JPH09189351A - 流体伝動装置のロックアップクラッチ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ロックアップクラッチの容量を大きくすると
トルクコンバータの外径寸法や全長を大きくせざるを得
なかった。 【解決手段】 入力軸２の回転により回転してポンプイ
ンペラ３を回転駆動するトルクコンバータカバー１と、
出力軸５側に接続されるタービンランナ４と、トルクコ
ンバータカバー１とタービンランナ４との間に設けられ
てロックアップ油室Ａとコンバータ油室Ｂに区割し且つ
出力軸５の軸方向へ移動自在なロックアップピストン９
と、ロックアップ油室Ａに設けられて出力軸５の軸方向
に移動自在なロックアップクラッチ板１０とを具備し、
トルクコンバータカバー１の内周面にスプライン１Ａを
形成すると共に、ロックアップピストン９の外周部にフ
ランジ部９ｃを設けて、このフランジ部９ｃの外周部に
スプライン９Ａを形成し、このスプライン９Ａをトルク
コンバータカバー１の内周面のスプライン１Ａに係合し
た。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は流体伝動装置に設け
られたロックアップクラッチ装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、車両等に搭載された流体伝動装置
にはロックアップクラッチが設けられたものがある。こ
のロックアップクラッチは、流体伝動装置の入力軸と出
力軸とを直結することにより、流体伝動装置を介さず入
力軸より出力軸へ動力を出力して燃費の改善を図るよう
にしたものである。

【０００３】また、流体伝動装置のロックアップクラッ
チ、特に、ロックアップクラッチ板の両側に摩擦面を有
するものとしては、例えば特開昭５７−９４１６４号公
報や、特開昭５５−５４７５８号公報に記載されたもの
が公知である。

【０００４】特開昭５７−９４１６４号公報に記載され
たロックアップクラッチは、ロックアップクラッチのロ
ックアップピストンをフレキシブルプレートにより形成
してポンプのフロントカバーに支持させ、かつ前記ロッ
クアップピストンの外周部をフロントカバーのクラッチ
面に対向させ、支持板を介してタービンに支持されて両
側面にライニングを有するロックアップクラッチ板を前
記ロックアップピストンの外周部とフロントカバーのク
ラッチ面の間に軸方向へ移動自在に設けた構造となって
おり、ロックアップピストンとフロントカバーのクラッ
チ面とでロックアップクラッチ板を挟着することによ
り、トルクコンバータのロックアップを行うようになっ
ている。

【０００５】また、特開昭５５−５４７５８号公報に記
載されたロックアップ装置は、入力軸に接続されたポン
プシェルと出力軸に接続されたタービンの間に、タービ
ン側にスプライン係合されたクラッチ板ピストンを設け
ると共に、前記クラッチ板ピストンとポンプシェルの間
に、複数枚のクラッチディスクとクラッチ摩擦ディスク
とを交互に介在させた構造で、ポンプシェルとクラッチ
板の間でクラッチディスク及びクラッチ摩擦ディスクを
挟着することにより、トルクコンバータのロックアップ
を行うようになっている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】前者のロックアップク
ラッチでは、ロックアップクラッチ板の両側に摩擦面を
設け、ロックアップクラッチの大容量化をはかっている
もののロックアップクラッチ板の外周部がタービンの外
周側より突設された支持板により支持された構造となっ
ているために、ロックアップピストンの外径寸法が支持
板により制限されるので、更に、ロックアップピストン
の外径寸法を大きくしてロックアップクラッチの容量を
大きくしようとすると、ロックアップピストンと支持板
の干渉を避けるためにフロントカバーの径を大きくする
必要があってトルクコンバータが大型になり、また、ロ
ックアップピストンにトルクコンバータスプリングを設
けたものでは、さらにロックアップピストンの外径寸法
が大きくなるため、トルクコンバータもさらに大型とな
るという問題点があった。

