JPH09196949A - 車輪速センサ用ロータおよびその製造方法 - Google Patents

車輪速センサ用ロータおよびその製造方法

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JPH09196949A
JPH09196949A JP698096A JP698096A JPH09196949A JP H09196949 A JPH09196949 A JP H09196949A JP 698096 A JP698096 A JP 698096A JP 698096 A JP698096 A JP 698096A JP H09196949 A JPH09196949 A JP H09196949A
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JP
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ring portion
rotor
outer ring
inner ring
wheel speed
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JP698096A
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English (en)
Inventor
Yukio Kumamoto
幸雄 隈本
Akira Maruyama
章 丸山
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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  • Transmission And Conversion Of Sensor Element Output (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 軽量で、しかもコスト的に有利な板金折り曲
げタイプの利点を活かしながら、ロータのギャップ寸法
Gを可及的に小さくする。 【解決手段】 車輪速センサ3と対向するようにハブ1
に圧入固定されたロータ11は、断面略U字状に曲折成
形されている。ロータ11は、内側リング部12、外側
リング部13、湾曲部14およびビード部15の四者に
より一部が閉ループ状に形成され、内側リング部12と
外側リング部13との間にギャップGが確保されてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車のアンチロ
ックブレーキシステムやトラクションコントロールシス
テムにおける車輪速センサと組み合わせて用いられるロ
ータの構造およびそのロータの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アンチロックブレーキシステムにおける
車輪速検出部は、図10に示すように、図示外の車輪が
装着される車軸側のハブ1に圧入固定されたリング状の
ロータ2と、このロータ2の外周に対向配置されて磁石
とコイルとの組み合わせからなる車輪速センサ3とから
構成されていて、車輪速センサ3のまわりには磁界が生
じている。他方、ロータ2には多数の穴4が円周方向に
沿って等ピッチで形成されていて実質的に歯車状の凹凸
面となっていることから、車輪とともに回転するロータ
2の凹凸面が上記の磁界を横切ることによりその磁束密
度が変化して車輪速センサ3のコイルに起電力が生じ、
この電圧変化を車輪速信号として出力するものである。
【0003】そして、前記ロータ2の軽量化を図るため
に、図10に示すように、内側フランジ部2aと外側フ
ランジ部2bとを含む断面形状が略コ字状になるように
磁性材料にて曲折成形し、その外側フランジ部2bに多
数の穴4を等ピッチで形成したものが知られている(例
えば、実開平6−37766号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のような断面略コ
字状のロータ2は、その形状よりしてプレス加工による
曲折成形法を基本として製作しなければならないため、
そのコ字状空間に入り込むことになる金型の強度を考慮
すると、そのコ字状空間のギャップGひいてはロータ2
の高さの縮小化に限界がある。
【0005】すなわち、上記のロータ2を曲折成形する
場合には、例えば図11に示すように、予め深皿状に予
備成形された成形品のうち外側フランジ部2bに相当す
る部分をダイ5とブランクホルダ6とで加圧拘束すると
ともに、内側フランジ部2aとなるべき部分の根元部を
