわち基板表面と
平行にa面が単一に配向したものであることが好まし
く、いずれの場合でもエピタキシャル膜であることがよ
り好ましい。
【0096】そして、酸化ジルコニウム系層とペロブス
カイト下地層との結晶方位関係は、ペロブスカイト(00
1)//Zr1-xRxO2- δ(001)//Si(100)、かつペロブスカイ
ト[100]//Zr1-xRxO2- δ[100]//Si[010]であることが好
ましい。なお、これは各層が正方晶の場合であるが、各
層が立方晶である場合でも、膜面内において軸同士が平
行であることが好ましいという点では同様である。
【0097】<強誘電体層および酸化物中間層の形成方
法>強誘電体層や酸化物中間層の形成方法は特に限定さ
れず、蒸着法、スパッタ法、ゾル・ゲル法等のいずれを
用いてもよい。ただし、強誘電体層や酸化物中間層を上
記したような単一配向膜やエピタキシャル膜とするため
には蒸着法を用いることが好ましく、特に、特願平7−
219850号、特願平7−240607号、特願平8
−186625号等に開示されている方法を用いること
が好ましい。
【0098】本発明では、強誘電体層が単一配向膜やエ
ピタキシャル膜であるので、その表面の平坦度が良好と
なるが、強誘電体層の組成や形成方法によっては十分な
平坦度が得られないこともある。そのような場合には、
強誘電体層表面を研磨して平坦化することができる。研
磨には、アルカリ溶液等を用いる化学的研磨、コロイダ
ルシリカ等を用いる機械的研磨、化学的研磨と機械的研
磨との併用などを用いればよい。
【0099】強誘電体層表面を研磨すると、研磨歪が残
留することがある。強誘電体の電気的特性は応力により
大きく変化するため、研磨歪を除去するために、必要に
応じて強誘電体層にアニールを施すことが好ましい。ア
ニールは、好ましくは300〜850℃、より好ましく
は400〜750℃で、好ましくは1秒間〜30分間、
より好ましくは5〜15分間行う。
【0100】なお、研磨を行わない場合でも、強誘電体
特性を向上させるために、必要に応じてアニールを施し
てもよい。この場合のアニールは、好ましくは300℃
以上、より好ましくは500℃以上、さらに好ましくは
650℃以上、かつ好ましくは850℃以下、より好ま
しくは800℃以下で、好ましくは1秒間〜30分間、
より好ましくは5〜15分間行う。ただし、強誘電体と
して希土類元素を添加したチタン酸鉛を用い、かつ強誘
電体層を比較的厚くする場合などは、アニール温度が高
すぎると前述したように(001)単一配向膜とならず
(100)配向結晶が混在するので、このような場合に
は好ましくは300〜600℃でアニールを行う。この
ように比較的低温でアニールを施すことにより、(00
1)単一配向膜とすることができる。
【0101】<電極層>図4に示す構成の記録媒体で
は、基板と強誘電体層との間に電極層が設けられる。上
記した酸化物中間層を設ける場合には、電極層は酸化物
中間層と強誘電体層との間に設けられる。
【0102】電極層は金属から構成されることが好まし
いが、金属以外の導電性材料で構成されていてもよい。
電極層は、強誘電体層の下側の電極として機能する。ま
た、電極層は、隣接する層との間の格子整合性が良好な
ので、結晶性の高い強誘電体層が得られる。
【0103】電極層を構成する金属としては、Pt、I
r、Os、Re、Pd、RhおよびRuの少なくとも1
種を含有する金属単体または合金が好ましい。金属以外
の導電性材料としては、導電性酸化物が好ましく、特
に、以下の導電性酸化物を含む材料が好ましい。
【0104】NaCl型酸化物:TiO, VO, NbO, RO
1-x( ここで、R:一種類以上の希土類(ScおよびY を
含む)、0 ≦x <1), LiVO2等。
【0105】スピネル型酸化物: LiTi2O4, LiMxT i2-x
O4( ここで、M=Li,Al,Cr, 0 <x <2), Li1-xMxTi2O4
(ここで、M=Mg, Mn, 0 <x <1), LiV2O4, Fe3O4,等。
【0106】ペロブスカイト型酸化物: ReO3, WO3, Mx
ReO3( ここで、M 金属, 0 <x <0.5), MxWO3(ここで、
M=金属, 0 <x <0.5), A2P8W32O112(ここで、A=K, Rb,
Tl), NaxTayW1-yO3( ここで、0 ≦x <1, 0<y <1),
RNbO3(ここで、R:一種類以上の希土類(ScおよびY を
含む)), Na1-xSrxNbO3(ここで、0 ≦x ≦1), RTiO3(
ここで、R:一種類以上の希土類(ScおよびY を含
む)), Can+1TinO3n+1-y(ここで、n=2,3,... , y >0),
CaVO3, SrVO3, R1-xSrxVO3( ここで、R:一種類以上
の希土類(ScおよびY を含む)、0 ≦x ≦1), R1-xBax
VO3(ここで、R:一種類以上の希土類(ScおよびY を含
む)、0 ≦x ≦1), Srn+1V nO3n+1-y( ここで、n=1,2,
3 ...., y >0), Ban+1VnO3n+1-y( ここで、n=1,2,3
...., y >0),R4BaCu5O13-y( ここで、R:一種類以上
の希土類(ScおよびY を含む)、0 ≦y), R5SrCu6 O
15(ここで、R:一種類以上の希土類(ScおよびY を含
む)), R2SrCu2O6.2( ここで、R:一種類以上の希土類
(ScおよびY を含む)), R1-xSrxVO3(ここで、R:一種
類以上の希土類(ScおよびY を含む)), CaCrO3, SrCrO
3, RMnO3( ここで、R:一種類以上の希土類(Scおよび
Y を含む)), R1-xSrxMnO3( ここで、R:一種類以上の
希土類(ScおよびY を含む), 0 ≦x ≦1), R1-xBaxMn
O3( ここで、R:一種類以上の希土類(ScおよびY を含
む), 0 ≦x ≦1) , Ca1-xRxMnO3-y(ここで、R:一種
類以上の希土類(ScおよびY を含む), 0 ≦x ≦1, 0
≦y), CaFeO3, SrFeO3, BaFeO3, SrCoO3, BaCoO3, RCoO
3(ここで、R:一種類以上の希土類(ScおよびY を含
む)), R1-xSrxCoO3( ここで、R:一種類以上の希土類
(ScおよびY を含む), 0 ≦x ≦1), R1-xBaxCoO3( こ
こで、R:一種類以上の希土類(ScおよびY を含む),
0 ≦x ≦1), RNiO3( ここで、R:一種類以上の希土類
(ScおよびY を含む)), RCuO3( ここで、R:一種類以
上の希土類(ScおよびY を含む)), RNbO3( ここで、
R:一種類以上の希土類(ScおよびY を含む)), Nb12O
29, CaRuO3, Ca1-xRxRu1-yMnyO3(ここで、R:一種類以
上の希土類(ScおよびY を含む), 0 ≦x ≦1, 0 ≦y
≦1), SrRuO3, Ca1-xMgxRuO3(ここで、 0≦x ≦1),
Ca1-xSrxRuO3( ここで、0 <x <1), BaRuO3, Ca1- xBax
RuO3( ここで、0 <x <1 ), (Ba, Sr)RuO3, Ba1-xKxRu
O3( ここで、 0<x≦1), (R, Na)RuO3( ここで、R:
一種類以上の希土類(ScおよびY を含む)),(R, M)RhO3
(ここで、R:一種類以上の希土類(ScおよびY を含
む), M=Ca, Sr, Ba), SrIrO3, BaPbO3, (Ba,Sr)PbO3-y
( ここで、0 ≦y <1), BaPb1-xBixO3(ここで、0 <x
≦1), Ba1-xKxBiO3(ここで、0 <x ≦1), Sr(Pb, Sb)O