【０００７】また、後者のロックアップクラッチでは、
ロックアップクラッチ板を多板構造としていることか
ら、ロックアップクラッチの容量を大きくすることは可
能であるが、容量を大きくした場合、クラッチ板の枚数
が多くなって軸方向の寸法が大きくなるため、トルクコ
ンバータの全長が長くなると共に、多板化により構造が
複雑となるため、高価となるなどの問題点があった。

【０００８】本発明は上記の問題点を改善するためにな
されたものであって、その目的とするところは、ロック
アップクラッチ板の両側に摩擦面を設けた流体伝動装置
の外径や全長を大きくせずにロックアップクラッチの大
容量化を可能にした流体伝動装置のロックアップクラッ
チ装置を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項１の発明に係わる流体伝動装置のロックア
ップクラッチ装置は、入力部材側に接続されてポンプイ
ンペラを回転駆動するカバー部材と、出力部材側に接続
され且つ前記ポンプインペラとの間で流体が循環する流
路を形成するタービンランナと、前記カバー部材と前記
タービンランナとの間に設けられて、これらの間を第１
油室と第２油室に区割し且つ前記出力部材の軸方向へ移
動自在なロックアップピストンと、前記カバー部材と前
記ロックアップピストンとの間に設けられ且つ外周側の
両側面に摩擦面を有して前記出力部材の軸方向に移動自
在なロックアップクラッチ板とを具備し、前記カバー部
材の内周面にスプラインを形成すると共に、前記ロック
アップピストンの外周部にフランジ部を設けて、このフ
ランジ部の外周部にスプラインを形成し、このスプライ
ンを前記カバー部材の内周面の前記スプラインに係合し
たことを特徴とする。

【００１０】かかる構成により、流体伝動装置のロック
アップ作動時には、ロックアップピストンは、ロックア
ップピストンのフランジ部が軸方向移動のガイドの役目
を果たしながらカバー部材側へ押圧されてカバー部材と
ロックアップピストンの間でロックアップクラッチ板が
挟着されるため、入力部材へ入力された動力は流体伝動
装置を経由せず、ロックアップクラッチを介して直接出
力部材へ出力されるようになる。

【００１１】また、前記ロックアップピストンの外周部
のフランジ部のスプラインを前記カバー部材の内周面の
前記スプラインに係合したことにより、ロックアップク
ラッチ板の外径寸法は、ロックアップピストンに制限さ
れることがなく、このロックアップピストンの外周側に
ロックアップクラッチ板を支持する支持板が不要とな
り、これによって流体伝動装置の外径を大きくせずにロ
ックアップクラッチ板の外径寸法を大きくして、ロック
アップ容量を大きくすることができる。

【００１２】また、上記の目的を達成するために、請求
項２の発明に係わる流体伝動装置のロックアップクラッ
チ装置は、請求項１記載の流体伝動装置のロックアップ
クラッチ装置において、前記ロックアップピストンの内
周部にフランジ部を設けて、このフランジ部と前記出力
部材の外周部との間に隙間を設けた。

【００１３】かかる構成により、上記した請求項１の発
明の作用と同様な作用を奏し得るばかりか、軸方向に長
さをもった隙間においてチョーク的な作用による圧損が
生じるため、前記ロックアップクラッチ板の締結時に、
第１油室と第２油室との間に差圧力が生じ易く、迅速な
締結解放が行なわれる。

【００１４】また、上記の目的を達成するために、請求
項３の発明に係わる流体伝動装置のロックアップクラッ
チ装置は、請求項１又は請求項２記載の流体伝動装置の
ロックアップクラッチ装置において、前記カバー部材も
しくは前記ロックアップピストンのスプラインの歯部の
少なくとも１個を欠歯して、この欠歯部分を作動油の流
路にした。