パッド7で加圧拘束した上で、ダイ5内にポンチ8を押
し込んで内側フランジ部2aを曲折成形することから、
上記のギャップGが小さくなればなるほどそれに応じて
ダイ5の肉厚tも小さくなって強度的に不利になり、結
果的に加工そのものが困難となってしまうことになる。
なお、9はパッド7とその支持体7aとの間に介装され
たウレタンゴム等の弾性体である。
【0006】したがって、上記のギャップ寸法Gを小さ
くするにもおのずと限界があり、例えば他の機能部品と
の配置関係の上でより一層のギャップ寸法Gひいてはロ
ータ2の厚みの縮小化が要求された場合には、上記のコ
字状断面形状のロータ2に代えて焼結部品あるいはファ
インブランキング加工品として形成されたものや、ロー
タそのものを二部品以上の組み合わせで形成したもの等
を採用しなければならず、所期の目的である軽量化を達
成できなくなるばかりでなく、コストアップを招くこと
となって好ましくない。
【0007】本発明は以上のような背景のもとになされ
たもので、プレスにより曲折成形したタイプのロータの
方が軽量化およびコストの上で絶対的に有利であるとい
う点に着目し、ロータの断面形状を改良することによっ
て、従来のようなプレス型の強度上の問題やギャップ寸
法の縮小化の制約を伴うことなく所期の目的を達成でき
るようにしたロータの構造およびその製造方法を提供し
ようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、自動車の車軸に圧入固定されて、車輪速を検出する
車輪速センサと対向する外周面に円周方向に沿って多数
の穴が等ピッチで形成された磁性材料製のリング状のロ
ータであって、内側リング部と、その内側リング部の外
周にこれと同心状に位置するとともに円周方向に沿って
多数の穴が等ピッチで形成された外側リング部とを有し
ていて、それら内側リング部および外側リング部を含む
断面形状が、一枚の板金素材により閉ループ状のものと
して形成されていることを特徴としている。
【0009】請求項2に記載の発明は、自動車の車軸に
圧入固定されて、車輪速を検出する車輪速センサと対向
する外周面に円周方向に沿って多数の穴が等ピッチで形
成された磁性材料製のリング状のロータであって、内側
リング部と、その内側リング部の外周に該内側リング部
と同心状に配置された外側リング部とが、それら内側,
外側リング部の軸心方向の一端に曲折成形されてその内
側,外側リング部とともに略U字状の断面形状を形成し
ている連結脚部を介して相互に連結されていて、前記外
側リング部には円周方向に沿って多数の穴が等ピッチで
形成されておりとともに、前記内側リング部には外側リ
ング部側に向かって突出して該外側リング部に当接する
突状部がその全周に沿って形成されていることを特徴と
している。
【0010】請求項3に記載の発明は、請求項2に記載
の車輪速センサ用ロータの突状部が、内側リング部の軸
心方向中央部における反外側リング部側の面を印圧して
外側リング部側に向かって突出させて形成したものであ
ることを特徴としている。
【0011】請求項4に記載の発明は、請求項2に記載
の車輪速センサ用ロータの突状部が、内側リング部の反
連結脚部側の端部を外側リング部側に向けて折り曲げて
フランジ状に形成したものであることを特徴としてい
る。
【0012】請求項5に記載の発明は、請求項3に記載
の車輪速センサ用ロータを製造する方法であって、リン
グ状のブランク材に絞り加工を施して外側リング部に相
当する部分を曲折成形しながら深皿状の成形品を成形す
るドロー工程と、ドロー工程を経た成形品のうち内側リ
ング部に相当する部分の一部に印圧加工を施してその全
周に突状部を成形するエンボス工程と、エンボス工程を
経た成形品のうち外側リング部に相当する部分に多数の
穴を形成するピアス工程と、ピアス工程を経た成形品に
ついて、突条部が外側リング部に相当する位置に当接し
てそれら外側リング部および内側リング部同士が相互に
重なり合うように折り曲げる折り曲げ工程とを含むこと
を特徴としている。
【0013】請求項6に記載の発明は、請求項4に記載
の車輪速センサ用ロータを製造する方法であって、リン
グ状のブランク材に絞り加工を施して外側リング部に相
当する部分を曲折成形しながら深皿状の成形品を成形す
るドロー工程と、ドロー工程を経た成形品のうち内側リ
ング部に相当する部分の先端を略直角に折り曲げて突条
部をフランジ状に成形するフランジ曲げ工程と、フラン
ジ曲げ工程を経た成形品のうち外側リング部に相当する
部分に多数の穴を形成するピアス工程と、ピアス工程を
経た成形品について、突条部が外側リング部に相当する