3-y( ここで、0 ≦y <1), Sr(Pb, Bi)O3-y( ここで、0
≦y <1), Ba(Pb, Sb)O3-y( ここで、0 ≦y <1), Ba
(Pb, Bi)O3-y( ここで、0 ≦y <1), MMoO3(ここで、M=
Ca,Sr, Ba), (Ba, Ca, Sr)TiO3-x(ここで、0 ≦x),
等。
【0107】層状ペロブスカイト型酸化物(K2NiF4型を
含む): Rn+1NinO3n+ 1( ここで、R:Ba, Sr, 希土類
(ScおよびY を含む) のうち一種類以上, n=1〜5の
整数),Rn+1CunO3n+1(ここで、R:Ba, Sr, 希土類(Sc
およびY を含む) のうち一種類以上, n=1〜5の整
数), Sr2RuO4, Sr2RhO4, Ba2RuO4, Ba2RhO4, 等。
【0108】パイロクロア型酸化物:R2V2O7-y( ここ
で、R:一種類以上の希土類(ScおよびY を含む), 0
≦y <1), Tl2Mn2O7-y( ここで、0 ≦y <1), R2Mo2O
7-y(ここで、R:一種類以上の希土類(ScおよびY を含
む), 0 ≦y <1), R2Ru2O7-y(ここで、R:Tl, Pb, B
i, 希土類(ScおよびY を含む) のうち一種類以上, 0
≦y<1), Bi2-xPbxPt2-x RuxO7-y(ここで、0 ≦x ≦2,
0≦y <1), Pb2(Ru, Pb)O7- y(ここで、0 ≦y <1), R2R
h2O7-y(ここで、R:Tl, Pb, Bi, Cd, 希土類(Scおよ
びY を含む) のうち一種類以上, 0≦y <1), R 2Pd2O
7-y( ここで、R:Tl,Pb, Bi, Cd, 希土類(ScおよびY
を含む) のうち一種類以上, 0 ≦y <1),R2Re2O7-y( こ
こで、R:Tl, Pb, Bi, Cd, 希土類(ScおよびY を含
む) のうち一種類以上, 0≦y <1), R2Os2O7-y(ここ
で、R:Tl, Pb, Bi, Cd, 希土類(ScおよびY を含む)
のうち一種類以上, 0≦y <1), R2Ir2O7-y(ここで、
R:Tl, Pb, Bi, Cd, 希土類(ScおよびY を含む) のう
ち一種類以上, 0≦y <1), R2Pt2O7-y(ここで、R:T
l, Pb, Bi, Cd, 希土類(ScおよびY を含む) のうち一
種類以上,0≦y <1)等。
【0109】その他の酸化物:R4Re6 O19(ここで、R:
一種類以上の希土類(ScおよびY を含む)), R4Ru6O
19(ここで、R:一種類以上の希土類(ScおよびY を含
む)), Bi3Ru3O11, V2O3, Ti2O3, Rh2O3, VO2, CrO2, N
bO2, MoO2, WO2, ReO2, RuO2, RhO2, OsO2, IrO2, Pt
O2, PdO2, V3O5, VnO2n-1(n=4 から9 の整数), SnO
2-x(ここで、0 ≦x <1), La2Mo2O7, (M, Mo)O( ここ
で、M=Na, K, Rb, Tl), MonO3n-1(n=4, 8, 9, 10), Mo
17O47, Pd1-xLixO(ここで、x ≦0.1)等。Inを含む酸
化物。
【0110】これらのうち特に、Inを含む酸化物また
は導電性ペロブスカイト酸化物が好ましく、特にIn2
3 、In23 (Snドープ)、RCoO3 、RMn
3、RNiO3 、R2 CuO4 、(R,Sr)CoO3
、(R,Sr,Ca)RuO3 、(R,Sr)RuO3
、SrRuO3 、(R,Sr)MnO3 (Rは、Yお
よびScを含む希土類)、およびそれらの関連化合物が
好ましい。
【0111】(001)配向の強誘電体層を形成しよう
とする場合、電極層は正方晶(001)単一配向である
か、立方晶(100)単一配向であることが好ましく、
また、六方晶(0001)配向の強誘電体層を形成しよ
うとする場合、電極層は(111)単一配向であること
が好ましく、いずれの場合でも電極層はエピタキシャル
膜であることがより好ましい。
【0112】正方晶(001)配向または立方晶(10
0)配向の電極層を形成しようとする場合、酸化物中間
層は(001)配向であることが好ましく、(111)
配向の電極層を形成しようとする場合、酸化物中間層は
(111)配向であることが好ましい。ただし、電極層
が金属から構成される場合には、(001)配向の酸化
物中間層上に(111)配向の電極層を形成することが
できる。電極層が金属から構成される場合に電極層を確
実に(001)配向とするためには、上記したペロブス
カイト下地層を設けることが好ましい。
【0113】Si単結晶基板、電極層および強誘電体層
の間の結晶軸方位関係は、ペロブスカイトまたはタング
ステンブロンズ[100]//電極層[100]//Si
[010]であることが好ましい。また、面方位関係は
ペロブスカイトまたはタングステンブロンズ(001)
//電極層(001)//Si(100)であることが好ま
しい。なお、これは電極層が正方晶の場合であるが、電
極層が立方晶である場合でも、膜面内において軸同士が
平行であることが好ましいという点では同様である。
【0114】電極層の比抵抗は、10-7〜10-2Ωcmで
あることが好ましい。また、電極層は、超電導材料から
構成されていてもよい。
【0115】電極層の形成方法は特に限定されず、蒸着
法やスパッタ法等のいずれを用いてもよいが、好ましく
は蒸着法を用いる。そして、上記したような単一配向膜
やエピタキシャル膜とするためには、上記した特願平7
−219850号、特願平7−240607号、特願平
8−186625号等に開示されている方法を用いるこ
とが好ましい。
【0116】<各層の結晶性、表面性および厚さ>酸化
物中間層を構成する各層や電極層は、その上に形成され
る層の結晶性を向上させるために、結晶性が良好でかつ
表面が分子レベルで平坦であることが好ましい。また、
強誘電体層も、上記した理由により、高結晶性で表面が
平坦であることが好ましい。
【0117】各層の結晶性は、XRD(X線回折)にお
ける反射ピークのロッキングカーブの半値幅や、RHE
EDによる像のパターンで評価することができる。ま
た、表面性は、RHEED像のストリーク性、およびA
FMで測定した表面粗さ(十点平均粗さ)で評価するこ
とができる。
【0118】強誘電体層、電極層および酸化物中間層
は、X線回折による(002)面の反射のロッキングカ
ーブの半値幅が1.50°以下となる程度の結晶性を有
していることが好ましい。また、AFMにより測定され
る表面粗さRz(十点平均粗さ、基準長さ500nm)
は、酸化物中間層では好ましくは2nm以下、より好まし
くは0.60nm以下であり、電極層では好ましくは10
nm以下であり、強誘電体層では2nm以下、好ましくは
0.60nm以下である。なお、このような表面粗さは、
各層の表面の好ましくは80%以上、より好ましくは9
0%以上、さらに好ましくは95%以上の領域で実現し
ていることが望ましい。上記表面粗さは、基板全面にわ
たって各層を形成したときに、面積10cm2 以上の領域
にわたって平均に分布した任意の10箇所以上を測定し
ての値である。本明細書において、薄膜表面の例えば8
0%以上でRzが2nm以下であるとは、上記のように10
箇所以上を測定したときにその80%以上の箇所でRz
が2nm以下であることを意味する。なお、表面粗さRz
は、JIS B 0610に規定されている。
【0119】ロッキングカーブの半値幅およびRzの下
限値は特になく、小さいほど好ましいが、現在のとこ
ろ、ロッキングカーブの半値幅の下限値は、一般に0.
