JPH09184040A - イットリウム−マグネシウム系水素吸蔵合金 - Google Patents

イットリウム−マグネシウム系水素吸蔵合金

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JPH09184040A
JPH09184040A JP6781896A JP6781896A JPH09184040A JP H09184040 A JPH09184040 A JP H09184040A JP 6781896 A JP6781896 A JP 6781896A JP 6781896 A JP6781896 A JP 6781896A JP H09184040 A JPH09184040 A JP H09184040A
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alloy
magnesium
hydrogen storage
yttrium
hydrogen
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JP6781896A
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Hironobu Fujii
博信 藤井
Shinichi Orimo
慎一 折茂
Kazuhiko Terada
和彦 寺田
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Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 機能性材料として有用な新規なイットリウム
−マグネシウム系合金。 【解決手段】 一般式(I),(II),(III) Yx Cay Mgz ・・・(I) Ya Mgb Cuc ・・・(IIA) Ya'Mgb'Cuc'Nid' ・・・(IIB) Ya"Mgb"Nic" ・・・(IIC) Yx Cay Mgb Cue Nif ・・・(III) (x>0,y>0,4.5≦x+y≦5.5,23≦z≦2
5,4.5≦a≦5.5,23≦b+c≦25,0<c≦
5,4.5≦a' ≦5.5,23≦b' +c' +d' ≦2
5,0<c' +d' ≦5,0<c' <5,0<d' <
5,4.5≦a" ≦5.5,23≦b" +c" ≦25,0<
c" ≦5,23≦b+e+f≦25,0<e+f≦5,
0≦e≦5,0≦f≦5)で表される組成を有するイッ
トリウム−マグネシウム系合金。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イットリウム−マ
グネシウム系合金及びイットリウム−マグネシウム系水
素吸蔵合金に関し、さらに詳しくは、水素吸蔵合金,磁
石材料,触媒材料などとして有用な新規なイットリウム
−マグネシウム系合金、及び従来のマグネシウム系水素
吸蔵合金に比べて、優れた水素吸蔵特性を有する新規な
イットリウム−マグネシウム系水素吸蔵合金に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】金属合金は、従来、各種の構造用材料と
して使用されてきたが、近年機能性材料、例えば電機・
電子材料,磁性材料,超電導材料,水素吸蔵合金,形状
記憶材料,制振材料,触媒材料,耐熱材料や耐食・耐酸
化性材料などの耐環境材料,焼結材料などとしての性能
が注目され、これらの機能性材料として使用されるよう
になってきた。ところで、マグネシウムは、古くからそ
の軽量性及び耐熱性と、特に切削性がアルミニウムの3
倍も優れていることから、航空・宇宙分野に利用され、
また自動車用にダイカスト鋳物として使用されてきた。
そして、近年、自動車やOA機器の軽量化の要求から、
マグネシウム合金の軽量構造材料としての優れた特性が
再び注目されはじめ、従来の合金の改良、新合金特に希
土類元素を用いた合金の開発、また、新合金に超急冷凝
固−粉末冶金法などの新しいプロセシングを適用して、