位置に当接してそれら外側リング部および内側リング部
同士が相互に重なり合うように折り曲げる折り曲げ工程
とを含むことを特徴としている。
【0014】請求項7に記載の発明は、請求項5または
請求項6に記載の車輪速センサ用ロータの製造方法であ
って、ドロー工程で深皿状の成形品を絞り成形する際
に、同時に外側リング部に相当する部分と内側リング部
に相当する部分とのなすコーナー部に断面半円状のエン
ボズ部を外側に向けて膨出成形し、次工程であるエンボ
ズ工程もしくはフランジ曲げ工程に移行する前に上記の
エンボズ部をフラット状に押し潰すことを特徴としてい
る。
【0015】したがって、請求項1に記載の発明による
と、ロータの断面形状が閉ループ状のものとして形成さ
れていることから、その製造にあたって閉ループ状の内
部空間に金型の一部を入れる余地はなく、基本的には折
り曲げを繰り返すことで所定の形状に仕上げることがで
きる。そのため、従来のように金型の強度上の問題を伴
うことはないから、先に述べたギャップ寸法ひいてはロ
ータの高さ寸法のより一層の縮小化を実現できるほか、
その閉ループ空間を押し潰そうとする外力に対して充分
に対向でき、コ字状断面のものよりも強度的に有利とな
る。
【0016】特に、請求項2に記載の発明では、内側,
外側リング部と連結脚部および突条部とによって実質的
に断面形状が閉ループ状のものとして形成されているこ
とから、上記の作用が一段と顕著となる。
【0017】また、請求項3に記載の発明によると、印
圧により突条部が形成された内側リング部と多数の穴が
形成された外側リング部とを、折り曲げることによって
互いに重ね合わせた形状であって、また請求項4に記載
の発明では、突条部がフランジ状に曲折成形された内側
リング部と多数の穴が形成された外側リング部とを、折
り曲げることによって互いに重ね合わせた形状であるこ
とから、いずれの場合にも突条部の高さを調整すること
で上記のギャップ寸法Gひいてはロータの高さ寸法も自
由に調整できることになる。
【0018】この場合、請求項3に記載の発明では、内
側リング部のうち反外側リング部の面を印圧して突条部
を形成していることから、その突条部の高さひいてはロ
ータの高さ寸法を一段と小さくすることが可能となる。
【0019】請求項5に記載の発明によると、リング状
のブランク材に絞り加工を施すことにより、外側リング
部を周壁面とし且つ内側リング部に相当する部分を底壁
面とする深皿状の成形品が成形される。そして、この成
形品のうち内側リング部に相当する部分にエンボス加工
として外側から印圧加工を施して突条部を形成する一
方、外側リング部に相当する部分にピアス加工を施して
多数の穴を等ピッチで形成する。この後、外側リング部
と内側リング部に相当する部分とが相互に重なり合うよ
うに折り曲げれば請求項3に記載のロータが形成され
る。
【0020】請求項6に記載の発明によると、請求項5
に記載の方法のうちのエンボス加工に代えて、内側リン
グ部に相当する部分の先端にフランジ曲げ加工を施して
突条部を形成したのちに、その外側リング部と内側リン
グ部に相当する部分とを相互に重ね合わせるように折り
曲げれば、請求項4に記載のロータが形成される。
【0021】請求項7に記載の発明によると、ドロー工
程で同時に膨出成形したエンボス部を、次工程であるエ
ンボズ工程もしくはフランジ曲げ工程に移行する前にフ
ラット状に押し潰すことにより、そのエンボス部の塑性
流動のために外側リング部と内側リング部との間の連結
脚部の曲率半径が著しく小さいものとなって、その頂部
がより鋭角状になる。これにより、内側リング部と外側
リング部とを相互に重ね合わせるように折り曲げる際
に、外側リング部側の材料が内側リング部側に引き込ま
れにくくなって、内側リング部の折り曲げに伴う外側リ
ング部の変形、あるいは多数の穴のピッチや形状の変化
が著しく抑制されて、ロータとしての形状精度の向上と
安定化が図れるようになる。
【0022】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、内側リ
ング部および外側リング部を含む断面形状が、一枚の板
金素材により閉ループ状のものとして形成されているこ
とにより、その閉ループ状の空間部に金型の一部を挿入
することなく折り曲げを基本としたプレス加工法で加工
できることから、従来のように金型の強度上の問題が生
じることがなく、閉ループ空間のギャップ寸法すなわち
ロータの高さ寸法が制約されることがない。その結果、
軽量でしかもコスト的に有利な折り曲げ加工タイプのロ
ータのもつ利点を活かしながら、上記のギャップ寸法を