7°程度、特に0.4°程度、上記Rzの下限値は0.
10nm程度である。
【0120】また、RHEED像がストリークであっ
て、しかもシャープである場合、各層の結晶性および表
面平坦性が優れていることになる。
【0121】電極層の厚さは、一般に好ましくは50〜
500nm程度であるが、結晶性および表面性が損なわれ
ない程度に薄いことが好ましい。
【0122】酸化物中間層の厚さは、一般に好ましくは
5〜500nm、より好ましくは10〜50nmであるが、
結晶性、表面性を損なわない程度に薄いことが好まし
い。また、酸化物中間層を絶縁層として用いる場合の厚
さは、50〜500nm程度であることが好ましい。な
お、酸化物中間層を多層構成とする場合、各層の厚さは
0.5nm以上であることが好ましく、かつ酸化物中間層
全体の厚さは上記範囲とすることが好ましい。
【0123】また、本発明の記録媒体は、誘電体層上
に、保護層を形成したものであってもよい。図5には、
図4の構成において誘電体層13上に保護層16を有す
るものが示されている。
【0124】硬度の比較的高い保護層を設けることによ
り、プローブの衝突などによる強誘電体層表面の機械的
ダメージを防ぐことができる。保護層構成材料は、Zr
O2, 安定化ジルコニア(例えばYSZ)、TiC, TiN, Ti(C,
N,O), CrC, CrN, SiC, Si3N4, c-BN(立方晶窒化ホウ
素), ZrN, HfN, (Ti,Al)N, (Ti,Zr)N, (Ti,Nb)N, (Ti,
Hf)N, WC, W2C, Al2O3, およびこれらの複合材など硬度
の高いものが好ましい。また、これらのほか、特に硬度
の高いDLC (ダイヤモンドライクカーボン)等が好まし
い。
【0125】保護層の厚さは、1〜100nm程度が好ま
しい。あまり薄いと強誘電体層表面の保護が不十分にな
る。保護層が厚いほどその表面の平坦性が向上するが、
あまり厚くなると書き込みに要する電圧が大きくなり、
また読み出される容量信号も小さくなってしまう。
【0126】また、適度な導電性を有する保護層を設け
れば、上記した保護効果に加え、強誘電体層表面の電荷
が均一化されるため、強誘電体の焦電効果、結晶欠陥等
で強誘電体表面に局在的に発生する電荷の集中を防ぐこ
とが可能になる。したがって、集中電荷によるノイズお
よびプローブの破壊を防止することができる。この場合
の保護層の好ましい比抵抗範囲は、保護層の厚さによっ
ても異なるが一般に10〜107 Ωcm、特に100〜1
7 Ωcmである。比抵抗が小さすぎると、導電性プロー
ブによりプローブされた領域以外に書き込み電圧が加わ
り、書き込みの際のビットサイズが大きくなり、またビ
ットのコントラストが小さくなってしまう。一方、比抵
抗が大きすぎると、上述した電荷の集中を防ぐ効果が不
十分となる。
【0127】ただし、比抵抗が10Ωcm未満の導電性材
料、例えばPtなどであっても、保護層の厚さを好まし
くは0.5〜10nm、より好ましくは1〜2nmと薄くす
れば、書き込みの際のビットサイズやビットのコントラ
ストへの影響は小さくなるので、保護層材料として使用
可能である。
【0128】硬度が高くかつ適度な導電性を有する材料
としては、ホウ素(B) ならびにシリコン(Si)および/ま
たはリン(P) を主成分とするものが挙げられるが、絶縁
性の高い材料に適当な元素をドープすることにより、適
度な導電性を得ることもできる。例えば、DLCにホウ
素(B) 等をドープすることにより、極めて高い硬度に加
え、適度な導電性を得ることができる。
【0129】なお、電荷の集中を防ぐためには、上記し
たような導電性の保護層を形成する方法に限らず、強誘
電体層表面を導電処理する方法を利用してもよい。導電
処理としては、例えば、強誘電体層表面における電子ま
たはホールの形成処理、すなわち表面準位形成処理など
が挙げられる。このような処理としては、例えば、Pt
等の導電性金属を、蒸着により原子単位で強誘電体層表
面に付着させる方法などが挙げられる。
【0130】保護層は、結晶化材料から構成されてもア
モルファス材料から構成されてもよいが、アモルファス
膜は、結晶化膜に比較して分子レベルでより平坦な表面
が得られ、これによりノイズが少なくなり高速動作が可
能となるので、好ましい。
【0131】このような保護層を有する記録媒体のその
ほかの構造、および記録再生方法は、保護層を設けない
場合と全く同様である。
【0132】本発明の記録媒体は、強誘電体層上あるい
は保護層上に潤滑層を形成したものであってもよい。図
6には、図4の構成において誘電体層13上に潤滑層1
7を形成したものが示されている。
【0133】潤滑層を設けることにより、媒体表面の機
械的ダメージを防ぐことができる。
【0134】潤滑層17の材質は、固体、液体、気体の
いずれであってもよい。潤滑性に優れる固体材料として
は、ステアリン酸等の飽和脂肪酸、フタロシアニン等の
染料、フッ素系樹脂等の高分子、カーボン、MoS2、コバ
ルト・クロム酸化物等の無機物などが挙げられる。潤滑
性に優れる液体材料としては、水、有機溶剤、フッ素系
高分子、パーフルオロポリエーテル系、シリコン系、脂
肪族エステル系、流動パラフィン系の材料が挙げられ
る。
【0135】潤滑層は、用いる潤滑性材料の比抵抗に応
じて、上記した保護層と同様な効果も示す。
【0136】潤滑層の厚さは、通常、100nm 程度以下で
あることが好ましい。あまり厚くなると媒体への書き込
みに要する電圧が大きくなり、また、読み出される容量
信号も小さくなってしまう。潤滑層は薄くてもよいが、
連続膜として形成する場合は、通常5nm程度以上であ
る。ただし、連続膜である潤滑層を設ける替わりに、強
誘電体層表面を潤滑処理してもよい。潤滑処理として
は、例えば、フッ素を含むガスを用いて強誘電体層表面
をプラズマ処理する方法や、強誘電体層表面にステアリ
ン酸を吸着させる方法などが挙げられる。
【0137】なお、潤滑性の液体においての膜厚は、10
0nm を超えていてもよい。この場合、媒体上の液体膜内
にプローブは埋没し、液体内で信号検出を行う。したが
って、極端な場合には媒体、プローブを潤滑性液体内に
封入した情報処理装置としてもよい。すなわち、液体内