強度,耐クリープ性,耐食性などの著しい向上などが図
られている。さらに、最近では、マグネシウム系合金か
らなる水素吸蔵合金を、熱貯蔵システムの材料などとし
て用いることが試みられている。このように、マグネシ
ウム系合金は様々な優れた特性を有することから、機能
性材料としての新しいマグネシウム系合金の開発が望ま
れている。
【0003】一方、前記機能性材料の中の水素吸蔵合金
は、金属系新素材の一つとして、近年特に注目され、そ
の応用研究が積極的になされている。この水素吸蔵合金
は、例えば温度を低くしたり、圧力を加えると水素を吸
収して金属水素化合物となると共に発熱し、逆に温度を
高くしたり、圧力を下げると吸収していた水素を再び放
出すると同時に熱を奪うという性質を有している。した
がって、このような性質を利用して、水素吸蔵合金を水
素の貯蔵やエネルギーの貯蔵、あるいは化学エネルギー
と熱エネルギーの変換などに利用が可能であり、例えば
水素貯蔵装置,排熱利用のヒートポンプ,ケミカルエン
ジン,ニッケル−水素電池の電極材料などへの利用が試
みられている。このような水素吸蔵合金を利用したシス
テム、例えば水素の貯蔵や輸送,ヒートポンプ,蓄熱な
どを実用化するには、システムの小型化及び軽量化が必
要である。それには心臓部である水素吸蔵合金の低コス
ト化,単位重量当たりの水素吸蔵量の増加及び反応速度
の向上が不可欠であり、さらには初期活性化が容易であ
ることが望ましい。水素吸蔵合金としては、例えば希土
類元素−ニッケル系,鉄−チタニウム系,ジルコニウム
−マンガン系及びマグネシウム系合金などが知られてい
るが、希土類元素−ニッケル系合金はコストが高く、か
つ水素吸蔵量が2重量%以下と少ないなどの欠点があ
り、また、鉄−チタニウム系やジルコニウム−マンガン
系合金も水素吸蔵量が充分でないという欠点を有してい
る。
【0004】これらに対し、マグネシウム系合金は、コ
ストが安い上、水素吸蔵量も4重量%以上(ただし、3
00℃以上の場合)と大きく、このマグネシウム系合金
を前記システムに用いた場合、低コストで、かつ軽量の
ものができる可能性を有している。しかしながら、この
マグネシウム系合金は、反応速度が遅く、また使用温度
範囲が250℃以上と高いため、熱源及び用途に制約を
受けるのを免れないという欠点がある。マグネシウム系
合金の改良型として、希土類元素又は希土類元素と遷移
金属元素とを添加してなる合金が開示されており、この
合金は反応速度が飛躍的に向上したものである(特公昭
56−52105号公報,特公昭57−45817号公
報,特開昭55−10479号公報)。これらの合金の
中で、特公昭56−52105号公報に記載されている
ものは、マグネシウムと希土類元素の合金、特公昭57
−45817号公報に記載されているものは、マグネシ
ウムと希土類元素とニッケルとの合金であるが、その組
成比(特に希土類元素の割合)が一定の範囲にあると同
時に、いずれもカルシウム,ストロンチウム,バリウ
ム,銅は含まれていない。また、特開昭55−1047
9号公報に記載のものは、マグネシウム及びランタンを
ベースとして、カルシウム,ストロンチウム,バリウ
ム,銅,ニッケルを含有する合金であるが、イットリウ
ムは含まれていない。また、これらの合金は、いずれも
250℃以下から水素吸蔵量が減少しはじめ、100℃
付近では300℃以上の場合と比較して半分以下の吸蔵
量となるため、低温活性のさらなる向上が望まれる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、機能性材料
として有用な新規なマグネシウム系合金、及び従来のマ
グネシウム系合金と同等以上の水素吸蔵量及び反応速度
を有する上、低温域において、水素吸蔵量及び反応速度
の低下が少なく、かつ初期活性化も容易な新規なマグネ
シウム系水素吸蔵合金を提供することを目的とするもの
である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、イットリウム
