JPH09192628A - 集塵機灰の処理方法 - Google Patents
集塵機灰の処理方法Info
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- JPH09192628A JPH09192628A JP31698296A JP31698296A JPH09192628A JP H09192628 A JPH09192628 A JP H09192628A JP 31698296 A JP31698296 A JP 31698296A JP 31698296 A JP31698296 A JP 31698296A JP H09192628 A JPH09192628 A JP H09192628A
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Abstract
ケル化合物などが簡単に回収出来ると共に、最近の廃水
放流に関する規制にも対応でき、しかも経済的な集塵機
灰の処理が可能な方法を提供すること。 【解決手段】化石燃料の燃焼の際に得られる少なくとも
硫酸アンモニウムを含有する集塵機灰に、酸化剤により
酸化を行う前に、不要な過剰の溶解成分を除去し、不溶
性残渣とその後の工程で有効に機能する溶解成分及びそ
の後の工程で加熱しても悪影響を及ぼさない溶解成分の
みを対象として酸化を行うことを特徴とする集塵機灰の
処理方法。
Description
重油、タール、アスファルト、石炭等、並びにこれらを
エマルジョン化した燃料の燃焼の際に得られる集塵機灰
の内、硫酸もしくは亜硫酸のアンモニウム塩ないし酸性
アンモニウム塩(以下、硫酸アンモニウム塩類と略
記)、又は更に硫酸もしくは亜硫酸のマグネシウム塩な
いし酸性マグネシウム塩(以下、硫酸マグネシウム塩類
と略記)を含有する集塵機灰を水に懸濁・濾過して処理
する湿式処理法において、合理的にバナジウム化合物、
ニッケル化合物を回収すると共に、他方に窒素分を含有
せず、放流可能な廃水を得る方法である。特に高品質の
バナジウム化合物を簡易な方法で回収する方法を提供す
る。また、この廃水はマグネシウム化合物の原料として
使用可能な硫酸マグネシウム水溶液として得られる。
性物質と水不溶性の物質に分離して処理する所謂、湿式
処理方法は公知である(特開昭50−8796号公報、
特開昭50−10799号公報、特開昭60−1908
6号公報、特開昭60−46930号公報、特開昭61
−171582号公報、特開昭61−171583号公
報、特開昭62−298489号公報など)。この際、
懸濁液を酸性にする処理、酸化する処理、還元する処理
を加えて、処理の効率を高める方法も種々提案されてい
る。
が一般に相当量の硫酸アンモニウム塩類を含有している
ため、その硫酸アンモニウム塩類がバナジウム分などの
析出・回収後の廃水中に含有され、最近の閉鎖性海域へ
の放流廃水についての規制強化に伴って、重大な問題と
なっている。これに対応して廃水に水酸化カルシウムを
加えて、アンモニアを遊離させて気化・分離し、液中に
生じる硫酸カルシウム(石膏)を濾過した後、濾液を放
流する方法が提案されている。また、このいわゆるアン
モニアストリッピングの前又は後に鉄、ニッケルなどの
分離除去工程を加えた方法も提案されている。
る上記の従来法では取得すべき有価金属、特にバナジウ
ムを出来るだけ多く溶解するための操作を加えることが
しばしば行われて来た。しかし、それらの操作ではバナ
ジウムの大半を溶解することが出来ず、そのため、バナ
ジウムの取得にはその溶液と共に不溶性残渣をも別途処
理する必要があった。
る以前に酸化してバナジウムの溶解性を増加させる方法
も考え出されている(特開昭62−298489号公
報)。しかし、この方法では大容量の懸濁液を70℃以
上に加熱して空気酸化する必要があり、更にメタバナジ
ン酸アンモニウム析出のときの溶解損失を少なくする為
には大量の液を20℃以下に冷却しなくてはならないの
で、エネルギー消費が大きいという問題を残している。
また、濾過工程が一段であり、不純物の夾雑を十分回避
することができないため、得られるバナジウムの品位に
も問題があった。
る水酸化カルシウムによる石膏沈澱法では、大量の石膏
が生じるため大型の濾過設備が必要であり、しかもニッ
ケルを回収するためには再び、大量の石膏の濾過をしな
くてはならないという問題点がある。即ち、ニッケルが
石灰で水酸化物として石膏と共に沈殿してしまうため、
大量の石膏スラリーを分級機にかけて石膏とニッケル
水酸化物とに分離した後、それぞれを濾過するか、石
膏中のニッケル水酸化物のみを酸で溶解した後、石膏を
濾過分離し、濾液を中和してニッケル水酸化物を再び沈
殿させ、濾過取得する方法を採らなくてはならないため
(特開昭61−171583号公報)、設備は大型且つ
複雑にならざるを得なかった。
シウム化合物を燃料中に含有しているものも存在する
他、燃焼時に生成する腐食性物質による腐食防止用のマ
グネシウム化合物を添加する方法がしばしば採用されて
いる。このため、集塵機灰に硫酸アンモニウム塩類のみ
ならず硫酸マグネシウム塩類が共に含有される場合に
は、石膏にニッケル水酸化物のみならず、酸化マグネシ
