JPH1040599A - 記録媒体および記録再生方法 - Google Patents

記録媒体および記録再生方法

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JPH1040599A
JPH1040599A JP21426696A JP21426696A JPH1040599A JP H1040599 A JPH1040599 A JP H1040599A JP 21426696 A JP21426696 A JP 21426696A JP 21426696 A JP21426696 A JP 21426696A JP H1040599 A JPH1040599 A JP H1040599A
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JP
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layer
conductive
ferroelectric
recording medium
substrate
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JP21426696A
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English (en)
Inventor
Yoshihiko Yano
義彦 矢野
Katsuto Nagano
克人 長野
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TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 書き込み電圧のバラツキが小さく安定したデ
ータ書き換えに耐える高信頼性の記録媒体と、この記録
媒体を用いて記録および再生を行う方法とを提供する。 【解決手段】 基板表面側に強誘電体層を有し、この強
誘電体層表面に導電性ドットが複数個形成されている記
録媒体に対し、原子間力顕微鏡や走査型トンネル顕微鏡
の構成を利用した記録再生装置(導電性プローブを有す
るもの)を用いて情報の書き込みおよび読み出しを行
う。書き込みは、導電性ドットを介して電圧を印加して
強誘電体層を分極させることにより行い、読み出しは、
強誘電体層の分極を導電性ドットを介して検知すること
により行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンピュータ等の
高密度および大容量記録装置用に好適である記録媒体
と、この記録媒体に対し情報の書き込みおよび読み出し
を行う方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、一般にマルチメディア社会の到来
といわれ、パソコンを中心として、ネットワークシステ
ム、通信システム、ビデオシステム、オーディオシステ
ム等が相互に結合して情報処理を行う実用的方法が開発
されてきている。これらのシステムの中で、情報記録媒
体、すなわちメモリ素子の特性向上の果たす役割は極め
て大きく、その要求特性には限りがない。一般には、高
密度記録が可能なこと、記録容量が大きいこと、応答速
度が速いこと、エラーレートが小さいこと、消費電力が
少ないこと、価格が安いこと、等が要求されている。
【0003】メモリ素子には、DRAM、SRAM、EEPROMなど
の半導体メモリや、磁気ディスク、光磁気ディスク、光
ディスク等の回転メモリなどが主として用いられてい
る。特に最近では、レーザー技術の進歩により、有機薄
膜を用いた安価で記録密度の高い記録媒体が商品化され
ている。
【0004】一方、1982年には、原子一つ一つを観察で
きる走査型トンネル顕微鏡(STM)が開発され、さらに、
この装置原理を応用して原子間力顕微鏡(AFM) が登場
し、これらによって様々な材料の原子レベルでの凹凸情
報を得ることが可能になった。また、観察手段としてば
かりでなく、STM およびAFM の広範囲な応用が期待され
ている。例えば、特開昭63-161552 号公報には、STM を
メモリに応用することが述べられている。
【0005】また、STM およびAFM に類似した走査型容
量顕微鏡(SCaM)がJ. Appl. Phys. 57, 1437(1985) に報
告されている。SCaMもプローブを用いた走査型の顕微鏡
であり、プローブで測定試料表面の局所的容量変化を検
出し、画像化するものである。この報告では、円盤状の
媒体を回転させ、これにSCaMプローブで記録再生を行う
メモリへの応用についても述べられている。
【0006】J. Appl. Phys., 70, 2725(1991)に記載の
報告では、AFM をメモリ素子に応用する方法が述べられ
ている。この方法は、AFM とSCaMとを組み合わせたもの
であり、導電性のAFM プローブを用いて記録再生を行
う。記録媒体には、MNOS(金属−窒化物−酸化物−
半導体)構造のものを用いる。情報の書き込みに際して
は、AFM プローブにより媒体にパルス電圧を印加し、電
荷を捕獲させる。これによりSi半導体基板には空乏層が
形成されてプローブ領域の容量が変化するので、情報記
録が可能となる。記録情報の読み出しの際には、適当な
高周波バイアス電圧を記録媒体とプローブとの間に印加
しながらプローブを走査させる。電荷捕獲されている領
域と捕獲されていない領域とではプローブと媒体との間
の容量が異なるため、プローブ走査に伴なう容量変化を
検出することにより、記録情報の読み出しが可能とな
る。記録情報を消去する場合には、記録時と逆特性のパ
ルス電圧等を印加するなどすればよい。
【0007】また、この方法に類似した方法で、記録媒
体に強誘電体を用いる方法が、特開昭63-193349 号公報
に述べられている。強誘電体は、あるしきい値電圧で分
極が反転する材料である。強誘電体を用いる場合、AFM
プローブなどにより強誘電体にパルス電圧を印加し、プ
ローブされた領域だけ分極を一方向に揃える、あるいは
分極を反転させることにより、情報の書き込みを行う。
情報の読み出しには、強誘電体の圧電効果、焦電効果、
電気光学効果、分極反転時の電流検出などが利用可能で
ある。圧電効果を利用する場合、例えば以下の方法を用
いる。適当な高周波バイアス電圧を記録媒体とプローブ
との間に印加しながら、プローブを走査させる。このと
き、強誘電体の圧電効果により記録媒体表面が変形す
る。強誘電体は分極状態の違いにより圧電効果が異なる
ため、記録媒体表面には記録情報に応じた変形が現わ
れ、この変形をプローブで検知することにより、情報の
読み出しが可能となる。記録情報を消去する場合は、記
録時とは逆特性のパルス電圧を印加して分極を反転させ
るなどすればよい。
【0008】また、強誘電体薄膜が半導体Siからなる基
板上に形成されていれば、AFM とSCaMとを組み合わせる
上記方法により記録再生を行うことができる。この場
合、強誘電体層の分極反転による電荷の捕獲、放出現象
を利用し、空乏層を形成する。この方法では、強誘電体
を利用するため、書き込み電圧は強誘電体の分極反転が
可能な程度の低電圧でよく、また、強誘電体の分極反転
速度は高速であるため、書き込み速度が速くなる。
【0009】AFM またはSTM は、原子レベルの分解能を
有する。また、強誘電体は分極反転速度が100ns 以下と
高速であり、かつ記録ビットを10nmφ以下の寸法で形成
することが可能であるため、記録ビットを例えば10nm×
10nmの領域で形成すれば、106 M ビット/cm2程度の高
密度メモリが実現できる。
【0010】AFM 、STM またはSCaMの原理を利用したメ
モリにおいて、プローブと媒体との間の距離はナノメー
ターオーダーであるか、または両者は接触している。記
録時には、プローブと媒体との間にはバイアス電圧が印
加され、両者間には電気的な結合がなされるが、媒体の
表面凹凸、その表面結晶性、その表面にトラップされる
電荷などにより電気的な結合性は変化してしまう。すな
わち、表面凹凸、表面結晶性、表面にトラップされる電
荷などの均一性が悪いと、書き込み電圧の上昇やバラツ
キ(書き込みに必要な電圧が記録ビットごとに異なる)
が生じ、一定のバイアス電圧で正常なビット書き込みが
できなくなる。しかし、現在のところ、これらを完全に
均一とすることは困難である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、書き
込み電圧のバラツキが小さく安定したデータ書き換えに
耐える高信頼性の記録媒体と、この記録媒体を用いて記
録および再生を行う方法とを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(8)のいずれかの構成により達成される。 (1)強誘電体の分極反転を利用して情報を記録する記
録媒体であって、基板表面側に強誘電体層を有し、この
強誘電体層表面に導電性ドットが複数個形成されている
記録媒体。 (2)導電性ドット1個あたりの強誘電体層との平均接
触面積が0.25〜25000nm2 である上記(1)の
記録媒体。 (3)強誘電体層表面の25〜75%の面積が導電性ド
ットで覆われている上記(1)または(2)の記録媒
体。 (4)導電性ドット間の強誘電体層表面を被覆するドッ
ト間被覆層を有する上記(1)〜(3)のいずれかの記
録媒体。 (5)導電性ドットおよび導電性ドット間を被覆する全
面被覆層を有する上記(1)〜(4)のいずれかの記録
媒体。 (6)導電性ドットが金属から構成される上記(1)〜
(5)のいずれかの記録媒体。 (7)導電性ドットがPt、Ir、Os、Re、Pd、
RhおよびRuの少なくとも1種を含有する上記(6)
の記録媒体。 (8)導電性プローブを有する記録再生装置により上記
(1)〜(7)のいずれかの記録媒体に対し情報の書き