とマグネシウムとを必須成分として含有し、かつ特定の
金属元素を含有する特定組成の合金が新規な合金であっ
て、水素吸蔵合金,触媒材料,磁石材料などとして有用
であること、また、イットリウムとマグネシウムとを必
須成分として含有し、かつ特定の金属元素を含有する合
金、特に、この合金の中で上記特定組成の合金が、新規
な水素吸蔵合金として、前記目的に適合しうることを見
出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したもの
である。
【0007】すなわち、本発明は、 (1)一般式(I) Yx Cay Mgz ・・・(I) (ただし、x>0,y>0,4.5≦x+y≦5.5,23
≦z≦25)で表される組成を有するイットリウム−マ
グネシウム系合金、 (2)一般式(IIA) Ya Mgb Cuc ・・・(IIA) (ただし、4.5≦a≦5.5,23≦b+c≦25,0<
c≦5)で表される組成を有するイットリウム−マグネ
シウム系合金、 (3)一般式(IIB) Ya'Mgb'Cuc'Nid' ・・・(IIB) (ただし、4.5≦a' ≦5.5,23≦b' +c' +d'
≦25,0<c' +d'≦5,0<c' <5,0<d'
<5)で表される組成を有するイットリウム−マグネシ
ウム系合金、 (4)一般式(IIC) Ya"Mgb"Nic" ・・・(IIC) (ただし、4.5≦a" ≦5.5,23≦b" +c" ≦2
5,0<c" ≦5)で表される組成を有するイットリウ
ム−マグネシウム系合金、及び (5)一般式(III) Yx Cay Mgb Cue Nif ・・・(III) (ただし、x>0,y>0,4.5≦x+y≦5.5,23
≦b+e+f≦25,0<e+f≦5,0≦e≦5,0
≦f≦5)で表される組成を有するイットリウム−マグ
ネシウム系合金、を提供するものである。
【0008】また、本発明は、 (6)イットリウムとマグネシウムを含有し、かつカル
シウム,ストロンチウム及びバリウムの中から選ばれた
少なくとも一種を含有することを特徴とするイットリウ
ム−マグネシウム系水素吸蔵合金、 (7)前記一般式(I)で表される組成を有する上記
(6)記載のイットリウム−マグネシウム系水素吸蔵合
金、 (8)イットリウムとマグネシウムを含有し、かつ銅及
び/又はニッケルを含有することを特徴とするイットリ
ウム−マグネシウム系水素吸蔵合金、 (9)一般式(II) Yh Mgi Cuj Nik ・・・(II) (ただし、4.5≦h≦5.5,23≦i+j+k≦25,
0<j+k≦5,0<j≦5,0≦k<5)で表される
組成を有する上記(8)記載のイットリウム−マグネシ
ウム系水素吸蔵合金、 (10)一般式(IIC) Ya"Mgb"Nic" ・・・(IIC) (ただし、4.5≦a" ≦5.5,23≦b" +c" ≦2
5,0<c" ≦5)で表される組成を有する上記(8)
記載のイットリウム−グネシウム系水素吸蔵合金、 (11)イットリウムとマグネシウムを含有し、かつカ
ルシウム,ストロンチウム及びバリウムの中から選ばれ
た少なくとも一種を含有するとともに、銅及び/又はニ
ッケルを含有することを特徴とするイットリウム−マグ
ネシウム系水素吸蔵合金、及び (12)前記一般式(III)で表される組成を有する上記
(11)記載のイットリウム−マグネシウム系水素吸蔵
合金、をも提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のイットリウム−マグネシ
ウム系合金は、次の一般式(I),(IIA),(II
B),(IIC),(III) Yx Cay Mgz ・・・(I) Ya Mgb Cuc ・・・(IIA) Ya'Mgb'Cuc'Nid' ・・・(IIB) Ya"Mgb"Nic" ・・・(IIC) 及び Yx Cay Mgb Cue Nif ・・・(III) (ただし、各記号は上記の通りである。)で表される組
成を有する新規な合金である。これらの合金は、例えば