でのSTM 観察と同様である。
【0138】潤滑性に優れる気体材料としては、空気、
ヘリウム、アルゴン、減圧気体などが好ましいものとさ
れるが、潤滑性に優れる液体材料および気体材料、特に
気体材料については、静的には層構造を形成しない場合
が多い。
【0139】しかし、例えば後述するように、記録媒体
を回転し、浮上スライダーに搭載されたプローブにより
ビットを検出する情報処理装置においては、動作中、媒
体とプローブとの間には空隙が生じ、実質的に強誘電体
層上に気体層が形成された状態になる。本発明における
潤滑層は、このような気体層も含むものとする。
【0140】潤滑層を有する記録媒体のそのほかの構
造、および記録再生方法は、潤滑層を設けない場合と全
く同様である。
【0141】上述した本発明における潤滑層に関連し、
その応用としてプローブを浮上スライダーに搭載するこ
とによって記録媒体の強誘電体層上に潤滑性の気体層を
形成してもよい。このような構成の一例を図7に示す。
図7では、潤滑性の気体層を得るために、プローブ20
を浮上スライダー19に搭載し、記録媒体18を回転さ
せる。このとき、記録媒体18とプローブ20との間に
は空隙が生じ、実質的に強誘電体層上に潤滑性の気体層
が形成された状態になる。
【0142】なお、図8に示されるように、浮上スライ
ダー19にはプローブ20が複数個(通常2〜104
個)搭載されていてもよい。
【0143】また、図9に示されるように、浮上スライ
ダー19にプローブ20を複数個(通常2〜104 個)
搭載し、かつプローブが円形の回転媒体の半径線上に配
列する構成としてもよい。
【0144】図7〜図9において、プローブはSCaM(走
査型容量顕微鏡)プローブであることが好ましい。
【0145】また、回転媒体の直径は通常10mm〜20
cm程度であり、片面あたり50〜5000メガバイト程
度の情報量を記録させることができる。
【0146】このような構造を空気中で構成すれば、磁
気ヘッドの浮上スライダーと同様、100nm 程度の空隙が
生じ、動的に記録媒体上に潤滑性気体層が形成された状
態になる。さらに潤滑性気体層の厚さ、すなわちプロー
ブと媒体表面との距離は、スライダーの形状によること
はもちろんであるが、気体の種類、特にその粘度に大き
く依存する。したがって、媒体とスライダーとを減圧気
体中に封入すると前記距離は10nm程度まで小さくするこ
とが可能である。ただし、減圧気体の圧力は10-3Torr
以上とすることが好ましい。圧力が低すぎるとスライダ
ーの浮上が困難となる。気体としては、空気の他、ヘリ
ウム、アルゴンなどが好ましい。
【0147】なお、このような浮上スライダーは、気体
中だけでなく液体中でも使用可能である。この場合、プ
ローブと媒体との間には液体の潤滑層が介在することに
なる。液体中で使用する場合、気体中で使用する場合に
比べ媒体の回転数を遅くする。
【0148】このように気体や液体の潤滑層を設ける構
造は、強誘電体層の表面を潤滑性にすることと同様な効
果が得られ、したがって、繰り返しのデータ書き換えに
耐える高信頼性の情報処理装置が得られる。
【0149】なお、保護層と潤滑層とは併用してもよ
い。この場合、通常、保護層上に潤滑層を形成する。ま
た、保護層や潤滑層を多層構成としてもよい。
【0150】本発明の記録媒体をAFM またはSTM メモリ
ーに用いることで、ノイズが無くしかも繰り返しのデー
タ書き換えに耐える高信頼性の情報処理装置が提供でき
る。記録媒体を円盤状として回転させることにより走査
を行ってもよいし、媒体をアクチュエーターで駆動して
も、また、プローブをアクチュエーターで駆動してもよ
い。本発明による記録媒体はAFM またはSTM メモリ以外
にもSCaMの原理を応用した記憶装置用などの媒体として
も利用できる。
【0151】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0152】実施例1 図1に示すような情報処理装置を作製した。
【0153】この情報処理装置に搭載される記録媒体の
作製は、特願平7−219850号、特願平7−240
60号の方法に準じ、以下のようにして行った。
【0154】酸化物薄膜を成長させる単結晶基板とし
て、その表面が(111)面となるように切断、鏡面研
磨したSi単結晶ウエハーを用いた。鏡面表面は購入後
40%フッ化アンモニウム水溶液により、エッチング洗
浄を行った。なお、Si基板としては、直径2インチの
円形基板を用いた。
【0155】真空槽内に設置された回転および加熱機構
を備えた基板ホルダーに上記単結晶基板を固定し、真空
槽を10-6Torrまで油拡散ポンプにより排気した後、基
板洗浄面をSi酸化物を用いて保護するため、基板を2
0rpm で回転させ、酸素を基板付近にノズルから25cc
/分の割合で導入しつつ、600℃に加熱した。ここ
で、基板の表面にSi酸化物膜が熱酸化で形成される。
この方法で約1nmのSi酸化物膜を形成した。
【0156】次いで、その後、基板を900℃に加熱
し、回転させた。回転数は20rpm とした。このとき、
ノズルから酸素ガスを25cc/分の割合で導入し、前記
基板上に金属Zrを蒸発源から蒸発させることにより、
Zr金属酸化物の膜厚に換算して5nmとなるように供給
し、1×1の表面構造を備えるSi表面処理基板を得
た。
【0157】さらに、このSi表面処理基板上に、基板
温度900℃、基板回転数20rpm、ノズルから酸素ガ
スを25cc/分の割合で導入した状態で金属Zrを蒸発
源から供給することにより、ZrO2 膜を前記処理基板
上に得た。
【0158】ひきつづき、ZrO2 を形成した基板を9
00℃に加熱し回転させた。回転数は20rpm とした。
このとき、ノズルから酸素ガスを25cc/分の割合で導
入し、基板上に金属Mnと金属Hoとを蒸発源から蒸発
させることにより、HoMnO3 膜を得た。ここで金属
Mnと金属Hoとの供給量比Ho/Mnは、モル比で
1.0となるように制御した。
【0159】このようにしてSi(111)/ZrO2(111)(50n
m)/HoMnO3(0001)(100nm) のエピタキシャル構造の記録
媒体を得た。
【0160】次に、酸化物薄膜を成長させる単結晶基板