より小さくすることが可能となる。また、断面形状が閉
ループ状のものであるために、従来の断面コ字状のもの
と比べて剛性が向上する。特に外側リング部に外力が加
わった場合にそれを内側リング部でも負担できることか
ら外側リング部に撓みが生じにくく、ロータ本体の形状
および機能を長寿的に維持できる。
【0023】特に、請求項2に記載の発明のように、上
記の閉ループ状の断面形状が内側,外側リング部と連結
脚部および突条部とで形成されている場合には、加工性
がすぐれるほか、請求項1に記載の発明の効果が一段と
顕著となる。
【0024】請求項3に記載の発明によれば、印圧によ
って突条部が形成された内側リング部と多数の穴が形成
された外側リング部とを、折り曲げることによって互い
に重ね合わせた形状であって、また請求項4に記載の発
明では、突条部がフランジ状に曲折成形された内側リン
グ部と多数の穴が形成された外側リング部とを、折り曲
げることによって互いに重ね合わせた形状であることか
ら、いずれの場合にも請求項2に記載の発明と同様の効
果に加えて、突条部の高さを調整することでロータの高
さ寸法も自由に調整できる効果がある。特に、請求項3
に記載の発明では、内側リング部のうち反外側リング部
の面を印圧して突条部を形成していることから、その突
条部の突出量の微細な調整が容易で、その突条部の高さ
ひいてはロータの高さ寸法を一段と小さくすることが可
能となる利点がある。
【0025】請求項5に記載の発明によれば、リング状
のブランク材に絞り加工を施して深皿状の成形品を成形
し、これに突条部の加工を目的としたエンボス加工と多
数の穴の穴あけを目的としたピアス加工とを施した上
で、内側リング部と外側リング部とに相当する部分とが
相互に重なり合うように折り曲げるようにしており、ま
た請求項6に記載の発明によれば、上記のエンボス加工
に代えてフランジ曲げ加工を施すようにしていることか
ら、いずれの製造方法においても閉ループ状の空間内に
金型の一部を挿入する必要がないために従来のような金
型強度上の問題の発生がなく、それによって請求項3ま
た4記載のロータを無理なく製造できる利点がある。
【0026】さらに、請求項7に記載の発明によれば、
ドロー工程で同時に膨出成形したエンボス部を、次工程
であるエンボズ工程もしくはフランジ曲げ工程に移行す
る前にフラット状に押し潰すことにより、そのエンボス
部の塑性流動のために外側リング部と内側リング部との
間の連結脚部の曲率半径が著しく小さいものとなってそ
の頂部がより鋭角状になることから、内側リング部と外
側リング部とを相互に重ね合わせるように折り曲げる際
に外側リング部側の材料が内側リング部側に引き込まれ
にくくなって、内側リング部の折り曲げに伴う外側リン
グ部の変形、あるいは多数の穴のピッチや形状の変化が
著しく抑制されて、ロータとしての形状精度の向上と安
定化が図れる。
【0027】
【発明の実施の形態】図1は本発明の代表的な実施の形
態を示す図で、1は車輪が装着される車軸側のハブ、3
は車輪速センサ、11は車輪速センサ3の検出面3aと
対向するようにハブ1に圧入固定されたリング状のロー
タである。
【0028】ロータ11はSUS410あるいはSUS
430等のステンレス鋼板により断面形状が略偏平U字
状のものとして形成されていて、外周には円周方向に沿
って矩形状の多数の穴4が等ピッチで形成されている。
【0029】より詳しくは、ロータ11は、平行で且つ
同心状の内側リング部12と外側リング部13とが所定
の間隙(ギャップ寸法)Gを隔てて相互に重なり合った
形状となっていて、それら内側,外側リング部12,1
3の一端の連結脚部たる湾曲部14において両者が互い
に一体なものとして連続している。そして、外側リング
部13には上記のように多数の穴4が等ピッチで形成さ
れている一方、内側リング部12には外側リング部13
側に向かって突出する突条部たるビード部15がその全
周にわたって形成されている。そして、上記のビード部
15の先端は外側リング部13の内周面に密着してお
り、これにより内側,外側リング部12,13の全周を
とおして両者の間に均一な間隙Gが確保されているとと
もに、ロータ11のうち湾曲部14に近い部分ではその
湾曲部14とビード部15および内側,外側リング部1
2,13とにより実質的に断面閉ループ状に形成されて
いる。
【0030】このように構成されたロータ11は、図1
に示すように車軸側のハブ1に圧入固定されることによ
り、図10に示した従来のものと同様に車輪速センサ3
の被検出部として機能することになる。
【0031】そして、使用中において前記ロータ11の
外側リング部13に外力が加わったとしても、ロータ1