ウム又は水酸化マグネシウムも混入するため、上記のよ
うな方法での解決をより困難にしている。従って、上記
のような問題点が解決できる画期的な処理方法が求めら
れている。
的な欠点を解決する斬新かつ総合的な方法により、集塵
機灰から高品位のバナジウム化合物、ニッケル化合物な
どが簡単に回収出来ると共に、最近の廃水放流に関する
規制にも対応でき、しかも経済的な集塵機灰の処理が可
能な方法を提供することにある。
的を達成すべく鋭意検討した結果、集塵機灰を水に懸濁
した後、中和・濾過することによって、バナジウム分を
実質的に含有しない水溶液とバナジウム分の殆どすべて
を含有する不溶性物質とに分離し、次いでこの不溶性物
質を酸化処理等することにより、前記の課題が解決でき
ることを見いだし、本発明を完成するに至った。つま
り、本発明は、酸化剤により酸化を行う前に、不要な過
剰の溶解成分を除去し、不溶性残渣とその後の工程で有
効に機能する溶解成分及びその後の工程で加熱しても悪
影響を及ぼさない溶解成分のみを対象として酸化を行う
ことにより、前述のような問題もなく、高品位のバナジ
ウム化合物を得ることができると共に、副生物として簡
単な設備・操作でニッケル水酸化物及び硫酸マグネシウ
ム水溶液が得られ、これらは有効利用乃至は環境に問題
を生じない処理をすることができる。
アンモニウム塩類を含有する集塵機灰に、下記(a)〜
(h)の工程を施すことを特徴とする集塵機灰の処理方
法、(a) 集塵機灰を水に懸濁する工程、(b) 上
記の懸濁液にアルカリを加えて中和し、pH6〜9とす
る工程、(c) 上記の中和された懸濁液を濾過する工
程、(d) 工程(c)で得られた濾過残渣を水に懸濁
して苛性アルカリを加えた後、酸化剤により酸化を行う
工程、(e) 工程(d)で得られた懸濁液に酸を加え
てpH6〜9とした後、濾過する工程、(f) 工程
(e)で得られた濾液を70〜90℃に加熱した後、ア
ンモニウム塩を加えて冷却し、濾過して析出したメタバ
ナジン酸アンモニウムを得る工程、(g) 工程(c)
で得られた濾液と工程(f)で得られた濾液を混合し、
これに酸化マグネシウム及び/又は水酸化マグネシウム
を加えて加熱し、アンモニアを発生させると共にニッケ
ル水酸化物を含有する物質を析出させる工程、(h)
工程(g)で得られた懸濁液を濾過して硫酸マグネシウ
ムを含有する水溶液とニッケル水酸化物を含有する物質
とを得る工程、 (2) 工程(b)の中和に際し、予めバナジウムの還
元剤を添加する上記(1)記載の処理方法、 (3) 工程(d)の酸化剤による酸化が、大気圧以上
の圧力の空気と懸濁液との接触により行われるものであ
る上記(1)記載の処理方法、 (4) 工程(d)の酸化剤による酸化が、過酸化水素
または次亜塩素酸塩水溶液の添加により行われるもので
ある上記(1)記載の処理方法、 (5) 工程(f)で使用するアンモニウム塩が、工程
(g)で発生するアンモニアを硫酸で中和して得られる
硫酸アンモニウムである上記(1)〜(4)いずれか記
載の処理方法、 (6) 化石燃料の燃焼の際に得られる少なくとも硫酸
アンモニウム類を含有する集塵機灰に、下記(A)〜
(F)の工程を施すことを特徴とする集塵機灰の処理方
法、(A) 集塵機灰を水に懸濁・攪拌する工程、
(B) 上記の懸濁液にアルカリを加えて中和し、pH
6〜9とする工程、(C) 上記の中和された懸濁液か
ら水溶液の部分の40〜80%を分離する工程、(D)
工程(C)で得られた濃縮懸濁液にアルカリを加えp
Hを7〜10とした後、酸化剤により酸化を行う工程、
(E) 工程(D)で得られた懸濁液をpH4〜8とし
た後、60〜90℃で濾過する工程、(F) 工程
(E)で得られた濾液を15〜35℃に冷却した後、濾
過して析出したメタバナジン酸アンモニウム及び/又は
バナジン酸ナトリウム・アンモニウムを得る工程、 (7) 工程(B)の中和に際し、pHを7〜8とする
ことを特徴とする前記(6)記載の処理方法、 (8) 工程(B)において、さらに還元剤として亜硫
酸ナトリウム又は亜硫酸ガスを添加することを特徴とす
る前記(6)記載の処理方法、 (9) 工程(C)において、水溶液の分離工程が沈降
濃縮工程であることを特徴とする前記(6)記載の処理
方法、 (10) 工程(C)において、水溶液の分離工程が濾
過工程であることを特徴とする前記(6)記載の処理方
法、 (11) 工程(D)の酸化剤による酸化が、懸濁液と
0〜10kg/cm2 Gの空気又は酸素含有ガスとの接
触により行われるものであることを特徴とする前記
(6)記載の処理方法、並びに (12) 工程(D)の酸化剤による酸化が、過酸化水
素水または次亜塩素酸塩水溶液の添加により行われるも
のであることを特徴とする前記(6)記載の処理方法、
に関する。
なる集塵機灰について説明する。化石燃料の燃焼の際に
は発生する排ガスの中のダストを除去するために、電気
集塵機を使用するのが一般的である。その場合、集塵効
率を保つためには、ダストの電気抵抗値を制御する必要
があり、その目的でアンモニア水が散布される。排ガス
はSOXとO2 を含有しているので電気集塵機で捕集さ
れる灰には硫酸アンモニウム塩類が多量に含有されてい
る。