として、その表面が(100)面となるように切断、鏡
面研磨したSi単結晶ウエハーを用いた。鏡面表面は購
入後40%フッ化アンモニウム水溶液により、エッチン
グ洗浄を行った。なお、Si基板は、直径2インチの円
形基板を用いた。
【0161】真空槽内に設置された回転および加熱機構
を備えた基板ホルダーに上記単結晶基板を固定し、真空
槽を10-6Torrまで油拡散ポンプにより排気した後、基
板洗浄面をSi酸化物を用いて保護するため、基板を2
0rpm で回転させ、酸素を基板付近にノズルから25cc
/分の割合で導入しつつ、600℃にて加熱した。ここ
で、基板の表面にSi酸化物膜が熱酸化で形成される。
この方法で約1nmのSi酸化物膜を形成した。
【0162】次いで、その後、基板を900℃に加熱し
回転させた。回転数は20rpm とした。このとき、ノズ
ルから酸素ガスを25cc/分の割合で導入し、基板上に
金属Zrを蒸発源から蒸発させることにより、Zr金属
酸化物の膜厚に換算して5nmとなるように供給し、1×
1の表面構造を備えるSi表面処理基板を得た。
【0163】さらに、このSi表面処理基板上に、基板
温度900℃、基板回転数20rpm、ノズルから酸素ガ
スを25cc/分の割合で導入した状態で金属Zrを蒸発
源から供給することにより、ZrO2 膜を前記処理基板
上に得た。
【0164】このようにして得られたZrO2膜が形成され
たSi単結晶基板を蒸着基板として、これらの蒸着基板
上に、基板温度900℃、基板回転数20rpm 、ノズル
から酸素ガスを25cc/分の割合で導入した状態で金属
Baと金属Tiとを1:1 の割合で蒸発源から供給することに
より、BaTiO3膜を前記蒸着基板上に得た。成膜初期に
は、TiのみをTiO2 膜厚換算で0.5nm供給し、次
いで成膜速度を0.05nm/sとして2nm 成膜後、さらに成
膜速度を0.2nm/sに上げて形成した。
【0165】このようにしてSi(100)/ZrO2(001)(50n
m)/BaTiO3(001)(300nm)のエピタキシャル構造の記録媒
体を作製した。
【0166】また、の記録媒体においてZrO2 膜を
形成したのち、酸素は導入せず、Pt金属を蒸着しPt
膜を形成するほかは同様にしてSi(111)/ZrO2(111)(50
nm)/Pt(111)(100nm)/HoMnO3(0001)(100nm)のエピタキシ
ャル構造の記録媒体を作製した。
【0167】のSi(111) 基板は、信号を大きくする目
的で、Siに分極電荷により空乏層を形成するため、p 型
で5Ωcmの半導体特性のものを用い、裏面にAlのオーミ
ック電極を形成し、記録媒体側の電極を取り出した。
のSi基板は0.01Ωcmのものを用い、Si基板自体が記録媒
体の電極になっている。においては、Pt膜が媒体の
電極で、リード線で電極を取り出した。得られた記録媒
体表面について、JIS B0610による十点平均粗
さRz(基準長さL:500nm )を測定したところ、で
は平均で0.42nm、最大で1.5nm 、最小で0.14nmであっ
た。では平均で0.50nm、最大で1.25nm、最小で0.35nm
であった。では平均で0.32nm、最大で1.3nm 、最小で
0.2nm であった。そして、共に、測定箇所の80
%以上でRzが0.6nm以下であった。また、X 線回折
およびRHEED により、の媒体の各強誘電体層がエ
ピタキシャル膜であることを確認した。の媒体表面の
RHEED パターンを図10に、X線回折の結果を図11に示
す。の媒体表面のRHEED パターンを図12に、X線回折
の結果を図13に示す。
【0168】上記のように構成した情報処理装置を用
い、の媒体について、記録再生を行った。はじめ
に媒体の記録面に10V のDCバイアスを加えて分極方向を
そろえたのち、-10Vの電圧で50nm間隔で分極反転を行う
ことにより記録した。その後、容量センサーを用いた読
み出しを行った結果、ビットに対応した信号を得ること
ができた。また、比較のために多結晶で表面凹凸が50nm
以上の強誘電体を用いた記録媒体を評価した。評価を明
確にするため、図1の装置の信号を画像化し、書き込み
ビットの形状を観察した。従来例の多結晶の記録媒体で
は、星型、棒状、など不定形のビットとなった。すなわ
ち、書き込みビットがノイズにより変形していた。本発
明による媒体では、ビットが円形であった。ビットの大
きさは、の順に小さくなった。では約60nmφの
ビットであった。したがって、本発明によると、記録ビ
ットがノイズにより変形することなくよって安定な記録
再生が行えることが確認された。
【0169】実施例2 実施例1の記録媒体と同様にして Si(100)/Y2O3(111)(50nm)/HoMnO3(0001)(100nm) のエ
ピタキシャル構造の記録媒体、 Si(100)/ZrO2(001)(50nm)/Pt(111)(100nm)/HoMnO3(00
01)(100nm)のエピタキシャル構造の記録媒体、 Si(111)/Y2O3(111)(50nm)/Pt(111) (100nm)/HoMnO3(0
001)(100nm) のエピタキシャル構造の記録媒体、 Si(100)/ZrO2(001)(50nm)/BaTiO3(001)(100nm)/Pt(00
1)(100nm)/BaTiO3(001)(100nm)のエピタキシャル構造の
記録媒体 を作製した。のSi(111) 基板は、信号を大きくする目
的で、Siに分極電荷により空乏層を形成するため、p 型
で5Ωcmの半導体特性のものを用い、裏面にAlのオーミ
ック電極を形成し、記録媒体側の電極を取り出した。
においては、Pt層が媒体の電極で、リード線で電極
を取り出した。得られた記録媒体表面を、JIS B0
610による十点平均粗さRz(基準長さL:500nm )
を測定したところ、では平均で0.55nm、最大で1.5nm
、最小で0.13nmであった。では平均で0.43nm、最大
で1.4nm 、最小で0.3nm であった。では平均で0.40n
m、最大で1.2nm 、最小で0.3nm であった。では平均
で0.37nm、最大で1.5nm 、最小で0.2nm であった。そし
て、共に、測定箇所の80%以上でRzが0.