1の一部の断面形状が閉ループ状に形成されているため
にその剛性が高く、外側リング部13に作用する外力を
内側リング部12でも負担することになるために外側リ
ング部13の撓みが生じにくく、ロータ11そのものの
形状精度および多数の穴4の形状精度やピッチ精度を長
寿的に維持できるようになる。
【0032】次に、前記ロータ11を製造する手順につ
いて説明すると、図2の(A)に示すブランキング工程
では、母材である平板状のステンレス鋼板にレーザ加工
を施して、中央部にロケート穴32を有するリング状の
ブランク材31を取得した上、それに続く同図(B)の
ドロー工程では、ロケート穴32を基準にブランク材3
1を位置決めしながら絞り加工を施して深皿状の成形品
33を成形する。
【0033】すなわち、成形品33は傾斜底壁部34と
これに連続するフランジ部35とを有する深皿状のもの
として成形され、その傾斜底壁部34がロータ11の内
側リング部12に相当し、フランジ部35が外側リング
部13に相当することになる。そして、成形品33のよ
り一層の形状精度出しのために上記の絞り加工に続いて
リストライク加工が施される。
【0034】リストライク加工に続くエンボス工程で
は、同図(C)に示すように、成形品33の傾斜底壁部
34の中央部を外側から印圧して、その内側の全周に沿
って突条部たるビード部15を形成する。より詳しく
は、図3に示すように、リストライク加工後の成形品3
3について、ポンチ36とダイ37およびパッド38と
の協働により、ポンチ36側の受容凹部36aとパッド
38側の突起部38aとによる印圧作用によってビード
部15を成形する。
【0035】こののち、ピアス工程では、図2の(D)
に示すように、エンボス工程を経た成形品33について
レーザ加工を施して、傾斜底壁部34に連続している非
製品部領域39(同図(C)参照)をカットライン39
aから切断除去する一方、フランジ部35すなわちロー
タ11の外側リング部13に相当する部分に矩形状の多
数の穴4を等ピッチで形成する。
【0036】図2の(E)に示すベンド工程では、ピア
ス加工後の成形品33についてその傾斜底壁部34とフ
ランジ部35とのなす角が45度程度となるまで、フラ
ンジ部35に対して傾斜底壁部34を曲折成形する。よ
り詳しくは、図4に示すように、ポンチ40とダイ41
およびパッド42との協働により、傾斜底壁部34がフ
ランジ部35に対して45度程度となるまで折り曲げ
る。
【0037】続いて、図2の(F)に示すフランジ曲げ
工程では、先に45度程度まで折り曲げられた内側リン
グ部12を外側リング部13に重ね合わせるようにさら
に折り曲げて、内側リング部12に予め形成されている
ビード部15を外側リング部13の内周面に当接させる
ことで、図1に示したようなロータ11が形成される。
【0038】すなわち、図5に示すように、ベンド工程
を経た成形品33をポンチ43とダイ44およびブラン
クホルダ45との協働により加圧拘束することにより、
内側リング部12と外側リング部13とが相互に重なり
合うように折り曲げられてロータ11が形成される。
【0039】このようなロータ11の製造方法によれ
ば、図5に示した最終のフランジ曲げ工程において内
側,外側リング部12,13同士の間に金型の一部を挾
み込む必要がないので、従来のように金型の強度上の問
題が生じることがなく、軽量でしかもコスト的に有利と
されている板金折り曲げタイプの図1に示すロータ11
を無理なく成形することができ、しかも内側,外側リン
グ部12,13同士のなすギャップ寸法Gをビード部1
5の突出量に応じて任意に調整可能であり、したがって
上記のギャップ寸法Gひいてはロータ11の高さ寸法を
より一層小さくすることが可能となる。
【0040】ここで、先に説明したドロー工程、リスト
ライク工程およびエンボス工程に代えて、図6に示すよ
うなファーストドロー工程、セカンドドロー工程および
エンボス工程を採用するようにしてもよい。
【0041】すなわち、図6の(A)に示すファースト
ドロー工程では、ポンチ46とダイ37およびパッド4
7とによりブランク材31から深皿状の成形品33を絞
り成形するものであるが、その際に、外側リング部13
に相当する部分(フランジ部15)と内側リング部12
に相当する部分(傾斜底壁部34)とのなすコーナー部
に比較的大きなアール面取り部を形成するべく断面半円
状のエンボス部48を成形する。例えば、ブランク材3
1の板厚が2mm程度であればR4程度の曲率をもつエ
ンボス部48を成形する。
【0042】そして、ファーストドロー工程に続く同図
(B)のセカンドドロー工程は先に述べたリストライク