込みおよび読み出しを行う方法であって、導電性ドット
を介して電圧を印加することにより強誘電体層を分極さ
せて書き込みを行い、強誘電体層の分極を導電性ドット
を介して検知することにより読み出しを行う記録再生方
法。
【0013】
【作用および効果】本発明の記録媒体では、例えば図2
に示されるように、強誘電体層13の表面に導電性ドッ
ト20が複数個形成されている。書き込みおよび読み出
しは、記録媒体を導電性プローブで走査することにより
行うが、その際に、導電性プローブが導電性ドットに電
気的に接触した状態となるようにする。書き込み時に
は、プロービングされた導電性ドットと強誘電体層の裏
面側に設けられた電極との間に、強誘電体層の分極反転
が可能な電圧を印加し、プロービングされた導電性ドッ
トの直下に存在する強誘電体だけを分極反転させる。読
み出しには、強誘電体の圧電効果、焦電効果、電気光学
効果、分極反転時の電流検出などが利用される。
【0014】本発明と同様に強誘電体の分極反転を利用
する従来の記録媒体では、導電性ドットが設けられてお
らず、強誘電体層表面に直接プローブを接触させるか近
接させた状態で電圧を印加して記録ビットを形成してい
る。この場合、導電性プローブと強誘電体層との間の電
気的な結合性は、強誘電体層の表面凹凸、その表面結晶
性、その表面にトラップされる電荷などにより変化して
しまう。したがって、書き込みに必要なしきい値電圧
が、例えば強誘電体層の表面性により変化し、バラツキ
を生じてしまう。
【0015】これに対し本発明では、導電性プローブと
導電性ドットとを電気的に接触した状態とし、導電性ド
ットを介して強誘電体を分極させて書き込みを行い、ま
た、分極に基づく信号を導電性ドットを介して読み出
す。このため、プロービングされた導電性ドット全体が
同電位となり、この結果、プロービングされた導電性ド
ットの直下の強誘電体に加わる電界は、その部分の強誘
電体の表面凹凸、その表面結晶性、その表面にトラップ
される電荷などによる影響を受けない。したがって、書
き込みに必要なしきい値電圧が安定すると共に、安定し
た読み出しが行え、信頼性の高い書き換え可能記録媒体
が実現する。
【0016】なお、本明細書において導電性ドットとプ
ローブとが電気的に接触した状態であるとは、両者の電
位が同等となっていることを意味する。すなわち、導電
性ドットとプローブとが物理的に接触していなくても、
トンネリングや界面準位(表面準位)を介した導電経路
などによって両者の電位が同等となっていればよい。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。
【0018】<記録再生装置>本発明の記録媒体は、導
電性プローブを有する記録再生装置に搭載される。この
記録再生装置における記録(書き込み)および再生(読
み出し)の際の作用は、前述したSTM、SCaM、導
電性のプローブを備えるAFMなどにおける記録再生作
用と同様である。ただし、この記録再生装置は、強誘電
体層表面に導電性ドットを有する記録媒体を用い、この
記録媒体に対し情報の書き込みおよび読み出しを行うに
際し、強誘電体と導電性プローブとの電気的な結合を導
電性ドットを介して行う点で、従来とは異なる。
【0019】本発明の記録媒体が搭載される記録再生装
置の構成例を、図1に示す。
【0020】図1に示す記録再生装置は、通常の原子間
力顕微鏡(AFM) の構成に対し、主として2点変更を加え
ている。一つは、AFM プローブを導電性にしたこと、も
うひとつは、このAFM プローブに容量センサーを取り付
けたことである。
【0021】この記録再生装置は、導電性AFM プローブ
1を有し、導電性AFM プローブ1により記録媒体2に対
し書き込みおよび読み出しを行う。なお、図1の記録再
生装置には、導電性AFM プローブ1の変位をレーザービ
ーム9により検知する変位検知フォトディテクター10
が設置されている。記録媒体2は、圧電アクチュエータ
素子を用いたXY走査駆動機構3に載せられているので、
導電性AFM プローブ1の走査は、記録媒体2を移動させ
ることにより行うことになる。
【0022】書き込みは、主として以下の3種の方法が
用いられる。第1の方法では、強誘電体層を一方向に分
極させる処理(初期化処理)を施した記録媒体を用い
る。そして、導電性AFM プローブ1を走査させながら、
これと記録媒体2との間に、記録情報に応じた一方向の
極性をもったパルス電圧を印加して、分極を反転させ
る。分極を反転させた領域が「0」または「1」とな
り、分極を反転させなかった領域が「1」または「0」
となる。第2の方法では、二方向の極性をもったパルス
電圧を印加する。極性の異なるパルス電圧を印加した領
域では分極方向が逆となるため、結果的に第1の方法と
同様な記録ビットが形成される。なお、この場合の記録
媒体は、初期化したものであっても初期化していないも
のであってもよい。第3の方法は、初期化しておらず分
極方向がランダムである強誘電体層を有する記録媒体
に、一方向の極性をもったパルス電圧を印加する。電圧
を印加した領域は一方向に分極する。一方、電圧を印加
しなかった領域はランダム分極のまま残るため、後述す
る方法により読み出しが可能である。これら各方法にお
けるパルス電圧の強度は、強誘電体層の抗電界よりも大
きな電界が記録媒体に印加されるように設定すればよ
い。
【0023】後述する図2の媒体構造では、基板として
半導体Siを用いるため、強誘電体層の分極の方向によっ
て空乏層が形成される/されないの区別が生じ、より確
実に記録保持動作が行える。
【0024】記録情報を読み出す場合には、 AFM導電性
プローブ1と記録媒体2との間に適当な高周波バイアス
電圧を印加しながら、走査を行う。そして、容量センサ
7とロックインアンプ8とにより、導電性AFM プローブ
1と記録媒体2との間の高周波バイアス電圧に対しての
容量成分信号(C 、dC/dV )を検出する。分極の方向に
より容量成分は変化するため、記録ビットが読み出され
る。また、半導体基板を用いる図2の構造の媒体の記録
ビットでは、空乏層の形成により容量が変化しているの
で、同様にして読み出しを行うことができる。
【0025】なお、図1にはAFM をベースとした装置を
示したが、本発明にはSTM をベースとした装置も利用可
能である。
【0026】読み出しには、強誘電体の圧電効果、焦電
効果、電気光学効果などを利用してもよい。例えば、適
当な高周波バイアス電圧を記録媒体と導電性AFM プロー
ブとの間に印加しながら導電性AFM プローブを走査させ
る。このとき、強誘電体の圧電効果により媒体が変形す
るが、分極方向に応じて圧電効果が異なるため、導電性
AFM プローブにより検出される変形信号に変化が現れ
る。これにより記録情報を読み出すことができる。
【0027】上記2例の読み出し方法は、読み出しの後
も記録ビットが保存される非破壊読み出しであるが、読
み出しにより記録ビットが消去される破壊読み出しを行
ってもよい。この場合、例えば、STM または導電性プロ
ーブを有するAFM を用い、適当な高周波バイアス電圧を
記録媒体とプローブとの間に印加しながら、プローブを
走査させる。このときの高周波バイアス電圧は、強誘電
体の分極反転が可能な値に設定しておく。この高周波バ
イアス電圧印加により、媒体と導電性プローブとの間に
は分極反転電流が流れる。この電流は、強誘電体の分極
方向により異なるため、記録情報に応じた電流量変化が
現われる。したがって、プローブに流れる電流の走査に
伴なう変化を検知することにより、記録情報を読み出す
ことができる。破壊読み出しを行う場合には、読み出し
後、再書き込みをする必要がある。
【0028】なお、第1の方法で書き込みを行った場
合、記録時と逆極性のパルス電圧を印加して分極を反転
することにより、記録情報が消去できる。第2の方法ま
たは第3の方法で書き込みを行った場合には、初期化に
より記録情報が消去できる。第1〜3のいずれの方法で
書き込んだ媒体も、第2の方法によりオーバーライトが
可能である。
【0029】本発明では、書き込みおよび読み出しに際
して、導電性プローブが1個の導電性ドットだけをプロ
ービングする構成としてもよく、複数の導電性ドットを
同時にプロービングする構成としてもよい。後者の場
合、記録媒体に対するプローブの位置決め精度が低くて
済む。
【0030】本発明で用いる記録再生装置では、記録媒
体の形状は特に限定されず、また、記録媒体とプローブ
とを相対的に移動させる方法も特に限定されない。例え
ば、円盤状の記録媒体を用い、プローブに対し記録媒体
を回転させる構成としてもよく、媒体をアクチュエータ
ーで2軸あるいはそれ以上の方向に駆動してもよく、ま
た、プローブを同様に駆動してもよく、両者を駆動する
構成としてもよい。また、導電性プローブを複数設けた
構成としてもよい。
【0031】<記録媒体の構造>本発明の記録媒体は、
例えば図2〜図4に示される構造とされる。
【0032】図2に示す記録媒体は、Si等からなる半
導体基板121表面に強誘電体層13を有し、強誘電体
層表面に導電性ドット20を複数個有する。半導体基板
121の裏面には、オーミック電極11が設けられてい
る。このオーミック電極11は、強誘電体層13および
半導体基板121を介して導電性プローブに対向する電
極であり、このような対向電極として機能する限り、設
置位置は基板裏面以外であってもよい。
【0033】半導体基板としては、P型またはN型の導
電性を有し、比抵抗が10-2Ωcm〜106 Ωcm程度のも
のが好ましい。半導体基板を用いることにより、記録再
生装置の説明において述べた空乏層の形成が可能とな
る。なお、空乏層とは、半導体の表面または界面に生じ
る電位障壁領域に生じる空間電荷層のことをいう。この
層では、半導体中の自由電子が少なくなるため、抵抗率
が高くなり、容量成分をもつ層となる。そのため、書き