中には本来、マグネシウム化合物を含有しているもの
や、燃焼時に腐食性物質を生成するためその防止のため
に使用に当たってマグネシウム化合物の添加を必要とす
るものがある。これらではマグネシウム化合物は電気集
塵機で硫酸マグネシウムとして捕集されるので、集塵機
灰は硫酸マグネシウム塩類を含有することになる。
酸化物などの水不溶性の灰分の他に多量の硫酸アンモニ
ウム塩類又は硫酸アンモニウム塩類と硫酸マグネシウム
塩類を含有しており、これから有価金属を回収する一
方、他の成分を環境に問題のないように処理することが
必要である。集塵機灰の組成(乾燥品についての分析
値)の例を表1に示す。ここでは電気集塵機灰について
説明したが、本発明は同様の成分を有する他の集塵機灰
にも適用されることは勿論である。
本発明は二つの実施態様に分けることができる。第1の
態様は工程(a)〜(h)からなり、第2の態様は工程
(A)〜(F)からなるものである。まず、本発明の第
1の態様について説明する。工程(a)は、集塵機灰を
水に懸濁する工程である。集塵機灰の懸濁の際には、適
当な装置で攪拌等することが好ましい。この工程によ
り、集塵機灰を水に懸濁し40〜60℃で攪拌するとp
Hは2〜4、通常約3を示し、硫酸アンモニウム塩類、
硫酸マグネシウム塩類およびニッケル、鉄等の金属の塩
類は溶解する。また、バナジウム化合物の一部は溶解
し、他の部分は溶解せずに残る。
加えて中和し、pH6〜9、好ましくはpH7〜8とす
る工程である。ここで、用いられるアルカリとしては、
特に限定されることなく、NaOH,Na2 CO3 ,K
OH,K2 CO3 ,NH3 等が好ましく用いられる。
していたバナジウム化合物の大部分は析出するが、その
際、pH7〜8とするのがバナジウム化合物の析出率の
点から好ましい。
ジウムの還元剤を添加することにより、バナジウム化合
物の析出はより完全に近づく。この時、還元剤として
は、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ガス、硫化アンモニウム
などが好ましく用いられ、また添加後の攪拌により還元
が好適に行われる。
濾過する工程である。この工程により、バナジウム化合
物、カーボンなどの不溶性物質、および集塵機灰に含有
されていたニッケルのうち塩基性硫酸ニッケルとして沈
澱したものを含有する濾過残渣と、硫酸アンモニウム、
硫酸マグネシウム、および上記の沈澱に至らなかったニ
ッケル等の金属の塩を含有し、バナジウム化合物の含有
量の極めて低い水溶液とが得られる。即ち、集塵機灰に
含まれるバナジウム成分のうち、通常90〜95%が工
程(c)の濾過残渣に含有されることになる。なお、濾
過の操作等は特に限定されることなく、通常公知の操作
等がいずれも適用できる(以下の工程についても同
様)。
残渣を水に懸濁して苛性アルカリを加えた後、酸化剤に
より酸化を行う工程である。ここで、苛性アルカリとし
ては、NaOH、KOH等が好ましく用いられる。ま
た、酸化剤による酸化は、酸素含有ガス、好ましくは大
気圧以上の圧力の空気と懸濁液との接触や、過酸化水素
または次亜塩素酸塩水溶液等の液体酸化剤の添加などに
より、好適に行うことができ、最も経済的なのは空気と
接触させる方法である。
用いて酸素含有ガスで行う場合には下記の式(I)に従
うものと考えられる。 4VO(OH)2 +4NaOH+O2 →4NaVO3 +6H2 O (I) ここで、苛性アルカリは存在する4価のバナジウムと等
モルが理論量であるが、反応速度には苛性アルカリの存
在量が関係し、特に3倍量までは反応速度の増大が著し
い。従って、苛性アルカリは、濾過残渣中の全バナジウ
ムに対して3〜4倍モル使用すれば十分である。
化は徐々に進行するが、それからpH8付近までは速度
は急速に増大し、それ以上のpH範囲では速度の増大は
僅少になる。また、アルカリの添加量はその費用及びそ
の後の工程などへの影響の面から、必要最小限度に止め
るのが好ましい。従って、この工程における酸化反応
は、通常pH6〜12、好ましくはpH7〜10で行わ
れる。
℃、好ましくは45〜55℃で2時間酸化すると、バナ
ジウム成分は95%以上溶解する。この反応においては
ガスと液の接触の良否が反応速度を著しく支配するの
で、接触効率が良くなるように十分な配慮が必要であ
る。一方、反応温度の影響は少ないので経済性を考慮し
適当に選ぶことが出来る。この場合、大気圧以上の圧力
を適用すると必要な反応時間は圧力にほぼ反比例し、圧
力5kg/cm2 では反応時間を20分以下にすること
が可能である。従って、連続攪拌槽式の反応形式を採用
することが経済的に成り立ち得る。
過酸化水素水あるいは次亜塩素酸塩水溶液で行うことも
可能であり、その場合、上記の式(I)を基にして計算
された理論量の1.0〜1.2倍モル程度添加すればよ
い。
液に酸を加えてpH6〜9とした後、濾過する工程であ
る。この工程により、pH6〜9とすると、Fe,A
l,Si等の不純物が沈澱するため、濾過によって灰中
に存在したカーボンと共に除去することができる。この
際、pH7〜8とするのが不純物の沈澱率の点から好ま
しい。
されることはないが、硫酸、塩酸等が好ましく使用され