工程と同等の加工を目的としたものであるが、ポンチ4
9とダイ50およびパッド51とにより成形品33を加
圧拘束する際に、先に成形したエンボス部48を押し潰
してフラット状に戻すように成形する。これにより、エ
ンボス部48の塑性流動のためにそのセカンドドロー工
程で成形された成形品33の外側リング部13に相当す
る部分と内側リング部12に相当する部分との間のアー
ル面取り部すなわち湾曲部14の曲率半径が著しく小さ
いものとなって、その頂部がより鋭角状になる。
【0043】こののち、図6の(C)に示すように、ポ
ンチ52とダイ53およびパッド54とによりビード部
15を印圧成形するものであるが、そのビード部15の
位置を図3に示したものよりも一層外側フランジ部13
に近付けて成形しておく。そして、以降は図2の
(D),(E),(F)と同様のピアス加工、ベンド加
工およびフランジ曲げ加工を施して成形する。
【0044】このように、湾曲部14の曲率半径が可及
的に小さくなるように予備加工しておくことにより、図
2の(E)および図4に示すベンド工程において内側リ
ング部12に相当する部分を45度程度まで折り曲げる
際に、その内側リング部12の折り曲げ度合の進行に伴
う外側リング部13側から内側リング部12側への塑性
流動がきわめて安定化し、外側リング部13側の材料が
内側リング部12側に引き込まれにくくなる。その結果
として、その内側リング部12の折り曲げに伴う外側リ
ング部13の変形、あるいは多数の穴4のピッチや形状
の変化が著しく抑制されて、ロータ11としての形状精
度の向上と安定化が図れるようになる。
【0045】図7は本発明の他の実施の形態を示す図
で、突条部たるビード部16が断面矩形状に形成されて
いる点で図1に示したものと異なっている。
【0046】本実施形態におけるロータ11についても
基本的には図2に示した製造方法と同様の方法で製造す
ることができ、特にビード部16については図2の
(C)および図3に示したエンボス工程としていわゆる
半抜き加工法を採用し、内側リング部12に相当する部
分の裏面側を印圧して角溝状に窪ませれば、それと反対
側にはその角溝形状に対応した断面矩形状のビード部1
6が突出成形されることになる。
【0047】図8は本発明のさらに他の実施の形態を示
す図で、ロータ11の内側リング部12のうち反湾曲部
14側の先端に突条部としてフランジ部17が形成され
ていて、このフランジ部17の先端面が外側リング部1
3の内周面に当接している点で先の二つの実施の形態と
異なっている。
【0048】この実施の形態におけるロータ11は、図
9に示すような手順で製造することができる。すなわ
ち、図9の(A)に示すブランク材55を得るためのブ
ランキング工程と同図(B)に示すドロー工程およびそ
れに続く図示外のリストライク工程は図2に示すものと
実質的に同一であって(ただし、図2に示す非製品部領
域39は付帯していない)、図9の(C)に示すフラン
ジ曲げ工程では、リストライク工程を経た成形品56の
うち内側リング部12に相当する部分の先端をほぼ直角
に折り曲げてフランジ部17を成形する。そして、以降
は基本的に図2と同様にピアス工程(図9の(D))、
ベンド工程(同図(E))およびフランジ曲げ工程(同
図(F))を経ることにより最終的に図8に示したロー
タ11が成形される。
【0049】この実施形態のロータ11についても、フ
ランンジ部17の高さ寸法を調整することでギャップ寸
法Gを任意に調整することが可能であり、それによって
先の実施形態と同様にギャップ寸法Gの縮小化が図れ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態のロータおよび車輪速
センサを含む車輪速検出部の要部断面図。
【図2】図1に示すロータの加工手順を示す工程説明
図。
【図3】図2の(C)の要部拡大断面図。
【図4】図2の(E)の要部拡大断面図。
【図5】図2の(F)の要部拡大断面図。
【図6】図1に示すロータの加工手順の変形例を示す工
程説明図。
【図7】本発明の第2の実施形態のロータおよび車輪速
センサを含む車輪速検出部の要部断面図。
【図8】本発明の第3の実施形態のロータおよび車輪速
センサを含む車輪速検出部の要部断面図。
【図9】図8に示すロータの加工手順を示す工程説明
図。
【図10】従来のロータおよび車輪速センサを含む車輪
速検出部の要部断面図。
【図11】図10に示すロータの加工時の説明図。
【符号の説明】
1…ハブ(車軸) 3…車輪速センサ 4…穴 11…ロータ 12…内側リング部 13…外側リング部 14…湾曲部(連結脚部) 15…ビード部(突条部) 16…ビード部(突条部) 17…フランジ部(突条部) 31…ブランク材 33…成形品 48…エンボス部 55…ブランク材 56…成形品