【００１５】かかる構成により、上記した請求項１又は
請求項２の発明の作用と同様な作用を奏し得るばかり
か、第１油室の油は流体伝動装置の回転により発生する
遠心力により外周側に導かれる作動油の流れが阻害され
ることがなく、カバー部材もしくはロックアップピスト
ンの欠歯部分を経由して第２油室へ供給される。そし
て、前記ロックアップクラッチ板の外径寸法を前記カバ
ー部材内周いっぱいまで設定することができて、ロック
アップ容量の最大化を図ることができる。

【００１６】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して詳述する。図１はロックアップクラッチ装置
に設けられた流体伝動装置であるトルクコンバータの断
面図、図２は図１のＥ−Ｅ断面の矢視図を示す。

【００１７】これら図において、１は、入力部材である
入力軸２側に接続されたカバー部材であるトルクコンバ
ータカバーであり、このトルクコンバータカバー１には
ポンプインペラ３が連結されていて、このポンプインペ
ラ３を回転駆動するものである。そして、このトルクコ
ンバータカバー１の内周面部には、軸線方向に沿うスプ
ライン１Ａが形成されている。

【００１８】４は出力部材である出力軸５側に接続され
たタービンランナで、前記ポンプインペラ３とタービン
ランナ４の間で環状の流路６が形成されていて、この流
路６内を流体が循環することにより前記入力軸２に入力
された動力を出力軸５へ出力するようになっており、前
記流路６の途中にはステータ７が配設されている。

【００１９】８は前記トルクコンバータカバー１とター
ビンランナ４の間に設けられたロックアップクラッチで
ある。このロックアップクラッチ８は、前記トルクコン
バータカバー１と前記タービンランナ４の間を第１油室
であるロックアップ油室Ａと第２油室であるコンバータ
油室Ｂに区割りするロックアップピストン９と、ロック
アップ油室Ａ内に設けられたロックアップクラッチ板１
０とにより構成されている。

【００２０】前記ロックアップピストン９は板材により
成形された円板状をなしており、このロックアップピス
トン９の外周縁部はタービンランナ４側に延びるフラン
ジ部９ｃが形成されており、このフランジ部９ｃの外周
面には軸線方向に沿うスプライン９Ａがプレス成形によ
り形成されており、このスプライン９Ａは、図２に示す
ようにトルクコンバータカバー１の内周面部のスプライ
ン１Ａに係合し、スプライン１Ａに設けられたスナップ
リング１２により軸方向の移動範囲が規制されている。
そして、前記スプライン１Ａが欠歯になっていて、この
欠歯部分Ｆにより作動油の流路が形成されている。ま
た、前記ロックアップピストン９の中心部には円孔９ａ
が形成されており、この円孔９ａの内周縁部にはタービ
ンランナ４側へ延びるフランジ部９ｂが形成されてい
る。そして、このフランジ部９ｂの内径寸法は前記出力
軸５の外周部に設けられたタービンハブ４ａの外径寸法
より大きくしてあり、隙間１１が設けられている。

【００２１】また、前記ロックアップクラッチ板１０
は、そのほぼ中間部の円周方向の複数個所にトルクダン
パスプリング１３が設けられていて、急激なトルクの変
動を吸収するようになっており、また、ロックアップク
ラッチ板１０の外周側両側面には摩擦面を形成するフェ
ーシング１４が設けられている。また、ロックアップク
ラッチ板１０の内周部はタービンランナ４側とは反対側
に延びるフランジ部１０ａが形成されており、このフラ
ンジ部１０ａの内周面には軸線方向に沿うスプライン１
０Ａが形成してある。そして、タービンハブ４ａに形成
されたスプライン４ｂと係合している。

【００２２】また、出力軸５の中心部には軸内油路５ｂ
が設けてあり、この軸内油路５ｂは図示しない油圧制御
装置からの作動油をロックアップ油室Ａに導くものであ
る。また、出力軸５の外周上にはステータシャフト７ａ
が配置されており、このステータシャフト７ａはステー
タ７を支持している。このステータシャフト７ａの外周
上にはトルコンスリーブ３ａが配置されており、このト
ルコンスリーブ３ａはポンプインペラ３を結合してい
る。そして、トルコンスリーブ３ａの内周面とステータ
シャフト７ａの外周面との間には油路１６が形成してあ
り、この油路１６は図示しない油圧制御装置からの作動
油をコンバータ油室Ｂに導くものである。