る。
を70〜90℃に加熱した後、アンモニウム塩を加えて
冷却し、濾過して析出したメタバナジン酸アンモニウム
を得る工程である。ここで、冷却はメタバナジン酸アン
モニウムの回収率の点から、25℃以下まで徐々に行う
ことが好ましいが、それ以上の温度でも回収は可能であ
る。また、アンモニウム塩としては、硫酸アンモニウ
ム、塩化アンモニウム等が好ましく用いられる。特に、
工程(g)で発生するアンモニアを硫酸で中和して得ら
れる硫酸アンモニウムを利用すると、工業上有利に本発
明の処理方法を実施することができる。
に、pH6〜9で水溶性である化合物の大半は濾液側に
行き、バナジウム化合物の取得工程側に行かないため、
工程(f)で得られるメタバナジン酸アンモニウムの品
位は極めて高く保つことができる。
と工程(f)で得られた濾液を混合し、これに酸化マグ
ネシウム及び/又は水酸化マグネシウムを加えて加熱
し、アンモニアを発生させると共にニッケル水酸化物を
含有する物質を析出させる工程である。
ることはないが、アンモニアガスの除去の効率の点か
ら、85℃以上で熱空気または水蒸気を吹き込む方法が
好ましく用いられる。また、加熱温度としては、90〜
105℃程度が適当である。酸化マグネシウム及び/又
は水酸化マグネシウムは、硫酸アンモニウムの分解にお
ける次の反応式(酸化マグネシウムの場合)から計算さ
れる化学量論量の約1.5倍使用することが必要であ
る。 (NH4 )2 SO4 +MgO → MgSO4 +2NH
3 +H2 O
液を濾過して硫酸マグネシウムを含有する水溶液とニッ
ケル水酸化物を含有する物質とを得る工程である。上記
のように工程(g)では過剰量のマグネシウム化合物を
使用するため、析出するニッケル水酸化物はマグネシウ
ム化合物が夾雑されるが、そのままニッケル原料とする
ことが出来る。
グネシウム化合物を除去する必要がある場合には、これ
を水に懸濁し、硫酸または二酸化硫黄を含有するガスで
pH6.5〜9とした後、濾過することで目的を達する
ことが出来る。一方、硫酸マグネシウムを含有する水溶
液は、アンモニア性窒素濃度が低いため廃水の放流規制
の問題がなく、あるいはマグネシウム化合物原料として
の利用することが出来る。
グネシウムによるアンモニアストリッピングに関して
は、特願平6−301347号に詳細が開示されてい
る。
る。工程(A)は、集塵機灰を水に懸濁する工程であ
る。集塵機灰の懸濁の際には、灰中の塊状固化物を分散
させるため適当な装置で攪拌することが必要である。通
常、集塵機灰1kgを水3〜5リットルに懸濁する。こ
の工程において、集塵機灰を水に懸濁し40〜60℃で
攪拌するとpHは2〜4、通常約3を示し、硫酸アンモ
ニウム、硫酸マグネシウムおよびニッケル、鉄等の金属
の塩は溶解する。しかし、バナジウム化合物の一部は溶
解し、他の部分は溶解せずに残る。
液にアルカリを加えて中和し、pH6〜9、好ましくは
pH7〜8とする工程である。ここで、用いられるアル
カリとしては、特に限定されることなく、NaOH,N
a2 CO3 ,KOH,K2 CO3 ,NH3 等が好ましく
用いられる。固体状のものは固体でも水溶液状でも使用
可能である。中和時の懸濁液の温度は操作に支障がない
限り特に制限はない。
解していたバナジウム化合物の大部分は析出するが、そ
の際、pH7〜8とするのがバナジウム化合物の析出率
の点から好ましい。
ジウムの還元剤を添加することにより、バナジウム化合
物の析出はより完全に近づく。この時、還元剤として
は、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ガス、硫化アンモニウム
などが好ましく用いられ、また添加後の攪拌により還元
効率が上昇し、還元の時間は1時間で充分となる。
された懸濁液を水溶液部分と沈殿部分とに分離し、濃縮
懸濁液を取得する工程である。分離操作としては、各種
の沈殿濃縮方法、濾過方法等が挙げられる。
式沈殿濃縮装置、連続式沈殿濃縮装置(シックナー)な
どが挙げられるが、より効率を高めるためには、化学工
学便覧「沈降」の項に記載の各種の遠心沈降器(デカン
ター)、沈降分級器、水力分級器、機械的分級器、遠心
分級器、液体サイクロンなどを用いることができる。濾
過方法としては、第1の態様の工程(c)と同様な方法
が利用できる。
0〜80%程度分離除去することが好ましい。水溶液部
分の分離率は一般に高い程好ましいが、集塵機灰中のバ
ナジウム含有量が高い場合には、あまりに分離率を高く
すると、生成したバナジン酸アンモニウム塩類の析出・
濾過操作に困難を来すことがあり、また集塵機灰中のカ
ーボン分が高いときには、工程(C)で得られる酸化用
の濃縮懸濁液の粘度が高くなり過ぎて工程(D)の操作
に支障を来すこともある。一方、この分離率があまりに
低いと、本発明の目的とするバナジウムの回収操作の効
率が損なわれる。
ボンなどの不溶性物質、および集塵機灰に含有されてい
たニッケルのうち塩基性硫酸ニッケルとして沈澱したも
のを含有する濃縮懸濁液と、硫酸アンモニウム、硫酸マ
グネシウム、および上記の沈澱に至らなかったニッケル
等の金属の塩を含有し、バナジウム化合物の含有量の極