6nm以下であった。また、X 線回折およびおよびRHEED
により、〜の媒体の各強誘電体層がエピタキシャル
膜であることを確認した。
【0170】この情報処理装置を用い、実施例1と全く
同様に、〜の媒体において、記録再生を行った結
果、ビットは円形であった。ビットの大きさは、
の順に小さくなった。では約60nmφのビットであっ
た。したがって、本発明によると、記録ビットがノイズ
により変形することなく、よって安定な記録再生が行え
ることが確認された。
【0171】実施例3 図5に示すように、実施例1のの記録媒体にさらにDL
C の保護層を5nm の厚さに形成し、−Aの記録媒体を
得た。保護層は、プラズマCVD を用いたカソードカップ
リングによる方法により形成した。真空槽内にCH4+H2
ガスを1 ×10 -1torr導入し、200Wのrf電力を投入し、
室温で形成し、記録媒体とした。なお、DLC 保護層を10
0nm の厚さに形成した試料では、DLC 保護層がアモルフ
ァスで絶縁体であることがわかっている。
【0172】この−Aの媒体を用い、の媒体ととも
に、実施例1と同様に記録再生を行った。再生を105
行った後、そのビットの形状を調べた。DLC 保護層を形
成しないの媒体では、形状は円形をしていたが、ビッ
トの端面から中央部に対しコントラストが現れ、ビット
の周縁部が消えていることが確認された。このようにビ
ットの周縁部が消失すると、信号強度が弱くなり、再生
が不可能となってしまう。また、ビット以外の領域に
は、プローブの接触によるとみられるノイズがみられ
た。一方、本実施例の−Aの媒体では、ビットは円形
で記録直後に対し変化はみられなかった。さらに、ビッ
ト以外の領域にもノイズはみられず、プローブの衝突な
どによる機械的ダメージにも強いことが判明した。
【0173】実施例4 図5に示すように、実施例1のの記録媒体にさらに、
B 、P およびSiを含む保護層を10nmの厚さに形成し、
−Bの記録媒体を得た。この保護層は、グロー放電分解
(プラズマ分解)法により形成した。原料ガスとして、
BH3 、PH3 およびSiH4を10:3:7の割合で水素をキ
ャリヤーとして真空槽内に0.2Torr導入し、300Wの r
f 電力を投入し、室温で形成し、記録媒体とした。な
お、同組成の保護層を200nm の厚さに形成した試料で
は、保護層はアモルファスで、抵抗率が5×106 Ωcm
であることをあらかじめ確認している。保護層の組成
は、蛍光X線分析で分析してB:P:Si=10:3.
25:8.03であった。
【0174】この−B媒体を用い、の媒体ととも
に、実施例1と同様に記録再生を行なったところ、良好
な書き込み読み出しを確認した。さらに保護層を形成し
ないの媒体で再生を109 回行った後、AFM プローブを
観察するとその先端部が破壊していた。一方、本実施例
の−Bの媒体では、再生を109 回行った後でもAFM プ
ローブに変化はみられず安定に読み出しが行えた。プロ
ーブの破壊は、強誘電体の焦電効果、結晶欠陥等で強誘
電体層表面に局在的に発生する電荷の集中によるものと
考えられる。本実施例の保護層は局所的に発生する電荷
を分散させる効果がある。
【0175】実施例5 図6に示すように、実施例1のの記録媒体にさらに固
体潤滑材として、フタロシアニンの潤滑層を5nm の厚さ
に形成し、−Cの記録媒体を得た。フタロシアニン膜
は、蒸着装置を用い、フタロシアニンを抵抗加熱により
蒸発させ、室温で形成した。
【0176】この−Cの媒体を用い、の媒体ととも
に、実施例1と同様に記録再生を行った。再生を105
行った後、そのビットの形状を調べた。潤滑層を形成し
ないの媒体では、実施例3と同様に、形状は円形をし
ていたが、ビットの端面から中央部に対しコントラスト
が現れ、ビットの周縁部が消えていることが確認され
た。また、ビット以外の領域には、プローブの接触によ
るとみられるノイズがみられた。一方、本実施例の−
Cの媒体では、ビットは円形で記録直後に対し変化はみ
られなかった。さらに、ビット以外の領域にもノイズは
みられずプローブの衝突などによる機械的ダメージもう
けていないことが判明した。
【0177】実施例6 実施例1のの記録媒体をフッ素系オイルにディップ
し、−Dの記録媒体とした。この状態で厚さ約2μm
の液体層が媒体表面にコートされた状態となっている。
ここでプローブは、液体内に埋没し、液体中におけるビ
ット信号の検出を行う。
【0178】この−Dの媒体を用い、の媒体ととも
に、実施例1と同様に記録再生を行った。実施例3で述
べたように、再生を105 回行った後、そのビットの形状
を調べた。液体層を形成しない媒体では、形状は円形を
していたが、ビットの端面から中央部に対しコントラス
トが現れ、ビットの周縁部が消えていることが確認され
た。また、ビット以外の領域には、プローブの接触によ
るとみられるノイズがみられた。一方、液体層を形成し
た本実施例の−Dの媒体では、ビットは円形で記録直
後に対し変化はみられなかった。さらに、ビット以外の
領域にもノイズはみられずプローブの衝突などによる機
械的ダメージもうけていないことが判明した。
【0179】実施例7 図7に示すように、浮上スライダー19に搭載された容
量プローブ20と、回転する記録媒体18(実施例1の
の記録媒体)とを用い、記録再生を行った。記録媒体
に2点のみのビットを形成し、このビット上を通過する
ときに検出されるプローブ信号をモニターした。浮上ス
ライダー上に搭載せず、通常のプローブのみでは、媒体
の1回転でプローブ先端が破壊した。一方の本実施例の
浮上スライダーを用いたプローブでは、破壊は見られ
ず。1000回以上の信号読みとりが可能であった。
【0180】実施例8 実施例1と同様にして、Si(100)/ZrO2(001)(50nm)/Ba
TiO3(001)(100nm)/Pt(001)(100nm)/SBN(001)(300nm) の
エピタキシャル構造の記録媒体を作製した。SBN膜
は、Si(100)/ZrO2(001)(50nm)/BaTiO3(001)(100nm)/Pt
(001)(100nm) 構造を基板とし、基板温度を700℃と
し、基板を20rpm で回転させながら、ノズルから酸素
ガスを25cc/分の割合で導入した状態で、金属Sr、
金属Baおよび金属Nbを0.25:0.75:2の割
合で蒸発源から供給することにより形成した。
【0181】このSBN膜の組成を蛍光X線分析により
調べたところ、モル比でSr:Ba:Nb=8.4:2
5.2:66.4であった。この媒体表面のRHEED
パターンを図14に、X線回折の結果を図15に示す。
図14、15から、このSBN膜が単一配向膜であるこ
とがわかる。また、AFMにより測定したSBN膜表面
の起伏パターンを図16に示す。SBN膜表面の十点平
均粗さRzを上記実施例と同様にして測定したところ、
平均で25.2nmであった。
【0182】次に、SBN膜表面を平坦化するため、メ
カノケミカル研磨を行った。この研磨は、通常のSiウ
エハ研磨に用いる方法に準じて行った。具体的には、強
アルカリ液中にコロイダルシリカを分散させた研磨材と
研磨布とを使用する方法であり、アルカリによる化学研
磨とシリカによる機械研磨とを組み合わせたものであ
る。研磨後のSBN膜表面のAFMによる起伏パターン
を図17に示す。研磨後のSBN膜表面十点平均粗さR