込み領域の容量を変化させることができる。半導体基板
の比抵抗は特に限定されず、上記のような書き込みが問
題なく行えるものであればよいが、通常、10-2Ωcm〜
106 Ωcm程度であることが好ましい。
【0034】なお、図2において半導体基板と強誘電体
層との間には、後述するようにSiO2層や他の酸化物層な
どが存在していてもよい。
【0035】図3に示す記録媒体は、Si等の導電性基
板122表面に、強誘電体層13を有し、強誘電体層表
面に導電性ドット20を複数個有する。導電性基板は、
導電性プローブに対向する電極として機能する。導電性
基板の構成材料は、バルクでの比抵抗が10-7〜10-2
Ωcmであるものが好ましい。
【0036】なお、図3において導電性基板と強誘電体
層との間には、後述するようにSiO2層や他の酸化物層な
どが存在していてもよい。
【0037】図4に示す記録媒体は、基板123表面に
電極層15を有し、電極層表面に強誘電体層13を有
し、強誘電体層表面に導電性ドット20を複数個有す
る。電極層は、導電性プローブに対向する電極として機
能する。電極層の比抵抗は、10-7〜10-2Ωcmである
ことが好ましい。この記録媒体では、電極層を設けてい
るため基板の導電特性は特に限定されず、絶縁体、半導
体、導電体のいずれの基板を用いてもよい。
【0038】なお、図4において基板と電極層との間に
は、後述するようにSiO2層や他の酸化物層などが存在し
ていてもよい。
【0039】図2〜図4における基板の厚さは、通常、
100μm 〜1mm程度である。
【0040】図2〜図4における強誘電体層13の膜厚
は、好ましくは20〜1000nm、より好ましくは50nm〜500n
m である。薄すぎると強誘電体層の分極反転が不可能に
なる。一方、厚すぎると強誘電体層を分極反転するため
に必要な電圧が大きくなって、大きな書き込み電圧(例
えば20V 以上)が必要になってしまう。
【0041】<導電性ドット>導電性ドット1個あたり
の強誘電体層との平均接触面積は、好ましくは0.25
〜25000nm2 である。導電性プローブが1個の導電
性ドットだけをプロービングする場合、平均接触面積は
より好ましくは100〜2500nm2 である。この場
合、平均接触面積が小さすぎると、導電性ドットを1個
だけプロービングすることが難しくなる。一方、複数の
導電性ドットを同時にプロービングする場合、平均接触
面積は好ましくは1〜25nm2 である。この場合、平均
接触面積が小さいほど記録密度を高くすることが可能で
あるが、あまりに小さいとドット状とはならなくなって
しまう。
【0042】導電性ドットが強誘電体層表面に占める面
積の比率は、好ましくは25〜75%、より好ましくは
30〜60%である。この比率が低すぎると、記録密度
を高くすることができなくなり、この比率が高すぎる
と、プロービングした導電性ドットだけに電圧を印加す
ることができずに、記録再生が不可能となることがあ
る。
【0043】導電性ドットの厚さは特に限定されず、必
要な導電性が得られ、かつプローブとの接触に対する耐
久性が十分となる厚さとすればよい。この点から、厚さ
は、好ましくは1nm以上、より好ましくは5nm以上とす
る。一方、厚い導電性ドットを蒸着等により均一に形成
することは難しい。また、導電性ドットが厚すぎると、
記録密度を上げた場合に隣接ドット間で不要な容量を持
つことになり、書き込み、読み出しの速度の低下および
ノイズの原因となる。また、後述するドット間被覆層を
設ける場合には問題ないが、これを設けない場合におい
て導電性ドットが厚すぎると、プローブとの衝突が起こ
りやすくなり、導電性ドットの破損を招く。このため、
導電性ドットの厚さは30nm以下とすることが好まし
く、20nm以下とすることがより好ましい。
【0044】導電性ドットの形状は特に限定されず、円
形、楕円形、不定形等のいずれであってもよいが、導電
性ドットの配設密度を高くして高密度記録媒体とするた
めには、円形または楕円形とすることが好ましい。ま
た、導電性ドットと実質的に接触するプローブ先端領域
も円形または楕円形であることが好ましい。
【0045】本発明では、記録再生時に導電性ドットが
プローブと接触するため、導電性ドット構成材料はプロ
ーブとの間の接触抵抗が小さくなるものが好ましい。こ
の点から、導電性ドットは、金属(合金を含む)から構
成されることが好ましい。金属としては、Pt、Ir、
Os、Re、Pd、Rh、およびRuのうちの少なくと
も1種を含むものが好ましい。特に、Pt、Irなどの
貴金属から構成される導電性ドットは、表面に酸化被膜
が形成されにくいため、プローブとの間の接触抵抗が極
めて小さくなる。また、Re、Ruなどは、酸化被膜が
形成されたとしても酸化被膜が導電性であるため、プロ
ーブとの間の接触抵抗は大きくはならない。
【0046】導電性ドットは、蒸着法により形成するこ
とが好ましい。蒸着法において、上記した金属を蒸発源
として用い、基板温度や基板表面への金属の供給量を制
御することにより、連続膜としてではなくドット状に付
着させることが容易にできる。導電性ドット1個あたり
の面積、導電性ドットが強誘電体層表面に占める面積比
率、隣接する導電性ドット間の距離などは、蒸着条件を
変化させることにより制御できる。例えば、金属供給量
を一定にしたまま基板温度を上げると、導電性ドットが
強誘電体層表面に占める面積の比率が減少し、導電性ド
ットの厚さは増大する。一方、基板温度を一定にしたま
ま金属供給量を減ずると、導電性ドットの占める面積の
比率は増大するが、導電性ドットの厚さは減少する。
【0047】導電性ドットは、強誘電体層表面をマスキ
ングし、導電性材料を気相成長法などにより付着させる
ことによっても形成可能であり、導電性材料からなる連
続膜をエッチングすることによっても形成可能である
が、微小な導電性ドットを高密度に配設するためには、
上記した蒸着法を用いることが好ましい。
【0048】<ドット間被覆層>図5に示すように、導
電性ドット20とこれに隣接する導電性ドットとの間、
すなわち導電性ドット間に存在する強誘電体層13表面
には、ドット間被覆層21を設けてもよい。
【0049】ドット間被覆層を適度な絶縁性を有する材
料から構成した場合、導電性ドットをプロービングする
際の隣接する導電性ドットによるクロストークを抑える
ことができる。この場合の材料の比抵抗は、好ましくは
103 Ωcm以上である。比抵抗が低すぎるとクロストー
ク抑制効果が不十分となる。このような材料としては、
酸化珪素、アルミナ、ダイヤモンドライクカーボン(D
LC)、ジルコニア、安定化ジルコニア(例えばYS
Z)、TiC、TiN、Ti(C,N,O)、CrC、
CrN、SiC、Si34 、c−BN(立方晶チッ化
ホウ素)、ZrN、HfN、(Ti,Al)N、(T
i,Zr)N、(Ti,Nb)N、(Ti,Hf)N、
WC、W2 C、およびBPなどを主成分とするものが好
ましく、結晶化材料であってもアモルファス材料であっ
てもよいが、アモルファス薄膜は、結晶化膜に比較して
分子レベルでより平坦な表面が得られるので、好まし
い。また、クロストーク防止のためには、絶縁性に優れ
るものが特に好ましい。
【0050】ドット間被覆層を適度な導電性を有する材
料から構成した場合、導電性ドット間に存在する強誘電
体層表面の電荷が均一化されるため、強誘電体の焦電効
果、結晶欠陥等で強誘電体層表面に局在的に発生する電
荷の集中を防ぐことが可能になる。したがって、集中電
荷によるノイズおよびプローブの破壊を防止することが
できる。
【0051】ただし、プロービングした導電性ドットに
対し選択的に電圧を印加するためには、ドット間被覆層
を、導電性ドット構成材料よりも比抵抗が高い材料から
構成することが好ましい。なお、これは、ドット間被覆
層の厚さが導電性ドットの厚さと同等である場合につい
てであり、ドット間被覆層を導電性ドットよりも薄くす
れば、導電性ドット構成材料と同等以下の比抵抗をもつ
材料からドット間被覆層を構成した場合でも、選択的な
プロービングが可能である。選択的なプロービングが不
可能となると、プローブされた領域以外にも書き込み電
圧の影響が及ぶことになる。このため、書き込みの際に
ビットサイズが大きくなり、また、ビットのコントラス
トが小さくなってしまう。
【0052】ドット間被覆層に用いる適度な導電性を有
する材料の比抵抗は、上述したように厚さによって異な
るが、好ましくは10〜107 Ωcmである。
【0053】ドット間被覆層構成材料の具体例として
は、硬度が高くかつ適当な導電性を有するホウ素(B) な
らびにシリコン(Si)および/またはリン(P) を主成分と
する導電性材料が挙げられるが、上記した各種絶縁性材
料に適当な元素をドープすることにより、適度な導電性
を得ることもできる。例えば、DLCにホウ素(B) 等を
ドープすることにより、極めて高い硬度に加え、適度な
導電性を得ることができる。
【0054】なお、ドット間被覆層は、導電性ドットを
取り囲んで支持するため、プローブの衝突などから導電
性ドットを保護してその機械的損傷を防ぐ役割も果す。
保護効果の点では、硬度が高いDLCを用いることが特
に好ましい。
【0055】ドット間被覆層は多層構成としてもよい。
例えば、絶縁性の比較的高い材料または導電性の比較的
高い材料から構成される第1のドット間被覆層上に、導
電性の比較的高い材料または絶縁性の比較的高い材料か
ら構成される第2のドット間被覆層を積層する構成とす
れば、クロストーク抑制および電荷集中の抑制の両方に
効果的である。
【0056】ドット間被覆層の厚さは、導電性ドットと
プローブとの接触を妨げないように、導電性ドットの厚
さ以下とすることが好ましい。また、ドット間被覆層を
設けることによる効果、特に導電性ドットの保護効果を
確実なものとするためには、ドット間被覆層の厚さは、
導電性ドットの厚さの1/10以上であって、かつ0.