【００２３】次に、トルクコンバータのロックアップ装
置の作用を説明する。前記入力軸２より入力された動力
によりトルクコンバータカバー１が回転され、ポンプイ
ンペラ３が駆動されると、流路６内の流体が回転され、
これによってタービンランナ４が回転されて、入力軸２
より入力された動力は出力軸５へ出力される。

【００２４】ロックアップが行われていない場合には、
図示しない油圧制御装置から軸内油路５ｂを経由してロ
ックアップ油室Ａに作動油が供給される。そして、ロッ
クアップ油室Ａの作動油はトルクコンバータの回転によ
り発生する遠心力により外周側に導かれ、流れが妨げら
れることなく作動油の流路であるトルクコンバータカバ
ー１のスプライン１Ａの歯部の欠歯部分Ｆを経由してコ
ンバータ油室Ｂに供給され、油路１６より排出される。
このために、ロックアップ油室Ａとコンバータ油室Ｂと
の間に差圧が発生せず、ロックアップが行われない。

【００２５】一方、トルクコンバータをロックアップす
る場合は、図示しない油圧制御装置から油路１６を介し
てコンバータ油室Ｂへ作動油を供給すると共に、軸内油
路５ｂからロックアップ油室Ａの作動油を排出する。こ
のとき、ロックアップピストン９の内周縁部のフランジ
部９ｂとタービンハブ４ａの外周部との間に隙間１１に
てチョーク的な作用が生じ、コンバータ油室Ｂとロック
アップ油室Ａとの間で差圧が発生する。これによって、
ロックアップピストン９はフランジ部９ｂが軸方向移動
のガイドの役目をはたしながら、トルクコンバータカバ
ー１側へ移動し、ロックアップピストン９とトルクコン
バータカバー１のクラッチ面１ｂの間でロックアップク
ラッチ板１０のフェーシング１４部分が挟着されて、入
力軸２と出力軸５の間がロックアップクラッチ８を介し
て直結されるため、入力軸２に入力された動力はトルク
コンバータを経ずに直接出力軸５へ出力されるようにな
る。

【００２６】上記実施の態様にしたことにより、下記の
効果が得られる。前記ロックアップピストン９の外周部
のフランジ部９ｃのスプライン９Ａを前記トルクコンバ
ータカバー１の内周面の前記スプライン１Ａに係合した
ことにより、ロックアップクラッチ板１０の外径寸法
は、ロックアップピストン９に制限されることがなく、
このロックアップピストン９の外周側にロックアップク
ラッチ板１０を支持する支持板が不要となり、これによ
ってトルクコンバータの外径寸法を大きくせずにロック
アップクラッチ板１０の外径寸法を大きくして、ロック
アップ容量を大きくすることができる。

【００２７】また、前記ロックアップピストン９の外周
部にフランジ部９ｃを設けて、このフランジ部９ｃの外
周部にスプライン９Ａを前記トルクコンバータカバー１
の内周面の前記スプライン１Ａに係合したので、このフ
ランジ部９ｃが軸方向移動のガイドの役目を果たすの
で、作動時、ロックアップピストン９が傾くことがない
ため、ロックアップクラッチ板１０のフェーシング１４
の摩擦面が片当たりして偏磨耗するのを防止することが
できる。

【００２８】また、前記ロックアップピストン９の内周
縁部にフランジ部９ｂを設けて、このフランジ部９ｂと
前記タービンハブ４ａの外周部との間に軸方向に長さを
もった隙間１１を設けたことにより、チョーク的な作用
による圧損が生じるため、前記ロックアップクラッチ板
１０の締結時に差圧力が生じ易く、迅速な締結解放を行
なうことができる。