水素吸蔵合金,触媒材料,磁石材料などとして有用であ
るが、後述するように、特に水素吸蔵特性に優れること
から、水素吸蔵合金として好適である。
【0010】一方、本発明の水素吸蔵合金は、イット
リウムとマグネシウムを含有し、かつカルシウム,スト
ロンチウム及びバリウムの中から選ばれた少なくとも一
種を含有する合金、イットリウムとマグネシウムを含
有し、かつ銅及び/又はニッケルを含有する合金、及び
イットリウムとマグネシウムを含有し、かつカルシウ
ム,ストロンチウム及びバリウムの中から選ばれた少な
くとも一種を含有するとともに、銅及び/又はニッケル
を含有する合金であって、その組成については特に制限
はない。マグネシウム系合金は、軽量かつ安価であっ
て、水素吸蔵量が多いなどの長所を有しているが、25
0℃以上でなければ水素を吸蔵しない上、反応速度も遅
いなどの欠点がある。マグネシウム系合金に希土類元素
を添加すると、反応速度が速くなり、さらに低温活性も
増加し、室温でも水素を吸蔵するようになる。そして、
マグネシウム−希土類元素合金の水素吸脱蔵は、不均化
反応で進行し、反応主相はMgH2 であることが確認さ
れており、このことから、希土類元素はマグネシウムの
水素吸脱蔵反応の触媒として作用していると考えられ
る。
【0011】希土類元素の中でも、イットリウムは原子
量が小さいので、他のランタン,セリウム,ネオジムな
どの場合と比較して、マグネシウムと合金化した場合、
軽量となるので、合金単位重量当たりの水素吸蔵量が多
くなる。一方、カルシウム,ストロンチウム,バリウ
ム,銅及びニッケルは、いずれも水素吸蔵反応を促進さ
せる効果があり、特にカルシウムを添加した場合は、初
期活性化も容易となる。これは、カルシウムの脱酸効果
によるものと考えられる。また、イットリウムを用いた
場合、他の希土類元素を用いた場合に比べ、低温活性
(主に250℃以下)が向上し、低温域での反応速度の
向上及び水素吸蔵量の増加がみられる。これは、合金中
で生成されたマグネシウム−イットリウム金属間化合物
中のY5 Mg24が化学的に不安定であるので、不均化反
応を起こしやすいためである。
【0012】本発明においては、前記の水素吸蔵合金
の中で、一般式(I) Yx Cay Mgz ・・・(I) (ただし、x>0,y>0,4.5≦x+y≦5.5,23
≦z≦25)で表される組成を有する合金が特に好適で
ある。基本組成Y5 Mg24で表される合金は、化学量論
範囲が広く、かつ結晶構造がC12型であるため、成分
置換の自由度が大きい。したがって、Yを任意の割合で
Caと置換することができる。その際Mgと(Y+C
a)5Mg24との細かい共晶組織ができ、この共晶組織が
水素吸脱蔵反応を促進させる。そして、該共晶組織は微
細化が進行しているほどこの促進効果が大きい。すなわ
ち、共晶組織中のMgは微細化しているほど、水素と反
応しやすい。さらに、基本組成Y5 Mg24で表される金
属間化合物は化学的に不安定であるため、(Y+Ca)5
Mg24も不安定であって、不均化反応を起こしやすい。
そして、この不均化反応により、さらに細かい組織とな
り、これが一層水素との反応性を増大させる。このよう
に、カルシウムを添加することにより、基本組成Y5
24で表される合金や他の希土類元素−マグネシウム系
合金と比較して、低温域の活性が向上し、さらに初期活
性化も容易となる。また、イットリウムの含有量を低減
することができるので、経済的にも有利である。
【0013】また、本発明においては、前記の水素吸
蔵合金の中で、一般式(II) Yh Mgi Cuj Nik ・・・(II) (ただし、4.5≦h≦5.5,23≦i+j+k≦25,
0<j+k≦5,0<j≦5,0≦k<5)で表される
組成を有する合金、及び一般式(IIC) Ya"Mgb"Nic" ・・・(IIC) (ただし、4.5≦a" ≦5.5,23≦b" +c" ≦2
5,0<c" ≦5)で表される組成を有する合金が特に
好適である。銅やニッケルの添加量が多すぎると、Mg