5nmを下回らない値とすることが好ましい。
【0057】ドット間被覆層の形成方法は特に限定され
ないが、好ましくは以下の方法を用いる。この方法で
は、まず、蒸着法、スパッタ法、CVD法等の気相成長
法により、導電性ドットが形成されている強誘電体層表
面の全面に薄膜を形成する。次いで、この薄膜を、少な
くとも導電性ドット表面が露出するまで研磨する。研磨
には、アルカリ溶液等を用いる化学的研磨、コロイダル
シリカ等を用いる機械的研磨、化学的研磨と機械的研磨
との併用などを用いればよい。
【0058】<全面被覆層>図6に示すように、導電性
ドット20および導電性ドット間を覆う連続膜である全
面被覆層22を設けてもよい。全面被覆層の構成材料
は、上記ドット間被覆層の構成材料として挙げたものか
ら選択することが好ましい。上記した各材料から構成さ
れる全面被覆層は、導電性ドットの機械的損傷を防ぐ役
割を果す。また、全面被覆層が上記した適度な導電性を
有する材料から構成される場合、ドット間被覆層の場合
と同様に電荷の集中を防ぐ効果を示す。
【0059】全面被覆層が絶縁性の比較的高い、例えば
比抵抗が103 Ωcm以上の材料から構成される場合、導
電性ドット表面における厚さは好ましくは 1〜10nmであ
る。前記厚さが薄すぎると、保護効果が不十分になる。
前記厚さが厚くなるほど全面被覆層の平坦性は向上する
が、厚すぎると記録媒体への書き込みに必要な電圧が大
きくなってしまい、また、読み出される容量信号も小さ
くなってしまう。
【0060】全面被覆層が導電性の比較的高い材料から
構成される場合、導電性ドット表面における厚さは好ま
しくは1nm 〜100nm である。前記厚さが薄すぎると、保
護効果が不十分になる。前記厚さが厚くなるほど全面被
覆層の平坦性は向上するが、厚すぎると記録媒体への書
き込みの際にビットサイズが大きくなってしまい、ま
た、ビットのコントラストが小さくなってしまう。
【0061】全面被覆層は、結晶化材料であってもアモ
ルファス材料であってもよいが、アモルファス薄膜は、
結晶化膜に比較して分子レベルでより平坦な表面が得ら
れ、これによりノイズが少なくなるので、好ましい。
【0062】なお、電荷の集中を防ぐためには、上記し
たような導電性の全面被覆層やドット間被覆層を形成す
る方法に限らず、強誘電体層表面を導電処理する方法を
利用してもよい。導電処理としては、例えば、強誘電体
層表面における電子またはホールの形成処理、すなわち
表面準位形成処理などが挙げられる。このような処理と
しては、例えば、Pt等の導電性金属を、蒸着により原
子単位で強誘電体層表面に付着させる方法などが挙げら
れる。
【0063】全面被覆層を潤滑性材料から構成すること
も好ましい。この場合も導電性ドットの機械的損傷を防
ぐことができる。潤滑性材料は、固体であってもよく液
体であってもよい。潤滑性に優れる固体材料としては、
ステアリン酸等の飽和脂肪酸、フタロシアニン等の染
料、フッ素系樹脂等の有機材料や、カーボン、MoS2、コ
バルト・クロム酸化物等の無機材料が挙げられる。潤滑
性に優れる液体材料としては、水、有機溶剤、フッ素系
高分子、パーフルオロポリエーテル系、シリコン系、脂
肪族エステル系、流動パラフィン系の材料が好ましい。
膜厚は、通常、100nm 程度以下が好ましい。厚すぎると
書き込み電圧が大きくなり、また、読み出される容量信
号も小さくなってしまう。一方、5nm程度未満になると
連続膜として形成することが難しくなる。
【0064】潤滑性材料からなる全面被覆層は、用いる
潤滑性材料の比抵抗に応じて、上記した絶縁性や導電性
の材料からなる全面被覆層と同様な効果も示す。
【0065】なお、全面被覆層を多層構成としてもよ
い。例えば、絶縁性や導電性の材料からなる第1の全面
被覆層上に、より潤滑性の高い材料からなる第2の全面
被覆層を形成してもよい。また、絶縁性の比較的高い材
料からなる第1の全面被覆層上に、導電性の比較的高い
材料からなる第2の全面被覆層を形成してもよく、さら
にこの上に、高硬度材料あるいは潤滑性材料からなる第
3の全面被覆層を形成してもよい。
【0066】また、図7に示すように、ドット間被覆層
21を設け、かつ全面被覆層22を設ける構成としても
よい。例えば、絶縁性の比較的高い材料からなるドット
間被覆層を設け、その上に導電性の比較的高い材料から
なる全面被覆層を設ける構成、この上にさらに潤滑性の
全面被覆層や高硬度の全面被覆層を設ける構成などとし
てよく、上記したドット間被覆層の各種構成と上記した
全面被覆層の各種構成との組み合わせはすべて可能であ
る。
【0067】なお、媒体表面の潤滑性を確保するために
は、上記したような潤滑性の連続膜を形成する方法に限
らず、導電性ドット表面や強誘電体層表面を潤滑処理す
る方法を利用してもよい。潤滑処理としては、フッ素を
含むガスを用いるプラズマ処理や、ステアリン酸の吸着
などが挙げられる。
【0068】また、潤滑性確保のために、記録媒体表面
に比較的厚い潤滑性液体膜を形成して、プローブを前記
液体膜中に埋没させて記録再生を行ったり、記録媒体と
プローブとが潤滑性液体内に浸漬された構成の記録再生
装置を用いたりしてもよい。
【0069】全面被覆層の形成方法は特に限定されず、
例えば、蒸着法、スパッタ法、CVD法等の気相成長法
などを利用すればよい。
【0070】<基板>基板材料は、ガラス、金属(合金
を含む)、有機物、単結晶や多結晶のセラミックスなど
の種々のものから、半導体、導電体、絶縁体など要求さ
れる特性に応じて適宜選択すればよい。
【0071】高結晶性の強誘電体層を形成するために
は、単結晶基板を用いることが好ましい。単結晶基板の
材質は、マグネシア、チタン酸ストロンチウム、サファ
イア、ジルコニア、安定化ジルコニア、ニオブ酸リチウ
ム、タンタル酸リチウム、ガリウム砒素、シリコンなど
が好ましい。特に、Si単結晶基板は、安価でかつ半導体
素子との整合性も高く好ましい。単結晶基板を用いるこ
とにより、結晶配向の揃った結晶化強誘電体層を形成す
ることが可能になる。結晶配向の揃った強誘電体層は、
多結晶強誘電体層よりも表面性が良好であり、また、残
留分極値を大きくできたり、結晶粒界の影響による分極
の不揃いを防止できたりして、優れた強誘電体特性が得
られるので、記録媒体の強誘電体層として好適である。
【0072】<強誘電体層>強誘電体材料 強誘電体層に用いる材料は特に限定されず、強誘電性を
有するものから適宜選択すればよいが、例えば以下の材
料が好適である。
【0073】(A) ペロブスカイト型材料:BaTiO
3 ;PbTiO3 、希土類元素含有チタン酸鉛、PZT
(ジルコンチタン酸鉛)、PLZT(ジルコンチタン酸
ランタン鉛)等のPb系ペロブスカイト化合物;Bi系
ペロブスカイト化合物など。以上のような単純、複合、
層状の各種ペロブスカイト化合物。
【0074】(B) タングステンブロンズ型材料: SBN
(ニオブ酸ストロンチウムバリウム)、PBN (ニオブ酸
鉛バリウム)等のタングステンブロンズ型酸化物など。
【0075】(C) YMnO3 系材料:希土類元素(Scおよ
びYを含む)とMnとOとを含み、六方晶系YMnO3 構造
をもつ酸化物など。例えば、YMnO3 、HoMnO3等。
【0076】以下、これらの強誘電体材料について説明
する。
【0077】(A) ペロブスカイト型材料のうち、BaT
iO3 や鉛系ペロブスカイト化合物などは、一般に化学
式ABO3 で表される。ここで、AおよびBは各々陽イ
オンを表す。AはCa、Ba、Sr、Pb、K、Na、
Li、LaおよびCdから選ばれた1種以上であること
が好ましく、BはTi、Zr、TaおよびNbから選ば
れた1種以上であることが好ましい。
【0078】こうしたペロブスカイト型化合物における
比率A/Bは、好ましくは0.8〜1.3であり、より
好ましくは0.9〜1.2である。
【0079】A/Bをこのような範囲にすることによっ
て、誘電体の絶縁性を確保することができ、また結晶性
を改善することが可能になるため、誘電体特性または強
誘電特性を改善することができる。これに対し、A/B
が0.8未満では結晶性の改善効果が望めなくなり、ま
たA/Bが1.3をこえると均質な薄膜の形成が困難に
なってしまう。
【0080】このようなA/Bは、成膜条件を制御する
ことによって実現する。また、ABO3 におけるOの比
率は、3に限定されるものではない。ペロブスカイト材
料によっては、酸素欠陥または酸素過剰で安定したペロ
ブスカイト構造を組むものがあるので、ABOX におい
て、xの値は、通常、2.7〜3.3程度である。な
お、A/Bは、蛍光X線分析法から求めることができ
る。
【0081】本発明で用いるABO3 型のペロブスカイ
ト化合物としては、A1+5+3 、A2+4+3 、A3+
3+3 、AX BO3 、A(B′0.67B″0.33)O3
A(B′0.33B″0.67)O3 、A(B0.5 +30.5 +5
3 、A(B0.5 2+0.5 6 + )O3 、A(B0.5 1+
0.5 7+ )O3 、A3+(B0.5 2+0.5 4+ )O3 、A(B
0.25 1+0.75 5+)O3 、A(B0.5 3+0.5 4+
2.75、A(B0.5 2+0.5 5 + )O2.75等のいずれであ
ってもよい。
【0082】具体的には、PZT、PLZT等のPb系
ペロブスカイト化合物、CaTiO3 、BaTiO3
PbTiO3 、KTaO3 、BiFeO3 、NaTaO
3 、SrTiO3 、CdTiO3 、KNbO3 、LiN
bO3 、LiTaO3 、およびこれらの固溶体等であ