zを上記と同様にして測定したところ、平均で1.40nm、
最大で1.85nm、最小で0.40nmであり、平坦化がなされた
ことが確認された。SBN膜の厚さを測定することによ
り削り代を求めたところ、約100nmであった。
【0183】研磨後の媒体に対し、実施例1と同様に記
録再生を行ったところ、記録ビットは円形であって表面
凹凸の影響による変形は見られず、安定な記録再生が可
能であった。
【0184】<実施例9>まず、上記実施例と同様にし
て、Si(100)/ZrO2(001)(10nm)/BaTiO3(001)(50nm)/Pt(0
01)(100nm)エピタキシャル構造を作製し、これを基板と
して600℃に加熱し、20rpm で回転させた。そし
て、ECR酸素源からラジカル酸素ガスを10cc/分の
割合で導入し、基板上にPbO、TiOx (x=1.6
7)およびPrをそれぞれの蒸発源から蒸発させること
により、Pb−Pr−Ti複合酸化物(PPT)からな
る膜厚300nmの強誘電体層を形成し、媒体を得た。形
成されたPPT薄膜の組成を蛍光X線分析により調べた
ところ、 (Pb+Pr)/Ti=1.00、 Pb/(Pb+Pr)=0.92 であった。
【0185】この媒体に、空気中において750℃で1
0分間アニールを施したものを媒体−1とし、空気中
において550℃で10分間アニールを施したものを媒
体−2とした。また、これらの他、強誘電体層の厚さ
を50nmとした以外は媒体−1と同様にして媒体を
作製した。媒体−1、−2およびのX線回折の結
果を、それぞれ図18、図19および図20に示す。媒
体−1では(001)配向と(100)配向とが混在
している。これに対し、強誘電体層の厚さは同じである
がアニール温度を低くした媒体−2、およびアニール
温度は同じであるが強誘電体層を薄くした媒体では、
媒体−1でみられた(100)ピークが消失し、強誘
電体層が(001)単一配向となっていることがわか
る。また、RHEEDパターンから、媒体−2および
媒体の各強誘電体層がエピタキシャル膜であることが
確認された。また、各媒体の強誘電体層について、上記
と同様にしてRzを測定したところ、全ての媒体で測定
箇所の80%以上においてRzが2nm以下であったが、
Rzの最小値は、単一配向膜ではない媒体−1では
1.38nmであったのに対し、媒体−2では1.2nm
と平坦になっており、また、強誘電体層が薄い媒体で
は1.0nmであり、より平坦であった。
【0186】また、書き込みビットの形状は全ての媒体
で円形であり、かつビットの大きさの最小値はいずれも
約60nmφであったが、媒体−1では、ビット形成のた
めに電圧を加えた箇所の半数以上でビットが形成されて
いなかった。ビット形成が不可能であった箇所は、(1
00)配向領域に相当すると考えられる。
【0187】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の記録媒体
の強誘電体層は、結晶軸が単一配向している薄膜でかつ
その表面が分子レベルで平坦である。したがって、AFM
またはSTM メモリーで必要とされる極めて高い平滑度を
有し、かつ結晶性も均一であるため、ビットを形成した
場合ノイズが少なく高速動作が可能となる。また、強誘
電体層の表面に保護層や潤滑層を形成することにより、
繰り返しのデータ書き換えに耐える高信頼性の記録媒体
が実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の情報処理装置の構成例を模式的に示す
説明図である。
【図2】本発明の記録媒体の構成の一例を示す断面図で
ある。
【図3】本発明の記録媒体の構成の他の一例を示す断面
図である。
【図4】本発明の記録媒体の構成のさらに他の一例を示
す断面図である。
【図5】本発明の保護層を備える記録媒体の構成の一例
を示す断面図である。
【図6】本発明の潤滑層を備える記録媒体の構成の一例
を示す断面図である。
【図7】本発明の情報処理装置における浮上スライダー
に搭載されたプローブおよび記録媒体部分の構成の一例
を示す斜視図である。
【図8】本発明の情報処理装置における浮上スライダー
に搭載されたプローブおよび記録媒体部分の構成の他の
一例を示す斜視図である。
【図9】本発明の情報処理装置における浮上スライダー
に搭載されたプローブおよび記録媒体部分の構成のさら
に他の一例を示す斜視図である。
【図10】Si(111)/ZrO2(111)/HoMnO3(0001)エピタキシ
ャル構造の記録媒体表面の表面結晶構造を示す図面代用
写真であって、Si単結晶基板の[110]方向から電
子線を入射した場合のRHEEDパターンを示す図であ
る。
【図11】Si(111)/ZrO2(111)/HoMnO3(0001)のエピタキ
シャル構造の2θ−θX線回折図である。
【図12】Si(001)/ZrO2(001)/BaTiO3(001) エピタキシ
ャル構造の記録媒体表面の表面結晶構造を示す図面代用
写真であって、Si単結晶基板の[110] 方向から電子線
を入射した場合のRHEEDパターンを示す図である。
【図13】Si(001)/ZrO2(001)/BaTiO3(001) エピタキシ
ャル構造の2θ−θX線回折図である。
【図14】Si(100)/ZrO2(001)/BaTiO3(001)/Pt(001)/SB
N(001)構造の記録媒体表面の表面結晶構造を示す図面代
用写真であって、Si単結晶基板の[110]方向から
電子線を入射した場合のRHEEDパターンを示す図で
ある。
【図15】Si(100)/ZrO2(001)/BaTiO3(001)/Pt(001)/SB
N(001)構造の2θ−θX線回折図である。
【図16】薄膜を表わす図面代用写真であって、AFM
により測定されたSi(100)/ZrO2(001)/BaTiO3(001)/Pt(0
01)/SBN(001)構造におけるSBN 膜表面の起伏パターンで
ある。
【図17】薄膜を表わす図面代用写真であって、図16
のSBN 膜表面を研磨した後にAFMにより測定されたSB
N 膜表面の起伏パターンである。
【図18】Si(100)/ZrO2(001)/BaTiO3(001)/Pt(001)/PP
T 構造(PPT膜の厚さ300nm)を750℃でアニー
ルした後の2θ−θX線回折図である。
【図19】Si(100)/ZrO2(001)/BaTiO3(001)/Pt(001)/PP
T 構造(PPT膜の厚さ300nm)を550℃でアニー
ルした後の2θ−θX線回折図である。
【図20】Si(100)/ZrO2(001)/BaTiO3(001)/Pt(001)/PP
T 構造(PPT膜の厚さ50nm)を750℃でアニール
した後の2θ−θX線回折図である。
【符号の説明】 1 導電性AFM プローブ 2 記録媒体 3 XY走査駆動機構 7 容量センサ 8 ロックインアンプ 9 レーザービーム 10 変位検知フォトディテクター 11 オーミック電極 121 半導体基板 122 導電性基板 123 基板 13 強誘電体層 15 電極層 16 保護層 17 潤滑層 18 記録媒体 19 浮上スライダー 20 プローブ

Claims (31)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強誘電体の分極反転を利用して情報を記
    録する記録媒体であって、基板上に、結晶軸が単一配向