サイトが置換されず、基本組成Y5Mg24で表される金
属間化合物が形成しにくくなるので、銅及びニッケルの
量は上記範囲にあるのがよい。この銅及びニッケルは、
いずれも活性を向上させる効果があり、低温域での反応
速度と水素吸蔵量を増加させる。特にニッケルは反応速
度の向上効果が大きい。また、銅は、水素吸脱蔵反応で
生成する分解相Mg2 Cuがその水素化物Mg 2 CuH
を生成しにくいので、Mgに関する水素化物はMgH2
となり、その結果、水素吸蔵量が多くなるので、他の遷
移金属に比べて有利である。
【0014】さらに、本発明においては、前記の水素
吸蔵合金の中で、一般式(III) Yx Cay Mgb Cue Nif ・・・(III) (ただし、x>0,y>0,4.5≦x+y≦5.5,23
≦b+e+f≦25,0<e+f≦5,0≦e≦5,0
≦f≦5)で表される組成を有する合金が特に好適であ
る。この一般式(III)で表される合金は、不安定な基本
組成Y5 Mg24で表される結晶置換型の金属間化合物を
有し、さらにカルシウム添加効果により微細な共晶組織
を含有するとともに、反応速度向上効果が大きい銅やニ
ッケルを含むものである。したがって、上記一般式
(I)及び(II)で表される合金に比べて、相乗効果に
より、一層低温域での反応速度が向上し、水素吸蔵量も
増加する。
【0015】本発明の合金及び水素吸蔵合金の製造方法
については特に制限はなく、従来公知の各種方法を用い
ることができる。例えばアーク式高温真空溶解装置,抵
抗加熱式高温高真空溶解装置,高周波誘導真空溶解装置
などを用い、所定の組成比になるように配合された各金
属成分の混合物を、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下
に加熱溶解して合金溶湯を形成させ、次いでこの溶湯を
冷却凝固させることにより、所望組成の合金が得られ
る。この合金を水素吸蔵合金とする場合は、機械的に平
均粒径が50〜500μm程度になるように粉砕するの
が好ましい。また、必要ならば、この合金粒子に水素化
/脱水素化処理を繰り返すことにより、さらに微粉砕し
て、粒径を制御してもよい。
【0016】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定さ
れるものではない。
【0017】実施例1 (1)合金の製造 純度99%以上のイットリウム,カルシウム,マグネシ
ウム及び銅を、Y3 Ca2 Mg22.5Cu1.5 の組成比に
なるように配合し、これをアーク溶解炉中において、ア
ルゴンガス雰囲気下に加熱溶解したのち、成形した合金
溶湯を取り出し、自然冷却して凝固させた。次いで、こ
の合金をハンマーミルで粉砕し、さらにステンレス製乳
鉢ですりつぶし、粉径100〜300μmの合金粉末を
得た。この合金は、化学分析などの分析結果から、実質
上Y3.0 Ca2.2 Mg22.2Cu1. 6 の組成を有するもの
であった。 (2)前処理 上記(1)で得られた合金粉末をシーベルツ型反応装置
に充填し、(a)温度300〜400℃,圧力10-4
orr以下で数時間真空脱気したのち、(b)3〜5M
Paの水素と5時間以上反応させて、水素を充分に吸蔵
させ、次いで(c)反応装置内を減圧し、合金から水素
を放出させ、さらに真空脱気を充分に行った。この
(a)〜(c)の操作を5回繰り返し、前処理を完了し
た。 (3)性能評価 上記(2)で得られた前処理合金粉末に、水素を3MP
aの圧力下、130℃及び230℃の温度にて60分間
反応させ、水素吸蔵量(合金に対する重量割合で示
す。)を求めた。結果を第1表に示す。
【0018】比較例1 実施例1と同様にして、実質上CeMg12の組成を有す
る合金粉末を製造し、前処理したのち、その性能を評価
した。結果を第1表に示す。
【0019】比較例2 実施例1と同様にして、実質上Y5 Mg24の組成を有す
る合金粉末を製造し、前処理したのち、その性能を評価
した。結果を第1表に示す。
【0020】
【表1】