る。
【0083】なお、上記PZTは、PbZrO3 −Pb
TiO3 系の固溶体である。また、上記PLZTは、P
ZTにLaがドープされた化合物であり、ABO3 の表
記に従えば、(Pb0.890.91La0.110.09)(Zr
0.65Ti0.35)O3 で示される。
【0084】また、層状ペロブスカイト化合物のうちB
i系層状化合物は、一般に 式 Bi2m-1m3m+3 で表わされる。上記式において、mは1〜5の整数、A
は、Bi、Ca、Sr、Ba、Pb、Na、Kおよび希
土類元素(ScおよびYを含む)のいずれかであり、B
は、Ti、TaおよびNbのいずれかである。具体的に
は、Bi4 Ti312、SrBi2 Ta29 、SrB
2 Nb29 などが挙げられる。本発明では、これら
の化合物のいずれを用いてもよく、これらの固溶体を用
いてもよい。
【0085】本発明に用いることが好ましいペロブスカ
イト型化合物は、チタン酸塩ないしチタン酸塩含有ペロ
ブスカイト型化合物、例えばBaTiO3 、SrTiO
3 、PLZT、PZT、CaTiO3 、PbTiO3
希土類元素含有チタン酸鉛等であり、より好ましいもの
はBaTiO3 、SrTiO3 、PZT、希土類元素含
有チタン酸鉛であり、特に好ましいものは、R(Rは、
Pr、Nd、Eu、Tb、Dy、Ho、Yb、Y、S
m、Gd、ErおよびLaから選択された少なくとも1
種の希土類元素)、Pb、TiならびにOを含有する希
土類元素含有チタン酸鉛であって、原子比率が (Pb+R)/Ti=0.8〜1.3、 Pb/(Pb+R)=0.5〜0.99 の範囲にあるものである。このような希土類元素含有チ
タン酸鉛は、本願出願人による平成8年6月26日付の
出願(整理番号08P082)の明細書に開示されてい
る。
【0086】(B) タングステンブロンズ型材料として
は、強誘電体材料集のLandoit-Borenstein Vol. 16記載
のタングステンブロンズ型材料が好ましい。具体的に
は、(Ba,Sr)Nb26 、(Ba,Pb)Nb2
6 、PbNb26 、PbTa26 、BaTa2
6 、PbNb411、PbNb26 、SrNb2
6 、BaNb26 等やこれらの固溶体が好ましく、特
に、SBN{(Ba,Sr)Nb26 }やPBN
{(Ba,Pb)Nb26 }、が好ましい。
【0087】(C) YMnO3 系材料は、化学式RMnO
3 で表せる。Rは希土類元素(ScおよびYを含む)か
ら選ばれた1種以上であることが好ましい。YMnO3
系材料における比率R/Mnは、好ましくは0.8〜
1.2であり、より好ましくは0.9〜1.1である。
このような範囲にすることにより、絶縁性を確保するこ
とができ、また結晶性を改善することが可能になるた
め、強誘電特性を改善することができる。これに対し、
比率R/Mnが0.8未満、1.2をこえる範囲では、
結晶性が低下する傾向がある。また特に、比率R/Mn
が1.2をこえる範囲では、強誘電性が得られず、常誘
電的特性になる傾向があり、分極を利用した素子への応
用が不可能になってくることがある。このようなR/M
nは、成膜条件を制御することによって実現する。な
お、R/Mnは、蛍光X線分析法から求めることができ
る。YMnO3 系材料の誘電率は、バルクで10〜50
程度、薄膜で10〜100程度である。
【0088】本発明に用いることが好ましいYMnO3
系材料は、結晶構造が六方晶系のものである。YMnO
3 系材料は、六方晶系の結晶構造を持つものと斜方晶系
の結晶構造を持つものとが存在する。強誘電性を得るた
めには、六方晶系の結晶材料とする必要がある。具体的
には、組成が実質的にYMnO3 、HoMnO3 、Er
MnO3 、YbMnO3 、TmMnO3 、LuMnO3
であるものか、これらの固溶体などである。
【0089】結晶配向 強誘電体層は、結晶配向が揃っていることが好ましく、
特に、分極軸が基板面と垂直方向に配向した結晶化膜で
あることが望ましい。ペロブスカイト型材料を用いる場
合、強誘電体としての特性が良好になることから、(0
01)単一配向膜であるか、(001)配向と(10
0)配向とが混在している配向膜であることが好まし
く、特に(001)単一配向のエピタキシャル膜が好ま
しい。また、タングステンブロンズ型材料を用いる場
合、(001)単一配向膜、特にそのエピタキシャル膜
であることが好ましい。また、六方晶YMnO3 系材料
を用いる場合、(0001)単一配向膜、特にそのエピ
タキシャル膜であることが好ましい。
【0090】ペロブスカイト型材料から構成される強誘
電体層は、Si(100)基板の表面に形成することが
好ましい。この場合の強誘電体層とSi基板との好まし
い結晶軸方位関係は、以下の通りである。なお、Siは
立方晶である。強誘電体層が(001)単一配向である
場合、強誘電体[100]//Si[010]である。ま
た、強誘電体層が(001)配向と(100)配向とが
混在したものである場合、強誘電体の(001)配向結
晶については強誘電体[100]//Si[010]であ
り、強誘電体の(100)配向結晶については強誘電体
[001]//Si[010]である。すなわち、強誘電
体層とSi基板とは、面内に存在する軸同士も平行であ
ることが好ましい。
【0091】タングステンブロンズ型材料から構成され
る強誘電体層も、Si(100)基板の表面に形成する
ことが好ましい。この場合の強誘電体層とSi基板との
好ましい結晶軸方位関係は、強誘電体[100]//Si
[010]である。
【0092】六方晶YMnO3 系材料から構成される
(0001)配向の強誘電体層は、Si(111)基板
の表面に形成することが好ましい。ただし、後述するよ
うに(111)配向の酸化物中間層を設ければ、Si
(100)基板上に(0001)配向の六方晶YMnO
3 系強誘電体層を形成することができる。
【0093】なお、本明細書における単一配向膜とは、
基板表面と平行に目的とする結晶面がそろっている結晶
化膜のことを意味する。具体的には、例えば、(00
1)単一配向膜、すなわちc面単一配向膜は、膜の2θ
−θX線回折(XRD)で(00L)面以外の反射強度
が、(00L)面反射の最大ピーク強度の10%以下、
好ましくは5%以下のものである。なお、本明細書にお
いて(00L)は、(001)や(002)などの等価
な面を総称する表示であり、(L00)などについても
同様である。
【0094】また、本明細書においてエピタキシャル膜
とは、膜面内をX−Y面とし、膜厚方向をZ軸としたと
き、結晶がX軸、Y軸およびZ軸方向にともにそろって
配向しているものである。具体的には、第一に、X線回
折による測定を行ったとき、目的とする面以外のものの
反射のピーク強度が目的とする面の最大ピーク強度の1
0%以下、好ましくは5%以下である必要がある。例え
ば、(001)エピタキシャル膜、すなわちc面エピタ
キシャル膜では、膜の2θ−θX線回折で(00L)面
以外のピーク強度が、(00L)面の最大ピーク強度の
10%以下、好ましくは5%以下である。第二に、RH
EED評価でスポットまたはストリークパターンを示す
必要がある。これらの条件を満足すれば、エピタキシャ
ル膜といえる。なお、RHEEDとは、反射高速電子線
回折(Reflction High Energy Electron Diffraction)
であり、RHEED評価は、膜面内における結晶軸の配
向の指標である。
【0095】<酸化物中間層>強誘電体層を(A) ペロブ
スカイト型材料、(B) タングステンブロンズ型材料また
は(C) YMnO3 系材料から構成する場合、強誘電体層
と基板との間には、以下に説明する酸化物中間層を設け
ることが好ましい。なお、酸化物中間層は、絶縁体とし
ても機能する。
【0096】強誘電体層が(A) ペロブスカイト型材料ま
たは(B) タングステンブロンズ型材料から構成される場
合、酸化物中間層は、下記酸化ジルコニウム系層からな
るか、さらに下記希土類酸化物系層または下記ペロブス
カイト下地層を含むか、下記希土類酸化物系層および下
記ペロブスカイト下地層の両方を含むことが好ましい。
積層順序は、酸化ジルコニウム系層→強誘電体層、酸化
ジルコニウム系層→希土類酸化物系層→強誘電体層、酸
化ジルコニウム系層→ペロブスカイト下地層→強誘電体
層、酸化ジルコニウム系層→希土類酸化物系層→ペロブ
スカイト下地層→強誘電体層である。
【0097】強誘電体層が(C) YMnO3 系材料から構
成される場合、酸化物中間層は酸化ジルコニウム系層ま
たは希土類酸化物系層から構成されることが好ましい。
【0098】酸化ジルコニウム系層 酸化ジルコニウム系層は、酸化ジルコニウムを主成分と
するか、希土類元素(ScおよびYを含む)により安定
化された酸化ジルコニウム(安定化ジルコニア)を主成
分とする。この層を設けることにより、その上に設けら
れる電極層や強誘電体層の剥離を防止できる。また、こ
の層は、強誘電体との格子整合性がよいため、結晶性の
高い強誘電体層が得られる。
【0099】酸化ジルコニウムおよび安定化ジルコニア
は、Zr1-xx2-δ(RはScおよびYを含む希土
類元素である)で表わされる組成のものが好ましい。x
およびδについては、後述する。Rとしては、Pr、C
e、Nd、Gd、Tb、Dy、HoおよびErから選択
される少なくとも1種であることが好ましい。
【0100】酸化ジルコニウム系層は、単一の結晶配向
を有していることが望ましい。これは、複数の結晶面を
有する層においては粒界が存在するため、その上の電極
層や強誘電体層のエピタキシャル成長が不可能になるた