    した強誘電体層を有し、この強誘電体層の表面の少なく
    とも80%が、基準長さ500nmでの十点平均粗さRz
    が2nm以下である記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記基板がSi(111)面またはSi
    (100)面を表面に有するSi単結晶である請求項1
    の記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記基板がSi(100)面を表面に有
    するSi単結晶から構成され、前記強誘電体層が、ペロ
    ブスカイト型材料から構成される(001)単一配向膜
    であるか、タングステンブロンズ型材料から構成される
    (001)単一配向膜であるか、希土類元素(Scおよ
    びYを含む)とMnとOとを含み、六方晶YMnO3
    晶構造をもつ酸化物材料から構成される(0001)単
    一配向膜である請求項2の記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記基板がSi(111)面を表面に有
    するSi単結晶から構成され、前記強誘電体層が、希土
    類元素(ScおよびYを含む)とMnとOとを含み、六
    方晶YMnO3 結晶構造をもつ酸化物材料から構成され
    る(0001)単一配向膜である請求項2の記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記強誘電体層がエピタキシャル膜であ
    る請求項3または4の記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記強誘電体層と前記基板との間に、単
    一配向の酸化物中間層を有し、この酸化物中間層が、酸
    化ジルコニウム系層および/または希土類酸化物系層を
    含み、前記酸化ジルコニウム系層が、酸化ジルコニウム
    または希土類元素(ScおよびYを含む)により安定化
    された酸化ジルコニウムから構成されるものであり、前
    記希土類酸化物系層が、希土類元素(ScおよびYを含
    む)酸化物から構成されるものである請求項2〜5のい
    ずれかの記録媒体。
  7. 【請求項7】 前記基板がSi(100)面を表面に有
    し、前記酸化物中間層が正方晶または単斜晶(001)
    単一配向膜または立方晶(100)単一配向膜である酸
    化ジルコニウム系層を含むか、前記酸化物中間層が(1
    11)単一配向膜である希土類酸化物系層を含む請求項
    6の記録媒体。
  8. 【請求項8】 前記基板がSi(111)面を表面に有
    し、前記酸化物中間層が(111)単一配向である酸化
    ジルコニウム系層を含むか、前記酸化物中間層が(11
    1)単一配向である希土類酸化物系層を含む請求項6の
    記録媒体。
  9. 【請求項9】 前記基板と前記強誘電体層との間または
    前記基板と前記酸化物中間層との間に、結晶軸が単一配
    向した電極層を有する請求項1〜8のいずれかの記録媒
    体。
  10. 【請求項10】 前記強誘電体層が、ペロブスカイト型
    材料から構成される(001)単一配向膜であるか、タ
    ングステンブロンズ型材料から構成される(001)単
    一配向膜であり、前記電極層が正方晶(001)単一配
    向膜であるか、立方晶(100)単一配向膜である請求
    項9の記録媒体。
  11. 【請求項11】 前記強誘電体層が、希土類元素(Sc
    およびYを含む)とMnとOとを含み、六方晶YMnO
    3 結晶構造をもつ酸化物材料から構成される(000
    1)単一配向膜であり、前記電極層が(111)単一配
    向膜である請求項9の記録媒体。
  12. 【請求項12】 前記電極層が金属または導電性酸化物
    から構成される請求項9〜11のいずれかの記録媒体。
  13. 【請求項13】 前記金属が、Pt,Ir,Os,R
    e,Pd,RhおよびRuの1種以上を含み、前記導電
    性酸化物が、Inを含む酸化物またはペロブスカイト酸
    化物である請求項12の記録媒体。
  14. 【請求項14】 前記基板が導電性である請求項1〜8
    のいずれかの記録媒体。
  15. 【請求項15】 前記基板が半導体であり、強誘電体層
    の分極反転に伴い、基板に空乏層が形成される請求項1
    〜8のいずれかの記録媒体。
  16. 【請求項16】 強誘電体の分極反転を利用して情報を
    記録する記録媒体であって、基板上に強誘電体層を有
    し、この強誘電体層表面に導電処理が施された記録媒
    体。
  17. 【請求項17】 強誘電体の分極反転を利用して情報を
    記録する記録媒体であって、基板上に強誘電体層を有
    し、この強誘電体層上に保護層を有する記録媒体。
  18. 【請求項18】 前記保護層の比抵抗が10〜107 Ω
    cmである請求項17の記録媒体。
  19. 【請求項19】 前記保護層がアモルファスである請求
    項17または18の記録媒体。
  20. 【請求項20】 請求項1〜15のいずれかの構成を有
    する請求項16〜19のいずれかの記録媒体。
  21. 【請求項21】 基板上に強誘電体層を有し、強誘電体
    の分極反転を利用して情報を記録する記録媒体であっ
    て、前記強誘電体層側の表面に潤滑性物質から構成され
    る潤滑層を有するか、前記強誘電体層側の表面に潤滑処
    理が施されている記録媒体。
  22. 【請求項22】 前記潤滑性物質が固体潤滑材である請
    求項21の記録媒体。
  23. 【請求項23】 前記潤滑性物質が液体潤滑材である請
    求項21の記録媒体。
  24. 【請求項24】 前記潤滑性物質が気体潤滑材である請
    求項21の記録媒体。
  25. 【請求項25】 請求項1〜20のいずれかの構成を有
    する請求項21〜24のいずれかの記録媒体。
  26. 【請求項26】 前記強誘電体層の厚さが5〜70nmで
    ある請求項1〜25のいずれかの記録媒体。
  27. 【請求項27】 請求項1〜26のいずれかの記録媒体
    を製造する方法であって、前記強誘電体層に300〜6
    00℃でアニールを施す工程を有する記録媒体の製造方
    法。
  28. 【請求項28】 請求項1〜26のいずれかの記録媒体
    を製造する方法であって、前記強誘電体層表面を機械的
    および/または化学的に研磨する工程を有する記録媒体
    の製造方法。
  29. 【請求項29】 前記強誘電体層を研磨した後、300
    〜850℃でアニールを施す工程を有する請求項28の
    記録媒体の製造方法。
  30. 【請求項30】 請求項1〜26のいずれかの記録媒体
    を有する情報処理装置。
  31. 【請求項31】 記録媒体に対し書き込みおよび読み出
    しを行うためのブローブが浮上スライダーに搭載されて
    いる請求項30の情報処理装置。
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