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自動車の車軸に圧入固定されて、車輪速
    を検出する車輪速センサと対向する外周面に円周方向に
    沿って多数の穴が等ピッチで形成された磁性材料製のリ
    ング状のロータであって、 内側リング部と、その内側リング部の外周にこれと同心
    状に位置するとともに円周方向に沿って多数の穴が等ピ
    ッチで形成された外側リング部とを有していて、 それら内側リング部および外側リング部を含む断面形状
    が、一枚の板金素材により閉ループ状のものとして形成
    されていることを特徴とする車輪速センサ用ロータ。
  2. 【請求項2】 自動車の車軸に圧入固定されて、車輪速
    を検出する車輪速センサと対向する外周面に円周方向に
    沿って多数の穴が等ピッチで形成された磁性材料製のリ
    ング状のロータであって、 内側リング部と、その内側リング部の外周に該内側リン
    グ部と同心状に配置された外側リング部とが、それら内
    側,外側リング部の軸心方向の一端に曲折成形されてそ
    の内側,外側リング部とともに略U字状の断面形状を形
    成している連結脚部を介して相互に連結されていて、 前記外側リング部には円周方向に沿って多数の穴が等ピ
    ッチで形成されておりとともに、 前記内側リング部には外側リング部側に向かって突出し
    て該外側リング部に当接する突状部がその全周に沿って
    形成されていることを特徴とする車輪速センサ用ロー
    タ。
  3. 【請求項3】 前記突状部は、内側リング部の軸心方向
    中央部における反外側リング部側の面を印圧して外側リ
    ング部側に向かって突出させて形成したものであること
    を特徴とする請求項2記載の車輪速センサ用ロータ。
  4. 【請求項4】 前記突状部は、内側リング部の反連結脚
    部側の端部を外側リング部側に向けて折り曲げてフラン
    ジ状に形成したものであることを特徴とする請求項2記
    載の車輪速センサ用ロータ。
  5. 【請求項5】 請求項3記載の車輪速センサ用ロータを
    製造する方法であって、 リング状のブランク材に絞り加工を施して外側リング部
    に相当する部分を曲折成形しながら深皿状の成形品を成
    形するドロー工程と、 ドロー工程を経た成形品のうち内側リング部に相当する
    部分の一部に印圧加工を施してその全周に突状部を成形
    するエンボス工程と、 エンボス工程を経た成形品のうち外側リング部に相当す
    る部分に多数の穴を形成するピアス工程と、 ピアス工程を経た成形品について、突条部が外側リング
    部に相当する位置に当接してそれら外側リング部および
    内側リング部同士が相互に重なり合うように折り曲げる
    折り曲げ工程、 とを含むことを特徴とする車輪速センサ用ロータの製造
    方法。
  6. 【請求項6】 請求項4記載の車輪速センサ用ロータを
    製造する方法であって、 リング状のブランク材に絞り加工を施して外側リング部
    に相当する部分を曲折成形しながら深皿状の成形品を成
    形するドロー工程と、 ドロー工程を経た成形品のうち内側リング部に相当する
    部分の先端を略直角に折り曲げて突条部をフランジ状に
    成形するフランジ曲げ工程と、 フランジ曲げ工程を経た成形品のうち外側リング部に相
    当する部分に多数の穴を形成するピアス工程と、 ピアス工程を経た成形品について、突条部が外側リング
    部に相当する位置に当接してそれら外側リング部および
    内側リング部同士が相互に重なり合うように折り曲げる
    折り曲げ工程、 とを含むことを特徴とする車輪速センサ用ロータの製造
    方法。
  7. 【請求項7】 請求項5または6記載の車輪速センサ用
    ロータの製造方法であって、 ドロー工程で深皿状の成形品を絞り成形する際に、同時
    に外側リング部に相当する部分と内側リング部に相当す
    る部分とのなすコーナー部に断面半円状のエンボズ部を
    外側に向けて膨出成形し、次工程であるエンボズ工程も
    しくはフランジ曲げ工程に移行する前に上記のエンボズ
    部をフラット状に押し潰すことを特徴とする車輪速セン
    サ用ロータの製造方法。
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