めである。具体的には、(001)配向の電極層や強誘
電体層を形成しようとする場合、酸化ジルコニウム系層
は、正方晶または単斜晶の(001)単一配向である
か、立方晶の(100)単一配向であることが好まし
く、また、(111)配向の電極層や(0001)配向
の強誘電体層を形成しようとする場合、酸化ジルコニウ
ム系層は(111)単一配向であることが好ましく、い
ずれの場合でもエピタキシャル膜であることがより好ま
しい。このような良好な結晶性の酸化ジルコニウム系層
が形成できれば、粒界による物理量の攪乱等がなくな
り、酸化ジルコニウム系層上に良質の電極層や強誘電体
層が得られる。
【0101】Si(100)基板表面に、酸化物中間層
(Zr1-xx2-δ)が積層されているとき、これら
の結晶方位関係は、Zr1-xx2-δ(001)//S
i(100)であることが好ましい。これは、酸化物中
間層が正方晶である場合であるが、これらの層が立方晶
である場合でも、面内において軸同士が平行であること
が好ましいという点では同様である。
【0102】また、Si(111)基板表面に、酸化物
中間層(Zr1-xx2-δ)が積層されているとき、
これらの結晶方位関係は、Zr1-xx2-δ(11
1)//Si(111)であることが好ましい。
【0103】ZrO2 は高温から室温にかけて立方晶→
正方晶→単斜晶と相転移を生じる。立方晶を安定化する
ために希土類元素を添加したものが、安定化ジルコニア
である。Zr1-xx2-δ膜の結晶性はxの範囲に依
存する。Jpn . J. Appl. Phys. 27 (8)L1404-L1405 (1
988)に報告されているように、xが0.2未満である組
成域では正方晶または単斜晶の結晶になる。これまで、
xが0.2以上の立方晶領域では単一配向のエピタキシ
ャル膜が得られている。ただし、xが0.75を超える
領域では、立方晶ではあるが、例えば(100)単一配
向は得られず、(111)配向の結晶が混入する。一
方、正方晶または単斜晶となる領域では、J. Appl. Phy
s. 58 (6) 2407-2409 (1985)にも述べられているよう
に、得ようとするもの以外の配向面が混入し、単一配向
のエピタキシャル膜は得られていない。
【0104】したがって、立方晶(100)単一配向と
するためには、Zr1-x x 2-δにおいてxは0.2
〜0.75であることが好ましい。この場合のxのより
好ましい範囲は、0.2〜0.50である。酸化ジルコ
ニウム系層がエピタキシャル膜であれば、その上に形成
される電極層や強誘電体層をエピタキシャル成長させや
すい。一方、(111)基板を用いて(111)単一配
向とする場合には、xは0.75超であってよい。な
お、xが1のときは、後述する希土類酸化物層となる。
【0105】安定化ジルコニアが含む希土類元素は、S
i基板の格子定数および酸化ジルコニウム系層上に設け
られる層の格子定数と、酸化ジルコニウム系層の格子定
数とを好ましくマッチングさせるために、その種類およ
び添加量が選択される。希土類元素の種類を固定したま
まxを変更すれば格子定数を変えることができるが、x
だけの変更ではマッチングの調整可能領域が狭い。ここ
で、例えばYに替えてPrを用いると、格子定数を大き
くすることが可能であり、マッチングの最適化が容易と
なる。
【0106】なお、酸素欠陥を含まない酸化ジルコニウ
ムは、化学式ZrO2 で表わされるが、希土類元素を添
加した酸化ジルコニウムは、添加した希土類元素の種
類、量および価数により酸素の量が変化し、Zr1-x
x 2-δにおけるδは、通常、0〜0.5となる。
【0107】Zr1-x x 2-δにおいてxが0.2未
満である領域、特に、酸素を除く構成元素中におけるZ
rの比率が93mol%を超える高純度の組成域では、上述
したように結晶性が良好とはならず、また、良好な表面
性も得られていなかった。しかし、本発明者らが検討を
重ねた結果、後述する製造方法を適用することにより、
上記した単一配向、さらにはエピタキシャル成長が可能
となり、表面性も良好な値が得られることがわかった。
高純度のZrO2 膜は、絶縁抵抗が高くなり、リーク電
流が小さくなることから、絶縁特性を必要とする場合に
は好ましい。
【0108】したがって、良好な結晶性および表面性が
得られる場合には、酸化ジルコニウム系層中の酸素を除
く構成元素中におけるZrの比率は、好ましくは93mo
l%超、より好ましくは95mol%以上、さらに好ましくは
98mol%以上、最も好ましくは99.5mol%以上であ
る。酸素およびZrを除く構成元素は、通常、希土類元
素やPなどである。なお、Zrの比率の上限は、現在の
ところ99.99mol%程度である。また、現在の高純度
化技術ではZrO2 とHfO2 との分離は難しいので、
ZrO2 の純度は、通常、Zr+Hfでの純度を指して
いる。したがって、本明細書におけるZrO2 の純度
は、HfとZrとを同元素とみなして算出された値であ
るが、HfO2 は本発明における酸化ジルコニウム系層
においてZrO2 と全く同様に機能するため、問題はな
い。
【0109】なお、酸化物中間層を形成する場合、酸化
物中間層中の酸素がSi等からなる基板の表面付近に拡
散し、基板表面付近が浅く(例えば5nm程度以下)酸化
されてSiO2 などの酸化層が形成されることがある。
また、成膜の方法によっては、酸化物中間層形成時にS
i等の基板の表面にSi酸化物層等が残留する場合があ
る。
【0110】希土類酸化物系層 希土類酸化物系層は、Y、La、Ce、Pr、Nd、S
m、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb
およびLuの少なくとも1種、特に、Ce、Pr、N
d、Gd、Tb、Dy、HoおよびErの少なくとも1
種を含有する希土類酸化物から実質的に構成されている
ことが好ましい。なお、2種以上の希土類元素を用いる
とき、その比率は任意である。
【0111】希土類酸化物系層は、基板の面配向によら
ず(111)配向を示す。すなわち、例えば、Si(1
00)基板でもSi(111)基板でも立方晶(11
1)配向となる。このため、YMnO3 系材料から構成
される強誘電体層を形成する場合に好適である。
【0112】ただし、希土類酸化物系層を(001)配
向の酸化ジルコニウム系層の上に形成した積層構造の場
合には、希土類酸化物系層は(001)配向となるの
で、ペロブスカイト型材料またはタングステンブロンズ
型材料から構成される強誘電体層を形成する場合に好適
である。酸化物中間層として上記した安定化ジルコニア
を用いたときには、C−V特性にヒステリシスがみら
れ、この点においてZrO2 高純度膜に劣る。この場
合、酸化ジルコニウム系層上に希土類酸化物系層を積層
することにより、C−V特性のヒステリシスをなくすこ
とができる。また、希土類酸化物系層を積層することに
より、強誘電体層との間での格子整合のマッチングがよ
り良好となる。希土類酸化物系層が積層されている場
合、酸化ジルコニウム系層は、元素分布が均一な膜であ
ってもよく、膜厚方向に組成が変化する傾斜構造膜であ
ってもよい。傾斜構造膜とする場合、基板側から希土類
酸化物系層側にかけて、酸化ジルコニウム系層中の希土
類元素含有率を徐々または段階的に増大させると共に、
Zr含有率を徐々または段階的に減少させる。このよう
な傾斜構造膜とすることにより、酸化ジルコニウム系層
と希土類酸化物系層との間の格子のミスフィットが小さ
くなるか、あるいは存在しなくなり、希土類酸化物系層
を高結晶性のエピタキシャル膜とすることが容易とな
る。このような積層構造の場合、希土類酸化物系層に添
加する希土類元素は、酸化ジルコニウム系層に添加する
希土類元素と同一のものを用いることが好ましい。
【0113】酸化ジルコニウム系層および希土類酸化物
系層には、特性改善のために添加物を導入してもよい。
例えば、これらの層にCaやMgなどのアルカリ土類元
素をドーピングすると、膜のピンホールが減少し、リー
クを抑制することができる。また、AlおよびSiは、
膜の抵抗率を向上させる効果がある。さらに、Mn、F
e、Co、Niなどの遷移金属元素は、膜中において不
純物による準位(トラップ準位)を形成することがで
き、この準位を利用することにより導電性の制御が可能
になる。
【0114】ペロブスカイト下地層 ペロブスカイト下地層は、強誘電体層の説明において述
べたABO3 型のペロブスカイト型化合物から構成され
る。ペロブスカイト下地層は、ペロブスカイト型化合物
またはタングステンブロンズ型化合物からなる強誘電体
層の結晶性を高めるために、必要に応じて設けられる。
ペロブスカイト下地層の構成材料は、好ましくはBaT
iO3 、SrTiO3 またはこれらの固溶体であり、よ
り好ましくはBaTiO3 である。ペロブスカイト下地
層は、酸化ジルコニウム系層や希土類酸化物系層との間
の格子整合性が良好であって、かつ強誘電体層構成材料
とは異なる化合物から構成される。
【0115】例えば、前述した希土類含有チタン酸鉛か
らなる強誘電体層を、酸化ジルコニウム系層または希土
類酸化物系層に接して形成する場合、前述した好ましい
結晶配向を有する強誘電体層を得ることは難しいが、B
aTiO3 等からなるペロブスカイト下地層を介して希
土類含有チタン酸鉛の強誘電体層を形成することによ
り、目的とする結晶配向を実現することができる。
【0116】また、図4に示す構成の記録媒体に設ける
電極層を、酸化ジルコニウム系層または希土類酸化物系
層に接して形成する場合も、後述するような正方晶(0