【0021】第1表から分かるように、本発明の合金
は、低温域においても水素吸蔵量が多く、従来の希土類
元素−マグネシウム系合金より低温活性に優れている。
【0022】実施例2 実施例1と同様にして、実質上Y2.9 Ca2.2 Mg23.9
の組成を有する合金粉末を製造し、前処理を施した。次
に、この合金粉末に、水素を4MPaの圧力下、100
〜400℃の範囲で温度を変えて、60分間反応させ、
水素吸蔵量(合金に対する重量割合で示す。)を求め
た。結果を図1に黒丸で示す。また、比較例2で得られ
た前処理合金粉末についても同様にして水素吸蔵量を求
め、結果を図1に白丸で示した。図1から分かるよう
に、本発明の合金の方が、低温度域も含めて、全般的に
水素吸蔵量が多い。また、図2に、上記Y2.9 Ca2.2
Mg23.9合金の走査型電子顕微鏡(SEM)写真図を示
す。この図において、白い部分が(Y+Ca)Mg2
黒い部分が(Y+Ca)5 Mg24とMgとの共晶部であ
り、共晶組織が微細になっていることが確認できる。図
3にイットリウム−マグネシウム系状態図を示す。
【0023】実施例3 実施例1と同様にして、実質上Y3 Ca2 Mg22.5Ni
1.5 の組成を有する合金粉末を製造し、前処理を施し
た。次に、この合金粉末に、水素を1MPaの圧力下、
20〜349℃の範囲で温度を変えて、100分間反応
させ、水素吸蔵量(合金に対する重量割合で示す。)を
求めた。結果を図4に示す。続いて、水素を吸蔵した上
記Y3 Ca2 Mg22.5Ni1.5 の組成を有する合金を、
圧力0.1MPa、温度300〜349℃の条件で水素を
放出させ、水素放出量(合金に対する重量割合で示
す。)を求めた。結果を図5に示す。さらに、水素を吸
蔵した上記Y3 Ca2 Mg22.5Ni1.5 の組成を有する
合金を、圧力0.002MPa、温度182℃の条件、あ
るいは圧力0.012MPa、温度231℃の条件で水素
を放出させ、水素放出量(合金に対する重量割合で示
す。)を求めた。結果を図6に示す。
【0024】実施例4 実施例1と同様にして、実質上Y5 Mg22.5Ni1.5
組成を有する合金粉末を製造し、前処理を施した。次
に、この合金粉末に、水素を1MPaの圧力下、19〜
357℃の範囲で温度を変えて、100分間反応させ、
水素吸蔵量(合金に対する重量割合で示す。)を求め
た。結果を図7に示す。
【0025】
【発明の効果】本発明のイットリウム−マグネシウム系
合金は新規な合金であって、例えば水素吸蔵合金,触媒
材料,磁石材料などとして有用であり、特に水素吸蔵合
金として好適に用いられる。また、本発明のイットリウ
ム−マグネシウム系水素吸蔵合金は、新規な水素吸蔵合
金であって、従来のマグネシウム系合金に比べて、
(1)250℃以下の低温域での反応速度が速い、
(2)250℃以下の低温域においても、水素吸蔵量の
低下が少ない、(3)250℃以上の場合においても、
従来のものと同等以上の反応速度及び水素吸蔵量を有す
る、(4)初期活性化が容易である、などの特徴を有し
ている。このように、本発明の水素吸蔵合金は、マグネ
シウム系合金の特徴である低コスト及び水素吸蔵量が多
いということに加え、低温域での特性に優れていること
から、例えば水素貯蔵・輸送,ヒートポンプ,蓄熱,水
素分離・精製などへの応用が期待できる。そして従来の
水素吸蔵合金利用システムと比較して、(1)システム
の小型・軽量化,(2)システムの低コスト化,(3)
使用熱源種の拡大などの効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例2で得られた水素吸蔵合金の反応温度
と水素吸蔵量との関係を示すプロット図である。
【図2】 実施例2で得られた水素吸蔵合金の走査型電
子顕微鏡(SEM)写真図(倍率1000倍)である。
【図3】 イットリウム−マグネシウム系状態図であ
る。
【図4】 実施例3で得られた水素吸蔵合金の反応温度
と水素吸蔵量との関係を示すプロット図である。
【図5】 実施例3で得られた水素吸蔵合金の水素放出