めて低い水溶液とが得られる。即ち、集塵機灰に含まれ
るバナジウム成分のうち、通常90〜95%が工程
(C)の濃縮懸濁液に含有されることになる。
懸濁液にアルカリを加えた後、酸化剤により酸化を行う
工程である。ここで、アルカリとしては、NaOH、K
OH、NH3 等が好ましく用いられる。また、酸化剤に
よる酸化は、大気圧以上の圧力の空気又は酸素含有ガス
と懸濁液との接触により、又は過酸化水素水または次亜
塩素酸塩水溶液等の液体酸化剤の添加などにより、好適
に行うことができる。
様の工程(d)の説明がそのまま妥当し、NaOHを用
いて酸素含有ガスで行う場合には下記の式(I)に従う
ものと考えられる。 4VO(OH)2 +4NaOH+O2 →4NaVO3 +6H2 O (I) ここで、アルカリは存在する4価のバナジウムと等モル
が理論量であるが、反応速度にはアルカリの存在量が関
係し、特に3倍量までは反応速度の増大が著しい。従っ
て、アルカリは、濃縮懸濁液中の全バナジウムに対して
2〜6倍モル、好ましくは3〜4倍モル使用する。
化は徐々に進行するが、それからpH8付近までは速度
は急速に増大し、それ以上のpH範囲では速度の増大は
僅少になる。また、アルカリの添加量はその費用及びそ
の後の工程などへの影響を考慮すると、必要最小限度に
止めるのが好ましい。従って、この工程における酸化反
応は、通常pH7〜10、好ましくはpH7〜9で行わ
れる。
ましくは45〜55℃で2〜10時間、好ましくは3〜
6時間酸化すると、バナジウム成分はほとんど溶解す
る。この反応においてはガスと液の接触面積が反応速度
を支配するので、接触効率が良くなるようにな配慮が必
要である。その方法としては、邪魔板付きの反応容器、
円板付きタービン翼攪拌機、空気吹き込み管からなる装
置を使用するのが最も一般的であり、その設計方法は成
書(山本一男他著「改定攪拌装置」56〜58頁、「化
学工学便覧改訂三版」1088〜1091頁、亀井三郎
編「化学機械の理論と計算」(第2版)449〜450
頁)から明らかである。
合、最も経済的なのは空気を使用する方法である。空気
を使用するときは、常圧の空気でも使用可能であるが、
大気圧以上の空気を使用すると効果的に酸化することが
できる。これは、大気圧以上の圧力を適用すると必要な
反応時間が圧力にほぼ反比例し、圧力5kg/cm2 G
では反応時間が常圧の場合の約6分の一になるからであ
る。使用圧力は耐圧反応器の必要容量と製造コストから
算出・決定することができる。この場合、連続攪拌槽列
の反応形式を採用することが反応槽の総容量を小さくす
ることに有効である(大竹伝雄「反応装置の設計−工業
反応速度論とその適用−」158〜175頁、ワラス著
(大竹伝雄ら訳)「化学技術者のための反応工学」80
〜97頁)。
過酸化水素水あるいは次亜塩素酸塩水溶液で行うことも
可能であり、その場合、上記の式(I)に従って計算さ
れた理論量の0.9〜1.5倍モル、好ましくは1.0
〜1.2倍モル程度添加すればよい。この場合、過酸化
水素水は通常10〜30%水溶液を、また次亜塩素酸塩
水溶液は通常有効塩素量3〜10%の水溶液を使用す
る。反応温度は通常40〜90℃、好ましくは50〜8
0℃である。反応時間は通常0.5〜3時間、好ましく
は0.5〜1時間である。
液を温度60〜90℃、pH6〜9に調整した後、濾過
する工程である。この工程において、温度60〜90
℃、pH6〜9とすると、V化合物は溶解し、Fe,A
l,Si等の不純物が沈澱するため、濾過によって灰中
に存在するカーボンと共に除去することができる。この
際、pHは7〜8とするのが不純物の沈澱率の点から好
ましい。この工程により、酸化バナジウムは濾液中に回
収される。
リとしては、特に限定されることはないが、硫酸、塩
酸、アンモニア、水酸化ナトリウム等が好ましく使用さ
れる。
を冷却してメタバナジン酸アンモニウム及び/又はバナ
ジン酸ナトリウム・アンモニウムを析出させた後、濾過
して析出したメタバナジン酸アンモニウム及び/又はバ
ナジン酸ナトリウム・アンモニウムを得る工程である。
工程(f)と異なり、濾液には原料類に由来するアンモ
ニウム塩が既に充分含有されているので、新たに添加す
る必要は原則としてない。ここで、冷却はメタバナジン
酸アンモニウムの回収率の点から、35℃以下、好まし
くは30〜10℃まで徐々に行う。
(C)の分離の際に、pH6〜9で水溶性である化合物
のうちの多くは分離された水溶液側に行き、バナジウム
化合物の取得工程側に行かないため、工程(F)で得ら
れるメタバナジン酸アンモニウムの品位は極めて高く保
つことができる。
明するが、本発明はこれらの実施例等によりなんら限定
されるものではない。
分換算1000g)を水5000ml中に懸濁し、40
〜45℃で48%NaOH 126mlを加えて、pH
8.0とし、1時間攪拌した後、濾過した。濾液及び濾
過残渣について分析した結果、表2の行1及び行2のよ
うな値を得た。このようにバナジウム成分の91%が濾
過残渣中に含有されていることが分かった。
gを添加したところ、表2の行3及び行4のような値を
得た。このように亜硫酸ナトリウムによるバナジウムの
還元により、濾液中のバナジウム成分の含有量が、著し