01)配向または立方晶(100)配向の電極層を得る
ことは難しいが、BaTiO3 等からなるペロブスカイ
ト下地層を介して電極層を形成することにより、目的と
する結晶配向を実現することができる。
【0117】ペロブスカイト下地層は、正方晶であると
きは(001)単一配向、すなわち基板表面と平行にc
面が単一に配向したものであることが好ましく、立方晶
であるときは(100)単一配向、すなわち基板表面と
平行にa面が単一に配向したものであることが好まし
く、いずれの場合でもエピタキシャル膜であることがよ
り好ましい。
【0118】<強誘電体層および酸化物中間層の形成方
法>強誘電体層や酸化物中間層の形成方法は特に限定さ
れず、蒸着法、スパッタ法、ゾル・ゲル法等のいずれを
用いてもよい。ただし、強誘電体層や酸化物中間層を上
記したような単一配向膜やエピタキシャル膜とするため
には蒸着法を用いることが好ましく、特に、特願平7−
219850号、特願平7−240607号、本願出願
人による平成8年6月26日付の出願(整理番号08P
082)の明細書等に開示されている方法を用いること
が好ましい。
【0119】なお、本発明では上述したように強誘電体
層表面の平坦性がそれほど良好でない場合でも信頼性の
高い記録再生が行えるが、強誘電体層形成後、その表面
を必要に応じて研磨して平坦化してもよい。
【0120】<電極層>図4に示す構成の記録媒体で
は、基板と強誘電体層との間に電極層が設けられる。上
記した酸化物中間層を設ける場合には、電極層は酸化物
中間層と強誘電体層との間に設けられる。
【0121】電極層は金属から構成されることが好まし
いが、Inを含む酸化物や導電性ペロブスカイト酸化物
であってもよく、金属膜と酸化物膜とを積層した構成と
してもよい。金属としては、Pt、Ir、Os、Re、
Pd、RhおよびRuの少なくとも1種を含有する金属
単体や合金が好ましい。Inを含む酸化物または導電性
ペロブスカイト酸化物としては、例えば、In23
In23 (Snドープ)、(R,Sr)CoO3
(R,Sr,Ca)RuO3 、(R,Sr)RuO3
SrRuO3 、(R,Sr)MnO3 またはこれらの関
連化合物が好ましい。なお、前記化合物において、Rは
ScおよびYを含む希土類元素である。
【0122】(001)配向の強誘電体層を形成しよう
とする場合、電極層は正方晶(001)単一配向である
か、立方晶(100)単一配向であることが好ましく、
また、六方晶(0001)配向の強誘電体層を形成しよ
うとする場合、電極層は(111)単一配向であること
が好ましく、いずれの場合でも電極層はエピタキシャル
膜であることがより好ましい。また、酸化物中間層を設
ける場合には、電極層と酸化物中間層とは、通常、同一
の面配向を有する。
【0123】電極層の比抵抗は、10-7〜10-2Ωcmで
あることが好ましい。また、電極層は、超電導材料から
構成されていてもよい。
【0124】電極層の形成方法は特に限定されず、蒸着
法やスパッタ法等のいずれを用いてもよいが、好ましく
は蒸着法を用いる。そして、上記したような単一配向膜
やエピタキシャル膜とするためには、上記した特願平7
−219850号、特願平7−240607号、本願出
願人による平成8年6月26日付の出願(整理番号08
P082)の明細書等に開示されている方法を用いるこ
とが好ましい。
【0125】<各層の結晶性、表面性および厚さ>酸化
物中間層や電極層は、その上に形成される層の結晶性を
向上させるために、結晶性が良好でかつ表面が平坦であ
ることが好ましい。また、強誘電体層も、上記した理由
により、高結晶性で表面が平坦であることが好ましい。
【0126】各層の結晶性は、XRD(X線回折)にお
ける反射ピークのロッキングカーブの半値幅や、RHE
EDによる像のパターンで評価することができる。ま
た、表面性は、RHEED像のストリーク性、およびA
FMで測定した表面粗さ(十点平均粗さ)で評価するこ
とができる。
【0127】強誘電体層、電極層および酸化物中間層
は、X線回折による(002)面の反射のロッキングカ
ーブの半値幅が1.50°以下となる程度の結晶性を有
していることが好ましい。また、AFMにより測定され
る表面粗さRz(十点平均粗さ、基準長さ500nm)
は、酸化物中間層では好ましくは2nm以下、より好まし
くは0.60nm以下であり、電極層では好ましくは10
nm以下であり、強誘電体層では好ましくは10nm以下、
より好ましくは5nm以下である。なお、このような表面
粗さは、各層の表面の好ましくは80%以上、より好ま
しくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の領域
で実現していることが望ましい。上記表面粗さは、面積
10cm2 の基板全面にわたって各層を形成したときに、
平均に分布した任意の10ケ所以上を測定しての値であ
る。
【0128】ロッキングカーブの半値幅およびRzの下
限値は特になく、小さいほど好ましいが、現在のとこ
ろ、ロッキングカーブの半値幅の下限値は0.4°程
度、上記Rzの下限値は0.10nm程度(強誘電体層で
は1nm程度)である。
【0129】また、RHEED像がストリークであっ
て、しかもシャープである場合、各層の結晶性および表
面平坦性が優れていることになる。
【0130】電極層の厚さは、一般に好ましくは50〜
500nm程度であるが、結晶性および表面性が損なわれ
ない程度に薄いことが好ましい。
【0131】酸化物中間層の厚さは、一般に好ましくは
5〜500nm、より好ましくは10〜50nmであるが、
結晶性、表面性を損なわない程度に薄いことが好まし
い。また、酸化物中間層を絶縁層として用いる場合の厚
さは、50〜500nm程度であることが好ましい。な
お、酸化物中間層を多層構成とする場合、各層の厚さは
0.5nm以上であることが好ましく、かつ酸化物中間層
全体の厚さは上記範囲とすることが好ましい。
【0132】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0133】<実施例1:導電性ドット>本願出願人に
よる平成8年6月26日付の出願(整理番号08P08
2)の明細書の記載にしたがって、直径2インチの Si
(100)単結晶基板表面に、以下の手順で酸化物中間層、
電極層および強誘電体層を形成した。次に、強誘電体層
上に導電性ドットを形成した。
【0134】まず、基板表面の(100)面を、40%
フッ化アンモニウム水溶液によりエッチング洗浄した。
【0135】次に、真空槽内に設置された回転および加
熱機構を備えた基板ホルダーに上記基板を固定し、真空
槽内を10-6Torrまで油拡散ポンプにより排気した後、
基板洗浄面をSi酸化物を用いて保護するため、基板を
20rpm で回転させ、酸素を基板付近にノズルから25
cc/分の割合で導入しつつ、600℃に加熱した。この
方法で、基板表面に熱酸化による厚さ約1nm のSi酸化
物膜を形成した。
【0136】次いで、基板を900℃に加熱し、回転さ
せた。回転数は20rpm とした。このときノズルから酸
素ガスを25cc/分の割合で導入し、Zrを蒸発源から
蒸発させて、前記基板上にZr酸化物の膜厚に換算して
5nm 供給し、1×1の表面構造を備えるSi表面処理基
板を得た。
【0137】さらに、このSi表面処理基板上に、基板
温度900℃、回転数20rpm 、ノズルから酸素ガスを
25cc/分の割合で導入した状態でZrを蒸発源から供
給することにより、膜厚50nmのZrO2 膜を前記処理
基板上に得た。
【0138】このようにして得られたZrO2 膜が形成
されたSi単結晶基板を蒸着基板として、基板温度900
℃、回転数20rpm 、ノズルから酸素ガスを25cc/分
の割合で導入した状態でBaとTiとを1:1の割合で
蒸発源から供給することにより、BaTiO3膜を前記蒸着基
板上に得た。成膜初期には、TiのみをTiO2 換算で
0.5nm供給し、次いで成膜速度を0.05nm/sとして
厚さ2nmのBaTiO3膜を形成した後、さらに成膜速度を
0.2nm/sに上げ、全厚100nmのBaTiO3膜を得た。
【0139】さらにその上に、酸素を導入せず、基板温
度600℃でPtを蒸着し、膜厚100nmのPt膜を形
成した。
【0140】次いで、基板を600℃に加熱し、20rp
m で回転させた。そして、ECR酸素源からラジカル酸
素ガスを10cc/分の割合で導入し、PbO、TiOx
(x=1.67)およびGdをそれぞれの蒸発源から蒸
発させて基板表面に供給することにより、Pt膜上に膜
厚300nmのPb−Gd−Ti複合酸化物膜(PGT
膜)を形成した。蒸発源からの供給は、PbO:Gd:
TiOx のモル比が2:0.1:1となるように制御し
ながら行った。
【0141】形成されたPGT膜の組成を蛍光X線分析
により調べたところ、 (Pb+Gd)/Ti=1.02、 Pb/(Pb+Gd)=0.90 であった。
【0142】このようにして、Si(100)/ZrO
2 (001)(50nm)/BaTiO3 (001)(1
00nm)/Pt(001)(100nm)/PGT(00
1)(300nm)のエピタキシャル構造体を得た。
【0143】次に、この構造体のPGT膜表面上に、導
電性ドットを形成した。
【0144】上記構造体を基板として、酸素を導入せず
600℃に加熱し、20rpm で回転させながらPtを蒸
発させ、基板表面に供給した。供給量は、Pt膜の厚さ
が1nmとなる量としたが、実際には蒸着したPtは連続
膜を形成せず、以下に説明するようにドット状に付着し