【００２９】また、前記ロックアップクラッチ板１０
は、そのほぼ中間部の円周方向の複数個所にトルクダン
パスプリング１３が設けられているが、前記ロックアッ
プピストン９の内周側にフランジ部９ｂと前記タービン
ハブ４ａの外周部との間の軸方向に長さをもった隙間１
１において、チョーク的な作用による圧損を生じるた
め、トルクダンパスプリング１３からの作動油の漏れを
最小限に抑えることができ、ロックアップピストン９と
ロックアップクラッチ板１０との締結力の低下を防止で
きる。

【００３０】また、前記トルクコンバータカバー１の、
前記ロックアップピストン９がスプライン係合する前記
スプライン１Ａの歯部の少なくとも１個を欠歯して，こ
の欠歯部分Ｆを作動油の流路にしたことにより、トルク
コンバータカバー１の遠心力で導かれる作動油の流れが
阻害されることもない。そして、前記ロックアップクラ
ッチ板１０の外径寸法を前記トルクコンバータカバー１
の内周いっぱいまで設定することができて、ロックアッ
プ容量の最大化を図ることができる。

【００３１】また、図３に示すように、作動油の流路と
して、前記トルクコンバータカバー１のスプライン１Ａ
に設けた欠歯部分Ｆのかわりに、ロックアップピストン
９のスプライン９Ａの凸部に貫通孔１７を設けててもよ
い。この場合、貫通孔１７の位置がスプライン９Ａの凸
部であるために、ロックアップクラッチ板１０の外径寸
法に制約を受けることがなく、ロックアップ容量の最大
化を図ることができる。また、上記したように欠歯部分
Ｆのかわりに、ロックアップピストン９のスプライン９
Ａの凸部に貫通孔１７を設けた場合も上記した実施の形
態と同様な作用効果を奏し得る。

【００３２】また、図４に示すように、ロックアップピ
ストン９の外周側のフランジ部９ｃを、ロックアップピ
ストン９とは別部材にして、このフランジ部９ｃをロッ
クアップピストン９の外周部に溶接により固着し、前記
トルクコンバータカバー１のスプライン１Ａを、このト
ルクコンバータカバー１とは別部材に形成して、このス
プライン形成部材１５をトルクコンバータカバー１の内
周部に溶接により固着してもよい。

【００３３】また、作動油の流路として前記トルクコン
バータカバー１のスプライン１Ａに欠歯部分Ｆを設けた
が、ロックアップピストン９のスプライン９Ａに欠歯部
分Ｆを設けてもよい。

【００３４】また、上記した実施の形態において、流体
伝動装置の一例としてトルクコンバータについて述べた
が、上記した本発明のロックアップクラッチ装置は流体
伝動装置としてのフルードカップリングにも適用できる
ものである。

【００３５】

【発明の効果】以上詳述したように、請求項１の発明に
係わる流体伝動装置のロックアップクラッチ装置によれ
ば、ロックアップクラッチの両側に摩擦面を設け、ロッ
クアップ容量を大きくすると共に、前記ロックアップピ
ストンの外周部のフランジ部のスプラインを前記カバー
部材の内周面の前記スプラインに係合したことにより、
ロックアップクラッチ板の外径寸法は、ロックアップピ
ストンに制限されることがなく、このロックアップピス
トンの外周側にロックアップクラッチ板を支持する支持
板が不要となり、これによって流体伝動装置の外径寸法
を大きくせずにロックアップクラッチ板の外径寸法を大
きくして、更に、ロックアップ容量を大きくすることが
できる。

【００３６】また、前記ロックアップピストンの外周部
にフランジ部を設けて、このフランジ部の外周部にスプ
ラインを形成するようにしたので、このフランジ部が軸
方向移動のガイドの役目を果たすので、作動時、ロック
アップピストンが傾くことがないため、ロックアップク
ラッチ板の摩擦面が片当たりして偏磨耗するのを防止す
ることができる。