く減少していることが分かった。
使用したところ、表2の行5及び行6のような結果を得
た。このように、異なる集塵機灰を使用しても、実施例
1と同様の結果が得られた。
使用したところ、表2の行7及び行8のような結果を得
た。このように、異なる集塵機灰を使用しても、実施例
2と同様の結果が得られた。
ジウム総量)= 5.09g、内V4+ が90.5%) を水250m
lに懸濁し、48%NaOH 26.3gを加えてpH
10.0とし、50〜55℃で3時間タービン型攪拌翼
で攪拌しながら50ml/min.の空気を吹き込んで
酸化した。その後、H2 SO4 :H2 O(1:1)の硫
酸7.5gを加えてpH8.0とし、濾過した。濾過残
渣は乾燥後、分析した。その値は表3の第3列に示した
通りであり、溶解しなかったバナジウムは全Vとして、
0.026/5.09=0.5%であった。濾液を70
℃に昇温した後、更に硫安20gと微量のメタバナジン
酸アンモニウム種結晶を添加し、放冷して、20℃とし
た。これを濾過し、乾燥してメタバナジン酸アンモニウ
ム11.09gを得た。一方、濾液は分析した。それら
の分析値などは表3の第4列及び第5列に示した。
9g、内V4+ が90.5%)を内容積1Lのガラス製のオート
クレーブ内で水250mlに懸濁し、48%NaOH
26.3gを加え、50〜55℃でタービン型攪拌翼
(45mmφ,600rpm)で攪拌しながら、オート
クレーブの空間部分に空気圧をかけた。酸化の進行速度
を測定するため、適宜サンプルを採取し、その度毎に空
気は入れ替えた。その結果、十分な酸化・抽出を達成す
るに要する時間は常圧の場合の2時間に対して、2kg
/cm2 では40分、5kg/cm2 では20分であっ
た。
9g、内V4+ が90.5%)を水120mlに懸濁し、48%
NaOH 25.0gを加え、70〜80℃で30%H
2 O2 水5.8gを2時間の間に4回に分割して添加し
て酸化した。70〜80℃に1時間保持した後、H2 S
O4 :H2 O(1:1)の硫酸7.5gを加えてpH
8.0とし、濾過した。濾過残渣は乾燥後、分析した。
その値は表4の第3列に示した通りであり、溶解しなか
ったバナジウムは全Vとして、0.216/5.09=
4.2%であった。濾液を70℃に昇温した後、更に硫
安20gと微量のメタバナジン酸アンモニウム種結晶を
添加し、放冷して、20℃とした。これを濾過し、乾燥
してメタバナジン酸アンモニウム10.80gを得た。
一方、濾液は分析した。それらの分析値などは表4の第
4列及び第5列に示した。
9g、内V4+ が90.5%)を水120mlに懸濁し、48%
NaOH 26.6gを加えてpH10とし、80〜8
5℃で有効塩素10%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液2
0mlを添加し30分間保持して酸化した。その後、H
2 SO4 :H2 O(1:1)の硫酸7.5gを加えてp
H8.0とし、濾過した。濾過残渣は乾燥後、分析し
た。その値は表5の第3列に示した通りであり、溶解し
なかったバナジウムは全Vとして、0.05/5.09
=1.0%であった。濾液を70℃に昇温した後、更に
硫安20gと微量のメタバナジン酸アンモニウム種結晶
を添加し、放冷して、20℃とした。これを濾過し、乾
燥してメタバナジン酸アンモニウム10.95gを得
た。一方、濾液は分析した。それらの分析値などは表5
の第4列及び第5列に示した。
得られたメタバナジン酸アンモニウム濾過の濾液160
mlを合体した水溶液(窒素分=2.74%、38.6
gを含有)に4つ口フラスコ中で酸化マグネシウム84
gを加えて攪拌し、この懸濁液を沸点に保ち、2時間で
水800mlを滴下しながら熱空気を吹き込み、出口に
凝縮器を取り付け、溜出物を捕集した。得られたアンモ
ニア水は950ml、アンモニア濃度4.0重量%、ア
ンモニア質量38.0gであった。一方、フラスコ中に
残存した水は1245ml、アンモニア濃度150pp
mであった。また、残留液中には過剰のマグネシアとニ
ッケル水酸化物が懸濁しているので、これを濾過した。
得られたケーキは31.1gでニッケル含有量は4.2
%=1.30gであった。
分換算1000g)を水5000mL中に懸濁し、40
〜45℃でNa2 SO3 を所定量添加した後、48%N
aOH126mLを加えてpH8.0とし、1時間攪拌
した後静置した。3時間後、上澄み液と沈降部分の比は
ほぼ80:20となった。ここで、上澄み液約4000
mLを分液した。上澄み液及び沈降部分を分析してNa
2 SO3の添加量と溶解しているバナジウム分及び沈降
部分に含有されているバナジウム分との関係を第6表に
示す。
%のNa2 SO3 の添加が上澄み液へのバナジウムの溶
解を減少させるために好ましいことが示される。また、
Na2 SO3 の代わりにこれに相当する量のSO2 ガス
を吹き込んでも同等の結果を得ることを第6表に示
す。一方、上澄み液を分液除去した沈降部分(容積約1
200mL)を邪魔板、温度計、円板付きタービン攪拌
機及び空気吹き込み管を備えた2L容のビーカーに仕込
み、25%アンモニア水94mLを添加し、45〜55