量の経時変化を示すプロット図である。
【図6】 実施例3で得られた水素吸蔵合金の低温,低
圧での水素放出量の経時変化を示すプロット図である。
【図7】 実施例4で得られた水素吸蔵合金の反応温度
と水素吸蔵量との関係を示すプロット図である。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) Yx Cay Mgz ・・・(I) (ただし、x>0,y>0,4.5≦x+y≦5.5,23
    ≦z≦25)で表される組成を有するイットリウム−マ
    グネシウム系合金。
  2. 【請求項2】 一般式(IIA) Ya Mgb Cuc ・・・(IIA) (ただし、4.5≦a≦5.5,23≦b+c≦25,0<
    c≦5)で表される組成を有するイットリウム−マグネ
    シウム系合金。
  3. 【請求項3】 一般式(IIB) Ya'Mgb'Cuc'Nid' ・・・(IIB) (ただし、4.5≦a' ≦5.5,23≦b' +c' +d'
    ≦25,0<c' +d'≦5,0<c' <5,0<d'
    <5)で表される組成を有するイットリウム−マグネシ
    ウム系合金。
  4. 【請求項4】 一般式(IIC) Ya"Mgb"Nic" ・・・(IIC) (ただし、4.5≦a" ≦5.5,23≦b" +c" ≦2
    5,0<c" ≦5)で表される組成を有するイットリウ
    ム−マグネシウム系合金。
  5. 【請求項5】 一般式(III) Yx Cay Mgb Cue Nif ・・・(III) (ただし、x>0,y>0,4.5≦x+y≦5.5,23
    ≦b+e+f≦25,0<e+f≦5,0≦e≦5,0
    ≦f≦5)で表される組成を有するイットリウム−マグ
    ネシウム系合金。
  6. 【請求項6】 イットリウムとマグネシウムを含有し、
    かつカルシウム,ストロンチウム及びバリウムの中から
    選ばれた少なくとも一種を含有することを特徴とするイ
    ットリウム−マグネシウム系水素吸蔵合金。
  7. 【請求項7】 一般式(I) Yx Cay Mgz ・・・(I) (ただし、x>0,y>0,4.5≦x+y≦5.5,23
    ≦z≦25)で表される組成を有する請求項6記載のイ
    ットリウム−マグネシウム系水素吸蔵合金。
  8. 【請求項8】 イットリウムとマグネシウムを含有し、
    かつ銅及び/又はニッケルを含有することを特徴とする
    イットリウム−マグネシウム系水素吸蔵合金。
  9. 【請求項9】 一般式(II) Yh Mgi Cuj Nik ・・・(II) (ただし、4.5≦h≦5.5,23≦i+j+k≦25,
    0<j+k≦5,0<j≦5,0≦k<5)で表される
    組成を有する請求項8記載のイットリウム−マグネシウ
    ム系水素吸蔵合金。
  10. 【請求項10】 一般式(IIC) Ya"Mgb"Nic" ・・・(IIC) (ただし、4.5≦a" ≦5.5,23≦b" +c" ≦2
    5,0<c" ≦5)で表される組成を有する請求項8記
    載のイットリウム−マグネシウム系水素吸蔵合金。
  11. 【請求項11】 イットリウムとマグネシウムを含有
    し、かつカルシウム,ストロンチウム及びバリウムの中
    から選ばれた少なくとも一種を含有するとともに、銅及
    び/又はニッケルを含有することを特徴とするイットリ
    ウム−マグネシウム系水素吸蔵合金。
  12. 【請求項12】 一般式(III) Yx Cay Mgb Cue Nif ・・・(III) (ただし、x>0,y>0,4.5≦x+y≦5.5,23
    ≦b+e+f≦25,0<e+f≦5,0≦e≦5,0
    ≦f≦5)で表される組成を有する請求項11記載のイ
    ットリウム−マグネシウム系水素吸蔵合金。
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