ていた。
【0145】図8に、Ptドット形成前のPGT膜表面
のRHEEDパターンを示す。電子線の入射方向はSi
基板の[110]方向とした。図8のパターンは、完全
にストリークであるパターンであり、このパターンか
ら、PGT膜表面が単結晶であって分子レベルで平坦で
あることがわかる。図9に、Pt蒸着後のRHEEDパ
ターンを示す。図9のパターンはスポットパターンであ
り、供給されたPtがPGT上に島状に形成され、しか
もこの島が単結晶から構成されていることを示唆してい
る。
【0146】次に、この構造体を透過型電子顕微鏡を用
い評価した。断面および上部からの観察では、Ptドッ
トが確認された。ドットの高さは約5nmであり、上部か
ら見るとほぼ円形状であり、その直径は約20nm、面積
は320nm2 であった。隣接するドットの間隔は平均で
約35nmであった。したがって、PGT膜表面の30%
がドットで覆われていることになる。
【0147】このようにして得られた構造体を記録媒体
とし、記録媒体中のPt層を媒体の電極とし、これにリ
ード線を接続した。そして、図1に示す記録再生装置を
用い、記録再生を行った。
【0148】はじめに、初期化処理として媒体の記録面
に20V のDC電圧を加えて分極方向を揃えた。次いで、
導電性プローブを媒体のPtドットと接触させ、−3、
−5、−10、−15または−20V のパルス電圧を印
加してドット直下のPGT膜を分極反転させることによ
り、書き込みを行った。
【0149】次いで、容量センサーを用いた読み出しを
行った。その結果、−3V 以外のバイアス電圧、すなわ
ち−5、−10、−15、−20V で書き込んだもので
は、記録ビットに対応する信号を得ることができた。ま
た、比較のためにPtドットを形成していない記録媒体
を同様に評価したところ、書き込み時に−20V を印加
したところ以外では再生信号が得られなかった。なお、
書き込み時に−15Vを印加したところでは一部読み出
し可能であったが、パルス電圧を加えた箇所の約30%
が読み出せなかった。この結果から、導電性ドットを形
成した媒体では、低電圧で安定した書き込みが行えるこ
とがわかる。
【0150】なお、本実施例ではPtドットを用いた
が、Irドットとした場合でも全く同様な結果が得られ
た。
【0151】<実施例2:ドット間被覆層>実施例1で
作製した記録媒体の表面に、導電性ドットの上から厚さ
10nmのDLC 膜を形成した。DLC 膜は、プラズマCVD を
用いたカソードカップリングによる方法で形成した。具
体的には、チャンバー内にCH4 +H2 の混合ガスを1
×10-1torr導入し、rf電力を200W投入し、室温で形成
した。なお、同様な条件で形成した厚さ100nmのDLC
膜は、アモルファス構造で、かつ絶縁体であったことが
確認されている。
【0152】次いで、記録媒体表面をメカノケミカル研
磨した。この研磨は、通常のSiウエハ研磨に用いる方
法に準じて行った。具体的には、強アルカリ液中にコロ
イダルシリカを分散させた研磨材と研磨布とを使用する
方法であり、アルカリによる化学研磨とシリカによる機
械研磨とを組み合わせたものである。この研磨は、DL
C膜の下側のPtドットが露出するまで行った。研磨後
の媒体表面を、透過型電子顕微鏡により評価した。断面
および上部からの観察によると、Ptドット上に形成さ
れたDLCは取り去られてPtドットの表面が露出して
おり、Ptドット間のPGT膜表面のDLCは残存して
いた。すなわち、ドット間被覆層が形成されていた。
【0153】研磨後の媒体に対し、実施例1と同様な記
録再生を行った。その結果、実施例1と同様に、−3V
以外、すなわち−5、−10、−15、−20V のパル
ス電圧を印加したところでは、それに対応する信号を得
ることができた。
【0154】なお、ドット間被覆層が設けられていない
実施例1の記録媒体では、記録再生後の透過電子顕微鏡
観察において一部の試料でPtドットが変形していた
が、DLC からなるドット間被覆層を設けた実施例2の記
録媒体では、Ptドットがドット間被覆層に囲まれてい
るため、Ptドットの変形は一切認められなかった。こ
のことから、ドット間被覆層を設けることにより、プロ
ーブの衝突などによる機械的損傷を防げることが確認さ
れた。
【0155】<実施例3:全面被覆層>実施例1で作製
した記録媒体の強誘電体層およびPtドットの表面に、
B、PおよびSiからなる厚さ2nmの全面被覆層を、グ
ロー放電分解(プラズマ分解)法により形成した。具体
的には、原料ガスにBH3 、PH3 およびSiH4を10:3:
7の割合で用い、キャリヤーガスに水素を用い、これら
を真空槽内に0.2Torr導入した。また、投入 rf 電力
は300Wとし、基板(記録媒体)温度は室温とした。この
全面被覆層の組成を蛍光X線分析により測定したとこ
ろ、B:P:Si=10:3.03:8.32であっ
た。なお、この全面被覆層と同組成で同様な条件により
形成した厚さ200nm の膜は、アモルファス構造で、かつ
比抵抗が5 MΩcmであったことをあらかじめ確認してい
る。
【0156】全面被覆層を形成した記録媒体に対し、実
施例1と同様に記録再生を行なったところ、良好な書き
込み読み出しが行えることが確認された。そして、全面
被覆層を形成した記録媒体について繰り返し再生を行っ
たところ、109 回再生した後でもAFM プローブに変化
はみられず、安定した読み出しが可能であった。一方、
実施例1で作製した記録媒体に対し109 回繰り返し再
生を行った後、AFM プローブを観察したところ、AFM プ
ローブの先端部が破壊されていた。プローブの破壊は、
強誘電体の焦電効果や結晶欠陥等により強誘電体表面に
局所的に発生する電荷の集中により生じたと考えられ
る。本実施例で形成した全面被覆層は、局所的に発生す
る電荷を分散させる効果がある。
【0157】<実施例4:ドット間被覆層+全面被覆層
>実施例2で作製したドット間被覆層を有する記録媒体
の表面に、実施例3と同様な全面被覆層を形成した。こ
の結果、実施例2と同様に、再生後のPtドットの変形
は認められず、また、実施例3と同様に、繰り返し再生
によるプローブの破壊は認められなかった。
【0158】以上の実施例の結果から、本発明の効果が
明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の記録再生装置の構成例を示す図であ
る。
【図2】本発明の記録媒体の構成例を示す断面図であ
る。
【図3】本発明の記録媒体の構成例を示す断面図であ
る。
【図4】本発明の記録媒体の構成例を示す断面図であ
る。
【図5】本発明の記録媒体の構成例を示す断面図であ
る。
【図6】本発明の記録媒体の構成例を示す断面図であ
る。
【図7】本発明の記録媒体の構成例を示す断面図であ
る。
【図8】結晶構造を示す図面代用写真であって、Si
(100)/ZrO2 (001)/BaTiO3(001)/
Pt(001)構造の上に形成したPGT膜のRHEE
Dパターンである。電子線の入射方向は、Si[11
0]方向である。
【図9】結晶構造を示す図面代用写真であって、Si
(100)/ZrO2 (001)/BaTiO3(001)/
Pt(001)/PGT(001)構造の上に形成した
PtドットのRHEEDパターンである。電子線の入射
方向は、Si[110]方向である。
【符号の説明】
1 導電性AFM プローブ 2 記録媒体 3 XY走査駆動機構 7 容量センサ 8 ロックインアンプ 9 レーザービーム 10 変位検知フォトディテクター 11 オーミック電極 121 半導体基板 122 導電性基板 123 基板 13 強誘電体層 15 電極層 20 導電性ドット 21 ドット間被覆層 22 全面被覆層

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強誘電体の分極反転を利用して情報を記
    録する記録媒体であって、 基板表面側に強誘電体層を有し、この強誘電体層表面に
    導電性ドットが複数個形成されている記録媒体。
  2. 【請求項2】 導電性ドット1個あたりの強誘電体層と
    の平均接触面積が0.25〜25000nm2 である請求
    項1の記録媒体。
  3. 【請求項3】 強誘電体層表面の25〜75%の面積が
    導電性ドットで覆われている請求項1または2の記録媒
    体。
  4. 【請求項4】 導電性ドット間の強誘電体層表面を被覆
    するドット間被覆層を有する請求項1〜3のいずれかの
    記録媒体。
  5. 【請求項5】 導電性ドットおよび導電性ドット間を被
    覆する全面被覆層を有する請求項1〜4のいずれかの記
    録媒体。
  6. 【請求項6】 導電性ドットが金属から構成される請求
    項1〜5のいずれかの記録媒体。
  7. 【請求項7】 導電性ドットがPt、Ir、Os、R
    e、Pd、RhおよびRuの少なくとも1種を含有する
    請求項6の記録媒体。
  8. 【請求項8】 導電性プローブを有する記録再生装置に
    より請求項1〜7のいずれかの記録媒体に対し情報の書
    き込みおよび読み出しを行う方法であって、導電性ドッ
    トを介して電圧を印加することにより強誘電体層を分極
    させて書き込みを行い、強誘電体層の分極を導電性ドッ
    トを介して検知することにより読み出しを行う記録再生
    方法。
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