【００３７】また、請求項２の発明に係わる流体伝動装
置のロックアップクラッチ装置によれば、請求項１記載
の流体伝動装置のロックアップクラッチ装置において、
前記ロックアップピストンの内周部にフランジ部を設け
て、このフランジ部と前記出力部材の外周部との間に軸
方向に長さをもった隙間を設けたことにより、上記した
請求項１の発明の効果と同様な効果を奏し得るばかり
か、チョーク的な作用による圧損が生じるため、前記ロ
ックアップクラッチ板の締結時に差圧力が生じ易く、迅
速な締結解放を行なうことができる。

【００３８】また、請求項３の発明に係わる流体伝動装
置のロックアップクラッチ装置によれば、請求項１記載
の流体伝動装置のロックアップクラッチ装置において、
前記カバー部材もしくは前記ロックアップピストンの前
記スプラインの歯部の少なくとも１個を欠歯して、この
欠歯部分を作動油の流路にしたことにより、上記した請
求項１の発明の効果と同様な効果を奏し得るばかりか、
カバー部材の遠心力で導かれる作動油の流れが阻害され
ることもないし、そして、前記ロックアップクラッチ板
の外径寸法を前記カバー部材の内周いっぱいまで設定す
ることができて、ロックアップ容量の最大化を図ること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のロックアップクラッチ装置を備えたト
ルクコンバータの一部省略した断面図である。

【図２】図１のＥ−Ｅ断面の矢視図である。

【図３】本発明のトルクコンバータのロックアップクラ
ッチ装置のロックアップピストンの他の実施態様を示す
説明図である。

【図４】本発明のトルクコンバータのロックアップクラ
ッチ装置の要部の他の実施態様を示す説明図である。

【符号の説明】

１ トルクコンバータカバー（カバー部材） １Ａ スプライン ２ 入力軸（入力部材） ３ ポンプインペラ ４ タービンランナ ４ａ タービンハブ ５ 出力軸（出力部材） ６ 流路 ９ ロックアップピストン ９ｂ フランジ部 ９ｃ フランジ部 ９Ａ スプライン １０ ロックアップクラッチ板 １１ 隙間 １４ フェーシング Ａ ロックアップ油室（第１油室） Ｂ コンバータ油室（第２油室） Ｆ 欠歯部分

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 入力部材側に接続されてポンプインペラ
   を回転駆動するカバー部材と、 出力部材側に接続され且つ前記ポンプインペラとの間で
   流体が循環する流路を形成するタービンランナと、 前記カバー部材と前記タービンランナとの間に設けられ
   て、これらの間を第１油室と第２油室に区割し且つ前記
   出力部材の軸方向へ移動自在なロックアップピストン
   と、 前記カバー部材と前記ロックアップピストンとの間に設
   けられ且つ外周側の両側面に摩擦面を有して前記出力部
   材の軸方向に移動自在なロックアップクラッチ板とを具
   備し、 前記カバー部材の内周面にスプラインを形成すると共
   に、前記ロックアップピストンの外周部にフランジ部を
   設けて、このフランジ部の外周部にスプラインを形成
   し、このスプラインを前記カバー部材の内周面の前記ス
   プラインに係合したことを特徴とする流体伝動装置のロ
   ックアップクラッチ装置。
2. 【請求項２】 前記ロックアップピストンの内周部にフ
   ランジ部を設けて、このフランジ部と前記出力部材の外
   周部との間に隙間を設けた請求項１記載の流体伝動装置
   のロックアップクラッチ装置。
3. 【請求項３】 前記カバー部材もしくは前記ロックアッ
   プピストンのスプラインの歯部の少なくとも１個を欠歯
   して、この欠歯部分を作動油の流路にした請求項１又は
   請求項２記載の流体伝動装置のロックアップクラッチ装
   置。