℃で攪拌下に空気1.5L/分を3時間吹き込んだ。こ
の間、pHが7.5以下とならないように、25%アン
モニア水50mLを追加滴下した。液量を水で3800
mLに調整し、70℃に昇温した後、濾過して濾液と不
溶解残渣とを得て、これらを分析した結果を第7表に示
す。第7表の〜の行は第6表の〜の行に続くも
のである。
タバナジン酸アンモニウムの種結晶を添加した後、20
℃まで冷却して結晶を析出させ、濾過した後、水約10
0mLで洗浄し、メタバナジン酸アンモニウムと濾液及
び洗液とを得た。濾液と洗液とを合し、水で3900m
Lとした。それらを分析した結果を第8表に示す。第8
表の〜の行は第7表の〜の行に続くものであ
る。
に操作した。懸濁液をいったん濾過し湿状ケーキ715
gと濾液4420mLを得た。この湿状ケーキ715g
を濾液の一部500mLに再度懸濁した後、次の空気酸
化・濾過の操作を実施した。濾液は水で3800mLと
し、不溶解残渣は乾燥してそれぞれ分析した。その結果
は第7表行に示すとおりで、沈降分離法によった場合
と同等の結果を得た。
の代わりに同モルの48%NaOHを使用した。その結
果、表7行と同等の酸化状態に達するのに必要とした
時間は2時間であった。
部分1190mLを内容量2Lのオートクレーブに仕込
み、48%NaOHを115g加え、50〜55℃でタ
ービン型攪拌翼(65mmφ、500rpm)で攪拌し
ながら、オートクレーブの空間部に空気圧をかけた。酸
化の進行速度を測定するために、5分毎にサンプルを採
取し、その度ごとに空気圧をいったん抜くことで空気の
補充をした。その結果、第7表行に匹敵する酸化状態
に達するのに必要とした時間は空気圧2kg/cm2 ・
Gでは40分、5kg/cm2 ・Gでは20分であっ
た。
部分1190mLを2Lのビーカーに仕込み、48%N
aOHの115gを加え、50〜60℃で30%H2 O
2 水52.5gを2時間かけて添加して酸化した。50
〜60℃に2時間保持した後、H2 SO4 :H2 O=
1:1の硫酸21gを加えてpH8.0とした後、濾過
した。濾液は水で3800mLとし、不溶解残渣は乾燥
し、それぞれ分析に供した。その値は第7表行のとお
りで、溶解しなかったバナジウムは全V(バナジウム総
量)として1.12/22.32=5.0%であった。
部分1190mLを2Lのビーカーに仕込み、48%N
aOHの115gを加え、60〜70℃で有効塩素8%
のNaOCl水溶液103gを2時間かけて添加して酸
化した。60〜70℃に2時間保持した後、H2 S
O4 :H2 0=1:1の硫酸23gを加えて、pH8.
0とした後、濾過した。濾液は水で3800mLとし、
不溶解残渣は乾燥してそれぞれ分析した。その値は第7
表行のとおりで、溶解しなかったバナジウムは全Vと
して1.22/22.27=5.5%であった。
わりにA−2の高粘度重油灰1310g(乾燥分換算1
000g)(A−1の灰と比較すると、Crの含有量が
明らかに高い)を使用した。第6表と同様Na2 SO
3 10gを添加し、以下実施例10と同様に沈降分離及
び沈降部分の空気酸化の操作をした後、酸を加えてpH
5.0に調整し、濾過して濾液と不溶解残渣を得た結果
を第9表及び第10表に記載した。さらに、第10表の
濾液を徐冷し、バナジン酸アンモニウム塩類を析出さ
せ、20℃で濾過した。その結果を第11表に示す。原
料灰に由来するCrは濾液側に行き、得られたバナジン
酸アンモニウム塩類には微量しか含有されない。このバ
ナジン酸アンモニウム塩類は水に再度溶解し、pH7〜
8でアンモニウム塩類で塩析し、濾過することによって
極めて高純度(V=43.53%)のメタバナジン酸ア
ンモニウムを得ることができた。これに対して空気酸化
後の濾過・析出の操作をpH7〜8で実施すると第11
表の欄のようにCrはメタバナジン酸アンモニウム中
に著しく夾雑し、再度溶解・析出して精製を試みてもC
rは充分には除去されず、V=43.48%の製品しか
得られなかった。
を水5000mLに懸濁し、40〜45℃で10gのN
a2 SO3 を添加した後、48%NaOHの120mL
を加えてpH8.0とし、1時間攪拌した後静置した。
3時間後、上澄み液と沈降部分の比はほぼ75:25と
なった。ここで上澄み液3700mLを分離し、上澄み
液及び沈降部分を分析した結果を表12に示す。
積1510mL)を邪魔板、温度計、円板付きタービン
攪拌機及び空気吹き込み管を備えた2L容のビーカーに
仕込み、25%アンモニア水41mLを添加し、45〜
55℃で攪拌下に空気1L/分を3時間吹き込んだ。こ
の間、pHが7.5以下にならないように、25%アン
モニア水30mLを追加滴下した。液量を3800mL
に調整し、70℃に昇温した後、ろ過してろ液と不溶解
残渣とを得た。これらを表13に示す。
メタバナジン酸アンモニウム種結晶を添加した後、20
℃まで冷却して結晶を析出させた。これをろ過した後、
水約30mLで洗浄しメタバナジン酸アンモニウムとろ
液と洗液とを得た。ろ液と洗液とを合し、水で3900
mLとした。それらを分析した結果を表14に示す。
濾過洗液の1/4を合わせ、水で液量を2000mLと
した。N含有率=19.25g/L、N含有量=38.
5gであった。これを四つ口フラスコに仕込み、酸化マ
グネシウム84gを加え、90〜95℃に保持しつつ、
液量が減少しないように水を滴下しながら、熱空気を吹
き込み、出口に凝縮器を取りつけ、留出物を捕集した。
得られたアンモニア水は980mL、アンモニア濃度は
39.1g/L、アンモニア量は38.3gであった。
一方、フラスコ中に残存した水は1950mL、アンモ
ニア濃度は130ppmであった。また、残留液中には
過剰の酸化マグネシウムとニッケル水酸化物が懸濁して
いるので、これを濾過・乾燥した。得られたケーキは3
5.0gでニッケル含有量は3.9%=1.37gであ
った。第2回目の仕込みにおいては、第1回目と同一の
N含有廃水に新たな酸化マグネシウム84gの代わり
に、新しい酸化マグネシウム60gとこのケーキ30g
を使用して同様にアンモニアを発生させることができ
る。この際、得られた懸濁液をろ過・乾燥して取得され
たケーキは34.5gで、ニッケル含有量は7.25%
=2.50gであった。このような操作は、少なくとも
取得ケーキのニッケル含有量が15%となるまでは順調
に繰り返し実施できた。
の際に生じる集塵機灰を効率的に、即ち可及的少ない設
備投資でかつ、可及的少ないエネルギー消費で湿式処理
して、原料灰中のバナジウムを高品位のメタバナジン酸
アンモニウムとして高い収率で得る一方、廃水中のアン
モニア性窒素濃度を低くして廃水の放流規制合格を容易
ならしめ、あるいは廃水のマグネシウム化合物原料とし
ての利用の道を開くことが出来る。その上、原料灰中の
ニッケル分もニッケル原料などに利用可能な形で回収さ
れる。
Claims (12)
- 【請求項1】 化石燃料の燃焼の際に得られる少なくと
も硫酸アンモニウムを含有する集塵機灰に、下記(a)
〜(h)の工程を施すことを特徴とする集塵機灰の処理
方法。 (a) 集塵機灰を水に懸濁する工程。 (b) 上記の懸濁液にアルカリを加えて中和し、pH
6〜9とする工程。 (c) 上記の中和された懸濁液を濾過する工程。 (d) 工程(c)で得られた濾過残渣を水に懸濁して
苛性アルカリを加えた後、酸化剤により酸化を行う工
程。 (e) 工程(d)で得られた懸濁液に酸を加えてpH
6〜9とした後、濾過する工程。 (f) 工程(e)で得られた濾液を70〜90℃に加
熱した後、アンモニウム塩を加えて冷却し、濾過して析
出したメタバナジン酸アンモニウムを得る工程。 (g) 工程(c)で得られた濾液と工程(f)で得ら
れた濾液を混合し、これに酸化マグネシウム及び/又は
水酸化マグネシウムを加えて加熱し、アンモニアを発生
させると共にニッケル水酸化物を含有する物質を析出さ
せる工程。 (h) 工程(g)で得られた懸濁液を濾過して硫酸マ
グネシウムを含有する水溶液とニッケル水酸化物を含有
する物質とを得る工程。 - 【請求項2】 工程(b)の中和に際し、予めバナジウ
ムの還元剤を添加する請求項1記載の処理方法。 - 【請求項3】 工程(d)の酸化剤による酸化が、大気
圧以上の圧力の空気と懸濁液との接触により行われるも
のである請求項1記載の処理方法。 - 【請求項4】 工程(d)の酸化剤による酸化が、過酸
化水素または次亜塩素酸塩水溶液の添加により行われる
ものである請求項1記載の処理方法。 - 【請求項5】 工程(f)で使用するアンモニウム塩
が、工程(g)で発生するアンモニアを硫酸で中和して
得られる硫酸アンモニウムである請求項1〜4いずれか
記載の処理方法。 - 【請求項6】 化石燃料の燃焼の際に得られる少なくと
も硫酸アンモニウムを含有する集塵機灰に、下記(A)
〜(F)の工程を施すことを特徴とする集塵機灰の処理
方法。 (A) 集塵機灰を水に懸濁・攪拌する工程。 (B) 上記の懸濁液にアルカリを加えて中和し、pH
6〜9とする工程。 (C) 上記の中和された懸濁液から水溶液の部分の4
0〜80%を分離する工程。 (D) 工程(C)で得られた濃縮懸濁液にアルカリを
加えpHを7〜10とした後、酸化剤により酸化を行う
工程。 (E) 工程(D)で得られた懸濁液をpH4〜8とし
た後、60〜90℃で濾過する工程。 (F) 工程(E)で得られた濾液を15〜35℃に冷
却した後、濾過して析出したメタバナジン酸アンモニウ
ム及び/又はバナジン酸ナトリウム・アンモニウムを得
る工程。 - 【請求項7】 工程(B)の中和に際し、pHを7〜8
とすることを特徴とする請求項6記載の処理方法。 - 【請求項8】 工程(B)において、さらに還元剤とし
て亜硫酸ナトリウム又は亜硫酸ガスを添加することを特
徴とする請求項6記載の処理方法。 - 【請求項9】 工程(C)において、水溶液の分離工程
が沈降濃縮工程であることを特徴とする請求項6記載の
処理方法。 - 【請求項10】 工程(C)において、水溶液の分離工
程が濾過工程であることを特徴とする請求項6記載の処
理方法。 - 【請求項11】 工程(D)の酸化剤による酸化が、懸
濁液と0〜10kg/cm2 Gの空気又は酸素含有ガス
との接触により行われるものであることを特徴とする請
求項6記載の処理方法。 - 【請求項12】 工程(D)の酸化剤による酸化が、過
酸化水素水または次亜塩素酸塩水溶液の添加により行わ
れるものであることを特徴とする請求項6記載の処理方
法。
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Cited By (2)
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JP2005279446A (ja) * | 2004-03-29 | 2005-10-13 | Dowa Mining Co Ltd | 二酸化硫黄を用いた飛灰の処理方法 |
CN110624933A (zh) * | 2019-09-24 | 2019-12-31 | 中国恩菲工程技术有限公司 | 一种冶金废渣洗涤除氨方法 |
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-
1996
- 1996-11-12 JP JP31698296A patent/JP3917222B2/ja not_active Expired - Lifetime
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